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【猫にゃん棒で遊ぼう!】10/06/09

 

まゆ子「猫にゃん棒で遊ぼう!」
釈「うわぁ〜い。て何をやらせるのですか。」
じゅえる「猫にゃん棒というのは、あの例の猫にゃん棒のことか?」
まゆ子「まさにその猫にゃん棒のことだ。こいつを使って大活躍する主人公というのを考えた。」

釈「基本的なことから整理しましょう。猫にゃん棒とはあの、猫の両手を模したおもちゃのことですね?」
まゆ子「いかにもそれだ。」
釈「それを手に持つと、なにが起きるのです?」
まゆ子「超能力。」
じゅえる「ちょっとまて、つまり、猫にゃん棒を持った者同士が超能力で闘う物語をつくろう、という話か。」
まゆ子「しかも主役はかっこいい男、軍人だ。」

釈「あー、基本的にそれはー魔法少女なんかがもちいるべきアイテムだと思うのですが、ダメですか?」
まゆ子「これは渋い男達が真剣に猫にゃん棒を用いて命のやり取りをする所が面白い。故に、魔法少女却下。」
じゅえる「なるほど。つまりは、ハードボイルドシリアス超能力バトル、なのだな。敵もやはり猫にゃん棒を使うのだね?」
まゆ子「狐でもよい。というか、動物大百科的であればなお楽しい。」
釈「あ〜。」

 

じゅえる「とりあえず、猫だけで闘う敵で考えてみよう。その超能力とはなんだ?」
まゆ子「文字どおりの超能力の王、念力だ。猫にゃん棒をくいと曲げると、念力で思いのままになんでも操作出来る。」
釈「どのくらいのチカラがありますか? えーと動かせる物体の大きさは、」
まゆ子「2本有るから、両方使った時には中型トラック1両をひっくり返せるほど。」
じゅえる「そりゃーちょっと、大袈裟過ぎないかな? それは超能力バトルとしても随分破格のパワーだろ。」
釈「幻魔大戦レベルの能力ですよ、それ。」
まゆ子「だが、戦車には勝てないなこれでは。」
じゅえる「うーむ、ハードボイルドシリアスでしたねえ。ま、次行こう。その他の能力は?」

まゆ子「まず、念力を使って何が出来るかだ。もちろん人を殺せる。それも一瞬に。心臓をぎゅっと握り潰せる。」
釈「うわ。」
じゅえる「……無敵だな。」
まゆ子「もちろん制限は有る。つまり、あまり早い物体を念力で捕らえるのは出来ない。意識の集中が定まらない相手には念力による殺害が出来ない。」
釈「ふむ。その速度は?」
まゆ子「ここが肝心なとこだ。猫にゃん棒の念力を用いて、術者自身の身体を持ち上げる事が出来る。トラック1両をひっくり返すほどの力だから、凄い勢いで自分を動かせる。」
じゅえる「なるほど、それが猫にゃん棒による殺害から免れ得る早さ、だね。」

まゆ子「無論のこと、猫にゃん棒を直接用いて、相手の念力を防御することも出来る。この際、対処可能なのは両手に持っている2本をそれぞれ別に用いるとして、2方向の力まで。」
じゅえる「当たり前ではある。ということは、敵が2本の棒を持っていると、双方がっぷり四つで身動きがとれなくなるんだ。」
釈「ふむ、仲間が居ると困りますね。」
まゆ子「困るよ、それは。その場合、拳銃で撃たれても死ぬ。猫にゃん棒で防御が出来ないからだ。ということは通常猫にゃん棒は銃弾にも無敵。」
じゅえる「意識の集中が無いとダメなんじゃないの?」
まゆ子「発射前の銃弾に対して作用するから、大丈夫なのだ。つまり、発射を抑制する事が出来るが、飛んで来るものは防げない。」
釈「ふむ、ちょっと使い勝手が悪いですね。」
じゅえる「なんとかなる?」
まゆ子「うむ、ハードボイルドとしては使いにくいから、なんとかしよう。猫にゃん棒をぐるりと回せば防御フィールドが形成されて、銃弾を弾き返す。てなもんでどうだ。」
じゅえる「つまり念力フィールドと呼ばれるものが作れるんだ。」

 

まゆ子「それが第二の能力。残存念動力。文字どおりに使った力が持続する。要するに、落下物を念力で止めたとして、それをしばらくの間空中に固定することも可能なのだな。」
釈「ほお、それはけっこう新しい。通常念力は集中を解いたら消失しますからね。」
まゆ子「もちろんこれは通常の能力ではない。猫にゃん棒に特有の能力で、他の動物棒では実現出来ない。」
じゅえる「ふむ。なるほど。動物棒ごとに能力が違う、能力バトルが可能なわけだ。」
釈「ちなみに他にはどんな動物がありますか?」
まゆ子「猫、狐、狸、狼、犬、ムジナ、イタチ、熊、猿、その他日本に通常に居る動物ね。だから虎やらライオン、象は無い。」
釈「じゅえる先輩、この選択はどうでしょう?」
じゅえる「鳥が無いのはちと不満かな? カラスはダメかい?」
まゆ子「ここはやはり、無しということで。」

じゅえる「つまり、猫は念動力を一度使ってもそのまま持続させる能力が有る。これの持続時間は?」
まゆ子「行使者の能力次第ではある。銃弾を防げることからして、数秒は誰にでも使えるけれど、分や時、日月年と持続するのはなかなかね。」
釈「そんなに強く留められるんですか! それはちょっとオーバースペックでは。」
じゅえる「いや、それは残存思念波という奴だ。通常は発動していないけれど、条件が揃うと動き出す、とかだな。」
まゆ子「猫だから、怨念が持続するのです。」
じゅえる「なるほど納得いった。」
釈「つまり、恨みを持つと長続きするということですか?」
まゆ子「いや違うな。特定の人物に反応して発動する念力フィールドを形成出来る、ってことだ。とはいえ、それほどややこしい事は出来ない。その人が通り掛かったら数秒足が動かなくなる、その程度の力でしかない。もちろんあまりにも強力な力は留められない。」
じゅえる「節度だね。」

 

まゆ子「第三の能力、猫にゃん棒特有の能力としては、相手に知られずに効力を得ることも出来る。」
じゅえる「ほお。つまり、敵は自分が分からない内に勝手に死ぬ、と。」
まゆ子「いや、そこまで強力で深刻な奴だとさすがにバレる。要するに、相手をこちらに誘導したいな、とか思ったらちょいと引っ張ることが出来る、程度だ。深刻な影響を与えないからこそ、微妙な誘導が出来る。ただこれは猫特有と呼ぶにはちと問題あり。狐にも狸にも有る。だが犬や狼には無い。」
釈「その理由は?」
まゆ子「弱いから。猫も狐も狸も、弱いからそんな能力を持つ。犬や狼は強いから必要無い。」
じゅえる「序列が有るんだ。なるほど。」

まゆ子「第四の能力、というか、これは第二の能力とも第三の能力とも関連するのだが、人間に対して相性が良い。」
じゅえる「???」
釈「他の動物は、人間に念力効かないのですか?」
まゆ子「あり体にいうと、力づくでなんとかするのはどれにでも出来る。ただ、猫にゃん棒は人間を扱う技に優れている。特化してると言っても良いほどだ。
 実のところ、これが主人公である軍人が猫にゃん棒を持たされる理由でもある。つまり諜報活動に用いる際に、人間に特に効くというのは非常に便利なのだ。」
じゅえる「つまり、簡単に言うと猫にゃん棒本来の能力は単に念力発生だけで、それを作用させる対象が人間であれば非常に相性が良い、ということだね。」

釈「他の動物棒だと、どうなのです。」
まゆ子「つまり、犬わん棒であれば、物体に対して特に良く効く。猫にゃん棒だと両手でトラックひっくり返すのを、片手でやってのける。というか、噛みつき機能があり、直接に物体を噛み砕く事も出来る。また銃弾を弾き返すのにフィールド発生は必要無く、単純に「弾き返す」と意図するだけで効果が有る。戦闘には特に向いている能力だ。」

じゅえる「なるほど。あくまでも猫にゃん棒は闇に隠れて使うのが相応しいわけだ。」
まゆ子「念力ではあるのだが、人間に特に相性が良い特性を利用すれば、というか訓練が必要だが、相手に気付かれないように念力を作用させて、自在に秘密を喋らせたり、無理なお願いを聞かせたりも出来る。」
釈「諜報機関御用達、というわけですね。」
まゆ子「てなわけで、物語の最初の方では双方ともに猫にゃん棒で闘う局面がしばしば出現するわけだ。」

まゆ子「あとオプションで、猫にゃん棒を使えば感覚が鋭敏となり、それこそ猫並の能力を持つ。ま、これはどの動物棒でも一緒だけどね。ちなみに犬わん棒であれば、鼻が特に効く。」
釈「それはちと厄介な能力ですね。」

          **********

 

じゅえる「言いたいことは良くわかった。そんだけの能力があれば、猫にゃん棒でハードボイルドするのに不足は無い。
 でも、舞台はそれ現代?」
まゆ子「そうだよ。」
じゅえる「うーん、特別に厄介な場所を用意しないといけないようだねえ。魔都上海とか。」

釈「ついでに、他の動物棒についても設定を詰めておきましょうよ。狐はどうですか?」
まゆ子「狐こん棒は、七色のマジックアイテムだ。人を誑かせるのがとても簡単。或る意味猫にゃん棒の対極に有る。
 猫にゃん棒はあくまでも相手の人間に対して魔法的な働き掛けをしていると気付かせない工夫が必要だ。これに対して狐こん棒は、人間を直接に操作する。夢を見せる事が出来る。」
じゅえる「ほお、夢をね。」
釈「夢で誑かせるのですね。」
まゆ子「狐だから、魔法的な能力が無いとつまらないでしょう。」
じゅえる「もっともだもっともだ。」
まゆ子「無論念力も随分と派手に発揮出来るよ。狐こん棒は物体を空中に持ち上げるのが得意。ふわふわと数秒から分程度、かなりの重量物を持ち上げたままにしておく事が出来る。つまり物体に対しての念力フィールドをかなりの長時間発動できるのだ。あくまでも直接に目の前に有る物体に対して機能するフィールドを形成する。
 これは厄介な能力で、つまりは一人の術者が同時に何個もの物体をコントロールできるに等しいのだよ。猫にゃん棒であれば、両手を使ってせいぜい2個であるのに、無数の物体を宙に舞わせてさまざまに動かして見せるんだな。」
釈「無敵ですね。」
まゆ子「とはいうものの、狐の直接コントロール下に無い物体は、直接念力によって排除できるから特に問題無いとも言える。」
じゅえる「うーん、使いようだな。」

まゆ子「狐こん棒は使い方が難しいんだよ。だからこの使い手は相当の術者であって、猫にゃん棒ではとても手が出せないと考えてよい。狐こん棒に直接効果有るのは、狼、大神棒だ。」
じゅえる「狼わおん棒ではないのかい?」
まゆ子「おお、そのネーミングもろた!」
釈「まあ、いいですけどね泥縄万歳。」
まゆ子「狼わおん棒は、簡単に言うと他の動物棒の念力をまったく受け付けない。それでいて物体を直接に強力にコントロールするし、犬わん棒とおなじく噛みつき攻撃能力を持つ。最強の攻撃動物棒だ。狐こん棒の夢を打ち払う効果も、猫にゃん棒の対人念力フィールドも解除出来る。」
じゅえる「狼わおん棒は、特別に人を操る能力は無いのかな。完全攻撃型でお終いかな。」
まゆ子「うーん、月を見ると、というのもなんだあ。爆発的破壊力も持つし。そうだな、予知能力くらいはあってもいいか。」
釈「そんな毛色の違う能力混ぜてもいいんですか?」
まゆ子「天気予報程度で、いや違う。なにか特別な異変を嗅ぎつける能力を持つんだ。」
じゅえる「まあ、その程度ならいいか。念力フィールドの形成は?」
まゆ子「犬わん棒、狼わおん棒ともに念力フィールド形成は出来ない。つまり持続性のある念力使用は不可能。」
釈「制限としては、そんなものですかね。」

じゅえる「狸ぽん棒は、というか余り強くない方がいいか。」
まゆ子「そうだね。物理物質の操作がほとんど出来ない、てことにしておこう。せいぜい飛んで来る石をぽよんと弾くバリア機能程度だ。故に術者自身を持ち上げて運動も出来ない。
 ではあるが、念力フィールドの形成は出来る、というか極めて大きな念力フィールドを形成して人を取り込んでしまう。広場全体くらいを蔽い尽くすね。」
釈「人がその中では思うがままに動く?」
まゆ子「そんなに上等じゃない。念力フィールドの中では他の動物棒は、狼わおん棒以外の能力が発動しない。当たり前だ、狸ぽん棒のフィールドの中に居るのだから。無理やり発動させると、もの凄く重く不自由に感じる。
 あと一般人に対しては、なんだか眠たくなる攻撃も出来る。重くて眠い、てのが狸ぽんフィールドの特徴だね。
 つまり、狸ぽん棒のフィールドの中では、拳銃等を持っている者が有利なのだ。」
釈「うわ、えぐいですね、その能力。」
まゆ子「もちろん、狸ぽん棒の持ち主は自分の形成したフィールド内でも念力は使える。敵の物理攻撃を跳ね返すこともできる。」
じゅえる「酷いチートだ。」
まゆ子「問題は、その便利フィールドの形成には結構時間が掛るてことだ。待ち伏せ型であるわけだよ。」
釈「銃弾は防げるのですか、この狸ぽん棒は。」
まゆ子「無理だな。だが問題は無い、普通の人間は防げないもんだ。注意深く老獪であれば、便利この上ない棒だよ。」
じゅえる「人が眠ってしまう能力、てのはコワイよねえ。」

釈「これだけあれば困りはしませんが、他はどうしますか作ります?」
まゆ子「猿とムジナは作っておこうか。」
じゅえる「猿はちょっと特殊そうだな。」
まゆ子「猿きゃきゃ棒は精密作業が可能、てとこだ。他の棒では不可能な極めて精確な念力の行使が出来る。機械やコンピュータ、人体の手術も出来る。無論目をつぶったままでも作業出来る。」
釈「スタープラチナですねえ。」
まゆ子「いやそんなに早くないから。でもパワーは大したもんだ。そうだね、猿きゃきゃ棒は自動車ひっくり返しとかはできないんだ。そんなに大きなものは扱えない。ただ小さな、人間が手で扱える大きさのものであれば、鋼鉄の棒であってもねじ切るほどのパワーが有る。」
じゅえる「他の棒ではそんなことは出来ないんだ。」
まゆ子「ねじ切る、というのは難しくてね。例えば敵の拳銃を弾き飛ばす破壊する、てのは大体の棒で出来るんだけど、拳銃を握り潰すとかは猿きゃきゃ棒だけだね。ちなみに狸ぽん棒には一般人が持っている武器をどうこうは出来ない。」
じゅえる「自分の身体を浮かせるとかは?」
まゆ子「猿きゃきゃ棒は特殊で、術者が自分の身体を使って特殊移動をするように見える。自分自身の身体能力を強化したように見えるてことだね。」
釈「ふむ、猿能力であればその方が正しいですかね。」

じゅえる「ムジナはー、無くてもいいぞ。」
まゆ子「いやムジナは大切なのだ。狸でもいいんだけどさ、地面に潜る能力があるんだ。」
釈「はあ、それはムジナ棒でもいいですが、でも狢○×棒てのは思いつきませんね。」
じゅえる「ムジナって、なんて鳴くの?」
まゆ子「さあ?」
釈「えーと、穴掘って隠れるのですか。」
まゆ子「ただ穴を掘るだけでなく、穴を掘った形跡を見せないのだ。もちろんコンクリやアスファルトにも穴が開くぞ。」
じゅえる「そりゃあ、強力過ぎはしないかな。」
まゆ子「では直接棒で触ったものにだけ穴が開いて中に入れる事にしよう。遠隔効果は無しだ。」
釈「弱いですよそれ。」
じゅえる「そうだねえ。穴掘りに付随する能力としてはー、いや銃弾とかは効果無い無敵装甲というのはどうだろう。直接接触するものには効果有りだ。」
まゆ子「ふむ。防御力最強か。なるほど案外と使えるな。狼わおん棒にも効果有りで。」
釈「あと、落とし穴で」
まゆ子「ふむ。」
じゅえる「人を壁の中に塗り込めるとかも出来るんだ。」
まゆ子「猟奇殺人とか工作員が行方不明になるとかで便利な能力だな作劇上。」

釈「熊棒は、熊がお棒ですか。」
じゅえる「パワーだね。」
まゆ子「でも他の棒もパワーでは困ってないぞ。」
じゅえる「いやパワーだ、それ以外の要素を突っ込んではならない。熊だから。」
釈「そうですね。イメージを壊しちゃいけませんよ。読者も困惑します。」
まゆ子「じゃあ、ビルをも一撃で破壊する超強力なパワーで、戦車もミサイルも効果無しの無敵のバリアーを持つ。」
じゅえる「うむ、あんま面白くないぞ。」
釈「それは無しで。」
まゆ子「では、戦闘時には素晴らしいパワーを発揮するというところで、特殊能力は別に用意する。諜報に役立つのがいいか。」
釈「治癒魔法が使えるのはまだ無いですね。」
じゅえる「いやそれは! 兎ぴょん棒の能力にしよう。」
まゆ子「おお、うさぴょん棒か。なるほど。それは女の子用だ。」
じゅえる「熊はあれでなかなか器用なのだよ。木に上ったり鮭取ったり。」
まゆ子「ふむでは、ビルの外壁を上ったり、水中を潜ったり出来るようにするか。ビルの壁をぶち破ってムジナも追える。」
釈「全領域型で、そのどこでも無敵ということですか。戦闘に向いてますね。」

釈「で、兎ぴょん棒です。治癒能力と跳躍能力走行能力、ですか。」
じゅえる「戦闘力は無しで。」
まゆ子「兎もけっこうやるんだよ。といってもだね、うーん蹴飛ばすくらいか。」
釈「いざとなったら敵をふっとばすくらいは出来るんです。でも女の子は弱いのですよ。」
まゆ子「うむうむ。というか、猫にゃん棒は女の子にも向いてるのだ。」

釈「まとめます。

 猫;猫にゃん棒 自動車をひっくり返すほどの強力な遠隔念動力を用いる。術者自身の身体も持ち上げて宙に浮く高度な運動が可能。拳銃弾を防げる。
           人間に対して特に親和性の高い持続念力フィールドを形成し、プログラム動作可能。
           また人間の行動を本人が気付かぬまま密かに操作して、諜報活動に便利に使える。
           感覚が鋭敏になり、特に暗夜に目が効く。

 犬:犬わん棒  猫よりも強力な遠隔念動力を用いる。術者自身の身体に作用して高度な運動が可能。物質を直接に砕く「噛みつき」能力が有る。
           特に意識しなくても拳銃弾を防げる。それ以上の銃器攻撃に対してもかなりの抵抗力を持つ。
           念力フィールドの形成、持続的効果の能力は無い。
           感覚が鋭敏になり、特に鼻を用いて嗅覚による追跡が可能。

 狼;狼わおん棒 超強力な遠隔念動力を用いる。術者のからだに作用して高度な運動が可能。他の念動力の影響をまったく受け付けない。「噛みつき」能力が有る。
           他の動物棒が形成した念力フィールドを破壊出来る。特殊な予知能力を持ち、異変や異常を起きる前に察知出来る。
           基本的に犬わん棒の上位バージョンであり、犬わん棒に出来る事はなんでも出来るが、術者が限られる。

 狐;狐こん棒  強力な遠隔念動力を用いる。特に術者の身体を空中に浮遊させる能力に長ける。拳銃弾を防げる。
           空中に持ち上げた物体に持続的に念動力を作用させて数秒以上の運動の持続が可能。意識の集中が要らない掛け捨てに出来て、複数個同時浮遊も可能とする。
           念力フィールドを形成して、接触した人間に任意の夢を見せる事が出来る。また人をそのまま操れる。しかも複数同時に使える。
           人間の行動を本人が気付かぬままに密かに操作して、任意の行動を取らせる事が出来る。意に反する行動も可能とする。
           感覚も鋭敏になる。

 狸;狸ぽん棒  弱い遠隔念動力を用いるが、精密な動作が出来ない。飛来物を撥ね除ける程度。銃弾を防げない。
           念力フィールドを形成して、人を眠らせる能力を持つ。また直径100メートルを越えるフィールドを形成して、その内部での念力発動を強力に抑制出来る。
           故にフィールド内に入った別の術者は強力な眠気と共に防御能力も失われ、銃弾他物理手段による攻撃に抵抗力を持たない。
           ただし、狼わおん棒の術者に対して抑制効果は無い。また広域フィールドの形成には1分程度を必要とする。
           感覚の鋭敏化は無いが、フィールド内の情報を手に取るように知る事が出来る。
 
 猿;猿きゃきゃ棒 強力かつ極めて精密な遠隔念動力を用いる。人間が手で行う精密作業が視覚による認識を必要とせずに可能となる。遮蔽物を透過しても可能である。
           ただし、人間が手で扱える大きさ以上の物体は扱えない。扱える範囲内の小物体であれば、鋼鉄塊であっても変形出来る強力さが有る。
           術者自身の身体を持ち上げて高度な運動が可能だが、外見上は術者本人の身体能力が異常に強化されたように思える。
           感覚が鋭敏となる。また遠隔操作先の情報も手に取るように認識出来る。さらに体感時間を加速して速やかに行動が出来る。
           念力を用いての会話が出来る。それも相手の耳元に直接語り掛けることで、精神的圧力を加える。

 狢;狢あな棒  接触した物体に対して穴を開ける特殊な念動力を用いる。また痕跡を残さずに修復も出来る。遠隔操作は不能。念力フィールドの形成も無い。
 (もぐらもち棒) 地面にも穴を開けて潜ることが出来るが、地中に空洞が無いとさすがに潜れない。空洞までの距離は1メートル弱を限界とする。事実上壁抜けのみ。
           砂、泥であれば一時的に空間を押し開けて潜む事は出来る。呼吸手段は別途必要。
           物理攻撃に対しても接触時に効果を発揮し、見かけ上は物理攻撃を受け付けないように見える。
           穴を開けた場所に物体や人体を置いて閉じ込める事が可能。隠匿に最適。

 熊;熊がお棒  数十センチ程度の近距離に作用する極めて強力な念動力を用いる。近距離であるから直接に物体を破壊出来る。
           小銃弾から小口径砲の物理攻撃を防げる。火中でも活動出来る。その際呼吸を10数分も停止出来る。これは念動力で空気を圧縮して保有すると考えられる。
           術者の身体に作用して能力を格段に向上させたような運動が可能となる。特にビル壁面を登ったり、水中活動を得意とする。だが浮遊や飛行は不可。
           敵念動力に対しては、遠隔念動力が自身の念動力を越える事はほぼ有り得ず、事実上無敵。念力フィールドによる精神攻撃は有効。
           感覚が鋭敏になる。

 兎;兎ぴょん棒 術者自身の身体に作用して高度な運動能力を発揮出来る。また近接物体を強力に弾き返す事が出来る。銃弾を防げない。
           念力フィールドを形成して負傷者の治癒が出来る。外傷であればかなりの効果を持つ。また急性の毒物中毒に対しては効果を遅延させる能力を持つ。
           念力フィールドの効果は集中を解いても持続出来る。ただし早期の正式な医療を行うべきである。
           他の術者による精神攻撃にかなりの抵抗力を持つ。これは自身に対して治癒能力を作用させるからである。
           感覚の鋭敏化、特に聴覚の向上がある。

 鼠;鼠ちゅう棒 念動力の発動がほとんど無く、物理的効果が無い。当然防御力を持たない。
           故に精神的効果のみが発現する。発動すると、自身の存在を他者感知するのが非常に困難になる。こっそり動ける。
           任意の人物に対して遠隔で会話が出来る。その際念話を聞かされる者はそれがあたかも自身の内心の声のように感じて、外部からの操作だとはほぼ気がつかない。
           声に従って鼠ちゅう棒を作らせる事が出来る。誰が作ってもほぼ能力を発揮する為に恐ろしい増殖力を持つ。
           故に最悪最凶の動物棒として、各国機関が撲滅に当っている。物語における最終的な邪悪。
           感覚が鋭敏になる。細部まで偏執的に気にするようになる。

          **********

 

じゅえる「あとは、外的環境、世界観だ。」
釈「そもそもそんなもの、誰が作ったのですか? 魔法使いですか?」
まゆ子「あー、帝国陸軍!」
じゅえる「うう、日本軍はろくでもない武器ばっかり作りやがる。」
まゆ子「世界観は、冷戦下の20世紀。70年代頃てするか。旧帝国陸軍がこしらえた猫にゃん棒を駆使して闇に闘う諜報機関があるわけだ。」
釈「携帯電話は無しですか?」
まゆ子「ケイタイは無しだ。」
じゅえる「あれは便利で作劇上不便な機械だからねえ。」

釈「でも敵も猫にゃん棒持っているのですよね。」
まゆ子「日本敗戦後帝国陸軍の秘密兵器を押収した米軍で開発が続けられ、戦後の対共産主義闘争で随分と活躍した。だがイスラエルに供与した猫にゃん棒の技術が流出して。両陣営に拡散したのだ。」
釈「イスラエルのあの体質はなんとかなりませんかねえ。」
じゅえる「というわけで、猫にゃん棒を東西両陣営が行使してスパイ合戦を繰り広げるわけだ。世も末だな。」

釈「とはいえ、さすがにそれだけでは猫にゃん棒で戦うのも無理がありますよ。」
まゆ子「共産主義では弱い?」
じゅえる「うーむ、今の読者には訴えかけるものが少ないかもしれないな。まだイスラムテロ組織の方が分かりやすい。」
まゆ子「ふーむ。ちょうどいい悪党か。経済的な悪党が今は主流ではある。だがそういうのもなんだなあ。」
釈「主人公が正義サイド、というのもアレかもしれません。でも”24”みたいに極悪テロリストとかもなんですねえ。」

まゆ子「なんか超極悪人て居ないものかしら?」
じゅえる「宗教? いやそれも、」
まゆ子「古代の旧支配者とか? 悪魔神崇拝とか?」
釈「国家はあれですから、謎の秘密結社とか、」

じゅえる「いやここは素直に、黙示録の獣にしよう。獣つながりで、いま猫にゃん棒の威力を目の当たりにした人類は、獣の力に目覚めてしまったのだよ。
 核の力に継ぐ、獣力だよ。」
まゆ子「いやそもそも猫にゃん棒の原理は分からんのだが、……だからこそ、にするか。猫にゃん棒量産をする為には、猫にゃん棒が何故動くのかを解明しなくちゃいけない。それが、」
釈「”黙示録の獣”ですか。」

          **********

じゅえる「ちょっとまて、でもなんで帝国陸軍は猫にゃん棒開発に成功したのだ???」
まゆ子「まあほとんど偶然だな。兵器として獣を操る方法を研究して居て、また兵士に獣の能力を付加する研究をしていて、なぜか猫にゃん棒が念力を発生させるものだと発見してしまった。」
釈「ではこうしましょうい。猫にゃん棒の実用化に間も無く、というところで広島長崎への核爆弾投下で妨げられて実戦配備できなかったのです。」
じゅえる「まじ鉄人だな。」
まゆ子「よし!考えた。まずは何故に帝国陸軍は猫にゃん棒を開発したか?
 話は簡単で、元々は武器でもなんでもなく、連隊の慰安で演芸会をやったのだ。そこで鍋島猫騒動の舞台を素人演劇で楽しく作ってた。
 ところが、化け猫役がオモシロ半分で持っていた猫にゃん棒で本当に念力が発生して、舞台は大盛り上がり。
 その異常さに気が付いた将校がその化け猫役の兵士を呼び出して目の前で実演させて、ほんとに超能力使ってるじゃん! と発見されたわけだ。」
釈「なんというか、面白過ぎますねそれ。」

まゆ子「で、徹底的に研究され新兵器に、といっても上手くいく道理が無い。気の毒な兵士はさんざん実験された挙げ句に、猫が憑いて死んでしまった。」
じゅえる「ほお。猫にゃん棒はそんな恐ろしいものなんだ。」
まゆ子「うん、この猫あるいは犬神が憑く現象は術者の魂を食らい尽くして廃人、いや死に至らしめる。猫にゃん棒の使用は案外と人を選ばないのだが、これに耐えられる人間はなかなか選出が難しいのだ。
 話を進めると、念力を使える兵士が死んだ後も研究は続くが、誰が使っても念力は出て来ない。事実上ただの猫にゃん棒に成り下がってしまい、研究は頓挫。」
釈「ふむ。」
まゆ子「ところが、研究室にいいかげんに保管されて居た猫にゃん棒は、というか死んだ兵士の特有の超能力と思われて猫にゃん棒への興味が無くなって居たのだ。そこに、たまたまやって来た掃除の当番兵が、これまたたまたま開いていた保管庫の中の、たまたま表に出されていた猫にゃん棒を不用意に触って念力発動をしてしまう。」
じゅえる「素質の有る者でないとダメ、ってこと?」
まゆ子「この当番兵もまた徹底的に実験されて、或る法則が発見された。
 つまり、猫にゃん棒の術者はおそろしく普通の人であること。生まれつきの超能力も霊感も無く、遺伝的にもその類いの能力者が居らず、宗教にも世間一般以上の熱心さを持っておらず、というか神様やら祟りやらにほとんど無関心で、どちらかというと現代的で現実主義者。奇蹟やら超能力も信じておらず、またそれまでの人生でそういうものに遭遇していない。
 ついでに言うと、子供の頃に特別に犬猫に関心が有ったとか、動物に関する深刻な事件に遭遇とかも無い。
 まったくもって普通。
 ただ、おそらくはこれが決定的な条件だろうが、猫にゃん棒に接触する際にもそれが何か知らず、念力超能力の存在など露ほども考えなかった。」
じゅえる「猫にゃん棒は単なる切っ掛けに過ぎない?」
まゆ子「いや、握ってないとどちらの兵士もやはり念力は使えない。ただ、握っていると想像することで限定的に念力が使える、少なくとも猫的に感覚が強化されるくらいは有る、と判明する。」

釈「うーん、でもそれは困った条件ですねえ。」
まゆ子「特に問題なのが、猫にゃん棒そのものに全くもって発動を促す因子が見出せない。ただのおもちゃに過ぎないのだ。」
じゅえる「では量産も不可能?」
まゆ子「もちろん大量に作って、それらしい条件を満たす兵士にそれとなく接触させてみるが、もちろんなーにも起きはしない。
 また二番目の兵士もやはり実験で精神的負担が強過ぎたのか神経衰弱に陥り、兵士研究員10数名を殺害して射殺される、という悲劇的な最期を遂げる。」
釈「呪われた研究ですね。」
まゆ子「とはいうものの、念力の発動が再現出来たのは大きな前進。オリジナル猫にゃん棒を利用してまた被験者を探すが、三番目は不思議なところから発見される。
 猫にゃん棒の研究者は大量の量産型猫にゃん棒の在庫を抱えてしまうわけだ。もちろんまったくもって役に立たないことが証明された、ほんとのおもちゃだ。
 で、或る研究者はこの余計なおもちゃを家に持って帰り子供に与えると、なぜか念力発動する。」
じゅえる「うーん、つまりは条件に見合う者が身内に居たんだ。」
まゆ子「なにせ身内の子供であるから、今度は慎重に実験を繰り返し、猫にゃん棒が持つ真の能力が様々に発見される。
 幸いなことにこの子供、或る日突然能力が喪失して実験は終了する。猫に憑かれたりもしなかった。このケースから推測して念力発生を阻害する条件が確定する。
 つまりは、猫にゃん棒で猫をいじめてはいけない。猫に危害を加えるような真似をすると、猫の力は無くなってしまう。」
釈「ふーむ、当たり前ではありますが、やはり猫なんですね。」
じゅえる「犬わん棒は、犬を苛めてはいけないんだ。」
まゆ子「やはり動物に関連する能力なのだ、と改めてはっきりしたわけだね。」

じゅえる「それが、時代的には何時頃?」
まゆ子「1930年から40年あたり。その後太平洋戦争に突入して新兵器開発が進む中で、猫にゃん棒研究はまったく進展しなかった。そりゃそうだ、術者が見付からないとなんにもならない。」
釈「困った研究ですねえ。」
まゆ子「待望の適合者は実に1945年のお正月に見つかった。それも研究の対象外である、まったく関係の無い民間人の女学生。しかも猫にゃん棒は彼女の手作りだ。
 この娘は念力の術者としてはほとんど役に立たない、実戦に使えるほどの強力な念動力を発揮出来なかった。が、猫にゃん棒作りの名人で、彼女が作った猫にゃん棒を用いると何人も術者が発生した。というか、同じ猫にゃん棒を用いてずぶの素人が念動力発動が出来たのだ。」
じゅえる「おお! 待望の人材だね。」
釈「それは帝国陸軍も期待しますね。」
まゆ子「で、実戦配備に向けて術者の能力強化に務め、遂には模擬演習で歩兵1箇小隊に勝てる程のパワーを発揮する。術者の数もどんどん殖えて、遂に10人を突破する。
 ここに於て、本土決戦猫にゃん隊を結成して、本土決戦に備える。これが6月のお話。」
釈「8月には原爆が落ちて、終戦。ですね。」
じゅえる「結局本土決戦は無かったわけだ。」
まゆ子「ちなみに女学生、日本が負けた玉音放送を聞いてがっくりして、以後猫にゃん棒作りを止めてしまう。残された12本の猫にゃん棒が、その後進駐軍に押収され、術者研究者と共に接収される。」

じゅえる「ふむ。」
まゆ子「進駐軍では超能力研究の一つと看做して、データの洗い直しを行い、これが通常の、つまり西欧的な考え方とまったく違うものと判断し、放棄する。そりゃそうだ、猫にゃん棒を使って化け猫能力を用いるなんて、ねえ。また術者も強力を拒み、念力実演もしなかった。」
釈「まあ、通常の対応ですね。」
まゆ子「しかしながら、共産主義の台頭で日本を巡る環境は一変。朝鮮戦争に突入して、猫にゃん棒による念力研究が再開される。日本側の研究者も協力を始めて術者を説得。とはいえ数年のブランクで使える者は2人にまで減っており、猫にゃん棒も数本が機能を失っている。ただし残ってたものは強力で、今度はアメリカ人研究者の中からも術者が発生する。」
釈「おお!」
まゆ子「研究はアメリカで行われたが、ここでまた例の問題に直面する。猫にゃん棒を作れないのだ。
 当然、例の女学生を探すのだが、残念なことに結核で亡くなっておりました。幸いなことに彼女の妹があり、妹が作った猫にゃん棒も10本に1本はなんらかの反応を見せる。
 だが実用に足りるほどの強力なものは姉のようには出来ず、1000本の内3本がやっとだった。また、誰にでもではなく術者を選ぶ棒になる。」
じゅえる「姉は惜しかったなあ。」

まゆ子「ところが妹が遊びで作った、というかそりゃ毎日毎日猫にゃん棒作らされたら飽きるさ、で犬わん棒を作ったら、これが大当たり!
 最初の1本から実用に十分な念動力を発揮する術者が得られ、しかも他の者が用いても機能する。やた! と誰もが思った。」
釈「だが、」
まゆ子「だが8本の犬わん棒を作ったところで、交通事故に遭って死んでしまう。いや、そんな事故なんか起きるはずの無いアメリカの田舎に有る秘密の施設だったのに、死んでしまう。」
じゅえる「犬神に祟られたか?」
まゆ子「らしい。というのが日本人研究者の結論。だがもちろん米側の方では納得しなかった。とはいえ、他に説明出来る論も無し。
 残されたのは、計22本の実用レベルに強力な動物棒だ。ちなみに、猫にゃん棒12本、犬わん棒8本、もぐらもち棒が2本だ。」
釈「なんですかそれ、もぐらもち棒って。」
まゆ子「姉妹が作ったものではなく、日本で発見されたまったく計画外に製作された念力動物棒。もぐらもちの力を使うとされる。これは後の狢棒なのだ。」

          **********

じゅえる「姉妹が死んで、で製造はどうなったの。」
まゆ子「誰も作れない。のだが、猫にゃん棒は人を意のままに扱う念力を持つ。これで特定の人間をゆらゆらと揺らして居たら、動物棒を作る能力を発揮する者が出現する。
 念力実験の被験者として雇われていたネイティブアメリカン、インディアンの男をゆらゆらして居たら、その娘がいつの間にか猫にゃん棒を作り始めている。」
釈「つまり、猫にゃん棒は自らを作る能力を持つ、という事ですか?」
まゆ子「いや、猫か犬か、別の動物かは作成能力を持つ者の資質によって変わるらしい。

 だが実はこの発見は恐ろしい話であり、猫にゃん棒研究は一度凍結される。そりゃそうだ、猫にゃん棒が自ら猫にゃん棒を作る、というのはほとんどオカルトでね、誰もが瞬時に行きつく先はヤバいと感じたのだ。」
じゅえる「たしかにそれはヤバい話だ。」
釈「動物霊に人間界が支配されるような話ですからね。」

まゆ子「というわけで、今は動物棒の製作は極めて厳重に管理されて行なわれている。また実戦配備も始って、東西冷戦の真っ只中の諜報戦に投入される。」
釈「でも、両陣営に動物棒は拡散してるんですよね? やはりスパイの仕業ですか。」
まゆ子「うん、まあそうだ。でも実はこの猫にゃん棒量産が絡んでいる。つまり、念動力を浴びた人間もしくはその親類縁者に猫にゃん棒作りをする能力者が生まれる。これが良くない。敵側に念力を使っちゃうと、相手の側にも猫にゃん棒が生まれる可能性が有る。」
じゅえる「う、む? それヤバいだろ。」
まゆ子「やばいのだ。スパイ合戦をしている最中に東西どちらで、何故か念動力実験をしているという情報が飛び込んで来て、調べてみるとどうやら猫にゃん棒が相手側にも出現したらしい、というわけだ。
 やむなくアメリカは極秘に研究成果を公表して、猫にゃん棒増殖の恐怖を相手に伝える。
 実はこれにびびったのはむしろ共産陣営だった。つまり、いい気になって反対者に念力を行使していると、いつの間にか反社会反共産運動の側に猫にゃん棒が出現するかもしれない。それはヤバい、と製造も行使も極めて厳重に管理するようになる。」

釈「どう規制したのですか?」
まゆ子「そこでだ。誰にでも使える猫にゃん棒というのが一番危ないと判断し、封印。術者が限られる限定的な猫にゃん棒のみを実用に投入する。また念力を用いた際には誰にどう使ったかを詳しく記録し、影響調査を家族親族にまで手を伸ばして動物棒製作が行われないように注意する。
 幸いにして、猫にゃん棒はいきなり作ったとしても効力を発揮しない事の方が多い。適切な術者と巡り合わないとただのオモチャで終る可能性がかなり高い。また、何本も作るものではないと判明している。長時間の念力行使を浴びれば別だが、一回ふっ飛ばされたくらいではそこまで深刻な影響は無い。すぐ製作に飽きてしまう。」
じゅえる「つまりは、増えないように慎重に見張っていれば、なんとかなるわけだ。」
釈「なかなかヤバいお話ですね。核兵器並にヤバいですよ。」
まゆ子「というわけで、諜報機関の中でも特別に存在を秘匿された超能力部隊が物語の主役となる。猫にゃん特秘隊だ。」

釈「でも世界中に拡散した訳ですよね。物語の舞台となる時代に、何本くらい有るのですか?」
まゆ子「100本は無いと思われる。というか、100本以上を実用にしていない。猫にゃん棒も術者によって能力の大小が決まるから、十分実戦レベルに到達しないものは現場に出していない。また、弱い力しか持たない猫にゃん棒であっても猫にゃん棒製造能力者の発現には寄与するかもしれないので、力の弱い棒も厳重な管理下に封印される。いや実用に適しないと思われるモノは積極的に廃棄している。」
じゅえる「安全第一、ね。」
まゆ子「種類はやはり犬と猫が一番多いらしい。猿と兎が続き、それ以外はほとんど一桁。狼わおん棒に到っては1本しか確認されていない。」
釈「狐と狸もダメですか。」
まゆ子「狐は能力が大き過ぎて人間の手に余ると考えられている。また術者が諜報機関当局のコントロールから脱して自力で動き始める傾向が有り、現場には投入していないはずなのだ。
 一方狸は「ハンター」と呼ばれている。動物棒能力者を捕らえるのに適した能力であり、適合した術者はいずれも強力な能力を発揮して各国で切り札扱いされている。皮肉なもので、動物棒を封じる能力が今一番必要とされるわけだ。
 ちなみに熊棒は最近ソビエトで開発されたと噂される謎の動物棒。能力は未知であり、物語中で初めて遭遇するというシナリオね。」

           **********

じゅえる「まあ、大体形が見えて来た。のはいいが、そもそもなんで猫にゃん棒で念力が発生するのだ? 原理はなに?」
釈「まあ、念力超能力の原理なんて誰も知らないんですけどね。」
じゅえる「それを言っちゃあお終いだ。どうなの? やっぱ有るものは有るんじゃあ、で通すの?」
まゆ子「最終的にはそういう事にする以外、手は無いな。なんせ念力なんだもん。」
釈「ですよねえ。」
じゅえる「納得いかんぞ。なんで、というか歴史上これまで猫にゃん棒で念力バトルする集団なんてものは無かった、という設定でしょ? それとも古代より連綿と続く猫にゃん一族に伝わる秘伝の棒なのかい?」

まゆ子「あー、猫にゃん棒による念力発動は、1930年頃の最初の発現以前はありません。日本のみならず世界中で、です。
 とはいうものの、念力による奇蹟や超常現象は世界中いたる所で観測されてるわけでして、それは現実世界の奇蹟と同じ頻度で起きてますね。」
釈「つまり、猫にゃん一族は無し、設定ですね。」
まゆ子「ありません。いや、この猫にゃん棒発動条件、適格者の条件が「特に宗教に入れ込んでない、また家族の中にもそんな人が居ない、世間一般常識以上のお付き合いしかしない宗教的に極めて平凡な人」です。」
じゅえる「ほお……、不思議な条件だ。」
釈「逆ではありませんか、普通?」
まゆ子「そう、通常の物語では逆さだね。特別に宗教に入れ込んでる人、あるいは古来からの特別な血を受継ぐ家系によって超能力が発現する。
 でも猫にゃん棒は逆なのだ。宗教はむしろ発現を妨げる。」

じゅえる「それが、原理。」
まゆ子「それが原理だ。いや、そもそもなんの為に宗教は有るか、という根本問題にまで遡る。
 釈ちゃん、宗教って何の為に生まれたか知ってる?」
釈「はあ、それは人知の及ばぬ自然現象やらどうしようもない運命やらを説明する為に、いや説明では足りませんか、理解して制御する為の道具として、あるいは共同体の共通認識として現象を理解する枠組みとして、発生したと思いますよ。」
まゆ子「それはつまり、人間が自ら神を作った、という理屈だね。」
釈「そうですね。人間の以前に神が居たかどうかはそりゃあ分からないのですが、居るという証拠が見付からないからには、居ない。人間の妄想の産物と看做すのが、現代的な発想ではないでしょうか。」

まゆ子「それだ!」
じゅえる「どれだ?」

まゆ子「現代的な発想だ。つまり現代人は、まあ100年ほども前の人類からは、神というものを信じなくなった。少なくともそれ以外の自然現象の説明を理解している。それが現代だ。」
釈「まあ、そうですね。神を信じる人は居ても、進化論を理解しないではないし、進化論を否定する人だって進化論というやり方で説明が効くくらいは心得てます。」
じゅえる「それがダメなの。」

まゆ子「それで、ダメになった。と考える。
 つまり、合理的論理的に神など居ないと思い始めた人類は、神やら宗教やらが果たして来た役割が失われる事に無頓着で、故にそれらが封印して来た念力、人間の獣性に基づく超自然の力を封じる機能を失った。そう解釈する。」
釈「ほお。つまり人間は超能力を否定する為に神を作った、そう考えてるわけですか。」
まゆ子「別に不思議ではないぞ。神は元々からして、人間の知性では説明できない現象を理解し制御する、少なくとも制御出来る存在であると思い込む為の道具として生み出された、と既に言ってしまってる。であれば、念力それも動物のイメージと連携して発動する念力などという不可解なものを抑え込む為に使われるのは極めて自然だ。」

じゅえる「つまりは、人間は昔から猫にゃん棒を知って居たけれど、それがおっかないから神様に逃げ込んだ、というわけか。」
まゆ子「だっておっかないでしょお、もしも人間に念力が有って、しかもそれが自分の意志に反した、なんでそうなるか分からない働き方をしたとする。それを自分の力と認識できますか?」
釈「無理ですね。」
じゅえる「無理だわな。」
まゆ子「例えば怪談ですよ。世界各国種種雑多ありとあらゆる目撃談経験談があり、それらを詳細に調べても実体はなにも出ない。」
じゅえる「でないね、勘違いやら錯覚やら空耳やら、でしょね。」
まゆ子「その理解はまったくもって自然だ。でも、では彼等は何を見て勘違いしたのか? これを問わねばならない。」
釈「え、でも見間違いであれば、何だっていいのでは…、いや、少なくとも勘違いするくらいには印象的ななにかが有った、わけですか。」
じゅえる「昔の人間だって闇に怯えていたばかりではないさ。というか、今の人間より遥かに夜目が効いたのは間違い無い。なんでもかんでもおばけに見える、というのは有り得ないな。何かを見たんだ。」
釈「まあ、それが動物であれば、…でも普段見る動物であればそうそう間違ったりもしませんかねえ。」

まゆ子「そう。現代人は昔の人をバカにし過ぎなのだ。彼等は恐らくは、なにかを見た。感じた、直感したのだ。だが現代の我々は知っている。そこには何も無い。」
じゅえる「なんかそれこそお化けの話になってきたぞ。現代的な常識的理解であれば、そこには驚くべき何者も無い。にも関わらず、では昔の人は何を見てもびっくりしたのか、と問えばそんなわけ無いじゃん、て事になってしまう。」
釈「お化けの素はなんでしょう、という話ですね。それが、念力。」
まゆ子「急ぎ過ぎの結論だが、そういう事にしておこう。人間は本来、動物とイメージ的に合一することで超能力を発揮する事が出来る。のだが、それがあまりにも人間の身体感覚からかけ離れている為に、自分とはまったく関係の無いものとして知覚されてしまう。
 この恐ろしい現象を封じる為に、人間は神という概念を作り上げた。神の最もプリミティブなイメージは「ヒト」だ。強く大きく優れたヒト、それが「神」だ。

 つまり宗教の始めは、動物のイメージに関連する念力の発動を封じる為に、「ヒト」のイメージを使用した。そいうこった。」
釈「逆に言うと、人間を常に強く意識していれば、動物イメージの念力は発動しない。そういうことですか。」
じゅえる「だが現代社会になって人々は宗教から離れ始めた。宗教が与える強力な「ヒト」のイメージが薄らいで行く時代であった。」

まゆ子「故に、「ケモノ」が解放される。”黙示録の獣”だよ。」
じゅえる「うーむ。」
釈「哲学的ですねえ。」

          **********

釈「キャラクターをどうします?」
まゆ子「主人公は男! 渋い、若いけれど若過ぎない。22、3歳いやもっと上でもいい。少なくとも従軍経験があり戦場でそれなりの功績を上げ、さらに諜報員としての訓練を十分に積んでいる。プロだ。」
じゅえる「ハードボイルドであるからね。」
釈「でもそうすると、その人は或る日いきなり猫にゃん棒を握らされて、念力に目覚めた。てことになりますが、」
じゅえる「そういう条件だ。仕方ない。或る日いきなり猫にゃん棒を握らされて超能力戦士にさせられたのだ。」
釈「うわ〜。」
まゆ子「うむ、まさにそんなところだ。」
じゅえる「でも裏事情やらが無いとストーリーに厚味が出ないぞ。」
まゆ子「いやスパイ物には個人的な動機やら過去のしがらみは関係無いし不要なのだ。出て来る人物はどれも皆、諜報員という因果な商売をしなければならない理由を背負っている。だがそれゆえに、それらの事情は皆平均化してまったくに考慮に値しないものとなる。
 キャラに背景は有る。だが有るというだけに過ぎない。これがハードボイルドの世界観だ。」

釈「ということは、伏線もなにも無し?」
じゅえる「らしいね。面白くないぞ。」
まゆ子「そこは書きようだよ。それとも失われた過去の記憶とか作るかい?」
じゅえる「うーむ、ハードボイルドで行くというのなら、有っても無くてもいいかなあ。」
まゆ子「有るとしたら、猫にゃん棒の方だ。前に使っていた術者の記憶が流れ込んで来る、とかでいいぞ。」
じゅえる「そんなとこで妥協するか。」

 

釈「女、ヒロインです!」
まゆ子「死にます。」
釈「ヒロインですが、死にますか?」
まゆ子「ハードボイルドのヒロインは死にます。であるからには、死ぬキャラとして造型します。」
じゅえる「そういうキャラは、死なないような奴だけど死んじゃった、て方が良いぞ。」
まゆ子「でも、登場当初から危ういな、なんかこれ死にそうだぞ、という雰囲気を漂わせていてもいいじゃないですか。」
釈「うう、どちらも捨てがたい。」
じゅえる「じゃんけんだ。」
    ○×△……、まゆちゃん勝利!
まゆ子「というわけで、ヒロインは最初から死にそうです。」
じゅえる「陰気なキャラになるなあ。」

まゆ子「えーと、兎ぴょん棒の使い手です。治癒魔法を使えます。が、今は使えません。棒が手元にありません。」
釈「術者なのに与えられないのですか?」
まゆ子「いや、失った。うーん戦闘の結果、もしくは上層部の命令で。まあ良くある話でもあるのさ。貴重な棒であるから、別口で使うから権力で横取りされるっての。」
じゅえる「でも術者を必要としないで棒だけか。かなり不思議だな。」
釈「でもVIPの健康管理とかに使うのであれば、諜報機関から分捕っても不思議ではないでしょう。」
まゆ子「治癒であれば、特に魔法を使うまでもなかったりするからね。」
じゅえる「あー、20世紀の6070年代であれば、まあそんな割り切り方も有りか。」
まゆ子「でも訓練された術者であれば、手元に棒が無くても持っているとイメージするだけで、感覚の鋭敏化くらいは起こせますよ。兎であれば耳、聴覚だね。」
じゅえる「諜報機関であればそれは○、ということか。」

 

まゆ子「上司、男です。年齢は50歳程度。主人公の属する組織の支部長、という感じです。ちなみに動物棒は使えません。」
じゅえる「この人は動物棒に対しては、肯定的?否定的?」
まゆ子「肯定的。というよりも、それが確かに役に立ち、同時にかなり危険な物体であると理解します。なんといいますか、核兵器の管理人という感じですね。」
釈「猫にゃん棒はそれほどまでに恐ろしいものですか。」

じゅえる「経歴的には、諜報機関のプロという事でいいかな?」
まゆ子「動物棒の術者は続々と此地に集まって来る、という設定ですから、現場責任者である彼はなかなかの切れ者。経歴的にもナチスとも戦った、て感じですかね。」
釈「70年代で50歳代といえば、そんなところですかね。」
じゅえる「そうだ、ナチスだ。ナチスは動物棒に関係無いのか?」
まゆ子「まるっきりありません。そこらへんを茶かす言葉も台詞に入れときますか。「ヒトラーが知ったら、親衛隊一個中隊を動員して猫にゃん棒を追っかけただろう」とか。」
釈「でもヒトラーはオカルトに相当に興味を持っていましたが、」
まゆ子「念力の原理で説明したでしょ。「ヒト」のイメージが強いと、動物念力は発動しないんだ。ヒトラーじゃダメなのだ。」

 

まゆ子「狼うわん棒の術者。男40歳程度、背が高く筋肉も有り大きな、強そうな印象。白髪総髪で宗教の偉いヒトみたいに見える。
 世界で唯一の狼棒の行使者であり、また特有の能力として予知を持ち、しかも動物棒自体に関する重要事件であると示唆する。
 故に主人公達や各国機関が動物棒術者を舞台となる街周辺に集結させている。極めて重要な、指導者的人物。
 主人公サイドで味方であるが、大きな考えを持っている為に物語上どう転ぶかは未定。」
じゅえる「大物、ということか。」
釈「かっこいいんですか?」
まゆ子「かっこいいし強いし賢いし、ともかく雄大な人物だ。国家を動かすことさえ出来る発言力も持つ。”黙示録の獣”の概念を提唱したのも彼だ。動物棒関連の哲学者と言えるかな。
 ただ動物棒は宗教的なものを嫌う。故に彼も宗教とは無縁の人物だ。宗教的ではあるが、宗教者ではない。そこがキャラ造型の難しいとこね。」
釈「物語の核心に迫る際には絶対に必要な人物、ということですね。」
じゅえる「案外と敵になるタイプ、だな。無知無能な政府上層部に愛想をつかせて。」
まゆ子「定番ではあるが、もうちっと賢い展開にするように気を付けるよ。」

 

まゆ子「狐こん棒の術者。女20代後半の絶世の美女。一目で人を虜にする魅力を振り撒いている。
 だが狐こん棒は術者が動物霊に憑かれる危険が非常に多く、エキセントリックに成り易い女性は避けるべきとマニュアルに決まっている。故に、彼女はどこかの諜報機関の所属ではないと思われる。だが舞台となる街に誘われて現れ暗躍する。
 それ以外は未定だ。無論のこと主人公と深く関り合うべきだな。」
釈「物語的に、主人公を誘って政府や組織がひた隠す暗部に主人公を案内する役目、というのを振られるべきです。」
じゅえる「でも定番過ぎてイヤだな。どうする?」
まゆ子「ふーむ、物語をどの程度の長さにするか、だね。とりあえずは一巻300ページ見当というところで一応のケリを付けておくべきとして、狐女はこんなところでは死なないし、主人公が組織に絶望するような深刻な秘密は暴露されない。」
じゅえる「70年代を舞台とするスパイ物は、その程度では忠誠心は揺らがないのだ。」
釈「大人は汚い!」
まゆ子「ということは、狐女の活躍はこの巻においては重要なものではない?」
釈「どうしますかねえ。というか一巻に相応しい噛ませ犬的な敵を用意しておいて、双方を翻弄する毒婦というところですかね。」
じゅえる「通り一辺倒の能力バトルをするスパイ物、という枠組みを崩して引き出しを多くする。この巻ではそれで良いよ。」
まゆ子「ふうん、つまりこの巻を通じて或る一つの事件が有り、狐女はこの件には本質的な関り合いを持たない、てところね。」

 

まゆ子「「ハンター」、狸ぽん棒の使い手。男50代の紳士。まさに諜報機関における曲者であり、戦術的思考に優れ主人公を追い詰め狩り立てる。」
釈「狸ぽん棒はそんなに強いんですか?」
まゆ子「というよりも、この男が強い。街全体を眠りの罠として、動物棒術者を追い詰めて狩るのだ。目的はあくまでも諜報機関として邪魔者を排除する。ついでに動物棒の回収だな。」
じゅえる「その年齢であれば部隊の長もやってて不思議じゃないでしょう。組織内における階級はどうなの?」
まゆ子「いや、あくまでも現場にこだわるタイプだな。趣味は良いしカネも使う、金銭的な苦労は無いほどには儲けている。というか、責任者にならない代りにカネを貰っているわけだ。」
釈「それでいいのですか? 動物棒の能力者は出世してはいけないのですか?」
まゆ子「うーむ、やはり動物に憑かれた人間をトップにしてはならない、という暗黙の了解が有るらしい。現状では術者使い捨てが正しいのであって、この男もそういう理屈で主人公を心理的に追い詰める。」
じゅえる「なにか弱点は無いのか。」
まゆ子「念力のレベルが低いから弱点といえばそうなのだが、相手の能力を封じるからね。しかしながら時は70年代だ、仕掛け爆弾やらが効果的である。のだが、狸もやはりイヌ科の動物であり鼻でそういうトラップを見つけ出してしまう。そういう実戦的な思考は彼の得意とする所なのだ。」
釈「あくまでも、彼本人が強いわけですね。」
まゆ子「ただ幸いなことに、狸ぽん棒の能力は随分と理解されている。だから70年代にふさわしい手段で撃退に成功する。つまり、テレビカメラによる遠隔操作でエアガンを撃つ。火薬の臭いは検知しても、さすがにモーターで動くエアガンの機構までは見破れない。有線テレビを利用すれば狸のフィールド外から操作が出来るから沈黙させられないのだ。」
じゅえる「ほお。科学の勝利ってことか。」
まゆ子「ついでに言うと、彼にはもちろん部下が有り、フィールド内に突入して様々にサポートする。では一般人なら眠りに落ちるフィールドに入って彼等は何故無事か? 実は覚醒剤を使用しているのだ。」
じゅえる「ほお。それならこっちも使えばいいのに。」
まゆ子「まあ動物棒術者に薬物投与するのは動物霊に憑かれる危険が極めて高い禁忌なのだ。それに、狸ぽん棒術者に敵対的な人物には念入りに眠りの術を掛けるから、やっぱ効かないな。」

          **********

 

じゅえる「ところでさ、そもそもこの舞台となるのはどこなのさ?」
まゆ子「そりゃ東西両陣営が自由に暴れられる場所だから、限定されるな。中東のアフガニスタン近辺を想定するが、別にアラブ人やらパシュトゥン人やらは居ない、世界のどこにも無い街、てところかな。」
釈「であれば敵はソビエトでなくてもいいんじゃないですかね。」
じゅえる「うーん、まあソビエトは出て来るとしても、架空の勢力があっても悪くはない。ナチスの亡霊みたいな組織が大手を振って活動しているとかでも。」
まゆ子「そうだねえ。主人公達もアメリカの手先じゃ面白くないしねえ。どうしようか。」
釈「まず、アメリカとソビエトは関与するのは確定です。主人公は西側ですよね?」
まゆ子「うん。」
じゅえる「国連などというものは無いのだ。あるけど実効力は無い、だから国際機関としての諜報は無い。どうしよう?」
まゆ子「MI−6か?」
釈「イギリス諜報部、悪くはありません。というか、かなりイメージ的によろしいのですが、007と重なるのは面白くはありません。」
じゅえる「うむそんなイメージは願い下げだ。では民間にするかな、国際資本の手先という。」

まゆ子「うーむー。やはりアメリカにしよう。だがCIAに猫にゃん棒を扱わせると何するか分からんから、独自の命令系統を持つ諜報機関を新たに立ち上げたということで。」
じゅえる「やっぱ組織力を考えると、強力なバックボーンが必要か。」
釈「異議はありませんが、CIAは出て来ますかね。」
まゆ子「出て来るよ。というか嫌味ばかり言う連中として出そう。そうだね、主人公の属する組織は表向きは「ANIMAL PLANET ASSOCIATION」とかにしておくか。」
釈「動物愛護団体ですか? それとも獣医さん?」
じゅえる「なんかそんな感じで国際的な展開をする組織なんだな。ともかくCIAは邪魔者というところで確定だ。」
釈「CIAは評判悪いですねえ。」
まゆ子「しっぱいばっかりの印象だよ。アメリカ人特有の気質の悪いとこ固めたような組織だしねえ。」
じゅえる「そういうおこちゃまな組織はコミュニストと喧嘩してればいいんだよ。動物棒はもっと慎重な、大人な対応が要求される高度な神経戦なのだ。」

まゆ子「そうだ、狐女にCIAがガセ情報を掴まされて大失態! で後始末に主人公達が向かう、というシナリオで狐女を投入しよう。」
釈「ああ、自然でいいですね。」
じゅえる「よし徹底的にCIAをこけにするか。」

 

【三種の神器アドベンチャー 設定第一回の改】09/12/28

 

まゆ子「とまあそういうわけで、
 剣と玉と鏡、日本三種の神器としてラノベやらファンタジー業界ではつとに有名なアイテムですがー、」

釈「はあ、あまりにもべたべた過ぎて使いにくいですねこれ。」
じゅえる「まあこう言ってはなんだが、もはやどのラノベでもフリーパスで出現するアイテム群ですな。或る意味鉄板だ。なにせ三つの組というのがよろしい。古来より三という数は特別なものであり、最小限の空間を規定して大宇宙を掌に切り取る表現としても使われる。」
まゆ子「てなわけで、三種の神器で遊ぼうというのが今回の企画。」

じゅえる「それにしても、いきなり三種の神器を扱うって、なんかきっかけでもあるの?」
まゆ子「いや「けんぷファー」見たから。」
釈「はあ。アニメですね。」
まゆ子「三種類の武器を使って女の子が互いに戦うというお話で、男の子が女の子に変身してなぜか超モテモテ。全然戦わないで百合ゆりしてる。」
じゅえる「はあ。」
釈「修正の必要アリ、と考えたのですか。」
まゆ子「いえ全然。ただ三種の神器って使ったこと無かったなと。それだけだ。」

じゅえる「要するにぱくりたいのか。」
まゆ子「人聞きの悪い、いんすぱいあだよ。」

釈「ではやはりコメディタッチで処理しますか。」
まゆ子「それではおもしろくもなんともない。こうシリアスでありながら、現代ファンタジーでありながら、ソリッドなハードボイルドのひしひしと現実に迫って来るような硬い印象がありながら、なんだか一本気が抜けてるようなほんわかする、一応はアニメではなく実写ドラマ化を前提とした、って感じにしたいんだ。」
じゅえる「特撮モノではなくて実写ドラマ、かい。」
まゆ子「そうそう。夜9時頃のドラマかな。」
釈「むしろアメリカのドラマですね。夜中にまあ荒唐無稽どころかそりゃアニメだって設定のをばんばんやってるますよ最近は。HEROとかターミネーターサラクロニクルとか。」

まゆ子「とまあそんなわけで、三種の神器を使いながらもなんとなく現実よりの、だからと言って陰惨な奴はいやだよという感触でですね。」
じゅえる「分かった分かった。なるほどその感触かなるほどそれはやったことない。」
釈「むしろその条件の方がやり甲斐がありますか。では本気で取り組みましょう。」

   (考え中)
   (実は、三種の神器考察新設定構築は一度破綻しているのです。これは再出発第二回。
    第一回の設定では能力バトル展開でした。日・月・星の名を持つ三組の三種の神器の持ち主が戦う、能力バトル展開!!! これは燃える
    だが没だ。)

 

まゆ子「……かんがえなおした!」
じゅえる「早! どうした。」

まゆ子「三種の神器というものは、要するにそれぞれ能力が違うわけだ。おそらく敵の方も同様に不思議アイテムやら闇の神器やらを使うから、奇妙奇天烈な能力バトルになるのが定め。」
釈「それは普通の展開ですね。」
じゅえる「ファンタジーだもん。」

まゆ子「能力バトルは性に合わん。三種の神器はそのままセットで使おう。」
釈「能力制限ですか。」

まゆ子「いや、これは第四の神器セットとして考えていたものではあるんだ。古代において真に強い武器とはなにか、ってね。で到達した結論が、ステンレス製の神剣。」
じゅえる「ちょっと、それなんだ。」
まゆ子「朽ちず、折れず、曲がらず、よく斬れて、蛮力にもまったく問題なく耐える。要するに褐甲角の神兵が使っても大丈夫な武器だ。」
じゅえる「つまり、使い手は恐ろしい怪力の持ち主なんだ。」
まゆ子「鬼だよ、モノの神だよ。」
釈「日本古来の精霊ですね。」

まゆ子「つまり本来神器は単純なものなのだ。能力バトルなんてややこしい設定は正面から力で粉砕する。」
じゅえる「敵がぼろぼろやられていく痛快アクションだな。」
釈「自らの異能力を誇る諸々の敵を、粉砕して行くのですか。たしかにそれは面白いですが、三種の神器の剣はいいとして、玉と鏡はあんまり役に立たないのでは。」

まゆ子「そこで考えた。剣と玉と鏡→転じて、バットとボールとグラブにする。」
じゅえる「…やきゅう、だね。」
釈「ウエンディズですからね。というか、本家ハンバーガー屋のウエンディズが閉店の運びとなりました。」
まゆ子「つまり、三種の神器として主人公達に与えられた道具は、古代のモノ神が使っていた遊具なのだ。古代神の力でパワーベースボールが展開する。」
じゅえる「それは新展開だ。」
釈「誰の追随も許しませんね。」

まゆ子「といっても神器は神器、銀色に光り輝く金属製だ。剣はバットであり玉を叩き、玉は放り投げて鏡で受け取る。そういう機能を持つ。問題は玉だ。全金属製あるいはガラス製としてもよいが、物凄く重く極めて丈夫、放り投げてモノにぶつけても相手を破壊して自らは傷一つ無い。」
釈「神器ですから。」
まゆ子「これほど重いモノを人力では投擲できない。故に鬼の力を使う。玉を投擲する時にはスタンド的に常人には見えない巨きな鬼が現れて、玉を1キロ先にまでも放り投げる。」
じゅえる「無茶なはなしだ。」

まゆ子「だがそんな大砲の弾みたいな威力を持つ神器の玉を、構えたミットが受け止める。鏡はその玉の威力を受け止めて捕球する特殊能力がある。勿論破壊されない。」
釈「なんかだんだん派手になってきますね。」

じゅえる「ではバットは?」
まゆ子「こちらが投げれば当然相手も投げるのがゲームというものだ。故に相手から飛んで来る神器の玉を、打ち返す。それが剣の役割。打ち返された玉は飛んで来た勢いとバットのスイングのパワーとが加算されて、倍の勢いで飛んで行く。つまり自分が投げた玉が自分に向かって倍の力で飛んで来る。」
釈「…やばくありませんか?」
まゆ子「いくら神器の鏡でも、これは堪らん。弾き飛ばされてしまう。だが上手くやれば捕球出来る。また飛んで返って来た玉を、再度打ち返すことで3倍にしてまた返す。で、どちらかが取り損なうのを競うのが、モノ神のゲームだ。」

じゅえる「それ、最終的に玉にはべらぼうなパワーが蓄積されるのでは。」
まゆ子「近代兵器まっさおな、直径数百メートルのクレーターが出来たり、岩肌を貫通して火山活動を引き起こしたり、とまあ派手な副作用を伴います。国作りの原動力です。」

 

じゅえる「その物語のタイトル思いついたぞ。『印地鬼』てのでどうだ!」
釈「『いんちき』?」
まゆ子「うむ、それでよい。文字どおりインチキだ。」

 

釈「それで、野球をする以外に神器には特殊能力はありませんか?」
まゆ子「いや、一応玉は鬼を呼び出すから、これを使役して球拾いが出来るぞ。」
じゅえる「もっと役に立つことはできないの。」
まゆ子「あー、しかし鬼だからな。あんま役立つと面白くもない。そうだな、知能は犬くらいだな。玉をくわえて走って戻る、とか。」
釈「それいいですね。犬耳の鬼ですよ。」
じゅえる「そのように可愛いものであれば、問題はまったくない。でも大きいんだろ。」
まゆ子「ざっと3メートル。いやもっと大きくてもいい。ちなみに普通に戦闘に用いようとすれば、敵の中に玉を投げて、そーれとってこい、というと群がる敵を蹴散らしボールを取って来る。」
じゅえる「うん上等だ、実に役に立つ可愛い鬼だ。」

釈「鏡には鬼は付いて来ないんですか。」
まゆ子「どうしよう。鏡を使って生身の人間が物凄い破壊力をもつ玉を受け止める、そこがいいんだよ。」
じゅえる「ふむ、絵としては面白い。富士山大噴火を起こしかねないボールを全身で受け止める姿は、それはたしかに絵になる。」
釈「とはいえ、受け止めるだけでは面白くないですよ。やはり特殊能力を。」
まゆ子「そうだねえ。それはーつまり、鏡としての機能を損なわない限りにおいて特殊能力をー、…エネルギー吸収では?」
じゅえる「?」
まゆ子「鬼が投げるとはいえ、どんどん玉のパワーは増して行く。その原動力となるエネルギーを鏡が世界中から吸収するんだ。つまり太陽電池バッテリーだね。」
釈「太陽のエネルギーですか。」
じゅえる「そこは人のエネルギーだよ。とはいえ、人のエネルギーを吸い取ったら人間衰えちゃうな。」
まゆ子「ふーむ、いや、それで行こう。鏡は人の祝祭のエネルギーを吸い取るんだ。つまりは、鏡は人を祝祭の混乱昂揚に導く機能を持つ。人間を煽りたててそのエネルギーを吸い取る。日常の分別をかなぐり捨てて、原初の人の有り様を再現する。」
釈「おお! つまり鏡にエネルギーを取られた人は、むちゃ元気になるんですね。」
まゆ子「うん。」
じゅえる「それならば良し。日常の枠を破壊す神の呼び声なのだね。」

釈「して剣は。」
まゆ子「剣は玉を引っぱたいてどんどんエネルギーを供給していく。つまり剣は人を倒すにあらず、命を授ける機能を持つ。人間怪我しても全回復だ。」
釈「ふむ妥当ですね。」
じゅえる「でもちっと弱いぞ。」
まゆ子「えーと三種の神器は造化の神でもあるわけで、溶岩火砕流を思う存分に指揮して思い通りに流れを変える事ができる、とか?」
じゅえる「造化てのはいいけれど、そのくらいは他の神器でも出来るんじゃないかな。もっと剣本来の能力としておもしろいのは。」
釈「逆に、思い通りにならなかった地殻変動やら天変地異を鎮める能力がある。地脈の竜を切る能力を持つ、とかでは。」
じゅえる「ふむ。ゲームが上手く機能しなかった場合のストッパーね。それは納得できる機能だ。」

まゆ子「それ採用。ただもうちょっと地味目な能力が欲しいな。」
釈「それならば、コンピュータなり自動車なりを叩くと、エネルギーを注入されてこちらの意のままに動くようになる、でいいのでは。」
じゅえる「古代においては牛馬やら舟やらを動かしていた能力として、現代社会においてはむしろパワーアップされてるんだよ。」
まゆ子「なるほど。自動で動くモノは現代にはいくらでもあるからね。剣には指揮の能力も認められるから、それは良い設定だ。」
じゅえる「でも主人公はその機能をまぬけな方向に使うのだよ。」
釈「そうでないと面白くなりませんからね。」

 

じゅえる「こんなもんでいいかな、というかこんだけあればなんとかなるでしょ。じゃキャラ決めようか。」
まゆ子「やっぱ女の子3人、かなあ。この設定だと。」
釈「いいんじゃないですか。3人の巫女で。その代わり敵に男をドンドン出しましょう。」
まゆ子「えーと話の流れから行くと、まず3人が神器を手に入れて、それに対して諸々の能力者達がバトルを挑んで来て、ことごとく撃破される。その後でやっと対抗する神器所有者が現れる。そういう筋書きだな。」
じゅえる「よいのではないかい。神器セットは3つ以上あることにしよう。」

 

じゅえる「ということで、第一回設定で破綻した「三種の神器三セット」から設定を持って来て、敵は最低3セット有る。主人公達のは4番目だ。」
まゆ子「”太陽”、”月”、”星”の神器、としていたのです。”太陽”は政府機関が所有し運用、”月”はゾンビ教団、”星”は陰陽師勢力、というのが三つ巴能力バトルをする、てのでした。」
釈「敵勢力はそれでいいじゃないですか。主人公たちおまぬけ三人組が、それら有史以前からある勢力を破壊するのです。」
じゅえる「まあ、それも面白いか。」
まゆ子「一つ問題が。つまり鬼の設定は第一回から持ち越しなんだけど、ゾンビつまり死体を動かす能力は第二回には持ち込んでない。どうしよう?」
じゅえる「そんなもん適当でいいんだよ。鏡の力で闇の祭が行われ、黄泉の国から死者が帰って来る。そんなんでいいんだ。」
釈「あっさりと解決しました。」
まゆ子「うん。」

じゅえる「”太陽”は剣の力で人を従え、”月”は鏡の力で死者を従え、”星”は玉の力で鬼を従える。てな感じだな。対して主人公は。」
まゆ子「あー、なんも考えない。神器の力フルパワー解放だ。元々遊戯ゲームとして使われるものを、その通りに使ってるだけ。だから強い。」
釈「一番強くなる展開ですね。」
じゅえる「では”太陽””月””星”の神器に対して、これはなんと呼ぼう。”人”かな。」
釈「”時”あるいは”虹”では。」
まゆ子「”時”は大袈裟すぎるな。ぽっと出てあっという間に消え去り二度と戻らない、”虹”でいいじゃないか。」
じゅえる「それは主人公達が自分で考えるのがよいね。厨的に。」

まゆ子「えーと物語的なシーケンスを考える。
 主人公三人組がひょんなことから三種の神器を手に入れる→使って大破壊を起こす→政府機関が飛んで来て管理しようとする。まあ大人しく従う
→だが能力者襲来。政府機関けちょんけちょんにやられる→三人組神器を使って能力者をやっつける→政府機関懲りずに神器回収→新たなる能力者にけちょんけちょんにやられる
→三人組神器を使って政府機関を助ける→それでも懲りずに回収→政府施設、能力者によって破壊。神器奪取される→三人組神器回収に成功。能力者撃破
→それでも懲りずに神器回収。自衛隊基地に保管→基地大破壊。能力者の襲撃→だがこんなこともあろうかと、三人組既に自衛隊内で待機→能力者のアジトを強襲。全滅に追い込む
→ようやく真の敵である神器保有者出現
→(以下略)」

じゅえる「そんなもんでしょう。」
釈「政府機関まぬけですねえ。そんなんでいいんですか?」
まゆ子「彼らには神器のなんたるかがまったく知らされてないんだよ。だから敵の脅威とか見極められなくて、こんな風になってしまう。」
じゅえる「しかしくどいね。もっと早くに敵神器保有者出すわけにはいかないのかな。」
釈「いえ、その能力者というのをゾンビと考えればよいのではありませんか。あるいは陰陽師で。」
まゆ子「実は政府部内の極秘の特殊部隊が、じぶんとこの管理部局を飛び越えて神器奪取に動いて居る、とかでもいいぞ。」
じゅえる「要するに悪の出所はいくらでも御用意いたします。」

釈「でも主人公たち、えーと女の子三人組ですか、はどうやって神器を手に入れたんです?」
じゅえる「そこは特別に神秘的でない方が良いかもしれないな。どうしよう。」
まゆ子「えーと、彼女たちは野球に関してはずぶの素人。クラス対抗ソフトボール大会が今週末開かれるから、近所の公園で三人で自主練習していたら、グラウンドにいきなり神器が突き刺さる。」
じゅえる「なんという安直な。」
まゆ子「で、三人神器をいじくり回していると、どこからともなく”玉”が飛んで来る。で、剣を握った少女が打ち返す。飛んで行き、また戻って来る。これを面白がって何度も打ち返していると、打ち損なって鏡を持った少女が受ける。どおんと凄まじい衝撃があって、この玉が尋常ならざるものと知る。で、受け止めた玉を、玉を持つ少女が触ると、鬼が出現して遠投。山の中に放り込んで大爆発炎上してしまう。

 それで三人吃驚して神器を放り投げて家に帰る。だが、気がつくと三人とも神器を手に持っていた。」
じゅえる「よろしいんじゃないですか。」
釈「よいと思いますよ。」

 

  印地鬼(プロトタイプ)

「こらーちゃんとベースまで届かせろお。」
「無理だよいっちゃん、これ遠いよ。」
「どうするのよ、試合あさってだよ。こんなんじゃ勝てないよ。」

 土曜日のクラス対抗球技大会で何故か経験も無いのにソフトボールのピッチャーになってしまった麻玖部双葉。
 彼女の為に、クラスメートの今素昆一輪と藍場光音は自主連を敢行した。
 もちろん学校のグラウンドは部活の運動部が占拠する。家の近所の公園で三人だけでボール投げをした。

 一輪がバッターとなり、光音がキャッチャー。だがボールはホームベースの手前5メートルでバウンドする。
 5球投げただけで既に体力エンプティの双葉は、ぜいぜいと息を吐きずり落ちた眼鏡を元に戻しながらの言訳。

「なさけない我ながら、ここまで非力なんて。ほんとはもっとちゃんと出来るのよ出来るんだよ。」
「いやそれ非力とかじゃなくて、地面にボール叩きつけてるから。もっと上狙って投げるんだよ。」
「してるわよ、してるのよ、してるんだったら。うう。」

 泣きながら双葉は足元のボールを拾い、キャッチャーの光音が投げ返したのも当然そこまで届かないころころ転がってやっと到着、えいやと片足後ろに跳ね上げて肩越し女投げをする。
 ちなみに三人ともいまだ、ソフトボールはアンダースローだとは気付いていない。

 光音は後ろで一本に絞った長い黒髪を左右にぴんぴん跳ね回らせて、あらぬ方向に転げて行く白球を懸命に追いかけた。やっと捕まえて振り返り、遠くホームベースの一輪に叫んだ

「もういやあ。走るの私ばっかりじゃない。」
「えいだらしのない。私がソフトボールだったらこんなことにはならないのに。」

 あみだくじによる厳正中立な選出だ。一輪はフットサルの選手になった。フットサルのメンバーはなんだか勝てそうな面子が揃ったので、もう変更は効かない。
 黄金色の金属バットを肩に担ぎぷりぷり怒りながらマウンドに近付く一輪に、ふっと上を見上げた双葉が叫ぶ。

「あぶない!」
「は? あぶないのはあんたの投げ方うぎゃあー。」

 バットを担ぐ右肩のほんの紙一重を天空からの飛来物がかすめ、地面に突き刺さる。
 一輪自分になにが起きたか分からない。だが足元にずんと響く衝撃に、ひょっとしたら今自分死にそうになった? と頭が働いていく。

「……、ぺたん。」
「あがあがう、わ、あ。」
「一輪、双葉、だ、だいじょうぶ、な、の、ね。」

 地べたに尻餅突いて座り込む一輪に、立ったまま硬直する双葉。ぱたぱたと光音が駆けていくが、二人は動かない。
 ぐりん、と一輪の首が人間の可動限界を越えて振り返り、これは彼女の特技、バット越しに言う。

「いま、なにがおきた?」
「なにか地面に突き刺さってるよ、足元に、なんかとんがったものが。」
「わたし、死んでない?」
「……えーと、血は出てないみたい。」

 脚をぎくしゃくとぎこちなく動かして、双葉がそれに近付いて行く。眼鏡がまたしても顔から落っこちそうだ。

「剣。」
「へ?」
「剣が刺さってる。」
「飛行機の部品とかじゃなくて?」
「剣!」

  一輪、ようやくに動き出す。肩のバットを下ろして地面に先を着け、杖にして細い身体を起こす。
 スカートが地面に付かなかったは幸いなのだが、その分太股からお尻に掛けて土まみれになっている。

「剣、だね。」
「これは剣だよ。隣のは、…鍋?」
「砲丸が落ちてる。」

 三つの落下物は派手な衝撃に反して、地面上に綺麗にディスプレイするかに立っている。
 まるで触って下さいと言わんばかりだ。
 一輪が銀色に輝く剣の柄を握る。全金属製で形こそ古墳時代の青銅剣に似るものの薄くなく丸っこい。楕円の鉄パイプという感じだ。
 土から抜いてみると、切先も尖っていない。ゆで卵の尖端のようにゆるやかな丸み。

「おも!」
「だいじょうぶ? なにか、変じゃない?」
「いやだいじょうぶだよ。ただの金属の棒みたいだし。剣じゃないから、なにかの部品でしょこれ。」

 残る二人もそれぞれに金属を持ち上げた。双葉は銀色の砲丸、光音は凹面が鏡みたいに滑らかな鍋を取った。

「おも。」
「おもいー。」
「双葉、それ砲丸だね。」
「え?」

 女子高生一年の手にこの球体はかなり余る。陸上競技で使う砲丸より少し大きい。
 だが一輪はあんまり考えなかった。

「あんた、非力だからそれ投げて練習よ。」
「えー。」

 三人はなにかに取憑かれたかに、普通である。本来であればこのまま練習を続行するなど有り得ない。
 まあ、ソフトボールの練習に砲丸を投げるのは、脳内大混乱の証拠であろう。

「こう?」
「へんな投げ方すると肩壊すわよ。頬に玉くっつけるの。」
「そう腕でじゃなくて、腰を回してね。そう。」

「こう?」

 銀色の球体は双葉の手を離れると、そのまま斜め40度の角度を維持したまま飛翔する。
 公園の金網フェンスを越え、100メートル先延長上にある建設途中の10階建マンションに激突した。

 9階付近に銀玉攻撃を食らったマンションは上部が粉砕。微塵になった破片がばらばらとゆっくり落ちて来る。

「…あれ?」
「あれ?」
「えーと、あれ?」

 

 あまりの大事に三人はその場から遁走。もちろん剣も鍋も公園に放り出して逃げた。
 家に帰ってテレビを点けると、徐々に報道が大きくなっていく。
 地方ローカルニュースから、東京キー局の扱いになり、中継のヘリコプターが飛び周囲に大規模な規制線が敷かれ、自衛隊爆発物処理班までやって来た。
 イスラム原理主義テロリストの関与まで、コメンテーターが口にする。

「えらいことになってしまった」と、一輪はクッションを頭から被ってテレビを見詰める。ご飯も食べないから家族が心配して見に来るが、ほっといてくれ。

「ピンポ〜ン」「はいはいー。」

 母の声と、しばらくして弟を呼ぶ声がして、一輪の所にえいやおいさとやって来る。

「いちちゃん、あなた何を買ったの? こんな大きなもの。」
「おめぇえよ姉ちゃん。」

 へ、と首をクッションの陰から差し伸べると、クリスマスツリーでも入ってそうな細長い包みを二人して部屋に持ち込んでいる。
 相当に重いらしく、母と小学6年生は今にも転びそう。

「なにそれ?」
「なにって、いちちゃんに届いたわよ、宅配便で。」
「知らないわよ。」

 姉が手をひらひらと振るので、弟がでは僭越ながらと包み紙をびりびり破り出した。さほどの時間も要さず、
「なんだこれ。」

 贈り物にはさすがに興味がある。弟の不審げな声に、なんだと身を乗り出して。

「げ!」

 先ほど公園のグラウンドに放り投げて来た”剣”がある。正確には、こんな太く尖ってない金属バットみたいなものでモノは斬れないが、柄と鍔が有って剣のようなものとしか言い様が無い。

「あ知ってるよ姉ちゃん。鎌倉にこんなゲームの武器作って売ってる店があるって。」
「しらない、わたしじゃないよ。わたし、」
「これはおそらく、伝説の最強兵器”バールのようなもの”だろ。」
「お前は死ね。」

 ぺろりんぼろりんぴこぴこぽぴん、と一輪のケイタイが鳴った。この春入学と同時に買ってもらった深紅の、フェラーリ色と自分では言ってる奴だ。

 

まゆ子「……、とりあえず書いてみた。もちろんキャラは仮のもので今即興で考えたから、ドンドン変わるぞ。というか設定がゼロだし。」
じゅえる「こいつら、結局は何者なんだ。なんか特別な能力者なのかい。」
まゆ子「いや! 只の高校1年生しかも4月下旬という設定でやってみた。」
釈「ニアリー中坊ですか。それはまた、美味しいというか。」
じゅえる「それは大変なロリだな。ふむ、そこんとこ詰めて行くか。」

まゆ子「いやちょいと書いてみただけだから、まあ一応ね。ちなみに一輪こといっちゃんは、刈上げの短髪美少女一見すると体育会運動部系だけど、今はまだフリーだ。運動神経は良い方で、バットというか剣を取ります。
 双葉は眼鏡っ子図書部系で考えてみたけれど、ちょいとマンネリであろうから眼鏡は生かして別の系列に。
 で光音は黒髪長い系で超ロングポニーテイルだ。おっとりお嬢様系で考えたが腐れ系にしてもよい。土鍋こと鏡を持ちますから、料理部系というのでもよいぞ。」
釈「ふーむ短髪刈上げはいいんですが、後の二人が問題ですね。どんなアニメにでも出て来るような個性の無さですよ。」
じゅえる「腐は今や定番だからねえ。ハラグロ? いやそれもありきたりだ。」
まゆ子「ちなみに神器はもちろんこの三人にしか使えません。が、何故か選手交代ができる。予定では、解説役の学者風おねえさんがいきなり土鍋を持たされたりします。もちろん非処女。」
釈「処女性はかんけいなしですか。」

まゆ子「それから必殺技も考えたぞ。つまりこの玉はバットで殴れば指数関数的にエネルギーが上がっていくんだから、相手に投げる前に全力で投げた玉をバットで叩いてあらかじめエネルギーを載せて叩き込む。更にはエネルギーを載せた玉を土鍋で受け止めてトスさせて3桁玉にして叩っ込む。」
じゅえる「一回叩くとエネルギーの桁が上がるんだ。」
釈「凄く卑怯です。」
まゆ子「書いていく内に脳内で設定とか展開が組み上がって行くぞ。だいだらぼっちも出て来るぞ。」
釈「日本昔話に出て来る巨大な、えーとアレは鬼でしたか?」
じゅえる「いやアレは、神様じゃないかな。顔は普通だろ。」
まゆ子「あれは顔あったっけ? 大き過ぎて顔が地上から見えないんだ。
 まあともかく、こうなればヤケでね、敵がどんどん能力バトルを挑んで来るのに対してバットとボールで粉砕爆裂してクリアして行く。そういうお話だ。」
じゅえる「まあ良いのではないでしょうかね。」

まゆ子「それから、三種の神器にはそれぞれ副作用超能力があるわけで、それを使って敵勢力は悪の手先をどんどん送り込んで来るわけですが、こいつらにも使えます。」
釈「超能力少女ですか。」
まゆ子「いっちゃんはバットで粉砕です。」
じゅえる「いやそれ、ちっとも別の能力じゃないから。」
まゆ子「ゾンビは銃の弾食らってもそう簡単には死なないけど、いッちゃんバットで消滅です。」
釈「まあ、定番ですね。」

まゆ子「光音の土鍋はエネルギーを吸収すると言ったけど、玉を受け止める時にはそうなんだけど、エネルギー吸収まで時間がちと掛りますギュルギュル鍋の中で玉が回ってだんだん止まる。この回転中にトスすれば、エネルギーを貯えたまま次に攻撃できます。またエネルギーを受け止めきれないと思ったら、えいやと外に放り出して棄てることもできる。ただし、それは失敗なわけだが、遠くの海の中にでも放り込めばエネルギー爆発の実害は無い。」
釈「それは裏技ですね。」
まゆ子「ついでに、銃の乱射の弾丸を全部こいつで弾く事も出来ます。防御力最強。」
じゅえる「まあ、そのくらいは良しとするか。」

まゆ子「玉は、もちろん放り投げれば敵殲滅ですが、投げなくても意志で飛び回ります。というか、飛び回ってしまった。正確には、人の目には見えない鬼が玉持ったままうろつき回るんだね。で、玉に当れば人も死にます普通に。あと、玉を放り投げるわけだけど、その時手を離さないと自分も一緒に飛んで行きます。三人まとめて飛べたりします。」
釈「おお、それは便利。」
じゅえる「脱出に便利だな。うんそれは使える。」

まゆ子「もちろん敵はもっと色んな事ができるわけですが、しかし彼女達三人は純粋に神器をゲームの為に使っており、しかも神器を喪失することをまったく怖れない。というかこんなもんさっさと放り出したい。ので、神器の使い方がもっともプリミティブであり、遊具として存分に活用することになります。だから強い。」
釈「ふむ。鬼神の望みどおりに動いているわけですよ。」
じゅえる「他の神器所有者は、副作用の超能力を応用していることでそれぞれ多大な利益を得て居るから、これを喪失する事を怖れて十分に使えないわけだ。なるほど、能力バトルに持ち込んでボロ負けする由縁だね。」

 

まゆ子「ちなみに、前回設定失敗時にこしらえた三種の神器三組能力バトル展開のせっていはこうだ!

日の神器・攻撃剣(無敵弓)+回復鏡(時間を巻き戻して回復)+防御玉(敵味方機能阻害)
月の神器・防御剣(エネルギー波矛・自動迎撃)+攻撃鏡(無敵鎧装着)+回復玉(死人を無敵不死身にする)
星の神器・回復剣(命を吸い取って回復)+防御鏡(エネルギー吸収・反射)+攻撃玉(イマジネーションを具現化する)」

 回復鏡は時間を操る力を持つ。だから敵に対しても時間を混乱させる攻撃が出来る。また過去の事象を見ることができる、未来は今のところ見えない。
 防御玉は敵味方を拘束し不思議能力を解除停止させる。ついでに洗脳やら毒やらも解除だ。逆にコンピュータを停止させたりもできる。サイバー攻撃だな。
 攻撃鏡は無敵甲冑装着時にはオプションの武器は付いて来ない。が、銃器やら刀やらの武器を持てる。怪力にもなってるから素手で岩をも砕く。
 回復玉は死人にしか効かないが、死人を操って戦わせる。緊急時には冥界から化物が飛び出してぶつけることも出来る。威力はさほどない。
 回復剣は攻撃に使用時には浮かされるような取憑かれたような凄まじい動きで戦う。明らかに本人の能力を越える。
 防御鏡は暗くなって見えなくなるが、自分自身を鏡の中に隠すこともできる。発見不可能。歩行速度でのテレポーテーションが出来る。ただし河とかは渡れない。

じゅえる「それは敵勢力の能力にしよう。」
釈「廃物利用ですね。エコですよ。」

 

まゆ子「えーと基本的な設定から。
 主人公三人娘は高校1年生、新入生で未だ所属する部活も決まっていないような有り様。クラス親睦の球技大会が4月終り連休前にありますが、ここで双葉はソフトボールのピッチャーになってしまう籤引きで。」
じゅえる「門代高校ではない、え。」
まゆ子「今回は別のどっか知らん場所にしよう。髭栗山高校といういいかげんな、でも街中にあってどこが山なんじゃ?という学校だ。公立で偏差値は普通だな。もちろん共学。
 この三人娘は、男は居ない。というか、入ったトタンにくっつきやがる連中を見てうぁーと言ってるような女子だ。」
釈「いいですよ。最近は処女でないと無闇矢鱈と叩かれますからね。」
まゆ子「というわけで、彼女達は別に闇の勢力からも政府機関からもまったくノーマークの只の少女であり、物語開始時までなんの予兆も予言も無く、神器と遭遇します。」

じゅえる「伏線は無いわけだ。」
まゆ子「どうしよう。未来予知が出来る秘密組織はあってもいいぞ。」
釈「うーん、ここはほとんど知らないてことにしましょう。神器が出現することは薄々察して居たけれど、何処に何時誰に、というのはまったくの闇です。」
まゆ子「ふむ。では準備していた人は居る、ということで。その人と接触するまではまったく様子が分からないんだ。」
じゅえる「自衛隊とか警察とかは、まったく関知しないんだ。宮内庁とか神祇庁とかだな。」
まゆ子「宮内庁はやばいから、神祇庁、いや神祇寮という役所がある事にする。国家の秘密機関であるが、山の中のボロい建物が本体。実はその下には戦時中に作られた防空壕を改造した秘密地下実験室が、…無い。」
釈「無い?」
まゆ子「いや、暇を持て余してほったらかし。ただの倉庫で掃除すらしていない。もちろんここには神器なんか存在しない。というか敵性神器を鹵獲した際に隔離する為の施設であったのだが、出来てから80年もまったく使ってない。」
じゅえる「いやな役所だな。」
まゆ子「で、ここに務める穀潰し研究員の女性が、彼女達にアドバイスする役目を負うわけだ。でもこの人の所に連絡が来るまでに3回くらいは敵の襲撃があって、撃退してる。」
釈「つまり、神器の使い方を知らずにがんばった訳です。」

まゆ子「しかし、視点をどうするかね。主人公三人に集中しては、物語の理解が難しいでしょ。」
じゅえる「読者さまも分からないまま、というのは別に悪くないんだがね。」
釈「どうしますか。別口で事件が展開するのをちょこちょこと描写しますか。」
まゆ子「うーんそうだねえー。」
じゅえる「私が決めてやる。それは、ゲームのマスターなのだ。印地鬼は彼らの管制下にあり、すべてが思い通りに進展する。そんな神の目線で語って行く。」
まゆ子「ふむ、主人公がずぶの素人であれば、それでもいいか。」
じゅえる「だが、物語が進展する内に彼らの言葉が段々現状とずれていく。なんだか思惑通りに動いて居ないのを糊塗するかに強弁を重ねて行く。んでもって結局は最終的には、彼らの元にも超エネルギー玉が放り込まれて撃滅される。」
釈「ほお、それはなんというか辛辣ですね。」
じゅえる「つまり読者レベルの存在があるのを、叩きのめす。この叩きのめし方を物語の主線とする。」
まゆ子「よろし。それならば物語の状況説明に関しても十分な働きがある。それでいこう。でもそれは、神様?」
じゅえる「人間だよ。神器を所有する人間社会を裏で操って来た大物黒幕だ。3人くらい居る。というか、日月星の三組の長だ。」
まゆ子「うんうん、つまりそれが最終的なボスキャラなんだね。」
釈「そうですね。ちょっとありきたりではないかとも思いますが。」
じゅえる「なあに、やられた後で真の黒幕が出て来ればいいさ。主人公達と同年齢のキャラが旧い黒幕達が滅びる様を眺めて、神器を奪い取りセカンドステージに突入だ。」
まゆ子「うん、定番だ。」
釈「OKです。」

じゅえる「敵はどう来るかね。最初からガンガン飛ばして来る?」
まゆ子「物語上それが正しいと思うよ。だから、まず警察署にゾンビ軍団がやってくる。これをまず撃破するのが最初だ。でもこれが終るとちょっと暇になるとよろしいな。」
釈「がつがつ行くのはダメですか。」
まゆ子「日常の描写をしなくちゃダメなんじゃないかな。単なる冒険モノの受けは悪いみたいだぞ。」
じゅえる「いやそれはサンプル取る対象の問題だ。うーんしかしゾンビ軍団なんて大物が最初に出て来ると、次の展開が困るな。どうしよう。」

釈「こいうのはどうです。全ての元凶が神器にあると悟った三人はこれを捨てようとして果たせず、ネットオークションで売り払う。」
まゆ子「おお!」
釈「で、思いがけない大金を手にして宅急便で送りつけると、ちゃんと相手に届いてめでたしめでたし一件落着。」
じゅえる「ふむ。」
釈「それから数週間後に、また神器が戻って来る。神器の所有を巡って闇の勢力がさんざんぱら殺し合いをして、しかし入手したのはいいけれどどこも使えなくて、で結局和議を結び本来の使用者の元に返すべきだと結論を出して改めて仕切り直し。」
じゅえる「カネは!」
まゆ子「返金しなくちゃいけないのそれ?」
釈「いえ丸儲けということで。そうですね、返還にはちゃんと人が付いてくるんですよゴツイ現金輸送車みたいなのに乗って。で本人も顔面半分包帯状態で、」
じゅえる「ああ、抗争で怪我しちゃったんだ。うむ、それは可哀想。」
まゆ子「しかし、では返って来たらどうなるんだ? 三人は無事では済まないでしょう闇の組織のせいで。」
釈「そこは別に考えましょう。」

じゅえる「考えた。小娘をかっさらって手込めにしようという極悪な連中が現れて、さくっと誘拐さくっとレイプだ。」
まゆ子「それは困るぞレイプは。」
じゅえる「いや、レイプして非処女になれば神器を使えないとかの迷信があるわけだよ。でそれを試してみると、鬼が来てレイピストどもを皆殺しだ。もちろん処女膜は助かるぞ。」
釈「ふむ、定番といえば定番ですね。」
じゅえる「これが襲撃第二回。しかし今回は血生臭過ぎた。三人とも酷いショックで立ち直れない。」

まゆ子「なるほど。そこに親切そうにやってくる第三の襲撃者だ。」
釈「お坊さんとかにしましょう。呪われたアイテムを引き取ってくれる。」
じゅえる「ついでにこないだ儲けたカネをお布施に出してしまうくらいでいいぞ。でその坊主は、彼女達を洗脳して自分の思い通りに操ろうとする。」
まゆ子「うむ、悪党の定番だ。」
釈「でもそれでは操り人形ですよ。どうしましょう。」
じゅえる「でも坊主どもにはアイテムは使えない。というわけで、三人が試しにやってみる。と、その寺とかを大破壊してしまう。悪の権化というか、裏で糸を引いて居た黒幕を、知らない間にぶち殺してしまう。本人たち何も知らないままに敵殲滅。」
釈「おおそれは素晴らしい。」
まゆ子「間髪を入れずに次はキリストの神父だ。これも教会大破壊で暗黒枢機卿死亡だ。」
じゅえる「ここらへんで、得体の知れない別の玉が飛んで来るとかがいいかな。」
まゆ子「うん、神父に言葉巧みに騙されそうな時に、教会の天井破って別の神器の玉が飛び込んで来る。で、打ち合う内に教会大破壊。暗黒枢機卿がヘリで逃走するのを、うっかり撃墜してしまう。」
釈「それです!」

まゆ子「万策尽きた三人はついに神器を破壊しようと、自衛隊の射爆場に侵入し、爆弾の力で。」
じゅえる「ちょっと待て、自衛隊の射爆場ってそんな簡単に入れるわけないだろ。」
まゆ子「いやそこは、」
釈「そこは神器の力で頭とち狂ってますよ、いいんです。」
じゅえる「いいのか。」
まゆ子「というか、射爆場を必要とするくらいの大爆発が前二回で起こしてるから、やむなくそうなったんだ。頭狂ってるながらも冷静だぞ。」
じゅえる「ふーむ、しかし射爆場と来れば、襲撃にも持って来いだな。」
釈「戦闘ヘリとか戦車とかで攻撃ですよ。」
まゆ子「うん、ならば神器もろとも使用者も破壊しようという勢力だ。皆殺し目的です。」
じゅえる「だが勝利する。」
釈「うん。」
まゆ子「だね。」
釈「その破壊された兵器は、実は自衛隊のものではない事にしましょう。安物の中国製兵器に日の丸の旗がついてるのです。」
じゅえる「なんかそれ逆に恐ろしいぞ。」

まゆ子「うん。それは恐ろしいでいいんだ。諸々の圧力で事態を静観せざるを得なかった日本政府もこれは一大事であるから、自らコントロールに乗り出し、ようやく神祇寮の専門家登場だ。」
じゅえる「そいうことだな。」
釈「綺麗な登場です。」
まゆ子「でもここからは、強力な能力バトラーがやってくる。ただし、神器は使わない。神器を使う連中は隠れた山向こうに居て、こいらがゲームの最中に妨害してくるんだ。」
じゅえる「汚い、そいつら汚い。」
釈「ステルスだったり、使い魔分身の術だったり無敵人間とかだいだらぼっちとかレーザー光線とか時間を止めたりする奴ですね。」
まゆ子「うむ。どう考えても主人公達負けるしかないぞ、てのが望ましい。いや、前座に負ける連中を用意しておこう。科学忍者隊が主人公らを護って戦うんだけど負けるんだ。」
じゅえる「烏天狗みたいな連中だな。ブーメラン手裏剣とか使う。」
釈「いいですよお、実にいいですよお。」
じゅえる「でも能力バトラー、5人ほどまとめてぶっ殺そう。展開がめんどくさい。」
まゆ子「あー、そうね。まとめてでも順繰りでもいいけれど、さくっとやっつけよう。そろそろオチに行かないと困るからね。」

釈「で、最終ボスキャラとして、神器を直接操る三人組とようやく対面するのです。」
じゅえる「こいつらは、国がどうとか世界がどうとか人類の破滅だとかなんとか偉そうなごたくを述べて、主人公達を言い負かすんだ。でも冷静に考えると、攻撃して来るのは全部こいつらの責任だ。主人公達は自ら戦争するわけじゃない。」
釈「ですねえ。一介の女子高校生に無理ですねえ。」
まゆ子「それに気づかれてしまって、いきなり玉打ち込まれて瀕死の重傷だ。」
じゅえる「うう哀しい。」

まゆ子「しかし、それは月の組であった。星の組はまともに正面からゲームに挑み、しかしやはりこれまで積み重ねて来た経験の差で主人公チームに惨敗する。」
じゅえる「ここはイチローを出そう。イチローがバットを握ってるんだ。」
釈「イチローは困りますよおさすがに。シゲローとかにしましょうメジャーリーガーの。」
じゅえる「メジャーリーグのオクラホマスタンピーズに所属する外野手シゲローだ。」
まゆ子「おおバッタモノくさくていいぞ。うんそれだ。」
釈「いっちゃんがふらふらとシゲローにサイン貰いに行って、ばしっと殴られて「違う! シゲローはこんな人やない」とか涙目で訴えるんですよ。」
じゅえる「投手の方はダルビッシュにしよう。かっこいいんだ。で、光音ちゃんがふらふらとサインを貰いに行って、快くサインボール貰って、しかも抱きしめられたりする。」
釈「ズルベッチョ投手ですよ。それはお約束ですよね。」
じゅえる「つまりカネの力で世界最強の野球選手をかき集めて来たわけだが、まあ負けるね。」
釈「負けますね、定番ですよ。」

まゆ子「で、日の神器を持つ連中が、つまり上から目線で解説している黒幕どもだ。これも直撃で死亡。」
釈「新章突入、てところで一応は一巻の終わりです。」
まゆ子「はいよくできましたあ。」

 

 

げばると星子 原設定09/10/08

まゆ子「色々とかんがえてみた結果、げばると処女の次のシリーズを決定した。」
じゅえる「弥生ちゃん編が終った後、の話だね。」
釈「げばると処女の設定を流用して、新しい物語を作るんですね。」
まゆ子「うむ。だが今度は純然たるSFだ。

 つまり創始暦一万年だ。」

釈「その頃の十二神方台系はどうなっています?」
まゆ子「ゲキが完全に独立して宇宙文明を獲得し、宇宙を中心に活動しています。というか、宇宙戦争していますゲキ同士で。」

じゅえる「おや、そんな荒っぽい種族だったんだ。」
まゆ子「いやゲキが平和的だなんて一言も言ったことないし。」

釈「具体的には、どういう風に闘っているんですか。銀河英雄伝説ですかガンダムですかマクロスですか。」
まゆ子「全部違う。この時代のゲキは十二神方台系の有る惑星から離れようとしない。その上空で大格闘戦を行う。」
じゅえる「格闘戦というのは、白兵戦か。」

まゆ子「それも無いではないが、超光速航行を普通に使っている。どのくらいの早さかと言うと、惑星地表面から月面を観測していると、空を端から端までびゅんと飛ぶくらい。」
釈「100、いえ1000万キロくらいをびゅんですか。」
じゅえる「凄い技術だな。」
まゆ子「まあ「ゲキロボ☆」でその理屈も書いてるし。

 とまあそのレベルにありながら、惑星を中心に戦闘をしているという不思議な関係。」

釈「何故ですか? そんな技術レベルなら余所の恒星系に行っても不思議はありませんよね。」
じゅえる「ま、そんなことより何故に戦争しているかだよ。なんで?」
まゆ子「知らん。だがそんな事はどうでもいいのだ。本題はそこには無い。

 

 つまり、新しい物語の舞台はやはり十二神方台系なのだ。ゲキが宇宙に上がって残された人々、ウェゲの社会が舞台となる。」

じゅえる「ウェゲって、ゲキが生まれると絶滅するんじゃないの?」
まゆ子「ゲキの出生比率が上がって、あらかた置き換えられたんだけど、ウェゲしか生まれない種族というのが自然と分離して、ウェゲが独自の生物として固定化された。
 だがゲキの社会は科学技術文明を確定させて惑星全体を科学化技術化して、要するに未来社会にしてしまい、その遺産をウェゲに残して宇宙に去ってしまった。
 そういう世界観。」

釈「ウェゲには出来ないんですか。未来社会。」
まゆ子「ゲキが残した技術を使えば、もちろん社会インフラとなった機械を使うことは出来る。のだが、それ以上は分からない。というか、ゲキ自身聖蟲を頭に乗っけて知能を強化した状態でないと技術分からないくらいだから。」
じゅえる「ゲキはつまり、機械による強化をしてるんだ。外付けで。」
まゆ子「内蔵しないだけで、機械を使うことを拒否してはいないぞ。」

 

釈「具体的には、ウェゲの人ってどのくらいの技術文明なんですか。」
まゆ子「どこでもドアを持つが、携帯電話を持たない現代人、程度。」
じゅえる「微妙な技術水準だな。」

まゆ子「そもそもコンピュータ無いし。というか、コンピュータを与えないようにゲキが決定しているのだよ。代りに小鬼が居る。」
釈「コオニシステムですか。あれは便利なコンピュータなんですよね。ロボットとコンピュータが一体化した。」
まゆ子「人間の代替物として働くコオニは、めちゃ便利だな。おかげでウェゲはコンピュータの重要性を理解しない。ちょうど19世紀人がコンピュータやロボットを奴隷の代わりと見ていた程度の理解だ。」

じゅえる「うーむ、微妙な形でコンピュータ電子化を阻害しているのだな。それじゃあどこまで転がっても、ゲキには追いつけない。」
まゆ子「そうなんだ。CADシステムなんか考えもしない。いや、インターネットなんか想像もしない。」

釈「情報関係の技術は無いんですか。ウェゲには。」
まゆ子「実のところ、図書館が有るのだな。街の外れに有るゲキが運営する図書館に行けば、世界中のあらゆる知識を教える機械が有る。ここでは映像や3DCGなども使って表示するのだよ。でもプリントアウトや館外持ち出しは出来ない。ノートに書き写すよ。」
じゅえる「うーむ、難しいなそれ。」

釈「テレビも無しですか。」
まゆ子「映画館でテレビ見る。街頭テレビも有る。」
じゅえる「うーむー。」

まゆ子「でもラジオは持っているぞ。トランジスタラジオ。で、これから電線をひゅっと伸ばして電信柱のソケットに繋ぐと、電話が使える。もちろん有料。」
じゅえる「うーむー、なんか正しいような間違っているような。」
釈「無線で繋げないんですかそれ。」
まゆ子「無線機大きい。トランクくらい有る。」
じゅえる「昔の無線機かなるほど、それは難しい。」

釈「どこでもドア、てなんですか。」
まゆ子「聖山の大洞窟にあるトンネルは、世界中の別の方台に繋がっている。この設定はまだ生きている。暗いトンネルを抜けると異国だった、これね。」

じゅえる「歩いていくの?」
まゆ子「まさか。乗り物がちゃんとあるよ。物資も運ぶから、列車というより船をトンネルに進ませるような感じ。」

釈「その大洞窟まではどうやって行きます?」
まゆ子「ワゴンだな。バスみたいなもんに乗って、時速500キロで飛ぶ。聖山大洞窟まで行くと、乗り換え。」
じゅえる「ふむラクチンだな。」

 

釈「そんな移動システムが完備しているのなら、なにを作ろうとも思いませんか。」

まゆ子「いやまあ、電気自動車はあるぞ。ウェゲが自分でこしらえた。原始的とも言える機械だけど。」
じゅえる「完全ウェゲ製造?」
まゆ子「部品のあちこちを色んなところから抜いてきてる。」
じゅえる「不完全自作、か。まあ当然か。」

まゆ子「ちなみに戦車もある。ウェゲがウェゲ同士で戦争をする為の装備だ。大洞窟の転送システムでは送れないが、船で輸送することは出来る。侵略戦争もちゃんと有る。」
釈「それは超兵器ですか。」
まゆ子「うーむー、難しいな。迫撃砲とレーザー銃を積んだ電気戦車、というのを想像できるかな。」

じゅえる「レーザー銃というのは、対装甲兵器?」
まゆ子「うん。戦車の装甲を貫通する為の兵器。ただし威力に比例してエネルギー消費が激しいし、威力の減少やら長時間照射は出来ないから、対人には使わない。迫撃砲はもちろんただの火薬榴弾で誘導機能も無し。コオニ搭載で照準補正機能ばっちりだけどさ。あとは機関銃搭載だな。レーザー銃の搭載スペースは小さいから、余分にものが載せられる。

 つまり砲塔正面に迫撃砲と機関銃を配置して、砲塔の背面にレーザー銃が配置してあり、対戦車戦闘の際にはレーザー銃が前に来る、という仕組み。」

じゅえる「逆さチハだな。」
まゆ子「チハくらいの大きさだよ実際。無論かなり丈夫な装甲を持つ。ま、レーザー銃を防げる装甲なんて無いんだけどさ。HEAT弾てのは無い。というか効かない。」
釈「個人携帯の対戦車兵器は無い、てことですか。」
まゆ子「うん。かわりと言ってはなんだけど、擲弾筒持っている。

 というか、レーザー銃の脅威によって地上世界には航空機無いんだ。というか軍用飛行機は無い。レーザーには勝てない。」
じゅえる「うむ。なるほど。では戦車の天国か。」
まゆ子「とはいえ、超重戦車作ってもレーザーには勝てないから、機動性を確保する為に軽量戦車が主流だ。というか、バッテリーで動くから電源の近くにしか行けないんだな。」

釈「電源はどこから取っています? 原子力ですか?」
まゆ子「いや、ギジシップ島に有る様な円筒形のレクテナによって電力をどこからから受け取れる。当然レクテナが必要だが、これが結構デカい。」
じゅえる「なるほど。レクテナ設備の移動が鍵なんだ。それは移動侵攻は難しいな。」

まゆ子「ちなみに機関銃はちゃんとありますから、電気自動車に機関銃載せたテクニカルみたいなものが大活躍ですよ。」
釈「電気自動車もバッテリーですよね。これの充電は?」
まゆ子「いやそれは家庭用電源で上等だ。1時間もあれば200キロくらいは走れるね。」

じゅえる「戦車はダメなんだ家庭用電源では。」
まゆ子「いや、レーザー銃を機動する電力並じゃないし、コンデンサバッテリーも特高電圧だ。工場くらいにしかそんなもん無いよ。逆に言うと、工場が有るところなら戦車充電も出来る。」
釈「なるほど。」

まゆ子「ちなみに戦車1充電で500キロくらい走る。でもレーザー銃10発も撃てばエンプティだ。もっとも、コオニ照準補正で絶対外さないけどね。」

釈「それは戦車の数ですよ。砲弾は積んでるんですよね沢山。」
まゆ子「まあ口径によるけど50〜100発は。」
じゅえる「戦争するなら上等だ。うん。」

まゆ子「ちなみにレクテナ施設は町ならばどこにでも有る。家庭用電源工業用電源の元だ。だからどこででも充電は出来る。逆に言うと、レクテナ施設を破壊すれば敵はお手上げになる。」
釈「戦術目標であり戦略対象なんですね。」

まゆ子「しかしながら、電源無ければレーザー銃が使えないかというと、そんな事も無い。簡易発電器というのがあり、火薬の爆発力で発電する機構が有る。レーザー一発撃つ分のエネルギーを確保できる。戦車には搭載出来ないけど、要塞なら使えるね。」

 

じゅえる「戦車は分かった。でも携帯電話が無いというのが、ちと納得いかない。なぜゲキはウェゲに携帯電話貸してやらないのだよ。」

まゆ子「いや、ゲキは頭の上の聖蟲にその機能があるから自分達ではもうそんなものは使わない。うーんそうだねえ、ではせめてポケベル並の機能は付けとくか。携帯ラジオがリンと鳴って着信をと送信先を報せる。で、ソケットに電線繋いで通話。」
釈「はあ、まあそんなとこでしょうかね。」

じゅえる「まだ納得いかないな。というか送信機能だな。電話局から電波でポケベル送信かい。」
まゆ子「ふうむ、そうだなあ。ではこうしよう。個人事業主によってローカル無線電話装置が運用されているのだ。で、狭い領域のみ電波で通話が出来る。」

釈「それもまた、なにか変ですねえ。ではこうしましょう。これはまったく携帯電話では無いのです。ポケベルでもない。ただのラジオです。ただラジオ波の送信領域が狭く数百メートルでしかない。で、様々な業者がラジオ送信してるんです。で、契約してると放送で呼び出しを掛けてもらえる。」
まゆ子「さすがにそこはポケベル機能でいいだろう。つまりラジオ局に電話して呼び出ししてもらうと、相手のポケベルがリンと鳴る。で、電線繋いでラジオ局に電話掛けると、相手先に電話を繋げてもらえる。あるいは伝言板の役目もする。というか、狭い範囲のユーザーが一つの局に契約してるんだから、全員に放送でメッセージ伝えてもくれる。」

じゅえる「なんというローテクな携帯電話だ。でもそんなもんでいいのか。」

まゆ子「ゲキの技術によらない放送通信網ということだね。じゃあ別にゲキの電話というのも用意しておこう。何時でも誰にでも天空から声が届くというシステムだ。」
釈「ああ、神様通話ですね。なるほどそれは素晴らしい。」
じゅえる「目の前にいきなり立体映像で相手が表れるというのでもいい。確かに現代の携帯電話も過渡期の技術には違いないな。」

まゆ子「ゲキであれば、そのまま立体映像がちゃんと物体を操作出来る、とかでもいいな。要するにこちら側に通信に対応するロボットがあればいいわけで、ゲキは砂みたいな小さなロボットの集合体を使って大きなロボットを形成するし、そのくらい造作もないのだ。」

じゅえる「技術水準めちゃくちゃかけ離れてるなそれ。ウェゲはイジメにあってるようなもんだな。」

 

釈「テレビカメラはどうなのですか。テレビ自体が個人所有無いとすれば、カメラも当然無いですよね。」
まゆ子「ふうむ。そりゃコオニだな。コオニの目はちゃんとカメラになっていて、目から投影して映像を再現する。」

じゅえる「なんという便利な機械だ。でもコオニってそんな普及してるの?」
まゆ子「まあ、10万円くらいで。」
釈「パソコン価格ですね。でもずっと便利な。」

まゆ子「コオニの弱点はネットワーク接続してないってとこだけだな。映像音声録画再生機能は持つし、判断機能計算機能自動操作機能をちゃんと持ち合わせており、プログラムすら不要で自然言語による命令が可能。自分で御使いも行くし、というかそれはちょっと心配だ泥棒に盗まれる可能性がある。あと、守秘機能は持ってないな誰の操作でも受け付ける。」
じゅえる「うーむ、つまり愉快なコオニ的コンピュータロボットなんだ。」

釈「映像を再生するというのは、映画みたいに光で投影ですか。」
まゆ子「あー、ここんとこはそうだなー、暗い所でないと見えないってことにしておこう。光が弱いから、暗箱に入れて再現させる。ちなみに録画時間はやたらと長い。1日27時間も有る。ただし1本のみ、バックアップ不能。」

じゅえる「うーむー、そこなんとかならない?」
まゆ子「なる。頭の角を交換すると映像を何時まででも保存出来る。ただしこれコオニの本体だから、角の交換はそのものずばりコオニの交換だ。」
釈「うーん、すこし考えちゃいますねえ。10万円で27時間保つ記録媒体と考えると、安いような気もしないでもないです。」
まゆ子「昔は1時間ビデオテープ5000\くらいしてたからね。」

じゅえる「まあとりあえずは書き換え禁止ボタンは無いとね。というか、文書も映像で記録すればいいんだコオニに。」
まゆ子「あーそれはよく出来ていて、27時間分丸々本を撮影すると、コオニは文字をちゃんと読んで検索出来る。「どこそこのくだりが見たい」と言えば、ランダムアクセスしてくれる。」

じゅえる「それはコオニにプログラミング出来るんじゃない?」
まゆ子「あー、そうかも知れない。人の写真を見せて記録させて、「こいつが来たら通報しろ」とか出来るね。あるいは作業手順を黒板に書いて記録させて、「このとおりにしろ」とか。」
釈「つまり映像の記録をベースにものを考える事が出来るんですね。賢いな。」

まゆ子「音声もだが、音声によるプログラムは難しいな。うーんそうだなー、音声による命令は主語述語とかが明確な数語でしか受け付けない。複雑怪奇な命令は理解しない。だが黒板に図を書いて、「この状況になったら、こうする」てのを懇切丁寧に教えてやれば驚くほど複雑なことが出来る。そういうことにしよう。」

じゅえる「ね、ゲキの図書館の文書もコオニで記録できるんじゃない? で、コオニが記録した映像を、別のコオニに見せればコピーが出来る。」
まゆ子「ふーむなるほど。それはあり得る。だがコピーのコピーは劣化するぞ当然。うーんそうだねえ、あんまり暗い映像は記録しない。またゲキが提示する特殊な映像やら文書やらは記録できないことにしよう。」

釈「つまり、27時間分の映像記録メモリに撮影されたプログラムやデータに基づいて動くロボット、なんですね。」
まゆ子「そうだね。複数の命令を記録したら当然メモリ領域は減る。当然だ。人の顔を覚えるのだって、映像記録として覚えておき比較検出する、そういう機能を持ってるんだ。」
じゅえる「ふむふむ。機械としてはごく普通の存在だね。でも動力は何?」

まゆ子「前にも書いたと思うんだが、角が電池にもなっている。つまりは、プロセッサとメモリと電池がまるごと一つなんだ。で、プラッチックの人形にくっついている。」

釈「電池が失われると、メモリもデータも消えますか。」
まゆ子「そりゃ当然。3年くらいの寿命があって、何時停止するかは目で見て分かるけどね。あとどんなに酷使しても電池消耗は進まないけれど、楽をさせても寿命は伸びない。ま、角を人形から外すと作動停止して何年でもそのままに置いておけるけど。」
釈「それはそれで、いいです。機能的にOKです。」

じゅえる「コオニって喋ったっけ?」
まゆ子「いや、人語は喋らない。ただYES/NOとか、命令を理解した/できない、くらいはちゃんと答える。コオニの発声機能はメモリによるもので、早い話が留守電みたいなもんだ。記録した音声を適切な条件付けで再生する、そういう芸当は出来る。あと電話を掛け間違えたりもしないで正確にダイヤルするから、詐欺商売にも使えるぞ。」

釈「あー、ラジオ電話局はコオニがアナウンサーやってるんですよ。」
じゅえる「交換台もコオニだな。」

 

釈「コオニが便利なのは分かりました。でもウェゲが問題なのですよ。

 一体彼らは何をしているのですか?」
まゆ子「あー、話は簡単。生活している。ただー彼らの歴史の先には科学技術の進歩ってのは無い。それはゲキがすでに独占しちゃった。

 だからウェゲはこのまま生きられるまで生きて行く、ただそれだけだよ。まあその先は、この惑星からゲキが離脱してまるっきり居なくなって、世界のインフラが崩壊した後だな進歩するのは。まだまだずっと先のことだ。」

じゅえる「でもなにかあるでしょ。」
まゆ子「うん、それがこの話の核心なのだが、ウェゲはあらかた賭け事をしている。」
釈「賭け事、パチンコとか麻雀ですか。」
じゅえる「競馬競輪?」

まゆ子「闘鶏みたいなもんだ。つまり、上を見上げると天空においてはゲキが火花を散らして大戦争をしている。どれが勝利しているか、はちゃんと地上から見分けが付く。だいたい6種類のゲキがおのおの特徴的な戦術と発光現象で闘い合っていて、容易に判別が可能なのだ。

 これを、賭けの対象とする。」
釈「おお!」
じゅえる「宇宙戦争を賭けるのか。うむ、それは斬新。」

 

まゆ子「ただー、この賭け事はゲキ自身にはまるっきり関係無い。地上とまったく関係無く戦闘を繰り広げているのだが、時々撃墜されて落ちて来る。」

じゅえる「来たな。」
釈「来ましたよ。美少女ゲキが機動兵器で落ちて来るのですよ。」
まゆ子「まあ、そういうことだな。それぞれ特徴的な機動兵器・宇宙船を使っている6〜12種類のゲキの降臨に、主人公が遭遇するというかゲキマニアの主人公は世界中を巡ってゲキの墜落を見たいと思う。」

じゅえる「そうか。どこでもドアはそこで機能するんだ。」

まゆ子「まあゲキの墜落は珍しいのだが、世界中で見れば毎年2、3回は落ちて来る。で回収にゲキも降りて来る。その時撃墜された機体やら死体やらをケアしてくれた地上人に対して、なんらかのお土産をくれるんだ。それがゲキとウェゲの交易だ。」
釈「ふむ。向こうから落ちて来るまでは没交渉なんですね。」

まゆ子「ちなみに、地上世界のインフラを管理するのは「ミミズ神に属するゲキ」だ。彼らは天空ではなく地表面を主な活動範囲としている。」
じゅえる「それは宇宙戦争に興味が無い、ってこと? なんらかの覇権を巡って争ってるんでしょ?」
まゆ子「うん。まあミミズ神人は単純に地上世界が好きと考えてくれてもいい。宇宙でも戦争する時にも、地表を利用した攻撃を行う。というか、それは至極迷惑な攻撃だ。」
釈「はあ。罪ほろぼしをしているようなものですか。被害甚大なんでしょ地表は。」
まゆ子「まあ、惑星上には海もあるから。」

釈「その他のゲキはなんですか。ギィール神族とかも居るんですか。」
まゆ子「まあ、そこはお約束だな。

 金ぴか全身甲冑的宇宙服を着ているゲジゲジ神人は金ぴかゲジゲジ宇宙船で降りて来る。
 重厚な装甲装備の宇宙服でカブトムシ神人が降りて来る。
 カタツムリ神人は背中に丸いものをくっつけた割と軽装なかっこで現れる。
 トカゲ神人は、なんと大きな剣を提げた女の子というより弥生ちゃんのかっこで降りて来る(お面着けてる)。
 カニ神人はカニカマ甲冑だ。」
じゅえる「なるほど。それは納得のかっこだね。」

釈「彼らは墜落した仲間を回収しに来るだけですか。」
まゆ子「まあ、それが普通。もちろんその他の理由もあるはずだが、そりゃあおいおいと投入していこう。」
じゅえる「だね。

 

 で主人公は?」
まゆ子「賭け商売に関連する何者か、普通の人、男か女かはまだ決めてない。ただ惑星中を旅して降りて来たゲキに会おうとする痴れ者だ。」

釈「ちと、動機が弱いですかね。」
じゅえる「まあ今のところイメージだけだからね。伏線をびしばし張って行くさ。」

まゆ子「で、天空の星々の戦いを地上から眺めて何百年も経っている。皆この世の中は変わらないと思っている中に、主人公が世界中を旅して回るのだ。
 だが或る日突然天空に、ピルマルレレコの妖星が現れ、無敵の神人たちの宇宙船をやっつけていく。」

釈「おーーーー。」
じゅえる「なるほど。では主人公はピルマルレレコ関係、いや弥生ちゃん関係なんだねやっぱ。」
まゆ子「それはホレ、やっぱ読者様の御期待に応える形でないといけないなあ。」

釈「なるほどなるほど。」

じゅえる「何十代目ヤヨイチャン、は出るかな。」
まゆ子「出そう! いや主人公のお母さんでもいいくらいだ。」

釈「なるほどなるほど。」

 

【ゲキロボ☆ 今後の展開】09/02/21

まゆ子「『ゲキロボ☆』が順調に仕上がっているみたい。」

じゅえる「めでたいですな。」
釈「すっかり軌道に乗っていると思われますが、なにかご不審な点でもありますか。」
まゆ子「いや、これはこれでいい問題無い。有るとすれば、今後の展開だ。」

じゅえる「これいつまで続くの?」
まゆ子「1巻で終り。」
釈「たんぱくですね。」
まゆ子「その代わり全編バトルだ。」

じゅえる「そうなんだ。目まぐるしいよ、この話。」
まゆ子「というわけで、今後の展開などを定めてみようかと思う。

 あー、この話が始まったのが物語内時間で5月連休の直後。北海道修学旅行だ。」
じゅえる「まだ北海道寒かろうに。」
まゆ子「終るのは9月夏休み終了直後。」

釈「これまたえらく短いですね。なにか問題でもありましたか。」

まゆ子「時間因果律変更機能ってのが、便利過ぎるのだ。つまりやりたい放題何をしても、尻ぬぐい出来る機能だよ。」
じゅえる「ふむ、でもこれがあればなんだって大丈夫なんじゃないかな。」

まゆ子「その因果律変更の限界を超えた。」
じゅえる「お。」
釈「回復不可能な極点に到達した、ということですか。」

まゆ子「そ。だからゲキロボは因果律変更の更に大きな変更をする。つまり、すべてが無かったことにする。それが9月だ。」

じゅえる「ではこれまでのお話は無駄じゃないかい。」
まゆ子「うにゅ、そうじゃない。5月に修学旅行に行ってゲキロボを発見した。これを変更して、9月に修学旅行に行ってゲキロボを発見する。こう換える。」

釈「どう違いますか?」
まゆ子「ゲキロボパイロット達物辺村5人衆は、記憶を持ったまま変更される。」

じゅえる「…、つまり経験値MAXの状態でゲームを再起動するみたいなものかな。」
釈「ほー、なるほど。それならば後の運び方は至極順調無難に行きますねえ。」
まゆ子「因果律変更を必要としないほどに、スムースにね。」
じゅえる「なるほど。それならば世界は平穏に過ごせるんだ。」

まゆ子「で、論ずべきはそこに到るまでどうやって進むか、だ。スケジュールだね。」
じゅえる「まず、物語はめちゃくちゃ大袈裟な仕掛けで締めくくらなければならない。」
釈「アニメはまあ、そうですね。世界の終わりとか宇宙の終わりとか。」

まゆ子「宇宙はさすがに大袈裟過ぎる。地球がおしまいくらいでいいだろう。どこかの星人が1万8千隻の大宇宙艦隊でやってくる。」

じゅえる「銀河英雄伝説だと、大したことない隻数だな。」
釈「まあ、宇宙ですから。」
まゆ子「この場合、太陽系をぐるりと360度全天包囲出来る艦隊と考えて下さい。明らかに銀英伝よりも強力です、というか超光速兵器だし。」
じゅえる「銀英伝は光速以下だったっけ。」
釈「そうですね。ゲキロボの世界だと、超光速が普通なんですよね。」

まゆ子「マイクロギャップ航法が普通だからね。数センチ単位で物凄い頻度でワープする技術。内外どちらから観測しても、光速を完全にぶっちぎって空飛んでるように見えるんだな、これ。」
じゅえる「凄いパワーなのかい、この航法だと。」
まゆ子「まあ、相対論的な縛りからは解放されているから無限大のエネルギーやら重量にはならないけど、地球を一発で吹き飛ばすくらいは簡単だな。」

釈「それが、18000隻ですか。」
まゆ子「正確に言うと、地球を一発で吹き飛ばすμGミサイルを数百発登載した、18000隻だ。このミサイルを満遍なく全天から投入し爆縮することで、太陽自体が縮退してブラックホールになってしまう。」

じゅえる「あはは、そりゃ無理。」
釈「絶対勝てませんね。で、他のしゅぎゃらへりどくと星人とかは、干渉無しですか。」
まゆ子「いや、でもゲキロボの実力ならこのくらいなんとかなる、と知ってるから、今回任す。」
じゅえる「いやらしい奴らだな。」

まゆ子「で、この戦争で地球人全てを時空因果律変更で救わなければならない羽目に陥る。というか、全部やっつけたけど、流れ弾が地球に当たり大惨事になってしまう。」
じゅえる「失敗?」
まゆ子「一概には。そうね、月に流れ弾が当たって、月の破片が地球に降って来た、てとこ。」

釈「なるほど。地球に当たらないという条件をクリアしたのは良かったけれど、月にまでは考えが及ばなかったんですね。」
じゅえる「そりゃー1億人くらいは死ぬかな。」
まゆ子「というか、大気圏が月の破片で汚染されて真っ暗になってしまう。核の冬みたいなもんだ。だから地球文明消滅の危機。」
じゅえる「なるほど。かなりの大失敗だな。」

まゆ子「てなわけで、ゲキロボは時空因果律変更を最大限に使わなければならない。で、9月に修学旅行変更ってこった。」

じゅえる「その悪の宇宙人はどうなるの?」
まゆ子「18000隻の大艦隊も、彼らの宇宙戦力の1パーセント程度でしかない。彼らは広大な宇宙を占有する物理空間内において最強レベルの宇宙人だ。
 しかし喧嘩売った相手が悪かった。ゲキロボで文明消滅の憂き目に遇う。」
釈「うう、惨い。」
じゅえる「鳩保だからなあ。そのくらいの覚悟が無いとダメだ。」

まゆ子「実際相手側から再三降伏の申し入れが有ったけれど、鳩保完全無視。絶滅させちゃう。」
釈「南無阿弥陀仏。」

 

まゆ子「その前に、別口の宇宙艦隊もやってくる。これはミスシャクティが派遣した時空艦隊30隻と大海戦を行うのを、ゲキロボでぼーっと眺めるってことになる。
 なんでかと言うと、ニューワールドオーダーとの交渉の真っ最中で、ゲキロボの力を見せつける好機だったのだな。で、ニューワールドオーダー側が自力で防衛する、ってはなしになって、で傍観すると。」

じゅえる「出番ナシ?」
まゆ子「まあ、ここでも相手が最後っ屁を放って、これが当たれば地球おしまい、ってとこでゲキロボシールドで完全防御、だよ。まあその出番が来るまで狭いゲキロボ内に3日も寝泊まりするんだな。」
釈「その寝泊まりシーンが面白いところですね。」
じゅえる「日和見だな。」

まゆ子「で、その別口艦隊の出本が、サルボロイド星人だ。地球上でニューワールドオーダーがこれに襲われているのをゲキロボが助ける。なんでかというと、その戦闘の最中にランクAAAの歴史的重要人物米軍のガリー少尉がロボットで戦っている。この人は、物辺村の連中の何代か後の子孫の誰かの嫁さんになる人のひい婆ちゃんだ。つまり、ここで死んではならない。」
じゅえる「ふむふむ。マーズマンとか出て来るわけね。」

釈「で、その敵がサルボロイド星人でアンシエントのどこかと繋がっている。これを撃破すると宇宙艦隊戦になるわけです。」
まゆ子「不本意ながらニューワールドオーダーを助ける羽目に陥ってしまう。そこで彼らはゲキロボ5人娘を自分達の陣営に加入したと発表するが、政治的策謀の渦に巻き込まれてほとほと嫌気が差して、で逃げ出したところで、宇宙艦隊だ。」

じゅえる「ふむ。なあそんなものかな。」

 

まゆ子「その前に、アンシエント関係のずるずるとしたオカルトっぽい攻撃がある。で、クラスメートの何人か死ぬ。が、これをゲキの力で蘇生する。」

じゅえる「ふむ。アンシエントって何種類もあるんだよね。サルボロイド関係?」
まゆ子「じゃないアンシエントだ。吸血鬼みたいな連中だな。暗闘だよ。で、ここで花憐が出くわしたニンジャ関係が矢面に出る。」

釈「いい男死にますか。」
まゆ子「死んでもいいけど、」
じゅえる「死なないで、ここは温存だ。」
まゆ子「うむ、恋愛沙汰は生きてこそだな。」

 

じゅえる「で、その前には?」
まゆ子「門城高校の裏山に、比留丸神社ってちいちゃな祠が有る。これはゲキロボに関係する遺跡であり、ゲキロボの天敵ぴるまるれれこを祭ってある。」

釈「宇宙人殺しの宇宙人、ですか。」
じゅえる「ふむ。なにか秘密が有るんだね。」

まゆ子「ここで優子を活躍させようと思う。幽霊巫女VS変態巫女、って構図にしようと考える。幽霊巫女ってのはつまり立体映像のみの存在ね。」
釈「げばると処女に出て来たようなものですね。」

まゆ子「えー、で優子は裏山上にある祠で、ぴるまるれれこと遭遇する。で、連絡を受けて飛んで来た5人娘+美々世さん。だが相手がピルマルレレコだと一目で見抜いた美々世さんは、いきなり自爆する。」
じゅえる「そりゃまたどうして。」

まゆ子「リンク辿られたらヤバいから。ピルマルレレコはシリコニイの超コンピュータ生物で、高度なコンピュータシステムは物凄い速度で侵蝕されてしまう。だから枝を作らないように魚肉ソーセージボディを破壊する。その直後、鳩保のところに高次元ネットワークから通話してくるけどね。」

釈「ああ、身体無くても大丈夫なんですね。」
まゆ子「ま、自力で破壊する分にはね。

 で、ここで優子はゲキロボ変身する。着て居た門代高校のジャージ姿が爆裂して真っ裸になり、股間から湧き出るゲキロボ虫がうじゃうじゃと身体を這い回り、コスチュームを形成する。」
じゅえる「いやな変身だな。」
釈「気持ち悪くないんですか?それ。」
まゆ子「ま、優子だから。

 で、ピルマルレレコがいかなる存在か、は美々世さんに教えてもらう。3次元空間最強の宇宙人で、ゲキを含めてどの宇宙人も勝てやしない。だからこそ高度に発達した宇宙人は高次元空間に逃げ込む。逃げずに3次元空間内に留まるのはよほど低レベルな存在か、幸運にもピルマルレレコと遭遇したことの無い宇宙人だ。ゲキですら、2億年前の絶滅まで必死にピルマルレレコから逃げ回っていた。」

 

釈「なんでそんなに強いんですか、ピルマルレレコは。」
じゅえる「数万年生きるんだっけ。」

まゆ子「まあごちゃごちゃ理屈は有るんだけど、ピルマルレレコは超コンピュータ生物だ。細胞のひとつひとつがμブラックホールを利用する超絶コンピュータで、亜空間内に演算回路を持つ。この能力は細胞一つでしゅぎゃらへりどくと星人が高次元空間に持つ演算能力と同等、その細胞が数百億で構成されるのが、ぴるまるれれこだ。」

じゅえる「…、マジ?」
釈「ゲキロボは勝てないんですか、それに。超エネルギービームとかでばしゅっと焼くとか。」
まゆ子「」あー、宇宙では演算能力とアクセス出来るエネルギー量には相関関係が有る。というか、これは現代のコンピュータでも同じだね。凄いコンピュータは物凄いエネルギーを食い、もの凄い冷却能力を必要とする。」
じゅえる「つまり、凄い演算能力を持つぴるまるれれこは、凄いエネルギーのアクセスも可能で、エネルギー兵器による攻撃では破壊できないんだ。」

まゆ子「こう考えてもいい。あまりにも非現実的なエネルギー量と熱放出を解決する為に、μブラックホール論理回路を組み上げた。」

釈「でも、そんな馬鹿みたいなコンピュータ演算能力を、なにに使うんです? 宇宙の全事象を予測したりするんですか?」
まゆ子「そこがピルマルレレコの恐ろしいところで、種族としてのピルマルレレコは個体同士が互いの体細胞であるマイクロコンピュータのプロトコルを乗っとり、自分と同じ形式にする生存競争を積み重ねて来た。つまり種族内での進化によって、これだけの膨大な演算能力を必要とする。」

じゅえる「つまり、生存競争の為だけにこれだけの進化を遂げたわけだ。特にやらなければならない仕事は、無い。」
まゆ子「無い。だが、恒星間宇宙に飛び出すと、この生存競争こそが他の宇宙人、宇宙文明に打ち勝つ最大の生存戦略であった。」

釈「ゲキロボはどうやってこれに対応してきたんですか?」
まゆ子「それは、他の宇宙人がどうやってきたか、を考えなければいけない。

 宇宙人は通常、高度な機械文明を手に入れると、宇宙に進出する必然的に。当然、コンピュータも持っている。地球のコンピュータとはかけ離れた能力を持つ素晴らしいものだ。
 だがこれが、ぴるまるれれこの好物なんだな。でふらふらと飛んで来て、ぱくっと噛みつく。
 噛みつかれた方はたまらない。これまで宇宙最強最高の文明を自称してきたものが、あっけなく自信喪失してもうただたた逃げ回るばかり。自分達が生み出した高度機械文明が、そっくりぴるまるれれこの仲間たちになってしまうのを、指をくわえて見ているしか出来ない。

 が、そこで滅亡しなければ、というか普通滅亡しない。ぴるまるれれこは機械には興味あるけれど生身の宇宙人は興味の対象外だから、弱っちいすぐ死んでしまう生命にはきわめて優しい。で、彼らはなんとか生き延びる。
 で、生き残った彼らは、どうすればぴるまるれれこの脅威から逃れる事ができるかを模索し、必然的に高次元空間への文明全体の移住を考えつく。3次元空間からは脱出する。
 なぜぴるまるれれこが高次元空間を利用しないのか、は簡単。彼らには必要ではないからだ。また各細胞内のマイクロブラックホールはそれぞれが別次元を構築するから、ちゃんと利用して居る。そんな存在に自らを変換する必然性が無い。

 これはつまり、強い生物は岩場の隅に隠れ住む弱い生物の真似をしなくてもいい、てのと同じだ。宇宙ってのはもちろん3次元空間を無視してはなにもならない。この世界こそがやはり真の世界なんだ。現に高次元空間に移住した高度宇宙人も、そこに疑似的な三次元空間を構成して普通に暮らして居る。」

じゅえる「つまり3次元空間内に留まり続ける宇宙人は、ぴるまるれれこ以外にはゲキロボしか無いんだ。」
まゆ子「ゲキロボはぴるまるれれことの遭遇以来1億年も3次元空間内に留まり続けた。なぜかといえば、ゲキという生命体は3次元空間内にしか留まれない性質を持っていたからだよ。ここんところは、これから弥生ちゃんが無定見生命体と遭遇した時に描く。

 まあなんだ、ゲキの種族はつまり自分達が人工物に置き換えると意味が無くなる、物質的生命的な存在であるとよく理解しており、現実の世界を大切にし続けたんだな。身体を人工物に置き換えることすら頑に拒否し続けた。だからこそ、ぴるまるれれこの存在が明らかになった後も、三次元空間内に留まり続ける道を選択する。」

釈「で、その手法は。」
まゆ子「ぴるまるれれこは生身の生物には優しい存在だ。だからゲキの種族は、対するに機械ではなく、自分達生身の存在での対話を行い、その都度かろうじて免れて来た。」
じゅえる「簡単じゃない。」
まゆ子「いや、これとても難しいんだよ。ぴるまるれれこは有機生命体とはかけ離れた存在で、メンタリティがまるで違う。話を理解しないし空気も読まない。そもそも炎と命の区別もつかない。」

釈「なんですか、それ。」
まゆ子「まあ、そんなわけで普通の宇宙人なら裸足で逃げ出すところを、ゲキは生き続けるも、さすがに生身の生命体に1億年は長過ぎた。高次元空間内に変換して住んでいる宇宙人ならば生き残れるところ、ゲキは普通に消滅してしまう。」
じゅえる「ふむふむ。で、ゲキの造物であるゲキロボは主人を探し求めて2億年宇宙をさすらい、地球人がかなり似ているなあと気がついたんだ。」

釈「でも、高次元宇宙人よりもゲキロボははるかに優れた能力を持つんですよね。どうしてですか?」
じゅえる「そりゃ釈ちゃん、戦って戦って闘い抜いて、自らを高めていった結果でしょう。」
まゆ子「うんそうなんだ。実のところ高次元空間内に存在する宇宙人は、自らが進化する必然性もまた消失する。つまり、生命体としてはtheENDなんだな。各宇宙人はだから、高次元空間へ移住した時点での科学技術しか持たない。よって、宇宙人ごとに技術格差を持つ。これをなんとかしようと思えば、他の宇宙人の持つ科学技術を分捕って来ないといけない。」

釈「なるほど。つまり高次元空間内ってのはよほど快適な空間なんですね。」
じゅえる「まーバーチャル空間であろうから、寿命も能力的限界も無いかな。ゲームみたいなもんだ。」
まゆ子「高次元空間同士の攻防戦、ってのはなかなか難しいんだ。アウェーは絶望的なまでの格差が有り、攻撃側は著しい不利を強いられる。よほどの技術格差があっても、ばしゃっと入り口をシャットダウンされると入り込めない。

 だが、物辺優子は入り込めるんだな。」
じゅえる「ゲキロボは、高次元空間も支配できるんだ。」
まゆ子「ぴるまるれれこが高次元空間には入らない事を知っているから、暫定的に逃亡する先としての高次元空間はちゃんと利用する。また1億年の存在期間は伊達じゃない。ゲキロボはぴるまるれれこに次ぐ演算能力を持っていて、もちろん高次元空間ネットワークも解析済みだ。つまり、ピルマルレレコはサメだが、ゲキロボはシャチなのだ。」

じゅえる「知能の高い、レアな捕食者、なんだね。」
釈「ゲキロボは他の宇宙人と敵対してきたんですか?」
まゆ子「そりゃそうさ。その能力は各宇宙人垂涎の的だもん。もうゲキ種族生存当時から幾度も狙われて居るし、撃退して来た。」

釈「はあ。つまりはゲキロボは宇宙人から狙われる代物である、わけです。」

じゅえる「で、優子はどうやって決着を着けるんだ、この状況で。」

まゆ子「ピルマルレレコ、はこの祠にほんの僅かの細胞1000個以下しか残して居ない。で、それですら美々世さんが自爆するに値する脅威なのだね。これに対して優子は無限に股間から湧き出る無能虫によって覆い隠す。無能虫は侵蝕される前に自壊するのだが、ピルマルレレコの細胞はそれを糧にどんどん増殖する。で、最終的に「人間の女・巫女」が出来上がる。ピルマルレレコの巫女だ。」

釈「負けた、んですか。」
まゆ子「逆だ。人間的な存在として無敵のピルマルレレコを限定した。人間として優子の阿呆が分かるレベルの認識力を備えさせ、呆れてものも言えなくしてしまったのだ。」

じゅえる「それで、いいの?」
まゆ子「まあ、あとで美々世さんに恨まれるけどね。エライことをしてくれたって。ただ、ピルマルレレコの巫女は、別に何をするでもなくただ訳のわからん冗談の意味を考え続ける。」
じゅえる「つまり無害化に成功したんだ。」

釈「しかし、どうしますか。そのまま生かしておいたら、大変でしょう。」
まゆ子「あー、どうしようか? なんかぶっ殺す手は有るかな?」

じゅえる「有る! 最終決戦敵宇宙星間文明を絶滅させる時に、その巫女を相手に放り込む。」
まゆ子「あ。」
釈「あ。その文明はピルマルレレコに汚染されて消滅、ですか。」
じゅえる「そのくらいの報復でないと、月破壊で1億殺された仇は討てないでしょ。」

まゆ子「うー、なるほど。よし決まり。ぴるまるれれこ放り込みだ。ちなみに美々世さんは次の日ちゃんと身体で学校に来ます。正確には美々伍なんだけどね。」

 

じゅえる「でLOVEの話だけど、花憐はOk、優子も有ると聞いた。」
釈「喜味子さんには嫁が居て百合大活躍だとも。」
じゅえる「鳩保は? 鳩保出ずっぱりだけどなんか無い?」

まゆ子「あー、アンシエントとニューのところで、ドスの利いたとこ見せるけど、男欲しい?」
じゅえる「そりゃとうぜんもちろん。」
まゆ子「鳩保ならー、ハーレム状態でしょ。やっぱ。」
釈「はあ。まあ。ですが表現がおそろしく難しくて、無理です。」
じゅえる「女のハーレムは難しいなあ。やるんだったら、もっと可愛げの有る女の子じゃないと。」

まゆ子「鳩保ハーレムは肉食系だからねえ。…、いや、可能なのか?」
じゅえる「やれと言われれば出来るけれど、代償に人気無くなるぞ。」
釈「むしろ誤解され易いけど、いい子だよ、という路線の方が、ぐっときますよ。」

まゆ子「しかしそれではー、ベタネタを使うか。アメリカ留学時代に出来た男、とか。」
じゅえる「ベタだな。向うでセックスでもしてきたか。」
釈「キスくらいは、ありでしょうか。」
まゆ子「胸くらいはもまれたかも。」
じゅえる「うむ、なるほどさもありなん。」
釈「突然金髪の転校生、ですね。」

じゅえる「それはともかく、他の娘の出番はクローズアップされないの?」

まゆ子「あー、クラスメートが死んだ時は、喜味子大活躍で嫁がゲキロボの秘密を知ってしまう。
 で、童みのり出生の秘密ってものを、アンシエント関係で描こうかと思う。」
釈「あー、吸血鬼みたいな回ですね。」

じゅえる「あの娘は海の上にぷかぷか浮いて居たところを拾われたんだね。」
釈「ということは、ケモノ関係ですよ、この回は。」
まゆ子「そうだね。狼男でも出しておくか。というか、そうかここはジャガー星人だ。」
じゅえる「インカとかの南アメリカ方面に巣食っている宇宙人ね。」
釈「なるほど、インディオのお姫様なんですよ。」

まゆ子「てなわけで、鳩保に恋愛モノの要素をどっかで絡めるとして、えーと夏休みにはビキニで泳がないといけないな。」
じゅえる「ケモノ星人の回は、海で泳ごう。」

 

まゆ子「で、今書いているのが、生首星人。首が空を飛ぶ宇宙人をやっつける。」
釈「順調ですか。」
まゆ子「みのりちゃんが臭いで敵を探す方法を考えついたから、簡単に行きます。だいじょうぶ。」

 

じゅえる「ふむ、ではそんなとこで。て、でも結構詰め込み過ぎじゃないかな。」
釈「でもこれまで掲載の回を見てみても、このくらい普通に入りそうですよ。」
まゆ子「うん、これは入る。だいじょうぶ。」

じゅえる「まとめます。

1)ゲキロボ獲得
2)しゅぎゃらへりどくと星人撃破
3)ゲゲポンス大統領撃破
4)生首ろくろくび星人撃破〜今ここ
5)山奥比留丸神社、幽霊巫女対決。美々世さん自爆
6)ケモノ星人、水着も出るよ。みのりちゃん出生の秘密
7)ガリー少尉救出作戦。ニューワールドオーダーとの対面。
8)サルボロイド撃滅戦
9)宇宙艦隊戦をほらがつじ
10)地球滅亡作戦
11)星間文明消滅
12)ゲキロボ最終因果律変更、振り出しに戻る」

 

【サルボモーター設定第3夜】08/08/05

まゆ子「あー、というわけで「サルボモーター」を仮掲載してみました。」

じゅえる「完成していないにも関わらず掲載する理由は、なに?」
まゆ子「どくしゃさまがわたしがさぼってないか、と邪推しないようにです。」
釈「いやまあ、個人のHPってさぼっともいいんですけどね。」

まゆ子「いやあー、例年なら夏場にはコンピュータが故障して修理で1ヶ月ほど潰れて、その間御休みが出来たんだけどさあ。最近は調子がいいんだよね。」
じゅえる「しかし、中途半端はいかんだろう。」
まゆ子「もちろん! 123の推敲が終わる前に、もう第四話を書いてますよ。」
釈「うう、なんか間違っている。」

 

まゆ子「というわけで、サルボモーター質問箱です。なにか疑問の点があればお答えしますよ。」

釈「はい! CNTラバーってのは何ですか? 本編ではろくに説明がありませんけど。」
まゆ子「CNTラバー、つまりはカーボンナノチューブラバーですね。ここで注目しなければならないのは、CNTそのものは引っ張り強度は高く硬度も高いけれど、脆いってことです。つまりは柔らかくない。」
じゅえる「つまりは、こういう風には使えない素材なんだ。」
まゆ子「硬くて脆いから、装甲板にも使えないらしいよ。で、その欠点を補ったのが、CNTラバー。本来直線上に伸びるはずのCNTをコイル状に巻いて成長させる。つまりCNTのバネなのです。」
釈「これには柔軟さがある、ということですか。」
まゆ子「いやこれも硬いんだけどさ、なにせナノレベルの物質だからマクロでみると柔軟さがあるのだな。で、このコイル状繊維を多数搦めて形成したのが、CNTラバー。2041年においては多用されているありふれた素材だよ。特に軍用では。」
じゅえる「防弾機能がある、と書いてるけど。」
まゆ子「拳銃弾なら止める、と書いてるね。でもこれはホローポイント弾とかの柔らかい銃弾だ。鋼鉄芯の徹甲弾やら小銃弾は防げない事になっている。つまりー、サルボモーターの風船手足は物凄く薄いんだ。CNTラバーの裏打ちに普通のビニルを貼っているような感じ。」
釈「では厚ければ装甲板に成り得る?」
まゆ子「うにゃ、重量がそれなりにかさんでくる。CNTラバー装甲は本来装甲能力を持たないものに簡易に防弾機能を与える、そういう風に使われる。精々2ミリ厚だね。これで小銃弾くらいは防げるが、対装甲ライフルやら対ロボットライフルはそれ用の特殊弾を用いるから、あまり効果は無い。うーん、これの用途はといえばだねえ、通常の自動車にこれを貼れば、手榴弾くらいはなんともなくなる、と感じだな。」
釈「すごいのかすごくないのか、分かりませんね。」
まゆ子「いや、飛行機とかに用いれば十分な防御力だよ。」

 

じゅえる「じゃ、次の質問に行こう。サルボモーターの動力は燃料電池ということだけど、出力は十分なのかい。あんまり燃費が良くないみたいだけど。」
まゆ子「それはー、エア駆動のサルボモーターの最大の欠点だ。ツルニハには人工筋肉の技術が無い。だからここ30年の技術の進歩の成果が活かせないんだ。」
釈「外部から買って来る、というわけにはいかないんですか。」
まゆ子「やってはいるんだけどさ、エアコンプレッサーは風船手足を膨らませるのにも使われている。人工筋肉を導入するのもいいけれど、バンパーとしての風船手足を活かす為には別口でコンプレッサーが要る。それに人工筋肉によるアクチュエーターはエア駆動とまるっきり反対の特性を持つから、制御ソフトをゼロから組み直さなきゃいけないんだ。これが物凄く金が掛る。」
じゅえる「ツルニハはソフトウエア技術が一番乏しいんだったね。」
釈「モデルチェンジするだけの資金が無いんですね。」
まゆ子「そこで出て来るのが、ピルマル理科工業ってことだね。でもこれまで人工筋肉をまるっきり使ってないわけでもないんだ。手足の末端の機構を駆動するのに、人工筋肉が便利であるからちょこちょこ使っているよ。」

 

じゅえる「では次の質問。ピルマル理科工業ってなんですか? ぴるまるれれこと関係あるのですか?」

まゆ子「ぴるまる理科工業は初出が「ぴるまる薔薇園の崩壊」というお話で、その頃から悪い奴です。
 基本的にぴるまる理科工業は、宇宙人ピルマルレレコがもたらした超科学技術を独占して人類社会に貢献する諸製品を作るのを目的とします。一種の国営企業という感じですね。
 えーと「ぴるまる薔薇園の崩壊」というお話は、構造的には弥生ちゃんが十二神方台系でやってることを宇宙人ピルマルレレコがやる、というお話です。弥生ちゃんは3年ほどで方台を去りますが、ピルマルレレコは500年ずっと居続けです。その間ひたすらに人類の為に奉仕して女神と崇めれます。」

釈「そんな人がぴるまる理科工業という悪を放置するのですか?」
まゆ子「いや、ピルマルレレコは宇宙人だから、人間的メンタリティを持たないんだ。というか、彼女にしてみれば人間は陽炎、燃える炎のように儚い存在だ。ピルマルレレコの感覚器官が発するエネルギーでそのまま燃え死んでしまうほどに、エネルギーのレベルがかけ離れている。」
じゅえる「要するに神様なんだ。」
まゆ子「ふむ、であるから人間の事は分からない。分からないから代理人が必要。故に、ぴるまる理科工業が設立されたが、当然人間の世の中でこれが凄まじい権力の巣窟となりやがては社会全体を圧迫支配し、ついにはピルマルレレコをすら凌ぐ権威となる。
 その支配体制が崩れ、隠されて居た女王の真実が明かされるというのが、「ぴるまる薔薇園の崩壊」なんだな。」

釈「で、「サルボモーター」におけるぴるまる理科工業は?」
まゆ子「謎の企業体で凄まじい科学力を持ち国家を越える隠然たる勢力を持つ、というだけ理解していればいいです。サルボモーターやサルボロイドは彼らにとっては余技みたいなものですから、さほど深刻にはならない。」

じゅえる「で、実際確保している超技術というのはなに? 世界を変革するような発明?」
まゆ子「まずは統則理論に基づく人工筋肉技術。これはまあいいでしょう。

 で、「サルボモーター」に出て来るアイテムとしては、「マジックポット」というものがある。使い捨てハイブリット原子炉だよ。」
じゅえる「それが分からない。原子炉って使い捨てに出来るものなの?」
まゆ子「それは通常の原子炉が或る程度多量の核燃料を必要とする、という知識から導かれる懸念だ。マジックポットは核燃料が極めて少なくても起動する。というか、微量の核燃料を極めて効率的に反応させる事で大型原子炉と同等の出力を発揮するというもの。通常の原子炉がちんたら種火でとろとろ燃えてるのに対して、ぱああっと派手に燃え上がるんだね。」
釈「放射能でぶっ壊れませんか、それ。」
まゆ子「それを実現する為のアイテムが、中性子ミラーだ。これを利用する事で核反応で不可避な中性子の発生を封じ込め、連鎖反応を利用しなくても微量な核燃料でもちゃんと反応する。ただそこからどうやって発電するか、熱はどうなったのか、は謎です。」
じゅえる「考えてないんだなそこ。」
釈「いつものことです。」

じゅえる「で、その用途は。」
まゆ子「なんでも使えるんだけど、戦闘機に載せれば超音速で地球を何周も回る。ビーム兵器レーザー兵器使い放題。ロケットに積むと単段で月まで行っちゃう。」
釈「サターンロケット並の出力、ってことですね。」
まゆ子「ロケット1基に2個使うけどね。単価が高くて20億もするけれど、それでも宇宙用と考えると格安だ。」
じゅえる「一度の打ち上げで燃えつきるわけ、それ。」
まゆ子「あー、冷却の問題であるのだが、燃えつきるより前に軌道上に出ちゃう。生焼け状態で放棄されます。」
釈「2個使わないでいいんじゃないですか?」
まゆ子「いや、推進剤に使う液体水素の供給量とマジックポットの発電発熱量から計算すると、有人ロケット打ち上げにはこれが一番いいんだよ。
 というよりも、ロケットとして使うのは実は非効率なんだ。シャトルみたいな有翼機で大気圏外まで羽根で上がって、そこから飛んで行く方がマジックポットの利用法としては正しい。だがアメリカの宇宙技術ではそれは金が掛り過ぎる事になった。完全使い捨てが一番安いんだな。」
釈「それで、まだ余力のあるマジックポットを棄てちゃうんですね。」
まゆ子「一度起動させると、途中で止められない。止めると構造が破壊されて再起動不可能になる、そういう機械なんだよ。ちなみに破壊されたものを分解してみても構造は分からないようになっている。重要な部分が溶けて潰れているから防秘にも役立つんだな。」

釈「普通の原子炉ってのは、使われてないんですか。」
まゆ子「いや、普通に使ってるよ。また現在の原子炉と違ってもっと小規模な原子炉も利用されている。蒸気で発電するんでなく、スターリングエンジンを駆動するだけの微量の熱を発生させる小電力タイプ。軍用としてはこれの方が普及している。
 ただ小型で大出力ってのはマジックポット以外無い。特に発電機構が謎で、ほとんどオーパーツと思われているんだよ。あと破損ね、マジックポットは破壊できない。」
じゅえる「航空機に搭載されるくらいだから物凄く安全なんだろうけど、どうしてそんなに丈夫なの。」
まゆ子「中性子ミラーというもの自体が異様に硬くて強固な物質なんだ。これは中性子だけでなくX線も通さない。熱にも異様に強い、2000度以上でも相当の時間耐える。で、マジックポットは中性子ミラーで構成される一体化した容器なんだよ。めちゃくちゃ丈夫で通常の手段では破壊出来ない。
 アメリカ軍がこれの安全性を市民にアピールする為に、核燃料の入っていない殻だけのマジックポットを155ミリ砲で撃ってみたこともあるんだ。ただし榴弾砲でね。」
じゅえる「徹甲弾じゃないの?」
まゆ子「155ミリの野砲だから。120ミリの戦車砲でも撃ってみたけど、弾芯が弾けてべちょっとなっただけだよ。軽量だから吹っ飛んだけどさ。ちなみに、作中でも出るだろうけれど成型炸薬弾を完全に防護するとされる「再帰性装甲」ってのが、そもそも中性子ミラーの親戚なんだ。」
釈「つまりは、最新の装甲と同じもので作られている、ってことですか。」
じゅえる「その再帰性装甲てのは?」
まゆ子「入射したエネルギーを入射点に集中して反射する材質のことだね。成型炸薬弾であれば、超高速のメタルジェットがこれに当たると、その中心にエネルギーが反射され、メタルジェット自体を粉砕してしまう。APSFDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)の場合は、衝突の際にはこれも液状化して突入するから、再帰性装甲によって装甲の表面方向に粉砕されてしまう。」
じゅえる「無敵装甲?」
まゆ子「お値段も無敵です。戦車の装甲をダイヤモンドで作ったくらいに値段かさみます。」
釈「うう、役に立たない。」

 

じゅえる「じゃ、次行きましょう。キングって何人?」
まゆ子「金髪白人、というイメージで書いてます。髭もあるかな。多分アメリカ人です。本名は不詳。ローリング・キングってのはペンネームみたいなものです。」
釈「それにはなにか理由が?」
まゆ子「特にはない。」
じゅえる「軍人?」
まゆ子「いや、その経験は無い。というか、サルボモーター狂であるから、あまり社会的に貢献するとかの能力は無い人だよ。」
じゅえる「ダメ人間か。」
釈「ダメ人間ぷりを期待、ってとこですね。」
まゆ子「いや、鶴仁波綾子ってひともダメ人間っぽいんだけどね。経営とか管理の能力無いし。次に出るはずの鶴仁波芽衣子って女子高生の方が、その点偉い。」

 

【サルボモーター第2話設定】08/06/28

まゆ子「てなわけで、『サルボモーター』「第一歩 サルボモーター」の第一稿が書けました。ちなみにこれは『統則最前線』の仲間ですから”あしどりむ”の管轄です。」

じゅえる「書いたの?!」
まゆ子「書きましたよ。というか、書いた。」

釈「では計画通りに最終話まで書きますか。」
まゆ子「ま、それも悪くない。だが今回なかなか最後まで行き着かなくてね。ネタが薄い小説はこれだから困る。げばおとでも時々あるけどさ。」

じゅえる「とりあえず書くと決めたのは分かったけど、どういう風に掲載するね。」
まゆ子「ま、一話ずつ書いて、素直にのっけて、全部書けたら掲載終了ってとこかな。どっか出してみるよ。」
釈「まあ、なにせ巨大ロボの話ですからねえ、どうなりますか。」

 

じゅえる「で、第一話を書いたとして、次はどうなるの?」
まゆ子「何も考えてない。というか、第三第四話は書き易いんだ、ネタが詰め易い構造だから。」

釈「第三話はアラブの王子様主宰のサルボモーターレース、第四話はアフリカでサルボモーター格闘大会、ですからね。」
じゅえる「第二話、アマゾンの原生林でサルボモーター、なるほどこれはどういじっていいか分からない。」

釈「必要なのはオチです。どうやって話を終らせるか、これです。」

まゆ子「しゃくちゃんの言う事には一理あるが、イメージが無いと。一応は密林の河っ淵を遡っていくんだけど。」
じゅえる「サルボモーターは水辺では動けないでしょう、普通。」
まゆ子「そうだね、確かに得意とは呼べない。」

じゅえる「そもそもね、アマゾンは河だらけってのが誤解なんだよ。大きな河も流れている巨大な土地なんだ。普通に森なんだよ。」
釈「そうですねえ。河ばかりテレビで映るのは、河を遡って行ってるだけですから。」

まゆ子「そうか、じゃあどうすればいいのかな。」
じゅえる「けもの道を行くんだよ、サルボモーターは。」
まゆ子「アマゾンに獣道ってあるかな、というかサルボモーターが歩ける道が。」

釈「樹だらけですからねえ。しかし足元がしっかりしていない場所を歩く、というのは無茶です。確かに。」

 

じゅえる「状況を考え直そう。アマゾンに入ったサルボモーターはなにをするの?」

まゆ子「ゴミ拾いと未発見現地部族の発見と安全の確認、つまりは森林破壊と海賊の侵入の被害の調査です。ただそれがサルボモーターに適しているか、これは疑問がある。」
釈「そうですね、あまり適していない任務ですよ。」

じゅえる「それだね。サルボモーターはアマゾンの密林を行くのには適していない。だからこそキング達は行く。問題は誰がそれを必要とするか、だ。」

釈「エコですか?」
じゅえる「エコならば、機械が森に入るのは嫌うでしょ。」
まゆ子「車両よりはよほど地面を傷つけないぞ、サルボモーターは。まあ樹木の高い所を手で引っ掻くかもしれないけど。

というわけで山登って来た!」

釈「ロケですか。」
じゅえる「いや、まゆちゃんの家の裏山だよ。誰も手入れしないから樹が伸び過ぎて、まさに密林原始林並に立て込んで居るのさ。で、どう?」

まゆ子「結論から言うと、密林を移動するのに、サルボモーターは小さ過ぎる。」
釈「小さい、ですか。」
まゆ子「6メートル、立てば大きいが、しかし樹で考えると一番下の枝の高さだ。人跡未踏の森の樹ともなれば、デカい。6メートルでは圧倒的なというほどのパワーが出ない。非力過ぎる。」

じゅえる「歩ける?」
まゆ子「歩くのはむずかしいのは確かだが、逆に樹にしがみ付いたり寄っ掛かったりしていく分には、むしろ楽。手を掛けて進むのにちょうどいい支えになって人間が薮を進むより楽だ。」
じゅえる「支えがあるわけか。そりゃあロケして見なきゃ分からん話だね。」

釈「しかし、森を破壊するんじゃないですか、やっぱり人工物が通るのですから。」
まゆ子「実は、高い4、5メートル付近が傷付くのは大して問題じゃない。サルボモーターは車両と違って根っこを傷めたりしないからね。森林は自然界で無傷で育つわけじゃない。天変地異や生物の影響で常に傷付き、壊れて修復する。或る程度の破壊はむしろ有益なんだ。ま、たまに3機のサルボモーターが通るくらいならね。」

じゅえる「結論を言えば、密林でサルボモーターを使うのは有益?」
まゆ子「おそらくは。もちろん密林の移動を専門に訓練して居る特殊部隊員とかであればそっちの方が早いでしょう。しかし、200キログラムの荷物を抱えて移動する、なんてのはさすがに無理。サルボモーターは使えるはず。実際はやってみなきゃわからんけどね。」

釈「そこのところはやはり嘘が混じりますか。」
まゆ子「そりゃそうだ。私サルボモーター持ってないもん。」

じゅえる「では密林でも使える事に決めよう。でも湿地帯とか川沿いとかは、やはり歩きにくいでしょ。」
まゆ子「実は「ツルニハ」は軽自動車だけでなくトラクターやらコンバインやらの農業機械も作ってきた。泥田対応なんてのは最初期に適応している。」
釈「田植えにサルボモーターを使ったんですか。」
まゆ子「それも面白いね。」

 

じゅえる「では次行こう。えーと密林を行くのは分かった。で、敵はどうするね。やはり軍隊とか海賊とか出て来るのかい。」
まゆ子「出さない方がいいと思うよ。今回は。北極編の次だからさ。」
釈「そうですねえ。最後に未確認部族発見で矢で射られるくらいで。」

まゆ子「じゃあそうするか。むしろ目的とは別の連中を発見してなんだか分からない内に追っ払った、とかがいいかな。」

釈「未登録で不法侵入の密入国者の村が有る、とかですかね。」
まゆ子「ふむ。」
じゅえる「海賊とほとんど同じだけどね、それ。」

釈「しかし人工衛星とかでそういうのは発見出来ないものでしょうかね。」
まゆ子「あー、こういう村が幾つも有る、ってことかな。いつの間にか住民がすっかり入れ代わって居た。とか。」
じゅえる「余計悪いわよ、それ。」

釈「これは中国人流民なんですよね。」
まゆ子「太平洋諸島戦争は、中国本土から溢れ出した数十万の難民がちゃんとした近代兵器で武装している、という目茶苦茶厄介なものだ。でもそれはほんとは中国各地の軍閥から武器供与を受けているんだよ。で、そういうのでなく只の難民てのも百万人以上居る。太平洋諸島戦争の厄介さはこの両者が混在し、あるいはすり変わる所にある。」

じゅえる「ではここで発見するのは、後者の武装していない方なんだ。」
まゆ子「とは言っても銃くらいRPGくらいは持っているぞ。普通に。」
釈「つまりは武力の規模の問題に過ぎないんですね。」

じゅえる「まあ、どちらにしろこんなのに見つかったら、サルボモーター取られちゃうんじゃないか?」
まゆ子「あー、まあそんな事もあるか。でも大丈夫、綾子ちゃん嘘を吐きます。国連軍の委託で住民調査に参りました。現在本部とリアルタイムリンクしています。とかで、」

釈「あながち嘘でも無いですよね、それ。」
まゆ子「依頼主が国連でなく、NPOというだけでね。」

じゅえる「で、最後は未確認部族発見、というのだけど。これでいい?」
まゆ子「いやまあ、既に発見済みの部族だったってことでいいんじゃないかな。密林の状況もわかるってことで。」
釈「そんなところでしょうかね。」

じゅえる「でもさっきの難民村ってところでサルボモーターの接近を感知できないてのも不思議だね。迷彩でもしてる?」
まゆ子「あー、サルボモーターの作動音てほとんどないし、緑に塗装している事にするか。」
釈「未発見原住民の発見も任務ですからね。」

 

【サルボモーター】08/06/12 (08/11/13あしどりむ移転)

まゆ子「というわけで、げばおとEP6 「第六章 (アィイーガ未定)」の第二稿は出来た。というか、だいたいできた。」(06/09)

じゅえる「ここからはひたすらバグ潰しですから、めんどい。」
釈「どうして誤字脱字は無くならないですかねえ。」

まゆ子「で、ディテールを増す作業をしていたら、人が一人増えた。」
じゅえる「ゲストキャラ?」
まゆ子「どうも、けっこう重要な役所みたい。」
釈「そんな人が、事前の打合わせも無しにぽんと飛び出したんですか。」

じゅえる「何者?」
まゆ子「ギィール神族の海賊のお姉ちゃん。タコリティにも縁が深い人が、こっちに来ててゲジゲジ乙女団結成に一役買うと。」
釈「タコリティ関係者ですか。それはこれから出番増えますねえ。」
じゅえる「まあ、後で考えようその人の事は。で、」

 

まゆ子「というわけで、げばおとは目処が着いた。別の事をしよう。

 今期は結構アニメが面白いのだ。マクロスFとかコードギアスとかアリソンとデリラとかアンジェリークアビスとかRDとか。xxxHOLIC継がちと物足りないのは原作読んで先を知ってるからだろうね。ゴルゴ13は意外といける。」
釈「オーソドックスなものばっかりですね。」

じゅえる「アニメをしたいの?」
まゆ子「うん!」
じゅえる「いやーそういうわけには。なにかパクりたい作品とか出来たんだ。」

まゆ子「というか、ロボがやりたい。」

釈「またですか。ゲキロボがあるじゃないですか。」
じゅえる「タコハチもあるし。」
まゆ子「そういうんじゃなくて、そういうロボが欲しい。」

釈「搭乗型の人型ろぼですね、ガンダムとかマクロスとかに出て来る。」
じゅえる「しかし巨大人型はなんもかんもダメでしょう、科学的に考えると。特に軍用の戦闘ロボは。」

まゆ子「そうなんだけどお、それはそうなんだけどお、なんか欲しい。」
じゅえる「困った奴だな。」

釈「まずイメージを固めましょう。中に人が篭るタイプですね、ガンダムみたいな。」
まゆ子「15メートルでなくてもいい。バルキリーみたいなコクピット露出する奴でもいい。」
じゅえる「空を飛ぶ?」
まゆ子「あー、どうしよう。飛ぶとなるとちょっと考えるな。」
釈「ロボは飛ばない、と。用途は?」
まゆ子「どこでも行ける。」

じゅえる「サルボロイドでいいじゃないか。」
まゆ子「いやあれはパワードスーツだから、あんまり面白くない。」

 

釈「そういえばサルボモーターというのが昔有りましたね。ましなりいの元祖に。」
まゆ子「あー、サルボモーターね。あれはー、歩くしか能の無い機械だ。なんせ手が付いてない、手が足みたいな蹄になっていて、ただ転けるのを防止するだけだ。」
じゅえる「サルボモーターって、懐かしいね。こういうの。」(2001/1/11バージョン)

まゆ子「サルボモーターをちょこっと説明しますとですね、手足がビニール袋で出来てる人型ロボットなのです。ダッチワイフのデカいのが動いて居るという感じで、頭部は飛行機みたいなコクピットで胴体と一体型、丈夫なビニール袋の中にバネが入っていて空気圧で動く。転けても大丈夫、というよりも転けることを前提に設計され、転けた後に如何に速やかに復帰するかを考えて作られた、歩く以外なんの役にも立たないロボット。スポーツ用です。」

じゅえる「いいじゃん。」
釈「スポーツ用ろぼ、いいじゃないですか。」

まゆ子「しかし、ナンの役にも立たないよ」
じゅえる「パリ・ダカ出ればいいじゃん。」
釈「スポーツ用ならばそうですねえ。あるいは南極を走るとか、エベレストに登るとか。」

まゆ子「しかし、軍用とかは出来ないよ。」
じゅえる「平和的でいいじゃないですかあ。たまには何の役にも立たんロボットで遊ぼう。」

まゆ子「でも戦闘シーンが無いと面白くない。火器の搭載が出来ないから、アニメになれない。」
じゅえる「現代アニメ病に冒されてますな。」
釈「そうとう重症です。」

まゆ子「だから、サルボモーターは発展性が無いから放棄したアイデアなんだよ。
 作業出来ないし荷物運ぶのにも不向きだし、速度は出ないし、鉄砲撃とうにも背が高過ぎて的になる。装甲は重くて動けない上に原理的にゴム風船の手足が絶対必要でまったく不可。そもそも静かに直立する事すら出来ずにふらふらと揺れている。
 どこにでも行けるけれど、行く用事の無いロボットなんだ。」

じゅえる「サルボモーターを使って、面白いお話作れない?」
まゆ子「作れるけど単発ものだ。発展性が無い。」
釈「それはどうでしょう。面白いだけ、というのはかなり画期的ですよ。」

じゅえる「サルボモーターはどのくらいの重量なのさ。パラシュートで降ろせる?」
まゆ子「そうだねえ、直立時で6〜8メートル。重量3t以下だね。嵩張るけど、軍用飛行機に積んでパラシュートで降ろせばどこにでも行ける。月面でも運用可能。ただし、用途が無い。特に戦闘にはまったく不向き。」

じゅえる「パイロットが戦闘員で、戦闘する時は下りて戦えばいいじゃん。」
釈「ですねえ。」
まゆ子「え? でもそんなの本末転倒じゃん。一応ビークルに乗ってるのに、下りて戦うってなんですそれ。」

じゅえる「ゴム風船と言っても、結構丈夫なんでしょ。」
まゆ子「拳銃弾は跳ね返すくらいはあるけれど、小銃弾は無理。打痕防止の為だけのゴム風船カバーだ。まあRPGが当たった場合ぺこんとはね返して無事なんだけど、手榴弾ぶつけられると爆発の情けないロボだよ。」

釈「手は完全に作業には使えないんですね。」
まゆ子「転けるのを防ぐ為だけに付いている。要するに脚が上下二対付いてるんだよ。作業をまったく考えないからこそ成り立つ設計だ。」

じゅえる「しかし格闘は出来る。」
まゆ子「逆だ。格闘しか出来ない。転けても壊れないように作られているから、ぶん殴っても壊れない。でも、射撃戦の出来ないロボが格闘戦ができても仕方ないだろう。」
釈「そんな事はありません。射撃禁止条約を作ればいいんです。」
じゅえる「そうだね。戦闘禁止区域に投入される平和的闘争ロボだ。」
まゆ子「そんな無茶な。」

じゅえる「武器、たとえば棍棒とか槍とかでぶん殴るのは。」
まゆ子「サルボモーターの手は本来モノを握る為には作られていない。しかしながら、手とは別口にフックを着けるのは、問題無い。括りつければいいんだ。」
釈「ではつまり、三国無双とかはOKなんですね。」
まゆ子「だからそんなもん出来てもしょうがないんだよ。」

じゅえる「いいよお、役たたずロボいいよお。」

釈「ではこのロボを誰が使いどのようにストーリーを組み上げるか、ですね。パリ・ダカを例に出しましたが、それはやはり陳腐ですか。」

じゅえる「そうだね。大真面目にこれを用いよう。軍用を考えれば、偵察は普通に出来るんだ。」
まゆ子「リモコン飛行機飛ばせばいいだけだ。無意味。」

釈「人間が居る事に意味があるんです。そうですねぇ、砂漠の中で宝探しとか。」
じゅえる「うんうん、いいねえ。宇宙から振って来たお宝だよ。」
まゆ子「いや、そういうのは、…リモコン飛行機で探して、ヘリで兵士を降ろせば。」

釈「あるいはジャングルクルーズですよ。幻の怪獣を捕まえるんです。」
まゆ子「あー、3t程度の軽量だから、サイやカバ、象に見付かると撥ね飛ばされるよ。」
じゅえる「うんうん、それもいい。野獣にはねとばされるロボなんて、聞いたこともない。」
釈「新機軸です!

 

 ここでゲストの鶴仁波清子さまです。さやこさまこんばんわ。」
清子「またおもしろいおはなしですか。」
じゅえる「これこれこういうわけです。」

清子「まあ、へいわてきロボットですか、素晴らしいですね。」

まゆ子「いや、ろぼっとアニメというのはちっとも平和的でない殺伐としたですね。硝煙の臭いが染みついて。」

清子「いっそのこと、このロボットさんで宇宙怪獣を捕まえるというのはどうでしょう。」
じゅえる「おお! その手があった。」
まゆ子「だめ、やめ、それは無し! なし!!」

釈「地底人のロボットと格闘するとかは?」
まゆ子「地底人も無し!」
清子「ジュラシックパークで恐竜とたたかう、とかであれば。」
まゆ子「陳腐です!」

じゅえる「まゆちゃん、どうしても戦争をさせたいわけ? それこそ陳腐でマンネリでしょう。」
まゆ子「いやロボットというものはそういうメルヘンのほほんとしたものではなく、殺伐として鋼鉄の雨が降り注ぐ戦場にこそ。」
釈「そういうリアルなロボは”りある”じゃないんですよ。」
清子「幻想的ですね。」

まゆ子「いやそりゃそうなんだけどさ、そりゃそうだけど浪漫てものがあるじゃない。」
じゅえる「平和的ロボットの方がずっとロマンチックだぞ。」

釈「ではこうしましょう。サルボモーターは地球環境に優しいロボットなのです。全地球規模で汚染された大地を、人跡未踏の地までもゴミが散乱する世界を清掃する為にボランティアで飛び回って居るのです。」
じゅえる「リアルだ。」
まゆ子「しかし。」

清子「サルボモーターは泳げますか?」
まゆ子「沈みません。ゴム風船ですから。」
清子「素敵。」
じゅえる「北極の氷の上でも大丈夫ってわけだ。」

まゆ子「ちなみに空だって飛べる。パラグライダーの大きい奴をくっつけると飛ぶ。」

釈「人間が出来る事なら何だって出来るんですね凄い。」
まゆ子「だが作業は出来ないぞ。なにせ立ってるだけでもふーらふらしてるんだから。」
釈「馬だって牛だってそうですよ。」
清子「むしろサルボモーターは動物に近いものなのですね。優しいのですよ。」

まゆ子「とほほ。どうしよう。」

 

じゅえる「というわけで、新企画小説「サルボモーター」出来上がり。」
まゆ子「あ、いやそんな無茶な。」
釈「無茶が通れば道理が引っ込む!」

 

「サルボモーター」(全1巻300頁予定)

1、サルボモーター(「北極のサルボモーター」);北極圏でゴミ拾いをしていると、旧ソ連の偵察衛星を発見する。
2、密林のサルボモーター;南米の密林の中を進む。地球環境汚染の話と、太平洋諸島戦争の残滓が覗く。。/瓦礫の被災現場で
3、砂漠のサルボモーター;アラブの王族の依頼でサルボモーター選手権に出場。箱型の普通ロボットが参加するも惨敗。/統一アラブ連合の首長を決める裏レースがあるので、接待レースという事になる。王子様、飛んできたRPGをぶっ叩く。王子様のサルボモーター150メートルの断崖から転落するも無事!
4、アフリカのサルボモーター;草原でサイと格闘するサルボモーター。サルボ同士の決闘も有り。/草原はサルボモーターの楽園
5、富士山のサルボモーター;日本に帰って来た綾子が、京都の実家で大迷惑する。鶴仁波芽衣子登場。サルボ製造で大法螺を吹く。/映画「帰って来た若太朗」シリーズの撮影で、富士山麓をパラグライダーで空を飛ぶ。砂走り。
6、月面のサルボモーター;月面でサルボモーターを使うという話が巻き起こり、新興企業のピルマル理科工業との技術提携の話。/月面歩行実現。
7、追憶のサルボモーター;人工筋肉を使ってより有用に設計された新型サルボロイド。軍用にも使用可能な新鋭機だが、ピルマル理科工業が製造権奪取を目論む。/サーキットで実用試験の当時の回想
8、鶴仁波○○堂のサルボモーター;鶴仁波家の内紛。そしてサルボロイドを手放したツルニハは、エアで動くサルボモーターだけを製造販売していく事になる。/京都時代祭、街中で人込みの中を歩く

(番外)
・侯爵夫人のサルボモーター;10数年前に綾子が納入した純白のサルボモーター。乗る人を不幸にする(射殺→溺死→馬蹴り殺し+飛行機事故→列車激突)と言われるこれが、ツルニハに帰って来る。ツルニハの名誉の為に問題ない事を証明する綾子は、神社でお祓いしてもらって乗り込むが。結論は、侯爵夫人という人が先天的に身体に異常があり、左手左半身だけに偏った操作が出来るように物理的にカスタマイズをしていた為に、常人では認識できないズレを生じた為。
・幻のサルボモーター;サルボモーターの手足に使う炭素繊維のバネを作る達人にスペシャルバネを頼む為に、キングとライバルになる「スキップ銀治」が対決する。
・生贄のサルボモーター;アステカ文明の遺跡で3on3のサッカー試合をサルボモーターでやる。蹴られた球が観客に当たって死ぬほどの恐ろしい儀式。
・複座のサルボモーター;席を二つ作れという無茶に対応して作られた複座の機体。恋愛絡み。
・泥棒とサルボモーター;どこかの宝石強盗でサルボモーターが使われたとの事で、メーカー代表綾子が検証する。
・偽のサルボモーター;東欧の国で作られたサルボモーターの偽物を追跡する。
・雪山のサルボモーター;南アルプスで雪山登山中遭難したサルボモーター。乗員は無事救出されたが、機体の回収に乗り出すと大苦戦。
・祝福のサルボモーター;サルボ乗り同士の結婚式に皆でお祝いに行く。綾子とキングのお話(事実上最終話)。

・蛙のサルボモーター;蛙大好き白人女性社長の依頼で、湖を平泳ぎ出来るサルボモーターを製作する。ガニ股になる。
・楕円のサルボモーター;アメリカでのオーバルサーキットで行われる高速レース。逆行する自動車を避けながら大転倒を繰り返す白熱したレースで、キングは宿命のライバル「スキップ銀二」と対決する。

 

登場人物;
 「キング」;本編主人公。世界的なサルボ乗りで、「受身王」の名を恣にする。鶴仁波綾子の恋人で、世界中を飛び回りサルボモーター普及に務める。
 「鶴仁波綾子」;サルボモーターを世界で唯一社製造する「ツルニハ」の令嬢。30歳、吹石一恵似の美人。世界中の環境保護団体と交渉して、サルボモーターの運用資金を獲得する。
 「ベンジャミン・ミンジャン」;元海兵隊のサルボ乗り。サルボモーターでの格闘を得意とする。黒人、190センチ以上の巨体で特製コクピットが必要。
 「鶴仁波芽衣子」;綾子の姪。18歳女子高生。サルボモーターの製造を増強して、世界中に大量に普及させようとする半分狂信的な女の子。後に「ツルニハ」の社長に成る。
 「鶴仁波清子」;さやこ。綾子の祖母。文学的な人で物静か。京都在住。
 「スキップ銀二」;キングのライバルでサルボモーターでは不可能と思われるスキップを実現する高度な技術を持つ。更なる高みを目指して「パ・パ・ドゥ」の習得の為に、達人が鍛えた脚用専用板バネを求める。

基本設定;
「サルボモーター」は「統則最前線」と同じ歴史上の物語。つまり「統則最前線」の世界観で進行する。
時代は2042年、太平洋諸島戦争真っ只中。ただし世界全体はそれなりに普通の生活を営んでいる。地球温暖化の影響が顕著で、北極海は東西を繋ぐルートが出来ている。また海水面が上昇して世界各地でひどい災害を巻き起こす。
「国際連合」は2040年に「国家連合体」へと再編され、常設軍を持つ事となる。アメリカロシア中国は批准していない。
日本の政治は蒲生弥生ちゃんが総理大臣になる直前。国家連合体の成立に多大な貢献を為して、人気絶好調の政治家。
ただし、相原志穂美先生はこの頃はまだ学生。つまり二人は同級生ではない。
統則ロボットは既に実戦投入されている。ただし「タコハチ」は最上級機密で民間では存在すら知られていない。土器能登子従軍中。
メイドロボは現在初期型が普及し始めている。凄く高価。だが鶴仁波○○堂には導入されている。

 

「ツルニハ」;元自動車製造で現在はサルボモーター専業となったメーカー。現社長は何故にこんなものを作ってしまったのか、と後悔に苛まれる毎日。
   月産80台、年間1000台を製造する。単価が2000〜3000万円な為に年商200億円と、知る人ぞ知る優良企業。
   30年製造しており、世界中に20000体弱のサルボモーターが有る事になるが、破損率が大きくまた趣味の機械である為にメンテナンスの手間とカネも掛り、メーカーでありサポート体制を持つツルニハは結構な儲けを出している。
  大正時代には人力車・馬車を作っており軍用に馬車を納入してそこそこ儲けていたが、当然モータリゼーションの進展に置いてけぼりを喰う事になり、戦後はエンジンの開発を進めて原動機付き三輪自転車というニッチな商品でそこそこ成功。次に農業用トラクター等で馬車屋としては堅実な転身を遂げ、70年万博に合わせて軽自動車「SARVO」を発売、苦肉の策で屋根をちょん切った似非コンバーチブルがそこそこヒット。90年代に後継「SARVOU」を発売するもこれは成功とは言い難く、21世紀に入って後はハイブリット技術の導入も遅れた為に自動車産業から撤退。農業機械部門を売り払ってサルボモーター専業へと業種を替える。
「鶴仁波○○堂」;「ツルニハ」の母体となった老舗の饅頭屋。16世紀創業。京都に一族の本拠地がある。
「ピルマル理科工業」;謎の企業。高度な科学技術を駆使して瞬く間に世界を席捲した。人工筋肉技術をツルニハに提供して、サルボロイドを作り上げる。
   後にこれの製造権をツルニハから奪い取り、市場の独占を図る。
「国家連合体」;2040年に「国際連合」から改称して「国家連合体」となり、より強力な指導力と常設の軍隊を持つようになった。サルボモーターを運用する実験部隊を有する。
「MIT」;米マサチューセッツ工科大学。サルボモーターを格闘させる為の制御ソフトを大学生が開発し、無償で公開している。

 

「サルボモーター」;2012年に発明された搭乗型二足歩行ロボット。全高6メートル、全備重量3t。歩く事しか能が無い、万無能機械。でも面白い。
   手足が炭素繊維製の長大な板バネとそれを曲げる為の空気圧チューブアクチュエーターで構成され、極めて衝撃に強い構造となっている。原理的には、機械化竹馬。
「8メートル型」;サルボモーターに作業用マニュピレータと尻尾型支持脚を付けて作業が出来るようにしたもの。通常の6メートル型では出力不足の為に8メートルを必要とする。机上のプランに過ぎず、ツルニハの資金力では開発できなかった。
「サルボロイド」;エア駆動で動くサルボモーターを改良して、人工筋肉を採用した新型ロボット。静的な直立すら出来ないサルボモーターの欠点をほぼ覆い隠し、繊細な作業に使える。
 ピルマル理科工業はこれを軍事用に改造して前線に投入しようとする。無人兵器ロボット兵器の導入が一回りした結果、それらをケアする汎用性の高い作業用ロボットが必要となり、従来型作業機が擱座する場所にでも入っていけるサルボモーターの万能性が注目されたわけだ。
 このような経緯から、ピルマル理科工業ではサルボロイドを無人機に仕立て上げるだろう事を鶴仁波芽衣子は看破し、ホビーロボット市場にピルマルが参入しないと見極めた。
「サルボフロッグ」;欧州のとある金髪美女社長の以来で開発された特殊サルボモーター。最初から湾曲した脚部を持ち、ガニ股である。主に水中で平泳ぎをする為に用いられるが、セッティングを替えて湾曲部を後方に向ければ、陸上でもちゃんと普通に使用可能。依頼者がカエルマニアであり、長年カエルみたいなサルボモーターを夢見て来たので、「サルボフロッグ」の名を持つ。
「かっこいいロボット」;古典的とも言えるガンダム系の正統派搭乗型二足歩行ロボット。サルボモーターの成功を見て開発された。
   繊細な構造で正確に機能し作業に用いる事が可能。役に立つロボットであるのだが、サルボモーターのように転けると壊れる。どつかれると壊れる。
「パラグライダー」;サルボモーターが空を飛ぶ為の装備。時速100キロ程度で飛行可能。また、単純に空中投下されてパラシュートで地面に下りる事も出来る。
「タモ」;サルボモーターの右手に装着してゴミを拾う為の網。
「赤外線レーダー」;サルボモーター標準装備のセンサー。ミリ波レーダーも搭載する。赤外線は主に人間の存在を感知して安全を確認する為、ミリ波は地面の凸凹を測定する為に使われる。赤外線で空中を数十キロ先を飛ぶ物体を感知出来る。この時代、至極有り触れたセンサーである。
「太陽光レーザー発電衛星」;宇宙空間に配置された人工衛星で太陽光を集め直接レーザー光線を作り、地上基地局に照射して水素を作り出す施設のこと。地球温暖化対策のエネルギー供給源として最も期待されている。2025年から本格建設が始まり2042年現在は実用レベルにまで出力が増大して全世界に水素を供給し始めた。
「人工筋肉」;電流もしくは化学物質をエネルギー源に動く筋肉状のアクチュエーター。サルボモーター開発時にはあまり出力の大きいものが供給されていなかった為に用いられなかったが、2042年に月面へサルボモーターを投入しようという計画に際して本格的に搭載研究がなされる。これによりサルボモーターは極めて微細な運動が可能になり、作業機械としての能力を獲得して、サルボロイドへと進化する。
「歩行姿勢制御システム」;サルボモーターの特異的な歩行機構を制御する為のソフトウエア。「ツルニハ」は元が自動車メーカーでありソフトウエア開発能力は低く、サルボモーターの制御でも、悪路面での高速走行を重点としたシステムしか構築し得なかった。その為世界中のサルボ乗りやコンピュータ技術者が無償で制御システムを作り上げ、様々な運動やメーカー想定外の作業が出来るようになった。
「潜水艦発射偵察衛星」;旧ソ連が開発した潜水艦からSLBMを使って打ち上げる短期間用偵察人工衛星。米「スターウォーズ計画」によって軌道上の軍事衛星が一方的に撃破されるのに対抗して、数で補おうと開発された。開発自体は成功したものの、北極海からの打ち上げ実験には失敗。残骸が氷の中に隠れており、2042年に発見される。
  もう60年も前の機械であり既に技術的に見るべきものも無いが、なぜか争奪戦となり北極の氷原で銃撃戦まで展開される。この衛星に使われている通信暗号システムは極めて旧いものの、CPU供給を西側に依存せざるを得なかったロシアは最終的な安全牌として全てを自国で掌握出来る原始的なコンピュータを用いており、ごく最近まで類似のものが使われていた。現在では完全に光コンピュータに移行しているものの、未だにプロセッサ供給を外国に頼らざるを得ず、安全保証システムの基本的な設計はこの時代から変わっていない為に、参考資料と成り得る潜水艦発射偵察衛星の残骸は絶対に回収しなければならなかった。
「ロボットアーマー」;軍用のパワードスーツ。全高2メートル程度でチタン装甲を持ち、搭載のみならず手持ち武器の使用も可能な完全な戦闘兵器。世界中の軍隊で使われているが、過渡期の存在として未だ有用性が完全には証明されていない。北極海で主人公らは遭遇したが、落水して復帰不能となりサルボモーターに助けられた。
「カーゴジャイロ」;オートジャイロの原理を利用した電動無人輸送機。5〜10トン程度の貨物を時速120キロという低速で運ぶ。燃料電池を用いた電動ヘリコプターの開発からの派生品で、燃費が抜群に良く構造が単純な為機体価格が低いのが最大の利点。またオートジャイロ特有の失速事故が起きにくい構造も運用を簡単にしている。垂直離着陸も限定的に可能。通常有人機による先導で10機以上の無人機が列を作って編隊飛行する。故に「空中列車」とも呼ばれる。飛行物体としては極めて低速だが貨物輸送量の大きさととコストの低さから難民への物資輸送に大きく役立っている。サルボモータは軽量の為、これで空中輸送出来る。
銘菓「鶴仁波」;鶴仁波○○堂で作っているお菓子。日本国中で有名、というほどではないが結構知られている。「ツルニハ」ではサルボモーターを納入する時、かならずこれをお祝いに持っていくので、サルボ乗りの間では知らぬ者が無いというか知らない奴はモグリ。
「SARVO」;「ツルニハ」が70年初頭に販売した軽自動車。農業機械を作っていた「ツルニハ」が自動車事業に参入した際の第一号モデル。思いっきり安物に作られており、若者を対象として売り出されたが、当然ぜんぜん売れなかった。しかし更なるコストダウンを敢行し屋根までちょん切ったところ、安物コンバーチブルとしてそこそこヒットして命脈を繋ぐ。
「SARVOU」;「ツルニハ」が90年代に売り出した軽自動車。「SARVO」のモデルチェンジでようやく他のメーカーと同じ土俵で戦えたが、生憎のバブル崩壊で販売数は芳しくなく、場当たり的なマイナーチェンジを繰り返して妙な機構が投入された。
「もふもふ手」;サルボモーターのオプションパーツで手の設置部分に装着する。シューズの一種である。基本的な機能は地面に接地する時の衝撃緩和であるが、特殊なスポンジでできておりもふもふと柔らかい。主に象とかサイ、熊といった大型獣とふれあう為に用いられる。肉球有り。
「マジックポット」;2040年頃に登場したエネルギー発生装置。核分裂/核融合ハイブリット型発電機で基本使い捨て。戦闘機や戦車に搭載できるほど小さい。
 中性子ミラーで構成された反応室に極微量の核分裂燃料を挿入し、重水素-三重水素を燃料とする核融合による中性子で起動する。連鎖反応を利用しない為に暴走があり得ず、制御が簡単。発生するエネルギーは極めて大きくしかも長時間反応が続くが、一度反応させると停止が出来ず、修理や再利用は出来ない。戦闘機に用いると超音速巡行(M2以上)で10万キロ連続飛行が可能となる。またレーザー砲、ビーム兵器のエネルギー源としても用いられる。
 主要部品である中性子ミラーは極めて強固であり、砲弾やミサイルの直撃でも容易には破壊出来ない。故に移動する兵器に搭載する事も許可される。しかしながら1基20億円以上で使い捨てである為に、使用する国は限られる。また製造元であるピルマル理科工業は軍事機密としてその構造・製法をまったく開示しておらず、同盟国以外は使用が不可能である。なお反応停止後は内部構造が融解している為に調査しても構造を推察する事ができない。特に発電機能の構造がほとんど謎である。
「パイロット重心での回転」;サルボモーターは本来転倒時にはスムースに回転して機体に損傷を与えないように作られている。その為、設計時から機体転倒の重心が設定されており、普通に転けた場合はこれを中心として回転する。しかしながら「受身王」ローリング・キングは『パイロット重心での回転』を行い、独自の機動でレースの頂点を極めた。
 つまり、機体転倒時上部に位置するパイロットを中心に機体を回転させる。これにより頭から突っ込む鋭いスピードの有る回転、空中でコクピットが回転して地面に触れない、通常の機体重心の回転よりも速やかで制御可能性の高い復帰動作が可能となる。それ以上に、見る人に強烈な印象を与えサルボモーターの令名を高めた。だが勿論キング以外の者には真似ができない高等テクニックだ。
「サルボエンジェル」;ツルニハ次代の経営者と目される鶴仁波芽衣子(18才)が目論む、未来の主力商品。早い話が、サルボモーター構造の人間大メイドロボ。当然なんの役にも立たない。しかしながら、大型サルボモーターと同じく野外での運動特性に優れ、凄まじい速度での走行が可能となり、ホビー用途としては十分に訴求力を見込まれる。
 また芽衣子これを警備用途に用いる事も画策する。警備には人間の姿がその場に存在することが重要な場面があり、しかも狙撃や自爆テロ等の危険にさらされる。人型ロボットによる警備任務は世界中で実験されているが、いずれも人型ロボットのコストの高さが障害となり頓挫した。そこに、非常に安価な構造を持つ、立って歩く以外の機能を持たないサルボモーター形式のロボットを投入しようというわけだ。
 試作機はすでに完成しており、鶴仁波○○堂の庭で飼っている。芽衣子の手に仕込まれた触覚感応マウスにより、かなり器用な動きをする。通常のメイドロボがほぼ自動でAIによる家事労働を行うのに対し、サルボエンジェルでは遠隔操縦によるユーザーの手仕事となるらしい。
「触覚感応マウス」;手足に挿入したマイクロチップが触覚神経に情報を伝達しモノの形状を伝え機器を操作する、ポインタ技術。概念的には前世紀から考えられており、サイボーグ技術の進展により普通に完成した。基本的には義手義足等の制御に用いられる為のものである。しかしながら、サイボーグ技術がどんどんと進化した上での結論は、機械義手義足はほんものの手足の代わりにはならず、あくまでも道具でありまた道具に徹するべきである、となった。故に、触覚感応マウスは機器操作の利便性を向上させる進化を遂げ、手足とは独立した操作感を得ることとなる。
 触覚感応マウスは2040年代には非常に精度の高いものに完成し、提示される触覚情報で文字や図形が読み取れるようになる。シーケンシャルな情報ではあるが文章を読む事も可能である。さらには色や感触、粘度といった形状に付随する属性も瞬時に判断する事が可能となる為に、多彩な情報を瞬時に認識出来る。加えて、両手両足に埋めこまれた触覚感応マウスを独立して操作する事が可能で、人類史上初めて、人間にマルチタスク環境を導入することが叶った。
 微細なアナログ感覚を識別フィードバック出来る為に、乗り物の操縦、特に難しいサルボモーターの制御にも十分役立つ。2041年前後のツルニハの課題は、この触覚感応マウスによる操縦をどの程度サポートするか、であった。従来の手足の感覚による操縦は芸術の域に達するが、これの導入により初心者でも容易にその域に到達する可能性が示唆される。これがマーケット戦略上でどの程度の影響をもたらすか、ツルニハ開発陣の誰も読み切れずに躊躇していたわけだ。しかし、オフィシャル「チームツルニハ」のエースパイロットにして操縦技術顧問のローリング・キングの言によれば、「音は出ても人を感動させる演奏が出来るとは限らんだろう」ということになる。
 この技術と対比されるのが、いわゆる「電脳技術」だ。脳内にマイクロチップを埋めこみ、脳が直接デジタル情報を取り込み操作する電脳技術は21世紀が始まるとともに急速な進歩を遂げて、2040年代にはかなりの自由度を得た。だがその限界もはっきりと認識され、弊害も問題となる。そもそもが脳を直接電子機器に接続する事は生体に負担が大きく、また意識を電脳に集中させることで身体本体の制御がおろそかになり、身体的危険が増す。また脳内のマイクロチップは毎年進む技術革新で急速に陳腐化し、早くやった者が馬鹿を見る状況に陥った。さらには個人情報の漏洩や犯罪利用、とくに電脳処理をした者を拉致しての情報略取や生体認証資格の盗用。拷問の手段としての電脳ハッキングが世界的な問題になる。加えて、電脳を利用したプライバシーの侵害、いわゆる「電脳ピーピング」が大問題になる。これは、情報機器を持っていない生身の人間であればこそ許される日常の場面を、電脳処理者が記録してインターネット上にアップロードする事で起こる、個人情報の漏洩である。また企業や政府機関の機密情報も電脳処理者が盗み出す危険は当初から指摘の通りに頻発し、ついには企業機関の機密エリアには電脳処理者の侵入が許されない、というよりもそもそも起用雇用されない事態にもなり、本来電脳により個人能力が増大し社会生活において他者に優越し利益を得るはずの構造が逆転する。劇場や映画館、コンサートにも入場を断られ、足が付き易くなるとヤミの犯罪者にも相手にされない。ここまでの不自由を甘受すべき理由は誰にも無いわけで、ほどなく世界的に電脳処理手術は身体的欠陥の補正に絶対必要な者以外は許可されなくなった。そもそもが、頭の中でWindowsが動いている間抜けなインターフェイスではどうしようもない、脳機能の本質的向上ではなくほんの少し手間が省けるに過ぎない、他の操作技術も向上して電脳化のメリットが少なくなった、等の理由で急速に廃れてしまう。

 

【ゲキロボ☆ スケジュール表】08/04/30

じゅえる「しかしなんだね、『ゲキロボ☆』は快進撃を続けているね。」

釈「あれは短いのがうまく功を奏しているみたいですが、どんな制限が課せられてるんですかね。」
まゆ子「1ページだよ。ワードパッドで1画面分を基準に書いている。結構長く感じられるもんだ。うん。」
じゅえる「短いと良いのかい?」
まゆ子「一応は起承転結をはっきりさせてるからね。特にオチは必要だ。1ページでも飽きられないようにする努力は怠ってないよ。」

釈「これは『げばおと』他にも応用効きますか。」
まゆ子「そう思う。というか、げばおとの原稿見直していて気付いたんだ。或る程度のまとまりは1ページに納まるって。しかもかなりの表現力を持つ。ならば意図的に文章のある塊を1ページに抑え込んだら、ぴりっと抑制の効いた文章になるんじゃないかな。」

じゅえる「しかし、長いのももちろん有るよね。」
まゆ子「そうなんだ。ふつうに考えると、1ページを過ぎて長いのはかなりの重大なシーンなんだ。描写の容量を必要とするね。だから今後研究するべきなのは、続き物の1ページ小説をどう構成するか、これだね。」

じゅえる「『統則最前線』をそれの実験台にすればいいんだよ。」
まゆ子「ふむ。確かにそういう手もある。『統則』書いていて思ったよ、或る程度で短く区切らないと、これは手に負えない。」

釈「じゃあ、やってみたらどうです? 1ページ小説を。」
まゆ子「ふうむ、だが決定的ななにかが欠けているんだ。そこを今日は考えてもらいたい。

 

 というわけで、講師の鶴仁波清子さまです。」
清子「こんにちは。」

まゆ子「さっそくですが、1ページ小説で長編中編を書く為の手法について、考察していきたいと思います。」
清子「はいよろしく。」

まゆ子「清子様は1ページ『ゲキロボ☆』はいかがです? おもしろくありませんか。」

清子「そうですね。なんと申しますか、行き先がわかりません。この物語は最終的になにを求めているのか、読者は理解に苦しみます。」
じゅえる「ああ、そういうのは無いんです。ゲキロボはただ単にのんべんだらりと流れていく4コママンガ、新聞連載マンガみたいなものです。」

清子「では、ほのぼのまったりと時間の経過を忘れてしまう、というのがよろしいのですね。」
まゆ子「そう受け取れないとすれば、私のミスあるいは未熟です。申し訳ございません。」

清子「なるほど、まったりすればよろしいのですね。でも、書いている方はそうは考えていないのではありませんか。続き物の一部分のような気がします。」
まゆ子「その指摘もごもっともです。ただ、未だ設定を立ち上げている最中とも言えまして、或る程度中身を突っ込んで居る気配はあります。」

清子「本調子ではない、とおっしゃるのですね。ではこれからはもっとまったりとした日常生活の中に、ゲキロボットが活躍するというお話になりますか。」
まゆ子「そうあって欲しいと思っています。ただ、学園まったりものはそれはそれで難しいのです。」
釈「ええ。今回新たにクラスメートが出て来ましたが、これが一番難しかったのです。」

清子「スケジュールはどうなっていますか。今後ゲキロボはどう進んでいくのでしょう。」
まゆ子「あー、無いかな?」
じゅえる「無いですね。計画は未だ白紙に近い。ただ物語全体の大まかな歴史的事項は決まって居るようなものです。最終回は卒業式です。それまでの1年半をのんべんだらりと過ごします。」

清子「わかりました。ではスケジュールを組みましょう。誰がどこでなにをする。これを最初に決めるのは非常に重要かつ有益な事です。」

まゆ子「はあ、たしかにそれは『げばおと』でも成功してますから。じゅえる、なにか突っ込むイベントは無いかな。」
じゅえる「イベントは沢山用意出来るけど、本質的なイベントでないと蛇足だろう。」
釈「そうですね。無制限に垂れ流すほどのリソースはありません。絞るべきです。」

まゆ子「では今書いている各種自己紹介編が済んだら、スケジュールに沿った物語にしてみます。」
清子「お願いします。」

釈「で、そのスケジュールというのを考えてみます。敵が居ないとダメですよね。」
じゅえる「学内と学外、それに人間の組織が敵として上げられます。とりあえず宇宙人の敵を明確に設定するか。」

釈「サルボロイド、ウサギ星人、ソーセージ野郎。今のところこんなのが出ています。」

清子「そうですね、メインとなる敵をまず設定しなければいけないでしょう。軸となる宇宙人の悪役が是非とも必要です。」
じゅえる「オーソドックスだな。」

まゆ子「サルボロイドは出て来るよ、頻繁に。あとは生首星人とかノロイ星人とか。」
じゅえる「こいつらをどういう悪に仕立て上げるか、これが問題。どうしよう。」

清子「敵というのは短兵急に襲い来るものとは限らないのです。むしろ味方のふりをして手助けをして、たしかに或る程度の利益を与えられて、すっかり信じきったところで気付かぬ内に悪に誘い込まれて居る。これが悪の上席です。」
釈「それは極悪ですね。」
まゆ子「それはノロイ星人の仕業だろうが国家レベル犯罪だし。ふむ、物辺村の連中に見合うもっと等身大の敵を仕立て上げますか。」

じゅえる「そうですねえ。謎の金星人とかいう髪の毛銀色の美しい宇宙人というのが、平和的に接触を図って来る。で、なにかプレゼントを持って来る。」
釈「かなり早い段階から、あなたたちゲキロボのパイロットでしょう、と接触して来る人が居る。そういう事ですね。」

清子「一見して善人というのではなく、どのような疑いの目で見てもなお善人に見える。このようにしたいとは思いませんか。」
じゅえる「なるほど。ゲキロボの5人の中に疑う奴が居るけれど、そいつからしても信じざるを得ない。そんな宇宙人だと面白いね。」

まゆ子「しかしミス・シャクティが目を光らせてるぞ。どうしようかねしゃくちゃん。」
釈「はあ。ミス・シャクティ演ずるところのしゃくちゃんは、どういたしましょう。」

清子「この悪は長丁場保たせる事が出来る器量の大きな悪です。であれば、ミス・シャクティも長い目で見て対応なさるのがよろしいでしょう。ただ単独にゲキロボのパイロットさん達に接触するのは、お勧め出来ませんね。協力者が居るべきではありませんか。」

じゅえる「アンシエントだね。えーとするとどうしよう。謎の転校生がその協力者で、金星人は学内に入らないてのがいいか。」
まゆ子「うむ。ここはサルボロイドを投入しよう。サルボロイドが襲い来る中で、生徒達を助けてくれるのがそのアンシエント。彼に力を与えたのが金星人。サルボロイドは踊らされているだけ。」
釈「ええ。見事に定石です。」

まゆ子「ではその協力者というのは、超能力者だろうか。」
じゅえる「そうだねえ。神の力を与る者、そんなふれこみだろうかね。」
釈「古代なんとか人の末裔で、金星人により人類の王として認められた者。彼はー、というか彼でいいですね。」
まゆ子「金星人は女、ということにするか。」

じゅえる「では、アダムスキー形UFOを操る金星人。おーそどっくすに。」
清子「円盤ですか。素敵ですねえ。」
まゆ子「たしかに素敵だ。」

 

じゅえる「で、スケジュールだ。謎の金星人とその協力者はどの段階で現われる?」
まゆ子「いの一番だろ。「あなた方が特別な力を持つ人であることを、私は知っています!」と、真っ向から宣言するのだ。」
釈「ですねえ。ただ、それ以前に彼らと接触するNWOの勢力とかがあるべきではありませんか?」

まゆ子「そこまで膨らませるのは、今の段階では得策とは思えない。」
清子「それではこういたしましょう。すでに門代高校内にはNWOの秘密護衛官が潜んでおり、同級生として溶け込んでいるのです。しかし彼彼女らの目には、彼は映らない。」
じゅえる「なるほど。金星人登場の前に一回、秘密護衛官の仕事の回を挟んでおくか。」
釈「で、その回の終わりに謎の金星人の影を刷り込んでおく。いいですね。」

まゆ子「では金星人が活躍する事件が、まずは用意されねばならないね。一区切り付く事件として。いいですね。」
清子「ええ。ですが、それが解決するまでを延々と描く必要もありません。あくまでもスケジュール上で描かれる事件です。そうですね、いきなり名前を付けちゃいましょう。」

釈「では、『金星人事件』、…てのは、発展性がありませんか。『謎のチュパカブラ事件』というのはどうです?」
じゅえる「OK。」
まゆ子「OK。」
釈「え?」
清子「チュパカブラとはなんですか?」

釈「こんなかんたんで、いいんですか?」
じゅえる「なにがいけないんだ? チュパカブラ、いいじゃないか。」
まゆ子「チュパカブラ自体はまあ『ネギま?!』の影響が強過ぎるけど、世界中に謎の吸血生物はいくらでも居る。変更は容易い。というわけで、コードネーム:チュパカブラ事件だ。けってーい。」
清子「あの、チュパカブラとはなんでしょう?」

じゅえる「よし次行こう。『チュパカブラ事件』を解決した後は、こちらから世界に飛び出す事件がいい。NWOのガリー少尉ちゃんを助けるというのがいいかな。」

釈「なにげにあの人、重要人物ですね。何者です?」
まゆ子「いや、NWO側の事情を説明する為の、単なる視点です。」
じゅえる「そういうのが案外人気出たりするもんだ。書く方にとってもね。」

清子「ガリー少尉と言う方は何者でしょうか。将来どのような関り合いをする方です?」
まゆ子「設定がありません! いま作ります。えーとー、そうですねえー、鳩保の孫の嫁・後の大統領夫人のおばあちゃんというとこで。」
じゅえる「案外近々の話だな。50年後か。」
釈「ただ大統領夫人になるとこは彼女は見られませんね。歳だから。」

清子「わかりました。ではこの方がお仕事をなさっているところに、サルボロイド襲来です。」
じゅえる「サルボロイド固定にするか。で、なにの仕事しよう。」
まゆ子「ここで、プレ『ゲキロボ』たる『アラカン』の話をつっこんでおこう。『アラカン』遺跡にサルボロイドが潜入したという報告を受けて、ロボット兵器が投入されるんだ。」

釈「しかし、何故ロボット兵器なんです? 戦車の方が強いような気がしますが。」
まゆ子「ガリーちゃんが使って居る試作ロボット兵器は、本来宇宙人の遺物を処理する為の汎用作業機械なんだよ。武装も装甲も陸戦兵器として十分だが、主目的は宇宙人の痕跡の調査にある。ま、トラップが爆発するとかを考慮して非常に強固な装甲をもつわけね。」
じゅえる「なるほど。理に適っている。」

清子「では『アラカン遺跡ガリー遭難事件』です。」
まゆ子「了承しました。」

釈「宇宙の彼方から大規模な船団が襲って来る、というのも欲しいですね。」
じゅえる「よし、『プロトカルチャー艦隊襲撃事件』、と。」

まゆ子「謎の古代文明の遺産をめぐって、宇宙人と戦うというべたな展開も欲しい。」
じゅえる「では『ナショナルトレジャー争奪戦、ドロンボーも出るよ事件』。」
釈「せっそうが無いな。」

じゅえる「弥生ちゃんが歴史的超重要人物てことになってるから、未来からきた人間が弥生ちゃんを殺そうとする事件もあった方がいいかな。」
まゆ子「『弥生ちゃん暗殺事件』だ。」
釈「死にません、しにません。」

清子「これだけあれば十分ではないでしょうか。当分の間はなんとかなるでしょう。」
まゆ子「ええ、これだけあれば1年くらいネタには困りません。

『チュパカブラ事件』金星人
『アラカン遺跡ガリー遭難事件』サルボロイド
『プロトカルチャー艦隊襲来事件』宇宙戦艦
『ナショナルトレジャー争奪戦、ドロンボーも出るよ事件』AWO狂信者御一行さま
『弥生ちゃん暗殺事件』未来人

かな。」

じゅえる「OKです!」

 

【ゲキロボ☆恋愛事情】08/03/31

まゆ子「現在げばおとEP6「第三章」は三巡目に入ってますから、3月中には出来上がるでしょう。(希望的観測)」
じゅえる「すっかり月刊になってしまった。私事が忙しいから致し方ないんだけど。」

釈「ゲキロボ☆ なんて書いたりするからですよ。どうして漫画なのに挿し絵が無いんです!」
まゆ子「すまん。色々と忙しくて。でもまあ、アレは簡単でさくさく書けちゃうんだよね。」

じゅえる「アレ短いよね。なにか決まりがあるの?」
まゆ子「1ページ、というか1画面分なんだ、あれ。「前回までのあらすじ」を抜いたら、1画面。」

釈「細切れですよね。あれでいいんですか。」
まゆ子「悪いって手はないだろ。」
じゅえる「元が物辺村はそうだからね。ただこれは大量に必要だろうエピソードが。」
まゆ子「或る程度まとまれば、一本にまとめるけどさ。色々書きたい事があるから、色々書く。」
釈「あーでは一本にまとめるつもりはあるんですね。良かった。」

 

じゅえる「で、今後これはどういう展開をするのだい。『ゲキロボ☆』と名前が変わったからには、新機軸なんだろ。」
まゆ子「1画面連載小説、という点で既に新機軸ではありますが、そうねえー、恋愛ものをやりたいかな、と。」

釈「おお、だいそれた。」
じゅえる「本当に大それてるね。恋愛モノは大の苦手でしょ。」
まゆ子「あー、うん。だから1画面という細かい場でならばできるかな、と。」
じゅえる「なるほど。」

釈「待って下さい。してみると必然的に、物辺村の連中は恋愛をする、つまり男が登場するわけですね。」
まゆ子「ひつぜんてきにね。」
釈「うわあー。」
じゅえる「それは凄い。どういう風に投入するかで、おおごとになるぞ。」

まゆ子「…、今気付いた。」

じゅえる「気付くな!」
釈「わかりました! スペシャリストの投入をいたしましょう。明美一号せんぱいです!!」

 

明美「は? あ、どうもこんにちは。」

じゅえる「というわけで、恋愛モノをやることになった。どうしよう。」
明美「じゅえるは、今流行のBLてのですかあ、をやってるじゃん。」

じゅえる「それとこれとは別なのだ。まゆちゃんが恋愛モノを書く。」
明美「無謀なはなしだな、それ。えーつまり物辺村の二年生+シャクティの6人に男をあてがえばいいわけね。」
まゆ子「露骨だな。」
釈「わたしもですか。」

明美「こういう場合は、三角関係を仕込むのが常道。四角あるいは複数の三角関係という手もあります。」
まゆ子「ふむふむ、なるほど。」
じゅえる「改めて言うまでも無い定石だが、明言した方がいいか。うん。三角関係をする。」

明美「男の子が都合6人必要ですが、必ずしも1対1対応である必要はありません。たとえば、女の子誰かが恋のサポート役をやっている内に、失恋した男の子とおもわず出来ちゃう、とか。」
釈「定石定番ですねえ。」

まゆ子「なるほど、それは話が作り易い。で、この状況において誰を中心として話を組み立てるべきだろうか。」

明美「男の子と遊びまくる、という鳩保さんは別に置いておきましょう。彼女は別口、いやこの話の内部では恋愛は表現されない。」
じゅえる「やらないのではなく、表現しないのだね。隠されて居るんだ。」
釈「つまり、噂話では出て来るけれど、その実体は描写されない。ほんとうは身持ちの固いいい子かもしれない、という。」
まゆ子「舞Himeのなおちゃんだな。」

明美「えーと、童みのりちゃんは男の子と恋愛するタイプではない、という設定ですねえ。幼いタイプですかあ。」
じゅえる「そういう事になっている。」
明美「では恋愛関係無しの幼なじみの男の子、というのを作りますか。弟くらいの歳の差があるといいですか。」
釈「マイナス3歳くらい、ですか。」
じゅえる「中学生だな。物辺村の子かな。」
明美「どうでもいいけれど、付き合うのではなく、遊んでるわけね。で意図せずに男の子の方がどきどきする。」
まゆ子「中学生だから、か。ふむふむ。」

明美「児玉喜味子さんにはレズ話が用意しているそうだけど、どうしよう。この子ブスなんでしょ。」
じゅえる「ブスという事になって居るけれど、ブスだ。」
釈「鳩保、優子、花憐とくらべるとかなり落ちます。残念ながら。」
まゆ子「でもヲタがひっかかる計算になってる。」

明美「ふむふむ。ではアレですね。ありえないような美形が攻めて来ると。もちろんこれはどこかの手先廻し者です。」
じゅえる「そうかあ? むしろ花憐とかにそれは来るような気がするぞ。」
明美「いえ花憐さんはむしろそんなのは一杯来て、うんざりです。三角関係を仕込むのならば、サポート役は花憐さんです。

 でも喜味子さんはまるっきりその気が無い。」
じゅえる「ああ、なるほどね。ブスだから自分がそういう対象として見られているとはまるっきり気がつかないんだ。」
釈「しかしそれでは盛り上がりに欠けるのでは。」

明美「じゅえるぅ、BLは投入しないの?」
じゅえる「あ、まあ、どうでもいい。」
明美「ほら、敵のスパイとか居るでしょう。で、男同士が対決してるのを、花憐さんが「あの二人愛し合ってるんじゃない?」とか思ってはあはあしながら見てるとか。」
釈「勘違い、ですか?」
まゆ子「なるほど。本人達が恋愛をする必要も無いか。じゅえる、いいんじゃない?」
じゅえる「というかそれならばなんぼでも書く。」

 

明美「そういう風に考えてみると、話はかんたんなんだよね。物辺村の5人は蚊屋の外で、恋愛沙汰が校内吹き荒れるの。」
まゆ子「ははあ、なる。原理主義的に恋愛ものを考え過ぎていたかあ。

 そうねえ、つまり物辺村の連中は基本男日照りなんだ。で、にも関らず恋愛沙汰にクビを突っ込んでいる。」
じゅえる「えーと、基本設定を間違っているということだ。物辺村の連中は、自分達がゲキロボのパイロットであることが他人にバレているとは夢にも思っていない。もちろん、自分達を分割所有して血統を更生に伝えようなどという馬鹿げた騒ぎが起こっているなどは、想像だにしない。」
釈「つまり、普通なんです。」

明美「登場人物の設定が足りないと思うんだけど、謎の転校生とかは居るの?」
まゆ子「居る。というか作る! 男も女もだ。えーと、まずは日本政府から派遣される者とNWOから派遣される者と、AWOから派遣される者およびNWOだけど独自に手を伸ばす奴と、宇宙人絡みの奴と、は来る。」

じゅえる「まずは足がかりとなる絶対に外せないキャラを設定すべきだ。背骨となる奴。男でね。」

釈「存在が確認されて居るのが、物辺優子の唯一の理解者である香村先輩という三年生。これはー廻し者にしますか?」
まゆ子「しない。彼はまったくの民間人であり不思議とは無縁の人物だ。普通の世界を鉄板に保証する存在と言って良いね。物部優子が常識はずれのキャラであるからこそ、彼は必要とされる。」

明美「教師という選択肢もあるんだよ。学園モノでは定番の。」
釈「定番過ぎますねえ。でも外せない定石です。」
じゅえる「だが今回、それはやりたくない。理由は勘だ。それは止めといた方がいい。」

まゆ子「つまりは、生徒の内だけで物語を展開したいという欲求だね。おそらくは、NWOというのがどうしようもなく大人の世界であるからこそ、学校内はそれとは対比される世界に留めておきたいという勘だよ。」

明美「むしろ恋愛沙汰を抜いた方がいいような気がしてきた。でも頑張る。

 

 えーとつまり恋愛沙汰をうまく物語内部に導入するには、最初からそれを前面に押し出すべきだと思うのよね。彼女達はゲキロボパイロットになると同時に、或る使命を授かるの。結婚して子供を産まなきゃいけない、って何故か知ってるの。」

じゅえる「ははああん、それは楽珍なはなしだね。登場人物が常に恋愛に対して意識的積極的であるべき動機を持つ、というのは。」
まゆ子「ハーレムものの定番みたいな設定だね。しかし理解はする。ただ、」
釈「ゲキロボはそれを要求するんでしょうかねえ?」

じゅえる「それを言い出すのは物部優子でしょう。得体の知れない存在と会話して、その使命をゲットする。」
まゆ子「いや待てよ? 花憐がゲットする宇宙人被害情報には個人的な繋がりとしての重要度を示す情報も付いて来る。この中には、自分達の子供の何世代後の配偶者の先祖、とかいう情報も入っていたりする。」

じゅえる「それはー、いやでも意識しなきゃいかんねえ。」
釈「彼女達はそれをどういう風に受け止めるでしょうかねえ。個人個人で反応は違うでしょう。」

じゅえる「花憐は舞上がるな。鳩保は当然と産む気満々。優子は先の事はわからんよと平静ではあるが、先輩は関係無いのかあと諦めるか。みのりは反応が良くわからないが恥ずかしがる。喜味子はあり得ないと否定する。」
明美「女の子だから興味が無いのはあり得ない。でもまあ、それだけ自分に失望しているってことでしょお。」

 

まゆ子「こんだけ聞けば十分だ。恋愛というよりも未来の旦那を探してこいつらうろちょろし始めるんだ。」
じゅえる「ふむふむ。目一杯楽になったな。」

明美「それと、やっぱりライバルキャラグループを作らないといけないと思うのね。女の子の5人組か、それか敵幹部。プリキュアみたいな。」
まゆ子「いや、そういう路線じゃないから。」

 

【新聞連載小説”ゲキロボ”】08/03/16

まゆ子「さて、なんの話をしよう? げばおとEP6「第四章」か、それとも蠱螢(仮)か、鶴仁波○○堂の話か、統則かゲキか、うえんでぃずか。」

じゅえる「こうしてみると、大事だね。シリーズを膨らませ過ぎましたか。」
釈「とは言うものの、それぞれ出て来る人間は同じですから、無闇と増えたわけでもないんですよ。それぞれが連関して或るコンプレックスを作っている。」

まゆ子「とりあえず放っておいてもげばおとは進むようだ。気合いさえあればね。進まないのをなんとかしよう。」
じゅえる「どれが一番早くゴールを迎えられるか?」

釈「蠱蛍(仮)は早いと思います。」
まゆ子「そうだな。気合いさえあればなんとかなりそうな気もするが、所詮は一年間シーズンを通しての話だ。早いが長い。」

じゅえる「今回ウエンディズは除外しよう。統則もなんだかよくわからないとこに落ち込んでる。ゲキは漫画だけど、漫画はむずかしいよやっぱ。」
釈「漫画は困りましたね。絵は現在私事がいそがしくてどうにもなりません。精々が字を叩き込むくらいしか許されないんですよ、時間的に。」

 

まゆ子「ゲキを小説化してもいいぞ。その方が手っ取り早いかもしれん。漫画はその中から切り出すとして。」

じゅえる「ふーむ、それも悪くはないが、長いのはいやだ。」
釈「というか、センテンスが長いのは根性が保ちません。」
まゆ子「ふむ、センテンスが短いとはライトノベルってことかい。」

じゅえる「それも一つの手だけど、さらに短いのが書きたい。」
釈「省力化ですよ、ダイジェストです。いえ、設定というか粗筋というか、ともかく短い文章でケリをつけるのが今望まれるところです。」

じゅえる「これは他のシリーズでも同じだよ。ともかく進めるにはなにか、短くて進む方法が必要だ。」
まゆ子「あー、そうか。とりあえず筋書きが進んでくれないと、先の話が或る程度固まってないと、現在の文章に必要なディテールが獲得出来ないからね。」
釈「世界観をあらかじめ獲得しておく為にも、或る程度イケイケGOGOでないとだめなんです。」

まゆ子「じゃあ、なにか? 会話文形式のくっちゃりでやるかい?」
じゅえる「それも一案。えーと、出来るかな?」
まゆ子「とりあえずゲキロボの話で弄ってみるか。

 あー、ゲキロボを或る程度短い話にまとめるにはどうするべきか。どの程度の大きさの話を突っ込むか。なんかある?」
じゅえる「一話完結の中編、150枚というところで考えてみよう。面白いお話で、読者様の興味を惹き、次を期待させるという機能が必要だ。」

釈「ゲキロボが活躍するべきではありますが、150枚では止めた方がいいですかね。主人公5人の人と為りを浮き彫りにするエピソードがいいでしょう。」
まゆ子「しかも学校をベースとした小品ね。ごく単純に恋愛ものでやるかな。」
じゅえる「恋愛は男が必要。150にそれは重過ぎる。宇宙人大暴れ、という感じかな。ゲキロボの大活躍は(略)出来るもん。」
まゆ子「出撃した! 大勝利。という感じね。」

釈「では、ゲキロボが出撃するまでのどたばたということで。しかしそうなると、学校行事との絡みというのが必要になりますか。体育祭とか?」
じゅえる「どうだろう。あいつら組バラバラだしね。」
まゆ子「主役5人をクローズアップする方がいいか、それとも誰か一人、もしくは外部の視点としてのキャラを導入するか。」

じゅえる「ここは根性で誰かに決めるべき。最初の立脚点だ。」
釈「よござんすか、よござんすね。はい!」

まゆ子「花憐!」

じゅえる「はい決まり! 城ヶ崎花憐が今回の主人公にして視点、ナレーションはしないかもしれないが、これを中心に話を進める。どうやって?」
釈「彼女らは取り敢えずゲキロボの機動と最初の出撃は済ませている事にしましょう。宇宙人襲来事件に飽き飽きしている、というところから始めます。」

じゅえる「つまり、どこから手を着けて良いか分からないんだな。ゲキロボの運用に積極的な者は誰?」
まゆ子「可憐だ。宇宙人襲来情報は彼女の耳に嫌と言うほど飛び込んで来る。」
釈「では、物語の始点は花憐が宇宙人情報にキレる、ってとこからですね。」

まゆ子「ゲキロボ出撃は週に一回にしよう、て鳩保が言い出すところから始める。もちろん可能な限りサボりたいんだが、そうもいかんから週一回で折り合った。恩着せがましくね。」
釈「花憐以外の人には妥当な判断だと思われますね。」
まゆ子「優子は一々ゲキロボ起動するのは疲れるよ、と。喜味子はコワイじゃない、と。童はまあなにも考えてないとして、鳩保はー。」

じゅえる「ゲキロボ使って金儲けしよう、とか言い出すわけだ。」

釈「潤いがありませんね。もっとロマンティックな展開にしたいんですが。」
じゅえる「では墓荒し。埋蔵金をゲキロボで掘り出そうと考える。というか、難破船引き上げなんか簡単じゃない。」
まゆ子「船かあ。うーん、もっと潤いのある乙女チックなのがいいんだけどさあ。」

じゅえる「ではやはり恋愛もの投入します。えーと、乙女チックな伝説に絡む隠された財宝、という話では。」
釈「宇宙人の恋人同士が眠る遺跡、とかですかね。可憐にはその声が聞こえる。」
まゆ子「可憐に呼ぶ声が聞こえる、というのはいいな。しかし恋人というのはどうだろう。」

じゅえる「宇宙人の恋愛形態って仲良しじゃなくて、相手を食べちゃうとかもありっしょ。いいじゃない?」
まゆ子「そうか、地球だってかまきりなんか雄食べちゃうもんね。」

 

釈「ではそういうことで。でー、枚数150というのは大雑把に考えて山が5つくらいは必要ですか。」
じゅえる「げばおと方式だとね。」

まゆ子「うーん、そうだねえ。しかしゲキは連載モノという枠組みを崩さない方がいいと思うんだ。新聞に毎日載ってるくらいの。」
じゅえる「じゃあ、原稿用紙2枚くらいで、挿し絵を一枚付けるてもんかな。」

釈「挿し絵のノルマはあまり当てになりませんけどね。」
まゆ子「じゃあまあ、そういうこって。」

 

【ご主人様とわたし 再設定】08/01/25

まゆ子「『統則最前線』、能登子さんの性質が明らかになったからには、このまま進めるのはむずかしい。」
釈「あしどりむです。」

 

じゅえる「うーむ、改めて読み直してみると集中力散漫というか狙い所が絞りきれていないというか、どうも外れ感が強いね。」
釈「小説の構造を根本から見直すのが吉です。こういう場合。」
まゆ子「そうは言っても、主人公は土器能登子さんというのが最初から決まってるから、」
じゅえる「というか、タコロボットを出さないといけないんだよ。」

釈「お二人はなにか勘違いされてはいませんか? 統則最前線の設定辞書ページをご覧ください。」

じゅえる「何? …、あ。」
まゆ子「ごしゅじんさまとわたし、って書いている…。」
釈「そうです。このシリーズ本来の主人公は、メイドロボ「アニタ」なのです。」

じゅえる「すっかりわすれてた。」
まゆ子「いや、出てるんだけどさあ、メイドロボは。」

釈「ここはいちばん、徹底的な構造の変革を、メイドロボ復権をなさってはどうでしょう。」

まゆ子「しかしメイドロボアニタは能登子さんとこでは単なる家庭用だし、ヘクトール・パスカルはまだまだ出ない。」
じゅえる「いや、そうか、家庭用ロボならそれらしく、家庭を舞台としたすちゃらかSF小説にコンバートするというのでは。るぴかちゃんというロリも居るし。」
まゆ子「しかしそれならいっそのこと主人公をるぴかちゃんにした方が面白いのではないかな。」

釈「それは違います。るぴかちゃんは謎の小学生女児なのです。」
じゅえる「謎か。」
釈「謎です。」

まゆ子「まってよおー、えーとそうすると、…謎の小学生を主人に持つメイドロボアリサが、ぐうたらな女主人の酷使にもめげずに元気に稼動する、というおはなしか。」

じゅえる「どう?」
まゆ子「わからない。ただそれならば、テロに巻き込まれてもまったく不思議ではないか。」
釈「なにせ最初からアニタは鉄板製ですから。」
じゅえる「自動車と同じ高張力鋼板の薄板だよ。」

まゆ子「うーん、ではふしぎたのしいおはなしになる、かな?」
釈「アニタはもともとそういうキャラですから。」
じゅえる「別に全章アニタが主人公でなくてもいいでしょ。げばおとだって弥生ちゃんオンリーじゃないし。」

 

まゆ子「えーとではどういう風にシリーズを組み立てればいいのかな?」
釈「えーと、謎の小学生るぴかと謎の母親能登子と、謎のがっこのせんせい志穂美先生と、謎の乳女円条寺蓮、と。」
じゅえる「なぞだらけだな。」
まゆ子「しかしキャラが足りない。」

釈「物辺村の連中をコンバートしましょう。というか最初からそうなっています。」
じゅえる「物辺優子の従姉妹のロリ双子、というのが出来てるぞ。」

まゆ子「えーと、つまり小学生のキャラを沢山必要とするのだ。ここはーうえんでぃずからも、ピンクペリカンズのメンバーをコンバートしてなんとか間に合わせましょう。」

釈「男の子が居ませんね。」
まゆ子「謎のフランス人小学生ヘクトール・パスカルも投入だ!」
じゅえる「ヘクトール・パスカルには二体のメイドロボが付いているんだよ。格闘専用シノアと家庭教師タイプのヘルミーネ。」
まゆ子「アニタと対決か。」
じゅえる「変な対決でいいじゃないか。」

釈「ではもっとへんなのも出しましょう。へんなロボです。」
まゆ子「まあ、あるけどね。マーズマンていうタコ型直立歩行ロボが。」

 

じゅえる「しかし、シナリオは大状況に繋がらなければならない。どうする?」
まゆ子「いやそれは能登子さんの統則最前線で決まって居る奴でいいじゃないか。というかとりあえずそれをベースにアニタばーじょんのシナリオを組んでみよう。」

釈「やはりこれも13回ですか。」
まゆ子「13は長い!」
じゅえる「8回で行こう。1巻7回ぷらすエピローグ。」

釈「どうします、最初から全力投入しますか。ヘクトールパスカルは初回に出すべきではないでしょう。」
じゅえる「2巻以降だな。一応第一巻だけで話は完結すべきだ。続巻に繋がる内容としても、一応ケリをつけるべき。」

まゆ子「えーと能登子さんの話では第一巻のケリは、中国に革命を引き起こす人物が円条寺さんに導かれ表に出て来るというのだが、これは大袈裟過ぎる。」
じゅえる「円条寺蓮登場! で一巻の終り。これでいいね。謎の黒幕、都市改変計画の実相を探ると彼女が出る。アニタはその陰謀に巻き込まれ、最後には円条寺さんが登場してるぴかちゃんが只の小学生で無いと確認する。」

釈「只者でないのは能登子さんだけではなかったんですか?」
まゆ子「遺伝子改造された、とかにするか。統則μマシンで。」

じゅえる「いや、るぴかちゃんは古代英雄人種の末裔で、というはなしじゃなかったっけ。」
釈「たしかヘクトール・パスカルと同じ、です。」
まゆ子「そうか、じゃあ円条寺さんはそれを確認する為に、というか別の人間をとっ捕まえるつもりが、うっかり引っ掛かっちゃったということか。」

じゅえる「と言うか、るぴかちゃんの父ちゃんは誰なんだよ。」
まゆ子「それだ! 第一巻はこの子の父ちゃんは誰だ? というのを軸に展開しよう。」
釈「定石に近い展開ですね。するとー、円条寺さんが探している人物というのが、ソレですよ。」

じゅえる「ソレが能登子さんを孕ませて、行方不明。円条寺さんはそのヒトを捕まえようとして罠を張り、思いがけずに娘を取っ捕まえてしまう。いいじゃない。古代英雄人種とはなにか!が第2巻の話になる。」

まゆ子「ヘクトール・パスカル来日は第2巻に回せるか。新しく血統の者がみつかった、ということで確認にやって来る謎の美少年。」
釈「定石じょうせきです。」

まゆ子「第2巻はヘクトール・パスカルの協力もあり、遂に円条寺さんの罠が完成して、ソレが引っ掛かる。ソレは実は大規模なテロを目論んでおり、統則最前線たる能登子さんと奇蹟の再会をする。」
じゅえる「すばらしい定石だ。では第三巻は、実娘の存在を知ったその男が、るぴかちゃんを誘拐しようとする話。」
まゆ子「第四巻はヘクトール・パスカル悪の実相が露見する、というお話。」

釈「定石です! えーとこのシリーズ最終的に何巻までやる気ですか?」
まゆ子「知らん。」
じゅえる「ヘクトール・パスカルの陰謀を打ち砕くまでには5巻は必要だろう。と言ってもかなりの駆け足になる。」

まゆ子「うーん、5巻か。8章5巻で40章。1章30枚と仮定して1200枚。1500で収めるとしよう。」
じゅえる「1巻300枚で5巻。うんこんなもんでしょう。」
釈「では、5巻終了後も続巻可能な構造を残しておくとして、一応組んでみますか。」

 

じゅえる「それはあれだ。5巻終了時にはアニタが破壊される事にする。」
まゆ子「定石だね。つまりなんだ、この第一シリーズはアニタが破壊されるまでを描く事にしよう。」

釈「では第二シリーズではアニタ再生、ですね。」
じゅえる「アニタは元々水蒸気で空を飛ぶ機能があるから、第二シリーズ開始時には新型アニタが導入される、という事にして。第一シリーズでは思いっきり破壊だ。」
まゆ子「ふむふむ。では精々英雄的に破壊しましょう。」

じゅえる「では、アニタは毎巻終了時にはどこかしらぶっ壊れる事にしよう。で、修理して新品同様になった状態から次の巻が始まる。繰り返しはギャグの基本です。」
まゆ子「ふむふむ、それはアクセントが付いてていい。ではそれまではアニタはなかなか壊れないんだ。なにせ鉄板ロボットだから。」

釈「鉄板、というのはなにか理由があるんですか?」
まゆ子「ああ、珍しいんだけどね。防弾能力が一応はある。軍人上がりで警察にも首を突っ込んでいる能登子さんは、こういうの選んじゃうんだな。」

 

釈「はい! ゲキは出ますか?」
じゅえる「出しましょ。」

まゆ子「出してもいいよ。というか、ソレつまりるぴかの父が狙っているのがゲキの発動、という事にするか。古代英雄人種の遺産ということで。」
じゅえる「変だよ。SFじゃない。」
釈「ゲキが今のロボットのゲキでなくてもいいじゃないですか。ゲキという名のなにか、ですよ。」

まゆ子「ゲキ、という現象が起きるんだな。ふーむ、でも物辺村いや物辺神社はそれに関係して…、そうか、ゲキに関連する神社だからこそこの地がソレに選ばれたのか。」
じゅえる「円条寺さんがやって来る理由としても、上等ですね。」

釈「しかし神社というのアイテムは最近ちょっと使われ過ぎているような気がして、なんか嫌ですね。」
じゅえる「じゃあ寺にするか。」
まゆ子「いや定石でいいじゃないか。こういう所外しても仕方ないでしょ。」

じゅえる「うーん、神社でもいいけれど、御神体は古墳にしよう。古墳をお祭りする神社だよ。」
釈「ほどほど珍しい設定、ですか。神社という定石も押えておきながら珍しさも確保する。」
まゆ子「よし決まり! では古墳をモチーフとしたなにか新しい街設定を組み上げますか。」

じゅえる「ではるぴかちゃんの小学校は御陵小学校、という名前でいきます。」
釈「五稜小学校、ということにしますか。ゲキも5人必要ですし。」
じゅえる「当然鬼が暴れる、というのもね。」

まゆ子「わかってる。物辺神社のお祭りもちゃんと出す。」

 

じゅえる「具体的に考えよう。主人公はメイドロボアニタでいいんだよね、るぴかちゃんでなく。」
まゆ子「そういうことかな。」

釈「アニタ主観でいくか、客観的にアニタを注目するか、どちらです?」

まゆ子「アニタには高度な知性は無いし自我も無い。いちおうカラスの脳を模造した人工知能が積んでいるけれど、あー本物のカラスの脳を積む、というのはやめよう。カラスの脳の研究の成果としてシリコンで模造した人工頭脳を搭載している。これがEMと呼ばれるものね。」
じゅえる「つまりちゃんと判断は出来るけど、しゃべることは出来ないんだ。AIのおしゃべりソフトに依存するだけの。これじゃあアニタ主観は無理だな。」

釈「ではアニタ客観でいきましょう。えーと、アニタは冒険活躍しますか?」
まゆ子「死なないものが活躍してもしかたないが、アニタは活躍するキャラではある。」
釈「では全編を通して危険にさらされるという事でよろしいですか。」

じゅえる「うん。理不尽な暴力の嵐にさらされながらも、なんとなく無傷で生き残るのがこのアニタというキャラだ。主観的要素というのも入れよう。カラスの脳の模造品なら焦るとかの感情はあるんでしょ?」
まゆ子「感情はある。というか、感情があるからこそ一般家庭で使える。だから危険にさらされると焦るというのは確実にある。しかしそこで判断を誤らないのもまたロボットとして正しいのだ。アニタのキャラとしての特殊性、主人公特性とはロボットとしての正確性にある。人間ではとてもできないアクロバティックな行動でも、厳密に測定して可能だと判断すればちゃんとやってのける。」
じゅえる「つまり、無茶はするんだ。いいよおそれ。主人公的だ。」

釈「るぴかちゃんをおぶって移動、とかはありますか。」
まゆ子「不可能ではない。アニタの背中はフラットな形状に仕上がっている。リュックサックを背負うようになっているんだけど、人間だって大丈夫。ロボだから能登子さんだっておぶえるぞ。つまり体重60キロ近い大女でも大丈夫。」

じゅえる「ジャンプはできない。」
まゆ子「さすがにそれは推奨しない。」

釈「活動時間と燃料はなんですか。」
まゆ子「燃料電池とバッテリー、どっちがいい?」
じゅえる「バッテリーはこの時代どのくらいの性能があるの? えーと、2050年くらいだっけ。」
釈「2056年です。石油は飲みませんよね。」

まゆ子「メタノールか充電池か、どっちがいいと思う?」
じゅえる「まったく新しい新型電源というのは考えつかない? 超強力な超伝導とか。」

まゆ子「超伝導キャパシタか。それでもいいかなあ。めんどうが無いし。」

釈「では家庭用電源で充電ですね。出先でも簡単に充電出来るわけですから、便利には違いませんね。」
じゅえる「なにかエネルギー物質を食べる、という絵は無しか。」
まゆ子「まあ、メイドロボは簡単である方が便利だし。」

 

釈「メイドロボアニタにはなにか特殊機能がありますか? 鉄板で出来ているわけですから丈夫、ってことですかね。」
まゆ子「一応防弾機能がある。また多少ぶつけても反発する。重量はけっこうあるから、当たり負けしない。背は高い170もある。これは日本仕様ではないフランス仕様だから、ちとデカいのだ。」

じゅえる「ケイタイ電話は内臓してるでしょお。テレビもチェック出来るか、コンピュータ積んでるんだし。当然インターネットで情報を検索もする。多言語にも対応する。他に無い?」
釈「メイドロボですから、お料理もできる。洗濯もお掃除もする。るぴかちゃんを迎えにも行く。自動車の運転は?」
まゆ子「いや、自動車自体がロボだから自動運転するよ。

 アニタに特別なところがあるとすれば、能登子さんが時々テレイグジスタンスで操作する、ってところだ。この時統則ロボット用のコントローラーを用いるから、凄まじい動きが可能になる。」

じゅえる「格闘は?」
まゆ子「アニタはしない。原則として。当然ロボット三原則があるのだよ。ただし、るぴかちゃんを護る為に庇うという動きはする。この時代ちいと犯罪に対しては警戒が厳しいからね。」

じゅえる「悪漢をぶん殴ったりは出来ないんだ。能登子さんの操作が無いと。」
釈「能登子さん操縦でもぶん殴ったりはしないようにしましょう。ロボットで殴るのは法律で禁止されてるんです。」
まゆ子「当然だ。だが不可能ではない事にしよう。あくまでも緊急時に法律違反である事を理解した上で可能。ただし能登子さんは紅曙蛸八仙流の捕縛術を使うから、大丈夫。」

じゅえる「それで悪漢を捕まえる事にするか。逮捕しちゃうんだ。セロテープで拘束する。」
釈「家庭用メイドロボですから、ポケットにセロテープくらいは入ってるんです。」

まゆ子「ハサミ内蔵にするか。爪からカッターが飛び出して荷物を開けるとか出来る。」
じゅえる「そのくらいは有りかな。あとねじ回しとか。」
釈「指からマジックが出て字が書ける事にしましょう。可能な限り小物は使わないで済むように、最低限のアイテムは内蔵してるんです。」

まゆ子「カッター、ねじ回し、マジック、他には無いかな。」
じゅえる「掃除機とか内蔵したいところだが、諦めよう。プリンタはあった方がいいかな。付箋とかメモを胸からじゃっと印刷して、ぺたっと貼り付けることで人間相手に伝言する。」
まゆ子「一々ケイタイで連絡して来るよりは気が効いてる、かな?」
釈「ちょっと便利かもしれません。」

まゆ子「当然のことだけど、後ろにも目が有る。ビデオに記録もしている。メイドロボ盗難事件だってあるからね。まあ、ケイタイ内蔵だからそうそう簡単にはいかない。」
じゅえる「メイドロボがいきなり銃撃されることもある、ってする。愉快犯だね、この時代銃器はかなり出回って居るから、どうしてもそうなってしまう。」

釈「レーザー光線は無しですか。」
まゆ子「あー、メイドロボは皆レーザーポインタくらいは持っている事にしよう。詳しく物体を指し示す為に使うんだ。指先に装備、と。」

じゅえる「自衛用武器はダメ?」
まゆ子「スピーカー積んでるんだから、不快音声を大音響でばらまく、というのでいいじゃないか。あるいは音響攻撃でばちばちと顔が痛い、くらいは有りにするか。どらえもんの空気銃程度だけど。」
釈「それはアレですね、メイドロボが襲われたら、民間警備ロボが出動して自動で解決するんですよ。それが通常の対応です。保険でカバーしてるんです。」

 

じゅえる「まあ、普通だね。えーと、アニタは足に車輪は無いのか。」
まゆ子「無い。そこんところは結構上手くできていて、走行速度は8キロくらいちゃんと出る。メイドロボはあんまり早く走っちゃダメと決まってるだけれど、歩行の二倍は普通に出ます。どのメイドロボも一緒。しかも8キロでどこまででも歩けます。」

じゅえる「早くないけれど早い、ってわけだね。走行は機構的には不可能ではないんでしょ。」
まゆ子「うん、能登子さんが制御すると途端に走り出す。30キロくらいは出るよ。」
釈「短距離で30キロは遅くないですか。えーと100メートルでいうと、12秒…。はやい!」
まゆ子「はやいんだよ、時速30キロは。」

じゅえる「上等だね。しかもその速度でどこまでも走れるんでしょ。電池の有る限り。」
まゆ子「あー、どうしようか。走行だと50キロも走ると電池切れにするか。1時間ちょいで切れる。」
釈「そんなに走れるんですか。そりゃあ凄い。」
じゅえる「いや、25キロくらいにしておこう。歩行だと50キロくらいはノンストップで行くとしても、走行だと電池消費量が大きいとしてね。」

まゆ子「妥当かな。じゃ1時間は走れない、と。だいたい時速30キロで走るメイドロボはまじで路上の凶器だから、本来禁止なんだよね。あくまで緊急避難の為の機能として、そんなもんでいいか。」
釈「他のメイドロボも同程度の能力を持っている、ということですね。」
じゅえる「日本製のぷにぷにしたメイドロボも、やっぱりそういうものか。時速8キロで歩く少女、ってのはたしかに気持ち悪いな。」

まゆ子「その異常さが現代性なんだよ。妙に早い女の子が居る、と思ったらそれはメイドロボでした。基本的には時速8キロは人の居ない空いた道だけで、人の姿があれば周りと同じ、ぶつかっても人を傷つけない速度でしか歩かない。これは法律で規定されている。それに人間と違ってメイドロボは遠くの人までちゃんと見てちゃんと計算して動いてる。ちゃんと空気を読んで人の邪魔にならないように歩く分、人よりもスムーズに動けるんだよ。」

じゅえる「空気読んでる、ってんだね。道歩く時どうしようもないバカ居るもんね。」

 

釈「アニタの重量って、どのくらいです? 鉄板ですからやはり重いんですか。」
まゆ子「45キロ、というのはどうだろう。人とぶつかっても大丈夫なように軽量化はしているんだ。と言っても鉄板製のアニタは他のメイドロボよりは重い。他のは身長160センチ30キロってとこ。日本製の可愛らしい奴ね。海外ではアニタくらいの大きさのやもっと大きいのが一般的だけど、日本では小さいのが好まれる。」

じゅえる「人間とは違って手足は軽い、ってことにしようか。胴体部の電池が特に重いって。」
まゆ子「そうだね。手足は軽い方が衝突の際にもいいでしょう。軽くても力はある。そういう風に出来ている。」

釈「じゃあ、手足で殴られても痛くない?」
じゅえる「いや鉄板製だから痛いだろ。痛いよね。」
まゆ子「痛いよ。と言ってもアニタの手指は他のと同じ軟質素材だけどさ。腕脚の部分は鉄板のがらんどうで反発力がある。他の軟質素材製メイドロボの方が痛いくらいだ。」

釈「じゃあ、るぴかちゃんがわざとぶつかってきゃっきゃと遊ぶくらいにしましょう。肘は流石に固いんですね。」
まゆ子「いや、肘もぼんと跳ね返るように出来ている。アニタはそこんとこよく出来てるよ。肘カバーがちゃんとある。」

 

じゅえる「よし。じゃあそいう感じで物語を組み立てよう。えーと第1話はアニタ専用のシナリオを組み上げるしかないよね。既存のは流用できないでしょ。」
まゆ子「いや、能登子さんが飛び出していく戦車の話。あの骨格を用いてなんとかする。アニタがいきなり戦車と出くわすのだ。」
釈「それじゃあ相当話が変りますよ。えーとつまり、とつぜん戦車に襲われたアニタを、統則タコハチロボが救出する、ということですね。」
まゆ子「そういうはなし。」

じゅえる「第2話以降がたいへんだそれ。もっと慎重に組み上げよう。」
まゆ子「それもそうか。では第2話くらいにして、もっと日常平凡なところから始めるかな。いやでも世界観をばんと叩きつけるにはこのくらいの異常性があった方がいいかも。」

釈「異常性を重視した方がいいです。ではこうしましょう。第1話は本来時系列的にはもっと後ろに出る話です。第2話以降は前の時間から始まり、第1話は本来話がけっこう込み入った状況で謎も色々投入された状態でのイベントなんです。」

じゅえる「OK! じゃあ既にるぴかちゃんが怪人として認知されている状況下で起きる、まったく突然のイベントだね。ターニングポイントに当たる。」
まゆ子「理解した! つまりはそこから第一巻の結末に轟となだれ込むその契機となる話なんだ。よし分かった。」

 

じゅえる「そりゃそうと、物語のタイトルはそうすると『統則最前線』じゃダメだろ。内容とずれてしまう。」
釈「そうですねえ。とはいえ『ご主人様とわたし』も似たようなアニメ有りましたから、避けた方がいいです。」

まゆ子「じゃあとりあえず仮題として『鉄鈑メイドロボアニタの冒険』。」
じゅえる「却下! あまりにもベタ過ぎる。」
釈「そうです。いくらなんでもそりゃ酷い。」

まゆ子「うう、じゃあなにがいいんだよ。」
じゅえる「そうねえー、『アニタ残日録』とか。」
釈「それはぱくりっぽくて、『秘剣 鉄の腕』とか。」

まゆ子「貴様らやる気無いだろ。『鉄腕メイド繁盛記』にします!」
じゅえる「いやそれも無茶な。」

 

【物辺村:ノロイとプリミティヴマン】08/01/12

まゆ子「というわけで、ウエンディズ「ナレソメ〜天狗噺〜」が一応の完成と、げばおとEP6「第一章 そして新章」が一応の書き上がりを見せたのです。」
釈「ぱちぱちぱち。」

じゅえる「ウエンディズ良く書けたねえ。」
まゆ子「書ける時はこんなもんだ。でも新くっちゃりの威力は絶大なり、ということだね。」

釈「では次に参りましょう。蠱螢(仮)と行きたい所ですが、物辺村です。」
じゅえる「企画はもう決まってるんだよね。お年始の挨拶だ。」
釈「物辺優子が袴はいて巫女さん姿で、というのを考えております。」

まゆ子「まあ、なんだ。普通だね。もっとエロでいきなさい。」
釈「では乳でも放り出しますか。」
じゅえる「えらく安っぽい乳だなあ。」

釈「ということで、次に繋がる物辺村の設定をちこっと考えて頂きたいと愚考する次第です。」

まゆ子「あ、敵を考えたよ。凄い奴。」
じゅえる「宇宙人?」
まゆ子「前から候補に挙がっていた、獣人型宇宙人だ。」
釈「ああ、頭が豹というあれですね、インカとかマヤ文明のジャガーマンであるという。」

まゆ子「ノロイだ。」
じゅえる「ガンバの?」
まゆ子「うん。あれが人間大で、ブッシュ大統領の前に『我々は至って穏健な平和を愛する種族です』とか言って、協力を申し込んで来る。」

釈「危ない! それは危ない!」
じゅえる「ブッシュ大統領ならころっと騙されちゃうよ。」
まゆ子「うん、というわけで宇宙人一丁上がりね。」

釈「簡単に大ピンチを招きますねえ。えーと、でこのノロイ星人は具体的になにをします?」
まゆ子「初音ミクを殺そうとする。」
じゅえる「? 初音ミクというのは今流行のボーかロイドとかいう歌うコンピュータだね。」
釈「なんですか、CGでも作りましたか。」

まゆ子「いま私は”プリミティヴマン”というシリーズを手がけている。で、おもしろ半分にやってみたら、初音ミクが出来た。」
じゅえる「できたんか。じゃあ遊んでみるしかないなあ。」
釈「ですねえ。」

 

まゆ子「まあそれは後ほど別の機会にやるとして、ノロイ星人は地球人を侵略ではなく従属させに来た。別に人間を食べる訳じゃないし、物質的に搾取する必要も無いしね。」
釈「宇宙から飛んで来るだけの科学力の持ち主ですから。」
じゅえる「じゃあ、悪事をする必要も無いんじゃないかな。」
まゆ子「うーん、実はそうなんだけど、何か無いかな? これまで誰も考えたことのない悪、というの。」

釈「歴史を歪める、というのは。」
じゅえる「却下。あまりにもありふれている。神やら悪魔やらは全部禁止だ。特にノロイ星人の場合、安直の極みとなる。」

釈「生首星人が烏の絶滅を企図していたんですから、こっちもそんなところで。」
まゆ子「地球の珍味を独占しに来た、というところか。ねずみかな。」

じゅえる「妙な文化を押し付けて来る、とかじゃないかなあ。地球にこれまでに無い概念を持ち込んで、文明を押し付ける。」

まゆ子「たしかにそれはらしい話だが、具体的に言うと何?」
釈「地球に無いモノを私達が分かる道理もありませんねえ。魔法かな。」
じゅえる「魔法、うん。らしいはなしだ。でもモノが宙を飛ぶ、とかは無しね。お金が湧いて出るとかの物質的なのも無し。精神的な感じ。」

まゆ子「化ける、とかはどうだろう。要するに、会った人に対して自分の姿を別なモノに変えて見せる。」
釈「タヌキやキツネみたいに、ですか。ムジナが化けるというのは聞きますが、イタチも化けるでしょうか?」
じゅえる「いいんじゃない。変身能力を特殊アイテムで実現するんだ。これは監視カメラでさえも見破れない光学迷彩の一種でもある。」
まゆ子「光学迷彩と違って、そこにモノがあるのは隠蔽出来ないけれど、モノの実体を完全に誤認させちゃう機能か。欲しがる奴は多いな。」

じゅえる「変身セットをばらまいて、ノロイ星人に何の得があるのかな?」
まゆ子「いや、これが彼らの文化なんだ。仮面人格というべきか、社会の平等化装置というか、これを用いると社会的格差が消滅するんだ。」
釈「まあ見た目の違いはすべて隠蔽出来ますからね。能力は別としても。」

じゅえる「能力もそうしよう。或る程度能力のコピーも出来るんだ、化けた対象の。」
まゆ子「そりゃヤバい話だな。」
釈「しかしそれは、不可能とは言えないと思います。」

まゆ子「たしかに。変身すると同時に見た目だけでなく本体である人間の精神やらに干渉して、同じことをやらせてしまう。単にデータの孫引きで出来る作業なら割と簡単だ。」
じゅえる「知的作業の一部はたしかにそうかな。」
釈「弁護士資格やら医師免許無しでもバレない、って話はよく聞きますからね。」

じゅえる「そうだ、特に営業能力に関しては向上するというのはどうだろう。口車が格段に上手くなる。」
まゆ子「ますますヤバい技術だな、それ。」

釈「しかし、社会の平等化という観点から言うと、物凄く貢献しますね。」
じゅえる「ヤバ過ぎるな、誰かがそれを独占した場合。」

 

まゆ子「ではノロイ星人は麗しの美女に化けるということで。」
じゅえる「やはり美女か。」
釈「定番ですからね。じゃあこうしましょう。その美女は、ネズミを見ると素手で残酷に殺すのです。で、その血を舌でぺろっと舐めてみる。」
まゆ子「そりゃやらしい絵だ。」
じゅえる「さいよー。」

 

まゆ子「で、ノロイ星人はいいとして。しかし漫画を一々描かにゃいかんというのはどうも話が進まないねえ。」
釈「しかし色塗らなくていいのは格段の速度ではあります。この上なにをするべきでしょう。」

じゅえる「実は物辺村にはけっこう絵コンテがある。漫画を描く時一々御丁寧に絵コンテ描いてる。これを直に出そうかな、とか。」
釈「しかしそれはー、いいのかな?」
まゆ子「よかあないけど、悪いかと言われても誰が文句をつけるわけも無し。」
釈「しかしそれにより本編漫画の生産性が下がったとしたら、どうでしょう。」
じゅえる「それはあるな。モチベーションがそこで一段落着いたら終りだね。」
まゆ子「うーん、コンピュータで直接絵が描ければなあ。」

釈「それこそ、プリミティブマンで作ってみればいいんじゃありませんか。」
まゆ子「あ。」
じゅえる「あ。」

釈「できますか?」
まゆ子「できる。」

じゅえる「というか、プリミティブマンは律義にプリミティブだが、全部が全部プリミティブである必要も無い。」
まゆ子「制服と髪型、だな。顔面は無くてもOKだ。プリミティブだから。」
釈「それじゃあやってみますか。」

 

まゆ子「でけた。(08/01/14)

 しかし、プリミティヴマンが何故人気になるのか、ワタシにはさっぱりわからないなあ。分析は出来るけど計算できんし再現も不能。勘だけでやって、なぜかなんとかなる。」

釈「それが読めたら廃業するクリエーターは居ないでしょう。」
じゅえる「そりゃ真実だが、それでは困る。」
釈「まあ、そうです、ね。」
まゆ子「ほんとうに。」

 

 

うえんでぃず天狗話→何故か能登子さん設定)08/01/05

まゆ子「というわけで出来ましたのが、この『あしどりーむ』。さ、存分に設定話をしてくれたまえ。」

じゅえる「と言われましてもねえ、どれをしましょうかね。」
釈「「うえんでぃず」、「統則最前線」、「蠱螢(仮)」、に掲載はしていないけれど「桐子の…」というのがあります。計5本がエントリーしていることになりますね。」
じゅえる「「物辺村少女自警団」も数に入れるべきだ。」
まゆ子「はは、そりゃだめだわさね。」
釈「進まないはずです。でも優先順位というのが必要です。」

 

じゅえる「ここはじゅんばんどおりに、うえんでぃずから行こう。なにが問題?」

まゆ子「実はうえんでぃず次の回は半分が出来ている。後の半分が目処が付かないから止まって居る。天狗さんとは何者か、が宙では書けないのだな。」
じゅえる「OK。そこから始めよう。えーと、なんて名前の人?その天狗ってのは。」
まゆ子「無い。」

釈「OK。ではそこから始めます。えーと女の人であることは間違いが無いんですから、それなりに。」
まゆ子「自前の名前と天狗ネームがあるんだよ。もちろん偽名も使って居る。」

じゅえる「今回天狗の人は一人しかでない?」
まゆ子「基本的には。ただもうひとり影くらいは見せてもいい。」

釈「もう私が勝手に名前決めます。ラーフラにしましょう。仏教用語です。」
まゆ子「天狗の名前は醜名だから、変な気持ちの悪いような縁起の悪い名前を想定して居たんだけど。」
じゅえる「いや、ここは思い切った処置が必要だ。ラーフラ、カタカナ語は良くない。天狗は日本のものだから、ひらがな?」
釈「新機軸ではあります。」

まゆ子「では”らふら”、いや、”らふらん”にしましょう。なんとなく漢語にもなりそうな名前。」
じゅえる「うーむ、毒というかドスが足りないな。”くぶら”にしよう。
釈「”くびら”というのがありますねえ。十二神将でしたか。」

まゆ子「ま、いいや。くぶらでいく。えーと、どういう人か、て言うのを描くべきだろうか。」
じゅえる「どういう、か。難しいな。なにを目的とした回か、というところを考えて設定を決めなくちゃ。」

 

釈「以後その人は出ますか?」
まゆ子「いや、出る予定は無い。というかウエンディズのスケジュールではもうそれは無い。」
じゅえる「最終回に向けて驀進中、のはずなんだよね。でもさあ。」

釈「進んでませんから。では以後出ないと仮定して。じゃあ今回何しに出ます?」
まゆ子「そりゃ不思議体験をする為に。」
じゅえる「不思議体験だと、天狗の秘術を御披露するべきでしょ。」
釈「逆に何も無い馬鹿話だけの回と考える事もありでしょう。どうしますか。」

まゆ子「天狗の秘術は出ない。馬鹿話もしない。にも関らず、この人は天狗だということを証明したい。」
じゅえる「ふむ、なるほど。では天狗というのは何者か、という設定はー、前に描いたのかな。」
まゆ子「描いたような気がするが、無くても大体分かってるような気もする。天狗は天狗、ウエンディズのメンバーであればその異常さに付き合える。」

じゅえる「してみると、これは異常な話を平常な日常話に置き換えて、その変化の無さを楽しむという形の話なんだ。」
釈「ですかね。となると、むしろ普通に話をする、普通に会話を楽しんで帰るという、きわめて通常のお遣い話なんでしょう。」

じゅえる「異常だな。」
まゆ子「物語としてあり得ない話なんだ。」

じゅえる「とすると、天狗は極めて正常に出現し、なんの異常性も示さずに対面し接遇し、歓待する。しかも、ウエンディズのコーチは承諾しない。」
釈「なんの為に言ったのか分からないですよ。」
じゅえる「だがそういう事はあるのだ。

 そうだね、話を円滑に進める為に次を考えておこう。天狗にコーチを断られるだけではなく、ちゃんと次のアテもあるんだ。これを天狗さんに勧められるという事にしよう。」
釈「えー、やはりフォクシーズのメンバーにしますか。と言っても、誰かアテがありますか?」
まゆ子「アテ、いやそうだな。原点回帰ということで、弥生ちゃんが厭兵術を習った人が帰って来る、というのではどうだろう。ばるきりあの先輩が。」
じゅえる「かんたんでいいが、もうひとひねり欲しい。それにその人は今後も出る可能性がある。」

 

釈「キャラの流用をしましょう。ここで子持ちの土器能登子さんですよ。」

 

じゅえる「能登子さんかー。でもなんでここに居るの? 自衛隊ですかい。」
まゆ子「警察官、かな?海上保安庁という手もあるか。」
釈「傭兵、とかでは。というのは嘘としても、なにか極めて通常のチャンネルでウエンディズと関与出来るのが正しいと思います。」
じゅえる「学校の先生?」
まゆ子「公務員、か。いっそ消防とか救急かな。」
釈「たこ焼き屋でもいいと思いますがね。」
じゅえる「素直にタコ型ロボットの研究者でいいんじゃないかなあ。」

まゆ子「じゃあこうしよう。この世界にはもうタコ型ロボットが導入されて居るんだ。そのオペレータということで。」
釈「SFですか?」
じゅえる「説明されても良くわからない話で、ともかく深入りはしないんだ。それでいいじゃないか。」
まゆ子「極地作業用ロボットで、深海とかをさらってる、ということにしよう。まゆちゃん先輩はよく知って居る話だ。」

じゅえる「よし決まり。天狗よりもさらに不思議な人になってしまったぞ。」

釈「ということは、天狗の人の推薦で土器能登子さんに紹介されるのですが、どういう知り合いですかこれ。」
じゅえる「天狗じゃあない。」
まゆ子「うん。厭兵術でもない。武術の達人でなきゃいけないんだけど、そういう設定は彼女にはない。」

釈「ではこうしましょう。天狗さんに会った数日後、またメンバーで能登子さんに会いに行くんです。で、会って見ると。」
じゅえる「なにがなんだかわからない。」

まゆ子「紅曙蛸八仙というあやしげな拳法の使い手なんだ。手足がだらりんと垂れて捕らえ所のない、関節技みたいな捕縛術を多用する。」
じゅえる「まさにタコ拳なんだな。」

釈「そんな人でいいんですか?」
まゆ子「わからない。だがなんとなく新機軸だということで、招聘するのだ。」
じゅえる「いいかげんだなあ。」

まゆ子「で、どういう技を使うんだ能登子さんは。」
釈「手足が絡みついて、巨乳で口と鼻を塞いで窒息させるんです。」
じゅえる「新機軸だ。」
まゆ子「うーむ、なるほど。面白いには違いない。よし採用。」

釈「マジですか?」
じゅえる「いや、いっぺん口から出た言葉にはもう留めようがないだろ。よし決定。能登子さんがコーチになるんだ。」

まゆ子「してみると、天狗の人は能登子さんについて結構な情報を持っていて、自分よりも適任であると知って居る。そういう話をするんだね。」

釈「でもそのタコ拳はゲリラ的美少女野球において、有用なんでしょうか?」
まゆ子「全く分からない。検討してみよう。」
じゅえる「まあ、護身術でもあるだろうからまるっきり不適とは言えないか。そうなんでしょ」

釈「わたしに言われましても。」

まゆ子「新機軸であるから、まあ敵を捕縛するという新しい技で、ウエンディズ三年生幹部に一泡吹かせようと。」
釈「ふむふむ。そういう考え方ですか。不遜ですね。」
じゅえる「だがそのくらいの元気があった方が良い。となると、タコ拳てのはかなり凄いもんなんだ。」

まゆ子「忍術の一種ではあるのかもしれない。ニンジャといえばしゃきしゃきと動くものだけど、のんべんだらりと見付からないようにゆっくりと動いて、確実に敵に忍び寄りぬるっと搦め獲る暗殺拳だ。」
じゅえる「そいう風に考えると、なるほど恐ろしいな。タコはなかなかやばいキャラだもんね。」

 

釈「なんとなくいい感じに思えて来ました。しかし、天狗の人がまるっきり関係無いというのも惜しいですね。」
まゆ子「そうだねえ。」

じゅえる「じゃあこうしよう。天狗の人は学校に指導にはいけない。でもこちらに来て天狗術の初歩を教える分には問題ない。高度な天狗術は正式に入門しなきゃ教えられないけれど、一般人に教えて良い”童”レベルの術があり、それは教えてくれるんだ。」

釈「童レベル、ということは、天狗術にも段位があるんですか。」
じゅえる「うんそういう設定になっている。

”童(わっぱ)”→”子烏”→”行人”→”烏天狗”→”天狗(正)”→”大天狗”→”権天狗”→”天狗之上”て、名称の設定をすこし忘れちゃったけど、こんな感じ。
”童”と”子烏”は地元の小学生に教えて居て、”行人・行者”のレベルから正式に入門して、”烏天狗”で一応免許。で、精神的なのと教義に関しての修行を終えたら”天狗(正)”になり御山から追い出されて自力での修行となる。
”大天狗”は天狗の修行を教える資格でこれ以下の者は童レベルより上は教える事ができない。で、御山を降りて修行してそれが認められるとこの資格を得て、御山の行き来を自在に出来るようになる。今回明美二号たちが行くのはこのレベルの人だ。
で、”権天狗”というのは魔法が使える。どんな魔法かは俗人には知る由も無い。その上はもう神様だ。一番偉いからひとりしかいない。」

釈「はあ、結構エライ人の所に押し掛けていくんですねえ。」

 

まゆ子「能登子さんはどうしよう。天狗には関係無い?」
じゅえる「思いっきり関係無いことにしよう。天狗の人が天狗であることさえ知らない。」

釈「しかしこれで必然的に能登子さんのキャラが完成していくんですねえ。『統則最前線』もなんとかしなきゃいけませんね。」
まゆ子「あー、そうなんだけどさあ。」
じゅえる「『蠱螢(仮)』の方が優先するし、『桐子の…』の方が面白いしねえ。」

釈「統則最前線はおもしろくない?」

まゆ子「『げばると処女』が書けるから、現代物も書いてみようと思い立ったのが『統則最前線』。元は漫画なんだけど、まあ小説版の元はそうだ。書きたくて書いたというよりも、書けるから書いた。」
じゅえる「その意味ではすでに結論は出てるんだ。或る程度書けるけれど、支援が無いと書けないと判明した。」
釈「そうか。テストバージョンであれば、その役目が終ると終了するんですね。」

まゆ子「そうは言っても惜しい設定がある。」
じゅえる「現代物は未だに穴だ。なんとかせねばならない。蠱螢(仮)は現代物とは言い難いからね。」
釈「統則最前線の新たなる位置付けが必要なんですね。しかし能登子さんは。」

まゆ子「土器能登子さんは別だ。このキャラはどうしても活かしたい。」

釈「そうか。能登子さんのキャラがあればこそ、統則最前線の企画は未だに生き続けるのですね。しかしー。」
じゅえる「能登子さんはひじょーに厄介迷惑なキャラだ。使い勝手が悪過ぎる。持て余して居るのだな。」
釈「じゃあなんとかしなきゃいけませんね。ということで、ウエンディズに出張してきたと。」

まゆ子「まあ、なんとかしますよ。能登子さんがいつまでも生き続けるのは、そこに新しい地平が開けている予感がするからだ。この人を手中に収めると、次がある。必ず。」
じゅえる「信仰だね。」

釈「弥生ちゃんキャプテンの次、ですか。」
まゆ子「その為に作られたキャラだし、その為に作られたシリーズ企画だ。」
釈「つまり、次に行く為の乗り物なんですね、能登子さんは。」

じゅえる「エロキャラでもあるし。」
まゆ子「エロも出来る。うん。」

 

釈「ではアレですよ。能登子さんのキャラクタ設定に「次」という要素を投入し明示しましょう。これまでは無かったわけですから。」

まゆ子「あ。ほあ〜、なるほどそういう考え方はやったことが無かった。」
じゅえる「能登子さんは確かに「次」なんだ。統則最前線のシリーズにおいても、一人だけ先を行くキャラだ。そうか、キャラの特性を把握しきれていなかったか。」
まゆ子「なるほど、今回ウエンディズに出て来たはずだ。そうか、では次を考えよう。彼女自身が「次」を予感させるんだな。」

釈「ではウエンディズも、「次」を。」
じゅえる「うむ。この人に会って初めて、ウエンディズの次を明美二号達は実感するんだ。天狗さんではない。」

まゆ子「了解した!」
釈「では。」

 

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