バックする

 

2013/12/08

まゆ子「479枚!」

釈「あー、……。」
じゅえる「死ね。」
まゆ子「じっさい死ねと言いたくなりますね、ゲキロボ第九巻「喜味子モテ期到来」はこのような結果となりました。」

釈「今年は4ヶ月で1巻上げて計3巻出す予定でしたが、」
まゆ子「計画完遂です!」
釈「そうなんですよねー、第七巻「八月一日」が12年11月29日開始ですから。」
じゅえる「欲を言えば3ヶ月で4巻書きたかった。」
釈「実質第九巻は2巻分のボリュームですから、その計画も完遂です。」

まゆ子「うーむ。どこを間違った?」
釈「どこと言うならばそもそも第八第九巻にものを突っ込みすぎたのが敗因でしょう。」
じゅえる「そもそもオーラシフターとか存在しなかったからな、当初の構想では。」
まゆ子「というか、物辺優子東京に行く、もここに入る予定ではありませんでした。」
じゅえる「あー、構成上の失敗?」
まゆ子「むしろやり過ぎた感が。」

釈「まあどうでもいいじゃないですか。「喜味子モテ期到来」は見事完成して、次の巻に突入ですよ。「八月十五日」」

まゆ子「その副題だが、「八月十五日」でほんとにいいだろうか?」
じゅえる「うーん、既に「八月一日」を使っているからなあ。」
釈「なにかいい季語はありませんかねえ、この時期の。」
まゆ子「ぐぐっても八月十五日に麗しい季語は存在しない。いたしかたなし。」
じゅえる「これなんかいいんじゃないか。

 『寒蝉鳴』(かんせんなく、もしくは、ひぐらしなく):七十二候、立秋の次候 八月十二日〜十七日くらい ひぐらしが鳴き始める頃」

まゆ子「ふむ。」
釈「そうですねえ、「八月十五日」は実際は八月十一日から八月十七日までの一週間を記すわけですから、いいんじゃないですかね。」
まゆ子「ひぐらしのなく頃に、ではあるんだよ。」
じゅえる「そう言われると嫌だな。」
まゆ子「つくつくの日、とかも考えてはみた。」

釈「八月十五日、でいいですかね。」
まゆ子「寒蝉鳴、はどこかの章タイトルで使うとするか。」
じゅえる「そんなものかな。」

 

まゆ子「さてところで「八月十五日」は基本的に短いお話だ。だから1巻の半分で終了する。予定。」
釈「またまた、」
じゅえる「予定が上手く行った例無いじゃないか。」
まゆ子「しかし書くことが無ければ短いままで終わるさ。だからこれは半分で済ませて「サルボロイド再強襲!」と合わせて1巻にしようと思う。したいぞ。そういう願望だ。」
釈「サルボロイド事件は終了って書いてますが、」
まゆ子「再生怪人は弱い。」
じゅえる「ふむ、では沢山出そう。それがお約束というものだ。」

まゆ子「というわけで門代上空で散らばったサルボロイドの破片から、短期間の内に5機のサルボロイドが発生するのです。もちろん自力でではない。
 サルボロイドと関係を持つ中米から来た狼男によって、サルボロイドは再生されるです。」
釈「電気を破片に流せばいいんでしたかね。」
まゆ子「電力で再起動してやれば、餌となる金属を自ら分解して部品を作り、再生する。しかし効率よく再生する為には当然金属のストックが必要。
 通常の空間にはサルボロイドが効率的に再生する金属は無い。」
じゅえる「あー、金属スクラップとか自動車廃棄工場とかそんなところだな、都合がいいのは。」
まゆ子「更に言うと、破片を一から再生させるとずいぶんと長い時間掛かるから、適当な大きさに破片を分けて分散して再生させて後で合体させる方法を使う方がよいです。」

釈「つまり、狼男はサルボロイドについて良く知ってるわけですよ。」
じゅえる「で、元通りに再現できるわけだ。」
まゆ子「残念ながら中枢エネルギージェネレーターというものは再生できません。いやデバイスとしては構築出来るんだけど、それを起動するだけの大電力が通常は得られない。」
釈「ほお。」
じゅえる「なるほど、素のサルボロイドは弱いんだ。」
まゆ子「外部に存在する機材を使えば効率よく働けるってのは、まあ当然ですね。それで狼男達は弱いままのサルボロイドを使って騒ぎを起こし、またぴるまるれれこの所に来て5機を合体させて中枢ジェネレーターを起動しようというのです。」
釈「つまり貧弱なサルボロイドがムキムキになるわけです。」

じゅえる「だがどうしてもぴるまるれれこは必要なんだ?」
まゆ子「あー、そこに特別な仕掛けがあるんだけど、まあぴるまるれれこでなければならないと思い込んでる。他に妙案が無いと考えよう。」
じゅえる「それで、また宇宙人有志隊が出動するわけだ。」
まゆ子「いや今回、ニンジャとオーラシフターが活躍する算段ですが、まだ考えてない。オーラシフターのかっこいい所をちょっと書いてみる必要があるだろうな、と。」
釈「確かに狼男相手なら存分に仙術使えますね。」
じゅえる「ふむふむ、キャラクタを表現するためにイベントを突っ込もうという算段だな。OKOK。

 あーそうだな。5機のサルボロイドってのはちょっと大げさ過ぎるか。サルボロイドの四肢と頭を独立して再生して、それを狼男が集合させようとする。
 そんなとこだな。」
まゆ子「ふむふむ。サルボロイドの完成品はさすがに人間の敵として強すぎるか。」
 あ、ちなみにね、サルボロイド必殺のメタルハンドは中枢ジェネレーターの強大なエネルギーが無いと発生させられないから、弱いぞ。」
釈「そうなんですか。」
じゅえる「どのくらい弱い?」
まゆ子「あー、メタルハンドが鉄の爪になったくらい。」
じゅえる「それは普通だな。」
釈「普通のロボットですね。」

 

じゅえる「しかしサルボロイドとぴるまるれれこに間になにか因縁が無いとこれ以上展開は難しいだろう。」
釈「そうですねえ、ぴるまるれれこが再生に絶対必要という理由ですね。」
まゆ子「やっぱりそこは考えなくちゃいかんかな?」
じゅえる「考えて無いの?」
まゆ子「うん。」
釈「考えましょう! 是非!」

まゆ子「しかたないなあ。じゃあこういう感じで。

 サルボロイドは従属機械生命体である。従属というくらいであるからとある知的生命体によって作られたロボットがその大本である。
 しかしながらその種族はなんらかの原因によって滅亡してしまう。サルボロイド、正確にはサルボロイド・サーヴァントは主人を失い存在意義を見失って宇宙を彷徨う羽目に陥った。
 それを拾い上げたのが現在のご主人様である知的生命体。
 この生命体が地球に降りて地球人類をシェルターに入れて保存しようと試み、サルボロイドに人間のお守りをさせた。」

じゅえる「なるほど、最初のご主人様の絶滅原因がぴるまるれれこであり、サルボロイドはその生き証人なのだ。」
釈「その古い記憶に従って、ぴるまるれれこに対してなんらかのアピールを試みているわけですね。」
まゆ子「そうだな。ぴるまるれれこが持っているはずのオリジナルご主人様のなんらかのものを手に入れようとしているわけだ。現在のご主人様の指示を越えて。」

じゅえる「でも今のご主人様にも見放されたんじゃなかったっけ。」
まゆ子「そうなんだ。そこにもぴるまるれれこが関わっている。というか、人間と一緒に暮らす内にこれまで封印してきた最初のご主人様の記憶が蘇って、独自に活動を始めたわけだ。」

釈「割と深刻な理由で来てたんですね。それで、狼男は何の為に。」
まゆ子「まあ連中の目的は地下シェルター王国の秘密を保持し続けることだし、逃げ出したサルボロイドの回収が任務だ。」
じゅえる「サルボロイドの部品を持って中米に帰ればいいんじゃないかい。」
まゆ子「そうしたいのは山々なんだが、地下王国から流出したものというのが、つまりサルボロイド自体が回収に乗り出すくらいの重要なブツであるから、最後の手段としてサルボロイドそのものを用いるわけだよ。」
釈「危険を承知で狼男はサルボロイドの復元を試みるわけですね。」

じゅえる「そういうことであれば、サルボロイドの部品はそのままでは使えないけれど、アタッシュケースかなんかに入れられて持ち運びされており、警察の検問を突破する。とかでアクションだ。」
釈「なるほど、あくまでもここは人間と狼男のバトルアクションが見どころなわけです。」
まゆ子「あくまでもサルボロイドは最後のオチというか、最終決戦の時まではほとんど戦力として機能しない。てわけだね。」

釈「サルボロイドをぴるまるれれこの所で再生すると、ぴるまるれれこによって滅ぼされたオリジナルご主人様がサルボロイドを媒介として蘇る。そういうことにしておきましょう。」
まゆ子「なるほど、機械生命体であるサルボロイド・サーヴァントが実はオリジナルご主人様の遺伝子を運び何時の世にか復元させるための再生装置であった、という設定だな。」
じゅえる「でもそこにぴるまるれれこは必要か?」
まゆ子「うーん、」
釈「そうですねー、つまりぴるまるれれこによって滅ぼされるようなご主人様であってはダメなんです。どうせ復元するのならば宇宙最強生物として進化を遂げるのですよ。」
まゆ子「ふむふむ。」
じゅえる「つまり、地球で働いていたサルボロイドに、ちょうど上手い具合にオリジナルご主人様を蘇る条件が整ってしまったから動いている、そういう話だな。」
釈「「だから、誰の想像をも越えてサルボロイドは化け物に変身するんですよ。」

まゆ子「ということは、ぴるまるれれこと接触したサルボロイドはぴるまる細胞を奪取に成功して自らの部品として組み込んでしまう。ってことかな?
 でも細胞1個ではあってもぴるまるれれこはどんなコンピュータでも機械生命体でも同化してしまうぞ。全部ぴるまるれれこ化してしまう。」
釈「そこはいいんです。サルボロイドは従属生命体だから、ぴるまるれれこに従う下僕になるわけです。
 ぴるまるれれこにとっても、このシステムを採用するとぴるまるれれこは極低い温度、地球の生命体と触れ合っても大丈夫なくらいにマイルドになるのです。
 触っても蒸発しないのですよ。」
まゆ子「ほおー。」
じゅえる「それはなかなかだな。つまりぴるまるれれこをご主人様にしよう、って計画なわけだ。」

釈「ご主人様の記憶を受け継ぐサルボロイドにご主人様を滅ぼしたぴるまるれれこの細胞が融合して、新生命体が生まれるのです。」

じゅえる「超生命体の誕生、ってことだ。」
まゆ子「ふむふむ。なるほど、ごにょごにょ(ここでは語れない設定の話)。」
じゅえる「ほおほおなるほど。」
釈「それが更に融合することで、超生命体が超宇宙生命体となって、ゲキの少女に滅ぼされるという展開ですね。了解しました。」

 

じゅえる「とにかくそれはオチなのだ。この回は狼男との対決が主軸となるのだが、ゲキの少女はお休みだ。」
まゆ子「なるほどねえ。なるほど、今回のというか第十巻のテーマは「お休み」だ。心静かに落ち着くことを世間様に訴えるのだ。

 おまえたちもっと足元を見て地道にゆっくり歩いて行こう、と偉そうなテーマを放り投げるぞ。」

じゅえる「いいんじゃないですか。」
釈「オッケーです。」
じゅえる「となると、逆に狼男達は生き急ぐせわしない展開だな。」
釈「テーマを浮き彫りにする為には、そういう忙しい展開がふさわしいですね。」

まゆ子「いやそもそもが、第二サルボロイド事件は鳩保達がお休みの八月十一日以後一週間の間に進行して、鳩保達が活動を始める十八日からクライマックスに突入、という運びだよ。
 裏でとんでもなく忙しいんだ。お盆休み返上だ。」
じゅえる「でもその一週間はオーラシフター使えないだろ。さすがに。」
釈「そうですねえ、さすがに謹慎中ですね。というか未だ法的にというかNWO的に許されてはいないと思われますよ。」

まゆ子「そりゃそうだ。あー、そうだねー、つまり狼男の跳梁跋扈で警察や軍隊が手も足も出ないから、超能力戦隊が投入されるってことで特別赦免を受けたのだ。」
じゅえる「となると、アクションをしないといけないな。」
釈「アクションですね。オーラシフターの全貌が明らかになります。」

まゆ子「く、と、とほほ。そこんとこ何も考えてないよ。どーしよー。」
じゅえる「考えろ。自分で蒔いた種だろうが。オーラシフターはそもそもアクションするのが当たり前の超能力戦隊なんだ。」
まゆ子「でもアクションて苦手でねー。どーしよー。」

釈「こっちがとほほですよ。」

 

 

2013/11/08

まゆ子「というわけで前回に引き続き「セカイ系からの脱出」を考えます。

 しかしながらよくよく考えてみると、セカイ系の中心となる人物は物辺優子であり鳩保芳子は巻き込まれるだけです。」
じゅえる「あ、そうなんだ。」
釈「ああ、計画ではそうなってましたね。その結果セカイから物辺優子が消えるのでした。」

まゆ子「つまり鳩保芳子の脱出は、「鳩保芳子の脱出」うんこのフレーズはいいな、第何章かのサブタイトルにしよう。」
釈「つまり物辺優子さんが形成するセカイから鳩保芳子さんが脱出する。そういう構造を組み立てればいいわけです。」
じゅえる「なんだ簡単じゃないか。」

まゆ子「しかし、脱出すべきなのだろうかそれは。ゲキの世界から脱出した先には何が有るんだ。」
釈「そう言われましても、そうですねえ鳩保さんがごく普通の女の子で宇宙人関連全く存在しない、NWOも軍隊もまったくに関与しない、そういう状況ですね。」
じゅえる「つまり普通になるわけだが、それが脱出と言ってよいのだろうか。」
まゆ子「さらにここにシャクティさんとミスシャクティの存在をクローズアップさせるという機能を要求するわけだ。釈ちゃん大活躍。」
釈「でへへ。」
じゅえる「釈ちゃんを一回くらい殺そう。」
まゆ子「OK!」
釈「えーそんなー。」
まゆ子「いや、ミスシャクティなんだからそのくらいは普通だろう。ただ、セカイに居る間鳩保は変な気分になるわけだが、逆に不思議はまったく存在しない。だから死人が出るのはさすがにおかしい。」

じゅえる「そうだな、じゃあこうしよう。テレビのニュースを見るといかにも昔からそうであるかのように、世界的大人物で世界平和にも大きく貢献するミスシャクティがアメリカ大統領ブッシュなんかと会談しているのだ。
 鳩保はそれをごく当たり前に見てしまう。そしてテレビの中でミスシャクティが暗殺される、とかの臨時ニュースが飛び込んでくるのに大いに驚くのだ。」
まゆ子「ふむ。」
釈「なるほど、直接ではありませんが死にますね。」

まゆ子「しかしつまりそのセカイではNWOが普通に存在する、という事になるのだが、それはいいのか。」
じゅえる「セカイなんだからいいじゃないか。どうせ後で元に戻るんだろ。」
まゆ子「うん、戻ります。優子の出現と共に。」
釈「異次元というか平行世界なんですね。」

まゆ子「ちなみに狼を出そうかと思う。第十一巻のネタ振りとして、狼の存在を臭わせておく。まあ元々の計画からして猫男が出るんだから、狼も出るんだけどね。」

じゅえる「つまりふしぎの国の鳩保なわけだ。花憐の代わりに。」
釈「ちなみに花憐さんはどうしていますかその期間。」
まゆ子「もちろん物辺村に居るんだけどさ、なにかと忙しくて出くわさない。
 ちなみに八月十三日が「西瓜盗り」のお祭りで全員が居ることになっている。花憐も居る。第一花憐は何処にも行かずにお父さんの手伝いをしているのだ。なんだか忙しくて。
 というかさ、お盆だからね。古い家柄の人はお盆は忙しいんだよ。喜味子だってお盆で里帰りするさ。」
釈「児玉さんは物辺村の出身じゃないんですか?」
まゆ子「喜味ちゃん自身は村の生まれなんだけど、両親は外の人だ。喜味ちゃんの祖父が物辺村にやって来て、もともと鶏を飼っていた人から鶏舎を貰い受けて、その手伝いにやって来た喜味ちゃん父がそのまま村に居着いて、という事になる。
 だから喜味ちゃん家のお墓は村の外に有って、喜味ちゃんはお墓参りの為に十四十五日は村を留守にします。留守の間の軍鶏の世話は信頼出来る人に任せています。」

じゅえる「つまり鳩保は物辺村で優子には会わない、花憐とは出くわさない、喜味子は村を出ている。童みのりは?」
まゆ子「ウエンディズの合宿に遊びに行ってます。村のラジオ体操は引き続き続行です。だから朝は必ず鳩保とみのりは会う。」
じゅえる「ウエンディズネタが有るのか。これはーセカイに関係するのか?」
まゆ子「直接はしないが、次の第十一巻と関係します。また物語最終オチのネタでもあります。」
釈「志穂美先輩としるく先輩の出番ですからね、サルボロイド退治は。」

じゅえる「つまり鳩保は孤立するんだ。」
まゆ子「孤立して、孤独で、セカイの常識がねじ曲がってるのに違和感を覚え、知ってる人がどうもおかしくて、壊れてしまいます。
 そして八月十五日を経て、十六日からゲキの少女PV撮影が始まり喧騒が戻り、十七日に花火大会があって優子が再出現してセカイが元通りに戻ってくる。そういう構造です。」
じゅえる「脱出しないじゃん。」
まゆ子「私の構想では脱出は予定されてないな。だって昨日はじめて脱出ってキーワード出て来たもん。」
釈「ふむ。つまりこのシナリオだと鳩保さんは流されるだけなんですね。」
まゆ子「へたれ鳩保だからさ。」

じゅえる「ふーむ、単なる少女の夏休みであればそれで十分上等なんだけど、鳩保がへたれで終わってしまうとそれはそれで困るのだ。脱出しろ。」
まゆ子「どうやって?」
釈「構造的に脱出というのは無理じゃないですかね? 十六十七日のスケジュールを変える気は無いんでしょ。」
まゆ子「まったくありません。」

じゅえる「そういう時はだな、この回で解決できないネタを振っておくもんだ。伏線の投入だ。」
釈「そうですね、たとえばですよ、サルボロイド復活の鍵となるアイテムを大混乱の真っ最中に在る鳩保さんがその混乱の最高潮の場所で受け取る。そんな感じです。」
まゆ子「なるほど、セカイが解決されなくていいんだ。この段階では。」
じゅえる「そのアイテムの処理は後日にして、そこで不思議打ち止め。十六日に続く、でOKだよ。」

釈「そうですねえ、この巻がセカイ系である事を読者様に強調するために、宗教の勧誘とかがしばしば起きるとかはどうでしょうかね。ポストにそんな印刷物がどっさり入っているとか。」
まゆ子「ふむふむ。」
じゅえる「読者様は鈍感、という風に考えて親切にネタを振っておかないと分からないからな。どんどんとおどろおどろしくなっていくエスカレート感が重要だ。オカルトアイテムは必須だよ。」
釈「そしてその頂点で、サルボロイドアイテムを託される。これでどうです。」
まゆ子「うん、物語的にはそれでいい。ただ鳩保脱出ではないな。」
じゅえる「そうだなあ。」

釈「格闘でもしますか。」
まゆ子「ぽぽーブレードで?」
釈「いえ、箒か竹竿なんかで。自分が超能力使えるのをすっかり忘れているという感じで。」
じゅえる「うん、実際に戦わなくても、自分が超能力を使えるのをすっかり忘れているという表現をするには、それはいい演出だ。」

まゆ子「改めて考えると脱出ってのは思いつかないものだなあ。」
釈「自発的能動的に脱出するのは、たいへんです。」
まゆ子「どこかに行くでもなく、何をするでもなく、何かを発見するでもなく、誰かが来るでもなく、他に無いか?」

じゅえる「生理にでもなるか。」
まゆ子「生理、月経?」
釈「あー、あーあー、そういう生理的現象で変調を起こすってのもセカイ系にはありがちな話ですねえ。でも却下ですよ。」
じゅえる「そうだな、妊娠話を突っ込むのもダメだろうしな。」

釈「誰か死にますか。」
じゅえる「そういうのもありがちだ。」
まゆ子「それは駄目。十一巻にリザーブしている。開巻冒頭にちゃんと死ぬ人が居る。予約済み。」
じゅえる「そうなんだ。誰か死ぬ奴居たかな?」

まゆ子「とにかく鳩保は強引傲岸なキャラ設定なのに、使えないな。なにかできること無いのか。」
釈「鳩保さんの特技は勉強と、超能力は帳簿改ざんです。」
じゅえる「帳簿改ざん不正操作は今回使えない。ただ脱出口を探る際になにか使える手はないだろうかね。」
まゆ子「頭いいんだから自分でなんとかすればいいんだけど、そうだな、これが偽のセカイである事を示唆するヒントを誰かからもらって、それを解析するとか。」

釈「そこは可愛いシャクちゃんの出番でしょう。」
じゅえる「うむ、シャクちゃんはそこでこそ出現するべきだ。」
まゆ子「なるほど、出口脱出口を自ら発見するというよりは、誰かに教えてもらうという手もあるか。」

釈「具体的に可愛いシャクちゃんは何を示唆するでしょうか。」
まゆ子「セカイから決定的に欠落しているなにか、を探せと言うのだろうね。つまりは物辺優子だが。」
じゅえる「そこまで具体的に言うと興醒めだ。物辺優子に関するなんらかのアイテムを示すくらいで。」
まゆ子「実は第十巻冒頭は門代高校演劇部のお芝居なのだ。公演日が十日日曜日だから。」
じゅえる「ふむふむ、セカイの虚構性を明らかにするためにも、そのネタは確かに使いたい。」

釈「本来ならば十日だけの特別公演であるはずなのに、シャクちゃんの勧めで行ってみるとちゃんと公演が有るのです。」
じゅえる「ふむふむ、そこで虚構性を明らかにすると同時に、もう一つイベントを思いついたぞ。
 自転車パクられよう。」
まゆ子「え、鳩保の足が?」
じゅえる「その大事な自転車が、公演を見るために鎖で繋いでいたのに盗まれてしまうのだ。鳩保自転車を探すために街をさまよい、最終的に辿り着いたのが謎のオーストラリア人パイロットが経営する喫茶店。」
釈「なるほど!」
まゆ子「なるほど! だが同じ商店街の釈ちゃん家という手が。」
釈「そこは創作インド料理店が人が外に並ぶほどに大繁盛していて、鳩保さん思わず遠慮してしまうという事で。」
じゅえる「異常だな。」
釈「明らかに異常です。」

まゆ子「それで、自転車はどうなるのだ?」
じゅえる「十六日から現実が復帰するんだろ? 警察が発見して連絡してくれるよ。第一NWOの連中がそんな真似は許さない。」
釈「そうですね、そんなの確実に監視してますよ。すぐ発見です。」
まゆ子「うむ。確かに足を奪われるというのは、絵になる。象徴的な意味でも大きなメッセージだ。」
じゅえる「だろ。」

釈「あと、もちろん見に行ったお芝居は十日にやったのとはまったく内容の異なるもので、第十一巻以後の内容を織り込んだものとしましょう。」
じゅえる「サルボロイド話だな。」
まゆ子「OK、それは採用だ。そして自転車盗られてとぼとぼと帰ってきた鳩保は、物辺村で関連アイテムを渡されるという寸法だ。」

じゅえる「ちなみにそれは何時の話なのだ。」
まゆ子「十四日。十三日は「西瓜盗り」で夜忙しいし、鳩保はまだ狂っていない。
 えーとスケジュールを言うと、

 十日/日曜日 物辺優子、門代公民館での門代高校演劇部特別公演に参加、出演。優子出番終了
 十一日/月曜日 登校日。喜味子科学部部室でサルボロイドの破片を破壊する(済) 喜味子、物辺村ご神木秘密基地を一時撤去する。
 十二日/火曜日 鳩保母の検診日で鳩保付いていく。同級生環佳歩の見舞いをすると、彼女も退院だという。
 十三日/水曜日      夜、年中行事「西瓜盗り」開催。
 十四日/木曜日 喜味子お墓参りで門代を離れる。鳩保演劇部公演を見に行き、自転車盗まれる。謎のアイテムゲット

 十五日/金曜日 なにもしない

 十六日/土曜日 早朝警察から自転車発見の報。ゲキの少女PV撮影開始 しかし門代商店街で異変発生
 十七日/日曜日 喜味子撮影に参加。花火大会でも撮影。優子復活。

  *****ここまで第十巻

 十八日/月曜日 サルボロイド復活 狼男暗躍
 十九日/火曜日
 二十日/水曜日 サルボロイド問題解決

  ****おそらくはここまでで第十一巻

 二十一日/木曜日 登校日。縁毒戸美々世登校せず。鳩保達は美々世のアパートに行き異変に巻き込まれる。
 二十二日/金曜日 補習授業開始。

まゆ子「えーと現在の感覚で言うと、おそらくは「八月十五日」のボリュームが少ないから、後のサルボロイド復活篇狼男の章、も含んで第十巻となるでしょう。」
釈「すかすかでいいじゃん、という話ですね。」
じゅえる「十二日に病院に行って母親の検査をするわけだな。これは問題なし?」
まゆ子「問題なし。ぴんぴんしてます。」
じゅえる「で、同級生環佳歩の世話をしていた鳩保が彼女が退院するというのを聞き、それでさらに待ち時間があるという事で待合室のテレビでミスシャクティのニュースを聞く。と」
まゆ子「ふむ。」

じゅえる「ミスシャクティ暗殺事件は、十四日の自転車を探している最中に街のテレビかなんかで遭遇。これでいいね?」
まゆ子「OK。」
釈「OKです。」

まゆ子「これまではまったく出てこなかったマスメディアによる世界情勢の解説ってのをばんばん入れよう。鳩保は明らかに自分を見失っている象徴となる。」
じゅえる「じゃあもっと別のストーリーも織り込んでおくか。なんか鳩保不安になるようなものを。」

まゆ子「あと、鳩保はこの期間異変に胸が騒いで不安なのですが、それは鳩保だけでなく鳩保のクラスメートで鳩保が大嫌いな若狭レイヤも一緒です。
 彼女は6月頭にぴるまるれれこ復活で心臓に大穴が開いて死んでますが喜味子に人工心臓を埋め込まれて復活。しかし、不思議が無くなるという事は彼女の復活もなくなるわけで、たいへんな不安に襲われています。
 だから大嫌いな鳩保にでもすがって安心を得ようとします。」
じゅえる「それは何日だ?」
まゆ子「うーん、十三日?」
釈「十三日ですね。ちなみにウエンディズの合宿は十一日登校日そのまま集合して十三日昼までです。二泊三日。みのりさんの参加は十二日だけですね。十三日は西瓜盗りの準備で忙しいから。」

釈「十五日は何もしない。これはー、」
まゆ子「なにもしません。これは最初から既定です。鳩保母が家族揃ってどこかに遊びに行こうかと言いますが、鳩保は何もしないのがいいと言って何処にも行きません。

 あ、それから。十八日つまり「八月十五日」が終わった後の第一日目に、オーラシフター蟠龍八郎太が挨拶に来ます。でこれからは手下として使ってくださいという話になる。」
じゅえる「ふむ、サルボロイド復活と関係するのか。」
まゆ子「敵が狼男だからいい勝負するんだけどさ、そこはまだ未定だ。」

 

釈「ですが、シナリオの骨格がどんどん出来ていくのはいいんですが、肝心の「セカイ系からの脱出」はどうなりましたか。」
まゆ子「ああ、それ出来た。」
じゅえる「どこらへんだ。」
まゆ子「下手の考え休むに似たり、セカイ系の攻撃で混乱しきった鳩保は八月十五日なにもしなかった事で、すっきりさっぱり解決しました。
 禅の言葉にもあります。「まず座れ」と。」

釈「なにもしないで休んだら、治ったんですか。」
まゆ子「これまで5月からこっち、忙し過ぎたからねえ。お休みが必要だったんだよ、なにも考えない。」
じゅえる「ああ。なるほど、そりゃあそうだ。」

釈「なるほど、セカイ系てのはその程度のものですからねえ、結局。」

 

まゆ子「それで十四日に見る演劇ですが、これが狼男とサルボロイドの関係を示すものになるわけです。
 その前に、まずは十日の演劇のシナリオを。

 昔々あるところにのどかな村が有りました。人は純朴で何事も無く穏やかに日々を過ごして行くことに何の疑問を持たない、生まれて死んでいくまで此処に居ることに幸せ以外を感じない桃源郷のような所です。
 だが! その年は雨が降らなかった。人々は神様に祈ったりおまじないに頼ったり、まあ効果の無い事をさんざん試すわけですが、やはり効果無し。
 そして遂に隣村との境を流れる小川の用水を巡って村同士が争うことになってしまう。桃源郷が戦場へと化してしまうその寸前!
 観客席に座っていた物辺優子が立ち上がり、舞台にそのままの格好で上がって、神様の祠に位置すると
 雷が舞台に鳴り響き、大粒の雨が降ってきて水争いが消滅してしまいます。
 そして以後は村はまた元の落ち着きを取り戻し、何事も無かったかに平和となって、舞台はおしまい。」

釈「皮肉な話ですねえ。」
じゅえる「まあ、農村を桃源郷と見做すような馬鹿な平和主義者に対する鉄槌だな。」
まゆ子「で、十四日に演じられるのは、もちろん門代高校演劇部なんだけど、鳩保は誰が誰だか分からない。そもそも演劇部に知り合いは優子しか居ないからね。

 昔々のありところに人が暮らしておりました。未だ機械文明を知らず、純朴にのどかにそれでも残酷に独自の文明を築いておりました。
 そこに天空より舞い降りた「神」が何名かを選び、隔離された桃源郷へと連れて行き住まわせます。彼等の世話をするのは人の顔を持った人形達。神様の命令で動きます。
 最初は驚いた人々も、神の恩寵と理解して深く感謝して、神様の命じるままをただ信じて誠実に生きていきます。人形達は人を助けて暮らしの世話をしていました。
 神に感謝する人々は、なかなか姿を見せない神の絵姿を描いてそれを崇め奉ります。神様が天空の用事でちょっと長く不在をした為に、その風俗はどんどん進展して、遂に絵姿の神こそが本物と思い込んでしまいました。
 偶像の発生です。そしてあろうことか、神様に使える人形達までもが絵姿をこそ主人と認識してしまいます。
 戻ってきた神様は驚き、人々に絵を描く事をやめさせようとしますが、人形達が反抗して従いません。遂に神様は諦めて天空に逃げて行きました。
 そして神とは絵姿に、絵を描く者こそが王族にとなって王国を築きます。
 しかし、その絵姿は厳重に秘されるようになり、王族が人形を使役する力の元と化しました。だが秘密は暴こうとする者によって常に狙われている。
 遂に秘密の神殿に忍び込んだ盗賊によって絵姿は盗まれてしまいます。そして隔絶した王国の外のセカイへと持ちだされてしまいました。
 絵を追いかけて人形も外のセカイに踊り出ます。また王国を封印してきた狼の一族もまた絵を追います。

 これでおしまい。オチは無し。
 上演中、物辺優子が客席から舞台に上がったと反対に、舞台上の神様が客席に降りてきて逃亡。絵を盗んだ盗賊とそれを追う人形も観客席を通って外に出ます。」

じゅえる「人形というのが、サルボロイドだね。」
釈「サルボロイドと狼男の関係をこの演劇で描くわけですね。でも狼男はこの演劇ではあまり、説明されてませんね。」
まゆ子「ふむ。じゃあ神様が逃げる際に狼男に出口を封鎖させるように命じておこう。」
じゅえる「狼男は地下世界の王国の番人でいいわけなんだな?」
まゆ子「出るのを防ぐのか、入るのを防ぐのか難しいところだが、まあ。」

じゅえる「しかしオチが無いというのはなあ。」
まゆ子「オチは実は有るんだよ。芝居が終わって舞台の幕が降りると同時に、二階席から笑い声がする。
 女が盗まれた絵を片手に舞台を見下ろす位置に座って、神が居ないのなら私が神となりましょう、外の広いセカイで。って高笑いして、終了。カーテンコールとなります。」

じゅえる「なんだその女は。」
まゆ子「”ミセス ワタツミ”という名の物辺優子になんとなく似た女、だよ。黒髪の貞子みたいなね。観客に向かって高らかに自己紹介します。」
釈「それが伏線なわけです。」

 

 

2013/11/07

まゆ子「というわけで大失敗。「ゲキロボ」第九巻「喜味子モテ期到来」は四ヶ月で終わる予定が、一ヶ月伸びました。」

釈「それは痛恨事ですねえ。」
じゅえる「最初の読みが甘かったんじゃないかい。」
まゆ子「まあ当初の計画に無いオーラシフターを要素として入れた時点で失敗するのは分かってたんですけどね。それでも今月中に完成させるのは不可能じゃなかったんですよ。
 問題は、後10章くらいで終わるってところで。」

じゅえる「今回何章書いた?」
釈「14章です。」
じゅえる「結構長いな。それプラス10章か。読む方がきついな。」
まゆ子「そうなんだ。それに今回書いた分もちょいと長くてね、これだけで95枚くらいは食ってるんですよ。」
じゅえる「戦略的撤退ってことだな。」

釈「しかし全体的に長くないですかね。」
まゆ子「そうなんだ、今日更新分で9巻は370枚だ。ちょっとー、やり過ぎた。」
じゅえる「ちょっとじゃねえな。プラス10章だから400枚突破だ。」
釈「ちょこっと賢くなかったですねー。どうしましょう。」

まゆ子「そこでどうしようかと考える。いや9巻はどうしようもないのは分かってるんだが、10巻だ。実の所あんまりネタが無い。」
じゅえる「ネタが無いというのはどういうことだ。」
まゆ子「9巻執筆前には突っ込むべきネタを50個ほど考えた上に、さらにオーラシフターを投入した。対して10巻で用意されているのは10個くらいだ。」
釈「思いっきりすかすかですね。」
じゅえる「いいんじゃないか。たまにはすかすかでサクッと終わらせても。」
まゆ子「いいのかな?」
じゅえる「何が悪い?」
釈「まあ。すぐ終わるのは別に問題ではありませんね。」

まゆ子「ちなみに第十巻「八月十五日」の大テーマは「セカイ系」だ。鳩保主演でセカイが攻めてくるような圧迫した緊張感に包まれています。」
じゅえる「まてまて、セカイ系てのは理解するが、世間様にいちゃもんを付けるという大テーマの機能が欠け落ちてるぞ。どうやって難癖つける。」
釈「そうですねえ、セカイ系ですから自分の思うとおりにならないのは世界が悪い世間が間違っている、てのがセカイ系たる由縁ですが、さすがにそれは頭が悪過ぎます。
 もうちょっと説得力のあるいちゃもんを考えてください。」

まゆ子「ふむ。セカイ系だけでは無理か。」
じゅえる「というか、セカイ系は十代前半の子供の持つ世界観の反映した物語だ。鳩保のメンタリティとはちょっと違うだろ。」
釈「鳩保さんは最初図太いという設定だったんですよね。今もクラス全員の女の敵ですし。」
まゆ子「ひょっとして鳩保はセカイ系に向いてない?」
釈「と言われても他の子が向いているとも思えません。」
じゅえる「だいたいセカイ系と正反対の物語だからな「ゲキロボ」は。超無敵ロボを手に入れたのにご近所でうろちょろしてるだけなんだし。」

まゆ子「鳩保は最近のキャラの出来具合から考えてセカイ系いけると思ったんだが、それは間違いなのか?」
じゅえる「やろうとしてやれば出来るだろうが、それがキャラクターの掘り下げに繋がるかは保証できない。」
まゆ子「うーむ、なるほど。確かにこれまで想定した第十巻の流れを考えても、鳩保成長しないな。」
釈「あ、成長しないといけないんですか。」
まゆ子「無理して成長する必要はないが、無駄じゃんそんなの書くの。成長はともかくなんらかの変化を生み出さない物語は、イヤだよ。」

じゅえる「よし! それだ。第十巻のテーマは「セカイ系からの脱出」というところで進めよう。とにかく変化を求めるのだ。」
まゆ子「ふむ、そういうスローガンの下に物語を描くのであれば、計画と少しずれる。そのズレが面白いんだ。」
釈「しかしセカイ系から脱出するとして、どうなりますか。現実に目覚めて合理的な大人になるのが良し、ということですか。」
じゅえる「それはまったくセカイ系から抜け出せていないな。或る意味子供時代に持つ万能感が破壊される過程こそが中二病というものであり、破壊された後に未だ大人社会に適応できないのを保障する為に高二病というのが発生するのだ。
 したがってセカイ系からの脱出は高二病経由ではなく大人社会に適応する、という話なのだが、ただの大人になるのは無理。」
釈「まあ、子供が背伸びするのと、子供のくせにこじんまりして世間に迎合するのは、同じ程度に笑えますからね。」

 

まゆ子「鳩保という女はどうやって大人になるのだろう?」
釈「そりゃー、おとこではないでしょうかね。」
じゅえる「間違いなく文句なく男だ。だがー、そういう性体験とかを描く気があるか?」
まゆ子「可能であればやってみたいところではあるが、鳩保にそれをさせるのはちと面白く無い。というか、それは普通すぎるだろ。」
釈「はあ、まあ。たしかに性的経験を積み重ねて大人になっていく、ていう物語も今更ですしねえ。」
じゅえる「陳腐でマンネリだが、だからこそ王道ではある。
 とはいえ、誰を相手に選ぶかはちょっと考えた方がいいぞ。今から新キャラを投入するか?」
まゆ子「やぶさかではない。とはいえだ、そこには確実にセカイ系要素を突っ込まなくちゃいけないんだ。なにせ「ゲキロボ」はSFであるのだから。」

釈「王子様でも出しますか。」
まゆ子「というかそれはもう設定されてある。鳩保の王子様は禍津美様の息子の香背男だ。名前だけ出ているし中米クレーター探索で絡んでいる。
 だから出すのは当然なのだが、彼が門代物辺村に来る理由が無い。」
じゅえる「来たらセックス三昧、てわけにもいかないだろうしな。」

釈「そもそもその二人はどういう関係なんですか。」
まゆ子「それほど深い関係じゃないんだ。母親が入院して不安定な生活を送っている最中での高校受験と中学卒業で、鳩保は糸が切れたような状態になりふらふらーとしていたら、たまたま物辺村にやってきた香背男に一目惚れしてべたべたとくっつきまくって一人だけ舞い上がってしまいましたとさ。」
じゅえる「それだけ?」
まゆ子「無論これ以上の関係を設定しても構わないのだが、鳩保は未だにぜんぜん落ち着いていないだろ。」
じゅえる「ふむ。」
釈「ちゃんと男が居れば、こうではないですよね?」
まゆ子「というわけさ。鳩保は舞い上がったが香背男からすれば子供に懐かれて困ったよ、てなもんだ。」

釈「でもそれじゃああまり面白くないですね。もうちょっと何か欲しいです。」
まゆ子「うーんそうだなー、じゃあ鳩保は処女を捨てるつもりで裸で抱きついた、くらいは入れておくか。」

じゅえる「鳩保は処女なのか?」
釈「そうでないような事を言ってたような気がしますが。」
まゆ子「そこはあまり深く設定すると底が浅くなるから、途中で設定をやめた。だがどうも処女っぽいな。」
じゅえる「どうしたものかなあ、中学校の先輩とかでさっさと経験してても別に問題はないのだが、」
釈「あまり深入りすると、今現在のキャラとずれてしまいますからねえ。さーて。」
まゆ子「なんとなく処女っぽいから、処女って事にしておくか。でもエロいことはやっている。」
じゅえる「まあ、そんなとこだな。裸で抱き合ったけれど結局してもらえなかった、このくらいか。」
釈「なんとも微妙なとこですねえ。」

まゆ子「あと鳩保は子供の頃から乳がでかいから痴漢慣れしてる、という特殊事情もあるのさ。まあ無論強姦とかはされてないんだけど、乳をいきなり触られるとかは日常茶飯事さ。」
じゅえる「93だっけ。」
釈「大きいですよねー。それは触られますよね。」
まゆ子「十分注意はしてるんだけどね。というか、痴漢に襲われるのも覚悟の上ででかい面してるのが鳩保だ。日常生活では突っ張ってるよ。」

じゅえる「ここはアレだな。むしろベタな設定の方がいけるな。

 たとえばだ、中学卒業のあたりでふらふらと不安定な精神状態にある鳩保芳子はどこか遊び歩いていて痴漢に襲われて処女膜のピンチ!
 そこに颯爽と現れた白馬の王子さま香背男に救われて、一目惚れ。まあそれ以前にもかっこいいお兄ちゃんだな、くらいの面識は有るとしよう。
 そこで香背男門代滞在中に鳩保はガンガンアタックを掛けて、遂には彼の車でデートまでこぎつける。
 で、処女を捨てるつもりで捨て身のアタックを掛けた結果、エロいことはしてもらえたが貫通には至らなかった。
 しかし鳩保はそれで満足して現状に至る。

 こんなもんでどうだ。」
まゆ子「はあ、ほんとに白馬の王子さまだねえ、そりゃ。」
釈「それならがつんと貫通されていても不自然ではありませんよ。いっその事やっちゃいますか。」
じゅえる「いや、そこでホントにやってたらもっと狂ったみたいになるんじゃないか。それこそ高校生活なんかやってられないほどの執着で、中米まで押しかけ女房しちゃうくらいに。」

まゆ子「うーむ。納得いかねえ。」
釈「男としてそこで寸止めするのはどうかと思いますが、物語の整合性から考えるとその程度なのですかねえ。」
まゆ子「納得いかねえ。」

じゅえる「じゃあいいよ、最初の痴漢に鳩保処女を散らされて、その後に香背男が白馬の王子様として現れて強姦魔撃退。これでどうだ!」
まゆ子「うーむ、まだそっちの方が論理的ではあるが、」
釈「ほとんどエロマンガ的展開ですがー、うーむ。」
じゅえる「というか、このシナリオだと鳩保重大な精神的ダメージだろやっぱ。やはり痴漢は未遂で終わっている。」
まゆ子「だろうね。」

釈「そもそも香背男という人は性格プロフィールどうなんです?」
まゆ子「ナッシング。」
じゅえる「まったく?」
まゆ子「物辺家の親戚であり、誰からも愛される禍津美さんの息子だけあっていい人だよ。それは間違いない。いい人だから鳩保に引っ掛かった。
 その当時の鳩保は目を離すと何処に行っちゃうか分からないほどのむちゃくちゃだからね。」

じゅえる「あーもうめんどくさいな。じゃあこうしよう。
 鳩保は車でデートに行った先で自分からセックスを持ちかけてエロいこと始める。しかし香背男がその気になった途端に怖くなって泣き出してしまうのだ。」

釈「へたれですねー。」
まゆ子「あーそのくらいだろう。押すのは強いが押されるのは弱いんだ。」
じゅえる「それですっかり乙女になってしまった鳩保は、その後ちゃんと高校生になって現在まで普通に暮らしている。
 だが結局処女は香背男の為にキープしている、という話。」
釈「まあ、そんな程度でいいでしょう。あんまりガンガンやってるのは「ゲキロボ」の空気に合いませんし。」
まゆ子「へたれの鳩保は現在のあいつのキャラクターだからなあ。それでいいや。」

じゅえる「じゃあそういうことで、鳩保は準処女!」
釈「妙な造語ですねえ。」

 

まゆ子「それでセカイ系は?」
じゅえる「あ。」
釈「すっかり忘れてました。」

 

2013/09/08

釈「さて、じゃあ始めますよ。」
じゅえる「つまり喜味子モテ期到来第三回八月六日の計画だ。」
まゆ子「いやスケジュール上、ここは八月七日まで入れてもらいたい。ガッといくガッと行きたい。」
釈「分かりました。じゃあガッといきましょう。」

釈「えーと、まず八月六日のエピソードスケジュールです。

 まず朝ラジオ体操。鳩保さんが自転車で門代地区宇宙人有志に昨夜の戦闘の状況を確かめに行きます。
 これは大被害ですよね。」
まゆ子「だがここではまだ軽傷だ。それに三年寝た子さんもまだ出てきていない。」
釈「寝た子さんは強いんですか?」
まゆ子「うん、だが強過ぎてサルボロイド星人も本気出してしまい、死人が出る被害になってしまう。」
じゅえる「ああ、そういう流れね。」
まゆ子「というわけで、サルボロイドは失踪し最終日九日の襲撃に鳩保達ゲキの少女達も出動するハメになってしまう。」
釈「はい。」

じゅえる「他の予定は。」
釈「鳩保さん、有志との協議の次は門代商店街に行ってお店改装の打ち合わせです。ほぼ完成しているけれど、細かい修正があります。
 そして帰り道鳩保さんは昨夜の戦闘現場を視察。警察が現場検証をしています。」
じゅえる「うん。そこ二つはさらっと長そう。」
釈「そうですね、ここにこだわると枚数ばかり取られますからね。」

まゆ子「というわけで、くっちゃりぼろけっとで決定したキャラの心情の変化を最初から計画しておくことになっています。
 鳩保はここで有志隊に大きく同情し心を痛めている。というのがイベントに従って動く心ですが、それだけではダメなんだよね?」
釈「はあ。それはまったくに普通ですから。」
じゅえる「打算とくに自分達の利害に関しての懸念は、だがイベントに従って当然発生する心の変化だから、特に設定する必要も無いか。

 だとすれば、ソレ以外の心の動きだ。鳩保は今何を望む?」
まゆ子「正直忙しくて目の前の事件を処理するだけで精一杯だ。特に六日は。」
釈「困りましたね、もうちょっと色気の有る動き方をしてもらえませんか。」
まゆ子「うーん、色気といえばアル・カネイ君がなかなか動きを見せないからね。鳩保が焦れていてもいい。しかし、今日ではない。」
じゅえる「それでいこう。カネイからメールが来てるんだよ。会って話がしたいって。この糞忙しい時に、鳩保それどころではないからデートのお誘いにも関わらず頭にくる。」
釈「ふむ、この時点での心情の変化としては、この程度でいいんじゃないですかね。」
まゆ子「しかもメールの内容がちょっと気に食わないものであった。とするか。甘いのか、それとも実務的なそっけないものか。」
じゅえる「どちらが腹が立つかな?」
釈「うーん、そっけない方が普通なら。しかしTPOを弁えずデートの申し込みはちょっとカチンと来ますね、この状況だと。」
まゆ子「それでいこう。しかもその内容が、誰かにもっと恋愛を進展させろと上の方から命じられたってのがバレバレなんだよ。」
じゅえる「ああ、それは腹が立つ。」
釈「OKですね。」

 

釈「物辺神社バイトです。今日は草壁美矩さんと後輩の美鳥ちゃんが登場です。でかいです。」
じゅえる「おう、江良美鳥がようやく出演か。」
釈「そうめんを10把食べます。饗子さん大損害です。」
まゆ子「そこらへんのサブキャラの心情変化は設定しなくていいよ。」

釈「そしてメインエベントの東京花憐ちゃんの対決。これは腹が立つ。」
じゅえる「鳩保は間に合っているのか、この段階で。」
まゆ子「うん、なにせ花憐ちゃんは随分と待ちぼうけを食らわされてるからね。その分優子の方が進展しているのだが、そちらはみのりがカバーしているという事で。」
釈「ということは、東京ディズニーランドですね。ここの警備も変更されているんですよね。」
まゆ子「違うんだ、ここは別口のCIAの息が掛かった連中の警備になっていて、変更させられなかったんだ。つまりスケジュール通りでまったく問題無い。」
じゅえる「アメリカの手先だからな。そりゃ当然だ。」
まゆ子「本番の会見の時は鳩保喜味子のダブルシフトで花憐ちゃんを応援している。みのりは優子担当であると同時に、万が一の場合はゲキロボ2号で東京まで飛んで行く準備を整えている。」

じゅえる「みのりの心情から考えよう。つまりまずは物部優子を見ているのだな。親子の姿を。」
まゆ子「ああ、そうか。みのりは両親共に居て幸せに暮らしているのだが、元はたらい舟に乗せられて海を漂っていた捨て子だったな。」
釈「なるほど。感情的にすこし揺れている方がいいですね。でも羨ましいとかではないですよ。」
まゆ子「じっさいみのりのご両親はいい人達だ。まったく問題はなく、不満を言うと罰が当たるほどの仲睦まじい親子生活を送っている。
あ、これは後のほうでずーっと出てくるんだけど、実はみのりのお母さんは妊娠しています。まだ自分でも気づいていませんが。」
じゅえる「ドバイ行きでみのりが居なかったからだな。」
釈「おお! それは伏線ですか。」
まゆ子「ざんねんながら、そうではない。スケジュール的に合わない。だが、みのりの心情として後で確実に変化をもたらすものですが、その時はもう物語終わってるのだな。」
じゅえる「伏伏線だな。」
釈「えーと、どのように心情を設定しましょうか。優子さんの姿を見れば幸せな感じですよね。基本。」
まゆ子「まあね。」
じゅえる「マイナスの感情はどこにも出ていない。それは確かだ。むしろ安心して、花憐の方に集中する。そう働くんじゃないか。」
まゆ子「ふーむ、さほど深くは踏み込まなくていいってことだな。」

釈「喜味子さんの心情設定です。どうしましょうか、喜味子さんはそもそもメンタル安定してますよね。」
まゆ子「こう言っちゃなんだが、キャラ作成の当初の目論見を超えて、良いキャラになってます。」
じゅえる「だがいいメンタルだと波瀾万丈のストーリーになれないぞ。ここは揺れるなにかを突っ込んでおく。」
釈「昨日会った蟠龍八郎太が心に残って落ち着かない、とか。」
まゆ子「喜味ちゃんは夢を見ない。」
じゅえる「うん。恋愛に関しては妄想を抱かないタイプだ。なにせ顔があれだし。」
釈「じゃあ喜味子さんは何を考えるでしょうか。」

じゅえる「というか、釈ちゃん。あんたクラスメートでしょ。呼び方は喜味子さんなのか児玉さんなのかきみちゃんなのか、どれなんだ。」
釈「あ、えーそうですねえ。親しいというよりは物辺村の人が騒動を起こすのが面白くて近づいているようなわけですから、えー。」
まゆ子「まあ軽い友達ってとこか。」
釈「はあ、たしかに私は誰とどのように友達関係を持ってるか、「ゲキロボ」ではなかなか見えませんね。」
じゅえる「こんど描いておこう。」
まゆ子「うむ。」

まゆ子「というわけで喜味子はメンタルが強い、動かない。しかしそれでは話にならん。まあ幻銃XM8が出現して狂喜乱舞するというのがあるが、」
じゅえる「東京管制中では何もないな。」
釈「ここはモニターされる対象の花憐さんの心情が揺れるというところで、喜味子さんは無しにします。」
まゆ子「ま、喜味子が活躍するのは次だしな。

 で、オーラシフターの子代さんが連れてきた仙獣と凸凹犬が対決して大勝利する。で、仙獣コノシロさんの胸に飛び込んで、怪我をしているから喜味ちゃんちで治療してやる。」
釈「動物の世話は得意なんですよね、喜味子さんは。」
じゅえる「飼うのも〆るのも大得意だ。でも仙獣って薬効くの?」
まゆ子「それが効くんだな。まあ実体化している時だけだけど。物理実体を持つ状態では薬もちゃんと効果あります。」
釈「ふむ。で、喜味子さんが治療してやると。この時も喜味子さんの心は揺れませんね。」
じゅえる「むしろ、オーラシフター側の心が揺れる。なにせ喜味子本人をぶち殺しに来たんだからな。」
まゆ子「そうだな。喜味子に直に接してみて、心が揺らぐ姿を描くのが正しいだろ。」

じゅえる「で、八月六日はこれで終了?」
まゆ子「そうだよ、この日はイベントは少ないんだ。都合4個だね。」
釈「八月七日も考えておきましょう。えーと、」

まゆ子「のっけから物辺祝子が帰ってくる。」
じゅえる「ああ。」
釈「ああ。どうしましょうか、心情の変化は。」
まゆ子「変化も何も、祝子の心情はイベントに追随する。これからは物辺神社の屋台骨として夫ともどもしっかりやっていきますとな。」
じゅえる「ふむ、というかその場に鳩保達は居ないだろ。」
まゆ子「そりゃ当然。というか、その前にご帰還を村民挙げてお祝いするよ。今夜はパーティだ。」
釈「大々的にですか?」
まゆ子「まあ、結婚式ほどではないがそれなりに。なにせ今日から鳶郎さんが本格始動だからね。ご領主様としての。」
釈「酒盛りですね。子供は関係なしですよ。」
じゅえる「そういう事にしておこう。子供は関係なしの大人だけの会合なんだ。」

まゆ子「まそれは置いといて、花憐と優子が東京の花憐家のマンションに移ります。明日八日には「彼野」の偉い人と会う予定です。」
じゅえる「なんか設定が必要か?」
まゆ子「別に、ただやっと羽を伸ばしてのびのび出来ます。なんせ自分ちだから。ちなみにここは今朝まで祝子達が使ってました。入れ替わりです。」
釈「二人だけですか。」
まゆ子「どうしよう。如月も一緒でいいか?」
じゅえる「うーん、それは如月が遠慮した、という形がいいんじゃないか。なにせ警備だから。」
まゆ子「そうだな。じゃあ二人だけで、あと買い物に行く必要があるからその時は一緒だな。」
釈「はい。」

まゆ子「そして祝子が喜味子の所にやってきて、ゲキの力を見せろと言う。仕方なしに「スーパー地味子大戦」のキャラを実体化してお使いに行かせたら、一般人オーラシフターに見られちゃった。」
じゅえる「ま、そこはいいさ。」

まゆ子「その夜。やはり宇宙ラヂヲを聞いていた鳩保、宇宙人有志隊とは別に、物辺島近辺の異変を察知。村を出て迎撃しようとすると、影の声に止められる。
 鳶郎配下の忍者がこれは自分達の領分であるから手を出さないでほしいと懇願する。」
釈「喜味子さんとみのりさんはどうしてますか、その時。」
まゆ子「みのりはもう寝てる。喜味子は任せるという。というか、今晩は物辺村で夜っぴて宴会してるのだから、こっちを守る方が重要だろ。だから、二手に別れたわけだ。
 みのりは予備兵力として取っておこうという寸法、だから寝かせておく。」
じゅえる「ま、夜は眠いしね。」

まゆ子「実は翌日八月八日は喜味子は嫁子のお供で百合同人誌即売会に行く。だがその前に、早朝鳶郎に叩き起こされて、マカロンさんの治療をやっているのだ。眠いぞ。」
釈「喜味子さんはたいへんです。」
じゅえる「実際喜味子はどうしたら心が動くんだ?」

まゆ子「ああそれは簡単、勉強が出来ないことで落ち込むぞ。ばかだから。」
釈「そういえば全教科赤点取ってましたね。あの時落ち込んだんですか。」
じゅえる「いやあれはさすがに赤点を取ってしまう理由があったから、もうどうしようもないなーという諦観で。
 でも最近は色んな物を発明する博士的存在じゃないか。それでも頭は悪いんだ。」
まゆ子「機械物を見るとびびっと反応するんだけど、学校の勉強になったらこれがまたまったくダメなんだ。科学の選択は喜味子は生物取っているんだが、これが物理で電気の問題とか出てきても、やっぱりダメなんだ。」
釈「ゲキロボの補正が掛からないってことですか、学校の教科に関しては。」
まゆ子「まったく!」
じゅえる「そりゃかなりつらいな。」
釈「でも今は嫁子さんと図書館で勉強してますよね。」
まゆ子「いや、いま忙しいから。」
釈「だめかー。」

じゅえる「つまり喜味子がうろたえるのは頭いい人と接触した時、ってことか。」
まゆ子「いやいや、実はそれは慣れてるんだ。鳩保優子花憐は勉強殊の外よく出来るし、祝子さんとかはバケモノだし。とにかく偉い人は慣れてるからそれでは動じない。
 まあ、自分自身が頭のいいところを見せねばならない状況に追い込まれたら、さすがにパニックになるな。」

釈「その点みのりさんはパニックになる状況はかなり確定してますね。」
じゅえる「大人と出食わして表向きの正式な話を持ちかけられた時、だな。パニクって鳩保とか喜味子に泣きついてくる。」
まゆ子「みのり本人もそれを自覚してなんとかしっかりした一人前の大人の女性になろうと努力しています。
 ただこの演出はイベント依存が強いから、他のベクトルでの心の動きを考えなくちゃいかん。」

釈「恋しないんですか。」
じゅえる「小学生相手じゃな。というか、みのりはどんな男が好みなんだ。」
まゆ子「おとうさんみたいなひと。」

釈「ああー。」
じゅえる「あー。」

 

2013/09/01

まゆ子「というわけで、長いかな?」

釈「あー『ゲキロボ』第九巻「喜味子モテ期到来」第二回「モテ期到来」一応出来たわけです。」
じゅえる「八月三十一日。月末に更新、に復帰出来たぞ勝利!」
釈「勝利!」

まゆ子「というわけで考えている。やはり長い。」
じゅえる「前回の話の蒸し返しか。」
まゆ子「いやまた別の話で、今回少々短くして1ページ小説としての本分を弁えて文章量を減らしてみたのです。で、それなりに上手く行ってちょっと書くのが楽だった。」

じゅえる「じゃあなんだよ。」
まゆ子「いや今日完成分で427章、こいつは長い。」
釈「長いですね。」
まゆ子「にも関わらず”人間”が書けているか、と問えばちょっとあんまり威張れない。」
じゅえる「ラノベに人間も人生も有るもんか。」
釈「夢見ちゃダメですよ、だいたい宇宙人SFに人間描写なんか必要まったくありません。」

まゆ子「いやいや、それはそれで哀しいものが有る。それにラノベだってキャラクターはだんだんと成長していくもんだ。」
じゅえる「馬鹿話の中で成長しても、だからどうしたという話にしかならんぞ。」
まゆ子「だからさー、

 簡単に言うと、前に一回しっぱいしているんだよ。『WENDYS the BASEBALL BANDITS』で。
 話を書いてキャラクターを成長させていく内にキャラが凄く成り過ぎて、失敗できない試行錯誤しない、完璧に完成された存在に成り上がってしまったんだ。
 ウエンディズが以後描かれないのはそれが理由だ。」

じゅえる「ま、あたしら登場人物だし、それ知ってるんだけどね。」
釈「あれは失敗でしたよねー。やり過ぎて敵が描写できなくなって、遂には弥生ちゃんきゃぷてんを異世界に送って怪獣怪人と対決させるハメになったわけですから。」
まゆ子「そうだよ。『げばると処女』は超強力になり過ぎてキャラを持て余したが故の企画だよ。
 だから弥生ちゃんは、十二神方台系で救世主として頑張っても、ビタ1_も成長しないんだ。必要が無いからだ。」

じゅえる「んな事はあたしら知ってるんだが、で『ゲキロボ』だ。でも鳩保達成長してるよね。」
釈「ええ、着々と。これまでみのり回花憐回優子回と続けてきて、今度は喜味子回です。この第九巻で喜味子が成長する段取りです。第十巻は鳩保回です。」
まゆ子「それはいい、それは計画通りだ。
 実際『ゲキロボ』ではキャラの成長に関して極めて厳重なスケジュール管理が行われている。
 枚数こそ多いが、エピソード消化率つまり劇中時間経過に従って徐々に成長していく計算で、最終回に最高に到達した後にどんでんする予定だ。」

じゅえる「かんぺきだね。」
釈「修正の必要なしですよ。」
まゆ子「そこが問題だ。キャラが成長しないのはいい。だが人物が描けないのはいかがなものか。しかもこれだけの枚数を費やして、だ。」

じゅえる「人間、書けてないかな?」
釈「あー、なんと言いますかねー、書く気がないと考えた方がいいですね。つまりキャラの内面ではなく外面、エピソードの描写を通じてキャラクターを浮き彫りにしていく構造になっていますから。
 キャラ自体を直接描写する努力をしていない、と指摘されたら、そりゃそうだと答えるしかありません。」
じゅえる「でもその構造を取っている限り、いつまで書いても人間て描けないでしょ。」
釈「描けませんね。」
まゆ子「描けないんだよ。ここまで来てようやくそれを理解した。
 書いてりゃその内なんとかなるだろー、という目論見は、あっさりと現実の前にひれ伏したのだ。」

じゅえる「まぬけだねえ。」
釈「お間抜けですねえ。でもそこがまゆちゃん先輩のいいところですよ。だってこれラノベですから、成長するキャラとか深い人間性とかはご遠慮しているのです。」
まゆ子「ラノベだからね。」
じゅえる「問題ないぞ。」

まゆ子「だが、これだけの枚数の分量を鑑みるに、ちょっと無駄が多過ぎると思うわけだ。最近は。」
じゅえる「ふむふむ、だがアテは有るのか?」
釈「そうですねー、人間を書くと言っても私小説的にぐだぐだと内面を描くのは、まったくもって手法的に外れているし、執筆者自身の嗜好からもはるか遠く外れてます。
 出来ません。」
まゆ子「できないよ。実際。」

釈「となれば、エピソードにキャラクターの人間性が、秘めたる人間の本質が露わになるような仕掛け、イベントを用意しないといけません。
 それも枚数をけちるつもりなら、次から次にわんこそばみたいに心を抉るクドいイベントを叩きつけて、キャラクターをどん底に追い込まねばなりません。」
じゅえる「それも定番の王道だなあ。異常事態に陥れば、キャラクターの人間性は露呈し、人間関係は崩壊し、より高度なバランスで互いに成長していく姿が見れるという塩梅だ。」
釈「だがそれは、正直食傷しております。刺激が強ければいい、なんてのは物語中毒患者、感傷中毒患者の台詞です。
 だいいちそんなもの書いても、ああ面白かった/つまんなかった、で終了です。」

まゆ子「そうなんだよ、実際そういうお話は世の中に山と積まれていて、わざわざ書こうとは思わないんだ。第一私SFだし。」
釈「SF畑の人はそいうの嫌いですからね。」
じゅえる「というか、SFで人間なんか書くのは筋違いだろ、売り物が違う。」
まゆ子「まあ、ね。」
釈「つまりまゆちゃん先輩は本来自分がやってはいけないものをやりたいと、また無茶を申されているわけです。」

 

じゅえる「困ったもんだ。」
釈「とはいえ、『ゲキロボ』は純粋なSFでもないですからね。本質はサザエさん時空のような、のんべんだらりと流れていく日常生活の気の抜けた描写ですから。萌え四コマ漫画とほとんど変わりません。」

まゆ子「だめかな?」
釈「いえ、ですが、このままのんべんだらりと描き続けて行くつもりなら、現状以上のものは絶対出てこないってのは保証します。鉄板です。」
じゅえる「というかエピソードは山と用意してるのに、そういうキャラ内面に直接クるイベントは少ないんだな。」
まゆ子「だってつまんないもん。」
釈「ほら。」
じゅえる「だねえ。」

まゆ子「というわけで、なんとかして。」

釈「どうしたもんでしょうか、じゅえる先輩。こいつは鉄拳制裁が必要ではないでしょうか。」
じゅえる「待て待てまて。釈ちゃん、あんたの言いたいことはよく分かるが、それはそれで一面的な見方ではないだろうかね。」
釈「どこらへんでしょうか。イベントをてんこ盛りにする、ってところですか?」

じゅえる「いや、まゆ子が言ってるのは「人間が描きたい」「人物が描きたい」だ。」
釈「その為に必要なのが、心抉るイベントです。」
じゅえる「普通正常な手法はそうだ。だが、だよ。イベント無ければそれは描けないものだろうか? いやイベントを描けばそれは描けるものだろうか?」

釈「え?」

じゅえる「つまり、心抉る感傷的なドラマちっくなイベントにキャラを放り込めば、人間性が垣間見れる。人生の真実が露呈する。
 これは、希望的観測ではないだろうか。」
釈「きぼうてきかんそく……。」

まゆ子「ああー、それは私もそう思うぞ。つまり駄イベントだな。混乱ばかり起こして人の心をかき乱して、でも終わっても何にも起きていない、心の成長にまったく繋がらない。
 書くだけ無駄な小説、だな?」
じゅえる「世の中商業レベルの作品でも、そんなのなんぼでも有るんだよ。
 なるほど確かにそれは王道の手法だろう。だが王道は、誰でもが歩けるわけではない。特別に優れた人のみが歩けるから、王道と呼ばれるのだ。」

釈「ふむ。まあ、世間一般の小説はそんなものですかね。賞をもらうくらいの作品でないと、駄イベントをなんとかクリアしているってだけっですか。」
まゆ子「というか、駄イベントをクリアするだけのお話にどれほど血道を上げてるか。もうちょっと本質的なものに食い込んで中枢を抉りなさいよ、と言いたくなる。」
じゅえる「そういう本物は、さらっと読み流すには向いてないからね。」

釈「でも世間に多数居る作家さんが皆陥る罠を、どうやってクリアしますかね。」
じゅえる「簡単な話だ。イベント無しで人間性を描く、人生の真実を描けばいい。」
釈「え?」
まゆ子「私小説?」
じゅえる「いやいや、必要なのは変化だ。イベントじゃない。ただイベントを設定すれば、どんな風にキャラが転がっていくか見えるから、イベント設定する。
 しかし必要なのは、キャラが転がる成長することであり、イベントそのものではない。」
釈「まあ、確かにそうですが、それを現実のモノとして形を与えるのに、イベント投入という手法を用いるんです。」

じゅえる「でもさ、そのイベントを通過中あるいは通過後にどのようにキャラが変わるかは、設定してないよね?」
釈「え?」
まゆ子「書いてる最中に考えるんじゃないかな、そういうのは。事前にどうこうなる、って設定しておいてもキャラクターというのは勝手に動き出して喋り出すものだし。
 それが物語、小説を書く醍醐味ってものだろ。」
釈「因が有って果が有る。イベントがあるから心も動く。ただー、確かにどういう風に心が動くか、はあまり考えませんか。」
まゆ子「むしろ、異常だろう。計算通りに心が動くキャラというのは。」

じゅえる「しかし、最短距離だ。」
まゆ子「うーむ。」
釈「なるほど。枚数ケチろうか、って考える時には、最短距離は考慮に値しますね。」

じゅえる「いやまあ大体、惚れた腫れたを描く時は一応はどの程度好きになるかはスケジュールを設定しておくもんだ。
 ただ、それはー味気ない作品が出来る国道みたいなもので、計算通りに行かないからこそ面白い、読者様の意表を衝くわけだな。
 恋愛とか憎悪とか、一方向のみでの心の動きの設定は百害あって一利なし、と思うぞ。」

まゆ子「だが私が欲するのはトータルな人間描写、全方位での人間性の描写だよ。」
釈「設定を考える方が書くよりよほど難しいですよ、それは。」
じゅえる「出来ないかな?」

まゆ子「できない、と言われるとやりたくなる。」

じゅえる「お前はそういう奴だ。」
釈「へそ曲がりですからねえ。」

まゆ子「うむ。なるほど、エピソード・イベントをスケジュールしていく中に、心理描写の変化とかも同時に設定しておく。なるほどね、」
釈「でもイベントと連動していない場合、場違いな心理変化をしてしまう可能性が高くなりますよ。それはいいんですか?」
じゅえる「いや、因果関係の無い心理の一見出鱈目な動き、こそが人間の人間たる由縁だろ。」
まゆ子「計算されたイレギュラー、って奴だな。」

釈「ということはつまり、キャラクター、登場人物達がそれぞれ、お芝居を完成させる意志を持たない。協調性が無い、ってことですか。」
まゆ子「イベントに全キャラが同調していないんだから、ばらばらに動くし考えるだろな。」
じゅえる「整った一幕を作ろうとは思わない。ま、リアルの人間はそれが当たり前だ。」
まゆ子「他人が何考えてるか分からないから、日常生活というものが複雑怪奇な実相を見せる。
 考えてみれば当たり前だが、物語はそういう風には作れない。物語の限界だ。」

じゅえる「物語は違和感なく著者の意思どおりに整って進むのが当然。意図してばらばらにするバカは居ないからな。」
まゆ子「だが整った物語という概念自体が、リアルと相容れない。」
釈「現実は一編の物語では有りませんから。」

 

まゆ子「ふむ。試してみるか。」

 

2013/08/12

まゆ子「というわけでゲキロボ第九巻『喜味子モテ期到来』が始まったわけですがー、ちょっと長い?」

釈「何がですか?」
まゆ子「いや、全体的に。」
じゅえる「そリャ長いだろ。、もう9巻だ。」
まゆ子「ダメかな?」

釈「あー、えーとー、長いが悪いという根拠は?」
まゆ子「いや、展開が鈍いとかオチとかヤマが無いとか。」
釈「オチもヤマも有りますが?」

じゅえる「あーとにかくひとまとまりの物語を描くという観点からすれば、長過ぎると言えなくもない。まだ先は長いし。
 でもそれは承知で始めたんじゃないのか?」
まゆ子「計画から言うと、もう終わってるはず。」
釈「予告にもそう書いてましたね。7巻が終わる所で。なるほど、確かにちょっと長いですね。」

まゆ子「いや本屋でさ、色々とラノベとか小説とか見てみたらさ、そりゃラノベは長いんだよ。しかし普通小説はだいたい1巻で形が付いている。」
じゅえる「でもラノベじゃん、ゲキロボ。」
まゆ子「そうなんだよなー。」
釈「普通小説を書きたくなりましたか。」
まゆ子「というか、ちょっと生産効率が悪いかなと。必要なのは枚数であろうか、作品数であろうか。これはちょっと考えるところだ。
 というか、ゲキロボが長いからこれまで考えたシリーズの設定が実現していないわけだしさ。」

じゅえる「ゲキロボ描くのがスランプとかか?」
まゆ子「いや全然。しかし今回掲載分はまたしても1日の物語に80枚も必要となってしまった。もちろん必要な描写であるのに、だがなんか割にあわない。」
釈「うーむ、第九巻「喜味子モテ期到来」が通常通りに300枚前後になるとしたら、初日に80枚はやり過ぎましたね。」
まゆ子「せめて60枚に切ればよかったかと後悔してる。しかしシーン数は、つまり1画面小説的章数はこれでいいんだよ。」

じゅえる「あーわかった。前から気になっていたんだが、最近1章が1画面になってないぞ。長い時は2画面以上の長さだ。」
釈「あー私もそう思ってました。枚数計算やりにくいなーと。」
まゆ子「やっぱそこかあ。1画面5,6枚見当で書いてるのに、今回10章で80枚だからなー。」
釈「計算違いですよ、やっぱ。」

じゅえる「なるほどな。つまり1画面とは1シーンを意味しており、シーン数と枚数の間にギャップが生じて、変な感じになったんだ。」
釈「そうか。それは修正の必要がありますね。」
まゆ子「やっぱ自分に厳しく枚数制限を課すべきでだろうか。それとも必要な描写量として許容すべきだろうか。」
じゅえる「お好きなように、としか言い様がないな。」
釈「うーん、それはシーン設計の段階での失敗ですからねえ。もう少し事前に計画をちゃんと立てるべきでしょう。」

まゆ子「ああ、そりゃ王道だ。ところでさ、次の更新分の計画だけど、新キャラが突如として発生してまたシーン数が計画より増えた。」
じゅえる「増えた?」
釈「何故です?」
まゆ子「ディテールの問題ですが、おそらく次も80枚程度になるはず。」
釈「つまり、余計なことをまたやっちまったわけですね?」
まゆ子「やっちまったぜい。というか、今回やっちまった尻ぬぐいだ。

 実はさ、オーラシフターの喜須悟と棟木曼助、それに平芽カレイさん。この三人は本来もうちょっと控えめに出るはずだったのが、かなりクローズアップしてしまった。」
釈「はあ。まさかこの段階で正体バレバレとは思いませんでしたよ。」
じゅえる「唐突、とは思わないぞ。むしろこの書き方は新レギュラー登場的な感触がある。王道的な導入ではないかい。」

まゆ子「そこまで描く気はなかった。しかし書いちまった、どうしよう!」
釈「えー、これ計算じゃないんですか!」
じゅえる「ちょっと待て、これ計算通りじゃないのか?」

まゆ子「枚数計算の問題です。オーラシフター登場と門代宇宙人有志の戦いと物辺島正義少女ののほほんとした日常を描くと、300枚では到底収まらない計算です。」
釈「しまった。最近は設定の相談無しでもぽんぽん書けてるから大丈夫なのかと思ったら、構造欠陥の出たとこ勝負やってやがった。なんてこったい!」
じゅえる「そりゃあれだけ熱心に考えたオーラシフター設定を十分に表現しようと思えば、そりゃ枚数食うわな。書いちゃいけないな。」

まゆ子「どうしよう?」

釈「どうしようも何も、書いたからには決着つけないといけないでしょ。」
じゅえる「そもそも「喜味子モテ期到来」だ。オーラシフターに喜味子がモテモテでないといかんのだろ。」
まゆ子「それを書いてしまうと収拾がつかなくなるという計算だ。そもそもがオーラシフターはまだキャラというか構成が固まっていないから、モブキャラ以上の扱いをするべきではない。
 にも関わらず、必要なだけのディテールを与えると勝手に枚数を食いだして、」
釈「うう、どうしたものか。」

じゅえる「今からじゃオーラシフターは抜けないのか?」
まゆ子「おそらくは、最終的な喜味子モテシーンを描かない限りはお話自体が崩壊する。こいつはまだ枚数計算に入れてないのだが、というか計算からわざと除外しているのだが、入れると大爆発級の結末に。」
じゅえる「あー、どうしたものか。」
釈「そもそもオーラシフターはどの程度ゲキロボに関与するのですか?」
まゆ子「考えてない。いや、ほとんど関与しない。その予定は無い。」
釈「つまりオーラシフターはこの巻しか出ないわけですね。」
じゅえる「つまり、ここで手を抜くと、オーラシフター自体の設定が死ぬってことか。」

まゆ子「逃げることが出来んぞ。でも第十巻「八月十五日」にはほんとうにオーラシフターは出ない。いや、出してはいけない。」
じゅえる「第十一巻はどうだ?」
まゆ子「サルボロイド退治だ。オーラシフターの太刀打ち出来る相手ではない。
 第十二巻「美々世再び死す」は不思議空間話だ。出る必要はないが、出ても問題はない。
 第十三巻「ウルトラ級巨大怪獣襲来」は洋上で巨大兵器同士の大戦争だ。超能力者なんか要らねえぞ。
 第十四巻「最終宇宙戦争」はそもそもが宇宙戦争であって、地球上では意味が無い。

じゅえる「ほんとうにオーラシフターは考えてないんだねえ。」
まゆ子「だがここにあと1つ、狼男とかクレーター地下世界を織り込む、また物辺贄子を描き込む作業が必要だ。
 ほんとうにオーラシフターはかんがえてないのだ。なにせ最新の設定だから。」

 

釈「じゃあほんとに、どうする気なんですか。

まゆ子「そこだ。この間のくっちゃりで、巻ごとに小テーマを作るって事になっただろ。」
釈「はい。第八巻「我関せず」はタイトルどおりに隠れたヒーローというテーマでした。第九巻はなんですか?」
じゅえる「まだ決めてなかったな。何だ。」

まゆ子「うん、「そんなぐちゃぐちゃした事こんなクソ暑いのに考えられるか」がテーマだ。」

じゅえる「は?」
まゆ子「クソ暑いから、細かいところどーでもよくなったのだ。第一この巻は八月四日から八月十日までの出来事をつらつらと並べていく構成だ。
 細かいのがずらずらと遠慮無く押し寄せてくる日常を、そんなまじめに付き合ってられるか! てのがテーマになる。」
釈「なんか不健康な話ですね。」
まゆ子「だが現実世界においても、細かいことがずらずらと並ぶ毎日だと、そんな計画的にやってられない。ただただ日常に忙殺されるってものでしょう。
 今回のテーマはつまり「忙殺」だ。「貧乏暇なし」、考えるより早く日常が進行していく心の余裕を無くしていくてのがテーマになる。
 それが第十巻「八月十五日」の、ぽっかりと穴の空いた倦怠、に繋がるんだよ。」

じゅえる「考えるのが嫌な割には、考えているんだな先の事。」
まゆ子「つまりこの巻はとにかく忙しいんだ。だが枚数が増えるとその分水増しされて忙しいようには思えなくなる。ただ単に長い巻になってしまう。」
釈「そうか、ちょっと圧縮しないと気分が伝わらないんですか。」
じゅえる「なるほど、尋常のスピードではない事を表現する為の手法としての枚数圧縮か。

 よし、じゃあ正式にこの巻のテーマは「忙殺」だ。」

 

2013/07/08

まゆ子「あつ〜」
釈「暑いですねえ、さすが夏ですねえ。」
じゅえる「まだ梅雨だよ、なんだよこの暑さ。熱風が立ち込めているぜ。」

まゆ子「まあとりあえずは、『ゲキロボ☆彡』第八巻「我関せず」、物辺優子東京に行く終了です。」
釈「いえーぃ」
じゅえる「ふーん、まあいいんじゃないかな。」
まゆ子「今回は4ヶ月掛けて1巻書く計算でしたから、バッチリです。原稿用紙換算でも350枚、5月は忙しくて書けなかったのを勘定に入れても悪くないぞ。」
釈「欲を言うならば、3月で300枚書きたいところですね。」
じゅえる「うん。」

まゆ子「まあそこは早ければ上手く書けるものでもないから。そんな暇が有れば別の小説を書くさ。」
釈「こう言っちゃなんですが、適切な速度というものが有るんですよね、物語には。」
じゅえる「言い訳がましいと聞こえなくもないが、だってネタを考える時間てのが絶対必要なわけだよ。急げばろくでもないネタを突っ込まざるをえない。」

まゆ子「というわけで、春先に考えたネタを消費し尽くしたのが、七月七日七夕現在なのです。
 さあ考えろ。」

釈「つまり仕込みの時間ですね。第九巻「喜味子モテ期到来」の。」
まゆ子「ところがだ、実は第九巻は第八巻「我関せず」の門代パートの解消に使わなければならないのさ。サルボロイド星人退治だよ。」
じゅえる「まあ基本的にスケジュールに無理が有ったわけだ。どう考えても「物辺優子東京に行く」は相当の枚数を消費するのは分かりきっていたのだから。」
釈「まあ、そりゃそうですよ。」

まゆ子「実はさ、私今、すごく第十巻「八月十五日」を書きたい気分!」
釈「うああああ、第九巻既に見捨てられているー。」
まゆ子「だってさ、セカイ系だよ第十巻。鳩保主人公で不思議現実世界をさまようのだよ。これは面白い。」
じゅえる「言わんとすることは分かるが、困る。」
釈「そうですよお、まずは九巻から片付けていってください。」

 

まゆ子「まず基本的な設計を言うと、第十巻「八月十五日」は冒頭が「八月十日」なのだ。」
釈「第八巻冒頭は「八月十一日」ですからね。」

まゆ子「うん。つまりその1日前の日曜日だ。2日前の土曜日にはサルボロイド星人がピルマルレレコと接触して捕食され大破している。だが後で再生するんだけどね。」
じゅえる「十日には何が有るんだ。」
まゆ子「演劇部の公演です。お芝居をやってます。」
釈「ああ、そういう話も有りましたね。その日になるんですか。」

まゆ子「というわけで優子と花憐は九日に門代物辺村に帰ってきます。新幹線で。」
じゅえる「いいのか? 大戦闘の真っ最中だろ。」
まゆ子「そこは考える。だが、途中で新幹線が停電でストップして振替輸送のバスで帰ってくる、とかも面白いな。」
釈「えーそんな事有るんですかね?」

まゆ子「前に新幹線のトンネルの天井が剥落してコンクリが落下して、新幹線全面ストップした事がある。うちのお母さんはそれで大阪行きをキャンセルせざるを得なかったて経験が有るのさ。」
じゅえる「ふむ。じゃあサルボロイド大暴れの結果大規模に停電して、全線不通も有り得るか。」

釈「じゃあ、雨降らせましょう。門代は大雨で、しかも山には隕石まで降ってきます。その影響で大規模停電、新幹線までもが止まる大事故ですよ。」
まゆ子「ふむ、悪くない。悪くないが、そこまで描く余裕があるかどうかは、ちょっと計算しないとな。」

じゅえる「で命からがら家に辿り着いた物辺優子は、翌日律儀にも演劇部の公演に立ち会うわけだな。」
まゆ子「第十巻冒頭はそのシーンです。しかしながら、物辺優子がこの巻に出るのはこれで終わりです。だから、或る意味至極印象的な描写が為されます。」
釈「ふむ、演出上の必然なわけですね。」

まゆ子「そして最後に十七日の花火大会で突如優子出現。これで巻を終えます。」

 

じゅえる「第十巻を書きたいのは分かった。なるほどそれは面白い。だから九巻に集中しろ。」

まゆ子「へい。そりゃあいいんですけどね、つまり八月四日に優子花憐を東京に送り出した朝から物語は始まり、八月九日深夜にほうほうの体で優子花憐が門代に帰ってくるまでのお話です。」
釈「やっぱり、新幹線途中停車ですか。」
まゆ子「うむ。考えた結果、サルボロイドが破壊された際に、かなり大きくジャンプして門代からまったくに離れた新幹線の線路付近にまで影響を与えるほど遠くに行った。てことにしよう。
 やはり優子花憐がぼろぼろになって帰るのは良いオチだ。」
じゅえる「そりゃまあ、オチとしては申し分無いけどね。」

釈「八月四日、五日、六日、七日、八日、九日。6日間のお話ですね。」

まゆ子「その内優子花憐が六日までは消費してくれている。そして残り3日間でも東京でなにかをやっている。具体的に言うと、NWOのアンシエント「彼野」の幹部と会っているんだ。」
じゅえる「続き、書くんだ。東京編。」
まゆ子「その対面だけね。まあまったくに縁の無い話ではない。つまりオーラシフターの元締めであるところの『寶』の爺様達に会ってくるんだ。未来を作る人材を育成する責任者達とね。」
釈「はあ、それは大変ですね。オーラシフターをさっさとなんとかしないといけません。」

まゆ子「そこでまずは考えねばならないのは、オーラシフターは何処に出現するかのスケジュールだ。
 ちなみに八月八日は喜味子が嫁子と百合同人即売会に行きます。これは既に動かせない決定事項です。これはかなり重要なイベントです。
 何故ならば、ここで優子は同人ソフト「戦列歩兵少女地味子」を買ってくるからです。」

釈「おお!」
じゅえる「そうか、地味子出現イベントが存在したんだな。八日に買ってくるとしたら、九日にゲーム機から出現か。」
まゆ子「このイベント、祝子さんが主役ですから、この時はもう祝子さんは物辺村に帰ってます。
 まあ六日までは東京に居るのが確定していますから、帰還は七日ですかね。」

じゅえる「『寶』の爺様との対面は何時だ?」
まゆ子「えーとこのスケジュールから勘案して、八日だね。七日はホテルを出て城ヶ崎家の持ち家であるマンションに移って祝子さんと鳶郎を門代に送り返します。」
釈「城ヶ崎家のマンションてのが東京に有るんですね?」
まゆ子「資産としてね。普段は誰も住んでいないが、東京に用事が出来た時に使うし、物辺家の連中もしばしば用いる。祝子さんは何度も使用しているという事にしよう。」

じゅえる「つまり祝子鳶郎は八月七日に帰ってくるんだ。」
まゆ子「夜ですね。ただ昼間に物辺家で恐ろしい出来事が起きます。クビ子さんが主役です。」
釈「なにをやらかしますか。」
まゆ子「内緒です。」
じゅえる「またカルピスでも飲むんだろ。」
まゆ子「実はこれは伏線になっており、地味子イベントと密接に連動します。」

 

釈「喜味子が忙しいのは分かりました。で他の二人鳩保とみのりはどうしますか。」
まゆ子「みのりの出番は基本的に最終九日のサルボロイド決戦までありません。スイカ盗りのイベント準備で忙しいはずですが、そんなものまで描写する気は有りません。
 いや、むしろみのりちゃんは一生懸命働いているという事で、鳩保喜味子が面倒な話を全部引き受ける事となっている。」

じゅえる「なにか不思議イベントは無しか。」
まゆ子「それが有るから大問題なんだよ。この時期はつまりオーラシフター共が物辺村にちょこちょこと顔を出しているはずなんだ。
 それに対処するのは村に留まっている人間、喜味子とみのりだ。鳩保は自転車に乗ってぽっぽーと遊び回っている。

 というか、この自転車イベントがまた発生するのさ。鳩保が喜味子から自転車を安値で譲ってもらうイベント発生だ。」
釈「それは重要な話ですか?」
まゆ子「きわめて重要だ。なにせカネが掛かってるからな。ここは伏線の絡みが有るんだ。」
じゅえる「カネが無いからバイトする、って話だな。」

まゆ子「実は鳩保既に手を打っている。もちろんほんとはバイト代が目的では無かったのだが、鳩保がメイドカフェを作っちゃうのだ。」
釈「え?」
じゅえる「初耳だぞそれ。」
まゆ子「いや、そりゃそうだろまだ書いてないもん。

 話は簡単、門代開港祭りで使用した拷問部屋、アレを改装してメイド喫茶にしてしまうんだ。もちろん費用はヤクザからちょろまかしている。
 で店舗を改装して喫茶店にして、ここを門代地区パニックセンターにするんだよ。
 なにか大きな問題が起こった場合、ここに逃げ込めば大丈夫という風に作っている。更にゲキロボ二号によるテレポーテーションセンターでもある。
 ゲキについての知り合いがここに逃げてきて、電話をすればぽんと物辺村に転送されるという寸法さ。

 ちなみにこの改装した喫茶店の裏数十メートルのところにある一階店舗のアパートに、縁毒戸美々世が住んでます。」

じゅえる「ふむ、でそのメイド喫茶ではバイト代稼げないんだ。」
まゆ子「門代高校バイト禁止です。」
釈「あーそれはー仕方有りませんねえー。」

まゆ子「というわけで、鳩保はここの経営を、無理して店開かなくてもいいんだけどね。経営の事でちょいと頭を痛めているのだ。」
釈「鳩保が経営するんですか?」
まゆ子「未定だが、たぶん違うようになるな。でもここは店舗をちゃんと設定しておかないと、第十巻「八月十五日」で使えないのだ。」
じゅえる「重要なポイントなわけだ。」

まゆ子「これはまだ未定だが、狼男が攻めてくるとすれば物辺村でなくて此処を使った方が面白くなる。ただ狼男をどう決着つけるか、まだ考えてないんだよねえ。
 というかさ、このメイド喫茶は猫男ジョシュア・ガリクソン再登場の舞台として用意されている。」
じゅえる「あいつ、ここで拷問されたんだしな。」
釈「ああ、なるほど。やっと合点が行きました。猫男再登場の舞台を用意しておかねばならないわけですね。」
じゅえる「そういう計画が有るのなら、なるほど支持しないわけにはいかないな。猫男、大いに結構。出番を作ってやろう。」
まゆ子「そういうことなのさ。」

 

じゅえる「鳩保も忙しいのは分かった。しかし肝心のサルボロイド星人退治はどうなんだ?」
まゆ子「いや、基本的にゲキの少女は関与しない。ただ報告を受けるだけだ。
 ただー、最初は威勢の良い事を言っていた門代地区有志後一同様が、だんだんと旗色悪くなってきて負傷者犠牲者続出で、で見てられないからゲキ正義少女出動だー!
 てのが、八月九日の夕方の戦闘となる。」

釈「では宇宙人同士の戦闘はほとんど描写しない?」
まゆ子「しない。その点に関してはまったくに計画通りだ。この巻では宇宙人は宇宙人だけでよろしくやってます。」

じゅえる「まゆ子ー、鳩保が猫男再登場に動いているのであれば、狼男の動向も少々描写しておいた方が良くはないか。」
まゆ子「ふむ。ただ「八月十五日」にはまだ出てこない、というか影すら見せないから伏線や演出も出来ないのだ。」
釈「それは困りますね。やはりこの九巻で種を蒔いておきましょうよ。」

まゆ子「狼男、ねえ。それよりオーラシフターなんだけどね。」
じゅえる「オーラシフターVS狼男、でいいじゃないか。」
釈「ですねえ。オーラシフターなんとかしましょうよ。」
まゆ子「あー、いやー、そうだなーそれはー。あ〜、

 却下します。オーラシフターが出るとしても、それは「八月十五日」以降の話となります。却下。」

じゅえる「「八月十五日」以後ってなんだ?」
釈「スケジュールによりますと、サルボロイド退治ですね。サルボロイド星人復活ですよ。」
まゆ子「そこに関してはまるっきりと言って良いほど何も考えていない。」
じゅえる「狼男つっこめ、そこは。」
釈「へい。

 ではこんな感じではいかがでしょう。サルボロイド星人はピルマルレレコと接触後ボディの大半を捕食されて、分解、散り散りバラバラになってしまいます。その時新幹線が停電で動けなくなる。
 そのサルボロイドの破片を回収して復元したのが、狼男達。何者かの指令によって動かされ、再び物辺村を襲い来る。」
じゅえる「その時狼男と対決するのがオーラシフターで、鳩保達ゲキの少女はサルボロイド迎撃に専念する。」

まゆ子「ふむ。じゃあこのシナリオに従えば、サルボロイドはほとんど出てこなくて、最後にゲキの少女とちょこっと戦って、終了。か。」

じゅえる「ダメか?」
まゆ子「いや、ダメとは言わぬが、スケジュールがね。」
じゅえる「スケジュール?」

釈「えーとつまり「八月十五日」の後になりますから、この後のスケジュールと言えば、」
まゆ子「八月二十一日はー木曜日か。OK、問題無し。
 八月二十一日は登校日。でも二年三組に縁毒戸美々世の姿が有りません。そこでゲキの少女たちはみんなでお見舞いに行きます。家に押しかけます。」
じゅえる「ふむ、それはスケジュールがちゃんと成立しているわけだな?」
まゆ子「第十一巻「美々世は二度死ぬ」になりますね。ちなみに第十二巻「ウルトラ級宇宙怪獣出現」、第十三巻「最終宇宙戦争」で最終回です。」
釈「気が遠くなりそうです。」

じゅえる「ちなみに、その最終巻というのはどういう代物だ?」
まゆ子「あー、つまり地球最後の日、という感じのお話です。宇宙から攻めてきた大艦隊に対して絶望的なまでの戦力差をものともせずに立ち向かい、地球は大きな被害を出しながらも滅亡を免れる。
 怒りに震えるゲキの少女たちは、せめてきた宇宙艦隊に対して究極の恐怖を以って復讐を成し遂げます。」
釈「めんどくさいお話ですか?」
まゆ子「まあ、だいたい。愛憎入り乱れる展開となりますね。この巻でおしまいになりますから、これまでの伏線は全て解消されて出演者総出でケリを着けます。」

釈「それは置いといて。

 つまり八月二十一日登校日は揺るがす事の出来ないスケジュールなのです。そしてサルボロイド編はその前日二十日に完全に終了していなければなりません。」
まゆ子「事実、二十日でぶっ殺します。」
釈「ということは、つまり狼男達の策動は、八月九日にサルボロイドがピルマルレレコによって破壊された後に始まり、二十日に完了している事となります。」

じゅえる「ふむ。つまり探索と復元を10日で成し遂げたわけだ。」
釈「これは異常です。」
まゆ子「なるほど。なるほどな、つまりサルボロイド星人を最初からマークしていなければ、こんなに早くは動けないわけだ。狼男達は。」
じゅえる「ふむ、つまり八月の頭くらいから既に狼男達は活動をしていて、つまり美々世がぶち殺された時には既に門代に来ているべきなんだ。」
釈「ふーむ、するとNWO側もとっくの昔に動いていなければなりませんね。対抗上。」
じゅえる「それが、オーラシフターだ! というのは、どうだろう?」

まゆ子「ふーむ。悪くはないとは思うが、それでは反逆できないんじゃないか? なにせ正常な任務なんだから。」
じゅえる「そうか? 正常な任務の中にあるからこそ、反逆するチャンスなんじゃないか?」

まゆ子「うーん、釈ちゃん?」

 

釈「そうですねえ。たしかに狼男の進出が有ればオーラシフターがより自然な形で門代に登場できます。
 それで彼等が裏切るのは、おかしいと言えばおかしいし、でもだからこそと言うじゅえる先輩の理屈も分かります。」
じゅえる「度胸の問題だな、そこは。」

まゆ子「ふうーむ。うーん……。」

じゅえる「ウルフクラン、ってことかな、狼男は。」
釈「くらん、いいですねえ。MMOみたいですよお。ちなみに二〇〇八年八月の満月は八月十七日午前六時です。ぐぐりました。」
じゅえる「つまり二十日までの間は狼男達の最強の時間、てことでいいわけだな。」
釈「いいですねーそれはいいですねー。」

まゆ子「うーんつまりー、サルボロイド星人と狼男を作った中米地下帝国宇宙人との間には、なんらかの因果関係が有るわけだ。」
じゅえる「そういうこったな。」

まゆ子「サルボロイド星人は欺縁陥没と深く関わっている。欺縁陥没とは人間に取り付くと神になる。神様指数だ。」
じゅえる「つまり、地下帝国宇宙人は、神様なんだよ。宇宙神絶対神だ。」
まゆ子「ふうむ、悪くない。」
じゅえる「でしょ。」

まゆ子「宇宙絶対神をブチ殺す。これがロマンで無くてなんであろうか。」
釈「あちゃーぶち殺しますか。」
まゆ子「うーむ、つまりサルボロイド星人が来た理由をでっち上げればいいわけだな。ゲキ以外で。」

じゅえる「なんか手が有るか?」
まゆ子「無いとは言わんが、神様か。なにか凄い神様をでっち上げねばなるまいね。それも「テレビの神様」なんてちんけな存在ではない奴を。」

釈「でもですよ、宇宙絶対神なんてのをどうやってぶち殺しましょう?」
じゅえる「そんなの決まってるじゃん。物辺優子だよ。」
まゆ子「ああ、神殺し出来るのは優子くらいかなあ。なるほどねえ。

 

 うんなるほど。つまり「八月十五日」近辺で物辺優子が一時行方不明存在が消失するのも、宇宙絶対神との闘争を繰り広げていた結果なのだ。」
じゅえる「ふむ。」
まゆ子「で、存在が実体化して物語に優子が復帰した後で、優子が鳩保に「宇宙絶対神をぶち殺してきた」「そうなんだ、へー」という会話で終了するのだ。」

釈「なんだか悪い予感がしてきましたよ。」
じゅえる「却下!」
まゆ子「とほほ。せっかく考えたのに。」
じゅえる「だが方向性は悪くない、もうちょっと凄まじい展開をなんとかしなさい。」
まゆ子「へい。」

釈「ということは、宇宙絶対神を復活させる為にはサルボロイド星人を復元して、また元の姿に戻さねばならない。という風に狼男は思い込んでるんですね。」
まゆ子「うーん、もうちょっとひねろう。とにかく最後にはサルボロイドは復元して、ゲキと決闘をして敗れ去る。これは確定だ。
 その際狼男がどうなるか、これはもうちょっと考えよう。何人くらい来日するかも考えなくちゃいかんし。」

じゅえる「というわけで、オーラシフターは狼男と闘うのでありました。

 

2013/04/03

まゆ子「今回はしっぱいしっぱい。今回書いた分のまた先にまで筆を進めていたら、推敲が上手くいかなかった。脳の切り替えが出来なかったのね。」

釈「一度何もかも忘れて他人が書いた文章のように接しないと、錯誤って分かりませんよね。」
じゅえる「つらつらと連続して書いていくとページだけは進むんだが、そこが問題だよね。一人よがりというか蛸壺にどっぷり漬かっていると、他人様が読むものに成れないんだ。」
まゆ子「反省しますよ。生産性の向上は別の手を用います。

 

 そこで提案、なんか凄い展開無い?」
釈「ゲキロボですか?」
まゆ子「うん。」
じゅえる「鳩保がレイプされるとか?」
まゆ子「いや、それは凄いのは凄いが、ちょっと違う。」

釈「一応は全年齢ほのぼの学園モノですからね。取って付けたようなレイプとかドロドロの恋愛模様とかは禁止です。」
まゆ子「まあ恋愛関係とかの凄い展開はいずれ別の機会で書きたいとは思いますけどね、書けるかどうかは別として。」
じゅえる「すごい展開てのはつまり読者様を惹き付ける手段てことだろ。やはり鳩保レイプくらいは必要だぞ。」
まゆ子「まあインパクト的にはそのレベルだよ。」

釈「とはいえ、これからゲキロボにそんなものを突っ込む余地は無いと思いますよ。」
じゅえる「無理が通れば道理は引っ込む!」
まゆ子「なるほど、今更無理っぽいところになんか突っ込んで劇的にぶっ壊すのも、面白いかもしれん。考えてみよう。」
釈「ちょっとちょっと。」

まゆ子「とはいえだ、じゃあ具体的になにをどうすればいいか、てのは無いんだよね。」
釈「そもそもが最終回まで具体的にラインが出来てますからね。後は実装することで肉付けするだけです。」

じゅえる「恋愛でどろどろがダメなら、もちろんセックスでどろどろもダメなら、」
釈「どろどろは全部ダメです。」
じゅえる「どうやって超展開にすればいいと言うんだよ。」

まゆ子「そもそも超展開って何? ってところから考えるか。超展開ってのはつまり読者様の予想を裏切る展開てことかな?」
釈「ちょっと違うと思いますね。だいたい超展開作品てのは展開自体が読者の想像力の及ばないものです。」
じゅえる「ああ、たしかに。それまでは順当に流れてきて、ある日突然飛躍した。てのは超展開ではないだろ。」
まゆ子「ふむ、我々が求めるべきなのはむしろそちらの方だな。これから先の展開が読めているにも関わらず、レベルが突然変わるってのだ。」

釈「それはー、たとえば鳩保さんが突然死ぬとか?」
じゅえる「それでみのりが喜味子を甲子園に連れて行くことを決意する、ってのだな。」
まゆ子「たとえが至極古いけれど、まあそういうのかな。」
釈「BS12で今再放送中ですね。見てないけど。」

 

まゆ子「まあそもそもゲキロボは何のへんてつもない女子高生がのんべんだらりとほのぼの生活を送っていくというだけの物語だ。特に目指すべき目標も守るべき大切なものも無いぞ。」
釈「強いて言うならば、自分達の命をなんとかして守ろうってのですが、最近はピンチというものがありませんね。」
じゅえる「いやドバイの塔は安全に鉄板に見えるけど、実際は綱渡り状態だぞ。花憐だって鉄槌で潰されそうになるし。」
まゆ子「そこんとこは随時ピンチを織り込んでいますが、ー……、慣れた?」

釈「はあ。ちょっとこのレベルの刺激は慣れましたね。」
じゅえる「最近の状況を考えると、物辺村の5人が死にそうな感触は無いね。」
まゆ子「いかんな、それはいかん。サスペンスを失っては物語は死んだも同然だ。」
釈「まあそういう自覚がご自分にも有るから、超展開を望んだのでしょう。」
じゅえる「なんとかしてやらないといけないな。釈ちゃんよ。」

釈「まあ普通に考えれば、ここでいきなりゲキの力が消失して彼女達が普通の女子高生に戻る、ってものですがー。」
まゆ子「却下。」
じゅえる「それは禁止されているのだ。何故かと言うのも禁止なくらいに禁止だ。」
釈「ですよね。じゃー次に考えるべきはー。」

まゆ子「彼女達の住む日常自体が変質する。例えば物辺島がどこか遠くに飛んでいくとか、門代高校がゾンビの巣窟になるとか。」
じゅえる「それも違うな。門代地区が壊滅すると、ゲキの少女は本格的に報復を開始する。あいつらは自分達に対する攻撃には容赦しない。」
釈「あくまでも日常ほのぼの路線の維持が目的です。」

まゆ子「それだな。日常ほのぼの路線を覆す掟破りの強敵が出現する。とはいえだ、これまでの宇宙人やらCIAやらNWOやらの関与を考えると、とっくの昔に日常なんてものは存在しないのだが。」
じゅえる「内容はともかく表面上の、それも無関係一般市民の生活においてはほのぼの日常は現在までも継続中だぞ。
 これが破られることは連中にとっては耐え難い痛みとなる。」

 

釈「……ここですね。ここがその超展開ですね。」

まゆ子「どうやらそのようだな。一度ほのぼの日常を破壊しなければならない。だがそれは回復可能なのだ。
 一度失われたものを彼女達の活躍で取り戻し復帰させ、同時に世界が薄氷の上にかろうじて成り立っているに違いないと読者様に理解させる。」
じゅえる「つまり、ほのぼの日常自体が敵、という奴だな。」

まゆ子「言うなれば、まあこれも古い例えだな。ビューティフルドリーマーだ。」
じゅえる「というか、それ以外で参考になる娯楽作品てあったっけ?」
釈「無いとは言いませんが、ラーゼフォンとかゼーガペインとか涼宮ハルヒの消失とか、セカイ系に属する作品群ですかね?」
まゆ子「セカイ系はねえ。セカイ系は難しいんだよね、バランスが。ものすごく馬鹿馬鹿しい設定になっちまうからさあ。」

釈「没りますか?」
まゆ子「不可能ではない。というか、簡単だ。つまり世界の重石となる存在が一時的に消滅して、日常がだんだんと狂っていく。そういうのを描くわけだよ。」
じゅえる「優子、だな。」
まゆ子「物辺優子の失踪。そういう事になるな。」

釈「なるほど。世界を変革する能力はまずは物辺優子に依拠するわけです。」
じゅえる「バランスを取っているのも物辺優子だ。というのを読者様に印象付ける為にも、それは有った方が良い展開だな。」
まゆ子「…………、うーむ。そうか。ここだな。

 釈ちゃん、出番だ!」
釈「へ? わたしですか?」
まゆ子「前々から考えてはいたんだ。シャクちゃんとミスシャクティとの関係性をいずれどこかで明らかにしなければならない。
 ミスシャクティがどれほどの力を持ち、シャクちゃんが実はどのように物語に関与するのかを明示する章を描かねば話は終われない。」
じゅえる「だな。」
まゆ子「それに、物辺優子を失踪させるには格好の舞台が有る。第十巻「八月十五日」だ。」

釈「現在第八巻「我関せず」を書き始めたところです。第九巻「喜味子モテ期到来」。その次ですね。」
じゅえる「「八月十五日」はどういうお話なんだ?」
まゆ子「何もない。宇宙人が全く関与せず、なんの不思議も起きない。まったくに普通の女子高生の日常だ。」
釈「単なる日常話を突っ込んで、後の怒涛の最終回まで突っ走る踊り場みたいな話ですね。」

まゆ子「ここに、優子失踪を投入しよう。話の筋は今言った通り、何も起きない。だが逆に、異様なぐらいになにも起きないのだ。
 宇宙人もNWOもまったくなにも関与せず、それどころか最初からそんなもの無かったかのように世界は日常を続けている。
 ゲキの少女達は違和感を覚えながらも、何事も無い日常を続けていく。

 だが何かが欠けている。それが、物辺優子の存在だ。優子が失踪したのではなく、優子自体の存在を失念している。」
じゅえる「うんうん。なるほど、セカイ系定番の展開だ。
 それで、セカイの秘密を解き明かす探偵役がシャクちゃんになるわけだな。」
まゆ子「もう少しひねりが欲しい。

 だが優子が帰還するシーンは既に決定済みだ。というかだね、優子が出てくる出番というものが、「八月十五日」には1箇所しか設定されていないのだ。」

釈「なんですと。」
まゆ子「そもそもがこの巻は、優子要らね。」
じゅえる「なんてこったい。作者本人からはぶられていたのか。」
まゆ子「いやー、そもそもがこの巻は何も起きないのを前提としているからね。どうしたものかと。
 うん、なるほど。セカイ系でイケる!」

釈「ということは、不思議がまったく無いのですね?」
まゆ子「そういう事になる。」
釈「クビ子さんも無い?」
まゆ子「うーん、惜しいな。」
じゅえる「空飛ぶ生首はダメだろ。”当たり前の日常”には。」
まゆ子「そういう事になるな。じゃあ仕方がない。クビ子禁止。でも優子帰還と共にクビ子は派手に出現する。そういう演出でいいな。」
釈「異議ありません。」

まゆ子「ただね、上に例を挙げた「涼宮ハルヒの消失」とはまったくに違うものにしないと意味が無い。
 アレだとキョンくんが探偵役を務めるが、「八月十五日」では誰も優子を探さない。」
じゅえる「薄情だな。」
まゆ子「だがそういう付き合いだ、連中は。その代わりにシャクちゃんが妙に活躍することとなる。もちろんシャクちゃんも探偵役なんかしやしない。」

釈「探偵無しで、優子さんは帰って来られるのですか?」
まゆ子「帰ってくるんだよ。アレはそういうタマだ。」

じゅえる「まあね。アレが常人ではない事も描写する必要があるかな?」
まゆ子「そこでミスシャクティの出番という事になる。」
じゅえる「うん。」
釈「なるほど。」

 

2013/03/12(オーラシフター設定をまとめました)

 

2013/03/03

まゆ子「というわけで、第八巻「我関せず」の計画です。今回2つの物語が同時進行されます。
 つまり物辺村ゲキの少女達がてきとーに夏休みを送っている。その裏では宇宙人さん達がサルボロイドなる強敵と死闘を繰り広げます。」

釈「サルボロイドというのは結局どんな宇宙人ですか。」
まゆ子「総金属製超頑丈ロボです。エネルギー兵器ビーム兵器の類の装備は有りますが、使いません。金属の爪で魚肉人間をなぎ払います。」
じゅえる「完全に宇宙人バトルロイヤルのレギュレーション範囲内てことか。」

まゆ子「だから物辺村連中は関わりませんし、宇宙人さん達も介入を望みません。で、強力な戦闘力を備えた宇宙人有志によるパーティを作ってサルボロイド退治を行います。」
じゅえる「パーティ?」
釈「RPGの冒険者みたいなのですか?」
まゆ子「まったくもってそのまんまの勇者様です。

 えーと5人くらいでいいですかね。まず宇宙人リーダーのいつもの汗臭い運動部系の宇宙人さん。」
釈「あのヒトですね、開港祭りの時にちょくちょく出てきた。」
まゆ子「次に米軍を薙ぎ払った石斧担いだ原始人の中年男です。お供に類人猿を連れています。」
じゅえる「はじめ人間ね。」
まゆ子「あと3人。まだ考えてない。で、6人目になるはずだったのが美々世さん。死んじゃいますけどね。」

じゅえる「美々世よりも強いわけだな、そいつらは。」
まゆ子「まあね。で、私が考えているもう一人が、冴えない風体の中年小男で頭はてっぺんがほとんどハゲなのだが申し訳程度にバーコードになっており、煮染めたように古臭い背広の一張羅を着ている昭和の時代のサラリーマン。」
じゅえる「なんだそれは?」
釈「それが戦闘力強いんですか?」
まゆ子「うん、「ダメおやじ」という漫画をご存知だろうか。その主人公をモデルとする。」
釈「はあ、ちょっとこころあたりが無くて。」
じゅえる「どんなお話だよ?」
まゆ子「まあ! 聞かない方がいいなと。」
じゅえる「そいつはどんな技を使うのだ?」
まゆ子「素手の格闘、プロレス技と考えてくれていい。それとどんなに傷つけられても死なない不死身能力。」
釈「うーん、総金属製ロボに勝てるでしょうか?」

じゅえる「あと二人。これは私達が考えよう。まず私だな。
 うーんと、女はダメかい?」
まゆ子「そこは釈ちゃんと相談して。」
釈「三番目がそういう普通っぽいビジネスマンだとすれば、普通のおばちゃんはキャラとしてダメですね。」
まゆ子「ダメだね。そもそも美々世が普通の美少女女子高生というキャラを務めるはずだったのだ。」

釈「なるほど。じゃあ和服を着た鉢かつぎ姫では?」
じゅえる「それって、どんなお話だったっけ?」
まゆ子「えーと鉢が頭に張り付いて離れなくなる女の子だったっけ、外れたら中から金銀財宝が。」
じゅえる「うん? ぐぐってみたら、割と漫画に出ているな。どんな感じだろうか?」

まゆ子「うーん、メジャーの商業漫画で出てくるのは避けた方がいいな。」
釈「没ですね残念。」
じゅえる「お伽話なら三年寝太郎とかどうだろう。」
まゆ子「三年寝太子さん、とかでは。」
じゅえる「どんな女だそれは。」
釈「名前の印象からすると、日に当たらないから真っ白で、寝てばっかりでぶくぶく太った女でしょうね。」
まゆ子「うーむ、戦闘力はどうしたものか。武器が必要だよな。」
じゅえる「拳法殺しと呼ばれる、すべての攻撃を贅肉が吸収する体質ではどうだ。」
まゆ子「悪くはない。だがさすがに女の子にそれをやらせるのは。」

釈「いっそのこと真正面から女騎士、美少女騎士で行きますか。」
まゆ子「うーん美々世と被るしなあ。」
じゅえる「いいじゃないか、美々世リタイヤでキャラ被りを避けられたからエントリー出来た。そういうキャラだ。」
まゆ子「なるほど、美々世の替わりとして入っているんだな。それは良し。」
じゅえる「敵が総金属製だから、こっちもフルメタルプレートアーマーだ。」

釈「そうすると、もう一人は人間型で無い方がいいかもしれません。」
まゆ子「そうだね、まるっきり宇宙人てのがいいかもね。」
じゅえる「じゃあ、二本足で立ち上がったゲジゲジみたいのは。」
まゆ子「黄金色に輝くゲジゲジ戦士だよ。」
釈「うーむ、たしかに強そうですが人間社会での戦闘には向いてないですね。」
まゆ子「だから、他の四人のサポートに回って、屋根の上とかの目立たない場所を這い回っているんだ。」
じゅえる「いいねそれ。よし決まり。」

まゆ子「しかし三年寝太子も捨てがたい。それは策として、敵の足を止める方法として使って失敗することにしよう。」
じゅえる「使い捨て宇宙人ね。なるほど、いいでしょう。」
釈「5人+1ですね。」

まゆ子「で、この6人が裏で死闘を繰り広げた結果、サルボロイドを取り逃がす。で、サルボロイドは最終的には目的である一人の宇宙人に接触する。」
釈「ふむふむ。」
まゆ子「門代高校裏山に住む、ぴるまるれれこだ。現在は人間型のおっとりとしたお姉さんとして普通にぼーっとして暮らしている。
 で、サルボロイドはぴるまるれれこ探索が任務であり、接触して哀しいくらいにあっさりとやられてしまう。」
じゅえる「サルボロイドはやられるのか。」
まゆ子「だがこれは、その他大勢の宇宙人さんにとっては悪夢にも等しい光景だ。ただでさえ厄介なぴるまるれれこを活性化させかねない。
 そこで犠牲を払ってサルボロイドをその場から引き離し、サルボロイド大破しながらも逃走。

 これが八月11日の前までに起きる事件だ。」

釈「ぴるまるれれこは全宇宙人にとっての天敵なのですね。でもサルボロイドは何故そんな物騒なものに接触しようとするのです?」
まゆ子「それはサルボロイドが極めて特別な存在であるからなんだけど、説明は省く。要点は、サルボロイドはぴるまるれれこを理解出来ない、という事だ。分からないから調べに来た。」
じゅえる「ヤバイ好奇心なんだね。」

 

まゆ子「さて構成上の問題を考えよう。とりあえずこの物語は八月一日に始まり八月十一日に終わる、それは絶対だ。
 何故ならば、八月十一日の登校日に、喜味子が科学部のまゆちゃん先輩から部員が発見したサルボロイドの破片というのを示されるからだ。」
じゅえる「つまり、戦闘が終わっているんだね、その時点においては。」
まゆ子「戦闘が終わっているというよりも、八月十五日の前後は完全に平和状態です。十六日か七日にみんなで花火を見に行きます。
 その次の日からサルボロイドVSゲキの少女の戦闘です。これもまた考えてない。」

釈「つまり、第八巻でそこまでのケリを付けておかねばならないわけですね。」
まゆ子「だがちょっと多い。何故ならば「優子東京に行く」が入るからです。」
じゅえる「それはー結構なボリュームが必要だろう。」
まゆ子「さらにここで、優子の母親贄子についての重大情報がもたらされる予定です。また優子が日本のアンシエントの頭取である「彼野」の中枢部と接近します。」

釈「それだけで一巻使ってもおかしくありませんね。」
まゆ子「正直八・九巻をここで消費するでしょう。さらに加えてオーラシフターが入ります。」
じゅえる「素直に三巻消費で考えますか。」
まゆ子「疲れる。」
じゅえる「ああ、それはそうだ。なんとかして2巻にまとめよう。」

まゆ子「えーとつまりだ、今後の予定はこうなる。

 第八巻 サルボロイドVS宇宙人有志+優子東京に行く 、他の連中は夏休み描写
 第九巻 オーラシフター「喜味子モテ期到来」
 第十巻 八月十五日の前後 行事「西瓜盗り」、門代港大花火大会にみんなで遊びに行く
 第十一巻 サルボロイド退治 美々世再び死す(しゅぎゃらへりどくと星人の逆襲)
 第十二巻 巨大宇宙生物襲来、巨大地球ロボットの暴走叛逆
 第十三巻 宇宙艦隊襲撃 地球最後の日
 おまけ (最終回)」

じゅえる「一巻4ヶ月なら2年掛かるな。」
釈「うーんん、なるほど。2年ですね。」
まゆ子「いやだー。」

じゅえる「まあいいや。で、第八巻が詰まり過ぎているんだな?」
まゆ子「さらに、最近は釈ちゃんがご無沙汰であるからちょこっと活躍させてみようかとも考えている。」
釈「え? えへへへ。」
じゅえる「うーむー、確かにミスシャクティと釈ちゃんの違いをどこかで描かないといけないなあ。」
まゆ子「まあ「八月十五日」には釈ちゃん出てくるんだけどね、それ以前にちょいとエピソードの一つでも突っ込んでおこうかと。」

まゆ子「釈ちゃん、なんかやりたい事無い?」
釈「と言われましても、インドに行くわけにも行きませんし。ああ、合宿ですかね、ウエンディズの。」
じゅえる「あああーそれがあった。」
まゆ子「ころっと忘れてたな。釈ちゃん合宿に行くんだった。というか私達もだ。」
じゅえる「おおっ。」

釈「物辺村の子達が見学に来るとかで、どうです?」
まゆ子「さすがにそれは却下だが、合宿の買い出しに来た釈ちゃんとばったり出会うくらいはアリか。」
じゅえる「しるくの合宿所は海の傍だったから、物辺島の近くにあるとかでいいんじゃないかい。」
まゆ子「うーむ、じゃあ美鳥でもお供に連れているとか、釣りをしているとかで。」
じゅえる「釣りならふぁと美鳥が使えるな。岸壁で遭遇するとかアリだ。」
まゆ子「ふむ。」

釈「じゃあ、合宿でへろへろになった私が物辺村の誰かに発見されるというシナリオで。」
まゆ子「誰にしようか。今回鳩保は主役みたいなもので宇宙人さんたちとも交渉する。出番多い。
 一方優子と花憐は八月四日には東京に行く。四五六泊まって七日に帰ってくる算段だが、もう一日くらい増えてもいいぞ。」
じゅえる「つまり、門代には居ないんだな。じゃあ喜味子とみのりだな。」
まゆ子「喜味子は嫁と一緒に図書館でお勉強したり地元のコミケに行ったりしてなかなか忙しい。あと宇宙人戦闘のモニターをしたり、「西瓜盗り」の準備をしたりなかなかだ。」
釈「じゃあみのりさんにしましょう。」
じゅえる「浜辺で出食わすのであれば、問題ないか。」
釈「わたし、浜辺に倒れています! 合宿の疲れで。」
まゆ子「よし採用!」

じゅえる「ちょっとまて、という事は私等合宿で絞られている計算になる。」
まゆ子「そりゃ当然。釈ちゃんが合宿なら私等当然逝ってる。」
じゅえる「八月十一日には合宿終わってるな?」
まゆ子「ああ、確かにそういう事になる。ウエンディズのメンバーは三年生が多くて合宿中も講習に出ているのだが、午前中だけだ。」
じゅえる「そこからバス乗ってしるくの合宿所に向かうわけだ。」

まゆ子「それが?」
じゅえる「あんた、八月十一日に喜味子に会うんだろ?」
まゆ子「……、! おおー。」
釈「バテバテですね、先輩。やつれてますよ。」
まゆ子「なるほど! それは描写に入れなくてはいかん。危ないところだった。
 ちなみに第八巻冒頭、この巻始まる最初が八月十一日です。最終日の様子を描いて、それまでの経緯を説明していくという手順で進められます。」
じゅえる「それは危ないところだった。のっけから大ポカするとこだ。」

釈「ちなみに合宿の日取りは。」
まゆ子「優子花憐が居ない頃がいいかな。釈ちゃんが行き倒れになってるのは八月六日にしよう。」
じゅえる「うん。」

まゆ子「ちなみに、八月二日深夜、美々世死にます。」
じゅえる「一日は忙しかった。で、二日はなにか他に起こる?」
まゆ子「みのりちゃんが帰ってきて、改めて物辺村正義少女会議が開かれます。おみやげ配布会とも言いますが。」
釈「そりゃみのりちゃんは律儀ですからね。」
まゆ子「その席上に優子と花憐が東京に行くと発表されます。しかしながら何が起きようとも優子は十日には門代に居る。その日は演劇部の公演が有るから。」

じゅえる「……、演劇部公演も描くの?」
釈「うああああ、どうしましょう。もうスペースが。」
まゆ子「なんとかする! だいいち、十日にはもう宇宙人さん有志は全員敗退しています。落ち着いてます。」

じゅえる「じゃあ、優子帰還は九日。」
釈「四五六七八日は何をしていましょう。」
まゆ子「
 一日鳩保プールでデート。中米チュクシュルブクレーターでの調査結果発表。
 二日物辺村正義少女会議みのりおみやげ配布。その夜美々世死す。
 三日優子と花憐、東京行きの準備で忙しい。鳩保宇宙人有志と会合、サルボロイドの存在を告げられる。
   喜味子とみのり「西瓜盗り」の準備を開始する。

 四日優子と花憐東京行き。その晩父香能 玄と涙の対面。
 五日優子と花憐、テレビの神様と会う
 六日みのり釈ちゃんに会う。同日喜味子、嫁のお供で百合同人誌即売会に行く。
 七日鳩保、宇宙人有志に戦況報告を聞く。かなり酷い有様。
 八日宇宙人有志全滅。優子、東京で巫女会出席。

 九日サルボロイド、ぴるまるれれこと遭遇。敗退。優子と花憐帰還。
 十日優子門代高校演劇部公演に出演。」

じゅえる「ぎりぎりしてるなスケジュール。」
まゆ子「さらには花憐が物辺禍津美を病院に見舞う、というイベントが有ってもいい。また兄が東京に居るという話でもいい。」
釈「花憐ちゃんのお兄さんは東京にお勤めでしたか。」
まゆ子「そういう事にしてもいいぞ。いや、ここは兄が東京にやってくるでもいい。」
じゅえる「つまり書くネタに困る事は無いわけだ。」

釈「テレビの神様に会うというのは、省けないイベントですか?」
まゆ子「東京、つまり日本中枢でのNWOでの活動状況を初めて知らされるわけだ。これは外せない。」
じゅえる「ああ、遊びに東京に行ったわけじゃないんだ。」
まゆ子「更に言うと、物辺祝子は現在夫の実家を訪問中。二日から最低でも二日は泊まるとしても四日、遭遇しそうな感じ。」
じゅえる「ああそれは五日に合流して帰ることにしなよ。テレビの神様と祝子さんとの対決だ。」
まゆ子「そりゃ地獄だな。」

釈「それで、結局生き別れの親子はどれだけ一緒に居られるんですか?」
まゆ子「四日に会って夜まで。五日に会ってまた夜に合流、夕食を共に。芸能人だからスケジュールが忙しくて昼日中一緒には居られない。」
釈「六日は?」
まゆ子「えーとカレンダーではどうだったっけ?」
釈「三日と十日が日曜日です。だから十日が演劇部の公演なんです。」
じゅえる「六日は水曜日か、普通の日だな。」
釈「しかし八月六日です。もうお盆休みの人も多いんじゃないですかね。」

まゆ子「広島原爆の日だな。甲子園もやってるのか。一番暑い日だろう。」
釈「親子でどっか行きますか。」
じゅえる「うん、だがどこに遊びに行く? ディズニーランド?」
まゆ子「そりゃあー、やはり母親である物辺贄子の足跡を辿るんじゃないか。演劇の練習所とかに。」
じゅえる「もうちょっと色気のある場所が欲しいな。もっと突拍子も無い出会いの思い出が。」
まゆ子「うん、考慮しておきましょう。」

じゅえる「いや、そうだ。やはりディズニーランドには行こう。描かなくてもいい。ただ優子が娘として子として親孝行の真似事をする為に、敢えていかにも親子連れが行くディズニーランドに行ったんだ。
 で夜宿屋に帰ってきて、花憐に「疲れたー」と零すんだ。」
釈「いいですねそのイベント。」
まゆ子「七日だな、それは。ちなみに四日五日はホテル泊りだが、六七八は花憐家が東京に持つマンションだぞ。資産として持ってるんだ。」
釈「おお、さすがはお金持ち。」

まゆ子「ところがだ、花憐家が資産を形成するに当たって物辺神社はかなり重大な役割を負っている。」
じゅえる「まあね。」
釈「すべての権力と富の根源ですからね。」

まゆ子「まあそうなんだが、もっと卑近な現金レベルでの資産形成にも実は関与してるんだ。
 ま、饗子さんを引き合いに出すと至極簡単なのだが、物辺の巫女は金儲けにも能力を持っている。」
釈「金運勝負運が付くんでしたね、ご利益は。」

まゆ子「それだけでなく世の流れや天変地異も分かってしまう。政変やら景気変動やらも敏感に察知する。これは予言や予知ではなく世を読み取る能力だ。
 で、巫女のアドヴァイスに基づいて資産運用すればがっぽがっぽ。」
じゅえる「ほお。」
釈「ほお、それはお得な。」
まゆ子「というわけで、そのアドヴァイスに従った花憐家はお金持ちになるわけです。

 花憐とそのマンションに来た時も、まったく根拠なしに優子は「これ売り飛ばせ」と言います。その通りにすると大儲けです。」
じゅえる「なんだ? リーマン・ショックか?」
釈「そういえば間近に迫ってましたね。現金化するには今なんですかね?」
まゆ子「なんか、とにかくこのマンションは良くないから手放せと優子は思うんだよ。で花憐家に帰って早速お父さんに進言して売り飛ばすと、なんだか大損害を免れるという寸法。」
じゅえる「ふむ、割と普通に福の神なんだ。」
釈「伊達に鬼の子孫を名乗りませんね。」

 

まゆ子「さあてここで考慮すべきは中目標「隠れた英雄」だ。実のところこの目標が設定される前まではごく普通に計画されており、ごく普通に執筆されるはずであった。
 が! 改めてテーマなるものを掲げてみると、なんとなく浮き上がってくるものが有る。」

じゅえる「うんまあ、隠れた英雄的行為というのは小説の永遠のテーマでもあるしね。」
釈「物語が締まりますね。」
まゆ子「まあ宇宙人さん有志の英雄的行為はともかくだ、実は優子が東京で遭遇するはずの母物辺贄子の隠された英雄的行為も明らかになるのだ。」
釈「それが、優子さんが父親と切り離された理由なんですか。」
まゆ子「うん。」

じゅえる「ふむ。どんなの?」
まゆ子「これまでくっちゃりで物辺贄子について書いてなかったっけ?」
釈「調べてみたらー、無いですね。」
まゆ子「無かったかなあ? 書いたような気がするけれど。じゃあもう一度気を取り直して。

 物辺贄子は高校卒業後東京に行って芸能界入りをします。大学には入っていたと思うけれど、まあどうでも。物辺家の巫女は頭いいからろくでもない大学なら片手間で卒業出来ます。
 問題はその芸能界だ。高校演劇会での大活躍を背景に当初エリート演劇人としての道を進もうとします。が、頓挫しました。
 体質の問題です。その場の空気を支配し、劇場を自らの意志で演出してしまう能力は確かに強い。
 しかし、才能の有る一流演劇人、俳優女優はもとより演出家脚本家、こいつらは皆贄子の能力を敵と認識します。当然のことながら。
 で、特に大物女優の某さんが極めて強力に敵対視して、贄子が出るなら一緒の番組を降りるとか言い出し、知り合いの業界人にも同調するように呼びかけます。
 一流の人間であればあるほど、これは深刻な脅威と受け止められて、結果ネームの無い贄子よりは視聴率を取り観客に受ける他一流芸能人を取るというごく自然な決着を見ます。
 つまり、物辺贄子は干されてしまいまいした。」

じゅえる「まあー、しごく当然な挫折だな。」
釈「そりゃそうですねえ。そりゃ、なにせ「ガラスの仮面」を例に取ってますからねえ。」
じゅえる「舞台荒らしだよ。」

まゆ子「というわけで表での華々しい活躍の道を閉ざされた贄子は仕方がないから安っぽいビデオ作品に出演しました。もちろんこんなトコロに一流芸能人や演出家は来ません。
 レベルの低い人間を相手にして贄子の能力はフル回転。90年代初頭の人に記憶される奇跡的な快作・作品群として出来上がりました。
 その時の演出家はそれを自分の手柄才能の故と解釈し、その遺産で2008年の今も業界で幅を効かせています。」
じゅえる「勘違い芸能人だな。」

まゆ子「もちろんそれら作品も流通の事情を考えて、物辺贄子出演とは書いてません。偽の芸名を使っていますが、別人にすっかり成り切っています。
 それらの成功を受けて、贄子はまったく別の名前、別の人間として再度芸能界デビューをします。前回の失敗を鑑みて自らの能力を秘し、まるっきりの素人としてとある弱小芸能事務所に所属します。
 これは成功して、贄子は徐々にテレビ出演の枠を増やし、注目の新人として人に記憶されるようになります。

 優子の父親「香能 玄」と出会ったのもこの頃で、共演してからです。」
じゅえる「ふむ。」
釈「まあ、こんなもんでしょうね。」

まゆ子「一方「物辺贄子」自身もそのまま芸能活動を続けています。というか、新しい偽名の方の活動を見破られない為に、敢えて「物辺贄子」を活発に動かしていました。
 そこで、とある事件が起きます。「薬用キノコ事件」です。

 この時期に流行ったアガリクス茸の類似品として、癌に効くという触れ込みの紛い物キノコ健康食品が幾つか商売をしていました。
 その一つの宣伝に、今売り出し中の偽贄子が出演します。これは弱小事務所がお世話になった人という義理絡みの話で、それほど胡散臭い商品でもありません。
 ただ「癌に効く」というのは明らかに誇大宣伝である。幾らなんでも無理があると贄子は考えて、新たなる演出プランを考える。
 すなわち、そのキノコの効能をまことしやかに宣伝するアシスタントとして贄子は出演していた所、いきなりキレて「こんなもの癌に効くわけ無いでしょ!」とぶち壊しにするのだ。

 インパクトとしてまことに強烈。たちまち偽贄子の名と共に「キノコ」は世間の認知を受けます。
 それも「癌には効かない」という、つまり癌以外の病気には効くという逆説的刷り込みがされて。キノコビジネス大繁盛です。」
じゅえる「うーむ。なんとなく詐欺商売だな。」
釈「まあ確かに嘘をぶち壊すことで誠実さを前面に押し出す事が出来て、悪い手でもないんでしょうね。」

まゆ子「で、弱小事務所がお世話になった健康食品の社長はぼろ儲けするわけです。贄子の面目も立ちます。
 だが所詮この業界というのは弱い立場で、儲かると知るとヤクザやその類縁の人間が入り込んできます。キノコビジネスが儲かると知って、健康食品会社を半ば乗っ取ります。
 で、今度はまじで詐欺商売紛いに顧客を伸ばしていこうとします。そこで考えついたのが「キノコブリーダー商法」、キノコを客が自分で育てる事により他に販売して利殖を増やすという詐欺商売です。
 もちろん元の社長はこんな無茶なビジネスについていけませんし、偽贄子のイメージにも傷が付きます。というか、偽贄子は最初の一回しか出演していない。

 それでも偽贄子のイメージは世間に知れ渡っている。これを打ち消さねば以後の芸能活動に差し障りが有る。
 ということで、偽贄子に代わって「物辺贄子」がCMキャラクターとして「キノコブリーダー商法」を宣伝していきます。というかヤクザ相手はさすがに問題だから第三の「贄子」がCMに出ます。
 と同時に、件の社長に手を引くように進言します。ヤクザ連中に会社を乗っ取られた形で、個人資産を確保したままに会社を手放します。損はしていない。
 さらに古参の社員も徐々に撤退離職させて、かんぺきヤクザ会社になってしまいます。

 さらに贄子の能力である場を支配演出する力を用いて、ヤクザ者内部でも対立を演出し溝を深めていきます。ただしこれは、ビジネスが急成長している段階では表面化しない。そいう風にスケジュールしています。
 エスカレートする「キノコブリーダー商法」、とうとう警察にも目を付けられる悪徳商法として認知されるまでになり、捜査が入る寸前になります。
 ここで、カネが消えます!」

じゅえる「集めたカネを贄子が横領したのか?」
まゆ子「いや、贄子が隠したのは違いないのだが、取ったのはヤクザ者同士の対立の中でどちらかが独り占めした!という風に理解されます。」
釈「おお! それは人死が。」
まゆ子「というわけで「キノコブリーダー商法」は破綻です。警察が家宅捜索して全資料押収。しかしカネは消えている。」
じゅえる「悪い奴だな、物辺贄子。」

まゆ子「いや贄子はそのカネを被害者に還元しようとしているんだよ。というかその為に分捕ったのはいいが、もちろん全額返還というわけにはいかない。半分くらいだ。それでも百億に近いカネを得た。
 ヤクザ者は内部で殺し合いの状態に陥り、逮捕され或る者は逃走し、その中の誰かがカネを持ち逃げしたのは第三「贄子」だと気が付きます。
 そこでカネの奪還の為に暴力団関係者が放たれ、第三「贄子」は終われるハメに。

 もちろん第三「贄子」自身は正体を完璧に封鎖しているから足が付く事はない。が、第二「贄子」から辿れば「物辺贄子」に到達するのはさほど難しくない。」
じゅえる「ふむ。正体を隠すのが甘かったわけか。」
釈「そこまで発展するなんて想像してなかったんですね。」

まゆ子「第三「贄子」の行方が杳として知れない中で暴力団は当然のように社長と第二「贄子」に目を付けます。社長が半殺しの目に遭わされるという事件も起きます。
 ここに至って物辺贄子は第二「贄子」を一時失踪させる事を決意。しかしながら既に香能 玄との間に子どもが出来て妊娠中であった。
 まったく関係ない香能 玄までもスキャンダルに巻き込むわけにはいかない。

 そこで生まれた優子を物辺神社に置き去りにして、贄子本人はアメリカに逃げてしまいます。
 しかしカネは依然として行方不明で暴力団の目は光っているから、贄子に関係するのを香能 玄は控えねばなりませんでした。
 一流芸能人でありマスコミの目の厳しい彼の娘である優子は、普通に育てば当然に注目の対象であり、とうぜんにその母も注目されます。
 贄子の言葉に従い香能 玄は娘を手元で育てるのを断念し、その代わりと養育費を物辺神社に毎月届けています。」

釈「ああ、ちゃんとお金もらってたんですね。優子さん。」

まゆ子「ところがだ、隠した百億にも上るカネは贄子ではなく物辺神社の宮司つまり父に預けているのです。
 彼はただの人間ではなくバックに組織がありますから、その組織を通じて「キノコブリーダー商法」の損害を密かに賠償していく。
 ただ一気に返したら目立ってしまう。バレたら暴力団が物辺神社に殺到するのも知れている。
 そこで香能 玄と諮って、両者まったく関係も交流も無い事とします。」

じゅえる「そうか、爺さんも一枚噛んでいたのなら、贄子のそれは失踪じゃないんだな。」
釈「計画的な避難なんだな。ほとぼりが醒めるまでアメリカに逃げたわけです。」

まゆ子「しかしながら百億では足りない。持ち出した額がその時点で有った金額の半分であって、最終的な被害は3倍くらいになる。
 まあ損失を覚悟している被害者なら諦めるだろうが、それでは寝覚めが悪いのだ。
 そこで饗子登場! 贄子失踪の顛末と百億の存在を知った彼女は、ごく気軽に「増やしてやろうか?」と持ちかける。」
じゅえる「げ!」
釈「うわーなんて危ない。」

まゆ子「いやいや、その百億を背景として饗子は自分の夫の会社を急成長させます。と言っても百億は見せ金として融資を引き出し、他のIT企業を買収して成長し、そこに投資する。
 そういう形で饗子の夫の会社は一躍ITバブルの寵児となり、投資した百億も順当に増えて損害額を十分まかなえるようになります。
 というか、饗子の会社の株券を使って「キノコブリーダー商法」被害者にそれとは知らずに弁済するという手法を使いました。
 必死で探索する暴力団の目を欺いて、後始末終了。

 さらにその後のITバブル崩壊を利用して暴力団関係者には「例の百億はIT企業に投資され、この度の崩壊で全部損失してしまった」と流します。
 探索も終了です。だいたい2002年くらいの話。
 物辺贄子が追われる事は無くなりましたが、それでも念の為に優子には香能 玄との関係を伏しておく。

 が、その必要も無かろうと判断したのが、今回。」

じゅえる「随分と手の込んだ話なんだな。」
まゆ子「ちなみにここまで話したすべてを、物辺祝子はまあーったく知りません。」
釈「どうして?」
まゆ子「饗子から見ると祝子バカだもん。特にカネ関係は。」
じゅえる「信用が無かったわけなんだね。」
釈「なるほど、祝子さんは難の多い人なんですね。」

 

2013/02/28

まゆ子「というわけで、「ゲキロボ☆彡」花憐ちゃん編は終了しました。330枚というから、まあ1巻としては上等でしょう。」

じゅえる「4ヶ月で330枚ならいいんじゃないかい。」
釈「欲を言うなら、3ヶ月で上げたいところです。」

まゆ子「さて「げばると処女」完結から2年経ったわけです。で、その間「ゲキロボ」書きまくって、ある程度の上達が望めました。」
じゅえる「ふむ。」
釈「2年分アドバンテージがありますよね。」
まゆ子「というわけで「げばおと」を振り返ってみると、完結間近の章であっても、なんか文体温い。」

じゅえる「まあね、今の方がちょっと締まってるかな。」
釈「素人臭さがちょっと抜けた、って感じですかね。書いてる内容はもちろん「ゲキロボ」の方が馬鹿なんですが。」
まゆ子「ばかばなしを書いてる「ゲキロボ」の方が締まってるというのは、どうなんだろうね? 評価+なの?」
じゅえる「あー、そうだねえ素人が書くからネット小説やラノベは良い、という風に考える方向性も無いではない。」
釈「まあ、でも今が読みにくいって事は無いから、+でいいんじゃないですかね。」

 

まゆ子「というわけで温故知新。これからの「ゲキロボ」に何を加えて何を取り除けばよいか。これを考える。
 で、考えた。やはり「ゲキロボ」というかでぽでぽの小説すべてに言える事だが、足りないものが厳然として存在する。」

じゅえる「ふむ。まあ、ラノベ的ハーレムはちょっと欠落しているかな。」
釈「売れ線を描いてませんからね。今だったらMMOですか。」
じゅえる「なんだそれは。」
釈「ネトゲですよ、ファンタジーロールプレイングゲームのネトゲ。でリアルタイムで接続していると、急に抜けられなくなるのです。
 「ソードアート・オンライン」のアニメなんか円盤売れまくりだそうです。」
まゆ子「でもそれ、もう古いでしょ今じゃ。」
釈「ですねえ、アニメ化でぼんぼんこのラインが出るというからには、もう手遅れですね。」
じゅえる「第一ネトゲなんかやらないぞ。うちらは。」
まゆ子「うん。」

じゅえる「売れ線に合わせて描くのは非常に大切な事だ。やっぱり読者様に読んでもらわなければ話にならん。」
まゆ子「うん正論。」
釈「とはいえ、媚びるのもどうかと思いますけどね。そんな上手に流行を追えるようなら苦労はしません。」
じゅえる「たしかにそんなに器用じゃないからな。」
まゆ子「うん。たしかに無理。とはいえ諦めるのはもっと良くない。」
釈「可能な限りの努力をしなくちゃいけませんね。」

じゅえる「今最近の売れ線を考える、ってテーマかい?」
まゆ子「いやもっと深刻な問題だ。

 そもそも私はSF畑の人間で、書くもの全部SFと言って良い。」
釈「はあ。」
まゆ子「その延長でファンタジーも書けるしユーモア路線もなんとかなる。ホラーだってさほど難しくはない。人死は嫌いだけど。」
じゅえる「まあ色々挑戦して来ましたから、文体だけでなく題材も拡張して向上してますね。うん。」

まゆ子「ではあるが、じゃあこれまで書いたのを振り返ってみると、明らかに欠落している部分が有る。というか、過剰な部分があった。
 虚構性だ。お話のラインを考える際に、必ず突拍子もない嘘を突っ込んでいる。SFだから。」
釈「SF、ファンタジー、時代劇でもまあ虚構性の導入から始まりますね。ふつうに。」
じゅえる「現代モノの、それも日常生活に基盤を置いたとっぴな展開の無い普通のお話、以外は虚構性の導入は不可欠ではないかい?」

まゆ子「うん。それ自体には問題は無い。無いが、では虚構性の無いお話が書けるかと言われると、困る。」
釈「なるほど、未踏分野に属するわけですね。そこは。」
まゆ子「で、売れ線というのを考えてみるとだね。たしかに虚構性の導入に問題はないわけだ、なんせラノベだし。
 しかし世の中マーケットはラノベ読者層と想定される中高生→さらに成長したオタク系の人間、ばかりではない。」

じゅえる「スイーツか?」
釈「そんな身も蓋もない。でも分かります。世の中儲かるのはスイーツに焦点を絞った、現代モノなんですね。」
じゅえる「うん確かにドラマになるのはそういう現実っぽい、虚構性の見えにくい作品だ。

 だがね、まあこれは歴然とした嘘話である漫画「テルマエ・ロマエ」は映画大ヒットらしいのだが、数十億円の興収に対して原作料100万円だそうな。」
釈「げ!」
じゅえる「たしかにスイーツは儲かる。だがそこにはテレビ局やら広告代理店やらが巣食っていて、漫画原作を雀の涙で買い叩いてぼろ儲けするビジネスが展開されている。
 現にほら、「海猿」だってアレほど儲かっておきながら、原作者ブチ切れでフジテレビから手を引いたでしょ。」

釈「ああ、あれはやっぱ金の問題ですか。」
まゆ子「たしかムック本を原作者無視して作ったのがよほど腹に据えかねたらしいね。漫画家であれば紙の本に対して直接的な攻撃をするのは当然だな。」

じゅえる「というわけで、ドラマ化されたとしても特に原作者は儲からない。
 むしろアニメ化の方が円盤売上とかグッズ販売とかでちまちまと原作料が入ってきて、マシだと言う。ま、これもテレビ局が絡めばぼったくられるんだろうけどさ。
 スイーツを対象にするのが得策とは言えないね。」

 

まゆ子「とはいうもののだ、出来んもんはちょっと腹が立つ。」
釈「ま、不思議話抜きではお話が書けないと思われるのは、ちょっと屈辱的ですね。」
まゆ子「なんとかしよう。」
じゅえる「ふむ、で? なんかアテが有るんだろ。」

まゆ子「いやそもそもね、「ウエンディズ」には不思議話は無いんだよ。高校の軟式野球愛好会だし。」
じゅえる「言われてみればそうだった。」
釈「はい。」
じゅえる「というか、それで行き詰まったから「げばおと」「ゲキロボ」の不思議路線に転向だろ。」

まゆ子「そもそもが「ウエンディズ」も、不思議話路線からの脱却の為にあえて不思議の無い学園生活を描いてみよう、というコンセプトで始まっています。
 文章力執筆能力の向上した現在、再び挑戦してみてもいいんじゃないですかね。」
じゅえる「ウエンディズやり直し?」
まゆ子「それは無理。」
釈「まあ、無理ですね。」

じゅえる「つまり不思議の無い現実世界を舞台とした物語シリーズを考える、てのが今日のテーマだ。」
まゆ子「うーん、そういう事になっちゃうのかな。私としては「ゲキロボ」の軸足を一歩現実よりに戻したいのだ。」

釈「でも「ゲキロボ」は案外と普通の話も多いんですよ。物辺優子さんの両親のお話は不思議じゃないでしょ。」
まゆ子「無論、既存のお話においてもベースとなるのは現実だ。しかし、ちょっとどっぷりとSFに浸かり過ぎていないかな? と思うのさ。」

じゅえる「ふーむ、路線変更か。いまさら厄介だな釈ちゃんよ。」
釈「たしかにその必要があるのかも知れませんね。というか、花憐編はどっぷりファンタジーでしたから、その反動でしょうこれは。」
じゅえる「そうか、まゆ子に無理をさせ過ぎたわけだ。」
釈「ファンタジーをマジで書くと、著者も汚染されますからね。頭イカれてしまいますよ。」

じゅえる「よしわかった! じゃあ「ゲキロボ」矯正計画始動だ。」
釈「あい。」

 

まゆ子「とはいうものの所詮「ゲキロボ」はゲキロボなのさ。宇宙人からは抜けられない。」
釈「構造的に、どこを切ってもSFが流れ出してきますよ。どうしましょう。」

じゅえる「これは前回推理小説を書こうとして考えた、現実社会に対するイチャモン、という手を導入すべきではないだろうか。」
まゆ子「ふむ。」
釈「ふむふむ。」
じゅえる「つまり所詮は嘘話ではあってもそれが現実社会においてなんらかの示唆をしていると思えばこそ、推理小説は成り立つという結論。
 SFだってそうでしょ。」
まゆ子「確かにね。現実社会においてなんらかの未来的な示唆を成していると思えばこそ、SFというジャンルは今も見捨てられずにいる。」
釈「であれば、これはからは明確に現実社会におけるなんらかのメッセージを織り込んで、馬鹿話を形成するといいんじゃないですかね。
 手間も掛かりませんし。」

まゆ子「コスト最小はまさに目指すべきものだ。」
じゅえる「表立って大袈裟に表現するべきものでもないが、訴えかけるべきメッセージの存在は作品自体になんらかの厚味を与えるんじゃないだろうかね?」
まゆ子「考慮してみるべきかもしれないな、それ。」
釈「じゃあ、「ゲキロボ☆彡」の中で文明に対する警鐘を鳴らしてみる事としましょう。えーと、どういうメッセージが。」

まゆ子「うーーーーーーーーーーーーん、」
じゅえる「うーんんーーーーーーーーーーーんん。」
釈「そうですねええーーーーーーーーーーーーーー。」

まゆ子「とりあえず大目標中目標小目標と立てよう。大目標は「ゲキロボ」全編に渡って、というかもう後半だけなんだけど、を一貫して打ち出されるメッセージ。
 中目標はその巻全体のテーマ。小目標はそれぞれの小さなお話の表現すべきものね。」

釈「有ると無いとでは大違い、ってなるでしょうか?」
じゅえる「ま、これまでも無いわけではないんだよ。そもそも「ゲキロボ」は、宇宙人が干渉してくるならこのくらいはやる!という見本のようなものだ。」
まゆ子「人間の矮小さを描く、人間が力を持ったとしても別に上等な存在にはならないよ、てのを描いているわけです。延々と。」

釈「どうしますか、それを拡張しますか。」
まゆ子「これはとりあえず置いといて。その下に来る大目標を考えよう。」
じゅえる「矮小というのは内容の卑近さによって十分表現されていると思うから、その下だな。この物語は何を目的として描こう。」

釈「今更という気がしますが、やはり人間賛歌でしょうか。人間て素晴らしいと。」
まゆ子「なんか矛盾するぞ。」
じゅえる「とりあえず世界に対する、現実社会に対するいちゃもんだ。なにをプロテストしよう。」

まゆ子「未来だな。未来とはなにかをしっかりと考えよう、というスタンスで。」
じゅえる「うむ。ぼんやり漠然として描く未来像、てのを許さない。もっとしっかりしろよ、という所を大目標としておこう。」
釈「でも、その、どういう風に考えるのがいいんですかねソレ。」

まゆ子「ゲキという物語中で示唆される事は、未来は未来で勝手にやっている。未来は現在の人間が考える未来とはまったくかけ離れた、そもそもほとんどあんた達意味無いよ的な隔絶を描くでしょう。」
じゅえる「じゃあ何をしてもいいのか?」
まゆ子「そりゃ困る。なるべく未来の人間に対して都合の良いように、鬱陶しいものは残さないように、過去でしっかりけじめ付けてろよ。ということじゃないかな。」
釈「いやそれは、なんか未来人ムシが良すぎますよ。いいとこ取りさせろよと言わんばかりではないですか。」
まゆ子「でも人間て、そういうもんでしょ?」

じゅえる「否定出来ないな。未来の人間が過去の人間に望むのは、おまえら俺たちの為になることをして負債を残すな全部過去で処理しろ、という。」
釈「でも発展が無ければ未来の人は結局困るでしょう。現在が発展する為には、過去の様々な試行錯誤とそれによって生じるマイナス面の処理がどうしても付きまとうのです。」
じゅえる「そんなものは要らん。」
釈「要らないと言われても、」
まゆ子「ぜったい要らん。儲かるもの美しいもの善いものしか未来に持ってくるな。」
じゅえる「うん。」

釈「とほほ、それは困りました。じゃあ、これから後半を貫く大目標テーマは「未来人は身勝手」でいいですか。」
「OK!」

 

釈「次は中目標。第八巻を貫くものです。一応仮タイトルで「我関せず」となってますね。」
まゆ子「今回の主役は宇宙人さん有志です。彼らがサルボロイドとバトルって居る最中、物辺村連中はそれぞれに忙しい、というお話。宇宙人達の動きに対して「我関せず」。」

じゅえる「ならば、我関せずをテーマとすればいいんじゃないかな。」
まゆ子「だが世間一般や読者様に訴えかけるメッセージだよ。我関せずでは意味が無い。」
釈「何に対して我関せずか、そこを考えましょう。やっぱりモラルですかね。」

じゅえる「だが物語として描かれる内容とリンクしなくちゃいかん。そうだな、世間一般の人は誰も知らないけれど、世界平和の為に命を懸けて戦っている人が居る。誰が知らなくても戦い続ける。
 そういう無知に対するプロテストではどうだろう。」
まゆ子「逆説で「我関せず」か。うん、それでいいんじゃないかな。」
釈「では第八巻を貫くテーマは「隠れた英雄」です。英雄的行為は世界のあちらこちらに埋もれているのです。」

 

じゅえる「いまさらだが、では第七巻花憐編はどういうテーマでなければならなかったんだろう。タイトルは「八月一日」だよ。」
まゆ子「八月一日の出来事を書いた、ってだけなんだな。」
釈「まあ言うなれば「不思議の国の花憐」なんですが、それはテーマじゃないですよね。」

じゅえる「花憐がー、花憐がしっかりした娘になりましたよ、ってのがテーマと言えばテーマだな。その点に関しては内容の描写も成功していると思う。」
まゆ子「花憐がしっかりとしたヒロインに成る、これを目的とした巻でした。それは成功したと思います。
 でも世間に訴えかけるべきメッセージとすればー、うーん。」
じゅえる「運命からの解放、ってところかな。心の持ちようによって過酷な運命もからりと抜け出せる。そんな気分じゃないだろうか。」

釈「では花憐さんは過酷な運命を押し付けられたて事ですか。」
じゅえる「変態の夫とその小姑はいかんだろう。十分不幸な運命だと思うよ。」
まゆ子「まったくだ。つまり人間関係の複雑さ猥雑さ、それからのあっさりとした逃走と飛躍。不思議の国が現実社会からの逃避だとして、そこから帰還する花憐が一歩成長して脱皮した。
 そういう物語であるべきでしょう。」
じゅえる「ふむ。概ね事前の計画どおりではあるんだし、事実内容の描写はそれに沿っているのだが、改めて言葉にしてみるとー。」
まゆ子「改めて言挙げしてみると、ちょっと足りないかな?」

釈「うーん、その為にはもっとゲイグ兄妹を至極残酷にいじわるに描くべきでしたね。これでは少し弱い。ただ、弱いからこそすんなり読めるとも言えます。」
じゅえる「今更手遅れってことだな。」
まゆ子「うん、最初から不思議の国で大活躍てのは計画してたんだから、それに対する意味付けをちゃんと事前にやっておくべきであった。
 とはいえ、別に失敗ではないのだ。よく書けたとは思うぞ。」

じゅえる「失敗はしていない。しかし、まゆ子を不安にさせるくらいにはファンタジーの毒がにじみ出ている。現実に対する抗議という機能を見失ったからなのだな。」
釈「このテーマ決めって、ひょっとしたら随分と重要なものなのかもしれませんね。」

 

まゆ子「さて小目標だが、これはまだ第八巻の構想が出来ていないからまだダメだな。しかし、テーマを必要としてそれが十分機能すると分かった。
 今回の試みはは無駄ではなく終わって、嬉しいよ。」

じゅえる「じゃあ第八巻についてはおいおい書いていくとして、問題は第九巻だよ。「喜味子モテ期到来」だ。」
釈「オーラシフターですね。」
じゅえる「オーラシフターは本編とは別口の展開も出来るように考慮された、つまり別シリーズだよね。なら大目標も別に考えなくちゃいかんだろ。」
まゆ子「もっともなお話。」

釈「じゃあどうしましょう。まず何にいちゃもんを付けましょうか。」
まゆ子「いちゃもんて言い方はどうかと思うが、まあ世の中世間に対して何を訴えるか、自分自身を棚に上げて悪をそしるわけですよ。」
じゅえる「オーラシフターはいわゆる超能力戦士なんだろ? じゃあ能力バトルをするわけだよ。そこんところから逆算して。」
釈「無能、ですか。世の無能の連中を誹りますか。」
まゆ子「うーむしかし無能というのも、なかなか難しい概念でね。高いレベルに行けば行くほど評価は難しいんじゃないかな。」
じゅえる「まあ結果がすべてではあるけどさ。」

まゆ子「無能、か。いや無能とは程遠いであろう連中が、社会的地位の高い国家でも最高レベルの権力を握る人間たちの、そいつらの無能を誹るのはやぶさかではない。」
じゅえる「単純に三流週刊誌的弾劾とは異なる、高度レベルの無能批判だな。」
釈「哲学的無能状態をそしりましょう。オーラシフターは超能力以前に仙術の道士ですよ。もっと精神的なレベルでの覚悟の無さを追求すべきです。」
まゆ子「うん、まあ、それもなんと言いますか、十分厨二的態度でありますねえ。」

じゅえる「世にプロテストするのに厨二でなくてどうしますか。できるもんかそんなもん。」
釈「まあ批難する奴は自分のことを有能だと思ってるわけですよ、たいがいは。無能と自覚する人間に無能呼ばわりされる、これくらい腹の立つ話も無いわけです。」

まゆ子「いいでしょう! どういうわけだか知らないが、オーラシフターには有能さについての評価というのが常に付きまとうらしい。
 ここんところをちょっと追求してみましょう。」

じゅえる「だいたいがして、少年少女ばかりを集めた能力者集団といういかにもな存在が無能であるわけにはいかないしね。」
釈「ただ、そんなのが世間において社会構造においてどう位置づけられるか。有能さというものを深く考慮してみるべきでしょうね。」
まゆ子「つまり高いレベルにおける無能、を補填する為の存在がオーラシフターでありその卒業者だ。
 ふーむ、なんとなく方向性が見えてきたぞ。うん、じゃあそのラインで。」

じゅえる「じゃ、次。中目標。つまり本来描写される喜味子暗殺未遂事件だ。」
釈「この巻ですね。「喜味子モテ期到来」。なかなか意味深なタイトルです。」

まゆ子「そもそも喜味ちゃんは、これまで書いてきたのを見ると、実はモテモテなのだ。」
じゅえる「うん、意外と人に慕われているな。顔は怖いのに。」
釈「逆に、顔が怖いからそのギャップでいい人扱いされている、という感じでもあります。」
まゆ子「なんというかね、少なくとも女子の間の評判では鳩保よりは上、もちろん優子より遥かに上なのだね。」
釈「意外な真実。」

まゆ子「そこを敢えてモテ期と表現するからには、男女間の恋愛感情について描写すべきであるわけさ。」
じゅえる「当然だね。」
まゆ子「だがさすがに無理!」
釈「とうぜんなんですね、怪獣ですから。」

まゆ子「そこで二の矢を放つ。オーラシフター共は物辺島でとっ捕まって折檻される内に、喜味子に対して恋愛感情に似たものを抱くようになる。女子もだ。」
じゅえる「ほお。」
まゆ子「だがあくまでも擬似恋愛感情、その本質は母性愛なのだ。オーラシフター共は肉親の情に飢えている。そこに喜味ちゃんがひっかかるわけだよ。」
釈「なぜだか知らないけれど惹かれていく、その正体は恋愛ではなく母の愛であった。そういうことですね。」

まゆ子「ところがだ、喜味ちゃんはけっこう男っぽい性格なんだ。」
じゅえる「うーむ、なかなか倒錯しているな。」
まゆ子「さらに言うと、彼らを使うジジイは、そのまんま父性の象徴でもある。まあもうちょっと難しいものだけどね、爺と父の違いは。
 でも、つまり喜味ちゃんから漂う母性愛と、爺から与えられる父性の智慧と、対立し喜味ちゃん勝利、というシナリオだ。」
じゅえる「これまで計画したとおりにね。」

まゆ子「であれば、「父性と母性の対立」を中目標に掲げようではないか。」
釈「ふむ。しかし喜味ちゃんの母性は、普通の母性とはかなり違うものですよね。」
まゆ子「そうとう違う。いや、違ってイイ。母性の暗黒面だな。」
じゅえる「しかし母性ってのは、暗黒面でなくても混沌としているものだろう。無制限というか無根拠の愛というべきもので。」

まゆ子「混沌の暗黒面とはなんだ?」
釈「むちゃくちゃ、ってことではないですか?」
まゆ子「いやそうじゃなくて、母性は混沌である。これは認めよう。愛はすべてを慈しむものである。これはいい。
 だが愛の暗黒面となれば、すべてを呑み込み喰らい尽くす大地の暗黒神的な存在であろう。」
じゅえる「つまり混沌の逆概念だな。対になるのは秩序コスモであろうが、混沌の中から現れるものとすれば、否定しがたい真実、ってところか。」

釈「説明の必要を覚えない真実、真理。絶対の冒し難さを持つ問答無用の現実。モノと同じレベルで確固たる存在を見せる定理。ですかね。」
まゆ子「秩序の支えを必要としない、絶対存在だろうかね。」

じゅえる「そりゃ父性は勝てないわ。智慧の及ぶところのものではないな。」
まゆ子「喜味ちゃんは絶対に勝つわけだ。」

釈「理解しましたが、なんと表記しましょうかそれ。「母性の勝利」いや違うな、「暗黒母性の超克」いやなんか外れた、えーと。」
じゅえる「「カオスの結晶」、これでどうだ。」
まゆ子「いや、ここまで読んだ人ならそれで通じるが、いきなりカオスの結晶はなんの事だか。」

釈「ここはオーラシフター達の立場から見て、「秩序から開放される知性」という感じで。」
まゆ子「不足。」
じゅえる「「混沌の岩礁に乗り上げた父性」こんなところか。」
まゆ子「母性の混沌に屹立する脊椎に乗り上げる父性知性」、こんな感じだな。日本語としてどうかと思うが。」
じゅえる「あーでも、別にこれでいいや。テーマそのものを表記するわけじゃないんだから。」

釈「いやここは単純に「母性の悟り」とした方がいいんじゃないですかね。結局悟るわけでしょ、一種の。」
まゆ子「「暗黒母性の悟り」、ここでおしまい!」

 

2013/2/22(オラーシフター)

2013/02/07

まゆ子「というわけさ。」

釈「でぽでぽ扉絵が更新されましたね。ガスコーニュさんの勇姿です。」
じゅえる「ほんとに二階建てしているぞ。なんだかすごく不安定な構図だ。」
釈「ああ、特に上のロボット、脚の股のところの取り付け位置がすごく後ろですよ。これ立てないんじゃないですか? 設計上。」

まゆ子「あんた達が悪い。土管ロボが足で歩けないとか走れないとか言いやがったから、設計を変更したんだ。
 よく見てみろ。股の取り付け位置が上のロボットと下のとで全然違うだろ。」

釈「……あホントだ。上のはすごく後ろなのに、下のは真ん中くらいに来てる。」
じゅえる「どいうこと? 二種類有るの?ガスコーニュ。」
まゆ子「あんた達が足での移動が出来ない、走れないとか言ったから、走れるように機構を工夫したんだ。
 とはいえ、土管ロボカスコーニュは全高3メートルで短足と決まっているから運動能力の強化の為に脚を伸ばすことは出来ない。そこで、これまでに類例の無い設計をひねくり出したんだ。

 ガスコーニュの股関節取り付け位置は前後に移動する。レールの上に乗っかっている。
 つまり関節が、足首→膝→股、に加えて→レール、になっている。このレール上を股関節が移動する事で長大なストロークを発生させて走行時のスピードが出せるようになったのだ。」

じゅえる「あー、釈ちゃん、どうだろうこの設計。こんなものでほんとに歩けるだろうか? というか、転けない?」
釈「あのー静止時はどうなるんです?」
まゆ子「レール最前部、つまり前の土管と後ろの土管の中間に股が来る。つまり重心の真下に有るからちゃんと立てる。」
釈「大丈夫そうです。」

じゅえる「つまりー、ガスコーニュは普通に歩く時は普通のロボットみたいに足を前後に動かして歩行するけれど、高速走行時はレールを使って股を前後する事で長大なストロークを発生させて歩幅を大きくする、てことか?」
まゆ子「うん。」
じゅえる「その利点は。」
まゆ子「まず足が短くても大丈夫。移動の為の長大な脚は全高をいやでも高くして被弾率を上げてしまう。」
釈「リアルロボット物一番の弱点ですね。」

まゆ子「その2、脚部自体におおげさなアクチュエータを搭載する必要が無い。低速で足場を確かめながらの慎重な歩きと、高速性能を追求した走りに向いた脚とは当然に形状が異る。
 つまりは鹿の脚と熊の脚は自ずと違うてことね。これを機械にのみ可能な機構によって統合出来た。」
釈「つまり鹿のような高速走行性能と、熊のようなというか人間のような複雑で足場が悪いところでも確かめながら歩く性能とが同じ構造で可能になったわけですね。」
まゆ子「特に13dというべらぼうな重量を支える為には高速性能を無視しなければ実現は不可能と考えられるところ、レールによってなんとかなったわけだ。」

じゅえる「しかし、股の付け根が後ろに行っちゃえば、前半身は下に落ちないかい。」
まゆ子「高速時であれば大丈夫。落ちる前に反対側の足が前に進んで地面に接地すれば進み続けられる。」
釈「まあそこは制御系の問題です。」

 

まゆ子「利点その3、脚という可動部に強大なアクチュエータを搭載せず腰部にレールという形で搭載することにより、より強力なパワーを脚部に供給出来るようになった。故に高速走行が可能である。」
釈「まあ、こんな小さな脚に凄いパワーを期待する方がおかしいといえばおかしいわけです。」
じゅえる「そりゃそうだ。この程度の脚ではちょこちょこ歩きがせいぜいだろ。なるほど、つまり脚自体はただのつっかえ棒なわけだな。」
まゆ子「まあそこはちょっと後で説明するけれど、脚自体はこれはこれで歩けるんだよ。ただ高速走行なんかは無茶なところ、レールによって成し遂げた設計だ。」

釈「つまりこの小さい脚でも13dの機体重量を十分に支えて歩けるのですね?」
まゆ子「まあロケットによる浮上力も有るし、常識的な歩行であれば可能なくらいのパワーは出せる。そういう風に出来ている。」
じゅえる「そこのところは、まあSFロボだし。」
釈「機構がSFなのに重量13dをリアルと考えるのもさすがにどうか、て話ですね。空想ロボなんだから重量2dと言っても良いわけですよ。」
じゅえる「2dなら現代科学でもなんとかなりそうだな。」

 

まゆ子「利点その4、股関節が自由に前後スライドする事により上半身の自由度が上がる。胴回りが左右旋回する機構を持たないにも関わらず、股関節の位置を換えることにより複雑な運動が可能になった。」
釈「ほお、つまり寸胴であるにも関わらず器用な動きが出来るわけですか。」
じゅえる「土管型ロボは数有れど、胴が回らないてのはだいたいデメリットとして数えられてるからね。そうか、胴回り機構の代替物としてレールが有るのか。」
釈「そう考えるとこの機構は特に不思議ではないわけですよ。」

まゆ子「人間走る時はやはり全身を使って走るわけで、股から下だけで上体は動かさずに走るってのは特殊技能になってしまうんだよ。」
じゅえる「なんば走りってのがそれだっけ?」
釈「サムライの走り方ですね。具足を着けて胴がねじれないままに走る技術ってのが昔は有ったのです。」
まゆ子「というわけだ。つまりガスコーニュはすり足が出来る。足場の悪い場所でもスムーズに歩けるのだ。」

釈「認めましょう。でも低速でも大丈夫なんですかね。脚を後ろにやり過ぎて前に転けるってことは。」
まゆ子「実はガスコーニュは見てのとおりに前と後ろに土管が2本くっついた構造であるよ。前はもちろんコクピットでがらんどう、後ろは動力炉マジックポッドとその上にミサイル載っけてる。重い!」
じゅえる「つまりガスコーニュの重心は基本的には後ろにあるわけだ。だから前に大きくせり出してもバランスが取れるんだな。」
釈「なるほど、いいかげんな設計のくせして随分と考えましたね。」

 

まゆ子「利点その5、というわけで脚部に前後方向推進の便宜をあんまり考える必要が無い。というわけでカエル脚にしてみました。!」
じゅえる「カエル?」
釈「じゃあこの脚は前後ろに曲がるんじゃなくて、横に曲がるわけですか。」
じゅえる「カエル脚で歩けるの?」
まゆ子「歩けますよ。ガニマタで。」
釈「このロボはガニマタですか。まあルパン三世だってガニマタでかっこいいアクションしているわけですから、なんとかなるかもしれませんが。」
じゅえる「でもなんで?」

まゆ子「まず基本から。股関節は左右のみならず前後方向にも回るようになってます、機械だから。つまりガニマタであっても通常歩行が可能な設計です。」
じゅえる「ふむふむ。」
まゆ子「その上で、左右に曲がる脚の利点を述べましょう。即ち、横に歩くのに便利だ。」

釈「はあ。」
じゅえる「そりゃそうだろうけどさ。」
まゆ子「いやこれは非常に大きな利点なのだよ。第一普通の車両は横には動けない。」
じゅえる「そりゃね。」
釈「そうですね、真横に移動する機構を持った機械は、ホバークラフトでも無いでしょう。ヘリコプターくらいなもんです。」

まゆ子「よくロボットアニメであるでしょ。敵に横腹を見せたまま銃だけを敵に向けて応戦しながら移動する。」
釈「確かに多い絵柄です。」
まゆ子「あれって危険。」
釈「はい、正面装甲が最強と考えれば、これはいただけませんね。」

まゆ子「ガスコーニュは前後方向の移動は腰部のレールで確保した。余録として横方向移動能力を獲得したのだ。
 ガスコーニュであってもやはり正面装甲が一番強いのは変わりない。土管の正面がいちばん敵に強いんだ。
 であれば最強の盾を敵に向けたまま横に移動出来る方がなにかと便利だろ。」

じゅえる「でもガスコーニュは基本的には浮上走行するんだよね? あえてガニマタにしなくても、」
まゆ子「ガニマタがかっこいい!」
釈「あー個人の趣味ですかー。」
まゆ子「というか、今回製作していて痛感したのだ。普通の人間みたいな脚はこいつには無理。短足過ぎる。短足過ぎてまともな歩行すら不可能。というか膝を曲げるスペースが土管下には無い。
 さりとて足を土管の横に大きく張り出させるのも美しくない。やはり足は胴体の下に置きたい。
 で、考えついたのがガニマタだ。横に開く脚は、また中央に足を折り畳める形でもある。ガニマタであっても股関節で前後方向に回せばちゃんと歩ける。
 この着想を得たからこそ、腰部にレールを装備して股関節を動かそうって発展したのだ。

 つまりはガニマタ最強なのだ。」
じゅえる「分かった分かった。まあガニマタは蟹という生物学的な成功例も有るからね、許す許す。」
釈「横歩きだけでなく前進も出来る蟹も居るんですよね、たしか。なるほどガニマタは許可すべきでしょう。」

 

まゆ子「利点その6。ガニマタであるから、平泳ぎが得意!」
釈「それはギャグです。」

まゆ子「利点その7。というか、クレーンとか見ても分かるとおりに、重量を支えるアウトリガーはガニマタだ。」
じゅえる「うん。」
まゆ子「射撃の反動を吸収するにあたって、アウトリガーとして脚部を使うってのは前回ちゃんと説明している。」
釈「前回の〆ですね。」
まゆ子「ならばまったく問題無いだろ。」
じゅえる「ああそういう事か。アウトリガーをそのまま使って歩く方法を考えたんだな、おまえさんは。」
まゆ子「えっへん。」

 

まゆ子「利点その8。同じレール機構を肩関節にも採用してみました。これによって土管型ロボ全体の問題である腕部の自由度の低さが大きく改善されました。」
じゅえる「そうなの? ちょっと絵を、」
釈「あ、ほんとだ。肩関節の取り付け位置も変だ。なるほど。」
まゆ子「まあ前肢が長いガスコーニュは自由度は大して困らないんだけどね。肩レールのおかげで随分と大きく腕が回るようになりました。

 のみならず、こいつを駐退機として用いることで腕に装備した強力な火砲の反動を緩和出来る事となります。」
釈「腕では吸収しないのですか。」
まゆ子「この小さい腕にそこまでの能力を期待しちゃダメだろ。」
じゅえる「つまり腕自体はただのつっかえ棒として反動をそのまま伝達し、肩レールのアクチュエータで吸収するんだな。」
まゆ子「それだけのスペースを設定しております。パワーというものは容積を必要とするのですよ。」

じゅえる「ふん、どうせ作りながら考えたんだろうが、うまく誤魔化しやがったな。」
まゆ子「なにせ設計図なんか無いんですから、そりゃ宙で考えますよ。」
釈「デタラメSFにも三分の理、ってことですね。」

 

****************

じゅえる「でもさ、腕の機関砲は割と良い感じに出来たんじゃないかい。」
釈「そうですねえ、手としての機能がちゃんとしてますね。ただー大きさ的にはやはりちょっと20_ぽくはないですか。」
まゆ子「12.7_クラスだね。まあ無理して押しこむとすれば40_のグレネードランチャーなんかいい感じだな、この容積だと。」

じゅえる「でもさ、砲が短いと弱いんじゃないの威力。」
釈「短砲身の大砲は榴弾使うから威力的には問題ないですよ。装甲目標が相手でないかぎり。」
まゆ子「一応ガスコーニュの標準搭載の火砲は20_先進機関砲とミサイル、対空レーザー砲です。今回出てきたのはそうです。」

じゅえる「その先進機関砲って、どこらへんが凄いんだ?」
釈「というか、火薬が凄いんですよね。」
まゆ子「ミサイルの火薬はべらぼうに進化してます。というかロケット推進剤の進歩が凄いんだけどね。RPG7と同じくらいの容量の推進剤で上空1万メートルまで飛んでいきます。」
じゅえる「それってー、すごいの?」
釈「RPG7はだいたい1キロくらいしか飛びません。まあ斜め45度で撃ち出せばもっと行きますが、上空1000メートルはまったく無理なんじゃないですかね。」

じゅえる「なんでそんなに凄いの?」
まゆ子「ロケットのくせに空気取入口が有るからだよ。つまりジェットエンジンみたいなロケットエンジンが付いてるのだ。」
釈「どういう機構なんですかそりゃ。」
まゆ子「いや、単に噴射で飛ぶんだけど熱量有り余ってるからついでに周辺の空気かき集めて余計に噴射しております。発熱温度がべらぼうに高いんだよ。」
じゅえる「エネルギーも大きいわけだ。」
釈「ほとんど核ミサイルくらいに?」
まゆ子「いやさすがにそんな無茶は言わないが、量子工学の産物であるから化学ロケットとはちょいと違う。物理反応ロケットと呼ぶのが正しいのかな。」
じゅえる「そんなエネルギーを出す反応が有るんだ?」
まゆ子「これから先の科学で偉い科学者さんが作ります。というか、人工擬似原子とかいうのを使ってますから無茶なんですよ。」
釈「なんか無茶な火薬なんですね。」

じゅえる「じゃあさ、その火薬を使えば先進機関砲もできちゃうんだ。」
まゆ子「と思うのが素人のあさはかさ。実はまったくダメです。」
釈「ダメなんですか?」
まゆ子「凄い火薬を使えば凄い大砲が出来る、これは正しいんだが、そのエネルギーを砲弾に与えるには長い砲身が必要なのだ。」
釈「ああ、ガスコーニュには載らないのですね。」

まゆ子「というか、そんな火薬を使えば砲身自体が圧力に耐え切れずに爆発してしまう。砲身が熱で溶けちゃう。」
釈「無茶言ってすいません。」
じゅえる「じゃあつまり、火薬ってのはほどほどがいいの?」
まゆ子「だから発射薬としてふさわしい性質を持った火薬を使うのが当然です。」
釈「ですね。」

まゆ子「とはいうものの、だ。ならちっこいミサイルを作ればいいじゃん。という選択肢も有る。実際可能なのだが、ガスコーニュでは使ってない。」
じゅえる「ふむ。」
釈「何故です?」
まゆ子「だって大きいミサイルの方が強いもん。しかも大きいと言ってもRPG並の小ささで、これ以上小さいミサイルの必要性を感じない。」
釈「ああ、それは当たり前の反応ですね。」
じゅえる「用が無いわけかそんなもん。」

まゆ子「それに技術的チャレンジという観点からして、そんな運動エネルギーミサイルは欲しくなかったのだ。
 なにせガスコーニュのエンジンはマジックポッドと呼ばれる不思議動力炉。電気がいっぱい発生します。」
釈「口で言ってはいけない動力炉ですね。」
じゅえる「電気が有るのなら、電磁的に発射する方が技術的に遥かに面白いな。」
まゆ子「おもしろいんだよ。」
釈「誘惑にはさからえませんね、技術者さんも。」

まゆ子「というわけで、半分電磁投射砲なのだ、この先進機関砲という奴は。つまり火薬の化学反応で出た燃焼ガスを電磁的に封じ込めてマイクロ波で再加熱して、そいつで砲弾を加速するというややこしい手順を使う。
 別名「プラズマ缶詰砲」だ。
 原理は簡単、要するにムカデ砲。砲身の横に幾つも穴が開いていて、砲弾が通る直後の穴からガスを噴出して段階的に加速する。このガスがプラズマになっただけの代物です。」

釈「すなおに電磁投射砲ではダメなんですか?」
まゆ子「いやね、実は電磁投射砲色々作ってみたんだよ。なにせ電気が有り余るから。でも無闇と重くなったり、一回の発射で熱で溶けちゃったり、すさまじい電波が発生したりと大失敗の連続でした。
 でミスシャクティのアドバイスを受けて、簡単と思われるプラズマ缶詰砲に落ち着いた。のが現在の状況です。」
じゅえる「基礎技術が低すぎて実現出来なかったのか。」
まゆ子「ぶっちゃけ、未来の武器技術の現代への移転はミスシャクティは消極的ですから。

 ちなみにNWO米軍がミスシャクティから供与されている未来ロボ マーズマンSTの正規の武装は電磁投射砲とレーザー砲です。電磁投射砲技術を獲得する為にもロボ奪取が必要でした。」
釈「やはり、凄い技術があるわけですね。」
まゆ子「電磁投射砲にもブレイクスルーが有るんだよ。ただ電磁的に放り投げればよい、というものじゃないんだ。」
じゅえる「気づくまでが大変。」

 

まゆ子「というわけでプラズマ缶詰砲は出来たんだが、この砲はそれなりに膨大な電力を必要とする。ガスコーニュ専用装備だ。
 同じように電力消費をするのならレーザー砲を使えばいいじゃん。という思惑が働いて、米軍にレーザー砲装備の機運が高まり、それを頓挫させるために前回宇宙戦艦島へのガスコーニュ攻撃が行われました。」
じゅえる「そうだっけ。」
釈「そうなんですよ、ちゃんと小説にも描いてます。」

まゆ子「だがやはり電気が必要なのはいただけない、とやはり火薬だけで発射しようという改良が行われてそれがレパードに搭載される事となります。
 どういう機構かといえば、ミサイルに使ってる凄い火薬を爆発させてその熱で推進剤を加熱して高圧を発生させムカデ砲に導いて砲弾を加速させる。シンプルな方式。」
じゅえる「最初からそれで良かったんじゃないかい。」
釈「まあ技術的進化は順序立てて行いますから。」

まゆ子「2008年現在、この改良型先進機関砲は出来てるのですが、ガスコーニュには装備されていない。ガスコーニュの定数は決まってるからそんな劣化装備は要らないのだ。
 で、そこに急遽NWOに武装強化の必要が生じて、レパードが緊急配備されこっちにそれ使われます。」

じゅえる「レパード自体は機体作ってたんだ?」
まゆ子「NWOがミスシャクティにその必要を上申した次の日に、レパードが百機提供されました。みなびっくりです。」
釈「もう、作っていたんですか。」
まゆ子「だってミスシャクティはゲキの力使えるし、花憐ちゃんが持ってるような予知能力も伝手で使えるし、そもそも未来人だから何が起こるか知ってるし。」
釈「計画通りなわけですよ。」

じゅえる「でもレパードも21世紀人が作ってたんだろ、NWO本体に知られずに増産出来るのかい。」
まゆ子「そこらへんに、今回出てきたエマニュエル・ゲイグさん達が関わってます。彼らはミスシャクティの親衛隊的な存在であってNWOの最高会議からも独立して独自の活動を行なっています。
 兵器生産も勝手にやって、そもそもが世界各国にある兵器メーカーもなにかわからないけれど部品調達とかさせられて、宇宙戦艦島で組み上げて出来上がりですよ。」
釈「魚潜水艦とかもそうですか。」

 

まゆ子「そこらへんを、次のロボット回でちゃんと描写しましょう。兵器開発チームが暴走してマッドサイエンティスト大活躍というおはなしですから。」
釈「最終決戦の一つ前のお話ですね。」

inserted by FC2 system