まゆ子のましなりい その6

05/04/14

「電気まねき猫の作動原理の解明」
「巨大怪獣出現! その時しゃくてぃは」
「くまーの楽園を探せ」
「ガンダムのぱっちものつくってください」
「統則ロボット”タコハチ”の話」
「大きなお姉さんロボの話」

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電気まねき猫の作動原理の解明

まゆ子「あうー、どうしよう。」

釈帝「どうしたんですか、めずらしい。まゆ子さんに出来ないものは無かったんじゃないんですか。」
まゆ子「みんながいじめるの。私に、”電気まねき猫の作動原理”を確立しろって無理難題言うのよ。」
釈「そりゃーあ、自業自得というものではないでしょうか。調子にのっておもしろそうな事を次から次にぶち上げるから、そういう目に遇うんです。」
まゆ子「しゃくがいじめるー。」

美矩「どうしました、まゆ子さん。」

釈「あれ、なんであなたここに居るの。」
美矩「だって、じゅえる先輩がまゆ子さんが今回ばっかりは困るだろうてことで、応援に来ました。」
まゆ子「でもあなたって、電気怖いんじゃなかったかな。」
美矩「現代社会に住んでて、電気が怖いなんて、

アッ。」

釈「どうしたの。」
美矩「せいでんきが、でんきがびりっと。」
まゆ子「ああ。そういう体質でもあるんだ。」
美矩「あの、せいでんきが無くなる方法ってのを科学的に考えてもらえませんか。冬場って特に弱くって、もう死にたくなります。」
まゆ子「100円ショップに行けばそういうの売ってるでしょ。」
美矩「ええええええー! まさか、そんなもの売ってるんですか。知らなかった。」
まゆ子「あと、学校の制服は化繊が入ってるから、どうしても静電気出るね。溜らないように小まめに金属に触って放電しとくといいんだよ。」
美矩「そんなあ。いやですよお。」

釈「あの、まゆ子さん。この人に関っていたらいつまでたっても電気まねき猫は出来ないと思うんですけど。」
まゆ子「そんな事はない。それにね、わたしこの間100円ショップでオモチャの弓矢買って来たんだ。まったくのおもちゃには違いないんだけれど、これがなかなか面白くてね。こんな小さないいかげんな弓矢でも、意外と筋力を使うんだよね。簡単なエキスパンダーみたいに使えるんだな。」
美矩「へー。そうなんですか。100円ショップって色んなものが有るんですね。」
釈「・・・・・現実逃避してるでしょ。」
まゆ子「いや。それでね、昨日「オペラ座の怪人」を見て来たんだ。」
釈「うーーーーー。」

釈「そもそも、電気ダリとか電気鮭熊とかは一体なんなんですか。どこをどう考えたらこんなもの考えつくんです?」
美矩「電気ダリ?」
釈「ほら、ここんところに書いてある”電気の力で平衡感覚を失い行動不能になる”て。」
まゆ子「電気オカモトタロウというのもあったらいいかなあ。」
美矩「これはダメだ。」

 

まゆ子「あなたたちね、肝心なところを忘れてるのさ。電気で人間がどうこうできるわけがないじゃないか、という現実に立ち返らなくちゃ。電気ではダメなんだよ。テレビだって、電波電気で動いてるけれど、電気を直接鑑賞しているわけじゃない。」

美矩「では、電気まねき猫は一体電気でなにをしているんですか。」
まゆ子「電気まねき猫に特別な能力があるというのがそもそも幻想の始まりでしょ。しょせんはまねき猫。ただの置物が一体なにを発信することで、今日まで生き延びて来たかを考えてみよう。」
美矩「可愛いからじゃないですか。」
釈「それと縁起担ぎ。でもキャラクターが可愛いというのは、確かに強い特徴ですよね。」
美矩「電気ダリは、・・・・・ダリという希代の変人芸術家のイメージが第一に作用するんじゃないかな。つまり、それが持つメッセージを強調することで、電気なんとかはその機能を発揮する。」
釈「つまり、世間の共通認識としてその置物の意味を誰もが共有できるからこそ、縁起物として機能する・・・・。」

美矩「しかしその解釈では、電気の出番が無い。このシリーズは円条寺蓮さんのものなんですが、円条寺さんはどう考えてたんですか。」

まゆ子「魔法。」

美矩「・・・・らくでいいなあーーーーー。そもそも、だいたいからして、どうして電気まねき猫なんて考えついたんですか。そこをうかがわないと、話が進められませんよ。」
まゆ子「円条寺蓮は平安時代から続く陰陽師の家系で、おもに化け物退治の記録係を勤めて来た。つまり魔法のスペシャリストだ。そこで、陰陽道と風水を利用して人々を自由に操る方法を考案して、その効果を電気仕掛けで効率化して、現代に持ち出して来た、・・・・というおはなしなのだ。」

釈「ではではですよ。やっぱり魔法のようななにか不思議原理を導入するべきではないでしょうか。ものがあるんですから、どうにも動かさないといけないですよね。魔法上等です。いきましょう。」
美矩「やっぱり原点に立ち戻って、魔法とかでいくべきではないでしょうか。これじゃあ前に進みませんよ。」
釈「でもこれははーどえすえふの設定なんだから、・・・諦めますか!SFは。それで押し通るという手もありですよ。」

 

まゆ子「・・元々はね。これら電気まねき猫シリーズは、気配を発生させるものなんだよ。人間が色んな状態に有る時の特有の気配を、それぞれに発生させてそれに通行人が感応して、効果を発揮する。形状によるイメージの励起はそれに付随する効果をもたらすという程度で。中身は機械仕掛けの偽人間でそれらの事物の気配を出そう、というのが円条寺蓮の計画。」
美矩「では気配とはなにか、ということですよ、問題は。」
釈「でも改めて聞かれると、気配ってなんなんです。」

まゆ子「そうなんだ。改めて考えると気配はなにを指すのか全然わからない。なんとなく使っているけれど、誰も知らないんじゃないかな。」

美矩「なるほど。なにがこんなに苦しいのか、ようやっと理解出来ました。わからないものをわからないままに考えているからなんですね。」
まゆ子「でもって、なにかと考えると、でも野生生物だって気配を完全に察知しているとは言い難いからねえ。それなら山で熊やら猪やらに不意に出くわすなんてありえない。」
釈「そうですよね。野生生物がそんなに気配に敏感ならば、人間に捕まるわけがない。」

美矩「ということは、要するに、注意力と観察力が気配の元だ、ということでしかない。無意識よりもちょっと上の意識に近いレベルでの警戒体勢が、気配を感じ取る。」
まゆ子「物事に集中している時は、そういうの感じないものね。観察力というのは正しいよ。」
釈「では、街中をてきとーに流している人間に、集中力観察力注意力は無いから、気配も感じない。」
まゆ子「ラッシュアワーの人込みでそれは無いだろうね。」

釈「ではでは、つまり町行く人を不必要に警戒させればよい、という結論に到達するんですけれど、でもそんな人を電気まねき猫が呼び込めるでしょうか。」
まゆ子「逆に、リラックスしている状態だからこそ、そういう勧誘が機能するんじゃないかな。つまり設置場所は、ひとがほっとする場所にそれら機器はあるべきだ。つまり、街中にぽかっと空いたセイフティゾーンにね。たとえば、歩行者信号の横、とかバス停の前とかで、電車のホームとか、無駄時間を過ごさねばならない場所。その中でも特に人が嵌まり易いへこみとか物陰とかが狙い目ね。」

釈「目立たないように光学迷彩で電気まねき猫を隠すとかは、無理なんですか。というか、透明になる光学迷彩はこの世界には無いんですよね。」
まゆ子「光沢迷彩というのはある。てかてか光る迷彩機構で陰影を消すことで、距離感と現実感を稀薄にさせる。透明はどうしても無理で姿は消せないというのを逆用して、任意の物体に姿を変える動的迷彩機構もある。あ、」

美矩「どうしました。」
まゆ子「動的迷彩機構を忘れてた。つまり、自分自身の姿を変えることで、人が意図するイメージが瞬間的に置き換わることで人の行動を制限することは可能だ。」
美矩「どういうことです。」
まゆ子「電気まねき猫がある。人はそれを気にも止めないで真っ直ぐ歩く積もりだが、まねき猫の姿は思っているよりも幾分細かったとしたら、自分ではまっすぐ歩いているように思っていても、実はほんのすこし曲がっている、ということもある。また、それに気付いたことで自然そっちの方向に意識が行って、進路が変更されている、ということもある。イメージを喚起するという縁起物の力を逆利用するんだ。」
釈「それで、電気ダリ、というのがあるんだ。」
まゆ子「電気ダリはそれでOKのはずだ。電気鮭熊やしーさーもそういう風に動的迷彩機構で情報を投影出来る。」

美矩「電気びりけんは?あれは賭けに勝つ機能があるんですよ。」

 

まゆ子「・・・・・・・・・・・・わすれよう!」

 

釈「あーだいたい機構は呑み込めました。つまり、気配を発生させる装置であり、人がそれに同調することで意思決定を任意の方向に促す、という機械なんですね。電気まねき猫は。」
美矩「電気びりけんてのは、頭がすっきり冴えた状態の人の気配とリンクすることで、自分もカンを鋭くしよう、というような感じで考えられてるんでしょう。」

釈「では、電気まねき猫の中身は、人?かな。」
まゆ子「段ボール箱の中に人が入ってても、別に気分をシンクロさせやしないよ。」
美矩「電気というのは、その気配をシンクロさせる為に発散量の増加をはかる増幅装置に使われる、と解釈するべきではないでしょうか。といっても、気配というのが増幅可能なようには現在のところ思えません。」
釈「つまり、電波のように気配を発信出来るという仮定をなんとかして実現しなければ、電気まねき猫シリーズは成り立たない事になる。どうしましょう。」

まゆ子「むりやり出ることにするか、気配状の電波を発信するか、二つに一つだね。気配状電波、というのがなにかは問題があるけれど、電波の中身、つまり発信する信号自体は問題なく得られる。つまり、電気まねき猫の内部にバイオチップとかが入ってることにすればいい。ガラス基盤上にDNAで配線が勝手に成長して、脳細胞のようなものが出来上がるのだよ。これが発振する。」

美矩「しかし、電波は無理でしょう、電波は。人間はそんなものを受信しませんよ。」
釈「わたしもそう思います。」

まゆ子「だからそこを悩んでるんだよ。電波を直接受信するほど人間は都合よく無い。電脳化だって進んでない。携帯電話が小さくなって顔に貼り付いている程度でしかない。マイクロマシンが人体で直接的に効くスゴイ効果を発揮してるということもない。そういった現実の中で、何が出来るかなんだよ。」

美矩「えー、でもなにかあるでしょう。」

まゆ子「せいぜい音か光・映像だね。臭いはめんどくさいから使うのは止めよう。音、それも低周波振動が一番合ってるはずなんだけど、どうするかな。指向性低周波なんて作れるかな。」
釈「音って指向性があるんですか。」
まゆ子「超音波はね。低周波で指向性とするならば、超音波の干渉で、焦点となるべき位置に波動を作り出すという方法になる。これは実現するでしょう。問題はどういう音波、振動を作り出すか、だね。」

釈「バイオチップで作り出す、というのではダメなんですか。」
まゆ子「他人の波動に合わせたくらいで意志を変更させるなんて出来はしないよ。そうねえー、たとえば

 レーザーで道行く人の鼓動と呼吸のリズムを測定する。で、それを元にバイオチップから発振される気配の信号を合成して、指向性低周波を対象者に投影する。当てられた人は、自分の呼吸鼓動というリズムからまるで自分が突然そういう風に感じてるのかと勘違いして、意識に特別な感覚を感じ、行動を変更する。

こんな感じかな。」
美矩「おそろしくめんどくさいですね。」
まゆ子「いや、コンピュータが勝手にやることだから、それほどでは。但し、服を着ているからねえ。低周波を効率的に受け取れない可能性が強い。」

美矩「あー、それほど強い音波では無いでしょうしね。」
釈「強い音波を当てるとどうなるでしょう。」
まゆ子「そりゃあ、五月蝿いからすぐバレル。」

釈「あそうか。そりゃ困ったな。もっとエネルギーを集中してというわけにはいきませんかね。耳に直接叩き込むとか。」
まゆ子「いやーそれは、いくらなんでも。睫毛を揺らすくらいなら出来るかもしれないけどね。」
美矩「そんなに強いんですか、超音波。」
まゆ子「そのくらいは未来技術の進歩を期待できるかな。それにー、レーザー光線をぶつけることでなんか固いものを熱で振動させるとか、メーザーで金属を叩いて発音させるとかも可能かな。」

 

釈「おー、意外とスゴイ。しかし電気まねき猫はそんなに強烈では困るでしょ。」
まゆ子「だね。まねき猫本体にある指向性スピーカーくらいが関の山かな。数十個のスピーカーの合成で音場を作り出すんだ。」

美矩「イオンとかいうのはどうでしょう。今ではどんな空調機にでもイオン発生機能が付いてますよ。イオンをどうこうして、人に影響を与える訳にはいきませんか。」
まゆ子「あー、でも結構な大きさの電磁加速器は必要だろうから、無理だね。電子レンジの数十倍のエネルギーも必要だ。」
美矩「ざんねん。」

釈「生暖かい風がぴゅー、というのもダメですか。幽霊みたいに。」
まゆ子「臭いを自由に合成出来る機能というのがあれば、それも悪くない。しかし、出来るかな。臭い物質を瞬時に合成して、て。あ、そうか。その場で合成しなくてもまねき猫シリーズはそれぞれ目的が違うから、臭いを合成して持っておくことは可能かもしれない。認知できないけれど感知出来る臭い物質、とかいうものはあるかもしれない。」
釈「おー、じゃあドライヤーみたいな風でそれを送り出す、というのは悪くないですね。生暖かい風でぴゅーと。」
美矩「どうして生暖かいのよ。」
釈「いや、温かい方が臭いが良く発散するかと思って。」

まゆ子「音と、臭いと、動的迷彩機構か。しかしまだ弱いかなあ。」

 

釈「しかし、そのバイオチップてのは、そう上手い事動くんですか。」

まゆ子「それは私にも分からない。人間の行動を左右するからには、相当の実験を繰り返してパターンを採集しているんだろうから、それをうまく再現する為にバイオチップを作った、というのであればちゃんと動くはずだ。汎用バイオチップてわけじゃあないだろうからね。」
美矩「じゃあ、ものすごいお金が掛かりますね、研究には。」
まゆ子「億じゃあ済まない。どこから調達したんだろう。それでこの程度の効果しかないというのならば、割が合わないな。」

 

釈「しかし、これが統則理論と関係ない、というのは少し面白くないですね。なんかリンクできませんか。」
まゆ子「う、む。それは言える。町全体にこのシリーズを配置することで、なんか意味があるようにするかな。でも統則というのは、そこに論理演算が存在しないと意味が無い。」
美矩「人の行動が変わる、というだけで、コンピュータじゃないですからね。」

まゆ子「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こんぴゅーたか。」

釈「なにか?」
まゆ子「実はコンピュータというものは、なんだって出来るんだ。ビー玉でも電磁リレースイッチでも、トランジスタでも真空管でも、原子スイッチとかいうのも最近では考えられている。つまり、論理回路を実現出来る素子があれば何を使ってもコンピュータは作れる。ただ、素子の速度が遅いと意味が無いというだけでね。

 だから、人の流れを使ってコンピュータを作る事だって出来る。」

美矩「まさか。」
釈「でも人間では効率が悪いんですよね。」
まゆ子「だから、計算ではなくて、何かを実現するカスタム回路を構成する。都市全体をなにかに変えてしまう、というのはどうだろう。風水とか魔方陣都市とかではよくあるアイデアだけれど。」

美矩「それは大体、悪魔とかがやってくるのを防御する為ですよね。でもこれはハードSFだし、ロボットとか遺伝子改造生物とかは出ませんよね。」
まゆ子「だから、人間に対して、人間を使って、意識外でコントロールする。何の為に、というのは何故円条寺蓮がタコハチを欲するのか、という点に直結する。あるいはもっと現実的に、人間社会の効率を絞れるだけ絞る、という生産性向上だけを狙ってたりするのかな。」

釈「案外、ここに犯罪者が集中してくるように仕組んで、ネズミ取りみたいに効率的に逮捕しちゃうのに、タコハチロボットを活用するとかではないでしょうか。廣嶋は東京からも大阪からも適当に離れてますし、トラップを仕組むにはちょうどいいんじゃないでしょうか。」
美矩「福岡は、中国朝鮮半島に近過ぎますし。犯罪者をトラップするには本州の方が向いているのは確かです。」

まゆ子「ううん。そういう使い方でも悪くない。いや、カネを引き出すにはそれは非常に説得力のある意見だ。しかし円条寺蓮はもうちょっと難しいことを考える人間だよ。そうね、それは一部採用しましょう。犯罪者トラップとして人間の行動を相対的に制御する魔方陣都市。しかし、更に奥の狙いがある。」

美矩「そこは魔法ですよ、魔法。黄泉の国が口をぱかっと開けるんですよ。」
釈「それがいいです。それがもっともらしいです。陰陽師として。」
まゆ子「しかしね、そんなのではハードSFにはならないような気がするんだけれどね。

 ・・・・・いや、これは人をおびき寄せる為の罠なんだ。そこに最も強力な力を持つ希代の悪、生きた悪魔のような男が居る。そいつをおびき寄せる為にこれだけの大がかりな罠を仕組んでいるというのはどうかな。」

美矩「一連の戦争の張本人、とかですか。」
まゆ子「ま、いいでしょう。そういうことならば、電気まねき猫の能力がかなり稀薄だというのも、納得できる。効かないようで実は効いている。でも総体的に見てみなければ何をやっているのか分からない。これを解析するのは、電哲探偵の仕事だね。あ、・・・・・・・そうか、ここにヘクトール・パスカルが絡んで来るんだ。」

釈「つまり、古代の英雄人種が、敵?」
まゆ子「ここまでやるからには。そうね、ではそれは、ピルマルレレコと無関係と言うわけにはいかない。昴賢同盟の裏切り者、というのが一番正しい敵の姿だね。」
美矩「あ、この年代と辞書にのってる奴ですね。ピルマルレレコの秘密を持ち逃げした奴が居るのですか。」
まゆ子「となると、統則理論とマイクロマシン関係から土器能登子がクローズアップされるのも当然ということになる。カネの出所も、タコハチの活用も同じ穴のむじなだ。」

 

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釈「出来ましたね。」
まゆ子「できたあ。これも君達のおかげだよ。」
美矩「めでたしめでたし。」

 

まゆ子「さて、これをさらにブラッシュアップして、と。」
美矩「え、まだやらなくちゃいけないんですか。」
まゆ子「いや、だって、アウトライン出来ただけだもん。電気まねき猫の原理と人間寄せ回路の詳細も固めなくちゃ、小説できないじゃない。」
釈「これからが本番。」

美矩「ひいいいいいいい。」

 

2005/03/02

巨大怪獣出現! その時しゃくてぃは

 

釈帝「お正月という事で、タダ券でゴジラの映画を見て来ましたー!」
まゆ子「インド料理店でもお正月はあるんだ。」
釈「そりゃあ日本にお店があるわけですから。」

まゆ子「ごもっとも。で、”ごじら ふぁいなるうおーず”だね。ゴジラ映画はこれで最後、という事になってるけど、そりゃあまあ10年も経てばもう一度ってことになるわよね。」

釈「はあ。でも私も日本人として一度くらいはゴジラを映画館で本上映の時に見たいじゃないですか。」
まゆ子「あんた、国籍日本だったの?」
釈「いえインドですけど、取ろうと思えば大体取れるはずです。だいたい。」
まゆ子「あー、まーそうかな。生まれた時から居るんだからね。」

釈「そこで今日のところはですね、ゴジラでいこうかと思うんです。」
まゆ子「悪くない。ゴジラを作ろうという話だね。」

釈「いえ、で、映画ではですね、ドリルの付いた飛行戦艦が大活躍してたんですよ。これなんかかっこいいですよね。」
まゆ子「轟天號ね。かっこよかった?」
釈「今回はこれが主役ですね。ゴジラはもう、強いのなんので、でも意味のあることをしてたのはこの戦艦です。」

まゆ子「善き哉よきかな。でも飛行戦艦の方なの?」
釈「どっちでもいいですよ。」

まゆ子「まあ、轟天号は機械だもんね。じゃあ今回は”巨大怪獣出現! その時シャクティは”にしよう。」
釈「え、何をするんです。」

 

まゆ子「それはこれから考えよう。それにしてもだねえ、NHKの”地球大進化”って番組みたけれど、恐竜とかも色々と研究が進んで、昔の本の情報じゃあ時代遅れで役に立たなくなってるねえ。全球凍結なんてのが、わずか10数億年前にあったなんて、考えもしなかったよ。氷河期なんて目じゃないのね。」

釈「その番組はそんなにすごかったんですか。」
まゆ子「知ってる人は知ってるんだろうけど、まあすごいと言ってもよい番組なんじゃないかな。恐竜と低酸素の関係って、最近の研究だろうからね。」

釈「つまり、ゴジラが出来た時代の知識ではゴジラは語れない、てことですか。」
まゆ子「まるっきりね。しかし、まだ進化ってよくわかんない事が多いのよ。なぜそんなに都合のよい部分だけが選択的に発達するのか、自然淘汰だけじゃあとうてい説明出来ないのよね。だいたい生殖細胞ってのは厳重に保護されていて突然変異から隔離されてるもん。」

 

釈「はあ。じゃあ、あのキリンの首が伸びたのは、ってはなしは嘘ですか。」
まゆ子「或る意味嘘が入ってる。いくら首が長い方が便利でも、あそこまで伸ばさなければならない理由はない。というか、首を延ばす為にどれだけ身体の他の部分に負担が掛かって特別な身体の仕組みが要るか、血圧とか、色々とあるんだよ。」
釈「キリンは首が長いシマウマじゃあないんですね。」
まゆ子「キリンて牛の仲間じゃなかったかな。

 ともかく、首が長いだけじゃあない、首が長いことを許容する為の装備がいろいろと整ってるのさ。でも、そういう一セットがまるごと突然変異で整うと思う?」
釈「あー、いやー、そんなに世の中甘くないような気がするんですけど。」
まゆ子「私もそう思うよ。ランダムで変異してそれが上手い事生存に役立つなんて、人を舐めるのもいいかげんにしろよ、って感じかな。」

釈「ということは、誰か一セット、・・・キリンの身体を設計した?」

まゆ子「その方がむしろ合理的な考え方ではあるが、そこまで行かなくても一セット丸ごと装備の革新を促進する方法があるんだと思うよ。つまりね、遺伝子というのをもっとダイナミックなものと思うべきなのさ。遺伝子の働きは細胞分裂で身体を形成する時のみに使われるわけではなく、もっと日常的に普通にドライブされている。平常の生理現象やらでも活用されているものだ、と思うのよ。」

釈「まあ、そうなんでしょうね。最近はどうも、色々と研究が進んでて。」
まゆ子「そうなんだ。随分と進んでて、細胞を作る、蛋白質を作るというのみならず、もっと色々と動いてるんだよ。DNAの中の、今までゴミ情報だと思われていた部分も、実際これまでのDNA解析ではどうでもいいとしていいかげんに扱われて来た部分だけどね、がRNA形成でもっと積極的な作用をするように働くことが、ようやくにして分かって来たというんだよ。」

釈「かがくってのもいいかげんなものですねえ。そんなものを学校で習ってると思うと、金返せとか思っちゃいます。」

まゆ子「でまあ、DNAは普通日常生活でも活用されている、というのは良い。で、その中でも特に突然変異を引き起こすてのは、やっぱり細胞分裂の時だと思うのよね。ファイルをコピーする時てのは、単にファイルを読む時よりもエラーの出現率は高い。それも、全体でエラーがまんべんなく起るんじゃなくて、使ってる所の変異がやっぱり起こりやすい。」

釈「そりゃあ当然ですね。しかし、それがキリンの進化とどういう結びつきがあるんでしょう。」

まゆ子「そこでだ、なぜ細胞分裂が起るのか、だよ。成長時には当然のように分裂する。ただし、この時は普通に奇麗に分裂するわけよ。大体プログラムどおりに分裂してくれなくちゃあ、個体が成長せず生存に支障を来す。だから成長時に突然変異が起るのは避けるべきだ。」

釈「もっともだ。じゃあ成体になってからの細胞分裂時ということになるわけですが、人間の身体って8年位でだいたいすべての細胞が入れ代わるんでしたっけ。神経細胞を除いて。」
まゆ子「つまり垢になっちゃうわけよ。これも極普通に奇麗に分裂してくれないと、ガンになってしまう。却下だ。」
釈「あそうか。ガンという向きもあったんだ。そうかあ、突然変異は良くないものですよね、それは。」

まゆ子「発想を変えてみよう。遺伝子は暗号であり情報をコンパクトに格納しているが、その実体は表現形としての生体だ。DNAは蛋白質を生成し細胞を作り生体を形成し個体として十全な機能を果たして初めて意味を持つ。とすれば、DNAが自らの存続を期するとしたら、表現形である個体の生存に対する性能を高めるように常にアップデートするべきではないだろうか。というか、スタティックな暗号体系と常にアップデートする機能を有する暗号体系と、どちらが存続に適していてシェアを伸ばすだろうかね。」

釈「いや、それはやっぱりアップデートする方だとは思いますが、実際のDNAにその機能が備わっているとかは、どうなんだろう。」

まゆ子「ここで考えなければならないのは、形成された個体の機能のどこをアップデートするべきか、だよ。デタラメな突然変異で身体中のどこか適当なところで意味の無い変化をおこすべきだろうか。いや、そんな間抜けな事をするわけがない。というか、そんなことをしてたらむしろ生存という最も重要な機能を阻害するデメリットも生み出しかねない。これは絶対に無い。」

釈「そうですね。変わるなら意味の有るところが変わらないといけないと思いますよ。しかしそれをDNAが知る為には、外部から客観的に個体の生活環境やらをモニタしなきゃいけないんじゃないでしょうか。」

まゆ子「それももっともな話だ。つまり外部の環境と形成された個体の関係から生じる齟齬をDNAが認識する必要がある。では、その手段は、というと、やっぱり細胞分裂だ。個体の活動中に特定部位だけが頻繁に細胞分裂をすれば、それだけそこの部分に不都合がある、ということになる。であればそこを重点的にモニタすれば、DNAはどこをいじれば良いかが分かるわけね。つまり、故障よ。ケガとかねんざとかでダメージが発生した場合も、DNAは活動させられる。つまり頻繁にぶっ壊れる所は重点的にDNAの、それも特定部位が呼び出されコピーされるということになる。」

釈「なるほど、それじゃあ壊れて壊れて壊れまくれば、その部分が改善の余地がある、ということを自然と知らせる。で、DNAはそれを積極的に利用する機能を持っている、と。」

まゆ子「これは私が勝手に思ってるだけだけどね。しかし、キリンの例を取ればよく分かる。普通のキリンよりも首の長いキリンが居たとする。これはイレギュラーだから、当然その個体は長い首がよく故障する。その損傷を修復するためにDNAが呼び出されまくる。しかし首の長いキリンは普通のキリンよりも生存にちょっとだけ適していたとする。首の長いキリンが増殖し、首の故障も大量に発生し、DNAが呼び出されまくる。その内に遺伝子にエラーが生じ突然変異が起り、生体が改変されて首が強いキリンが産まれる。しかし、首が強くなったらその他の部分に逆にダメージが現われるわけよ。例えば脚に来たり心臓に来たり肺に負担が掛かったり。そうすると今度は別の場所の故障が頻発し、DNAが呼び出されまくり、」

釈「ほー、それは合理的な進化ですね。自然淘汰ではないんだ。でも遺伝子のエラーが他のキリンに共有されないと、なかなかマトモな設計のキリンは増えないんじゃないでしょうか。」

まゆ子「そう。先程言ったけれど生殖細胞は厳重に隔離されていて、遺伝子異常が入り込まないようにプロテクトされている。DNAだけの力では有益な改変は共有されない。とすると、改変されたDNAのパッチデータをばらまいてアップデートを促す機構が必要になるわけよ。ウィルスね。」

釈「ウィルスで、有益な情報が共有される、なんてことが本当にあるんでしょうか。」

まゆ子「ぶっ壊れる部分というのは、つまり細胞分裂を起してる部分だから、ウィルスにとっても狙い目なんじゃない? いや、ウィルスといわないもっと断片のRNAもぼろぼろ体内を駆け巡るのよ。活性の高まっている部分から放出されるRNAがウィルスに取り込まれて、個体の外部にばらまかれて、他の個体に感染し、やがてすべての個体がその情報を共有する。いや、単にウィルスによるわけじゃない。どの個体も同じような部分がぶっ壊れてるのよ。そこに、他の個体のぶっ壊れた部分から転写されたRNAが混入したら、どうだろう。」

釈「でも、ウィルスもそんなに都合よく使われるような気のいい奴じゃあなくて、独自の行動原理というか、生存目的というか、あ、いや、そういえば、ウィルスって個体を殺傷するのは目的なんだろうか。」

まゆ子「宿主が死んじゃったら困るじゃない。ほどほどに長生きしてまんべんなく該当する生物に播種してくれなくちゃ、ウィルスの生存戦略に反する。つまり、あっという間に個体群が死滅するウィルスは、ウィルス自身にとっても有害なのだよ。その逆にウィルスにとって自身を播種する感染症の症状は感染力が高いものである必要がある。特殊化しすぎて長年一緒に暮していても全然移らない病気、というのも困り者だ。要するに、症状は外部にウィルスを大量に放出させる激烈なものであるが死にゃあしない、というのがウィルスにとって最適な感染症なのね。しかしよくできたもので、感染力が高く致死率が高いウィルスは狭い範囲であっという間に宿主を殺してしまって、ウィルス自らも死んでしまって広範囲には広がらない。また生体もウィルスに対応する機構を持ってるから、すぐに致死率を下げる対応をとってくる。そのバランスの上で、この仕組みは成り立ってるのよ。」

 

釈「そこでゴジラです。」

まゆ子「ゴジラはー、つまり放射能怪獣だ。口から放射能を吐く。しかし普通の生物は放射線を浴びたらDNAが破壊される。つまり、DNA自身が放射線から自らを防護する能力を獲得する必要に迫られるのね。もっとも対宇宙線でその機構はあらかじめ備わってはいるけれど、体内に放射性物質を取り込むゴジラの中ではその能力を極限まで向上させなければならない。エラー回復機構の再検討が求められるのね。しかし何故放射性物質を取り込むようなふざけた生物が居るかというと、温いからかな。」

釈「温い?」

まゆ子「放射性物質は常に原子崩壊を起しているから、恒常的に温い。温いのは生物にとってもっとも重要な生存環境の要素だ。それに脅威といえば酸素だって放射線に負けず劣らずDNAを破壊する。放射性物質の傍が特に危険というわけでもない。ただ、放っておけば放射性物質はどんどん崩壊して温くなくなるから、蓄積し濃縮しなきゃいかん。そこでゴジラの御先祖さまは放射性物質を海水中から濾しとって体内に蓄積させることを選択した。とはいうものの、だ。地球の地殻の極浅い地表付近では、そこまで放射性物質は転がってはいない。そこで穴を掘る事になる。熱水中に溶解して析出する天然のウラン蓄積器であるウラン鉱脈に潜るためだ。しかし小さな生物にはそんな深い穴は掘れない。そこで巨大化する。固くなる。穴を掘る為に筋肉も強化する。だが、それじゃあ腹が減る、エネルギー切れで動けない。穴を掘る為に必要なエネルギーは外部の生物や植物を食べる程度では賄えない。」

釈「じゃあ、だめじゃないですか。ゴジラにならない。」

まゆ子「そこでゴジラは考えた。餌が無いなら養殖しよう。蓄積した放射性物質の原子崩壊熱を利用して他の生物を誘き寄せて自分の周囲で養殖し、それを食べて穴を掘る。熱だけじゃあダメだから、熱水鉱床付近に陣取って、穴を開けつつ放射性物質の蓄積を行いついでに餌も自前で作ってる。」

釈「器用な生物だ。でもそれだとゴジラは動けないですよ。」

まゆ子「動けないゴジラは熱水を利用しての放射性物質の蓄積を開始する。つまり、ウラン鉱床を自分の中に作ろうというわけだ。熱水鉱床で熱は得られるけれど、自前でどこにでも動いて行けるように大量の放射性物質を必要とする。穴も掘ってウラン鉱脈を食べる。でひたすら体内に蓄積し、その熱でカロリーの高い餌を養殖する、というかその生物を取り込んで共棲状態となり、一種のゴジラ生態圏を作り上げる。しかし蓄積され濃縮された放射性物質はやがて体内で核分裂反応を引き起こし始める。」

釈「あのおー。」

まゆ子「DNAはすぐにこれは自身のエラー回復力の向上では追っつかないと気づき、すべての内臓を隔離始める。放射性物質のみならず重金属を蓄積して、隔壁を構築する。こうしてゴジラは一個の原子炉になる。鱗状に配置された重金属の隔壁の内部では中性子による電離作用で電子が発生し、重金属の蓄積が年輪状に発達して形成された隔壁がちょうどコイルとして機能して電力をゴジラの体内に発生させる。恒常的に大電流に曝されるゴジラ内部の各細胞は一斉に破損損傷を修復し細胞分裂を起こし、電力が豊富に存在する環境内での適応を模索する。ゴジラの体内で共棲していた栄養生物は、電力から直接アミノ酸を創出する特殊な回路を発達させ、電力合成による生体の稼働に成功する。その発揮するパワーは既に生物のレベルを遥かに凌駕し、重金属を取り込んだ骨格の強度の驚異的な向上とも相まって、小さな爬虫類であったゴジラを50メートルに拡大したモンスターに進化する。怪獣の誕生だ。ハアハア。」

釈「いや、それだけホラを吹くとそりゃあ疲れるでしょう。」
まゆ子「というわけでゴジラは実在するのだ。というところで勘弁してくれ。」

釈「あのー、それでアンギラスはカマキランは、キングシーサーはなんで動いてるんでしょう。原子力怪獣じゃあないですよね。」
まゆ子「へ? アンギラス????

 えーーーーー、つまりーーーーーーー、ゴジラは一種類ではない。通常ゴジラと言われるのは最強のゴジラザウルスのことであり、それが誕生するまでには多数の種類の先ゴジラという生物が居た。それらは放射性物質を蓄積し体内で核分裂を起すことには成功したが、十分な運動機能を獲得できなかったゴジラの成り損ないだ。それらが未だ海底深くに多数生存する。しかし、ゴジラの獲得した電力合成細胞と重金属骨格はやはりDNAとして記録されている為に、脱落した細胞片、もしくはゴジラの幼生が地上世界に上陸して、他の生物と融合したものと推測される。それらは通常は原子力では動かずもっと適当なエネルギー源に頼って相応の大きさの生物として進化する。もちろんゴジラほどには決して大きくはなれないものの、海底に潜って先ゴジラを食べる程には強力なパワーを身につける。移動能力の無い先ゴジラ類は、電力合成によるパワーをエネルギーの蓄積に当て、脂肪細胞のように特殊な高エネルギー物質に変換して細胞内に蓄積する。これは怪獣らの重要なエネルギー源となる。あるいは、太陽エネルギー等他のエネルギー源の獲得に成功して独自の進化を成し遂げたものまで現われた。これがその他の雑魚怪獣の由来である。」

釈「キングシーサーってサッカーをするんですよ。」

まゆ子「キングシーサーは他の怪獣とは異なりほ乳類の遺伝子を融合した為に、高度な判断力を持つ。サッカー強国ではよく、神はボールを見ると蹴飛ばすように人類を作ったと言うように、高度な判断力を持つ生物が適度な大きさの球体を見ると蹴飛ばしたくなるというのは理の当然というものだ。ましてやキングシーサーは二足歩行をするほ乳類型怪獣類だ。アンギラスが丸まっている姿を見て、むらむらと蹴飛ばしたくなる衝動に駆られるのも無理からぬ事。惜しむべきは、キングシーサーが11体×2の個体数を揃えるのは非常に困難であり、正式なFIFAルールに則った試合はできないであろう。」

釈「いやー、まあー、そのー、で怪獣なんですが、実現可能ですか。」

まゆ子「ハアハア、やっと本題に戻ってくれたな。つまり、怪獣というものはどういうエネルギー源で動くか、という問題なわけだ。しかし何万tという怪獣を動かすのは至難の業で、船でさえ地上に置いては身動き一つ取れないのだよ。あれだけのパワーソースを積んでいながら、それで車輪やらキャタピラやらで動かそうという気にはならない。ま、船体強度の問題があるからね。薄板で作ってる船はどんがらがっしゃんとした動きには耐えられない。それだけの運動に耐えられるとしたら、中身がびっしり詰まったそれこそ100メートルで100万tの金属の固まりになってしまうわけだ。」

釈「じゃあ、やっぱり無理ということで。」

まゆ子「その一方で、飛行機はかなりデカいものでも空飛んでるわけだ。つまり我々には二つの道がある。超巨大質量を持ち年間数十cmしか動かない怪獣か、巨体の割にはすかすかな飛行機みたいな怪獣か。しかし撮影に見栄えがするという点において、後者を取らざるを得ない。」

釈「なるほど。軽金属の風船みたいな怪獣ならば、あり得るということですね。」

まゆ子「だがこれも、ガンダムを考証した際に分かってるとおりに、なかなか強度を保ったまま軽量化するわけにはいかないのだな。中身に水素の入った風船でもなければ、巨体を維持しつつ運動という真似は出来ない。もちろん強度は引っ張り強度はあるけれど装甲なんてものは望むべくもない。ましてや原子炉を搭載なんてわけにはとてもとても。」

釈「でも風船怪獣ならば、エネルギーもそれほど必要じゃないんじゃないですかね。」

まゆ子「いい事言った! 太陽エネルギーにしよう。つまり太陽熱で膨らんでるんだ。これで怪獣がいきなり大きくなったりする現象も説明付く。しかしそれだけじゃあ足りないから、材木とかを食べて体内でペレット状にして急速に燃やすことで浮上する。飛ぶ必要も無いけれど軽快に動き回れるほどには軽量化出来ることにする。」

釈「しかしそれは、筋肉はあるんですかね。というか、筋肉で動くと体重重くなるでしょ。」

まゆ子「そうだね。じゃあ、イカが水を掃き出してジェット推進で泳ぐみたいに、熱した空気を吐き出して進むというのはどうだろう。確かに歩行というのは無理がある。そうだね、恐竜が気嚢システムという強力な呼吸器官を持っていたてのを応用して、連続的に吸気して燃料を効率的に燃やして推進するシステム、というのがあってもいい。」

釈「なんか優しいかんじの怪獣ですね。これはいじめちゃダメでしょう。」

まゆ子「もちろんだ。人間は皆、怪獣が来たらわーいといって喜ばなきゃダメ。怪獣ちゃんが動いてるーと写真にとったりビデオ撮ったり、出店が出たりお賽銭あげたりするわけよ。でも悪い奴が怪獣を捕まえてNYに見世物に持って行こうとするから、そういう奴にはメーザー光線発射だ。」

釈「そうそう。メーザー光線てのが使われてましたけれど、あれってなぜレーザーじゃないんですか。メーザーってのはたしか、電子レンジと同じ電波で。」

まゆ子「そうよ。マイクロ波で位相の揃った電波をぶつけるんだよ。ネコをレンジで乾かして、という話があるように、生物の体内の水分に吸収される波長であれば、怪獣を内部から暖めで生体組織に直接ダメージを与えることができる。また外皮に重金属が蓄積されていたとすると、表面で火花が散って爆発、というわけで、レーザーで直接焼くよりはいいのかもしれない。少なくとも、日本の特撮怪獣モノでは、対怪獣兵器はレーザーではなくメーザーが主流だね。ていうか、軍用の基地付きの強力なレーダーは、100メートルくらいの距離だったら人間焼けてしまうという大出力だそうだから、そんなに変な話じゃあない。」

釈「あ、それでしたら、適当なメーザーを照射して怪獣の中の空気を暖めて、軽快に動かすというか、餌をあげるような感じで飼育するというのはどうでしょう。皆喜びますよ。」

まゆ子「GJ!」

 

2005/1/14

 

くまーの楽園を探せ

釈「まゆ子さん、たいへんです。クマーが、熊がつぎつぎと殺されてます。」
まゆ子「というわけで、今回は”熊の楽園を探せ”です。」

釈「前振りあっさりですねえ。意外と。」
まゆ子「いや、くっちゃりぼろけっとで予告してたから。それに、今年はこれ以上やらねばならないネタは他に無いでしょ。」
釈「地震とか颱風とか。」
まゆ子「それも勘定に入ってる。なんせ、颱風と猛暑で熊がやられたという話なんだから。」

釈「でも、熊の住んでる山奥って、颱風被害ってあんまり無さそうなんですけどねえ。」
まゆ子「まあ、木の実が全部落ちちゃったというのはあるだろうけれど、颱風が来た事で干ばつにはならなかったんだよね、今夏の猛暑にも関らず。おかげで中国の方は干上がっちゃったけど。」
釈「あ、やっぱりどこか割食ったとこあるんですね。そりゃあそうだ。雨だってなにも無い所から沸いて出るわけじゃないんだから。」

まゆ子「しかし、木の実はほんとうに無いらしいね。熊の胃の中は空っぽなんだから。」
釈「やはり熊の餌になる樹をいっぱい植えなければならないんでしょうね。」

まゆ子「熊の餌は大体照葉樹林のどんぐりなんだよ。柿とか蜂蜜とか鼠も食べるけれど、主食はどんぐりだね。本州では。雑食の生物なんだからもっと木の根っことか食べればいいような気もするんだけど、猪みたいにはいかないらしい。」

釈「あ、猪も雑食の生物ですよね。どうして猪は問題にならないんでしょう。餌はあるんですかね。」
まゆ子「いや、猪だって結構問題にはなっているけれど、でも熊ほどは困窮してないみたいだね。なぜだろう。やはり畑を襲うには熊は大き過ぎるし目立ち過ぎるんだろうね。人間よりは身長小さいのに、因果なものね。」

釈「熊は猪を食べる、てのは無いんですかね。熊は猛獣でしょ、狩りをすればいいような気もしますけど。」
まゆ子「北海道の羆は冬眠から覚めたら鹿も襲うらしいけど、月の輪熊はそういう生物ではないらしい。つまり本質的には植物を主食とする穏やかな生物で人間とは普通関らない。というか、人間て怖いもんね。」

釈「でも、じゃあ、つまり人間が熊の住む森の環境を次々に破壊しているから、熊は人里に下りてきた、というわけですか。」
まゆ子「ところがだ、最近では別に森は破壊されていない。というか、破壊する動機が無い。林業は不振で外国産の木材に太刀打ちできないし、山で鉱物資源を掘っているわけでもない。農地を山まで拡大しているということもないし、第一山間部では過疎で人が急激に減っている。熊の被害者てのは皆お年寄りでしょ。」

釈「あ。・・・・そうですね、おじいさんおばあさんばっかりだ。でも何故。それだったら熊の住処は良くなっている筈では。」

まゆ子「これがねえ、どうも、山から人が減っているのが良くないらしいね。里山と言って人間の手が入る、昔は薪を取ったり炭を焼いたりしていた生活の為の資源を供給する集落周辺の山が、手入れ出来なくなってるんだ。これが良くないらしい。この里山は野生生物と人間との境界線の役割を果たしているわけで、これが手入れ無しで荒れ放題になると、熊は普通に歩いていてもいきなり人間の近くに飛び出してしまう、ということになる。」

釈「でも、人間が手を出さない森は、自然に戻るのではないでしょうか。」
まゆ子「いや、里山はねえ、つまり適当に枝とか切ってるから、日当たりがいいんだよ。照葉樹というのは日光が当たらなければならない木だから、そういうとこではよく木の実も成る。柿も出来る。手入れが出来ないといきなり日が射さなくなって木の実が成る木には不利になるんだよ。だから、極論すれば、山に人が居なくなったから熊は窮地に立っていると言ってもよい。」
釈「自然てびみょうですねえ。」

まゆ子「あと、林道がどんどんできたのも良くないらしい。車慣れしちゃうんだな、熊も。それに道路を歩いていると、イヤでも人里に下りてきてしまうんだから。熊だってねえ、平坦な道の方が歩き易いよ。」

釈「うーーん。じゃあ、熊が生きて行く為には、どうすればいいんです。人を増やして山の手入れをすればいいんですか。」
まゆ子「それは無理。経済的に成り立たないところに人は投入できない。無理やりやっても成り立たない。そうねえー、ロボットでも居ればいいんだけど。」
釈「それです。熊の為に森林ロボットを作りましょう。」
まゆ子「いやー、それもねえ。それに、熊の食べ物は別にあるだろうし。」

釈「鮭ですか? でも本州で鮭は上って来ないでしょう。」
まゆ子「鮭はね。ヤマメとかは食べるのかなあ。ま、熊は魚大好きだよ。だから川があればいい、というのもある。これも下流にダムが出来て魚が上らないとかいう話もあるけれど、最新之ダムは魚道も整備されていて、魚が上がれるようになっているものも多くなってる。つまり漸進的に改善はされてるんだよ。ただ今年は破滅的に気候が悪かった。」
釈「人間でさえ酷い目に遭っていますからねえ。」

まゆ子「しかし、熊もバカじゃないんだから、人間がコワイものだと分かれば下りて来ないんだ。だから、山奥で熊の餌を増やすと同時に、人里にコワイ人間を配置することで、熊被害は軽減できるわけね。熊の餌は戦後無理やり植林された杉林を順次照葉樹に換えていくことで、なんとかなる。林道も不要のものは閉鎖して自然に戻す。川も魚が住み易いようにする。で、人里には怖い人間、それも鉄砲ではなくてもっと直接的な腕力で強いようなものが居るとよろしい。」

釈「なんですか、人里にどこにでも曙が居るようなのがいいんですか?」
まゆ子「なんで曙なんだ。いやね、鉄砲は良くないんだよ。学習効果というのが効かない。撃たれて死んじゃったら、人里が怖いものだという認識が熊から無くなっちゃう。だからもっと、こうなんというか、直接的な暴力のね。」
釈「じゃあ、完全武装の野武士みたいな人が鐘や太鼓を叩いて追いかけて来るというのがベストというわけですね。」

まゆ子「まあ、まず山村部の人口構成をもっと若年層が厚くなるように、都会から人間を還流させる必要があるよね。と同時に農業林業にその若年層を吸収させる必要がある。もちろん経済的に成り立つという前提条件を満たさねばならない。失業問題の解決という意味合いからも、農業に人が行くようにシステム全体を構築しなおすというのは意義のあることなんだけど、ま普通無理よね。山村部が経済的に自立できない状態では熊対策に森林育成なんか出来はしないし、その金の出所も無い。また対策自体の必要性すら無いでしょ。山村部からまったく人気が消えてしまったら、熊対策も必要無い。」

釈「うわー、なんか寂しいはなしですねー。」
まゆ子「しかしものは考えようだ。明治時代になる前は日本の人口は3000万人強くらいだったんだよ。で、戦争前が1億人。今が一億2千万人。」
釈「あれ? 人手は多過ぎる?」

まゆ子「つまり里山というのはさほど広い領域ではない、ということね。田畑集落の周辺の垣根程度というわけよ。江戸時代の人間が機械力無しで管理できる程度の領域しかない。そのまた周辺に、人間が入って大きな木は切っちゃったけれど、だいたい自然のままの森というのがあり、そのまた奥深くに原生林があるわけだ。熊がうろつく領域はそういう人間の印のある空間で、まったくの原生林に居るわけでもなかったし、それだけ領域に幅があるから、熊だって人間の居る方向がかなり遠くから分かるわけ。で、ちゃんと人里に下りないように避けてくれるのね。大多数の人間は熊なんて見たことない、というのが江戸時代でも普通だったわけさ。」

釈「いきなり森から人里へ、というところは無かったわけですか。」
まゆ子「室町時代頃には、もうそういう風な状態らしいわね。原生林がしっかり保存されていたのは、その頃まで。で、そういう人間の手が入った森が広がると同時に人間界では自然神に対する原初的な信仰が薄らいで、もっと都会的都市的な仏教がさかんになるてことらしい。」

釈「つまり、自然状態で熊が気楽に生きて行ける状態は金輪際あり得ない、ということですね。」
まゆ子「致し方ない。人間と共存しなければ、熊に生きる道はない。

 さて、で、熊にもなわばりがあるのは知ってるね。明確な領域の区分がされてるわけではないかもしれないけれど、群れを作らない動物である熊が、しかもあの図体であるから、一個体が生息する食糧を得るのに必要な最低限度の土地というのがあるわけだ。で、もちろん大きい熊は小さい熊よりもなわばりは大きいし、小さい熊はそこに居ることは許されない。繁殖期は別だけどね。」

釈「はあ、それは当然ですね。でも、熊牧場というのは熊がいっぱい居ますけど。」
まゆ子「あれは動物虐待とか言われている。仕方のないところだけどね、孤児の熊の子とかを保護すると、自然界には放せないんだし。人懐っこい野生の熊というのは、これは恐ろしいじゃない。」
釈「ええ、それは困り者です。残念ですねえ、折角人に懐いたのに、もう山に帰れないなんて。」

まゆ子「で、先程言ったとおり、熊にとって人間は恐ろしいものだし、恐ろしいと思ってもらえなければ困るのだ。しかし、実際山に居るのは農作業のお爺さんお婆さんのわけで、これは怖くない。また、お爺さんお婆さんが常時鉄砲を持っている、というわけにもいかない。猟友会の人が四六時中山をパトロールするわけにもいかない。」

釈「だからこその、曙です。」

まゆ子「そのギャグはおやめなさい。で、熊は人間が怖い。しかし、すべての人間が怖いというわけでもない。また、自動車が林道とか通るようになったために、車慣れ人慣れしてしまうという現象も考えられる。人間恐怖計画はなかなかに難しいのだよ。」

釈「なにかもっと、おそろしい生物とか居ればいいんじゃないですかね。ゴジラとかビオランテとか。」
まゆ子「うむ! それだ。今問題になっているのは本州に生息する月の輪熊であって、こいつはそんなに大きくない。人間と同程度、体重は曙ほどは重くない。120キロから150がリミットでしょう。小さい熊だと言っても過言ではない。人間に比べると力は倍以上強いけどね。

 しかし、北海道に居る羆は、こいつはデカい。体長2メートル、200キロも超すとても大きく強い熊だ。冬眠開けには鹿だって襲って食べてしまう。」

釈「例の、鮭を取る熊ですね。」
まゆ子「こいつは本州には居ない。しかし、もし、人里近くに羆が居たとしたら、月の輪熊はどうするね。人間の敵は人間とかよく言うけれど、熊にとってもっとも恐ろしい存在というのは、やはり熊なんだ。自分と同じ種に属する生物が一番興味はあるし、その能力の比較も容易い。月の輪熊の倍近くもデカい熊が人里に居ると知ったら、」

釈「ぜったいに熊は森から下りてきませんね。ぜったいです。」

まゆ子「北海道の羆の皮を張ったヒグマロボを作ろう。それで問題はほぼ解決する。いや、ヒグマの糞を里山の周辺に放置しておけば、十分な効果があるかもしれない。鹿避け対策に線路周辺にライオンの糞を撒いたら効果絶大だったらしいし。」
釈「非常にスマートな解決法です!」

まゆ子「それと同時に、森にはオオカミも必要だ。イヌ科の動物は優れたハンターでね、森林の生態系を維持する上で非常に重要な役目がある。鹿とかカモシカとかも、やはり問題になってるんだよ。樹木の新芽を食べちゃって森の木々の更新を阻害する。木の実のなる木だって寿命が有る。古い木よりも若い木の方がやはり生産力は大きいのね。しかし増え過ぎた鹿やカモシカはそれを許さない。オオカミはそういう大型草食動物の頭数を管理して森全体を健全な状態に保つ役割を果たすのよ。」

釈「でも、ニホンオオカミはもう絶滅してしまいましたが、イヌでも放しますか。」
まゆ子「野良犬は熊よりも怖いわよ。やはりオオカミがいい。人里に下りて来ないように遺伝的にプログラミングされたオオカミがやはりベストよ。クローンで再生とかしかないのかしらねえ。」

釈「ここはサイボーグ犬の出番ですよ。大型犬の脳にコンピュータを埋めこんで、人間に絶対服従するようにコントロールされたサイボーグ犬が、森林で鹿や猪、カモシカを追い回し、捕獲してしまうのです。で、その肉を一部熊の餌にするわけです。」

まゆ子「ま、それもいいかもね。サイボーグ犬というのがちょっと可哀想だけど。」

2004/11/24

 

ガンダムのぱっちものつくってください

釈「まゆ子先輩、オネガイがあります。ガンダム作ってください!」

まゆ子「そりゃまた突然だね。いきなりどうしたの。」
釈「新しくできたおもちゃ屋さんに行ってみたんです。小さなフィギュアとかが置いてある。で、そこにはガンダムが山のようにあるんですよ。小さいのとかプラモデルとかがいっぱい。わたし悔しくてくやしくて。なんか、このましなりぃでも、ガンダムみたいに儲かるキャラクターが作れないかと。」

まゆ子「・・・・・・・・・・わかった。つまり商品としてのガンダムが欲しいんだね。そりゃあよーく分かるけれど、無茶だよ。今時普通のロボット作っても、あんなには儲からない。エヴァンゲリオンですら、ロボット自体ではそんなに儲かってないんだから。」

釈「でもじゃあ、諦めろというんですか。ロボットはガンダムだけでいいんですか。」
まゆ子「あ〜、わたしはやったこと無いんだけど、昔のロボットをスーパーロボット大戦とかでリバイバルしてるねえ。でもガンダムみたいには、儲からない。何故かな?」
釈「他もだめなんですか。これはー、どういうことなんでしょう。ちょっと不思議ですよ。」
まゆ子「ガンダムに匹敵するキャラクタ性を持ったロボットと言えば、マクロスと、最近は下火だけどボトムズくらいだな。他は全滅っぽい。zoidoは別口としても。」
釈「なんですか、そのぞいどというのは。」
まゆ子「ああ、これはロボットのおもちゃが先にあって、トランスフォーマーと似たようなものよ。おもちゃ先にありきの企画で、この際話がややこしくなるから、別口ね。」

釈「でもくやしいですよー。あんな、へんちくりんなロボットにがばがば金を稼がせとくなんて。ほんと、どうにか出来ませんか。」
まゆ子「一介の女子高生にそんな大それた真似はできないんだけど。・・・・でもほんとどうしてガンダムばっかりねえ。」
釈「なんでガンダムばっかりあんなに人気あるんですか。ガンダムってそんなにリアルなんですか?」
まゆ子「うにゃ、全然。まったく、どこを取っても、まるっきり不自然非合理不条理な、およそ現実的工学技術では考慮にも値しないうそっぱちだらけだよ。」
釈「他のアニメとおんなじですか。」
まゆ子「まるっきりおんなじ。違う所は存在しない。」

釈「なのに何故人気があるんです?」
まゆ子「わかんないなあ。まるっきりいいかげんもいーとこなんだけど。・・・・・そうだな、いいかげんというのがキーワードかも知れない。」
釈「はい?」
まゆ子「ガンダムはでたらめだ。しかしガンダム以降のアニメでリアルアニメと呼ばれるものはなにかしらの合理性というものを帯びている。つまり、ガンダムがなまじちょっとリアルっぽかったから、そっちの方向に進化したのだね。で、全滅。」
釈「なるほど。ではいいかげんな方向に進化した方がマシというわけですね。」
まゆ子「それは勇者ロボシリーズとかゾイドとかである程度の成功を収めたわけなんだが、ま、ガンダムに比するようなものじゃないな。つまり、空想的な発展ももちろん外れ、ということだよ。」
釈「それはあ、・・・・・・・どうしましょう。」
まゆ子「不条理にいこう。かっこつけとかヒーローっぽいとかの或る種の必然をもった方向への進化ではなく、どうしてそんなまぬけなものを、という風に進化させよう。決して合理性なんて感じないように。」
釈「動く、んですよね。ちゃんとかっこよく。」
まゆ子「心配しなくても、かっこよくすぱっと動く巨大人型ロボットていうところからしてすでに不条理なんだから、そこはばっちり。」

釈「うわぁ〜い、て。人型ロボは不条理てことは、ガンダム作ってる人も重々承知てことですよね。でも、やっちゃうわけですか。」
まゆ子「売れるし儲かるんだからねえ。戦闘機でも戦車でもいいんだけど、巨大なえねるぎーを発揮して凄まじい破壊力を持つ鉄の固まり、というものには、男の子のたましひを揺さぶる自己同一化の本能があるんだわよ。その窮極の姿が、パイロットが乗り込む鉄の巨人だよ。要するに窮極おなにーだね。」
釈「そういうものですか。でも、じゃあ、やっぱ人型ですか。」
まゆ子「そっから始めるのは、テレビアニメの企画として外しようの無い大前提だな。だから、その、キミの要求する売れるガンダムてのは、当然人型でなければならない。」

釈「じゃあまず名前から付けましょう。がんだむーというのは、ダメですよね版権の問題で。」
まゆ子「そりゃおとなのつごうで、まるっきりだめだな。ムガダンてのもだめだよ、たぶん。」
釈「ガンガルというのは?」
まゆ子「それは韓国のぱっちものだ。とうぜん却下。

  そうだねえ、弥生ちゃん専用モビルスーツということで、カベチョロン(仮称)にしよう。」

釈「えーと、カベチョロンは空は飛びますね。」
まゆ子「それがキミの要求性能だな。カベチョロンは空を飛ぶ、か。よし採用。だが、ただ単に飛ぶというのはおもしろくないな。単体で大気圏突破性能を持つ、ということにしよう。つまり宇宙まで飛んで行くのだ。」
釈「うわ〜い。って、え? そこまで飛びますか。」

まゆ子「いや、原子力で動くんだから、そのくらい普通だよ。比推力1000秒以上のロケットエンジン、事実上は原子力エンジンか外部力レーザーアブレーションエンジンを搭載すると、普通にそのくらい飛ぶ。と言っても衛星軌道に留まり続ける必要もないんだから、高度100キロ以上に到達する性能を持つということだな。いっぺん上がってそのまま下りてくる。その為に必要な速度は、わずかマッハ3程度だよ。今度開発されたスペースシップONEていう民間観光宇宙ロケットはそんなもんだ。」
釈「じゃあ、じゃあ、・・・・うちゅうまでそのまま行ける、てことで、FA?」
まゆ子「FA。だがこの意味する所は大きい。つまり、地球上のどこからでも地球の裏側まで自由に飛んで行ける、ということなのだな。事実上世界のどこにでもいけるわけ。」
釈「なんかおおげさ過ぎません?普通の飛行機くらいでいいんですけど。」

まゆ子「逆に言うと、原子力エンジンを積む機体を、そんな中途半端な速度で飛ばすのは非常に困難なのだよ。エネルギーを相当絞らなければならない。だが、その程度のエネルギーしか得られないロボットは、自由な運動ができない。マジで飛行機から羽根を千切って飛べ、というのに等しいから、ジェットエンジン程度の出力では全然不足でロケット以外はそれは無理でしょう。どかーんと上まで飛んで行くほどの性能が要る。つまり、ほどほどのカベチョロンは作れない。」

釈「でも原子力ですよ。核融合炉を搭載しますか、ガンダムみたいに。」
まゆ子「むちゃ行こう。原子炉搭載だ。超小型核分裂型原子炉搭載だ。」
釈「・・・・壊れる。地球破滅しますよ。」
まゆ子「ノープロブレムだ。前に『宇宙最強ロケット』の回で考証した時よりも、考えが進んでいてね、鉄腕アトムにも搭載できる小型原子炉のアイデアというものが既に存在するのだよ。だから、原子力搭載でFA!」
釈「でも、ぶっ壊れた時は、どうするんですか。」
まゆ子「アトム搭載型原子炉のアイデアの核心はまさにそこんとこにある。この原子炉は核燃料の量が極端に少ない。わずかに数gだ。量が少ないだけでなく、密度も低い。普通の原子炉用よりもちこっと高い、20〜30パーセントくらいで、核爆弾の90パーセント以上てのほどに危険じゃあない。しかも、放射能が外に漏れない。」
釈「でもそんなに少なくても、ぶっ壊れた時は放射能汚染から免れませんよね。」

まゆ子「米軍が使ってる劣化ウラン弾の被害よりも少ない! というのだから驚きだな。

 このアイデアは、中性子ミラーというものが現在開発中であるというところから生まれたものでね、つまり核反応で発生する高速中性子を完璧に反射する鏡が作れる可能性がある、というのだよ。もちろん今はまだそんなものは無いけれど、でも最近のニュースによると、原子核の中に余分な中間子を無理やり突っ込んだ新しい原子を人工的に作るのに成功した、というのもある。ものすごい材料というのもまったくの嘘話といえないわけだ。というか、普通の金属板だって、侵入角度が非常に浅ければ、水面の小石のように跳ね返るんだよ。中性子ミラーさえあれば、鉛で遮蔽しなくても超軽量の隔壁で外部に放射能が漏れないようにすることが可能。極端に軽くなりロボットに積めるのだ。」

釈「ほえー、じゃあ、なんですか、あの原子炉のどでかい煙突みたいな壁が要らなくなると。」
まゆ子「そうなんだ。中性子ミラーがあれば、アレは要らなくなる。もちろん、事故った時の為に絶対に必要だけどね。だが、中性子ミラーがあれば、核分裂反応を起す核燃料自体を極端に少なくすることも可能なんだ。

 つまりね、核分裂というのは、核燃料、ウランとかプルトニウムの原子に中性子がぶつかる事で起こり、エネルギーを放出するわけだね。だが、そのぶち当たる中性子は核燃料自体が自然崩壊するときに発生する中性子によって賄われる。だから、燃料に中性子が衝突する確率を上げる為に、核燃料を濃縮したり量自体を増やしたりするんだな。量が多ければ自然崩壊する数も多くなるし、濃縮しておけば発生した中性子が当たる的が多い、ということになる。
 だが中性子ミラーがあれば、発生した中性子を有効活用することで効率的に核燃料に当てることが可能になる。中性子ミラーで放物面をつくり凹面鏡にすれば、焦点位置にある核燃料に中性子を集中することで極めて少量の核燃料に核分裂を起させることができるのよ。それに、普通の原子炉では核分裂が次々に起ることでどんどん発生する大量の中性子による連鎖反応を引き起こさねばならないけれど、中性子凹面鏡を使えば連鎖反応無しでも必要分の中性子密度を確保できるから極少量の核燃料で済み、しかも必要無くなれば瞬時に反応を停止させ暴走を起させない、というのもいとも容易い。最初のトリガーとなる中性子も、核燃料からではなく独自に発生させることも可能なんだよ。」

釈「鉛の壁も要らないし連鎖反応も必要ない。なんか凄いですけど、裏があるでしょ。」
まゆ子「分かる? 発生する中性子からどうやって発電するか、ぜんぜんわかんにゃい。ちょうど良い中性子吸収材の目処も立たない。理想を言えばねえ、中性子を完全にストップさせて代わりに陽子と電子を発生させる、という中性子電池てのが欲しいなあ、と思うんだがわたくしには見当もつかないのだよね。」
釈「全然だめじゃないですか。・・・しかしまあ、ともかく小さい機械でそんなに危険でなく原子炉を作れることはつくれるだろう、ということですね。」
まゆ子「もちろん決してお薦め出来ない。とくに大気圏内での使用は絶対止めた方がいい。んだけど、まあできたらどっかの軍隊が絶対使っちゃうだろね。汚染覚悟で。で、カベチョロンはそういう風な動力で、どかーんと宇宙まで飛んでくだけのパワーを持っているんだ。」
釈「とりあえず、動力は確保した!」
まゆ子「だが更に非常識なことに、その原子炉をニンゲンが手作業で積み下ろしする!」
釈「げ!?」
まゆ子「というのは嘘。ちゃんと専用ロボットを使います。でも、定期的にエンジン新品にしなきゃいけない、というのはリアルでいいでしょ。もちろん作業中は立ち入り禁止だよ。」

釈「いや、リアルでなくていいんですけどお、無茶過ぎてリアリティ無さすぎですよ。」
まゆ子「だが、現実世界では原子力潜水艦の原子炉積み下ろし解体という、マジモノの作業が実在する! しかしさすが未来技術だぜ、高速中性子を浴びせなくても高レベル放射性廃棄物をさくっと無害化する研究がすでに始まってるんだとさ。微小レベルでの核反応という新しい学問が開発中なんだって。こないだ読んでびっくりしたよ。」

釈「原子炉の話はもういいですから。で、原子炉から火を噴いて空を飛ぶんですね。」
まゆ子「それはいくらなんでも無茶が過ぎる。原子炉から出る熱とエネルギーで噴射剤を気化加熱して放出することで推進と冷却を同時に行うのだよ。つまり、放射能を帯びた排ガスなんてのは出ない。あくまでクリーンなガスを排出する。で、その為の冷却材は、というかそれがロケットの噴射剤なんだけど、水だ。」
釈「水? ロケットて水でも飛ぶんですか。」
まゆ子「気化したら蒸気になって体積が何千倍にも膨らむんだよ。で更に加熱することで噴射速度が5000メートル/秒とかになって、超高速で外に叩き出されてロケットを推進する。エネルギー源は原子炉なんだから、噴射剤自体が燃える必要はない。タダの水で上等、というか水以外に適当なものはドライアイスかLPガスくらいなものだよ。水でいいじゃん。」
釈「なるほど。水でいいんだ。」
まゆ子「だが、ということは、カベチョロンが燃料不足で不時着したら、沼の水を馬みたいにごくごくと飲めば再び飛べるようになるのだ。経済的だなあ。」
釈「いくらなんでも、そんないいかげんな設定では、お客さんが納得しませんよ。」
まゆ子「だが、ほんとにただの水でいいんだもん。海水は塩を吹くからやばいけど。さびるしー。」

 

釈「なんかかなりヤバくなってきたな。で、じゃあ、今度は武器にしましょう。大きな鉄砲を持たせるんですよね。」

まゆ子「ちょっとまて、カベチョロンはどんな大きさなんだ?いくら小さいと言っても、原子炉搭載ロケットなんだから推進剤タンク込みで、少なくとも10メートルよりはデカいぞ。」
釈「ガンダムってどのくらいでしたっけ。30メートルくらいかな?」
まゆ子「17、8から15メートルってのかな。新しいのは小さくなってるという設定のはずだ。」

釈「じゃあそのくらいで。で、鉄砲ですよ。ビームを撃ちますよね。」
まゆ子「すまん。超小型原子炉アトムズハートで使ってる中性子ミラーは、生半可なビームは弾き返す。レーザーなんかも同様で、かきんと弾く。なんせ未来技術の人工原子で出来てるらしいから。」
釈「それじゃあ意味がないじゃないですかあ。壊せないと戦争になりませんよ!!」
まゆ子「悪かった、怒るんじゃない。じゃあ、中性子ミラーは特殊材料であるから、めちゃくちゃ高価で装甲には使わない、と。でも、今の飛行機戦車とかよりはよほど優れた装甲を持つだろ。」
釈「それはまあ。でも、壊せないと困るんです。かんたんに壊れても困りますけど。」
まゆ子「難儀な要求だなあ。じゃあ発泡スチロールで出来ているというのはどうだろう。カーボンナノチューブを樹脂にまぜまぜして発泡して整形した、超軽量でありながら無類の強度を持つ。それならいいだろ。」
釈「想像がつきませんが、結構です。強ければ。」
まゆ子「そういやあ、発泡スチロールで作った丸いドームのようなお家というのがテレビで出てたな。新素材で発泡スチロールでありながら強度が有り難燃性を備えたという。だから発泡スチロールで戦闘ロボを作るというのは、これは理の当然というものだよ。」

釈「はあ。ではそういうことで。で、鉄砲ですけど、なんか避けてません?、武器について。武器が強くないとおもしろくないでしょ、やっぱり。それも銃とかカタナとかの、いかにもガンダムが持ってるみたいな。」
まゆ子「まあねえ。武器は確かに非常に重要なアイテムだけど、これもテレビアニメの要求がきつくてねえ、現実の武器みたいな形をしてないとおもちゃとして許されないんだよ。形状がすでに要求されている中でのスゴイ武器ってのは、ちとめんどうだよ。」
釈「ああ。なるほど、そういうことですか。そうか、ガンダムが鉄砲を持っているのはそういう裏事情があったんですねえ、アニメ会社の人もたいへんだ。」

まゆ子「マジに考えると、ミサイルで上等なんだけどね。内装火器てのは絵にならないけど、飛行機能があるんだから、空気抵抗がおおきいようなのはダメだろ。」
釈「ビームサーベルでもいいんです。でもあれは近場じゃないと使えないですけどね。」
まゆ子「あう、それではわたしが納得しない。よしわかった。近接武器は銃だ。ライフルだ。それで手を打とう。遠距離はカタナだ。これでどうだ。」
釈「逆でしょ。そもそも遠距離でカタナってのはどういう武器ですか。空を飛ぶんですか。」
まゆ子「うむ。ライフルの方は小口径の弾が毎秒数千発連続的に発射されて、あたかも一本の線のように連なって、相手に連続的に当たって薙ぎ払う。ただし弾丸の初速が普通の銃砲の1000m/秒くらいだからノロイのね。早いロボット相手には近接でしか当たらない。だから、まるで水の出るホースを振り回すようにライフルを振り回す近接武器なのだよ。
 カタナってのはビームサーベルね。ビームサーベルが超高速で空を飛ぶてのでどうだろう。つまりビームミサイルだ。」
釈「それじゃあ、数が限られます。一体に数本装備がせいぜいでしょう。」
まゆ子「ミサイルなんだから当たり前。

 えとね、そもそもロボットなんか要らないんだよ。普通に核ミサイルでカタがついちゃう。でも、迎撃手段が発展してレーザーやら迎撃ミサイルやらでやわなミサイルは落されるようになっちゃったんだ。だからミサイル自体にも装甲を施すようになる。で、ずいぶんと低い高度をぬめぬめと飛ぶわけだ。それを叩き落とすのに開発されたのが、ビームミサイルでね、発泡スチロール装甲の分厚い防御もさくっと貫通してしまうんだな。」
釈「レーザーは使えるようになってるんですか。」
まゆ子「派手にうちまくるけれど、発泡スチロール装甲には効かない。中にプラズマが入ってるから熱が拡散されて溶けないんだよ。ミサイルや飛行機ヘリコプターなんかの装甲薄い航空機は全滅でごつくても軽くて飛べるように発泡スチロール装甲が開発されたんだけども更に新開発されたビームサーベルミサイルには対抗しようがない。ビームライフルとかビーム砲とかは、現状では砲口から出た途端に拡散する、というので現実にはあり得ないとか言う人もいるけれど、近接わずか数メートルしかビームを出さなくてもいいビームミサイルなら、コアなSFファンも安心できるというものね。」
釈「はあ、いいかげんに考えた割にはビームミサイルいい感じだ。」
まゆ子「それに、空飛ぶビームサーベルだったら商品展開上で色々とバリエーションが作れていいだろ。握って振り回すことも出来るし。びんぼーでビームミサイルが使えないというのなら、実体のある鉄剣を超高速で飛ばすというのでもいいぞ。」
釈「ぐっどです。」

 

まゆ子「さて、武器の次はいよいよ”かたち”だ。やっぱガンダムというからには角が生えてないとダメだよね。」

釈「違いますよ、ガンダムとおなじじゃあダメなんです。ガンダムの代わりに大流行するかっこいいロボットがほしいんですから。どうですかね、かっこいい方程式というのは無いですかね。すぱっと決まるような。」
まゆ子「そんな都合のいいものが、・・・・・ダメだよ。それがガンダムだ。方程式ではないけれど、ガンダムがいいんだよ。」
釈「じゃあ、誰もやっていないデザインの穴とかは、有りませんか。」
まゆ子「やってないデザインというのは結構ある。アニメの限界でおもちゃとして見栄えのしない形は許されないからね。ペンギン型とかダチョウ型とかゴリラ型の動物ロボットは結構ありふれててダメだよ。」
釈「手足が大きい二頭身ロボというのはどうでしょう。」
まゆ子「ぜんぜんダメ。低学年向けロボは皆その形だ。ガンダムにだってデフォルメガンダムがあるし、現在テレビで放送してる。」
釈「八頭身の身体に、巨大な頭というのは。」
まゆ子「奇を衒い過ぎだよ。ロボの形にならないじゃない。左右非対称もありふれてるけど、左右に歪んでるてのは、作画が難しいから無いかな。」
釈「基本的にニンゲン型は崩せないんだから、むりですよお。なにかヒントくださいよ。」
まゆ子「発泡スチロール製なんだから、こんな感じはどうかなあ。」

釈「・・・・・かかし?」

まゆ子「発泡スチロールはただの装甲にあらず、構造材も兼ねてるのだよ。ムクムクの発泡スチロールでロボットの形を作って、穴掘って機械を埋めてる。だから手足は中身はほとんど無い、形だけのものなんだ。」
釈「そんなものが動くんですか。」
まゆ子「だって、ロボットの手足に筋肉がいっぱい詰まってるというのはおかしいだろ。パワーショベルだってクレーンだって、その大部分は骨組みだ。機構部が全体にまんべんなくくっついているわけじゃない。パワーを伝えるワイヤーとか油圧のパイプとかでいいんだよ。ジョイント部がしっかりしとけば大丈夫。ややこしいものは要らない。パラリンピックでは脚の膝から下が無い人でも義足ですごいスピードで走ってるでしょ。バネがあれば上等なんだよ。
 モーター使うか油圧使うか知らないけど、カベチョロンが超パワーを発揮して大暴れするとしたら、手足の先端は固定してより胴体に近い部分を振り回した方がよっぽど早いし強力だ。筋肉に相当する部品は末端にはほとんど要らない。かかしにパンチ機構を内蔵するよりも、かかしでぶん殴った方が強いのと同じだね。」
釈「そういえば、厭兵術では手を槍のように使うと言いますね。手をつんと伸ばしてあたかも棒が突き出しているようにして、パワーは腹とか足の歩法から来る。手を伸ばして体当たりするようなものだって教わりました。」
まゆ子「そうそう。だからカベチョロンには肘が無いということにしよう。その代わりに手首が二重構造で自在に動いて自由度を確保する。脚も膝は無くて、というか膝と股関節の距離が短くてあたかも膝が無いように見えて、手足が棒のようにすっきりしてる。」
釈「そんな脚でも歩けるんですか。」
まゆ子「馬とか鹿とかは、膝に見える所はありゃ手首足首だよ。手の甲足の甲に相当する部分がにゅっと伸びてまるでスネに見えるけど、ホントの膝はもっと上の方に有る。カベチョロンはどうせ脚で歩く機能はおまけだし、ロケット噴射無しで高速運動できるわけは無いんだから、脚なんてつっかえ棒で上等なのさ。

 あ、言い忘れてたけど、ガンダムというものは身長が人間の十倍あるわけだし体重は千倍あるんだけど、重力は生身の人間と同じ1Gが掛かるんだな。高い塔が崩れるよりもおもちゃの塔が崩れる時間の方が十倍以上早いように、十倍ロボットが重力を利用して歩こうとすれば、人間と同じタイミングでは動けない。まるで月面に居るように、スローモーションみたいにゆっくりと動くんだよ。手足のコンパスが長くて動く距離自体大きいからそれなりに早いんだけどね。だから、巨大ロボットが人間と同じタイミングで動こうと思ったら、手足の筋肉なんか強化してもまったくの無駄。機体の重心部分を強制的に推進して重力を無視して動き、脚に運動機能を期待しないでも済む構造にすることが必要。つまり手足なんかほんとうに飾りで、発泡スチロールのつっかえ棒でも上等過ぎるんだな。」

釈「じゃあガンダムのアニメというのは、完全なうそっぱち?」
まゆ子「かって詳細に分析した結果、ガンダムの設定、科学考証はまるっきりうそっぱち、どころかどこを取っても使い物にならない。という事が判明したよ。ガンダムの設定を流用して科学的におかしなところを修正してリアルSFにする、という事すらできない完璧でたらめだった。当然ガンダム本体も動けっこないという結論を得た。真面目に動くことを考えてるカベチョロンが可哀想なほどに、ガンダムはでたらめなんだ。」
釈「しかし、ロケット噴射で歩き回り格闘するロボットというのは、まるで、・・・こどもが人形のロボットを手で持ってびゅわ〜んと動かすみたいじゃないですか?」
まゆ子「そういう運動が、理想だね。」

 

釈「では最後に、パイロットを考えてみましょう。カベチョロンは弥生キャプテンで確定ですけど。
 そうですねえ、かっこいいけどガキの男の子ですかね、普通は。アイドル的にヤヲイの腐れ外道の女の子向けに売り出すんでしょうから、そうでないといけませんよ。3040才の渋いエリートパイロットなんてのは却下です。これはアニメの要求ですよ。」

まゆ子「といっても、ガンダムみたいに引きこもりやヤンキーを乗せるわけにもいかないし、ちゃんとしたパイロットの教練受けた人じゃないとダメだろ。交戦規定とかジュネーブ条約とかもちゃんと理解できなきゃいけないし、なによりブルって味方を誤射しないだけの自制心が必要だ。長距離ミサイルなんてのもぶっぱなせばいいというもんじゃなくて、一種の詰め将棋みたいなところがある。バカにはまったく無理なんだ。だからあー、かなり多くのロボットアニメでは天才少年少女が乗ってたりするんだよね。さすがにガンダムのパイロットは嘘っぽ過ぎるから。」
釈「む〜。そう言われてみればガンダムのパイロットってバカばっかりなんですよね。」
まゆ子「さすがに、最近はバカに利口がちょと混じってる。」
釈「でも、普通の男の子が乗れるというのがガンダムのいいところですよね。巨大で強力でスゴイ威力の武器をぶっぱなす、そういうのが男の子の自尊心とか自己同一性とかをくすぐるんです。ここに小難しい理屈を導入すると、売れないんですよ。」
まゆ子「そうだったな、ヲタクが喜ばなきゃ売れないんだった。なんかいいアイデアないかな。」

釈「むちゃをするんでしたよね。ガンダムですらあり得ない無茶を。・・・・・・・・・はーとまん先任軍曹というのはどうでしょう・・・・・・。」
まゆ子「ふ、ふるめたるじゃけっとね! ロボットに乗る訓練で殴られまくったり酷い罵倒を浴びたり両生類の排泄物扱いされるわけだね。それはー、・・・・・・徹底的にやると、おもしろい!」

釈「おもしろい!!」

2004/10/3

 

統則ロボット”タコハチ”の話

まゆ子「今日は長年の懸念であった、タコ型ロボットについて話してみよう。」

しゃくてひ「あ、この、”本気で使えるSF機械のこーなー”で、文章だけ有るやつですね。でも、これ、なんなんです。」

まゆ子「まあ、詳細もこの際適当にお話しするということで、これがそれです。」

釈「わあ、が出た。・・・・・・・・・・、四本脚のタコ、ですか。」

まゆ子「八本だよ。主腕が二本二対で四本。真ん中の車輪のようなのは、大型吸盤だ。つまり真空掃除機ね。これでガラス壁面にぺたっとくっつく。つまりこれも脚なのよ。で、目のように見えるところはカバーであって、ここもぱかっと開いて人間の手のような細かい作業の出来る腕が出てくる。これが一対で、計八本だ。」

釈「おお、なるほど。そういう細かい設定が有るんですね。でも結局は前後の二対で間に合うんじゃないですか。」

まゆ子「やろうと思えばね。主腕の先にも指が一対あるから、それで大抵の事は出来るようになってる。手を使うのは爆弾処理とかコンピュータとかを操作する時だけだよ。」

釈「じゃあ、細かい腕が無いバージョンというのも有る?」

まゆ子「ある。大サービスでもう一枚。これはソルジャータイプで通称”タコろく”。上のはスカウトタイプで”タコはち”よ。」

釈「下の方は、タコっぽくないですね。なんですか、箱?」

まゆ子「わざと箱っぽくしてみました。つまり下のは、普通の兵隊と共に活動して、兵隊の代わりに戦争をするんだよ。だから装甲が厚い。厚い装甲は作るのめんどくさいから、製作に簡単な平面を主調にデザインしてみたの。装甲が厚い分重量も増えてるから、スカウトタイプよりは移動可能の場所も減るわけで、ビルの壁面を直接登ったりしないから、真空掃除機の脚も無い。主腕も損傷を恒常的に受けるだろうということで、細かい部品を連結するタイプになってる。スカウトタイプが一体型なのとまるで違うよね。」

釈「じゃあ、これはタコである必要が無い、ということですか。というか、これはタコじゃない。」

まゆ子「しかし、タコ以外のモノで比較するような生物はいないでしょ。だから、これはノーチラスと呼んでいる。オウム貝ね。装甲が厚くて角張ってる統則ロボットなの。」

釈「まゆ子さんは、このタイプのロボットは、統則と呼ぶんですね。統則てそもそもなんなんですか?」

まゆ子「わたしが適当にでっち上げた、ロボット制御の方法で、主に人工筋肉を使うタイプのアクチュエーターで利用される。簡単に言うと、人工筋肉一単位にそれぞれCPUが付いていて独自の制御プログラムが動いている。そのユニットが複数連結して全体を構成する、というのがこの制御方法なのだよ。」

釈「ばらばらに動かすといい事あるんですか。」

まゆ子「まず、蛸足がぐにょぐにょしてるということがある。しかも、脚の全体のどこか、がなにかに引っ掛かって全体として足場を作って動かす、というのは理解出来るね。人間の足やタイヤと違って、接地する場所が不特定だ、ということね。」

釈「はあ。そう言われれば、めんどくさい代物ですね。定型的な運動が出来ないわけですよ、これ。」

まゆ子「つまりそういうことよ。中央で集中管理しようと思っても、場面ごとで千差万別、よくわからない。だったら、地面に接触するそれぞれの筋肉で勝手に処理して、全体として目的の方向に動けばいいじゃん、というわけよ。」

釈「つまり、効率的に手抜きをする手法、というわけですね。」

まゆ子「イヤないい方だけど、そうだ。というか、これタコじゃん。タコは水の中に居るものよ。水の中で浮力が掛かる状態で水底を歩く、あるいは水中のパイプの障害物が有るところをずるずると抜けて行く。あるいは水没した船舶の天井に貼り付いて動く。更には障害物を蛸足で排除する。といった機能を実現して、さらにさらに浮力の無い重力の掛かる陸地でも動ける、というわけなのだよ。そんなもんプログラム出来るか!」

釈「・・・・・・・、そもそもこんなもの作るなよ、と先に思っちゃいますよ。」

まゆ子「いや、ね。それはそれでいい判断なんだけど、でもタコ型ロボットというモノは、陸上ではとても便利なんだよ。まず背が低い。つまり匍匐前進してるみたいなもので、鉄砲玉が当たりにくい。その上、接地面積が大きい。タコ足が地面にねたっと貼り付いてるからね。ということは、重量物でも運搬可能ということ。その上足がいっぱい有るから多少壊れてもちゃんと動ける。その上、、虫の脚と違って地面を引っ張る感じで歩くから、ほんとに最後の一本だけ動いてれば動ける、というものよ。」

釈「ほお。じゃあ、障害物とかがあっても、タコ脚は引っ掛からない?」

まゆ子「それは素材の問題なのさ。普通のゴムだったら、有刺鉄線とかに引っ掛かったら破けちゃうでしょ。でも現在の技術なら、ゴムみたいに柔らかくても金属の刺でも破れない耐えられる素材が作れるのよ。つまり、現在ではタコ脚でも大丈夫になった。」

釈「でも、遅いんじゃないですか。タコは地面の上では遅いですけど。」

まゆ子「それが接地面積の問題なのだよ。つまり、地面に掛かる重量が高ければ、動きづらい。しかし接地面積が大きくなると単位面積あたりに掛かる圧力が低くなる。摩擦が小さくなって動き易くなる。それに、タコ脚だからと言ってタコのように動くとは限らない。一本一本が尺取虫みたいにうにょうにょ動いて効果的な前進力を生み出す、という考え方もある。でもそんな、場面によって運動方法を変える、というのはめんどくさいから、それぞれの筋肉に制御を降ろして最適な動きを任せるのが、統則制御、なんだよ。」

釈「地雷はどうなんですか。地面を這っていたら、地雷に引っ掛かるんじゃないですか。」

まゆ子「にんげんが引っ掛かるよりはよほどいいでしょ。まず、ソルジャータイプのタコ六はそれは部品の強度を強くすることで、無理やり押し切ることにしてる。接地面積が大きいから対車両用の地雷は反応しないし、対人用の地雷の威力では破壊できない。それに、機械なんだから、常に地面の状況をモニターしてる。センサーを使って常に地雷を探してる。だからこその兵員に随伴するロボットなんだよ。」

釈「じゃあ、タコ六は兵隊の代わりのロボットなんですか。」

まゆ子「そういう風に作られている。加えてパワーが有るから威力の強い武器が使える。人間が運ぶよりも重たい武器、多い弾薬を運べるわけね。おまけにあらゆる所に侵入出来る万能の移動力よ。つまりジャングルとかを移動するのに、タコ型は威力を発揮するわけ。」

釈「ジャングルですか、ベトナムですね。ジャングルは人間型が有利というわけじゃないですよね。車も使えない。」

まゆ子「どうする? 他に代案ある?たとえば、蜘蛛型とか。」

釈「うううううううううんんんんん、ジャングルで適当な形、というのは、ヘビ? いや、それじゃ何も出来ないし。・・・・タコ六でいいかもしれません。」

まゆ子「ま、実物があるわけでも無いからね。」

釈「でも、イラクはどうなんですか。ジャングルは無いでしょ。」

まゆ子「タコ型は、沙漠でも動きに困りはしないよ。接地圧が低いと行ったでしょ。まあ、車輪の方が早いんだけど、兵員の代わりだから、沙漠のほとんどでは移動はトラックに乗って行く。普通の兵隊がそうであるように、戦闘する場所まで車両で移動するということになる。イラクは沙漠というよりは岩漠だけどね。」

釈「でもスピードはどうなんです。タコ型はどうみても早いようには見えないんですけど、時速何キロくらいで走れるんですか。」

まゆ子「そこがあれよ。まず人間の兵隊はちっとも早く無いことは分かるよね。重たい装備担いで、弾が当たらないように屈んで動くんだから。せいぜい最高時速10キロくらいね、それも短時間、というか数秒よ。障害物に隠れながら、ちょこちょこ走る。だからそんなにスピードは要らないし出ないから、スピードを必要としない運動しかしない。」

釈「つまり、テレビでやってる映画みたいにちょこちょこと隠れながら動く、というわけですね。車が無いと始まらない。」

まゆ子「現在の戦争は自動車が無いと話にならないわ。昔は何日も掛けて歩いて行ったけど、今は自動車があるのが当たり前の作戦しか使わない。」

釈「タコ六もそういう風に使うんですか。というか、兵員の随伴というのだからそうですよね。」

まゆ子「そうなんだ。実はタコ六自体は機械なんだから、燃料の有るかぎり何時間でも動けるんだ。時速10キロしか出なくても、ずっと10キロ出しっぱなしだと人間よりもはるかに大きな距離を移動できる。でも、所詮は機械であって、人間が側に居てコントロールするという前提で設計された兵器だから、判断力が無い。無線によるコントロールも途中で妨害される可能性がある、というのを前提として運用されるから、仕方なしに人間と同じ動きをしなければならない。だからこその装甲の強化ね。人間の兵員と共に動き兵員を庇いながら大火力で敵を牽制する。敵の殲滅は、現代の戦争だと航空戦力が爆弾落してするわけで、また後方から長距離射程の迫撃砲とかミサイルでやっつけてもいいわけね。だから、兵員による占領の補助というのが、タコ六の主任務なんだ。」

釈「?? 飛行機とミサイルで、やっつける、ということは、別に兵員に大火力は必要無い、ということですよね。じゃあ、観察というか偵察に小人数出せばいいだけなんじゃないですか。」

まゆ子「だから、スカウトタイプのタコ八なんだよ。火力は控え目、装甲も人間程度。重量も軽くて行動時間が長い。人間と共に動くというよりも、人間には出来ないような場所を動いて敵に接近し、敵の情報を隠密裏に取得して後方に控える大火力に目標を示唆する。それがスカウトタイプのタコ型ロボットに求められるものなのだよ。」

釈「そういうことか。つまり、タコ型ロボットの本物というか主役はタコ八なんだ。だから、なんか変だと思った。」

まゆ子「そういうわけ。タコ六はタコ八に使える技術を使って、兵員随伴型のロボットを組み上げてみました、という代物なのよ。ただ、兵員で直接精密作業みたいにやるオペレーションがあって、人間を使うのはすこし危ないからタコ六はそれに使えばいい。しかしあくまでタコ八が戦闘ロボットに求められる正統派なんだよ。」

釈「じゃあ、タコ六は、無駄?」

まゆ子「或る意味無駄。しかし、逆に、タコ六の火力が十分に普通の兵員にとっては脅威だということを考えると、タコ六の相手は無人兵器、ロボット兵器でやるべきだ、という結論を得る。無人装甲兵器といえば、一番有りそうなのが装甲軽車両を無人で動かして武装を自動で動かす、という簡易戦車なんだけど、こういうのに対抗するのには、人間では持てない強力な火器、対装甲ライフルとかを使えるタコ六は極めて有用。つまりなんだ、無人兵器対決をする戦場においては、タコ六は生身の兵員を完全に代行する能力がある、という位置づけなんだ。」

釈「あ、ああ。タコ型ロボットだけがロボットじゃないわけなんですね。そうか、そりゃそうだ。じゃあ、二足歩行するロボットもあり得る、と。」

まゆ子「それはー、・・・・・・・わかんないや。どうも最近のニュースとかを見ると、パワードスーツが近未来、たぶん20年以内に戦場に出てくるのは確定らしいから、人型装甲兵器はどうもありそう。でも、それが最適解かと言えば、わかんないよ。」

釈「で、タコ型はジャングルに最適、なんですよね。」

まゆ子「その他の形のロボットよりは、よほどね。」

釈「ジャングル戦、てやりますかね。今時。」

まゆ子「むうー、いいとこ突くね。ベトナムみたいのは、アメリカも二度とごめんだろ。日本だってごめんだ。ロシアだって。だから、やるとしたら、・・・・ロボットも使えない貧乏国同士、かな。」

釈「うー、それはどうも、なんと言うか、言わざるべきか。」

まゆ子「というわけでコンクリートジャングルをやってみましょう。ニューヨークだってトーキョーだって、水路や下水や高架がひしめく、文字どおりのジャングルなんだよ。」

釈「ゲリラ戦ということですね。あるいはテロリスト。」

まゆ子「そういうところで大火力をバカバカ使うのは馬鹿馬鹿しい。普通のライフルで手榴弾、小口径グレネード弾使えれば上等ということになる。タコ八だって手が付いているんだから、対戦車ミサイルも撃てるわけだし、火力という点においてはまったく遜色はない。」

釈「ふむふむ。でもパワードスーツはあり得るんですよね。テロリストが強力な武装やら防弾やらしてるという可能性も、」

まゆ子「考える必要は無いね。何故ならば、タコ八はライフル装備といえども、銃弾は強力な強装弾だ。人間には撃てない強力な弾でも、タコ八は撃てる。それは普通の防弾車くらい軽く貫いてしまうんだよ。近未来の人間用装甲じゃあ、弾よけにもならない。」

釈「はあ。」

まゆ子「逆にタコ八の防弾だけど、ま、これはいいや。確かに大した防弾力ではないけれど人が乗ってるわけじゃなし。各部を独立して冗長性を高めておけば、一発二発で機能不全に陥ることは無いでしょ。というか、そういう時の為の統則制御よ。手足が二三本千切れてもちゃんと動く、人工筋肉ユニットが一部破損しても、まわりの生き残ったユニットが代替して全体としてのパフォーマンスを回復迂回するように、最初から出来ている。それに、タコ八には光学迷彩も付いてるし。」

釈「おお、あの例の、目に見えなくなる奴ですね。」

まゆ子「見えるよ。」

釈「見えるんですか。」

まゆ子「発光するんだから、そりゃ当然見える。水中から見ると腹が光ってる物体の方が目立たないでしょ。お魚の上下で色違うじゃない。」

釈「ああ、ああいう風になるわけですね。」

まゆ子「それから、人というものはコントラストでものを見分けるわけよ。影と日向の違いね。それが、影であるべき部分が発光して陰影を潰してしまえば、距離が分からなくなる。特別に光る斑点とかを持っていれば、それが物体であるという事すら分からない。また、完全に全体が光っちゃうと、形が分からないから何か分からなくなっちゃう。」

釈「じゃあ、目立った方が分からない?」

まゆ子「現実ではね。もちろん、完全に自己主張の無い暗色の迷彩の方が適当な場合もあるけど、発光はシチュエーションによってはかなり有効なんだよ。もっとも人間を光らせる迷彩なんか今まで無いし、個人として考えると、心理的にヤバいと思うから使えないけどね。それから迷彩模様ね。普通の迷彩は最近はなんだか葉っぱみたいな形の明暗の色の互い違いじゃない、でもあれは、影が出来ると暗い方は全部暗くなっちゃってやっぱり分かるのよ。暗い影でも明るくあるべき部分が光ってたら、それは分からない。」

釈「ほおー、光るてのはそんなにいいものなんですか。でもタコなんだから、煙幕という手もありますね。」

まゆ子「うん。グレネーダで煙幕弾撃ってもいい。それか、後ろのコンテナから信号弾発射器を取り出すという手もある。」

釈「この、後ろはぱかっと開いて中身を取り出すようになってるんですよね。ミサイルとかも入ってるんですか、やっぱ。」

まゆ子「いや、もちろんミサイルもいいんだけど、消火器とか爆弾処理セットとかロープだったり緊急救命セットだったり、それか小タコだね。小さなタコロボットが十数体入ってて、家屋内部に侵入監視する。」

釈「それだ。それは可愛いやつですよ。でしょ。」

まゆ子「うむうむ。可愛いから”e-TAKO”と呼ぶ。」

釈「飯蛸?」

まゆ子「ふふふ。」

釈「ふふふ」

まゆ子釈「ふふふふふ」

END

2004/07/12

 

 

大きなお姉さんロボの話

まゆ子「とりあえず、大きなロボットを考えてみた。」

釈帝「おおきな、ってどのくらいですか。あ、みなさんこんにちは、”まゆ子のましなりぃ withシャクティ”の時間です。」

まゆ子「いつそういうタイトルに代ったんだ? まあいいけど。
で、大きなロボットなのだよ。身長3メートル体重500キロ、ムチムチプリンなおねえさま型ロボットなのだ。」

釈「おお! いきなりそう来ますか。なんです、そのまるっきり趣味なのは、萌え萌えですよね。」

まゆ子「そうなんだ。萌え系大型ロボを考えてみたんだよ。おおきなお姉さんがエロエロで動き回るリアルロボット漫画なのだ。」

釈「そういうのは、たちどころに却下、じゃないんですか。」

まゆ子「普通ならそう。特にこれでバトルとかやるってのならそりゃあもう、馬鹿馬鹿しいんだな。」

釈「にも関らず大きなお姉さんを出すわけなんですね。」

まゆ子「だってリアルだもん。」

釈「分からないなあ。どおして、そんなリアリティの無いロボットがリアルなんですか。」

まゆ子「だってさ、趣味っぽいでしょ、これって。趣味なんだよ、これ。こんなものは普通あり得ない。ホビーとしてもあり得ない。でも趣味としてあり得る。どうやって?」

釈「いや、そんなの分かんないんですけど。趣味であって、ホビーでない? 仕事ですか、ロボットの役者さん?」

まゆ子「もっと実用的だよ。つまりね、これは”フランケンシュタインの花嫁”なのだ。」

釈「はあ。フランケンてあのフランケンシュタインですよね。死体を切り貼りしてつくった例のフランケン。」

まゆ子「まさにそれだね。」

釈「じゃあ、そのお姉さんはフランケンシュタインの怪物というわけですか。」

まゆ子「当たらずといえども遠からじ。フランケンの末裔がこれなんだ。」

釈「じゃあ、そもそもフランケンとはなにか、という問いを発せざるを得ませんね。」

まゆ子「それは、実は非常に簡単な答えがある。フランケンシュタイン博士は別に怪物を作りたかったわけじゃない。要するに死者を蘇らせる研究の結果として、死体を継ぎ剥ぎした怪物を作ったのよ。ということは、フランケンの末裔というのは。」

釈「サイボーグだ。」

まゆ子「御名答。デカいからといって化け物じゃない。必要がある大きさ、技術によって可能になる大きさというのがあるんだ。それが3メートル、500キロなんだよ。」

釈「でもなんでそんな大きなものを作らなきゃいけないんですか。サイボーグってのは本来生きた人間の身体を機械で置き換えるものでしょ。」

まゆ子「そだよ。でも出来ると思う?」

釈「いや、今の技術では出来ないような気がするんですけど。」

まゆ子「人工心臓ってあるでしょ。最近は永久埋めこみ型の人工心臓もあるらしいけど、でも動力は別なのよね。」

釈「え、動力別?」

まゆ子「そ。動力は別。電気で動くにしても空気圧で動くにしろ、現在の技術では動力別。身体の外から動力を供給し、さらに電力で動いてる。」

釈「じゃあ、今の技術では本質的な意味で埋め込み型の人工心臓は出来ないってことですか。うわー、じゃあ相当不自由ですね。」

まゆ子「もう分かるでしょ。動力を内蔵すると、この大きさになる。単に人工臓器を動かすだけでなく、そのための動力電力を発生させる機構を内蔵して、更に自由に動き回るためには、スゴイ力が要るのよ。それは普通の人間の筋肉骨格では詰め込めないから人工の身体が要る。その身体を動かす為の動力も要る。人間としての形を維持したままそれだけの動力を内蔵するには、巨人にならざるを得ないのよ。」

釈「ほー、聞けば聞くほどなるほどですねえ。でも、電池じゃあ動けないんですか。」

まゆ子「ASIMOが背中に背負ってるバッテリーで30分だったっけ。」

釈「理解しました。だめですね、やっぱ。発電機が必要ということです。」

まゆ子「今現在の技術で言うと、連続的に発電するには燃料電池か内燃機関による発電機しかないね。燃料電池は未だ開発中だし500キロの巨人が走り回るのに必要なエネルギーを作り出せるかかなり疑問が残る。なら、定評のある内燃機関、エンジンを載せるべきではないかな。」

釈「しかし500キロとなると、生体の筋肉やら骨格は使えませんね。人工筋肉ですね、電気で動く。」

まゆ子「そう考えるといいかな。なんでも最近、反応速度は遅いけどパワーは数百倍という人工筋肉が実験的に開発された、という話だし。ま、そこらへんは許容すべき虚構よ。」

釈「うーん、じゃあやはり完全には実現出来ないというところで考えていくわけですね。」

まゆ子「だってムチムチプリンの女性型だもん。絵的にかっこよくないとダメでしょ。」

釈「もっともです。で、なんに使うんです?」

まゆ子「へ?」

釈「へ?じゃないでしょ。なんの為にそんな大きなロボットがあるんですか、と聞いてるんですか。」

まゆ子「だからさ、サイボーグだよさいぼーぐ。サイボーグに用途なんか無いでしょ、生きてく為に仕方なしに機械の身体になったんだから。」

釈「あ。あ、まあ、そりゃそうですけど。でもそれじゃあ設定的に許されないと思うんですけど。」

まゆ子「だから、趣味よ。実際生きてくだけならこんな大げさなものは必要ない。でも、ベッドに縛りつけられて人工臓器と接続されて一生を送る、それでいい?」

釈「あー、それはあ、人並みに外を出歩いてみたいとか、やっぱり思いますけど、でも。」

まゆ子「別パーツで後ろに電源車とか引きずって歩くという手もある。限定的短時間だけバッテリーで単独で動くという手もある。ただしわずか30分でもASIMO並みのボリュームが必要なのよね、バッテリー。それを、人体のどこに内蔵する?」

釈「人体に内蔵、ですか。」

まゆ子「できるだけ生身の身体を保存したまま人工臓器を動かす、となれば、内蔵するか背負うかしか無いでしょ。でも並みの人間が、それも病み上がりの人間が20キロ30キロもある電池を背負うわけよね。よっぽどの筋力体力が必要だわ。」

釈「むり、ですよね。それは。」

まゆ子「つまり、後ろに引っ張るのが現実的だね。容積も形状も重量も何も考えずに設計出来るわよ。でもそれで最終形態として納得出来る? 自由に動き回れる、と満足出来る?」

釈「うーんんん、」

まゆ子「更に、身体の骨格筋肉が失われた場合のサイボーグ化だとして、どうしましょうか、動力車の上にボディを載っける?」

釈「現実的な設計だと、思いますけど、それはなんというか、あきませんね。」

まゆ子「ロボットだわよ。ほんとにロボットそのものだわよ。でも、ここに人間としての形を保ったままの人工のボディが作れるとしたら、で、動力を引きずる形でもともかく自由に動き回れるとしたら、どう?」

釈「難しい選択になりますね、費用はどうなんです?」

まゆ子「人型の方がそりゃ高いわよ。但しランニングコストはあんまり変わらないような気がする。足が車輪の形のロボット型、というのは他の人間にとってはかなり違和感が有るでしょうけど、人型で後ろに動力車を引きずっている、というのなら、まだ人間的なんじゃないかな。」

釈「それは、現在の技術で出来るんでしょうか。」

まゆ子「ASIMOからバッテリーとコンピュータ降ろして後ろに車で引っ張って行く、というのは十分に可能だね。よっぽど人間ぽい形状にロボットを作ったとしても何とかなる。問題は生体をのっけるとどうなるか、だけど、そこはまた別の技術だからここでは不問にするね。」

釈「なるほど。形はいいわけですよ。人間型で、動力を引っ張ってというのは可能だ、と。ではそのロボットの大きさはASIMOとかくらいでいいんですか。」

まゆ子「そこが問題だ。ASIMOはあの大きさが許されるとして、それにまあ10数キロの内臓とか脳とかを載せて生体維持機能を付加するとしたら、倍の大きさは必要でしょうね。」

釈「ASIMOの倍、ですか。えーASIMOのおにいさんのロボットはもっと大きいんですよね。」

まゆ子「180cmはあるね。重量もASIMOが45キロくらいかな。それに対してP3は、ておにいさんロボね、は130キロくらいだったかなあ。稼働時間は長いんだけどね。」

釈「うーーーーーーんん、じゃあつまり、内臓を内蔵すると、ロボットはかなり大きくなる。少なくとも人間よりは大きくなる。」

まゆ子「間違いなく、ね。それに、生体維持機能を内蔵するとなると本体にも最低限のバッテリーは必要でしょう。電源車が何らかの問題で脱落する可能性は否定出来ない。まあ、生体を車に載せて、ロボットを操縦する、という姑息な手段もあるけど。」

釈「それは止めましょう。」

まゆ子「うん、現在の技術では感覚の共有が実現出来ないからね。移動の感覚を得られないのであれば、それこそ車に乗ってたらいいよ。」

釈「あくまでロボットに生体を載せるとして、ロボットは大きくならざるを得ない。100キロ200キロは当たり前。」

まゆ子「200キロだと、P3のフレームじゃあ動けないでしょうね。もっとデカい。」

釈「ひえー、2メートル越えます。」

まゆ子「だからさ、大きなロボットなんだよ。」

釈「そりゃあ、高価いんでしょうねえー?」

まゆ子「軽く1億は掛かるでしょう。」

釈「億ですかーあ?」

まゆ子「手術でも億は軽くふっ飛ぶ。3億くらいは負担しなきゃいけないんじゃないかなあ。」

釈「そこまでして生きたいですかあー。」

まゆ子「金には換えられない。もし大金持ちであれば、そのくらいなんとかするでしょ。高級マンション買うのに比べれば何ほどでもないわよ。」

釈「金満日本ですよー、それ。」

まゆ子「だってサイボーグだもん。そりゃあそうでしょ。保険も効かない。」

釈「うわああああ、一般庶民はどうなるんだー、金持ちだけが不老不死の機械の身体を手に入れられるのー。」

まゆ子「銀河鉄道999の世界だね。しかし、まさにそうよ。資本主義社会てのはそういうもんだ。て、共産主義でも国家元首はそうか。」

釈「うわあああああ、めーてるー、無料の定期券くださいー。」

まゆ子「しかし、ものは考えようよ。金持ちならばこのくらいの負担はやっちゃうんだよ。そしてだよ、そこまでお金を出せるのであれば、当然次を考えるでしょ。電源内蔵を。」

釈「え、」

まゆ子「電源を内蔵するには、更に大きく強力なロボットのボディが必要だ。多分3メートルで500キロくらい。それより大きいと人間社会では暮らせない。しかし3メートルはぎりぎりで人間社会で暮らせるんだよ。天井高も普通のビルなら3メートルあるし。」

釈「あのー、だめで元々で聞いてみますけどね、生体の筋肉で作ったロボットってので、それに内臓とかを載せてみる、というのはどうでしょう。生体ならもともとコンパクトに作れるんじゃないかと。」

まゆ子「どのくらいの大きさの動物を想定してる?それ。」

釈「いや、人間くらいの。」

まゆ子「人間の内臓と脳と、それを維持する機械とバッテリー、それに加えて身体を維持する為の内臓が載ってるわけね。ブタよりは大きいわよ。ロバくらいかしら。」

釈「ろ、ロバが二本足で歩いて、人間の生体を背負ってる、わけですか。」

まゆ子「ご飯たべるわよー。一日十キロご飯が要る。一日の大半を寝るか食べるかしなきゃいけない。食後はお昼寝しなくちゃね、消化の為に。」

釈「人間の自由になる時間が無い、というわけですね。うーん、確かに電気で済む身体の方が正常な進化のような気がする。」

まゆ子「動物のからだを使う、という発想はまさにフランケンシュタインの正当な後継者なわけなんだけどね。しかし、所詮は自分のものにはならないし、生体機能を共通化するのは考えない方がいい。どう考えても厄介だよ。やるんだったらマジモノの人間の身体の交換を考えた方がいい。と言ってもそりゃあ倫理的道徳的に無理なんだけどね。」

釈「メンテナンス、スゴイ手間掛かるでしょうね、お金も。」

まゆ子「まあ、サイボーグ二体分かかるわけだからねー。まだ機械の身体の方が安くつくし、トラブルも半分だ。機械部分の故障は直接生体機能の維持には影響しないけど、生体共通化だと、どっかの不具合で即死もあり得るしね。
 だから、サイボーグとして生きる場合、野原を飛んだり跳ねたりは大きなロボット型でないと、無理という結論に達する。動力内蔵式で3メートル500キロ。これが望ましいサイボーグなのよ。もし小型原子力電池というのが実用化されない場合は、これを許容せざるを得ない。あるいは、もう思い切って脳以外の生体部品を全廃してしまって、脳だけを生かすわけなんだけど、それは現在の技術では不可能ね。」

釈「かなり、嫌な設定ですね、それって。内蔵を抜き出しても、脳だけを生かすことは出来ない。感覚をロボットに繋げられないけど、生体に直接感じさせる。ロボットは有り得るけれど、そんなに自由には動けない。電気で動くけれど動力は大きくて重い。」

まゆ子「それらの制約をクリアできるのが、大きなロボットなんだな。」

釈「うーんん、でもそのムチムチプリンのおねえさんロボがバトルする、てのはいくらなんでも嘘っぽいです。」

まゆ子「わたしもそう思うよ。たとえおねえさんロボが銃弾を跳ね返す装甲を持っていたとしても、無駄が多過ぎるし、第一コストパフォーマンスが悪過ぎる。なんせ戦車買えちゃうほどの金額を浪費するわけだからね。いくら効率がよくても装甲車両ほどの働きをするとは思えない。まだ特殊部隊員を養成した方がマシよ。というか、生身の人間だってまともに使えるようにするには相当の金掛かるんだけどね。飛行機のパイロットで1億円くらい。特殊部隊員でも数千万円は掛かる。」

釈「じゃあ、たとえ不死身のロボットでも、そんなのを使うよりも、兵隊さん死んじゃうのに弔慰金を出す方が、安くつく?」

まゆ子「まさにそうね。戦争は数よ。兵隊の一人や二人死んでも代りはいくらでも居る、というのが正しい戦争のやり方。それを無理してサイボーグ化して蘇らせるなんてのは、非効率もはなはだしい。」

釈「にも関らず、おねえさんロボはバトルする、と。」

まゆ子「だからさ、趣味なんだよ。軍隊としてはそんなまぬけなサイボーグ兵士を作ろうとは思わない。しかしどっかの金持ちが酔狂でサイボーグ体で軍隊に入ってくるのを拒む必要も無い。」

釈「ボ、ぼらんてぃあですか。ボランティアで戦争にイクんですか。」

まゆ子「普通それは義勇兵という。昔から特にめずらしくは無いね。」

釈「じゃあ義勇兵としての巨大サイボーグ兵というのが、将来的にあり得る、と。」

まゆ子「あるかもしれないし、無いかも知れない。だけど、もしもあるとしたら、対処する必要はあるよね。対サイボーグ戦闘の経験を一般兵士や特殊部隊員に積ませる必要がある。そこで訓練用として、というか噛ませ犬としてのサイボーグ戦士というのが必要だったりする。実際には戦争には行かないんだから、ハードル低いわよ。」

釈「でもでも、本当にそんなのが戦場に出てくることってあるんですかね。」

まゆ子「大きなサイボーグ体が実現可能だとして、それが戦闘に耐えられる性能を持つとする。もの好きな金持ちは世界中枚挙に暇は無いわよ。アメリカのミリティアみたいに民間武装組織てのがあるし、アラブのお金持ちというのもある。ましてそのお金持ちが身体を失ったのが戦場だった、とすれば、もう一度と思わないかな?」

釈「うーーーーーむーーーーーー。」

まゆ子「それにおねえさんロボは戦場に向いているのだよ。なにせおねえさんロボはおしりが大きい。」

釈「へ?」

まゆ子「おねえさんロボは人間じゃあない。人間の形をしていても、人間と同じ動きをするわけじゃあない。というか500キロもあっては人間と同じ動きは出来ない。」

釈「そりゃそうです。重たいから動きも鈍重、とはいかないまでも反動というか慣性は掛かるんです。」

まゆ子「おねえさんロボが防弾でも、やたらと銃弾を受けていいというものではない。だったらやっぱかがんで動くでしょ。」

釈「そうですねえ、身体を低くして歩くんでしょうか。しんどいですね。」

まゆ子「ロボだから感じないけど、負担は大きいだろうね。じゃあ、やっぱ脚部の構造を強化するべきでしょ。逆に上半身はそんな力は要らない。テッポが撃てればいいだけだもん。」

釈「鉄砲を撃つ、って大口径の鉄砲を撃ったりはしないんですか、おねえさんロボは。」

まゆ子「20ミリの連射は500キロの身体では無理でしょ。12.7でも怪しいくらいだ。だから、そうね、一般兵士が使う銃を装弾数100発くらいで両手で撃つ、くらいの火力かな。火力としては大した事ない。だから軍も無理してそんなサイボーグ兵を実用化しようとは思わない。ただし、そんなのに一般兵士が出くわしたとしたら、こりゃ災難だ。」

釈「じゃあ腕力はほどほどで、下半身は力強く、というのが実用上正しいろぼっと兵ですね。」

まゆ子「つまり下が大きい三角形をした身体、ということになる。女性形だ。」

釈「お。」

まゆ子「逆三角形の男性型は不適当、ということになる。見栄えはいいけどね。でも、さらにその上に防弾着なり装甲なりを装着するとなると、上半身ごつくなり過ぎだ。アーマー装着時でも上半身はすっきりしている方が被弾率は低い。となると。」

釈「おねえさんロボ、ですかあ〜。」

まゆ子「おっぱいはおぷしょんでもいいよ。」

 

2004/05/13

 

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