統則最前線
2008/05/18

現在、構成変更中につき、なにもございませんわ。ホホホ。

というのもなんだから、『統則最前線』の説明をしましょう。
『統則最前線』とは、近未来サイバーSF長編小説です。元々は『攻殻機動隊』をパクろう! と考えて、甲殻類はなんだから頭足類でやろうというわけですね。
ちなみにタイトルの『統則最前線』はもちろん『特捜最前線』から来ています。

さて『攻殻』をパクろうと考えたわけですが、実のところ『攻殻』は潰しが効かない設定ばっかりで流用するのはかなり難しく、他人が発展させるのは不可能です。
というか、タチコマ(フチコマ)自体の有用性がかなーり大きな疑問で、まずこれを排除する!というとこから話は始めるわけです。これは私だけの考えではなく、押井監督の『GHOST in the SHELL』『INNOCENCE』でもフチコマはさくっと消去されていますね。

特殊部隊員の機能を代替するのに必要な機能をどうすれば実現できるか、の解答が統則ロボット「タコハチ」です。もっともネーミングが安直すぎるのは認めましょう。
本当はカベチョロ型都市攻撃ロボット「カベチョロン」というのも考えたのですが、舞台設定を安直な地球温暖化による海面上昇世界に定めたから、水陸両用頭足類型ロボット「タコハチ」の採用となります。

ロボットが決まれば運用する人間、主人公を設定せねばなりません。つまり草薙素子をパクるわけですが、タコを運用する人間があんなきっちりした人である道理が無い。タコみたいなふにゃふにゃして捉えどころの無い、いい加減な女性が極めて論理的に誕生する運びとなります。タコ八郎、いや横山ノックの前髪を持っているのがいい加減さの何よりの証明。
元ネタに倣ってサイボーグ女にする事は諦めました。
2050年という舞台設定を考えると、全身サイボーグというものが実現している可能性がかなり低く、いや逆にバイオ技術の進展でその必要が無くなっている可能性が高く、さらに以前考察した結果戦闘用サイボーグなるものの有用性が極めて疑問視されたからです。「くっちゃり ましなりぃ」参照のこと。

要するに、サイボーグ女不可!。ではネットにダイブする最も特徴的な機能は、といえば、これは『攻殻』以降設定に取り込む人がいやと言う程出ましたから、逆を張って無し! にします。というか、ロボット兵器運用のスペシャリストの設定にしたからには、ネットダイブの機能を彼女が持つ必要無いのです。

ここまで来ると、もはや元ネタの判別ができません。まあ印として、名前に痕跡を残しておきます。
「土器能登子KAWARAKE NOTOKO」、なんとなく「草薙 素子KUSANAGI MOTOKO」、なんとなく似てるのがその名残。

徹底的に弄り回して元ネタの判別すら不能になる。これがウチの小説設定の定石です。

というわけで、この設定でマンガを描いてみました。が、失敗。(作業量の増大に時間が追っつかなかった)
小説に代えて数度試しに書いてみて、うまくいかないので、更に設定を大変更。それでも追っつかずに、時間軸をずらして2100年に舞台を移したのが↓のメイドロボ アニタが登場する物語。
しかしながら、これもなかなかうまく組み上がらない。
アニタだけを移植して時間軸を戻して書いたのが、「旧版」としてライブラリに掲載されている『統則最前線』。『ウエンディズ』から相原志穂美を投入して実質「げばると志穂美」にして書いてみたところ、逆に統則ロボット関連の設定が邪魔になる始末。

そこで、再度設定を修正して、アニタを主人公とするシンプルな物語にリサイズして、新版を書く予定なのです。

 

ちなみに何故頭足類かと言えば、単純にイカタコ類が食べるの大好きだからです。『げばおと』弥生ちゃんも異世界でイカを食べてるくらい。エビカニ類も大好きですが。

(今後の予定)暫定08/05/17

統則最前線〜メイドロボ・アニタの彷徨

第一章 戦車とアニタ
第二章 テロリストとアニタ
第三章 ごしゅじんさまとアニタ
第四章 先生とアニタ
第五章 知らないひととアニタ
第六章 お医者さんとアニタ
第七章 ぐうたらな奥様とアニタ
第八章 アリス小隊とアニタ
第九章 不思議な国のアニタ
第十章 アニタとるぴか
最終章 アニタ大破する

第一章 戦車とアニタ
  とある埋立地に上陸した戦車とアニタが遭遇する。統則ロボット登場でよくわからない解決

第二章 テロリストとアニタ
  アニタの基本説明。能登子とるぴか親子に奉仕する。能登子さんが対テロ要員であることを明示。

第三章 ごしゅじんさまとアニタ
  るぴかの妙な命令に従って怪しげな動きをするアニタ。街中で他のメイドロボと世界状況の説明。

第四章 先生とアニタ
  るぴかの担任志穂美先生が能登子さんと会話する。アニタお留守番するも、家の中に不正アクセスが起きる。

第五章 知らないひととアニタ
  お使いに出掛けたアニタは道に迷い込み、同じく迷ってしまった男の人と脱出路を捜索する。統則ロボットに救われる。

第六章 お医者さんとアニタ
  能登子さんがお医者さんに掛り、戦争の時のマイクロマシン療法の話をする。アニタ、るぴかを迎えに夜学校に向かう。

第七章 ぐうたらな奥様とアニタ
  能登子は泊まり込みで重要会議の対テロ警備。着替えを持って来たアニタは警察署に迷いこむ。アニタのせいで統則ロボット隊は警備から外される。

第八章 アリス小隊とアニタ
  重要会議においてサイボーグ部隊が活躍するのを、能登子さんら統則ロボット隊は外されて不満げにテレビを見る。と、そこに大事件勃発。

第九章 不思議の国のアニタ
  大事件の渦中にるぴかが巻き込まれた。アニタは能登子の指示でるぴかを迎えに行くが、街は大混乱。戦車も出るよ。

第十章 アニタとるぴか
  大事件。実はるぴかこそがその中心人物であった。アニタは一生懸命障害をクリアしてるぴかの元に辿りつくが、絶体絶命のピンチ。

最終章 アニタ大破する。
  るぴかを庇って対装甲銃弾を打ち込まれたアニタ。最期の力を振り絞りるぴかを保護するものの、遂にダウン。だがるぴかは無事。アニタのメモリはるぴかに消去される。
  アニタは能登子さんの操る統則ロボットに保護され、修理工場送りに。るぴかの正体に能登子気がつかない。

 

【主要登場人物】

・土器るぴか(9歳) 謎のしょうがくせい。
・土器能登子(31歳) 謎のしょうがくせいるぴかの母。いいかげんというよりもだらんとした性格。タコ型ロボットを扱わせたら日本でも五指に入る凄腕。
  この度、「紅曙蛸八仙」という武術の達人という、いいかげんな設定が付加された。
・アニタ(4歳) メイドロボ。おフランス製で全身自動車と同じ高張力鋼板製。一般的なメイドロボよりも背が高く重たい。防弾機能がある。人工頭脳ユニットを搭載する為に電波遮断された状況下でも自律行動可能。結構高い。

 

【統則最前線しつもん箱】

・るぴかの秘密
  古代英雄人種の末裔であり特別な能力を持っている。父親から遺伝したもので、母能登子にその能力は無い。幻界と呼ばれる世界に自由にアクセスできるらしい。
・幻界とは?
  古代英雄人種が通じる事ができた異世界。現代的な視点でいえば、バーチャルリアリティでありインターネットでもある。
  物理的な利得は無いとされるが、しばしば古代英雄人種はこのルートを使って瞬間移動が出来るらしい。
・能登子はいつるぴかを身篭ったのか?
  不明。土器能登子は戦争前の記憶がほとんど無い。というよりも、入院中にマイクロマシン療法を受けて記憶が混濁してなにがリアルか幻想か分からなくなった。
・るぴかの父は?
  この巻では出て来ない。
・他にるぴかの能力を持つ人は居るか? また世間には何人くらい居るのか。
  不明だが、フランスに一人少年が居る事は確定。また彼らを専門に追いかける集団があるらしい。

・るぴかちゃんは小学生ですが、小学校という制度は今と変わっていませんか。
  驚くほど変わっていません。コンピュータ授業というのもありません。何故無いかといえば、生まれた時からコンピュータの操作は皆知ってるからです。むしろ紙ベースの情報を操作する能力の向上を練習します。習字もやります算盤も。戦争中にコンピュータ障害が多発した為に、基本的な技能と知識の重要性がクローズアップされました。
  違う所は、学校にもメイドロボが居るところです。子供を護る為に不審者等を監視しています。

・「紅曙蛸八仙」ってなんですか?
  土器能登子が用いる柔術・捕縛術です。類似する武術としては酔拳ですが、酔拳が酔っぱらいの動きを元にしているように、タコの動きを元にしています。酔っぱらいに絡み付かれたように動きが取れなくなり、何時の間にか地面に寝転んで拘束されている、あやしげな捕縛術です。

・アニタは特別なロボットか?
  フランス製で内部コンポーネントは日本製。日本ではあまり使われて居ない鉄板張りのメイドロボ。防弾機能を持つ点がすこし違う。またEMと呼ばれる思考回路を重たいのにわざわざ搭載しているので、ネットワークから切り離されても自立行動が可能。
・メイドロボとセックスできますか?
  アニタは鉄板製で股間にはサーボモーターとジョイントがありますから、お勧め出来ません。日本製アニメ調メイドロボ、および欧米製スーパーリアル調メイドロボにはその機能を増設できるものがあります。ですが、生身の人間にはやはり及びません。この点を改善する為にも、統則制御される人工筋肉で構成される当該器官の開発が急がれます。

・第八章でおこる大事件とはなにか?
  サミット級の各国要人を迎えての国際会議。おそらくは、中国人難民問題に関しての実務会議。
  太平洋諸島戦争における中国人海賊の被害が、最近また増えて来たらしい。その対策と中国内陸部の復興支援がテーマ。
  故に、この大事件はそれに関連するものと思われる。
・アリス小隊とはなにか?
  装甲戦闘サイボーグ部隊「アリス・スクワッド」。世界最小サイボーグ部隊。小さな女の子(成人女性)を核として、装甲ロボットスーツを着装しているが、全体の大きさは大柄な成人男性と同じくらいというコンパクトサイズにまとまって居る。統則ロボットに駆逐された特殊部隊がリニューアルをする或る解答。

・統則ロボットってなに?
  統則ロボットとは、統則腕を有する作業用・戦闘用ロボット、もしくは統則理論によって制御される人工筋肉をアクチュエーターとして持つロボットです。
  骨格を持たない軟体構造であり極めて複雑な運動が出来、海岸や水没都市、下水道、震災地や爆心地の倒潰した建物の瓦礫の中、森林、海中といった従来型ロボットを用いるには困難なシチュエーションで絶大な威力を発揮します。
・統則理論ってなに?
  統則理論とは、津田幸(みゆき)工学博士が提唱した人工筋肉の制御理論です。
 長年ナメクジの運動制御を研究して来た彼女は、人工筋肉の登場の際に当然軟体動物を摸したデバイスの製作に取り掛かり、複雑な地形を事前のプログラム無しで走行出来る制御方法を開発しました。
 情報処理装置とアクチュエータを一体化し同じユニットが幾つも並列に接続して、それぞれが別々な役割を自ら獲得して全体的に合目的に動く。ま、面倒くさいことは筋肉に考えさせようという仕組みです。瓦礫の上や中といった事前に走行ルートを算定出来ない複雑怪奇な状況で最も効率良く作動します。
 現在、研究は非常に深く進展し人工筋肉だけでなく、情報処理装置とアクチュエータ、エネルギー伝達回路、センサー、等々を個々に有するマイクロマシンを群体制御する際にも応用が進められています。

・能登子が受けたマイクロマシン療法とは?
  土器能登子は10年前、太平洋諸島戦争最終日に生物毒を用いた毒矢による攻撃を受け、全身の免疫機構が破壊され瀕死の重体に陥ります。この時未だ開発中で動物実験段階であった「統則理論を用いたマイクロマシン」による療法を受け、一命を取り止めます。
 マイクロマシンによって免疫細胞の機能を一部肩代わりされており、調整の不調でしばしば危篤状態に陥りますが、その度ソフトウエアをアップデートして不死鳥のように甦ります。
 現在はもっと安定して確実なマイクロマシン療法が実現しており、普通に用いられています。

・能登子が所属する対テロ組織とは?
  土器能登子は太平洋諸島戦争時、日本国軍海上戦力隊(つまりSEA FORCEです)で統則ロボットを使用した特殊部隊のエースでした。
  その後退官した能登子は工業系大学で勉強し、またロボット制御の技能を認められスカウトされて、統則ロボットの民間利用を進める特機法人『先進ロボットサービス』に所属し、統則ロボットオペレーターの指導員となります。
 しかし、能登子ほど有能なオペレーターの育成はやはり難しく、指導員本人が実務の現場この場合警察業務を行っているのです。
・能登子は警察官ですか?
  警察官ではありません。『先進ロボットサービス』の社員で指導員主任です。しかしながら人命を奪う事もある対テロ任務を行う際には、海上戦力隊に所属していた時分の二曹に準ずる資格となります。
・人を殺すのですか!
  対テロ任務の場合、容疑者あるいはテロリストを射殺する事が最善となる場合が多く、警察の委託を受ける『先進ロボットサービス』でもマニュアル通りに遂行します。
  しかしながら、平時の訓練でそこまで行える人材を育成する事は難しく、実戦経験者が多用されています。

・統則ロボットはタチコマより強いですか?
  大きさが違います。重量150キロほどです。無線操縦される統則ロボット「蜃龍」あだ名はタコハチは、人が乗る事ができません。また装甲もされていません。一応はCNTラバー装甲を施しており旧式のAK-47銃による攻撃に抗堪出来ますが、基本は銃弾に当たらないように行動します。というか、当たりません。隠伏しての行動が原則で、テロリストがタコハチの姿を見る事はほとんどありません。
 さらには水中活動を得意とするタコハチと、タチコマの活動領域と明確に異なります。つまりは、両者はバッティングしません。
・陸上では使わないのですか?
  統則ロボットは太平洋諸島戦争時に、武装して海洋に乗り出した中国人難民が海賊化して太平洋全域で掠奪や占領行為を行い、各国が鎮圧した際に使われたものです。
  無数に存在し指揮命令系統も統一されていない武装集団を一々排除するのに、当初は特殊部隊を投入していましたが、あまりにも数が多過ぎる。そこで特殊部隊の任務を完全に肩代わりする事を目指して設計開発されたのが、統則ロボットタコハチです。
  つまりは、水中および海浜部、それに隣接する都市の廃墟や家屋、下水道、船舶等で用いる為の装備です。これだけ入り組んだ場所で使用出来る能力を持つ為に、都市部においても十分任務を果たせます。
 逆に、野戦でタコハチを用いるのは不適です。
・タコハチの武装は何?
  6.5ミリ対装甲ロボット銃、30ミリグレネードランチャーと照準器、各種センサーがセットになったロボットウエポンを搭載しています。またコンテナ内にマイクロミサイルや水中ミサイル、爆弾等を搭載出来ます。さらに、統則腕を用いて対戦車ミサイルや対空ミサイルを運用する事が出来ます。
  基本的に人間が用いる携帯火器をすべて使う事が出来ます。
・なぜ6.5ミリ?
  5.56ミリ弾が装甲ロボット兵器に対して非力かつ長距離狙撃に不適だからです。イラクでの戦訓を受けて、米軍でも長距離狙撃に適した銃弾の開発を進め6.8ミリ弾を検討中です。6.5ミリ弾はそういうことならと38式歩兵銃に合わせました。38式アリサカは精度の高いものは狙撃銃としても用いられた遠距離攻撃に定評のある銃です。
 更に強力な銃が必要であれば、12.7ミリや20ミリを用いる対物ライフルを運用する事も可能ですが、通常6.5ミリで間に合います。
・統則ロボットはタコハチしか居ないのですか?
  統則ロボットはTaco-規格という軍事規格で定められており、1ー9まであります。タコハチはTaco-8だからタコハチです。
   1は統則腕を有する高機動魚雷、2はその派生型の探査ロボット。
   3は統則腕を有する水陸両用戦車で有人機。第一章に出て来るものです。
   4は統則腕を有する水中作業服、5は統則腕を有する高機動潜水艇。
   6は陸戦用統則ロボットで兵員の補助を行う。棺桶に触手が付いたような形状をしている。
   7は6の派生型で、陸上で戦闘員の代替を行う人型統則ロボット。マネキン兵士とも呼べる。現在はより人間型を目指して開発中。
   8は特殊部隊の任務を肩代わりする高規格戦闘ロボット。人間が活動できるあらゆる領域で人間の戦闘能力をほぼ実現する。
   9は災害救助用、あるいは火災鎮圧用に用いられる統則ロボット。
  ちなみに日本国軍海上戦力隊では「蜃龍」の後継機である「蛤竜」を用いており、旧型を「先進ロボットサービス」で民生用に用いている事になります。
・統則ロボット以外のロボットは居ないのですか。
  アニタが居ます。メイドロボはこの時代かなり普及しており、特に日本製の柔らかアニメ調メイドロボは大人気です。
  その他あらゆる領域でロボットおよびロボット兵器が使用されていますが、統則ロボットは画期的に違うものであり実用第三世代と呼ばれています。

・なぜ統則ロボットにこだわるのですか?
  この物語が「統則最前線」だからです。

・敵は誰ですか?
  第一巻においてはテロリスト、特に中華系難民をベースとする犯罪組織です。しかしながら、後半に発生する大事件はそれの存在をベースとしてまた別の黒幕が引き起こします。
  正直に言うと、未定です!
・警察は何をしているのですか?
  21世紀初頭の少子化の影響で、慢性的な人手不足です。故にロボットが社会の各所で多用されるようになり、警察でも同様に省力化が図られています。
  警察で多用されるロボットは軽防弾の無人車両でタイヤで動きます。主に警備で用いられますが、もちろん高度な任務は出来ません。
  その他のロボットは単能機であり、任務ごとに専用機を用いなければなりません。これが第2世代の実用ロボットです。
  タコハチは汎用の第3世代であり、ユニットを換装すれば救助や鑑識作業も可能です。また抵抗する人間を無傷で逮捕する格闘能力も持っています。
  しかしその最大の利点は、本来対テロ用に作られただけあって、都市内での対テロ警備で最大の能力を発揮します。
・電脳でハッキングする、とかの攻撃はありますか?
  あります。派手にやっています。ですが人工知能・人工頭脳技術が発達しハッキング対策をリアルタイムで自動で行う事が可能です。
  難易度とコストが非常に高くなった為に、軍や政府機関クラスの財力が無いと、有効なコンピュータへの干渉は不可能です。
  更に、人工頭脳技術により各家で自動監視が行われ、コンピュータ同士の連携による民間で治安を監視して居ますので、自動でなにかをするのはかなり難しいです。
  これも皆、太平洋諸島戦争での経験によります。日本国内も戦争の影響から隔離されて居たわけでなく、相当治安が悪化しました。

・仮想空間でエロエロなことはできますか?
  不可能ではありませんが、流行っていません。人工頭脳に騙されるのが嫌な人ばかりですから。
  ちなみにコンピュータ技術は相当に発展しています。3次元物理シミュレータはあらゆる方面で多用され、ゲームとして使うと超リアリティの立体映像で再現出来ます。
  さらに、グルグルディスプレイという特殊な表示装置が開発されており、一人限定で非脳内電線でほぼ完璧な立体感のある映像を体験出来ます。原理的には凹面鏡です。
・インターネットはありますか。
  普通にあります。が、人工頭脳による検索が普通になっていますから、ネットで無駄時間を貪る事はありません。必要な情報を確実に短時間で獲得出来ます。
  自動翻訳もかなりの完成度をもっており、世界中の人とリアルタイムで会話出来ます。

・日本国はどうなっていますか。
  2050年当時。つまり本編舞台となる時間ですが、普通に民主国家です。ただし軍事的にはかなりの能動性を持ち、よく海外派遣されています。
  それも当然、太平洋全域のアメリカ管轄外を日本が事実上預かっているようなもので、かなりの軍事費の増大となっています。
  人口は1億人ジャストですが、かっての少子化の反省から出生率の改善を図っています。他に外国人、とくに中国系難民が特別区に収容されて全部で1千万人になります。
  ロボットの実用化で移民のメリットが激減しており、中国系難民は隔離された海上都市に収容され、本国帰還を待っています。
・なぜそんなに中国人難民が多いのですか・
  中国は一時の混乱から脱し、5つの政体に分かれています。その成立過程で零れ落ちた者が武装して海外に進出したのが、太平洋諸島戦争です。鎮圧された結果捕虜となった者が数百万人居ますが、中国5政府は受入れを拒否、暫定的に各国に隔離されて収容されています。
  経済難民は受入れない事が各国で了承されていますが、それでも溢れ出る人間は押さえられず、或る程度の受入れを余儀なくされています。
  捕虜と難民、この二つは法的には明確に区別されているのですが、あまり変わりが無いというのが一般日本人の感想です。物質的に或る程度不自由が無ければ反乱も犯罪も起さないけれど、あまり信用できるわけでもない。ただ難民の中には日本社会でかなりのステータスを得た者も居て、色々と政治的な策謀を行っています。
・中国5政府とはなんですか。分裂したままですか。
  中華人民共和国は経済の停滞により一時機能麻痺に陥ります。この時世界各国が最も懸念したの核兵器の拡散であり、中国政府に最優先で核兵器を保護せよと支援を行いました。
  その結果、核兵器は中国東北部に集中されて管理され、ここを拠点として共産党政府は囲い込みを行います。北京以北がそのまま中華人民共和国ですが、一応は国家の代表権を保持している事になります。
  北京以南の沿岸部と内陸部は分裂します。沿岸部の都市国家群が中華連邦共和国を名乗っているが、軍事的には脆弱です。太平洋諸島戦争で海軍力をすべて喪失した為です。
  内陸部が中華民主共和国。四川省を中心とした内奥部が人民中華社会主義共和国です。前者が軍事政権、後者が社会主義先祖返りで、どちらも全体主義的な性格の強権で支配していますが、そうでなければ治まらない状況です。
  そして海外の難民及び中国内部の隔離区域内住民が結成した正統中華民主政体となります。
  ちなみに30年以上にも渡る大混乱で、中国人口はかって18億を数えたものが12億にまで減っています。
・アメリカはどうなりましたか。
  アメリカはアメリカです。今とほとんど変わりありません。ただし、アフリカ周辺で同様に海賊が大発生して、南北アメリカヨーロッパで大混乱を巻き起こしており、太平洋方面にはあまり手が回っていません。
  ちなみに第七艦隊は健在で、原子力動力のレーザー光線砲搭載艦がミサイルを撃墜します。

・地球温暖化で海面上昇、というのは少し陳腐ではありませんか?
  そう思いますが、その後の研究の成果を組み込んでちと換えています。海面上昇というよりも、高潮や暴風雨により海水面の上下幅が大きく変わり、従来の堤防等では役に立たなくなり海岸部の都市機能に重大なダメージを与えた。という事になっています。単純に海水面が何メートルも上がった、というのは違います。
  ここらへんは、筆者がかって広島が台風で大水没した時の経験がありますから。
・海水面上昇で世界はどうなりましたか?
  予想通りに気象が大激変して食糧生産に重大な支障が発生し、また東南アジアの低地にある国家が壊滅的被害を受けました。中国では頼みの綱の沿岸部都市が海水流入で機能停止して経済活動が停止、大量に発生した難民が軍の武器横流しを受けて海外に進出し、海水面上昇で混乱する太平洋上の島嶼国家を各個に掠奪侵略する、というのが基本的なシナリオです。
・太平洋諸島戦争とはなんですか。
  上記の通りに、難民が海賊化して太平洋上の国家に非正規に侵略行動を行ったものを、太平洋周辺の有力な国家が鎮圧していった戦争です。つまり非対称戦争です。しかしながら、敵である海賊がどこにも中枢が無く命令系統も無い、にも関わらず中国国内より潤沢な武器の供給を受けている、という極めて厄介な状況です。混乱の真っ只中にある中国の政府に対策を求める事はほぼ不可能であるにも関わらず、中国国内への武力進攻で予防的措置を取る事ができませんでした。
  そこで対症療法的に各個撃破していったのですが、海浜部や島嶼部、崩壊した都市に篭る小人数の海賊を大規模な火力で殲滅する事は無意味です。また現地住民が人質、あるいは共存している状況にもあり、極めて慎重な精密手術のようなアプローチが必要とされました。これに対応出来るのは十分な訓練を積んだ特殊部隊のみですが、敵があまりにも多過ぎ、また海賊が装備する武器は旧式ではあるものの情報機器やロボット等も存在して、人間である特殊部隊員を投入するのがためらわれる極めて厄介な戦場です。

・そこで統則ロボットですね。
  ロボットによる対応はこれが戦争であると認められる以前から行われて来ましたが、高度に専門的な機能しか持たない第二世代のロボットは運用に多大なサポートを必要として十分な成果を上げられませんでした。なにより投入される戦場が極めて複雑でロボットが擱座する事が多く、汎用で運動性と冗長性の高いロボットが要求されました。
  というわけで、人工筋肉のみで構成され瓦礫等にどこにも引っ掛からない、多少破損してもしっかり動く統則理論で制御されるロボットが急遽開発投入されたわけです。
・特殊部隊員と統則ロボットはどちらが強いのですか?
  統則ロボット「タコハチ」は特殊部隊員を1対1で起き換える事を目的に開発されました。つまり、同じ強さを求められます。人間の特殊部隊員が投入される全領域において、人間と同等の能力を持つ、というのは極めて高度な要求ですが実現されました。こうなると、機械であるメリットつまり疲れず眠らず飽きないという点により、人間を大きく凌駕していきます。また練度の維持に長時間を割く必要が無く、連戦しても休息が要らないという点において完全に人間を越える運用性の高さを持ちます。
  現在では10人の特殊部隊を3体のタコハチ小隊が代替する、とされています。
・特殊部隊員は用無しですか?
  そんな事はありません。というよりも、戦闘任務をタコハチに譲った結果、より高度な任務に人間を投入する事が出来るようになりました。つまり、交渉です。海賊との戦闘といっても実際は現地住民と混在し、人質だか協力者だか分からない非常に難しい状況が発生していました。可能であれば説得により脅威を除去したい。こういう時は人間による交渉が不可欠です。
  タコハチにより密かにサポートされる特殊部隊の交渉人、というユニットが随分と活躍しました。
・そうは言っても、反発する人は居るでしょう。
  戦時中はありませんでした。軋轢はむしろ、統則ロボットの民間利用が始まった現在起こっています。警察における特殊部隊が『先進ロボットサービス』により肩代わりされるのですが、もちろんここにも旧世代のロボットが採用されており、統則ロボットを特には必要としないのです。しかし、汎用ロボットの採用による省力化と運用維持費の軽減、大戦後に高度化するテロリストに対応する為の機能の高度化を考えると、この路線以外に道はありません。
・物語上でそれは支障になりますか?
  そこで土器能登子という実戦経験者が意味を持つわけです。こういっちゃなんですが、大戦中彼女は3桁の海賊を射殺しています。警察の狙撃班では足元にも及びません。

・土器能登子はゴルゴ級のスナイパーですか?
  違います。統則ロボットの狙撃可能距離は1キロ以下500メートル付近が適正とされていますが、この距離においてはコンピュータ制御で自動的に狙撃が可能です。つまり殺すだけならば誰でも出来る。
  大戦中統則ロボットを用いたエースは幾らでもいますが、彼らは殺すのがせいぜいで現地住民の保護や人質解放という任務になると成功率ががくっと下がります。
  こういう厄介な状況になると呼び出されるのが、土器能登子でした。当然難易度も高く、また人命保護の為に人間の特殊部隊員も投入され、自然と彼らの損害も増えます。「土器が来ると味方が死ぬ」とさえ言われましたが、もちろんこれは故の無い批難です。

・土器能登子はどうして負傷したのですか。
  2045年8月15日が太平洋諸島戦争の実質的な終戦の日です。この日、中国5(当時は4)政府がようやくに中国人海賊への武器供与を正式に禁止する措置を取りました。以後急速に海賊の勢力は衰え、撤収もしくは投降していきます。
  能登子が負傷したのはガダルカナル島です。この日、能登子は統則ロボットの収容の為に上陸し、残存していた海賊の自動弓矢の直撃を受けます。これはラジコン矢ともいうべき代物で超軽量のカメラと通信機、矢羽根を操作する人工筋肉からなる簡易ミサイルのようなもので飛距離は1キロ以上、ガソリンエンジンを使ったカタパルトから発射されます。
 通常は小型爆弾を搭載する対人兵器で主に装甲倍力服を着用する戦闘員が目標ですが、この時は生物毒を塗った毒矢でした。統則ロボットオペレーターは彼らの最優先目標ですから、能登子が上陸したのは判断ミスという観がありますが上官の命令だから仕方が無い。
 結果、能登子は人事不省に陥り急遽病院船に搬入されるものの、全身の免疫系が破壊される重体。しかしながら当時開発中だった統則理論を用いたマイクロマシンの投与を受けて奇跡的に一命を取り止める。回復までに1年掛りその間の記憶が曖昧になり、ようやく意識がしっかりしたところで、るぴかが生まれたよと聞かされるわけです。
・重体なのに妊娠出産したのですか?
  重体に陥った能登子の全身を調べた結果、子宮内に受精卵があることが発見されます。受精後2週間というところで、このままだともちろん破壊され流産すると懸念されましたが、医師の判断で受精卵が摘出されて外部で維持されます。その後能登子の両親に連絡を取り了承を受けてこれを凍結。日本に帰還した後に人工子宮に移されてそのまま成長を続け、見事出産の運びとなります。つまり、能登子は自分が妊娠していると知らない内に出産した事になります。
  ちなみに人工子宮とは、人間の遺伝子を組み込んだブタの子宮です。機械的な人工子宮よりもはるかに安全確実で、倫理的な問題以外は人間の母親以上に良好な生育を行います。

・ブタがおかあさん、というのをるぴかちゃんは知っていますか。
  はい。ブタの人工子宮は技術的には既に20年の歴史があり、社会的認知も進んでいます。人間の代理母よりもよほどマシです。

 

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