「ご主人さまとわたし」設定 第四夜

 

まゆ子「今回はちょっと趣向を替えて、オクト08土器能登子さんの生い立ちについて考えてみましょう。”かわらけ のとこ”、と読みます。場合によっては河原家と書いてるページもあるけれど、IMEが”土器”と反応しましたから普通の人でも”どき”とは読まないものと想定し、これで行きます。ちなみにこの名前は”草薙素子”をもじって名づけられました。」

じゅえる「あの人はろぼっとなんでしょ。」
まゆ子「違います。オリジナルのはなしです。」

弥生「オリジナル、ってことは、今はある能登子さんはろぼっとだけど、元になった人間が居るわけなんだね。」

まゆ子「この時代では既に死んでます。40歳くらいだから若死にですね。統則ロボット華やかなりし頃に活躍した有名なロボットオペレータです。」
じゅえる「ほー。つまり歴史的な人物だから、ぴるまる理科工業がロボットとして再生した、ってわけなんだ。」

まゆ子「歴史的というほど有名じゃないんだけれど、本来軍用に作られたタコハチを警察用にアップグレードした際の開発者、というか運用実験を担当した人間で、本来は警察官。警察に入る前は国防軍で統則ロボットオペレータとして活躍してたのだけれど、毒矢を受けて瀕死の重傷を負い体内にマイクロマシンを投与してかろうじて生き延びた、という。マイクロマシン治療によって体中のデータが相当詳しく残っていた為に、モデルとして選ばれたのよ。もちろん統則ロボットオペレータであるからこそ、だけれどね。」

弥生「40歳で亡くなったということは、マイクロマシンが害になったわけね。」
じゅえる「そうか。マイクロマシンて危ないんだ。」

まゆ子「いや、そういうわけじゃあ。実はオリジナル土器能登子さんは毒矢によって体中の免疫機構特にリンパ節が致命的なダメージを受けてしまったのね。それを代替する形でマイクロマシンがネットワークを形成して彼女の身体を守っていたんだけれど、免疫系というのはそりゃあめんどうなものでマイクロマシンがたびたび不具合を起して何度も体調が悪化して死に掛けたのよ。それも、昨日まではぴんぴんしてたのに次の日はもうぐったり、とか。で、度重なるマイクロマシンの入れ換えでいよいよダメになった時に、新しい設計理論、統則理論に基づいたマイクロマシンを投与されたのよ。」

じゅえる「げ。」
弥生「統則ロボットと同じ制御理論によるマイクロマシン、を投与されたんだ。」

じゅえる「ひょっとして、タコ人間になってしまった、とか。」
まゆ子「ぴんぽーん。正解です。土器能登子さんはこの新型マイクロマシンの投与により、自身軟体人間になってしまいました。いわば統則人間になったのね。キャシャーンの新造細胞みたいな、というかガイバーの強殖細胞みたいなものよ。」
じゅえる「わかりません!」
まゆ子「あ、たとえが古過ぎたか。あーつまり、SFで言うところの合成細胞で人体置き換え超人の系譜に属する人工人間みたいになったの。」

弥生「それ、ピルマル理科工業の製品でしょ。」
まゆ子「ぴんぽーん。というわけで、人造人間アンドロイドのお手本として、土器能登子さんが当然のように選ばれるのね。」
弥生「それはむしろ合理的な話だね。つまりタコハチを使う為に作ったのではなくて、土器能登子さんを作ったから、タコハチもついでに作って旧式ロボットなんだ。」

じゅえる「で、土器能登子さんはなんで死んじゃったの。」
まゆ子「いや、ヒーローヒロインは畳の上では死ねないものだから。」
じゅえる「そういうわけね。」

 

まゆ子「いや、それがさ、ちょっと考えるところが有って、というか「ご主人様とわたし」は所詮は3DCGのお話であって、固い話は出来ないのよ。「げばると処女」で文明論をぶつわけにもいかないのと同じで、SFとしてまっとうな姿が「ご主人様〜」じゃ出来ないのよ。」
じゅえる「だって元からふざけたようなお話だもん。」

弥生「つまり、マジな話もやってみたいなー、というわけだね。」
まゆ子「そういう事かな。

 で、土器能登子さんの話を書くにあたっては、どうしても戦争の話を描かなきゃいけない。いや、書いてみたいかなーと。」
じゅえる「わかる。わかるよその気持ち。」
まゆ子「わかってくれる? とまあそういうわけなのよ。」

弥生「とはいうものの、どこらへんかに焦点を絞らなきゃいけないよ。「げばると処女」が割とうまく行くのも、会話文に割り切ったからこそ、だよ。」
じゅえる「そうみたい。つまり私とわたしたちは、会話文主体の文体でないと生きてはいけないてことかな。真面目なSFを書くにしても、そこは外せない。」
まゆ子「とほほ。土器能登子さんはそれほど口数がある人じゃないのよ。」

じゅえる「じゃあ、当然キャラを増やさないといけない。今んところは何人居るの?」

まゆ子「主人公土器能登子、その娘の小学生。ロボット課の上司、同僚、部下。刑事課の人。その他。」
弥生「結婚してるの?」
まゆ子「してない。というか、毒矢を受ける直前に妊娠してて、マイクロマシン治療するとどうしても流産するというので、受精卵を子宮から取り出して外部子宮で成長して出産したの。なんせ毒矢だから体中に毒素が撒き散らされて、色んな所にダメージが出たのよ。で、当然妊娠出産は以降不可能だろう、というので折角ある受精卵を親御さんの希望で治療前に取り出したわけね。本人は意識不明だから知らない内に子供ができていたという。」

弥生「なるほど。なかなかハードだね。」
じゅえる「外部子宮てのは、人工子宮てこと? そういう技術が確立してる時代なんだ。」
まゆ子「そうなんだけど、実は人間の遺伝子を導入された豚の子宮で人間の胎児を育てるというシステムで、元から生体だから非常に親和性と確実性が高いのね。でも豚だから倫理上の問題が少々あるんだけど、この時代では大体社会的にOKになっている。」

弥生「豚から生まれた子、というのはバカにされない?」
まゆ子「この時代は大丈夫。というか、舞台になる時代は毒矢を受け手から9、10年後で大分社会も落ちついてるんだけど、それ以前はつまり能登子さんの部下の婦警さんが小学生の時代には、週に一体は街中で死体を見つける、というような時代だったんだ。」
弥生「うわ。そりゃあすごい時代だね。」

じゅえる「なるほど、確かにそれはハードでらくちんには描けない設定だわ。でもらくちんに書きなさい。」
弥生「うん。そういう話だからこそ読んで暗くならないような工夫が必要。でもそれって日本の事よね。」
まゆ子「うん。ただし死体の大多数は流入した難民というか中国人だな。入るなと金網で居住区を囲っていても無理やり入って来るから犯罪も多いし貧困もあるし中国人難民の間で抗争とかグループ間の対立とか有って、ま色々と死ぬ理由は転がってるのさ。海面上昇と戦争の真っ只中だからあたりまえのようにそういう状況がある。」

弥生「うーん、で戦争というのはどことどこなの?」

まゆ子「具体的な敵は無い。海面上昇で世界中大混乱の中、海岸線付近の水没した地帯を海賊が襲うわけなのさ。それが各地で同時多発的に起るわけで警察力ではどうしようもない。おまけに軍隊から流れて来た強力な武器も使うし、統制の取れなくなった軍隊とかがそのままそっくり海賊になったりしてる。それをまともな国が総出で軍隊を出して取り締まったわけで、日本の国防軍は太平洋全域をカバーするめちゃくちゃ広い領域で戦争をすることになったのね。」

弥生「日本は沈まなかったの?海面上昇で一番影響を受けるのは日本でしょ。」
まゆ子「そうとは限らないけれど、金の力だよ。堤防と水没した都市の上にまた地面張って陸地にしてる。埋め立てではなくて、浮桟橋、人工島みたいなものでね。ただし、海岸線の防備はめちゃくちゃになって難民の流入が止められない状況になる。」
じゅえる「金の無いとこは、当然のように海に浸かったわけなんだ。そこで暮せなくなった民衆が海に次々に飛び出して来る。なるほど。」

まゆ子「とまあそういうわけで、土器能登子さんは実在の人物でありながら数十年後にもちゃんといるわけなのだ。論理的合理的でしょ。」

 

弥生「マンガを描こう。」
まゆ子「え?」
弥生「いや、ハードSFも悪くないけれど、もっと新機軸でいかなくちゃいけないと思うのよね。」
じゅえる「でも、マンガをもう描いたんじゃないの。」
弥生「”ご主人さまとわたし”が3DCGマンガなんでしょ。だったら土器能登子さんは2DCGマンガであるべきなんじゃないかな。」

まゆ子「う、ちょっと待って。土器能登子さんは元々マンガなんだよ。うまく行かなかったから小説にしようと考えて、」

じゅえる「なにを失敗したの?」
まゆ子「う。失敗の原因はすでに解消してる・・・。」
弥生「決まりだね。」
まゆ子「でも、でもうまくいかないから。」

弥生「いやさ、”でぽ”でさあ、今必要なのは面白い絵なんだよ。面白いお話、面白いエッセイみたいなの、で奇麗な絵は確保した。だったら次は軽いマンガが必要なんじゃないかな。それも割と頻繁に更新される。」
じゅえる「も一つ付け加えると、エロマンガが適当だね。エロくて軽くて面白い。それでいて描く負担が小さくて連続モノっぽい中毒性がある連載。」

まゆ子「どどどどど、どうしよう。」

弥生「幸いにして土器能登子さんにはタコハチというキャラクターが最初から備わっている。面白いお話が描けない道理が無い。」
じゅえる「タコロクタコシチも出来た事だしね。そうだ、エロ、面白、悪党ぶち殺し、の三点セットを完備するというのはどうだろう。」
まゆ子「いや、ハードSFだから死体はもちろん出るんだけれど、でもそんな連載モノなんて。その、小説をね、小説が必要かなって。」
弥生「二兎を追う者はわたしが成敗する。ウエンディズ最終回までとゲバルト処女完成と、それに付け加えてなんてのは許せない。」
まゆ子「いやそうなんだけれどね。」

 

釈帝「じゃじゃーん。わー、伏兵ダー。」

弥生「なんですかあなたは。」
釈「通りすがりの伏兵です。ここはひとつ私の提案などを伺ってみるのが吉では無いでしょうか。」
じゅえる「なんかスゴイアイデアでもあるの?」
釈「ございます。いえ、これはアイデアなどというものではなく、」
弥生「もったいつけなくていいから、さっさと言いなさい。」

釈「土器能登子さんは、地味でマンガ失敗したのです。」

じゅえる「そうなの?」
まゆ子「・・・実はそう。キャラを足してみたけれど、主人公が土器能登子さんではダメでした。で、別のへんな女キャラを足してみたら面白くなったけれど、能登子さんどっか行っちゃった。でもハードSFなら地味な主人公でもなんとかなるかと思って、その、こういう提案をしてみたわけなんです。」
じゅえる「ふーむ。それは問題があるな。地味というのは良くない。」
弥生「土台、舞台設定が暗過ぎたということだね。」

釈「そこで、主人公コンバートです。”オリジナル画像”のコーナーにある能天気陰陽師の円条寺蓮さんを、主人公にしてみてはどうでしょう。あの人の舞台設定では、電気まねき猫というのが出るのですよ。面白いお話なんです。」

まゆ子「いやだって、あれは明治時代だし。」
弥生「昭和に変更しなさい。」
まゆ子「とほほ。」

じゅえる「でも、相当に話が変わって来るのではないの? そもそも昭和の技術水準ではタコハチロボットは動かない。」
釈「動きます!」
弥生「その根拠は?」
釈「カラスの脳を移植するのです。サイボーグ蛸なのです。」
まゆ子「そんな無茶苦茶な。」

じゅえる「しかし、それ以外にも色々とロボット技術が遅れているんだけれど、それはどうするの。」
釈「簡単です。第二次世界大戦時代に鉄人が作れたのですから、タコ型ロボットも簡単に出来るのです。ついでに怨霊とか幽霊、おばけも出ます。円条寺さんが主人公ですから。」

まゆ子「しかし土器さんの出番は、」
釈「蛸人間、サイボーグ戦士というのはどうでしょう。」
まゆ子「があーーーーーーーーんんん。」

じゅえる「決定だな。時代は昭和、風俗は明治、科学技術は21世紀と、そういうお話になる。」
弥生「凄い凄い。じゃあ、その海面上昇もお話に入れてだね。架空地球のSF話になるのだよ。まゆちゃん、おばけや幽霊をカガクテキにどうかしなさい。」
まゆ子「・・・・、マイクロマシンで死体制御とか、脳移植とか、色々ネタはある・・・。海面上昇も、北極で核爆弾とかで氷が溶けたとか。」

じゅえる「決まりだね。で、マンガとして完成する。」
釈「マンガは難しいから、ましなりいで良く出る説明つきイラストではどうでしょう。動きもありますよ。」

 

弥生「おまえはほんによくできたインド少女だね。」
釈「えへえへ。」

05/01/21

 

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