弥生ちゃんの部屋  

 相原志穂美鳴海姉妹は弥生ちゃんの緊急招集に応じて河川敷まで出向いています。

 ちなみに鳴海ちゃんは中学生です。

  

鳴海「おねえさまぁ、キャプテンのお話ってなんでしょう。」

志穂美「弥生ちゃんのやる事だ。どうせろくでもない事だろう。」

鳴海「でもだから面白いんですよね。うふふ、楽しみだなあ。うふふ、うふふ。」

志穂美「そんなに楽しいのか。」

鳴海「だぁーってえー、お姉様がピカードを連れて散歩してくれるなんて滅多にないんだもん。」

志穂美「いや、弥生ちゃんの言う事があまりにも下らなかったらこいつを蹴飛ばしてやろうと思ってね。それより鳴海!」

鳴海「はい、お姉様。」

志穂美「なぜ私の事を「姉者」と呼ばない。」

鳴海「えーーーーー、だあってぇー、時代劇みたいで嫌なんだもん。ほら、代わりにお姉様ってちゃんと言ってるじゃない。」

志穂美「せめて姉上と呼ぶようにしろ。あ、こら。」

鳴海「ああーんん、ダメだったらもう、ピカードったら。」

志穂美「こいつ、いつも拾い食いするのか。」

鳴海「お姉様、そんなに首絞めないで。うーんそうだねえー、ひょっとしたら食べてるかも知れない。草をよく食べてるみたいだからその時ホントは何食べてるのか分かんないんだもん。」

志穂美「草を食べる犬というのは確か精神病にかかってるんじゃなかったかな。」

鳴海「え!うそ!どうしよう。ぅわあーん、まゆ子お姉さんに聞いてみよう。」

志穂美「ひょっとしたら胃腸がおかしいのかも知れない。」

鳴海「えーー! お医者さんに連れてかなくちゃ。ひー、またお金がかかっちゃう。」

志穂美「だから狗なんか飼うなって言ったんだ。こいつ。」

鳴海「お姉ちゃん、ピカードだって遊びたいんだからそんなにやる事一々咎めないで。」

志穂美「何が遊ぶだ。こいつは逃げたくたまらないんじゃないのか。食い物屋の近くを通るたび暴れるぞ。」

鳴海「ピカードは揚げ物屋さんのそばを通るのが大好きなんだよ。それに時々天かすもらったりするんだから。」

志穂美「結局おまえが甘やかしてるんじゃないか。」

鳴海「じゃあ、じゃ、もしかしてピカードが草食べるのってそのせいかな。」

志穂美「胸が悪くなってるんだろう、油ものを食べさせられて。」

鳴海「があーん、そうだったのか。だから他のワンちゃんに比べて頭悪いんだ!」

志穂美「いや、それは遺伝だと思う。」

 

 

鳴海「ねえ、お姉様。キャプテンの家にも確かワンちゃん居たよね。」

志穂美「弥生ちゃんの家には確か、いたような気がするな。」

鳴海「しるくさんのお屋敷にも居たよね。」

志穂美「三匹大きいのが居て二匹小さいのが居るって話だな。しるくの犬じゃなくてお父上のだって話だ。」

鳴海「小さいのは狆だよ。すっごく可愛いんだ。ピカードよりとっても頭が良くて、・・・・。」

志穂美「自分で言って自分で落ち込まない。」

鳴海「でさあ、ピカードのお嫁さんってどこか居ないかな。ピカードだって奥さんが出来たらちょっとは自覚が芽生えて賢くなるかもしれないじゃない。」

志穂美「それは無い。」

鳴海「でもしるくさんの犬って血統書つきなんだよね。やっぱりダメだよね、雑種じゃ。」

志穂美「絶対ダメだ。」

鳴海「キャプテンのところのワンちゃんって。」

志穂美「あれは、弥生ちゃんが幼稚園の頃に飼ったって言ってたぞ。もう十才くらいじゃないか。それにあれは牡だったかな。」

鳴海「それじゃだめだよね。」

志穂美「そんなにピカードを結婚させたいのか?」

鳴海「だって、子犬可愛いんだもん。」

志穂美「ピカードが子犬の時はちっとも可愛くなかったぞ。」

鳴海「そんなことない! ピカードだって可愛かったもん。」

志穂美「・・・・鳴海、過去に幻想をもっちゃいけない。ピカードは可愛くなかったからもらい手が無かったんだ。それをおまえが可哀想に思ってもらって来たんじゃないか。」

鳴海「だって、だってえぇ。」

志穂美「やはりピカードは去勢するべきだな。おまえがそんな空しい期待を持たない様に。」

鳴海「きょせい、って。」

志穂美「睾丸を切り落とすんだ。そしたら性質もよくなって大人しくなるかもしれないぞ。」

鳴海「だめ、だめだめだめ。そんなのだめ。可哀想だよ。」

志穂美「つがいになれないのに毎年一生懸命盛るってのもかわいそうなものなんだけど。」

 

 

鳴海「あ! キャプテンだ。まゆ子さんもいる。」

志穂美「・・・・何か持っている。武器かな。」

鳴海「ほんとだ。・・・私にも武器に見える。」

志穂美「ピカードを連れてきて大正解だったな。いけピカード!!」

鳴海「あ、やめてええー。」

 

2000/4/17/

 

 

 

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