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オーラシフター設定

2013/03/12ふぁいぶりおん章

 

 

 

 

 

2014/04/28

まゆ子「さて焦眉の急の議題を進めます。」

釈「なんでしょうか。」
まゆ子「第十一巻「萬國吃驚博覽會」、つまりオーラシフターが大活躍します。狼男に対してかっこいい超能力戦を仕掛けます。」
釈「おおー。」
じゅえる「本当に超能力は有る事にするのか。」

まゆ子「さて問題です。どうしましょう?」

釈「あー、何も考えてない?」
じゅえる「いつものことだからもう驚かないが、どうやるつもりだったんだよ。」
まゆ子「基本的に何も考えなくてもあんた達がいい感じにやってくれるからいいかなーと。」

釈「こんな事言ってますぜ、じゅえるの旦那。」
じゅえる「まあ慣れてるからいいんだけどね。そうするとー、つまり何をやってもいいわけだな。」
まゆ子「御自由に。ただ構想としては、オーラシフターは山の中で戦います。街に入ると警察力とか自衛隊とか出てきますが、今のところは表立って公的な事件にはなっていません。」
釈「オーラシフターだけが追っているのですか?」
まゆ子「というか、オーラシフターの前に狼男捕獲に行った部隊の手に負えないから、超能力戦士を必要とした事態。と理解してください。」

じゅえる「特務保安隊でいいのか、それは。」
まゆ子「悪くはありませんが、もっと別の組織でもいいです。というかそもそも特務保安隊は日陰の存在であり、警察自衛隊からは良く見られていません。
 今回の状況を考えると、まず警察の隠密部隊が出動して失敗した結果特務保安隊に管轄が移り、それでもダメだから現在調停中のオーラシフターが特別参加させられた。そういう感じです。」
釈「ふむふむ、なにか面白そうですね。」

じゅえる「つまりまず警察の隠密部隊を考えるべきなんだ。SAT?」
まゆ子「SATではない。というかまずは追跡するのだからSATじゃない、機動捜査隊とでもいうようなかなりの広範囲をカバーできる機械化部隊です。」
じゅえる「狼男はそれだけ広範囲に活動しているわけだな?」
まゆ子「とりあえずサルボロイドの部品は5個に分かれてますから、5つの部隊が有ると考えます。」

釈「しかし機動捜査隊というのは実際に有るんじゃないですかね? 聞いたことがあるような気がします。」
まゆ子「ふむ、そうだな。じゃあ機動追跡隊とでも行っておくか。公的には犯罪者やテロリストが広域で活動中と思われる時に派遣される、県警の管轄を越えて機能する捜査隊てとこか。」
じゅえる「機動追跡班でいいよ。あまり表立って定まった部署でない感じで。」

釈「ふむふむ。分かりやすいですからね。でも武装はそれなりに充実してるんですよね。」
まゆ子「そうでもない。まあ自動拳銃とライフル銃くらいだな。防弾服を着た機動隊員て感じでそれほど特殊なものではない。」
釈「では対人装備に過ぎないわけですか。」
まゆ子「SATが投入される前段階に、目標を追い立てる部隊、と考えるべき。むしろ使っている車両が優れている。防弾車だし情報機材をしっかり積んでいるし。」
じゅえる「あくまでも追跡用だな。」
まゆ子「なんと無人偵察ヘリまで持っている。というかただのラジコンヘリですが、日本製のは良いヘリです。」
釈「なかなか先進的です。」

じゅえる「で、こいつらは失敗するわけだ。なんで?」
まゆ子「簡単に言うと反撃されました。狼男は警察を恐れません。反撃すれば警察が大量投入で捕まえに来る、とか思わないのです。」
釈「ああつまり、狼男という非常識な存在に警察力の導入は限界があったから、特務保安隊を投入したわけですね。」
じゅえる「特務保安隊は一応は兵隊みたいな装備だからな。なるほど、普通に理にかなってる。」

釈「特務保安隊はなぜダメだったんですか。」
まゆ子「簡単に言うと山の中だからです。武装した人間は重たいから、山の中をオオカミみたいに素早くは動けません。特務保安隊は装備は良くても人員は少ないから、対処不能です。
 自衛隊のレンジャー部隊でもちょっと追いつけないと判断して、超能力部隊の投入が決定されました。」

釈「オーラシフターは動けるんですか。」
じゅえる「まあ、仙術によって身体能力を強化する事も芸の内だからな。」

 

釈「質問。特務保安隊は人数何人くらいですか。」

まゆ子「戦闘員としては1000人。しかし首都圏を中心に配置されているから、ゲキ関連に投入できるのは200人くらいだね。狼男狩りには1個小隊30人くらいだから、そりゃ山狩りは無理。」
じゅえる「ゲキ関連においては自衛隊が前面に出て活動してるんだけど、どういう具合に分担してるんだ?」
まゆ子「自衛隊は基本的に人間の武装勢力を抑えこむ形で活動しています。対宇宙人戦闘はそもそも考えられていない。というか無理。」
釈「いえ誰がやっても無理ですが。」
まゆ子「ただ自衛隊、陸自を使うと火器の使用がエスカレートして糊塗できなくなる可能性が高いから、宇宙人関連の襲撃事件が起きた場合はレンジャー部隊か特務保安隊を使う。
 この分担は最初に宇宙人の活動をを関知したのが米軍・自衛隊か、警察かの違いだ。基本的に警察はSATを宇宙人対策には投入しない。」
釈「縦割り行政ですか…。」

じゅえる「特務保安隊は戦闘部隊しか無いのかい。」
まゆ子「いや、なにせ数が少ないから全国に派遣する輸送隊が充実してるし、というか新幹線使って移動したりもする。」
釈「しんかんせん!」
まゆ子「それに存在も活動も極秘であるから、諜報機関としての人員が結構居て分析班も充実して、まあ後は事務とか装備とかで総数は5千人てとこだな。」
釈「諜報機関としての存在が大きいわけですか。ほお。」
じゅえる「まあ諜報機関であれば普通に5千人規模くらいは必要だろうな、普通の国なら。」

まゆ子「いやーそれが、真の意味での諜報機関としてはそこまで大きくはない。なにせ特務保安隊の第一の任務は警備であって、守る所は決まっていて、それに対する脅威の存在も結構固定してるんだな。
 なんというか、通常任務で見張ってれば大丈夫。ってのが特務保安隊の普通のお仕事だ。第一諜報部ではなく、保安情報部門て名前だ。」

じゅえる「なんでそんな無気力な秘密部隊なんだよ。」
まゆ子「特務保安隊はこちらから状況を改善する為の行動、状況の能動的な制御が許されていないのだ。常に受け身の存在だ。」
釈「ああ、そうか。基本的には自衛隊と同じ仕組なんですね。」
まゆ子「日本版CIAとはまったくかけ離れた存在です。まあなんだ、前にも説明したとおりに武装集団による襲撃に対抗する為の強化警察って程度でしかない。」

釈「特務保安隊を改変して日本版CIAになったりはしないんですか?」
まゆ子「無い。」
じゅえる「言い切るのか。」
まゆ子「基本的に特務保安隊は政府直属の武装勢力であって、政府が直接コントロールするからこそ強力な武装が許されるってものだ。
 そこに独自の工作機関とか謀略を任せたりしたら、途端に枠組みがひっくり返る。それは政府の側が望む形ではないんだよ。」

じゅえる「それは分かるが、じゃあ付属の諜報機関はそのままで発展性無しでいいのか。」
まゆ子「良しとはしない人間もそりゃ居るだろうが、大半の保安隊上層部はこのままで居る事の利点を十分理解しているから動かない。というか長年の警察・自衛隊との軋轢を経て今の形態に落ち着いているのだ。ひっくり返すのは無茶なんだ。」
釈「ああ、警察自衛隊共に特務保安隊をちゃんと認知して対抗し牽制してるんですね。だから発展性を見せてはいけないのですか。」

じゅえる「しかし状況が、ゲキの出現によって変わったんじゃないか。」
まゆ子「変わりましたが、特務保安隊を核としてゲキ対策をする事はありません。なにせ米軍との関係が一番重要な案件ですから。」
じゅえる「ふむ。外務省防衛省官邸とそんなところが中心に動くわけだ。」

 

まゆ子「しかし状況が変化していないわけでもない。というか重要拠点防御の為に警察の戦闘力を強化する方針が決まったから、特務保安隊の任務が一部解除されて自由に使えるようになってきた。
 だからゲキ関連の特殊任務に回せるようになってきて、これまでの諜報部門を切離して公安部に肩代わりさせると共に、ゲキ関連の特殊案件調査部を新設する予定になっている。」
釈「ああ、警察も自衛隊もようやく原発とかを主要な警備対象として認められるようになりましたからね。」
じゅえる「なんだ、つまりこれからなわけだ。使えるのは。」

まゆ子「というわけで2008年現在の特務保安隊は諜報機関としても特殊部隊としてもほとんど使い物になりません。ただ充実した火力を見せびらかせて脅してこい、という感じで出動しています。」
釈「かなり痛い運用ですね。」
じゅえる「だがつまり一発も撃つ気が無い、むしろ現実的な運用をされているわけだ。」

釈「あ、でも今現在はゲキ関連の調査とかはどこの部署がやってるんですか?」
まゆ子「簡単に言うと、民間に丸投げだ。」
釈「うそ!」
まゆ子「だからこそオーラシフターとか出番が有るし、ニンジャなんて頑張っているのだ。」
じゅえる「民間、ねえ。要するにアンシエントによって肩代わりされてるわけだ。」

まゆ子「国家機関、政府というものは国民・社会から遊離して存在するわけではありません。金融当局が銀行とかの実際に民間で活躍する私的な組織が無いと意味を持たないように、民間にも国家の運営に携わる業務を請け負う存在が居るのです。」
釈「あー、なんというかそこは普通の人の盲点ですよね。政府行政ってのはきっちりと自己完結しているものと思いがちですが、」
じゅえる「実際はちゃんと民間業者に委託して、色々と事業をやってるからね。
 しかし、ゲキの取り扱いなんて重要な問題をそんな丸投げとは、無茶もいいとこだな。」
まゆ子「むしろ丸投げだからこそ実情を暴露せずに済んできたわけですよ。調査しても実態を統合して把握している部署がないから、機密漏洩も無い。個々の民間組織の情報を繋ぎ合わせても実態は判明しない。」

 

釈「というわけでこれから日本版MIBになるわけですよ。」
まゆ子「ならない!」
釈「ならないんですか?」
まゆ子「特務保安隊の任務は、ゲキ関連の情報を調査しようとする各国政府の合法非合法あるいは民間の諜報員調査員の活動を妨害するものとなる予定。つまり防諜だ。」
釈「はー。」
じゅえる「なるほどね。そっちの方が重要な任務なわけだ、日本においては。」
まゆ子「だから特務保安隊はいつまで経っても保安隊なままなのです。
 というか、これまでゲキ情報秘匿を任されてきたわけで、これからはその専門組織として改変される予定。実績もちゃんと積んでいるのです。
 むしろ彼等の本業はこちらであるのさ。脅威対象に自らの存在を暗黙裡にアピールして行動を抑制させる。それが彼等にとっての能動的な警備活動なわけだ。」

じゅえる「そうか、スパイ天国と呼ばれた日本は諜報機関も無いけれど、まず防諜機関が無いわけだ。情報秘匿をする為の部署は日本には存在しないからな。」
釈「警察でも公安でも自衛隊でもない。どこもそれは出来ないですね。はあ、そうか。そっちの方に重点を置かなくちゃいけないんですね。」

 

****************

まゆ子「というわけで、おーらしふたー、」
釈「はいはい。つまり特務保安隊は使えないわけですよ。」
まゆ子「いや、オーラシフターのサポートに回りますが、幹線道路は固めていますが戦場は山奥ですから役立たずです。」

じゅえる「つまり狼男は山から出られない。」
まゆ子「今のところは、ですね。オーラシフターが突破されたらやりたい放題です。付近を通りかかる一般車両を奪取すればもうどうしようもない。」
釈「道路封鎖は、」
まゆ子「その権限は特務保安隊にはなく、警察の機動捜査班も基本的にそうしないで犯罪者を追いかけるタイプの部隊。しかし事故が起きたという嘘を使って車両規制はしています。
 というか、狼男も5班に分かれているから広範囲すぎて封鎖は出来ません。とりあえず一個ずつです。」

釈「なるほど、つまり人員不足の状態で優先目標を定めて網を張っているわけですか。」
まゆ子「オーラシフターは定数12名、その内2名は門代に来ていない。しかし全員が戦闘タイプというわけではない。」
じゅえる「えーと裏柳生の人は病弱で運動は苦手なんだな。あとサドの王女様が怪力だけどスピードが早いってわけじゃないんだ。」
まゆ子「唐墨理一郎は情報分析タイプで戦闘向けではありません。出来ますが、なにせ敵が5つに分かれているから探索の方に回っています。

 基本的に格闘戦が可能なのは、蟠龍八郎太、喜須 悟、平芽カレイ、三雲 丹。
 射撃で戦闘が可能なのが、子代 隻。ただし今回他のオーラシフターも銃器使用が許可されています。
 罠を張る系が、大丞 白男(裏柳生)、魚養 可子、棟木 曼助。この三人は通常格闘術は使えますが、さすがに狼男には通用しないレベル。
 オールマイティ魔法系、火尉 とます。

じゅえる「格闘術というが、狼男と格闘して勝てるのか。それほどのレベルなのか。」
まゆ子「あー、それでも素手で取り押さえるわけではなくちゃんと武器を使いますし、そもそもが狼男だって素手じゃない。」
釈「当然ですね。銃器を持っていますか狼男は。」
まゆ子「無いのだが、というか彼等は基本的に超ド田舎アマゾン原住民ですから、といっても銃器を使えないわけではありません。
 つまり彼等をこの地に派遣した勢力は彼等の為に銃器の提供を行っていない。日本の裏勢力と提携もしていないから銃器を入手するルートも無い。
 というわけで彼等は弾き弓を使います。」

釈「弓?」
まゆ子「簡単に言うとパチンコです。ただし金属製のバネを使った。あ、知ってた?パチンコつまりスリングショットという武器はそもそもがゴムは使わないのだ。」
じゅえる「ああ、スリングはゴムが発明される前から存在するからね。あれは木の枝の股を使って、木の弾性力で飛ばすんだ。」
釈「普通の弓の形が変ってだけですね。」
まゆ子「狼男が使うのは、この木の股が鋼で出来ているもので、人間の力ではまるで動きませんが狼男の腕力を使うとピストル並の威力を発揮します。弾はパチンコ玉。」
釈「かなり強力そうですね。」
まゆ子「ゴムのように長く引っ張る必要が無いから、構えたと思ったら即発射します。熟練の狼男が使うと普通のピストルよりも厄介だ。」
じゅえる「しかしライフル銃みたいな長距離狙撃はできない。つまりよほど上手く森の中を隠れているんだな。」

釈「狼男と言えば指弾ですが、使わないんですか?」
まゆ子「さすがにそれは避けよう。」
じゅえる「さすがにね。それで他の武器は、」
まゆ子「このパチンコは鋼鉄製ですから、ぶん殴ればそのまま凶器です。というか刃は無いけれど斧の代わりくらいはできる代物です。」
釈「便利グッズですね。でもナイフでないのはどういう理屈ですか。」
まゆ子「いやこいつら狼男だから、獣を捕まえて食べようと思えば牙で噛みます。」
じゅえる「ああ、刃物が必要なのはひよわな人間だけか。なるほど、オオカミの歯なら噛み切れるな。」
釈「噛まれたら最後ってことですか。」
まゆ子「まあ、パチンコは一応とんがった所もありますから、怪力と合わせて使えば普通にモノを切れますよ。アウトドアで不自由しない。」

じゅえる「狼男は日本の野山で食料自給できる?」
まゆ子「ほぼ問題なく。というか、日本には他に肉食獣が居らず人間が獣を狩ったりしないから、獲物はいっぱいです。また植物だって食べられます。人間だからちゃんと調理する。」
じゅえる「麓に餌を探して降りる、ってのは考慮しなくていいんだな。」
まゆ子「あー、彼等のスペックであれば冬が来て山の草が枯れるまではだいたい自給自足できます。まあ今回は急ぎですが。」

釈「つまり日本の山ではあるが、彼等は山の王者なわけですよ。それに対してオーラシフターはどうやって対処するか。」
じゅえる「殺していいのか?」
まゆ子「殺害許可は出ています。また首尾よく道路に追い出してくれれば特務保安隊が銃撃して仕留めるオプションは捨てていません。」
じゅえる「ふむ。じゃあ殺すのを前提として。」

 

まゆ子「ところがだ、彼等は門代上空で弾けたサルボロイドの破片を保持している。

 日本の大学の天文学者が推定したところ、門代上空2万メートルで破裂したサルボロイドの破片は最低でも5個が陸上部に墜落したと思われて、回収に行きます。
 餅は餅屋ということでかなり簡単に発見しますが、彼等はこれが機械生命体の部品だとは知らない。また彼等に護衛は付けていない。これを奪取しようとする勢力が居るとは、誰も想像していなかった。
 だから5個回収されたところで全部狼男に盗まれてしまいます。」

釈「つまり、オーラシフターは彼等が保有するサルボロイドの部品を回収する任務が第一の目標なわけです。」
じゅえる「で、持っているのか?」
まゆ子「持っていません。オーラシフターが第一の狼男を捕獲した際に、彼等がそれを持っていない事を確認します。
 では誰が持っているか。が謎になります。」
じゅえる「ふむ。で、最終的には?」
まゆ子「蟠龍八郎太が物辺神社に挨拶に行った時に、喜味子が改めてぴるまるれれこの近くを調べて発見したサルボロイドの破片の再生実験を見せられます。
 これにより、サルボロイドの再生には金属がかなり大量に必要であると理解します。」
釈「金属の有る場所で、サルボロイドを再生修復している。どこか拠点が有ると推理するわけですね。」

じゅえる「しかし金属なんてどこにでもあるだろ。サルボロイド1体分の金属といえば結構な量にはなるだろうが、自動車1台分くらいじゃないか?」
まゆ子「まあね、でもより適切な環境というのがあるし、電力が有った方が効率はいい。結局工場か自動車解体場だろうとあたりを付ける。」
釈「つまりある程度は工業的な設備があるといいわけですね?」
まゆ子「サルボロイドは自己修復能力は持っているが、人間が適切に分割して並列して再生を促してやればより早く確実に出来上がる。ただそれには或る程度の工学の知識とサルボロイドのロボとしての知識が必要だ。」

じゅえる「分かった。つまりどこかの工場かなんかで集中的に再生しており、他の狼男は持っていないんだな。で、狼男は何をしている?」
まゆ子「いやまあ、サルボロイド回収をする時に強引な略奪を行ったわけで警察沙汰になっているし、サルボロイドの残骸には価値がある事を自ら示してしまったわけであるから、サルボロイドを入手しようとする存在が必ず現れると予想しているんだ。」
釈「迎撃ですか。」
まゆ子「さらに言えば、警察が当初から追っかけてるからね。サルボロイド再生工場が見つからないようにしなくちゃいけない。目を他に逸らさないとさ。」

じゅえる「理解した。つまり5班の狼男の内1班だけがサルボロイドを持っていて、他は雑魚だな。」
釈「雑魚ってことでもありませんが、本丸を探せという話ですね。」

まゆ子「物語の終わりは決まっています。

 オーラシフターは狼男達を次々に狩っていきますが、サルボロイド本体の回収には失敗して、再度門代への搬入を許してしまう。
 そして狼男はぴるまるれれこの所にサルボロイドを持って行き、再び接触を図る。
 ゲキの少女達が来た時には既にサルボロイドは復活、しかしまだ完全ではない。

 そこで狼男達がファイブリオンの絵でサルボロイドを制御しようとしているのを見て、鳩保があの絵をこちらで抑えれば勝てると発見。
 物辺優子が絵を描いて見せると、狼男が持つものよりもはるかに強力に支配できるが、それでもまだ足りない。
 そこに書道の神様「相原志穂美」が出現して、優子が描いたものよりもはるかに素晴らしい絵を描いてしまう。
 これを取り込んだサルボロイドは暴走してしまう。

 というものさ。」

じゅえる「志穂美めー、やりやがったな。」
釈「ウエンディズは正義の味方ですからねえ。門代に悪の狼男が徘徊していれば、そりゃ出動ですよ。」

まゆ子「というわけで、オーラシフターは狼男退治は成功するが肝心のサルボロイド制圧は失敗する。というよりもサルボロイドを再びぴるまるれれこの傍に持ってこようなんて誰も考えていない。」
じゅえる「ゲキの連中も知らない?」
まゆ子「というか、そもそもなんでサルボロイドがぴるまるれれこの所に来たか知らないから、分かりません。それほど拘泥する理由が分かりません。」
釈「当然オーラシフターは門代はノーマークだった、てことですか。うーむ。」
まゆ子「どうしたものかな、そこらへんは本当に知らなかった、でいいかな?」
じゅえる「ふうむ、せめて喜味子でも分かればな、自分で行って対処しただろうが、ゲキの連中にとっても寝耳に水って感じだろうな。」

釈「あ、そうだ。サルボロイドの部品が宅急便で門代にまで送られてくる、ということで。」
じゅえる「そうか、サルボロイド再生工場を強襲したら、すでにもぬけの殻で、肝心の部品は門代のー、誰に?」
まゆ子「それは至極以外でかつ身近な人がいいかな? たとえば竹本すぐり先生とか。」
釈「さすがに使い回しすぎです。もっと意外性の有る人物の所が。」
じゅえる「意外、ねえ。誰か穴となる奴が居ないだろうかね。」
釈「まゆちゃん先輩の所では?」
まゆ子「私?」
じゅえる「それは意外だが、さすがに関連性をまったく見いだせないし、ウエンディズだし。」

まゆ子「宅急便を使うとすれば、ミセス・ワタツミであろうさ。この関係からしてみると。」
じゅえる「まあ、そうなんだが。しかしミセス・ワタツミと言われても門代の誰さ?」
まゆ子「うーん。というか、ぴるまるれれこに一番近い場所にあるのは門代高校だぞ。学校でいいんじゃないだろうか。」

釈「ああ、そうですね。学校で受け取って、そこに狼男の残党が襲撃に来ればOKですよ。」
じゅえる「というか、門代高校にミセス・ワタツミの信者が居るとか協力者が潜伏していた、とかがいいんじゃないか。」
まゆ子「うん、その方が自然だが当然教員てことになるな。平の教師ではなく、」
釈「教頭くらいですかね、勝手に大荷物受け取っても大丈夫なのは。」
まゆ子「そうだな。では悪の教頭ということで。」

じゅえる「しかし、門代高校の教員とかは警察やら秘密諜報機関やらニンジャやらに監視されているんじゃないか?」
まゆ子「うーん。」
釈「そうですが、普通に荷物を受け取るだけならそこまで異常という話ではないと思います。」
じゅえる「警戒されない?」
釈「受け取るだけなら。特にサルボロイド捜索班からの情報が門代高校監視班に届いてない場合は。」

まゆ子「教頭の異常な行動は荷物を受け取る時でなく、受け取った後なんだろう。そもそもがぴるまるれれこの所に届けなくてはならない。」
じゅえる「軽トラにでも載せて山まで運ぶか。」
釈「そうですね。ぴるまるれれこの居る場所は危険地帯ってのは、さすがに人間の側でも理解しているでしょうから。」
まゆ子「そうだな。物辺村のゲキの連中のところには複数機関からの警告というか問い合わせが集中して、おっかなびっくりで出動する、ってところだろう。」
じゅえる「そして最終的には蟠龍八郎太からサルボロイドの部品が宅急便で門代高校に送られた、という情報が到着するわけだ。」

まゆ子「だがその異常な荷物が到着した現場に、ウエンディズの誰かが居て見届けた、ということで。」
じゅえる「えーと、そんなに敏感で賢い奴となると、弥生ちゃんではなくしるくではなくふぁではなくまゆ子は居ない志穂美は後で出るあたしは?」
釈「じゅえる先輩はそんなことには関わりたいとは思わないです。もちろん二年生一年生は無し。明美先輩はそもそもが異変を気付かない。」
まゆ子「となれば、聖ちゃんだな。その場にちょうど居合わせたのだ。」
じゅえる「聖っちゃんならば納得だ。」

まゆ子「では聖ちゃんは前にまゆちゃんから機械生命体の部品を発見したら無くなった、という事件を聞いていた事にしよう。そして天空に流星が上がっていった事件も記憶して。」
じゅえる「聖ちゃんならばあり得る話だ。」
釈「納得です。というかその役は私シャクティさん、でもいいかもしれません。」
まゆ子「シャクちゃんを使うのはさすがにやり過ぎだからな。」

じゅえる「聖は耳がすごくイイから、サルボロイドの部品から発する音に敏感に気付いて異常な物品だと見抜いた事にしよう。」
釈「前に、十一日のサルボロイド部品を見ているとかは?」
まゆ子「そこまではやり過ぎだ。そうだな、ウエンディズが謎の機械生命体消失事件を捜査した時に嗅いだ、サルボロイド薄片の燃えた臭いを覚えていた、とかだな。」
じゅえる「そうか、再生中のサルボロイドは焦げるのか。」
釈「そりゃあ激烈に動きますから、焦げくらいは出るでしょう。」
まゆ子「よし決まりだ! ディテクティブ聖っちゃんだ。」

 

釈「しかし、サルボロイドの部品が門代高校に集結したとして、その時点ではサルボロイドはロボととして可動できるんですか?」
じゅえる「いや、かなり中途半端な状態じゃないか。なにせ宅急便で運べるくらいだからそれほど大きくも無いだろうし。」
まゆ子「いや、ここでこそファイブリオンの画像の出番だ。ファイブリオンを示された部品はそれまでの単純な再生を終了して、一つに統合してのロボへと発展する。
 もちろん未だ人型すら取れない未熟な存在だが、それでも個体としての判断能力を備えた一個のロボとなる。」

まゆ子「うん、そうだな。つまりだ、門代高校に到着した時点ではサルボロイドはただの部品に過ぎないのだ。
 しかし教頭がこれを組み立ててファイブリオンの画像を示すとちゃんとしたロボとして活動を開始する。
 さらに足りない部品を補うために軽トラックと融合して、一見するとただの軽トラに化けたサルボロイドになるんだよ。
 ただの軽トラが門代高校の裏山に行くのを誰も咎めるはずがない。そこで、ノーマークでぴるまるれれこの場所に辿り着くんだ。」
釈「おう!」
じゅえる「うん、なるほど。それはスマートな解決策だ。

 しかしファイブリオンの画像ってそんなに効果があるのか。」
釈「サルボロイド・サーヴァントは誤謬によってファイブリオンを認識しているんじゃないんですか?」

まゆ子「因果が逆なんだ。そもそもがサルボロイドはファイブリオンに似た存在、つまりぴるまるれれこに反応するように作られていた。
 長く投棄されていた時点ではすっかり忘れていたが、ファイブリオンの画像を信仰する人間と接する内に、そのプリミティブに自身にセットされていた行動プログラムを発見する。
 つまりぴるまるれれこを求めて動く本能が目覚めたんだ。」

じゅえる「しかし、なんでそんなプログラムが。」
まゆ子「つまりだね、そもそもがサルボロイド星人によって作られたサルボロイド・サーヴァントは、そのご主人様宇宙人がぴるまるれれこによって文明を滅ぼされるところを目撃している。
 というよりは、自身も含めてサルボロイド文明は滅ぼされた。で、生き残ったサルボロイド星人が自らの手足となって働く労働力として作ったのが、現在のサルボロイド・サーヴァントだ。
 そもそもがぴるまるれれこはブラックホール量子コンピュータとかの高次宇宙人が使う機械を同化捕食する宇宙人であって、機械式コンピュータであるサルボロイド・サーヴァントは対象外。そういう風に作ってある。
 二度とぴるまるれれこに滅ぼされない為にね。

 だが文明を失った彼等は以後種族としての繁栄は無く、歴史の闇に呑み込まれて消えている。
 生命体としてのサルボロイド星人は滅びたが、彼等は自らの復活の種子を残しておいた。それがサルボロイド・サーヴァントだ。
 このロボットはただのロボットに過ぎないが、長く宇宙で活動して他の宇宙人とも接触して、いつの日かぴるまるれれこを凌駕する技術を獲得するプログラムを仕込まれている。
 最凶の天敵ぴるまるれれこに対抗出来る能力を獲得した時点に、超生命体としてサルボロイド星人を復活させるのが目的だ。
 だからサルボロイド・サーヴァントはサルボロイド星人と呼んでも、特に不都合ではない。いずれ生命体に戻る為の種子の殻、さやいんげんみたいなものだ。」

じゅえる「いやそこはピーナツの殻だろ。」
釈「つまりはサルボロイド星人は自らの復活をロボットに託したわけですよ。DNAとかはデジタル記録しておけばいつまででも残りますからね。」
じゅえる「だいたい分かった。ゲキがそもそもぴるまるれれこに対抗できる能力を持っているから、ゲキの復活と共にサルボロイド・サーヴァントも本来の活動を開始したんだ。
 そしてぴるまるれれこも地上に光臨して、遂に本来のプログラムを発動させる時が来た。」
まゆ子「うん、その解釈で間違いない。」

じゅえる「しかし、ゲキの能力はどうやって取り込むのだ?」
まゆ子「その解答は既に得ている。ゲキの使役する人間の一族に奉仕する事で、自らもゲキの影響力を行使できる。つまり寄生だ。
 実は既にサルボロイドはゲキの一族と接触している。ミセス・ワタツミがその人だ。」
釈「えーと、その人の正体は。」
まゆ子「物辺優子の母親、物辺贄子なんだな。」
じゅえる「やっぱり。」
釈「ええそうでしょうとも、それが物語というものですよ。」

まゆ子「しかし、この時点においてはサルボロイドの活動は理性的合理的なものでした。
 問題は志穂美が描いた超「ファイブリオン画像」なんだ。
 これを体内に取り込んだサルボロイド・サーヴァントは、自らが従属機械生命体である事を突破して独立機械生命体に進化した。
 さらにぴるまるれれこからのエネルギーを吸収して巨大エネルギーロボに変身してウルトラマン化するわけだ。」
釈「もう無茶苦茶になってしまったわけですね。」

まゆ子「まあここらへんの説明は、クビ子さんにとっ捕まったビリケン星人が白状いたします。サルボロイドを使って人間を地底深くに住まわせた張本人です。」

 

まゆ子「ちなみに、この時の出動時にゲキの少女は全員が聖闘士型コスチュームを身に付けます。」
釈「ああ、鳩保さんがペガサスで、みのりさんがアンドロメダ、喜味子さんがシャイナさんか魔鈴さんの女性形聖衣ですね。」
じゅえる「物辺優子はー、」
まゆ子「暗黒フェニックス、でどうだろう。」
じゅえる「うむ。」

釈「では花憐さんはどうしましょうか。キグナスですかドラゴンですか。」
まゆ子「超頑丈アテナの聖衣では。」
じゅえる「そりゃあ頑丈だな。怖がり花憐ちゃんでも安心だ。」

まゆ子「なんだったら花憐ちゃんは華麗にクリスタルセイントでもいいぞ。」

 

****************

まゆ子「というわけで、おーらしふたー。」
釈「はいはい、結末が分かりましたからそこに持って行くまでを考えればいいですね。えーと、スケジュールからして門代高校にサルボロイドが配達される直前。」
じゅえる「オーラシフターがその再生工場に踏み込んだ、そこでオーラシフターの出番は終了だ。」

まゆ子「だがね、拠点が確実にあり抵抗が予想される状況であれば、オーラシフターではなく近代火器を有する警察か特務保安隊の出番じゃないだろうか。」
釈「そうですね、じゃあここの最終的な決着という場面ではオーラシフターは後ろで見ているだけ。ということで。」
じゅえる「定番の展開だな。セクト主義というか他に出番を渡さないように横槍を入れるとか、そういう官僚主義的対応に子供達のオーラシフターは割を食わされるって寸法だ。」
釈「ということで、再生工場の場所を突き止めるまでがオーラシフターの活躍ということです。」

じゅえる「つまり、まず一組目を捕まえてサルボロイドの部品を持っていない事を明らかにするわけだな。」
まゆ子「そうだね、まず一組目はガチで捕まえてみよう。」
釈「オーラシフターの戦闘力を明らかにするパートですね。では格闘戦型のメンバーで。」
じゅえる「となるとカレイさん、喜須、三雲、の三人で、」
まゆ子「それでも念の為に火尉とますを付けておこう。蟠龍八郎太を除いたら、この布陣で格闘戦最強だ。」

じゅえる「じゃあ第二班は別口で活動しているという事で、あまり正面からは激突しないように、」
まゆ子「するつもりでしたが、真正面から鉢合わせする。それが棟木曼助の超能力「変なものに出くわす」です。」
釈「そういう風に使えるんですね。」
じゅえる「棟木、魚養、子代、の3名だな。」
まゆ子「ただ、この班は弱い。だから武装した特務保安隊を同行している事にしよう。でも、決め手は可子さんの即死魔眼だ。」
釈「殺していいんですか?」
まゆ子「いや、心臓麻痺で死ぬところを、子代さんのピストルで撃たれて重症。命は取り留めた、という感じで。」
じゅえる「死ぬ前に殺せば超能力は効かなかった事になるんだ。」
釈「なんか割りきれませんね。」
まゆ子「でもそれが子代さんの優しさだよ。弱装弾を使うし。」

釈「で、二組共にサルボロイドの部品を持っていない事が判明して、どこかの拠点で再生に集中していると判明する。」
まゆ子「うん。で興味の対象は何処の施設を使っているのか、になる。」

じゅえる「分析班が唐墨で、」
まゆ子「唐墨、大丞、蟠龍だよ。本部だね。八郎太は物辺神社に寄ってきたから現場には遅れて到着。」
釈「大丞白男は能力なんでしたかね、裏柳生なんですよね。」
まゆ子「運勢制御だ。魔法陣を描いて、そこに踏み込むと敵の行動が変わる。」
じゅえる「うん、だから再生基地を見つける為に、大丞が張った魔法陣に狼男を触れさせる必要があるんだ。」
釈「なるほど、役に立つんですね。」
じゅえる「その魔法陣に触れた狼男は、ふいにサルボロイド再生が上手くいってないのではないかと不安に駆られて、思わず再生工場に戻ってしまう、という感じだな。」
まゆ子「うん、実に自然な感じで自分が精神コントロールされてるとかは思わないんだ。」
釈「それで工場の位置がバレるんですね。」

 

じゅえる「それで、唐墨の能力はサイコメトリーでいいのか?」
まゆ子「なんか違うような気がするな。もっと深い分析力と他愛のない分かりやすさがあると思うんだ。」
釈「サイコメトラーであればモノに触ったり場所に行ったりすると、その縁の何かが分かるんですよね。仙術であれば特に不思議ではありませんが、」
じゅえる「なんというか、簡単過ぎるんじゃないだろうかソレ。」
まゆ子「うーん、瞬間記憶術とか完全記憶術とか、そういうのとも違う。えーとつまり、彼は基本的に普通人の秀才なわけです。」
釈「分かります。知的には優れていても特別じゃない。常識的な思考で状況を分析していくんですね。」
じゅえる「サイコメトリーの能力はそれと反するものじゃないけれど、それが有ると特別な知性になるかもね。平凡ではいられないかも。」

まゆ子「分析能力、なんだよ。分析するからには知的な能力の強化か情報系の能力でないといけない。」
釈「あ、ちなみに子代 朔の能力が悪意のサイコメトリーです。人の悪意が篭ったものを感じ取ります。」
じゅえる「二人は要らないよな。唐墨の能力はかなり常識的であって欲しい。」
まゆ子「うーん、そうすると超能力ではなくマニア系能力者ということかなあ。マニア特有の優れた集中力によって常人が気づかぬモノを感知する。」
じゅえる「まだそっちの方がアリなのだが、うーん。」

釈「こっくりさんでは?」
まゆ子「おい。」
じゅえる「いやそれはいかんだろ。勘ならまだしもこっくりさんで捜査を行うのは。」
まゆ子「いや、それは聞いたことが有るような気がする。つまりこっくりさんをしているように見えて、実は自分の奥底で感じる違和感を掘り起こして、それを深く考えると意味が見えてくる。」
じゅえる「直感か。」
まゆ子「他力本願の直感だな。」
釈「なぜか分からないけれど正解を導き出し、これが何を意味するのかを苦悩して考える。という感じですかね。」
まゆ子「うん、唐墨というキャラには向いている描写だ。」
じゅえる「常に困っている系で、しかもとにかく喋る奴だからな。」

まゆ子「つまり今回の場合、唐墨理一郎はまずマップ上で狼男が出現する位置というのをいきなり発見してしまうのだ。
 しかしその時刻において、そこには狼男は居ない。何故居ないか、まだ来てないからだ。当然傍目にはまったく的外れな位置を指名していると思える。
 そしてそれぞれで狼男を捕まえていく内に、彼らが肝心のサルボロイドの部品を持っていない事に気が付く。
 たぶんどこかに置いて集中的に再生を行っているのだろう。だがその拠点はどこだ?
 そこで狼男を罠に掛けて拠点に引き返すように仕向けるべきだと考える。大丞の運勢制御能力を使って狼男の行動を変化させる。
 ではその罠を仕掛けるべき場所はどこだ?

 それが唐墨が最初に発見した位置なのだ。」

じゅえる「ややこしい能力者だなあ。」
釈「しかし、それは物語上ではなかなか面白い演出です。だんだんと煮詰まっていく感じがしていいですね。」
まゆ子「これはーなんという能力だろうか?」
釈「天啓、じゃないですかね。」
まゆ子「天啓力、か。うーん仙人ぽいといえばそうなんだがね。」
じゅえる「ただこれはいつもいつも効果が有る能力じゃない方がいいだろう。能力が示したモノが何か、思慮が及ばずに見過ごしてしまう。問題の解決には寄与しなかった。
 しかし後で振り返ってみると、それが鍵だったのだな。と気付くんだ。」
釈「なるほど、一生懸命考えるべきなのですね。」

 

まゆ子「あと、子代さんは普通使うのは.25口径の婦人用護身拳銃です。.25口径だから威力が無い以上に有効射程距離が短い。
 まあ拳銃の当たる距離は5メートルとか言われますが、熟練者でも20メートル離れたら無理ぽくなりますが、子代さんは50メートルでも当てます。これは超能力によるものです。」
じゅえる「実際.25口径で50メートル届くのか?」
まゆ子「ただ飛ぶだけなら大丈夫でしょ。でも弾が軽いから相当ぶれるはずで、当てるとかあり得ないね。彼女はそのランダム性を読み解く一種の予知能力者なんだ。」
釈「でも剛力がほんとうの能力なんですよね?」
まゆ子「機械のようにがっちりと保持して正確に撃つから、予知能力も効果が有る。さらにもっと強力な拳銃でも問題なく撃てます。というか熊撃ちの銃でも。」
じゅえる「そこまで握力凄いのか。」
まゆ子「たださすがに手自体が女の子で小さいから、大型銃は片手では撃てません。特務保安隊が使う9ミリのグロックくらいなら片手OKだけど。
 つまり今回狼男が相手だから、さすがに.25口径では威力がまったく不足するので、特務保安隊から拳銃を借ります。
 9ミリで追い詰めていきますが、最後にフカ子さんの即死能力で死にかけている狼男には.25で心臓を撃って死んだ気にさせて救うわけです。

 ちなみに彼女が50メートルなんて曲芸撃ちを見せるのは、さすがにこの距離だと.25口径の弾丸は殺傷力が激減して当たっても死なないからです。これが彼女流の優しさ。」
釈「さすがにサドの王女様ですねえ。」
まゆ子「ちなみに特務保安隊の使うグロックはグロック19と呼ばれる9ミリ15+1発の小さいやつで、日本だとSATが使ってるとされている。つまり特務保安隊独自装備てわけじゃない。」
じゅえる「日本でもグロック使ってるんだ。」
釈「ベレッタかと思ってましたよ。」

まゆ子「あと、彼女は他のメンバーと違って体術を駆使した高い運動性能ってのはありません。もちろん同じ術を覚えているから普通の人間よりははるかに動けるんだけど、ぎこちなく遅い。
 まあ優美なゴーレムという感じで、動きは優雅だけど無理な高さからでも平気で落ちて無傷。高い壁でも握力を利用して難無く登っていく。て感じです。

 これが昼間は眠っている子代 朔になると皆と同様の運動術が使えて直線状に動くようになります。早い。」
じゅえる「素手の格闘では朔はどうなんだ。」
まゆ子「あまり強くはない。ただやはり拳銃は使うししかも至近距離で体術を駆使して撃ってくるから、むしろ危ないと言えるでしょう。隻と違って朔はぶっ殺しに来る、と思います。」
釈「つまり隻さんの方が非常識なんですね。」

 

****************

まゆ子「あーところで、オーラシフターの皆さんは戦闘に際して定まった戦闘服をちゃんと着ています。戦闘トラックスーツです。」
釈「トラックスーツとジャージはどう違うんですか?」
じゅえる「トラックスーツは金持ち階級が自分達もジャージ着てみよう、って思った時に、ジャージって名前は恥ずかしいなあとてきとーに付けた名前だよ。」
まゆ子「実質ジャージです。実際フカ子さんとかは戦闘ジャージと呼びます。正式名称は「バトルトラックスーツ」だけど。」

釈「どんな特典がありますかその戦闘ジャージ。」
まゆ子「まず丈夫。特に擦過に対しては非常に強い。つまりアスファルトの道路で転んでもかすり傷負わない。
 さらに要部に薄いながらも強力な衝撃吸収機能を持った素材を配しており、脊椎延髄とかを効果的に守ってくれます。」
じゅえる「まあ、怪我をしないのはいいことだ。」
まゆ子「反面、防弾機能はありません。対刃防御は或る程度、つまり突かれるのではなく斬りつけるのに対してはかなり効きますが、貫通には無力です。」
釈「はあ、ダメですか。」
じゅえる「というか、防弾チョッキをジャージの上に着ればいいんだ。」
釈「はあ、それは簡単な解決策です。」
まゆ子「まあね。」

釈「その他には特別な保護機能は無いのですか。」
まゆ子「まあ水に落ちてもちゃんと泳げるとか、冬山でも防寒服になるとか、でも通気性抜群で涼しいとか色々と。
 でもまずは色ですね。ネズミ色ですよ。これが一番隠れやすい。」
釈「まあニンジャもネズミ色は良く使いますからね。グレーは山や森林、都市部でも効果の高い隠密性を持ってます。」
じゅえる「女の子には嬉しくないけどね。」

まゆ子「というわけで、子代さんは戦闘ジャージの上にゴスロリを着ています。ちょっと暑いけど我慢する。
 フカ子さんも赤いセーラー服を着ていますが、フカ子さんの能力は目立つ必要があるから必然です。」
じゅえる「ふむ。まあそこらへんは物語ということで。」
釈「女の子はおしゃれしてなんぼです。」

 

まゆ子「防刃に関しては手袋にその能力があります。オーラシフターほどの体術格闘術の使い手であれば、手袋と靴にその機能があれば十分です。
 もちろん靴も特別製。安全靴になってます。しかしスパイクはありませんね。地面に足あとが付かないように。」
じゅえる「武器は内蔵していないのか。」
まゆ子「いやポケットは有るけれど、何を入れるかは人それぞれだし。

 収納という意味では背中に防弾リュックサックを背負っています。これは脊髄保護の為でもありますが、小物入れですね。いくら仙術使いとはいえ多少の装備は持っていきます。」
釈「具体的には何が入ってますか。」
まゆ子「まあ水とカロリーメイトみたいな簡単な食料、懐中電灯やら万能ナイフ、ライター、雨具としても毛布としても使える銀色シートとか救急セットくらいかな。武器はリュックの外にぶら下げるなりすればいい。」
じゅえる「方位磁針とか地図とかは。」
まゆ子「最近はケイタイで出来るからね。GPSの使える携帯電話を入れていたりするが、そもそも電波届く所に行くとは限らない。
 というかこの装備は今回のミッションが山林だから、一応ね。遭難した場合を考えて持っていく。」

 

じゅえる「武器は決まったものがあるのか。拳銃は子代が持っているのは知ってるけど。」
まゆ子「まあ基本的にこれまではオーラシフターは銃器の使用はありませんでしたが、これからは適宜使うこととなるでしょう。
 拳銃、ナイフ、折りたたみ警棒、ロープ、その他色々です。スタンガンやらスタンスティックもありますよ。
 今のところ決っているのが、八郎太の日本刀。子代の.25自動式拳銃。棟木曼助の長い棒、フカ子の木刀、大丞白男の尺八です。」

釈「標準装備の武器ってのがあるといいかもしれませんね。仙人ならではの武器とか。」
じゅえる「ニンジャで言えば手裏剣やクナイみたいのだな。」
まゆ子「ふむクナイねえ。仙道の道士なら御札とか銭刀とかだろうが、さすがにねえ。」
釈「直接的には仙術は関係ないんでしたねえ。」

じゅえる「タコは関係あるんだろ? タコの触手的なものがあれば一番いいぞ。」
まゆ子「いやさすがに触手を持ち歩くわけには。そうだなールパン的ではあるがワイヤーとか?」
釈「そうですねーワイヤーはどの作品においても便利極まりないものですが、実際に使えるかと言われるとさすがに困りますね。」
じゅえる「ムチとか? 1メートルくらいの針金みたいなムチでもいいかも。」
まゆ子「うん、棒は何かと便利だし、武器としても不足はない。しかし。」
釈「伸びると棒のように固まるヒモ、というのが有るでしょ。手品のネタに。あんな感じのが袖から出てくるとかでは。」
まゆ子「ふむ。だがそれは個人の特技ということにしておこう。喜須 悟とかが得意そうだ。」

じゅえる「でも狼男が相手だからなあ。さすがに素手というわけにもいかん。」
釈「まあ標準装備武器ってのはだいたい役立たずと相場は決っているのですが。なにかいいモノ有りませんかねえ。」
まゆ子「まあなんといいますか、一番の武器は戦闘ジャージそのものだろうね。手袋も有るし、格闘をするにもサバイバルをするにも便利なんだよ丈夫な手は。」
釈「タコの吸盤みたいにくっつくようにしますか。」
まゆ子「いや機能としてはそれは無い。が描写としては手が良くくっつく、てのはアリだな。」
じゅえる「スパイダーマン的に壁登りをするのもアリか。タコならアリだな。」

釈「じゃあワイヤーは無しで。」
まゆ子「それも演出上はかなり嬉しくない。手や袖には無いとしても、ベルトがワイヤー仕込んでるのはアリだぞ。」
じゅえる「それこそベルトを引き抜くとワイヤーみたいに長くなるとか、ちょっと握ると棒になるて感じだな。」
釈「ベルトですか、でもジャージにベルトは。」
まゆ子「まあ無いんだけどさ。ベルトは無くてもバックルは有っていいだろ。色んなものぶら下げるとこも必要だし。」
じゅえる「戦闘ジャージにはベルトは無くてもバックルは有り、バックルを引き抜くとムチのように使える。これでOKだ。」
釈「それが標準装備ですか。まあ、無くても良さそうな気もしますが。」
まゆ子「うーん、まあなんだ。1メートルくらいの長さのムチなら不自然でもないだろ。」

じゅえる「腹の前にバックルが来てるから変なんだよ。ジャージの腰の左右にそのような装備をぶら下げるフックがあって、そこにベルトバックルが有るということで。」
釈「そんなものですかね。」
じゅえる「腰の左右にベルトとナイフとあれば何かと便利だろ。ナイフは小さいやつでいいよ。刃渡り5センチくらいで。」
まゆ子「まあね、ナタが必要なら別に持っていくし、ちょっとした枝とかロープとか切るだけならそのくらいだね。」

釈「じゃあ右のバックルには小さいナイフで、左のバックルには1メートルほどのムチとして武器にも使えるベルトが出てくると。
 そうですねえ、ナイフは小さくてもいいですが鉄だって切れるような凄いのにしましょう。」
じゅえる「鉄か。鉄条網やら金網フェンスくらいは切れた方がいいからなあ。」

 

まゆ子「それと正式には頭部を保護するための頭巾みたいなスキーの帽子みたいなのを被る。これは延髄と後頭部を守るための大事な保護具でありもちろん絶対必要なんだが、まあ顔がよく見えないから演出上は無しでもイイ。
 覆面ではないから一応顔は出ています。で、完全な防護を考えるとこの上にヘルメットを被ります。防弾じゃない自転車のヘルメットみたいな。」
じゅえる「防弾はまったく諦めているんだ。」
まゆ子「鉄兜くらい被ってもいいですが、というかオーラシフターの普通の敵は銃火器を使うのに躊躇しない連中なんですが、とりあえず考えない。」

釈「完全防弾スタイルになる時もありますか。」
まゆ子「いやーそういうのは本職に任せた方がいいからねえ。だいたい火力勝負になるし。」
じゅえる「銃に関しては素人ってことか。」
まゆ子「でも飛び道具でえぐいものを使ったりしますよ。超強力レーザーポインタとか。これで敵の目を灼けば銃も使えない。」
釈「それはなんとか条約違反です!」
じゅえる「オーラシフターが相手にするのは条約とか人権とか無い敵だからな。なるほど、火器は無くとも非情の策は取り得るか。」

まゆ子「あと頭部パーツには通信機能が付いてきます。と言ってもまあPHSですね。近くに居る仲間同士が会話できるトランシーバー機能搭載です。」
じゅえる「2008年にはPHSはもう死んでるんじゃないか?」
まゆ子「いやまあ、普通の携帯電話でもいいんだけどさ、オーラシフター専用回線だからさ。そんなに離れた相手と交信しても仕方ないし、車両とかで基地局を持ち運んでサポートするし

 なにより2008年現在で枯れた技術を使ってるんだよ。オーラシフターに携帯電話が採用されたのは90年代後半で、電波が届かない場所なんかに派遣されて色々苦労したんだ。」
釈「ああ、自前の基地局まで持って行って通信してたんですね。そりゃあ今でもケイタイ繋がらないとかありますからねえ。」
じゅえる「特に山の中とか離島とか、如何にも不思議部隊が行きそうな場所だからな。なるほど、そりゃたいへんだ。」

まゆ子「もっと電波がよく飛ぶトランシーバー持たせてもいいんだが電池重たいし、普通の携帯電話だって持ってたりするんだから、戦闘ジャージに装備されてるのはこれでいいんだよ。」
じゅえる「電池はどうするんだ?」
釈「いや、電池が切れるほど長く単独先行しますかね?」
まゆ子「そこらへんはミッションの内容によるけれど、電池の保ちはたしかに重要なポイントでちゃんと考えてますよ。どうしても必要とあれば替えの電池をリュックサックに入れて行くし、手回し発電機とか持って行ってもいい。」

 

釈「ノクトビジョンは?」
じゅえる「いや、そこは仙術で夜目が利くってのでいいだろ。」
釈「しかし赤外線くらいはなんとかしないと。」
まゆ子「赤外線といえばだ、最近は赤外線で監視するカメラも普及してきてるから、戦闘ジャージも赤外線欺瞞対応だ。体温の熱を濃密を付けて放出することで、人間の形の熱源にならないように工夫している。
 これは現代の戦闘服には必須の機能だね。自衛隊の戦闘服もそうなってるらしい。洗濯機に入れると効果が無くなるとか聞いたよ。」
じゅえる「敵がハイテク機器を使うのは普通にアリなんだな?」
まゆ子「そりゃあ現代のお話ですから。」

釈「デジカメとかは。」
じゅえる「戦闘記録を残す為にもデジカメとかビデオカメラは有るべきだろう、さすがにさ。」
まゆ子「それは普通携帯を持っていくということで。でも戦闘中に普通携帯は使えないか。」
釈「2014年の今なら、戦闘中でもばっちり映る小型軽量フルHDビデオカメラあるんですけどねえ。2008年で電池の保ちまで考えると無理ですかね。」
まゆ子「ちょっとね。そこらへんは偵察任務ではデジカメを持っていくし、通常任務の時は携帯のカメラを使うということで。」
じゅえる「スマホが有れば全部OKなんだがな。さすがにすこしばかり早い。」

まゆ子「それからさ、防御力に関しては戦闘ジャージの上に着る戦闘学ランというものも有る。でも夏は暑いから今回用いない。」
釈「つまり戦闘ジャージはさらに防御力を高める装備を着る事を前提とした、最低ラインの保護力を持っているって事ですね。」

 

2013/04/04

まゆ子「さてカップリングだ。」

釈「待ってました!」
じゅえる「ちょっとまて、その前にキャラの性格付けだろ。まだ完全には決まってないぞ。」
まゆ子「あー、だいたいがこの間考えた個人個人の不幸のとおりなんだけど、もうちょっと精密に考える?」
じゅえる「しなきゃダメだろ。」
まゆ子「ちぇー。」

釈「カップリングはいいんですが、その前に任務の上でのペアとかを考えないといけませんよ。物辺村に喜味子さんをぶっ殺しに来るんでしょ?」
まゆ子「うん、それぞれペアになって偵察に来る算段だ。」
釈「カップリングはそこで発揮されるんですが、おのおののメンバーがどんな特質を持ってどんな術を使うか。これが大事ですね。」
まゆ子「ふむふむ。」
じゅえる「そりゃそうだ。個性よりもまず能力だ。それが特殊部隊というもんだ。」

まゆ子「オーラシフターはパーソナリティも十分重要なんですけどねえ。」

じゅえる「前に説明した女子3名は何の術に秀でているという設定は無いな。」
まゆ子「えーとーたしかフカ子さんは人殺し術だったっけ、コノシロさんはー無いか。」
釈「ヒラメカレイさんも設定は無いですね。」

まゆ子「たしかにどんな術に秀でているか、は性格がもろに表れる。キャラの過去が性格を形作るように、性格が術を形作る。
 そういう風に仙術は発動する。心の赴くままに、最も自分が必要な技を作ってくれる。」

釈「どんなキャラがどんな技を使うかは、これは非常に重大な設定なのです。あだや疎かにはできません。」
じゅえる「そうそう。だから厳密にキャラクターの性格設定をしなければ、技は作れないんだよ。
 で、前回性格設定をした4人は?」

まゆ子「分かりました。では性格の設定に沿った技設定を行います。」
じゅえる「そうそう、順序立ててだよ。」

 

まゆ子「えーじゃあ。て、カレイさんは決まってるのか。

 平芽カレイさんは弓です。目に見えない弓、精神の弓を使って敵を射る。これによって敵は一瞬で精神が停止してしまいます。」
じゅえる「精神攻撃魔法か。」
まゆ子「もちろん体術にも優れており特に素手での格闘は抜群ですが、そこにさらにこの能力を用いる事で圧倒的確実に敵を仕留めます。というか素手で戦う時は弓を意識する必要も無く停止能力使えます。」
釈「実物の弓はどうですか。」
まゆ子「弓、ボウガンも得意ですがこの時は自己の精神と肉体を操作して集中力を極限まで上げます。スナイパー能力としても常人を越えます。
 ただ銃は使わない。使えないのではなく使わない。彼女の両親は外国でテロリストの襲撃に遭い銃撃で死亡していますから、銃器の使用は忌避します。
 でも必要とあれば心理的葛藤を乗り越える勇気も持っています。」

じゅえる「ふむ、そこが彼女の見せ場ってことだな。」
釈「あえて銃器を手にする覚悟、ってのですね。」

じゅえる「でも前回考えた文を読んだけど、カレイさんの性格が実はあんまり設定されてないぞ。」
まゆ子「え? そんなバカな。」
釈「えーとー、あホントだ。どのような境遇かは書いていますが、フカ子さんに比べると全然キャラが見えません。」
まゆ子「あー、なる。そりゃ困ったな。じゃあ考えますかね。

 基本的にカレイさんはヒロイン体質なんだ。それも主人公と共に戦う仲間としての肉体派ヒロイン。だからあんまりぐじゃぐじゃとした性格ではない。」
釈「主人公と言えば蟠竜八郎太ですが、彼と恋に落ちるのですか?」
じゅえる「奴には妹的キャラが恋人として設定されているはずだが。」

まゆ子「カレイは18歳、八郎太は17歳で1学年違う。カレイさんはおねえさんです。妹が居れば姉が居るのは最早当然というもの。
 とはいえ恋に落ちるというのもまた違うな。八郎太は十分に優秀であり、他のメンバーのサポートは必要ではあるものの、姉的なサポートは必要なキャラではない。
 また八郎太はカレイに性的な魅惑を感じるというものでもない。身体はバインバインですが色気の無いキャラですよカレイさん。」
じゅえる「潔癖タイプなのか。」

釈「基本的に頑張り屋さんなのですね、彼女は。」
まゆ子「そうだね、自分に課された任務と自分が考える将来を考えて毎日一生懸命です。余裕が無いと考えてもいいのかな?」
じゅえる「男は居ないのか。」
まゆ子「あー、女に見境の無い喜須 悟が始終ちょっかいを掛けていますが、肘鉄砲食らわしまくりです。
 逆を言うと、彼は頑ななカレイの心を解きほぐす為にナンパし続けているとも言えます。」

じゅえる「いいやつじゃん。」
釈「ですねえ。」
まゆ子「カレイ自身もそれは分かっているが、それを分かってしまうと自分が許せない。というタイプ。」

釈「分かりました。つまりカレイさんは常に背伸びしているタイプなのですね。」
じゅえる「早く大人になろうとして、子供である自分を忘れたがるタイプだな。」
まゆ子「彼女の境遇を考えると、そういう風に解釈してもいいかな。
 ちなみに彼女の両親は父親は外務省の職員で、家族揃って海外赴任したところ、外国の空港でテロリストの襲撃に遭い父母共に銃撃で死亡。
 カレイ自身も銃口を向けられ殺されるところが、たまたま弾切れでテロリストがどうでもいいかと殺すのを止めたから生き残った。

 たまたまの偶然と気まぐれで自分一人だけが生き残った、という事実は彼女のパーソナリティに大きな影を落としています。
 また殺された父母に手を伸ばしても届かない事件当時の体験が魂に焼き付いて、弓矢という超能力が発言したとも考えられます。」

じゅえる「手を伸ばしても届かない、遠くへ力を届けたい。そういうわけだ。」
釈「つまり、背伸びするのがカレイさん、なんですね。
 こういうキャラは歳上社会人キャラとの絡みがいいんですよ。」
まゆ子「ふむ、考えておこう。

 あと、射られた敵が停止する、というのも事件が関与しています。時を止めてあの日の瞬間を止めたい、あるいはあの日の瞬間が目の中に焼き付いて時間が止まってしまった。
 そういうのの表現でもあります。」

じゅえる「基本的に、その時の子供のまま乳だけ大きくなった、系のキャラか。」
釈「分からないではありません。でもラノベやギャルゲで結構居るタイプですね、それは。」
まゆ子「まあー、ヒロインてのはだいたい典型なもんだ。」

 

まゆ子「フカ子さんの人殺し能力は絶大です。必ず死にます心臓麻痺で。まあ心停止直後にAEDとか使えば別ですが、そんなマヌケな能力の使い方はしない。
 能力的にはこれは精神攻撃の一つですが、敵の精神に直接に恐怖イメージを送り込み心臓を停止させるもの。もしくは心臓が停止する事により脳内に想起される死のイメージ。
 どちらが優先するのではなくて相互作用のループによって、相当の術者の防壁をも突破して機能します。
 しかも瞬間に。」
釈「どうやって作用させるのですか。」
まゆ子「視線ですね。彼女と目が合えば、機能します。もちろん殺す気が無いといくら目と目が触れ合ってもまったく発揮できない。
 ただ彼女が殺気を込めて睨めば、敵もそれに気づいて必ず反応してこちらを向く。向いたらオシマイ、という凄技です。」

じゅえる「本当にやばい能力者なんだな。」
まゆ子「本当にやばいのは、彼女は殺すことは出来るが、途中で止めたり蘇生させたりは出来ないって所。適切な医療救命措置を身に着けて装備が整っていても難しいのだから仕方ない。」
釈「たしかに能力を使いたがらないはずです。」

まゆ子「格闘能力は低い。というかあまりやる気が無い。ただ基礎的な身体能力が高いので、修行の結果標準的な能力は獲得しています。
 あと木刀で殴るのが特殊技能。剣術を少しかじっていてなかなか強いですが、しょせんは高校生女子としてはレベル。

 さらに特殊技能としては交渉力があります。」
釈「魔法を使って交渉して無理を可能にするのですか。」
じゅえる「それは便利な機能だな。」

まゆ子「彼女の交渉能力は意図して上達したものではなく、おそらくは深層心理がなんとかして話し合いで解決したいという願望欲求を自然と拡大したものと考えられます。
 つまり彼女は本質的に平和主義者です。
 交渉力はもちろん無理難題を可能とするものではなく、あくまでも好意を得て可能な範囲で物事を叶えてくれる、普通な能力です。
 しかしこれが貴重。小さな幸運も積み重なると大きな成果を生む。しかもほとんど魔法的ではないから、敵に感づかれないという特典もあります。」

釈「なるほど、能力を考えていけばその人の性格も自然と顕になるんですね。」
じゅえる「フカ子さんという人がよく分かるな。」

 

まゆ子「子代隻と朔の双子は当然に一人ずつ異なった能力を持っています。
 もちろん身体の持ち主は隻さんの方で、当然彼女の方が強い。魔法能力は剛力、素手で石を握りつぶしたり出来ます。」
じゅえる「肉体の強化でそこまで可能なのか?」
まゆ子「不可能と思えるほどのパフォーマンスを発揮してこそ、魔法と呼べるからね。とはいうものの手が鉄で出来てるわけじゃないから、ちゃんと怪我はする。
 つまり怪我をしないように注意深く慎重にゆっくりとパワーを発揮する、というかなり難しい能力です。」
釈「凄い力で高速移動、なんてのはないわけですね。」
じゅえる「つまり鉄扉で閉じ込められたりした時に、凄いパワーで破壊する。これは有りなんだ。」
まゆ子「うん。

 あと観察力も優れており瞬間記憶術や写真記憶術なんかも可能。最短経路を把握して無駄なく迷路に迷い込んだりもせずに目的の場所に行けたりもします。」
釈「方向オンチ人間にとっては羨ましすぎる能力ですね。」
まゆ子「もちろん五十六兵法の修行によって身体能力は格段に向上しており、普通の格闘技や運動能力は標準装備。
 ただ彼女の動きを見るとあくまでもゆっくりと優雅に見えます。そういう個性です。」

じゅえる「性格は?」
まゆ子「あー、隻と朔を比べると隻の方がおっとりしていて、朔の方が意地悪。というか、人の裏を見透かすような態度を見せる。
 もちろん二人共に抜け目の無い、ちょっと近寄りがたい冷たい態度を示しているんだけど、隻の方は柔らかいけれど取り付き難い。朔は感情的だけどその分本気で有ると理解できる、って感じ。」

釈「で、朔さんの能力は何ですか。」
まゆ子「サイコメトリ。縁を、特に悪縁をトレスして読み解く。人の悪意や裏、犯罪といった悪のリレーションシップを特に読み解く能力が高い。
 ただこの能力は精神負荷が高くて、さすがの朔さんでも長く深くは難しい。より効率的には表面をさらっと流してささいな手掛かりを得て、それを普通の探偵に任せるという手を使う。
 こちらの手法の方が確度も高く危険が無い。
 もちろんオーラシフター関与するほどのやばい事件であれば、普通人の探偵や調査員が危険に曝される事となるのだが、まあそこは替えの効く要員だし。」

じゅえる「経済的な理論てこった。」
釈「まあ、そういうことですね。」
まゆ子「あと朔は隻が起きている時は使えない。隻が寝ると覚醒するが、あまり派手に動いたら隻が目を覚ますし身体も疲れるから普通は覚醒していても起きては来ない。
 という事は、隻が眠っていると思っていても、実は朔が聞いているってことだ。油断もすきも有ったもんじゃない。」

じゅえる「やっぱ、一人の身体に二人は無理か。」
まゆ子「無理だね。負担はさすがに大きい。もちろん薬物を使って眠らされたりぶん殴られて気絶なんて時はさすがに朔も起きてはこない。」
釈「当然に、ですね。」

まゆ子「あと隻は使わないけれど朔は武器、拳銃を使います。肉体を酷使しないけれど効果的な攻撃ってことだ。
 通常は22口径の小さな、婦人護身用の拳銃しか持ち歩いていない。が、やろうと思えば隻の怪力を利用して大型火器の使用も可能。」

釈「それは隻さんは起きていないんですか?」
まゆ子「そりゃ起きるんだが、朔が働いている時は朔に任せた方がいいと思って、これも狸寝入りをする。まあ精神の覚醒度合いを制御するのも仙術の法であるから、可能なんだな。
 さっき言った隻は優雅な動きをする、というのも朔はちょっと違って直接簡潔に目的を果たす、直線的な動きを使う。
 だから見た目で二人の区別は可能。知り合いならね。」

じゅえる「ふたりは相互に会話はできないのか。」
まゆ子「覚醒時には無理。睡眠というか夢の中で、もちろん仙術を利用した特別な明晰夢の中で互いを触り合う事会話する事が可能となります。

 案外と二人は仲がよろしくない。親しいゆえに衝突も多い双子です。」
じゅえる「そうか、普通の姉妹なんだな。」
釈「普通そういうのはびっちりとレズっぽく仲が良いものですが、」
まゆ子「二人はかなり違う性格と好みだと思って下さい。ちなみに男の好みも違います。
 隻はインテリ系の唐墨理一郎がお気に入り。朔は凛々しい蟠竜八郎太贔屓です。」

じゅえる「ふむ。」
釈「このお。」

じゅえる「ところで女子高生が拳銃を持ち歩いて捕まったりしない?」
まゆ子「手品で隠します。これは七賢の応用。」
釈「おお。手品も使えるんだ。」

 

まゆ子「さて蟠竜八郎太だ。17歳画龍学園高等部生徒会長。

 彼の武器は日本刀です。爺からもらった「決して抜いてはならない宝剣」。これが抜ける時は世界に災いが起きる時、でも今がその時だな。
 ということで、基本彼はこの刀を抜きません。活動中は必ず携えているというのに、抜いて斬ることはありません。
 でも刀の鞘とか柄を使ってぶん殴る、突く。つまり棒術的な使い方は多用します。これだけでたいていの敵はやっつけられます。
 もちろん体術に関しても彼は最高レベル。メンバーでも付いてこれるのは肉体強者のカレイさんくらいなものです。

 そして必殺技は、本来抜いてはいけない刀の霊体を抜いて、敵の精神を斬る技。イマジナリーの刃です。
 これで斬られると精神が直接に死にます。
 カレイさんの「矢」で射られると精神が停止しますが、これはしばらく経つと復元して動き出すけれど、八郎太の霊剣で斬られると不可逆的に死にます。
 でも肉体は生きている。最低限の精神機能も生きている。ただ魂が死ぬ。
 この後他のメンバーが術を使って、生きた死人をゾンビみたいに操って敵の本拠地に帰還潜入させる、って事が可能になります。」

じゅえる「ゾンビ操りは、誰の能力だ?」
まゆ子「あー、まだ決めてない。唐墨理一郎くらいじゃないかな?」
釈「保留、ですね。」

じゅえる「それで、精神が死ぬとそのまま死ぬ?」
まゆ子「ほっとけばね。飯を食う気が無いのだから、餓死するだけだよ。睡眠も取らないし。

 新しく人格を投入してやれば、その人格がだんだんと自我を形成して数年の内にはただ社会活動をするくらいならば問題無い程度には回復する。
 もちろん一般人を例とした場合ね。或る程度の能力を持った道士やら魔法使いやらは能力を完全に封じられて、とても復帰とは言えない。
 見る人が見ればそれはただの木偶、人形が人間のフリをしているに過ぎないと看破する。」
釈「なかなかキツイ能力ですね。」

まゆ子「もちろん彼の真の能力は指揮であって、七賢による戦術を完全にマスターしておりリーダーとして適切な決断が出来るのが最も強いわけだね。
 でも当然に体術格闘術武器術にも熟達して、完全なる戦士としても働けます。
 しかし魔法としては、まあ仙術魔法はなんでもひと通りこなすのだが、自己の運勢を制御する能力が使えます。
 これは通常仙術の道士であれば皆使えるのだが、特異的に効果が有るって人はめったに居ません。レアです。
 彼はもちろんレアケースでありますが、だからといってどういう風に効いているのかはちょっと分かりません。」

釈「それは意志によって効いたり効かなかったり出来るのですか?」
まゆ子「うん。というか普通についているんだけどね、集中すると嘘みたいな幸運が発生するのだ。」
じゅえる「マジで魔法だな。」
まゆ子「これは非常に便利な能力だけど、逆に道士であると見破られる事ともなります。」
じゅえる「不自然に幸運に恵まれている者を監視すればいい、って事だな。」
釈「カジノとかだと逆に働きますね。」
まゆ子「だから、機能しないようにするのも術の内だ。」

釈「その幸運能力はどういう具合に効くのでしょうか? 寝ていても朗報が飛び込むとか。」
まゆ子「有り得る。」
じゅえる「ほお。」
まゆ子「頑張って努力して様々な布石を打って、その上で幸運を待つ。これは普通の人の普通のやり方で、運勢を制御する道士としても普通なやり方だ。
 しかし彼レベルの幸運制御となると、逆に布石を打つのが枷となる。幸運が自在に働く為にはフリーハンドの方が良いって理屈だ。

 というかね、自分自身の幸運だけではそういうのは無理なんだ。味方の運を幸運に振り向け、敵の運を逆目に回す。これで初めて完成する。」
じゅえる「おお、確かに大事な魔法だな。」
まゆ子「だから彼はこの能力には普通頼らない。というか、この能力を使うべき時は直感で分かるし、直感の無い時にはそんなもの使うべきではないと心得ている。」

釈「なかなかめんどくさい能力ですね。」
まゆ子「めんどくさいから、直接乗り込んで霊剣で斬った方が早いのだ。」
じゅえる「まあね。」

 

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まゆ子「改めて年齢を設定しなおしておくぞ。2008年8月現在だ。

 守株翁    100歳爺

 久慈 良京  20歳大学生(来年1月まで)
 大丞 白男  19歳大学生

 平芽カレイ  18歳高3
 喜須 悟   17歳高3
 伊佐木 勇  18歳高3

 蟠竜八郎太 17歳高2
 唐墨理一郎 17歳高2
 魚養可子   17歳高2
 棟木 曼助  16歳高2

 子代隻・朔  16歳高1
 三雲 丹   15歳高1

 火尉 とます 15歳中3
 (八郎太従妹)14歳中3

じゅえる「とりあえずどこから行こう?」
釈「やはり主人公主役である八郎太の周りからですね。」
まゆ子「ふむ、じゃあ。

 唐墨理一郎 17歳。
 えーと彼は八郎太の相棒的役割を果たしますから、画龍学園生徒会でもなんか役職を与えてやった方がいいかな?」

釈「そうですねえ、それはセオリーですからねえー。」
じゅえる「却下、だな。八郎太が生徒会長であるからには、彼が公務で忙しい時はオーラシフターリーダー代行が必要だ。」
釈「でもそれならば、歳上のメンバーに任せた方がよくありませんか? カレイさんも18歳だし白髪さんとか大学生だし。」
まゆ子「とにかく理一郎と八郎太はタメなのだ。同学年でボケとツッコミ。理一郎はツッコミ役だ。」

釈「前回の設定を再録しましょう。

 『彼の父は警察官であった。強くたくましく、まさに世界一のお父さんだった。
  しかし彼が小学六年生の時、その父が殉職してしまう。絶望の中、彼は自身も警察官になることを誓うのだった。
  その決意を母に打ち明けると、反対されるか喜ぶかと思うと違って深く考えて、翌日「画龍学園中等部」の願書を彼の前に置くのだった。
  どうも母親は関係者だったらしい。』

まゆ子「まずこれだ。彼は確かに父親が居ない境遇ではあるが、父を失ったわけではない。彼の誇りとなって永遠に生きている。
 ここが極めて重要なのだ。彼は親という存在を失っておらず、むしろ確固として魂に刻みつけている。」
じゅえる「まあ、オーラシフターとしては幸せな親子関係を築いている人間なんだな。母親も存命中であるし。」
釈「この父親が彼のパーソナリティにおいて芯棒となっているわけですよ。」

まゆ子「また母親も画龍学園関係者であり、理解が有る。というかこの道に彼を向かわせたのは母だ。
 当然彼は、固いな。」
じゅえる「固いな。クドいくらいに。」
釈「ツッコミ役ですからね。」

まゆ子「私が考える彼の役割は、スピードワゴンなのだ。とにかくクドく解説する。もう解説しまくる。」
じゅえる「うっとうしい奴だな。」
釈「でも面白いタイプじゃないですか。」

まゆ子「超能力もこの解説能力を基本としたい!」
じゅえる「サイコメトリー、それも物質的現象についての情報獲得能力だな。」
釈「分析班ですよ。敵の作戦とかも見ぬいてしまう参謀タイプです。うるさいけど。」
じゅえる「やっぱり生徒会にも彼の役職を用意しよう。副会長で。」
まゆ子「うう、鬱陶しい副会長だな。」

釈「物理攻撃の能力はどうしましょうか。超能力攻撃を使いますか。」
まゆ子「うーん。」
じゅえる「案外とこういうキャラは格闘技も使えるんじゃないか?」
まゆ子「うーん、だが打撃系じゃないな。柔道だな。」
釈「こんなにクドいのに、柔道ですか。」
まゆ子「うん、寝技だな。おおそうだ、彼の父親は警察官という設定を忘れるところであった。
 つまり彼は八仙における捕縛術逮捕術に特に秀でているのだ。」

じゅえる「なるほど。」
釈「なるほど、彼は人権尊重の立場からオーラシフター内における一方のオピニオンリーダーなんですね。」
じゅえる「逆にぶっ殺すぜ、というのは子代双子が急先鋒だ。」

まゆ子「ふむふむ。なるほどなるほど。つまり人死が出そうな作戦は、彼が確実に異議を唱えるわけだ。」
釈「ちゃんとキャラ立ちしますよ。はい。」

 

じゅえる「わたしちょっと考えたんだけどさ、やはり平芽カレイさんはおねえさん的存在なんだよ。八郎太にとって。
 だから学校生活においても文句なしにおねえさんである立場が必要じゃないかな。」
まゆ子「具体的に言うと?」
釈「まあ二年生と三年生ですけどね。」

じゅえる「それだよ! 前年度生徒会長をカレイさんにしとくんだ。」
まゆ子「ほおー。」
釈「ほおほお。なるほど、それはまさしくおねえさんですね。」
じゅえる「これなら極自然な形で学校でも、それ以外でもおねえさん出来る。」

まゆ子「ふむ。なるほど。
 例えば学校パートが有るとして、その場合でもカレイさんの傍には慕ってくる一般生徒ってのが居るのも、自然と可能だな。」
釈「いいですね。頑張るカレイさんにはそのくらいの役職がやはり必要ですよ。」
まゆ子「オーラシフターの面々は、個々の差異は有れども一般生と比べて隔絶した能力を持っているからね。
 学校内において一種のエリートとして捉えられているのは当たり前の事なんだ。」

じゅえる「特権的地位に居る、ってことでいいのかな?」
まゆ子「まあ画龍学園は市立校であり、特待生的に考えられているってのは、特に不思議でも無いだろ。」
釈「実際に特待生ですしね。」

じゅえる「特に八郎太は学校創設者の、孫とかひ孫とかであるからー、……。理事長ってのは爺でいいのか?」
まゆ子「まさか。とっくの昔にそんなものは元オーラシフターの卒業生に譲ってますよ。」
釈「あ、理事長もオーラシフターですか。そうか、それはそうだ。」
まゆ子「まあ一般生徒を教える教官・教師は普通の外部から就職した人ですが、オーラシフターであるところの特殊な特待生の担任はそりゃね。」
じゅえる「当然だな。」

まゆ子「とはいうものの、オーラシフターが生徒会長になるのは別に決まってない。一般生徒が生徒会長になる年も多い、というか選挙だしね。」
釈「オーラシフターならやろうと思えばトップ当選間違いなしでしょう。」
まゆ子「というか、オーラシフターのリーダーが生徒会長、というわけでもない。リーダーでないメンバーが生徒会長になってもまったく問題無い。」
 そもそもカレイさんだってリーダーではない。」

じゅえる「八郎太がリーダーになる前は誰だったんだ?」
まゆ子「八郎太は高1のお正月16歳の時にオーラシフターとして選ばれ、そのままリーダーです。だからまだ8ヶ月ですね。
 その前は現在は20歳で引退した者、だな。話が整えば登場させてもいいぞ。」

じゅえる「オーラシフターはお正月を区切りとするのか。なんでも。」
まゆ子「まあだいたいね。というか昔風にお正月に一個年を取る的に考えています。」
釈「数え年ですか。まあ百歳の爺の習慣に従えば、それもありですか。」

まゆ子「ちなみに八郎太はオーラシフター任命とリーダー襲名の席で禁断の宝剣を受け取っています。お年玉です。」
釈「とんでもないお年玉ですね。」
まゆ子「実は爺はオーラシフターの皆をお正月の宴席に呼んで、一人ずつお年玉をくれます。で、それがオーラシフター任命式でもあります。
 お正月の宴会に出れなかった者はその年任務が無いと思って下さい。」

じゅえる「20歳にならなくても引退出来るってことか。」
まゆ子「可能です。やはりやる気の無い、やるべきではない人間は外すしかない。」
釈「その認定は爺がやるのですか?」
まゆ子「まあだいたい監督官となる者が居るし教官が居るし、そもそもが適性を見込まれた者であるからハズレは無いのだが、負傷による脱落てのは致し方ない。」
釈「それは仕方ないです。」

じゅえる「つまりオーラシフター以外の訓練生はお正月の宴会に呼んでもらえないってことか。」
まゆ子「いや、まあだいたい団体で来るんだけどね。オーラシフター候補とされるまでに修行の進んだ生徒は一人ずつ呼ばれて、宴会場の広間に通されます。
 そこで爺がその者を確かめて、爺は未来予知も出来る巨大な通力の持ち主であるから、この者ならば大丈夫と判断して初めてお年玉をくれます。」
釈「そこが最終審査ってことですね。」

じゅえる「でもさ、その後爺をぶっ殺すんだろ? その未来予知に拠る審査ってもう出来ないんじゃないかい。」
まゆ子「まあ、大問題ですね。でもオーラシフター経験者は多数居るし、中には修行をさらに進めて未来予知に特化した者も少なくない。
 特殊部隊任務として使えるかどうかの判定は難しいんんだが、そこはなんとかするようにします。」

 

釈「それはとにかく、カップリングです。性格を決めていけば自然とカップリングは発生します。」
じゅえる「だな。既に八郎太と理一郎が切っても切れない間柄、という事が確定した。
 それで、八郎太とカレイは擬似的な姉弟関係に有る。」
釈「次は子代さんですが、同じ一年生同士で、三雲 丹との絡みを考えましょう。」

まゆ子「じゃあ次は彼ね。
 男の娘。「三雲 丹」みくも まこと。15歳。

 『美人三姉妹の下の長男として生まれ、思う存分おもちゃにされて育った。
  ある時山荘にリゾートに来ていたら逃走中の凶悪犯二人が押し入ってきて姉達に暴行。2日間居座った末に、最後長女が二人殺して解放された。
  しかし何故か長女は過剰防衛で刑務所に入れられ、二女は引きこもり状態に、三女は心神喪失で精神科に長期入院する事となる。
  自分の無力を噛み締める彼は、おなじように何にも出来ない両親に絶望する。
  その時精神科の医者の手配でオーラシフター出身の医師がやって来て、不思議な技で三女の心を開いて意識を覚醒させる。
  元通りに喋り始める姉の姿に喜ぶと共に、彼はその医師にいきなり「弟子にしてください」と申し込むのであった。
 』

じゅえる「いや、そこは過剰防衛としてもいきなり執行猶予も無しってのはおかしいだろ。」
釈「なんでですかそれ。まあ二人ぶっ殺してるわけですけどね。」
まゆ子「まあ、二人ぶっ殺すのは心証が悪かったってことかな。一人殺せばもう一人は逃げるだろう、とか殺さなくても逃げたんじゃないか、とか色々と。」
じゅえる「日本の裁判腐ってやがる。」

釈「三女はその後どうなりましたか。」
まゆ子「いや普通に、えーと年齢的には丹の8歳くらいは上なのか。もう社会人だなちゃんと社会復帰してますよ。
 えーと事件は丹が5歳くらいの話だ。三姉妹は18、16、13歳ってところにしておくか。」
じゅえる「レイプは何歳でもあれだが、13歳でしかも凶悪犯とかだと、それは死んでもおかしくないな。」
まゆ子「まあ実際精神的に死んだようなものだったわけだが、奇跡の技で蘇ったのだ。
 今は社会人やってるけど、それでもまだ精神的に辛い所があって必死に戦っている、という感じ。」

釈「なるほど、過酷なんですねえ。」
まゆ子「えーと、でももう10年経っているから、長女がそろそろ釈放される頃かな。」

じゅえる「それで彼自身としての性格はどうなのかな?」
まゆ子「まず凶悪犯に対する憎しみがあります。犯罪者に対しては極めて強い嫌悪感を持ち、罰するのに禁忌を覚えないタイプになります。」
釈「当然ですね。」
まゆ子「一方で自分の無力さに対して強い憎しみも覚えています。彼は姉達に匿われて事件当時は無事に済んだわけですが、それだけに姉達の犠牲に対して自らの責任とも考えます。
 故に力を欲します。」
じゅえる「うむ。」

まゆ子「しかしながらこの事例でさらに悪いのは事件の後です。本来であれば姉達には何の罪科も無いのに、長女は警察に捕まって懲役刑です。
 社会に対して法に対しても強く憎しみを覚えます。理不尽に対して断固立ち向かう気質を形成します。
 それと同時に、この状況において何も出来ない両親に対して、自分と同じく無力を覚え失望します。ご両親は優しい方なのですが、優しいだけではダメだと骨身に染みて知りました。」
釈「ああ、それは不幸です。」

まゆ子「彼にとっての事件はまだ終わっていない。長女が釈放されても、まだ次女が引きこもり状態です。全然終わらない。
 事件の真の解決を迎えるために、彼は自身の力を欲しているのです。」
じゅえる「だいだい分かった。彼はオーラシフターとしては積極的な立場にあるんだな。」

まゆ子「ところがです! 彼は三姉妹によって思う存分おもちゃにされて育ってきて、どうにも可愛いのです。
 15歳高校生となった今でもとっても可愛い男の娘であって、オーラシフターの3人の女子に存分に可愛がられています。
 また他の男子メンバーに対しても、やっぱり可愛がられてしまいます。本人は男らしい男になりたいと言うのに。屈辱です。」
釈「ああ、それはー定番です。」
じゅえる「不幸だな。」

まゆ子「つまり彼の中には悪を憎み世間や国家の理不尽に対する憎しみがあり、無力な自分と両親に対する憎しみが有るのです。
 憎しみこそが彼の本質であるのに、周囲は彼を可愛いものとして扱おうとします。憎しみを和らげようとします。
 もちろんオーラシフターの3人の女子は、本人達は意識していないのだけど、彼の憎しみを和らげようと無意識の内に彼を可愛がっているのです。男子も同じ。
 また刑務所に居る長女も、ひきこもりの次女も、彼と接する時はやはりそういう風に彼に憎しみを育てないように優しく柔らかく接しています。自分達が傷ついていながらも。」

釈「なんというか、悲劇なのに優しいんですね。」
じゅえる「これは難しい性格だな。狂うに狂えないのだな。」

まゆ子「とまあそういうわけで、彼はアンビバレントであるのを強いられている。
 彼の能力もそういう感じで成長します。まずは力。彼の能力は敵である対象を自在に操る、強制的に身体の自由を奪いまた思い通りに動かす傀儡の術です。
 これは事件当時のまったくに無力であった自分を補うかに成長しました。
 しかし、この能力で対象を自殺させる、とかは出来ない。彼の心理はそれを許さない。不動金縛りがせいぜいだ、という事で認識して下さい。」
釈「うん。」

まゆ子「さらに変身能力を持っています。というか女装能力。彼が女装すると、誰も女であることを疑いません。これも能力です。
 というか、男子学生服を着ていても能力を使うと、女の子が男子の制服を着ているんだと見る人は認識してしまいます。」
じゅえる「嫌な能力だなあ。」
まゆ子「とにかく、対象に誤った認識を与える、つまりは敵を操る能力に長けている。」

釈「納得です。」
まゆ子「さらに体術格闘術に関しては、彼は熱心だから格段に成長を遂げて強いのだけど、残念ながら肉体的には小柄だしそんなに強力という事はない。
 しかし自らの気配を消して隠伏する術に関してはオーラシフター一の能力を持ち、潜入工作に特に秀でている。」
じゅえる「それも、事件の時に隠れていたってのが影響しているんだな?」
まゆ子「はい。」

釈「それで、カップリングです。子代隻・朔さんとはどのような関係ですか。」
まゆ子「おもちゃです。」
じゅえる「おもちゃだよな。」
釈「おもちゃですねー。」

まゆ子「とにかく隻朔はどちらも基本意地悪な女の子であるから、男の娘に対してはこれはもうあらゆる方面から弄っておもちゃにするのを自らの責務と認識するくらいです。」
釈「やめろー。」
まゆ子「だから丹は隻朔は超ニガテ。一方三年生のカレイさん、二年生のフカ子さんに対してはこれはもうしかたないなと諦めています。」
じゅえる「諦めるなよ。」

まゆ子「フカ子さんはまあいいんだよ。あの人はさばさばしてるから、弟みたいに扱ってくれる。というかフカ子さんの弟は事件で一家心中に偽装されて殺されていますから、弟的な存在に対して優しい。
 でも本来の性格上あんまりいじらないから、楽です。
 カレイさんはおねえさんですから、でもこのおねえさんぽさは彼にとっては長女の優しさに近くて常に思い出されて、つらいものがあります。
 ちなみにカレイ・フカ子は「まこちゃん」、隻朔は「まこと」と呼びます。」

釈「ホモ毛は、男関係はどうなんです。」
じゅえる「おいおい。」
まゆ子「彼は彼は本来男らしい男になりたい願望があるのだから、オーラシフター内で一番男らしいと言える伊佐木 勇に好意を持っています。
 まあこの伊佐木 勇は詳しく見ていくと男らしくない奴なんだけど、外見的には体育会系のマッチョであるから、男らしいと言えなくはない。というかマッチョだ。」

じゅえる「ネコたいぷ受け、だな。」
釈「まちがいありません。」
まゆ子「おいおい。」

釈「男らしいと言えば八郎太はきりっとして凛々しい日本男児なんですよね。」
じゅえる「いがぐりあたまと聞いたが、これはデザイン上動かせないのか?」
まゆ子「いいんじゃないかな。強いて言うならば、この頭にしたのはオーラシフターリーダーを拝命して、覚悟の証として切りました。って感じで。」
釈「それは男らしいですねえ。」

まゆ子「まあ、男らしくてかっこいいのが八郎太の個性ですから、当然丹もしっかり見ている。
 だが丹の女の子らしさと堅実さ、そつの無さを見込んでるのは、むしろクドい理一郎なんだな。彼は、丹には自分と同じようなサポート側の人間となってもらいたいと考えている。
 それはさすがに丹にしてみれば、ちょっと。やはり男らしさとは最前線に出て敵の攻撃を受けつつも突き進む、てなかんじ。」
じゅえる「割と極端な男らしさだな。」
釈「地に足が着いてませんね。」

まゆ子「あと、今回二十歳になって引退する爺の付き人は、丹に自分の後を継いで爺の付き人をしてもらいたいとも考えている。他に適当な人間も居ないしね。」
じゅえる「ふむ、でも爺の付き人はあまりおもしろくない仕事なんじゃないかな?」
まゆ子「いやーそれがだよ。爺はこの時点ではまだぴんぴんしてるんだ。政財界または外人とも軍人とも警察とも、色んなVIPと毎日のように会見して、一線を退いているとはいえ陰謀にも関与する。
 付き人をしていればその全てを目にする事となり、経験値うなぎのぼりで引退後も重要かつ裏面に深く関与する、特別な存在となれるのだ。
 言わば組織の幹部候補。画龍学園の理事長ってのも、やはり爺の付き人だったのだな。」

じゅえる「ああ、それは極当たり前のように経験値上昇中なんだ。」
釈「確かにそれは凄い経験です。が、爺死んでしまいますからね。」
まゆ子「いや、物語の最初の段階ではぴんぴんしてるから。まあ、丹に後継ってのは基本使わない設定として裏に伏せておこう。」

釈「男関係は他にありませんかありませんか?」
まゆ子「喜須 悟と棟木 曼助が直接に関与する。
 喜須 悟はつまり女の子を見れば見境無く口説くのだが、当然に男の娘も口説かれる。至極迷惑。」
釈「うん。」

まゆ子「棟木 曼助とは一つ上とはいえ年も近く、デカイのと小さいのというコンビからして、二人ペアにされる事も多い。
 子代さんが連れ回さない時は、この凸凹で活動していると考えよう。」
釈「やはりでかくてぬぼーっとしている男には、小さくて小回りの効く相棒が居ないといけませんよね。」

 

じゅえる「じゃあ次は棟木 曼助だ。」
釈「

 『彼の父親は漁師であった。彼は両親と3人の弟妹と共に仲良く暮らしていた。
  だが父の乗った漁船が転覆し仲間と共に7名が行方不明となってしまう。遭難であれば致し方ないのだが、その内に彼は、父親達が「船幽霊」「海坊主」を見た、とかの話をどこからともなく聞かされる。
  母と共に弟妹の面倒を見ながら船幽霊の正体を探る内に、それがホントに居たのではないかとする証拠も見つかってくる。
  子供ながら謎の核心に踏み込んだ彼は、いつの間にやら画龍学園に通うことになっていた。
  』

まゆ子「これから見ても分かるように、彼の父親は純然たる事故によって失われている。また母親弟妹も健全な状態で暮らしている。
 彼には世間を恨んだり犯罪を憎んだり、正義を貫こうとする意志を補強する動機が無い。
 これは極めて重要な点であり、そもそも彼はオーラシフターになる運命ではない。

 また父親の事故も彼が中学生の時分に起きた。つまりつい最近だ。それからしばらくして、と言うよりも高校に入るのに親に面倒を掛けないために奨学金の出る画龍学園に入ったわけだ。
 オーラシフターとしての修行の期間も短い。というよりもほとんど無い。」

じゅえる「そんなので役に立つのか?」
釈「ちなみに三雲 丹の就業期間はどのくらいです?」
まゆ子「8年はやってるかな。でも小学生の頃は本格的な修行じゃないからそこは抜いても、3年か。意味がある修行は。」
じゅえる「案外と短いな。」
まゆ子「本格的修行に入る前に、八仙の予備過程をやってるんだよ。丹は十分に手練だ。
 とはいえ、一年にも満たない修行期間で彼がオーラシフターに選ばれたのは、まさに爺の目利きのおかげである。

 彼は他のメンバーと違う。世の悪に立ち向かう因縁を欠いているが、全く別のベクトルで彼は奇縁を持っている。
 つまり、お化けに縁の有る男なんだ。」
じゅえる「ほお、なる。父親が船幽霊にやられるだけはある。」

まゆ子「普通なら「船幽霊」とか聞かされたら、海に暮らす人の縁起担ぎとか怪談で終わるのだが、彼はそれをまともに受け止めた。受け止めてしまった。
 それで独自に動いて船幽霊を探し、なんだか知らないけれど怪しい縁を見つけて段々と探っていく内に、画龍学園に辿り着いた。
 そこでオーラシフターの一人と遭遇して。

 つまりここで八郎太の前のリーダーが出るわけだが、彼と遭遇して世の中にまさに不思議が存在すると知る。
 そこでリーダーの勧めも有り、リーダーの助言で画龍学園のスカウトが派遣されて彼の母親を説得して、全寮制の奨学生となるわけだ。
 これは彼にとってもけっこう厳しい選択であった。経済的にはなんとかなるとしても、まだ幼い弟妹の面倒を見ないで自分一人家を離れるてのは決断だ。
 だが最終的に彼は不思議に踏み込むこととなる。」

釈「ほおほお。つまり彼は不思議に惹かれて来た、筋金入りの不思議ハンターなんですね。」
じゅえる「なるほど、画龍学園に本当にひつような人材なんだ。」

まゆ子「とはいえやはりまだ修行中であり、他のオーラシフターのメンバーと比べて能力的にはかなり落ちる。
 しかし彼の奇縁を識る能力と、他のメンバーが知らない普通人としての感性とで、必要欠くべからざる人材となっている。
 また巨体を生かした格闘術も、特に棒術には定評が有る。」
釈「ふんふん、彼は棒術使いですか。」
まゆ子「無論彼は自分が未熟だということを理解している。棒術の技能もまだまだだ。だがだからこそ七賢の教えに忠実にし従って勝ちを得るのだよ。」
釈「なるほど。戦闘力が低くても戦術的に勝ちを得るのですね。」

じゅえる「超能力は使えないのか?」
まゆ子「戦闘向け超能力はねえ、肉体ではなく己の精神に対してのものだろう。
 敵の精神攻撃を受けない耐久力を上げるとか、幻術に惑わされない、トリックに引っかからない。
 それでいて妖怪変化や怪異に対しての感受性は高く、それでいてこれもまた必要以上に驚かない精神修行を務めている。」

じゅえる「なるほど。これは普通の任務ではあまり役に立たないが、ゲキとか物辺村に来た時には大きく役立つな。」
まゆ子「爺もそれを睨んで彼をオーラシフターに抜擢したものと考えられます。」

釈「それで、彼の性格は。」
まゆ子「ぼーっとしてるよ。変なこと考えてるよ。巨体でぼーっとしているから、目立つよ。」
じゅえる「なんか邪魔な奴だな。」
まゆ子「でも性格は良くて、しかも悪はやはり見逃さない、いじめ許さないよ。それに年下の子供を相手にするのも得意だし。」
釈「弟妹が居るからですね。」

じゅえる「つまりこいつはいいやつなんだ。でもちょっと退屈かな。」
まゆ子「まーそうですねえー、カレイさんみたいな刺激的な人から見れば、ちょっといらいらするかな。
 逆に子代さんはどれだけぶつかっても精神に堪えないから、いじめ甲斐が無いと諦めてるよ。」

じゅえる「しかし、ただぼーっとしているというのも、使いづらいキャラだな。」
まゆ子「お化け関係に関しては敏感に働くから、そこはシナリオ上のコントラストで。」
釈「演出でなんとかできますよ。それは。」

じゅえる「で、こいつのカップリングは?」
まゆ子「性格的な問題と能力的な問題と、二つの要素が絡むからなかなか難しい。
 能力的には低いと見做して良いから、バックアップを主に務めることとなる。たぶん分析班の理一郎と組む事が多い。

 実は今年の一年生子代と三雲は能力的にも修行歴でもずいぶんと高いレベルになる。曼助は彼らとつるむのは少し違う。」
釈「あまり使い勝手が良くないですねえ。」
じゅえる「女関係はどうなんだ。」

まゆ子「女? ああ、二年生にはフカ子が居るか。フカ子はそもそも特殊工作活動には不本意ながら従っているから、先頭切っててタイプじゃない。
 戦闘力も基本低いし、まあ彼とつるませてもいいかな。
 むしろこの二人は戦闘の絡まない探索活動においては、いいコンビネーションとなるだろう。交渉力のフカ子と奇縁に連なる曼助で。」
釈「ふむふむ。つまり場所とシチュエーションを選ぶってことですね。」
じゅえる「木刀と棒術で組み合わせもいいんじゃないか。」

 

まゆ子「喜須 悟、三年生で女たらしというか、女好きというか、ナンパばかりしているというか、まあそういう奴だ。」
釈「

 『彼には歳の離れた姉が居た。とても綺麗な、優しい、まさに理想の異性と呼べる完璧な姉であった。
  しかしそんな美女には悪い虫が付いて、どれだけ断ってもしつこくつきまとうストーカーに家はめちゃめちゃにされてしまう。
  最後には放火で家は全焼、家族全員が焼け死んでしまう。だが彼だけは姉の手によって窓から外に突き落とされて一命を取り留める。
  まったくに理不尽な結末を迎える事件。ストーカーは今も刑務所の中に居る。』

じゅえる「こいつぁー、厄介だな。」
釈「この人はナンパしてるんじゃないんですね。なんというか、恋愛に祟られているというか。この世に居ない姉を探訪するというか。」
じゅえる「どれだけ女を口説いても、死んでしまった姉を上回る女なんてあり得ないんだ。不毛な努力だな。」

まゆ子「まあそうなんだけど、でもちゃんと彼女は居るんです。それもよく出来た。
 というかとんでもない美人で性格もいい、頭も良いしほぼ完璧な彼女が、同じ学年に居る。カレイさんの親友です。」
じゅえる「そうなんだ。」
まゆ子「彼女が正妻です。でも他の子をナンパして回ってるけれど、放任です。
 というか、彼女は彼がなぜこんな事をするか、事件について知っている。それどころか、オーラシフターについても知っている。特殊工作活動に従事することまで知っている。」

じゅえる「ただものじゃないな。」
釈「何者です?」
まゆ子「それはまあ置いといて。彼女はまたカレイの親友であり良き理解者、助言者である。
 なんだかよく分からない謎の女という事にしておこう。その方が面白い。
 とにかくこれは凄い女なんだ。でも物語には喜須を通してしか関わらない。そういう風に出来ています。
 もちろん幻の女なんかじゃなくて、宇宙人やら仙人仙女魔法使い、神様仏様そのお使い使い魔なんかじゃない。
 れっきとした人間であり、両親が居て確固とした日常生活を送る自宅登校者です。」

釈「ますます怪しい。」
じゅえる「まあ、問題はそこじゃない。彼本人の性格だ。」
まゆ子「まあ女好きであるのは間違いないし、女を大切にしますし決して傷つけないし、それでいて表面だけの上っ面を撫ぜるだけの付き合いではなく、もっと深い所に踏み込む度胸も器量も有る。
 リア充である、と言っても良いのだが、しかし彼の本心に触れられる人物は、その正妻しか居ない。
 いつ彼女と知り合ったかは、まあ高校一年生くらいだね、一目会っていきなり両方共にこいつが極めて重大な縁であることに気付いて、極自然に付き合って、今に至る。
 しかも付き合ってる最中でもしっかりナンパはやめないという虫の良さだ。」

じゅえる「なんか性格が分からないぞ。男相手にしてみろよ。」
まゆ子「男相手なら普通の男子高校生なんだけどね。バカだし調子がいいし、へらへらしてるし怠け者だし、時々変なモノに凝って何日も潰すし、すぐ飽きて次の事始めるし。」
釈「ふつー、ですね。」
じゅえる「普通過ぎてやっぱりよく分からん。その裏に何が隠れている。姉以外に何が彼を形作っているのか、分からん。」

まゆ子「なるほど、ここはむしろ彼と任務についての関係の方が彼の性格を示すのにいいかもしれないな。
 彼は、オーラシフターの任務については極めて真面目、むしろエースと言った方がよいくらいに働くと考えて下さい。

 そうだね、生い立ちを考えてみると、彼は事件直後に家族全員を失って親戚に引き取られています。
 そこで彼は直後のショックから立ち直った後には、普通の少年として生きていく事を自らに義務付けて、いい子と言う以上に普通の元気な少年として親戚に迷惑も心配も掛けないように心掛けます。
 むしろやんちゃである所を見せて、事件の影響が無いように見せかける配慮すらしていたのです。

 これは姉の影響と言ってよい。彼の姉は完璧な女性であったと彼は考えており、姉であれば何をしたか、あの姉の弟であれば何をしなければならないか。それが彼の行動基準となります。
 だから彼が女の子にこだわるのもその一環、姉を失った影響なんか無いと見せかける為のもの、と考えてもよい。

 だが彼を良く観察する、特に彼に好意を寄せる頭のいい女の子であれば、彼が自分の先に自分ではない女の人を望んでいるのを見ぬいてしまう。
 彼は優しいし面白いし話していて楽しいしそれでいて何でも出来てかっこいい、んだけれど自分に対しては本気ではないと見ぬいて、深い付き合いにならないように心掛ける。
 だから彼はまた別の女の子にちょっかいを出す。そういう繰り返しです。」

じゅえる「ふむ。仮面人格者という奴だ。」
釈「そう言われるのなら、納得ですが可哀想ですね。」

まゆ子「しかし、それはもう過去の話でもある。彼がオーラシフターになったのは中学三年生、スカウトが来て親戚の元から画龍学園中等部に入学して3年目のお正月の事です。
 彼は多くの特待生、七賢八仙の修行者と共に控えの間に居て、思いもかけず名前を呼ばれる事になる。
 それまでの2年間は皆揃って爺の前でお正月のご挨拶をする、で皆揃ってお年玉をもらう。って行事だと思っていた。まあ一人ずつ呼ばれるのは特別優秀者だと考えていた。
 つまり彼は、特殊部隊オーラシフターの存在をまっったく知らなかったんだな。

 まあ修行者の多くはそうです。子代さんや三雲くんみたいに力を志向する人間は少ない。
 それで彼は何も知らずに一人大広間に通されて、爺の前でご挨拶をすることとなります。爺の傍には学園の偉い人が居て、オーラシフターの卒業生が居て、オーラシフターのメンバーが居ます。
 物々しい雰囲気の中、彼はきっちりと挨拶をこなして、爺もうんうんと頷き、お年玉をくれました。お年玉はオーラシフター一人ひとり違います。

 それで、彼が貰ったものは「なにか」なんだよ。姉に関するなにか、そして自分が姉に囚われて居ることを気付かせるなにか、を貰ったんだ。」
釈「なにか、って何ですか?」
まゆ子「まだ考えてない。姉の遺品であったのか、姉が聞いていた音楽が入ったなにかだったのか、それとも姉の手紙なのか、あるいはまったく別の関係の無いでも姉を思わせるなにかだったのか。
 とにかくそれは後で考える。少なくとも、彼の人生に大きな転機を与えるものであったのは間違いない。」
じゅえる「そのなにかってのを、爺はどうやって見つけたんだ? 探偵でも使って調査したのか。」
まゆ子「ああ、爺のお年玉は12月前にオーラシフターメンバーと候補の名簿が届けられ、オーラシフターである付き人にそれぞれの人物を聞いて、仙術を使って贈り物を選びます。
 で12月にお買い物部隊が出動してそれぞれの為のお年玉を入手します。」

じゅえる「なるほど、人物を直接見ないで決めるのか。それでも的確な物品を選び出すのなら、凄い仙術だな。」
まゆ子「ちなみにカレイさんは高校一年生の時にオーラシフターとなり、お年玉に電子辞書を授かりました。おかげで勉強がはかどるはかどる。
 これを貰ったことでカレイさんは、自分が外交官になるという夢を実現しようと本当に決意し、またそれが爺の意向にも叶うと知りました。
 つまり爺はオーラシフター達に、任務を終えて卒業した後の進路についての指針となるお年玉をくれるのです。」

釈「つまり喜須さんへのお年玉も、単に姉の過去を示すものではなく、彼の将来を指し示すものであった。そういうことですね。」
じゅえる「ふむ。それは何であったのか、よくよく考えないといかんな。」

まゆ子「うーん、たぶんねえー、おそらくは彼に与えられたものは子供関係のものだったと思うんだ。」
釈「こども?」
まゆ子「事件当時姉は女子高生で弟の彼は小学校低学年だ。大人と子供の違いがあった。だから、大人が子供をあやすような感じの思い出の品だ。
 それはいいんだ。姉の思い出である。
 でもこれをもらって彼は気づいたんだよ。姉が何を望んでいたか。姉が自分に対して望んでいたのは、なんであったか。
 おそらくそれは、もうすぐ大学なり社会人なりで家を出て彼一人を置き去りにしてしまう自分の代わりとなる、彼が一人でも寂しくないようにと考えたものだ。

 同時に彼は、彼自身が既に姉の立場に近づいている。彼が、年少の者に対してそうであるべきだと気付かされたんだ。」
じゅえる「人にはそれぞれ年に応じた役目がある、続きが有るって事を気付かされたんだな。」
釈「過去に囚われ、現在を無難に人に迷惑を掛けないよう仮面をかぶって暮らしている彼に、未来への目を啓かせたわけですね。」

まゆ子「それをもらった彼は、お正月の大広間で大勢の人間の前で泣いてしまう、という恥ずかしい体験をしちゃいます。」
釈「あはは。」
じゅえる「なるほどね、そこは転機なんだな。」

まゆ子「そしてもう一つの転機、高等部に進学したら外部入学組に今の彼女が居て知り合うんだな。
 彼女を口説き落とすのにほぼ一年掛かってます。こんなに手こずったのは初めての女だ。
 というか、一人の女にここまで執着したのは彼女が初めてだ。
 だから彼を前から知っている女の子達は、彼が初めて本気で好きになったんだなと理解します。」
釈「でもナンパは続けるわけだ。」
じゅえる「もう身体がそういう風に出来上がってしまっているんだな。」

まゆ子「ちなみにオーラシフターになる前の修行段階、中等部の頃からカレイと彼は知り合いです。もちろん随分と誘われて、その度突っぱねてきました。」
じゅえる「うん。」
釈「つまり仲良しなんですね、二人は。」

じゅえる「それで、彼の能力は。」
まゆ子「だいたい万能選手でなんでも出来る、八郎太タイプだよ。まあちょっとちゃらいけど。
 運動能力も優れておりスタントマンみたいなことが得意。さらに仙術で自己の運動能力も向上させて、ちょっと手に負えない状態。
 むろん格闘でも神速で誰にも触らせない、電撃で目にも止まらぬ一撃を加えて敵を倒す。手加減だって出来てしまう。」

釈「もうそれだけで戦闘員としては十分過ぎますね。」
まゆ子「もちろん普通の探索任務だって得意だ。彼は変身も得意で、というか変装だな。別に姿形を換えたりしないけれど、役割を演じるのが得意。
 さらに得意のナンパ術で女の子女の人の口を割らすのも上手。聞き込み大得意。警戒を与えないのは天性の才能なんだな。」

じゅえる「だが運動能力系だけではちょっと、シーンにインパクトが足りないぞ。なんか決め手となる必殺技は無いかい。」
まゆ子「必殺技か? うーん。」
釈「オーラシフターは別に必ず殺すってものでもありませんからねえ。どうしましょう。」
まゆ子「シーン的に映えるとすれば、むしろ彼の失敗だな。彼の得意の能力から漏れて突破された先に八郎太が居て、ずばっと霊剣で斬ってしまう。」
じゅえる「なる。そうか、彼が前衛で見せ場を作ってくれるってした方がいいのか。」
釈「カレイさんの弓も、彼を支援する為に使えば十分映えますね。」

まゆ子「そういうものか。じゃあ彼は派手に活躍するけれど、本質は引き立て役ね。」
じゅえる「自分でもそういう風に考えている方がいいのかも知れないな。」
まゆ子「見せ場は後進に譲る、って名目でめんどくさい敵の始末は別のメンバーに任せてしまうちゃっかり派だな。」
釈「そういうのが欲しかったんですよ。」

 

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じゅえる「そうだ、食べ物を忘れていた。」
釈「食べ物? ああ、好きな食べ物好きな色、趣味はキャラ設定には欠かせないですよね。」
まゆ子「ああ、まあ。そうか、それはあんまり考えたことが無いな。じゃあ後で考えておくよ。」

じゅえる「棟木曼助は好物はうな重だ。」
釈「……、あーそれはー、でもー美味しいですし。」
まゆ子「うな重は高いよ。」
じゅえる「高いからこそ好物だ。」
釈「確かに。」
まゆ子「たしかにね。」

釈「じゃあ喜須 悟はキスの天ぷらですか。」
まゆ子「さすがにそこまでやっちゃうと、なんだな。」
釈「天ぷら全般でいいですかね。」

じゅえる「唐墨理一郎は、カラスミは吐き気がします。これでどうだ。」
釈「おお逆張り来ましたね。」

まゆ子「じゃあフカ子さんはフカヒレが、好き?嫌い?」
釈「フカの湯引きは美味しいですよ。さっぱりして。」
じゅえる「そこは中華全般に好きでいいじゃないか。中華料理店でアルバイトとか。」
まゆ子「即クビだな。」

釈「しかし平芽カレイさんはー、ヒラメですかカレイですか?」
じゅえる「まゆ子ーどうなんだ?」
まゆ子「いやそこは、皆さんに「カレイさんカレー好きでしょ」とか言われちゃうんだ。」
釈「おお!」
じゅえる「そう来たか。」
まゆ子「さすがにかちんと来るカレイさんは、「いえ私はドミグラスソースが」とかすかして言っちゃうんだ。ほんとはカレー好きなのに。」

釈「しかし子代双子はコノシロ好きというのは難しいですよ。なかなか。」
じゅえる「どうしようか、光物のお寿司大好きとか。」
まゆ子「ふむ、無難なところだな。」

釈「三雲くんは、ウニを食べたことがない。」
じゅえる「うん。」
釈「その代わり、海苔をバリバリ食べる。」
まゆ子「軍艦巻きだな。」
釈「へへへ。」

まゆ子「八郎太はどうしようかな。タコをー、」
釈「タコはどうですかねえ。ちょっと設定作りすぎという気がしますね。」
じゅえる「あえてタコは外す。イカも外す。彼は粗食に慣れているのだが、強いて言うならばコメだな。」
釈「いえ、タコつながりでカボチャという選択肢はどうでしょう。捻りますよ。」
じゅえる「ほおイモタコナンキンだな。」
まゆ子「採用だ。」

じゅえる「というわけで残りは、久慈 良京、大丞 白男、伊佐木 勇、火尉 とます になる。」
釈「まだ設定が出来てないから、ちょっと考えにくいですか。」
まゆ子「まあねえ、でも好きな食べ物ならなんとかなるか。」

じゅえる「じゃあ久慈 良京から。」
釈「クジラですね。でもクジラ好きというのは最近難しいですね。」
まゆ子「うーん、クジラだからねえ。」
じゅえる「クジラカツとはりはり鍋しか思いつかねえ。」
釈「鯨ベーコンとおばいけですね。」
じゅえる「ふわふわ系?」
まゆ子「ふわふわ系、かなあ。」
釈「じゃあ珍しくに、お菓子だな。ふわふわ系お菓子だな。」

釈「大丞 白男、シラウオ好きってのはーちょっと渋すぎますかね。」
じゅえる「それはちょっと十代の好物としては無理があるな。クジラより難しいな。」
まゆ子「シラウオは放棄しよう。代わりになんか透明なつるっとした、」
じゅえる「ところてん?」
釈「寒天?」
まゆ子「はあ、ところてんねえ。でも病人みたいな人がところてんなんか食ってると精が付かないぞ。」
じゅえる「そこはそれ。」
釈「個性ですよ。」

まゆ子「伊佐木 勇。」
じゅえる「肉だ。」
釈「肉だ。」
まゆ子「肉か。」
じゅえる「肉だよこいつは。魚なんか食わねえぞ、って公言するくらいに肉にこだわる。」
釈「それはれっきとした個性ですね。」
まゆ子「よし、それもがっつりしたとんかつとかステーキだな。」

まゆ子「火尉 とます。こいつは中学生でオタクでギークで、とにかく不健康。やっぱジャンクフードを食うべきであろう。」
じゅえる「うまい棒か。」
釈「でも仙術修行では食べ物にもちゃんと気を配って、健康的なものを食べますよ。」
まゆ子「とはいえ、アワビなんかは食わないな。」
じゅえる「ゲテモノ食いでいいんじゃないか。」
まゆ子「ゲテモノか、なにか凄いものは無いかな。」
釈「わらすぼ、とかどうでしょう?」
じゅえる「なんだそれは?」
釈「ワケンシンノスとかどうでしょう?」
まゆ子「なんじゃ?」
釈「あとウミタケとかムツゴロウとか、有明海の珍味です。なんとかケンミンSHOWで見たもので。」
じゅえる「有明海かー。なるほど。ぎゃぁー!」(釈注:じゅえる先輩が”わらすぼ”をぐぐりました。)
まゆ子「ああ、まあ、なんというか。とます君は有明海の周辺が出身地という事にしますね。」

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まゆ子「ということはだ、つまり爺からもらったお年玉をキャラ一人ずつ考えなくちゃいかん、て事だよな。」
釈「まあ理論的に言えばそうでしょう。」
じゅえる「ああ大変なお仕事になってしまったな。心震わすプレゼントを考えなくちゃいかんてのは。」

まゆ子「八郎太が禁断の霊剣。カレイが電子辞書。喜須が子供用の、まあ仮に子供用小さいサッカーボールとしておきましょう。」
釈「サッカーボールですか。友だちと一緒に仲良く遊んでね。というお姉さんからのプレゼントとしては、いいんじゃないですか。」
じゅえる「なんだかんだ言って女子高生が弟に贈るプレゼントだからな。そんな大金が必要なものじゃないさ。それで良しとしよう。」

まゆ子「というわけで、フカ子さんのプレゼントを考えた。学校の制服だ。」
釈「制服は普通に、特待生とかはもらえるんじゃないですかね。」
じゅえる「ちょっと待て。フカ子さんは画龍学園じゃない、外部の公立高校に通っているんだ。これは凄く変だ。」
釈「えー、それは変ですけどー、」
じゅえる「だって特待生だぞ奨学生だ。画龍学園の生徒に対するものだ、これは本来。」
釈「あ。そうか、外部の学校に通う生徒にそんなものくれてやる道理が無い。うわ、これはなんですか?」

まゆ子「つまり、フカ子さんは中学卒業を間近にして悩んでいたんだ。このままずっと甘えていいのか、って。
 もちろん悪い道理が無いのだが、しかし自立心の強いフカ子は考えた。もっと自分の力でなんとかしないと。
 でもそれを画龍学園の教師や寮長に言うわけにはいかない。何の為に自分達が特別待遇を受けているのか、なにか目的があるに違いないと理解していたのだから。
 おそらくはそれが特殊部隊任務であり、人の命に関わるものだと、彼女は予感していたんだろう。

 で、中学3年生のお正月前にはなんとかしようと考えていた。身に不相応なほどに贅沢な待遇を捨ててでも、学園を出るべきだと。
 そういう考えを固めつつあった時に、お正月新年会で爺の前に呼び出されてお年玉に「市内の公立高校の女子制服」をもらうのだな。

 これでフカ子は参ってしまった。爺様が人の心を見抜き善きようにとはからってくれた事。自分の誰にも言わない心をほとんど会ったことが無いのに見ぬいた事。
 それでも自分が信じる道を進むのを後押ししてくれる事。
 すっかり心酔してしまった、と言った方がよいかもしれない。で、オーラシフターになると同時に、彼女は外部の高校に進学する。アルバイトもする。
 そういう生活を手に入れたのだな。」

釈「爺の仙術って凄いんですねえ。」
じゅえる「ほんとうに只者じゃないんだな。」

 

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まゆ子「というわけで、残りキャラを行きます。
 伊佐木 勇。」 

釈「 

 『彼の父親が借金で破産し、兄と彼を残して母は失踪してしまう。
  まったく無気力になった父親に愛想を尽かし、兄も家を出る。チンピラになってしまった。
  彼も家出して母親の元に行くと、水商売をしていて既に新しい男が居て、彼の居場所は無かった。
  元の街に戻ると、チンピラ兄貴が居て、だが兄は元のままの優しい兄であった。彼と共に暮らす事となる。
  しばらくは彼も子供チンピラみたいなものだったが、しかし兄はヤクザの抗争の中であっさりと刺されて死んでしまう。
  行く宛を無くして父親の元に戻ると、こちらも新しい女が出来ていた。それだけでなく、父親はすっかり気力を取り戻し商売に精を出して働いている。真人間に立ち戻っていた。
  新しい女は正式に結婚して母となる。その人は良い人であった。
  しかし彼は、自分には出来ず彼女には出来た父親を立ち直らせるという事に、自分はまったくの無価値ではないかと思い、家を飛び出る。
  そして警察沙汰を起こして、引き取り先を転々とした挙句に、画龍学園に居た。
  』
じゅえる「なかなか、ハードだな。」
釈「でも彼はお兄さんを失っただけで、母親も健在、父親も事業失敗後ちゃんと復帰してさらに後妻まで出来て、生きているんですね。」

まゆ子「そう、彼は父母は失っていない。にも関わらず、家族を失ってしまったのだ。
 それも父親が悪いわけではない。というか、事業失敗して落ち込むのは普通の話で、不幸には違いないけれど家族揃って乗り越えるべき試練であった。
 実際父親は新しい女が出来たと同時に復帰して、今では元通り以上の繁盛ぶりです。」
釈「彼のおうちは、裕福だったのですか?」
まゆ子「まあなんと言いますか、カネは有るけど品は無い系の、成り上がりっぽい小金持ちでしたね。外車も有ったし。
 で事業失敗で家を取られ車を売り飛ばし、賃貸アパートに移って、父親は腑抜けてしまって何をする気力も無い。日がな一日ごろごろしてる。」

じゅえる「それに愛想を尽かして妻・母が家出。兄は街に出てチンピラになってしまった。
 チンピラになったというくらいだから、カネが有る時でもあんまり柄は良くなかったんだな。」
釈「まあーだいたい分からないではないですね。そういう小金持ちは。」
じゅえる「しかし、それで逃げ出すくらいだから母親ってのも大した女ではなかった、ってことか。」
まゆ子「まあ、ね。カネが有るからくっついたって、分かるでしょ。」
じゅえる「分かる分かる。」

釈「つまりこの家は、お父さんがお金を持って事業を成功している時は問題無く見えたけれど、貧乏になった瞬間瓦解してしまう程度の脆い絆だったんですね。」
まゆ子「というか、それまでそんなピンチすら無かった順風満帆な商売だったわけだよ。」

じゅえる「それで今は父親の事業はどうなんだ。元の通りに小金持ちか。」
まゆ子「それをちょっと超えて小金持ち+って所にまで成長している。つまり伊佐木 勇は現在に至るもやはり小金持ちの息子なんだ。」
釈「ほー。つまり特待生奨学金なんか要らない身分なんですね。」
じゅえる「経済的にはそうかもしれないが、実際は父親の援助は受けているのか?」
まゆ子「受けていません。ですが、学園に対して彼の学費や寮費を彼の後妻の母から払込がされています。これは彼には内緒です。」

じゅえる「後妻の人ってのは、いい人なんだな。」
釈「逃げた母親よりもよほどいい人ですね。」
まゆ子「それは辛い現実だぞ。つまり勇にしてみれば、自分の母親よりもずっと良い人が父親の傍に居る。
 実の母の肩を持つのが彼の当然の責務だが、現実を見てみればそれは無理なんだ。この人の方が圧倒的に父親の支えになっている。

 では父親が自分や母を捨てたのかというと、それは逆。自分達が父親を捨てたんだ。
 これは明らかに間違いであった。選択を誤ったが、最早取り戻しようが無い。いや、取り戻すという概念自体の存在が許されない。

 何故ならば、苦しい時でも家族を維持しようという意志を、自分達が持っていなかったのだから。」

釈「辛いですね。」
じゅえる「でももし兄が生きていれば、また別の選択肢があったのかもしれないね。」
まゆ子「そうだね。一度ヤクザになったとしても、それから足を洗って更生してって事で家族を再生出来たのかもしれない。
だが現実は、兄は死に、母親は別の男と暮らしていて、自分は新しい家に居場所を見出だせずに飛び出した。」

釈「理一郎は父親を亡くしたけれど彼の心にしっかりと生き続けるのに対して、勇は生きていながらも永遠に父を失ってしまったんですね。」
じゅえる「それからまた家族に戻る為には、まだまだずっと長い時間が掛かるよ。
 いや、子供であれば、家を飛び出して不良になって警察沙汰にでもなれば、自然と父親の元に帰れたんじゃないかな。」

まゆ子「そこは逆の意味で画龍学園が悪い方向に働いたと言えなくもない。スカウトがたまたま素質の有る彼を見つけてしまい、保護して、決定的に父親から切り離してしまったのかな。」
釈「彼の幸せを思えば、辛く苦しくても父親と新しい家族を作るべきであったのでしょうね。」
まゆ子「だが物語のキャラクターというのは予め幸せは奪われているものさ。とにかく彼は学園に居る。」

じゅえる「で、性格的にはどうなんだ。肉体派のマッチョということだが。」
まゆ子「まあ表面的には暑苦しいくらいに明るいぞ。体育会系というか運動部系というか。画龍学園に入ったのだって最初は運動部の特待生という感じで入ることとなる。」
釈「はー、運動部特待生ですか。」
まゆ子「表向きはね。またそのことで彼自身も納得したんだ。これで合法的に家から出られるって。」
じゅえる「ふむん。ある意味自分自身でも卑怯な手を使ってしまったんだな。」

まゆ子「というわけで、彼は表面上は明るいが内心では鬱っぽい所もあるし、卑怯な手も使う。なかなか複雑な人間だ、単純マッチョとは考えないでもらいたい。」
釈「卑怯ってのはどの程度の卑怯さなんでしょうね。」
まゆ子「うーん、そこまで考える必要はないんだが、卑怯というよりも小物っぽい感じかなあ。
 あと、彼はカネに汚い。」

じゅえる「うん。」
まゆ子「カネに細かい、ケチという事も無いのだが勘定はしっかり割り勘にするし無駄金を使わないし、とにかくカネには細かい。」
釈「そりゃ小物っぽいですね。」
まゆ子「だからと言って会計に向いているわけでもない。結構どんぶり勘定だし、出て行く分も多いし、ま父親の遺伝子がそういうもので。」
じゅえる「つまり彼には父親と同様の小金持ちの商才が有るってわけだ。」
釈「なるほど。ではオーラシフターもそういうビジネス的な感覚でやっているんですかね。」
まゆ子「ま、何かの役に立つだろうと考えて活動しているんだろうね。」

じゅえる「個人の性格は分かったが、カップリング交友関係は?」
まゆ子「こいつはオーラシフター内よりも、学校体育会運動部の方に友達が多い。また学外にも昔の知り合いというか、兄貴の友達というかそういうヤクザやらチンピラやらとの交友も有った無かったりする。」
釈「ふむふむ。」

まゆ子「どちらかと言うと、彼よりも彼の兄の方が社交的で人間関係を築くのが上手だったとも言える。そのツテを今も保っている関係ね。」
じゅえる「その兄貴ってのは、案外とやり手だったんだな。」
まゆ子「ふむ。」
釈「だってすぐ死んじゃったのに、今もツテが生きているんでしょ。相当広く深く付き合ってますね。」
じゅえる「兄が死んだのって何時頃?」
まゆ子「彼が小学5年生かな。7、8年前だな。」
釈「やっぱり兄の方が大物だったみたいですね。」

じゅえる「女はどうなんだ。」
まゆ子「学外、かな。普通の美人だろう。そんなに深く付き合っているという事も無い。」
釈「オーラシフターは恋愛禁止、とかは無しですか。」
まゆ子「まあやりたいようにやれと、でも節度は忘れるな。その程度だな。というか彼自身にしてみれば、恋人と深く付き合って結婚とかになると、躊躇する。」
じゅえる「うん、結婚とか家族に信用を置けないわけだ。深く踏み込むのを避けるのが筋だろうな。」
釈「少し臆病なところもある、と。」

じゅえる「ふむふむ、だいたい分かった。つまり彼は精神のバランスが危うい、崩れそうになりながらもバランスを取っている奴なんだな。
 じゃあオーラシフターとしての能力を行こうか。」

まゆ子「彼に特異的な能力といえば、彼は免許持ってるんだよ。自動車バイク船、飛行機も今取ってる。」
釈「えー、それは仙術ではないでしょう。」
まゆ子「いやいや、仙術としても乗り物に乗る、動物を扱うのは立派な超能力だよ。彼は超能力を操る事に用いている、と考えてくれ。
 そして免許を取る為の練習やら訓練やらを他のメンバーよりも多くやっている。カレイさんだってバイクの中免くらいは持ってるのだ。
 18歳だし、自動車免許持ってて何の不都合があろうか。」

じゅえる「でもそれは普通人の能力だぞ。そりゃ特殊部隊としては必要だろうが。」
まゆ子「まあまあ、格闘戦の能力も彼は高い。なんたって運動部だ。野球だって柔道だってラグビーだってやるぞ。万能選手だ。
 で、超能力的に格闘すると言えば、彼は投擲が得意となる。石やらボール投げやらで不思議な投げ方当て方が出来るんだな。」

釈「モノを投げる能力ですか。カレイさんの弓に比べると使い方が難しいですね。」
じゅえる「変化球とか投げられるのか。」
まゆ子「一撃KOですよ。」
じゅえる「うーん、まあ。確かにそういう能力が有るのは不思議ではない。」

まゆ子「彼が優れている点は、極めて近未来が予測できるってことだ。乗り物運転もそうだし、投擲もそう。
 次に何が起こるか、敵がどこに動くかを瞬間に予測できるから、当てられる。」
じゅえる「なんだ、凄い能力者じゃないか。」
釈「未来予知が出来るのなら、早く言ってくださいよ。もう。」

まゆ子「いやいや、これはむしろ彼が父親を読み損なった事に対する補償作用みたいなものだ。よりよい、正しい未来を読みたいという強い欲求が近未来の予測を成功させている。
だが反面、遠い未来や明日のこととかは予測効かないのな。これは超能力の問題ではなく、知性判断力の問題だ。」
じゅえる「あくまでも動物的な勘が働く、と考えればいいのか。」
釈「特殊部隊としては使える能力ですね。」

まゆ子「さらに裏社会との繋がりがあるから、探索任務でも重宝する。
 彼は仙術によってフカ子と同様の交渉力を向上させていて、見知らぬ土地でそれらしい人間を見つけて友達になって情報を聞き出す、とかを得意とする。」
釈「便利なもんだ。」
じゅえる「八郎太には逆立ちしても出来ない能力だな。」

まゆ子「ただ反面、彼は人の心が分かりにくいという欠点が有る。すぐ簡単に仲良くなれるけれど、以外に心を傷つける事も言ってしまう。
 これはフカ子さんにはない。

 まあなんだ、彼は見掛けどおりのがさつなマッチョである、という事なんだな。」
じゅえる「仙術でなんとか出来ないのか?」
まゆ子「これは人間力の問題だからねえ、まあチンピラとすぐに仲良く慣れる能力ってのは、特筆すべきではないだろうかね。
 いやむしろ、そのくらいがさつであるからこそ、彼はそういう連中とすぐ馴染む事が出来るんだよ。同じ穴のムジナだな。」
釈「難しいものですねえ。時にはガサツで無神経であった方が信用されるってことですか。」

 

まゆ子「ちなみに、八郎太の前のオーラシフターリーダーはこれ系のアウトサイダー的な人物であった。社会の裏側にかなりの繋がりを持ち、それを武器にオーラシフターの任務を成功させてきた。」
じゅえる「ふむ。つまり八郎太はまったく違うタイプのリーダーなんだな。」
釈「勇とそのリーダーはもちろん面識が有るんですよね?」
まゆ子「勇がオーラシフターとなったのは中学3年生のお正月、前のリーダーとは2年間働いてますね。
 だから、彼は勇にとってのヒーローでもあります。ある意味では新しい兄貴です。」

じゅえる「ふむふむ、いいぞその設定。」
釈「わくわくしますね。」

 

まゆ子「火尉 とます。最年少14歳。つまり中学2年生でオーラシフターに任命された事になる。」
釈「

 『交通事故から目を覚ますと、彼はとある古い洋館に居た。両親は死んで彼のみが館の主に拾われたという。変な女の助手も居る。
  そしてなんだか分からない実験台のような生活を何年も送り、体調を崩して死にかける。
  そしたら死んだという事にされて、崖から投げ落とされて捨てられてしまう。だが彼は死ななかった。
  山菜採りの人に助けられ病院に運ばれ、そこで何年も前に死んだはずの両親と対面。彼は一人だけ事故現場から連れ去られたのだという。
  もちろん謎の洋館がどこだったのかは不明。
  彼は元通りに両親と共に暮らすが、身体に何事か仕込まれている為に常に違和感を覚える。
  思い余って、身体の要求する通りに動いてみると、オーラシフターの一人と遭遇した。彼は能力を使える人間を見極める力を与えられていたのだ。
  そのまま画龍学園に。』

じゅえる「さあて厄介だぞ。マッドサイエンティストの被害者だ。」
釈「中学二年生でも成れるんですねえ、オーラシフター。」
まゆ子「若い方では中学3年生が普通だな。つまり4月になれば高校生だ。
 お正月に任命されて、オーラシフターの基本である仙術に目を啓かされて、実戦投入出来るのはどう考えても3月は後。高校生だよ。」

じゅえる「つまり彼はそれだけの能力が既に有る、ってことか。」
まゆ子「簡単に言ってしまうと、彼は魔法機械です。ショッカーに捕まって改造された仮面ライダー的な能力者です。
 オーラシフターよりもはるかに強い能力を持っている。ただしそれは、人間的な資質を破壊する事で成り立っている。」
じゅえる「だろうね。」
釈「人の世では暮らせなくなったから、画龍学園に連れて来られたわけです。でもどんな能力者なのですか。」

まゆ子「物理魔法。」
じゅえる「おお!」
まゆ子「オーラシフターにおいては、物理魔法を実現するために仙獣を使う。可愛いマスコット獣だよ。
対して彼は、変態博士によって身体に虫を植え付けられた。幻の虫「尸」だよ。「しかばね」とも言うけどね。」

釈「どんな魔法が使えますか? それ。」
まゆ子「まあ簡単に言えば、コンピュータの中に潜んで物理アクセスを可能とする。
 コンピュータ自体の操作は彼が自分で行うんだ、スーパーハカーだし。
 でもその前段階である、システム自体への接続を「尸」がやってくれる。つまり電線虫だ。」
釈「うはー、凄いやつですね。」
じゅえる「具体的には、冷却ファンの穴とかUSBとかから忍び込むのか?」
まゆ子「いやいや、一応は仙獣ですから、物理障壁を直接に透過して中入っちゃいますよ。で、回路に接続して彼のノートパソコンで自在に操れるようにする。」

じゅえる「その変態博士はその為に彼を作ったのか?」
まゆ子「いやどうも、変態博士はこの能力を彼の体内に仕込んで、サイボーグ体への接続のインターフェイス実験を繰り返していたらしい。
 それで神経ボロボロになって身動きが取れなくなると、崖からポイ捨てだ。」
じゅえる「ひでえ。」

まゆ子「彼のスーパーハカー能力も、その時にコンピュータと接続されたことによって発達した。接続すればシステムが身体感覚として理解できるんだな。
 それで指を動かすのと同程度の手間でプログラムが可能となる。もうスーパーハカーそのものだよ。」

じゅえる「それで、五十六兵法の七賢八仙はどう役に立つのだ。」
まゆ子「彼はそのままでは普通人としては生きられません。身体の中がそうとうぶっ壊れてます。
 故に常時仙道を発動させて、人間としての常態の生理を駆動しています。つまり仙術は彼にとっては生きる命綱。使えるとかそんな生やさしい話ではありません。
 また幻覚とか霊視がしばしば発動して錯乱常態になるのも、仙道で鎮めています。」
じゅえる「仙術ロボットなのだよ。」
釈「最強ですね。」

まゆ子「とはいえまだ中学生で身体が出来ていないから、そんな格闘で無理とかは効かない。まあ物理魔法能力者であるから、派手にかましますよ。」
じゅえる「仙獣による攻撃だと、凄いことが出来るのかなやっぱ。」
釈「とはいえ、エネルギー的にそれほど膨大な物理現象を引き起こすというのは無茶でまた面白くありません。やっぱ敵の体内に虫を入れて心臓発作とかその程度に。」
まゆ子「そんなけちくさい攻撃はしないよ。どうせやるなら派手にいくぞ、どんと行くぞ。

 うん、「尸」は呪的防御されていないあらゆる物体を透過します。金属も軽々です。金庫なんかもね。
 ということで、銃器のマガジン内に忍び込み、弾薬の雷管信管を直接に起動させます。
 敵は持ってる銃火器がいきなりドカン!」

じゅえる「おおおー。」
釈「おおおおおおー、まゆ子先輩にしては思い切りましたね。」
じゅえる「けちくさい小技の攻撃が大好きなくせに、凄い技を付加するんだな。それは凄いぞ。」

釈「到達距離はどうします。10メートルですか15メートルですか、それとも直接接触にしますか。」
まゆ子「あー、敵が近代的な装備を持つ、戦闘訓練も施された特殊部隊とするならば、半径500メートルくらいは効果ないと駄目だろ。」
釈「おおお、大盤振る舞いですよ!」

じゅえる「制限は何だ、ものすごい制限があるんだろそれは。頭が痛くなるとか魂を喰われるとか。」
まゆ子「制限と言うならば、「尸」が1匹しか居ないってことだな。同時に1匹1目標にしか効果が無い。」
じゅえる「うんうん。それに目標を直接視認できないと駄目とかは必須だな。」
まゆ子「いや、見えない目標にも効果がないと、困るだろやっぱ。なんせ特殊部隊がちょろちょろ姿を見せるはずも無し。」

釈「うおおおお、これはまさしく対特殊部隊用の兵器なのですね!」
まゆ子「なにせ変態博士が作ったもんだから、そのくらいはばっちりやるさ。」

じゅえる「なんかバランスブレイカーな気がしてきた。これは本当に使って良い能力なのか?」
釈「たしかにやりすぎてゲームバランスが壊れそうです。」
まゆ子「そんな事無いぞ。人間兵器、仙道ロボであればこのくらいは必須だって能力値なんだよ。」
釈「しかし、便利すぎるバランスブレイカーを投入するのであれば、敵も相当の力技で攻めてくると設定しないと駄目ですよ。引き立ちません。」

まゆ子「いや、まあ別にいいじゃないか。だってオーラシフターは普通の特殊部隊じゃないんだぞ。仙術特殊戦闘部隊だ。
 仙術が使えない相手なら、さくさくっとやっつけてしまうくらいでないと駄目だろ。」
じゅえる「ああなるほど。それはまったくもって正論だ。対普通人相手なら仙術で圧倒的ワンサイドゲームしないといけないな。」
釈「そうでなければオーラシフターを投入する必要もありませんね。確かにそうです。」

まゆ子「というわけで「尸」は普通人には圧倒的戦闘力を発揮するのだが、仙術を心得た者であれば大抵見えます。」
じゅえる「そうか、デメリットではなく見え見えの攻撃をしている事になるんだな。」
釈「そうですね、仙術やら魔術を使う者に対しては特に強力なアイテムではないわけです。」
まゆ子「しかも虫避けの呪法ってのはどこの流派も持っているから、防御は簡単なのだ。」

じゅえる「これって、ありふれた呪法なのか?」
まゆ子「変態博士は別に仙術の達人てわけではないのだよ。仙術を科学的に応用しようというだけのマッドサイエンティストだ。
 だから有り物の仙術・仙獣を用いて身体改造の実験を行った。つまり「尸」自体は誰か別の道士によって用意されたものなのだな。」
釈「なるほどなるほど、出処はとにかくそれほど高度な術法ではないのですね。」

じゅえる「じゃあオーラシフターとしてこの術は大したものじゃないのか?」
まゆ子「いえ物理魔法は凄い能力ですよ。ただ彼らにはもっと高度な仙獣がマスコットとして居ますから。尸くらいじゃ驚きませんよ。」
釈「ああ、そういえばマスコット設定がありましたね。子犬チワワれべるの小さい獣。」
まゆ子「このマスコットは神仙郷から術者道士が連れ出した高度な仙獣で能力はとんでもなく高い。というか、これは長年月の修行を修めた仙人並の術が使えます。」
じゅえる「そうか、虫レベルの物理魔法とは格が違うんだな。」

まゆ子「ところでこの仙獣、『喜味子モテ期到来』において、子代さんかカレイさんが物辺神社に連れてきて、みのりの凸凹犬と格闘して、負けます。」
釈「凸凹犬強し。」

じゅえる「まあ戦闘力は理解した。オーラシフターとして十分な能力が有る。
 で、性格は?」
釈「これでは変態博士に改造されたってだけで、人格形成やキャラ作りには役立ちませんねえ。」
まゆ子「そうだな。他の連中と違って家族のトラウマになってるてのではないな。じゃあ考えるか。」

じゅえる「オタクでゲテモノ食いでスーパーハカーなのは分かった。どちらかというとアメリカオタクのギークらしいってのも分かった。
 で、性格は?」
まゆ子「基本的に彼は両親に対する憎しみとか怒りとか絶望は無い。それどころではない監禁状態に居たわけだ。
 それで仙術改造をされた結果神経がボロボロに成って、発見救出された後でも病院に1年以上入院していた。その間両親とはまともな会話も出来なかったと言ってよい。
 というか、精神状態自体が混乱と妄想とコンピュータ的な思考の中に居て、人間の精神状態じゃなかったのだな。

 で、仙術が絡んでいる事が入院1年後に判明してオーラシフターが派遣されて、その後画龍学園と関係がある病院に転院となり、仙術による治療が行われて健康と精神の安全を取り戻す。」
じゅえる「つまり通常の少年の精神を持っていないって事だな。」
釈「無機質な感じでしょうか?」
まゆ子「どちらかというと、監禁改造される前の子供の精神がその後治療によって復元された、と考えるべきだろう。
 入院が1年以上と監禁が最低でも半年と考え、現在が14歳。7つか8つの頃に監禁されたと考えるべきだろう。」
釈「その頃の精神のままとすると、オタクではなくガキですね。嗜好もガキのままと考えるべきでしょう。」

じゅえる「ふむふむ。でも今は中学生であり特に他の生徒と衝突を起こす事も無いんだろ?」
まゆ子「うーん、特待生という事で特別視されているてのもあるし、コンピュータの天才だという事になっていて教師の間でも彼を特別な存在と考えていますが、
 他の生徒との関わりあいというのは別に衝突する事も無いかな。というか、他の特待生だって五十六兵法の修行者であるから変といえば変。」
釈「ふーむ。彼と気の合う友達が居るのですかね。」
まゆ子「あー、でも特待生と言ってもお小遣いたくさんてわけじゃないから、そんなオタクグッズを買ったり置いたりするのは出来ないぞ。」
釈「ですよねえ。どうしたものか。」

じゅえる「インターネット上でそういう友達が居るということでいいんじゃないかな。」
まゆ子「なんか違うなあ。寮生活でそういう趣味をするわけにはいかんだろう。」
釈「止める人も居ますよねえ。」

じゅえる「それはあれだ、腐れた友達が居るんだ。しかも学校に。寮生でない一般通学生に。」
釈「オタクの友達の影響で、彼が提供するものを面白いと思ってハマっている。そういうところですか。」
まゆ子「ふむふむ。一見するとどうにもおかしい彼に寄ってきた友達はオタクであった。そういうことだな。」
釈「どうしましょう、それは男でしょうか女でしょうか。」
じゅえる「女オタクである方がこの際物語的に発展性が高い。でもやっぱ男だろうな。」

まゆ子「ここは物語性の拡張の為に、女オタクを採用します。」
釈「了承します。」

じゅえる「で、女ヲタによって目を開かれた彼は学校でもヲタ友達が出来て、現在楽しく暮らしている。」
釈「いいんでしょうかそれは…。」
まゆ子「楽しければいいんでないかい。」
じゅえる「つまり、割りと素直な子ってことかな。」
釈「そうですね、むしろヲタ生活が新鮮に映っているという段階でしょうか。」

じゅえる「所詮はガキだ。ちゃんと発育出来なかったガキが、中学校という場に放り込まれて普通のヲタを体験しつつ成長しているのだ。」
釈「厨二的にですね。」
まゆ子「やはり七賢八仙のお導きが必要ですねえ。」
じゅえる「まいいや、とにかくオタクであるのは最初から決まっているし、そんなややこしい性格を望まれるキャラではない。」
釈「そうですね、彼がややこしいと他のキャラのややこしさが埋もれてしまいますからね。」
まゆ子「簡単に済ますのが吉ってことだな。
 それに彼の苦悩というのは、この流れだと仙術ロボットとしての不具合とかコンピュータウィルスとかのトラブル関連だろう。人間関係じゃないはず。」

釈「じゃあ敢えて、シンプルにおしまいにしておきましょう。」

 

まゆ子「だんだん設定するのに疲れてきた。何も無い所からひねり出すのはなかなか精神力を使う。なんかエンプティ状態。」
釈「あと二人です頑張りましょう。」

じゅえる「残りは年長の2人だけだ。頑張れ。
 えーと19歳、大丞 白男。病弱設定だ。

 『彼は幼い頃より病弱で、医師に臓器移植をするしかないと言われる。
  彼の両親は必死になって手術費を募金で集めてアメリカに渡ろうとするのだが、その取りまとめをしていた父の友人がカネを持ち逃げ。支援者にはお前たちもグルだったのだろうと理不尽に責められる毎日。
  或る日、家に帰ると両親は知らないおじさんと居た。神様だと言う。新興宗教にいきなりはまってしまっていた。
  彼の病気も治すというのでなんだかよくわからない儀式で殺されそうになる。脱出して学校の先生に助けを求める。
  しかし両親保護者が揃って居るのを子供を引き渡さないわけにもいかないで対応に苦慮していた所、旅のお坊さんが現れて一喝すると両親は腑抜けになってしまう。
  児童相談所がこれでは両親に任せられないとあれこれ引き取り先を探していると、いつの間にか画龍学園に居た。
 』

釈「えーとこれはどこかで、」
じゅえる「ガハラさんでしょ。化物語の。」
まゆ子「後半はそうだろうが、でもちょっと違うだろ。」
釈「却下ですね。そもそも新興宗教が怪しいペテン師というのが、ステロタイプというものです。用も無いのに悪者にするのは戦後左翼思想の悪い癖です。真似しなくて結構。」
まゆ子「えー、そんなとこも戦後サヨクなんだ?」
釈「当たり前です。左翼ってのはそもそも科学的合理主義を売り物として、宗教勢力とは相反する存在です。隙有らば足をすくってやろうと手ぐすね引いて待ってます。」

まゆ子「じゅえるー、これってそうなの?」
じゅえる「そうだよ。新興宗教が悪いというのは、それが反社会的行動を取る場合に限られる。だがたいていの場合、信者やその基盤を取られた既存宗教が攻撃をするから悪役ぽく見えるんだ。」
まゆ子「で、でも、壺を売りつけたり洗脳したりの、」
じゅえる「全部がぜんぶそうじゃないでしょ。もっとのほほんと近所のおばさんを集めてのどかーにやってる新興宗教も有る。」
釈「そうですよ。第一悪意有る者が宗教を隠れ蓑に詐欺商売をするってのは、既存宗教でもたびたび行われているのです。」
じゅえる「ついでに言うと、なんとかセミナーとか健康商品の販売ってのは、宗教ではないとしても手法は悪徳詐欺宗教とほぼ同じだ。
 あれがニューサイエンスとかの70年代左翼的思想潮流に淵源を持つのは今更説明するまでも無いだろう。」

じゅえる「というわけでこの設定は修正だ。新興宗教で云々は破棄。」
釈「そうですね。騙されてお金を持ち逃げされて、親子ともども一家心中をしようとした所に、お坊さん乱入でいいんじゃないですか。」
まゆ子「ああ、それで済むならそれでいいんだが。でもお坊さんはいいのかい?」
じゅえる「じゃあ虚無僧ということで。」
まゆ子「こ、虚無僧とな?」
釈「虚無僧は正義の味方ですよ。悪を密かに監視して即斬。」
じゅえる「虚無僧の中身は裏柳生だからな。公儀お墨付きの正義の味方だ。」
まゆ子「いや、それって正義というよりも隠密なんじゃ。」
じゅえる「隠密は正義でしょ。」
釈「公共の秩序を維持する為に密かに悪を裁いているのです。絶対の正義。」
まゆ子「そ、そういうものか、じゃあ虚無僧が乱入してきて助けられたってことで。」

じゅえる「修正しておこう。

 『彼は幼い頃より病弱で、医師に臓器移植をするしかないと言われる。
  彼の両親は必死になって手術費を募金で集めてアメリカに渡ろうとするのだが、その取りまとめをしていた父の友人がカネを持ち逃げ。支援者にはお前たちもグルだったのだろうと理不尽に責められる毎日。
  責任感の強い両親は死んでお詫びをしようと、彼ともどもに一家心中をしようとする。
  その時ちょうど通りかかった正義の裏柳生の虚無僧が家に乱入して、企てを阻止。家族は一命を取り留める。
  その後裏柳生の勧めで両親は取られたお金を返済する為に身を粉にして働くも、気がかりなのは彼の健康。
  そこで仙道による健康維持、つまり導引術を使って体内の気を練って身体の悪い場所を治していこうという手法に頼ることとなる。つまり画龍学園に入学だ。
  学園に彼を任せる事で、両親は一心不乱に働けるのであった。

  もちろん臓器移植が必要となるほどの病状であれば仙道でもどうにもならないのだが、ならないなりにずるずると長く生きていって、今19歳。
  医者に掛かればこのままだと数年以内に死ぬと言われているのだが、もう十年もおなじことばっかり言われている。
  ただやっぱり移植手術をしなければいけないのは間違いない。でも彼はこれにより一家が死にかけた事を覚えており、また莫大なカネが掛かるものだから拒否する他は無い。

  とにかく彼は今でも死にそうだけど死んでない。これだけ生きれば恩の字だ、とはいうもののさすがにそこまで悟りを得てはいない。
  毎日をただ有難いと生き続けている。
  』
」 

釈「よかったですねえ、虚無僧が乱入してくれて。」
じゅえる「虚無僧サマサマですよ。」

まゆ子「ああ、はあ。虚無僧は偉いですねー。」
じゅえる「というわけで彼は虚無僧に化ける。」
まゆ子「なんでだー。」
じゅえる「いや、今でも病弱で激しい運動が出来ないのだから、オーラシフターの現場に行く時は目立たぬように変装していくぞ。それが虚無僧というだけで。」
釈「虚無僧、いいですよね〜。」

まゆ子「ま、まあいいでしょう。虚無僧だって仏教僧だ。何時果てるとも知れぬ命であれば仏様にお縋りしようと思ってもなんの不思議もあるものか。」
釈「まあ、死と直面する日々の生活というのは、やはり苦しいものがあるでしょうね。」
じゅえる「それでも仙術修行をするんだ?」

まゆ子「というわけで彼の能力は虚無僧だ。」
釈「いえ、それは超能力じゃありませんから。」
まゆ子「現場に虚無僧が立っていても、風景に溶け込んで誰も不審には思わないだろう。そこでだ。」
じゅえる「どこだよ。」
まゆ子「彼は非常に複雑な術を用いる。難度も高い。つまり、敵の運勢を制御するという術だ。」

じゅえる「おお、そいつは地面に魔法陣を描いて敵を上手いこと誘導して陣を踏ませるんだったな。」
釈「なるほど、それを虚無僧が仕掛けていても誰も怪しむ人は居ませんね。これはいける。」
まゆ子「というわけで、動きを捉えられない難敵の場合彼が出動して、虚無僧姿で待ち受ける所に皆で敵を追い込む。もちろん虚無僧を警戒する敵なんかどこにも居ないから、即引っかかる。」
じゅえる「なんという巧妙な罠!」
釈「何人足りとも彼の術から逃れることはできません!」

まゆ子「無論彼は激しい運動を止められているし、そもそもが八仙も特別メニューでゆったりとやっています。戦闘なんか出来ない。
 出来ないんだけど、出来る。尺八でぶん殴るという技が使える。」
じゅえる「いや、それ技じゃないから。」
まゆ子「いやいや、ただ人をぶん殴るにも技の冴えというのはあるんだよ。裏柳生の秘術だよ。」
釈「つまり、彼は裏柳生の技を使うんですね?」
まゆ子「そういう事になるかな。まあどちらかというと尺八による音楽だけどね。」

じゅえる「頼むから、音楽を聞かせたら人が身動きできなくなるとかの穏当な攻撃手段にしてくれ頼む。」
まゆ子「じゃあ尺八を吹きながら禹歩して、敵を呪に掛けるって事で。
 そうだなー、効果としては一瞬自分が何をしていたか何処に居たか分からなくなる見当識失調の術というのにしましょう。」
釈「それはやはり魔法陣内に踏み込まなければ効かないタイプの術ですか。」
まゆ子「そうだなー、運勢を制御する術は魔法陣としても、この術は尺八の音が聞こえる範囲内でいいんじゃないかな。
 ただ副作用が有って、その場に居る者全てに効力を発揮する。オーラシフターであってもそうだ。
 というところでどうだろう。」

じゅえる「リスク付きの技ね。まあ使いドコロが難しいけれど、悪くはない。でもその識失調ってのはどのくらい持続するんだ。」
釈「そうですね、瞬間的に回復するとワンチャンスしか望めませんが、耐性はどうでしょう。」
まゆ子「ああやはり相手によって効力が違うと考えるべきだろう。仙術の道士が相手なら数瞬、数秒で回復するが未熟者であれば数分間は混乱する。
 一般人であれば特に道間違いとかだと間違ったことにすら気付かずに数時間はロスしてしまう。」
じゅえる「登山道間違えるとかだと、致命的だな。」

まゆ子「まあ、つまり彼が尺八でぶん殴る程度の時間的余裕は稼げるわけだ。」
じゅえる「ああ、そういう風に使うんだ。」
まゆ子「ちなみにこれも裏柳生の技ね。五十六兵法の術ではない。というか笛尺八は使わないもん。」
釈「はい、じゃあ彼には裏柳生の先生が付いているという事にしましょう。」

じゅえる「それで性格は。」
まゆ子「やはり身体が弱いからね、人に頼らないと生きていけないからにはおとなしい、柔らかい、人と衝突しない性格だよ。
 これは後天的に獲得したものであるが、生まれつきの性格もさほど過激だったり反抗的だったりはしない。
 また他人の心を思いやり、相談にも乗ってやるとかの親切も見せる。画龍学園特待生の小学生なんかにも優しいぞ。」

釈「性格的欠陥は無しですか。」
まゆ子「強いて言うならば、年に似合わず抹香臭いことかな。もちろん虚無僧の格好をするから仏教に傾倒するという事も無く、人に信仰を押し付けたりもしないけれど。
 それでもやっぱり言う事が若くない。棺桶に半分足を突っ込んでる系の発言になってしまうんだ。
 まあそこはあまりギャグ的にならないように気を付けて台詞を考えますよ。」
釈「要するに遠い所を見ている人なんですね。彼岸の先を。」
まゆ子「ただオーラシフターとなったからには、爺の目的を果たすわずかな一助になろうと、任務には真摯に取り組みます。
 出番はあんまり無いけどね。」

じゅえる「結局のところ、最初の不幸設定のとおりに、彼は宗教が絡む性格なんだね。そういう運命なんだ。」

まゆ子「だからあの不幸設定はお風呂に入って一生懸命考えたと言ったでしょう。
 あれはあれで真剣なものなんですよ。簡単にガハラさんのパクリだなんて言わないで下さい。」
釈「反省です。」

 

じゅえる「ところで、裏柳生ってなんだ?」

釈「そりゃあ裏柳生は悪即斬でしょう。公儀目付ですよ。隠密支配ですよ。」
まゆ子「現代日本にも裏柳生家が有って、日本政府の隠密として活躍しているのです。」
じゅえる「公安?」
まゆ子「公安すらも内定する裏公安だな。日本国の秩序の最後の砦となる対諜報員秘密捜査部隊だよ。」
釈「それは凄いですね。でも日本には諜報機関は公式には存在しないはずですが。内調とかはあまり規模は大きくありませんよね。」
まゆ子「アウトソーシングしているのです。というか、日本敗戦後当然のごとくにそれらの機関は解体されたけれど、人間は死んでない。また養成機関も死んでない。
 『寶』はまさに特殊能力者の養成機関であり、オーラシフターも連綿と続いているのです。裏柳生があってなにがおかしい。

 ちなみに柳生は表柳生と裏柳生、武者小路柳生が居て、』
じゅえる「茶道かい!」
まゆ子「まあまあ、」
釈「とにかく表柳生は確かにあるんですよ。で裏柳生が隠密を、武者小路柳生って何ですか?」
まゆ子「まあ、ニンジャだろうね。」
釈「ニンジャですかー、あー『ニンジャハリウッド』とか?」
まゆ子「それとは違うニンジャだ。と言ってもー、普通のニンジャとは違うようでないと困るよな。腐っても柳生なんだから。」

じゅえる「対宇宙人戦闘部隊「武者小路柳生」でよくないか?」
まゆ子「うーん、ああ。そういえばオーラシフターは対仙術特殊戦闘部隊だけどあくまでも未成年による期間限定のメンバーでやる半アマチュア組織だった。
 プロの対抗部隊は必要だな。」
釈「なるほど、オーラシフターのプロですか。」
じゅえる「そうか、それは確かに必要なものだな。で、それと裏柳生はどの程度違うんだ?」
まゆ子「裏柳生はあくまでも悪を即斬する為の機関であって、仙術やら魔法やらはほとんど関係ない。ただ柳生だから武者小路柳生の存在を知っている。
 だから画龍学園の裏であるオーラシフターについての理解も有り、仙術を用いて健康を保つという方法も知っていた。」

釈「つまり、彼を助けたのはあくまでも普通の悪党を退治する裏柳生の虚無僧であって、魔法仙術関係なしだったわけですね?」
まゆ子「そりゃ変だろう。町中をちょろちょろと魔法使いがうろついていたら。」
じゅえる「いや、それは裏柳生がうろついてるのも変だろ。」

じゅえる「ところで、表柳生は何をしているのだ?」
まゆ子「そりゃあ柳生新陰流を伝えているんじゃないかな。」
釈「つまり、国家機関としての表柳生家というのは無いんですか?」
まゆ子「徳川幕府倒れちゃったからな。」
じゅえる「そりゃそうだ。あくまでも徳川あっての柳生だ。」

釈「なのに裏柳生は有る。隠密として機能し続ける?」
まゆ子「そもそも柳生の里はシノビだからな。シノビが忍んで暮らして何が悪い。」
じゅえる「そりゃそうだ。でも悪を斬る業務は続行できたんだ?」
まゆ子「まあ明治新政府も表の政治だけでは成り立たないのはよく分かってましたし、国外勢力の手先となって明治日本を覆そうとする勢力は少なくなかったですから。」
釈「奸賊をぶった斬ってきたんですね。」

じゅえる「で、今も虚無僧姿で悪を斬っているのか。」
まゆ子「斬ってますよ。」
釈「斬ってるんですかー。」

じゅえる「ちなみに武者小路柳生はプロの仙術特殊部隊で、」
まゆ子「仙術じゃないよ退魔忍術武者小路柳生だよ。」
釈「そこは厳密な違いがあるわけですね?」
まゆ子「だって仙術はまずは仙人に成るという最終目的があるけれど、こちらは世の為に魔物を退治するのが最終目的だ。正直言って体に悪い。」
じゅえる「そりゃ身体に悪いな。」

釈「なるほど、でもそんな任務をよく続けられますね。」
まゆ子「画龍学園は特殊人材育成機関の連合体である『寶』の傘下にあるのだが、裏柳生武者小路柳生の養成機関もちゃんと有るのだ。」
じゅえる「そういえばニンジャの養成機関も『寶』の属するんだったな。」
まゆ子「これらは相互に連携を保っており、各々の養成機関が獲得した人材の素質を吟味して、別の機関に任せた方が伸びると判断した者はそちらにトレードするとかやってます。
 画龍学園はその中でも「出す」方の専門で、正義を守る意志の強い者には裏柳生の、魔物に対する特性の高い者は武者小路柳生へと人材を輩出していたりします。」

じゅえる「仙術はそんなコンバートが楽に出来る性質のものなのか?」
まゆ子「当然のことながら、仙術修行をする者の全てが仙人に成れるわけではありません。むしろ仙術を現実の社会内部で応用する道士で終わるのがほとんどです。
 オーラシフターも20歳で卒業ってのは、それまでの期間の任務で自らの特性を見極め、自ら進路を決定する為の教育的課程である。と言ったよね?」
釈「言いましたね。でも特殊部隊になる人はそんなに居ないとも聞きました。」

まゆ子「毎年最大で12人のオーラシフターが稼働するわけで、実働期間は4,5年。毎年2,3人が出入りしています。
 この内特殊部隊を進路に定めるのは10人に1人くらいだね。だが魔法が使える特殊部隊員であれば、4年に一人でも多過ぎるくらいだ。
 こういうのは希少価値が大事。特殊な魔法能力者がぼんぼん製造できるとなれば、必ず頭のトチ狂った奴が出ます。バカを始めます。
 それを爺は前の大戦時に骨身に染みて痛感したのです。あたら有為の若者をまぬけな思惑で浪費しては日本が滅びてしまうと。

 そこでオーラシフターのシステムを開発しました。10代の未熟な者を敢えて不思議の事件の解決に当たらして、熟練の術者はバックアップに回る。
 失敗も損失もあるだろうが、戦力の計量化が出来ないとなれば中途半端に頭の良い奴のおもちゃにされなくて済む。
 しかもオーラシフター関係者を卒業させてあらゆる方面に浸透させる事で、総合的に術者の悪用を防いでいるのだ。またその事で総合的に日本国の秩序は確かな安定を見る。」

じゅえる「裏柳生・武者小路柳生は確実な戦力としての運用を見込まれているんだろ。それはいいのか?」
まゆ子「基本的に、武者小路柳生はあくまでも魔物を相手にする部隊だ。一方裏柳生はあくまでも人間の悪を斬る部隊。
 対してオーラシフターは術を用いる諜報員工作員、あるいは半妖怪と化した人間を相手にする。

 術を用いる工作員てのは確かに手強いのだが、術を身に着ける為の修行にどうしても時間を割かれるので、戦闘員としての能力は多少落ちる。
 裏柳生は基本的に魔法的な攻撃は行わないのだが、防御を知らないわけではない。というか幻術にはしばしば遭遇する。でもそれを斬るのが商売だ。
 勝てるんだよ、その程度の術者であれば。」
釈「武者小路柳生は裏柳生に攻撃魔法を追加したようなものですか。」
まゆ子「

 

まゆ子「さいごー。」
じゅえる「最後は爺の付き人で20歳、次のお正月で卒業の 久慈 良京です。
釈「

 『彼は捨て子である。父母はまったく分からない。児童施設に預けられ里親を探して、無事養子となる。
  だが引き取られた先の家が強盗に襲われて一家惨殺。彼のみが生き残る。
  その後また養子縁組先が見つかり、引き取られたが数カ月後、この家も隣家の火事によって消失。子どもを育てられない状態になる。
  三度児童施設に戻るが、縁起の悪い子として今度は長く見つからず、そのまま成長する。
  頭は良かったから児童施設を出る奨学金プログラムに応募して、全寮制の画龍学園に入学する。
  』

じゅえる「こりゃまた辛い少年時代だな。」
釈「彼は家族を持たないどころではなく、持てないのですね。両親自体が夢幻なのです。」
まゆ子「問題は不幸体質だ。里子に出される度に家族に不幸をもたらしたってところが、不幸の最たる物なのだな。
 こんな因縁を持つ子を引き取る人は居ないさ。」

じゅえる「この人本人の素質とか性格には問題無いんだろ?」
まゆ子「実に温厚で聞き分けの良い、頭のいい子だよ。施設に居る分にはまったく問題無い。」
釈「それはかなり哀しいですねえ。」
じゅえる「しかし性格がいいというだけでは画龍学園のスカウトは来ないだろ。というか、スカウトじゃないな。自力で応募しているぞ。これでいいのか?」
釈「ああ、ほんとだ。奨学金プログラム応募になってる。」
まゆ子「孤児や児童施設で預かる子供に対する奨学金等のプログラムは普通に存在します。画龍学園では成績優秀者に手厚い奨学金や寮生活の便宜を図って教育に万全を整えています。」

釈「それがオーラシフターに直結するんですか。」
まゆ子「不思議に思うかもしれないけれど、特待生奨学生はこの応募が8割を超えます。スカウトが特殊能力者かもしれないと連れてくるのはほんのわずかの人間。
 ではスカウトは何をしているかと言えば、因縁を見ているのです。」
じゅえる「ああそうか、仙術を使って占って、オーラシフターになるかもしれない子供の居場所を予め定めておいて、それを頼りにスカウトが因縁の有る子供を探すんだな。」
釈「なるほど、それは確実な方法ですね。」

まゆ子「で、彼はその予測に掛からなかった子供だ。入学後も特に何のサポートも無い、完全に別筋の普通の子供だった。
 しかし特待生で寮生活をしている内に、一握りの生徒が何か特別メニューで運動をさせられている事に気付きます。もちろん他の子も気付いている。
 ま、普通は「ばかばしいな」でそれ以上の探索を止めるのだが、彼はこれが何か深い意味が有ると考える。
 成績優秀でなおも勉強に頑張っている彼だが、勉強だけでは優秀と認められるには足りない。もっとスポーツとか生徒会活動とかに参加しなくてはならないのかと副次的なものに目を向ける。

 で、やはり総合的な優秀さを身に着けるには肉体の改造が必要、適度な鍛錬をしないと脳がちゃんと活動しないと考える。それが、一部の生徒がやらされている運動だ、と見出す。
 それで彼は八仙の修行現場を覗き見て、自分でも見よう見まねでやり始める。が、もちろん十分でも効果的でもない。ちゃんと師についてないからね。
 で彼が八仙に興味を持った事を見つけた教師が改めて八仙の指導教官に頼んで正式に鍛錬を始める。
 が、この段階ではまだ七賢の存在には気付いていない。」

じゅえる「門前の小僧習わぬ教を読む、的に馴染んでいったんだな。」
釈「それで効果はどうだったんですか。」
まゆ子「もちろん、段々と効果は出てなんかちょっとずつ頭が良くなる感じがする。成績も学内・特待生内でも一番となる。元々頭いいんだけどね。
 で八仙の修行を仲間としていく内に、特待生内の超特待生であるオーラシフターのメンバーが存在し、彼らはそれに成りたいのだと見出す。
 また彼らは自分が知らないさらに特別なカリキュラム「七賢」を習い覚えている事を言葉の端々から見つけ出し、それがどうやら戦術理論のようだと分析する。
 そこで彼は、八仙が戦術理論によって遂行されるという武術の正道に気付いて、自分でも孫子の兵法とかを読んで研究し始める。もちろん七賢とはかなり違う。

 ただ孫子の研究をしていく内に中国思想も当然に参照する事となり、道教仙道が関係している事を発見する。
 そして遂に、その一部の特待生がかなりアレンジされた仙道のカリキュラムを行なっていると結論するわけだ。」

釈「なかなか大したチャレンジャーですね。探究心が強いんですねえ。」
じゅえる「それは要するに学園の理事会とかから注目されるように頑張ったのかい?」
まゆ子「その要素が無いとは言わない。彼らは皆優秀でなければならないのさ、特待生だから。」
釈「それは間違いなく必要なことですからね。成績落ちたら放り出されるから、甘くはありませんよ。
 それで、彼はどうしました?」

まゆ子「さすがに仙術の修行はひとりでは出来ない。というか五十六兵法では中国武術のような一人稽古ではなく、日本武術のように二人対になって稽古をするのが普通だ。
 仙術修行も二人で行う、その方が上達が早いという風になっており、どうしても一人では出来ない。効果が薄い。
 つまりやりたければ正式に認められて許されなければ駄目なわけだ。
 そこで彼は直訴をすることとなる。」

じゅえる「それは何歳の頃だ?」
まゆ子「プログラムに合格して画龍学園に来たのは中学生新入生だ。
 それから八仙を覚えて修行して、仙術の壁に突き当たるのが中学3年生。これ以上一人では伸びないと痛感する。」
釈「爺に直訴するんですね。」
まゆ子「いや理事長だ。もちろん理事長も元オーラシフターの卒業生であるから、彼がそこに到達したと知るわけだね。
 そこで改めて彼の名簿をスカウトする子どもたちの名簿の中に入れて、爺の占いに紛れ込ませておく。
 すると、彼の判定は自分ところに連れてこい、だった。」

釈「ほおほお。」
じゅえる「爺さん直々に審査するわけだな。」
まゆ子「もちろんこれはお正月の正式な発表の話ではなく、あくまで特待生が特別に面接を許可されたという話だ。
 そして爺は彼と会って、彼に才能が無い事を改めて確認する。」
じゅえる「才能が無い!」
釈「オーラシフターに成れないんですか。」
まゆ子「オーラシフターは危険な任務であり、仙術を若年でありながら行使するには彼らに特別な資質が必要だ。
 それが家庭の不幸、心に肉親の欠落があって穴が開いている、そこを埋める形で仙術が形成されて安定して使えるようになっている。
 これはもちろんイレギュラーな用法であり、だからこそ成人すると卒業させられるわけだ。
 だがこのやり方だと修業が未熟な段階でも大きな力を発揮できる。その分燃え尽きるのも早いが、なんというか早い内に燃え尽きさせようというのが爺の思惑。
 つまり燃え尽きるとは心の穴が埋まるという事。彼らを縛る心の枷から解き放たれるという事だ。

 しかし彼にはその穴が無い。」
釈「両親が居ないにも関わらず、ですか。」
じゅえる「捨て子の孤児にも関わらず、曲がってないのか。奇特な性格だな。」
まゆ子「その純粋さ真っ直ぐさ、本来は誰よりも不幸であるにも関わらず曲がらずに伸びてきた資質の正しさに、これはオーラシフターとは違う才能だと見るんだな。
 それで彼は仙術を爺の傍近くで習い覚える事を許可される。
 というか、こういう曲がらない人間でないと本来の意味での仙人にはなれない。途中で邪悪の道に落ちない為には正しい資質が最初から必要なのだよ。
 そこで彼は本格的に五十六兵法の全てを許される事になる。九窮が開示されるのだな。
 これは他の子供がオーラシフターになった時に初めて開示されるのだが、彼には修行の最初から教えられた。

 そして彼は特別なオーラシフターになり、高校終了の頃に爺の付き人となり現在に至る。20歳のお正月でオーラシフターは卒業するが、その後も爺の付き人として働く予定。」

じゅえる「ふーむ、つまり彼は戦闘任務に出ないのか?」
釈「いえ高校生の時分は普通にオーラシフターだったんじゃないですかね?」
まゆ子「彼はオーラシフターの時分は、他のメンバーと異なり爺からのメッセンジャーという形で参加しています。
 つまり任務遂行に困難が生じた場合、爺からの使いという形で彼が来て適切なアドヴァイスやら宝具やらを携えて任務に参加する。そしてちゃんと上手くいく。
 結局は爺の力でなんとかなるのではないか、とメンバーは考えるのだが、しかし彼自身はちゃんと強いから文句も言えない。
 現場には出ないけれど、出る時は解決の時。そういう者だよ。」
じゅえる「つまり、リーダーじゃないわけだ。」
釈「彼の性格からしても、リーダーを務める器じゃないんですね。柔らかく優しいから。」

じゅえる「それじゃあ能力はどうなるんだ。」
まゆ子「特徴的なのは、念話だな。爺の声を皆に届ける為に念話の術が使える。もちろん他のメンバーは使えないわけだ。」
釈「じゃあマンガみたいに闘いながら話すとかは無理ですか。」
じゅえる「いや、それは無理だろ。というか、念話テレパシーは物理魔法ではないのか?」
まゆ子「携帯電話を魔法で実現した、というならばそれは物理魔法だ。精神同士を感応させるというのなら精神魔法だ。」
釈「どう違うんです?」
まゆ子「目に見える範囲で、あるいは気配を感じ取れる範囲内で念話が使えるのなら、それは精神魔法の一種だろう。だが遠隔で互いの存在を感知できないにも関わらず通じるなら物理魔法だ。」
じゅえる「うーん、なかなか厄介な概念だな。で、彼が使えるのはどっち?」
まゆ子「前者の精神魔法の類だな。目に見える、というか目の前にメンバーが居たら爺の言葉を再現出来ます。ついでに概念を送る事も出来ます。」

じゅえる「攻撃的なのは?」
まゆ子「鎮静化の魔法が使えます。人や動物、敵対者もこれを使うとおとなしくなり戦意を失い、平常な状態に戻ります。敵対者ならその場を去ります。
 あと睡眠ヒュプノも使える。相手を眠らせるのだな。彼の場合この術は治癒回復の機能も伴います。寝ている間に治ります。限度が有るけど。」
釈「いわゆる補助魔法使いですね。」
じゅえる「まあ、そういう能力者が一人くらい居るのは当然だな。パーティには。」

まゆ子「あと彼は八仙の達人でもあります。素手でも武器でも、ほんとうに蛸みたいにへばりつく本来の八仙の真髄を体得しています。格闘では最強。」
釈「でも戦わないんですね。」
まゆ子「どちらかというと格闘術の先生ぽいかんじです。実際下級生初年の指導を任されています。中学生以下の生徒からは普通に八仙の先生と思われています。」
じゅえる「どのくらい強いんだ。」
まゆ子「格闘には定評のある八郎太や喜須悟が1分と立っていられないくらいです。」
釈「うーむ最強ですね。」
じゅえる「でも性格的に戦闘的でないんだな。」

釈「それでお菓子好きとなると、これは女の子にモテモテですね。」
まゆ子「まあ、お菓子づくりも趣味です。上手いです。」

じゅえる「しかしだよ、いくら仙人の修行だからと言って、百歳の爺の付き人は疲れるんじゃないかい。」
まゆ子「まあ付き人というのは誰に付いても疲れるんだが、爺の場合は余禄がたっぷり有るからまったく損じゃないさ。」
釈「仙人の修行であれば当然ですよね。師匠と寝食を共にするのは。」

まゆ子「それだけじゃない。実は爺はもう百歳で隠居しているとしても、毎日のように政官財界各方面のVIPと会見しているのだ。相談役として。
 もちろん教育関係で大学の学長やら世界的権威やらにもしばしば会談する。経済界でも困ったときの指南役として大いに注目される。
 警察や公安・軍事関係にももちろん顔が利くし、各国要人とも連絡を取り合う。
 伊達に百歳生きてるわけじゃないのだ。」

釈「それに付き人として彼は日がな一日付き合っているわけですか。」
まゆ子「ここ2年はびっしりね。内緒の話の時もちゃんと居るし誰も彼を人払いしてくれとは言えない。なにせ百歳の爺だからな。
 もちろんボディガードの役も果たす。八仙の腕前を考えれば極当たり前。」
じゅえる「うーん、つまり彼は経験値ダダ上がりなんだな。」
まゆ子「彼はこのまま成長すると、仙人になんかならなくても国家の上層部に顔の利くフィクサーにだって成れますよ。そもそも頭いいんだから。」
釈「つまり彼にとって、爺の付き人の役はまったくに損が無いと?」
まゆ子「これ以上何を貰えばいいのか、ってくらいに利益ばっかりです。」

じゅえる「うーん、そうか。爺の組織内においてオーラシフターよりも上の価値を持つ存在に成ってるんだな。それは凄いや。」

釈「ヒーラーとしての技能が有るという事は、爺の健康に問題が有るのですかね。やっぱ百歳ですから。」
まゆ子「無いとは言わないが、八十歳くらいには元気だぞ。なにせ仙術で寿命も伸ばしてるくらいだから。」

じゅえる「爺は本物の仙人じゃないのか?」
まゆ子「ああ、ここはもうちょっと設定を詰めるべきなのだが、五十六兵法は現在の名前で明治頃には天狗術とかそんな感じで仙人とは関係ない名前を名乗ってたんだ。
 爺はその時代の事も知っているから、自分の事を仙人とは言わない。大天狗もしくは待ちぼうけ爺さんだな。」
じゅえる「正しい仙道とは違うんだ?」
まゆ子「なにせ維新前に未来人が持って来た修法だからな。完全な仙人とは違う、なにか別の者に最終的にはなる。」

釈「でも例の神仙境と関係があるんですよね。なんなんでしょうね。」
まゆ子「仙人ではなくても真人ではある。爺は限りなく真人な人だよ。そうだな、仙人で言うならば尸解仙の段階を通らずに地仙になろうという感じかな。」
じゅえる「なんか名前を考えようよ。五十六兵法を修めた頂点に立つ存在として、鉄人とか。」
釈「鉄人はいいですねえ。」

まゆ子「ふーむ、未来人が伝える仙人の修行法なんだから、鉄人は悪くないが、うーむ。燦燭人とか。」
じゅえる「なんだその光輝くイメージは。」
まゆ子「当時外来のランプのように光輝く真人を意味してみました。」
釈「なんか光の魔人ってところですね。」
まゆ子「まあなんだ、当時の風潮を反映して、既存の仙人や道術のイメージをぶっ壊した画期的な存在が未来人さんによってもたらされたわけだよ。
 だから仙人といってしまうとちょっと違うのだ。」
じゅえる「まあ天狗術じゃあ無理があるしな。」

釈「晄羅人、とかはどうでしょう。」
まゆ子「え? なんて読むの?」
釈「「おうら人」です。オーラシフターですから。」
じゅえる「ほおお。まゆちゃん、これはどうだい?」
まゆ子「羅の字が気に食わんが、雷で晄雷人とかでは、」
じゅえる「簡単に晄羅人の方が分かりやすいな。元の単語の音だけ取ったと分かるように、複雑すぎるのはやめておこう。
 というかさ、ここのページ上に表示してる「ふぁいぶりおん」の絵を考えると、オーラ人はむしろ当たりではないか。」

まゆ子「そうか。うん、ふぁいぶりおん章の事すっかり忘れてた。これはオーラシフターのトレードマークだよ。」
じゅえる「制服に書いてるのか。」
まゆ子「流石に特殊部隊の持ち物にそんなもの書くわけにはいかんだろ。ただ画龍学園の校章とは別に、特待生のマークとして存在する。「大威徳五十六兵法」のシンボルだ。」

釈「オーラシフターは制服というかユニフォームは無いのですか。」
まゆ子「あー、基本的には定まった戦闘服は設定していないな。ただ虚無僧が1名居ることだけは確定した。」
じゅえる「裏柳生のコスチュームだなそれは。」
まゆ子「まあ夜間潜入時に用いる灰色のジャージがあるくらいだな。ジャージで戦うのはなんだとは思うが。」

じゅえる「考えようか?」
まゆ子「うーん、なんと言いますかね、八郎太だけは白ランでもいいかなとか思っている。」
釈「面堂終太郎が着ているアレですね。」
じゅえる「さすがにそれはージャージの方がマシだ。ジャージ決定。」
まゆ子「うう、なんかひどい話に成った。」

釈「まあただのジャージではなんですから、特殊素材で作られた身体を防護する鮫皮ジャージくらいにはなんとかしましょう。」
じゅえる「ふむ、釘くらいでは引っ掻いても破れない特殊素材でね。路上でバイクで転んでもかすり傷一つ無いくらいに。」
釈「色はカモフラージュは無しで地味なグレー。隠伏の術は別のマントか何かでカモフラージュする事にしましょう。」

まゆ子「せめて隠し武器くらいは入れるポケット作ってくれ。」
じゅえる「うーん、いや武器は違うだろう。重要書類とかを入れる隠しポケットは考えよう。でも武器はねー。」
釈「小物いれでいいじゃないですか。ポシェットですよ。」
じゅえる「戦闘員だしなあ。」
まゆ子「うう、なんか悲しい。」

釈「じゃあこうしましょう。オーラシフターは制服はグレーのジャージ。これには武器は入らない。
 カモフラージュ用のマントの内側に武器は隠して、帝都大戦みたいなシルエットになるのです。」
じゅえる「帽子も要るな。」
釈「なるほど。では帽子もセットで」。

まゆ子「というわけで今回の設定話は終了。」
釈じゅえる「おつかれさまでごんした。」

 

2013/03/14

まゆ子「というわけで、キャラの名前を決めました。」
じゅえる「やっとか。」
釈「名前を決めるのは重要です。名前から広がる設定も有るのですよ。」

まゆ子「まず基本的な設定。オーラシフターは12人居ます。彼らは十代限定で二十歳になったら卒業します。
 オーラシフターは訓練生の中でもトップクラスの成績を誇る12名のみ。というか、12名に満たなくても成績が十分でなければ補充しません。
 そして訓練機関を指導する爺様の命令によって、国家機関が対処に苦慮する事象の解決に出動します。なかなか危ない特殊部隊的な任務です。」

釈「今決まっているのは12名、リーダーであり爺様の一族である面堂終太郎のような男子を筆頭に、男9名女3名。」
じゅえる「女3名から行こう。」

まゆ子「
 まずヒロイン的な位置にあるスタイルバツグンでおっぱいも大きい、肉体派の美女。弓使い、という事に一応初期設定はなっています。
  「平芽カレイ」さん。ひらめ かれい」

じゅえる「ちょと待て!!!」
釈「なんですかそのお魚丸出しの名前は!」
まゆ子「いや、武術が七賢八仙になった段階でお魚路線が自動的に採用されています。
 カレイちゃん可愛いでしょ、華麗な趣があって。」
じゅえる「ちょっとまて、しゃくちゃん、これはどうしたものだろう。」
釈「こいつはー、本気です。どうしましょう、最後まで聞いてみますか?」
じゅえる「まあネーミングはいつもどこでも頭を悩ます問題だが、ひとつくらいは使えるものも有るだろうし、キャラのイメージには合ってるだろうしな。」

まゆ子「小さいロリ系の毒舌的女の子。双子であるのだが一人は事故で死んでいて、一人の身体に二人の人格が入っている。
  「子代隻」と「子代朔」。このしろ せき/さく。
 朔の方が死んでいて隻が眠ると目を覚ます。」

じゅえる「コノシロか。お魚だな。」
釈「小さくて可愛いですね。で、コノシロを選んだ理由は何ですか。」
まゆ子「コノシロを使おうと思って調べていたら、哀しい伝説があってだね。いや、コノシロが人間の役に立った話なんだが、とにかく犠牲的なイメージから良しという事に。」
じゅえる「コノシロが犠牲? なんだろう。」
まゆ子「隻は片割れを意味し、朔は月の無い状態を意味する。片割れの死んだ不思議な双子にぴったりでしょ。」
釈「まあ、それはお魚ネタではありませんから。」

まゆ子「現在停学中の暴れ者のスケバンぽい彼女。スカート長いのだ夏なのに。
  「魚養 可子」うおかい べしこ、と読みます。」

じゅえる「べしこ?」
釈「確かに「可」は「べし」とも読みますが。」
じゅえる「魚養ってのは、お魚ネタではあるが至極ふつうだね。」
まゆ子「魚養は「鱶」フカなんだよ。」
釈「え? ああ、フカの字なんですね。」
まゆ子「だから彼女は仲間から「フカ子」と呼ばれています。なんとなくフカっぽい顔もしています。凶暴です。」

釈「…………。」
じゅえる「しっかりしろ釈ちゃん。」

 

じゅえる「とりあえず最後まで行くぞ。男子9名だ。」
釈「リーダーで面堂終太郎みたいな刀持ったの。メガネで神経質で口やかましい解説役。女の子にモテモテを自称するナンパ師。ただデカイだけの人。男の娘。
 病弱白髪。オタクのギーク。現在出張中の筋肉バカ。最年長でもうすぐ卒業の爺の付き人をしている人。」

まゆ子「でもねえ、実はまだリーダーであり主役である男の名前はまだ決まってないんだ。なにせ蛸にちなんだかっこいい漢字ってのがなかなか無くてね。」
釈「いえ、別に蛸でなければならないと誰も決めたわけではありませんが。」
じゅえる「お魚シリーズでなくても構わんぞ。誰も文句言わん。」
まゆ子「どうもね、中国人って蛸にはまるっきり興味無いみたいでね。かっこいい漢字無いんだよ。困ったもんだ失望した。クワガタの名前探した時とおなじくらい失望した。」
釈「で、決まらなかったのですか?」

まゆ子「一応は考えた。主人公リーダー。

  「蟠竜 八郎太」ばんりゅう はちろうた。
 とにかく蛸を想像させる為に8を入れてみました。」

じゅえる「かっこいいじゃん。蟠竜はお魚じゃないけど、海物だから許されるよ。」
釈「そうですよ、どう見ても主人公ぽい名前じゃないですか。」
まゆ子「まあねえ普通の主人公ならいいんだけどねえー、蛸ヒーローとしてはなんと言いますか。物足りない。
 一応は「蟠」という字は蛇とかが丸くなる姿を表わしていて、蛸が足を丸めている姿に似ているからなあと。」
じゅえる「いや、そこまでのこだわりは要求していないから。」

 

まゆ子「その主人公の後について来て解説をする役の、口やかましいメガネ男。
  「唐墨理一郎」からすみ りいちろう。」
じゅえる「……あからさまに海のおつまみだな。」
釈「開いた口が塞がらない状態です。」
まゆ子「いや唐墨というのはそもそもが、唐渡りの高級品の墨のことで、それに似ているからカラスミなのだよ。だから海物と考えるのは間違いだ。」
釈「そんなのいいわけだあ!」

まゆ子「面堂が居るんだからあたるも居る、という事で用意された女たらし系少年。というか、乙女ゲーではよくある髪が茶色で女の子に優しい系男子。
  「喜須 悟」きす さとる。」
じゅえる「キスね。鱚。」
釈「まあ、キスですね。」
まゆ子「地域によってはキスゴとも言います。だから悟。」
じゅえる「ああ。」

まゆ子「かわいい男の娘。
  「三雲 丹」みくも まこと。」
じゅえる「今度もウニか。」
釈「確実に酒の肴系を抑えていきますね。」
まゆ子「だって全国珍味商工業協同組合連合会(全珍連)のHPを参考に名前付けましたから。」
じゅえる「やっぱりか、やっぱりそんなところからか。」

まゆ子「とにかくばかでかい男。ぬーっとしてぼーっとしてる。
  「棟木 曼助」むなぎ まんすけ。」
じゅえる「ちょっと待てよ。「曼」の字が鰻ウナギから来ているのは分かる。」
釈「じゅえる先輩よく見てください。ムナギですよ、地方によってはウナギはムナギって言うんです。」
じゅえる「ちくしょー。」
まゆ子「あ、これも全珍連さん参照で。」
釈「ウナギですからねえ。」

まゆ子「おたくというかギークというか、スーパーハカーな暗い奴。
  「火尉 とます」かじょう とーます。」
じゅえる「これはー、とーますって日本人?」
まゆ子「ハーフでもいいぞ設定上。」
釈「でもこれは、お魚系の名前ではありませんね。変な苗字ですが、こんなの日本に無いでしょ。」
まゆ子「無いだろうね。知らないけど。」
じゅえる「これはどこから名前を取ったんだ? また全珍連さんか。」
まゆ子「わからない? わからない?
 じゃあ〜ん、実はこの名前は「熨斗」から来ています。アワビです。」
釈「あ。「熨」の字を分解して「火尉」ですか!」
じゅえる「ううう、でも「とます」は?」
まゆ子「「斗」は部首としての名前は「とます」です。」
じゅえる「ちくしょー。」

 

まゆ子「次からの人は脇役的なサポートキャラです。

 爺様の付き人をしている最年長。もうすぐ卒業の人。
  「久慈 良京」くじ よしあつ。」
じゅえる「「京」の字は「あつ」って読むんだ?」
まゆ子「ぐぐったら、そういう読み方をする人が居ました。採用です。」
釈「これは「クジラ」ですね。「京」の字も「鯨」からですね。」
まゆ子「はい、クジラは全珍連さんのページにはなかったけど、最近はスーパーのおつまみものコーナーにクジラもあります。」

まゆ子「病弱なひと。
  「大丞 白男」おおすけ しろお。」
じゅえる「シラウオか? シロウオか?」
釈「どっちでも似たようなものです。」
まゆ子「ちなみに「丞」の字は「透け」でシロウオシラウオの透き通る美しさはかなさを表現してみました。」
釈「あう。」
まゆ子「ちなみに「大丞」は明治初年の官員の職名です。もちろん全珍連さんのページとは関係ありません。」
じゅえる「説明せんでよろしい。」

まゆ子「現在出張中で話には出てこない肉体バカ。蒸し暑い暑苦しい運動部系。
  「伊佐木 勇」いさき ゆう。」
じゅえる「イサキはおつまみ珍味にはならないだろ。」
まゆ子「これは、2ちゃんねるネタのイサキから取っています。」
釈「なんですか、それは。」
まゆ子「その筋ではイサキは大変人気の有るお魚なのです。」

 

じゅえる「で、肝心の爺の名前だが、これは蟠竜の姓でいいのか?」
まゆ子「うーん、たしかに八郎太は直系であるとの設定なんだが、しかし蟠竜を姓とするのがためらわれるんだな。どうにも収まりが悪い。」
釈「うーん、蟠龍寺としてみたらいかがでしょう。ラノベだと寺とか院とか付いた名前は多いですよ。」

まゆ子「それがさ、蟠竜寺てほんとにあるのさ。ちょっと使えねえ。」
じゅえる「蟠竜 闇刻斎とかにすればいいんじゃないか。」
まゆ子「そこは曙刻斎だろ。」
釈「どちらにしろ、蟠竜はちょっとかっこよすぎますね。もう少しひねた名前が欲しい。なにせ百歳を越えているんですから。」

まゆ子「色々調べた結果、蛸のかっこいい異名は無かった。残念。」
釈「残念。」
まゆ子「ついで火星人も調べてみたが、火星の異名はちょっと使えない。」
じゅえる「螢惑、は善玉の名前には使えないわな。」
釈「夏日星もちょっと無理ですねえ。」
まゆ子「残念ながら、仏教では火星の神様は韋駄天だ。ちょっと手垢が付きすぎて無理だった。」
釈「だめですねえ。」

まゆ子「なんだが、副産物でちょっとおもしろいものを発見した。
 大威徳明王は蛸とは縁もゆかりも無いのだが、この人の図像では脚が6本もありやがる。」
じゅえる「ほお。」
釈「八面六臂はよく言いますが、脚が多い神様は珍しいですね。」
まゆ子「そこで五十六兵法は正式名称を「大威徳五十六兵法」と称する事にする。よりかっこよくなった。」
じゅえる「ふむふむ、なんとなく魔法っぽくなってきたな。」

 

まゆ子「えーとつまり爺様はもう百歳にもなります。明治元年は1868年だから、1908年生まれだね。」
じゅえる「明治41年か、ずいぶんと離れているな。」
釈「そうですね、幕末の人ではありませんね。」
まゆ子「つまり、それまでに2代くらいは代替わりしていると考えるべきだ。3代目だね。
 時代状況を考えると、えーとアメリカに移民ができなくなってブラジルに第一回移民船出港、!これだツングースカ大爆発!!!」
釈「おお!」
じゅえる「まさに宇宙時代到来だ!」
まゆ子「第四回ロンドンオリンピック開催。井田菊苗、味の素精製。FBI設立。T型フォード発売。ウィリアム・タフト米大統領に。清国光緒帝西太后死去、溥儀即位。
 第一回日米野球。」
釈「1905年の日露戦争集結から1914年の第一次世界大戦の、戦間期みたいなとこですね。」
じゅえる「いや、つまりその人は第一次世界大戦が起きてる時に幼年期を育ったのだよ。とはいえ日本だからね。そんなには影響しない。」
まゆ子「まあなんだ、彼を第三代と考えて、第二代のお父さんとかが戦争の帰結をずばずば言い当てたりするのを見て育ったわけだよ。」
釈「そして、彼が30歳頃には日中戦争から太平洋戦争です。軍人でもしていた事にしますか?」
じゅえる「オーラシフターの前身としての仙術兵部隊とかを指揮して戦った、でいいんじゃないかな。」
まゆ子「そこんとこはおいおい考えよう。

 とにかく彼は、先代先々代より託された来るべき時、つまりゲキの力が人類に明かされる日に反旗を翻すべくひたすら生き続けて来たわけだ。
 つまり待って待って待ちぼうけ。ということで通称「守株翁」なのだ。」
釈「「待ちぼうけ爺さん」という号ですね。」
じゅえる「めんどくさいから、待ちぼうけ爺さんでいいよ。」
まゆ子「うん。」

じゅえる「まあ爺は別に章を作って設定を考えないとダメっぽいな。なんか凄い歴史が存在するんだろ。」
釈「というか、維新前に未来人が来た、ってところをちゃんと詰めないといけませんよ。」
まゆ子「だろうね。じゃあそこはまた後で。」

 

釈「で、メンバーに名前が付いただけですか?」
じゅえる「詳しいプロフィールは?」
まゆ子「プロフィールというか、彼らは一様に不幸で家族が居ないのだ。何故そうなったのかを各々設定する必要が有る。」
じゅえる「さっさとやれ。」
まゆ子「まだ全部決まってないよ。とりあえず4名のみ。

 まず、リーダー「蟠竜 八郎太」17歳。物辺村連中と同学年。

 最高実力者の爺が曽祖父とかであるから、組織内でも文字通りのプリンス扱いされている。
 が、本来爺の後を継ぐ者は皆死に絶えているのだ。彼自身の父も母も任務の中で死んでいる。
 血族で生きているのは、仙術五十六兵法を伝えられなかった者のみ。彼以外に血族中に継ぐ者は居ない。」
釈「なかなかハードですね。」
じゅえる「だが仙術使いでなければ生きているんだろ。その人達は一般人か。」
まゆ子「まあ、普通の人達だね。何故彼らが仙術を伝えられなかったかというと、単純に素質の問題。誰でも出来るものではない。

 で、八郎太がそのプリンスであるのだが、血族中もう一人従妹が五十六兵法を学んでいる。しかし彼女は体質的に弱いから戦闘任務オーラシフターになる事はない。
 要するに妹完備ですよ。」
じゅえる「で、その妹とゆくゆくは出来てしまうわけだな?」
釈「従妹再従妹であれば法的にも問題なしです。」
まゆ子「まあそこいらへんは、おいおいと。

 ちなみに彼がオーラシフターになったのは16歳の時。他の者は早いと15歳からやってるから、少し遅い。だからと言って早ければ実力が高いわけでもない。
 そして彼は、なったと同時にリーダーです。
 これは別に特別な事ではなく、オーラシフターは年功序列方式ではなく、命じられた者であれば誰でもがリーダーをやらされます。15歳最年少でいきなりリーダーとかもアリ。」
じゅえる「なんでそんな。というか年長者は文句言わないのか?」
まゆ子「オーラシフターは、誰がリーダーになっても集団で組織的に与えられた任務を全うする、のがポリシーです。逆に言うと、どうしてもこいつはリーダーに向いていないだろうってのでも命じられればリーダーとして行動します。」
釈「修業の一環ですか。」
まゆ子「修業の一環です。というかオーラシフターを卒業した彼らの多くは普通の社会に生きる事となりますが、一般人社会というものは仙術使いにとっては非合理不条理極まり無い世界です。
 理不尽に慣れる、理不尽な状況下にあっても最善を尽くし目標を成し遂げるという修業ですね。

 とはいうものの、リーダーを選ぶのは爺です。爺ももちろん仙術使いで未来が読めます。未来予知の占術を用いた上でリーダーを決めているのだから、何かの役に立つはずなのです。
 そしてこれまで誰がリーダーとなっても任務の遂行が未達に終わった例は無い。損害負傷殉職が無かったわけではないが、リーダーが判断を間違ったのが原因て事例は無い。
 いや、リーダーの資質が向いていないと判断される状況下で任務を失敗したことは無く、リーダーとして誰もが認める有能な人間が指揮を取った時にこそ失敗は死傷は起こっている。」
じゅえる「楽な仕事が有ると判断される時期には、そういうリーダーが与えられるってことか。」

釈「現在の、八郎太がリーダーの現在はどうなんですか?」
まゆ子「オーラシフターは全員がこれはまずいと思っている。
 彼は誰がどう見ても立派なリーダーであり、いずれ組織全体の要となる人物であり、仙術も武術も戦略戦術もあらゆる面において優秀の塊みたいな人物だ。
 こんな人物でなければ乗り切れない状況が起こるのではないか、と皆戦々恐々としている。」
じゅえる「そして、じっさいに起こった、て事か。」

まゆ子「そして彼は、爺から家伝の宝刀を授かっている。これは維新前に未来から来たという真人によって与えられたもので、然るべき時が来るまで抜けないのだ。
 でこれが抜けた時に真人の真の目的、この仙術を過去の世に伝えた目的が明らかになる。」
釈「それが、ゲキの少女をぶっ殺せ、だったんですね。」
じゅえる「じゃあ、爺は刀の目的を知らないのか?」
まゆ子「それが、抜けない刀が抜けた時が有るんだ。太平洋戦争中に、で命を救われている。その時彼は真人の言葉を聞いて、組織をその目的の為に再度整備する。
そして日本のアンシエントである「彼野」に深く食い込んで、ゲキの少女の情報を知り、オーラシフターを刺客として送り込めるまでの準備を整えているのだよ。」

じゅえる「その時が2008年の今、それもドバイ崩壊の状況を見てゲキの少女達に時間を与えたらどんどん成長して手に負えなくなるから、今のうちに殺そうと考えるわけだ。」
釈「手遅れですよね?」
まゆ子「手遅れだね。」
じゅえる「そういうこった。」

 

まゆ子「その他決めているのは、女子3名のみ。

 お色気ヒロイン「平芽かれい」さん。」
じゅえる「その名前は後で修正しろよな。」
まゆ子「かれいさんは18歳高校3年生です。彼らオーラシフターは一応本当の学校にも通っています。画龍市というところにある「螢兆学園」に通っているのだ。」

釈「それは『蠱螢』で使った設定ですね。校章がふぁいぶりおんの。」
じゅえる「ページ右肩に有る蛸みたいなやつね。たしか『げばおと』にも一回出ている。」
まゆ子「元々『蠱螢』自体魔法学校が設定で、しかも仙術を修行する。という風になってますから、当然の流用です。ちなみに「花憐回」の「神仙境」もここからの流用です。」
じゅえる「めんどくさいからそれ「画龍学園」にしちゃえ。これ以上固有名詞を増やすな。
 というか、設定追加だ! 八郎太生徒会長にしてしまえ。」
釈「おおー定番ですね。これは使わないといけませんよ。
まゆ子「とほほ、なっとくしてしまう自分が辛い。じゃあ「画龍学園」小中高と一貫教育ね。大学も有る。でもかれいさんは外の大学に行きますよ。受験生です。

 彼女は両親が居ません。兄弟も無い一人っ子でした。父親が外交官で外国で暮らしていたのですが、テロ・ゲリラの襲撃によって両親は死亡。彼女だけが日本に戻ってきます。
 親戚は居るのですがたらい回しになって、その時に声を掛けてきたのが『寶』のスカウト機関。で、仙術を学ぶ事となります。
 頭はいいのですが、なにせ「頭が良くなる魔法」使ってますから。それでも外交官になる為の一流大学に受かる為には受験勉強が必要です。」
釈「でもオーラシフターは20歳まではやらないといけないんでしょ。大学に行くのは難しいのでは。」
まゆ子「そこは爺の長年の貢献によって教育機関には随分と顔が利きます。また前例も幾つもあります。20歳になるまではオーラシフターを続けられます。

 というか、現在最年長の爺の付き人をしている男子は20歳です。オーラシフターの任期は20歳お正月まで。彼も大学生です。」
釈「それで、かれいさんは外交官志望。でも戦闘任務は志願したのですか?」
まゆ子「志願です。」
じゅえる「強制で、ってのは無いの?」
まゆ子「ありません。同じ仙術五十六兵法を学んだとしても、性格的に合わない人は必ず出ます。また任務に出ると死ぬと相が出た者は用いません。」
釈「つまりかれいさんはあくまでも志願してオーラシフターになったわけです。何故です?」
まゆ子「それは、彼女にはそれをするだけの能力が有ったから。
 彼女は外国のテロの現場で父母が殺される現場を見ています。あの時自分がほんとうに欲しかったもの、「力」を今は手にしています。
 当時出来なかった事を今したい。そう思って志願しました。」
じゅえる「なるほど、動機はしっかりしているんだ。」

 

まゆ子「子代隻・朔さん。16歳。朔さんが死んで人格だけが隻さんの身体に宿ってかわりばんこに身体を使っています。

 彼女達がオーラシフターになったのは復讐の為。彼女等双子は極普通のお金持ちの家に生まれました。まあ、それなりに知られる資産家です。
 彼女達の母は早くに亡くなり、父は後妻を迎えました。その後妻によって、二人はごく自然な事故として見える殺され方をしたのです。
 しかし一人だけそれを見ぬいた朔さんが防ごうとして、でも子供だから失敗。かろうじて隻さん一人のみを助ける事が出来て自分は死んでしまいました。
 隻さんは病院で長く療養していましたが、そこにも後妻の魔の手は伸びて何度も殺されそうになりますが、朔の人格によって夜寝る事が無かった為に命は助かります。
 しかし、朔さんの魂まで身体に入れているから肉体の回復は遅々として進まず、その内に病院に幽霊が出ると噂されるまでになります。
 それを聞きつけた『寶』のスカウト機関が病院に来て、オーラシフターを読んでサイコメトリーにより犯罪を立証して後妻の手先を捕まえます。
 しかしカネのチカラで後妻はまんまと逃げおおせ、父親も脳梗塞で半身不随になって財産を独り占めしてしまうのです。
 ただ双子名義の財産は凍結しているから無事。二人は後妻を倒して家を取り戻すのを復讐として考えています。」

じゅえる「仙術で何とか出来ないの?」
まゆ子「できるけれどやらない。双子は自分たちでなんとかすると主張する。なんとなれば、母の死までも実はそいつの仕業ではないかと疑っている。
 その為には後妻をなんとか自白させねばならないが、なかなかしたたかな奴なのだ。
 とにかく復讐に他人の手は借りない。」
釈「復讐目的でも仙術が悪の暗黒面に落ちたりしないんですか?」
まゆ子「それは、五十六兵法を習う内に二人の考え方は矯正されて、ただ単に後妻に己の悪行の正当なる裁きを受けさせ実家の財産を回収する、てところに落ち着いています。
 恨みによる復讐ではないんだよ。」
じゅえる「まあ正当なる裁きを望むのは復讐心じゃないな。」

 

まゆ子「魚養可子さん、17歳。リーダーと同い年だな。彼女は変わっていて、画龍学園には通っていません。公立の高校です。
 また奨学金をもらって入るのですが、バイトをして少しでも自立したいと思っています。高校を出たら働くつもりです。
 なんでかと言うと、彼女の仙術の特性が他人と異なる特性を示すからです。彼女の得意は「死」、他人を仙術で呪い殺すのが特異的に発達しています。
 だから本質的にこの能力を使うのを忌避し、オーラシフターとしての活動にも否定的です。
 でも志願者です。何故かと言うと、彼女はオーラシフターによって命を救われたからです。

 彼女の父親は弁護士でした。とある事件に関与していました。
 その事件の真の首謀者は暴力団で、彼らは可子の父親の口を封じる為に家族まるごと誘拐するという手に出ます。
 縛られて車で移送されている途中、父親はちょとした敵の油断を衝いて車から可子だけを蹴り落として救いました。
 走行中の車から突き落とされた可子は大怪我をしましたが命は助かる。しかし、父親母親そして弟は心中として死体で発見されました。
 しかしそのことを警察に言っても誰も取り合ってくれません。警察内部にも暴力団と通じている者が居て、単なる一家心中事件として処理するつもりでした。
 可子も命を狙われる。
 彼女を助けてくれたのが、その事件を調査していた探偵です。『寶』と関係があり、その事件を独自に調査していたので可子が狙われているのを知りました。
 彼の伝手を通じて、やがて爺に直接その事件の詳細が伝わりオーラシフターが出動して、事件の首謀者を殺して脅威を除去しています。」

じゅえる「殺すんだ、オーラシフターは。」
まゆ子「必要があれば、躊躇なくね。」
釈「でも十代の少年少女なんですよね、それはやっぱり。」
まゆ子「だから、可子は殺人の禁忌を覚えていながら、その力を封じようとは考えません。死を司る力はたしかに必要な時が有ると知っているのです。

 ちなみに彼女の祖父が「べしこ」なるふざけた名前を付けました。祖父は現在も存命中であり、老人介護施設に入ってよいよいではあるけれど可子が訪ねて行くと大変に喜びます。
 もちろんこの老人介護施設に入るのにも『寶』が援助してくれていて、可子はなんとかして恩返ししよと思ってます。」
じゅえる「いい子だな。」
釈「いい子なんですねえ。」

まゆ子「ま、こんなところだ。おいおい男子の方も考えていくよ。」
じゅえる「うん、なんかオカルト・ホラーっぽくなってきた。」
釈「この路線でぼんぼん行きましょう。」

 

男の娘
  美人三姉妹の下の長男として生まれ、思う存分おもちゃにされて育った。
  ある時山荘にリゾートに来ていたら逃走中の凶悪犯二人が押し入ってきて姉達に暴行。2日間居座った末に、最後長女が二人殺して解放された。
  しかし何故か長女は過剰防衛で刑務所に入れられ、二女は引きこもり状態に、三女は心神喪失で精神科に長期入院する事となる。
  自分の無力を噛み締める彼は、おなじように何にも出来ない両親に絶望する。
  その時精神科の医者の手配でオーラシフター出身の医師がやって来て、不思議な技で三女の心を開いて意識を覚醒させる。
  元通りに喋り始める姉の姿に喜ぶと共に、彼はその医師にいきなり「弟子にしてください」と申し込むのであった。

うるさい奴
  彼の父は警察官であった。強くたくましく、まさに世界一のお父さんだった。
  しかし彼が小学六年生の時、その父が殉職してしまう。絶望の中、彼は自身も警察官になることを誓うのだった。
  その決意を母に打ち明けると、反対されるか喜ぶかと思うと違って深く考えて、翌日「画龍学園中等部」の願書を彼の前に置くのだった。
  どうも母親は関係者だったらしい。

おんなたらし
  彼には歳の離れた姉が居た。とても綺麗な、優しい、まさに理想の異性と呼べる完璧な姉であった。
  しかしそんな美女には悪い虫が付いて、どれだけ断ってもしつこくつきまとうストーカーに家はめちゃめちゃにされてしまう。
  最後には放火で家は全焼、家族全員が焼け死んでしまう。だが彼だけは姉の手によって窓から外に突き落とされて一命を取り留める。
  まったくに理不尽な結末を迎える事件。ストーカーは今も刑務所の中に居る。

病弱
  彼は幼い頃より病弱で、医師に臓器移植をするしかないと言われる。
  彼の両親は必死になって手術費を募金で集めてアメリカに渡ろうとするのだが、その取りまとめをしていた父の友人がカネを持ち逃げ。支援者にはお前たちもグルだったのだろうと理不尽に責められる毎日。
  或る日、家に帰ると両親は知らないおじさんと居た。神様だと言う。新興宗教にいきなりはまってしまっていた。
  彼の病気も治すというのでなんだかよくわからない儀式で殺されそうになる。脱出して学校の先生に助けを求める。
  しかし両親保護者が揃って居るのを子供を引き渡さないわけにもいかないで対応に苦慮していた所、旅のお坊さんが現れて一喝すると両親は腑抜けになってしまう。
  児童相談所がこれでは両親に任せられないとあれこれ引き取り先を探していると、いつの間にか画龍学園に居た。

でかいの
  彼の父親は漁師であった。彼は両親と3人の弟妹と共に仲良く暮らしていた。
  だが父の乗った漁船が転覆し仲間と共に7名が行方不明となってしまう。遭難であれば致し方ないのだが、その内に彼は、父親達が「船幽霊」「海坊主」を見た、とかの話をどこからともなく聞かされる。
  母と共に弟妹の面倒を見ながら船幽霊の正体を探る内に、それがホントに居たのではないかとする証拠も見つかってくる。
  子供ながら謎の核心に踏み込んだ彼は、いつの間にやら画龍学園に通うことになっていた。

いさき
  彼の父親が借金で破産し、兄と彼を残して母は失踪してしまう。
  まったく無気力になった父親に愛想を尽かし、兄も家を出る。チンピラになってしまった。
  彼も家出して母親の元に行くと、水商売をしていて既に新しい男が居て、彼の居場所は無かった。
  元の街に戻ると、チンピラ兄貴が居て、だが兄は元のままの優しい兄であった。彼と共に暮らす事となる。
  しばらくは彼も子供チンピラみたいなものだったが、しかし兄はヤクザの抗争の中であっさりと刺されて死んでしまう。
  行く宛を無くして父親の元に戻ると、こちらも新しい女が出来ていた。それだけでなく、父親はすっかり気力を取り戻し商売に精を出して働いている。真人間に立ち戻っていた。
  新しい女は正式に結婚して母となる。その人は良い人であった。
  しかし彼は、自分には出来ず彼女には出来た父親を立ち直らせるという事に、自分はまったくの無価値ではないかと思い、家を飛び出る。
  そして警察沙汰を起こして、引き取り先を転々とした挙句に、画龍学園に居た。

卒業
  彼は捨て子である。父母はまったく分からない。児童施設に預けられ里親を探して、無事養子となる。
  だが引き取られた先の家が強盗に襲われて一家惨殺。彼のみが生き残る。
  その後また養子縁組先が見つかり、引き取られたが数カ月後、この家も隣家の火事によって消失。子どもを育てられない状態になる。
  三度児童施設に戻るが、縁起の悪い子として今度は長く見つからず、そのまま成長する。
  頭は良かったから児童施設を出る奨学金プログラムに応募して、全寮制の画龍学園に入学する。

とます
  交通事故から目を覚ますと、彼はとある古い洋館に居た。両親は死んで彼のみが館の主に拾われたという。変な女の助手も居る。
  そしてなんだか分からない実験台のような生活を何年も送り、体調を崩して死にかける。
  そしたら死んだという事にされて、崖から投げ落とされて捨てられてしまう。だが彼は死ななかった。
  山菜採りの人に助けられ病院に運ばれ、そこで何年も前に死んだはずの両親と対面。彼は一人だけ事故現場から連れ去られたのだという。
  もちろん謎の洋館がどこだったのかは不明。
  彼は元通りに両親と共に暮らすが、身体に何事か仕込まれている為に常に違和感を覚える。
  思い余って、身体の要求する通りに動いてみると、オーラシフターの一人と遭遇した。彼は能力を使える人間を見極める力を与えられていたのだ。
  そのまま画龍学園に。

 

まゆ子「こんなもんでどうだ! 風呂に入って全員分考えたぞ。」
釈「まあ、このラインで行きましょう。」

 

2013/03/12

まゆ子「さてオーラシフターだ。彼らは仙術を用いるのだが、同じくらいに武術を使う。仙人の武術だ。
 まあ中国拳法という話に普通になるのだが、それはちっとも面白く無い。

 というわけで、オリジナル拳法を作ります。まったく新しいものです。
 彼らは別に古来より続く武術の門派ではなくて、明治維新のちょっと前くらいから始まった勢力なのだな。」

じゅえる「未来から来たという人によって仙術の極意を授かったんだっけ。」
釈「ならば武術も未来のものでしょうかね。でも今現在の格闘技で言うと、あまりー。」
まゆ子「今やってるのは武器が無くてリングでやるのがデフォルトのスポーツだからねえ。技は進化していても何やるか分からない相手にどこまで有効か、うーん。」
じゅえる「だいたい幕末なんていきなり抜き打ちに斬られたりするからなあ。ちょっと無理があるぞ。」

まゆ子「というわけで、独自の武術だ。それまでの伝統から逸脱してはいるが、歴史的要請・条件には適っている武術だよ。」
釈「明治以後、太平洋戦争から戦後まで使ってきた武術ですからね。
 でもどっかで聞いたような話な、」
まゆ子「そりゃウエンディズで使っている厭兵術も明治の産物だからね。この物語内では「橘の筋の手」として呼ばれる。」
じゅえる「オーラシフターでもウエンディズ出てくるんだ?」
まゆ子「出ないけどね。でも武術としては出現する可能性は高い。
 まあ、つまりオーラシフターの武術は「橘の筋」ではない。のだ。」

じゅえる「ふむ。」
釈「では新しい拳法を作らねばなりませんね。」
まゆ子「そこで考えた。前に土器能登子さんが紅曙蛸八仙の拳を使うって設定した。これを流用したいと思う。」
じゅえる「ちょっと待て。そんなもの使ったら面白小説になってしまうぞ。」
まゆ子「うん、そこだ。蛸八仙なんて書いた日にはそれだけで面白くなってしまうから、このままではいかん。だからそこは裏設定だ。
 で、裏ついでに考えた。蛸八に加えて烏賊七、白霞鯣七賢の剣というのを考えた。」

釈「蛸八仙と烏賊七賢ですか。ゴロがいいですね。」
じゅえる「だがイカの足は10本だ。これはいいの?」
まゆ子「二刀流が混じってるからいいんだよ。2本で1本換算だ。」

釈「しかし、ますます面白くなりますよ。頭足お魚拳法とでも呼びますか。」
まゆ子「いやさすがに。さすがに蛸八仙とか言っちゃうといきなり作品がギャグ化してしまうから、言い方考えるよ。」
じゅえる「だな。そうだなー「紅曙蛸八仙の拳」を略して、曙八仙、「白霞鯣七賢の剣」を略して、霞七賢、とでも呼ぶか。」
釈「いいですねそれ。じゃあ霞七賢・曙八仙の拳法です。」

まゆ子「略して七八の拳法。五十六兵法と呼ぶ。」
釈「”イソロク兵法”ですかー!」
まゆ子「山本五十六はこの兵法を用いてアメリカ軍を真珠湾に襲撃したのだ!」

じゅえる「……、いやそれはー無茶だ。」
釈「しかし、さすがにイカタコは消えましたから、これで良しとしましょう。」
じゅえる「じゃあオーラシフターが使うのは「五十六兵法」で決定!」

 

まゆ子「というわけで、五十六兵法の型を考える。つまり7つの攻め方と8つの技が有って、そのコンビネーションというわけだ。」
じゅえる「相撲四十八手というのもあるから、五十六手でも構わんような気がするぞ。」
まゆ子「それはさすがにめんどくさすぎる。技は8つで十分ですよ。」
釈「打撃技はアリですか?」
まゆ子「そりゃ当然。突き・蹴り・投げ・締め・極め・抑え・砕き・放り。こんなものかな。」
じゅえる「そりゃ技じゃなくて技法の分類じゃないか。まったく技が分からないぞ。」
釈「放りってなんですか? それに砕きと極めは似たような気がしますが。」

まゆ子「ふむ。じゃあ、当て・踏み・崩し・放り・極め・締め・抑え・痺れ。こんなものでどうだ。」
じゅえる「古武道ぽくなったが、まだ分からんぞ。痺れってなんだ?」
まゆ子「秘孔攻撃で人体に痺れや不快、健康被害を与える三年殺しに属する技だ。内臓攻撃だな。」
釈「それは酷い。」

まゆ子「つまり、「当て」打撃技、「踏み」歩法移動法、「崩し」崩し、「放り」投げ押し技。「極め」関節技破壊技、「締め」絞め技寝技、「抑え」捕縛術、「痺れ」内臓神経技。」
じゅえる「でも技そのものじゃないからなあ。それはー七賢の方にしようよ。」
釈「そうですねえ。じゃあ武器術と合わせて分類ということにしませんか?」
まゆ子「うーむ、確かに分類に過ぎないのだがー、
 ……めんどくさいや。これで行こう。武器術は別口で別売りで。
 というかほんとにめんどくさくなったぞ。マジで技8個だけにしよう。」
じゅえる「おいおい。」

まゆ子「打撃技は単に殴り殺す。踏み技で踏み殺す。崩し技で突き倒し殺す。放り技で投げ殺す。極め技で砕き殺す。締め技で絞め殺す。抑え技で殺さない。痺れ技でバレないように殺す。」
じゅえる「あー、なんというかプリミティブでむしろ悪役ぽくてイイ。」
釈「いっそ潔くていいですね。」

じゅえる「しかし多用な技法をただ一個にまとめるってのは、さすがに無理が有るだろ。
釈「はあ。「千招有るを怖れず、一招 熟するを怖れよ」とは言いますが、さすがに1個、部門別8個だと困るでしょ。」

まゆ子「具体的に「当て」打撃技を使ってみるとしてだ、武器として使える部位は手足頭肘膝と固い所だな。色々有ってどこを使うかで技が変わるのが普通の武術だが、五十六兵法ではどーでもいい。
 つまり、どっかなんかを当てればいいのだ。素手でもいいし武器を持っててもいいし、防具や椅子の角でもいいし、他人をぶつけることでも攻撃できる。
 なんでもいいからぶつけるのが「当て」だ。だから技は一個。」

じゅえる「まあとにかく当たれば痛いのは確かだが、大雑把すぎるぞ。」
まゆ子「だってこれ仙人の拳法なんだから、武器が無いのはむしろ例外的な技であって。なんと言いますか自分の肉体をすら道具の一種として考えます。」
釈「痛くないですか? それ。」
まゆ子「痛くない!

 いや基本的なことを言えば。素手で戦う時というのはかなり特殊な事例であって、その時自分が無傷であると考えるの自体が非常識だと思える。
 怪我をしている状態で戦う時、五体十分にコンディションが整っているのを前提とした武術は如何なものだろう?」
じゅえる「一理あるな。」
釈「怪我したら終了するのはスポーツだけですからね。」

まゆ子「動かない身体を使って無理やり動く戦う為には、肉体を道具と考えるしかない。ならば肘とか拳とか脚とかを分けて考えるのもどうだろう。という武術だ。」
釈「仙人ですからね。考え方も不思議です。」
まゆ子「更に言うと蛸八仙だ。蛸の身体のようにぐにゃぐにゃと、どこが肘やら膝やらで。」
じゅえる「わかったわかった。依然としてタコイカは有効なんだな。」

 

まゆ子「八仙が格闘技法であるのなら、七賢は戦闘技法・兵法軍学だ。単に猪武者の働きではなく、戦場全体をコントロールする技術だ。」
じゅえる「ま七賢というくらいだから頭使おうさ。」
釈「道場で勝てても、戦さ場で、路上で、あるいは任務の実際で使えないと意味無いですからね。」

まゆ子「七賢は兵法。兵法といえば孫子であるがまるっきり無視します。何故ならば古いから。」
じゅえる「古いのは理解するが、ダメなのか?」
まゆ子「皆知ってるから裏をかかれる。」
釈「あ、それは私も疑問に思っていました。もう2千年も前の兵法で読書人は皆読んでるに決まってるのに、何故今も通用するのか。」
まゆ子「通用しないんだよそれが。というか孫子読んだら弱くなるってもんだ。思考が固まってしまう。
つまり現代において孫子は、出来る人が読む分にはただ確かめるだけだから問題無いが、素人がこれで軍学を学ぼうとすると害になる的なテキストだ。」

じゅえる「だめじゃん。」
まゆ子「だめですよそりゃ。というか、戦国時代にぽこぽこ軍学兵法家が生まれたのは、孫子だけでは役に立たなかったからだ。実際に戦の中で掴むべきだからだよ。」
釈「そうですねえ、正統孫子流兵法って、なんか弱そうですねえ。」
まゆ子「だからと言って無視するわけにもいかないが、なにせ七賢出来たの明治時代だからな。西欧の軍学も入ってきて、比較検討もアップデートもされるさ。
 特に火砲、さらには動力機械蒸気船とか機関車とかの機械力。この登場を織り込んでない兵法軍学が役に立つ道理がない。」
じゅえる「それでもなお孫子を応用しようとするもんだが、すっぱり諦めたんだな?」

まゆ子「七賢は格闘技武術レベルに下げて兵法を考えている。格闘術応用編という感じでね。ソレ以上の事はまた別に章を取っている。

 んでもって、七つの攻撃法を考えた。
 「正」「反」「合」「翼」「周」「離」「転」の七種の攻撃だ。
 「正」は真正面から叩き殺す。「反」は裏から弱い所を攻め殺す。「合」は相手と一体になって内部から殺す。
 「翼」は両端から交互に攻めてフェイントで殺す。「周」は周りを包んで袋叩きに殺す。「離」は離れた所から殺す。
 「転」は逃げる。」

じゅえる「逃げるのか。」
釈「そりゃ逃げ技も芸の内です。」
じゅえる「なんか海千拳山千拳みたくなってきた。」

まゆ子「しかし、人を殺すだけならこれだけあれば十分だろ。詐術によって罠に掛けるってのが無いけれど、それは禁止。七賢では禁止なのだ。」
じゅえる「なして?」
釈「兵は詭道なりと孫子は言いますが、これは現代でも通用する言葉だと思いますよ?」
まゆ子「人を欺けば自らもまた欺かれる。自身の真の力真の姿を知るためには、詐術に頼ってはダメなのだ。

なんとなれば、七賢八仙は単なる武術でも兵法でもなく、仙道修業の道標であるからだ。修行法をも示しているのだ。」

釈「ほおー、仙道。仙人になる術ですか。」
じゅえる「そういや最初からオーラシフターは仙人だったな。」
まゆ子「仙人になる手前の、仙術を使う戦闘員の促成栽培教育法がオーラシフターであり、その為のカリキュラムが七賢八仙五十六兵法なのだよ。
 というわけで単純に格闘術を教えるだけでなく、戦闘術を学ぶだけでなく、さらに大きなものの考え方が必要になる。」

釈「ですね。武術だけを極めれば仙人みたいな達人になれる、ってのは現代的ではないのです。」
じゅえる「いやそこは間違いだ。仙人てのは割と早熟なもので、歴史上名を残す仙人は早くに目覚めているぞ。」
まゆ子「ま、普通若い頃に才能が開花した方がいいに決まってるさ。死にかけの爺様が仙人になっても、何も歴史に残さないよ。」

釈「たしかに、それはそうですが。なんか常識とは違いますね。」
じゅえる「それは爺様になるまで修行しなければ、普通の人間から出発しても仙人にはなれないて事さ。」

まゆ子「現実はきびしい。どんなに頑張って修行しても、たいていの人間は虚しく生を終えるだけなのだ。
 だからこそホンモノ仙人は尊いのだ。」
釈「なっとくです。」
じゅえる「というか、兵法もそういうこった。才能の有る人間が場数を踏んでようやく使い物になるのだ。
 本読んだくらいで大軍を効果的に運用できたら世話無いわ。」

まゆ子「そういう点も加味して、あえて個人・少人数での戦闘に絞った戦闘技法をまとめたのが七賢だよ。
 賢い賢人様の教えがあるのだ。「若人よ。千軍万馬を率いて国家の命運を左右する大軍同士の激突、なんてものを夢見てはならぬ。」」
釈「あああああああ、なんという有り難い教えですかそれは。まさに賢人の言葉です!」
じゅえる「孫子の悪を真正面から衝いているな。書物を読んだくらいでそんな大将軍になれるなんて妄想をするなよ。」

まゆ子「どうだ。七賢は賢いだろ。」
じゅ釈「へへええー。」

 

まゆ子「というわけで、五十六兵法には七賢八仙よりも重要な教えがちゃんと有る。えーと。」
じゅえる「なに?」
まゆ子「12345678、だから、つまりー

 一理双極三宝四諦という考え方も存在するのだ!
 一理とは五十六兵法を貫く哲学・発想法。双極とは自他、つまり敵の立場になって物事を考えるという姿勢。
 三宝とは単身での戦闘、仲間との連携をしての戦闘、銃火器を使っての近代戦闘。」

釈「とっさにでっち上げましたね。見事なものです。」
じゅえる「ちょっとまて、銃火器もアリなのか五十六兵法は。」
まゆ子「だって山本五十六が、あめりかぐんを」
釈「そ、それはー、実に理に適ってますね……。」
まゆ子「オーラシフターというのは基本的に銃火器の存在する戦場で戦ってますから、外して考えるのは無茶なのです。」
じゅえる「明治時代に作られた武術であれば仕方ないな。」

釈「四諦シタイてのは仏教の考え方ですね。人間の苦しみがどこからやってくるか、の。」
まゆ子「戦場においての失敗の原因を説くものが、この四諦だ。兵法の元と言えるのはここなんだが、まあ観念的なものだな。」
じゅえる「仙人の術だからな。」
まゆ子「要するに生老病死苦の話であるが、短期的刹那的な戦闘においてはちょこっと異なる。
 生きる死ぬはよしとして、老は老いるではなくて消耗する・継戦能力の持続の問題。つまり戦えば常に消耗する、消耗したら戦えない話だ。
 病は、つまり損傷の話。戦闘中に負傷や戦死脱落、避けては通れない現実だな。
 生きるはこの場合戦闘の目的、作戦の目的遂行という至極当然の命題が命取りとなる戦場のジレンマだ。目的に近づけば近づくほど敵の抵抗は激しくなる。
 死ぬはこの場合、生きるという事だ。戦場で死ぬことを恐れた行動を取るとまさに逆目に出る可能性も高い。どうやって死ぬのを避けながらも目的を遂行するか、兵員の無事と士気を保つかは重大な問題だ。」

釈「戦闘目的・消耗・損害・戦力維持、というわけです。」
じゅえる「兵法ぽくなってきたな。」

釈「一番重要な「一理」はなんです?」
まゆ子「そこはオーラシフターの存在理由、爺さんがこの教育機関を設立維持して一大目標に向けて進んでいく心得が書いてます。」
じゅえる「あくまでも劇中で使うための武術だからね。」

じゅえる「えー、で一理双極三宝四諦 五十六、七賢八仙。と来たもんだ。九も欲しいぞ。」
釈「絶対必要ですね。」
まゆ子「じゃあ九窮。極まったり。ここで教えるのは仙術そのもの。仙術を習い覚えたオーラシフターのみが使える秘術九策のことだよ。
 九九=八十一の術が有る。と言われている。」

じゅえる「ふむふむ。」
まゆ子「でもほんとは9個しか技はなーい。」
釈「なんですかそれはー。」

 

じゅえる「ちょっと待て。つまり八仙は格闘技法、九窮は超能力技法ってことか。」
釈「さらに、七賢は戦術思想ですね。鉄砲の撃ち方を覚えて七賢に従えば、ちゃんと戦闘が出来るのですよ。」
まゆ子「まあつまり七八九は実用の知識技術だね。ここだけを別のものと取り替えても構わないぞ。」
じゅえる「そんないい加減なものでいいのか。」
まゆ子「武器術は別と言ったじゃないですか。拳法じゃなくて忍術を使ってもいいんだよ、五十六兵法は。」

釈「つまりー、どういう事です?」
まゆ子「八仙、つまり蛸八仙の拳は独立した技術ってことだよ。これだけ単体を抜き出して覚えても構わんのだ。逆に別の武術でも成り立つように出来ている。」
じゅえる「そうか、蛸八仙だけを使うのではなくて、その他の武術をオーラシフターが使っても構わないんだな。」
釈「ああそういう仕組ですか。オーラシフター標準装備の武術が蛸八仙であって、キャラごとにキャラ付けで武器を換えても構わないんだ。」

まゆ子「とはいうものの蛸八仙は仙道修業の一環であり、特に肉体的に強化しなければ攻撃的仙術は使えないのだからサボるわけにはいかない。
 つまりオーラシフターはすべて蛸八仙の拳を使えるが、個人的な趣味によって別系統の武術を使ったりもする。」

じゅえる「おお、ここはオーラシフターの核心だな。」
まゆ子「つまり戦術的思考である七賢を知らなくては蛸八仙を戦闘では使えない。また蛸八仙を知らなければ九窮の修業が出来ないし仙術を使っての戦闘も出来はしない。」
釈「蛸八仙と九窮だけではダメなんですか?」
まゆ子「冥府魔道に迷う事となる。本来仙術は危ないものであり、容易にあの世に意識が飛んでしまう。特にオーラシフターは家族的に乏しい者が多く現世に繋がりとなる関係に薄い。
 そこを現世に留める為に、一理が有る。そして一理の現実的な用法が七賢だよ。つまり七賢を知らなければ現実を見失うのだ。」

釈「目的意識を強烈に植え付ける、ってことですね。故に七賢に詐術は無い……。」
じゅえる「そうだったな。オーラシフターは不安定な心理を爺の唱える理想で安定化させる方針を取っていたんだな。

 

 で、具体的には曙八仙はどういう風に仙術修業に役立つんだ?」

釈「太極拳みたいなものですかね。」
まゆ子「まあね。太極拳と似たような運動は「放り」になる。投技突き押し技なんだけど、力をどのように使おうかっていう技法だ。当然呼吸にも関連してくる。」
じゅえる「つまり仙術修業に必要なものは八仙の技に全部組み込まれているんだな?」
まゆ子「仙術の修業なら気を練って小周天とか大周天とかするわけですが、八仙の技は格闘技武術としてそれを自然と覚えさせるものです。
 発想としては中国拳法も同じなのだが、実は曙八仙は武術としてはそんな強いってものではない。」

釈「え、弱いんですか。」
じゅえる「個人の強さにはあんまり重点を置いてないんだろ。なにせ鉄砲を使おうって武術だし。」
まゆ子「まあね。個人の武勇の優劣は携える武器によっていくらでも補いが付く。むしろ肉体操作法に熟達して「上手く」なるのが要求される。」
じゅえる「つまりあくまでも仙術修業の一環なんだ。」
まゆ子「だからと言って弱くても困るんだ。一応総合武術として全部網羅している。

 というかね、武術には二つの相反する特性が有って、長年月を掛けて上達して高みを目指すのは普通に理解されている。
 でもその逆に、早くに教育を終え戦力化するというインスタントな側面も要求されているのさ。
 蛸八仙は簡単に強くなるけどそれほど凄くない。凄くなるには十年どころではない修業期間が必要。」

釈「オーラシフターは十代の少年少女ですからね、そりゃ無理だ。」
じゅえる「拙い武術を戦術面で補って、当座の用に足るようにしているのか。」
釈「そんなのを実用の特殊任務に駆り出すのもどうかと思いますけどね。」
まゆ子「教育ですよ教育。若い時に経験を積んでおかねばならない事が有るんです。」

 

じゅえる「だがそんなインスタントに特殊部隊的な戦闘が出来るってのは、どんな手品を使ってるんだ?」

まゆ子「まずは歩法の習得が先決だな。軽業出来れば鉄砲持ってある程度使えるし。
 まあとにかくオーラシフターは簡易ニンジャとして実戦投入されていますから。後は仙術の技を適宜使って、基本的に格闘はしないよ。」
釈「なにか目安となる戦闘レベルの測定法とか無いんですか。試合で優勝するとか。」
まゆ子「いや仲間内でそれも年々代替わりしながら一軍メンバー決めてるから、卒業生の判定かな。こいつは使えるって。」

じゅえる「どうも勝てそうにないんだがね。」
まゆ子「そこは発想の転換だよ。敵の得意に取り合わなければいいんだ。だいたい敵だって鉄砲武器を持ってるんだから、素手の格闘でなんとかしろってのは今時映画でもやらないぞ。」
じゅえる「まあね。」
まゆ子「基本的に実戦投入されるオーラシフターは仙術使いだ。仙術の使い手としても未熟なのであるが、武術兵法と結びつくとこれは立派に使えるものとなる。」
釈「要するに、仙術が武器なんですよ。鉄砲持って押し入ったのとおんなじなのです。」

まゆ子「つまり、普通の戦闘員に対しては仙術で圧倒し、仙術や魔法の心得が有る者に対しては武術武器を用い、両対応出来る手強い敵には戦術を駆使して対抗する。
そんな高レベルの人間はそんな数居ないからね。人数を使って絡めとって抑えるのだ。八本脚の蛸みたいに。

 出来る事を出来るようにやる、極めて無難な応用をしている。」
じゅえる「普通の戦闘員に仙術を使える人間を混ぜる、のではダメなのか?」
まゆ子「部隊員全員が仙術使いで武術家で戦術的思考が出来れば最強でしょ?」

釈「でも絶対的レベル自体は低くないんですね、彼らは。」
まゆ子「八仙の武術は長年月を修業に費やさないと真の上達は得られない。だが実用に使うにあたっては促成栽培で或る程度のレベルに割と簡単に成れる。
 その為に必要なモノは優れた教師だ。それはいくらでも供給できるのだ、ここ教育機関だし。」
じゅえる「なるほど。教育機関なんだなあくまでも。」

まゆ子「普通仙術修業武術修業といえば一人の老師に就いて長年月を弟子として仕えて、てのが普通だが、五十六兵法は違う。
 教師の方が多くて、寄ってたかって人材を作り上げる。その総集編卒業研修にあたるのが、オーラシフター一軍レギュラーとしての実戦任務投入だ。」
じゅえる「教師が寄ってたかって、か。ああそりゃ、そりゃ何というか、卑怯な手だぞ。」
釈「カネのチカラで解決ですよ!」

 

釈「で、話を戻して。

 八仙の技「当て・踏み・崩し・放り・極め・締め・抑え・痺れ」。仙術修業としてはどれが一番大切なんですか。」

まゆ子「全部大切なんだけど、仙術に直結するのは「放り」で全身の力を統一して発揮し呼吸と合わせるのが一番かな。
 「締め」は肉体操作法特に胴体の腹筋とか横隔膜とか呼吸に関連する筋肉を重点的に特訓するから、これも重要だな。
 「痺れ」も内臓やら神経やらを直接にいじる技だから、気の使い方に直結するんじゃないかい。
 「踏み」は歩法だから、これは全ての修業の根本を為すものだからまずは熟達しなくちゃいかん。
 「崩し」は相手の動きや意識の流れ、つまり気を読む技だからこれが使えなくては何時まで経っても修業が上達しない。」

じゅえる「なんだ全部じゃないか。」
釈「「極め」は関節技ですよね。人体骨格や筋肉についての知識を高めるわけですよ。そりゃ仙術修業に不可欠です。」
まゆ子「うん。」
じゅえる「「当て」は打撃技で自分の肉体も道具として用いるんだったな。なんか仙道っぽいなそもそもが。」

釈「関係ないのは捕物の技である「抑え」くらいなものですか。」
まゆ子「ところがだ、「抑え」は人間の行動学についての技なんだ。どうやって人が動こうとするか逃げ出そうと動くか、そういうのを知る為に有る。」
じゅえる「ああ、仙人はまた人をたぶらかすのが得意だしな。」
釈「仙術応用編ですか。」

 

じゅえる「それで、スタイルとしてはどの武術格闘技に似てくるんだよ。なにかモデルがないと描写できないぞ。」
まゆ子「うーん、なんというかね、柔らかいんだよ元がタコだし。」
釈「レスリングとか相撲とかですかね。」
まゆ子「相撲、ですかね。合気道はちょっと違う。」
じゅえる「女の子が相撲するのか?」
まゆ子「まあ、そうだな。そういう事になるかな。組み技系の稽古は何より身体を作るのにいいからね。
 えーとだね、「当て」の稽古ではないのだが、両方が手を前に出してクロスして、後は粘着粘着して相手の身体にまとわりつく、そんな様子になります。」
釈「それはとても素敵な絵です。」

じゅえる「太極拳やら八卦掌とは違うんだな?」
まゆ子「うん、かなり違う。相手を掴んだり抱きしめたり、寝技も有るからね。「締め」「抑え」は寝技も含むよ。」

じゅえる「空手みたいなのは無しなんだ、要するに。」
まゆ子「やれと言われればやりますが、素手は痛いじゃないか。ボディアーマー相手にしたら。」
釈「ローキックとかはどうします。」
まゆ子「ブーツとか脚絆で装甲している相手にローキックが効くのかどうか。」

じゅえる「戦場の武術ってことか。そうすると、打撃技って難しいなホントに。」
釈「完全に素手で防具無しでって、喧嘩くらいなものですからね。」
まゆ子「こう言っちゃなんですが、明治時代のちょっと前に生まれた武術ですから、その後の混乱の時代を生き抜いてきたのです。戦争にも行きました。
で、あんまり使わない技は整理してますからね。」

じゅえる「つまり泥臭いんだ。」
まゆ子「泥臭いし、洗練はありませんね。しかしながら不足も欠落も無い。過剰なものも他人が見て面白いものも無い。
 仙道の修業という観点を抜きにした場合、武術修行者はあまり興味をそそられないタイプの武術です。」
釈「でもちゃんと道理が分かってやると、凄い威力を発揮するんですね。」
まゆ子「そりゃオーラシフターは陰の工作員として働くくらいですから、ニンジャの真似事だって出来ます。歩法によって。」

 

じゅえる「でもねえ、そうは言ってもヒーロー的なんだよね、オーラシフターってキャラは。」
釈「ヒーローがかっこ悪いのは許せませんねえ。」
まゆ子「うーんそうだなあー、既存の武術と違う実に仙術っぽい武術ってのを、ビジュアル的にも特異に表現しないとだめだよな。」

じゅえる「絵に描いてまったく違う事が誰の目にもくっきりと理解出来るのが最高だね。」
釈「呼吸とか気とか、そういう内家拳的なものを表現しなければいけませんねやっぱり。」

まゆ子「ふうむ、それじゃあ蛸踊りということで、骨格やら関節やらが無いように見える柔らかい動きっていうところを強調すべきかな。」
じゅえる「柔らかさはいいな。しかしただ柔らかいだけではダメだ。蛸だもん、筋力強力ってのを表現しないと。」
釈「八本の脚がまとわりつくような柔らかさしなやかさと、固い貝の殻でもこじ開ける、甲殻類だってばりばり齧る。そんな蛸的強さを兼ね備えた優れた武術なのです。」

まゆ子「よし分かった! ここは読者様がなにを誤解しようが、文章書く側が絶対の自信を持って「これは凄い!」という蛸踊りを表現すべきだな。」
じゅえる「フィクションの魔術というのを魅せつけてやるんだよ。」

まゆ子「よし、では当たっても骨が無いかに打撃が受け止め吸収され、剛力で投げようとしてもしなやかに跳ね除けられ、掴まえても全身が蠕動してぬるりと手から抜け出す。
それでいて打撃を食らうと重たい革袋で殴られたかの強烈な圧力が全身に浸透して、防御をしても巧みにガードがこじ開けられていく。
 そういう蛸武術として表現するぞ。」

じゅえる「でもそんなに強くないのだ。」
まゆ子「ま、オーラシフター若いからね。とにかく曙八仙は時間掛かる、十代の内は達人とかとてもとても無理。」
じゅえる「普通の武術だとそりゃそうだ。」

釈「それで、あんまり強くないから個人的に別の武術格闘技をする者も居るわけですね。」
まゆ子「なかなか強くなれないから焦れて別の武術に手を出すわけだ。そしてとても強くなる。元がしっかり備わっていれば、どんな武術やスポーツでも上達は早いよ。」

釈「でも曙八仙をやってるだけでは、仙人には成れないんですね?」
まゆ子「うん。九窮に目を啓かれない限りはただの武術格闘技の枠を超える事はけっしてあり得ない。気付く人間が居るとしたらそれは天才だ。

 

 というわけで七八九は不可欠なものであるのだが、彼らを工作員として実働させるのは十代に限り、以後は普通に日本のアンシエントまたはNWO内に埋めていく。
 もちろん特殊部隊として仙術を用いて活躍する事も多いのだが、その任務の目的は「一理」と外れている事がままある。また成人して自ら考えるようになれば爺の理想に疑問を覚えたりもするだろう。
 だから彼彼女らは極力普通の人生を送るように爺に勧められている。そして多くの者はそれに従う。
 というか、彼らは皆それぞれに優秀な人材に仕上がっている。別に格闘やら超能力戦闘をしなくても、仙術を現実的問題に応用することは可能だ。そもそも頭良くなる術てのが有る。」

釈「頭良くなる魔法は欲しいですよねえ。」
じゅえる「真摯に欲しいと思えるなそれ。」
まゆ子「あるんだよ、それが。しかも頭いいだけでなく運も良くなる。というか運を呼び込む。彼らは各組織内において、幸運のスタビライザーとして働く事となる。」
じゅえる「それは、組織のその部署が円滑に機能する、てことか。」
釈「そんな都合の良い魔法があるんですか?」

まゆ子「あるんだから楽しいな。だいたい宇宙人も絡んでくるアンシエントにそういう保護装置みたいな機能を果たす何物かは不可欠でしょう。」
じゅえる「ああ。そもそもがアンシエントもNWOも超自然的な存在やら宇宙人と関係してたな。そりゃそうか。あぶない」
釈「対宇宙人、あるいは対神様要員として色んな所に配置されているわけですね。それらの干渉で何が起きているのか分からない混乱した状況に陥った時、元オーラシフターがばっちりサポートですよ。」

じゅえる「なるほど。大体爺のやってきた意味が理解出来た。組織の足腰をまず強くしなくては宇宙人の相手は出来ないわけだ。」
まゆ子「さらに言うと、こういう機能を果たす教育機関を持つのは日本だけだ。他国のアンシエントは超能力やら魔術やらを「有用」に使おうとして、普通に破綻を繰り返している。
 組織の安定化に魔法を使うのは爺の独創なんだな。」

釈「そして、時が満ちて爺が命じれば、彼らは草としてネットワークを駆使して立ち上がり、日本を覆すわけですね。」

 

じゅえる「で、仙術の技というのはどんなのが有るのさ。前回考えたよね。」
釈「うーん大したこと書いてませんね。自分の身体に掛ける魔法と他人の身体に掛ける魔法。そして石が飛んだり雷が落ちたりの物理魔法は無し。です。」
まゆ子「九窮というから、9個考えよう。自分に3個、他人に3個、世界に3個。」
じゅえる「世界に、ってのが大変そうだな。」

まゆ子「まず自分だ。仙術によって肉体的機能を強化する。飛んだり跳ねたり視力が上がったり、とにかく肉体的にブーストする。」
釈「はい、それは織り込み済みです。」
まゆ子「次に自分の精神を制御する技だ。これは仙道であるから当たり前に有る。変身もこれに入る。すっかり他人に成りきる技だね。」
じゅえる「精神防御とかもこれか。」
まゆ子「次に、自分の運勢を制御する技だね。まずは運が良くないと話にならん。作戦行動という危険な悪運の中に足を踏み込んだりもするわけだから、死神とダンスを踊るような真似になる。」
じゅえる「物理魔法による障壁が無い代わりに幸運度を上げよう、って話か。」
釈「まあ、シールドが無いのですから許してあげましょう。魔法の弾丸とかも作れますか?」
じゅえる「強運を銃弾に乗せて敵を撃つ、とかだな。ダメかい?」
まゆ子「いや。まさにそのように使うべきだろうね。」

まゆ子「次は他人を制御する技だ。他人の肉体を操る、原因不明で身体がしびれる。他人に幻覚を見せる、命令を聞かせる、偽の記憶を刷り込む、自白させる。」
じゅえる「だが物理魔法ではない。」
釈「はい、なんというか催眠術に近いものです。」
まゆ子「次に人の運勢を制御する術。つまり他人の幸運を奪い取ったり、こちらの凶運を他人に肩代わりさせたり、とにかく運勢を制御する。」
釈「無敵ですねそりゃ。」
じゅえる「どの程度出来るか、ってのは考えるべきだな。設定次第でいくらでも転がる。」
釈「でもどうやってそれするんですか? ビームでも出しますか。」
まゆ子「魔法陣的なものに対象者を踏み込ませる、そんな感じでどう?」
じゅえる「なるほど、通常であれば凶運の方には対象者は踏み込まないのに、物理攻撃をする事で追い込んだりして凶運を感染すんだよ。」
釈「なるほど、物語的にGOODです。」
まゆ子「最後に、他人の縁を識る。つまりサイコメトリーだ。これは人間相手でなくても人間が用いた器物にも効果があるとして、人の縁を読み解く事が出来る。」
じゅえる「制御とか書き換えは出来ないのか。」
まゆ子「さすがにそれは強力過ぎるんじゃないかな。縁はさすがに制御するには強過ぎる関係性だよ。」
釈「ではもう少し、霊媒体質の人間であれば縁を辿って死人とか先祖とかと話が出来る。そのくらいは有ってもいいでしょう。」
じゅえる「それは便利でいいな。縁の制御は出来なくても情報のサルベージは構わんだろ。」
まゆ子「うーん、物語的に使えそうな能力だな。」

 

まゆ子「んでもって、セカイ系魔法だ。」
釈「まあいわゆる物理魔法は実はセカイ系になるんですね。」
じゅえる「そりゃ物理的根拠なしに石が飛んだり雷が落ちたり焔が出れば、術者から物理的な何かが供給されているべきなのだが、無いと言うならば奇跡だ。」
まゆ子「奇跡を自在に起こす能力、なんだなそれは。まさにセカイ系。」
釈「というか、この分類の超能力は色んな作品で多用されてバリエーションも豊富ですが、全部奇跡でケリが付きます。」
じゅえる「自在に奇跡を起こす能力。これは却下だな。」
まゆ子「却下。」
釈「納得です。」

まゆ子「まずは天文地理を読む占術の技法。仙人としては当然の技術だが、もちろん普通の天文地理ではありません。セカイの動き運命の流れを読みます。」
じゅえる「仙人だから当然だが、物理的根拠はどこにあるんだそれ。」
まゆ子「そりゃ天帝の命ずるままに世は動くんですよ。セカイシステムのパラメーターを読む技術と理解して下さい。」
釈「かなり承服しかねますが、仙術だから致し方ありません。」
まゆ子「自然災害の予知は当然のことながら、人の世の変化政変やら戦争やらも占う事が出来る。というか兆しを感じ取れる。」
じゅえる「世を見る目を養う事が出来るんだ。」

まゆ子「未来予知です。天文を読むだけでは分からない具体的個別の予知能力は本来仙人には備わっているべきです。」
釈「です。でも物語的に便利過ぎるその機能は、たいていの物語で大きく制限を受けていますね。」
まゆ子「オーラシフターはこれは禁止しましょう。彼らは予知能力は自ら封印しているのだ。何故ならば彼らは任務によって死ぬことも有り得る。」
じゅえる「自らの死を予知しちゃったら、それは駄目だな。」
釈「死を前提とした任務を果たせるほど、彼らは未だ成長していないんです。」
まゆ子「というわけでこの能力は、オーラシフター卒業生の方が持っている。現役生は無しね。」
じゅえる「OK。というか、彼らの死を知っている卒業生の職員とかが居るわけだな。」
釈「なるほど、それは描写に重厚さが増します。」

まゆ子「そして奇跡の物理魔法。彼らは本来使えないのだが、使い魔というか仙獣というか、尸、目には見えない存在を使役する事により擬似的に成し遂げる。」
じゅえる「奇跡の偽物が起こせるわけだな。当然能力的には貧弱。」
釈「しかし不思議は不思議、効果的に使えば役に立ちます。」
まゆ子「これは教育機関である「寶」からの供与という形で彼らは使えます。供与を許された存在が「オーラシフター」です。」
じゅえる「修業が進めば自分で奇跡を起こせるようになったりはしないの?」
まゆ子「無理。」
じゅえる「そこだけリアルなんだ。」
まゆ子「この教育機関は奇跡を訓練生に求めるほどイカれた存在ではないのだよ。」
釈「そもそも、物理魔法なんて実在するんですか、この世界では。」
まゆ子「無い。うちゅうじんのしわざだ。」
釈「はあ。まあ、そうですよねー。」
じゅえる「奇跡なんか有るはずが無いよなあー。」

釈「ちょっとまってください、そもそも仙獣ってなんです?」
じゅえる「あ、そうだ。それはどこから調達したんだよ。」
まゆ子「いや、花憐回で説明したじゃん。神仙境だよ。外界に神仙境の生き物を持って来たんだ。」
釈「あ。……そういえば、仙人になる修業でしたね、そもそもが。」
まゆ子「神仙境に行き来出来るようになるんだよ、最後まで修業すれば。ただし危ない、特に未成年危ないからその技は教えてくれない。
 実は九窮の最後の術が、「仙洞」と呼ばれる神仙境へ行き来して永遠の生命を授かる「昇仙の法」なんだな。」

じゅえる「つまり安全上の配慮として、嘘教えてるんだ?」
まゆ子「うん。」
釈「教育的配慮なんですね。」

 

2013/02/28

じゅえる「じゃあ第八巻についてはおいおい書いていくとして、問題は第九巻だよ。「喜味子モテ期到来」だ。」
釈「オーラシフターですね。」
じゅえる「オーラシフターは本編とは別口の展開も出来るように考慮された、つまり別シリーズだよね。なら大目標も別に考えなくちゃいかんだろ。」
まゆ子「もっともなお話。」

釈「じゃあどうしましょう。まず何にいちゃもんを付けましょうか。」
まゆ子「いちゃもんて言い方はどうかと思うが、まあ世の中世間に対して何を訴えるか、自分自身を棚に上げて悪をそしるわけですよ。」
じゅえる「オーラシフターはいわゆる超能力戦士なんだろ? じゃあ能力バトルをするわけだよ。そこんところから逆算して。」
釈「無能、ですか。世の無能の連中を誹りますか。」
まゆ子「うーむしかし無能というのも、なかなか難しい概念でね。高いレベルに行けば行くほど評価は難しいんじゃないかな。」
じゅえる「まあ結果がすべてではあるけどさ。」

まゆ子「無能、か。いや無能とは程遠いであろう連中が、社会的地位の高い国家でも最高レベルの権力を握る人間たちの、そいつらの無能を誹るのはやぶさかではない。」
じゅえる「単純に三流週刊誌的弾劾とは異なる、高度レベルの無能批判だな。」
釈「哲学的無能状態をそしりましょう。オーラシフターは超能力以前に仙術の道士ですよ。もっと精神的なレベルでの覚悟の無さを追求すべきです。」
まゆ子「うん、まあ、それもなんと言いますか、十分厨二的態度でありますねえ。」

じゅえる「世にプロテストするのに厨二でなくてどうしますか。できるもんかそんなもん。」
釈「まあ批難する奴は自分のことを有能だと思ってるわけですよ、たいがいは。無能と自覚する人間に無能呼ばわりされる、これくらい腹の立つ話も無いわけです。」

まゆ子「いいでしょう! どういうわけだか知らないが、オーラシフターには有能さについての評価というのが常に付きまとうらしい。
 ここんところをちょっと追求してみましょう。」

じゅえる「だいたいがして、少年少女ばかりを集めた能力者集団といういかにもな存在が無能であるわけにはいかないしね。」
釈「ただ、そんなのが世間において社会構造においてどう位置づけられるか。有能さというものを深く考慮してみるべきでしょうね。」
まゆ子「つまり高いレベルにおける無能、を補填する為の存在がオーラシフターでありその卒業者だ。
 ふーむ、なんとなく方向性が見えてきたぞ。うん、じゃあそのラインで。」

じゅえる「じゃ、次。中目標。つまり本来描写される喜味子暗殺未遂事件だ。」
釈「この巻ですね。「喜味子モテ期到来」。なかなか意味深なタイトルです。」

まゆ子「そもそも喜味ちゃんは、これまで書いてきたのを見ると、実はモテモテなのだ。」
じゅえる「うん、意外と人に慕われているな。顔は怖いのに。」
釈「逆に、顔が怖いからそのギャップでいい人扱いされている、という感じでもあります。」
まゆ子「なんというかね、少なくとも女子の間の評判では鳩保よりは上、もちろん優子より遥かに上なのだね。」
釈「意外な真実。」

まゆ子「そこを敢えてモテ期と表現するからには、男女間の恋愛感情について描写すべきであるわけさ。」
じゅえる「当然だね。」
まゆ子「だがさすがに無理!」
釈「とうぜんなんですね、怪獣ですから。」

まゆ子「そこで二の矢を放つ。オーラシフター共は物辺島でとっ捕まって折檻される内に、喜味子に対して恋愛感情に似たものを抱くようになる。女子もだ。」
じゅえる「ほお。」
まゆ子「だがあくまでも擬似恋愛感情、その本質は母性愛なのだ。オーラシフター共は肉親の情に飢えている。そこに喜味ちゃんがひっかかるわけだよ。」
釈「なぜだか知らないけれど惹かれていく、その正体は恋愛ではなく母の愛であった。そういうことですね。」

まゆ子「ところがだ、喜味ちゃんはけっこう男っぽい性格なんだ。」
じゅえる「うーむ、なかなか倒錯しているな。」
まゆ子「さらに言うと、彼らを使うジジイは、そのまんま父性の象徴でもある。まあもうちょっと難しいものだけどね、爺と父の違いは。
 でも、つまり喜味ちゃんから漂う母性愛と、爺から与えられる父性の智慧と、対立し喜味ちゃん勝利、というシナリオだ。」
じゅえる「これまで計画したとおりにね。」

まゆ子「であれば、「父性と母性の対立」を中目標に掲げようではないか。」
釈「ふむ。しかし喜味ちゃんの母性は、普通の母性とはかなり違うものですよね。」
まゆ子「そうとう違う。いや、違ってイイ。母性の暗黒面だな。」
じゅえる「しかし母性ってのは、暗黒面でなくても混沌としているものだろう。無制限というか無根拠の愛というべきもので。」

まゆ子「混沌の暗黒面とはなんだ?」
釈「むちゃくちゃ、ってことではないですか?」
まゆ子「いやそうじゃなくて、母性は混沌である。これは認めよう。愛はすべてを慈しむものである。これはいい。
 だが愛の暗黒面となれば、すべてを呑み込み喰らい尽くす大地の暗黒神的な存在であろう。」
じゅえる「つまり混沌の逆概念だな。対になるのは秩序コスモであろうが、混沌の中から現れるものとすれば、否定しがたい真実、ってところか。」

釈「説明の必要を覚えない真実、真理。絶対の冒し難さを持つ問答無用の現実。モノと同じレベルで確固たる存在を見せる定理。ですかね。」
まゆ子「秩序の支えを必要としない、絶対存在だろうかね。」

じゅえる「そりゃ父性は勝てないわ。智慧の及ぶところのものではないな。」
まゆ子「喜味ちゃんは絶対に勝つわけだ。」

釈「理解しましたが、なんと表記しましょうかそれ。「母性の勝利」いや違うな、「暗黒母性の超克」いやなんか外れた、えーと。」
じゅえる「「カオスの結晶」、これでどうだ。」
まゆ子「いや、ここまで読んだ人ならそれで通じるが、いきなりカオスの結晶はなんの事だか。」

釈「ここはオーラシフター達の立場から見て、「秩序から開放される知性」という感じで。」
まゆ子「不足。」
じゅえる「「混沌の岩礁に乗り上げた父性」こんなところか。」
まゆ子「母性の混沌に屹立する脊椎に乗り上げる父性知性」、こんな感じだな。日本語としてどうかと思うが。」
じゅえる「あーでも、別にこれでいいや。テーマそのものを表記するわけじゃないんだから。」

釈「いやここは単純に「母性の悟り」とした方がいいんじゃないですかね。結局悟るわけでしょ、一種の。」
まゆ子「「暗黒母性の悟り」、ここでおしまい!」

 

2013/2/22

まゆ子「それじゃそろそろオーラシフターを書きますかね。」
じゅえる「キャラは固まったのかい。」
まゆ子「まだ。」
釈「それはいけません、ここでやりましょう。

 まず女の子3人、男の子9人です。」

じゅえる「この構成に変更は無い?」
まゆ子「無いが、サポート要員や養成員の年下の子は欲しい。このチームは毎年卒業生が居てメンバーが代わっていくのだよ。」
釈「なるほど、レギュラーと二軍ですね。」
じゅえる「厚みを出すためには幾人か設定しておくべきか。出る出ないは別として。」

まゆ子「それと大人側のサポート要員や現役の工作員である卒業生も設定しておく必要があるでしょう。彼らは単独で行動しているわけではなく、組織的物質的な支援を受けている。」
じゅえる「うん、日本のNWOの一員として活動するからには、当然だな。」
釈「今回のお話は、その構図から脱して危険な策動を行うわけです。それは脱する元が必要ですね。官僚的な人ですよ。」
じゅえる「そのものずばりの官僚でしょう。というか、これは警察の公安の管轄下にあるの? それとも自衛隊?」
まゆ子「考えてないが、どちらとも違うはず。むしろ、それらの手に負えない部分をサポートする為に有る。」

 

じゅえる「ふむ、組織的な基盤をどこに置くか、まずそこから当たろう。」
釈「基本ですが、ここを上手く設定しておくと後々大きく舞台が広がるのです。

 で、警察でも自衛隊でも無い公的組織の管轄下に居る。そう考えるべきですか。」
じゅえる「まあ既存のフィクションに倣えば、総理府総理直轄部隊、宮内庁、文部科学省、厚生省、他には?」
まゆ子「日本じゃないけど、NSA国家安全保障局という手も有る。」
じゅえる「それは日本で言えば、どこの局だ?」

釈「新しい部署を作りますか。」
まゆ子「それがいいと思うけど、超能力仙術を使う部署となれば文部科学省でしょうかね。」
じゅえる「国立の機関の一部署ではあるべきだ。国会図書館とか博物館とか。」
釈「動物園とか。」
まゆ子「! 動物園。」
じゅえる「上野か、」
まゆ子「いやあれ国立じゃないでしょ。」

釈「民間でも構わないのですが、公的機関である方が便利いいですよねやっぱり。」
じゅえる「ナントカ財団、いや公社とか社団法人とかで。」
まゆ子「む、ぐぐったら2008年に公益法人の制度が変わっているぞ。11月だけど。」
釈「ここの組織自体は学校法人でもいいんじゃないですかね。未成年ばかりを集めて教育してるんですから。」
じゅえる「ふむ、となると文部科学省が管轄か。」
釈「ちょっとおもしろくないですね。もっと突拍子もない部署は無いもんでしょうか。」

まゆ子「じゃあ財務省とか国税局とか、社会保険庁とか。」
釈「社会保険庁ももうありませんよ。2010年ですけど。」
じゅえる「あー、社会保険庁叩かれまくったからなあ、その数年前。きえたねんきんとか。」
まゆ子「いっそ林野庁カモシカイノシシクマ対策部会という架空の部署で。」
釈「可愛いですけど、さすがにちょっと。」
じゅえる「むしろそれはニンジャだな。」

まゆ子「うーんつまりーこうだー。オーラシフターはあくまでもNWOへの協力機関なわけであり、その公的な立場は学校法人であり文部科学省の管轄だ。
 しかしながら実力部隊としての運用は警察でも自衛隊をも越えて、内閣総理大臣のそのまた上だったりする。
 ま、元老とかいう存在が今も日本に居るんだよ。」
じゅえる「元老会議か。明治だね。」
釈「そうですねえ、国会が出来た時に元老院は廃止されているわけですが、それがまだ裏では続いているという事ですね。」
じゅえる「制度としては無いのだから、通称元老会議だよ。ただー、なんというか元老会議と内閣総理大臣を直結する連絡機関というのがあって、そこの人間がオーラシフターに命令を下す事にするべきではないか。」

まゆ子「つまり、このお話で最後死ぬジジイが、その元老なんだな。」
じゅえる「うん。」
釈「元老である爺さんがお仲間である元老会議に諮ってオーラシフターの出動を要請して、連絡機関の人間が通達してオーラシフターが出動する。そういう形で。」
まゆ子「つまり連絡機関だけが公的機関なのだね?」
釈「内閣府でしょうね、それは。」
じゅえる「しかし、民主党政権なんかが出来た場合でも、それは正体を表さない裏機関であって表向きにはなにか別の役職が有るはずだ。」
まゆ子「そうだなあ、そこの部署の通達によって警察も自衛隊も便宜を図らないといけないわけだし。
 なんか凄みの有る名前が欲しいぞ。」

釈「通常の実力部隊の手に負えない不思議な事象が起きた場合に出てくるわけですから、特殊事例連絡局とか。」
じゅえる「特殊案件連絡室だな。局は偉すぎる。」
まゆ子「特例案件連絡室、でいいんじゃないか。特別に定められている不思議事例が発生した場合、お手上げですと警察や自衛隊が連絡してくる部署だよ。
 もちろんそこは連絡するだけで自ら解決はしないのだ。しないのだけど、なんだか知らない内に解決している。そういう便利役所。」

じゅえる「うん、OK。」
釈「OKです。」

まゆ子「元老会議というのもつまらない。なんか無いか。」
釈「七福神とかでは。」
じゅえる「宝船だな。」
まゆ子「たから、寶船頭、たからせんどうというのではどうだろか、船頭多くして船山に登るだよ。」

じゅえる「じゃあ元老会議”寶”、元老の事は”船頭”と呼ぼう。仙道で船頭だよ。」
釈うん、いいんじゃないですか。そもそも日本最大のアンシエントが「彼野」ですから。」
まゆ子「「枯野」で船だからね。」
じゅえる「OK」

 

釈「まとめます。オーラシフターを操ってNWOに協力する機関は「特例案件連絡室」、ここがオーラシフターの出動を要請して決定するのが「寶」で会議のメンバーが「船頭」。」

じゅえる「しかしその連絡室はどの程度の規模の組織なんだ。特殊部隊を抱えていたりするのか。」
釈「それは駄目でしょう。警察でも自衛隊でも無いんですから、抱えている理屈が合わない。」
まゆ子「というか、オーラシフターの卒業生がそこに居るんじゃないかい?」

じゅえる「ふむ。だがサポート要員が居ないのはちょっと無理があるんじゃないかな。」
釈「じゃあ銃器などは持たない警備員という風体で、特例案件作業員というのが居るのですよ。」
じゅえる「だな。」
まゆ子「ふむ。なんというか、普通の人間が処理するのも難しいアイテムとかがあって、それを処理するのも彼らの仕事という事で。」
じゅえる「放射性物質みたいに厳重に扱うのだな。ロボットとかで。」
釈「なるほど、爆発物処理班みたいな感じで、不思議物質がごろりと現れるんですよ。」

まゆ子「調査員、作業員、研究員、それと連絡員という名の管理者だ。で、オーラシフターが戦闘実働部隊である。」
じゅえる「官僚としての位はなんだろう。」
まゆ子「特例案件連絡室長はもちろん内閣府の他の部局よりは下の扱いになっているべきであって、まあ実力は高くても政治的にはほぼゼロなんだろうな。表向きは。」

釈「室長→室長代理→連絡員→調査・作業・研究班長→班員、このくらいですかね。あまり大所帯ではないでしょう。」
じゅえる「50人くらいか。連絡員5名、研究10名、調査10名、作業20名、室長・代理、他若干名。こんなもんでしょ。」
まゆ子「ああ、班もう一個必要だな。「寶」関係連絡員。」
じゅえる「そうか、そりゃ偉い人に応対する部署は必要だしな。それと総理大臣直轄であれば、室長には秘書も要るだろう。」

まゆ子「ふむ。
 室長(総理直結)+秘書、室長代理(寶関係連絡員)+関係要員、オーラシフター連絡員、調査連絡員、研究連絡員、作業連絡員。」

釈「不思議物件の研究にはほとんど要員が足りないと思うんですが、それはいいんですか?」
まゆ子「研究自体はもっと大規模な宇宙人関係事物を集中的に取り扱う研究所が設けられてるよ。ここに来ているのは不思議危険物の管理要員と思ってくれるといい。」
じゅえる「あくまでも危険物の処理が目的なんだ?」
まゆ子「警察でも自衛隊でも扱いかねる案件が対象だからね。超能力者をとっ捕まえてしまったよ、という場合そりゃ専門要員が必要だろ。」
釈「ああ、そうですね。超能力者も不思議案件そのものですか、そりゃそうです。」

じゅえる「でもオーラシフター卒業生はここには居ないんだろ?」
まゆ子「あー、居てもいいんだけどね。どうしたものかな。一人くらいか。」
釈「それはー、この図式であれば「秘書」でしょうね。」
まゆ子「ふむ。ふむ、なるほど。」
じゅえる「なるほど、逆にだ。総理大臣が超能力を使って何かしたい、と思ったら連絡室から秘書が呼ばれるわけだな。」
まゆ子「情報関係の能力者であれば、なるほど便利だな。」
じゅえる「でもそれ以上沢山居るのは許されない。あくまでも並の人間の組織だよ。」
釈「怖いですからね。」

じゅえる「まあ警察にも自衛隊にも、他の治安関係部署にも、民間のそういう機能を担う所にもオーラシフターの卒業生は多数居るんだな。
 ただ未成年で養成員である彼らを直接に使用するのは、連絡室だけなんだ。」
釈「卒業生は国家機関のあらゆる所に配置されていて、それを統合して認識するのはここ連絡室だけなんです。」
まゆ子「なんかの布石として、配置されているんだ。でNWOのメンバーでもある。」

じゅえる「つまり、卒業生は自動的にNWOメンバーなんだな。」
まゆ子「YES。」
釈「では彼ら未成年の養成員は、まだメンバーになっていないし、国家の工作員やらにもなっていない。」
まゆ子「養成員だからね。」

じゅえる「だからこそ、今回の暴挙に参加できるんだ。」

 

釈「質問! 特例案件といえば物辺村周辺で今ぼこぼこ起こっているわけです。この部署は関与しているのですか。」
じゅえる「まー起こりまくってるな。そりゃ関与するべきでしょ。」

まゆ子「はいそうです、と言いたいところだが残念。門代地区には特例案件緊急対策室がぼんとあります。連絡室ではなく対策室です。
 ここの要員はオーラシフター卒業生も多数居て、内閣ではなくNWO直属の組織です。政治的権限から言うと、国家安全保障会議の下にあります。」
じゅえる「現場にちゃんと本部を作ったわけだ。」
まゆ子「というか、実は現地に必要なのは確かで極めて重要なのだが、より重要なのは連絡室の方だ。

 なにせ現場は対策と言ってもNWO全体の最高意志決定機関および米軍の勢力が強くて、対策室自体は警察や自衛隊、現地行政との連絡と折衝を本来任務とするしかない。
 実力をもってして門代地区をなんとかする、てのは用が無いし、宇宙人がうろついているから危険極まりない。
 力があるからこそ隠された危険も分かるのだ。とてもではないが手が出せない。

じゅえる「ちょっとまて、そんなヤバイ所に未成年の超能力者を叩きこむのか?」
まゆ子「うん。」
釈「死にますよ!」
まゆ子「構わない、命を捨ててでもゲキの少女を始末しろというのが爺様の命令です。」

じゅえる「いやその重要性と危険をも冒すミッションはわかるが、連絡室と対策室の関係はどうなんだよ。対策室に潰されないかい?」
釈「卒業生ですから、分かりますよねそれは。」
まゆ子「まあそこは爺様の威光で、爺様の直接の命令によって見ないふりをしています。
 またその為に卒業生をあらゆる部署に送り込んでいるのです。出来るからこそこのミッションはあり得るのです。」
じゅえる「ふむ。」
釈「爺様が何十年も掛けて仕込んできた甲斐があるという事です。」

 

じゅえる「とりあえず政府側で出てくるべき大人は分かった。オーラシフターを直接指揮する「連絡員」は不可欠なんだ。」

釈「しつもん! であれば、現在物辺村を守っているニンジャはどこの所属でしょうか?」
まゆ子「あれ政府組織じゃないよ。民間だよ。」
じゅえる「民間でいいの?」
まゆ子「政府組織をどういう理由でそんな護衛させるんだよ。SPでも付けますか。」

じゅえる「釈ちゃん、これはーどうしようか。」
釈「言われてみれば、ただの田舎神社田舎村に護衛やら警護やらを付ける名目が存在しませんね。というか、公的に付ければ記録が残るし監査も受ける。」
じゅえる「民間の警備会社に依頼している、そんなものか。」

まゆ子「ところがだ、物辺鳶郎率いる忍軍の公的な組織名称は「ニンジャ・ハリウッド」、アクション専門の芸能事務所。JACみたいなものです。」
じゅえる「……なぜ    。」
まゆ子「火薬を扱えるからだよ。採石場でどかんと派手に。」
釈「はあ、世を忍ぶ仮の姿ですか。」

じゅえる「銃や爆弾を試しに使ってみるにはそれでいいかもしれないが、しかし役者もやってるの?」
まゆ子「いや、ニンジャって昔からそうだし。」
釈「たしかに役者や芸人はニンジャが身をやつす手段の定番です。」
じゅえる「うーむ、そりゃそうか。刀振り回していても誰も怪しまないか。」

まゆ子「いいでしょお。実は東京成田に帰ってきた物辺祝子は向こうのご両親に挨拶する為に、ここに訪ねて行ってます。」
釈「新婚さんですからねえ。」

じゅえる「そこは納得しよう。で、指揮命令系統は、」
まゆ子「そもそも物辺神社周辺に集まっているのは「彼野」のトップクラスのアンシエントだ。「彼野」の最高意思決定機関からの直接命令によって派遣されている。
 もちろんこの決定には只の政治判断ばかりでなく、超能力を利用した未来予知や予言、さらにはミスシャクティがもたらす未来情報に基づいて行われている。
 「ニンジャ・ハリウッド」ももちろん、選ばれて此処に居る。忍軍は別にも有るけれど、特別に選ばれた存在だ。」

 

じゅえる「そこだ。NWOと「彼野」、特に彼野の最高意志決定機関について設定しておくべきだろう。」
釈「今更ながらではありますが、これまではどういう設定を想定していましたか?」

まゆ子「無い!」

じゅえる「これだ!」
釈「これですよ、まゆ子先輩は。」
まゆ子「いや実際だよ、日本を裏から支配している勢力ってのをマジで考えるとバカみたいじゃないか。」
じゅえる「ばかみたいだけど、それを書こうと考えたのはお前だ。」
釈「責任というものが有るのです。馬鹿を極めてください。絶対命令です。」
まゆ子「トホホ。」

じゅえる「じゃあまず今決まっているところからやるぞ。「寶」がそれなのか?」
まゆ子「違います。」
釈「違うんですか!」

まゆ子「「寶」は最高機関ではありません。言うなれば超能力者や霊能者養成する機関、人材育成能力を持つアンシエントの会議です。」
じゅえる「元老会議じゃなかったのか?」
まゆ子「元老院を元としますが、だってそれ明治の話でしょ。裏で支える側に回った彼らは直接支援ではなく人材発掘から育成へと重点を移していきました。
 というか、「明治の元勲」と異なる立場でないと意味が無いのです。」

釈「元勲はそりゃあ、政治的にも随分とパワーありましたから、アレに取って代わるのはちょっと無理ですね。」
じゅえる「そうか、ちゃんと元勲てのが居たな。アレじゃあないんだ。」
まゆ子「というか、ここんところ極めて重要なのですが、明治維新における能力者の活躍。てのを設定しなくてはならんのです。」

じゅえる「そうか、そりゃあ困ったな。藪蛇しちゃったな。」
釈「つまり明治維新実現の為に活躍した超能力者霊能力者が、自分達の後継を育てる組織を作ったってことですね。」
まゆ子「無論、諜報機関そのものの成立にも絡んでいます。ニンジャも絡んでくるしね。」
釈「明治維新におけるニンジャの活躍ですか。それはー大活躍でしょう。」

まゆ子「つまりだね、明治新政府を立ち上げ国力増進をしていく構図の中に、超能力者霊能力者の居場所が無かったのだ。
 なにせ西欧近代文明の受容と軍隊の整備、近代教育制度の確立と人材育成、産業経済。やる事は山ほど有る。

 そもそもが超能力者霊能力者の育成は公的なものは何一つ無いわけで、長らく闇の中で育まれて来たのだから、維新の混乱が落ち着いたら元に戻ろうと考えるのです、当然に。
 しかし一度現実の権力と結びついてしまうと独立するわけにもいかないから、それこそ元勲やら新政府の有力者のバックアップを受けて組織化を始めます。
 またそれら有力者の密命を受けて陰で様々な仕事をするわけですね。力であるからには当然に。

 そういう風に影響力を行使しながら育っていけば、自然にそれ自体が力となるわけで裏の権力集団が構成される。
 というか、その教育機関から輩出された人材が日本全国津々浦々までも広がっていき隠然たる勢力を持つ。
 その頂点は文字通りの元老に化すわけだ。」

じゅえる「にも関わらず、日本を支配していないのか。」

まゆ子「だって近代科学文明の世の中ですよ、帝国主義ですよ資本主義経済ですよ。裏からいじるだけでなんとかなるわけ無いじゃないですか。」
釈「そりゃ無理ですね。」
まゆ子「裏の世界の超能力を掌握していても、決して主流には成り得ない。いや裏の支配者という発想自体が既に時代遅れもいいところなのだ。
 というわけで彼ら元老会議は常に政治からは一歩退いて、国家の運営には直接関わらない態度を貫いています。
 だって、それが教育機関というものじゃないですか。輩出した人材に任せるものです。」

じゅえる「節度があって大変よろしい。」
まゆ子「ところがだ、節度の無い連中の集まりというものもあったのだ。それが「彼野」の前身だ。」
釈「なんでですかー、「寶」バカみたいじゃないですかー。」

まゆ子「だって、世の中民主主義ですよ自由民権運動ですよ普通選挙で国民の代表なんですよ。
 政治は政治家を生み出す利権集団の主張がせめぎあって成り立つのですよ。公の場で利害が激突するのが正しい姿です。
 利権集団として本来あるべき仕事をしていたら、自然と「彼野」が出来るんです。」

じゅえる「はあ。」
釈「いやそれは当たり前過ぎて、どこらへんが裏なのか分かりません。」
まゆ子「だから、アンシエントは裏じゃない、表だ。表で十分な組織力と影響力を持った集団で、未来の人類社会を構築する上で力になりそうな、しかも秘密を絶対に守れる組織がNWOに迎え入れられるのです。」

じゅえる「そういえばそうだった、宗教組織なんてものは思いっきり公然の存在だよ。」
釈「ああー考え方間違っていた。公然の存在が裏でやってるのが「NWO」なんですね。」

まゆ子「そういうこった。「寶」は実力は有ってもあくまでも陰の存在だ。本来の目的とは異なるから、支配なんかしないんだよ。
 無論、いつの間にやら肥大した「寶」はそれ自体がアンシエントとなっている。
 「彼野」は彼ら抜きでは成り立たない。成り立たないが、直接関与はしない。そういう存在だ。」

 

じゅえる「話を戻す。つまりニンジャは「寶」の指揮下には無い、のだな。」
まゆ子「ここまで説明すれば、その質問自体が馬鹿馬鹿しいことが分かるだろ。」
釈「そういうのは対象外なんですね。でもオーラシフターは貸してくれる。」
まゆ子「どちらかと言うと、教育の一環です。裏の仕事の実地研修です。」

じゅえる「いや、そんないいかげんな仕事でいいのか?」
まゆ子「むしろ、ちゃんとした大人となって日本各階層に人材を送り出す前に、実務を経験させて仕上げておく必要が有る。」
釈「ONTHEJOBトレーニングです。」

じゅえる「よし分かった。つまりニンジャは関係ない。」
まゆ子「のだが、「寶」自体にはニンジャは関係する。ニンジャ能力者の育成も似たような感じで有るからさ。」
じゅえる「ううーどうなんだよおー。なにが正しいんだ。」

まゆ子「だから。”特例案件”に関して「寶」に連絡するわけさ。ニンジャは不思議を解決する為にあるんじゃない。」

釈「ニンジャ関係ないですね、そりゃ。」
じゅえる「つまり、こういうことか。

 ニンジャや超能力、霊能力者を育成する機関の最高会議が「寶」である。
 日本国政府は、不思議事例に遭遇して手持ちの治安機関じゃ対処出来ないと思ったら、「特例案件連絡室」を通じて「寶」に処理を依頼する。
 「寶」が必要であると判断したら、オーラシフターが不思議事例の解決に乗り出す。」
釈「よくできましたー。」

 

2012/12/16

まゆ子「というわけで、『オーラシフター』という小説を書くことになった!」

じゅえる「やぶから棒にどうした?」
釈「遂に血迷いましたか。」

まゆ子「あー話せば長いことながら、『ゲキロボ』ね。これから花憐編になるわけだよ。というか今やってる。」
じゅえる「うん。」
まゆ子「花憐編が終わればごちゃごちゃとしたお話になりますが、基本的に物辺村の連中は暇です。というか、宇宙人達が裏で死闘を繰り広げる真っ最中です。」
釈「スケジュールどおりですね。」

まゆ子「その裏でもう一つの死闘が繰り広げられるのです。その物語が『オーラシフター』。」
じゅえる「つまり外伝か。」
まゆ子「さにあらず。つまり作劇上の都合でね、これまで私達はゲキの少女達を中心に物語を描いて来ました。」
釈「『ゲバルト処女』の反省からそういう構造になってるんですよね。げばおとは主人公である弥生ちゃんキャプテンを放って、章ごとに主人公が代わる構成でしたから。」
まゆ子「そこで『ゲキロボ』を描くにあたっては常に主人公達にスポットライトを当てるようにしているのです。

 しかし、故に裏で働いているNWOや日本政府、アンシエントや宇宙人勢力、といった連中の詳細が描けない。」
じゅえる「痛し痒しだな。」
まゆ子「今回ドバイ編でクリンタ城の仲間を描いたわけですが、彼等がどのように繋がり何を考えて襲ってきたか、それは永遠の謎になってしまったわけですよ。」
釈「確かに惜しいですね。」

まゆ子「やはり裏方の連中も一度は描いてみなければならん。だが本編中で描くと構成が変わってなかなか難しい。」
じゅえる「分かる分かる。そこで外伝だな。」
まゆ子「だから違うったら。そこで花憐編の次に来る巻には喜味子編を突っ込もうと思う。」
じゅえる「ふむ。」

まゆ子「とはいうものの、スケジュール上ではそうじゃない。

 優子花憐が東京に行き、鳩保はデートをし、喜味子は嫁子と図書館でお勉強をして地方のコミケに行き「地味子」ゲームを買ってきます。
 みのりは物辺村年中行事「西瓜盗り」の準備で忙しい。さらに優子は10日には戻ってきて演劇部の公演に顔を出さねばならない。
 11日登校日13日西瓜盗り、15日のお盆には物辺神社は忙しく、門代地区では花火大会があって物辺村連中や学校の連中その他オールスターが顔を出すまとめ回的なものも用意されている。 」

釈「スケジュール詰まってますねえー。」
じゅえる「書くのに忙しいなあ。」
まゆ子「そこで、並行しての物語です。表ではこのように物辺村は至極平穏に過ごしています。

 だが裏ではニンジャ忍軍が新たなる敵と死闘を繰り広げていたのだ! という話にしたいわけだ。」
釈「外伝ではなく補足なんですね。それも構成を変えた。」
じゅえる「それはやっぱり外伝だよ。とはいうものの、まあ密接に関係するわけだな。」

まゆ子「私の構想では『オーラシフター』は枚数およそ300枚! 十分長編と呼んでいいし外伝として進めても良いのだが、やはりこれは本編の一部である。」
釈「別に並行して描くのですね。」
まゆ子「完成した暁には本編に組み込んで改めてナンバーを与えるけれど、それまでは独立した存在ということで。

 ちなみに完成後はスケジュールどおりに『喜味子モテ期到来』編、となります。」

じゅえる「つまり、頑張るよ、ってことだな。」
釈「たいへんですねえ。」

まゆ子「というわけで、どうせやるなら完全に独立した、『ゲキロボ』をまったく読んだ事の無い人でも突っ掛かり無く事前知識無くても分かる、そういう完成した存在にしたい。」
じゅえる「ああ。外伝を更に越えて独立してるのか。やるならそこまでやらないとな。」
釈「納得しました。じゃあそれはそういう事で行きましょう。

 

 で? オーラシフターってなんですか?」

まゆ子「キルリアン写真を撮ってみたら、通常のオーラの色と異なる色に映る人間のこった。まあ小説の描写上では立ち上るオーラの色がめらと燃える、そんな感じね。」
じゅえる「超能力者か?」
まゆ子「仙術だ。仙道の修行で身に付けた超能力で戦う10代の少年少女が主人公なのだ。

 今回、理想的なメンバーを揃えて女の子ゲームのようにかっこよくしてみたい。」
じゅえる「女の子ゲームというのは、あの美少年がたくさん居て、主人公の地味子を守るために傷ついて、それを優しく包み込む主人公がもてもてというあれか。」
釈「まあ、戦う女の子ゲーてのはだいたいそんな感じですかね。自称普通のおとなしい子、でも実は美人で綺麗。」
じゅえる「つまりこれは女の子が主人公か?」
まゆ子「違うよ。今回ヒロインは喜味ちゃんだ。」

じゅえる「         。」
釈「             。」

まゆ子「何をびっくりしている。最初から言ってるだろう。『喜味子モテ期到来』って。」
じゅえる「あーびっくりした。それはたしかに最初から言ってるんだが。」
釈「展開がまったく思いつかなくて、言葉を失いました。」

まゆ子「まあたしかに標準的なコースでは無いから仕方ないけれど、つまりこういう展開になる。

 オーラシフター達は爺の命令によりゲキの少女を殺して未来を変えるのが使命だ。何故未来を変えるかというと、彼等が教えられた未来にはゲキなんか居ないからだ。
 つまり彼等はなんらかの形で未来の地球の姿を知っている。昔から。で、その予言のようなものにゲキが関与する事は本来ありえないのだ。
 だから爺は長年月を掛けて超能力者達を育成してきた。ゲキの使い手が現れた際に抹殺して、未来を本来あるべきものにと修正する為だ。
 だがゲキの使い手は人類社会に多大な貢献をして利益者が多数出る事がミスシャクティによって知らされている。これを謀殺するのはほとんど不可能事に思えた。
 だから爺は自らNWOに参画し、手駒の超能力者達を提供して日本のアンシエントの中で有力な勢力へとのし上がる。
 良いポジションを得てゲキ情報の入手に便宜を得て、ゲキの使い手が現れた時に一番近くに寄れるようにしておくのだ。

じゅえる「賢いじゃん。」
釈「えらく長年月かかった計画なんですね。」
まゆ子「さて、

 で、10代の少年少女のみを刺客に使うのには理由がある。組織の温存だ。戦国武将みたいに親と子が分かれて別陣営に付いて家の存続を図ったように、組織を分断化してこれまでに供給した超能力者達の勢力を維持する。
 しかし、あくまでも目的はゲキの少女抹殺である。慎重の上にも慎重に秘してきたから、これまで輩出してきた超能力者たちも暗殺計画はまったく知らない。
 で、今回手元に居る12人の少年少女のみを使って暗殺計画を遂行するのだ。待ちに待った時が来たわけだ。

じゅえる「ふむふむ。」
釈「ですが、喜味子がヒロインにはなれませんよ。これじゃあ。」
まゆ子「
 というわけで、10代の少年少女達が戦う相手はまずはNWOにおいてゲキの少女たちを守る者。つまりニンジャだ。物辺鳶郎の忍軍と対決する。
 で超能力VSニンジャのバトルを行なって、で最終的には犠牲を払いながらも喜味子の傍にまで到達する。
 なにせ喜味子には目立った戦闘力が無いから、そして無いからこそ第一のターゲットとして狙ったわけだが、とにかく襲い掛かる。
 が、喜味ちゃんが死ぬわけがない。

 で、彼等は全員討ち取られて大怪我をしてしまうのを、喜味ちゃんが優しく看護婦さんしてくれるのだ。」

じゅえる「……、いいはなしだな。」
釈「はあ。なんと申しますか、喜味ちゃんはいいひとですね。」
まゆ子「というわけで、なんだかんだあって喜味子はこの超能力者軍団を入手してしまうのだ。

 つまりは喜味子がヒロインだ。」
じゅえる「納得しました。」
釈「しつもん!

 という事は、喜味子は彼等とどのくらい絡みますか? つまり物語の最初から最後までずっと出っぱなしですか?」
まゆ子「いや。最初にターゲットとして喜味子を選択する時にちょろっと出るだけで、あとは最後の最後までまったく出ません。出る時はほとんどデウスエクスマキナ−です。」
じゅえる「つまり、喜味子は最後にちょろっとだけ出てオチをつけて、終了か。」
まゆ子「オチとしては最強です。喜味ちゃんは。」
じゅえる「いや、オチはそうだろうけど。」

まゆ子「つまり女の子ゲームとしてのヒロイン的でない、と言いたいのだな? うんまさにその通りだ。言うなればこれは孫悟空におけるお釈迦様みたいなものだ。
 あくまでも三蔵法師的存在が物語のヒロインであるべきであろう、というのは確かにその通り。
 だが今回それは用意しない。」

釈「何故です?」
まゆ子「女の子ゲームだからです。やはりここは主役の男の子と他の男の子がくんずほぐれつうりうりと、」
じゅえる「あー、そういう構造ね。腐ゲーム系なんだね。」
釈「最初から腐と言ってくださいよもー。」
まゆ子「まああからさまにやっちゃうとそれはそれで面白くない。だから一応はヒロインらしきものを配置しますよ。
 もちろん10代の少年少女と言っているんだから、襲撃メンバーにも美少女が居ます。これは確定。ですが彼等は恋愛なんかしない。出来ない。
 兄弟姉妹のように深く結びついている間柄で、恋愛よりもさらに深い結び付きを持っているんだ。だから無し。」

釈「ふむ。まあ、そういう感じでもいいんですが、恋愛無しだとちょっと悲しくありませんか。」
まゆ子「そうは思うが、まあ尺が短いからそこまでは要らないかなと。

 ちなみに敵側のニンジャにも女の子は居ますが、恋愛関係になど断じてなりません。なぜならば襲い来るのが唄方姉妹だからです。」
じゅえる「バイトニンジャの、あれか。」
釈「唄方姉妹は恋愛無しですか。」
まゆ子「こいつらはニンジャ最強を表現する為のキャラですから、めちゃ強い。死の化身戦闘マシーンとさえ呼べる者です。恋愛どころではありません。
 ま、恋愛絡みは書いてる内にてきとーに考えつくでしょう。

 ですが、最後には喜味ちゃんの優しさに目からウロコが落ちて改心するという美しい物語なのです。」

じゅえる「うーむ、分かったような分からないような。」
釈「つまり、恋愛関係の設定はまだ未定、てことですね。」
まゆ子「キャラがまだ固まってないからね。

 

 というわけで敵は10代の少年少女である。もちろん敵のリーダーも少年である。主人公らしく謂く有りげな日本刀を持っています。
 しかも白学ランです。」

じゅえる「……、面堂終太郎?」
釈「男組にも似たようなのが居た気がしますが。」
まゆ子「そういうのに成らないようにキャラデザ上は、坊主頭にしておきましょう。とりあえず面堂ということで話を進めて行きます。
 とにかく彼はそういうキャラです。説明の必要もありません。」

じゅえる「ちょっとまて、この話はギャグじゃないんだよな?」
まゆ子「おおまじめです。」
釈「ということは、真面目な面堂さんが活躍する物語、ですか。」
まゆ子「いけませんか?」
じゅえる「いや、それで行くというのなら止めはしない。しないがーあー、女の子ゲー乙女ゲーには決してならないと思うぞ。」
釈「ですねえ。」

まゆ子「というわけで、その実力者の爺というのはひょっとこの仮面をかぶっています。」
じゅえる「は、……はは、」
釈「もう勝手にしてください。」
まゆ子「まあ仮面の爺というのはよくあるキャラではあるのだ。オリジナルがどこかと言えばもう戦前の時代劇くらいには遡るでしょう。

 えーと、ここまで質問は?」
じゅえる「うる星やつらで逝くのか?」
まゆ子「いきません、全然。なにせ最終目標は喜味ちゃんですから、すべてをオチが持っていきます。」
釈「あらかじめオチが決まっている強みですね。」

じゅえる「じゃあ、うる星やつらの要素は主人公がちょっと面堂に似ているだけだな? ほんとだな?」
まゆ子「うん。なにそんなに怯えてるのよ、ぱくりなんかしないさ。というか、パクリ先は女の子ゲームだって言ったじゃないか。」
じゅえる「いや、ならば文句は言わない。うん、乙女ゲームなら、まあ白学ランの日本刀男くらい普通かな。はは。」

釈「彼等は何人ですか。」
まゆ子「12人を予定しているが、確かに多い。中核メンバーというのを考えてあとは脇役だな。」
じゅえる「喜味子襲うには12人は少なすぎるけどな。で、面堂は分かった。他のメンバーはどうなる。
 えー、うる星やつらなら
  あたる、メガネ、パーマ、角刈り、ちび、くらいは居るか。」

まゆ子「さすがにパーマはいかんだろう、今の世の中。もっとカッコイイのだよ。
 また女の子に軽口ばかり叩いてるナンパキャラは、女の子ゲームでは普通に標準装備。チャラい茶髪だね。
 もちろん、眼鏡キャラは外せない。クールな眼鏡男子は女の子垂涎の的です。
 角刈りは体育会系キャラというのであれば、有り。女の子は筋肉に弱いからねえ。
 ちびは、なんとなく少女的な感じのするカワイイ系男子も標準装備。

 つまり全部アリね。」
釈「なんというか、定番過ぎてパクリとして見ることすら無理ですね。今となっては。」

まゆ子「こちらで用意しているのはー、残り4名。
 白髪病弱男子、無口な大男、暗いオタク系でも痩せてる、一人だけ大人でなんでも分かってる系。です。」
じゅえる「まんま乙女ゲームなんだな。」
釈「マジでパクる気満々です。でもじゃあどれをパクったかと言われると、困るところが憎いです。」
まゆ子「定番だよ定番。」

じゅえる「女子は?」
まゆ子「3人。
 セクシーボディ系。黒髪幼女的雪女系、暴れスケバン系。」

じゅえる「スケバン系てのは、今時使えるのか?」
釈「そもそも現在スケバンなるものは存在しませんから、むしろ架空の生物的非現実性が有っていいんじゃないですかね。

 でも、妹キャラが居ません。」
じゅえる「うん? あ、でも黒髪幼女は?」
釈「それはマスコット的存在です。妹はもっと確固とした形で存在しなければならないのです!」
まゆ子「うーん、でもねー、主役が面堂だから、妹キャラは了子になっちゃうんだよ。それでいい?」
釈「う、それは……。」
じゅえる「それは禁止だ。さすがに禁止。」
まゆ子「でしょ。」

 

じゅえる「まあ普通の乙女ゲームならこれだけあればなんとかなるけどさあ、でも12人を皆キャラ立てるのは難しいし尺も取れないぞ。」
まゆ子「私としては主役の面堂だけキャラが立ってくれれば別に困りはしないのだが、どうしたものかな。」
釈「殺すしかありませんね。手裏剣でぐさぐさとやられましょう。」
まゆ子「人死はさすがに、ちょっと。」

じゅえる「こういうモノは、最終突入の時にメンバーがだんだん脱落して、最後に主人公だけが残ってラスボスと対戦、てのが王道なんだよ。
 途中で死ぬのは無し。」
まゆ子「ふむ。しかしこいつらは実は物理的超能力はほとんど使えないんだ。どちらかと言うと精神攻撃の方が得意。というか物理攻撃だって自分自身の肉体に催眠術を掛けてパワーアップ的な、」
釈「はあ精神強化的な感じですね。では体術はできても、念動力は無理ですか。」
まゆ子「いっさいダメ。その代わり千里眼とかサイコメトリーは使えます。あと呪い殺すとかも。」
じゅえる「ふむ、じゃあ力押しでは無理だな。頭脳プレイだ。」
まゆ子「そう願いたい。」

釈「じゃあいきなり物辺村に来るのは無理ですね。」
じゅえる「だろうね。どうしたものかな。」
まゆ子「尺が短いからいきなり戦闘したいんだけどねー。」

じゅえる「じゃあ、精神を操る技を使って、物辺村警護部隊の交換要員として派遣されるように仕向けるとか。」
まゆ子「ふむ。NWO内での確固たる信頼が有れば、可能かもしれない。」
釈「最初から物辺村潜入出来ますね。」
じゅえる「さすがに高校に転校してくる、てのは尺的に無理でしょ。」

釈「普通にお参りに来るというのはどうです? 女の子であれば警戒もされないでしょ。」
じゅえる「物辺神社にお参りって、ノーマークノーガードなのか?」
まゆ子「うん。」
釈「お参り出来ないと物辺神社が干上がるでしょ。封鎖はダメですよ。」
じゅえる「じゃあまずお参りから始めるかな。でもセキュリティはこれでいいのか?」

まゆ子「爆発物検知装置は橋の下に付いている。銃器類もサリン等化学兵器も分かる。あとは生物兵器だが、虫や蛇なんかは物辺村のゲキ虫と共に育ったかいじゅーが退治する。
 病原菌はさすがにどうかな? 風邪はやっぱり持ち込むのを防ぐのは無理だし、まあ死んでも生き返らせるのが喜味ちゃんだ。」

釈「そうですね、生物兵器対策として物辺神社にいつのまにか「万病が治る不思議石」というのが有るんですよ。
 で近隣の人達から「ゲキ様のご利益じゃあ」と参拝客が引きも切らず、たいへんなありさま。」

まゆ子「なんでそうなる?」
釈「感染症対策に只の大石に喜味子が自動治療能力を与えているんです。」
じゅえる「まあゲキの力で生物兵器対策てのは普通ではあるが、誰でも手軽にてのはどうなんだ?」
釈「NWOの警備の人も気軽に触るだけで滅菌完了です。これは楽ちん。」

まゆ子「うーむ、考えてみよう。悪くないアイデアかもしれん。」

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