ルルント・タンガラム市詳細地図

 

まゆ子「というわけで、ルルント・タンガラム首都特別市の詳細地図だ。
 物語を書く為にはこれが必要だったんだけど、
 見ての通りに、これじゃあ書けない!」

じゅえる「何故? ちゃんと細かい設定しているじゃないか。」
まゆ子「地名が漢字だ。いや、意味を示すんだからそれでいいんだけど、
 本来であればカタカナタンガラム語の地名が付いているべきなんだな。」
釈「あああ、なるほど。そりゃ困りますね。」

まゆ子「だいたいね、この地図いい加減すぎるんだよね。
 というかいい加減な地形過ぎるんだよね。」

じゅえる「そりゃ架空の土地だからいいかげんだろ。」
まゆ子「そうじゃないんだ。水の流れがね。」
釈「河が都市の真ん中を流れているんですね、かなり大きな河です。」

まゆ子「それさ。
 基本的な事を言うと、そもそもの疑問なんだけど、
 アユ・サユル湖の水って何処から何処に行くの? てのがあるんだ。」

じゅえる「ああ、それは思ってた。あの水は毒地平原に流れていくんじゃないのか。」
まゆ子「毒地平原に流れて行った先が無い。どこで消えるのか分からない。
 だから『陸内潮汐』なんて特殊な自然現象が設定されている。
 でもね、ルルント・タンガラム以西の河川には陸内潮汐は無いんだ。」

釈「こちらからはアユ・サユル湖に流れ込むのではないんですか。」
まゆ子「ここから西岸の平原にかけて、湖の水は流れていくんだな。
 実は出口なんだ。
 しかし、カプタニア山脈や西側モバルタ県側の山からも雨水がこの河に合流していく。」

じゅえる「ん? カプタニア山脈からの水がアユサユル湖に流れ込んでいく川があるぞ?」
まゆ子「それは、アユサユル湖に流れていくんですよ。」
釈「え? なんで?」

まゆ子「ルルント・タンガラム市の真ん中を流れる河は、まだ名前付けてない希望はカタカナ名。
 この河ね、市内にある時は本当に水平の、
 湖の平均水面とほぼ同じ高さの平たい河なんだよ。」
じゅえる「流れないじゃん。」
まゆ子「陸内潮汐だよ。
 潮が満ちると西岸の平原に流れて行き、潮が引くとカプタニア山脈から水が流れ込むんだ。」
釈「変な河ですねえ。」

まゆ子「ヌケミンドル市の運河もそうなんだが、実はノゲ・ベイスラ市においても同様な流れになっている。
 もっともベイスラでは上り線と下り線の二本の河が並行して流れているという、
 めちゃ変なものなんだけどね。」

釈「まあいい加減なのは理解しましたが、流れ出すには細くありませんか、この河。」
まゆ子「深い。」
釈「深い?」
まゆ子「これ、湖が出来た時に一緒に出来た細い割れ目。だから水深100メートル以上有る。」
じゅえる「河じゃないのか。それで陸内潮汐がちゃんと起こるんだな。」

まゆ子「実のところ、地下河川てものまである。
 西岸の平原のど真ん中にいきなり水が湧いて出て河になって流れていくとこもある。」
釈「またいい加減な、て、そういえばタンガラムの地下って洞窟とかトンネルがいっぱいあるんでしたね。」
じゅえる「なにせ巨大なタコを大量に投げ込んで作ってあるからな。

 で、この河はその設定のままで使っていいのか。」
まゆ子「せっかく地図描いたし、このままでいく。」
釈「行くんですか……。」
じゅえる「いやちょっと待て。

 闇御前の闇御殿付近の地図を見たら、なんか高級住宅街があるぞ。
 河川の傍って水の氾濫がヤバくないのか?」
まゆ子「だから割れ目なんだよ。結構頑丈な岩盤が割れて割れ目に水が流れている。
 つまり河岸はけっこうな頑丈な岩盤で割と高くなっていて、水が氾濫するのはここではないんだな。
 下流域の「下カプタニア」の辺りだ。」

釈「ちょうどそこら辺にタンガラム工科大学に、タンガラム理科大学がありますね。工業地帯ですかここは。」
じゅえる「氾濫する場所に工業地帯がある?」
まゆ子「むしろ工業用水に困らない適地です。」
釈「いやいやいや。それは無いでしょ。」

まゆ子「ここら辺から地形の傾斜が強くなって水が勢いよく流れますからね。大丈夫なんですよ。
 つまり地形的にルルント・タンガラム市はカプタニア山脈の裾野的な高台なんですね。
 下カプタニアから西岸の平原の地形になっていきます。」

 

     *****  

じゅえる「まともに付き合うとばかばかしいのは理解した。
 その上で尋ねて行くぞ。

 「闇御殿」、なんですかコレ。隣に大学まで有るの?」
まゆ子「外国の留学生も多数通う、タンガラムでも有数の国際大学です。『国際親善大学堂』」
釈「隣接しているんですか。それとも敷地内?」
まゆ子「さすがに敷地外だし、旧ハジパイ邸の敷地外でもあります。
 有力な元老員の邸宅が2,3軒並んでた土地ですから、大学キャンパスとしても広いですよ。

 それに理工系大学の留学生はもちろんタンガラム理科・工科大学の方で勉強します。」
釈「文系学部の大学ですか。」
まゆ子「文字通り、国際親善に役立つ人材を育て、各国にタンガラムとの友好関係を築くのが目的です。」
じゅえる「スパイも養成?」
まゆ子「そのきらいが無いでは無い。」

釈「それにしても、実に良い場所にあるんですねえ。」
まゆ子「そりゃこの学校の留学生って、
 シンドラなら太守の、ゥアム帝国なら「銀骨のカバネ」、バシャラタンの族長の息子というVIP子女ばかりですよ。

 本国の大使館や関連団体の事務所に隣接し、
 高級デパートが立ち並ぶ高級繁華街がすぐ傍に、
 ルルント・タンガラム市でも高級な住宅街も目の前にあって、ハイソなステータスの人々と触れ合える。
 もちろん治安は完璧に守られる地域だし、
 それでいて猥雑で活気に満ちた庶民の街も遠くはない。
 ちょっと足を延ばせばタンガラムの伝統文化の宝庫もあるし、
 なによりタンガラムの財閥本拠が立ち並ぶエリアで贅沢三昧もアリときた。
 タンガラム最高学府だって遠くは無いし、なにより政治のど真ん中。

 これ以上の立地条件て、まあ無いね。」
釈「タンガラムのショーケースってことですか。」
じゅえる「よく出来てるなあ、さすが闇御前。」
まゆ子「なにしろ国際謀略においては、現地でも身分の高い階層に協力者が居る事が大前提。
 留学生によい思いをさせてタンガラムの味方に引き入れるのは、まさに国策と言えるわけですよ。」

釈「「醜い蛇」の章でマキアリイが泊まる事になったシンドラ高級ホテルってのも、この辺りですか。」
まゆ子「いや、同格のホテルが無いわけではないけれど、
 そのシンドラホテルは古市街の財閥区画にでんとそびえ立つ。
 まさに超高級だよ。」

釈「「首都経済大学」ってのがそのエリアにあるのですが、」
まゆ子「そこ、ヒィキタイタンが卒業した私立大学。」
じゅえる「財閥御曹司のぼんぼん共が雁首並べてる金持ち大学だな。」
まゆ子「まあ、はい。ぼんぼんとじょうちゃんばかりです。
 ただそれでも立地が湖岸の流通・工業地区に近いのは、
 そこの状況を見れば現在のタンガラム経済の実情が一目で分かるという
 財閥親が次代の経営者に望む資質を備えて欲しいなあー、て願望を叶えてくれるものなのですね。」

釈「闇御殿の近くの、大学がいっぱいある所に「タンガラム女子学院大学」がありますが、ここはじょうちゃん学校ですか。」
まゆ子「そこ、偏差値高すぎて財閥令嬢入れません。
 タンガラムの女子大学の三指に入る名門校です。」
じゅえる「国立か。」
まゆ子「国立です。その近辺のタンガラム国策大学もタンガラム医科大学も、学生誰一人授業料払っていません。
 特別奨学金を獲得できるほどのエリートばかりの修羅の道です。」

じゅえる「普通の一般庶民が通える大学は無いのか。」
まゆ子「この地図には「平市民大学」と「百華大学」の二つの私立大学が書かれてますね。
 「平市民大学」は地方から出てきた苦学生の為の基金によって運営される大学です。
 学生は昼間働いて夜勉強するって人が多いですね。

 「百華大学」はちゃらい金持ちの子女の為の私立大学で、偏差値はかなり落ちます。
 ただ校風厳しいのがちょっと難点で、というか元は黒甲枝の私塾ですから厳しいのは当たり前。
 現在は一般私学として黒甲枝は特に関係ありませんが、校風は残っています。
 だから首都でもアホのぼんぼんは、ここには入れられたくないとデュータム市かシンデロゲン市に逃げますね。

 あと「カンヴィタル武徳王国特別保存区」に「褐甲角王立芸術院(大学)」がありますね。
 これは哲学と神学、芸術の最高峰の一つです。」

釈「一般市民用の大学って無いんですね。」
まゆ子「首都はそもそも物価が高いからね。大学の授業料は元から高いし。

 工学系ならヌケミンドル市に、理系学部ならギジジット市に、
 文系学部ならノゲ・ベイスラ市の名門「ソグヴィタル大学(国立)」もありますから、
 普通に都落ちしてください。」
じゅえる「カプタニア市は?」
まゆ子「カプタニア大学はそここそ黒甲枝の若様達が日々切磋琢磨している厳しい大学ですよ。
 法科の大学ですが、ほぼ全員が武道をやっているという。

 あ、褐甲角王国関係ならガンガランガの「サンパクレ女子大学堂」がありますね。
 タンガラム方台初の大学にして女子教育の先鞭。
 「タンガラム女子学院大学」と同等の名門です。
 この大学は私学ですが、特別奨学金の支給は特別な形でやっていて、
 スカウトが来ます。」

釈「女子学生にスカウトが来るんですか?」
まゆ子「まったくもってその通り。
 大学が出来たのはもう1000年前という名門中の名門ですが、
 当時は女子に高等教育などあり得なかったものを、
 救世主ヤヤチャ自らの勧誘で有望な巫女を選んだという故事に倣うもの。

 ちなみにサンパクレ女子大学堂の校章は「イヌコマに乗る少女ヤヤチャ」のシルエットです。」

 

     *****  

じゅえる「あの大爆発した百貨店「ィップドゥス萬客城」は、高級百貨店街から離れた所にあるんだね、」
釈「あでも、立地は悪くないですよ。
 駅前だし高級住宅街の端だし、公園区画ってところに劇場もありますし。
 これ東側の街は繁華街ですよね。」
まゆ子「繁華街というか、一般庶民生活的な意味での活発な経済活動が行われている
 ルルント・タンガラム市における心臓部だ。
 おしゃれな人はここらへんでぶいぶい言わせてる。アパレル街もあるし。」

じゅえる「じゃあ、まあ首都だし全般的にカネがある事を前提とした都市か。」
まゆ子「さすがに貧乏くさいのはありませんね。
 というかこの区域は旧ルルント・カプタニア市の市民が多く移転して、
 そのままの繁栄を現在まで継続している街なんだ。

 誤解しちゃいけないんだけど、第六政体がルルント・カプタニアに首都移転を決めた時、
 ここはちっとも心配の要らない繁栄した大都会だったんだな。
 そこに強引に首都をでっち上げ拡大したとんでもない蛮行なのだ。」

釈「旧市民の街、て書いてますねほんとに。」
まゆ子「つまりはこの辺りには旧カンヴィタル武徳王国の繁栄を今に伝える人々が住んでいて、
 伝統文化や風習なども生き続けているのです。
 その少し上、南側の中心部はベッドタウンになっていますが、
 線路沿いの街は新旧の繁栄が入交り融合する文化の発信源なのです。」

じゅえる「映画の撮影所も近所にあるな。
 というか、ヒィキタイタンの家があるぞ。「カドゥボクス財閥」の本邸が。」
釈「あれ? 財閥本邸ってのは南側の山手に密集しているんじゃないんですか?」

まゆ子「まず理解してほしいのは、カドゥボクス財閥はヒィキタイタンのひぃ爺さんの代に勃興した新興財閥だ。
 財閥の規模もさほどではない。
 だがコニャク樹脂を用いる化学製品の開発でタンガラム国家に無くてはならない企業群となっている。

 新興ではあってヒィキタイタンの家はソグヴィタル王家の流れを汲むものであるから、
 首都の財閥街に住まなくても格は落ちない。箔も要らない。
 いやむしろ褐甲角王国の黒甲枝家が現在までも多数住む、この近辺に屋敷を構えた方が、
 好感度は高いわけだ。」
じゅえる「なるほど。」
釈「ははあ、計算があるのですね。」

まゆ子「なお黒甲枝より上の金枝幹元老員家の多くは、
 その南側財閥街の隣「旧市の有力者街」というところに住んでいる。
 いかに王族の流れでも、いやだからこそ此処に住むのは憚られた、というのもあるんだな。」
釈「カドゥボクスはソグヴィタル家系としても木っ端名門ですからねえ。
 あ、ここ。チュダルムさんのお家がある。」
まゆ子「チュダルムさん家は特別だけど、
 旧元老員はかっての名門貴族だけど、さすがに近代になってからは経済的に縮小の一途で、
 皆広大な屋敷を持っていたのを売りに出して、もっとこじんまりとした家に住むようになってます。

 ヒィキタイタンの家がある黒甲枝家の隣に金枝幹家が建ってたりもするんですよ。
 というか、ヒィキタイタンのお母さんの実家も近い。」
じゅえる「スピード狂の家系か。」
釈「なるほど、それならばチュダルムの姐さんが祖父の家に遊びに来たついでに、
 従弟のヒィキタイタンの家を訪れても不思議はないんですね。」

まゆ子「元老員スルベアラウ家はカンヴィタル武徳王国でも重職を務めた名門ですが、
 現在はそこそこの素封家程度のお金持ちです。
 娘が黒甲枝の重鎮チュダルム家と、カドゥボクス財閥にお嫁に行った事で、
 経済的にも旧褐甲角王国社交界においても安泰となっています。」

 

じゅえる「いやちょっと待て。
 闇御前特別監獄って、その財閥街の裏の山手にあるぞ。
 なんだこの「暗闇宮」てのは。」
釈「暗獄宮、ですね。」
まゆ子「ここはカンヴィタル武徳王国において罪を犯した貴人・元老員を閉じ込めた監獄だ。
 おおむね政治犯ですね。
 王族が入る事もあったから、宮殿としての体裁を持つ立派な建物です。
 もちろん軍事的な防御能力も持つ。鉄砲が登場した時代でも使われていたからね。

 さらに言えば、ルルント・カプタニア市が敵の侵攻を受けた際には、
 カンヴィタル離宮では防御能力が不足する為に、ここに避難籠城する事も計画されていました。」
釈「政治犯が居る所にですか?」
まゆ子「政治犯が割と自由に生活できた場所なんだな。綺麗な庭園で薔薇いじりなんかして。
 牢屋ではなく私室を頂けて。」
じゅえる「まあ貴人であればVIP待遇か。

 じゃあ闇御前バハンモン・ジゥタロウも?」
まゆ子「さすがに鉄格子が付いてます。外界との連絡も自由には出来ない、はずなんだけどね……。」

釈「しかし、現在の政府としてはそんなVIP待遇を彼に認めて、一般市民有権者は怒らないんですか?」
まゆ子「逆に「バハンモン先生に対して無礼なことを!」と怒る向きも多いので、
 このくらいで勘弁してください、という事になっています。」
じゅえる「強い、つよいな闇御前。」

 

     *****  

じゅえる「貧民街てのもちゃんと有るんだ。」
釈「カプタニア県の入り口辺りですね、貨物駅の近く。」

まゆ子「ちゃんとありますよ。というか、必然として発生する。
 貧民街といえどもこの立地は日雇い労働者にとっては食いっぱぐれの無い、
 仕事ならいくらでもある地域です。
 また荷役の労働者を少しでも安く使いたいという経営者がありますから、
 需要と供給が合致している、というやつですね。」

釈「放任されているんですか?」
まゆ子「いやあ、カプタニアの近くであるから誰も見逃してはくれないんだな。
 でも必要があるから存在するものを、どうやって排除するべきか。

 それに給料が上がって生活水準が向上すると、
 もっと西側のモバルタ県側の街に移住するんですよ。
 ここは地方出身の労働者の街があって、首都のきらびやかな生活とは無縁ですが貧しくはない。

 だからそこに脱出するまでのちょっとの辛抱だ、という感じで貧民街に住んでいる。
 そのまま数十年居続けたなんてざらなんですけどね。」

釈「「平市民大学」の有る辺りですね。地方出身者街というのは。」
まゆ子「実はこの街、映画なんかではよく出てきて、
 地方のそれも貧しい地域に住む人からは人気のある街なんです。

 或る意味では憧れの街です。」

じゅえる「うーん、なんたって首都の政治経済機能の中心地に近い場所だからなあ。
 手が届かない星の世界みたいなものだけど、財閥本社や本邸がすぐ目の前にある。」
釈「映画で描くには最高の立地なんですね。」
まゆ子「まあ、首都経済大学の財閥御曹司達が高級自動車をぶんぶん乗り回している辺りでもあるからねえ。
 映画としてみれば、対比が利いて社会風刺にもなるだろうさ。」

じゅえる「そういう地方出身者としては、
 首都の市民社会の中心部である「旧市民街」辺りの賑わいはどう映るんだろうな。」
まゆ子「うーん、こうじゃないかな。

 日々の労働に追われる地方出身労働者は、ある休日に「旧市民街」まで足を延ばして、
 首都の一般市民の賑わいに身を投じる。
 だがそこは、一般市民とはいえども首都都会人の鉄火場で、激烈な競争が繰り広げられる。
 文化的にも爛熟頽廃が進み、外国文化で目を白黒。
 その目まぐるしさにとてもではないが付いていけない。

 むしろ財閥御曹司のゆったりとした贅沢さの方が、まだ理解が容易いくらいで、
 「ああ、俺は都会には住めないなあ」と実感せざるを得ない……。
 で、元の街で労働の日々に戻ると、何故か安堵する自分が居る。

 こんな感じではないだろうか。」
釈「なんか聞いたような話ですね。

 あ、アレだ。
 いきなり首都に行っても全然馴染めないから、
 方台中央部の田舎の子はまずノゲ・ベイスラ市に修学旅行に行って
 文明都市のありがたみを学習する。って奴です。」
じゅえる「ほどほどに賑わい、ほどほどに目まぐるしい、田舎出身者でもなんとか対応できるレベルの大都市。
 なんだったなノゲ・ベイスラ市は。
 ヌケミンドル市は忙しすぎて目が回り過ぎる。」
まゆ子「クワンパさんは都会の子だから、ルルント・タンガラムに修学旅行に行ったんだな。」

じゅえる「とにかく、その地方労働者の体験に、
 やはり地方出身で芸能界で成功しようと努力するアイドル志望の少女なんか絡めると、
 青春映画の出来上がり、て寸法さ。」
釈「なるほど、映画のプロデューサーやらちゃらいバンドマンやらに少女が犯されそうになるのを、彼が助けて、
 なんていう定番の筋書きががんがん生きますね。」

まゆ子「とまあそういうわけで、ルルント・タンガラム市もまた映画の都なんですよ。」
じゅえる「ルルント・タンガラムは現代映画、青春映画。
 ヌケミンドル市は活劇映画、カプタニア市は時代劇。と製作するのが決まってるんだな。」
まゆ子「ヌケミンドルは近くの田舎で発破!が可能だからね。」

釈「なぜノゲ・ベイスラ市で映画撮らない……。」

 

     *****  

釈「マキアリイが最初に泊まったホテル。随分とおしゃれな街にあるんですねえ。」
じゅえる「駅前だが、ちっとも侘しい場所じゃないじゃないか。」
まゆ子「いやいや、さすがに鉄道線路の傍はうるさいから、地価は落ちないけど、居住には向かないよ。
 利便性重視で線路傍駅近くにホテルは有るけれど、まあだからこそホテルが作れたて感じだな。

 なにしろね、この場所は政治特別区に近いから、
 地方出身議員とかその関係者有力者が泊まるのにちょうどいいんだ。
 おしゃれで裕福な街の裏側という、プライドをくすぐる絶好のロケーション。
 一流ホテルではないけれど、それに準ずる一流半ホテルなんだな。」

 

 

 

 

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