ご主人さまとわたし 設定第二話

 

まゆ子「さて、で基本設定は皆さん了承してもらえたでしょうか、「ご主人さまとわたし」。」

弥生「うん、大体。結構面白そうな話だということはね。」
じゅえる「で、これからどうするの?まさかこれだけというんじゃないでしょ。」

まゆ子「もちろん!まず敵が必要よ。ピルマル理科工業から派遣される日本製メイドロボが次々と送られて来る。しかも鉄板ではなくてつるつるすべすべ卵肌のおねえさんロボだ。現代の技術の最高峰としてのアンドロイドガイノイドなのよ。」
弥生「ガイノイドってなに?」
まゆ子「アンドローというのはラテン語で”男”を表すんだそうで、それじゃあメイドロボを表現するのに不適当だから、女性の接頭辞がついてガイノイド。セクサロイドと言っても良いんだけど、ともかく見た目も人間と区別が困難な程に精巧にできた女性型ロボなのよね。で、当然そんなものをつくるのは日本人なのだ。で、鉄板のアニタに対してふにょぷりのメイドロボが闘うわけね。」

じゅえる「戦闘用なの、それ。愛玩用じゃないの。」
まゆ子「厳密に言うと、戦闘用ではない。出来が良いから人間よりも戦闘に対する適正が高いというだけでね。だから、特に戦闘用の装備というものは無い。しかも、戦闘をすると言ってもヘクトール・パスカルを殺しちゃあ困るわけよ。ちなみに、ヒーローはあくまでヘクトール・パスカルであって、これがモテモテのいい男というからには、世界中の超美人がわんさか出るよ。おまけに、敵は皆渋くていい男ばっかり。やはりね、男のドラマというのがあってこそ、美人は引き立つのよ。いい女を画面に出そうとするならば、いい男を出さないと極められないのだな。これは私の法則。」

弥生「アニタの方はなんか武器持ってるの。」
まゆ子「特に無い。シノアは炭酸ガスパラライザを持ってるけど。
 これは要するにガス銃で、非殺傷兵器つまり人は死なない。プラスチック弾の中に炸薬が入っていて着弾と同時に爆発、プラスチックが爆圧で展張してボール状になり衝突の衝撃で相手を昏倒させる。その後いいようにガスが抜けて爆発と破片の飛散は起らないのだけど、普通の人間なら気絶、もしくは肋骨くらいなら骨折する威力がある。意外と内蔵にはダメージは無いんだけどね。もちろんハードアーマーを着けていると全然効かない。同じ系統の武器で狙撃銃というのもあるね。口径20mmという大口径スムーズボアの長銃で、手裏剣のような弾丸を打ち出す。初速は遅いけれど弾体は重いから相当の威力がある。弓矢の鏑矢くらいはね。これも同じプラスチック弾でアーマーを来ていても弾き飛ばすくらいの威力がある。もっとも生身の人間なら柔らか過ぎて刺さるけど。

 でアニタは”五祥元博士の傘”というバリアを持っている。オプション装備だけれど、特製のね。空気の分子に干渉してマトリックスを作りそのフィールド内に進入する高速物体の運動を妨げる。これにより弾丸の飛行経路が変り弾着が大きく逸れて当たらないという現象を引き起こす。普通のライフル弾で30メートル、拳銃だったら5メートル以内でないとほぼ当たらないということにしておいて。バリア効果キャンセル弾てのもあるけれど一般的でないからほとんど使わない。
 ただ、この傘で銃弾を防ぐてのは、本来想定された用途ではないんだよね。これは実際はほんとうに”傘”なんだ。雨粒が自分の周囲をすり抜けて濡れない、というだけの発明なんだけど、フィールド内に突入する物体が高速であればあるほど効果が大きく現われて、たまたま爆弾テロの現場とかで使っていた人が無傷で助かったりとかの事例が有名になって、個人用バリアとして使われるようになった。でも、これを使うとそこに人が居る事がばっちり分かってしまうから軍用ではほとんど使わない。警備活動の時とかだけね。
 アニタは良いロボットだから、街中で爆弾テロとかあったら自らを盾にしてその場に居る人を庇うんだよ。」

弥生「整理しよう。
 つまり、ヘクトール・パスカルのメイドロボは三体あり、ヘルミーネがマネージャーと財産管理を行い、シノアがヘクトール・パスカルの警備をして、アニタが彼の首桶をぶら下げて色んなところに出歩くのね。」
まゆ子「そう。ヘクトール・パスカルは首だけの姿に成りながらも未だ引退する気が無い。世界の平和の為にその七色の脳髄を酷使しているのだよ。で、アニタはその体として機能する。だから、スゴイ力持ちなんだ。首桶は15キログラムもあるから、普通の人間では持ち運ぶのも大ごとなんだ。」

じゅえる「つまり、鍵はヘクトール・パスカルの活動にあり、ピルマル理科工業からの刺客は必ずしも重要ではない?」
まゆ子「世界に対する関り合いからすれば、それは些事であり私事である。」
弥生「なるほど。」

まゆ子「ヘクトール・パスカルは単なる名探偵ではなく、その能力は無限大で、各国要人や政府からの依頼でその能力を披露したり、時には人質事件とかでネゴシエーターをしたりする。危険な現場にはシノアが付き従うが、通常はアニタだけで社交界に出入りしている。
 ヘルミーネは本来警備用でもないし高機動能力も持たないから有事の場合は役に立たないから普通は家に居て事務処理をしている。しかしヘクトール・パスカルのメイドロボとして有名だから各国飛行機会社に顔パスが効くんだよ。飛行機は当然危険物爆発物の持ち込みは禁止。警備用ロボも飛行能力といった高温を発するロボも電源を落して貨物便で運ばれる。しかしヘルミーネだけはヘクトール・パスカルと一緒に飛行機に乗れるんだな。」
じゅえる「ヘルミーネというのは結構重要なキャラなんだな。」

まゆ子「で敵方は、現在までに三体のメイドロボとそのサポートメカが決定している。
 『オクト08号と統則ロボット隊』
 『打通山ちは と超戦車チハタン』
 『美鳥一年生と、”進化論的に正しいエンジェル”』
 搭乗者未定の『トララ1号2号』ね。

じゅえる「わかんないよ、最初のしか。」
弥生「打通山ちは、って人の名前?」
まゆ子「ちはちゃんだよ。でチハタンというスゴイ性能の戦車に乗っている。太平洋戦争時の日本軍の主力戦車で中国で大活躍したののリバイバルだよ。」
じゅえる「へー、かっこいい。」

弥生「ね、メイドロボってのはロボットでしょ。最初から成長した姿で生まれてきたんでしょ。でも実際は何歳なの。」
まゆ子「あー、オクト08号は通常”土器能登子”と名乗って、警察任務に就いている見かけ年齢28歳。でもボディは張りがあってもっと若い感じがする。実稼働時間は8年ね。」
じゅえる「8年というのは、長い方なの?」
まゆ子「パスカルのヘルミーネは13年選手だよ。すでに延命させるのに新品買うよりも高く金が掛かってる。中のカラス脳も何回か入れ換えたし。」
じゅえる「じゃあ、とんでもない骨董品じゃないの?」
まゆ子「いや、そうなんだけど、何年か前にレストアしたからそんなには古くない。中身のコンピュータも何世代もバージョンアップし続けだし、終いには外づけCPUまでもリンクして相当賢くなっている。まあ戦闘の役には立たないしロケットで逃走したりもできないんだけどね。」

弥生「メイドロボには経験というのは意味があるわけ?」
まゆ子「オクト08号には経験は意味がある。つまり、今のところその段階にまで到達したメイドロボは日本製のピルマル理科工業仕様の奴だけなんだね。他のメイドロボはデータの蓄積による最適化という以上のものは持たない。だからこそのカラス脳であって、経験が深化するのはこちらでなんとか間に合わせてる。」
弥生「じゃあヘクトール・パスカルを追いかけるのは世界最高のメイドロボなんだ。」
まゆ子「そういうこと。アニタがバカでなんの悩みも無いから、そのかわりこいつらが実存とかで悩むことになる。でも打通山ちはは、バカの女子高生16歳だ。」
じゅえる「バカ?」
まゆ子「半裸の日本兵コスプレして腹を剥き出しにしてる。で竹刀で襲って来るのだよ。フェラーリみたいな真っ赤な戦車に乗って。」
じゅえる「バカだ。」

まゆ子「美鳥一年生は、まんまロリメイドで小学一年生の姿。見る者をして科学技術の進歩に敬服させるだけの極めて高い完成度と人間をも越えた人間らしさが滲み出す、超傑作メイドロボ。ゆえにほんものの一年生みたいになんの役にも立たない。
 サポートメカである”進化論的に正しいエンジェル”というのは、実はハーピーのメイドロボ。手が翼になっているのが普通だけれど、これは脚に羽根が生えている。」
弥生「脚に羽根、ってどういうの?」
まゆ子「つまり脚をこうがばっと広げてだね、この内股の間に鳥の羽がびっしり生えていて、」
じゅえる「・・・・なんでそんなへんな形になってるのよ。」
まゆ子「人間の体というものは腕で羽ばたく事が出来ないのね、構造上。大体鳥には胸骨というものがあって筋肉がつくマウントの役をしてるんだけど、当然人間にはこれが無いので、羽ばたきが出来るほどの筋肉が付かない。つまり腕で羽ばたく鳥人間は物理的にあり得ない。となると、元から腕の三倍の筋力があるという脚で空を飛ぼうという極当たり前の発想になるわけよ。鳥人間コンテストだって脚で自転車漕いでるでしょ。で、胸骨の代わりに骨盤、つまりお尻にスゴイ筋肉を付けてね。」
弥生「わかった、皆まで言わなくてよろしい。」
まゆ子「おかげで上半身はそのまま美しい女性の形を留めることが出来て奇麗なのよね。地上での移動は腕を使って鳥の脚と同様に歩行する。」
じゅえる「それが、小学生の命令で闘うわけなのか。」
まゆ子「二体デュオでね。」

弥生「なんでそんなへんなものばっかり考えたのよ。」
まゆ子「ビジュアルです。それ以上のものはありません。3DCG作って映える形状ですから。」
じゅえる「はー。そういうことなら仕方ないなあ。もっとへんなおかまみたいのも出してあげてもいいな。トララ一号というのは、」
まゆ子「高機動兵器。つまり張り子のトラみたいな形状のパワードアニマルで、中にメイドロボが入ってる。いや、ロボじゃなくても人でもいいんだけど、ともかくこれに乗ればスゴイ運動をすることができるんだよ。」

 

弥生「ま、いいでしょう。それだけビジュアル方面が固まっていたら画面作りは不自由無い。で、それらはどういうシチュエーションで襲って来るの?」
まゆ子「       」
じゅえる「何?」
まゆ子「・・・・・無い。」
弥生「え?」
まゆ子「まーーーーーーーーったく考えてない。オリジナルの”ご主人さまとわたし”は、そいつらが間断なく襲って来るだけ。」
じゅえる「・・・・・・・・・・ストーリーは無いわけね。3DCGだから。」
まゆ子「そうなの。」
弥生「はあーーーーーーーー。よし。分かった。つまり、話をこさえてくれ、というわけだ。」
まゆ子「ほとんどフリーハンドでお願い!」

2004/10/22

 

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