怪奇!伝説の竜星郷に鬼首姫の亡霊を見た〜本格ファンタジーアドヴェンチャー〜

 

14/11/27

まゆ子「なにか新しい小説を考えてみよう。どんなのがいいかな。」

釈「新企画、という意味ですか。」
まゆ子「んにゃ、こう箸休め的なかる〜いライトな感じで、それでいて一応は小説の体を成しているなってかんじの。」>
じゅえる「かなり虫のいい話だが、分からんでもない。要するにゲキロボ飽きたな?」>
まゆ子「飽きてはいないが、こればっかりに集中しすぎた弊害が有る。というか、そもそも「ゲキロボ」は「ゲバルト処女」の箸休めだ。」

釈「冗談がマジに成ってしまいましたかね。」
じゅえる「思いっきり趣味に走るか。そうだなー、ここはSFを離れてファンタジーでいこう。」
まゆ子「ふむふむ。剣と魔法の中世ヨーロッパ的な?」
釈「それも悪くはありません。ですが、日本風ファンタジーも捨てたものではありませんよ。」
じゅえる「そもそもが「ゲバルト処女」は「十二国記」を元にしているのだから、中華風ファンタジーという線もある。」

釈「どうしますか、意表を突いてアフリカンファンタジーとかで。」
まゆ子「それはさすがにちょっと良くわからん想像できん。」
じゅえる「悪くはないが、さすがにねえ。」

釈「魔法のレベルを考えましょう。どうしますか、ファイヤボールががんがん飛び交う超攻撃型魔法にしますか。それとも目には見えない呪いが忍び寄ってくる的な程度にしますか。」
まゆ子「吸血鬼も悪くないなあ。」
じゅえる「ファンタジー定番だからな。」
釈「なるほど、化け物モンスターは必須ということで、ではモンスター退治をするハンターを主人公としましょうか。」
まゆ子「吸血鬼ハンターDかあ、いいですねえ。」

釈「銃はどうしましょう。有り無し魔法銃、いろいろありますが。」
じゅえる「やはり今時銃くらいはファンタジーでも出さないとダメだろうさ。中世ファンタジーでもさ。」
まゆ子「うーん、そりゃそうだな。なにせお手軽に強くなる方法が欲しいんだからな。」

釈「そもそも戦う必要も無いんですけどね。ファンタジーのモンスターや妖精さんと仲良く日常を送るファンタジーというのも楽しいですよ。」
まゆ子「それはそうなんだよなー。」

じゅえる「どうせやるなら新機軸だ。誰もやったことの無いファンタジーをやろう。」
まゆ子「うん。最終的にはそこに落ち着く。」
釈「そうですねえ、それは執筆の原動力にもなりますからねえ。でも、
 うん、そうだ。何かムチャぶりをしてください。それを実現するための屁理屈を考えますよ。」
じゅえる「そうだな、何かをしたいでは無くて、こんなもの出来ないだろうてのの方がアイデアの発展的には面白いぞ。」
まゆ子「ふむ。無茶をベタネタのファンタジーで処理してみるわけだ。」

釈「そうですねえ、やはり単純に流行りもの的には食をテーマとしてみるというのが結構定番ですね。」
じゅえる「食えそうにないものを食うファンタジーか。」
まゆ子「ソンビ肉とか?」

じゅえる「それだ!」
釈「ゾンビ肉を食うファンタジー世界! これですこれ!」
じゅえる「ゾンビファームにようこそ!」

 

まゆ子「あ、ああ。なるほど面白いけど、どこか誰かがやったような気がしないでもない。」
釈「とはいえ、ゾンビ肉なんて食ったらお腹壊しますよ。」
じゅえる「それだな。主人公達は不毛の大地に住んでいるのだ。一面紫の草原で、人も動物もこの地に生える草を食べると死んでしまう。死の草地獄なんだよ。
 でも、家畜をゾンビ化させると死の草を食べて大きくなる。ゾンビ家畜を食べて人間は生きていけるのだ。」

まゆ子「ふむ。だがゾンビ家畜に噛まれると人間もゾンビ化するわけだ。ゾンビ人間は死の草を食べて生きていけるのか?」
釈「可能ではある、ということにしましょう。だがその内に人間型でないなんかよく分からない形状になってしまう。ジャミラみたいなですね。」
じゅえる「人肉をゾンビは欲しないのか?」
まゆ子「そこはもちろん生肉を食べたがり、生きた人間を襲うということで。」
釈「牛や馬は草を食べるものだから、ゾンビ化しても草を食べる。人間がゾンビ化すると、雑食性だから肉も食べたがる。そういうことで。」
じゅえる「ふむ。犬猫とかはやばいわけだな。だがそもそもゾンビ化の元は何なのだ。その地に誰がゾンビなんか持ち込んだのだ。」
まゆ子「そりゃ入植者だろ。南の方から来た入植者は、遠い国で使われているゾンビ技術を持っていて、ゾンビの種を持ち込んだのだ。」

釈「なんですかそのゾンビ技術とか種とかは。」
まゆ子「それや魔法科学の力により、ゾンビを合成する事に成功したのだよ。南の帝国では戦争でゾンビ兵を使って人間無しの戦争まで行っている。文明的だろ。」
じゅえる「ゾンビ兵てのは、人間をゾンビ化して使役して戦わせるってことか。」
まゆ子「素直に死人をソンビ化して、普通に戦場で武装させて戦っている。なにか問題でも?」
釈「ゾンビが暴走する事は無いんですか? 生肉食べたいでしょ。」
まゆ子「ゾンビの顎を切り取ってしまえばいい。肉食べられない。」
釈「うあ。」
じゅえる「かなり残酷でグロいな。しかし、歯が無いと噛みつけないのも道理。爪で引っかかれるとかでは感染しないのか?」
まゆ子「まあ、鎧とか着ている人はだいじょうぶでしょ。ゾンビ化する際に顎を切り取って無害化ゾンビとして戦争に投入する。」

じゅえる「しかし、ゾンビって人の命令に従ってちゃんと戦争するのか?」
まゆ子「ふむ。ゾンビ語とかゾンビ笛とかで操作出来るようにしておこう。」
釈「でも、ゾンビって案外弱いですよ。生身の兵隊の方が強いでしょ。」
じゅえる「どうする、高速ゾンビとか強化ゾンビとかを出すか。」
まゆ子「うーむ、それはだな、鉄砲に強いんだよ。弾が当たっても死なないで行軍を続けるゾンビにに飛び道具は効かない。」
じゅえる「なるほど、それは大きなアドバンテージだ。」
釈「ですが、強力な火砲で人体そのものを大破壊されるとさすがに」
まゆ子「そりゃそうだが、」
じゅえる「いや、やはり通常の銃ではそこまでの破壊は無いから、それで十分だと思うぞ。」

釈「というか、その世界は銃が有るんですか?」
まゆ子「ふむ、というよりは、ゾンビに銃を持たせるのか?」
じゅえる「それはー、ゾンビって銃撃てるん?」

まゆ子「ゾンビを戦争に使うには、ゾンビに武器を扱わせないといけない。銃ならば自動小銃くらいは実用化されていないと無理だ。」
じゅえる「そこまで進化させると現代社会になってしまうぞ。」
釈「マスケット再装填はさすがにゾンビには難しいでしょう。どうしますか、白兵武器だけで使えますか。」
まゆ子「あーそーだねー、ゾンビ銃というのがあるんだよ。つまりリボルバーのようなもので、ハモニカ銃ってやつだな。
 薬室と一体化した弾倉が10発くらい、ハモニカのように並んでいて、1発撃つたびに繰り上がっていって連発が出来る。
 再装填はハモニカを取り替えればOKという便利仕様。」
じゅえる「すくなくとも雷管式でないとダメだぞそれは。」
まゆ子「うむ、さすがにフリントロックでその機構は難しいな。」

釈「さすがにそれは時代が進み過ぎます。いっそのこと弩にしませんか。」
じゅえる「だが弩の方が機構的には難しいぞ。」
釈「でもゾンビにはわけ分からない怪力がありますから、弩を簡単に引っ張れると思うんです。」
まゆ子「ふむ、弓に矢を番えるよりは、弩に矢を置いて引っ張る方が頭使わなさそうだな。
 いやーだめだ。ゾンビに矢の節約の概念を理解させられない。」
じゅえる「遠隔武器を持たせるしかないか。」
釈「ただのプラットフォームにして、引き金と照準は後方で支配するわけですね。」

まゆ子「あーもうやめだ。なんで人間をゾンビにして戦わねばならんのだ。牛のゾンビに武器載せればいいだろ。」
釈「はあ。そりゃゾンビ牛なら目の前で爆弾が破裂してもびっくりしないでしょうけど。」
じゅえる「そうだな。ゾンビ牛に引かせる牛車戦車で戦争すれば、凄いんじゃないかな。」
まゆ子「それでいいよもう。」

 

じゅえる「しかしゾンビ兵というのには惹かれる。」
釈「結構いい感じですからねえ。でも頭が悪いのはちょっと困ります。同数の人間VSソンビだと確実に人間が勝つでしょう。」
まゆ子「そりゃあ、動きが鈍い、敵の攻撃の裏を読まない、まっすぐ突っ込んでくるだけのゾンビ兵なんかちょろ過ぎだ。」
じゅえる「ゾンビに知能を与えるのはダメなのかな。まあ人間爆弾みたいに自殺覚悟で敵軍の中に突入して当たるを幸い薙ぎ倒すとかなら使えるだろうが。」
まゆ子「普通に歩兵隊列を組んで歩く戦闘部隊として使いたいんだ。歩兵に脳は要らないとは言われるが、ほんとに無いと使えないな。」

じゅえる「なにか、ゾンビが上手く戦える方策を考えるしか無いな。」
釈「手足にカタナを縛り付けて振り回す、というのではやはり戦術的に上手く使えません。」
まゆ子「とにかく飛び道具には強い。これは大きいんだ。普通の人間はちょっと怪我しただけで戦闘不能だからな。」
じゅえる「ゾンビの知能化、ねえ。ただ単純に反応速度が高いだけでいいんだけどな。」
釈「あ! それいきましょ。ゾンビにサングラスを付けさせるんです。複眼レンズの付いた。」
まゆ子「なにそれ?」
釈「複眼レンズだと、見える情景が細かく区切られて、素早く移動する物体が非常に良く見分けが付いて、反応するのも楽になります。
 ゾンビ並の低能であれば、むしろ昆虫レベルの認識能力を想定すべきでしょう。」
じゅえる「なるほど、光の移動だけが認識できて、それが人間であろうが物体であろうが関係なく反応するんだ。」
まゆ子「ふむふむ、複眼レンズとはいわない、穴がぽこぽこ開いた鉄板でももいいわけだ。それ。」

釈「とはいえ、ゾンビにはゾンビを食べないという敵味方識別能力が有るわけです。これは、ゾンビ固有の習性ということでいいですかね。」
じゅえる「臭いで分かるのか、アレ?」
まゆ子「臭い、うんその可能性はあるが、視覚で判断しているようでもあるなあ。」
釈「とりあえず嗅覚で判別という設定にして、でも敵味方どちらのゾンビも同じ臭いがしますよ。これはー。」
じゅえる「へんなもの食わせて、味方ゾンビは同じ臭いがするということで。」
釈「いいんですか? 生身の人間を無差別で襲うというゾンビ基本設定と矛盾しませんかねそれ。」
まゆ子「そこは複眼レンズを装着されているから視覚での識別能力を失っているとして、味方ゾンビの臭いがすると戦闘はしない。味方生身兵も臭い袋を付けているから攻撃しない。
 というところでなんとか収めよう。」

じゅえる「しかしそれは少なくとも、同じ臭いがするものは襲わない、という学習能力が必要だろう。ゾンビにそれは有るのか?」
釈「叩いても痛くないから、調教できませんからねえ。」
まゆ子「いやそもそも、臭いを識別する能力が有る、てのも疑わしいぞ。臭い物質が有る方に動いているだけで、普通の意味での嗅覚→知能→判断、ではないだろ。」
釈「ほんとに虫レベルですね。」
じゅえる「視覚嗅覚聴覚味覚、そういうのは全部破壊されているんじゃないのか、ゾンビって。」
まゆ子「それらは全て脳が認識しているわけだからな。そもそも屍体化しているゾンビの感覚細胞は機能しないだろ。」
釈「神経細胞が動いていることさえ不思議ですからねえ。」

じゅえる「ゾンビ忌避物質、あるいは忌避信号てのがあって、それを味方が用いると攻撃しない。というのだろうか。」
まゆ子「めんどくさくなった。もういっその事ゾンビの背中に電極付けて、右と左と止まれの電気信号を流して直接筋肉を操作しよう。」
釈「はあでもそんな大電流をどうやって、」
まゆ子「鉛蓄電池!」
じゅえる「自動車の載っけてる奴か。しかし操作法は無線てわけにはいかんだろ。」
釈「少なくとも電信電話技術くらいは必要です。いくらなんでも高レベル過ぎますよ。」

まゆ子「あー、じゃあもうこうしよう。
 鉄棒にゾンビを5体ほど鎖で括りつけて、5体揃ってしか運動出来ないようにして、それを何本か繋いでゾンビ牛で牽いていく。強制的に前に進むしか無いようにする。」
釈「無茶もむちゃです。」
じゅえる「そりゃー制御もへったくれもないあからさまな非人間的扱いだな。奴隷どころの話じゃない。」
まゆ子「これ以上確実なゾンビ兵の操縦法を私は思いつかない。というか、これでさえゾンビ牛が制御できるという事が前提だ。」
釈「ゾンビ牛って人を食べないのですか?」
まゆ子「ゾンビ牛が何故人間を食べねばならんのだ。普段草を食うしか知らないのに。」

じゅえる「まあ、ゾンビになると本能だけで動く事になる設定だからな。牛の本能は草を食うだけだ。」
まゆ子「そこはまあこういうことで、ゾンビ牛は牛の本能に従って草を食べるんだが、それが人の肉であっても口の中に入れば別に拒まずに噛んで食ってしまう。草と人の区別を付けない。」
釈「その程度で我慢しますか。でも、それで制御できるのですか?」
まゆ子「だがゾンビ兵が鎖に繋がれて反抗が出来ないのだから、一般生身兵がゾンビ牛に近付いてもだいじょうぶだ。
 電気でゾンビ体の筋肉を制御できるのは可として、電気槍をゾンビ牛にぶち込んでやれば制御できるって事にしておこう。」
釈「電源は鉛蓄電池で、ですね。」
じゅえる「直接電源を背負って、槍で感電させるくらいなら火縄銃レベルの科学技術でも不可能ではない、と設定してもまあ許せるだろうかね。
 蓄電池の充電をどうするか、電源の元がまた問題になるが。」
釈「そこは水車で発電機回してですね。発電の原理をどうやってひねり出すかは問題ですが。」
まゆ子「エレキテルということにしよう。水車の回転でエレキテルを回すのだ。問題ない。」
釈「静電気ですが、まあ、なんといいますか、なんとかなるということで。」

 

じゅえる「というわけで、新企画のタイトルが決まったぞ。

   「本格ファンタジーアドヴェンチャー:怪奇!伝説の竜星郷に鬼首姫の亡霊を見た」    」

釈「ゾンビ関係ない!」
まゆ子「えーとタイトル的にはですね、どこか異世界の辺境にある竜が眠る郷というのがありまして、そこで竜に会った者は全ての願いが叶うということで、ありとあらゆる異世界から色んな放浪者がやってくるわけですよ。
 で、主人公(男)は現代日本の高校生であって何の取り柄も無い平凡な少年であるわけで、しかしその郷に来ているのは人間だけでないから人を食う化け物やら電気で動くロボットやら、とにかくファンタジーなのです。
 で主人公は異世界からの放浪者の一人として、自らは食われることなく、また自らの食い扶持をなんとかして、食用キノコ人間とかも居るわけですが、とにかく死なないで竜に会わねばならないのです。
 で、とにかくアドヴェンチャーのファンタジーをする内に、鬼首姫というヒロインに遭遇して、まあなんだかんだで彼女の助けを借りて、竜に会い、現実世界に戻るという筋書きストーリー。」

じゅえる「ああ、まあファンタジーとしては定番ではあるが、悪いというところは無いな。売れ線では無いだろうが。」
釈「今回「小説家になろう」に出してみようと思っているのですよ。」
まゆ子「そうなんだ。長年お世話になったけどあんまり効果が無かったように思える、ネット小説のリンク集である「カオスパラダイス」がミドリムシの宣伝HPに乗っ取られたから、営業の必要があってね。」
じゅえる「そこでてきとーなファンタジーをこしらえてみるわけだ。『でぽでぽ』には載せないのか?」
まゆ子「いや、それは別に禁止されてないみたいだから、自分とこにも載せるけど、てきとーに。なんせ毎日更新しないといけないとかの無茶がまかり通るとこだからな、「なろう」は。」
釈「毎日とか、物理的に不可能ですよねえ。最初に完成して一章ずつ載せていくのは別として。」

じゅえる「で、ゾンビは出るのか?」
まゆ子「出しましょ。」
釈「ゾンビ姫ですか。」
まゆ子「うーむ、それも悪くないが、いかんせんありふれてるからな。マンネリでしょう。」
じゅえる「そりゃ、ゾンビ娘ってカテゴリーが有るくらいだからな。死人がよみがえるのは定番過ぎて飽きるさ。」
まゆ子「とりあえずゾンビ兵とゾンビ牛は出します。それ以上となるとちょっと考える。ネクロマンサーの一族だな要するに。」

釈「鬼首姫というのがヒロインなわけですが、どうしますか。やはり生首を飛ばしますか。」
まゆ子「まあそこは、てきとーに。そうだな、こういうのも面白いな。

 少年がゾンビに追われて崖から落ちると、そこはどうも日本の神社ぽいところだった。しかもコーラの自動販売機まで有る現代だ。見慣れた風景。
 そこで彼は黒髪の長く美しい女子高生の巫女さんと出会う。鬼首姫だ。
 彼は「やったー、現実世界に戻って来れたー」と喜ぶのだが、残念ながらそこは2008年であった。彼は2014年の高校生なのだ。6年も離れている。
 ここは彼が居るべき世界ではない。そこで鬼首姫に相談して、元の竜星郷に帰る方法を教えてもらうと、生首さんの案内でそこに行く。竜に会う。

とな。」
じゅえる「うん、いいよそれで。」
釈「要するに廃物利用ですね。」
まゆ子「まあそういうこった。」

じゅえる「尺はどのくらいを考えている?」
まゆ子「あー、1冊くらい。「ゲキロボ」で言えば50章くらいかな。」
釈「300枚以上、ですね。あんまり長いのはもう嫌ですからね。」

まゆ子「うーむ、アタマからオチまで考えついたぞ。

 つまり主人公の少年は、まずクマに襲われて山小屋に逃げ込むのだ。そしてその小屋に暮らす老人に助けられ、この世界の説明を受ける。
 その老人というのはもう50年も前に日本から来た男性で、竜に会えば願いが叶うというのは知りながらも生きていくのが精一杯で、敢えて命の危険を冒してまで竜に会うのは止めたのだ。

 彼の所から旅だった少年は、途中でキノコ少女を救う。このキノコ少女はまさにヒロインであり優しい性格でありしかもエロいのだ。
 少年とキノコ少女はしばらく共に旅をする。まさにヒロインぽいヒロインだ。
 だが彼女はいきなりヒーローっぽい少年に斬り殺される。彼はキノコが寄生生物であり、キノコ少女もいずれ主人公を栄養分として自らに取り込むつもりだったと教えてくれる。
 何故それを知っているかと言えば、彼の腹には大きな傷が有る。腹から冬虫夏草みたいにキノコが生えてくるのを何度も何度も切って自らを蝕むのをようやくに食い止めているのだ。
 キノコ少女はそれと同種だと言われるが、本人は否定する。キノコにも色々有るのだと。だが彼が指摘したとおりに、キノコ少女の亡骸の胴体の中には寄生されて栄養を吸い取られる生物の生きたままの屍体が有る。

 主人公は少年とキノコ少女をその場に置いてまた旅に出る。ちなみにキノコ少女はまだ死んでいない。というよりは火で焼かない限りは菌糸で作られる身体は再生出来るのだ。
 最終的には主人公でなく、傷ついた少年の方に寄生する形で復活するであろう。

 ゾンビ兵と遭遇する。遺跡の館で危険に遭う。とにかくいろいろ冒険して。

 謎の軍隊に襲われる。追い詰められ絶体絶命なところに、敵の将軍を一撃で射抜く銃弾が。
 花憐ちゃん不思議の国回で出てきたミュンヒハウゼン男爵が颯爽登場だ。彼がピンチに陥った主人公を助けてくれる。
 男爵は、主人公の願いが元居た場所に戻る事と聞き、少年であるのなら大志を抱くべきだ、竜に望むのはもっと大きな願いであるべきだと諭す。
 だが彼の帰還の願いが強いとしると、物辺神社への亜空間経路を教えてくれる。むろん設定を変更して「鬼首神社」の鬼部綺子19歳が出演する。

 ここは21世紀、だが主人公が元居た2014年ではない。2008年だ。
 このまま主人公は家に帰ると、6歳下の自分と遭遇する事となる。つまりは主人公がこの世界には二人居て、2014年バージョンは居場所が無いわけだ。
 鬼部綺子は村に住む友人の児玉喜味子と相談して、解決策をひねり出す。つまりは涼宮ハルヒ風にこの時代に留まって本人が失踪した後に出現するという策だ。
 ただし、現在16歳の彼を時間凍結やら冷凍睡眠やらでそのままに留める方法は無い。
 このまま鬼首神社に留まって下男として働き、6年後を待つ。ただし6年後であれば6歳成長した彼は彼本人として両親からは認識されないだろう。
 そこでさらに6年を待ち、22歳まで失踪して出現という形を取る。実際は28歳になっているのだが、失踪中とてもつらい目に遭ったのであれば少々老けていてもごまかせるだろう。

 だがこの解決策は主人公のまったく許容できるものではなかった。
 そこで再び竜を追う事となり、喜味ちゃん特製のピストル型竜追跡器を持って不思議の世界に逆戻りする。鬼首神社の亜空間入り口にはクビ子さんが案内役として待っていてくれる。
 そして彼は、竜に出会う。それは実際は蛇体ではなく、緑色の金属で作られた巨大な土偶であった。竜の形というのは求める者のイメージにより様々に変わるのだそうだ。だから見つけ難い。
 しかし主人公が何度呼びかけても竜は応じず、けっきょく願いは叶えられなかった。
 竜は再び旅立ち、主人公取り残される。諦めてその場を離れると、クビ子さんとミュンヒハウゼン男爵が待っている。
 経過を説明すると、男爵が何故竜が願いを叶えてくれなかったかを解説してくれる。つまりは、主人公の願いを叶える策を彼はもう持っているのだ。
 既に叶うことが確定している願いを、竜が叶えるわけもない。それでもと願うならば、再び竜を追うしか無い。

 逃げ出した主人公が無我夢中で走り、転げ込んだのが最初にこの世界に現れた山小屋だった。
 そこにはこの世界に何十年と居て、既に願いを諦めた老人が居る。少年は自らの末路を知る。そして決断する。

 鬼首神社に戻った彼は神社の下働きとして綺子にこき使われる。この村における真の邪悪を理解した。
 喜味ちゃんの所に居候するたまちゃんとも仲良くなる。

 2014年になって、彼は一度両親の元に帰る。だがこっそりと様子を覗うだけ。
 2014年の段階で実際は22歳になった彼が現れても両親は認知しないだろうし、その後も認知をしなくなるだろう。素直にさらに6年後を待つべきであるのだ。
 そして2020年、彼は家に帰る。

   (終了)」
釈「そんなあからさまにオチを書いてしまうと読む人困りますよ。」
じゅえる「いつもながら、だがな。」
まゆ子「いやだって、世の中には推理小説を後ろから読む人も多いじゃん。私だって本はまず真ん中から読むさ、真ん中が大事なこと書いてるんだから。」
釈「それは小説ではないもっと役に立つ本の場合ですね。」
じゅえる「まゆ子はだいたい小説は読まないからな。小学校の頃いやというほど読んだ反動で。」
まゆ子「でもだいだい、真ん中が面白くない本は面白くないさ。オチとか冒頭とかは関係ない。真ん中をチラッと見れば、その本が読むに足るか分かるさ。」
釈「というわけで、ネタバレをまったく考慮しないんですね。」
じゅえる「困ったもんだ。」

釈「物語を整理しますと、これは人に出会うロードムービー的なお話ですね。必要なのはヒト、キャラクターです。
 主人公は濃いキャラではよくない。プレーンで薄味のキャラクター。男の子でいいですね?」
まゆ子「男でなくちゃいけない。今回はね。最終ヒロインは優子だから。」

じゅえる「この物語は本伝である「ゲキロボ」との正統性はどうなるのだ?」
まゆ子「そうだね、関係はない。しかし物辺神社に下働きの男、ってのが加わると思ってください。まあ寝泊まりはどこか村の住人の所にお願いするとして。」
釈「では物辺島そのものを出してもいいわけですね。ゲキロボは?」
まゆ子「喜味ちゃんが不思議な発明をする。つまりは竜を見つける光線銃だな。そのくらいには不思議が使える。またミュンヒハウゼン男爵と知り合いというのも確定。」
じゅえる「つまりは「ゲキロボ」の世界に主人公がお邪魔する程度の関連性がある、ってわけだな。」

釈「分かりました。ではキャラクタを考えましょう。

 まずクマ。クマから逃げた先の山小屋のおじいさん。キノコ少女、キノコ少女を殺す少年剣士。
 ゾンビ兵を操る者、軍団の将軍。ミュンヒハウゼン男爵、鬼部綺子、児玉喜味子、たまちゃん。クビ子さん。
 竜(土偶)」
じゅえる「これだけあれば相当書けるが、イベントいくつ仕込むつもりだ。」
まゆ子「50章300枚を見やすとして。イベントは10個が最大だろう。」
じゅえる「1イベント5章、1章6枚として30枚。短編十個分だな。」

釈「この内既に決定しているイベントがあるわけです。
 まず異世界に出現して山小屋に逃げ込むイベント。導入部だから確実に1章を必要とします。
 そしておしまいの竜と遭遇して願いが叶わないイベント。エピローグを含みますから、間違いなく1章を消費します。
 物辺神社つまり鬼首神社に出現してなんとかしてもらうイベント。1章を多分消費しますね。」
じゅえる「その最後のは一応は現実世界の日本だから、主人公が自分の家に電話して訊いてみる的なイベントが挿入されるべきだ。」
まゆ子「自分がこの世界に居場所が無い事を理解するためだからな。1章を確実に消費する。」

釈「導入部分の山小屋はさくっとクリアするとして、この異世界に主人公が確として参加する決意表明をするイベントを第一章に盛り込まねばなりません。」
まゆ子「もっともだ。」
じゅえる「クマを退治するくらいの強さを見せねばならんだろう。異世界の異世界たる法則などを表現してみせるのは、第二章になる。」
釈「つまり第二章は異世界の説明イベントです。主人公自身が活躍するというよりは、何か大きな事件の中に巻き込まれる、そんなものですね。」
まゆ子「うん。竜というのがこの世界において絶対的な存在であると証明してみなければならない。誰か別のプレイヤーが竜に挑むイベントだろう。」
じゅえる「うん。竜退治くらいはしてもらいたい、そして死ぬ。」
釈「ですね。」

まゆ子「つまりドラゴンスレイヤーが必要なる訳だ。でも願いを叶える竜を殺す?」
釈「竜の血が必要、とかで。」
まゆ子「ふむ、竜の血で魔法を行うとかであれば、願いを叶えるには竜を屠らねばならないな。」
じゅえる「それは願いを叶えるという話と別に矛盾はしないぞ。ただ、他の参加者にとって迷惑であるだけで。」
釈「であれば、主人公が倒すべき相手であるわけですが、」
まゆ子「そんな馬鹿な話を考え付かない程度に超絶的に強力な敵、という事にしよう。魔神だ。」
じゅえる「魔神? そんな大げさなものが自分の願いを叶える為に他者の助力を必要とするのか?」
まゆ子「うーん、そうだな。魔人程度にしておくか。魔女でもいいぞ。」

釈「つまり、この回で竜が出現するわけですよ。どんな姿ですか。やはり西欧風ドラゴンですか。」
じゅえる「そこは、姿を幾度も変えて、最終的に魔人が望む形になる、ということで。」
まゆ子「そうだな。主人公が最後に到達するときは巨大土偶なんだから、姿は特定されない。だから探すのも難しい。
 しかし魔人が対決する時は、やはり魔神になるかな?」
釈「そうですね、対等の格闘戦を望む。魔法戦闘を望むのであれば、それにふさわしい姿として発現するべきでしょう。」

釈「ということで、魔人は竜に負けます。そこで最後に主人公に不思議アイテムをくれる。という感じで。」
じゅえる「決闘の見届け人としての謝礼的なものだね。。」
まゆ子「それは次のイベントキノコ少女との出会いで効果を得られます。」
じゅえる「不思議の武器は無いのか?」
まゆ子「そうだな、魔人が魔神との対決の際に、主人公が巻き込まれて傷つかないようおまじないのお守りをくれるという事で。
 まあ次の回あたりでは効果は有るけれど、その後消失しますけどね。」
じゅえる「そのお守りは実は意志を持ってヒトの形に成れるけれど、魔人の霊力にひれ伏してモノになっていた。てのにしよう。
 キノコ少女の回はお守りとして効果があるけれど、次の章では主人公が無能すぎるから勝手に逃げていく。ただ、悪いようにはしない。という親切さくらいは見せて。」
釈「器物の霊ですか。」
じゅえる「いや、魔法を使える者を圧倒的呪力で虜にして、使い魔としてこき使う的な、ね。」
まゆ子「ふむ。いずれにしろ魔法アイテムはいずれ廃棄せればならない。
 そうだな、魔人から最後にもらったアイテムも、そのお守りが盗んでいくということで、最終的には主人公には何も残らずにゼロのステータスで次の章の冒険に旅立つ。」
釈「第四章ですね。ゼロから始めるわけですよ。」

じゅえる「キノコ少女は第三章で死ぬ、か?」
まゆ子「この流れだと死ぬな。」
じゅえる「第四章までは活かしておこう。一応はヒロインなんだから。」
まゆ子「一応は第四章は街を予定している。中世西欧風の城市で、街の掟に縛られて困窮するという話。魔法のお守りはここで逃げる。
 キノコ少女も主人公ともどもに苦難に遭う、ってするか。」
じゅえる「そのくらいのロマンは認めてやるよ。」

釈「第一章 クマと爺さんと山小屋
 第二章 魔人と竜の死闘
 第三章 キノコ少女との出会い
 第四章 街でお守りが逃げる
 第五章 

まゆ子「第三章はキノコ少女との出会い、でいいが、この異世界において主人公少年が生活に困窮するという話。メシだ。」
じゅえる「異世界であればメシにありつくのも一苦労だからな。そういう生活感を演出しないとダメだな。」
釈「毒キノコを食べて死ぬ、ところをキノコ少女に救われる。くらいでいいです。」
じゅえる「毒といえば、ゾンビ牛。ゾンビを飼う草の設定が有る。」
まゆ子「そうだな。じゃあ食料も無く毒の草に冒される主人公を、キノコ少女が助けてくれる。
 でどうしてもその地域では暮らせないから、第四章の街に逃げ込むわけだ。しかし城市でもやはり食に困窮する。カネが無いからだ。」
じゅえる「定番の展開だな。しかし、その第四章の終わりは街自体の破局が正しいだろう。」
釈「そうですね。主人公がようやくに城市での暮らし方を覚えた途端に、街全体が崩壊するイベント発生です。
 ここでゾンビ?」
まゆ子「うむ。」
じゅえる「うむ。」

釈「ゾンビ姫ですね。」
まゆ子「ゾンビ姫はマンネリだったら。」
じゅえる「だが、ゾンビを出すのだからゾンビ姫だ。」
釈「というかですね、ここはキノコ少女の裏の願いというか、秘めたる目的とかが露わになるべきなのです。
ゾンビ騒動の中で、キノコ少女が不可解な動きを見せる。この章は解決をしてはならないのです。スティチューンです。」
じゅえる「第六章でキノコ少女は死ぬ。ゾンビ姫との対決は第七章にお預けだ。」

まゆ子「いいだろう。キノコ少女が死ぬのは規定の路線であるから、第六章で死ぬ。少年剣士も死ぬ。第六章は少年剣士の章だ。」
釈「問題は第五章ですね。ただゾンビというのも芸がありません。」
じゅえる「つまりだ、ゾンビ姫がこき使うゾンビは、竜に願いを聞いてもらおうとあらゆる世界からやって来た冒険者なんだよ。その屍体をゾンビ術でこき使っている。
 ただし、ゾンビ姫自身が殺したわけではない。道端に朽ちていた彼らを掘り起こして肉体を新たに与えている。
ゾンビ姫の願いは、それらゾンビ達を復活させる事。生身となって再び竜に願いを聞いてもらう旅に復帰させる事にある。」
まゆ子「いい人じゃん。」
じゅえる「ただし、ゾンビたちはそうは思わない。折角虚しい望みから解放されたのに、またゾンビとしての生を与えられ、生前を呪縛した願いを叶える苦役に駆り立てられる。
 怨嗟の声を上げながらゾンビ姫に従うのだ。」

釈「第七章は?」
まゆ子「将軍との出会い。」
じゅえる「何者だそれ。」
まゆ子「早い話が、王です。軍勢を引き連れて竜を求め、王の願いを聞き届ける事業を行っている。当然のことながら、なんだってそうだがカネと人員をふんだんに用いられる者こそが勝者なのだ。」

じゅえる「それとゾンビ姫が激突するのは簡単だ。だが主人公が蚊帳の外に置かれてしまうだろう。」
まゆ子「うん、まあそうだな。じゃあ主人公は王の軍隊に捕まって尋問されるんだよ。竜を見たのか、と。」
釈「王は竜を見た事が無いのですね。」
まゆ子「というか、その軍隊は竜の存在を半信半疑のままで動いている。竜が居る確証を得る為に情報収集を続けているのだ。
 だがゾンビ姫にとっては彼の行動は掟破りで神聖なる願いの冒涜でもある。
 願いを叶える者は、単身で誰の助力も得ずにこの異世界を彷徨うべきなのだ。故にこそ彼女はゾンビ達を愛する。」
じゅえる「将軍と、王か、と戦う立派な理由を持つわけだ。」
釈「彼女にとっては竜そのものが信仰の対象なんですね。彼女自身の願いは、竜を崇めその威光に従い願いを叶えてもらおうとする人達の保護にある。」
まゆ子「まあ死んだ人だけどね。彼女にとってはその滅びた姿こそが尊いと思えるのだね。」

じゅえる「そして、どちらが勝つ?」
まゆ子「ゾンビ姫大敗です。ゾンビ全滅です。ゾンビ姫も殺されそうになるところを、主人公が助けます。
だがその事で主人公は軍隊すべてを敵に回して絶体絶命!のピンチ。」

釈「そこに、颯爽登場ミュンヒハウゼン男爵です!」
まゆ子「うん。マスケット銃で王をぶち殺して、軍隊は命ずる者を失ってミッション終了。国に帰ります。
 男爵はゾンビ姫を救いに来たのですが、少年の勇気に感じ入り、また彼の願いが元の2014年の日本に帰る事と知って、それならばと2008年の物辺神社こと鬼首神社を紹介してくれるのです。」
釈「そう繋がるわけですか。よく出来てますね。」
じゅえる「うんまあ、相変わらず見事なでっちあげだ。」

釈「つまり、
 第五章 ゾンビ姫の騒乱
 第六章 キノコ少女の死
 第七章 将軍とゾンビ姫との戦争。
 第八章 ミュンヒハウゼン男爵との出会い。

 第九章 鬼首神社への帰還
 第十章 竜に会い願いを聞き届けられる。

で終了です。」

じゅえる「第四章の城市と第五章のゾンビ姫の騒乱がもうちょっと分からんね。」
まゆ子「第四章の城市はつまりは異世界における世間の風の厳しさを描くものになるわけだよ。」
釈「ああ、異世界定番の演出ですね。」
まゆ子「ここでは、当然のことだがカネが無いと飯が食えない。そして主人公はこの城市で使えるカネを持ってない。」

じゅえる「ちょっとまて、その異世界に何故街が有るんだ? そんなに人が住んでいるのか。」
まゆ子「ああ、この竜星郷は結構人が居ますが、その中で最大の都市と考えてください。周囲は荒野ですが人は寄り集まって生きているから、街が出来るのです。
 で、ここにはちゃんと貨幣経済が有る。というよりは、ここにだけ貨幣経済が有る。文明の、人間の世界です。」
釈「人間世界の論理が優先する世界、ってことですね。この街においては。」
まゆ子「その前がキノコ少女との遭遇で妖精級のファンタジー、そのまた前が魔人と竜との戦いで神話級ファンタジー、そのまた前の第一章はクマと戦う野生ファンタジーで人間社会は描写されていない。
 人間社会ファンタジーを描く回と考えてください。」

じゅえる「その回の構成は分かった。つまりはこの回は人間が一番醜くて酷い、って事を描く回だな。」
まゆ子「そうです。ということは、ゾンビ姫の次の回は死人の世界、死神級ファンタジーということになります。」
釈「ではキノコ少女が死ぬ回も、」
まゆ子「うん。ここは剣客少年が出てきますから、覚悟を問うステージ。死闘級ファンタジーとなります。主人公も斬り合いくらいはするべきです。」
じゅえる「なるほど。ではつまりこの物語は、一章ごとにテーマが決められており、バラエティに富んでいるわけなんだな。」
まゆ子「第七章は戦争級ファンタジー。第八章は男の浪漫級ファンタジー。第九章は現代ファンタジー。第十章は最終回ファンタジーです。」
じゅえる「うんうん。男爵はやはりかっこいいんだな。」
釈「男爵ですからそりゃ浪漫の塊ですよ。」

 

じゅえる「それで、第四章の城市はそもそもが何がおかしいんだ?」
まゆ子「この城市ではタダ飯を食うと奴隷にされます。対価無しにメシを食うということは家畜扱いを許したこととなり、その飼い主の持ち物扱いされるのです。」
釈「おおっと!」
じゅえる「じゃあ働いてカネを稼ぐしかないな。」
まゆ子「でもどこにも雇ってもらえない。当然のことで、カネがなければ奴隷に出来るのだから、まず干乾しにするのが定石。」
釈「街包みで主人公を奴隷にしようと待ち構えているわけですか!」
まゆ子「しかも腹が減ったらごはんあげるよーと、いかにも親切そうに持ち掛けてくる。悪です。」
じゅえる「恐ろしい街だな。でもどうして主人公はその罠に引っかからないのだ。」
まゆ子「だから、そこがお守りですよ。人間の姿に成れるお守りが主人公に忠告してくれるのです。ただ、主人公を見限って逃げていくわけですけど最低限の義務という事で注意してくれるんです。」

釈「じゃあお守りは悪いやつではない?」
まゆ子「お守りを使うには主人公の魔法能力が低過ぎた、ってことです。そもそも魔法使えない。」
じゅえる「つまりはふさわしくない持ち手であると。でもなんでこれまでは助けてくれるのだ。」
まゆ子「まあ魔人の強制力がまだ生きていたのと、モノとしての意識が強すぎて街に来るまで自発的に動こうと考えなかったのと、自力で歩くよりは運んでもらった方が楽。
 ちなみにお守りはしょせんはお守りですから長時間の人間体になるのは難しく、また長距離を自力で移動するのも困難です。持ち手を必要とするのですね。」

じゅえる「だいたい分かったが、その城市でどうやって生きていくのだ。」
まゆ子「最終的にはどうやってもダメだから、というか奴隷になると竜に会う旅も出来ないから現代社会には帰れません。それはダメだ。」
釈「駄目ですね。街から逃げるしかない。」
まゆ子「だが門番は通してくれないわけだ。この街で奴隷にするというのが、この街に入った最初から決まっているわけだ。」
釈「汚い、街きたない。」
じゅえる「いや、まあ、そんなもんだよ人間てのは。で?」
まゆ子「ゾンビ姫来襲で城門が壊される。街は大混乱で主人公とキノコ少女は逃げることが可能となる。
 なんでゾンビ姫が来るかといえば、この街は竜に願いを叶えてもらいたいとやって来た人を食い物にしているわけだから、怒りの対象となる。
 早い話が主人公を助けに来たわけだが、これはボランティア。」
釈「ゾンビ姫はいい人ですね。」
まゆ子「竜の信仰を固く守っているわけだからね。或る意味、城市は背徳者の集まり、竜への願いを諦めてそれを叶えようとする者を憎む存在だ。嫉妬だね。」
じゅえる「なるほど、そういうところを書くわけだ。」

 

釈「第五章はゾンビ姫に助けられて、で? どうなります。
まゆ子「死者の世界、ということだから、ゾンビばかりが出るわけにもいくまい。とにかく主人公とキノコ少女は再び荒野に彷徨い出る。
 ちなみに、城市にたどり着く前まではなんやかんやで小動物を狩って食べる事は出来たのだ。マズイのだが背に腹は替えられない。」
釈「ネズミですか?」
じゅえる「カエルだろう。」
まゆ子「あー、まあ、そんな感じのとにかく普通では食べたいとは思わないものだけど、さすがに主人公もここまでの経験からこんなものでも食べるしか無いと見極めた。
 ちなみにキノコ少女は生き餌しか食べない。つまりはキノコ少女の為にもカエルを取らねばならんのだ。」
釈「最終的にはキノコ少女は主人公を栄養分にする腹ですからね。」
まゆ子「だが城市に閉じ込められて食料が無くて苦しんでいる時には、キノコ少女は自分を食べていいと言うぞ。手足が無くなってもいずれ生えてくる。菌糸で作ってるのだから。」
じゅえる「食っていいのか?」
まゆ子「少年剣士の回でそれは罠だと主張されてしまうのだがね。キノコ少女を食ったら腹の中から冬虫夏草が生えてくると。
 だがキノコ少女はそれは否定する。キノコの種類が違うと。自分は生き餌を外から包み込んで長い時間を掛けて消化するタイプだと。」

じゅえる「だめじゃん。」
まゆ子「まあ、でも主人公は別にまだ取り込まれていないから害は無いんですよ。」
釈「つまりは現在は無害なわけです。その先は?」
まゆ子「主人公が竜への旅が続行不能になったら、キノコ少女が取り付いて自分の中に取り込んで吸収するつもりでした。
 というか、キノコ少女の中で吸収される者は死んではいない。かろうじて意識の有る状態で長期間保持される。
 キノコ少女が竜の元に辿り着けば、身体の中の養分の元も竜の傍に辿り着いた事になる。願いを叶えてもらえるのだよ。」
釈「悪い取引ではない、と言えなくも無いですか。」
まゆ子「だからゾンビ姫もキノコ少女に敵意は持たない。」
じゅえる「ふむ。」

まゆ子「まあつまりはこの回は、竜を崇める人のお話なんだ。信仰の話。
 ゾンビ姫は死者をこき使う酷い奴だが、その精神は気高く美しい。そして竜伝説を貶める者を許さない。」
釈「主人公は別に竜を崇拝したりはしないでしょ。いいんですか?」
まゆ子「竜に願いを聞いてもらおうと旅をする、それ自体が竜に対する崇拝だ。巡礼の旅だな。
 だから何も問題無い。強いて言うならばもうちょっと自覚的であってもらいたい、巡礼の旅に出るのはそれ自体が恵まれた有り難いことだと。」
じゅえる「そもそも主人公はどうしてこんな空間に呑み込まれたんだよ。」
まゆ子「あーそれはー、また別のところで考察だ。」

釈「とにかくこの回は、死者と信仰であるわけですよ。どちらも切っても切り離せない関係にありますが、それがゾンビという形で表現されると皮肉ですね。」

 

じゅえる「第六章の男爵は道案内をするだけなのか?」
まゆ子「いや、男爵は自らの浪漫を語り、主人公に対して浪漫を要求する。
 というよりは、ゾンビ姫を助けた段階で彼は既に騎士としての面目を施しており、男爵の友として遇されるにふさわしい人物であると自らを証明しているのだ。」
釈「なるほど。無数の軍勢から唯一人、徒手空拳で囚われた姫を助けようと立ち向かう。まさに物語の主人公にふさわしい姿ですね。」

まゆ子「男爵はつまり浪漫を尊重し、望みを願いを叶えようとする者達の味方であるのだよ。
 それに男爵によって眉間を撃ちぬかれた将軍も、実は願いを奪われてはいない。」
じゅえる「え、死んでないの?」
まゆ子「だって、傍にゾンビ姫が居るんだもん。竜に願いを叶えてもらおうと龍星郷に来て虚しく滅びた者を蘇らせるのが彼女のお仕事。将軍もゾンビとして冒険の旅に出発だ。」
釈「はあ。なんというかそれは。というか、軍隊は将軍の亡骸を捨てて逃げちゃうんですか?」
まゆ子「いや、軍隊はいいかげん将軍の帝王になろうという夢と願いにへきえきしており、男爵がその願いを打ち砕いた事で彼ら自身の願いである郷里への帰還が果たせるわけだよ。
 だからこれ幸いと家に帰る。将軍は置き去り。」
釈「そもそも将軍自身の願いはなんだったんですか? 自身の力で軍隊をまとめあげていたのでは無いのですか。」

まゆ子「あーそれはね。彼は覇者であり自ら国を建てたのだ。軍勢は間違いなく彼のものだ。
 そして彼が竜に望むのは不老不死などではない。人間の身でそのような大それた望みは抱かない。もっと堅実な願いを叶えて欲しかった。
 つまり彼の王国が繁栄を遂げて、千歳の齢を重ねること。王国帝国の永続なんだよ。
 千年王国は難しいが不可能とは言えない。大変な僥倖が無ければ成し遂げられないが、人間の歴史において無いわけではない話だ。
 だから、竜に願う。」
じゅえる「ふむ。だが皮肉な事にそのはじめの初めで挫折しちゃったね。そんな願いなんか抱かない方が良かったのに。」

まゆ子「まあ男爵の回は「願い」がキーワードだ。そして主人公に対して真の願いを問う事になる。
 だが彼は、自分の願いは単に家に帰ることだと主張する。こんな変な空間にいつまでも居たくない。
 男爵は竜に願いを聞いてもらう旅に出ること自体が僥倖であり、選ばれた者にしか許されない冒険だと説くが、まあ聞き入れないな。」
釈「そりゃあそうですよ。現代っ子ですから。」
まゆ子「男爵としては、彼の真の願いを自覚するべきだと忠告してくれて、物辺村への亜空間「神仙郷」への経路を道案内してくれる。」

じゅえる「男爵自身の願いは無いのか?」
まゆ子「だって神仙郷の住人だし、架空の人物であるし、彼の望みは冒険の旅でありそれは今自分でやってるから。」
釈「竜なんか要りませんね。」
まゆ子「そういうことなんだな。ちなみに「神仙郷」とは誰の願いでも何でも叶うむちゃくちゃな所だ。神仙郷案内の最中に無尾猫が説明してくれる。」
釈「なんとなく寂しい所なんですよね。神仙郷。」

 

釈「まとめます。
 第一章 クマと爺さんと山小屋 :野生ファンタジー
 第二章 魔人と竜の死闘 :神話級ファンタジー
 第三章 キノコ少女との出会い :妖精級ファンタジー
 第四章 街でお守りが逃げる :中世都市ファンタジー
 第五章 ゾンビ姫の騒乱 :死人宗教ファンタジー
 第六章 キノコ少女の死 :剣戟ファンタジー
 第七章 将軍とゾンビ姫との戦争 :戦争ファンタジー
 第八章 ミュンヒハウゼン男爵との出会い :放浪浪漫ファンタジー
 第九章 鬼首神社への帰還 :現代ファンタジー
 第十章 竜に会い願いを聞き届けられる :最終回ファンタジー」

まゆ子「なんか足りないもの有るかな?」
じゅえる「百合ファンタジーと未来ファンタジーと過去転生ファンタジーが無いな。」
釈「百合は駄目でしょ。主人公が男ですから。むしろほもふぁんたじーを。」
まゆ子「却下だ!」
じゅえる「ちぇ。」

まゆ子「まあ、一章30枚で書くなら、これでいいよ。まとまりがいい。」
釈「そうですねえ、これをさらに拡張するとなると、転機が必要ですね。主人公が一応の日常を取り戻すとかの。」
じゅえる「王宮宮廷でハーレムファンタジーというのが必要だな。」
まゆ子「それは面白いが、主人公が放浪をする旅物語というラインを一度崩さないといけない。」
じゅえる「それは美しくないな。」

釈「そうですねえ、俺TUEEEEEEは無いのですね?」
まゆ子「全編に渡って無力だぞ。主人公。チートもないし不思議アイテムも無いし。」
じゅえる「なにか一つ良い所くらい設定してないと、困るんじゃないか?」
まゆ子「とはいえ一介の高校生、あ16歳だから高校生ね、に何が有るってんだよ。」
じゅえる「無い。」
釈「無いですねえ。中二病じゃあるまいし。」
まゆ子「剣すら使わないと考えている。せいぜい竹槍と棍棒だ。」
じゅえる「伝説の剣は?」
まゆ子「そんなもんどこに転がってるんだよ。」
釈「あるわけがないですよねー。第一無敵アイテムは街で逃げちゃうんですよ。」
じゅえる「そうだった。主人公にそれを用いる資格が無いんだった。」

まゆ子「いや実はさ、旅に出る最初に山小屋の爺さんからこの世界で生き抜く術というのを学ぶんだ。道端で食えるモノの見分け方とか小動物の取り方とか。
それで勘弁してくれ。」
釈「それ基本情報ですよね。RPGで言えば出発の村で初期装備をもらうような。」
じゅえる「リアルだが、あんまり威張れないな。」
まゆ子「だがその御蔭で野山を放浪しても飢えて死ぬことは無いんだ。逆に、その技が使えない第四章城市で餓死しかかる。」
釈「うーむ。」
じゅえる「やはり爺さんは良い奴でいいわけだ。」

釈「しかし、ほんとに何か無いですかね。いやいくらなんでもゾンビ姫を助ける時とか、キノコ少女を巡って少年剣士と斬り合うとか、スキルが必要でしょ。」
じゅえる「小動物捕獲スキルではさすがに剣技に勝てないな。」
まゆ子「うーん、しかし現代科学知識はまったく役に立たない世界だし。何も無いね。」
釈「携帯電話やスマホは?」
まゆ子「基地局無いよ。」
釈「ですよねー。」
じゅえる「小動物捕獲スキルってどのくらいの強さなんだ。」
まゆ子「あーそうだなー、森でヤブイヌに襲われて殺されないで逃げられる程度の強さ。」
じゅえる「ヤブイヌって強いのか?」
釈「さあ。」

釈「せめて、剣道部員とかで。」
まゆ子「そんなん、まだ野球部員の方が強いさ。」
釈「うーん、投石技術が生きてきますからねえ。」
じゅえる「オタク知識で生き残るとかは駄目か。たとえばミリオタで野戦病院の知識があるとか。」
まゆ子「そんなんまだ学校の保健委員の方が強いさ。」
じゅえる「そうだな。まったくそうだな。」

じゅえる「結局どの程度の技術レベルなんだよ、竜星郷は。」
まゆ子「あー、第四章に出てくる城市は中世ヨーロッパレベル。鉄砲は出てこない。
 一方第七章で出てくる軍隊はマスケットを持っている。強い。」
釈「その違いは何です?」
まゆ子「軍隊は別の国から軍隊まるごとやって来てますから、鉄も火薬も国外品です。」
じゅえる「城市には材料さえあれば鉄砲作れるのか?」
まゆ子「さー、作れる人は居るのかもしれないけれど、それは他所の世界から来た人だからねえ。
 彼らを奴隷にするのが目的であれば、彼らの技術はあんまり使われていないんじゃないだろうかね。」
釈「勿体無い話ですが、敵が居ないんですねつまり。城市まるごとが戦争に巻き込まれるとかが無い。」
まゆ子「ゾンビ姫の例を挙げても分かるが、この城市は魔法攻撃に極端に弱い。というよりは、人間は魔法にはまるで叶わない。
 だから街を囲む城壁はせいぜい野獣や野盗対策だ。人間の敵は人間であり、それならば弓矢で十分勝てるということだな。鉄砲は考慮しない。」

釈「それじゃあ鉄砲を入手すれば主人公は勝てると。」
まゆ子「その設定はいただこう。
 第七章で軍隊に捕まった少年はマスケットを見て使い方を理解するのだ。これは銃や火薬を知らない人間では出来ないひらめきだ。
 だから主人公の少年は脱出に成功してゾンビ姫を助けようと思うのだ。」
釈「しかし疑問があります。将軍の軍隊がマスケットを装備しているのであれば、銃による狙撃対策もしているでしょう。
 なぜミュンヒハウゼン男爵の銃弾に殺られるのですか?」
じゅえる「あ、それはいいんだよ。男爵の冒険談には超長距離狙撃もあるから、当たるんだ。あの人。」
釈「そうなんですか。」
まゆ子「そうなんだよ。ホラ男爵なめちゃいけない。」





















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