ルルント・タンガラム市地図

釈「あ! ルルント・タンガラム市の地図出来たんですね。」
まゆ子「ルルント・タンガラム首都特別市だ。
 タンガラム民衆協和国において唯一の百万人都市だよ。」

じゅえる「とはいえ、なんか小さいような気がしないでもない。」
まゆ子「それは東京1千万都市を標準と考えるからだ。
 百万人都市ってのはこのくらいだぞ。」
釈「パリとか100キロ平方メートルしかありませんからね。
 2百万人住んでいるのに。」

じゅえる「じゃあ10キロ四方くらい?」
まゆ子「ルルント・タンガラム市もそのくらいです。」


明美「ルルント・カプタニア駅というのがあるんだね。」
まゆ子「というか、ルルント・カプタニア駅のある「古市街」て領域が、
 「げばると処女」で出てきた創始暦5000年代のルルント・カプタニア市だ。
 見ての通りにかなり狭い。」

じゅえる「つまり首都ルルント・タンガラム特別市になった時に大規模拡大したんだ。」
まゆ子「その前、褐甲角王国からカンヴィタル武徳王国になった時に3倍に拡張した。
 それが西側の「大市街」てところだ。」
釈「経済成長して人口が拡大したんですね。」

まゆ子「救世主ヤヤチャによる農業革命の結果、
 およそ200年でタンガラム方台人口は倍になった。
 毒地平原の開拓が進み、油ゲルタによる肥料の供給が始まり、シンドラからもたらされた新種の植物の栽培が始まり、
 食糧生産量が飛躍的に向上したからね。

 それに加えて、これまでは防衛拠点・大要塞としての役割であった東部ヌケミンドル市が大発展を遂げ、
 もちろんノゲ・ベイスラ市を王都とするソグヴィタル王国が空前の金満国家となり、
 アユ・サユル湖周辺は史上最大の好景気となったわけだ。

 ルルント・カプタニア市の船着き場で扱う貨物量は30倍にもなって、そりゃあ都市だって拡大するだろう。」

明美「平和の恩恵ってわけだね。」
まゆ子「まさに。

 で、その結果王都カプタニア市を通行する旅人も激増して、
 というか平和の時代になってもカプタニア城の関所としての役割はそのままで、
 アユ・サユル湖を船でやってきた旅人はカプタニアの港で降りて、そこからは徒歩での移動となる。
 入国審査をされるんだね。」

じゅえる「カプタニア市はごった返さないか?」
まゆ子「だから5000年当時は貧民街であったカプタニア城壁東側の街が
 大いに発展して普通にりっぱな都市になりましたよ。

 ただカプタニア市は分裂したソグヴィタル・メグリアル王国・黒甲枝諸侯国共通の聖地として崇められ、
 神聖宮・神殿はもっぱら褐甲角「クワアット」神の宗教施設としての役割を大きくしました。
 そこで政庁としての機能をルルント・カプタニア市に持って来て、「大市街」に宮殿を作ったわけです。」

釈「それが今「政治特別区」となっているソグヴィタル王宮メグリアル王宮なんですね。」
じゅえる「カンヴィタル武徳王国特別保存区、というのはカンヴィタル離宮の跡地なんだ。」

まゆ子「さて問題になったのが「旧市街」古いルルント・カプタニア市街だ。
 ここで30倍の貨物を扱うには既存の建物が邪魔になる。
 古い時代の小さな経済規模に見合ったインフラしか無いからね。

 そこで旧市街にあった主要で重要な建築物や神殿は「大市街」の方に持ってきた。
 貨物中継基地として倉庫街に整備してしまったんだ。

 もちろんルルント・カプタニア市にあった元老員の邸宅なんかも移設され、
 今の「神邸区」「雅市街」を形成した。
 ここは現在、財閥の本邸が立ち並ぶ屋敷町ですね。スゴイですよ。」


明美「でも川向こうだね。」
じゅえる「そうだな。
 かなり大きな川があって、旧市街はカプタニアに近い方にあるんだ。」
釈「なるほど、この川の東側で旧市は区切られていたんですね。」
まゆ子「一応防衛拠点としても整備されていたからね。」

 


まゆ子「さて、で地図を見ると「新市街」のど真ん中あたりに「闇御殿」がある。
 元老員宰相ハジパイ家の本邸があった場所だ。
 つまり昔はここにも邸宅が立ち並んでいたわけだ」

釈「でも少し宮殿から外れていますね。」
まゆ子「宰相を務めるくらいだからね。
 庶民の生活や経済の動向を知る為に庶民側の土地に邸宅を構えていたわけさ。

 というかこの近辺は庶民と言うより御用商人が多く拠点を構えていた場所だ。
 昔のオフィス街だね。」

釈「古市街は倉庫ばっかりなんですか。」
まゆ子「倉庫や貨物輸送で働く労働者の街もちゃんとあるぞ。
そして神薙区あたりに十二神殿が立ち並び、庶民労働者のニーズに応えていた。」

じゅえる「そしてタンガラム民衆協和国となって、「砂糖戦争」の結果首都が移転してくることになって、
 新市街の整備が進んだってことか。」
まゆ子「まあ大開発がされたのは新市街ですが、
 古市街だってかなり再開発されたよ。
 なにせそれまでになかった工業地帯が湖岸沿いに整備されたからね。

 工業用水を大量に用いる工場群が次々に建設されて、
 鉄道による輸送と貨物取扱でさらにすっからかんにされてしまった。
 追い出された庶民労働者を収容する場所として、新市街が拡張されたわけだ。」

じゅえる「ちょっと待った。
 防衛拠点として最後の砦の首都ルルント・タンガラム市だが、
 湖岸の防衛体制はどうなっているんだ。」
釈「ああ、砲台の一つも書いていないといけませんね。」

まゆ子「あるよ。
 いやちゃんとあるんだが、展開するとなれば倉庫街あたりに広い土地があるから、
 軍隊もそこを拠点として配置される事になる。

 またルルント・カプタニア市の王宮施設が保存される「カンヴィタル特別保存区」は、
 実はお庭だらけだから、ここにも有事には兵力が配置される。」

明美「文化財保存はそんなのでいいのかい。」
まゆ子「よくはないが、他に移設できないんだから仕方ない。
 重要なのはむしろその奥の「政治特別区」だからね。」

明美「「近衛兵団常駐部隊」って、「闇御殿」のすぐ傍に居るんだ。」
釈「なるほど、敵が進攻してくる湖岸沿いではなく、
 民衆が住む新市街の方に配置されているんですね。」
じゅえる「そりゃあ民衆暴動の方が怖いだろう。」

まゆ子「政府・総統府・議会がある「大市街」は川向こうだからね。安全だ。
 常駐部隊の目的は政変の際に民衆の動きを抑える為にある。
 当然の配置だよ。」

釈「近衛兵団の本隊は結構離れた位置にありますね。」
じゅえる「そりゃあ演習で火器を使うんだから、首都近辺には置けないだろ。」
明美「凄く田舎っぽいところだ。」
まゆ子「田園地帯です。

 まあ首都ですから農業に力は入れないんだけど、
 既存の農村部を完全に潰す必要も無いわけで、
 京野菜的な感じで特産の農産物を供給しています。」

釈「戦車とかも居るわけですね。」
まゆ子「居るんだけどね。
 でも重砲部隊はむしろモバルタ線の先辺りに配置されているんだ。
 そこの鉄道線路を使って重砲や戦車がガンガン輸送されてくる。

 北の駐屯地には兵員、歩兵部隊が居ると考えてください。
 機動歩兵ですから基本は自動車で移動する部隊です。
 トラックの荷台に小隊乗っけてきます。

 まあここにも実は線路が敷いてあるんですが、主要線ではないから省いてます。
 というか、市内路面電車軌道はまったく描いてません。
 縦横に走り回っていますよ。」

じゅえる「この「下カプタニア駅」あたりの線路がなんか変だぞ。」
釈「ごちゃごちゃしてますねえ。」

まゆ子「ああこれはね、
 まず鉄道路線が敷かれるようになったのは第六政体、
 つまりは首都移転を始めた政府によってですからね。
 首都建設の資材を輸送する為に、
 アユ・サユル湖の水運と西岸部の物資運搬を結合させる必要があった。

 だから「ルルント・カプタニア駅」の方に線路を敷いた。」
釈「はい。当然ですね。」

まゆ子「だがルルント・カプタニア駅が正面玄関となる事はあり得ない。
 何故ならば当時、
 鉄道「カプタニア線」は頑強な抵抗により実現不能と見られていたからだ。
 なにしろ神聖なる「カプタニア城」をぶち抜く必要があったからね。
 黒甲枝のみならず周辺住民の武力に訴えてでもな抵抗姿勢に、最初から諦めていた。

 だから正面玄関駅として、政庁の存在する「政治特別区」への直接路線を敷いて
 ルルント・タンガラム駅が生まれる。
 人はルルント・タンガラム駅、貨物はルルント・カプタニア駅と振り分けたんだ。

 しかしながらそこで二股で終わるとどうにも不便だということで、
 湖岸沿いに線路を結んで首都をぐるりと囲む形になる。

 さらに、下カプタニア駅は見ての通りに「ルルント・タンガラム特別市」の外、
 他県の駅だ。
 そこを経由しないで済むように首都内で完結する環状線へと進化した。」


明美「でもサユル線も南に延びているんだね。」
まゆ子「あ、それ、そこらへんで終了です。
 サユル県には行きません、というか凄い難所で線路敷けません。
 湖上のフェリーを使ってください。」

明美「モバルタ線も?」
まゆ子「そちらはモバルタ県モバルタ湖まで繋がってます。
 一応は西岸グテ地まで繋がります。モバルタ湖からは単線鉄道ですが。」

じゅえる「グテ地には鉄道走ってるのか?」
まゆ子「まあ、簡易拡張軌道(84センチ幅)ですが。船の方が便利ですよ。」


明美「で、首都から北側の方は、山があって二つに分かれるんだね。」
まゆ子「はい。カプタニア山脈に沿ってる方は、山陰線と書いてますが中央線ですね。
 北方大都市で元のタンガラム民衆協和国首都「デュータム市」に繋がります。

 西の方に離れていく方は、高規格の幹線鉄道、新幹線ですね、も並走して西岸線となります。

 中央線にも新幹線を走らせると便利はいいのですが、
 この山陰地方は人口が少なくてあまりペイしないんですね。
やはり西岸の方が発展して人口が多い。」

じゅえる「ルルント・タンガラム→西岸→北方デュータム点、と新幹線走ってるんだな。」
釈「西岸ミアカプティ市→百島湾トロントロント市→北方デュータム市、ですね。
 西岸地区は農業生産も盛んで人口が多いんですよ。
 大都市も点在しています。」

明美「デュータム点に幹線鉄道で行くなら、西岸線を使うのと、
 ヌケミンドルまで行ってスプリタ街道線に乗るのと、どっちが早い?」
まゆ子「んー。カプタニア線は在来線だからなあ。
 カプタニアに幹線鉄道を敷いたら首都とヌケミンドル市が直結して、
 幹線鉄道網が完成するんだけどな。
 まあ毒地平原線はまだ計画段階だけどね。」

釈「やはり在来線と並行しては線路敷けないんですか。」
まゆ子「線形もおかしいんだけど、
 素直に考えるとアユ・サユル湖岸の水の上に橋を並べて走ることになる。
 ちょっと建設費がバカみたいで手が付けられない。」
じゅえる「線路高架にするのも水の上に橋を架けるのと大して変わりない費用が掛かるか。」

釈「なにか手は無いんですか。」
まゆ子「カプタニア在来線に特急列車を走らせるか、
 いっそカプタニア線を幅の広い幹線鉄道軌条に置き換えるか。
 ただしこの場合、在来線の駅の幾つかがすっ飛ばされるから利便性が低下すると大反対だね。」
じゅえる「せいぜい早い特急列車が関の山か。」
まゆ子「でもね、貨物列車も結構走っていて、なかなか難しいんだよ。
 なにせ陸地の経路はここしか無いからね。

 実はカプタニアでは自動車高速道路も引けなくて困っている。」
明美「なにか奥の手は無いの。」
まゆ子「カプタニア湖岸を延々埋め立てて幅を広げる、という計画が無いではないけど、
 まあ建設費だね。
 それでもトンネルを延々掘るよりはマシだから。」

じゅえる「すなおに船を使え、って話か。」
釈「貨物輸送であれば問題ないですからね。旅客が時間かかるだけで。」
まゆ子「カプタニア在来線で、ルルント・タンガラム←→ヌケミンドル でだいたい3時間です。
 さすがに船に比べれば圧倒的高速ですから、まあいいんですけどね。」

じゅえる「魔法を使え。」
まゆ子「あー、いや、何と言いますか
 時間を短縮するだけなら秘策が無いわけではないんだけどね。

 ヌケミンドルを通る幹線鉄道ボウダン線から支線を伸ばして、
 カプタニア線に沿って線路敷ける所まで敷く。
 で最狭部のみ在来線に乗り換えて、」
じゅえる「それで短縮できるのは、」
まゆ子「2時間半になるくらいかな。」
釈「うーーーーーんん」

 

 

 罰市偵インデックスに戻る

 

inserted by FC2 system