十二神方台系タンガラムの現代戦車


十二神方台系タンガラムにおいて戦車とは
なぜかブルドーザーと一緒にされる
ドーザーブレードが必須装備となっているから致し方無い

古来よりタンガラムでは鉄矢弾を用いて装甲兵器の発達を
抑制してきたが、二重装甲には弱いと判明している
ある程度の厚さの装甲を離して設置していれば貫通を防げる
というよりは十分な厚さの鋼鉄板を用意できないから
薄いの二枚で済ませていたわけだ

ブルドーザーが発明されるとすぐに軍事利用が始まり
「盾車」と呼ばれて重宝された
さらにブレードの裏に土嚢を積んで防御力を強化するが
やはり戦闘力が無いと決定的な戦力になりえない
砲塔を搭載して大砲を積むようになった
盾車の時代からさすがに操縦席を車体上に置くのは避けられ
エンジンの後方、車体後ろに設置するようになる
操縦席が車体後方に有るのはむしろ有利な点があり
戦闘以外の巡航中は視界が良好な後方へと高速で進む

ちなみにタンガラムの歴史においては地球の第一次大戦中の
塹壕戦に相当する時代は存在しない
また擲弾大好きな習慣からすれば異なる展開となっただろう


現在の世界情勢では外国が海を越えて侵攻してくるとは考えにくい
しかしそのまさかが起こったのが「砂糖戦争」であるから
侵攻軍に強力な装甲陸戦兵器が有ると想定して
戦車は開発されている

タンガラムの戦車はブルドーザーが元となっているが
最も軍事技術が進んだゥアム帝国では
兵員輸送車を武装する方向で開発されている
水中移動能力すらあるとされ、運河が交通の主要手段の
タンガラムにおいても脅威と見做されている

シンドラにおいては沿岸防御に重点を置いているので
装甲陸戦兵器の開発は弱く
単純にトラクターで運ぶ大砲の大型化を進める
のみならず火力さえあればいいと噴進砲に
力点を置いて開発している
また後発者の特権としてタンガラム・ゥアムの
過去の装甲兵器を参考に特異な兵器を考案している
図はタンガラムの巡航戦車である  と言っても戦車と格闘戦を行うものではなく
高速で現場まで進行した後は敵機関銃陣地や鉄矢弾銃、狙撃砲を沈黙させる為の兵器
搭載兵装は30ミリライフル狙撃砲 使用弾薬は30ミリ徹甲榴弾および鉄矢弾
ライフル砲でも鉄矢弾が使えるように改良が施されている
主砲に同軸の7.5ミリ機関銃  さらに砲塔後方に60ミリ迫撃砲
30ミリ狙撃砲ではさすがに榴弾威力が小さいのは問題視され、迫撃砲を別に装備する
また車体後方操縦席付近に7.5ミリ機関銃塔が装備され、後方防護も完全

防御力は全周旧15ミリ鉄矢弾銃防御  これは現在では10ミリライフル弾防御と同等
ドーザーブレードおよび砲塔張り出し装甲により20ミリ鉄矢弾防御
30ミリ狙撃砲徹甲榴弾および30ミリ鉄矢弾はドーザーブレード込みで防御可能
さらには60ミリ成形炸薬弾も防御可能
70ミリ機動歩兵砲による榴弾攻撃には
直撃は防御不能
乗員は5名
車長/砲手・操縦手・機関士・通信士・弾薬手
砲塔が小さいために1人しか上には乗れない
通常は車長が砲手を兼任する
また弾薬を上には多く積めないので揚弾には苦労する

重量12トン  エンジンは魚油エンジン120馬力相当
はしけで運河移動および鉄道輸送可能
専用台車を用いることで戦車単体で鉄道線路移動可能になる
最高速度30キロメートル/時  航続距離250キロメートル
線路移動時は60キロ/時、航続1000キロになる


鉄道による戦車の高速展開はタンガラムの防衛基本方針
であるが、道路や橋梁が未整備で大型重量車両の通行に
適していない箇所が多いという事情もある
戦車が鉄道線路を利用する際の支援を行う専用工作列車が存在する
また戦車自身も燃料や弾薬を運搬する小型貨車を連結できる

同じ車体とエンジンを用いた70ミリ機動歩兵砲搭載型戦車も
開発されている
重量14トン、航続距離200キロメートル以外さほど変わりはない
当然砲塔後部の60ミリ迫撃砲は無い
70ミリ機動歩兵砲には鉄矢弾は用意されておらず
70ミリ榴弾、徹甲榴弾、成形炸薬および外装式大型砲弾が用いられる
火力的には十分だが、70ミリ砲の攻撃を防ぐ事が出来ない
先手必勝の場合は連続装填機能を持った30ミリ狙撃砲搭載型
の方が迅速に攻撃出来る

ドーザーブレードを大型強化した「盾車」も依然として使用される
本体7.5ミリ機関銃塔および
60ミリ迫撃砲もしくは13ミリ機関砲搭載



これ以上の火力強化および装甲防御力の強化は
エンジン出力の向上無しにはあり得ず
さらにはより強力で豊富な燃料油の大量の供給が必要となる
50ミリ以上の狙撃砲(戦車砲)は既に完成しており
搭載可能な戦車の登場を待ちわびているが
このままでは砲塔無しの車体に直付で載せることにもなりかねない

いっそのこと電源車を随伴して外部電力供給で駆動しよう
とまで考えており試作車も作られた
この外部電源車を数珠つなぎにして本体にはエンジンを
搭載しない形式は「戦車列車方式」と呼ばれ
基本的には実現不能と考えられているが
80ミリを超える巨砲とそれに耐える重装甲を実現する
夢の戦車として空想科学小説等に取り上げられている
鉄矢弾は現代地球のAPFSDSとは
まったくに異なる別の弾種である
そもそもが30ミリ狙撃砲は弾速650メートル/秒
鉄矢弾でも720メートル/秒でしかなく
装甲の液状化などは起こらない
鉄矢弾とは、銃が発明されて以来の鉛の丸弾という妙なものでなく
古来より用いてきた弓矢が飛ばせないかな、との素朴な夢を
鮮やかなアイデアで実現したものである

なおライフル砲での鉄矢弾の使用は、無理を通せば道理が引っ込む
需要に応じて頑張ったらなんとかなった
鉄矢弾との付き合いが長いが故の成果である
現在ではタングステン合金をも材質として使うようになった
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