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僕の名前は唐住理一郎。蟠竜八郎太と同じ二年生、生徒会書記。
理系で眼鏡のおにいさん、と思ってくれればいい。
見かけの通りの知的タイプで情報を取り扱い参謀的な役割をする。
という風になれればいいのだが、三年生に喜須さんと前年度生徒会長平芽カレイさんも居て、八郎太のサポートをやってくれる。
つまりは参謀役見習いと考えていただきたい。
ひょろいガリ勉タイプとかオタクぽいとか言われるが、柔道は結構強い。
父は警察官でした。
僕らはいわゆる超能力少年戦隊、仙術を使うから仙隊が正しいのだが、メンバーだ。
正式名称は「画龍学園高等部生徒会対外奉仕活動委員会執行部別班肖八組」、
人呼んで「オーラシフター」もしくは「厭勝仙士」
なぜこんなにめんどくさい事になっているかと言えば、僕らは所詮下っ端だからだ。
学生がとりあえず術が使えるから、少年でなければ不都合が生じる場面に投入される。
仙術使い「得道士」としても養成途中、未完成にして不完全。
だが特別な境遇の子供達を集めて不幸な生い立ちのトラウマを解消する過程で、
思わぬ強い特殊なチカラを発揮する事もある。
いずれトラウマが解消されて消滅する力ではあるのだが、使える内は使っておこう。
それが「オーラシフター」だ。
この名前の由来は、「キルリアンオーラ測定イメージセンサー」で僕達を撮影したら、
件の超能力を発動した時に特別な色に変化するところからだ。
尋常の得道士は術を使ってもそんな現象は起こさない。
僕達特有であるから「オーラシフター」と呼ばれる。
と言っても僕達、そして仙術や魔法使いはそんな機械は使わない。
術を使えない勢力が科学技術に頼るから、変なものが見えてくる。
では僕達メンバーは自分達をなんと呼ぶかと言えば、「仲間」「肖八寮生」でしかない。
特別な生い立ちで親類縁者が乏しい生徒を特待生として迎え入れる「画龍学園」で、
仙術の修業を通してトラウマの解消を行い、人生を立て直そうとする。
「肖八寮」が僕らの家だ。
ちなみに僕唐住理一郎は、警察官であった父が殉職したけれど母は元気に暮らしており、
そこまで不幸というわけではない。
ただ母が画龍学園関係者であった為に、ある日目の前に入学案内を突き付けられた。
「肖八寮」は不遇な少年少女を保護する所だが、そういう子供ばかりを集中するのも教育上良くない。
中くらいの者で色を薄めようとするわけだ。
「肖八」の名の由来は、第二次世界大戦中の日本軍の特殊諜報部隊「肖八部隊」
特別な仙術を駆使して中国大陸で活躍したとされる。
その隊長であったのが「お爺さま」と僕らが呼ぶ人物。
画龍学園理事長「蟠竜守株翁」、八郎太の曾祖父だ。
ただし、八郎太とは直接の血縁はない。
話せば長いことながら、つまりは金田一耕助だ。
蟠竜守株翁。この名も号として「蟠竜斎」を用いていたのを姓とした。
終戦で日本に帰還した彼は、「画龍学園」を経営する「奥渡家」の当主と知り合う。
大陸での活躍を知り、また終戦後の日本においても持てる力を尽くそうとする姿勢に感服した当主は、
娘を娶せる。
「奥渡 邦造」を名乗らせた。
しかしながら終戦直後の混乱期、やがて当主は亡くなりお定まりの遺産相続お家騒動が巻き起こる。
親族同士の殺し合い。邦造の妻も毒殺される。
犯人は次男であったのだがやはり死に、結局は無能の四男にすべてが引き継がれた。
これでは学園の存続は不可能だ、と邦造に運営の一切を委託して、四男はバカ殿三昧。
酒色に溺れ挙句に早逝だ。
次男には妻も子も居たが、息子のみが残された。
邦造は彼を引き取り養子とする。これが八郎太の祖父になる。
一方四男にも家族は居て「奥渡本家」を名乗り、画龍学園の理事として一定の権利を保有し続けた。
学園は邦造の手腕によって経営を立て直し、高度成長期に発展を遂げ、単科大学を備えるまでになる。
また密かに仙術を用いる特殊部隊要員を教育する機関も発足させた。
実務での運用は他の組織機関に任せ、人材のみを育成輩出する。
そのトップエリートが「オーラシフター」なんだな。
仙術教育の卒業生はほとんどが公務員としてそれぞれの現場に配置される。
仙術や魔法などの特殊攻撃による情報漏洩・工作に対処した。
だから画龍学園の単科大学は公務員養成学校であるのだ。就職率100%。
邦造の養子は成長して学園の運営に携わるが、奥渡本家との差別化の為に「蟠竜家」を名乗る。
だが本家も蟠竜家も家族は少ない。
21世紀の今日では、邦造「蟠竜守株翁」こそ百才の長寿を得てなお活躍し続けるが、
血統には「蟠竜八郎太」と「奥渡たま」の二人を残すのみである。
この二人が結婚して「奥渡家」を再興するのが「守株翁」最後の願いなのだ。
さて、ここまで軽く「仙術」と呼んできたが、正確にはこれは正しくない。
仙術の本来の目的は「仙人になる事」、不老不死の肉体を得て神や精霊の世界で生きる道だ。
これを目的とせず、ただ術による効果を現実世界において用いる者は、邪道と呼ぶしかない。
であるから「画龍学園」において授ける仙術教育は、つまりただの技術だ。
ちょっと精神的な向上が認められるかもしれないが、「道」を究めるなどの頂点へは至らない。
公共の福祉の為に自らの力を用いると思えば、自衛隊や消防隊警察官と同じ位置づけと言えるだろう。
資格認定試験があり、合格すれば「得道士」の免状を得られる。
現代最高の得道士が、蟠竜守株翁だ。
「蟠竜洞仙術」を広めてきた。
「蟠竜洞仙術」の元は「壺中公仙術」、
明治の頃に突如天から降ってきた未来仙によって伝えられたとされる。
これを1930年代の現実に即して実戦向きにアレンジしたのが「蟠竜洞仙術」=「五十六兵法」だ。
未来の仙人が伝えるくらいだから極めてシステマティックで、修行の効果が目に見えて分かり上達が早い。
その上で、本物の仙人になる道を閉ざしている。
個人の幸福と達成を望むのではなく、術の普及と得道士の増加によって戦力を蓄える。
そして未来仙の真の望みを実現する。
それは100年200年後、とある勢力が地球を支配する事になるのでこれを殲滅し人類を救うこと。
降魔の武器として霊剣「不拔」も併せて授けていた。
蟠竜守株翁が「不拔」を受け継ぎ中国大陸の戦地で大いに活躍し、
蟠竜八郎太が譲り受けたはずなのだが、何故か今は手元に無い。
まったく同じ機能を持つ霊剣「緯覡」へとすり替わってしまった。
何故だろう???
そしてお爺さま守株翁は長く務めた画龍学園理事長の職を辞し、自宅謹慎の日々だ。
何故だろう、誰が謹慎を強いたのだろう? まったく分からない。
そして奥渡家最後の生き残り「奥渡たま」14才中学生が、何故か物辺神社に人質に出され、
日夜重労働を強いられていると聞く。
彼女は「肖八寮」の住人ではなかったが、許嫁の八郎太によく懐き、学園の行事にも積極的に参加していた。
お爺さまから人質を取るのなら彼女以外の人間は居ないだろうが、
そもそも何をやらかしたのだろう?
まるで事件があった日々の時間がいきなり蒸発して、結果だけが残ったかに不可解な状況だらけだ。
これはいったいどうしたことか。
そこで僕、理一郎は自らの超能力を用いてみた。
僕の能力は「いきなり正解に辿りつく」
調査や推理などを不要として、いきなり正解が目の前に出現する。
ただ難点としては、「質問・問題が提起される前に解答のみが目の前にある」
何の為の答えなのか分からないままに。
事件が起きて能力を使い正解を得たとしても、
後で状況を確認し直して分析を経た上で、「ああ、あれが正解だったのだな」と気付くものだ。
すべて終わった後でもやっぱり分からなかった事も少なくない。
あんまり役に立たない能力なのだ。
で、結果は「莫妄想」
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