魔法少女まじかるぽたー いい加減設定 その1(07/09/14開始)

 

 

07/09/30

まゆ子「あー、今回は魔法の物理的構造についておはなしします。」

釈「すいません、それは相当に無謀な話ではないでしょうか。第一魔法には実体が無い。」
じゅえる「要するに嘘話だ、ってんだね。」

まゆ子「そうは言っても、物理的な実体が無いものを物語世界においても扱う事はできません。物理的になにも無いものは、物語においてもなんの役にも立たないのです。」
じゅえる「そりゃそうだが、なにかアテがあるの?」
まゆ子「なきゃこんな話しない。というわけでしますよ。

 

そもそも魔法というものは、魔法回路と魔力と魔術師と、三者が揃わないと発動しないものです。ではそもそも魔法回路とはなにか、魔力とはなにか、魔術師はいかにして魔法回路を獲得し魔法力にアクセスするか、物理的な裏付けが無いと困るわけです。」

釈「すいません、魔力と魔法力と魔導力と魔法エネルギーの違いはなんなんですか?」

まゆ子「魔力ってのは、まあ言葉のあや。魔法に関連する力の俗称です。使用禁止にすべき言葉ですが、歴史的経緯から使ってる。

魔法力とは、物理現象を引き起こす魔法の力の事です。つまり物理的な実体を持つ魔法の働きです。観測出来る物理現象を引き起こしたソレ、という意味ですね。
魔導力は魔動力ともいい、簡単にいうと魔法回路を駆動する為に使われる魔法エネルギーの事です。魔動力が魔法力に変換されるのが、物理魔法です。
逆に言うと、魔法回路を駆動しなかった魔法エネルギー、つまり貯蔵されるあるいは放出されて終った魔法エネルギーは単に「魔法エネルギー」と呼ぶわけです。」

じゅえる「つまり、ぜんぜん違うわけね。」
まゆ子「厳密な使い分けが必要です。」

 

釈「では物理的ななにかを引き起こす魔法とはなにか、ですね。なんなんです?」
まゆ子「皆さん御存知のように、魔法の力というものは非常に小さい。無いに等しいものです。それを魔術師が無茶をして物理現象を引き起こす為に使っている。
しかし、そもそもどうして魔法で物理現象が起きるのでしょう?」

じゅえる「え? そりゃ物体に働き掛けるから起きるんでしょ?」
釈「あ、いやそれはちょっと違います。炎が点いたり雷が起きるのは、物理現象といえども我々はその原理をちゃんと知っています。やみくもに魔法が動いているわけではなく、合目的に働いているんです。」

じゅえる「あ、そうか。魔法のコントロールがちゃんとされていて、必要とされる物理現象に選択的に働いているんだ。しかし、石が浮いたりするのと、雷が起きるのとではずいぶんと違う…。」

まゆ子「同じです。それらは皆、電磁気力によって成り立っています。つまり魔法は電磁気力に干渉できる力なのです。という事は、魔法は電磁気と明らかに関係するという事です。」

じゅえる「謎力ではなく?」
まゆ子「電磁気力です!」

釈「いや、それはよく分かりますが、電磁気力であるのなら魔法は普通に観測出来ますよね。なんせ電磁気なんですから。」

まゆ子「重力でない、というのは真空中で石を飛ばして見れば分かります。いかなる物理現象によって石を飛ばしますか?」
釈「え? いやーそれは、えーと反重力なんてものは、」
まゆ子「そりゃ魔法以上にありえない力です。」

釈「つまり、魔法は真空中ではものを飛ばせない?」

まゆ子「可能だとすれば、石を削って一定方向に粉かガスを噴出させてその反動で飛ぶ事です。ロケットの原理ですね。でもこれは電磁気力で説明が付きます。空気中の場合は、石の周囲の空気が動いているから、という風に説明できますが、これもまた電磁気力です。空気分子の運動が特定方向に制限されているって事ですから。」

釈「ということは、魔法は電磁気力以外ありえない、ということですか。」
まゆ子「しかし、直接は観測出来ない、しかも非常に弱い力だという事です。

 

だがここで視点を換えて、魔法回路の実体について考えてみましょう。魔法回路って、なに?」
じゅえる「不明。」
釈「謎です。」

まゆ子「分かっているのは、人体に付随し魔法を操るのに不可欠な存在、という事だけです。また意志によって成長させ機能を増大させる事が出来る。そして物理魔法のコントロールが出来る。また魔法エネルギーを呼び出す事が出来る。

で、魔法エネルギーってどこから来るの?」

釈「魔界から、ではないのですか?」
まゆ子「魔界ってどこ?」
じゅえる「黄泉の国じゃないの? 冥界とかあの世とか、地獄かな?」

まゆ子「そいうのって、本当にあると思う?」
じゅえる「いや! それはー無い。」
釈「無いとおもいますねえ。」

まゆ子「何も無いところからは、何も出ない。現代科学じゃ真空といっても電子がぎっしり詰っている、とか見出しちゃった。何も無い所からはなにも来ない。だから黄泉の国も無い。」
釈「魔法エネルギーはどこからも来ない…。」
まゆ子「しかし、それは来るのだ。

 

考え方を換えましょう。魔法エネルギーはいやでも来る。そして人体にはそれにアクセスする為の最低限の魔法回路があらかじめ備わっている。でないと、魔法回路自体を組み上げられない。魔法は人体に不可欠な存在として最初から存在する。」

釈「それは、かなり納得の行く前提ですね。」
じゅえる「人間誰しも魔法への扉を持っている。うん、それはまあ物語の前提として存在すべき設定だね。」

まゆ子「という事は、魔法回路というものは最初から自己の構造を持っている、という事です。最低限てのがどの程度のレベルかはさておき、魔法回路の基本素子よりははるかに大きい複雑なものであるのは間違い無い。或る程度組み上がり意識によって操作されるアクセスパネルのようなものを持っているのは確実です。そしてこれもまた、電磁気力によって制御される。
なにせ、脳の中身は電気信号と化学物質信号によるコンピュータ、ですからね。どちらも電磁気力によって成り立っているものです。つまり、意志によってコントロールされる魔法というものは、電磁気力によってコントロールされている、と言ってまったく問題がありません。」

 

じゅえる「強い力とか弱い力は?四つの力、てのがあるんだよね、物理的には。」
まゆ子「その二つと重力は、考える必要がありません。しかし、魔法と重力には似たところがあります。魔法は非常に弱い力ですが、重力も似たようなもの。電磁気力に比べてはるかに小さな力です。」

釈「小さくとも、巨大な質量によって宇宙全体を支配しているのですよ。」
じゅえる「じゃあ魔法も宇宙全体に広がる力ってこと?」
まゆ子「だが重力と違い、魔法は直接に確実に電磁気力に干渉しますし、またその発現は電磁気力の働きによってのみ観測の目に引っ掛かります。不思議現象というのは、現象の一つに過ぎないのです。」

じゅえる「さっきから電磁気力にこだわるけれど、でもじゃあ何故魔法は電磁気力と同じじゃないの?」
釈「そうですね、何故同じものとして此の世に存在しないんですか?」

まゆ子「あの世の電波、だからだよ。」

じゅえる「あの世なんて無い、ってさっき言ったじゃん。」
まゆ子「最近の仮説では、何故重力がこんなに弱いのか? を平行宇宙によって説明するものがあります。電磁気力・強い力・弱い力はこの宇宙の内部でのみ働くが、重力は無数にある次元を貫いて無数の宇宙で働くから、その分この宇宙においては弱いものとして観測される。本当は強い力が分割されているから、こんなに弱くなってしまう、ってのです。」

じゅえる「あの世がある、んだ。」
釈「うん。」

まゆ子「だが逆に考えると、何故電磁気力他はこの世にのみ限定されるのか? いやそれはむしろ不自然だ。他の次元、平行宇宙にも電磁気力は働き掛けている、ただ恐ろしく弱い力でしか漏れ出していない、という仮説は成り立たないだろうか?」

じゅえる「重力の逆?」
釈「異次元の電磁気力の痕跡、ですか?」

まゆ子「しかし、無数にある平行宇宙のすべてが私達のこの宇宙に満遍なく漏れ出していると、合成してかなりの強さにはなる。ただ、それは普通の電磁気ではないだろう事は間違い無い。」

じゅえる「この世の電磁気になんらかの働き掛けをするのは間違い無いが、通常の電磁気ではない存在、か。」
釈「たしかにそれは、私達が求めるべき魔法に、かなり近いものですね。」

まゆ子「これを大胆に、嘘っぽく設定して『反光』と呼ぼう。電磁気、つまり光、光子の反粒子だ。ま、光の反粒子は光なんだけどね。私達のまだ知らない性質が光にはある、という仮定で行こう。
他の次元から漏れ出てくる光子は、普通のこの世の光となにかが違う。しかし、それが識別出来るほどの強大な力をもっていない、というか数が無い。しかし確実に漏れ出してはいるんだ。」

 

釈「問題がひとつ。そんな稀なものが、なぜに人体によって制御できるほど多量に存在するのです?」
じゅえる「宇宙にまんべんなく漏れ出しているのじゃない?」

まゆ子「まんべんなく漏れ出していない、としたら?むしろ人間の身体を選択的に通路として漏れ出している、と考えよう。何故人間を通してか、ではなく、何故通路が人間でなければならないか、を考える。」

じゅえる「ここらへんからは与太話に突入しているな。」
釈「これからが見せ場ですよ。」

 

まゆ子「何故人間か、ではなく、何故人間に付随する魔法回路から反光は漏れ出すか? という話になりますね、魔法の話なんだから。これはつまり、なぜ人間に魔法回路が付随しなきゃならないか、という問いの答えに当たります。

結論を言うと、魔法回路が人間を作った。」

じゅえる「ちょっとまて。遺伝子と受精卵とかは関係無し?」
まゆ子「いや、それ以前の問題。生命の起源の話だよ。なぜ生命は発生したのか、いかにして発生したのか、生命の発生は宇宙中でまんべんなく起こる普遍的な現象なのか?」
釈「つまり、魔法回路が生命をうみだした、と?」

まゆ子「電磁気力に干渉する力である魔法が、化学反応の連鎖によって成り立つ生命の誕生に寄与しても特に不思議はないでしょ。というか、むしろ魔法が否応なしに生命を生み出す、と考えても良い。
他の平行宇宙から漏れ出す反光は極めて弱いがなにせ無数の平行宇宙全部から漏れて来るから、それなりの強さはある。そして平行宇宙同士は均質なものではない。エネルギーに満ちた世界とそうでない世界、偏りのある世界と均質な世界、まあそれぞれ違いが無数にあるわけですよ。それらの情報を反光は否応なく持って来ている。つまりそれは最初から構造を持っているのです。」

じゅえる「反光というのは、では多数の光子ってこと?」
まゆ子「いやーそれはどうだろう。或る程度まとまった平行宇宙分の情報を持つ一個の光子、って感じかな。反光というくらいだから、偽の光子なのかもしれない。従来の観測方では識別出来ない光子と同じ振る舞いをする粒子、ってのかな。ともかく宇宙全体に均質に溢れ出ているというものではない。
いや、出っぱなしというのもおかしいか。元の次元に行ったり来たりしている。無数の平行宇宙から漏れ出る光子が代りばんこに存在して一個の光子を模倣している、そんな感じ。」

釈「偽光子、ってことですね。」

まゆ子「ともかく、この偽光子は選択的に物理現象を引き起こす悪いくせがある。自らの持つ情報・構造に合わせてこの世界でも特異的な物理現象を引き起こし、引き起こした結果がまた自身を呼び出すゲートとなる。出て来易い所に出て来て、出て来た所を出て来易いものに変換して、また出て来る、という風に解釈して下さい。

中でも、生命というものは特に出て来易いもの、なのかもしれない。平行宇宙全体が重力によって繋がっており、反光によって情報を共有しているとすれば、それは一個の構造体だ。超生命体と呼んでもさして問題はないだろう。それが、自身のミニチュアを作っている。」

 

じゅえる「では人体は、というか魔法回路は、異次元宇宙からの情報ゲート、ってこと?」
まゆ子「うん。それが正しい見方でしょう。情報ソレ自身が情報を汲み出す手段を欲している、そんな比喩も成り立つか。大量の反光を呼び出すゲートを要求する。反光を処理する魔法回路を要求する。魔法回路によって物理世界に干渉する端末を要求する。」

釈「大宇宙の意志、というやつですね。」
まゆ子「うーん、大宇宙の無定見な暴走、と呼ぶべきかもしれないかな。堤防に穴を開けてそれがどんどん大きくなる、大きくなるというのは複雑性を増すという風に捉える事も出来るでしょう。宇宙の穴として複雑な情報を処理出来る存在がどんどん組み上がっていく。穴自身が穴を大きく開けようとしていく。それが生命というものなのだよ。」

釈「つまり、生命とは穴が空きそうな弱い場所に選択的に現われる、偏在する物理現象、ということですか。」
じゅえる「マクロでみれば、平行宇宙全体が自己組織化を強めていく過程にある、ということかな。神経のシナプスが伸びるように、反光が伸びて生命を作っていく。」

まゆ子「これを神の意志、として見る事も不可能ではない。「意図された幸運の上に私達の世界は成り立っている。」 それが魔法という世界に身を置く者の共通した認識なのは間違い無い。なんらかの意図に基づいて、彼らは魔法回路を強化し魔法エネルギーを呼び出し、魔法を用いてなにかを成し遂げているのだ。」

 

じゅえる「つまり、その「意図された幸運」こそが魔法の神髄なわけだ。」

まゆ子「これは「絢爛たる魔法」において顕著に現われる。現在この部所が主に取り組んでいる物理現象は、素粒子レベルの魔法実験だよ。とある科学実験においてほとんど発生しない、でも起ってくれると科学の進歩やら仮説の検証、新素材の開発に役立つような微小領域での反応、を魔法によって観測可能なレベルに引き上げるということをやってる。」

釈「それはいんちきではありませんか?」
まゆ子「いんちきだが、現象自体がちゃんと起ってくれるとその現象についての理解が進み実験手法の改善が行われ、確率の桁がどんどん上がってくれてやがて魔法の助けを必要としなくなる。つまり研究開発の高速化が成るんだ。」
じゅえる「時計を早回しする、って感じだな。今の時代、技術開発はスピードこそ命だもんね。」

釈「ということは、つまりそういうささいな幸運を意図的に引き起こすのが、現在の絢爛たる魔法の仕事、なわけですね。」
まゆ子「魔法物理学、つまり今言ったようなことを考えるのも役目だけどさ。」

釈「そういった起って欲しい時にそれが起こる、ってのはセレンディピティて言うんでしたっけ。」
じゅえる「そういうと、なんとなく魔法っぽくなるな。小人さん降臨魔法なんだ。」

まゆ子「当然のことながら、この微細魔法は生物学やら遺伝子工学やらでも用いられている。生命が魔法から生まれた、という概念は現場レベルではほとんど確定しているようなもんだよ。生命が出来てしまうようななにか、が現に目の前で起っているんだ。」
じゅえる「そうか、裏があったんだ。」
釈「現場の目線からの仮説、なんですね。」

 

まゆ子「だから、朱美魔法というのは、そのセレンディピティが予期しないところでおこってしまう魔法、なんだな。人の想像を越えた所で科学的対処を必要とする大事が起ってしまう、ただしそれをクリアすればそりゃあ魔法学は進展するだろうけど、今起ってくれるなよお〜、という事象を引き起こしてしまうんだ。」

釈「それは迷惑かつ魅力的な魔法ですねえ。」
じゅえる「金、かかりそうだな。」
まゆ子「掛る掛る。予備費がぶっ飛んでいきますよ。」

釈「皆さん戦々恐々としているわけです。」

 

07/09/14

じゅえる「というわけで、ハリーポターを見て来たわけです。しかしなんですな、ハリーが大人になるに従ってどんどん嘘っぽくなるのはなんでだろう。」
まゆ子「そりゃ、嘘を嘘として微笑ましく見るのと、嘘に嘘を重ねていくのを見て窮屈に感じるのとでは、違うだろ。」
釈「可愛い子供が主人公だと、楽しいのは確かです。」
じゅえる「魔法合戦はそりゃドラゴンボールの方が上ってことか。

 そりゃそうと、魔法って何? まゆちゃん、魔法作ってみてよ。」
まゆ子「あー、魔法ね、魔法はいかんよ。いくらでも理屈は考えつく。かんがえつくけど、」
釈「物語ごとに理屈がありますから、定番ってのはありえませんよね。」

じゅえる「なんとかしい。」

 

まゆ子「と言ってもだね、舞乙Himeはどこからどうみても魔法少女だけど、マイクロマシンが元という設定を知っているから、なぜか魔法に見えない。ゲキも亜空間回路と知っていれば、不思議と魔法に見えない。」
じゅえる「亜空間回路ってなに?」
釈「言葉では納得しますが、実際それどういう仕組みです?」
まゆ子「ゲキの物語で使う亜空間回路は至極簡単な仕組みだ。亜空間、を回路にする。」
じゅえる「わからんよ。そもそも亜空間てなに?」

まゆ子「亜空間はサブ空間だよ。この現実世界において認められる4次元の他にある畳み込まれた空間の世界を亜空間と呼ぶ、べきだ。でもほんとは亜空間と呼ばれるものは擬似空間と呼ぶべきだろう。通常空間とは別にありながら通常空間に依存し従属する空間、てイメージ。あるいは、世界は亜空間こそを主体として作られており、通常空間はそのサブセット極一部って感じね。」

釈「ではゲキの亜空間とは、つまりはー、」
まゆ子「どうやって作るかを考えよう。ゲキの亜空間はマイクロブラックホールから作られる。マイクロブラックホールとは極めて小さいものであり、とりあえず電子よりも小さいとする。マイクロブラックホールは出来た瞬間に消滅するという代物だが、これが長時間存在し続ける技術こそが、亜空間生成技術ね。複数のマイクロブラックホールが安定的に存在する為に、或る構造を作る。一番簡単なのが三角錐。四つのマイクロブラックホールを頂点とする三角形の空間、この中が亜空間だ。」

じゅえる「意外とかんたんだな。」
釈「それは通常空間ではないんですか? 一応通常空間内にあるんですよね。」
まゆ子「有るけれど、周りのマイクロブラックホールの影響で通常の物理法則が機能しない。そもそもプランク長さ以下の大きさだから物理法則なんてあったもんじゃない。だから、この中ではいかなる不思議でも起り得るのだ。」

釈「でも小さいんですよね、電子よりも。電子よりも小さなもので作った三角錐です。やはり、」
まゆ子「電子よりはちょっと大きいくらいかな。水素原子核よりも小さいのは請け負う。」

じゅえる「そんなものがなんの役に立つの?」
まゆ子「これ自体がコンピュータだ。ブラックホールをコンピュータの一種と看做す情報物理学からしてみると、ブラックホールで構成される回路はやはりコンピュータの一種だろ。」
釈「つまり、マイクロブラックホールを素子として用いるコンピュータ回路、ですか。」
まゆ子「正確には、マイクロブラックホールで構成される亜空間を素子として用いるコンピュータ、およびエネルギー回路だよ。情報を処理するだけでなく、エネルギーも放出するし、仕事もする。熱は出たり出なかったり、なにせブラックホールだからね。熱が出ないような気がする、というところが大きいのだ。」

じゅえる「よくわからないけれど、ゲキはそれを使っているんだ。」

まゆ子「しかしながら、」
釈「しかしながら、こんな訳の分からない理屈でも用意されると、それは魔法には見えない、ってことですね。」
まゆ子「そうなんだ。理屈のあるものは魔法とは看做されない。魔法の根源は謎で神秘的なものでないと、だめなのだ。」

じゅえる「てえことは、魔法を扱う際に原理を考えると敗北、ってことか。」
釈「逆に、いかにも嘘っぽい、キャラ自体が信じていないような原理、ってのを前面に押し出すと、魔法っぽくなりますね。」
まゆ子「ふうむ。どっちがいい、じゅえる?」
じゅえる「王道。」

 

釈「それはそうと、NHK教育でやってる「電脳コイル」ってアニメ、いかにもサイバーなアイテムを使いまくりですが、妙に魔法っぽいですよ。」
じゅえる「知らん。」
まゆ子「あーあれは、…二倍速で見てる。のったりとした演出が、早送りに最適なんだ。」
釈「あれは、魔法に入れちゃダメですか。」
まゆ子「ふうむ、うまく嘘を吐くと、魔法でないものを魔法に見せ掛ける事も可能、ってことか。演出の力だな。」

 

じゅえる「だが今回それは必要としない。王道的魔法少女学校、がやりたいのだよ。」

まゆ子「あ、はりぽたをパクろうって話ね。あー、やはりこいう時は、地道に魔法原理から入った方が良い。正面突破、こそが最も近道だ。」
釈「しかし、一般的な魔法っぽい魔法は、あれはどこからエネルギー供給がなされているんでしょうね? エントロピーの法則とかを無視してますよね。」
じゅえる「そいうのは考えちゃいけない。」

まゆ子「物理法則は存在しない、と考えて良い。世の中には地味な三流魔法でありながら、マトモに考えると物理法則書き換えなきゃいかん、てのがごろんとしてる。」
じゅえる「やはりバーチャルなスピリチュアルな世界でのみ効果がある、てのが無難なんだろうね。設定としては。」
釈「現実世界においてはまるで無意味、ですか。それは簡単なんですけど、」

まゆ子「今回それは逆で行こう。どんなに苦しくても、現実世界にぎちぎちと物理的影響を与える力としての、魔法だ。」
じゅえる「それこそエネルギーの出所が、分からんよ。」
釈「しかし、ほんとにどこからエネルギー来てるんでしょうね。」

まゆ子「エネルギーを仕事に変換するデバイス、というのも必要なんだけどね。というか、それこそが、魔法と科学の境目だ。デバイスが無くても効果が発生する。」
じゅえる「デバイスが虚空やらアストラル空間にある、という、或いは精霊がやってのける、というのか。」
釈「精霊使いはみごとに魔法使いですが、それでいきますか。」
まゆ子「それは楽だが楽過ぎる。精霊使いでない魔法使いの方が難易度が高い。」

じゅえる「魔法装置、呪文、魔方陣、こういうのが王道には必要だ。しかしこんなもんが役に立つ道理が無い。さて。」

 

まゆ子「デバイスの存在は諦めよう。精霊ではなく神がエネルギーを仕事に変換する、その為の命令コードが呪文と魔方陣だ。」
釈「究極的精霊、というわけですか。それともコモン精霊。」
じゅえる「コモン精霊、と考えるのが正しいと思うよ。魔法の神、というのがあるんだ、やっぱり。」
まゆ子「楽な話だが、デウスエクスマキナだな、それ。マシンの神だよ。」

釈「超巨大なスーパーコンピュータが魔法使いすべてに共有されている、というところですね。」
じゅえる「個人でパソコンを所有する、というのが精霊使いなんだ。」

まゆ子「案外おもしろくない結論だ。魔法実現デバイスにもっと革命を起こそう。デバイスではなく、ゲートあるいは水道口として魔法使いが機能する、というのかな。巨大な魔法エネルギーの奔流が荒れ狂っていて、それを部分的に開放する、というだけの。」
じゅえる「しかし、そのエネルギーを物理的に変換するデバイスは絶対必要でしょう。それとも魔法エネルギーの奔流というのはあらかじめ物理現象を引き起こしていて、魔法使いはどれが起きるかを選択するだけ、にするかな?」

釈「それは王道ではないですねえ。やはり、自力で何かやり遂げる、というの感触は必要ですよ。」
じゅえる「でも人間個人が内包するエネルギーはたかが知れてる。余所からのエネルギーの出口じゃないとね。」

 

まゆ子「デバイスを人間にするか。エネルギーも人間由来で、人間を燃やして動く魔法。」
じゅえる「自分が死んじゃうとダメだろう。」
まゆ子「他人のエネルギーで他人をデバイスに使う。ただし、使えるのは才能が有り高度に訓練を施された魔法使い。魔法使いが他の魔法使いを使って、魔法を起す。」
釈「エゴですね。」

じゅえる「つまり協力しておこなうってことか。」
まゆ子「うにゃ、協力ではなく収奪だ。魔法合戦を行う最中にのみ魔法が発現する。対戦する事で相互のポテンシャルを高めてエネルギーを励起し、物理現象に変換出来る。」
釈「勝てば相手を使って無制限に術を使えるけれど、負ければ燃やし尽くされてしまう、ってことですか。」

じゅえる「それは王道かなあ。」
まゆ子「個人のエネルギーを絞り尽くす、というのは王道だろう。また魔法合戦も王道だ。魔法と科学技術との違いは、不可解非合理的な現象を使うってことで、成し遂げる現象自体の異常性は関係無い。稲妻を落とす魔法よりも稲妻を落とす機械の方がどこからどうみても優れているのだ。」

 

じゅえる「でも負けた方は一方的な損ではないかな。」
まゆ子「体内になにかが残っていき蓄積して、なにかを成し遂げる助けになる、という事にするか。ぎりぎりの決闘でないと、高度ななにかが体内に形成されない。しかしそれを稼動させる為のエネルギーは自身の身体には無い。」

釈「では負けた方が得?」
じゅえる「或る意味では得、ただし死ぬかも知れない。エネルギーを奪い取られて魔法使いで居られないのかもしれない。」

釈「つまり、究極魔法を完成させる為に自身の身体の中に魔法回路を形成する必要があり、その為の手段として魔法合戦を行う。」
まゆ子「エネルギーを奪い取られている状態下では、魔法使いは自身の魔法回路をいじる事が出来るんだ。自分を守るエネルギーが空になっている状態だからこそプロテクトが外れる、ということかな。」
じゅえる「つまり、死ぬギリギリの状態が最も可能性が大きな時間、ってことなんだ。これじゃあ、魔法使いってお友達ができないな。」

 

釈「では、魔法で成し遂げる物理現象自体はなにも生み出さない無駄ですか?」
じゅえる「雷ぴかぴかしても、ねえ。鉄砲で撃った方が早いでしょ。」
まゆ子「魔法はやはり魔法装置の解除くらいしか出番は無いだろうねえ。あるいは、魔法生物を殺すとか。」

 

釈「魔法使いが成し遂げようとする究極魔法とは、なんです?」
じゅえる「神さまになること、じゃないか。」
まゆ子「近いな。神さまとの対話、究極の魔法知識の獲得だ。自身の魔法回路が究極に完成した時、魔法エネルギーの奔流の中でも耐えられて自在に扱う事ができる究極の肉体になっている。既に死も生も超越して永遠を生き、ありとあらゆる物理現象を実現出来る。」

釈「そんなもの、現実で成し遂げられるわけがない、と思うんですが。それでもやりますか。」

じゅえる「しかし、それは結局二人の魔法使いが仲良しでないとダメなんじゃないかな?」
まゆ子「うーん、少なくとも互いのレベルを理解する、くらいの共感は無いとだめだろうねえ。」

釈「では魔法学校というのは、教官によって一方的に魔法エネルギーを吸い出されている状態下で、自身の魔法回路を組み上げる、という所ですか。」
まゆ子「そんなもんかな。」
じゅえる「やはり、下っ端の魔法エネルギーを吸い上げる方法があるんだよ。」
まゆ子「いや、やはりゲートとしてで。あーつまりはー魔法学校というのは巨大な発電機みたいなもので、高級魔法使いが使用するエネルギーを生み出す為の装置であり、副産物として魔法使いの教育を行っている。」

じゅえる「憎しみを生み出す回路に見えちゃうんだけどさあ。」
釈「悪い魔法使いというのは無いと王道になりませんよね。でもこのシステムでは、敵味方はほんとは仲良しでないと困ります。」

まゆ子「うーん、ではこういうのはどうだろう。高級魔法使いとなると、自身の身体の中には高度な魔法回路が組み上がり、魔法学校を利用してのエネルギーを使ってかなりの事が出来る。」
じゅえる「ふむ。」

まゆ子「だがこれだけの高度な魔法回路は非常に敏感であり、他の魔法回路との相性も悪くなる。排他的になる。その中でも特に相性の悪い魔法回路というのがあり、それがあると自身の発動が阻害されるだけでなく、魔法回路自体が破壊されるし本人も死ぬ。だから、先手を打って相手を殺そう壊そうとする。」
釈「つまり、善悪の基準があるのではなく、単に目障りな奴があるからぶっ殺してやろう、という。」
じゅえる「それは辛辣だな。ほんとにありそうな話だ。」

釈「というか、本当に憎しみを生み出すだけの回路なんですね。ということは、相性の良い魔法回路を持つ者同士が組合を作る、ということですか。」
まゆ子「クランってやつだね。それがまた魔法学校も作る。」

 

じゅえる「善悪だけでなく、三すくみ状態になる、というのがいいかも。一方を圧倒的に破滅させることは出来ないんだ。」
釈「魔法学校の生徒も、三つに分かれて行ってしまう。悪は必ず再生産されるんです。」
じゅえる「光と闇と、えーと秩序と混沌、有と無、生成と消滅、支配と協調、善と悪、全体と部分、」
まゆ子「そりゃ二項対立だよ。まあコンビネーションでいけるけどさ。」

釈「三原色とか、えーと三項対立って言葉はありますかね。光と闇と色、ですね。秩序と混沌と循環。生成と消滅と変換、支配と協調と演劇、善と悪と法。有と無と命。全体と部分と相互作用。こんなもんですかね。」
まゆ子「一部納得し得ないものも混じってるけど、そんなもんでいいか。えーとつまり魔法界においては、」

じゅえる「聖なる魔法、勝利の魔法、絢爛たる魔法、だな。つまり聖なる至高の目的に向けて自己を高めていく魔法、魔法使い同士の攻防で勝利を追求する魔法、欲求を叶える為にあらゆる現象を引き起こす魔法。」
釈「どれも矛盾しませんね。」
まゆ子「すべてを欲するところだけれど、それは無理なんだね。」

 

じゅえる「

 聖なる_、というのは身体内の魔法回路の高度化と充実を目的として自己を極限まで追い詰める魔法。ただし高度な魔法で勝利を得るほどでないと高いレベルのエネルギー状態に到達出来ない。負ける為に勝つ、という矛盾した要求を実現しないとならない。
 勝利の_は、ともかく魔法使い同士の戦闘で勝つ。敵のエネルギーを獲得する為、高度で強力な魔法エネルギーの奔流に到達する為に極限まで戦闘力を高めて敵の中に深く没入する為の魔法。
 絢爛たる_は、得られたエネルギーと魔法回路を用いて、それを物理的現象に変換する為の魔法。もちろん高度な術には高度な魔法回路の実装と強力な魔法エネルギーの供給が必要。それらを使う為の高度な制御技術が不可欠だ。」

まゆ子「ますます三者は矛盾しないし、協力協調が必要だ。でも、出来ないんだね。」
じゅえる「無理だから、それぞれで独自の方策を取っているんだ。

 聖なる_では、それこそ協調して互いを死なない程度に殺し合う術を訓練する。何が必要かを見定めて、それに必要な攻撃を与える術を互いに習得して掛け合う。
 勝利の_はそれこそ互いに戦い合い、能力を強化し合う。発生するエネルギーの奔流にも耐える訓練を積み重ねる。
 絢爛たる_は、エネルギーの供給を多数から少量ずつ集めるという策を用い、綿密なる計算と積み重ねた研究により最短距離で魔法が実現出来るようにする。」

釈「つまり、魔法学園は絢爛たる_のサイドがやってるわけです。」

まゆ子「えーと、つまりそれぞれには得意の魔法があり、それに従って攻撃をし、防御をする。ただし初等魔法というのがあり、それぞれの最低限の能力は魔法使いたるもの一応実現可能なんだ。だから魔法攻撃と魔法防御に関しては基礎魔法の応用でなんとかなる点が多いんだな。」
じゅえる「つまり、圧倒的に致命的な攻撃は出来ないってことか。」
釈「それもなんですが、戦闘を繰り返す事で経験値が上がり、そう簡単には倒されないようになる、ってことですかね。」
じゅえる「そうか、戦えば戦うほど強くなるんだ。」

まゆ子「攻撃に関しては、こうだ。

 聖なる_は魔法回路を本人から分離して、魔法生物を作り、これを用いて攻撃を行う。魔法生物は魔法回路を直接に破壊する機能がある。
 勝利の_は魔法攻撃の専門家であるから、魔法エネルギーを直接にぶつけて相手の魔法回路を過負荷にして破損させる、または肉体に負荷を掛けてダウンさせる。
 絢爛たる_は物理攻撃魔法を使って、術者に直接攻撃を掛ける。肉体が傷つけば、あるいは精神的に負荷が掛れば当然魔法は崩壊する。

じゅえる「ということは、それぞれの攻撃には違う防御法を使わねばならないんだ。」
釈「そうですね。特に物理攻撃魔法は特別ですよ。絢爛たる_の攻撃は物理防御魔法でないと、防げませんよ。」

まゆ子「防御に関してはつまり、三者三様でなんとかするんだね。

聖なる_の魔法生物攻撃に対しては
 聖なる_は魔法生物同士の対決という事になる。だが結局はレベルの高い魔法使いの方が勝つ。問題は、なんの為に戦うかというところだね。
 勝利の_は、魔法生物を魔法エネルギーによる過負荷で破壊する。ひたすら力押し。
 絢爛たる_は基本的に防げない。だから防壁を何重にも展開して時間稼ぎをして、物理攻撃魔法で術者を沈黙させる。

勝利の_の魔法エネルギー攻撃に対しては
 聖なる_は魔法生物に魔法防壁を展開させて、直接に防ぐ。膨大なエネルギーの衝突も魔法防壁が効率的に防ぐけれど、用いられるエネルギーは自前だから電池切れがある。
    逆に、勝利の_から魔法エネルギーを収奪するために、攻撃してもらうのを目的ともする。
 勝利の_は簡単。魔法エネルギーによる対抗攻撃で力押しで相殺する。これは彼らの得意中の得意。
 絢爛たる_は膨大な魔法エネルギーの奔流を防ぐ事は出来ない。だから避ける、もしくは多数の術者を介して分散して吸収する。その裏で物理攻撃魔法を用いて沈黙させる。

絢爛たる_の物理攻撃魔法に対しては
 聖なる_は魔法回路を直接に攻撃することで、物理攻撃魔法を沈黙させる事が出来る。術者本体が物理攻撃を受けなければなんとかなる。
 勝利の_も相手の魔法回路を高エネルギーで破壊する。魔法攻撃は物理障壁を突破するので攻撃自体は楽だが、絢爛たる_にも防御手段はある。
 絢爛たる_では物理攻撃魔法には物理防御魔法を展開する。
   石が空を飛ぶとかの攻撃では物理防御魔法しか効果が無い。あくまでも物理攻撃魔法の発動を速やかに阻止する事こそが必要となる。

じゅえる「普通人一般人が相手の場合、

 聖なる_は魔法生物で魂に直接攻撃を掛けて昏倒させたり強制的に精神を支配出来る。
 勝利の_はエネルギー攻撃で一瞬に身体を麻痺させたり石化したり殺したりも出来る。
 絢爛たる_はもちろん物理攻撃魔法でびっくり!」
釈「はあ。勝利の_は嫌われるはずだ。」」

じゅえる「治癒魔法ってのはないのかな?」
釈「それは初等魔法ではないでしょうか? どこの派閥も必要でしょう。」
まゆ子「損傷の分野によって、治癒魔法も特別化が必要なんだよ。

 聖なる_は魔法回路の修復が得意中の得意。
 勝利の_は魔法エネルギーによる打撃に対する回復に長けている。また過剰エネルギーの吸収でダウンした魔法回路を初期化する。
 絢爛たる_は物理治癒魔法は当然だが、破損され易い魔法回路をセーブしておく術を持っている。数で対応だ。

 

じゅえる「しかし、こういうのって、ちゃんと魔法学校で教えられるのかな?」
まゆ子「最初は皆どの方面に向いているか分からないから、全部ひっくるめて習うんじゃないかな。で、徐々に適性が判明して専門教育に分かれて、卒業してそれぞれの派に属する。だから誰もがどれもの基本魔法は習得しているんだよ。或る程度の事は出来るはずだ。得手不得手はあるけれど。」
釈「つまり基本魔法初等魔法てのがあるんですね。やっぱり。」
じゅえる「父子孫々で続く魔法てのもあるんだよ。やっぱり。」

まゆ子「魔法回路ってのは、子孫に継承できるのかな?」
じゅえる「無理だね。魔法回路の継承はそれ自体が超高度魔法だ。そしてほぼ不可能。魔法回路はそれに見合った格を持つ魔法使いが相手である場合のみ継承出来る。だがそれほどのレベルの魔法使いはとっくの昔に自分の魔法回路を形成しているから、それを捨ててまで受けとるというのは余程の理由が無いとできない。
 まあ、それをするだけの価値がある魔法回路というのもあるんだけど、それほどのものは聖なるの極一部の高僧だけだね。

 えーと、
 聖なる_は高度なテクニックを用いて弟子に継承させられるが、渡すと死ぬ。また師匠の魔法回路に触れて構造を知り、自ら魔法回路を組み上げていく。但し魔法回路を受継ぐだけの器と才能を持った弟子が得られない時は、それは失われる。
 勝利の_はそれこそ自ら一代のものとして経験から直感的に獲得する。格闘の技と同じで、習っても本物になるには長い練習が必要で継承なんてのはできるものじゃない。しかし体質と才能を子孫に遺伝で与える事は出来る。才能を持つ子供に高いレベルの魔法を触れさせる事で、継承の確率を高める事ができる。
 絢爛たる_は書物によってのみ継承出来る。ただし真に高度な魔法は言語による伝達が不可能だ。だから少しでもヒントをと工夫に工夫を重ねて、怪しげな書物が出来上がる。長年の研究成果として出来上がったものも、結局は初等魔法に過ぎないのだ。」

まゆ子「…、いいんじゃない?」
じゅえる「いい感じだね。」
釈「とりあえず魔法学校を作るのには十分です。」
じゅえる「魔法学校では初等魔法と、それを十分習得した後での専門分化教育を行い、それぞれの入り口にまで訓練をする事になる。」

 

えーと、それぞれの派閥は統治組織は違う形態と考えた方がいいかな?」
まゆ子「自治組織の形態はそりゃ違うだろう。えーと、

 聖なる_は教皇みたいな高齢の魔法使いが一番高度な魔法回路を有しており、彼を頂点として厳しい戒律の中で運営される宗教団体みたいなもの。年功序列だが、魔法回路の出来を見れば優劣は一目瞭然。劣る者は自ら下がらねばならない。
 勝利の_は、それこそ最強者が頂点として君臨する恐怖の体系になっている。定期的にトーナメントを行い、序列を決定する。負けた者は自分の弟子にすら従わなければならなくなる。
 絢爛たる_は選挙だな。魔法使い同士が会合をもって政治を行い、最終的には投票で頂点となる者を選び出す。もちろん任期があり支持率の上がらない者は途中で首になったりもする。民主的な組織運営だ。だが魔法力の優劣は関係無い。あくまでも実務能力に優れた者が、頂点に立つ。」

釈「絢爛たる_、はそんなもんで魔法組織として機能するんですかね。」
まゆ子「絢爛たる_は、人数で足りないものを補う魔法だ。人間の数を集めて統治する事こそが最大の問題だよ。足りないエネルギーも拙い魔法回路も、集団の力でなんとかしてしまうんだ。そういう設計になっている。高度な魔法を使う優秀者も当然居るけれど、大概の魔法は集団で掛ればなんとかなる。」

 

じゅえる「しかし、その三すくみは本当に連携出来ないのかい?」
釈「そうですよ。仲良くすればどこも得をするでしょう。」
まゆ子「じゃんけんと同じでねえ、そううまくはいかないんだよ。まず一般人民に対しての態度がまず違う。聖なる_は人間のことなんかどうでもいいんだ。」

じゅえる「え?」

まゆ子「つまり人間がいずれ滅びると考えて、より高いレベルに精神を移す為の術を行っている。天国に行くのが目的と考えてもいい。天国に行けるのは神と同等の力を備えるものだけで、それは人類の中から代表者一人が行ければ全ての人間が行くのと同じと考えてよい。つまり全人類を犠牲にしても、たった一人が頂点に立てればよいと考える。魔法を発動した結果が人間社会に多大な影響を与えたとしても、気にしない。」
じゅえる「だめじゃん。」
釈「そんな考えを持っている人とは協調できません。」

まゆ子「一方絢爛たる_はこの地上における幸福をまず追求する。一般民衆の幸福の為に魔法を使うのが使命と考える。人間無しに魔法組織の存在はありえない。」
じゅえる「げんじつてきだな。」
まゆ子「しかし、当然の思考として、下らない人間の支配を排して賢人によるよりよき支配を実現しようとも考える。あるいは現実世界の有力者と結託して、効率的に支配を運用しようとも考える。それは往々にして理想から外れていくものだ。」
じゅえる「げんじつてきだね。」
釈「それは、魔法使いとしてはよくない思考法なんですね。下劣と言ってもいいくらいの。」

まゆ子「勝利の_は更に簡単。勝つ為には全てを捨てなければならない。人間社会のしがらみからも逃れて、唯一人の魔法力を高める道の追求を行う。人間社会とは縁を切るが、魔法使いの後継者を得る為には子供を産まさないといけない。また飯も喰わねばならない。最低限の要求を実現出来れば彼らは文句は言わないが、その最低限がなかなか酷いものなのだ。人間社会を食い物にする、という感じだね。」
釈「女を掠っていきますか。」
じゅえる「この場合、女を生贄にしてなにかを行う、とかもあるとした方が。例えば肉体の強化の為に女の精気を吸い取るとかの。」
まゆ子「うーん、まあそこは考えてみよう。ともかく肉体にこだわる流派だ。強大な魔法エネルギーの奔流に耐える為には、肉体の強化は絶対必要な条件だ。」

 

じゅえる「しかし、方針として互いに相容れないとはいえ、そんな事で殺し合うという訳にはいかないんじゃないかな。」
まゆ子「もっと根源的ななにか、が有った方がいいかな。例えば裏付けとなる神さまとか。」

釈「この魔法世界において、神さまとはいかなる存在なんですかね。そこが鍵ですよ。」

じゅえる「一神教という気もしないが、聖なる_は一神教的だな。一方絢爛たる_はどうみても多神教だ。勝利の_は魔法エネルギー自体を崇拝の対象にしているみたい。」
まゆ子「魔法エネルギーの奔流は混沌に属するべきもの、と考えているんだろう。神により制御出来るものではなく、奔流自体が意志と目的を持って暴れ回る。」
釈「ということは、聖なる_では魔法エネルギーをねじ伏せて高度な目的の為に使役する、という考え方ですか。神が使う為のものにすぎない。」
じゅえる「絢爛たる_は現実世界に棲む生き物としての人間は、現実世界物理世界からは離れられない。物理世界内でのみ役に立てばいい。物質的な多様性と余剰こそが魔法の成果物としてこの世に残るのだから。」

まゆ子「宗教的にはそんなもんだろう。ただどこも独立して組織が存在するから、普段は顔を会わせる事は無い。ただ金はね、絢爛たる_がまとめて稼いで分配する事になっている。三要素がすべて揃わないとこの世が成り立たないと絢爛たる_では考えるし、聖なる_と勝利の_がどちらかが優勢になっても困るのだよ。均衡こそが魔法界の発展に必要なのだ。」

 

釈「ではそれぞれの拠点ですが、絢爛たる_は街場ですね。王国とかの城の傍にアカデミーとかを構えている。」
じゅえる「ふむ。そんなもんだが、或る程度人目を避ける場所にはある。魔法はあくまでも一般社会からは隔絶した存在でないといけない。ま、皆知ってるんだけどね。」
まゆ子「勝利の_は深い暗い森ですね。獣とかも住んでいる。」
釈「野獣は魔法に従うんですか?」
まゆ子「あー、聖なる_は支配出来るし、勝利の_は痛みを与える事で使役出来る。絢爛たる_は狩人に命じた方が早いと知っている。」
じゅえる「そりゃそうか。聖なる_は孤高の存在として、どこかの聖山に塔を建てているてとこか。」

まゆ子「定番定番。」

 

釈「しつもん! 箒で空は飛べますか?」

じゅえる「飛べないと困るだろ。」
まゆ子「飛べる方が非常識なんだけどね、ハリーポターだって箒では長距離を飛ばない。」
じゅえる「絢爛たる_では空は飛べるよね、やっぱ。勝利の_は鳥の脚にでもぶら下がって飛んでいきそうだ。聖なる_は魔法生物に乗って。」
釈「しかしあまり便利過ぎるのもなんですよ。やはり空を飛ぶのは無しということで。」
まゆ子「レビテーション空中浮遊は結構高度な魔法だよ。箒で飛ぶというのは、簡単過ぎる。しかし欲しいとこだな。

 ちなみに使い魔は聖なる_は魔法生物、勝利の_は鳥獣、絢爛たる_は人間の従者だ。」
釈「にんげんですか。」
じゅえる「それはまあ、一番堅実だな。」

まゆ子「えーと基本的に、移動に関しては聖なる_は必要としない。魔法生物は自分の分身だ。分身が行けるのに本体が行く必要はないだろう。また現実世界で用事があるのならば、絢爛たる_の然るべき機関に魔法生物を通して頼めば、使いが行ってくれる。そういう契約になっている。
 勝利の_は移動は己の肉体を用いて行うから、身体機能の強化もあるという事にするか。常人では考えられない速度で森を移動する。飛ぶような早さだ。
 絢爛たる_は確かに空中浮遊は出来る。が高度な魔法でありそう簡単には使えない。石を放り投げるとかは初等魔法だが、人間を動かすのはかなりの能力とエネルギーを必要とする。ま、馬車を使うのが一番だな。」

じゅえる「一々合理的だな。」
釈「ではこうしましょう。箒で飛ぶのは学生の間で流行る悪戯なんです。何人もが魔法を集めて一人を持ち上げるという、遊戯みたいなものです。」
じゅえる「そんなくらいがエクスキューズとしては上等かな。現実問題として、箒で10メートルも上がるのはコワイよ。」

 

釈「石を投げる、とかは初等魔法でいいんですよね。その他に初等魔法はなにがありますか?」

まゆ子「
 基本的な治癒魔法はある。傷や毒、病気からの回復、強度の疲労の回復、精神的混乱からの回復。ま、お医者さんでも間に合いそうだけどね。
 石を放り投げる、モノを手を触れずに持ち上げるのは基本中の基本だ。また風を呼ぶ火を熾す雷を呼ぶのもそうだ。でも水は動かせない。水は重いし形が無い。
 生物を使役する、てのも初等魔法だ。子犬とかネズミとかを相手に一生懸命術を掛ける。
 とうぜん魔法合戦用の攻撃魔法は必修科目だ。さらに魔法生物を作り上げる為の魔法回路の形成は魔術の根幹だから誰でもやる。
 情報系の魔法もそうだね。千里眼や地獄耳、暗号解読やら謎を解いたりするのもそうだ。記憶術なんかは不可欠だね。
 意外な事だがサバイバル術やら体術もやらされる。修行の為には肉体を鍛えねばならないし、森の中に一人で踏み入って薬の材料を探さねばならない事もある。
 ダンスもあるし詩や唄も仕込まれるぞ。社交術はそれ自体魔法にも為り得る。人間を支配する魔法を混ぜて有利な状況を作るのは、人間として当然必要なスキルだ。
 手品もする。手品が見破れないようじゃあ魔法使い失格だ。他にも魔法の為の素材を扱う技能も教えてる。薬草やら鉱物とかの見分け方と使い方もね。」

じゅえる「結構いそがしいな。」
釈「それらを満遍なく修行していく内に、才能がそれぞれ分化していき進路を決定するというわけですね。でも自分に適していない分野でも、強く願って行きたいと思いますよね。」
まゆ子「それは大丈夫。本人の志望よりも受入れる側の試験の方が厳しい。向いてない奴はそもそも仲間になれない。」
じゅえる「落第者、ってのは出るだろうね。」
まゆ子「でますね。魔法回路の形成が出来ない奴、魔法エネルギーに身体が耐えられない奴、不器用な奴、頭の悪い奴、色々ありますよ。特に信頼性の低い魔法の安定性の無い奴は弾かれる。人命に関わるから。」

 

釈「魔法の道具を作るのは、絢爛たる_ですか?」
じゅえる「いやそれは、魔法回路を物品に乗り移らせるってわけだろう。聖なる_じゃないかな。」
まゆ子「そうだね。でも物品自体を作る技能は魔法使いには無いよ。またどんな形状でも、魔法回路がくっつけば皆同じだろう。しかしエネルギー供給は別だ。」

釈「絢爛たる_が用意した物品に、聖なる_が魔法回路を組み込んで、勝利の_がエネルギーを与えて使う。ということもありますね。」
じゅえる「マジックアイテムか。アイテムを使えば物理魔法が誰でも使える、というわけかな。箒で空も飛べる。」
まゆ子「うーん、そういうものかな。じゃあ、絢爛たる_はマジックアイテムを作るのに必要な素材を魔法の力で精錬する事ができる、って感じか。」
釈「或る程度高度な製品でないと、魔法回路が上手く乗らないのです。魔方陣とかがちゃんと描かれていないと、定着しないんです。」
じゅえる「そうだね。絢爛たる_はそういう機能があればいいか。物理魔法アイテムは自分達が一番よく使うだろうし。」

まゆ子「魔法の箒を使うにはべらぼうな魔法エネルギーが必要で、それは勝利の_の素質を持った者でないと使えない。てことでいいか。」
じゅえる「エネルギーの出現の仕方がそこで現われるってことだね。情報系の魔法に得意な者は聖なる_への特性も示すとかか。」
まゆ子「学園には、聖なる_から度々魔法生物がやってくる。それに敏感に反応する者はやはり聖なる_の特性があるんだろう。他の奴にはあまり見えない。」
釈「定番っぽくなってきましたね。」

 

じゅえる「では、魔法の杖は、ハリーポターが使うような小さい棒だね、は必要?」
まゆ子「要らないでしょ。」
釈「定番だから欲しいです。」

まゆ子「うーん、そんなものに頼っていてはダメだよ。ま、せいぜい鍵だな。学園を自由にうろつき回るには鍵が必要で、魔法を行使できる者でないとそれは動かない。それだけの機能だ。」
釈「えーーーー。」
じゅえる「まあ、魔法の教材には鍵が必要だろうし、それ自体はアイデアとして悪くない。呪文と鍵、だな。先生に呪文を教えてもらうと、鍵を使って部屋に入れる。アイテムの使用が許可される。」
釈「戦闘訓練の際にも使いましょうよう。」
まゆ子「あー、じゃあこうしよう。物理魔法を用いる時は杖が有効だが、魔法攻撃と魔法回路形成にはなんの役にも立たない。物理魔法はアイテムで強化できるが、この二つはできないのだ。」
じゅえる「じゃあ、物理魔法の方向制御用の安全装置、という事にするか。どこにでも魔法を掛けられては困るからね。」
釈「はい! そういうのが欲しいんです!」

 

まゆ子「図らずもスペルの話が出てしまった。鍵というのは正しい想定だ。魔法回路を起動させる鍵でもある。しかし、それだけでいいのかな? スペル自体に魔法を乗せるというのは無し?」
じゅえる「ハッキング、という感じかな。他人の魔法回路を無理やりこじ開ける魔法。」
まゆ子「なるほど。それはあり得る。他人に命令するのか。」
釈「暗号解読、てのは魔法回路が勝手に暗号を解読するというのですよね、脳味噌で理解するのではなく。呪文で他人に暗号を解読させる、とかが良いのではありませんか。」
まゆ子「なる。他者への魔法命令か。それ自体が攻撃魔法の一種だが、攻撃魔法として認めた方がいいかな。」
じゅえる「強制的な、という意味ではいいんじゃないかな。初歩の攻撃魔法だよ。」

まゆ子「というか、この魔法体系では他者を開かねば魔法エネルギーは解放できないんだよね。勝利の_は、自分を開けるようになっている、ということかな。」
釈「或る程度開かれると、ぶっ壊れてエネルギーがダダ漏れ状態になる、という感じではどうです。自分では止められないんです。」
じゅえる「ふむ。そうなってしまうと高度な魔法回路の形成はもう出来ない。というか必要も無い。魔法エネルギーの制御に必要なものだけだから。」
まゆ子「そこんところの制限はと閾値は決まってるんだよ。規を越えてしまうと、もう後戻り出来ない。」

じゅえる「では、スペルは魔法生物と魔法アイテム、及び他の魔法使いに対して行使すべきもの。一般人には必要無い。精神を支配して命ずればいいだけだからね。」

まゆ子「スペル自体が空中をさ迷う、というのは有ってもいいかもしれない。自分で自分を保存する最低限の魔法回路を持っている魔法生物の最下級の存在だ。誰かに拾われて解読されるのを待つんだね。」
釈「そうか。そいう所からも聖なる_への道は繋がっているんだ。」
じゅえる「そいう事なら、勝利の_はエネルギー自体に魔法回路を与えて生物にしちゃう、とか、絢爛_なら燃える焔が燃料を求めて歩き回るとかにもできるな。」
まゆ子「そりゃ高等魔法だよ。」
釈「エレメンツの呼び出しですね。精霊ですよ。」

じゅえる「感情を記録した魔法生物が、幽霊ってわけだね。」
釈「死体が生きて動き回る、とかもあるわけです。」
まゆ子「いや死体はーいやだよ。」
じゅえる「考えなさい!」

まゆ子「あい。えーと死体は死んでるから動かない。動くのは死んでない死体だ。だから、死体は常に治癒魔法が掛っている状態にある。治癒魔法が死体内部で永続している、魔法生物化した治癒魔法というわけだ。しかし死体であるから完全な人間にはなりえない。そもそも高度な知性は無い。これはー制御回路が別口で用意されていて、自前の脳は動いてないという事を意味する。脳の最重要部は魔法ではいかんともし難いんだ。だから生命維持の基本機能のみは動くけれど、行動はできない。術者が命じる行動のビジョンを読み取って、反射的に動くだけ。もちろんより高度な魔法生物をくっつけると高等な動死体が出来るわけだけど、それは術者の力量だな。」
釈「つまりこれは、死体をマジックアイテム化した状態にある、ということですか。では絢爛たる_の秘法ですね。」
じゅえる「そういうことかな。物理的身体を有するのだから。」

 

釈「魔法自体の魔法生物化、ができるんですね、結局。」
まゆ子「魔法回路の分離が出来ればね。聖なる_では基礎的な技能だが、他では結構な高等技術になる。聖なる_は物理魔法を使わない魔法だからこそ、簡単だ。基本的に、聖なる_は魔法回路自体への干渉を目的とした魔法生物を作る。絢爛たる_では物理魔法の継続を目的として魔法生物化する。勝利の_ではエネルギーの奔流をその場に留める為に、自身の分身がエネルギーの番をする、ということになる。」

釈「戦闘はできるんですよね。」
まゆ子「聖なる_の魔法生物は魔法回路の破壊が出来る。最初から戦闘用だ。魔法エネルギーの供給は術者から遠隔で行われる。時空も越えて供給される。
 勝利の_は戦闘力はほとんど無いが、なにせ魔法エネルギーをしこたま溜め込んだものだから、魔法回路が破壊されると爆発する。それに巻き込まれては魔法回路を持つ者は無事ではいられない。
 絢爛たる_では物理魔法の継続が目的であるから、攻撃手段も物理的だ。魔法回路を保護する為に逃げ回るようプログラムされている。ちょっと厄介。魔法エネルギーの供給はアイテムを通して遠隔で与えられる。アイテムが破壊されると止まるが、逆にアイテムが術者を離れて現地調達もしてくれる。周辺の地相とかが偶然に良い配置になっていると、永続的に機能する事も可能だ。」
じゅえる「うん、上出来だ。召喚系の魔法が出来る、ってことだね。うんうん。」

 

じゅえる「一つ確認しておきたいんだけど、絢爛たる_の物理魔法ってのは、他のよりも弱いんだよね。魔法としては。でもレベルとしても低いの?」
釈「あーそれは、応用に傾くというのは普通レベルの魔法使いであってもいい、というのではないですか? それは確かに分かりにくいですね。」

まゆ子「あーそれはー、まず物理レベル現実レベルでの問題を片付けよう。
 物理的な問題でいうと、初等魔術や他の_が持っている物理魔法とは隔絶して違うものが、絢爛たる_には存在する。それはー、科学技術だ。
 簡単にいうと、原子レベル素粒子レベルでの物理現象に対する魔法操作、なんてものは、他の_では想像だに出来ない。」

じゅえる「あ。それはー、つまり科学技術の知識の進展に、絢爛たる_では追随してるんだ。」
釈「逆に、他の_では古典的ば地水火風といった素朴なエレメントしか扱ってない…。」
まゆ子「簡単に言うと、雷を落とす魔法を使える奴が、電磁気学を理解しているか、はまた別の話なんだ。そして素粒子レベルでの魔法の応用は、現代では非常に大きな利益を産み出す。」

じゅえる「はー、それは考えなかった。そりゃあ無理だわ。」
釈「そうですねえ。そんなレベルでも魔法が使えるなんてのは、普通考えませんよ。さすが現代魔法だ。」
まゆ子「つまり物理魔法は確実に現実社会に意味を持ち、他には換えられない存在である。だが魔法の観点からして高度なものか、というのは確かに話が別だ。
 こちらもやはり捨てたもんじゃない。

 物理魔法をもっぱらにする絢爛たる_では、確かに聖なる_ほど魔法回路のレベルは高くないし、勝利の_ほどには大きなエネルギーを扱い得ない。
 しかし魔術師は嫌でも進歩する。自らの魔法回路を拡張しエネルギーを扱う手法を進化させると、別の方向に高いレベルを積み重ねる事になる。
 それが、複数化だ。一人に一つしかない魔法回路を、二つ三ついや100個も持てる事になる。」

釈「大丈夫なんですか、そんなに持って。」
まゆ子「正確には、魔法回路の種を持つ。物理魔法ではさほど高度な魔法を使わないから、元の機能を十分に保ったまま、別の回路を組み立てるのが容易いんだ。だから魔法回路にパーティションを作る、つまり独立して動く回路を形成出来る。

 これは聖なる_の魔法回路を分離して、というのとはかなり違う。聖なる_では自分の身体から魔法回路を分離するが、あくまでもそれは一つの魔法回路の延長としてある。要するに高度な魔法回路の部分集合で、時空を越えて繋がっている。独立して行動する魔法生物がダメージを受けると本体にもダメージが及ぶ。

 ところが絢爛たる_ではパーティションを切った結果、一個壊れても全然影響が及ばないんだな。しかも、壊れた所もさほど高いレベルの魔法回路ではないから、修復や再構築が簡単になる。防御魔法を多数展開して破損しても、なんて事ないんだ。
 さらには、全ての魔法回路を同時に起動して、多数の魔法を同時に展開するという事も出来る。まあ制御が難しいから、同じ魔法を多数起動するという形になるが、異なる魔法の同時起動も理論上は可能だ。」

じゅえる「ふうむ。なるほど奥が深い。」

まゆ子「でもね、この複数回路の形成は、高度な魔法への道が閉ざされた初級魔法使いでも必然的に到達する道なんだ。だから絢爛たる_の本義は、最初に言った物理法則や知識との連動こそが重要で、これじゃあない。複数起動の能力は当然でありそれをどう使うかが問題なんだな。」
釈「なるほど、納得しました。つまり絢爛たる_の魔法使いを攻撃すると、複数の別な魔法での連撃を食らうわけですね。」

じゅえる「でも、高度な魔法てのは、自力では到達できないかい? 個人の才能とかで到達は出来ない領域なの?」
まゆ子「そりゃ天才という奴だよ。基本的に高度な魔法、というのは無いんだ。なにが必要かという需要によって確定する。
 魔法回路を進化させる聖なる_では、魔法回路が独自に思考を開始するのを一種の目安としてレベルを決めている。つまり、魔法回路が魔法生物に進化した時点で、その魔法使いは免許皆伝なんだな。
 勝利の_ではもちろん勝てばいい。勝つ為に必要な全てを兼ね揃えている者が、高度な魔法を身に着けたと呼ばれる。」

釈「つまりは、なんの為に、という必然の道を見出さなければ、高度な魔法というのは発展し得ない、という事ですね。初級魔法にはそれが無い。」
じゅえる「というか、初級魔法は目的とする機能が明確でそれ以上を要求されないから、進歩もしないってことか。」

まゆ子「治癒魔法は日々進歩しているんだけどね。最近のトピックスでは遺伝子変換を魔法で行おう、というものだが、それは分子レベルでの魔法の応用だから、単に病人が癒れば良いという伝統的な治癒魔法では、絶対に到達出来ないな。」

 

 

釈「えーと、こんなものですかね、必要な魔法は。時間を遡るとかは無しですかね、やっぱり。」
まゆ子「時間はヤバいだろう。それは聖なる_の究極目標に近いもんだ。また神の力を借りる魔法、ってのはまだ設定されていない。」

じゅえる「神の、ってのは無しにしよう。古代に誰かが作った魔法生物を使役するという魔法だよ。魔術の巨大なる金字塔がうろついているんだ。」
釈「神の僕を使う、ってわけですね。でもこれは、聖なる_の魔法ですかね、使役するのは。」
まゆ子「そんなもんかね。まあ滅多に遭遇するものではないし、空間を飛び越えて召喚するわけにもいかない。生身の術者よりもはるかに高度な魔法回路を持っている存在だ。こちらから出向いていかないとね。強大な力を持っているけれど、今ではその造り方がまったく分からないんだ。物理魔法を使い、超高度な魔法回路を備え、膨大な魔法エネルギーで動く。これはやはり神だな。魔神だ。」

じゅえる「時間はどうしよう。ちょっとくらいいじれると面白いんだけど。」
釈「ちょっとくらい、ですね。」
まゆ子「魔法生物を時間を越えて飛ばす事ができる、くらいにするか。情報を獲得することが出来るくらいで、物理的影響は与えられない。うーん、まあでもそれくらいが出来るのであれば、聖なる_が現実世界の征服支配にこだわらないのも当然ですかね。なにせ未来が見れるんだから。」
釈「そうですね。十分過ぎるくらいのアドバンテージがあるんですよ。だから超然としていられる。」

 

じゅえる「時空を越えて、セイバーちゃんを呼び出す聖杯の魔法、ってのは無い?」
釈「過去の英雄を呼び出して使役する、というのですか。それはー。」
まゆ子「召喚系の魔法の定番だな。欲しいな。しかし時空を飛び越えるのは禁止だ。過去を読み取り情報だけを現代に持ち込んで、魔法生物として再現する。しかもそれに物理魔法を実現させる。無理だ。」
じゅえる「アイテムがあればいい、という事にしよう。英雄の遺物を利用して魔法回路を仕込み、英雄の情報を再現する。で遺物この場合武器宝具を扱う生贄を必要として、人体に英雄の仮想人格を投影する。」
まゆ子「生贄は死にますね。」
釈「そのくらいは許容範囲です。肉体変異も起こしましょう。」

じゅえる「扱いとしては所詮マジックアイテムだ。人体をマジックアイテム化したにすぎない。扱うには別途魔法エネルギーの供給が必要。勝利の_しか使えない。」
まゆ子「いや、アイテムを利用して集団の魔法エネルギーを供給出来るようにもしよう。絢爛たる_にも使えるんだ。」
釈「どちらにしても、聖なる_の力が無いと宝具に魔法回路を仕込めませんよ。」
じゅえる「うん。結構聖なる_の役割は大きいな。さすがに魔法の家元だ。」
まゆ子「宝具をそれように変換するのは、絢爛たる_の仕事なんだけどね。アイテムの追加もしなきゃならない。」

 

釈「そうですねえ。それらは漫然と作られるのではなく、或る不可避な命令によって作られて、敵対する派閥に供給しなければならない事になっているんです。マジックアイテム供給計画というのが、どこかにあるんですよ。」
じゅえる「ふむ。死海文書だね。」
まゆ子「魔法界を統べる計画書、だね。聖なる_を縛るものはやはり神の言葉ってことだ。うんそれ採用。」

釈「やはり、発掘されるんですかね。洞窟とかから。」
じゅえる「古代の文書館が発掘されたというか古代から続いている、という感じではないかな。」
まゆ子「文書館組という魔法使いの一派がある、て事にするか。魔法の文書をひたすら解読し続ける存在。暗号解読専門家だ。」
じゅえる「秘密の中の秘密だね。うん。それはやはりアカデミーつまり絢爛たる_が押さえているんだよ。というか、金掛るし。それに関してはどちらの派も異を唱えない。」
釈「中立ですよね、やっぱり。」
まゆ子「聖なる_も文書館から供給される魔法の書をすべて網羅するわけにはいかないんだ。やはりこれは絢爛たる_の組織力が守るのに必要なんだ。」

釈「予言、てのもここにあるんですかね?」
じゅえる「ハリーポターも予言があったな。今回の映画は。」
まゆ子「字が浮き出ては消える碑というのがやはりあるんだな。予言もそこに浮き出て来る。それに従ってマジックアイテムは作られる。そういう事だよ。ものによっては、アイテムの元を集めるだけでも十数年掛るというのもある。結構大変だ。」

 

釈「しかし、そういうのがあるとすれば、敵も別に用意しないといけませんね。魔法界とは別の勢力が必要です。」
じゅえる「闇の勢力ってことか。まあそれは、別口だなあ。」
まゆ子「それはあれだ。古代に作られたマジックアイテムやら魔法生物を使役するだけの勢力もあるんだ。鬼なんだよ。」
釈「悪魔、ですね。吸血鬼とか狼男とか。生まれながらに魔法を使う能力を身につけた生物。それが居るんです。」

じゅえる「べたな定番だよ、そりゃあ。うん。」
まゆ子「べたでいいじゃないか、はりぽたなんだから。」

 

     ***

南洋子「というわけで、我々は今日から魔法少女になった!」
江良美鳥「わーい。」
明美四号「ちょっとまて、何故に一介の女子高生が魔法処女にならなきゃいかんのだよ。」
洋子「何故もなにも、紋城高校は元から魔法学校なのだ。」
四号「そういうせっていなのか。」
美鳥「講師をご紹介します。京都でも有名な魔法使いの、円条寺蓮さんです。」
蓮「どうもーお。えー今日からびしびし魔法使いになる為の修行をしていきますね。」
洋子「円条寺先生はバストが99糎もあるナイスバディのべっぴんさんなのです。しかも眼鏡っ子だ。」
美鳥「おおー。」
四号「どこに驚いたんだ、いま?」
蓮「えー、この度てきとーにでっち上げられました『針歩太流魔法術』によりますと、新入生には魔法回路が無い。」
洋子「ふむふむ。」
蓮「無いのも当たり前。これから作ります。というわけでテキストの3〜12頁を読んで下さい。読みましたね。」
皆「はーい。」
蓮「というわけで、早速やってもらいます。」
洋子「先生! テキストには魔法力というものが魔法回路の形成には邪魔になる、と書いてます。」
蓮「その通り。人体には元々魔法から人体を護る為の保護機能が付いています。これがある限り魔法回路を身に着ける事はできません。」
四号「それはプロテクトが掛っている、ということですか。じゃあどうすれば、」
蓮「死にます。」
皆「は?」
蓮「死に掛けた状態になると、魔法保護機能が停止します。無防備状態になります。そこで初めて魔法回路の形成が可能になります!」
美鳥「ほー。」
四号「ちょっと待て。死に掛けるってのはなんだ?」
蓮「私が魔法を使って半殺しにいたします。」
美鳥「なるほど。」
四号「ちょっとまって、半殺しというのは、本当にはんごろし?」
洋子「えー、半殺しでは失敗して死んじゃうとかは、無いんですか?」
蓮「大体は大丈夫です。」
美鳥「つまり、大体の子は死なないんですね。」
四号「それは時々死ぬ奴も出る、てことだ。」
洋子「具体的にはどのように半殺しにするんですか?」
蓮「魔法防御機能は人体が元々持つ魔法エネルギーを用いて防御している。魔法エネルギーをさくっと分捕ると、比較的安全に半殺しになります。」
四号「魔法エネルギーというのは、通常の人体においてはなにも益は無いんですか。分捕られても大丈夫なものなんですか。」
蓮「元々ちょっとしか無いものです。だからちょっとしか影響がありません。これが無くなると、おばけに憑かれ易くなり妄想にうなされ、理由も無く衰弱し病気にかかり易くなり、運が悪くなり犬のウンコにつまづいて心臓停止、とかになります。」
四号「…十分やばいじゃないですか。」
洋子「文字どおり命懸けの訓練なんですね。」
美鳥「しつもん! 先生はちょっとしかエネルギーが無くても魔法が使えるのですか?」
洋子「そうだ。魔法エネルギーが人体にちょっとしか無いのに、どうして魔法が使えるのですか。」
蓮「ぶっちゃけた話、他人からエネルギーを奪います。今日はあなた達からです。」
四号「うう、やはり世の中には美味い話ってのは無いんだ。」
洋子「取られた私達は、魔法エネルギーの補給はどうすればいいんですか。」
蓮「決定的な損傷が無い限り、一晩寝て御飯を食べれば勝手に戻ります。人体に普通にあるエネルギーというのは所詮その程度です。」
美鳥「それはよほどお腹の空くはなしですか。」
洋子「でもその程度のエネルギーをかき集めても、大した量にはならないでしょう。それとも百人千人を動員しますか。」
蓮「だからこそ、魔法回路をさっさと身につけてもらいます。まずあなた達が身につける魔法回路は、暗黒世界から流れ込んで来る魔法エネルギーの出口を維持する機能を実現します。蛇口ですね。これを身につける事で、先生達はあなた達からどばどばとエネルギーを引き出す事が出来るようになります。」
美鳥「なるほど。」
洋子「先生。ではその蛇口能力を身につけると、私達もエネルギーをどばどばと使えるという事ですか。」
蓮「だめです。自分の蛇口を自分でひねる事は出来ません。エネルギーを放出するか、魔法を使うかの二択です。だからこそ、お互いが協力しなければなりません。二人組になって、一人が魔法行使者、ひとりが魔法力供給者になります。」
四号「二人一組で魔法を使う、ということですね。」
蓮「ですが、尋常の事をしていては魔法エネルギーは出て来ません。蛇口をひねるのにも力が要ります。そして力が強く必要になるキツい蛇口からの方がより沢山エネルギーが出て来ます。」
洋子「でも、その蛇口をひねる為のエネルギーは、」
蓮「自前の極少ないエネルギーです。しかも相手は抵抗します。無理やり蛇口をこじ開ける事になります。」
四号「抵抗って、協力は出来ないんですか?」
蓮「死ぬか殺されるか、という極限の状態でこそ、蛇口は開きます。またエネルギーを放出する方もその度に瀕死の状態になり、魔法回路の形成の機会を得るのです。」
洋子「つまり、私達は互いに半殺しにし合い、負けた方がエネルギーを取られて死に掛けて、その度に進歩するということですか。」
美鳥「ドラゴンボール形式ですね。」
蓮「どら?」
洋子「しかし、魔法エネルギーを得た勝った方は、何をするのですか、それで。」
四号「そうです。金銀財宝がざっくざく、とかの得はあるんでしょうね。」
蓮「まあ、なんだ。魔法回路の形成が無いと、ダダ漏れして無くなってしまうだけですね。相応の高度な魔法回路でないと、膨大なエネルギーを使役出来ない。そして、魔法回路でなにをすると言っても、あなた達初心者には何も出来はしません。だから、溜めます。」
四号「そうか、エネルギーがどんどん貯まっていくんだ。」
洋子「でも先生、魔法エネルギーを使う魔法回路は、エネルギーを根こそぎ奪い取られた状態でないと形成出来ないんですよね。じゃあエネルギーの溜まる状態は不利なのでは?」
蓮「あなた達個人には不利でも、私達先生には有利です。それだけたくさんのエネルギーを吸い上げる事が出来ます。心配しなくてもエネルギーは定期的に先生達がクリアにしてくれます。要は、エネルギーを扱う量がどんどん増えていく、ポテンシャルが上がるという事です。」
美鳥「なるほど。勉強になるな。」
四号「しかし、魔法回路の形成が上手くいかないと、だめなんだな。」
蓮「そこでエネルギーポテンシャルの量がものを言います。魔法を溜め込むタンクはそれ自体が魔法回路です、当たり前だけど。魔法コンデンサと考えて下さい。電気を溜めるのと同様に魔法エネルギーが溜ります。それは魔法回路が成長しているというのと同義です。ですから、この肥大した魔法回路を一部改変して他の目的に振り換える事が出来るのです。」
四号「つまりは、勝てばいいのですね。」
蓮「簡単に言うと、そういうことです!」
洋子「なるほど、結局はかなり簡単な理屈なんだ。」
美鳥「では魔法回路がどんどん成長していくと、どうなるんですか。凄い魔法が使えるようになりますか。」
蓮「まずは、初期魔法回路の形成に2ヶ月は掛ります。この期間を過ぎると、半数の生徒はかなり魔法を使えるようになります。」
洋子「残りの半数は?」
蓮「負け癖が付きます。」
四号「なるほど、それは大事だ。」
蓮「負け癖が付いた生徒は使えませんから、放校です。」
四号「かなり厳しいな。」
蓮「勝てる生徒同士が今度は勝てる魔法を使って、勝負します。第二段階では形成された魔法回路を利用して攻撃魔法を勉強します。」
四号「お、やった。」
洋子「防御魔法というのは無いのですか?」
蓮「この段階では意味がありません。どちらかが勝たねばならないのです。だから学校はガチンコの勝負を求めます。」
洋子「なるほど。」四号「なるほど。」
蓮「代りに治癒魔法を覚えます。魔法力を使って人体の治癒を出来るようになります。魔法勝負は精神のみならず肉体にも危険が及びます。治癒魔法は非常に大切な技能です。また治癒魔法の現実社会での需要は大きく、これ一本だけでも食べていけます。」
美鳥「なるほど、これは絶対に獲得しなければ。」
洋子「攻撃魔法の訓練はどのくらいの期間続きますか?」
蓮「一生です。魔法使いというものは常に精進し時に応じて他の魔法使いと勝負をし続けなければならないものです。ですが、勝負ばかりに血道を上げても世間様の役には立たない。だからどこかで道を分かれます。ただし、魔法格闘に特化した魔法使いの一団があります。超強力な魔法攻撃を身に着ける事で、魔法エネルギーを自在に扱う事になります。自分の意志で自分の蛇口を開く事が出来るようにもなります。」
四号「それいいな。私それになります。」
蓮「だが儲からない!」
四号「う!」
蓮「もう一つの道があります。魔法回路をどんどん高度なものに組み替えていき、より高度な魔法を使えるようになります。学校で教えるレベルの魔法からでは想像もできないほどの高見に登る道です。」
洋子「それは儲かりますか?」
蓮「ぜんぜん。」
四号「論外だな。」
蓮「しかし他の魔法使いに対して支配的な力を振るう事ができるようになります。儲かっている奴をカツアゲすれば良いのです。」
美鳥「なるほど。勉強になります。」
四号「格闘専用のと、その高度な魔法使いとでは、どっちが強いんですか?」
蓮「ケースバイケースだね。強力な魔法エネルギーをばちばちとぶつけて来るのと、少ない魔法エネルギーを効率的に使って防御を行うのと、どちらが強いかは術者の能力の問題になります。」
洋子「つまり、高度な防御魔法が使えるようになる、ということですね。」
蓮「それだけでなく、高度な攻撃魔法も使えます。また他者の魔法回路自体を破壊する攻撃魔法も存在します。」
四号「つまり質と量の戦いなんですね。で、儲かる魔法は?」
蓮「この二つの魔法は、儲かりません。何故ならば現実社会では意味の無い魔法だからです。雨が降ったり雷が落ちたり、といった物理現象を引き起こす魔法とは異なり、魔法の構造自体に干渉する魔法だからです。儲かるのは、物理魔法を使う連中です。」
美鳥「御飯が天から降って来る、という魔法はありますか?」
蓮「金持ちが弁当持ってやって来る、という魔法はあります。」
四号「おお、それは凄い。」
洋子「物理魔法は特別な訓練を受けないと使えない、んですね。」
蓮「ちょっと違う。一人の魔法使いは分野の違う魔法を自在に使いこなすというわけにはいかないのです。儲ける為には儲かる魔法に特化しないといけない。」
四号「そりゃそうです。ですが、それはデメリットがありますか。」
蓮「魔法勝負で勝てなくなります。またエネルギーの取り扱い量が少ないままです。また魔法的に見てさほど高度な魔法回路ではなく、魔法防御力もありません。」
四号「弱いんですね?」
蓮「そうでもありません。むしろ物凄く強い。魔法勝負でこそ負けますが、現実の戦闘においては物理攻撃魔法は大きな力を持ち、そして魔法使いは通常物理防御力を持たない。」
洋子「つまり、鉄砲で相手を撃ち殺すのと同じわけですね。」
四号「魔法で物理攻撃魔法を防げないんですか?」
蓮「先手必勝。」
四号「かんたんな話だな。」
蓮「しかし魔法エネルギーが少ないのは致し方ありません。そこで数です。魔法使いを多数集めて、エネルギーを分捕ります。」
洋子「つまり、この学校は儲かる魔法の系列、ということですか。」
蓮「そういうことです。みんな頑張ってエネルギー供給源になってくださいね。」
皆「はあ。」
蓮「というわけで半殺しを始めましょう。」

 

   ***

じゅえる「というわけで、魔法学校ができたわけです。どういうの?」

釈「やはりハリーポター風の古城みたいなところで寄宿舎のというのが、良くはないですかね。」
まゆ子「日本だよ日本。そんなもなあ無い。」
じゅえる「そうだよなあ、一応日本の学校だからなあ。がっこうというと限界があるよねえ。」

釈「ではどこかの島をまるまる魔法学園都市、というのでは。「ネギま!」になってしまいますが。」
じゅえる「やはり極めて日本風にアレンジし直しちゃう。えーと、やはり学校なんだから校舎があって、木造ですか。」
まゆ子「もくぞうねえ。うーん、定番ではあるが魔法学校となると、なんだ。」
釈「では擬洋風建築ではどうです。明治みたいな感じで。」
じゅえる「うん、素敵。」
まゆ子「悪くない。だが魔法学園の規模を考えると、全館それだとゴージャス過ぎるよ。」
じゅえる「皇居だってそんなには無いか。」

釈「魔法学園の規模ですよね、問題は。生徒は何人居るんですか。」
じゅえる「魔法使いってのは、そもそも人数が居ないものだから、一学年50人から100ってとこでしょう。6学年あるとしても1000人はいかない。」
まゆ子「門代高校で収まっちゃうな。」
釈「しかし、教員も居るし宿舎もあるし、1000人って事は無いでしょう。」

まゆ子「あー、魔法学校というのがホグワーツをモデルにしてはいかんのだ。あれは元々はただの学校だ。魔法学園には大学から上の研究機関が併設されているもんだ。」
じゅえる「つまり、魔法使いの拠点として考えればいいんだ。というと、要塞都市?」
釈「都市とは言わないまでも、要塞であるのはなかなかに説得力があります。なにせこの設定は魔法合戦を繰り広げるのが宿命ですから。」

 

まゆ子「わかった。第一次世界大戦風の要塞をベースに、擬洋風建築が立ち並ぶ、あやしげな学園都市だ。」
じゅえる「うむ。戦車や大砲も随所に配置しておこう。」
釈「な、なんですかそれ。戦争でもおっぱじめようという気ですか。」
じゅえる「いや、そのまんま。魔法合戦でも武器は使うよってこった。」

まゆ子「具体的に言うと、大砲で弾ぶっぱなして、物理魔法で誘導するということができる。凄い威力だ。」
釈「はあ。それは極めて効果的な魔法の使い方ですねえ。単に弾を飛ばすよりもずっと強力で効果的だ。」
じゅえる「しかも魔力はほとんど使わない。弾丸を横にずらすのは、真っ直ぐぶっとばすよりも遥かに楽な仕事なのだな。」
まゆ子「戦車もそうだ。魔法攻撃を防ぐ魔法装甲というのを開発してるんだ。これに入って大砲撃てば、必勝間違い無し。」

釈「魔法装甲、というのは魔法アイテムですか。」
じゅえる「魔法エネルギー攻撃、魔法生物攻撃を防ぐ為のものだろうから、そうかな?」

まゆ子「いや、貧弱な物理魔法攻撃を防ぐ為のものだ。どの魔法使いだって或る程度の物理魔法は使える。それを防いでなおかつ魔法攻撃を防ぐ為にはどちらかに専念しなければならない。物理防御魔法を展開するよりは装甲内に篭った方が楽だ。攻撃も出来るし。アイテムを通して魔法エネルギーの転送をもらい、魔法防御を展開する。」
じゅえる「物理魔法使いっていちいち合理的だな。」
釈「なんか腹立ってきますね。」

まゆ子「仕方ないじゃん。便利なんだもん。でもおかげで、こちらも魔法攻撃が出来るんだよ。数を集めてぶちかます、ってのが出来るんだ。しかもかなりの高等魔法だ。勝利の_は魔法エネルギーこそ高いが魔法としてのレベルは低い。対して、絢爛たる_の攻撃魔法は或る程度高いレベルにある。術式展開に手間が掛るけれど、戦車の中に居ればなんとかなる。別の魔法使いに防御を肩代わりしてもらう事も出来る。」
じゅえる「ふむ。負ける気は無い、ってことか。」

釈「ということは、正課の授業で戦車の運転、とかもあるわけですね。」
まゆ子「まあ、そうかな。」
じゅえる「大型重機の運転免許付きか。悪くないな。」

 

釈「武装の必要は分かりました。で、肝心の教育施設はどうなっているんです。」

じゅえる「全寮制の魔法学校、6年制男女別、というところは外せない。」
まゆ子「ホグワーツはなぜか男女一緒だが、女子校だ! これは外せない。」
釈「鯉は無くてもいいんですか?」
じゅえる「男女併学なんだよ。学校の中で男女に分かれている。だから、なんか行事があると男女一緒のカリキュラムやらが発生する。学園祭とか体育祭とか。」
まゆ子「うんうん、それだ。」

釈「では可愛い制服を来て、みんなマントとか被って授業に出るんですね。」
じゅえる「あー、どうだろう。西欧魔女スタイルであった方がいいんじゃないかな。魔女だし。」
まゆ子「そうだねえ。でもセーラー服という手も悪くないし。スカートの丈は股間が見えるほどに切れ上がっている必要があるし。」

釈「ではいっそメイド服にでもしますか。」
まゆ子「うーん、定番のスタイルといえばチェックかなあ。魔法使いでないといけないんだよ。魔法スーツというのがあれば、」
じゅえる「ではビキニ鎧なんかも選択肢に入るかな。エロゲっぽくなっていくけど。」

釈「ここは素直に、スカートは尻が見えるミニ、脚は黒のストッキング、チェックのベストに帽子、という真っ当なスタイルでいくべきでしょう。」
まゆ子「現代的なスマートさは欲しいんだ。携帯電話くらいは皆持ってる。しかしー、まあスタイルは後で考えるか。魔法戦闘スーツってのも考えるべきだろうし。」
じゅえる「うーんとそうだねえ、やはりブルマと体操服で。」
釈「いやーここはスク水っぽい恥骨がばっちり見えるようなボディスーツを。」

まゆ子「ま、色々とありますが、そうだねえ。つまり制服を引き抜くと戦闘スーツになれる、という一瞬で変身が出来る格好をしているというのが。」
じゅえる「肯定だ。」
釈「変身はぐっどです。では変身前の制服は割と地味な感じで。やはりハーフのマントも付いている事にしましょう。」
じゅえる「そうだな。エンジの服でシックに、でもスカートは短いストッキングは欠かせない。」

まゆ子「ふむ。じゃあ服はそういうことで。校章が魔法アイテムになっていて、なにか守ってくれるというのがいいかな。」
じゅえる「どうせなら生徒専用ケイタイってのが支給されていて、それが生徒の居場所を教えてくれるGPSみたいになっている。」
釈「完全監視体制ですか。まあ、魔法学校ですからそれでもいいですかねえ。」

まゆ子「そこはかとなく厳重警備がされているんだよ。あーそうだねえ、つまりこのケイタイが許可証でありお財布なんだ。学校の食堂とか売店とかでも、これで決済する。」
じゅえる「いやに近代的だな。」
釈「いや、これでいいんです。これこそが現代魔法少女学校です。処女検査も行います!」
じゅえる「う。股ぐらぱっくりと開いて触診ですか。魔法学校ってそういうものだっけ?」
まゆ子「ともかく、身体検査はばっちりとされてしまうのだ。せくすすると退学、という校則も決まっている。魔法的になにかいかん理由があるんだ。」

釈「制服とケイタイと魔法の杖。ケイタイは情報ツールとして機能するから、学生証にもなりますし、校則も呼び出す事が出来ます。」
じゅえる「そして、魔法の杖を使うと一般人には閉ざされている扉が開くんだ。」

 

釈「えーと、一学年50人ですか。この学校は日本だとして、生徒は日本人オンリーですか。」
じゅえる「えーと立地がどこにあるか、日本であれば島だろ。架空の大陸であれば内陸だろうけれど、やはり大きな湖は欲しいかなあ。」
まゆ子「ホグワーツはどっかの山の中にある。あのくらい辺鄙な土地であってもいいかなと思うけれど、日本の場合はどうかな。いっそ隣が普通の都市、というくらいかなあ。」

釈「いっそのこと、軍事施設の内部に存在する秘密都市、というくらいが。そうですよ、地下の空洞に都市があり、街があるんです。」
じゅえる「べたべただな。だが悪くないアイデアだ。」
まゆ子「なんでこんなとこに、ってくらい普通に穴が開いてるんだな。エレベータを通ると普通の地方都市が上にあるんだ。」
じゅえる「街に湖があり、そこが実は地下都市の明り採りの窓なんだな。」

釈「しかし、何故にそんな凄い所にあるんです。その魔法学校は。」
まゆ子「そりゃやっぱり、使徒が攻めて来るからだろう。」
じゅえる「吸血鬼とか狼男とかが攻めて来るんだよ。」

釈「なんか、定番とちがう…。」
じゅえる「でもそのくらい突拍子も無い方が、むしろ斬新で目立つでしょう。生徒が上の街でバイトとかもするんだよ。」

まゆ子「なにか敵に凄い奴らを考えないといけないね。えーと、やはり他の二つの派閥とは関係無い、別口の敵であるべきかな。」
じゅえる「そうだねえ、魔法生物というのとは異なる、魔界の存在という敵だね。魔神か。」

釈「やはり、地道に悪魔がくるというのが。何故です? なにか恨みを買いましたか。」
じゅえる「買ったんだろうねえ。それも絢爛たる_ではなく、聖なる_の方が。」
まゆ子「勝利の_がだめ押しをしたんだよ。で、とばっちりを受けているのが絢爛_だ。要塞を必要とするほどの攻撃をされるんだよ。」

釈「この穴、なにを隠しているんです? ロボットですか? 古代の発掘戦艦ですか?」
まゆ子「え、いやそんなものは。」
じゅえる「何も無い、ことになっているんだよ。この穴は昔の採石場で地面に穴掘りまくって上の街が崩落しかけたから地下を補強して、ついでに大空間にしたてただけの、ただの穴。」

釈「またまた。ぜったいなにかあるんですよ。あ、そうですね、古代の邪神が眠っているんだ。」
まゆ子「いやそんなの無いから、ぜったい。」
釈「またまた。巨大な怪獣が毎週襲って来るんですよ。彼女達は魔法ロボに乗って戦うんだ。」
じゅえる「いや、それは無いったら。無いよね。」

 

まゆ子「定番じゃない! とはいうものの、おかげで方向性が定まった。

 この世界は魔法と電脳技術との融合が進んでいるんだ。というか、電脳技術は独自に発展しており、従来の魔法教育とは別に存在するんだけど、発展した技術のおかげでなにか効率化が進んでいるんだ。」
じゅえる「交わっている、んじゃなくて、魔法教育の効率化が進んでいるんだね。」

釈「物理魔法と電脳技術と、どの程度の関連性があるんですか?」
まゆ子「いやほとんど関係無いんだよ。ただ、世の中の科学の主要な発見において物理魔法は多大な貢献をしてきた。なんというかね、のるかそるかの大勝負で魔法の加護があると、大抵成功するんだ。世界中で開発競争が進むという中で、魔法の加護があればいちはやく成功して勝ちを得られるんだ。」
じゅえる「つまり、偶然を必然にする魔法、ってわけだ。」
釈「地味に凄いはなしですね、それ。」
まゆ子「だから、別に地底にロボを隠していなくても、十分秘密扱いされるに足る秘密なんだよ。」

じゅえる「やはり魔法と技術の融合は凄い。しかし魔法技能の習得はこれまで通りに泥臭い魔法合戦によるんだね。」
まゆ子「そうだよ。瀕死の状態にならないとダメなのは、昔ながらなんだ。魔法回路、魔法エネルギーを解明するにはまだ人類の技術は全然かすりもしてないんだ。鋭意努力中ではありますが。」
釈「では魔法学校は凄まじく機械化電脳化が進んでいながら、古典的な魔法教育を行う旧態依然たる悪弊が残っているんですね。」

まゆ子「あーちなみにこの魔法学校は、表の街では「紋城学園電奏科」として知られている。電奏って何?と誰からも言われてしまうが、魔法みたいなものと答えるように学校からは言われている。電脳技術を利用して云々ね。」

じゅえる「なにか裏付けとなるものは、あるんだ。」
まゆ子「電気仕掛けを魔法で操る、という事でもある。だから或る意味、ロボットは正しいんだ。魔法を使ってロボットを使役するという研究は今この学園でも随分と力を注いでいる。」
釈「機械とのインターフェイスとして、物理魔法を使おうというのですね?」
じゅえる「それはー、凄いんだけど、いいのかな?」
まゆ子「古代より科学技術の進歩と物理魔法とは密接な関係がある。錬金術はまさにそれだよ。化学の反応を促進する、あり得ないほど稀な現象を引き起こす為に物理魔法は使われて来た。」
じゅえる「そうか、錬金術も物理魔法の範疇なんだ。」

釈「進んでいるのは物理魔法、つまり絢爛たる_だけですか? 他は進んでいない?」
まゆ子「聖なる_はそもそも科学技術を投入するまで人類の知恵は進んでいない。魔法回路の形成にまったく役に立たないから、使わない。勝利の_も同じで、科学技術では彼らを止められない。だから彼らも使わない。ただ彼らの出身はあくまでも絢爛たる_の魔法学校なのだから、科学技術に無知という事はあり得ない。むしろ最先端のものに触れながら学んでいるんだよ。」
じゅえる「要するに時代の子ってことだね。」

 

釈「敵はどうなんです。魔神もロボットで襲って来るんですよね?」
まゆ子「無いったらそんなの。」

じゅえる「しかし、穴掘って学校作ってるんだから、なにか文書館の中に超技術の遺産とかがあるべきでしょう。」
まゆ子「うーん、それはたしかにそうなんだろうけど、あまりここでは戦闘はしないんだよ。それはむしろ、上の街、」
釈「戦闘都市なんですね、武装が街中にいっぱい隠してあり、そこで魔法ロボが戦う。」
じゅえる「そうか、地下には侵入してこないんだ、上の街で惨劇が起こるんだ。」

まゆ子「いや起きないんだけどさあ。あるとしても、学校の先生達が戦うわけで、生徒には関係無いよ。下っ端なんだから。」

 

釈「じゃあこうしましょう。三つの魔法とは別に、やはり暗黒魔法というのがあるんですよ。瀕死の状態で接する魔法エネルギーの世界に身を委ねて、自らを魔神に捧げて人間ではなくなる禁断の魔法があるんです。自らを魔法生物に換える、邪悪な_が。」
じゅえる「うんそれは十分正しい。人間として生きる意志を喪失するんだ。この罠に陥って、同じ魔法学校の友達が暴走して退治されてしまうんだ。」

釈「そうなってしまうと、学校の先生でも対処できない。だから、勝利の_から刺客が来るんです。魔法学校の生徒は、この事件で初めて勝利の_の存在を確認し、その魔法戦闘技術の強烈さを思い知るんです。」
じゅえる「うんうん。それは物語的に正しい。」

まゆ子「じゃあ文書館にある予言が出て来る碑というのは、その暗黒邪悪な_の産物、ってことにするか。」
じゅえる「それを極めると、吸血鬼になったりするんだよ。肉体的な変貌も遂げるんだ。銃で撃たれても死ななくなるとか。」
釈「治癒魔法を体内で使い続ける、とかですねそれ。なるほど、確かにそれだと死にませんか。痛いのは誰だって嫌ですからね。」

まゆ子「それだ、それでいこう。
 魔法戦闘は確かに痛みを伴うんだ。戦闘だから当たり前だが、痛みに耐えていかねばならない。
 しかし、どうしてもそれに耐えられず痛みを抑える、痛みを感じないのを望む生徒も出るんだ。その子達が或る日、まったく痛みを感じないで済む魔法回路の形成に成功してしまう。これは魔法修行で往々に有る陥穽なんだ。

 痛みを忘れた者はアドバンテージを得て、魔法戦闘で次々に勝利する。しかし、魔法戦闘の修行は負けて瀕死の状態に陥って初めて魔法回路の形成に成功する。
 だからその子達も勝ちが或る日ぱたっと止まる。他の子の魔法回路がその段階を上回るんだね。で、負けが込み痛みも復活する。
 それを回避する為に更に痛くない魔法回路を強化して、気がついた時には人外の存在に成り果てているんだ。人の痛みが分からない、命の尊さが分からない怪物になってしまっている。」
じゅえる「それは、魔法防御回路と勘違いしてしまうんだね。防御の魔法を獲得した、と勘違いして痛みを無くす能力をどんどんエスカレートさせていく。」

釈「なんか可哀想ですね。先生はなにも言わないんですか?」
まゆ子「気付いた時は遅いんだ。先生といえども、人の中身は分からない。で、初期の内に気付いたら聖なる_でその子の魔法回路を破壊する。しかし一度痛みから逃げる術を覚えた者は、どうしてもそちらの方に傾いてしまうんだね。だから放校になる。」
じゅえる「つまり、失格してしまうんだ。それはダメなんだねえ。」

釈「それはあれです。順当に進歩していく人も、能力が強化していくと自然に痛みが少なくなるんです。魔法回路がどんどん強化されて、耐性が上がるんですね。それと、痛みを無くす技術との区別が付かない人がどうしても出てしまうんです。だから紛らわしい。」

 

じゅえる「処女検査をするくらいだから、セックスの問題もなにか不都合な事件を引き起こすんだ。」
まゆ子「うん、まあ学校の目的は魔法エネルギーの採集だからそれに不純物が混じるセックスの問題は避けるべきなんだね。だが中には、魔法修行を重ねる内に性的に目覚めてしまう子が出てしまう。性魔法は当然存在するんだが、魔法学校で教えるというわけにはいかない。特別なコースになってしまい、あまり魔法使いの親御さんの望むものではない。だからその危険が進まないように、処女限定という話になっているんだよ。一人非処女が居ると、周りにも伝染する。」

釈「エロエロになってしまうんですね。」
じゅえる「魔法勝負で負けると、快感になるんだ。マゾ属性の解放だ。」

まゆ子「あー現象から言うと、魔法エネルギーの自力での生成能力の開発、だね。暗黒世界からの魔法エネルギーの抽出をしなくても、素で魔法エネルギーを作り出す力が増強される。そのエネルギーを用いて魔法戦闘では勝てるようになるし、自力で瀕死の状態つまりエクスタシーに達して魔法回路の形成も進む。しかし、そうなると魔法戦闘に興味が無くなるんだな。特殊な魔法回路に進化して、三つの_が求めるものとは異なって来る。決して不都合ではないが、違うものだ。」

じゅえる「それはつまり、人間社会において特に機能する魔法であるから、一応は物理魔法。絢爛たる_に属するものだけど、違うんだね。」
釈「でも用途は多そうですよ。」
まゆ子「そうなんだ。錬金術的な魔法の在り方とは違うが、社会を動かすにはかなり効果的な魔法だ。絢爛たる_の本義は、様々な術を用いるということだけど、これもれっきとした一つの道ではある。道徳的に難点があるというだけでね。出来てしまったものはしかたない、隔離してそれ専用の師匠について、エロ魔導師にスキルアップだ。」

じゅえる「まあ、親御さんには言えないな、それ。」
釈「でも、普通人間界において、エロ魔導師はなにか政府高官とかに効果絶大って感じですよね。それは使わないんですか?」
まゆ子「ばりばり使う。この地底学園を作る際にも、随分と活躍しました。」
じゅえる「やっぱり。」釈「やっぱり。」

 

まゆ子「えーつまり、電奏科は普通のコースだけでなく、文章解読科とかエロ魔法科とか錬金科とか、色々と最終的には分かれていくんだよ。で、主人公達は、」
釈「え、もう主人公決まっているんですか?」

まゆ子「ほらもう書いた。南洋子、江良美鳥、仲山朱美、の3名が入学時に桃苑にて姉妹の契りを結んで魔法修行に邁進するんだ。」
じゅえる「あ、あれもう本編なんだ。知らなかった。」

釈「でも名前そのままじゃあダメですよ。一人くらい外人名にしましょう。えーと、朱美・オブライエンとか。」
じゅえる「朱美・ヒェロニムス、とかがいいか。英語名はイヤだ。」
まゆ子「そこはほれ、それぞれの出自に関わる問題だから、魔法の家の伝統に則って付いた名前というのを、後で考えておきましょう。ともかくこの3人はセットです。で、当然親と血筋は魔法使いです。」
じゅえる「うーん、確かに魔法学校に普通人が行くのは変だしなあ。裏付けが無いとだめだよな。」
釈「となると、彼女達も幼い頃からなにか不思議を見ているものなんですよ、やっぱ。」

じゅえる「となるとだね、天才少女、とかいうのもやはり居るべきではないかな。」
まゆ子「ルリルリみたいの?というか、うっちーみたいの、というかテッサみたいの?」
釈「それらは皆、どこか壊れてる人工少女ですね。」
じゅえる「それも文書科には必要だろ。」

まゆ子「ちがいない。一人くらいは確保しておこう。ついでに、いかにもぽよぽよとエロ可愛い女の子が居て、エロ魔法に転落していくんだ。」
釈「おー、それはエロイですよ。」

 

じゅえる「してみると、主人公3人は何になるのかな。落ちこぼれ?」
まゆ子「洋子は違うとしても、美鳥はちょっと。朱美は特殊な能力がある、という事にするか。因縁の能力者。」

釈「先祖代々受継ぐ能力者ですよ。秘められた過去があるんです。」
じゅえる「思いっきり情けない能力がね。もう業界中での有名人有名家系。朱美魔法というのが俗にあるくらい。」
まゆ子「そういうのはー、えーと、魔法失敗因子とかかな。彼女の周りに居ると、魔法が失敗してしまう特殊能力。」
釈「そういうのは現在かなり一般的にラノベに投入されているみたいですから、ちょっと変えましょう。

 魔法革命能力です。なにか予想もしない魔法効果が起ってしまうんです。それは素晴らしい結果だったり、施設の欠陥を暴き出したり、錬金術でもわけのわかんないモノができたり、ともかく予想外の結果が起きるんです。」

まゆ子「そういうことなら、美鳥はそれに対抗する為に雇われた、ってとこだな。魔法的に凄く鈍感なんだ。それでいて無能というわけでもない。大器晩成型なんだな。」

じゅえる「洋子にもなにか特殊能力が欲しいな。優等生っぽくても、穴がある。」
釈「怪我し易いんですよね、彼女は。えーと、治癒魔法ですかね、天然に持っている力が。」
まゆ子「優等生で頭もいいんだけど、よく間違えてずんと落ち込む。早とちりしてしまうんだ。」

じゅえる「魔法使いとして致命的欠陥があるんだよ。いらちだ。」
釈「気が短いんですね。確かに魔法使いってのは気の長い商売っぽいんですが、だめですか。」
じゅえる「だめって事は無いけれど、魔法勝負は我慢くらべのとこがあるから、さっさと勝ちに行く彼女はどうしても不利になる。」
まゆ子「自分から壁に激突するタイプ、ってことか。うん洋子ちゃんっぽくていい。」

釈「彼女達は主人公ですけれど、謎がありません。やはり定番的には、謎キャラがクラスに居るのがただしいと思いますけれど、どうしましょう。」
じゅえる「そこはまあ、今後ストーリーがどう展開するかを考えて、逆説的に考えよう。やはりロボの登場が待たれる所だね。」

 

釈「この学校は6年制ですよね。えーと、12歳から18歳ですか。そうすると、入学は中学生ですね。」
じゅえる「若いな。こんなもんでいいのかな。」
まゆ子「あー、そうね。14歳から20歳、ただし年齢は幅があって、12歳から16歳まで幅がある、て事にしよう。早過ぎても意味はない。」
じゅえる「小さい子が魔法戦闘、というのは痛々しいからね。」

釈「えーと、中等部から高等部へ、という昇格はないんですか。」
じゅえる「どうしよう。舞乙Himeでは二年制で半分は昇格出来ないんだよね。」
まゆ子「あーそうだね。6年として、最後の1年は卒業試験。3年間の分化専門教育と2年間の初期魔法教育、という事にしよう。最初の2年で50人が30人になり、卒業試験には10人しか受けられない。」

じゅえる「ちょっと厳し過ぎないかな。」
釈「しかし、魔法使いですから。というか、なぜ試験が1年間もあるんですか。」
まゆ子「これは三大魔法会への選任試験でもある。つまり聖なる_勝利の_絢爛たる_から一人ずつ試験官がやってきて、こいつと魔法戦闘をして勝てば合格だ。」
じゅえる「プロとの戦闘か。それは無理だな。なにか制限が無いと、というか制限付きなんだな。」

釈「でも魔法戦闘は時間掛らないでしょう。一発勝負で。」
まゆ子「一発でないよ、1年間何度でも挑戦していい。ただし、一発で死ぬかもしれん。」
じゅえる「そんなに真剣な勝負なんだ。」

まゆ子「死なないとしても、ダメージが2、3ヶ月は回復に掛って闘えない、という事になる。一発で死なない為にも相手の特性を良く見極めて弱点を探り策を講じて自身の魔法回路を勝てるように組み上げて、初めて対戦に臨めるってもんだ。1年間はちっとも長くない。」

 

釈「聖なる_の試験官を物理攻撃魔法で倒す、ってのはダメですか?」
まゆ子「ダメじゃないけれど、選任試験だもん。倒した魔法会へ入会する為には、その分野の魔法で勝たなきゃ入れてもらえないよ。卒業の単位が出るだけで、就職出来ない。」
釈「あ、そうか。」
まゆ子「魔法会に入れないということは、それぞれの魔法会が持つ高度な魔法へのアクセスができないという事で、当然レベルの高い魔法使いにはなれないってことだ。意味の無い戦いをしても仕方ないでしょう。」

じゅえる「試験官が3人居るとして、こっちがダメだったからあっちの魔法に専門を鞍替えして倒す、ってのは無理だよね、やっぱ。」
まゆ子「まあ、3年間の分化教育で得意魔法は大体決まってるからね、コンバートは普通無理だよ。」

釈「では、今回は諦めて次の年に、ていうのは。」
じゅえる「1年間も余裕があってダメならば、何度やってもそりゃダメだろう。普通に失格だ。」

まゆ子「まあ、どうしてもダメだと思えば、他の試験官を別の魔法で倒して卒業だけする、という選択肢が禁じられているわけじゃない。
 魔法使いは魔法だけをやってるわけじゃなく、現実回りの仕事をやる人も居る。そもそも魔法学校の教員てのは、その典型だ。また魔法学校の運営と一般人社会との折衝役とか理事とかは、そいう魔法使いがやればいいな。」

じゅえる「ふむ。卒業さえすればなんとかなるか。」
まゆ子「というか、分化教育を終えた者は准魔法使いとしての資格が認められるから、治癒師とか呪い師、占い師として稼いでいく事が出来る。落ちても食いっぱぐれる事は無い。というか、街場に住んでる魔法使いの大半は、この試験をパスしていない。」

釈「という事は、卒業試験をパスすれば高度な魔法使いになれるし、それがダメでも魔法学校運営とかで重きを置かれる、ってことですか。」
じゅえる「それだけの価値のある試験ってことだな。」

まゆ子「とりあえず卒業試験をクリアして見事「正魔法使い」になった者は、三大_に採用されなくても、魔法教会からマジックアイテムを貸与される事が多い。魔法を扱うのを簡便化するマジックアイテムの行使者として、彼らは実にふさわしいのだよ。」

じゅえる「そりゃあそうだ。つまりは魔法教会の兵隊として働く、ってことだね。」
釈「やはり、魔法使いも組織の為に働くってことですね。」

 

釈「して、3人は入学して、どうなります。」
まゆ子「あー、まあー一応目安として考えておこう。3人は首になってもらっては困る。だから、最難関の卒業試験まで一応生き残る事になる。」
釈「一人くらい脱落しても構わないと思いますけどね、やはり生き残りますか。」

じゅえる「脱落する奴は他に何人でも居るんだよ。で、卒業試験を受けると。」
まゆ子「一人くらいは受けない方がいいか。ちなみに、専門分化教育では留年があります。初期訓練期間は2年で打ち切りですが、こっちでは最長5年が認められる。早く出来上がっても卒業試験をクリア出来なきゃ意味が無いから、万全を尽すってことだね。」
じゅえる「美鳥はまず落ちるね、留年する。」
釈「そうですね。えーと、南洋子だけがストレートで卒業試験に挑戦して、玉砕するって事にしますか。」

じゅえる「3人の適性は、どの魔法なの?」
まゆ子「あー、どうしよう。美鳥は聖なる_か治癒魔法師か、で悩む事にしよう。治癒魔法の専門科があってそこに移ろうかとか考える。朱美は物理魔法であやしげな結果を叩き出すのを教員の人達からも求められ否応なしに絢爛たる_に挑戦する。洋子はー高度な魔法は諦めて魔法学校の運営とか教師とかになる、と考えるか。」

釈「諦めるほどの出来の悪さなんですか?」
まゆ子「初等魔法だけ、と言っても結構出来る事は多いんだよ。というか、南洋子はどの魔法もまんべんなくそつなくこなしてしまい、どれが向いているとかが無かったんだ。分化教育で訓練する内に初等魔法を極めるという選択肢もある、と示唆される。」

じゅえる「本人の志望は?」
釈「えーと、性格から魔法戦闘でがしがし行こうと、勝利の_をやってみる。という感じですかね。」
じゅえる「性格から言うと、そんなものかな。でもダメだった、ってとこか。」

まゆ子「じゃあ、こうだ。この年の卒業試験で、勝利の_の試験官に挑んだのは彼女一人で、限界とも言える5回もの戦闘に及び、試験日の最後の日まで食い込む程の長時間戦闘を繰り広げ、遂には打倒し得なかった。」
じゅえる「落ちたのか。」
まゆ子「うにゃ、落ちなかった。試験官の協議の結果、他の試験官を選べば間違いなく受かる実力があると判定されて、というかこの年の勝利の_試験官はべらぼうに強かったんだよ。で、判定で卒業するけれど、勝利の_には採用されなかった。」

じゅえる「年によって、試験官のレベルが違うんだ。」
釈「それは公正な試験とは言えませんね。」
まゆ子「まあ、そういうものだ。勝利の_の試験官をぶちのめすだけの魔法攻撃で他の試験官に挑めば、それは勝てるんだよ。」

 

じゅえる「その試験てのは、秘密の場所でやるの? それとも衆人環視の中で?」
まゆ子「生徒先生皆が見る前でやりますよ。一年間で10人ずつ程度ですから、暇はあります。ただ初級生徒は見学禁止。影響が強過ぎて、魔法回路が損傷を受けます。」

釈「じゃあ、無様な姿を曝け出す人もいるんですね。」
じゅえる「甘く考えてやる奴もいるんだろうね、やっぱ。というか、試験官の強さや特性は魔法戦闘をやってみなければ分からない。誰かが犠牲になって情報収集をしなきゃならない。」
釈「そうか、受験生は皆で戦略を練って誰がまず行くか、とかを考えるんですね。」

まゆ子「というか、受験生は皆相互に助け合って魔法戦闘力の強化、魔法回路の強化を行います。受験生同士の魔法戦闘も常日頃やっていて、互いの強化を図るんだよ。だから1年間はちっとも長くない。
 で、勝利の_試験官に第一番で挑戦する役を南洋子は引き受けて、万全の準備を行って臨んだ初回の挑戦で完膚なきまでに叩きのめされて、その結果他の受験生は勝利の_との勝負を皆諦めたんだ。」

じゅえる「洋子のは分かった。で、彼女は魔法学校の教官になるんだ。ということは、美鳥と朱美を教えるとかもある?」
まゆ子「流石にそれはない。最初は初級訓練の補助から始めるよ。それと分化教育において魔法戦闘の授業の補助だね。」

 

釈「美鳥はどうなりますか、卒業試験では。」
まゆ子「えーと、8ヶ月後に最初の戦闘を聖なる_試験官とやって、一発パスです。その間他の受験生と魔法戦闘をやりまくって強化しまくったお蔭です。分化訓練で目の教育をして、魔法回路を読む力を鍛えていた賜物でもあります。」

じゅえる「一発クリア、ってのは普通無い?」
まゆ子「極めて稀です。天才と呼んでもいいくらい。ま、順番も恵まれたんだけど、他の受験生が挑戦した結果を見て修正していった。それまでに魔法回路を見る力で、他の人に随分と貢献してますけどね。」
釈「魔法生物が見えるんですか、美鳥は。」
まゆ子「見えるようになります。初級の頃は凄く鈍い子だったんだけどね。」

じゅえる「で、朱美は物理魔法を。」
まゆ子「3回やって、やっとクリアです。もうお正月になっています。ただ最終挑戦の時に魔法大爆発で学園の施設を随分と破壊しました。天上の硝子池の底をぶち破って水がダダ漏りです。」

 

釈「試験官、てのはでもほんとうはもっと強いんですよね。制限が掛っているというのは、」

まゆ子「魔法回路による制限が掛っている。
 勝利の_では魔法エネルギー弾のエネルギー量制限とか、防御障壁の禁止とか。
 聖なる_では魔法生物の種類が限定されるとか。絢爛たる_ではエネルギー量と展開する魔法障壁の数だね。
 絢爛たる_の魔法攻撃は、相手の物理魔法を阻害するという攻撃が普通行われる。というか、どの分野の魔法攻撃も受けてみせるのが絢爛たる_の魔法合戦だ。広く浅く極めている。」

 

釈「そろそろ、巻数を決めますか。えーと6年あるわけですが、一年一冊という感じで。」
じゅえる「だな。留年するから7冊だ。その間になにか大きな出来事が二つ三つ混ざっている。」

まゆ子「初等編が2冊で1冊は上の街で事件が起きる中での進行だね。専門分化編が3冊で、鯉話も混ぜて巨大な敵がやってくるという話と、脱落していくクラスメートの話、学校に秘められる謎の話。6冊目が洋子の卒業試験の試練でその裏で起きる事件を美鳥と朱美がなんとかしてる。7冊目が美鳥と朱美の卒業試験、最後の謎が明かされて次のステージに向かう。」

じゅえる「そんなもんだろう。えーと一冊200頁ってくらいにするか。げばおとなら1章分だ。」
釈「あーそうですねえ。それはもんだいですねえ。」

まゆ子「とかなんとか言いつつ、今回この章だけで40頁だ。5分の一だね。」
じゅえる「200は少ないなあ。」

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