十二神方台系タンガラムの度量衡2

タンガラムにおいて各種物理量の単位はまず長さ「杖」を基本とする
1杖=70センチくらい (正確には70.285以下略センチメートル)
面積体積、重量もももちろん「杖」を基準とする

7センチを十分杖、7ミリを爪杖、0.07ミリを毛杖とよぶ

基本的に、10分の1を「十分」、100分の1を「爪」
そのまた100分の1を「毛」 として
単位に付ければよい

(面積)

1杖を基準に1杖正方の面積を「枚」と呼ぶ
枚と面積は同じだが、半杖(35センチ)×2杖の長方形
「反」で布の面積を表す
7反半(15杖)の長さが布を織る時の標準規格

三分杖(23.3センチ)×十分杖(7センチ)を「葉」と呼ぶ
かって紙が発明される前に用いられていた「葉片」と呼ばれる用紙は
植物の葉を2枚並べて繋げ四角に切ったもので
その葉片のサイズが23センチ×14センチ
つまり1枚=葉片15枚が並べられる面積、である
事務処理上で結構重要な問題

現在では紙が用いられるが縦横の比率は5:3  1.6666で葉片と同じ
この比率の紙を葉分紙という
郵便はがきのサイズも
四分杖(17.5センチ)×(10.5センチ:3×十分杖の半分)

ただし、現在は√2の比率の紙が多用されるようになっている便利だから
考え方は里の測り方と同じだから里枚紙と呼ぶ
一番大きな紙は2杖(140.57センチ)×√2杖(99.4センチ) 
「0番全紙」

十分杖(7センチ)四方の面積を「葉枚」もしくは「爪枚」と呼ぶ
本来であれば1枚の100分の1であるから、「爪枚」が正しいが
爪杖(7ミリ)四方 と勘違いされてしまう危険がある
「葉」は短辺が7センチであり、近い単位であるから
「葉枚」と呼ぶ
が、一般人は誤った慣習として「葉枚」を「葉」と呼ぶ
すでに葉片の記憶が無いわけで、なげかわしい

同様に、爪杖(7ミリ)四方の面積は「片」という単位で呼ぶ
本来であれば「毛枚」と呼ぶべきであるが、やはり誤解されるので

 

3杖=1柱と呼ぶ 建築で使う単位
4柱=12杖四方の敷地を「面」もしくは「屋」と呼ぶ
建築物が建っている敷地が「屋」
農地の場合 2面=1畑 12畑=1耕、耕面とも呼ぶ

1000歩=1000杖を町もしくは邑と呼ぶ
1000歩四方の面積を町(町歩)もしくは邑歩と呼ぶ

1里=1000√2歩である 1町歩の正方形の対角線の長さ
故に2町歩=1里歩 という面積の単位が作られた
10里=1郷と呼ぶ 面積1郷歩=200町歩
100里=1邦と呼ぶ
面積1邦歩=20000町歩 これをまた「邦領」と呼ぶ

(体積と容積)

体積の基準は当然に1辺1杖の立方体「櫃」である
70センチの3乗=0.343立方メートル=343リットル
これに水を入れたものが重さの単位「石」で343キログラム

なのだが、これは日常使う単位としては大き過ぎる
十分杖=7センチの立方体を「升」と呼び、使用する
1升=343ミリリットル
1升に水を入れた重さを1斤と呼ぶ
1斤=343グラム
どういうわけだか、10斤=1石とも数える
タンガラムは石材の産出に乏しく、一般家屋では石材を使わない
せいぜいが手で投げる程度の大きさの石しか見ないので
その大きさを「石(いし)」と呼ぶ

であるから、元々の1杖立方の「石」は
「大石」「重石」と呼ばれるようになった

1杖の10倍の立方体の容積を「室」と呼ぶ
また1室の容積に水を満たした重さを「磐(いわ)」と呼ぶ
343トンに相当する

 

また別の数え方では半杖=35センチの立方体を用いる
要するに「櫃」の8分の1を「箱」または「正升」と呼ぶ
主に穀物を計り売りするときに使う
0.125櫃=1箱=125升=42.875リットル
1箱の重さも1箱と呼ぶ 1箱=42.875キログラム
これはちょうど成人女性の体重くらいであるから
「女石」とも呼ばれる

 

(小さい単位)

容積 1升=343ミリリットル
3分の1が三分升、5分の1が五分升
十分升の10分の1が1爪升=3.43ミリリットル
100分の1爪升を1毛升=0.034ミリリットル

升に水を入れた1斤=343グラムが小さい重量の基準となる
十分斤の10分の1が爪斤 1爪斤=3.43グラム 
爪升の100分の1が毛斤  1毛斤=0.0343グラム
つまり 1斤=100爪斤=10000毛斤 

 

だが特別に1000分の1升・斤を「滴」とも呼ぶ 
1滴=10毛升、1滴=10毛斤

容積は1000分の1刻みであり、升・斤が櫃・石の千分の1だから
下も千分の1区切りがほしかった、
また毛斤が日常非常識な小ささである為だ
100分の1杖(7ミリ)立方の水=1滴=0.343ミリリットル、グラム

 

「樽」とは液体を輸送するときに用いる容積の単位
「正樽」は1櫃の容積343リットルが入るものだが
さすがにこれは人力での輸送は困難
イヌコマで輸送が可能な1箱=42.875リットルを「小樽」
運河を行く小舟で積み下ろし可能な2箱=85.7リットルを「中樽」
大船で海を輸送する際の3箱樽が使われたが
「中樽」を普通「樽」の単位とする

実際はイヌコマに積むのは小樽でも難しいので
10升入り1石の容器を左右に吊るして運んでいた
タンガラムの樽は胴が膨らんだ西洋樽式
厚い板で丈夫に作られているから、空荷でも結構重い
イヌコマで運ぶのは手桶の形になっているから転がせない
革袋という選択肢もある

酒は1升を単位として売る 
1升はだいたい日本の2合であるから1杯としてはちょっと大きい
5升でおおむね日本の1升 だが瓶売りは1升と3升(1リットル)
でいきなり1桶=10升に飛ぶ

 

古来よりタンガラムではイヌコマと呼ばれる小さな馬を
荷役に使ってきた
イヌコマはおおむね50キログラムまでは背に負うが
それを少しでも超えたらテコでも動かない頑固さがある
つまりイヌコマの積載制限重量は50キログラム
これを「コマ石」と呼ぶ
もちろんイヌコマの個体差で多少は異なるが
左右背と3つに荷物を分けて、計15石は大丈夫とされる
イヌコマに乗れない女は太り過ぎと判定されてしまう
人間が長距離を旅するときに運べる重量とも合うので
1イヌコマ=1人間 の労力換算される

はがきと同じ面積17.5センチ×10.5センチに
奥行き30センチほどの容積を「包」と呼ぶ
かってタンガラムにおいて主要な交易品とされた塩ゲルタ
25枚1包みを紙で包んだものと同じ大きさ
紙の発明前は木の葉と布で包み、もっとかさばった
かさばる割には重量が無い
これをイヌコマは20包背負ってタンガラム中を旅して回った
はがきのサイズは塩ゲルタを基準に作られたとも言える

商品の販売はおおむね
1升=1斤、3升、10升=1石、1包の単位で売られている
包はだいたい軽くてかさばる商品

「磐」は基本的には船にしか使わない単位で、
いわゆる千石船を「磐船・岩船」と呼ぶ
動力船が登場しない当時は「岩船」は最大級の輸送船であるが
「二岩船」などという大船の記録も存在する
鉄製・動力船が主体となった現在では、十岩船が実用化されている

運河の小舟はだいたい五石舟で、人間なら15~20人乗れる
標準幅で最も狭い運河を通行できるのは五十石舟まで
五十石舟で戦車を積載できるが、舟着場を強化せねばならないので
利用可能な場所は限られる

 

「箱」と「櫃」の違いは簡単に言うと米びつの大きさの違いだ
宮廷や軍隊においては多人数が食事を取るために
大きな容量の食料保管庫が必要で、「櫃」は必ずしも大きくない
一方一般家庭においては、「箱」がちょうど良い大きさ
そして「升」で成人男性1人1食分
1櫃には1000人分の穀物が入ることになる

1箱の容量の袋に主食であるトナクの実を入れた場合
重量は30キログラムである
市でトナクを売るときはこの1箱袋が標準
ちなみにトナクは地球人が見たら「ポップコーン?」と感じる
農家が出荷する際はもっと大きな袋で
おおむねイヌコマが背負える重量にしていたが
現在は自動車や鉄道、少し前なら和猪車を使うので
あまり考慮しなくなった

 

1石=3.43キログラムは鉄のインゴットの基準重量である
金属が高価かった古代では、鉄のインゴット1枚=1金
とする通貨単位があった
つまり「金」とはゴールドではなく鉄の意味だ

ゲルタ1包は昔の標準的肉体労働者の日当に相当する
ゲルタ60包つまり荷車1杯分のゲルタが1金である
工業生産力が低かった時代にはまさに鉄は金であった

創始歴5000年初頭
イカのスルメ1枚=2ゲルタ包であった
とんでもない高級品であるが
これですら当時のイカブームにおいては良心的価格であった
つまりイカ1枚=塩ゲルタ50枚
これが現在の通貨単位ティカ(ティカテューク:イカの意味)
の元である

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