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2014/12/05

まゆ子「あー困った困った。」
釈「困りましたねえ。」
じゅえる「地味にね。」

まゆ子「長年お世話になっていたネット小説検索サイトの『カオスパラダイス』がミドリムシの宣伝ページになってしまいましたよ。
 別の検索サイトに登録しなくちゃいかん。まあカオパラがどの程度役立っていたかは知らないけどさ。」
釈「改めて登録し直すとなると、ちょっとHP構成を考えなおさなくちゃいけませんからねえ。」
じゅえる「今のママだと、ちょっとアレだったからね。新規顧客を考えた場合は。」
まゆ子「というわけで、『ゲキロボ☆彡』ページを大幅にリニューアルです。特に設定挿絵ページというものを作って、絵的なものは全部そこに収めました。」
釈「元々は『ゲキロボ』ページは漫画が主体なんですけどね。変ですね。」

まゆ子「というわけさ。

 で『ゲキロボ』第十二最終巻「世界があらかた終わった日」は鋭意執筆中であります。12月更新分はあらかた出来た。」
じゅえる「でも、11月更新分も12月更新分もちょっと分量少なくないか?」
釈「そうですね、11巻「萬国吃驚博覽會」に比べると、1回の量が半分ですかね。」
まゆ子「何を言う。11月に書いた分量はいつもと変わらないぞ。
 だいたい10月はだね、諸事忙しくて書けないことは分かってたんだよ。だから10月はまるまる書いていないと思いなせい。
 そもそもが、11月更新分つまり10月に書いて11月アタマに掲載した分は、書き始めたのが11月2日だ。」
釈「はー、そりゃ間に合いませんね。」
じゅえる「つまりは、11月は11月更新分と12月更新分を書きました、てわけなんだな。2回分ではなく1月分の分量なんだ。」
釈「いつもの半分が2個、はあいつもどおりです。」

まゆ子「だいたいさ、9月に書いた鳩保香背男回が超曲者だったんだよ。元々恋愛もの苦手なのにミステリー仕立てで手間がいつもの3倍掛かったのさ。
 10月に書いてないのはそこで手間を取られたからさ。場面構成のバランスを取るのにものすごく時間を取られちゃった。」
じゅえる「その割には、斎野香背男という男の描写が薄い気がするが。」
まゆ子「当初からの計画通りです。この回はむしろ鳩保が主人公、揺れる鳩保の乙女心を描ければいいのです。」

釈「それじゃあ、せっかく明美センパイにお願いした、斎野香背男のプロファイルは役立ちませんでしたね。」
まゆ子「そんなことあるかい! アレはものすごく役に立った。」
じゅえる「だが当初の計画どおりに、男は舞台装置の一部に過ぎないんだろ?」
まゆ子「100考えて90を書くのと、400考えて120を書くのでは、見た目にはさほどの違いが無くても隔絶した差が有るのさ。
 だいたいね、香背男が活躍するのはこれからだ。アレで終わりじゃないからね。」

じゅえる「具体的に、香背男は何をするのだ?」
まゆ子「物辺優子と母親贄子との和解に役立つのだが、そこに持っていく手間が少し見えていない。いや見えているんだけど線が弱い。」
釈「では太くしましょう。具体的にはどうすればいいのですか?」
まゆ子「うん、まあこういう事なんだ。

 物辺優子は父母の居ない子である。父との和解はなった。次は母親だ。母親はアメリカでなんとか財団を運営して妙な事業をやっており、香背男はその手伝いをしている事になる。

 まあぶっちゃけてしまえば物辺贄子という人は、なんとか財団ハイディアンセンチュリーを使って、中米サルボロイド星人の隠れ家を人類の方舟としようとする。
 正確には、地上で見つけた「古代英雄人種」と呼ばれる人を宇宙的災厄から守る為に、既存の宇宙人が用意した人類シェルターに隠そうとする。
 もちろんその人だけでは意味が無いから、財団から選ばれた人間をその人を守り管理する為に派遣する。また方舟の外にも彼らを支援する為の組織が必要であり、この責任者に香背男を使おうとする。
 しかしこれは相当な資金が必要であり、政治的バックアップも無ければならない。
 そこで物辺贄子はアメリカ政財界に働き掛けて、地球滅亡規模の災厄からも彼ら、より正確には彼らの子弟を方舟内に移住させて生存を図る、という計画を持ち掛けた。
 アメリカもNWOの情報を知るほどの高いレベルの人間になれば、人類滅亡が身近なイベントであると理解する。
 そういう彼らにとってこの提案は非常に魅力的なものであり、NWOとは別の筋ではあるが協力を惜しまず、また妨害を権力を動かして排除してくれるのだ。」

じゅえる「ふむ。人間富や名誉を得た後は寿命、または家系の存続に興味を抱くからな。」
釈「方舟に乗れるチケットが有れば、自分よりは自分の子供達に使おうと考えるのが親心です。やりますね贄子さん。」
まゆ子「まあ、この計画においては「古代英雄人種」という特別な存在の生存を優先させると最初から計画されていて、賛同者にも伝えられている。
 彼らにしても、要するに次なる救世主を支える従者として自らの子供達が働く、という構想に何の不審も疑問も抱かない。
 というよりは方舟の中には地上の富も権力も届かないわけで、その中でより高い位階を得ようと思えば重要人物の傍近くで働く他の選択肢は無く、それを優先してくれるのであればまったく不満は無いわけだ。」
じゅえる「ふむふむ、権力者達の思考を上手く先回りしてこのプロジェクトは成り立っているわけだな。」

釈「その「古代英雄人種」ってのは誰何ですかけっきょく。ヘクトール・パスカルですか?」
まゆ子「ああ、『統則最前線』の主人公ヘクトール・パスカルはこの物語上ではまだ8歳だ。まだ出てこない。」
釈「出るんですか?」
まゆ子「物語の流れ上では、スクナくんが彼を迎えに行ってミスシャクティの宇宙戦艦で教育する事となる。が、語られる事は無いだろう。
 だからここで出てくる人はその前に居る人、というしかないな。彼は寿命も長く、名前も幾つも持っている。今現在は「ウェイン・ヒープ二世」だよ。」
じゅえる「これまでに何か優れた業績を挙げている人なのか。」
まゆ子「あー、表の世界の歴史にはあまり関係ないんだが、歴史を動かしてきたキーマン達の決断の場面にしばしば接触して有益な助言を行ってきた、とされている。
 あるいは彼こそが世界の歴史の正しい筋書きをキーマン達に示しており、だがその筋書きに背いてキーマン達は人類を破滅の淵に追いやってきたとも言える。」

じゅえる「そいつは神か。」
まゆ子「いや、人だが最も優れた人よりも上に居る存在だ。ゲキの復活も彼らとの遭遇から始まったとされている。」

 

釈「その人がこれから物語に食い込んでくるのですか?」
まゆ子「そこだよ。本来それだけのポテンシャルを持った存在ではあるけれど、物語上にどのように織り込むかはまだ考えてないんだ。というよりはほとんど絡まない。
 絡まないでありながらも、ほんの一瞬出るだけで極めて印象的な存在であると誰が見ても分かるように描写しなければならない。
 困った。」
じゅえる「そりゃ困るわな。」

 

釈「まずは順序立てて考えましょう。その「古代なんとか」はー、なんか呼びやすい名前無いですかね?」
じゅえる「「原始さん」はあるから「古代さん」でいいじゃないか。」
まゆ子「それじゃヤマトだよ。」

釈「「古代さん」はまずはどこで出演しますか。アメリカですか?」
まゆ子「うむそこが問題。現在はアメリカの財団本部に居るのは間違いない。そしてこの物語の最中にて地底王国に進入する予定。」
じゅえる「それだけで1巻を必要とするようなイベントじゃないか。禁止禁止。」
まゆ子「あー、そうだな。本来であれば行列を仕立てて狼男族が見守る中を地底王国に入っていく、というシーンを想定していたのだが、」
釈「あえてここは、禁止です。」

まゆ子「とほほ。それでは最終盤の見せ場が一個減ってしまうよ。」
じゅえる「その見せ場を捨てて、優子との対面……でいいのか?」
まゆ子「物辺優子は物辺贄子と最終的には対面する。これが見せ場。」
じゅえる「となると、優子が「古代さん」と会うべきではない。」
釈「誰を対面させましょう。行きがかり上では鳩保さんが、」
まゆ子「鳩保には、香背男が対面する場面が有る。違うな。」
じゅえる「知識という点においては、やはり花憐ちゃんか。」
まゆ子「順当すぎるという難があるけれど、そんなところかな。」
釈「童みのりちゃんと児玉喜味子さんは、その任にあらず、ですか?」
まゆ子「みのりちゃんは花憐ちゃんと共にミスシャクティの島に行くから、花憐対面であればみのりも同席が順当。
 喜味ちゃんはー、考慮していない。」

じゅえる「考慮していない、とは?」
釈「やっぱり頭が悪いから外されたのですか。」
まゆ子「話の相性が悪いから考えていないんだが、考えるとどうなるだろう?
 いや、そういえば「古代さん」は超高齢であるからカプセル内に通常居て、身動きは自由ではない、という設定は有る。」
釈「冷凍睡眠カプセルですか?」
まゆ子「そこまでではないが、長旅になるから完全看護体制の為の設備を一式内蔵している。喜味ちゃんが関与する余地が無いわけでもないか。」
じゅえる「そのシナリオだと、何か小アクシデントが必要だな。なるほど、それは地下帝国内に降りていくシナリオとセットであるから、喜味子関与無しか。」

釈「少なくとも5人の内の誰か一人が会わなくてはならない。のですね? 会わないという選択肢は。」
まゆ子「伝言だけで済ます事も可能では有る。だがそれならば、そのシーン切る。」
じゅえる「うん。それが正しい対応だな。会わないか、がっちり会うか。決めろよ。」

まゆ子「とにかく鳩保芳子は斎野香背男と共に中米に行って狼男族と会って、サルボロイド星人を借り受けるというイベントが設定されている。
 鳩保は中米に居る。そこで会わないのであれば、会えない。」
釈「二人きりでドライブですか。」
まゆ子「あ、いや、基本鳩保と優子、花憐とみのり、のペアで移動する。中米行きは鳩保優子+香背男だから、優子も狼男族と会う。またそこに母贄子が居る。という具合だ。」
じゅえる「簡単じゃん。そこに「古代さん」も居れば良い。」
まゆ子「うーん、だがまだ地下帝国に行くのは早いと思うんだ。」
じゅえる「いいじゃん。狼男族は鳩保達の話を聞いてもウンとは言わない。香背男でもダメ。ならば、と「古代さん」を呼んでくる。」

釈「「古代さん」は狼男族と面識は有るのですか?」
まゆ子「無ければ作ろう。狼男族もかっては「古代さん」あるいはその仲間と会ったことが有り、その言であれば聞く。
 なぜそこに「古代さん」が居るかと言えば、彼には千里を見通す洞察力が有り自分がそこに居るべきだとの託宣を贄子に与えて、それで無理を押してやって来た。」
釈「矛盾ありませんね。」
まゆ子「しかし「古代さん」はさすがに無理はしている。もちろん自力で立って歩いて行くことも可能なのだが、実年齢が冗談みたいだから周囲も心配する。」
じゅえる「何歳なんだ。」
まゆ子「軽く200歳。」
釈「おお! それは健康を心配されるのも当然です。それでカプセルが必要なんですね。」

まゆ子「まあそういうわけで、「古代さん」は一仕事を果たして軽く体調を崩す。そこで喜味ちゃんが作ったタコロボの医療を受けて、ついでにカプセルを遠隔で改良する事になる。
 そこで喜味ちゃんと話をする、ということでどうだ!」
じゅえる「遠隔、でいいのか?」
まゆ子「喜味ちゃんは日本から離れません。遠隔操作で改良は、タコロボを使えば可能です。というよりはタコロボでないと出来ません。」
じゅえる「うむ、ならばカプセルの改造をするのはいい。だがそれが喜味子の操作によるものだとは誰も分からないのに、「古代さん」は見抜いて喜味子に話しかけて来る。」

釈「なるほど、それならば「古代さん」の異常性も表現できますね。でもそこに行くまで、狼男族の村ですよね。」
まゆ子「ふむ。      いや、そうだ。狼男族の族長つまり日本に出張していた人他数名が、近所のちょっとは開けた町に待機しており、ゲキの少女との会見を行う。
 そう簡単には本拠地である村、そして地下帝国への入り口を見せはしない。
 そして、その町であれば財団のヘリコプターが往来するのに問題は無いって都合もあるんだな。」
釈「なるほどなるほど。」

 

じゅえる「それにしても、「古代さん」は老化しないのか。200歳なんだろ。」
まゆ子「老化しないんだよ。老化現象を起こす遺伝子を持っていない。しかし肉体が老けないにしても耐用年数てものはある。老けてなくても寿命は近い。」
釈「それでも彼は何を目的として財団と共にあるんですか。」
まゆ子「つまりだ、彼ら「古代英雄人種」は言葉に寄らない伝達手段を使って自らが蓄えた情報を他の「古代さん」に伝達出来るんだ。禅問答みたいな形でね。
 彼は自分が得たモノを伝える為の後継者を待っている。8歳のヘクトール・パスカルはその第一候補であるが、彼はまだ若過ぎる。せめて20歳までは待って人格の円満な形成を果たした後に伝えたいと考える。
 であれば、死ぬわけにはいかない。しかし200歳を超える人間を普通に活かすにはそれ相応の支援が必要。カネも要る。」
じゅえる「それを提供しようと申し出たのが、物辺贄子であり、科学財団「ハイディアン・センチュリー」てことか。」

釈「ということは、地下帝国の方舟計画では「古代さん」はもうすぐ死ぬわけで、真の救世主はヘクトール・パスカルになるわけですか。」
まゆ子「順当に行けばね。ただしヘクトール・パスカル以外の「古代英雄人種」が居ないとも限らない。第一「古代さん」は何十年か前にもその伝達は行っている。」
じゅえる「とにかく核である「古代さん」が生き続けていればなんとでもなる、ってことだな。

 しかし、その「古代英雄人種」ってのはなにか特別な資格が有ってなるのか?」
まゆ子「うーん、つまりはだね、古代においては彼らは多分ホモ・サピエンスの分派だったんだよ。完全完璧な種族という形で出現した。
 現代は普通の人間達の血統の中でごく稀に発生する完全なる遺伝子のセット、という形で存在する。ありとあらゆる才能が完全セットで発現する、それも身体的精神的能力的強さ高さ大きさを兼ね備えて。
 運や身体の丈夫さ閃きなんかも全部持つ。しかし人間に過ぎない。」

釈「それはー、神じゃないんですか?」
まゆ子「相原志保美的な神じゃないさ。志保美は超不完全人間だし。」
じゅえる「神要素を備えてはいないんだ?」
まゆ子「備える可能性も有る。その場合は完璧な神となるだろうが、しかし単純に神要素だけに突出した存在に対してアドヴァンテージになるかと言えば、それは疑問だ。」
じゅえる「つまりは、「ゲキロボ」世界においては、神的価値観と「古代さん」価値観はまったくに別ベクトルということか。」

釈「そもそもが「ゲキロボ」でいうところの「神」は極めて日本的な神概念ですからね。生きている人間がそのまま神であり得ます。」
まゆ子「そいうこと。」

じゅえる「でもさ、古代においては彼らは種族として確立してたんだろ? そのまま居れば神族呼ばわりされただろうに。」
釈「種としては既に存在しないわけですが、何故です。単独の種としての存在は難しかったのですか。」
まゆ子「生殖能力に関しても彼らは優れていたと思うよ。おそらくは現生人類を駆逐する事すら可能だったかもしれない。
 しかし、自分達の限界に早々に気付いてしまったんだね。

 人間の最大の強みは愚かさにある、ってとこに。」

じゅえる「あー、バカには勝てねえな。」
釈「いや、まあなんといいますか、バカと変態が居れば人類社会はどこまででも地平を拡げていきますからね。
 そうか、無謀さ無思慮さによる自由を彼らは兼ね備えてはいなかったわけですか。」

まゆ子「彼らの社会には進歩は無い。いや理性と知性を長年月集積すれば文明を高度に発展させる事もできただろうが、その選択肢は取らなかった。意味が無いからだ。
 なんといいますか、精神的に強靭である彼らには悟りや気付きというのも日常であり、足るを知る。
 聖人のみで構成される社会が多くを望むだろうか。」
じゅえる「いやでも、愚民どもを導くという考え方も、」
まゆ子「愚民どもの愚かさに死ぬまで付き合うほど彼らも人格者ではない。」

釈「分かります。それはもちろん分かりますが、しかし食料を余分に生産して社会に分業システムをもたらすとかは、アリでしょ。」
まゆ子それが生み出す戦争の惨禍まで、彼らの予想の範囲内だ。なんで人殺しに加担せねばならないさ。」
じゅえる「まあねえ、生産物の余剰が価値の保存の概念を生み出し、それを奪い去る、組織的な戦闘により奪取するという風に自然に発展するからねえ。」
釈「たしかに愚かな行いですが、でもそれが文明を発展させる元ですよ。」

まゆ子「彼らは精神世界における文明で十分満足するよ。」
釈「で、ですよねー。」

じゅえる「「古代英雄人種」ってのはよほど精神的にタフに出来てるんだな。」
釈「強いなんてものじゃありませんよ。金剛石の揺るぎなさを生まれつき備えているんですね。」
まゆ子「それなんだよ。彼らは強過ぎるんだ。個々人が強過ぎて、弱さを理解しない。
 だが弱さこそが人間文明を発展させる動機であり原動力なんだ。」
釈「分かります。」

まゆ子「人間は、不完全で弱いからこそ道具を作り戦略を練り集団で行動して自然界で勝ち抜いてきたんだ。
 人間の本質は弱さだ。弱さを失った人間は、人間としての進化の道を踏み外し独自な生物となっていく。
 だが、人間から外れて独自な存在になることを「古代英雄人種」は選ばなかった。ってことさ。」

じゅえる「そして人間と交わり、平凡な存在として自らを人間社会の中に溶け込ませて消えてしまったわけだ。
 でも、代を重ねる内に時々完全体として出現するわけだ。」

まゆ子「世界中百年に1人くらいの割合で出現するのだが、なんせ20世紀になってからはとんでもなく人口が増えちゃったからね。今は20年に1人くらいのフィーバー状態だよ。」
釈「それぞれが200年の齢を持つとすれば、10人くらいは居るわけですか。」
じゅえる「なるほど。それだけ居るのなら、彼らの世界も質的に変化する可能性が高いな。」
まゆ子「そうだね。10人居れば凄いだろうね。特に彼らの体験の記憶の共有は素晴らしい可能性をもたらすだろう。

 物辺贄子はその可能性を説いて、彼を財団に招くのに成功した。財力を用いてヘクトール・パスカルの存在も探し出した。そして彼の成長を見守っている。」

 

釈「贄子さんは何故ソレが出来たんでしょう。彼女は「古代英雄人種」に遭遇するのは初めてでしょ?」

まゆ子「物辺神社の巫女は「古代英雄人種」によく似た存在だからね。特別な血を持つ者として共感するところがあったんだな。もちろん「古代さん」は只の人とは親しくは付き合わない。
 鬼であるからこそ、知己を得た。信頼を勝ち得た。そして自らを委ねてくれた。」

釈「贄子さんの最終的な目標はなんでしょう。「古代英雄人種」の組織を支えてNWOと対決するつもりですか。」
まゆ子「いや、彼女の最初からの目的は方舟だよ。これは初代ウェイン・ヒープの夢想した事業の一つでもある。つまりは方舟の発見。」
じゅえる「真正のノアの方舟探索か。アララト山にあるという。」
まゆ子「まあノアの使ったやつってのは発見できなかったんだけど、その代わりにサルボロイド星人が居る地下帝国を発見した。方舟としてはこちらの方がよほど巨大で確実だ。
 そこに人類の優良種を選んで保存し、来るべき地上の滅びの日を免れようとするものだ。

 ちなみにウェイン・ヒープ本人は自らを優良種とは考えない。真に生きるべき価値を持つ人間がこの広い世界のどこかに居ると信じて、その人の助けになろうと思った。完全な善意からの発想だ。
 贄子さんはその遺志に忠実に従ってついに「古代さん」を探し出して、計画を実行段階に進めたわけだ。」

じゅえる「でも、「古代さん」は確かに優れているとは思うが、それだけの価値を持つ人間と信者は認めているのか?」
まゆ子「あ、誤解の無いように言っておくけど、「ハイディアン・センチュリー」は宗教団体ではないから、信者なるものは存在しない。companion、仲間だけだ。」
釈「でも、じゃあ無償の行為ということですか。」
まゆ子「「ハイディアン・センチュリー」とその構成員の意識ではそうだ。ただし外部会員特に政財界の大物でこのプロジェクトに参加する者は違う。

 彼らはやはり「古代さん」をキリスト教的な救世主と考え、滅びの日を審判の日と考えて、災厄から自分達の子孫が免れて生き続けようという風に考える。アメリカだからキリスト教オリエンテッドだよ。
 なんと言いますか、贄子さんの口説き文句的には「古代さん」こと「ウェイン・ヒープ二世」は聖書でいうところの洗礼者ヨハネに相当する人物であり、彼の手によって真実の救世主が覚醒する、というイメージです。」

じゅえる「嘘八百なんだな?」
まゆ子「贄子さん的には、完全な嘘ではありませんが何時の話か、までは保証していません。地下帝国で百年でも千年でも待つつもりです。」
釈「な、なるほど。ウソではないけど詐欺商売ですか。」

まゆ子「贄子さん的には、プロジェクトの次の段階が「古代さん」の地下帝国入りと地下帝国での覇権奪取。これは「古代さん」の叡智が有ればさほど難しいとは考えません。
 サルボロイド・サーヴァントを制御する図像を既に入手していますからラクショーです。

 だがその先のプロジェクトとして、地下帝国に降りた政財界有力者の子弟を人質として現実社会においてはカネをせびり取り、地下帝国の存続と発展をサポートします。
 また地下帝国入り口の狼男族との提携関係を強めて、現地管理団体を組織して宗教的戒律により守護します。
 この初代責任者として斎野香背男を予定しているわけです。」

じゅえる「だいたい分かった。だがNWOいやアメリカ政府はこの構想に関してはどう考えているのか。」
まゆ子「なにもかんがえていません。というよりは、NWOは自らこそがこの世の不思議と秘密の全てを掌握していると考えますから、「古代英雄人種」を押し立ててという構想に興味を示しません。
 地下帝国に関しても情報の入手に後手に回りました。これこそが初代ウェイン・ヒープの大発見であり財団のキモですから。
 そして贄子の活躍により政財界の有力者が多数「ハイディアン・センチュリー」のプロジェクトに賛同している。
 計画が彼らの既存の利益を損なうものならともかく、関係ない形で新たなる利益を生み出す者になぜ反対や妨害をするでしょうか。
 むしろ積極的に支援する立場となり、CIAやらメンインブラックやらの宇宙人関係の権益を独り占めしたがる組織を掣肘してくれます。というよりは、そいう組織の連中を彼らも快くは思っていません。」

釈「つまりは、贄子さんは良くやっている、てわけですね。」
まゆ子「そういうことです。」

 

 

2014/09/24

まゆ子「助けて明美えも〜ん!」
釈「せんせえ、せんせえ出番でございますぞ!」
じゅえる「お客様の中に明美さんはいらっしゃいませんか? 急病のお客様が。」

明美「なんですかいきなり呼び出して。」

釈「明美一号さまです。」
まゆ子「明美ちゃん、急で済まないんだけど助けてくれ。」
明美「なんですか気持ちの悪い。そんな下手に出て。」

まゆ子「実は今書いているゲキロボ最終章「世界があらかた終わった日」の最重要人物である、斎野香背男って人のキャラが出来ない!」

明美「なんで? もう書いてるんでしょ。」
まゆ子「書いてるし書けている。だがこれ以上書き進めても、魅力有るキャラクターになるという確証が無い。」
じゅえる「つまりキャラを立てるのを見切り発車で始めたんだけど、ありきたりの男にしかならないのだなこれが。」
釈「ちゃんとキャラ立てすれば良かったんですけど、どうにも億劫で。」
まゆ子「というよりは、私らの能力の限界を超えているんだ。このキャラは。」

明美「だいたいどこが難しいんですそのひとは。男なんでしょ、イケメンですよね?」

まゆ子「斎野香背男おおむね27歳。1年5ヶ月前は25歳であった、というのは間違いない。
 物辺優子の祖母物辺咎津美の義理の妹 禍津美の第二子長男。父親の仕事の関係上幼い頃にブラジルに渡ってそちらの方で主に育った。
 大学はアメリカで地質学を専攻。卒業後は研究員として金属資源探査会社に入社。
 この間中米チュクシュルーブ・クレーターに資源探査に行って、現地住民である狼男族と接触した。」

じゅえる「経歴はこんなもので、今まで書いた分によると、割とオカルト好き。これは物辺神社の縁者としては普通。なにせ鬼の神社で怖い思いするからね。
 そして1年5ヶ月前に精神的ダメージを受けて落ち込んでいた鳩保芳子に熱烈に求愛されている。まあほとんど狂犬に噛み付かれた状態。」
釈「鳩保さんは惚れっぽい人ですが、その頃はおかあさんが入院しており、また受験のストレスや教室内での孤立状況等々で一触即発状態でした。
 普通ならグレるところを、病床の母親に迷惑をかけるわけにもいかずに逆に自分を痛めつけることとなり、そこに香背男さんが出現して恋愛という形で暴走した。
 という塩梅です。」

明美「つまり、香背男という人のバックグラウンドは決定しているけれど、本人の性格とかが決まってないんだ。」
まゆ子「ありていに言うとそうです。だがだからと言って使えないわけではない。むしろ人物男性というのは物語上舞台装置に過ぎないと考えると、これだけ決まってれば上等です。
 しかし、」
釈「今回鳩保さんがとうぜんにクローズアップされるわけでして、鳩保さんを描く為には香背男さんを深く描かざるを得ない。」
じゅえる「単純な男性Aで済ますわけにはいかないのさ。」

明美「ふむふむ。それで鳩保さんは香背男さんのどういうところが好きなんだ?」

まゆ子「え……。」

明美「かんがえてないのお?!」
まゆ子「う、そう言われては今はじめて気が付いた。鳩保はどこが好きだったんだろう…。」
じゅえる「いやまあ、つまり外部から来た人間であり、状況に押し込められて窮屈な鳩保芳子にとって現状を打破してくれる脱出口としての役割が見出されたてことだろう。幻想としても、当時の彼女にはそう見えた。」
釈「しかし、それは理屈であって、じゃあ何故香背男さんがそうなのか、は決まっていません。ましてやどんなところが好きなのかは。」

明美「呆れた。」
まゆ子「めんぼくない。言われてはじめて気が付いた。鳩保は何が好きなんだろう。」
じゅえる「ちなみに今回書いた中で判明したことだが、鳩保芳子は「男の子に成りたかった女の子」だそうだ。小学生の時分には居るだろ、男の子とばっかり混じって暴れて回るのが大好きで女の子の遊びをしない子。アレだ。」

明美「まあ簡単に言うと、その時鳩保さんは香背男さんを見て、この人には成れないと思ったんだ。
 それまでに会った男の人に自分は成れる、と思ってたけど、初めてまったくに違う男性というものを発見したんだよ。」

まゆ子「つまり男臭いってことか?」
明美「それはちがうね。なんと言うか、同類じゃない臭いを感じ取った。」
釈「日本人ぽくない、ってことですか。」
明美「それは有ると思うけど、人の空気を読まないってことじゃないかな。日本人て雰囲気を重視するじゃないですか。」
じゅえる「ああ、あー確かに外人の中で暮らしていれば、日本人であっても空気を読むって技能を使わなくなるのかな。」
釈「でもデリカシーが無いんじゃないですか、それは。」

明美「そこだと思うよ。香背男さんはデリカシーが無い。しかし鳩保さんに対して配慮してくれる。空気を感覚的に読むんじゃなくて、知的に論理的に鳩保さんを分析して対応したんだ。」
まゆ子「よく気がつく人間、てことか。」
明美「そして鳩保さんを女として扱ってくれた、てところが大きいんじゃないかな。」

じゅえる「読めた! つまり香背男は鳩保芳子を口説かないまでも外国の女を扱う手法で取り扱った。そういうことか。」
釈「なるほど。なんとなく同化を求めるんじゃなくて、狩猟的にアプローチをしてきたってことですか。」

まゆ子「あー、       そうか。それで違うんだ。    道理で書けないはずだ。」

じゅえる「だがそれは難しいぞ書くのは。」
明美「そうかな? つまり香背男さんは女のことが全くわからない人なんだよ。分かろうともしない。勝手な人だ。
 でも女の気を引いたり、デートに行ったり、セックスしたりは別なんだ。出来るんだ、分からなくても。」
じゅえる「うん、確かにそれはむしろ普通だ。」
釈「世間一般的には、だいたい分かるわけ無いですからね、異性の気持ち。」
まゆ子「それでも日本男性であれば或る程度のところまでは理解というか空気を読んでなんとかしようとするところを、読まないんだ。」

じゅえる「じゃあ香背男は男尊女卑的な人間なのか?」
明美「いや違うでしょ。優しいんだよ、でも突き放しているんだ。他人の自己というかコアの部分に触れようとしない、外見上だけで付き合うんだ。」
釈「見た目重視、いえ本人が外部に投射する自分というものに対して、そのまま反応してくれる。
 自分がそうであるべきだと考え振舞っている、そのとおりのものとして自分を扱ってくれる。そういう感じですかね。」

まゆ子「ふうむ難しいものだな。ザラッとしたソリッドな感触で人間関係を作るんだ。」
じゅえる「ウエットな日本的人間関係に飽き飽きして逆に傷ついてすらいた鳩保に、その突き放した態度が敏感に響いた、ってとこか。」
釈「つまり傍から見ると、鳩保さんは香背男さんに突き放されていた、相手にされていなかった。てことですかね。」
まゆ子「しかし、だからこそ鳩保は狂ったように噛み付いた、わけだ。」
じゅえる「でありながら、香背男は飽きもせず拒絶もせず、鳩保芳子を相手し続けてくれた。てわけだ。」

明美「これでは鳩保さんが恋に落ちるのに不十分かな?」

まゆ子「いや、それでいい。それがいい。」
じゅえる「となると、我々がやるべきなのは、香背男のソリッドな人間関係、日本人とは違うドライとは言わないがウエットではない態度、戦略を投影して人物描写するべきってことか。」
釈「いやーしかしこれは困りましたね。どう描写しましょう?」

まゆ子「逆に言うと、鳩保芳子はそういう人間なんだ。他人に対して外見上の、コアではない部分で付き合っていこうとする。
 この態度はもちろん、学齢期の女子にとっては逆効果。敵と呼ばれてもしかたのない戦略だ。」
じゅえる「女はべたべたひっつきたがるからねえ。」
釈「特に学校ではですねえ。」
まゆ子「鳩保が自分では百合成分が無い、てのをまったくによく表現しているわけだ。」

釈「ということはですよ、鳩保さんは外国に行けばモテる、てことですか?」
じゅえる「現にモテたんだろ? 中二の時にアメリカ留学して。」
まゆ子「うん、鳩保が帰国しておおぴらに吹聴するくらいにはゴキゲンな体験でした。」

釈「はー、なるほど。つまりアメリカ短期留学が仇となって、中3卒業付近では適応障害を起こしたんですよ。
 外国では良かった、自分ではいつものとおりなんだけどそれが受け入れられてヤッター、と思ってたら、日本に帰ってきたら逆効果でどうしてこうなったのかが分からない。」
じゅえる「はあ、そういうことか。アメリカ行きが悪かったんだ。」
まゆ子「それは新しい発見だ。なるほど、何で悪いのか分からないで困惑していたところに、白馬の王子さま的に香背男が出現してこれだ!と飛びついたんだ。」

明美「わりと苦労してるんですね、鳩保さんは。」
まゆ子「そうなんだよ、あいつは基本的には優等生だし親とくに母親に心配を掛けないように気を使う苦労性なんだけど、根本が間違っているから友達って出来ないんだ。」

釈「でも物辺村の少女達には受け入れられていますよね。」
まゆ子「そりゃ物辺優子なんて内面を共有しようと思ってもできないもん。最初から日本人的空気を読む戦略破綻してる。」
じゅえる「他者の理解なんかまるで意に介さない、というかそんなのはありえないと思っている物辺優子を相手にすれば、そりゃ外見的にしか付き合えないな。」
釈「鳩保さんの戦略は正しいわけなんですよ、物辺村においては。」

じゅえる「花憐喜味子みのりはどうなんだ?」
まゆ子「まずみのりちゃんから。みのりちゃんは肉体派です。しかもいつも困っています。内面を理解しようとしなくても、見たまんまです。」
釈「単純過ぎて誰でも読めるわけですね。」
まゆ子「そしてみのり本人は鳩保のやる事がハイブロー過ぎてついていけません。接点が無いのです。」
釈「つまり人間関係が薄いわけですね。」

まゆ子「花憐ちゃんは外面が実にいい子です。外見ばかり見ていても読めません。
 でも幼なじみは臆病で逃げ腰でケチな本性を知っているから、分かります。」
釈「過去の体験から想像がつくわけですか。」
まゆ子「逆に花憐ちゃんは鳩保の弱い所がよく分かります。鳩保の本性は「置いてけぼりにされた女の子」です。
 男の子に成りたかったけれどなれない。人と衝突してうまく友達が作れない。だから自分一人でなんでもやるし出来てしまうけれど、他人は皆別の所に遊びに行ってしまう。
 だから花憐ちゃんは鳩保を適当に扱ってくれます。ウエット戦略を上手く使って破綻しない人間関係を鳩保との間にも築けたのです。」
じゅえる「花憐はうまく人間関係を作れるタイプなんだな。自分とは違う相手でも。」
まゆ子「年寄りや大人と接触する機会が多いから、経験値高いんだ。」

まゆ子「喜味ちゃんは、そもそもいい人ですから鳩保が妙な戦略で人間関係を作ろうして失敗してもフォローしてくれます。読める読めないの問題ではなく、鳩保という存在が巻き起こすトラブルという現実を処理しています。」
じゅえる「外見どころの問題ではなく、事象を取り扱っているわけだ。」
釈「得難い人物ですねえ。喜味ちゃんはお友達になりたいです。」
まゆ子「というわけで、鳩保はむしろ喜味ちゃんに甘えています。ドライな関係ではなくウエットです。だからわがままですが、喜味ちゃんにとってはどうという事はありません。」
じゅえる「そんなに喜味ちゃんは強い人間なんだ。」
まゆ子「喜味ちゃんは手先が器用な人間だけど、実は人間関係を築くのも上手いのです。なにせ周囲の人間は喜味ちゃんをおっかなびっくりして見ているわけで、警戒されないよう嫌われないように慎重な態度が要求されます。
 喜味ちゃんの人間関係づくりの戦略は実益です。手先が器用なのを利用して人の役に立つ。お友達を作ってその人を介して他にも波及させていく。」
じゅえる「ドライとかウエットを越えて、めちゃ堅実なやり方なんだ。」
まゆ子「そうでもしないと、皆おそれをなして逃げてしまうからね。
 逆に言うと、トラブルメーカーである鳩保や優子を利用して自分の地位を上げるというしたたかな戦略を用いています。」
釈「なかなかえぐい策ですよ。」

明美「それで、香背男さんはもう設定しなくていいいのかな?」

まゆ子「ああ、これだけ分かれば十分だ。というよりも、これだけを表現するだけでものすごい大問題大難関だよ。これ以上アイテムが増えるとむしろ困る。」
明美「そうなんだ。でも香背男さんの性格は設定まだしてないよ。」
釈「あー、そうですねえ。どうしましょうか。」
じゅえる「なにか、明美気になるところはあるか?」

明美「そうだねえ。金銭感覚とかも違うと思うんだけど、女性関係はどうなんだろう。今恋人居るの?」
まゆ子「あーそこはちょっと仕掛けがあって、恋人は居ないけれど後に恋人となる存在はある。そういう風に理解してくれ。鳩保とは別の女だ。」
明美「この恋は実らない、てことだね。
 それで香背男さんはこれからどうするつもりなんだよ。」

じゅえる「あー、行動・ムーヴメントの動機とかを補強する個性について、か。そうだな、アクションを起こすべき動機が香背男には有るのか?」
まゆ子「そうだなあ、そこは今彼が取り組んでいる物辺神社の分社に関係するんだけど、割と野心は大きい方だぞ。大金儲けをしようとも思っているし。」

明美「欲が深いタイプ?」
まゆ子「いやそうではない。そうではないが清貧ではない。ちゃんと実益は求めるし、自分の能力によって事業を起こして成功しようという意欲は有る。男性的と表現してもよいくらいだ。」
じゅえる「わいるどなのか?」
まゆ子「まあ、外国暮らしが長いですから、わいるどですね。貪欲ではあります。」
釈「自己実現の意識が強い、ていう風に美化して表現しますね。そこんとこは。」

明美「ではやる気十分なんだ。女性に対してもやる気十分?」
まゆ子「単純にセックスの相手をみつくろう、という感じではなく、それこそ生涯の伴侶を探してよりよい条件の女を見つければアタックを掛けるのにやぶさかではありません。」
じゅえる「じゅうぶん肉食系だな。」
釈「ブラジル育ちですから。」

明美「やる気が有って女性にも貪欲で自己実現を成し遂げようと思う、そんな香背男さんが鳩保芳子さんのどこを気に入ったのでしょうか? 中学三年生卒業時に遭遇したんですよね。」

まゆ子「ふむ。香背男は鳩保の何を気に入って恋人の役を演じてくれたのか。イイ人だったから、だけではない。それは確かだ。」
じゅえる「そこを考えると、香背男という男の本性も明らかになるか。」
釈「真の性格はセックス時によく現れるとも言いますからね。」

まゆ子「えーと、まず中学三年生15歳、鳩保は五月生まれだから高校一年生になってすぐ16歳ですが、その時にはもう乳でかい。」
じゅえる「肉体的にはセックスをするのに問題のない成熟状態であった。でいいんだな。」
まゆ子「背はもうちょっと小さかったけど、150センチ後半くらいの普通の日本人女性平均はありました。今は163センチだったっけ?」

じゅえる「乳尻は男にとっては大きなポイントだぞ。使える女だったのだ。」
釈「セックスアピールに関しては及第点ですね。逆に財産的にはそれほど。」
まゆ子「爺さんは田舎の診療所で医者をやっていて、父親は地方公務員。経済的に裕福とまではいかないまでも不自由はないが、財産目当てでは付き合わないな。」
釈「性格はどうでしょう。優しいとか思いやりが、……ありませんね。」
まゆ子「うん。」
じゅえる「周囲には厳しいタイプだからな。でも男に対しては開かれているんだよな、心の窓は。」
まゆ子「とは言っても、中学三年生卒業時には精神的に追い詰められていますから、ストレスでそういうの特典は無しです。」

釈「香背男さん、ほんとに鳩保さんのこと好きだったんですか?」

まゆ子「そこはさ、青春の輝きといいますか、爆発したエネルギーの発散ということでキラキラと光り輝いておりました。
 世間一般的に見ますと鳩保の行為は迷惑千万ではありますが、エネルギーをぶつけられた香背男本人からするとそれはまばゆい光ではあったのです。」

じゅえる「つまり可愛かったんだ?」
まゆ子「鳩保が大人になろうとする瞬間を見ていたのが、香背男ただ一人という状況です。
 そうですね。鳩保はその時ものすごく暴れまわったわけですが、無益に暴れてたわけではない。殻を脱皮する努力をしていたと言えます。賢いのです。」
じゅえる「十分に魅力的な状態であった、てことか。」
まゆ子「そうだね。香背男的には、いいものが見れた、て感じです。」

釈「つまり鳩保さんが好きとか惹かれるとかでなく、女の子の綺麗になる瞬間に立ち会ったということですか。」
まゆ子「あー、つまり鳩保はさ、中学生の頃と、高校生の頃とでは印象がまるで違うんだ。
 だから高校で初めて会った人はスゴイ美人がそこに居る、しかも乳がデカイ! という風に感じる。
 一方中学から鳩保を知ってる人は、中学生の頃ははた迷惑にアメリカ自慢でいい気になってたり落ち込んでたりしてたのに、高校デビューしやがった。て感じるんだ。」

じゅえる「では香背男はそもそも鳩保芳子を好きではない?」
まゆ子「そこは、これからのネタになってます。オチです。」
じゅえる「ふむ、仕掛けが有るんだ。」

明美「けつろんとしては、香背男さんは鳩保さんはどうなんだよ?」

まゆ子「あー、そうだな。香背男さん的は今の鳩保はそんなに面白くない。昔の頃の方がよほど面白かった。しかし嫌いなわけでもない。
 というよりは、香背男さんはいい人ですよ。鳩保の事が心配だから今回門代に来た。
 でも大人になった鳩保を見て、自分の助けがそれほど必要だとは思わないなとちょっぴり残念に思っている。
 同時に、対等の女性として愛するのには問題がない、つまりは普通の女性になったと認識する。」

じゅえる「女として扱う事が可能になった、てわけだ。鳩保出世したな。」
釈「普通の女性として扱う、ってのはつまりセックスして子作りするのに支障がない。結婚対象ってことでいいですね?」
まゆ子「うん。」

明美「そこは重要なポイントです。」

まゆ子「たしかに。」
釈「描写の時に気をつけなければいけませんね。」
じゅえる「つまり今回の再会で、二人は男と女として改めて出会った、てわけだ。そいつは重要だな。」

まゆ子「逆に鳩保も、この人とセックスをしても自分は、前に感じた時のように激しくは変わらない。と理解するのです。
 鳩保、自分が大人になったことを理解するのですね。」

明美「つまり、鳩保さんの価値というのは、セックス?」
まゆ子「うん。」
じゅえる「だな。」
釈「それでいいのではないでしょうか。むしろそれ以外の事は香背男さんはすべて知っているのです。」

じゅえる「とはいうものの、それだけでは鳩保寂しいぞ。」
まゆ子「そりゃそうなんだが、香背男にとっては鳩保は更に特別な存在でもあるのだ。別れていた1年5じゃない4ヶ月だ、で随分と考えるところもあったんだよ。」
釈「つまり鳩保さんと香背男さんは恋の新展開をする、てことですか。」
まゆ子「超展開を予定しています。」

明美「じゃあそいうことで。でも香背男さんの前の恋人とかも設定した方が面白いんだけどね。」
まゆ子「うううーんん。」
じゅえる「そりゃそうなんだが、前にどんな女と付き合っていたかはそりゃ重要なんだが、」
釈「今回は遠慮しておきましょう。これ以上設定を詰め込むと破綻します。」

まゆ子「というかさ、最終巻なんだよ。先は無いんだ。」
明美「ざんねん。」

 

 

14/09/09

まゆ子「というわけで、『ゲキロボ☆彡』第十一巻「萬国吃驚博覽會」、終了です。460枚!」

釈「ははは、またまたやっちまいましたね。」
じゅえる「割が合わないなあ。まあ今回、3回分のネタを4つに増量してるんだから仕方ないか。」
まゆ子「とまあそういうわけで、最終章についに突入です。」

釈「えーと、設定話に続きがあるんですね?」
まゆ子「うん、「めけ」について一言。

 きゅらすぽす・べとれてれむ・しゅんぴーぐるどらるる・めけ星人は、生身の身体の宇宙人です。かなり野蛮な狩人民族。
 なんでこういう連中が星間文明の、それも中レベルに高等な中流宇宙人に成れたのか。疑問に思いますよね?」
じゅえる「まあね。」
釈「本当はものすごく頭の良い宇宙人、てことですか。」

まゆ子「ちょっと違う。彼等は生きてる間は機械化しないが、死んだら機械化するという習俗を持っているのです。」
じゅえる「ほお。つまり死後の世界の人間が優れているわけか。」
まゆ子「つまりですね、彼等にとって最も重要なのは巨大生物の狩りなのです。狩りの為に社会機構のすべてが成り立っている。
 しかし、これは生きている間の、生身の人間の特権なのです。死後の世界の人間は狩りには参加出来ない。
 いやそもそも、死んだ後に機械化されるのは生きている間に大きな狩りに参加して目覚ましい功績を上げた人間に限られます。」

釈「なるほど、選ばれた人間のみに不死が許される特権てわけですか。」
まゆ子「だから子供は機械化されない。死んだら死んだまま、自然の姿で埋葬されます。そういうナチュラルな死生観を持っています。
 そして機械化された死者はもう狩りに参加することはなく、生者が狩りに万全を尽くせるように社会の裏方となります。」
じゅえる「OBってことか。」
まゆ子「OBですね。」

釈「でも狩りに行けない人はどうするんですか? 身体が弱い人とか、そうだ女性は?」
まゆ子「いや、女でも狩りに行くよ。」
じゅえる「まあ近代兵器を持ってたら女がどうこうは無いだろ。」
釈「そりゃあそうですが、差別は無しですか。めけの社会は。」
まゆ子「無いことはないが、雄のケモノは男が狩り、雌のケモノは女が狩る、という区分けがある。」
釈「はあ、割とシンプルな区別ですね。」
まゆ子「そして子連れが多い雌のケモノは非常に凶暴だ。故に女の狩りは失敗も多い。」
じゅえる「なかなか不死人になるのもたいへんだな。」

じゅえる「それで、不死人の世界と生者の世界とでめけの社会は矛盾なく暮らしていけるんだ。」
まゆ子「正直にいうと、めけの科学技術文明は死者・不死人によって作り上げられたものです。生者はほとんど関係無い。
 むしろ生者はお客様です。生きている間はせいいっぱい頑張って狩りに精を出し、あるいは恋に行きて家族を作り次の世代を生み出して、死にます。
 だからめけ的には生きている時間を「花の季節」と呼びます。」

釈「なんだかロマンチックですね。」
じゅえる「めけはロマンチックな連中だからな。」
まゆ子「だから、生きている間は神様だって信じます。逆に言うと、不死人は神様から見放されたとかんがえるから科学技術に頑張ります。」

釈「不死人を神とは考えないのですか?」
まゆ子「不死人の世界にもランクがありまして、機械の身体で働くのはおおむね百年です。
 それ以上生きると、精神だけをコンピューター内部に置いた集合知性というものになります。これが神扱いされていますね。」
じゅえる「集合知性になるのにも資格は有るのか。」
まゆ子「ありますね。めけの社会運営上顕著な功績を上げた者が集合知性社会に迎え入れられます。
 機械の身体不死人の時代は、つまりその資格を得るために頑張るって感じ。」

釈「なかなか厳しい社会ですね。」
まゆ子「不死人の時代はめけ的には「実りの季節」と呼ばれます。ここで実りを生み出さない連中は要らないさ。」
じゅえる「ああ、合理的だなあ。」

釈「でも、顕著な功績を上げられない不死人はどうなるのですか。」
まゆ子「だいたい都市宇宙船の運営を行っている。その他にも資源開発やら研究やらで、まあ寂しい宇宙の片隅に出張させられたりもするわけさ。」
じゅえる「能力的に低いから功績を上げられない、てことなのかな。」
まゆ子「あー、でも知性とか分析力は機械によっていくらでもサポートが利くからね。自分が何をやりたいかって問題だ。」
釈「問題意識の持ち方で功績が上げられるかダメなのかが決まるわけですね。」

じゅえる「不死人はそのまま永久に死なない、ってこともあるわけか。」
まゆ子「まあそうなんですが、めけの科学技術ポリシーだと、不死人の人格はネットワーク化されないスタンドアロンな存在です。つまり宇宙に1個しか存在しない。
 脳自体は機械化されており、人工脳同士を接続して人格を移す事が出来ますから劣化はありえないから原理的には完全な不死です。
 ただし事故は起こる。そして人格のバックアップは無い。だから人格の入った人工脳が失われたら死にます。」
じゅえる「死ぬのか、やっぱり。」
釈「不死人なのに?」

まゆ子「これは権利です。リスクです。
 不死人は生者の時に不死人になる権利を得ましたが、自ら滅びる権利までを喪ったわけでない。死にたい時には死ねるし、事故で死ぬリスクは常に付きまとう。
 死ぬからこそ時間というものに意味があり、限られた時間の中で功績を上げようと考える。危険な仕事にも従事する。
 めけ世界を広げようと宇宙の果てまで冒険する。」

釈「死ぬのは怖くないのですか、彼等は。」
まゆ子「彼等的には、何事も成さずに死ぬ方がよほど怖い。」
じゅえる「もっともだ。」
まゆ子「怖くなければ働きませぬ。」
釈「もっともだ。」

じゅえる「つまりネットワーク化されてバックアップもある、集合知性となった存在は、もう死ぬ必要も無くなった人達なわけだな。」
まゆ子「つまり存在するだけで確実にめけ社会に成果をもたらす事の出来る人格なのです。死を超越してしまった。だから死のリスクを返上する。」
釈「不死人が死ぬのは権利、ってことですか。」

じゅえる「でも生きている間に不慮の事故や災害で死んだ人達は、なんの保障も無しなのか。ちょっとかわいそうだな。」
まゆ子「まあそこは考え方です。誰でもが万が一の時は不死人になれますよ、てしたら命を粗末にするではないですか。」
じゅえる「うむ。」
釈「そうなりますかねえ。」
まゆ子「もちろん科学技術が発展しているから医療水準も極めて高いのですよ。だから病気で死ぬことはほとんどありえない。基本的に事故で死にます。これは不可抗力だ。」
釈「生肉食って死ぬ、とか書いてましたが。」
まゆ子「狩りの時に、機械的バックアップが薄い状態で、携帯保存食でなく、かっこつけて現地生物の生肉なんか食えばそりゃ死にます。」
じゅえる「ばかだな。」
まゆ子「バカも生者の特権です。」
じゅえる「うむ、たしかに。」

 

釈「めけの社会構造は分かりましたが、これは宇宙人的に珍しいものなんですか?」
まゆ子「かなり珍しい。というか、このシステムはめけが巨大生物の狩りを中核として社会を構築するからこそ成立したものだ。
 他の宇宙人はそんな単純な原理では社会を組み立てない。」

じゅえる「他の宇宙人が真似をする、ってのは無いのか?」
まゆ子「いや、地球人は真似できないだろ。」
釈「狩りに相当するものがありませんかねえ。ただ単に生きて、功績がある人だけ不死になれますよ、は通らないでしょう。」
じゅえる「カネが有る者だけが機械化で不死になれる。これでは社会の発展というのは難しいか。」
まゆ子「そういう時は最終的にすべての人間が機械化する、って話になります。それは普通の宇宙人の歴史ですが、そこには発展の意志が生じる理由が無い。」

釈「社会が自己満足化して終わっちゃうんですか。」
まゆ子「特にネットワーク化して自我が固有のものでなくなったら、種族としては終了です。ただの機械の集合知性が一個転がってるだけです。」

 

じゅえる「ちょっと良くわからんぞ。基本的に賢くなるんだろ、機械力によって記憶も演算能力も論理的思考も拡大して。それなのに自己満足で終了?」
まゆ子「ああ、そこは自明ではないのか?」
釈「ちょこっと説明が必要ではないですかね。」
まゆ子「そうか。まあ簡単な話、コピーが作れるんだ人格の。自分が何個も有ったらそりゃ便利だろ。だから複数の自分の人格をネットワーク上で走らせて仕事をする。くだらない趣味だろう。」

じゅえる「まあ、便利だな。でもそれら副人格の経験や体験はリンクして統合されるんだろ?」
まゆ子「当然。でも、それをやってるのは自分だけではないからね。」
釈「複数の異なる人格が複数のコピーを同時に使用して、ネットワーク社会上で干渉するわけですか。競争とかありますかね。」
まゆ子「そりゃ当然。」
じゅえる「競争すればそりゃ勝者と敗者が生まれる。負けるのはイヤだな。」
まゆ子「負ける、つまり有益な結果を生み出せない人格はネットワーク上で居場所が無くなります。そりゃ当然に計算資源は有限であり、際限なく参加者は増えていく。
 どこかでガベージコレクションはしなくちゃいかん。」

じゅえる「ふむ。負けるのか。そして負けてもなおネットワーク利用のコストを負担しなくちゃいけないわけだ。」
釈「ロハでネットワーク上に人格を走らせるのはダメなんですか。そこまで親切にはならない?」
まゆ子「有益でない人格を走らせても意味が無いからね。なんらかの評価を得られない人格に計算資源を割り当てる必然が無い。
 というか、そういうゴミ人格はリアルタイムで稼働する必要もないだろ。時々動いてればいい。」
釈「つまり有益な結果を生み出せない人格は、ときどき動く。ネットワーク上ではほとんど意味の無い存在に遷移するわけですか。」
まゆ子「いいんでないかな。週に一度目を覚ます人間と、年に一度目を覚ます人間と、どれだけ違うというのだ。」
じゅえる「しかし、そんな鈍い稼働状況じゃ絶対に失地回復は出来ないぞ。」
まゆ子「彼等は既に不老不死を実現し、鈍いとはいえちゃんと目を覚まして活動できる。飲み食いは要らず老いも病も無く、そのままの状態で生き続けるのだが。」
釈「うーむ。つまりこれは居てもいなくても変わらない。死んだも同然な人格ですね。」

まゆ子「さらにぶっちゃけてしまうと、体験とは記憶の蓄積なわけだ。記憶というのは自分がこれまでに生きてきた人生の集積であるのだが、その有り様はかなり曖昧模糊としている。
 普通の生きた人間だって虚偽の記憶を自ら作り出したり、映画小説他者の体験談を自分のものとすり替えてしまうなんて事もまま有る。
 であればだ、自分が寝ている間の他者の体験を集積して、起きている時分に参照可能としていれば、寝ている間も起きていると感じられるだろう。」
じゅえる「いやそれはおかしい。」
釈「それは頭が混乱しませんか。」
まゆ子「そりゃ一度や二度体験すれば変だと思うかもしれないけど、起きるたんびにやってればネットワーク上の人格ってそういうものかと理解する。
 実際不便はない、寝ている間に何が起きたかを追体験する必要もないしね。もう体験済みだから。
 朝起きて、昨日何をしたかな?といちいち思い出さなくても動けるように、寝ている間に何が現実に起きたのかを意識せずともシームレスに動けるのです。
 寝過ごして時代に遅れをとる事も無い。寝ている間もずっと体験し続けているんだからね。そして時代への対応も誰かさんがとっくにやってくれている。」

じゅえる「つまり、人格は特定されていなくても体験は続く。」
釈「生きていようが寝ていようが、コンピュータ上でプロセスが駆動し続けて体験のログを積み重ねていれば、起きた時にその時間すべてに起きていたと認識する。」
まゆ子「それを何千何万という人格がタイムシェアリングで共有する。どうだ、べんりだろ。」

釈「そんなの生きたにんげんじゃありませんよお。」

じゅえる「わかった。ゴミ人格は死んだも同然の扱いをされる。これはいいだろう。
 だが社会に有益な、アクティブな人格はどうなる? これらはずっとネットワーク社会上で働き続けるんだろ。」
まゆ子「そこで複数人格ですよ。自分をコピーして複数同時並行で運用してなんらかの価値ある仕事を行っている。
 だが他者との競争にさらされて、自らの利益を失うとすれば。」
釈「強化しなくちゃいけませんね。それも色んなタイプを取り揃えて対抗ですよ。」
じゅえる「時代が進むにつれて機能はどんどん強化されるだろう。それがコンピュータの世界だ。」

まゆ子「そうすると、新参者は入れませんね。」
釈「う。それはレベルが上がりまくったRPGにレベル1新規プレイヤーが突入するようなものです。」
じゅえる「古参の、最初から居る奴の人格が無敵を誇るわけだな。新参人格はまったく成果を上げる事が出来ずに、ゴミ人格化して死んだも同然になる。」
まゆ子「まあ、古参のレベルが上った人格と同じ能力強化を行った状態で参加する、という救済策も考えられますが。古参の人からすれば、そりゃアンフェアだな。」
釈「それはー、自分のこれまでの努力が他者にタダで摸倣されますからね。でも新参者の人格がそれを動かしたとして、個性や差異は生み出せるのでしょうか?」
じゅえる「でもバリエーションが沢山有るからなあ。違ったようで同じものが同じようにネットワーク上に存在する、それだけではないか?」
まゆ子「能力の均等化を図れば、そりゃ当然に無個性化、金太郎飴化するわけですね。」

じゅえる「なるほど。集合人格ってもはや個人の人格を超越して、能力を強化し続けたなんか別なモノの集合体なわけだ。」
釈「そこまで進化すると、コアとなる生者から抽出した個人の人格、なんてものは要りませんね?」
まゆ子「まあ、いくらでもバリエーションを合成できるだろうね。」
じゅえる「生物界でオスメスを作って、遺伝子をミックスして突然変異による進化を促す、的なシステムを内在しなければ、均一化でお終いか。」
釈「でもそれはほんとに効果ありますかねえ。しょせんは電子計算機上でのランダム計算に基づくわけですから。」
まゆ子「やはりコントロール不能な自然環境、てものの中でないと、そのシステムは効かないな。」

釈「というか、そこまで強化した挙句に、それら集合知性は何をするんでしょう。」
じゅえる「さあ。」
釈「そもそも勝利者の戦略や情報も独占は許されずにすべての人格に共有されるでしょうから、あっという間に天井に突き当たりますね。」
じゅえる「即座に対策されて、差別化出来ないわけだ。勝敗が存在し得なくなる。」
まゆ子「その競争が何時迄も続けばそれはそれでいいのかも知れないけれど、やがて勝負の行方さえも無意味化するだろうね。

 ただ在る為に在る。そういうものになるだろう。それでオシマイだ。」

 

じゅえる「それで終わり?」
まゆ子「終わりです。こうなると恒星間航行なんか必要ない。繁殖も繁栄も必要ない。資源開発だって最小でいい。
 所属恒星から与えられるエネルギーでコンピュータ内の集合知性を維持するだけで、完結します。
 技術開発をしてもコンピュータがだんだんと小さくなるばかりで、やがて宇宙船1個の中に収まるサイズになり、そのまま宇宙に乗り出して行方不明。が定番です。」

釈「その集合知性が宇宙文明を築く、ってのは無いんですか。」
まゆ子「宇宙文明を拒否したスタイル、というべきです。つまり宇宙人ではないのですから、宇宙人としての繁栄もありません。
 そもそも死から免れると時間の概念を失いますから、ワープ機関の必要が無い。超光速航行する必然性が無い。
 時空間を操作する必要も無いから、高次元生命体になる方向に進まない。
 ぴるまるれれこもこんなものは食いませんから、滅びもない。」

じゅえる「つまり、終了してるのか。」
まゆ子「知性としての終着点、もう何も考える必要が無い状態です。そもそも外部の環境に対する興味すら失いますから、宇宙人社会も関係無い。」
釈「ほんとうに終わってるんですね。」

まゆ子「つまりは、宇宙の星間文明というやつは、この集合知性的死に陥らなかった種族により成り立っている。
 集合知性的死に陥るのは、ワープ機関を発明して宇宙に乗り出すよりもはるかに技術的に簡単だ。
 集合知性化すれば生身の脳を使うよりもはるかに高度な科学技術を構築できるだろう、と考えて普通の宇宙人はこの道を進むのですが、実は終了なのです。
 まず最初に超光速航行技術を獲得する方が先でなければならない。」

じゅえる「要するに宇宙人の歴史は、外に出るか引き篭もりになるか、二択なんだ。」
釈「個体の独立性を維持する意志が無い種族は、引き篭もりで終了してしまうわけですね。」
まゆ子「それはまた完全な公平と公正、幸福の世界でもある。永遠の理想郷が完成してしまった後に人は何を望むだろう、ってわけさ。」

 

じゅえる「それで、めけはどうやって集合知性死から免れているのだよ。いかに意志堅固であっても、完全な集合化をしてしまうとシステムに取り込まれてしまうだろ。」
まゆ子「あー、そこはかなり特殊な方法を取っていると思われます。つまり効率を相当なレベルで諦めている。」
釈「故意に低性能化しているんですか。」
まゆ子「簡単に言うと、仮想空間内に不死人レベルでしかない知性に留まって働いている。高度な能力や支援知能は「外部」の機械として仮想人間が操作する、という形で運用する。
 どう考えても不都合で不条理で低性能だが、しかも本来有り得ない「物理的制限」「肉体的限界」まで設定して、あくまでも”機械内の人間”として生きている。」

じゅえる「めちゃくちゃ変わってる存在だな。」
まゆ子「めけにとっては、生きていた時間ってのが一番の理想郷なんだな。不死人・集合知性にとってもうそれは終わってしまった話なんだけど、いつまでも永遠の理想として憧憬を覚える。
 死んでもロマンチックな性格は変わらない。」
釈「彼等のメンタリティの根幹はロマンチックなんですね。」
まゆ子「それで効率のレベルが極端に低いとはわかっていても、生きてる人間としてのあり方を基本として再現する。
 これが良かったんだな。恒星間超光速航行能力を獲得する動機として、普通の人間が普通に不死になって延々と考え続ける。
 そして結果を出したんだ。」

釈「ということは、めけは極めて稀な成功例、ってわけですか。」
まゆ子「中の下レベルにまで発展を遂げていますから、大成功の部類です。ただめけにはめけの弱点も有る。
 生身のめけは、常に種族絶滅の危険を孕む。生身が滅びると、不死人と集合知性社会も生きる意味を失う。
 生身のめけが居るからこそ成り立つ脆弱な文明なのです。

 そしてこのスタイルの中流宇宙人の最大寿命はおよそ百万年。生物種として変わらぬ状態を維持する限界です。」

じゅえる「クビ子さんとこはどうなんだ?」
まゆ子「クビ子さんこと「天空の鈴」星人は、そもそも種族を機械化していません。科学技術レベルこそ高いものの下級宇宙人です。
 クビ子さん達は古代宇宙人文明の遺産を発掘して超光速航行技術を手に入れた、つまり集合知性化を免れた種族です。
 宇宙文明となってからまだ1万年程度の若い、幼い文明と言えます。

 ちなみに「天空の鈴」星人はゲート種族でもあります。古代宇宙人が設置したワープゲートを使って宇宙の色んな所に遊びに行きます。
 航宙速度は10万Cを超える。中流宇宙人の航宙速度は1万C内外だから、立派な高等宇宙人なのです。」

釈「ちょっと卑怯じゃありませんか? 自分で作ってないって。」
まゆ子「無邪気でいいじゃないですか。色んな宇宙に行けるから、色んな宇宙人と楽しく遊ぼうって考えるんですよ。」
じゅえる「ああ、それがまさしく星間文明ってやつなんだな。」

まゆ子「ちなみにクビ子さんところは、別に自分達が絶滅してもちっとも残念に思わない肝の据わった宇宙人です。
 なにせ拾い物の航宙技術で成り立っていますから、その継承とか考える必要が無い。
 生きてる内に面白く技術を使えばいいじゃないですか、という割り切った享楽的な種族です。そしてそれが正解。」

釈「じゃあ地球人も、ゲキの技術を手に入れてそういう風に進化すれば、」
まゆ子「できなかった、てのがミスシャクティが来る31世紀の現実なわけです。
 ちなみにミスシャクティは31世紀の生まれで、その後200年ほど勉強してから20世紀にタイムトラベルしてきています。
 NWOの操作が極めて巧みなのも、長期間の勉強の賜物です。単なる天才ではない。

 そして、その天才をもってしても、既に機械化人間合成人間遺伝子操作人間に溢れた地球人社会の制御は不可能となっています。
 集合知性化死コースにまっしぐら、ですね。」

じゅえる「ゲキが航宙技術を与えてくれたんじゃないのか。」
まゆ子「ミスシャクティの時空戦艦がありますから、航宙技術は確かに存在します。
 しかし31世紀になっても地球人は依然として太陽系内で燻っています。
 なまじゲキの力で宇宙人との交流が出来たから、このまま太陽系に居ればいいじゃん、という感じ。」

釈「他所からやって来るのなら、わざわざこちらから出向く必要はない、ってわけですか。」
じゅえる「清朝が西欧人から交易を求められた時のスタイルだな。」

まゆ子「それに、ゲキの技術は生身の限られた血族、ゲキの少女の血統を正確に受け継ぐ者、に限られるから、その他大勢の高度な能力強化をされた人間がアクセスするのは無理なのです。
 これがまた許せない。低能な生身の人間に、明らかに優れた強化人類が支配される。そりゃあ許せませんね。」
釈「うん。」
じゅえる「だろうね。」
まゆ子「しかし、そこまで進化した地球人類であってもゲキの技術を解析するのはまったくに無理、全然レベルが低過ぎる。
 だからもっと高度な知性を人工的に獲得しようと、集合知性化を図るのです。」
じゅえる「あちゃー。」
釈「あちゃー。」

 

******************

まゆ子「そこをなんとかしようと、ミスシャクティは20世紀にやってきた、わけでもあるのです。歴史的に来ることが決まってたから来た、わけでもない。
 そしてそれら強化人間社会を作らないように積極的に生身の人間社会を維持しようと歴史に修正を加えようと考えたのが、ドバイ編に出てきた「オールドファッションズ」って秘密結社なのです。」
釈「みのりちゃんに絡む天才小学生スクナ君の、バックグラウンドですね。」

まゆ子「ちなみに「オールドファッションズ」の母体は喜味子の血統です。ゲキの少女の5つの血統は、ミスシャクティがみのりちゃんの血統であり主流派となっていますが、それに対抗するのが喜味子派です。」

釈「鳩保派、花憐派、優子派、はどうなったのですか?」

まゆ子「まず優子派というのは無い。物辺神社があるだけだ。31世紀ではそのものズバリの「外記神社」と名前を改めているし、物辺村にもありませんが、とにかく神社形態で残っている。
 もちろん血統に連なる人間は生きているし、やはり巫女は鬼で変態です。ただ人類社会がここまで変化するとただの変態ではおっつかない。
 変わった生身の人間、て程度でしかありません。が、とにかくゲキの運用を支えるだけの役目は果たしている。
 派閥的には名称を「ジンジャ」と呼びます。そのまんま」

じゅえる「鳩保派は?」
まゆ子「鳩保派は、これはNWO派と呼ぶべきですが、NWOを直接支配した王朝ダイナスティを構築し、初期のゲキ支配体制を司った派閥です。
 しかし200年くらい体制が存続した後に崩壊。というか、この時期世界的に国家という枠組みが崩壊を初めて、旧来の体制を基盤とする鳩保派も変革を余儀なくされた、てところです。
 便宜上これを「ダイナスティ」と呼びます。31世紀的には「アンシエント・ダイナスティ」」
じゅえる「既にアンシエントと呼ばれるほどに古いんだ。」
釈「いや、31世紀から見れば7、800年前に崩壊してますからね。そりゃあ歴史的遺物でしょう。」

まゆ子「この時代は電脳化というやつで個人の知性が拡大した時代でもあります。つまり生身の人間がゲキを支配しても普通の人間に勝てない、って事が起き始めた時代。
 そこで主導権を握ったのが、花憐派です。
 さすがに電脳を用いて知能を拡大したとしても、予言には勝てない。機械的知性では決して及びのつかない能力を用いて人間社会を支配していたわけです。
 これを「神託時代」「オラクル・マシナリィ」と呼びます。
 ただしこの時代は長続きしなかった。普通人間側が、予言が存在する事を前提とした一種の政治的先物取り引き制度を開発して、先の事が分かる人間と分からない人間が居ても損はしないシステムを作り上げたからです。」

釈「みのりちゃん派はどうやって主流派になったのですか。」

まゆ子「つまりダイナスティとオラクルマシナリィが崩壊した後、本格的に強化人間合成人間の時代となり、これに対して生身の人間を特権的に守ろうという動きが出てきます。
 地球人類すべてが自らを強化しようと思わないし、そもそもゲキの血族は強化処理を行うとゲキの加護を失います。
 故に人類社会は、強化人間勢力と生身人間勢力に分かれます。まあ後には強化人間も合成人間に負けちゃうわけですが、その当時は強化人間大繁栄です。

 この当時に生身人間を守る為に活躍したのが、戦闘能力に秀でたみのり系の血統を持つ人達。
 彼等は自らを「騎士」と名乗り「騎士団」を結成しました。
 その内に生身の人間の方が人口比で少なくなってしまい、さらには地球という惑星上に固有の種族となってしまった。
 だから生身の人間は「アーシアン」と呼ばれるようになり、それを守る騎士は「アーシャンブレィ」と名乗る事となる。「Earthian Brade」  」

じゅえる「みのり派が護民官的に権力を掌握した、ってことか。」
釈「護民官、なるほどそういう呼び方もありますか。」

 

じゅえる「つまり強化人間てのは地球を捨てて宇宙に活路を見出した、ってことだな。」
まゆ子「あー、なんと言いますか。そのはずだったのに、いつの間にか合成人間に取って代わられてしまいました。魚肉合成人間です。」
釈「宇宙で魚肉、ですか。」
まゆ子「宇宙で栽培するからミドリムシ製だな。」

じゅえる「魚肉合成人間はそんなに優れているんだ?」
まゆ子「だって合成人間は電気で動くもん。代謝を電気で賄うように設計された半分ロボットな合成人間だから、生身の人間を引きずる強化人間の出番が無い。」
じゅえる「うむ。」
釈「ロボというかアンドロイドですね。」

まゆ子「それで宇宙開発を合成人間に任せていたら、たしかに太陽系中を開拓したのはいいが、働いている奴全部魚肉になってしまってた。
 人口比で合成人間が生身+強化+遺伝子改造人間、の10倍を越えていたんだ。」

じゅえる「合理的に開発を進めれば、普通にそうなるか。」
釈「やはり宇宙はロボですから。」

まゆ子「まあそういうわけで、31世紀の「地球人」はゲキの加護を得られない。地球に残った生身の人間、ゲキの血族にのみ使役が可能なのだ。
 ちなみに地球製魚肉合成人間はちゃんと脳みそがある。人間の遺伝子を模倣して脳細胞を合成してあるから、人間といえば人間なのだ。」

 

釈「それで、喜味子さん系の「オールドファッションズ」はどういう経緯で。」
まゆ子「いや、喜味子系はずっと裏方を務めてきたんだよ。ゲキに由来する機械ものをずっと面倒見て、その他の家系の活躍をサポートしてきた。
 しかし時代が進み「ダイナスティ」が没落し、「オラクルマシナリィ」が無力化し、「ジンジャ」は相変わらずだし、
 結局喜味子系がゲキをすべて面倒見る形になってしまった。みのり系が生身の人間全体の面倒を見るから役割分担だ。

 そして、やはりこの地球人類の構成はまずいだろうという話になって、もっと生身の人間が自然に生きられる方向を模索するようになった。
 ゲキの力をこれまで以上に活用して、生身の人間の活動域を広げようて案だ。それはまたゲキの望むところでもある。
 つまりこれまで地球人類の自立した活動の邪魔をしないでゲキを利用してきたのを、ゲキを中心とした地球人社会の構成に変えようってわけだ。
 これが「オールドファッションズ」、つまり21世紀2008年にゲキの少女達が遭遇した時のゲキとの関係に戻ろうってわけだ。」

じゅえる「いいんじゃないですか?」
釈「問題無いですね?」
まゆ子「話を聞くだけならね。でも31世紀の現実ではとんでもない時代錯誤的なアイデアなんだ。だから、過去を改変してソッチの方に最初から持って行こうと事象改変を試みる。」

 

じゅえる「ところで鳩保系花憐系は滅びたのか。」
釈「どうなんですかね、家系全滅してたらゲキロボの発動にも差し支えると思いますが。」
まゆ子「あー、これまで書いてない設定で、そして書く必要も無い設定なんだけどさ、こういうのが有るんだ。

 「ゲキの少女の家系は他のゲキの家系と交わってはいけない」
 つまりゲキの力を受け継ぐ者は他の4人の家系の人間と結婚してはいけない。まあ結婚はいいけれど、その間に生まれた子にはゲキの力を使う能力は無い。永久に。」
釈「ほお。」
じゅえる「ほお。まあ今まで書かなかった理由も分かるけどね。鳩保達2008年の人間には関係無い設定だそれ。」

釈「フランスの「大釜の臓腑」の家系と花憐ちゃんが結婚するのは許されるのですか? あそこもゲキの家系ですが。」
まゆ子「それは大丈夫。あくまでも物辺村のゲキの発動に関連する5人の子孫に課せられる条件だ。
 つまり、血統の管理は厳重でなければならない。故に家系が途絶えるという事はほぼ無い。」
じゅえる「管理がしっかり行き届いているわけだ。でも遺伝子操作とかクローンとかは禁止なんだな?」
まゆ子「体外受精もダメです。もちろん代理母も。あくまでも通常の性交による妊娠出産でないとゲキの力の継承は行われません。
 また捨て子もダメです。単に遺伝的条件が揃えばゲキの力の発動が起こるのではなく、正しい出産条件を満たす者がゲキの力の行使者によって養育され家族的繋がりを持つ事で発動する。
 そういう条件です。」

釈「では鳩保系の赤ちゃんを喜味子系の人が親代わりになって育てるというのは?」
まゆ子「ありです。」
じゅえる「ふむ。その養育期間てのはどの程度の長さが必要なのだ。」
まゆ子「ケースバイケースです。というか、とにかく遺伝的条件がクリアされていなければならない。ゲキの5系統の血統の純粋性が保たれている。混血していない、これが一番重要。
 そして家族的繋がりというのは二次的な条件に過ぎないけれど、確実に必要。幼少期にゲキの血統から切り離されていた子供はほぼ間違いなく発動出来ないのですが、例外も有る。
 場合によっては大人になってから接触して1日だけ、それもほんの数分での交流でゲキが発動した例もあります。
 心が通い合う、これが重要と考えられています。」

じゅえる「だがそれは限りなく例外だな。」
釈「よほど深くて暖かい繋がりがその人達には有ったんですね。」

まゆ子「ちなみに家庭的に不遇で遅くに超能力に目覚めた人は、その瞬間「首の後ろでベルが鳴った」と表現します。電話のベルですが、既に黒電話というアイテムは絶滅してますから分かりません。」
じゅえる「不可視の電話、は健在なんだな。」

 

まゆ子「とまあそういうわけで、没落した鳩保系花憐系にもちゃんと複数のラインの継承者が存在する。31世紀になっても5系統すべてが揃っている。」
釈「でも没落してなにか困っていることは無いのですか?」
まゆ子「それはー、鳩保系の人間を好きなように操る能力が合成人間には効かない、という深刻な影響力の喪失があります。」
じゅえる「そうか、魚肉には人の心は無い、というわけだな。」
まゆ子「花憐系予言能力は、対策されてしまいました。」
釈「めんどうな話ですねえ。」

まゆ子「まあそれでもね、生身の人間に対しては圧倒的優勢を誇るわけですよ。それにスクナ君に適用されたような天才育成プログラムが完備されているから、能力的には21世紀人の比ではない。
 というわけで、鳩保系は31世紀現在では生身の人間社会の政治を司る。地球人類社会全体からすればささやかなものだが、権力を掌握しているのだ。」
じゅえる「なんかせこいな。」
釈「でも分相応な権力という気はしますね。」

まゆ子「そして花憐系は未来予測が対応されてしまったとはいえ分かるものは分かるのだ。この能力を使って、合成人間が主体となった地球人類社会がどう進んでいくのか、を生身の人間社会に解き明かしています。
 まあ合成人間が行う太陽系全体の行政やら産業は複雑怪奇でとてもではないが分からない。花憐系の働きで説明されてようやく理解できるから重宝されています。

 あ、それからこれは別シリーズから転用された設定なんだけど、この時代の生身人間というのは極めて特別な存在になっています。
 つまり純血種を保とう、民族的な純粋性を保とうという思想から混血しない。各民族的に独立した結婚制度を固く守っているのです。
 理由は簡単、それが求められているから。

 強化人間やら遺伝子改造人間やらは元の遺伝子を操作する事で望む形質を作り出す。ということは、
 元の遺伝子の特徴がはっきりして明快でないと困る。特に外見上の特質・容貌体格性格を純血種が保存してくれないとブレンドが上手く利かないのだ。
 また遺伝子に由来する精神的アイデンティティというものは強化人間にも存在する。
 自身のルーツを示す遺伝子提供元がどのような生活をする民族であるか、これは大いに関心が持たれるところだ。

 そこで生身人間は生活の保障が強化人間側つまり全地球人類社会からされているのだけれど、その代償として純血種保存が望まれるわけだ。
 要するに地球全体が人類を保存する動物園みたいなものになっている。遺伝子のみならず文化や生活習慣・宗教などもね。
 生身人間はおおむね20世紀頃のライフスタイルで生活する事を義務付けられています。
 そりゃあ医療とか通信情報などは先進技術を使いますが、それ以外は伝統的な生活文化を維持し続ける事を求められています。
 もう工業的発展とかを追求する必要は無いのだから、むしろこれこそが彼らの産業と呼べるのです。

 この体制はゲキの血統の純血を守るにも好都合。
 つまり外部生身人間の血統から嫁を提供してもらえば、ゲキの血統同士が知らない内に混血して能力を失うという事態が避けられるんだな。
 たとえゲキの能力を喪失した普通人になったとはいえ、かってゲキに関与したという記憶は遺伝子に確実に刻み込まれていて、何世代を過ぎても混血による能力喪失の原因と成り得るのだ。
 だから外部から嫁や婿を貰う方が確実なんだな。

 そして、先進的な未来技術による武力や犯罪行為等から生身人間を守るのが、「アーシャンブレィ」。ゲキの力で武装したみのり系血統者が地球の平和を守っている。
 この時代になっても犯罪や略奪誘拐、奴隷交易は存在しうるのですよ。強化人間てのは犯罪性に関しても強化されていたりするんですね。
 逆に言うと、それだけ生身人間の純血性は高い価値を持っているわけです。

 というわけで、生身の地球人は一種の貴族となっています。彼等の上に立つゲキの血統が王族扱い。
 貴族王族は血縁が何よりも重要、ということで納得ですね。
 で、それでも発生する混血児は追放されて月に住む事になる。月は強化人間遺伝子改造人間が支配する太陽系全体の地球人類社会の首都・大都会だから、そこに暮らすこととなる。
 地球人類社会全体の支配権は月の政府を牛耳る強化人間遺伝子改造人間が握り、実際のところの太陽系社会を運営するのは魚肉合成人間てわけです。

 後天的強化人間てのは、つまり地球を追放された混血者およびその子孫。生身で生まれ、社会に適応する為に自らを強化します。
 遺伝子改造人間・ガンダムSEEDでいうコーディネーターは地球純血種という体制が生まれる前から既に自らを強化し遺伝子を弄っていた人類の末裔、です。
 まあどちらも、最初から工業的に設計されている魚肉合成人間の敵ではないんですけどね。
 というか魚肉人間だって既に完全に機械化されネットワーク化された集合知性とその手先であるロボットには勝てはしない。」

 

釈「その設定を転用したシリーズってのは何です?」

まゆ子「3DCGのコーナーに置いてある「カベチョロン」だ。
 これは明美帝国という組織によって運営される観光宇宙バスの物語で、くららという名前の混血少女が地球から追放されて宇宙中を旅して回るってお話。
 明美帝国というからには、この国家は山中明美一族によって支配されている。
 山中明美一族というのは遺伝子改造強化人間の一種で、宇宙開発に特化した惑星間移動の軌道計算能力を生来的に備えている、いわばアーヴに似た種族だ。
 しかしそんなものは電卓でやればいいだろう、という至極当然な論理によって彼等の特性は歴史の闇に埋もれ、社会の片隅で肩を潜めて生きていた。

 だが或る時「明美ちゃん」という傑物が現れて、一族が抱え込んだ莫大な借金を踏み倒す。
 で逃げ込んだ冥王星の片隅を独自に占有して「明美帝国」という彼等だけで構成される自治体を作り上げ、自ら得意の軌道計算能力を活かした宇宙観光業に乗り出したのだ。
 で、合成人間によって支配される全地球人類社会統治機構から離脱したアウトローの力を利用して、地球純血種のはぐれものであるくららちゃんが冒険する。という物語。

 機械モノだけ先に設定して、3DCGを作ったのはいいけれど、まあ頓挫してるね。
 ちいちゃな宇宙船でちいちゃな小惑星を旅して回る、ってシナリオは『彷徨える百合SEAーず』に転用されたんだけど、まあ現在休止中。」

じゅえる「くららって、この歯をむき出しにしてるちょっとブサイクな女か?」
まゆ子「その子の髪型のデザインは、『らんま1/2』に出てくる格闘グルメの家庭教師マダム・サンポールから来ています。
 さらに言えば、『統則最前線』に出てくる鉄板製メイドロボ「アニタ」の髪型も、マダム・サンポールから来ています。」
釈「お好きなんですね、マダム・サンポール。」

 

釈「つまり生身の人間の間ではゲキの力も役に立っている。て事ですね。」
じゅえる「ようするに21世紀のままってこった。」
まゆ子「それが自然な姿なんですね。「オールドファッションズ」運動が起こるのも無理からぬわけです。」
じゅえる「しかし、優子系も働けよな。」

まゆ子「物辺優子の系列はそもそもが変態であり鬼であり巫女であるから、変人ばかりです。この家系は女しか生まれません。
 男なら女をいくらでもあてがってハーレムを作れば継承者量産が出来るのだけれど、無理です。」
じゅえる「10人くらいなら産めるぞ。まあやらないだろうけどさ。」
釈「ハーレムを作ったとしても、家族的繋がりというハードルを越えなければ力は発動しないわけですね。」
まゆ子「うん。」
じゅえる「それは、権力者的には嬉しくない設定なんだろうな。子供を産み捨てて駒に使うってのが出来ない。」

まゆ子「まあ実は、優子系の能力は表からではなかなか理解しづらい。ほんとうにはどんな能力を持っているのか、外部からでは想像も出来ないんですね。
 だから優子系は未だに本気を出していないとも考えられます。
 高次元や深宇宙に自在にアクセスできる能力は、そりゃあ分からないさ。」

釈「喜味子系の血統は、どうなんですかねえ。」
まゆ子「喜味ちゃんの血統は遺伝的に極めて特別な要素を受け継ぐ。つまり顔だ。魁偉なる容貌を継承者は皆持っているから、能力者が一目で分かる。
 そして鬼神のごとき技術の腕。しかも頭がイイ。」
じゅえる「なんで? 喜味ちゃん頭良くなる魔法が掛かったのか。」
まゆ子「大器晩成型ですよ。喜味ちゃんは目から鼻に抜ける賢さは無いが、指先に脳みそが有るレベルの体感的な知性を持つ。口では言わなくても正解は確実に出してくるのだ。」
釈「言語脳的には能力が低い、ってだけなんですね。」

まゆ子「とまあそういうわけで、喜味子系は技術の神ヘパイストスとも呼ばれている。優子系の美貌の女子との対比でよく知られているのだ。」
じゅえる「全部女なのか?」
まゆ子「喜味ちゃんとこは男女テキトーに振り分けて生まれてきます。
 鳩保のところは男子が6割、みのりちゃんとこは男子が7割、花憐ちゃんとこは女子が6割で生まれてきます。優子の系統は女子10割。」
釈「特に偏りが強いってわけでもないんですね。」
まゆ子「物語の展開上めんどくさくなる要素は排除しました。」

 

******************

じゅえる「てことは、ゲキロボ未来編とかも考えたのか。」
まゆ子「考えたけど無しにしました。未来のゲキの行使者が、ミスシャクティがそうなんだけどそれとは別に21世紀にやってくる、というシナリオも考えたけど没りました。」
釈「ちょっと見たかったですね。」

まゆ子「ほんとはさ、ゲキロボ平安編が描かれるはずだったんだ。何故物辺村にゲキの髑髏が落っこちたか、これは物語の核心に近いのだ。」
釈「ふむふむ。」
まゆ子「しかし、ヤメタ。書かなくても21世紀の物語は困らない、という結論に到達しましたから。」

じゅえる「まあ、描いてもよかったんだけどね。」

まゆ子「平安編は、ゲキロボに武士と法師と巫女と猿女が乗る、という構成のハズだったのだ。そこに陰陽師が絡んできて、という。」
じゅえる「猿女ってなんだ、みのりか?」
まゆ子「いや昔から猿女キャラはちゃんと用意されていてね、出番待ちなのだ。みのりちゃんは猿女二号に過ぎないのだ。」
釈「ああ、もったいないですねえ。」

まゆ子「だいたいね、なんで門代高校の裏山に宇宙人ぴるまるれれこが居るのか、その答えが平安編なんだ。
 そして1600年頃、物辺優子の直接のご先祖様が鬼に犯される時に、これを退治した剣客の勇者様に不思議なチカラを与えたのが、千年生きる法師様、とかいう話にでね。」

じゅえる「しかし平安編でも巫女、というのはなんだな。安直だ。」
まゆ子「うむ、そう思わないでもない。香具矢姫でもいいかな、て気もする。宇宙人という要素を取り込んで。」
釈「そこは是非ともかぐやひめです。確実です。」
まゆ子「うむ、そうだな。猿女はアメノウズメノミコトだしな。巫女はちょっと合わない気がするな。」

 

2014/08/30

まゆ子「うちの女どもは可愛げがない。」

釈「はい。」
じゅえる「いや、おまえがその筆頭だろ。」
まゆ子「と言っても可愛くないわけではない。というかかなり可愛らしく描いている。だが全員可愛げが無い。」
釈「ですね。」
じゅえる「なんというかオモチャ感が無いんだな。小説のキャラクターというのはどこか安物っぽさが必要なんだ。」
釈「別の言い方だと親しみやすさ、ってやつですね。誰とでも仲良くなれるとか、この娘と居たら楽しそうとかの。ま、勘違いですけどさ。」
じゅえる「こういう事を言う奴が、可愛げがないってんだな。」

まゆ子「というわけで、『ゲキロボ☆彡』が終わったら次の作品は可愛げのある女を出そうと思う。」

釈「いいんじゃないですか、王道で。」
じゅえる「だがちょっとまて、次に予定している作品てのは。」
まゆ子「あー、基本的に現在候補に上がっているのは、

 ・『大東桐子の、』シリーズ〜サムライローニンガールで野武士の大東桐子さんがばっさばっさと人を斬りまくります

 ・『オーラシフター厭勝仙士』〜オーラシフター蟠龍八郎太を主人公とする群像劇 オカルト伝奇物ぽい方向です

 ・『罰市』(抜質)〜十二神方台系の現代社会において伝説の英雄探偵マキアリイとカニ巫女クワンパが正義の為に戦います なんとなく観光案内風

 ・『題名未定』〜19世紀的西欧世界観で若き軍人が魔法の軍事利用を背景に孤独な戦いをします 「くっちゃり」で構想を練った際には『メイドぶち殺し事件』という題名でした

 この4つで考えている。あと短篇集『血闘姫』ての」

じゅえる「まず、大東桐子は可愛げのかけらも無い女だ。却下。」
釈「はい。大東さんは可愛げを徹底的に排除したキャラですから、今回の議題から最も遠いです。」
まゆ子「まあね。」

じゅえる「オーラシフターの連中は、女の子が4人現在まで出ているのか。」
釈「平芽カレイさん、フカ子さん、子代隻さん、たまちゃん、の4人です。」
まゆ子「たまちゃんは可愛いし可愛げが有るぞ。」
じゅえる「逆を言うと、その他3名はちっとも可愛げが無い。」

釈「クワンパさんは可愛げとかいうと棒で殴るタイプです。」
まゆ子「いやこの際だ、クワンパは可愛げが無いのは諦めるとしても、その他ゲストキャラは可愛い女の子ばかりで、主人公英雄探偵であるところのマキアリイさんはモテまくりハーレム、という構想だ。」
じゅえる「……信用ならん。」
釈「ですね。」

釈「メイドぶち殺し事件は、ってメイド死ぬじゃないですか!」
まゆ子「あー、うん。」
じゅえる「可愛げどころの話じゃないな。」

まゆ子「現在の流行りに従って、ハーレムっぽい構造を可愛らしい女の子達で組み上げよう、ってものですが、」
釈「無理。」
じゅえる「根本から間違ってるな。」
まゆ子「どうしましょう?」

釈「付け加えるとダメなんです、引き算です。」
じゅえる「そうだな、余計なものを足すと破綻する。トゲは抜くものだ。」
釈「可愛げを足そうとするとダメです。可愛げが無い、を抜きましょう。」

まゆ子「なんかふにゃふにゃするぞ?」
じゅえる「それでいいんだよ。」
釈「それでいいんですよ。」
まゆ子「ダメ人間だぞ。」
釈「女の子ってそういうものです。」
じゅえる「普通の女ってのはそうだよ。」
まゆ子「いや、それはちょっと違うだろ。というか間違ってるぞ考え方。」

釈「ダメ人間だから、なんかろくでもない男がかまってやろうと考えるわけですよ。」
じゅえる「そうそう。今流行の無気力系男子が主人公のアニメはそういうもんだ。」
まゆ子「うう、なるほど、なんとなくそういう気もする。ダメ人間少女を描けばいいのか。」
釈「だいたいですね、男にすがって生きていこうとする女がダメ人間でなくてどうしますか。しゃきっとした女なら旦那の一人二人食わせていこうとか考えるでしょ。」
じゅえる「そうだなー、弥生ちゃんとかはそんなもんだな。」

まゆ子「うーむ、『ゲキロボ』でダメ人間が確定した鳩保芳子もそんな感じするなあ。」
釈「でしょ。ダメ人間加減が足りないんです。」

まゆ子「となると現状手持ちのキャラで一番のダメ人間女は、明美ということになる。」
じゅえる「まあ、ダメだね。」
釈「言いたくはありませんが、ダメの方向が違います。あれはドツボにはまるというやつです。」
じゅえる「間違えるのは男に関して。これでないといかん。」
釈「明美さんは男に到達する前に路上で息絶えていますよ。死なないけど。」

 

まゆ子「作るか?」

釈「そうですね、新作キャラを考えた方がいいでしょう。」
じゅえる「アレ使えばいいんだよ、『戦列歩兵少女地味子』。結構ダメっぽい設定の女が居たぞ。」
まゆ子「戦列地味子は、というか魔法少女地味子の方だな。たしかにダメ女が居る。でもいい女も居るんだぞ。」
釈「いい女が男で腰砕けになる。これがいいんですよ。」
まゆ子「なるほど、それは受ける。」

じゅえる「じゃあ可愛げの有るダメ人間少女を構築するというのが、今回の任務だ。
 でも、実際は登場する作品を設定しないと、キャラはこしらえられないぞ。」
釈「そうですねえ、世界観からかけ離れたキャラ設定をしてしまうと、うまく物語が回りませんね。」
まゆ子「ふむ。」
じゅえる「じゃあどれをやるかをまず決めてから、それに応じて地味子を再設定する、という手法を取るか。」

釈「えー、それではどの作品から。」

まゆ子「『大東桐子』はダメだ。出る女すべて根性が座っている。」
釈「ふむ。」
じゅえる「そもそも桐子一人が女として出演し、他は男のサムライって話だからな。」
まゆ子「ついでに言うと、この作品に出てくる人間はダメ人間を通り越したヤクザモノばかりだ。なにせおサムライだからな。
 そもそもの大東桐子が戦闘狂の殺人狂だ。どこから見てもまともじゃねえ。」
じゅえる「そこがいいんだよそこがサムライなんだ。
釈「まあチャンバラ物はそこが命なんですけどね。

 とりあえずダメ人間作りからは切り離しておきましょう。」

まゆ子「『メイドぶち殺し事件』は女は出るがオカルトっぽい話であって、根性が座るというよりは、目が据わってる危ない女が出るぞ。」
釈「ハーレム設定は無理ですね、それ。」
まゆ子「というか、そもそもがこの話は、腐のみなさまがお喜びになるような男同士のダンディな絡みを中心に考えているわけで、女は出るけど要らないぞ。」
じゅえる「ふむ。保留ね。」

釈「『オーラシフター』はゲストキャラとして女の子出るでしょ?」
まゆ子「まあね。ただゲストキャラはあくまでもゲストだ、物語は短編連作という形で大状況と小状況が存在するのだが、ゲストは皆小状況に絡む。」
じゅえる「長生きしたり発展性があったりするキャラではない、てことだな。」
釈「折角作ったキャラでも使い捨てですか。それは勿体無い。」
じゅえる「とはいうものの、これまではキャラを大事に扱いすぎたという反省も有る。或る程度使い捨てキャラは許されるのではないだろうか。」
まゆ子「まあ伝奇物ネタに沿うキャラでないといけないから、事前に組み立てるのは難しいなあ。」

釈「となると『抜質』もダメですね。」
じゅえる「だめだろうな。」
まゆ子「だめなんだな、それが。」
じゅえる「そもそもが主人公のマキアリイってやつがダメ人間だろ。」
まゆ子「はい。」
釈「ダメ×ダメですか、これは駄目ですね。」
まゆ子「設定上だと、マキアリイ探偵事務所の現在の事務員クワンパは、カニ巫女見習いなんだけど予定ではこいつ正規のカニ巫女になれません。挫折が歴史的事実として決定しております。」

釈「『ゲバルト処女』とは違って、挫折ですか?」
まゆ子「何故彼女は挫折したか、ここがこの物語の焦点の一つです。というか、『抜質』→タイトル名替えよう『罰市偵』、でどうだ?」
釈「はあ、ばっどしてぃ、に嫌でもこだわるんですね。」
じゅえる「意味的にはまあなんとなく探偵物であろう、しかも酷い犯罪都市が舞台だ、と分からないでもない。」
まゆ子「ふむ、ではこれで。

 というわけでだ。クワンパはカニ巫女になり損ねた。性格的そして本人の志望や意志はまったく問題ない。あいつはカニ巫女になる為に生まれたような女だ。
 そしてマキアリイの事務所で働いたカニ巫女見習い8名の内7名がれっきとした正規の巫女となり、しかもかなりの有名人顕著な功績を上げた巫女になる。
 つまりマキアリイ本人はカニ巫女見習いを引き受けるに当たって指導役としては文句のつけようの無い人間だ。ダメ人間であるがそれが故にカニ巫女は成長する。
 にも関わらず、何故クワンパは挫折したのか。いや、そもそも彼女はどこに消えたのか?」

釈「消えるのですか?」
まゆ子「行き方知れず。彼女の両親兄弟はちゃんと居るにも関わらず、人知れずどこへと誰にも告げずに消えたのだ。
 彼女はマキアリイが引き受けた3番目の巫女見習いである。そして彼女は事務所を1年半の約束で就職していた。カニ神殿との契約で年限は決っている。
 そして任期を全うした次の日から行方不明だ。」
じゅえる「犯罪の臭いがするな?」
釈「そうですね、探偵事務所の事務員ですからね。」
まゆ子「普通そう考える。しかし当の事務所の所長であるマキアリイはくワンパの失踪を自ら探す事はなく、それどころかまったく気に掛ける素振りもなく、数カ月後には4番目のカニ巫女見習いを引き受けている。
 ま、彼はいやいや引き受けているんだけどね。カニ神殿とは義理人情の鎖で縛られていて。」

釈「つまり円満退社?」
じゅえる「しかも失踪を気にもしない。それが彼女の当然の選択だと認識しているわけだね?」
まゆ子「さあて、なにがそこには有ったのでしょう? というのがこの物語の最終的なテーマとなる。」
釈「ふむ面白い。」
じゅえる「ちょっと興味をそそられるな。」

 

14/08/21

まゆ子「というわけでゲキロボ「ウルトラ級怪獣襲来」の第一稿が出来ました。」

釈「あー計画通りですねおめでとうございます。」
まゆ子「なんか心が篭ってないぞ釈ちゃん。」
釈「いえ計画通りだと、あんまりめでたいという気持ちもなくて。」
まゆ子「冷たい奴だな。」

まゆ子「まあそりゃそうとして、今回土管ロボ「ガスコーニュ」再登場なんですが、花憐ちゃんが主人公だった「物辺村観測所襲撃事件」の回で、変な間違いを発見しました。
 F/A−18ホーネットを「戦闘爆撃機」なんて書いてるのです。修正しましたけどね。なにせ「F/A」ですから。」

じゅえる「戦闘攻撃機、が正しいんだな。」
釈「戦闘爆撃機という飛行機は無いはずです。」
まゆ子「うん、戦闘機に爆弾を積んだら戦闘爆撃機だよ、という程度の言葉なんだな。
 でも最近F/A-18は戦闘しないで爆弾ばっかり落としているから。」
じゅえる「戦闘機も持っていないような敵としか戦争してないからな。アメリカは。」

釈「第一線級の戦闘機がガチで空戦、ってのはなかなか無いんですよね。ウクライナとロシアは空戦やってるんですかね?」
まゆ子「ウクライナ軍のミグ29が対空ミサイルで落とされてるけどね、空戦は無いみたいかな。」
釈「ああ、マレーシア航空落とされちゃいましたね。酷い事件でした。」
じゅえる「というか、行方不明になったマレーシア航空機はどこに行ったんだ?」

 

まゆ子「というわけで、土管ロボ「ガスコーニュ」が再登場ですが、廉価版になって「バヤール」という名前になりました。
 3DCGのコーナーに「ガスコーニュ」「バヤール」展示してます。」

釈「廉価版設定は前から有ったけど、「レパード」という名前だったんですよね。何故改名されたんですか。」
まゆ子「「レパード」は「豹」だからね、フランスっぽくない。だからフランスの伝説の名馬「バヤール」に変えたんです。廉価版だから豹から馬になりました。」

じゅえる「戦闘力が減ったんだ。つまりそれ相応の弱い敵としか戦わない、ってことだな?」
まゆ子「ぶっちゃけそういう事です。なんせ21世紀初頭の地球で戦いますから、未来兵器は出て来ない。未来兵器に対抗するならば「ガスコーニュ」でもちょいと弱い。
 だから「バヤール」は「ガスコーニュ」と戦闘してなんとか勝てる程度の装備しか持っていません。」

じゅえる「物辺村観測所攻撃がモデル、ってことか。」
釈「未来兵器の出処は、NWOのミスシャクティの工房しか無い、ってわけですね。」

じゅえる「で、「バヤール」は「ガスコーニュ」と戦闘して勝てるんだ?」

まゆ子「基本的にですね、「ガスコーニュ」は実験兵器の意味合いが大きいんです。なにせ未来兵器技術がミスシャクティにより開示されて、それに従って作るのに夢中でしたから。
 現代技術では無理な新技術も必死になって実現して搭載しています。」
じゅえる「兵器としての有効性を議論すること無く、できるからやってみた、的に搭載しているのか。」

まゆ子「まず一番カネが掛かるのが、頭部のレーザー光線対空砲。これは未来技術ではなく現代技術で作っています。「ガスコーニュ」のエンジンである「マジックポッド」と呼ばれる不思議機関が発生させる膨大な電力に頼ってです。」
釈「レーザー光線砲はミスシャクティが技術開示しなかったんですか。」
まゆ子「だってみんな、一生懸命作ってるから。」
じゅえる「そうだな。20世紀の間中ずっと作ってたな、レーザー砲。」
まゆ子「だからおじゃましちゃ悪い、ということで未来兵器情報は開示されませんでした。完成したものは歩留まりが悪く寿命も短い。」

釈「それは無理が祟りましたね。」
まゆ子「ついでに言うと、「ガスコーニュ」の電子機器の大部分は現代の電子部品で作ってる。内部的には20世紀技術の結晶だ。」
じゅえる「うん……。微妙に低性能だな。」
釈「レーザー砲もうまく動かないわけですか。」
まゆ子「高性能な電子制御でうまいこと経済的に運用する、ってのもあるからね。

 あと右手の電磁砲。正確にはプラズマ缶詰砲。これは元々提示された技術を20世紀技術ではコピー出来なかったから、より簡単なものをミスシャクティが提示してやっと載っけている代物です。
 バヤールではきっぱり諦めて、似たような機構で同程度の威力を持つ火薬式の高速度砲を装備しました。」

じゅえる「もともと無茶な兵器を積んでいたわけだ。」
釈「たった百年先の兵器でも、コピーはたいへんですねえ。」

 

まゆ子「そしてプラズマタールと呼ばれる電子妨害煙幕発生装置。これは煙幕用マイクロマシンと電磁的な泡を発生させる膨大な電力が必要です。
 電力自体は「ガスコーニュ」も「バヤール」も発生させられる、というか動力である「マジックポッド」自体は現代人の製造じゃないからちゃんと動くのだ。
 しかし、全機がその機能を持つのはどうだろう?  ということで、マイクロマシンが詰まったロケット弾を搭載するのを「バヤール」ではやめました。

 そもそも「ガスコーニュ」は正義の味方的に世界中どこにでも隠密行動する運用のされ方をしてきたけど、
 「バヤール」は要人・施設警備任務とかで支援装備や随伴車両が整った状態で運用されるから、自前で持つ必要がない。

 だからマイクロマシン搭載ロケット弾の代わりに大型の対艦ミサイルを搭載しました。むろん必要があればミサイルの代わりに搭載します。」

じゅえる「運用が違うから装備も違う、ってことか。でも対艦ミサイルは必要なのか?」
まゆ子「あ、実は搭載するミサイルもちょっとだけ違うんです。廉価版になりました。」
釈「ああ、ミサイルも安物ですか。」
まゆ子「ミサイルは部品で分ければ、弾頭とロケットとシーカーに分かれます。弾頭は爆発するところ、ロケットは推進剤と方向を変える機構、シーカーは狙いを付けるレーダーとかイメージセンサーです。
 「ガスコーニュ」のミサイルはこれ全部未来技術で作っていました。しかし「バヤール」はシーカーの一部と推進剤にしか未来技術を使ってません。」

釈「現在技術を使うことでコストダウンを図った、てことですね。」
じゅえる「デメリットは?」
まゆ子「ちょっと大きくなりました。といっても歩兵の携帯ミサイル程度の大きさです。「ガスコーニュ」のミサイルはその半分で同じ威力と射程距離ですから、かなりコンパクト。」
じゅえる「性能は変わってないのか。」
まゆ子「「バヤール」はこれでも21世紀ロボですからね、電子機器の発達は21世紀に入ってから急速に進展していますから、シーカーの性能を大幅に上げる事ができました。未来技術無しでもOKです。」

釈「でもどっか、性能足りないでしょ。」
まゆ子「それがさ、未来技術によるミサイル誘導妨害に対抗する機能、ってのを省いてるんだ。だから未来兵器相手には弱いが通常の現代兵器相手ならまったく問題ない。」
じゅえる「割り切った運用、ってことだ。」

釈「弾頭部分の性能も落ちているわけですよね?」
まゆ子「落ちているが、トップアタックで戦車を屠るだけの能力はある。もちろん対空ミサイルとしての能力は「ガスコーニュ」と同等の高度・射程距離を実現している。」
じゅえる「でも艦船相手には効果が薄いから、対艦ミサイルを積んでいる、てわけだ。」
まゆ子「「ガスコーニュ」でも艦船相手ならミサイルを数発まとめて撃ち込みますから、超強力というほどではありません。というか「ガスコーニュ」のミサイルは未来兵器の装甲対応ですから現代では過剰な貫通力重視です。」

釈「そうは言っても、「ガスコーニュ」も「バヤール」も未来技術の装甲ですよね。「バヤール」のミサイルではダメなんじゃないですか。」
まゆ子「ダメです。だから右手の火薬式高速度砲を使います。」
じゅえる「ミサイルで対抗するのをやめたのか。割り切ったな。」

釈「プラズマ缶詰砲ってのは、    変な名前ですが、火薬式のと比べてどの程度威力の違いがあるんですか?」

まゆ子「プラズマ缶詰砲ってのは文字通り、プラズマを缶詰にして圧力を高めて砲弾を加速するという極めて当たり前の原理の火砲だ。缶詰部分が幾つかある、いわゆる「ムカデ砲」的な機構で砲弾高初速を実現する。
 火薬式高速度砲はこの缶詰を火薬の爆圧に置き換えただけの代物で、ものすごくベタなムカデ砲。
 威力的にはプラズマ缶詰砲が秒速2.6キロで発射するのに対して、火薬式が2.4キロ。ほとんど変わらない、というか実用上の違いはない。
 砲弾は同じだからね。」

じゅえる「じゃあ最初から火薬式でいいじゃないか。」
まゆ子「でもプラズマ缶詰砲はまだ開発途上で、これからもっと性能を上げられる可能性が高い。
 対して火薬式はこれが最大の能力。巨大化すればもっと良くなるかもしれないが、それではロボット兵器に搭載出来ない。ここで終了なのだ。」
釈「はあ、発展性の無い兵器ですか。」
じゅえる「逆に言うと、「ガスコーニュ」は未完成品を載せていたわけだ。」
釈「こわいですねー。」

 

釈「でもでも、「ガスコーニュ」は頭部レーザー砲でミサイル迎撃できるんですよね。対して「バヤール」はレーザーが無い。
 もしミサイル攻撃をされたら。」
まゆ子「死にますね。」
じゅえる「それでいいのか?」
まゆ子「そこはものすごく無茶な策を用います。ミサイルポッドの中に散弾をばらまく爆弾を積んでいまして、ミサイルで撃たれたなと思ったらこれを射出。
 自分まるごとを散弾で包み込み、ミサイル諸共撃破します。「バヤール」は未来装甲を持っているからだいじょうぶ、という寸法。」

じゅえる「無茶しやがる。」
釈「ロシアの戦車とかが持っているミサイル迎撃システムですね。でも自分まで撃たなくてもいいでしょ。」
まゆ子「無理、という結論がシミュレーションで出ました。「ガスコーニュ」のミサイルは人工知能を持っていますから、迎撃システムの死角を突いてくると判明し、もう「バヤール」機体全面を散弾で覆い尽くす必要が発生します。」

じゅえる「仮想敵に「ガスコーニュ」を使っているのか。難儀な話だな。」
まゆ子「でも見方を変えると、「ガスコーニュ」は近接迎撃システムをレーザーしか持っていない。レーザーが届かない死角から襲えばミサイルも一定の効果が上げられる。」
じゅえる「「バヤール」のミサイルじゃダメなんだろ?」
まゆ子「大型の対艦ミサイルを装備します。」
じゅえる「火薬大容量で対抗って策か。」

釈「でも散弾で迎撃だと、周辺被害が甚大ではないでしょうか。」
まゆ子「近接でミサイルを迎撃しても、爆発大被害です。」
じゅえる「どっちにしろ大被害なら、機体の生存を優先する。って、VIPの防衛とかが目的じゃないのか「バヤール」は。」
まゆ子「もちろん自動で迎撃システムを起動させるのではなく、手動で適切に運用するという安全策は不可欠です。でも殺られる時は殺られる。」

 

釈「できるだけすみやかにVIPは安全な場所に避難させる。その為にもう1機、ロボットを作ったわけですね。」
まゆ子「「ガルガメル」です。この名はガルガンチュアのお母ちゃんの巨人から取っています。「大口」という意味です。
 その名のとおりに大容量で、中にパイロット1名VIP2名を収容できます。」
じゅえる「要人避難専用の兵員輸送ロボット、ってわけだ。」

釈「でもこれは戦闘用ではないんですよね。」
まゆ子「不可能ではないが、さっさと逃げた方がいい。「ガスコーニュ」だってそんな超頑丈というほどには強くない。未来兵器で襲われたら普通に撃破されますから。」
じゅえる「武器は積んでないのか?」
まゆ子「いえ逆に、頭部レーザー砲を積んでいます。要人避難用だから出し惜しみなしコスト度外視です。その代わりミサイルは積んでません。」
じゅえる「ふむ。」
まゆ子「逆に、プラズマタール用マイクロマシン搭載ロケット弾は積んでます。だから自力でプラズマタールを展開できます。」
釈「ふむふむ、逃げに徹した装備ってわけです。」

まゆ子「手は左右ともに火薬式高速度砲。戦車等であれば問題なく破壊します。「ガスコーニュ」でも無事ではない。
 「バヤール」ではここが少し違って、右手は火薬式高速度砲、左手は先進技術小口径銃で対人兵装です。」

釈「対人兵装ってことは兵隊を相手に撃つ銃、って意味ですか。」
じゅえる「「ガスコーニュ」の場合は、対人はまったく考慮しない、って割り切り方だったな。」
まゆ子「正直言って、歩兵装備の火器では「ガスコーニュ」をまったく止められない、てのは物辺村観測所襲撃事件で証明されています。」
釈「にも関わらず、「バヤール」には対人攻撃を想定しているんですね。」

まゆ子「宇宙人です!」
釈「ほお。」
まゆ子「対宇宙人戦闘を考慮しています。つまり魚肉人間。
 魚肉のボディを持つ宇宙人は戦闘能力こそ高いが、ボディそのものは魚肉で防御力まったく無し。だから普通の鉄砲で死にます。
 問題は動きで極めて早く、人間の歩兵の認識速度ではまったく追随できず一方的に攻撃されてしまう。
 そこで「バヤール」では対人レベルの小物体脅威の動向を捉える為のセンサーを新たに装備し、運動に追随できる軽量機敏な小口径銃を装備しました。」

じゅえる「アメリカの特殊部隊とか宇宙人さんに殺られ放題だからなあ。」
釈「殺られまくりましたねえ、そういえば。原始さんとかにぼこぼこに。」
まゆ子「だから、散弾ばらまく装置ってのも搭載しているんだ。いざとなったらそこら一帯まるごと破壊で宇宙人を阻止する。」
じゅえる「ふむ。さすがにそれは効果的だな。」

まゆ子「とにかく「バヤール」は21世紀初頭の発達した電子装置によって認識速度が飛躍的に向上している。「ガスコーニュ」よりも電子装備は最新式だ。
 だからそういう真似もできるわけだよ。」
釈「つまり単純な廉価版ではない、ってことです。」

じゅえる「それで、先進技術小口径銃てのはどこらへんが先進的なのだ。」
まゆ子「うん、まず弾丸は10ミリ固定。しかし数種類の目的の異なる弾丸を用意する。徹甲弾、対人弾、非殺傷弾といっても拳銃弾並の威力はある。」
釈「徹甲弾てのは装甲車とかを狙うためですね。威力的にはどの程度ですか。」
まゆ子「今の20ミリ弾程度だな。しかし銃弾が列車みたいに密接して進行することで更に大きな貫通力を発生させる。」
じゅえる「そこらへんが先進技術か。」

まゆ子「対人弾は説明する必要もないが、これは22世紀初頭の十分に発達したパワードスーツを対象とする威力を持つ。セラミック弾頭だ。」
釈「21世紀初頭では過剰な威力ですか。」
まゆ子「装甲機動車とかは殺られちゃうな。」
じゅえる「先進技術だからな。」

まゆ子「非殺傷弾てのは今の拳銃弾程度の威力しか無い弾丸だ。というか発射薬が液体であるから火薬量を減らして威力の加減を行っている。
 この時、この火薬量で上記の対人弾を使えば、21世紀個人用アーマーを貫通できる。まあ威力量をちょこっと増やすけど。
 で、生身の人間を撃つ時ホローポイント弾的に人体を破壊するべきか、動けなくなるだけでいいか、を選択できる。」

釈「えらくデリケートな加減が出来るんですねえ。」
まゆ子「いやこの銃はさ、どういう状況で使われるかまだ予想が出来ないんだ。場合によってはただの一般市民が暴動を起こしているところに投入されるかもしれない。
 だからこんな弱威力モードを持っている。」

じゅえる「でも一般市民暴動なんかにガスコーニュやらバヤールを投入するのか?」
まゆ子「宇宙人の精神制御によって暴動を起こす場合、どうやって対処しよう?」
じゅえる「ふむ。」
釈「なるほど。みのりちゃんがドバイで遭遇したような状況ですか。」

 

じゅえる「ところで、なんで「ガスコーニュ」も「バヤール」もミサイルコンテナが後ろを向いているんだ?
 前に向けて撃った方がよくないか?」
まゆ子「変?」
釈「まあ、ミサイルが発射後自力で方向転換して前に飛ぶのであれば、別に後ろ向きでも困りませんが、何故です?」

まゆ子「何故も何も、前には大砲鉄砲付いてるじゃないか。」
釈「左右両手にですね。でも、」
まゆ子「逆に言うと、後ろ無防備じゃん。」
じゅえる「まあ、ね。」
まゆ子「ミサイルが後ろを向いてたら、敵も後ろから攻めるなんてバカな真似しないじゃん。」
釈「はあ。そう言われればそうなんですが。」

まゆ子「ロボット兵器は戦車や装甲車、あるいは戦闘機と違って平面上を自在に動き回る、つまりどこが後ろで前か関係無いほどに自由な戦闘が可能なんだよ。
 だからいきなり背後を取られる機会も多い。」
じゅえる「前後左右に自由自在だからな。敵もロボット兵器だったりしたら、そりゃあ凄いドッグファイトになるだろう。」
まゆ子「であれば、後ろに武器が付いていてもまったくおかしくないでしょ。」
じゅえる「うん……。」
釈「そうですねえ、そう言われればまったく変ではないですねえ。」

 

まゆ子「ところで、「ガスコーニュ」「バヤール」および「ヴォーダン」さらには魚潜水艦「ディニクティス」の動力は「マジックポッド」と呼ばれる不思議機関です。
 アラジンの魔法のランプみたいに不思議に電力が膨大に湧いて出る、という意味で「マジックポッド」。
 その実態は、中性子ミラーを使った未臨界原子炉および中性子を直接に電力に変換する中性子電池の集合体です。」
釈「それはーつまり、宇宙怪獣からもたらされた生体原子炉の、」
じゅえる「宇宙怪獣コスモドンは立派にお役に立ったんだね。よかったよかった南無阿弥陀仏。」
釈「南無阿弥陀仏。」

 

 

釈「あの、ところで「ポリンスキー粒子」というのは?」
まゆ子「聞きたくないききたくない。」

 

2014/07/18

まゆ子「悪が欲しい。」

釈「悪、いいですよねえ、悪。ワルの塊みたいなぶち殺すのになんの躊躇も要らないような悪。いいですよねー。」
じゅえる「ああ、たしかにそれは魅力的な存在だ。」
まゆ子「鳩保達が人殺しをするのにふさわしい、もう腐れ切った悪というのが欲しいぞ。」
釈「分かります、すごくよく分かります。物語を締めくくるに当たってもう正面からバッサリと斬って捨てる悪、いいですよねー。」

まゆ子「というわけで考えてくれ。」

じゅえる「今現在鳩保達は地球人類を救うために奔走しているのだから、私利私欲によってこれを妨害する敵が欲しい。物語の構成上まったくもって正当な欲求だ。」
釈「分かります。だがどのくらい卑怯卑劣なやつにしましょうか。幼稚園児のバスを乗っ取って脅迫くらいやりますか。」
じゅえる「うん、その百倍くらいセコくて卑劣な奴が欲しい。」
まゆ子「さすがにそれは難しいぞ。まずそいつは何をしたいのか、どうすればそいつらは儲かるのか。そこを考えよう。」

釈「はい! 真の悪は姿を見せない、姿を見せるのは下っ端です。」
まゆ子「うむ。」
じゅえる「ぶった切るなら真の悪、それはよく分かるが、卑劣な下っ端悪もまとめてぶっ殺したい。」
まゆ子「うむ、できるなら悪党どもを一堂に集めて正義の鉄槌だ。」
釈「いいですね、悪党皆殺し、いいですねえ。」
じゅえる「読者様もすかっとするぞ。それは物語の王道だ。
 だがそこまでの悪となると、どうしたものかな。」

まゆ子「つまり鳩保達の妨害をするのだから、彼女等が何の為に動き、何を敵としているかをちゃんと情報掴んでる人間でないといけない。」
釈「そうですねえ。ならば一国の首脳ですよね、そんなこと出来るのは。」
じゅえる「うーん、そこまで逝くとさすがにばかばかしいな。もっと一段下の、資本家どもの集まりという感じで。」
釈「アンシエントではない、でも社会に対して大きな支配力を持つ資本家集団。神様まんまん様を拝まないバチあたりども。これでいきましょう。」
じゅえる「彼ら自身が神になる、とかの新興宗教というのは?」
釈「いえ、ここは単純に資本家集団でいいです。儲けるために破滅を利用する、ゲキの少女も道具として用いる。NWOを資本の上から支配して、全人類を永久に彼らの奴隷とする。そういう連中です。」

まゆ子「言いたいことはよく分かるが、さすがに陳腐だぞ。」
釈「うーん、そう言われると反論できませんが、最後のチンピラというものは得てしてそういうものではないですかね。」
じゅえる「さらに卑劣な連中のアイデアが見つかるまではそれで行こう。少なくとも資本を十分に握っていなければ、悪事も働けない。」
まゆ子「そうだな。そいつらに使われるチンピラどもの悪事がまた卑劣、ということでどうしたものか。」

釈「ゲキの少女が対応に困るんですよ、それをやられると。」
じゅえる「しかし幼稚園児バスジャックくらいだと簡単に見つかるぞ。脱法ハーブとかで?」
まゆ子「宇宙人由来の脱法ハーブで人間に厭世観を植え付けて破滅を望むように仕向ける、とか?」
じゅえる「陳腐だな。だが薬物でなにかするというのは悪くない。」

釈「子供に対して悪さをする。つまり赤ちゃん用の粉ミルクになにか混ぜるとか、脱法ハーブ混ぜて人類を混乱に陥れるとか。」
じゅえる「悪くない。」
まゆ子「悪くはないが、この世界が滅びるか否かの瞬間にそんなせこい悪事をどうしてゲキの少女がかまけないといかんのだ?」
釈「えーー、それはーー、さすがに無理ですか。すいません。」
じゅえる「発想は悪くない。尺が有れば使いたいネタだが、宇宙最終戦争でそれを持ち出すのは難しいな。」

まゆ子「ふむ、そうか。つまり世界中の粉ミルクが何故か買い占められるのだ。何故? と調べてみたら、世界最終戦争で生じる大混乱を見込んで買い占めて暴利を貪ろうとする連中を発見!」
釈「おお!」
じゅえる「そいつは不逞え連中だ。ぶち殺す!」
まゆ子「うん。だがつまり、まだ起こってもいない、兆候すら見せぬ非常事態を利用しての犯罪的商行為だ。つまり」

釈「NWO内部に未来情報を外部にリークした人間が居る、というわけですね。」
じゅえる「うん、悪の資本家集団にちゃんと繋がる。いいぞ。」

 

まゆ子「とはいえだ、赤ん坊のミルクを買い占めたからと言ってぶち殺すのはどうしたものかね。」
じゅえる「いやそこは論点ではない。明らかに未来の情報を利用して個人の利益を得ようとする者は断固とした制裁を受ける。それがゲキの少女としての努め。」
釈「そうですが、殺すというのはさすがに。」
まゆ子「うん、だがもっと悪ければぶっ殺すのに気楽に出来るぞ。なにかもっと悪いやつを作るんだ。」

じゅえる「そうだな。赤ん坊のミルクは氷山の一角ではあるが、見せしめとしてぶっ殺すのも悪くない。
 だが真に悪い奴は殺せない。殺すことでの世界への影響が大き過ぎて、誰も正義を下せない。
 そういう感じだな。」

まゆ子「うん、そんな感じのワルが欲しいぞ。なにか出すんだ。」
釈「ではNWO本体とかで?」
じゅえる「国連そのもの、とかだな。」
まゆ子「まあ国連という枠組み自体が既に老朽化してダメになってるのも確かなわけだ。国連をぶっ壊す、それはいい。だが説得力の有る理由がね。」
じゅえる「国連をそのままぶっ壊すのはさすがに手に余る。そうだな、ゲキの少女の力をもってしても壊せない悪、としての国連。そういう認識をつくり上げるんだ。」
釈「そうですね。いかに力が有ったとしても、それを壊す事によって生じる影響をゲキの少女は覆せない。困った。
 こんな感じですね。」

まゆ子「うむ、じゃあ国連を悪ということにして。ではどうやって解決しよう?」
じゅえる「解決しなくていいんじゃないかな。これが有ることによって不利益を被るのは地球人類社会そのものなんだから。」
釈「そう言ってしまうと身も蓋も無い。未来においてはもっと理想的な国連というのがあるということで、旧態依然とした国連がそれにとって替わられる、そういうシナリオを用意するんですよ。」
まゆ子「第二国連 VS 第一国連、という抗争か。」
じゅえる「いいね、それ。」

まゆ子「まあ物語中ではそこまでは描かないが、国連というのがどうしようもなく世界人類の平和的生存の害悪となる事を立証しなくちゃいかん。」
じゅえる「既存の国家はそのままでいいのか?」
釈「国連が悪い、というのは簡単ですが、じゃあどうしたものでしょうかね?」

まゆ子「強いて言うならば、国連の分裂だな。出来た当初から東西で分裂していた国連は、今や民主主義という題目自体が意味を為さなくなってきた。
 国家というものが富裕層資本家層の意向,、いうか数値によってのみ運営されて、人間を勘定に入れなくなってしまったのだな。
 要するに資本主義の暴走という21世紀現代の宿痾が国連の場でも顕在化しているわけだ。」

じゅえる「それが赤ん坊ミルク事件でゲキの少女達の目にも見えてくる。そういうことだな。」

釈「でもなにか、道筋みたいなものを提出してもらえないと。」
まゆ子「そうだなねえ、資本主義自体が悪の権化と認識したら、物辺優子ならこういうだろうね。
 「もう一個カネを作ればいいじゃん」て。」
釈「なんですかそれ。」

まゆ子「あー簡単にいえば、優子が考えるのは紙幣と硬貨を分けちゃえ、という話だ。要するにビッグマック指数に比例する硬貨ベースの経済と、紙幣ですらもう意味を為さない数値だけが暴走する対数資本主義を分けて独立して運営しろ、と。」
じゅえる「そんなこと出来るの?」
まゆ子「不可能ではないが、逆に貧富の層を固定しかねない。」
釈「そうですね。たしかに貧困層のみを重点的に手当する経済体制というものを作っちゃうと、高度な資本主義社会から脱落する可能性が高いです。」

まゆ子「そりゃそうなんだけどさ、実は優子が考えるのはその先だ。これまでもコンピュータの導入で人間の介在する余地が小さくなっている経済界だ。
 それが更にビッグデータとか人工知能とかに資金運用のマネーゲームを任せると、資本家階級自体ですら不要になる。」

じゅえる「ああ、そうか。現在2008年現在だけを考えてもダメなんだ。これから先コンピュータが、って、それどうなるんだほんとに?」
釈「いや、まあたしかに人間が要らない資本体制てのは考えるのは容易ですが、それがどうなっていくかはもう想像の外ですよ。」

まゆ子「というわけで、そんな訳わからないものの多大な影響から人間の生活を守るためには、隔離された経済体制を別個にそれも全世界共通レベルで運用する必要がある。てことを提示するんだな。優子は。」
釈「コンピュータが無制限に利潤を追求していった結果、人間の存在自体を不要と判断する。」
じゅえる「よく有るデストピアものだが、経済がというところが新しいな。たしかに人間が何時までも経済社会の中で主役を張る必要は無いのかもしれない。消費者の代替物というのが開発されるかもしれない。」
釈「消費者の代替物! ですか。それは人間以外の何です?」
じゅえる「そりゃやっぱり機械、なんだろうさ。」

まゆ子「うん。こんな感じでいいのだな。そうか、つまり赤ん坊のミルク買い占めもAIによる指示だった、という事で。」
じゅえる「なるほど。NWO内で情報漏洩者を探していたら、実は人工知能による分析でそうすれば儲かると幾つもの処方箋の一つとして導き出されたものだったんだ。」

釈「それは責任者である機械をぶっ壊しても仕方がない。いずれ同じ機能を持ったコンピュータAIが、よりもっと洗練され充実して登場し、世界の主役と成るに決っている。
 それがゲキの少女達が最後に遭遇する邪悪、なんですよ。国連を支配する資本家層の総意というものは、最終的にはこのAIの奴隷になるに決っている。」
じゅえる「機械の奴隷となって富裕層高所得層としての栄華を欲しいままにする、と見えて実は機械に上等な鳥かごで飼われているに過ぎない世界。なんだな。」

まゆ子「うん。これなら国連二分割化計画も自然と理解できる。」
釈「最初ゲキの少女達は赤ん坊ミルク事件の真犯人を探していると、それと似たような資材独占を図っているのが世界中のNWO加盟国全部だった、と判明。
 では処分はどうしよう、と更に深く探索すると、実は赤ん坊ミルクはNWO内の資産運用コンピュータが未来予測情報を勝手に使って、勝手に指示した計画だったと判明するわけです。」

じゅえる「それは、どう物語上に表現するか、可能なのか?」
まゆ子「まあまだネタが薄いな。資本の暴走を赤ん坊ミルクよりもさらに端的に表すアイテムが無いと。」
釈「ああそれでしたら、世界中の首脳が集まる中で、ゲキの力を使って瞬く間に国家レベルの経済をゲキが握って見せればいいんですよ。
 そうですね、世界の主要国の首脳が不可能であった資本の偏在による弊害、この際は赤ん坊ミルクでいいですが、を瞬時に解消してみせる、それもなんの不思議も超越科学も使わずに。
 世界の主要国の協力も無しに。」

釈「脅威です!」
まゆ子「そりゃたしかに世界のVIPも超警戒するな。ゲキの力のなんたるかを身をもって知る事になる。」
じゅえる「そしてこの瞬間ゲキは人間の敵となった。だがまだ真の敵、宇宙艦隊は全然姿も見せないのだ。」

まゆ子「うん、そこで深くて広い溝が人類社会とゲキの少女との間にくっきりと刻まれるんだ。
 それを解消するための提案として、優子がビッグマック経済体制を提唱する。」
釈「なるほど。でも全面的に賛同を得る、というものではありませんね。」
まゆ子「それでいい。優子は世界がこれから何処に向かうかを示しただけで、実現する存在ではない。
 その真の実行者は後に何十年か経って出現し、旧国連体制を崩壊に追い込み、世界新秩序をほんとうに創りだすんだ。」

じゅえる「そういう予言だな。」
釈「預言者花憐ちゃんですね。」

まゆ子「まあでも実際に経済体制をひっくり返して見せるのは鳩保芳子です。会計ですから。
 喜味子が売った「アイアン・フィスト」の代金1000億円という端金を元手に世界経済への介入を初めて、1時間以内に未来情報に基づく不正な利益による経済の歪みを修正してみせた。」
じゅえる「じゃあ、世界のVIPに恐れられるのは鳩保ってことか。」
まゆ子「最も強力な超能力者である鳩保を確保したつもりのアメリカでさえ戦慄を感じるほどの力です。」

釈「でもその程度の世界操作は、実はしゅぎゃらへりどくと星人の麻雀卓と似たような他愛も無さで実現してしまうんですよね。」
じゅえる「うん。実は麻雀で鍛えぬいているんだよ、連中は。」
まゆ子「合宿の成果が出たってわけだ。」
じゅえる「だいたい満貫を3回和了ったくらいの成功、かな?」
釈「そうですね、跳満までいかないくらいの、ささやかな。」

 

14/07/09

まゆ子「というわけでマージャンを特訓しております。主に咲−SAKI−まーじゃん。」

釈「ご苦労さまです。」
じゅえる「咲マージャンてなんだ。」
まゆ子「アニメ『咲−SAKI−』のHPに有るフラッシュ麻雀のゲーム。とりあえず感じがつかめるようになるまで頑張った。
 でもね、これちょっとおかしいんだよね。」

じゅえる「だいたいフラッシュ麻雀は簡単なもんだろ。」
まゆ子「いや、ドラがね。普通ドラは表示してる牌の次の牌がドラになるでしょ。」
釈「はあ、だいたいそうですね。」
まゆ子「でもね、このゲームだと表示牌がドラなんだよ。」
じゅえる「へー、おかしいね。」

まゆ子「調べてみたら、これは古いルールで現物ドラってものらしい。廃れた理由も分かるさ、1枚表示してればドラは3枚しか無くなるわけだからね。」
釈「はあ、ちょっと残念な仕様ですから、さっさと変更されたわけですよルールが。今頃そんなルールのゲームって、変ですよね。」

まゆ子「でも考えた。『ゲキロボ☆彡』でこれから行うゲキ麻雀はこのルールを採用しよう。」
釈「はあ。」
まゆ子「というかね、そもそもが物辺村の連中は5人ともに小さい頃から麻雀打ってるからルールは知ってるんだよ。でもローカルルール満載なのだ。」
じゅえる「ああ! そいうのあるよね。田舎の方で知り合い同士で延々と打っていると、ルール変更をしなくて古いままってのが。」
まゆ子「それだ。連中は大車輪とかの古い役を知っている。だから現物ドラでも怯まないのだ。」

釈「はあ、でもそんなとこ変更しなくても、」
まゆ子「いやいや、地球人類シミュレーターという設定上からすれば、むしろそれが正しいんだ。
 なにせ牌自体がシミュレーションの状態表示だから、ドラが表示されればその牌を出せ、という風に受け取る方が良い。」
じゅえる「たしかに次の牌をドラにするのは迂遠だ。まあ、そのくらいの変更はいいんじゃないか。」

まゆ子「実は色々考えて、というかゲームで経験値を上げていった結果、ようやくドラの有り難みが分かりました。というか、ドラがあると相当変わるのな、麻雀て。」
釈「まあ、中国麻雀には無いそうですから。たしかにちまちまと打つより早めに切り上げてドラで点数上げた方がお得ですね。」
じゅえる「今はそういう打ち方が流行りらしいよ。高い役作るのは時代遅れなんだって。」

まゆ子「そこでだね、ゲキ麻雀でのドラの扱い方を考えた。
 まず現物ドラね。」
釈「はい。」

まゆ子「次に、虚数ドラ。ドラ表示牌が虚数牌だった場合、虚数牌はドラにはなりません。
 ただし、その数値自体がドラであり筒子萬子索子のその数牌がドラになります。」
じゅえる「へー、それはお得だ。」
釈「はあ、それは随分と増えますね。じゃあ現物表示でもそれほど損という感じがしませんね。」

まゆ子「そして地球人類シミュレータードラ。地球人類シミュレーターはその最上部に最終的に2個の牌で状態表示をします。
 これがドラになります。ただし2個一組。2つ揃ってないとドラではありません。」
釈「2個で1個のドラって事ですか。」
まゆ子「うん。」
じゅえる「あまりオトクでないドラだな。」
まゆ子「この地球ドラは、1組で1翻になります。で2組で2翻、3組で4翻、4組で8翻となります。」
じゅえる「なんか倍々になってるぞ。」
釈「騙されちゃいけません。4組ってことは8枚必要です。つまり普通のドラが8枚有るのと一緒です。」
じゅえる「あ、なんだ。結局割に合わないのは一緒なんだ。」

まゆ子「でも地球ドラは盤上の牌とは独立して設定されるドラだから、ちゃんと4枚入ってるんだよ。現物ドラよりも得だぞ。」
釈「そりゃそうなんですが、」
まゆ子「地球シミュレーター的には嬉しい入力であるから、なんかいい感じになるってわけ。
 地球の為に優しいドラなんだよ。」

じゅえる「でも勝負には関係ない。」
まゆ子「うん。」

 あとドラ表示に花牌が来た場合。ドラ無しです。」
釈「無し?」
まゆ子「はい。ただしリーチして裏ドラ、槓ドラはありますから特に困るものでもないでしょ。」
じゅえる「つまりリーチしなくちゃ見えないわけだな。うん逆にいいよ。」
釈「そういう時こそ地球ドラを使うべきなのです。」

 

まゆ子「数牌の筒子萬子索子に0牌が有ると設定しました。で、これを使って順子を作るとしましたが、ちょっとやめます。
 1・0・9の順子のみが可能です。」
釈「なにか不都合がありましたか?」
まゆ子「うん、色々考えた結果普通の役を作るのに面倒だから、無い方がいいなと。その代わり0専用順子ということで109を作りました。」
じゅえる「ヤオチュウ牌であるのは変わらないんだろ?」
まゆ子「うん。だからチャンタは大丈夫。

 他と混ぜられない代わりに役を新しく作ります。109だけで作られる三色同順は鳴いても成立します。普通の三色同順じゃないから。」(あ、食い下がりなだけか)
じゅえる「三色零順だな。」
釈「そもそも並んでいませんからね。1・0・9。」
まゆ子「あと、普通の一気通貫+109も別の役です。」
じゅえる「零気通貫だな。いや、一気循環かな?」
釈「もう少しで一色です。」

まゆ子「他に、0で三色同刻を作ったら、大三元の偽物が出来ます。これは虚数牌が絡めないから特別役にしておきましょう。」
じゅえる「零三元だな。」
釈「小三元の偽物はナシですね。

 虚数牌に特別な役は無いんですか?」
まゆ子「あー、基本的に他の数牌と同じだ。原理的に零気通貫が作れない。
 ドラが乗らないからうれしくない。捨てられちゃうな。」
じゅえる「効率を考えるとそうだな。」

まゆ子「そのかわり「裏国士無双」が有るぞ。虚数牌の一気通貫 +三種の0牌+「皇」牌+これら4個の中の1個。
 地球人類シミュレーター麻雀で追加された牌のみで構成される役だね。」
じゅえる「もうちょっと楽な役を作ってくれよ。」
釈「いえ、これは普通に虚数牌で一気通貫を作っていった副産物みたいに作れますから、難易度は低めですよ。だいじょうぶ。」

まゆ子「ちなみに物辺村ルールだと大車輪が3種の数牌でありますから、虚数牌大車輪も当然アリです。
 当然四色同順と四色同刻もアリですね。これがあるから、零三元が別の役として成立するわけで。

 物辺村ルールだと三連刻四連刻もアリです。」
じゅえる「物辺村ルールはどこか特別な点があるのか。」
まゆ子「そうでもないが、レートが極端に高いとか?」
釈「それはヤクザの仕業です!」
まゆ子「いや戦後すぐとかは流行ったんだよ、物辺村でも。でその筋の人が多かったから。

 それと、大車輪が有るから分かるとおりに、七対子がいっぱいあるんだよ。小車輪は無いけど。」
じゅえる「ああ、三元牌で七対子つくったり、四風牌で作ったりで役が違うんだな。」
まゆ子「喜味ちゃんは七対子大好きです。」

まゆ子「あと子供マージャンだから符計算はしないで簡単な計算式を使う。」
じゅえる「そもそも符計算って何なんだよ。」
釈「まあ、今となっては要らないシステムだと思いますけどね。
 つまりドラが無いリーチも無い、1翻縛りも無い古い時代の中国麻雀なんですよ。」
じゅえる「1翻縛りが無いってことは、役が無くても上がれるってことか。なるほど、それは点数計算できないな。」
まゆ子「それが符計算なんだよ。要するに時代と共にインフレが進み過ぎちゃって、意味が無くなっちゃったんだな。」
釈「逆に言うと、役を何一つ認めない麻雀が作れるってことです。ちまちまと符を稼いでいく。」
まゆ子「おもしろくない、と今の麻雀を考えると思うけど、昔の人は面白かったんだろうたぶん。」

じゅえる「それで地球人類マージャンでは符計算しないんだっけ。」
まゆ子「違います。逆に極めて複雑な符計算をして、それでシミュレーター動かしてます。
 あんまり複雑過ぎて人間にはなにがなんだかわからないから、考えません。要らないしね。」
じゅえる「うん、それでいいんだ。」

 

まゆ子「あと変更点としては、まず「央」牌。」
釈「四風牌が五風牌になったんですね。」
まゆ子「よくよく考えたら、「中」と意味的には一緒だから嬉しくなかった。」
じゅえる「まあね、中央だからね。」
まゆ子「そこで「皇」牌というものにした。音は同じ「オウ」だから。そして色は黄色、皇帝の色だ。字の代わりに黄帝の絵が描いている。」
釈「はあ、そういえば麻雀牌に黄色は無いんでしたか。」
じゅえる「しかし、絵なのか。一索みたいなもんだな。」
まゆ子「です!」
釈「意味的には「央」でいいんですか。」
まゆ子「です!」

じゅえる「どうせやるなら、「東南西北」も絵に換えればいいんじゃないか。かっこいい。」
釈「青龍白虎朱雀玄武、ですね。青龍が東、白虎が西、朱雀が南、玄武が北です。」
まゆ子「かっこいい。」
釈「かっこいいすね。」
じゅえる「なんとかしろ。」
まゆ子「かっこ良くします。」

まゆ子「絵と言えば花牌です。前に設定したのをちょっといじりました。
 まず花牌は役になりませんから捨てなくちゃいけない。でも8枚全部が揃ったら「暗黒流星群」という役で問答無用で勝ってしまいます。

 そして分捕りです。他のプレイヤーが持つ副露した順子刻子槓子が奪えます。
 ここを少し変更します。

 まず花牌3個持っている場合、他のプレイヤーが河に花牌を捨てた時そのプレイヤーが副露しているのを1組分捕れます。取ってきたのはすべて明順子明刻子明槓子になります。
 花牌を4個持っている場合、他のプレイヤーが河に花牌を捨てた時、他のプレイヤー3人が副露しているのをどれでも1組分捕れます。誰のでもです。槓子でない場合は1個牌が足りないから嶺上牌を取ってきます。
 花牌を5組持っている場合、他のプレイヤーは関係なくそのまま他のプレイヤー3人が副露しているのを1組分捕れます。足りない分は嶺上牌を1個取ってきます。
   その際、河には1個だけ花牌を捨てます。つまり考え方としては花牌を1個自分で捨てたから、花牌4個の事例が炸裂した、という形になります。つまり自分のツモの番にしか使えないという事です。

 取られた方は牌が少ない状態で進行しツモって数を戻さねばなりません。分捕られたプレイヤーの所には使った花牌プレゼントされてます。かなしいです。」

じゅえる「相変わらず花牌のくだりは腹が立つな。」
釈「互いに殺し合う為の道具ですから、これは宇宙人の仕業。」
まゆ子「じっさい、地球人類シミュレーターで花牌が表示するのは”宇宙人の関与”です。」

じゅえる「この技は”キャトルミューティレーション”と命名しよう。」
釈「中国語では「外星人肢解」とかいうらしいです。「ワイシンレンヂージェ」ですね。」

じゅえる「うーん、あと花牌の嫌な使い方無いかな?」
釈「そうですねえ、リーチの時に花牌を使うと特殊効果アリとかでは。」
まゆ子「なんだよ。」
釈「そーですねー、たとえばその巡で他の人が和了れない効果とかはどうです?」
じゅえる「それもいやだなあ。」
まゆ子「せめてツモ上がりはできることにしようよ。いくらなんでも。」
釈「でもその巡だと危険牌を放出し放題ですよ。まあリーチした本人を別として。」
じゅえる「そういう考え方もアリか。うーん。」
まゆ子「嫌がらせとしてはかんぺきだな。」

じゅえる「それで、花牌の絵柄はどうなった。」
まゆ子「春夏秋冬、は普通だ。雪月花+しゅぎゃらへりどくと星人にしておこう。任天堂マークみたいなものだ。」
釈「あー……、そりゃーろーかるまーじゃんですからねー、牌の製造者の印が有るのは当然と言えばとうぜんですが。」

じゅえる「で、虚数牌の図柄はどうする。」
釈「なにかかっこいい図柄が欲しいですね。と言ってもトランプもタロットもダメですし、……株札?」
じゅえる「おいちょかぶて知らないなあ。花札は12月だし、やっぱそのくらいかなあ。」
まゆ子「デザイン的には株札悪くないんだけど、元がトランプの棍棒から来てるから索子とちょっと似ちゃうんだよねコンセプト的に。」
じゅえる「だが分り易くないといけないんだから、コンセプトはともかく図柄的に似ていない株札のデザインでいいと思うぞ。」
釈「まあ、一目で数が分かるのはいいですね。逆にアラビア数字を描くという手もありますが、ちょっと無粋ですね。」
まゆ子「算木を考えてみたけれど、株札の方がデザイン良かった。しかたないな。」

じゅえる「そもそも麻雀牌は小さいから、デザイン凝ってもダメなんだな。株札が簡潔でよろしい。クリスタルで模様を描くというコンセプトにも相性いいし。」
まゆ子「じゃあ代案が無い限りはそういうことで。」

釈「そういえば、0牌のデザインも決めてませんね。まさか白牌にするわけにもいかないし。」
じゅえる「萬子は「零萬」て書けばいいだけだが、索子は竹だから折る!」
まゆ子「うん。」
じゅえる「筒子は筒であって丸ではないのだ。フタの開いた筒だな。」
釈「空ってことですね。」

まゆ子「けっきょく零は○になるんだな。」
釈「○というならば、萬子は「圓萬」と書けばいいんじゃないですかね。丸ですよ丸。」
まゆ子「じゃあ索子も、笹の葉で○を描いておくか。」
釈「いいですね、風情があって。でも筒子は1筒が○ですからね、まるっきり。」
じゅえる「すなおにΦでいいんじゃないかな。分かり易さが一番さ。」
まゆ子「うむ、筒子は丸いことを皆期待するだろうからな。丸に棒線引いてOKだ。
  ……いや、紛らわしいか?」
釈「ちょっと。」
じゅえる「ちょっとね。派手に見分けが付く方がいいよ。」
まゆ子「うん、じゃあ、丸を生かして旭日旗みたいな放射線を加えよう。」
じゅえる「派手だな。だがそのくらいの方がいい。」

 

まゆ子「それでゲームの展開ですが現在の麻雀は東場南場の半荘8局ですが、なにせ地球人類シミュレーションですから大量に打つ事になります。」
じゅえる「そりゃあ、どのくらい?」
まゆ子「百年分です。一荘を一年として百回。」
釈「半荘じゃないんですか?」
まゆ子「シミュレーションだから1年間12ヶ月で1月を1局として、12局3回場が回ってくる事にします。これが一荘。」
じゅえる「じゃあ東南西場までか。」
釈「北と央は回ってこないんですね。」
まゆ子「次のゲームを北から始めればいいじゃないですか。どうせ百年分やるんだから。」
釈「そうですね。長丁場だからいちいち区切る必要もありませんね。」

じゅえる「じゃあ12局×100年分で1200回か、死ぬな。」
釈「あー、それは計算が甘いのでは。」
まゆ子「まーじゃんだからねー、連チャンしますからねー。」
じゅえる「まさか、連荘アリなのか? 1月1局だろ、1回じゃないのか?」
まゆ子「至極単純な例があります。二〇〇八年八月に物辺村正義少女会議は何回出動したでしょう?」
じゅえる「あ、そうかー。事件が起これば何度でも出動して、その度に世界を操作しなくちゃいけないのか。連荘で仕事するんだ。」/p>

釈「まさに地獄です。
 しかし、百年分は疲れますね。何時間掛かるでしょう。」
まゆ子「全自動卓で打つと、半荘1時間程度だそうな。よく知らないけど。
 地球人類シミュレーター卓だとなにせ牌が多いし5人打ちだし12局だし、一荘2時間は掛かるんじゃないかな。」
釈「げー。」
じゅえる「不眠不休の徹マンで200時間、8日8時間だな。」
まゆ子「あーでも途中で寝てもいいですよ。地球人類シミュレーターには全自動代打ち機能が付いてますから。
 一定時間以上打たないと自動で発動して手を進めます。」

じゅえる「いいのか、これゲキの少女が何をするかってシミュレーションなのに。」
まゆ子「逆に言うと、現実を考えるとゲキの少女が四六時中関与し続けるなんて出来ない。サボらなくちゃいけない時期というのは確実に発生する。
 どうやって休みを取るか、言い換えるとどのくらい地球人を野放しにするかもシミュレーションの対象なのだ。」
釈「はー、つまりしゅぎゃらへりどくと星人はゲキの少女の人間性を確かめているわけですか。」
じゅえる「なるほどね。打ち筋から性格とか読めてくるんだ。それがシミュレーションの本質ってことか。」

まゆ子「です!

 それで持ち点は各自10万点、百万でも構わないのだがハコになってめんどうな事にならないように多めに出しておきましょう。
 どうせ後で精算するだけですから。」
じゅえる「ハコになったら、マイナスで続行?」
まゆ子「そりゃそうだ。1年分のシミュレーションを途中で中断してどうするさ。」

じゅえる「ペナルティは要るだろ。」
まゆ子「いや、しゅぎゃらへりどくとに頼まれてやってるだけで、そんな真剣な、」
釈「いえそれはおかしい。あの人達がまともにやるわけがない。
 なるほど最終的な結果で最下位者がツケを払わされるのはいいでしょう。でもハコになったらその局でペナルティが有るべきです。」
じゅえる「ということだ。」

まゆ子「と言ってもだなー、そんな亜空間でやってるのに何か意味の有る罰則とかは、」
釈「腹筋とか腕立て伏せとかで、」
じゅえる「うん。そういうのが一番あいつらには効く。」
まゆ子「なるほど。じゃあハコになったら腹筋腕立てスクワッドとかをみのりちゃんが指定するということで。
 ……、10万点は多いな?」
釈「5万点で結構です。」
じゅえる「うむ。」

 

***

まゆ子「コドモ役について説明です。コドモ、あるいは子供単騎と呼ばれる役は小学校低学年を麻雀の面子に引き入れる為に開発された物辺村特殊ルールです。
 仕組みは簡単。役無し、鳴きあり、一枚待ちツモあがりで成立です。つまりどれだけ鳴いても最後の対子をツモで作れば勝ちです。」

釈「点数はどうなりますか。」
まゆ子「20符0翻700点。カスみたいなものです。だがこれがいい。
 この役はつまりどれだけ鳴いても大丈夫という掟破りですから、とにかくドラが集めやすい。だから点数的にはかなりいいところ行きます。
 またこの役で遊んでいると小学生でもすぐに、リャンメン待ちシャンポン待ちはダメ、と気付きます。つまりその概念を覚えます。
 覚えたらもうピンフが作れるようになるので、コドモ役からは卒業です。普通麻雀に突入だ。」

じゅえる「順子を鳴くのは分かるが、刻子を鳴くのはどうなんだ。」
まゆ子「そこがまたコドモ役のえらいところで、実は特殊符計算が有るんです。というか符計算しない。
 つまり、暗カン+1000点、明カン+500点という単純な計算。カンすれば点数が伸びる上にドラが増えてどんどん儲かる、という寸法です。
 だから子供は積極的にポンします。ポンをすれば自分でツモってカンできるから、500点ゲットです。」

釈「まあ符計算でカンはかなり高く行きますからね。」
まゆ子「実は対子単騎待ちツモあがり、というのも符計算から来ていて、とにかく最後1個待ちで和了ればOKなのです。」
じゅえる「そうか、実用的にはカンチャン待ちペンチャン待ちも有りなんだ。」
まゆ子「有りなんだけど、子供はそんな難しいものは出来ない。だからまず鳴いて順子を全部潰してから、最後の1個で対子が出来るのをじっと待つ、というプレイスタイルになります。」

釈「なんか可愛いですね。」

まゆ子「あと、コドモリーチというのがあります。子供は自分がリーチできるか分からない。最後テンパったらリーチと自動的に覚えます。
 だがそれはホントのリーチじゃない。ツモあがりに加えてロンが出来るようになるだけです。
 だから、和了った時に大人がチェックしてただのコドモだったらコドモリーチというものになります。ま、鳴いてリーチならコドモに決まってますけどね。」

じゅえる「当然リーチじゃないから、1翻付かない。」
まゆ子「付きません。ただ単にコドモ成立です。20符700点。だがコドモリーチの恐ろしいところは、リー棒1000点が帰ってこない。」
釈「差し引きマイナス300点の損ですか。」
まゆ子「です。だからとにかくカンです。カンすれば最低でも1200点、さしひき200点の黒字になります。」

じゅえる「そんな恐ろしいリーチは最初から禁止すればいいのに。」
まゆ子「いや、子供だってリーチしたいんですよ。大人みたいにロンしたい。だからコドモリーチは発生したんだ。
 だいいちコレが無いと鳩保が「おっちゃん、あんた背中が煤けてるよ」とカッコつけて言えないんだ。」

釈「で、殴られるんですね、鳩保さん。」
まゆ子「鳩保の偉いところは、つまりリー棒1000点の犠牲を物ともせずに果敢にリーチしてくるところです。当然ドラを抱え込むし、積極的にカンするからうるさい。
 つまりはドラが大量に増えて場が荒れて、そこで「煤けてるぜ」とかでかい口叩いてれば、そりゃ」
じゅえる「殴られるんだ。」

まゆ子「あとコドモドラというのがあります。地球人類シミュレーターと同じ現物ドラです。そりゃあ子供に、ドラ表示牌の次がドラだよってのは分かりにくい。
 でも現物だと1枚ドラが少ない事に気付いて、普通の大人ドラにしたいと思う子も出ます。その時は「コドモドラ卒業宣言」をして、以後その子は普通のドラで勝負が許されます。」
釈「ふーん、そうやってだんだんと普通の麻雀を覚えていくんですね。」

まゆ子「ちなみにコドモ役の適用は小学三年生までが普通です。それ以上でやってたら、「おまえコドモかよ」とバカにされます。」
じゅえる「うん、まあ、そうだな。」

 

 

2014/06/23

まゆ子「というわけで、書けたぞ第一稿。」

釈「『ゲキロボ』11巻「おーらしふたーVS狼男」ですね。」
じゅえる「宣言通りに2ヶ月で書けたのは偉いぞ。ほぼ計算通りだ。」

まゆ子「えっへん。やっぱり19章だ。」
釈「あはー、それですよねーやっぱりー。」
じゅえる「都合39章か、もうこれだけで1巻使っても良かったよ。」

まゆ子「はー、それにしてもだね。やっぱり書けないもんだよ。面白いところを切るという作業をしなくちゃいかんかった。」
釈「おもしろいのダメなんですか?」
まゆ子「私は書いてて面白かったんだけど、何も知らない読者様が読むとダメな展開であったから、やむなくシナリオ変更です。

 ほんとは後半サルボロイド再登場のところで、志保美先輩登場!という展開だったんだけど、没。」
じゅえる「ウエンディズ活躍無し?」
まゆ子「無し。まあその前に聖ちゃんが出てますけどね。」
釈「あー、それは悲しい。なんとかなりませんでしたか。」
まゆ子「書いてる本人には極めてスムーズな当たり前の登場なんだけどさあ、なんか唐突過ぎたのさ。
 ほんとはこの章には、サルボロイド星人の飼い主のビリケン星人も出てくるはずだったんだけど、没。」

じゅえる「やはり思ったとおりにいかないもんだねえ。」

まゆ子「というわけで、ちょっとお知らせです。
 このくっちゃりぼろけっとは、『ゲキロボ』最終回に向けてネタバレ防止の為に、一時封鎖します。」

釈「読めなくなるんですか?」
まゆ子「いや、『ゲキロボ』設定話が掲載終了時まで金庫入りするだけの話だ。さすがに最終章くらいはネタバレ無しにしないとね。」
じゅえる「いや書くんだけど、そういう場合は「くっちゃり秘密ボックス」てのが有って自分だけ読めるようになってるんだな。後で掲載する。」

釈「つまり、くっちゃりぼろけっとは開店休業状態になるわけですね。」
まゆ子「うん。だがまあなんとか面白いお話を考えよう。
 というか、その為のましなりい と あしどりむだ。別のネタ話をするのなら、そっちでやるさ。」
釈「あー最近ご無沙汰ですね、アレも。」

じゅえる「よし分かった。ネタバレであれば致し方無い。じゃあそういうことで。」

 

2014/05/27

まゆ子「というわけで「ゲキロボ」第十一巻「萬國吃驚博覽會」を書いているわけですが、やっちまったぜい!」

釈「またですかい。」
じゅえる「今度はどんな馬鹿をやらかした。」

まゆ子「第十一巻は3つのエピソードを予定している。
  ・オーラシフター VS 狼男 WITH サルボロイド星人
  ・美々世の家に行って麻雀をする
  ・ウルトラ級宇宙怪獣襲来
 で、これで50章、1章あたり6枚として300枚、7枚換算でも350枚、10万字程度を予定する。」

じゅえる「いいんでないですか?」
まゆ子「第一のエピソード、オーラシフター VS 狼男 は3つのパートで形成される。
  ・物辺村で蟠龍八郎太が陵辱される
  ・オーラシフター VS 狼男
  ・サルボロイド復活
 で第十一巻50章の内、だいたい20章を費やす計算となる。1/3ね。」
釈「まあ、妥当ですね。」

まゆ子「現在5月分更新の第一稿が出来上がった。残念ながら第一エピソードを1ヶ月で書き上げるのは無理だった。
 ・物辺村で八郎太陵辱 と ・オーラシフター VS 狼男の半分だ。」

じゅえる「ああ、思ったより長くなったんだね。」
釈「いつもの事ですね。」
まゆ子「ああ、まったくその通り。第一稿完成時点で20章書いちまった。」

じゅえる「ぶ、」
釈「え、えー、半分で20章ですかー。そりゃあ無駄ですね。」
まゆ子「このまま後半を書くとなれば、第一エピソードだけで35から40章に到達する。ちょっとヤバイ。」
じゅえる「対策は?」
まゆ子「麻雀編をおもいっきり簡略化しよう。」
釈「ウルトラ怪獣は短くならないんですか?」
まゆ子「ならない。どう考えても20章は必要だ。」

じゅえる「うー、じゃあ麻雀編を10章くらいで収めて、70章で。」
まゆ子「うー、それは嬉しくない。」
釈「ウルトラ怪獣を第十二巻に持ってくるのでは?」
まゆ子「それは美しくない。」

じゅえる「じゃあさ、エピソード1個足して、第十二巻「ウルトラ級宇宙怪獣襲来」にして、最終回を第十三巻にすれば?」
まゆ子「それじゃあ計画がいきなり頓挫じゃねえか。とほほほ。」

釈「まあ一番簡単な解決策は何も考えずに突っ走ること、なんでしょうね。

 

 でも、今から新エピソードを追加するってのは不可能なものでしょうか?」
まゆ子「やる気の問題だが、あと宇宙人SFとして挿入しておかねばならないエピソードの典型って、無かったかな?」

じゅえる「未来に行く話は?」
まゆ子「うむ、それはちょっと興味が有る。」
釈「ゾンビとか不治の病大流行人類滅亡モノは?」
まゆ子「いやそれはさすがに、ゲキロボでは。」
じゅえる「ロボットの反乱はー、まあいいか。サルボロイドはそんな感じだし。」
釈「宇宙コロニーでロボで戦争というのは。」
まゆ子「実は仮想空間内で暮らしていました、ってのもあるな。」

じゅえる「それらとまったく縁の無い、オリジナル新機軸エピソードだな。欲しいのは。」
釈「そうですねー、女子高生5人組が主人公であればー、宇宙海賊とか?」
じゅえる「それもまた陳腐だよ。」

まゆ子「デストピアもの、か。」
じゅえる「というか、地獄の黙示録的な狂気の王国に突入する、って話は欲しいな。」
釈「ならば、チュクシュルブクレーターの地底王国に殴り込みですよ。そりゃ当然のエピソードだ。」
まゆ子「却下。何故ならばそれは「ミセス・ワダツミ」のお仕事なのです。」
じゅえる「あー、語られない物語って奴だな。」
釈「残念ですが、それはゲキロボとは関係ない物語、なのですね。了解しました。」

釈「宇宙忠臣蔵というのはどうでしょう?」
まゆ子「ふむ、そう言えば前に宇宙人さんに頼まれて他所の星の揉め事を解決してたな。なるほど、敵討はアリだ。」
じゅえる「そりゃ面白かろうが、新機軸という観点からはダメだろう。」

まゆ子「意外と難しいな。」
釈「何か無いか、てアプローチが間違ってると思いますよ。今興味が有るものをSFネタに仕上げるという戦略で行きましょう。」
まゆ子「うーん、興味と言われてもな。あらかた「ゲキロボ」に突っ込んでしまったし。」
じゅえる「裁判ネタとかいいかもしれないな。なんというか、むらむらと修正したい気分でいっぱいだ。」
釈「何を見たんですかなにを。」

 

まゆ子「裁判ねえ。」

釈「ゲキロボの枠組みで裁判はあまり健全とは言えませんね。なにせゲキの少女が無条件で偉いんですから。」
じゅえる「超越者、というのが出てきて一方的に裁判するという手が有るぞ。」

まゆ子「それ採用! 最終回「宇宙最終戦争」で攻めてくる連中が地球の代表者であるゲキの少女に対して一方的裁判を仕掛けてくる、という手を使おう。」
釈「裁判するくらいなら、理性的な宇宙人ではないでしょうか?」
まゆ子「まあ一方的に「宇宙絶対法」に従って地球人皆殺しを行政処分する、という感じで、問答無用。」
じゅえる「うん、宇宙人はそのくらいでいいぞ。宇宙人だからな。」

釈「でも裁判じゃないですよね。なにか知的な論理的なバトルとかトリックとか欲しいです。」
じゅえる「裁判を宇宙人が仕掛けてきて、それをけちょんけちょんにやっつけたら、宇宙人キレて地球皆殺し作戦。これだな。」
まゆ子「ふむ、それは悪くはないが、しかしどんなトリックを使うんだ?」
釈「そりゃあ、超進化した宇宙人さんですから、地球人があっと驚くような論理展開ですよねえ。」
じゅえる「そんなもの、考えられないだろ。今の地球人には。」

まゆ子「何かネタが有れば、その知的トリックは採用しないでもない。だが宇宙人のそれも頭のいい奴が振り回すロジックてなんだろ。」
じゅえる「とにかく敵は宇宙の正義の味方と自分を信じ込んでいるのだから、やはり神のごとき論理だろう。」
釈「神様を相手に論破するのは無理ですよ。たとえゲキの力が有ったとしても、頭そこまで良くならないでしょ。」
まゆ子「というか、書く私が頭そこまで良くならないよ。」

じゅえる「とにかくだ、地球人類を滅ぼそうとする奴が、地球を支配しているであろうゲキの少女に対して宣戦布告的行為を行う。これは不自然じゃないわけだ。」
釈「たしかに。」
まゆ子「手続きとしては必要かもね。物語的にも。」
じゅえる「そして一方的にジャッジメントを下される。これに対してゲキの少女は何をするべきだろうか? 反論?じゃないだろ。」

まゆ子「ふむ。反論でも説得でも論破でもないな。基本この行為の担当は不思議時空を遊び場とする物辺優子だ。」
釈「許しを乞うたりはしないタマですね。」
まゆ子「優子は何をするだろう? こういう状況に出くわした場合。」
じゅえる「知的好奇心を刺激される、とは思わないな。彼女はもっと複雑な高等宇宙人と日頃から遊んでいる。」
釈「中流宇宙人、でしたか。最後の敵は。」
まゆ子「うん。下級・中流・高等宇宙人。ちなみに人間は未だ地球から脱出も出来ない原始宇宙人だ。」
釈「月面にすら住めないから、そのレッテルは甘受せねばなりませんね。」

じゅえる「とすればだ、優子からしてみればその中流宇宙人はガキに見えるだろ。」
まゆ子「さすがに優子は自分とゲキを一体としては考えないから、そこまで傲慢ではない。むしろ哀れに思うな。自らの力量を弁えずに、自分より強い敵に噛み付こうとすると見て。」
釈「ではむしろ、忠告と助言をするわけですね。」
じゅえる「そんなに優しいか?」
まゆ子「優しいんだけど、素直ではない。警告なんかはしないが、翻意を促すなにかをそれとなく与えて、中流宇宙人が拒否するのをしかたないなあ、と見ています。」

 

釈「地球に住んでいる高等宇宙人は干渉しないのですか?」
まゆ子「あーそれがねー、」
じゅえる「なんだよ?」
まゆ子「高等宇宙人からしてみれば、だ。中流宇宙人のする事は非常にイヤなんだ。見ていて歯がゆくなり恥ずかしくなり、蹴飛ばしたくなる。
 つまり、それは自分達がかって通過した場所、昔は自分達もそんなことしてたなあと想い出して顔が真っ赤になるような話なんだ。」

じゅえる「中二病か!」
釈「中二時代を思い出して、高等宇宙人は手を出さないわけですね。あまりにもイタくて。」
まゆ子「うん、まあゲキの力を信用しているからではあるんだが。」
じゅえる「つまり鳩保たちは、中二病宇宙人と遭遇するんだ。はー、こりゃ止められないな。」
まゆ子「実際止まらないから、宇宙最終戦争になります。」

釈「分かりました完全に理解しました。中二病法廷を設定しましょう。宇宙的規模で。」
じゅえる「うむ。被告は物辺優子。で、物凄く恥ずかしい論理が炸裂するということで。」
まゆ子「じゃあ判決は、」
じゅえる「そりゃ優子の敗訴で、……いや、ちょっと面白くないな。敗訴するという結果が出る前に法廷を壊すか。」
釈「優子さんの性格から言うと、最後まで付き合ってみて、終わったからぶっ壊すという感じではないですかね。」
まゆ子「そうだな、とりあえず論理的には優子が完全なる邪悪ということが決定して、それじゃあ地球人皆殺しにしますよと最終的な判決が下りて、そこで優子がやなこったと抵抗する。
 それでいいかな。」

じゅえる「最後の抵抗がどうもつまらないな。かと言ってじゃあすんなりと聞くのもばかばかしい。
 じゃあこうしよう。中流宇宙人による中二法廷が終了した。その後で物辺優子による高等宇宙人裁判所からの召喚状を中二宇宙人に突きつけるのだ。
 で、それに出廷しない場合は問答無用で中二星人文明は抹消される。という設定を教えてやるのだが、中二星人断固拒否する。法的にそんなものは認められないと。
 じゃあそういうことで、中二星人は法的に抹殺されることが決定する。地球人も中二星人により抹殺されることが決定する。
 優子の出した結果に、他のゲキの少女はやっちまったぜい、と顔を曇らせる。こんな感じだな。」

まゆ子「OKです。」
釈「はい。」

 

***

釈「それはそれとして、前回の続き。狼男の名前です。」

じゅえる「てきとーでいいよてきとー。」
釈「しかしアマゾンの原住民のてきとーな名前というのを私達は知りませんよ。」
まゆ子「いや、そリャ知らないけど、キリスト教でテキトーにペテロとかシモンとか付けとけばいいだろ。キリスト教国で潜入工作とかするんだから。」
じゅえる「だな。えーと隊長が1名、女1名、男5名の計7名、にプラスして門代で優子に殺された奴1名。
 キリスト12使徒でいいよ。てきとー。」

釈「了解しました。ペテロ・アンデレ・ヤコブ・ヨハネ・ピリポ・パルトロマイ・トマス・マタイ・アルバヨの子ヤコブ・タダイ(ユダ)・シモン・イスカリオテのユダの12人で、ユダの後釜にマティアてのが入ります。」

まゆ子「重複を消して、ペテロ・アンデレ・ヤコブ・ヨハネ・ピリポ・パルトロマイ・トマス・マタイ・タダイ・シモン・ユダ・マティア。あと女名がマリアかサロメでいいよ。」
じゅえる「どーでもいい名前であるな。あまりにも平凡過ぎて。で、これをスペイン語かポルトガル語に変換して。」

釈「スペイン語で固定して、ペドロ・アンドレス・イアゴ・フアン・フェリペ・バルトロメ・トマス・マテオ・タデオ・シモン・フダス・マティアス。でした。マリアはマリアです。」
じゅえる「意外と違うものだな。」
まゆ子「ふむ、音韻変化はデカイな。」
釈「マリアはマリア、サロメはサロメですから面白く無いです。スペイン語らしい女性名で新約聖書で関係するといえば、マルタですかね。」
じゅえる「あまりにも平凡過ぎて、腰が抜けるぞ。」
まゆ子「採用だな。でもトマスは火尉とますとバッティングするからやめておこう。」

 じゃああいうえお順で、隊長はアンドレス、以下イアゴ・シモン・タデオ・ファン・ペドロ、女がマルタ。門代で殺された奴がフダス。
 ペドロの前に二人居るけど如何にも仮名ぽいかんじで。」
じゅえる「OK」
釈「OKです。」

まゆ子「それでさ、狼はスペイン語で「ロボ」だよ。ちょっと困るな。」
じゅえる「ちょこちょこと調べたらアドルフ、スペイン語ではアドルフォADOLFOは古いドイツ語で「高貴なる狼」を意味する。これを姓にしておこう。」
釈「アドルフってアドルフ・ヒトラーのアドルフですね。」
まゆ子「あの辺りはナチ残党も来たことがあるということで、それは悪くない。じゃあ姓+名という構成で「アドルフォ・イアゴ」てな感じの名前にしておくぞ。」
じゅえる「どちらも名だと思うが。」
まゆ子「真の姓は他部族に明かしてはならんのだ。」
じゅえる「そういうことなら仕方ない。まあどうせ全部仮名だしな。」

釈「ほんとはスペイン語だってどうでもいいんですよね。周囲がそうだから使ってるだけで、ホントは現地原住民語なんです。」

 

まゆ子「それで、これまで書いた分で3体の狼男出現。1体が死亡のち蘇生して逮捕。誰にしようか。」
じゅえる「左から順番でいいだろ。」
釈「そうですね。じゃあ既に出演しているのは、イアゴ・シモン、タデオとっ捕まる。ということで。」
じゅえる「それで、タデオは何をやらかしたんだ?」
まゆ子「あー簡単にいうと、車道に飛び出してよそ見していたら、棟木曼助のスクーターに撥ねられて激怒。変身して追っかけて行ったら待ち伏せに遭って、撃たれて死亡です。」
釈「ばかですねー。」
まゆ子「まあ、そういう超能力に突き当たってしまいましたから。」

釈「この3名には身体的とか能力的な特徴はありますか?」
まゆ子「ああ、この3人は前衛として警察隊を引っ張り回す役目があったから、全員背が高くて大きい。イアゴは案山子を引っ張り回していたから、ちょっと器用。
 まあタデオは馬鹿だったということで。」
じゅえる「脳の足りないタイプね。」

まゆ子「もう一人、連絡役としてファンが出てきて罠に引っかかる予定。まあ全員が出る必要も無いし、出さないんだけどね。狼男の犠牲者は今回1名のみタデオだけだ。
 なんでかというと、特に考えてはいないけれど、また後で出番が有るかも知れないから温存しておきましょう。」
釈「天然伏線ですね。

 それで他の狼男は。」
まゆ子「そうだな、隊長はでかいとしても、小男は欲しいな。」
じゅえる「じゃあペドロは小さい狼男。小さいと言っても女ほどではないだろ。」
まゆ子「まあね。潜入工作に特化したタイプと考えておこう。ちなみにファンもそれほどは大きくない。ちょっと年嵩でお目付けタイプだな。」

釈「年齢はどうなんです?」
まゆ子「うん、隊長アンドレス35歳位、副隊長ファン32歳くらい、イアゴ・シモン・タデオ25歳以下、ペドロ28歳、マルタ22歳、死んだフダス23歳。こんなもんだろ。」
じゅえる「やっぱり狼男も若い方が強いのか。」
まゆ子「あー、どちらかというと近代都市社会に出て行った際の適応力という関係から、若い方がやはり順応力が有る。
 ちなみに高等教育はファンとマルタのみ、と言っても大学ではないがとにかく勉強した。フダスが最初に選ばれたのは英語が堪能で日本に行くのに適していたから。もちろんアメリカのなんとか科学財団の手引でだ。」

じゅえる「隊長は高等教育受けてないのか。」
まゆ子「えーと、この流れで考えると、隊長は族長の息子で唯一サルボロイド・サーヴァントに接触できる資格者。てとこだろう。」
釈「ああ、神様ですからね。つまり司祭なんですよ。」
じゅえる「ふむふむ、至極なっとくだ。で、戦闘は?」
まゆ子「できるけどしない。最重要目標がサルボロイド・サーヴァントの回収であり、その欲するところを実現する為であるから、隊長は何が有っても死んではならない。」

釈「隊長はサルボロイドを制御する方法を持っているのですか?」
まゆ子「ファイブリオンの絵図を用いる方法は使えるが、どちらかというとサルボロイドの方が族長を認識して指示に従う、ってところだろう。」
じゅえる「つまり他の狼男の言うことは聞かない?」
まゆ子「そもそもサルボロイドは人間の言うことは聞かない。ただ神様の計画に従って動くし、自ら判断して最善を行う。
 その指標として、同じ神が作った狼男種族による判断を参考資料として用いる、という設定があって、ヒラの狼男の言うことでも蓋然性があれば考慮してその通りに行う時も有る。」
釈「要するに、良いようにするわけですよ。」

 

釈「で、血縁関係は。」
じゅえる「血縁? ああ、そうか狭い部族の内部であれば、そりゃ血縁も有るな。」
釈「部族の人口少ないとはいえ1000人くらいは居るんでしょ? という話になってましたよね。種族的に遺伝子を保存する為には。」
まゆ子「言いました。最低で1000人。1万人は欲しいぞ、と。」
じゅえる「で、何人だよ?」
まゆ子「1000人てとこだよ。狼男族はそれほど繁殖力が高いわけではない。また食料が無ければ人口増えない。狼男族の伝統的生活ではかなりの広範囲を領域としても千人が限界。」

釈「じゃあやはり、」
まゆ子「ちょっと待て。実は狼男族には不思議な特性があって、乳幼児死亡率がかなり低い。だから普通の未開部族であれば人口構成がピラミッド状であるところ、筒型なのだ。」
じゅえる「ふむ。子供の時から丈夫なのだな。それはどういう条件になるのだ。」
まゆ子「簡単に言うと、若者から壮年までが狼男特殊部隊的に動員できる。人口の割に戦闘員が多い。」
じゅえる「死なないからな。」
釈「ふむ、子供が死なないということは生まれる数もそんなに多くない、ということですね。」

まゆ子「というものの、実は一時期かなり人口は減ったのだ。ナチス残党が地下王国に潜入を試みた際の攻防戦で、その時期の人口ががっくり減ってるのだ。50年くらい前。」
じゅえる「銃火器に対する戦術を抜本から変更しなくちゃならないと思い知ったわけだな。」
釈「えーと50年前、つまり1958年頃です。冷戦期ですね。その頃20歳くらいで最前線に立っていた人は、今70歳おじいさんです。
 隊長のアンドレスは孫世代ですね。」
じゅえる「ふむ、35歳だから父親は50代、祖父は70代か。祖父は生きてるのか?」
まゆ子「えーとー、族長ですからね。つまり50年前を考えると、当時の狼男族の族長がいきなりナチス残党に殺されて、若くして部族を任された、とかになっているでしょう。
 生きてますね。」

じゅえる「ふむ。で35歳の孫が居る。つまり子は15歳で子供を作った?」
釈「不思議ではありませんが、彼はその頃にはもう結婚して子供が居たと考えるべきでしょう。父は幼児でナチスとの戦争を覚えている。」
じゅえる「なるほど。父である族長と嫁を殺された、くらいはあってもいいな。」
まゆ子「ふむふむ。そんなところでしょうね。ちなみにナチス残党は悪いやつばかりですから、女子供も皆殺しにします。」
釈「まさにナチス残党のしわざ!」

 

まゆ子「というわけで血縁だ。あー、隊長の子供もしくは弟・甥は今回参加していない。族長はアンドレスの父だよ、ということで。
 その上で、マルタが姪、という事に。
 まとめ役のファンの弟が、最初に門代で死んだフダスという事にする。
 イアゴとシモンは兄弟、タデオ、ペドロはこの中に家族は居ない。だがまあだいたい全員親族みたいなものだ。」

じゅえる「フダスは何故単独で日本まで連れて来られたんだ?」
釈「そうです。まずそこを確定させましょう。」

まゆ子「えーと、アメリカの科学財団の仕業なんだが、とにかく彼は門代に宇宙人が居て、それがサルボロイドにとって極めて重要であると知らされた。
 アメリカの科学財団は、……どこから情報でそんなの知ってるんだ?」
釈「NWOとかアンシエントとかでは。」
じゅえる「いや、ゲキはともかくぴるまるれれこ情報はNWO経由ではないはずだ。宇宙人そのものから情報を仕入れた、そう考えるべきだな。」
まゆ子「つまり科学財団は特定の宇宙人と接触している。ということになる。まあ不自然ではない、それだけの有能な人材を獲得するのにミセス・ワタツミは成功している。」

釈「また「天空の鈴」星人でも使いますか?」
まゆ子「いやそれはどうだろう。……、宇宙人ラヂヲ?」
じゅえる「ジャパリンクだかた、さんの所から喜味子が通販で買った、アレか。」
まゆ子「誰か宇宙人と接触していて、宇宙ラヂヲを遺留品として入手した。そう考えるのはおかしくはないだろう。とはいうものの、アレはかなり面倒な機械だからな。
 ちゃんと宇宙人関係の人物関係図とか知らないと、絶対理解できない代物だ。うーん。」

釈「科学財団はアメリカです。スーパーヒーローが存在するべきでしょう。」
じゅえる「Xメン?」
まゆ子「アベンジャーズ?」
釈「なんでもいいですが、アメリカン・ヒーローです。彼が宇宙ラヂヲを持っていて使える。そして宇宙最強宇宙人ぴるまるれれこの発生をミセス・ワタツミに告げる。」
まゆ子「だがその人物は、本物だな!?」
じゅえる「ミュータントにするか、宇宙人にするか、それとも神様にするか。」

釈「マトリックスのネオみたいな感じの覚醒者、というのでは。」
まゆ子「現在の地球が仮想世界である、と主張する人間、ね。ふむ、それならば宇宙ラヂヲを操作するのも容易いだろう。」
じゅえる「どうだ、組み込めるか?」
まゆ子「任せろ。つまり、高度次元移動能力者、つまり物辺優子と同じタイプの能力者だ。そいつは。
 ふむ、そいつは中流宇宙人法廷に出る資格が有るな。」

じゅえる「とにかくそいつの情報によって門代を急遽調査しなければならない状況に陥った。
 しかし、阿呆の狼男を突っ込んでどうするよ?」
まゆ子「あー、それはだー、つまり動いたのはまずサルボロイドなんだ。この情報をどういう手段かで聞いたサルボロイド・サーヴァントが1体代表で日本にまで送ったのだ。
 でびっくりした狼男族はとりあえず日本に行ってサルボロイドの状況を確かめねばならない。そこでなんとか財団と連絡して日本行きを図り、フダスがやって来る。
 だが馬鹿だから、日本でダメ女に引っかかり、ラブホテルに行って、爆死!」
釈「ばかですねー。」
じゅえる「すごくばかなやつだ。でもそこらへんがリアルでいいぞ。」

まゆ子「つまり、まずサルボロイド有りきです。覚醒者とやらの情報が漏れたのも、その人物が故意にサルボロイドに伝えたのかもしれない。」
じゅえる「だがその覚醒者ってのは何者だ。」
まゆ子「うーん、至極重要な問題では有るが、彼はそう大げさな能力や働きをしないだろう。例えば、1年365日で3日くらいしか起きていない。」
釈「ほお、それはたしかに超人ですね。」
じゅえる「年に3日起き出して、何やら重要な事を言いやがるんだ。なるほど、それは悪くない。」

まゆ子「この覚醒者を保護するためにも、地下王国への移住計画が必要ということにするか。
 ちなみにこの覚醒者がオーラシフターの言う未来仙と同一人物であるかどうか、は設定しない。」
釈「そりゃ関係ありますよと言わんばかりではないですか。」

じゅえる「その人物と、ミセス・ワタツミの関係は?」
まゆ子「特に個人的な関係があるってものでもないが、科学財団はちゃんと主催者オーナーが居て、そいつがミセス・ワタツミに全権を任せて財団を大きく強くしてもらい、そして死んでます。2003年頃かな?
 で、彼は葬られるのだが、それと入れ替わる形で覚醒者が科学財団に入り込む。主催者オーナー本人と名乗って霊廟で寝てる、って感じ。
 まあ誰も本人そのものだとは思わないのだが、つまり主催者オーナーは生前の行いが良かったから遂に覚醒者によってその存在を引き継いでもらった、特別な存在として財団では認められる。
 つまりは日本で言う襲名みたいなことをしたわけだ。」

釈「思いっきり日本式ですね。」
まゆ子「だが斬新で、アメリカでも受けが良かったぞ。」

じゅえる「それで、覚醒者とやらは狼男には何を言ってないのか。」
まゆ子「財団を通して言っている。つまりぴるまるれれこの存在は、宇宙を焼きつくす最強の魔神、とか。でサルボロイドはこれに勝利するために出向いたが、敗北を余儀なくされるだろう。とか。」
釈「ほんとうの事、ですね。」

 

2014/05/10

まゆ子「というわけで、『ゲキロボ』第十一巻「萬國吃驚博覽會」の第一話、”オーラシフターVS狼男”を書くことになったわけですよ。」

じゅえる「まあ、だいたい骨格は出来た。」
釈「オーラシフター設定の方に書きました。だいたいOKです。」
まゆ子「まあ書けるんだけどさ。というか、書けるんだけど、やはり足りない。狼男の方の設定が。」

じゅえる「そりゃそうなんだが、今回主役はオーラシフターであり蟠龍八郎太だろ? 敵の方は大雑把でいいんじゃないかい。」
釈「まあそういうわけにもいきませんね。ちょっくら考えてみますか。

 えーと、彼等はとある宇宙人に選ばれた門番の種族で、およそ1万数千年前に遺伝子改造を受けてオオカミの能力を得た。で、先祖代々地下のシェルターを外敵より守ってきた。
 この設定に変更はありませんね?」
まゆ子「ということは必然的に中南米インディオの種族という事になる。外人だ。」
じゅえる「そりゃとうぜん、……あー、それは困った。」
釈「日系ブラジル人とかなら扱いやすかったんですが、ガチのインディオですか。あー、そりゃ困りましたね。」
じゅえる「日本に足場がまったく存在しない。どうしたものか。」

まゆ子「そこで出てくるのが、ミセス・ワタツミとアメリカの科学財団なわけです。しかしながら彼等は、って彼女は無し?」
釈「はあ。どうなんですかね。」

じゅえる「というか、あいつらは「カツ丼」の回で女を狂わすフェロモンを放出してただろ。あの能力はなんだ?」
まゆ子「忘れましょ。そんな扱いづらい設定は。」
釈「えーーーーーーー。」
じゅえる「いやそこは積極的に使おう。彼等は当然のことながら現代人であるから携帯電話とか使うのだが、その前に彼等の種族のみが使えるフェロモンによる通信手段が使える。」
釈「でも遠距離には使えませんよそんなの。」
まゆ子「うんなるほど、つまり道標が自分で作れるわけだな。なるほど、その設定もらった! そこは最後のサルボロイド再生工場を探索する際のギミックにしよう。」

じゅえる「そして女をへろへろにする術だが、やはり本当に使える超能力という事にする。これで夜の女達を支配下に置いて活動の支援をさせる。」
まゆ子「洗脳能力か。」
じゅえる「まあ彼等一族が人間社会に溶け込んで活動する際に武器として使ってきた能力という事にしよう。無制限で女にモテるんだ。」
釈「うー、いやな能力ですねえ。」

 

まゆ子「しかしかなり強力だな。えーとでも、狼男の種族同士の結婚でないと完璧な狼男にはなれない、んだったね? たしか設定は。」
釈「はい、そう記述されてます。」
じゅえる「では女狼は日本には来ていないという事か。女は種族の子を生むために大切にキープされているということで。」
まゆ子「いや、やはり一人だけ日本に来ている事にしよう。当然のことだがミセス・ワタツミは狼男フェロモンが効かない。というわけで、女には女で同伴している。」

釈「ふむ。でももう一つ何か仕掛けが欲しいですね。日本語が使えるとかでは?」
じゅえる「しかし、何故に日本に来る必要があると知ってそんな能力を身に付けているんだ? そこを考えるとキツイぞ。」
まゆ子「いや、それでいいんじゃないか。でも日本語ではなく英語だ。英語使いだ。
 中南米のインディオであれば、そりゃ現地語は話すだろうがスペイン語かポルトガル語だろ。英語は使わない。」
釈「ふむ。なるほど、英語使いが別に必要なんですね。」

じゅえる「そうだ! その女狼は英語が使えるというからには、現地の鉱物探査という名目で物辺の香背男が滞在していた時に、現地人との間の通訳を務めた事にしよう。」
まゆ子「おーーー。」
釈「おーーーー。それです、それは極めて自然で、しかも日本に来る理由になります。」
まゆ子「うん、それは採用だ是非ともに。」

 

じゅえる「門代の空中で爆裂したサルボロイドの破片は5つに分かれて飛び散って回収された。
 5つなら5組で5人、か?」
まゆ子「うーん、とりあえず隊長1名、通訳女1名、隊員5名くらいじゃないか?」
釈「そうですねえ、でももう一人死んでますからね。というか、あれは先遣隊かなにかですか?」
じゅえる「ぴるまるれれこの復活を確認しに来たとか?」
まゆ子「ふむ、それはいいかもしれないが、それ以前にミセス・ワタツミによって日本の物辺村に行きなさいと指示されている。と考えるべきだろう。」

じゅえる「ゲキ目的?」
まゆ子「うーん、ぴるまるれれこの復活は誰にとってもイレギュラーだからなあ。未来予測すら出来ないことだ。だから門代在住宇宙人ですらびっくりだ。」
釈「やはりゲキ目的で調査に来ていた者が、ぴるまるれれこの存在を確認して本部に連絡。その情報を得て、サルボロイドが脱走、ですかね。」
まゆ子「なるほど。それが一番ありそうなシナリオだが、ひねりが欲しい。」

じゅえる「とにかく、狼男が死んだことは警察ですら欺いているから、彼等にも把握できていない。隊員が1名行方不明で捜索に来た、というのもあるわけだ。」
まゆ子「ふむ。仲間が死んだ事をどうやって知るか。……フェロモン?」
釈「死の瞬間に出すフェロモンが門代のラブホテルに未だ残留していて、それで死を知るという形ですね。」
じゅえる「じゃあ門代には彼の残したフェロモンの手掛かりがべっとり残っている、ということか。」
釈「いえでも、どの程度に何を知っていたか、それほど深くは分からなかったはずですが。」

じゅえる「とにかくフェロモン使いであることが極めて重要な設定で有ることは理解した。
 で、その他の身体能力はどんなもんだ。スパイダーマンくらい出来るか?」
釈「あー、狼男の能力というのは、どのくらい強力であると許されますかね。」
まゆ子「あー少なくとも変身能力を使う前と後とでは、ずいぶんとスペックが違う事とする。
 変身前人間の状態であれば、やはり人間だな。それほど突飛な力を持っていない。フェロモン能力くらいだろう。」

じゅえる「ちょいと弱くないか?」
釈「いえ、それは定番です。ですが定番過ぎてちょっと。」
まゆ子「あー、そうだな。じゃあこうしよう。自分が放出する変身ホルモンを嗅ぐと、自分自身で変身が自由に起こすことが出来て超体力を使うことが出来る。」
じゅえる「自由に変身、は良し。しかし変身しなければ超体力が無理ってのはいただけない。普通の人間でも強くないとな。」

まゆ子「いや、でも普通の人間状態でも日本の山岳地帯の森林部を恐るべき速度で移動できるんだけどな。山岳民族特有の能力として。」
釈「山に入れば彼等の天下ですから、それはいいです。でも街とか格闘シーンですね。」
じゅえる「普通でいいんじゃないか。普通の人間姿でも、例の鋼鉄のパチンコで攻撃してくるてことで。」
まゆ子「普通ぽいが、ここぞというところで普通の人間のまま怪力を使う、って線か。まあそれでもいいか。」
釈「じゃあ狼に変身するのは、よほどの緊急事態ですね。」
まゆ子「それこそオーラシフターだからこそ使うっていう、秘中の秘。とっておきの隠し球だよ。」
じゅえる「じゃあつまり、まずはオーラシフターがアドバンテージを取って、その反撃に狼変身てとこだな。」

釈「それで狼男変身ですが、体中に剛毛が生えて牙が伸びて、て普通にですか。」
まゆ子「それはもう書いたから仕方ないな。ウルフガイ的変身だ。というか見た目はむしろイエティぽいな。」
じゅえる「鉄砲で撃たれたら死ぬんだろ?」
まゆ子「そりゃあ死にますよ、生き物だもん。ただ普通の野獣は急所を撃たれないかぎりはそう簡単に死なない。また毛皮があるからなかなか傷つかない。」
釈「昔はだから弓矢に毒を塗ったんですよね。ちょっとだけ傷を付けて、だんだん動けなくするように。」
じゅえる「ああ、即死する鉄砲はやはり画期的発明なんだ。
 しかし、そう簡単に死んでもらうと、困るぞ。」

まゆ子「そうは言ってもだ、彼等は昔の弓矢や石槍の時代のスーパーヒーローで鉄器が出た後ではやはりアドバンテージは低いぞ。まあそれでも無敵なんだが。」
じゅえる「なにか現代の銃火器に勝てる対策をプラスしようよ。」
まゆ子「そうは言ってもだねえ、だいたい彼等の狼男能力が通じなくなったのはマシンガンを携帯出来るようになった20世紀からだぞ。それまではライフル銃やリボルバーの連発銃でも勝ててきたんだからな。」
釈「ああそれは設定に反映させましょう。彼等は現代兵器の進歩によって門番としての役目を果たす事が困難になってきたのです。
 そこで、アメリカの科学財団からの援助の申し入れを受けて、日本にもやってきた。」
まゆ子「ふむ、筋は通る。やっぱり現代火器に勝てる狼男は無理だよ。」
じゅえる「そこをなんとかするんだよ。フェロモンを使ったりさ。」

まゆ子「あー、それが南米の貧民街とかならむしろ狼男能力は無敵さ。だいたい狼男が銃を使ってはいかん法律も無いわけで、たいていの場合は勝てるんだよ。」
釈「狼男が銃を日本で入手できないから、パチンコを使うんですよ。設定では。」
じゅえる「追跡する特務保安隊を襲って銃器を手に入れる、というのはどうだろう。」
まゆ子「まあ、それはシナリオに入れてもいいが、ネイティブの狼男能力ではないな。まあ銀の弾丸とかでないと効かない、なんて馬鹿話は無いし。」
釈「弾丸が飛んでくる軌道が見える、とかは?」
まゆ子「それはむしろオーラシフター能力だ。」

じゅえる「だめか。」
まゆ子「まあ、なんだ。そこは人間力を利用するという事で、かくれんぼが得意なんだよ。狼男能力を使って人間業では不可能な奇妙な場所に迅速に隠れてしまう。」
釈「いきなり電柱のてっぺんに登るとか、ですか。」
じゅえる「狼は木登りしないだろ?」
まゆ子「イヌ科全部が木登りしないわけじゃない。狼男が登るのは問題ないだろ。」
釈「あ、YOUTUBEに有りましたよ。「木登りするイヌ」。凄い早さです。」
じゅえる「おお! この速度で人間が木登りしたら、そりゃ普通の特殊部隊員でも対処できんね。」
まゆ子「うん、じゃあ狼男は木登りが得意。」

 

じゅえる「ところでさ根本的な疑問。狼男ってのは悪なのか?」
釈「えーと、どうなんです?」

まゆ子「基本的にゲキの少女に逆らう奴は悪だ。」
じゅえる「うん。」
まゆ子「日本政府に逆らう奴も悪だ。特に犯罪者。」
釈「まあ社会的にはそうなるでしょうね。」
まゆ子「狼男は日本政府の依頼で動いている天文学者の隕石回収チームを強襲してサルボロイドの破片を奪取した。立派な犯罪者だ。」
じゅえる「まあね。そこに疑問の余地はない。」

釈「もっと本質的な意味での、ゲキの少女への敵対者かって事ですよ。狼男は悪のサイドなのでしょうか。」
まゆ子「門代在住の宇宙人さん有志からしてみれば、ぴるまるれれこへの無謀な接触を試みるサルボロイドを復活させようとする狼男は立派な悪だ。」
釈「ごもっとも。」
まゆ子「ぴるまるれれこを刺激して門代を不安に陥れる狼男は、ゲキの少女達にとっても立派な悪だ。」
じゅえる「いやまあ、そうなんだけどさ。ぶっ殺していい程度の悪だろうか、って話なんだ。」

まゆ子「さてそこだ。つまりミセス・ワタツミは何を考えて彼等を使役するのか。つまりここが問われているわけだ。」
じゅえる「そうそう。」
まゆ子「この段階ではまだ謎です。ただ彼女はかなりの大人数で地底王国への移住を企んでいるわけで、これが第一目標になります。」
じゅえる「ミセス・ワタツミの正体だよ。要するに。」

まゆ子「ぶっちゃけると○○○○です。そりゃ当然にこれまで姿を見せてない奴ですよ。」
じゅえる「そんな単純な話でいいのか?」
釈「いえ、でもその○○さんは、門代にちょっかいを出す必要がありますかね?」
まゆ子「そこだ! つまりだ、ミセス・ワタツミはとても凄い奴なんだ。どのくらい凄いかというと、アメリカの片田舎にあった仲良しサークルを全米規模の巨大科学財団にのし上げる程のカリスマだ。
 とは言っても主催者ではない。つまり仲良しサークルの主催者の側近として組織運営を任されて、以後トントン拍子に雪だるまみたいに拡大していったのだ。
 その拡大方法も尋常ではなく、財団運営幹部に一般ビジネス界での有能な人材を次々に登用、というかミセス・ワタツミのカリスマ能力によって入会させて組織運営を担当させて次々に成果を上げていったのだ。」

じゅえる「それって、凄くない?」
釈「超やり手経営者ですね。それほどの能力がミセス・ワタツミには有るんですか。」
まゆ子「いや無いよ。彼女の本業は女優だ。科学財団のカリスマ指導者の側近、という役をやっているだけの。」
釈「実の有る演技は、ほんとうにやっているのと区別出来ませんよ。」

じゅえる「というかさ、その○○さんの正体モロバレじゃん。そんな説明すると。」
まゆ子「いやここはあくまでも読者様のご想像にお任せするという事で。
 あーちなみにもうすぐ物辺優子がミセス・ワタツミの正体についての心当たりをちょこっと喋る事になってます。だから、○○はその後ね。

 というわけで、ミセス・ワタツミは地上の科学財団と、地下帝国による人類保存計画の二通りの事業を推進しているのだ。
 そしてまずは地下帝国への入り口の番人である狼男族を取り込んだ。彼等の協力無くして地下への移住はあり得ない。
 狼男族にとっても、近代兵器を用いて地下帝国への侵入を図る、ナチ残党みたいな勢力にこれまでどおりの対処では防げない事が分かったから、財団の援助を受け入れた。
 そしてミセス・ワタツミによって日本の物辺村にゲキという名の神が降臨する事を告げられる。何故彼女がこの極秘情報を入手出来たかは、それは彼女がスカウトした有能な人材の成果なのだ。

 つまり科学財団はアンシエントではなく、NWOとの接点を持たないにも関わらず、遠からずゲキの力が人類に許される事を知っていた。
 そして情報どおりにゲキの少女が出現したから、狼男を派遣して調査させる。何故普通の調査員ではダメなのか、はこれまで書いたとおり。」
釈「まあ、宇宙人がいっぱいですから生身の人間では無理でしたね。サイボーグとかゴルゴ十三さんとかも来ていましたよ。」

まゆ子「その調査報告からぴるまるれれこ光臨の情報がもたらされ、元々ぴるまるれれこへの因縁が有るサルボロイドの知る所となり、地下を脱走して門代に乱入した次第。」
じゅえる「お芝居でやっていたナチの残党ってのはどうなった?」
まゆ子「あーそれは、お芝居だけです。本当はナチの残党は戦後、そうですね1950年代に侵入を図り一時は地下帝国に騒乱を起こしましたが、狼男族によって鎮圧成敗されました。
 ただこの時に火力戦に巻き込まれて狼男能力の限界に曝されて、地上世界での支援を求める必要を認識させられています。
 狼男族の族長はその時の経験が有りますから、ミセス・ワタツミとの交渉に応じました。が、まあそこは互いに裏を探りあうということで。」

釈「つまり、狼男族は地下帝国の秘密の保持と安定的存続以外に興味が無い?」
まゆ子「基本的にはね。しかしこれからですよ。彼らが自分達の能力の有用性に気付いて、それを活用して一般社会に勢力を伸ばそう、とか。」
じゅえる「そういう考えがあるのか。」
まゆ子「まだ無い。しかしこれから科学財団の要請で世界中で活動して、また狼男の中にも大学に行ったりして教養を身に付けて世界に目が向くと、自然とね。」
釈「中米のど田舎の原住民、ではなくなるわけですね。現代人になった狼男ですよ。」
じゅえる「ふむふむ、これからね。そしてまだ2008年現在では始まっていないと。」

 

まゆ子「さて、そこで今現在の状況です。狼男が真に悪か? ですね。
 結論から言って、彼等は彼等を狼男にした、そして地下帝国を作りサルボロイドを使役する宇宙人ビリケン星人を神と崇めます。」
じゅえる「ビリケン星人てのが居るんだ。出る?」
まゆ子「今回のオチで出ますね。
 でサルボロイドは神の使いでありますから、これを高く崇めます。」
釈「当然ですね。」

まゆ子「そのサルボロイドがぴるまるれれこに対して極めて強い関心を示し、あろうことか地下帝国を脱出してまでも1体を送り込むのです。神の心は分かりませんが重大事に決まっています。
 そこで狼男としてはサルボロイドが本懐を遂げられるように最大限の支援をするべきでしょう。彼等は悪意ではなく真摯な信仰心と善意から今回の事件を遂行しています。」
じゅえる「ふむふむ、それは理解するが、狼男はサルボロイドが何故ぴるまるれれこに拘るかは知らないわけだな?」
まゆ子「想像はしています。そして地下帝国で発達した歪んだ信仰の影響を受けて、誤った解釈もしています。
 つまりファイブリオン。地下帝国を照らす天井灯の神、この命ずる所に従って、ぴるまるれれこと対決しなければならない。そう理解しています。
 ちなみにビリケン星人という概念は地下帝国においてはほとんど希薄、というかすっかり忘れ去られています。
 とにかく地下帝国を掘った神であり、そこにファイブリオンを招請した、サルボロイドも与えてくれた存在、てのは理解します。でもその後人間をほったらかしで、興味を無くしてしまったのだと考えます。
 狼男族はもうちょっとビリケン星人を高く評価します。彼等を狼男にしたのはビリケン星人であり、また彼等にファイブリオンの恵みは届きません、というか地上には太陽がちゃんとある。」

釈「つまり狼男族は、地下帝国とは異なる神話体系というか信仰を持っているのですね?」
まゆ子「まあ祖霊信仰のそのまた先にすべてを始めたビリケン神という形ですね。
 彼等の信仰的には、サルボロイドと狼男は兄弟です。狼男は弟ですが、同じ地底の人間を守る役目を与えられたから基本同格。しかしサルボロイドは不滅の肉体を持つほぼ神に等しい存在です。」
じゅえる「まあそういうのであれば、彼等が献身的にサルボロイドを回収するのが筋だろうな。」
釈「単純に悪と見做すわけにもいきませんか。」

じゅえる「で、オーラシフターだ。彼等が狼男をぶっ殺すに足る、悪しき存在かどうか。」
まゆ子「まあなんと言いますか、オーラシフターとしてはゲキの少女襲撃の一件の後ですから、許される為に懸命に働いて見せるしかありません。敵が悪だろうがそうでなかろうが関係ない。
 またオーラシフターでなければ対処できない狼男なんてバケモノがちょうどよく出現してくれた事に感謝すらしています。
 ただー、彼等にしても超能力者や狼憑きとかと対決したことはありますが、本当に変身する化け物なんかとはさすがに初対面で手加減できるほどの余裕がありません。
 故に全力でいきます。ぶっ殺します。」

釈「本物の宇宙人と遭遇したことは無いんですか、オーラシフターは。」
まゆ子「オーラシフターでさえ、そんな経験は無い。という風に考えてください。まったくに未知の存在と対決します。」

じゅえる「じゃあ互いに没コミュニケーションのままに殺し合うわけだ。まあ戦闘ってのはそういうものだからな。」
まゆ子「ところがだ、彼等は実はさほど遠くない存在なのだ。

 実はオーラシフター画龍学園の、それも特待生には特別な校章が存在して学生服の袖あたりに描いてある。で、それがまさにファイブリオンなんだな。
 まあ蟠龍八郎太は「タコ」だと思っているのだが、「黄金の写像」を見た鳩保にはどう見てもファイブリオンとしか思えないのだ。
 残念ながら、オーラシフターの戦闘ジャージには身分を証す印はまったく存在しない。機密保護の為にそういうのは無いわけだ。
 狼男がファイブリオンの校章を見てしまうと、どういう展開になるんだろうな? というところがヒキです。」

釈「画龍学園ではファイブリオンの事をどう思っているのです?」
まゆ子「五十六兵法をもたらした未来仙の紋所。『蟠龍章』と言ってます。タコです。」
じゅえる「うん。そりゃファイブリオンとは言わないな。

 なるほどね。本来は敵同士ではない勢力が錯誤の末に殺し合う。それはまさに物語的だね。」
釈「いやそれは、つまりどういう事ですか? 未来仙てのが科学財団の関係者ですか。」
じゅえる「そういう事になるんだろうな、それもかなり未来の。」

まゆ子「まあ、そういう感じで。ゲキの少女に対する憎しみ恨みが積み重なっていくんだよ。
 理屈はだいたいこうです。

 ゲキの再生によって世界は大激変します。何度も人類絶滅級の災害が起こりますが、その度ゲキロボによって救われます。
 しかしながら完全ではなく、当然に人的物的被害が頻出します。しかしゲキロボ事象改竄能力によりその被害は、そして事件は無かった事になります。
 しかしゲキの事象改竄能力は高次宇宙人や亜空間に避難した存在は免れます。改竄される前の記憶や物品を保存する事が可能です。
 物辺村であれば、神社裏の「神仙郷」なんかは隔離されて無事です。
 あと、地球圏から離れると事象改竄はやりません。あくまでも地球人類が気付かなければよいというまさに小手先の騙し技です。

 チュクシュルブクレーターの地下帝国も亜空間ではありませんが、次元断層バリアによって敵宇宙人の攻撃から防御されています。事象改竄の影響を受けない。
 故に改竄される前の人類史、いやゲキによって人類史がたびたび改竄される記録がすべて残されます。
 この記録を読んでしまえば、まさにゲキこそが人類にとっての疫病神。災厄をもたらす邪神でしかない。
 であればそりゃあ、ゲキの少女という災厄の根源を絶つべし、と思っても不思議ではない。時間遡行能力を獲得した段階でまず考えるのはそれでしょう。」

じゅえる「身から出た錆だな。」
釈「ま、ゲキとはそういうものです。」

 

じゅえる「でもさ、そもそもの事象改竄能力ってのは何なんだ? どういう機能なんだ。」
釈「過去改変能力じゃないんですよね? どういう仕組なんです。そもそもこの世界では時間遡行は出来ても過去改変は出来ないんですよね?」

まゆ子「基本的な事を言うと、事象改変は極めて微細な形で可能だ。過去の事象をほんのちょこっとだけ変える事が出来るが、それによって未来に起きた現象が変わる事はない。」
じゅえる「それは聞いた。偽縁陥没の説明で。」
まゆ子「過去の事象を変えると、変えた分だけ過去の時空間に穴が開くだけで、未来の事象が変わるまではいかない。因果律が崩壊するがそれは観測者がそう思うだけであって、その時空間に元から居る人にはそういう風には感じ取れない。
 因果律とはただひたすらに流れる時間の中に生きる人にとって観測される景観のようなもので、世界を支配する法則などではない。
 事象改竄とは、この景観を変える技術である。つまり見かけ上起きた出来事を書き換えるのみであって、起きた事象そのものを変更するわけではない。」

釈「なんかよく分かりませんよ。」
まゆ子「まあ、例を挙げて示すしか無いかな。

 あーここに一組の三世代同居家族が居ます。旦那と嫁、旦那の両親、そして赤ちゃん。幸せな家庭です。
 しかし或る日突然、ゲキの仕業により世界的災厄が発生し、旦那の父と赤ちゃんが亡くなり、旦那も重症で長く働けなくなる状態となります。不幸です。」
じゅえる「不幸だな。可哀想だ。」

まゆ子「そこでゲキロボの事象改竄能力発動です。つまりこの世界的災厄によって発生した不幸を見えなくします。
 というわけで、旦那の父はすでに10年前に死んでいる。赤ちゃんはそもそも流産して生まれなかった。旦那はぶらぶらと遊び歩いてそもそも働いていない。
 という風に改竄します。何も事件は起きておらず、誰にも認識されることはないが、しかし結果は同じ。不幸です。」

釈「かなりひどい話ですね。」
まゆ子「とりあえずの話だよ。だがもちろんこれはひどい話だ。では幸せもちょいと盛り込んでみましょう。
 旦那の父が死んだことにより保険金が降りて、旦那の母は金持ちになりケチな因業ババアとなります。幸せです。
 これにより旦那は遊び呆ける資金が出来て働きません。幸せです。怪我をしたという事実が欲しければ、保険金で買った車で事故った、とかしてもいいです。」
じゅえる「いやそれちっとも幸せじゃないぞ。」

まゆ子「そうですねえ。じゃあ、旦那はダメ人間ですから、そもそも嫁はそいつとは結婚しなかった。もちろんセックスもしないから赤ちゃんも妊娠しないし、流産しない。
 不幸じゃなくなりました。」

じゅえる「うーむ。事象改竄とはむちゃくちゃな能力だな。」
釈「つまり旦那の父の死を前倒しにしたことで、すべてをもみ消してしまったわけですよ。ずるいですねえ。」
まゆ子「という風に使う。だが別に人の死を前倒しにすればいいというものでもない。
 例えば別の人間がその人の代わりに死ぬ、という形で置き換えてもいい。いや死ぬ時期を30年後にずらして死なないようにして、とにかくこの年月日では死なない事にしてもいい。

 上の三世代家族の話であれば、旦那の父が死なずに失踪でもいい。そしてチベットの片田舎で30年隠者として暮らして死んだ。
 これでも見かけ上は大した違いはありません。保険金は降りないからカネは入らず旦那はちゃんと働いて嫁と結婚してくれます。
 赤ちゃんも死なない事にして大きく育って、弟妹が出来て、その後にどこか遠くアメリカに留学して行ってしまうシナリオでもいいです。

 とにかく色々な手法が存在しています。そしてこの改竄を行うために、さらに過去や未来に渡って小さな改竄を積み重ねて、ちょっとずつちょっとずつ事象を何度でも改竄します。
 これが唯一可能な過去改変術というわけです。この物語世界における。」

じゅえる「つまり見かけ上辻褄が合えばいいという話か。」
釈「アメリカ留学してどうなるんです? そこで死にますかテロに巻き込まれたりして。」

まゆ子「そういうシナリオにしてもいい。でも留学先の誰かが代わりに死ぬ事で辻褄を合わせるという手も有る。
 全体で帳尻が合えばいいだけだから、その家族内だけで結果が閉塞する必要も無いのだ。
 そしてその子は生涯結婚せず子孫を残しませんでした。で未来世界への帳尻も合うわけだ。」

じゅえる「フラグってやつだな。フラグを付け替えて起きた事件が無かったことにするだけなんだ。」
釈「まさに改竄なわけですよ。」
まゆ子「とにかく目的は、ゲキのせいで世界が災厄を受けたという事実の隠蔽であるから、個々の家族の幸せとかはあんまり関係ないのだ。
 それに地球以外の事象を改竄しても意味が無い。人間の目というものをごまかせればだいたいOKなんだな。」

 

じゅえる「最後にもう一つ。
 オーラシフターは森林で狼男に勝てるのか?」
まゆ子「オーラシフターが使う五十六兵法は仙術の一種として考えられていますが、明治時代はむしろ天狗術の一種と思われていました。」
釈「そりゃあ大安心ですね。」

 

 

2014/05/07

まゆ子「というわけで『ゲキロボ』第十巻「八月十五日、寒蝉鳴」が終了しました。300枚です。」

じゅえる「だいたい原稿用紙換算はでぽでぽに掲載されたものをテキストファイル化して、バーチカルエディターで読み込んで計算するからね。」
釈「400字詰原稿用紙には対応してない書き方ですから、ちょこちょこっと余白を食うんです。でも本来書いているとおりの改行による段落分けが消失しているから、まあだいたい枚数換算としては妥当ですね。」
まゆ子「300枚。他の巻よりも短いとはいえ、いい枚数ではないでしょうかね。ちなみに字数だと91000字だ。」

じゅえる「でも「八月十五日」は短い予定だったよね。」
まゆ子「色々と頑張って突っ込んで伸ばしてみました。お陰でオーラシフターを別の巻に持って行くことが出来ます。」
じゅえる「うん。」

 

まゆ子「まーなんですね。『ゲキロボ☆彡』は2008年が舞台であって、長編連載が始まったのがその年なんですが、もう6年ですよ。」

釈「結構長くなりましたね。」
まゆ子「そもそもがこの話、『ウエンディズ』と『ゲバルト処女』の反省を踏まえて、英雄などではない普通の少女が一般日常の現代日本で普通に暮らしている中で起こる突拍子の無い物語なのです。
 で、その当時流行っていたご当地アニメってものの影響を受けて、「門代」という架空の地を現実のモデルとなる土地を踏まえて割と忠実に描写しよう、って事になってるのです。
 『ウエンディズ』でも一応門代なんだけど、この話ではほとんど地域性が出ていない。だからもうちょっと頑張ってみようってね。」

じゅえる「まあ頑張った。でも架空の土地だからこんなものかな。」
釈「そもそもが「物辺島」なんて影も形もないわけですから、限界は有るんです。」

まゆ子「といいますかね、2008年という年は私にとっても結構思い出深い年なのです。だから記念に書いておこうと思った。
 と同時に、既にその頃には「門代」の舞台となった土地が結構変わって、このままでは何も無いままに人に忘れ去られてしまうんじゃないかな、とちょっと危惧したわけですよ。
 そこで2008年から見た近い過去の風景を記録しておくのを、裏の目的としていました。」

じゅえる「まあ20世紀と21世紀とでは、街の風景もずいぶんと変わるからね。」
釈「やはりバブル崩壊と東京一極集中による地方の疲弊は激しいですよ。」
まゆ子「それとは関係なしに変わっちゃっていたんだけどね、「門代」は。
 というわけで2008年を定点として、過去の街の記録でもある。で、まあ頑張ったからそれなりにね成果を出したと思います。

 が、今年はもう2014年だ。既に2008年は過去に成り果ててしまった。
 一番大きいのは「門代高校」であるところのモデルが、閉校してしまった事だな。」
釈「無念ですね。」
まゆ子「2008年にはもういずれ閉校して合併してしまう事は決まってたんだけど、それでも生徒は少数ながら通って使われていたのが、2012年に完全閉鎖。」
じゅえる「うーん、それではお話を続けられないな。」

まゆ子「その他にも色々変わりましたよ。たとえば鳩保が時々通う、「八月十五日」には母親と行った新しい良いスーパーマーケット。
 これの影響で既存店舗が1軒潰れたと書いてるけれど、去年にもう1軒、さらに今年にけっこうな老舗スーパーが潰れてしまいました。
 まあ2008年8月時点では、ほんとはまだどこも潰れてなかったんだけどね。
 というかですね、最初に潰れたスーパーにはメイドエプロンの売り子さんが居るパン屋さんが有ったんだけど、ちくしょお。」
釈「だんだんと変わりますねえ。」

まゆ子「さらに言えばだ、今回最後に物辺優子がケチを付けたびるまうどんのお店、これがこないだ顔を出してみたらいつの間にかリニューアルして、コジャレたベルギーポテトを売る店に変わってた。
 というかその隣のタコ唐揚げを出していた婆ちゃんの店が私お気に入りだったのに、潰れてしもうた。なんてこったい!」
じゅえる「あー、そりゃー仕方ない。もともとあの店は小綺麗なレトロの観光地にはちょいと不向きなびんぼくさいお店だったし。」
釈「ですよねー、もうちょっとかっこ良くしてもいいんじゃないかな、と思ってましたが案の定です。むしろ今までよく持ちこたえた。」

まゆ子「というか2軒潰して1軒のお店にして、びるまうどんじゃなくてちゃんらーとか売ってやがる。許せん。」
じゅえる「あんた自分で書いたじゃないか。「びるまうどんは商売としては難しい」って。」

まゆ子「こう言っちゃあなんですが、確かにバブル崩壊の影響で街は大きく姿を変えた。
 そして民主党政権時代の低迷で回復不能的ダメージも受けた。
 でも最後の決め手となったのが、アベノミックスだ。これでカネが動き出した結果、カネが無くて処分できなかった建物とか土地が動き出して、街を変化させようという動きが生まれて大きく変わる。」
釈「そうなんですよね。実は好景気の時の方が建築物ボンボン建って、大きな変化を見せるんです。」
じゅえる「その意味ではバブル時代の方が影響大きかったんだよ。

 というか「門代」はバブルの後に懸命に立て直しに力を入れて観光業を盛んにした、変わったからこそ今があるんだけどね。」

 

まゆ子「というわけさ。本当は「門代」の今現在を参考に描いていたはずなんだけど、実はもう昔の記憶で描いている。
 そろそろ潮時かな。」
釈「しかたありませんね、時の流れには勝てません。」
じゅえる「というわけで最終章突入さ。」

まゆ子「まあね、実際「ゲキロボ」で描こうとした「門代」はこの第十巻までであらかた描いてしまったんだ。だからもうやる事は無い。
 後はゲキロボがゲキロボであるコトにけじめを付けるだけなんだな。

 というわけで第十一巻は、とにかく宇宙人です。宇宙人による不思議でSF三昧。「萬國吃驚博覽會」てのは伊達じゃない。」
釈「宇宙人てんこもりなわけですよ。」
じゅえる「第十巻が普通の日常話だらけだからな。OKだよ。」

まゆ子「さて問題が、第十二巻最終巻「世界があらかた終わった日」なのです。
 どうしようか?」

じゅえる「どうしようって、何も決めてないの?」
まゆ子「長編小説として「ゲキロボ」を始める前からオチは決めている。ただ、それをそのまま描いてしまうと尺が1巻に満たない。」
釈「それはしかたないですね。漠然とした最終回のイメージがすかすかなのは当たり前です。」
じゅえる「わかったわかった。どうせ最後を締めくくるならばどんとゴージャスに行きたいわけだ。なるほど。
 で、どうしたい?」

まゆ子「ポリティカル小説。」
釈「政治、ですか。」
まゆ子「これまでゲキロボに直接政治の影響が出てくる事は無かった。すべて組織・権力の末端だ。

 しかし今回世界が滅んでしまいそうな状況に突入するのを、ゲキの少女達が主役となって防ぐというお話だ。当然世界のVIPや大統領、NWOのエライさんとかと話をしなくちゃいけない。
 まあオチとしては完全なSFなんですが、そうですねーつまりラノベですよ。中二小説ですよ。
 ゲキの少女達が世界中の偉い大人達の尻を叩いて働かせる、俺様偉い状態です。」

じゅえる「ふむふむ、なるほど。納得いった。つまり世界中の政治権力がまるで無力をさらけ出して無様極まりない醜態を晒すのを、ゲキの少女達がすぱっと解決!てシナリオだ。」
釈「言われてみれば、これまでそういう場面は有りませんからね。」
まゆ子「不自然なくらいに鳩保達は周囲の大人達のやる事に素直に従っている。子供なんだから当たり前ではあるが、最後にはその構図が逆転する。
 これでどうですかね?」

じゅえる「OK ただそうすると、描写すべきネタが結構渋くてキツイな。」
釈「うろたえる世界の支配者、なんて絵を書かなくちゃいけないわけですからね。まあちょっと考えますね。

 ミスシャクティとの対面もしますか?」
まゆ子「やりましょう!」
釈「OKです。」

 

じゅえる「それで両巻のテーマは? 例の世間様に対していちゃもんを付ける。」

まゆ子「第十一巻は簡単です。「センスオブワンダー」とにかくSFです。ここでSFネタを使い切ります。」
釈「いい覚悟ですね。出し惜しみ無しで行きましょう。」
じゅえる「「在庫一掃SF売り尽くしセール」をテーマとして掲げておこう。」

まゆ子「第十二巻はー、まあ言うなればポリティカルなんですが、そこまで深く政治は取り上げる必要無いでしょう。
 うーん、中二ってところかなあ。」
じゅえる「いやそもそもが長編小説の終わりってのは、テーマもへったくれもなく自己完結するものだがね。」
釈「すっぱりきっぱり終わってみせます、てところでしょうか。」

まゆ子「うん、要するにテーマは「お終い」だ。」

じゅえる「終わりの形を明らかにする、って事だな。」
釈「大変重要なテーマです。ただ、かなり漠然としてますね。」
じゅえる「いいんだよ書いてく内にきりっと締まるんだから。」

まゆ子「そうなんだよね。実は第十巻はテーマは「セカイ系からの脱出」だったのに、現実の高度な演劇性について哲学的な概念を弄ぶことになりました。
 セカイ系てのはそりゃあ演劇的なんだけど、そう考えると自然な展開なんだけど、予期せずそうなったからちょっと吃驚して感心だ。」

じゅえる「「お終い」も、おそらくは終わりについての哲学的観念論がぶちかまされる事になるだろ。」
釈「成るようになるさ、です。」
じゅえる「さよならだけが人生さ。」

 

2014/04/28

まゆ子「さて焦眉の急の議題を進めます。」

釈「なんでしょうか。」
まゆ子「第十一巻「萬國吃驚博覽會」、つまりオーラシフターが大活躍します。狼男に対してかっこいい超能力戦を仕掛けます。」
釈「おおー。」
じゅえる「本当に超能力は有る事にするのか。」

まゆ子「さて問題です。どうしましょう?」

釈「あー、何も考えてない?」
じゅえる「いつものことだからもう驚かないが、どうやるつもりだったんだよ。」
まゆ子「基本的に何も考えなくてもあんた達がいい感じにやってくれるからいいかなーと。」

釈「こんな事言ってますぜ、じゅえるの旦那。」
じゅえる「まあ慣れてるからいいんだけどね。そうするとー、つまり何をやってもいいわけだな。」
まゆ子「御自由に。ただ構想としては、オーラシフターは山の中で戦います。街に入ると警察力とか自衛隊とか出てきますが、今のところは表立って公的な事件にはなっていません。」
釈「オーラシフターだけが追っているのですか?」
まゆ子「というか、オーラシフターの前に狼男捕獲に行った部隊の手に負えないから、超能力戦士を必要とした事態。と理解してください。」

じゅえる「特務保安隊でいいのか、それは。」
まゆ子「悪くはありませんが、もっと別の組織でもいいです。というかそもそも特務保安隊は日陰の存在であり、警察自衛隊からは良く見られていません。
 今回の状況を考えると、まず警察の隠密部隊が出動して失敗した結果特務保安隊に管轄が移り、それでもダメだから現在調停中のオーラシフターが特別参加させられた。そういう感じです。」
釈「ふむふむ、なにか面白そうですね。」

じゅえる「つまりまず警察の隠密部隊を考えるべきなんだ。SAT?」
まゆ子「SATではない。というかまずは追跡するのだからSATじゃない、機動捜査隊とでもいうようなかなりの広範囲をカバーできる機械化部隊です。」
じゅえる「狼男はそれだけ広範囲に活動しているわけだな?」
まゆ子「とりあえずサルボロイドの部品は5個に分かれてますから、5つの部隊が有ると考えます。」

釈「しかし機動捜査隊というのは実際に有るんじゃないですかね? 聞いたことがあるような気がします。」
まゆ子「ふむ、そうだな。じゃあ機動追跡隊とでも行っておくか。公的には犯罪者やテロリストが広域で活動中と思われる時に派遣される、県警の管轄を越えて機能する捜査隊てとこか。」
じゅえる「機動追跡班でいいよ。あまり表立って定まった部署でない感じで。」

釈「ふむふむ。分かりやすいですからね。でも武装はそれなりに充実してるんですよね。」
まゆ子「そうでもない。まあ自動拳銃とライフル銃くらいだな。防弾服を着た機動隊員て感じでそれほど特殊なものではない。」
釈「では対人装備に過ぎないわけですか。」
まゆ子「SATが投入される前段階に、目標を追い立てる部隊、と考えるべき。むしろ使っている車両が優れている。防弾車だし情報機材をしっかり積んでいるし。」
じゅえる「あくまでも追跡用だな。」
まゆ子「なんと無人偵察ヘリまで持っている。というかただのラジコンヘリですが、日本製のは良いヘリです。」
釈「なかなか先進的です。」

じゅえる「で、こいつらは失敗するわけだ。なんで?」
まゆ子「簡単に言うと反撃されました。狼男は警察を恐れません。反撃すれば警察が大量投入で捕まえに来る、とか思わないのです。」
釈「ああつまり、狼男という非常識な存在に警察力の導入は限界があったから、特務保安隊を投入したわけですね。」
じゅえる「特務保安隊は一応は兵隊みたいな装備だからな。なるほど、普通に理にかなってる。」

釈「特務保安隊はなぜダメだったんですか。」
まゆ子「簡単に言うと山の中だからです。武装した人間は重たいから、山の中をオオカミみたいに素早くは動けません。特務保安隊は装備は良くても人員は少ないから、対処不能です。
 自衛隊のレンジャー部隊でもちょっと追いつけないと判断して、超能力部隊の投入が決定されました。」

釈「オーラシフターは動けるんですか。」
じゅえる「まあ、仙術によって身体能力を強化する事も芸の内だからな。」

 

釈「質問。特務保安隊は人数何人くらいですか。」

まゆ子「戦闘員としては1000人。しかし首都圏を中心に配置されているから、ゲキ関連に投入できるのは200人くらいだね。狼男狩りには1個小隊30人くらいだから、そりゃ山狩りは無理。」
じゅえる「ゲキ関連においては自衛隊が前面に出て活動してるんだけど、どういう具合に分担してるんだ?」
まゆ子「自衛隊は基本的に人間の武装勢力を抑えこむ形で活動しています。対宇宙人戦闘はそもそも考えられていない。というか無理。」
釈「いえ誰がやっても無理ですが。」
まゆ子「ただ自衛隊、陸自を使うと火器の使用がエスカレートして糊塗できなくなる可能性が高いから、宇宙人関連の襲撃事件が起きた場合はレンジャー部隊か特務保安隊を使う。
 この分担は最初に宇宙人の活動をを関知したのが米軍・自衛隊か、警察かの違いだ。基本的に警察はSATを宇宙人対策には投入しない。」
釈「縦割り行政ですか…。」

じゅえる「特務保安隊は戦闘部隊しか無いのかい。」
まゆ子「いや、なにせ数が少ないから全国に派遣する輸送隊が充実してるし、というか新幹線使って移動したりもする。」
釈「しんかんせん!」
まゆ子「それに存在も活動も極秘であるから、諜報機関としての人員が結構居て分析班も充実して、まあ後は事務とか装備とかで総数は5千人てとこだな。」
釈「諜報機関としての存在が大きいわけですか。ほお。」
じゅえる「まあ諜報機関であれば普通に5千人規模くらいは必要だろうな、普通の国なら。」

まゆ子「いやーそれが、真の意味での諜報機関としてはそこまで大きくはない。なにせ特務保安隊の第一の任務は警備であって、守る所は決まっていて、それに対する脅威の存在も結構固定してるんだな。
 なんというか、通常任務で見張ってれば大丈夫。ってのが特務保安隊の普通のお仕事だ。第一諜報部ではなく、保安情報部門て名前だ。」

じゅえる「なんでそんな無気力な秘密部隊なんだよ。」
まゆ子「特務保安隊はこちらから状況を改善する為の行動、状況の能動的な制御が許されていないのだ。常に受け身の存在だ。」
釈「ああ、そうか。基本的には自衛隊と同じ仕組なんですね。」
まゆ子「日本版CIAとはまったくかけ離れた存在です。まあなんだ、前にも説明したとおりに武装集団による襲撃に対抗する為の強化警察って程度でしかない。」

釈「特務保安隊を改変して日本版CIAになったりはしないんですか?」
まゆ子「無い。」
じゅえる「言い切るのか。」
まゆ子「基本的に特務保安隊は政府直属の武装勢力であって、政府が直接コントロールするからこそ強力な武装が許されるってものだ。
 そこに独自の工作機関とか謀略を任せたりしたら、途端に枠組みがひっくり返る。それは政府の側が望む形ではないんだよ。」

じゅえる「それは分かるが、じゃあ付属の諜報機関はそのままで発展性無しでいいのか。」
まゆ子「良しとはしない人間もそりゃ居るだろうが、大半の保安隊上層部はこのままで居る事の利点を十分理解しているから動かない。というか長年の警察・自衛隊との軋轢を経て今の形態に落ち着いているのだ。ひっくり返すのは無茶なんだ。」
釈「ああ、警察自衛隊共に特務保安隊をちゃんと認知して対抗し牽制してるんですね。だから発展性を見せてはいけないのですか。」

じゅえる「しかし状況が、ゲキの出現によって変わったんじゃないか。」
まゆ子「変わりましたが、特務保安隊を核としてゲキ対策をする事はありません。なにせ米軍との関係が一番重要な案件ですから。」
じゅえる「ふむ。外務省防衛省官邸とそんなところが中心に動くわけだ。」

 

まゆ子「しかし状況が変化していないわけでもない。というか重要拠点防御の為に警察の戦闘力を強化する方針が決まったから、特務保安隊の任務が一部解除されて自由に使えるようになってきた。
 だからゲキ関連の特殊任務に回せるようになってきて、これまでの諜報部門を切離して公安部に肩代わりさせると共に、ゲキ関連の特殊案件調査部を新設する予定になっている。」
釈「ああ、警察も自衛隊もようやく原発とかを主要な警備対象として認められるようになりましたからね。」
じゅえる「なんだ、つまりこれからなわけだ。使えるのは。」

まゆ子「というわけで2008年現在の特務保安隊は諜報機関としても特殊部隊としてもほとんど使い物になりません。ただ充実した火力を見せびらかせて脅してこい、という感じで出動しています。」
釈「かなり痛い運用ですね。」
じゅえる「だがつまり一発も撃つ気が無い、むしろ現実的な運用をされているわけだ。」

釈「あ、でも今現在はゲキ関連の調査とかはどこの部署がやってるんですか?」
まゆ子「簡単に言うと、民間に丸投げだ。」
釈「うそ!」
まゆ子「だからこそオーラシフターとか出番が有るし、ニンジャなんて頑張っているのだ。」
じゅえる「民間、ねえ。要するにアンシエントによって肩代わりされてるわけだ。」

まゆ子「国家機関、政府というものは国民・社会から遊離して存在するわけではありません。金融当局が銀行とかの実際に民間で活躍する私的な組織が無いと意味を持たないように、民間にも国家の運営に携わる業務を請け負う存在が居るのです。」
釈「あー、なんというかそこは普通の人の盲点ですよね。政府行政ってのはきっちりと自己完結しているものと思いがちですが、」
じゅえる「実際はちゃんと民間業者に委託して、色々と事業をやってるからね。
 しかし、ゲキの取り扱いなんて重要な問題をそんな丸投げとは、無茶もいいとこだな。」
まゆ子「むしろ丸投げだからこそ実情を暴露せずに済んできたわけですよ。調査しても実態を統合して把握している部署がないから、機密漏洩も無い。個々の民間組織の情報を繋ぎ合わせても実態は判明しない。」

 

釈「というわけでこれから日本版MIBになるわけですよ。」
まゆ子「ならない!」
釈「ならないんですか?」
まゆ子「特務保安隊の任務は、ゲキ関連の情報を調査しようとする各国政府の合法非合法あるいは民間の諜報員調査員の活動を妨害するものとなる予定。つまり防諜だ。」
釈「はー。」
じゅえる「なるほどね。そっちの方が重要な任務なわけだ、日本においては。」
まゆ子「だから特務保安隊はいつまで経っても保安隊なままなのです。
 というか、これまでゲキ情報秘匿を任されてきたわけで、これからはその専門組織として改変される予定。実績もちゃんと積んでいるのです。
 むしろ彼等の本業はこちらであるのさ。脅威対象に自らの存在を暗黙裡にアピールして行動を抑制させる。それが彼等にとっての能動的な警備活動なわけだ。」

じゅえる「そうか、スパイ天国と呼ばれた日本は諜報機関も無いけれど、まず防諜機関が無いわけだ。情報秘匿をする為の部署は日本には存在しないからな。」
釈「警察でも公安でも自衛隊でもない。どこもそれは出来ないですね。はあ、そうか。そっちの方に重点を置かなくちゃいけないんですね。」

 

****************

まゆ子「というわけで、おーらしふたー、」
釈「はいはい。つまり特務保安隊は使えないわけですよ。」
まゆ子「いや、オーラシフターのサポートに回りますが、幹線道路は固めていますが戦場は山奥ですから役立たずです。」

じゅえる「つまり狼男は山から出られない。」
まゆ子「今のところは、ですね。オーラシフターが突破されたらやりたい放題です。付近を通りかかる一般車両を奪取すればもうどうしようもない。」
釈「道路封鎖は、」
まゆ子「その権限は特務保安隊にはなく、警察の機動捜査班も基本的にそうしないで犯罪者を追いかけるタイプの部隊。しかし事故が起きたという嘘を使って車両規制はしています。
 というか、狼男も5班に分かれているから広範囲すぎて封鎖は出来ません。とりあえず一個ずつです。」

釈「なるほど、つまり人員不足の状態で優先目標を定めて網を張っているわけですか。」
まゆ子「オーラシフターは定数12名、その内2名は門代に来ていない。しかし全員が戦闘タイプというわけではない。」
じゅえる「えーと裏柳生の人は病弱で運動は苦手なんだな。あとサドの王女様が怪力だけどスピードが早いってわけじゃないんだ。」
まゆ子「唐墨理一郎は情報分析タイプで戦闘向けではありません。出来ますが、なにせ敵が5つに分かれているから探索の方に回っています。

 基本的に格闘戦が可能なのは、蟠龍八郎太、喜須 悟、平芽カレイ、三雲 丹。
 射撃で戦闘が可能なのが、子代 隻。ただし今回他のオーラシフターも銃器使用が許可されています。
 罠を張る系が、大丞 白男(裏柳生)、魚養 可子、棟木 曼助。この三人は通常格闘術は使えますが、さすがに狼男には通用しないレベル。
 オールマイティ魔法系、火尉 とます。

じゅえる「格闘術というが、狼男と格闘して勝てるのか。それほどのレベルなのか。」
まゆ子「あー、それでも素手で取り押さえるわけではなくちゃんと武器を使いますし、そもそもが狼男だって素手じゃない。」
釈「当然ですね。銃器を持っていますか狼男は。」
まゆ子「無いのだが、というか彼等は基本的に超ド田舎アマゾン原住民ですから、といっても銃器を使えないわけではありません。
 つまり彼等をこの地に派遣した勢力は彼等の為に銃器の提供を行っていない。日本の裏勢力と提携もしていないから銃器を入手するルートも無い。
 というわけで彼等は弾き弓を使います。」

釈「弓?」
まゆ子「簡単に言うとパチンコです。ただし金属製のバネを使った。あ、知ってた?パチンコつまりスリングショットという武器はそもそもがゴムは使わないのだ。」
じゅえる「ああ、スリングはゴムが発明される前から存在するからね。あれは木の枝の股を使って、木の弾性力で飛ばすんだ。」
釈「普通の弓の形が変ってだけですね。」
まゆ子「狼男が使うのは、この木の股が鋼で出来ているもので、人間の力ではまるで動きませんが狼男の腕力を使うとピストル並の威力を発揮します。弾はパチンコ玉。」
釈「かなり強力そうですね。」
まゆ子「ゴムのように長く引っ張る必要が無いから、構えたと思ったら即発射します。熟練の狼男が使うと普通のピストルよりも厄介だ。」
じゅえる「しかしライフル銃みたいな長距離狙撃はできない。つまりよほど上手く森の中を隠れているんだな。」

釈「狼男と言えば指弾ですが、使わないんですか?」
まゆ子「さすがにそれは避けよう。」
じゅえる「さすがにね。それで他の武器は、」
まゆ子「このパチンコは鋼鉄製ですから、ぶん殴ればそのまま凶器です。というか刃は無いけれど斧の代わりくらいはできる代物です。」
釈「便利グッズですね。でもナイフでないのはどういう理屈ですか。」
まゆ子「いやこいつら狼男だから、獣を捕まえて食べようと思えば牙で噛みます。」
じゅえる「ああ、刃物が必要なのはひよわな人間だけか。なるほど、オオカミの歯なら噛み切れるな。」
釈「噛まれたら最後ってことですか。」
まゆ子「まあ、パチンコは一応とんがった所もありますから、怪力と合わせて使えば普通にモノを切れますよ。アウトドアで不自由しない。」

じゅえる「狼男は日本の野山で食料自給できる?」
まゆ子「ほぼ問題なく。というか、日本には他に肉食獣が居らず人間が獣を狩ったりしないから、獲物はいっぱいです。また植物だって食べられます。人間だからちゃんと調理する。」
じゅえる「麓に餌を探して降りる、ってのは考慮しなくていいんだな。」
まゆ子「あー、彼等のスペックであれば冬が来て山の草が枯れるまではだいたい自給自足できます。まあ今回は急ぎですが。」

釈「つまり日本の山ではあるが、彼等は山の王者なわけですよ。それに対してオーラシフターはどうやって対処するか。」
じゅえる「殺していいのか?」
まゆ子「殺害許可は出ています。また首尾よく道路に追い出してくれれば特務保安隊が銃撃して仕留めるオプションは捨てていません。」
じゅえる「ふむ。じゃあ殺すのを前提として。」

 

まゆ子「ところがだ、彼等は門代上空で弾けたサルボロイドの破片を保持している。

 日本の大学の天文学者が推定したところ、門代上空2万メートルで破裂したサルボロイドの破片は最低でも5個が陸上部に墜落したと思われて、回収に行きます。
 餅は餅屋ということでかなり簡単に発見しますが、彼等はこれが機械生命体の部品だとは知らない。また彼等に護衛は付けていない。これを奪取しようとする勢力が居るとは、誰も想像していなかった。
 だから5個回収されたところで全部狼男に盗まれてしまいます。」

釈「つまり、オーラシフターは彼等が保有するサルボロイドの部品を回収する任務が第一の目標なわけです。」
じゅえる「で、持っているのか?」
まゆ子「持っていません。オーラシフターが第一の狼男を捕獲した際に、彼等がそれを持っていない事を確認します。
 では誰が持っているか。が謎になります。」
じゅえる「ふむ。で、最終的には?」
まゆ子「蟠龍八郎太が物辺神社に挨拶に行った時に、喜味子が改めてぴるまるれれこの近くを調べて発見したサルボロイドの破片の再生実験を見せられます。
 これにより、サルボロイドの再生には金属がかなり大量に必要であると理解します。」
釈「金属の有る場所で、サルボロイドを再生修復している。どこか拠点が有ると推理するわけですね。」

じゅえる「しかし金属なんてどこにでもあるだろ。サルボロイド1体分の金属といえば結構な量にはなるだろうが、自動車1台分くらいじゃないか?」
まゆ子「まあね、でもより適切な環境というのがあるし、電力が有った方が効率はいい。結局工場か自動車解体場だろうとあたりを付ける。」
釈「つまりある程度は工業的な設備があるといいわけですね?」
まゆ子「サルボロイドは自己修復能力は持っているが、人間が適切に分割して並列して再生を促してやればより早く確実に出来上がる。ただそれには或る程度の工学の知識とサルボロイドのロボとしての知識が必要だ。」

じゅえる「分かった。つまりどこかの工場かなんかで集中的に再生しており、他の狼男は持っていないんだな。で、狼男は何をしている?」
まゆ子「いやまあ、サルボロイド回収をする時に強引な略奪を行ったわけで警察沙汰になっているし、サルボロイドの残骸には価値がある事を自ら示してしまったわけであるから、サルボロイドを入手しようとする存在が必ず現れると予想しているんだ。」
釈「迎撃ですか。」
まゆ子「さらに言えば、警察が当初から追っかけてるからね。サルボロイド再生工場が見つからないようにしなくちゃいけない。目を他に逸らさないとさ。」

じゅえる「理解した。つまり5班の狼男の内1班だけがサルボロイドを持っていて、他は雑魚だな。」
釈「雑魚ってことでもありませんが、本丸を探せという話ですね。」

まゆ子「物語の終わりは決まっています。

 オーラシフターは狼男達を次々に狩っていきますが、サルボロイド本体の回収には失敗して、再度門代への搬入を許してしまう。
 そして狼男はぴるまるれれこの所にサルボロイドを持って行き、再び接触を図る。
 ゲキの少女達が来た時には既にサルボロイドは復活、しかしまだ完全ではない。

 そこで狼男達がファイブリオンの絵でサルボロイドを制御しようとしているのを見て、鳩保があの絵をこちらで抑えれば勝てると発見。
 物辺優子が絵を描いて見せると、狼男が持つものよりもはるかに強力に支配できるが、それでもまだ足りない。
 そこに書道の神様「相原志穂美」が出現して、優子が描いたものよりもはるかに素晴らしい絵を描いてしまう。
 これを取り込んだサルボロイドは暴走してしまう。

 というものさ。」

じゅえる「志穂美めー、やりやがったな。」
釈「ウエンディズは正義の味方ですからねえ。門代に悪の狼男が徘徊していれば、そりゃ出動ですよ。」

まゆ子「というわけで、オーラシフターは狼男退治は成功するが肝心のサルボロイド制圧は失敗する。というよりもサルボロイドを再びぴるまるれれこの傍に持ってこようなんて誰も考えていない。」
じゅえる「ゲキの連中も知らない?」
まゆ子「というか、そもそもなんでサルボロイドがぴるまるれれこの所に来たか知らないから、分かりません。それほど拘泥する理由が分かりません。」
釈「当然オーラシフターは門代はノーマークだった、てことですか。うーむ。」
まゆ子「どうしたものかな、そこらへんは本当に知らなかった、でいいかな?」
じゅえる「ふうむ、せめて喜味子でも分かればな、自分で行って対処しただろうが、ゲキの連中にとっても寝耳に水って感じだろうな。」

釈「あ、そうだ。サルボロイドの部品が宅急便で門代にまで送られてくる、ということで。」
じゅえる「そうか、サルボロイド再生工場を強襲したら、すでにもぬけの殻で、肝心の部品は門代のー、誰に?」
まゆ子「それは至極以外でかつ身近な人がいいかな? たとえば竹本すぐり先生とか。」
釈「さすがに使い回しすぎです。もっと意外性の有る人物の所が。」
じゅえる「意外、ねえ。誰か穴となる奴が居ないだろうかね。」
釈「まゆちゃん先輩の所では?」
まゆ子「私?」
じゅえる「それは意外だが、さすがに関連性をまったく見いだせないし、ウエンディズだし。」

まゆ子「宅急便を使うとすれば、ミセス・ワタツミであろうさ。この関係からしてみると。」
じゅえる「まあ、そうなんだが。しかしミセス・ワタツミと言われても門代の誰さ?」
まゆ子「うーん。というか、ぴるまるれれこに一番近い場所にあるのは門代高校だぞ。学校でいいんじゃないだろうか。」

釈「ああ、そうですね。学校で受け取って、そこに狼男の残党が襲撃に来ればOKですよ。」
じゅえる「というか、門代高校にミセス・ワタツミの信者が居るとか協力者が潜伏していた、とかがいいんじゃないか。」
まゆ子「うん、その方が自然だが当然教員てことになるな。平の教師ではなく、」
釈「教頭くらいですかね、勝手に大荷物受け取っても大丈夫なのは。」
まゆ子「そうだな。では悪の教頭ということで。」

じゅえる「しかし、門代高校の教員とかは警察やら秘密諜報機関やらニンジャやらに監視されているんじゃないか?」
まゆ子「うーん。」
釈「そうですが、普通に荷物を受け取るだけならそこまで異常という話ではないと思います。」
じゅえる「警戒されない?」
釈「受け取るだけなら。特にサルボロイド捜索班からの情報が門代高校監視班に届いてない場合は。」

まゆ子「教頭の異常な行動は荷物を受け取る時でなく、受け取った後なんだろう。そもそもがぴるまるれれこの所に届けなくてはならない。」
じゅえる「軽トラにでも載せて山まで運ぶか。」
釈「そうですね。ぴるまるれれこの居る場所は危険地帯ってのは、さすがに人間の側でも理解しているでしょうから。」
まゆ子「そうだな。物辺村のゲキの連中のところには複数機関からの警告というか問い合わせが集中して、おっかなびっくりで出動する、ってところだろう。」
じゅえる「そして最終的には蟠龍八郎太からサルボロイドの部品が宅急便で門代高校に送られた、という情報が到着するわけだ。」

まゆ子「だがその異常な荷物が到着した現場に、ウエンディズの誰かが居て見届けた、ということで。」
じゅえる「えーと、そんなに敏感で賢い奴となると、弥生ちゃんではなくしるくではなくふぁではなくまゆ子は居ない志穂美は後で出るあたしは?」
釈「じゅえる先輩はそんなことには関わりたいとは思わないです。もちろん二年生一年生は無し。明美先輩はそもそもが異変を気付かない。」
まゆ子「となれば、聖ちゃんだな。その場にちょうど居合わせたのだ。」
じゅえる「聖っちゃんならば納得だ。」

まゆ子「では聖ちゃんは前にまゆちゃんから機械生命体の部品を発見したら無くなった、という事件を聞いていた事にしよう。そして天空に流星が上がっていった事件も記憶して。」
じゅえる「聖ちゃんならばあり得る話だ。」
釈「納得です。というかその役は私シャクティさん、でもいいかもしれません。」
まゆ子「シャクちゃんを使うのはさすがにやり過ぎだからな。」

じゅえる「聖は耳がすごくイイから、サルボロイドの部品から発する音に敏感に気付いて異常な物品だと見抜いた事にしよう。」
釈「前に、十一日のサルボロイド部品を見ているとかは?」
まゆ子「そこまではやり過ぎだ。そうだな、ウエンディズが謎の機械生命体消失事件を捜査した時に嗅いだ、サルボロイド薄片の燃えた臭いを覚えていた、とかだな。」
じゅえる「そうか、再生中のサルボロイドは焦げるのか。」
釈「そりゃあ激烈に動きますから、焦げくらいは出るでしょう。」
まゆ子「よし決まりだ! ディテクティブ聖っちゃんだ。」

 

釈「しかし、サルボロイドの部品が門代高校に集結したとして、その時点ではサルボロイドはロボととして可動できるんですか?」
じゅえる「いや、かなり中途半端な状態じゃないか。なにせ宅急便で運べるくらいだからそれほど大きくも無いだろうし。」
まゆ子「いや、ここでこそファイブリオンの画像の出番だ。ファイブリオンを示された部品はそれまでの単純な再生を終了して、一つに統合してのロボへと発展する。
 もちろん未だ人型すら取れない未熟な存在だが、それでも個体としての判断能力を備えた一個のロボとなる。」

まゆ子「うん、そうだな。つまりだ、門代高校に到着した時点ではサルボロイドはただの部品に過ぎないのだ。
 しかし教頭がこれを組み立ててファイブリオンの画像を示すとちゃんとしたロボとして活動を開始する。
 さらに足りない部品を補うために軽トラックと融合して、一見するとただの軽トラに化けたサルボロイドになるんだよ。
 ただの軽トラが門代高校の裏山に行くのを誰も咎めるはずがない。そこで、ノーマークでぴるまるれれこの場所に辿り着くんだ。」
釈「おう!」
じゅえる「うん、なるほど。それはスマートな解決策だ。

 しかしファイブリオンの画像ってそんなに効果があるのか。」
釈「サルボロイド・サーヴァントは誤謬によってファイブリオンを認識しているんじゃないんですか?」

まゆ子「因果が逆なんだ。そもそもがサルボロイドはファイブリオンに似た存在、つまりぴるまるれれこに反応するように作られていた。
 長く投棄されていた時点ではすっかり忘れていたが、ファイブリオンの画像を信仰する人間と接する内に、そのプリミティブに自身にセットされていた行動プログラムを発見する。
 つまりぴるまるれれこを求めて動く本能が目覚めたんだ。」

じゅえる「しかし、なんでそんなプログラムが。」
まゆ子「つまりだね、そもそもがサルボロイド星人によって作られたサルボロイド・サーヴァントは、そのご主人様宇宙人がぴるまるれれこによって文明を滅ぼされるところを目撃している。
 というよりは、自身も含めてサルボロイド文明は滅ぼされた。で、生き残ったサルボロイド星人が自らの手足となって働く労働力として作ったのが、現在のサルボロイド・サーヴァントだ。
 そもそもがぴるまるれれこはブラックホール量子コンピュータとかの高次宇宙人が使う機械を同化捕食する宇宙人であって、機械式コンピュータであるサルボロイド・サーヴァントは対象外。そういう風に作ってある。
 二度とぴるまるれれこに滅ぼされない為にね。

 だが文明を失った彼等は以後種族としての繁栄は無く、歴史の闇に呑み込まれて消えている。
 生命体としてのサルボロイド星人は滅びたが、彼等は自らの復活の種子を残しておいた。それがサルボロイド・サーヴァントだ。
 このロボットはただのロボットに過ぎないが、長く宇宙で活動して他の宇宙人とも接触して、いつの日かぴるまるれれこを凌駕する技術を獲得するプログラムを仕込まれている。
 最凶の天敵ぴるまるれれこに対抗出来る能力を獲得した時点に、超生命体としてサルボロイド星人を復活させるのが目的だ。
 だからサルボロイド・サーヴァントはサルボロイド星人と呼んでも、特に不都合ではない。いずれ生命体に戻る為の種子の殻、さやいんげんみたいなものだ。」

じゅえる「いやそこはピーナツの殻だろ。」
釈「つまりはサルボロイド星人は自らの復活をロボットに託したわけですよ。DNAとかはデジタル記録しておけばいつまででも残りますからね。」
じゅえる「だいたい分かった。ゲキがそもそもぴるまるれれこに対抗できる能力を持っているから、ゲキの復活と共にサルボロイド・サーヴァントも本来の活動を開始したんだ。
 そしてぴるまるれれこも地上に光臨して、遂に本来のプログラムを発動させる時が来た。」
まゆ子「うん、その解釈で間違いない。」

じゅえる「しかし、ゲキの能力はどうやって取り込むのだ?」
まゆ子「その解答は既に得ている。ゲキの使役する人間の一族に奉仕する事で、自らもゲキの影響力を行使できる。つまり寄生だ。
 実は既にサルボロイドはゲキの一族と接触している。ミセス・ワタツミがその人だ。」
釈「えーと、その人の正体は。」
まゆ子「物辺優子の母親、物辺贄子なんだな。」
じゅえる「やっぱり。」
釈「ええそうでしょうとも、それが物語というものですよ。」

まゆ子「しかし、この時点においてはサルボロイドの活動は理性的合理的なものでした。
 問題は志穂美が描いた超「ファイブリオン画像」なんだ。
 これを体内に取り込んだサルボロイド・サーヴァントは、自らが従属機械生命体である事を突破して独立機械生命体に進化した。
 さらにぴるまるれれこからのエネルギーを吸収して巨大エネルギーロボに変身してウルトラマン化するわけだ。」
釈「もう無茶苦茶になってしまったわけですね。」

まゆ子「まあここらへんの説明は、クビ子さんにとっ捕まったビリケン星人が白状いたします。サルボロイドを使って人間を地底深くに住まわせた張本人です。」

 

まゆ子「ちなみに、この時の出動時にゲキの少女は全員が聖闘士型コスチュームを身に付けます。」
釈「ああ、鳩保さんがペガサスで、みのりさんがアンドロメダ、喜味子さんがシャイナさんか魔鈴さんの女性形聖衣ですね。」
じゅえる「物辺優子はー、」
まゆ子「暗黒フェニックス、でどうだろう。」
じゅえる「うむ。」

釈「では花憐さんはどうしましょうか。キグナスですかドラゴンですか。」
まゆ子「超頑丈アテナの聖衣では。」
じゅえる「そりゃあ頑丈だな。怖がり花憐ちゃんでも安心だ。」

まゆ子「なんだったら花憐ちゃんは華麗にクリスタルセイントでもいいぞ。」

 

****************

まゆ子「というわけで、おーらしふたー。」
釈「はいはい、結末が分かりましたからそこに持って行くまでを考えればいいですね。えーと、スケジュールからして門代高校にサルボロイドが配達される直前。」
じゅえる「オーラシフターがその再生工場に踏み込んだ、そこでオーラシフターの出番は終了だ。」

まゆ子「だがね、拠点が確実にあり抵抗が予想される状況であれば、オーラシフターではなく近代火器を有する警察か特務保安隊の出番じゃないだろうか。」
釈「そうですね、じゃあここの最終的な決着という場面ではオーラシフターは後ろで見ているだけ。ということで。」
じゅえる「定番の展開だな。セクト主義というか他に出番を渡さないように横槍を入れるとか、そういう官僚主義的対応に子供達のオーラシフターは割を食わされるって寸法だ。」
釈「ということで、再生工場の場所を突き止めるまでがオーラシフターの活躍ということです。」

じゅえる「つまり、まず一組目を捕まえてサルボロイドの部品を持っていない事を明らかにするわけだな。」
まゆ子「そうだね、まず一組目はガチで捕まえてみよう。」
釈「オーラシフターの戦闘力を明らかにするパートですね。では格闘戦型のメンバーで。」
じゅえる「となるとカレイさん、喜須、三雲、の三人で、」
まゆ子「それでも念の為に火尉とますを付けておこう。蟠龍八郎太を除いたら、この布陣で格闘戦最強だ。」

じゅえる「じゃあ第二班は別口で活動しているという事で、あまり正面からは激突しないように、」
まゆ子「するつもりでしたが、真正面から鉢合わせする。それが棟木曼助の超能力「変なものに出くわす」です。」
釈「そういう風に使えるんですね。」
じゅえる「棟木、魚養、子代、の3名だな。」
まゆ子「ただ、この班は弱い。だから武装した特務保安隊を同行している事にしよう。でも、決め手は可子さんの即死魔眼だ。」
釈「殺していいんですか?」
まゆ子「いや、心臓麻痺で死ぬところを、子代さんのピストルで撃たれて重症。命は取り留めた、という感じで。」
じゅえる「死ぬ前に殺せば超能力は効かなかった事になるんだ。」
釈「なんか割りきれませんね。」
まゆ子「でもそれが子代さんの優しさだよ。弱装弾を使うし。」

釈「で、二組共にサルボロイドの部品を持っていない事が判明して、どこかの拠点で再生に集中していると判明する。」
まゆ子「うん。で興味の対象は何処の施設を使っているのか、になる。」

じゅえる「分析班が唐墨で、」
まゆ子「唐墨、大丞、蟠龍だよ。本部だね。八郎太は物辺神社に寄ってきたから現場には遅れて到着。」
釈「大丞白男は能力なんでしたかね、裏柳生なんですよね。」
まゆ子「運勢制御だ。魔法陣を描いて、そこに踏み込むと敵の行動が変わる。」
じゅえる「うん、だから再生基地を見つける為に、大丞が張った魔法陣に狼男を触れさせる必要があるんだ。」
釈「なるほど、役に立つんですね。」
じゅえる「その魔法陣に触れた狼男は、ふいにサルボロイド再生が上手くいってないのではないかと不安に駆られて、思わず再生工場に戻ってしまう、という感じだな。」
まゆ子「うん、実に自然な感じで自分が精神コントロールされてるとかは思わないんだ。」
釈「それで工場の位置がバレるんですね。」

 

じゅえる「それで、唐墨の能力はサイコメトリーでいいのか?」
まゆ子「なんか違うような気がするな。もっと深い分析力と他愛のない分かりやすさがあると思うんだ。」
釈「サイコメトラーであればモノに触ったり場所に行ったりすると、その縁の何かが分かるんですよね。仙術であれば特に不思議ではありませんが、」
じゅえる「なんというか、簡単過ぎるんじゃないだろうかソレ。」
まゆ子「うーん、瞬間記憶術とか完全記憶術とか、そういうのとも違う。えーとつまり、彼は基本的に普通人の秀才なわけです。」
釈「分かります。知的には優れていても特別じゃない。常識的な思考で状況を分析していくんですね。」
じゅえる「サイコメトリーの能力はそれと反するものじゃないけれど、それが有ると特別な知性になるかもね。平凡ではいられないかも。」

まゆ子「分析能力、なんだよ。分析するからには知的な能力の強化か情報系の能力でないといけない。」
釈「あ、ちなみに子代 朔の能力が悪意のサイコメトリーです。人の悪意が篭ったものを感じ取ります。」
じゅえる「二人は要らないよな。唐墨の能力はかなり常識的であって欲しい。」
まゆ子「うーん、そうすると超能力ではなくマニア系能力者ということかなあ。マニア特有の優れた集中力によって常人が気づかぬモノを感知する。」
じゅえる「まだそっちの方がアリなのだが、うーん。」

釈「こっくりさんでは?」
まゆ子「おい。」
じゅえる「いやそれはいかんだろ。勘ならまだしもこっくりさんで捜査を行うのは。」
まゆ子「いや、それは聞いたことが有るような気がする。つまりこっくりさんをしているように見えて、実は自分の奥底で感じる違和感を掘り起こして、それを深く考えると意味が見えてくる。」
じゅえる「直感か。」
まゆ子「他力本願の直感だな。」
釈「なぜか分からないけれど正解を導き出し、これが何を意味するのかを苦悩して考える。という感じですかね。」
まゆ子「うん、唐墨というキャラには向いている描写だ。」
じゅえる「常に困っている系で、しかもとにかく喋る奴だからな。」

まゆ子「つまり今回の場合、唐墨理一郎はまずマップ上で狼男が出現する位置というのをいきなり発見してしまうのだ。
 しかしその時刻において、そこには狼男は居ない。何故居ないか、まだ来てないからだ。当然傍目にはまったく的外れな位置を指名していると思える。
 そしてそれぞれで狼男を捕まえていく内に、彼らが肝心のサルボロイドの部品を持っていない事に気が付く。
 たぶんどこかに置いて集中的に再生を行っているのだろう。だがその拠点はどこだ?
 そこで狼男を罠に掛けて拠点に引き返すように仕向けるべきだと考える。大丞の運勢制御能力を使って狼男の行動を変化させる。
 ではその罠を仕掛けるべき場所はどこだ?

 それが唐墨が最初に発見した位置なのだ。」

じゅえる「ややこしい能力者だなあ。」
釈「しかし、それは物語上ではなかなか面白い演出です。だんだんと煮詰まっていく感じがしていいですね。」
まゆ子「これはーなんという能力だろうか?」
釈「天啓、じゃないですかね。」
まゆ子「天啓力、か。うーん仙人ぽいといえばそうなんだがね。」
じゅえる「ただこれはいつもいつも効果が有る能力じゃない方がいいだろう。能力が示したモノが何か、思慮が及ばずに見過ごしてしまう。問題の解決には寄与しなかった。
 しかし後で振り返ってみると、それが鍵だったのだな。と気付くんだ。」
釈「なるほど、一生懸命考えるべきなのですね。」

 

まゆ子「あと、子代さんは普通使うのは.25口径の婦人用護身拳銃です。.25口径だから威力が無い以上に有効射程距離が短い。
 まあ拳銃の当たる距離は5メートルとか言われますが、熟練者でも20メートル離れたら無理ぽくなりますが、子代さんは50メートルでも当てます。これは超能力によるものです。」
じゅえる「実際.25口径で50メートル届くのか?」
まゆ子「ただ飛ぶだけなら大丈夫でしょ。でも弾が軽いから相当ぶれるはずで、当てるとかあり得ないね。彼女はそのランダム性を読み解く一種の予知能力者なんだ。」
釈「でも剛力がほんとうの能力なんですよね?」
まゆ子「機械のようにがっちりと保持して正確に撃つから、予知能力も効果が有る。さらにもっと強力な拳銃でも問題なく撃てます。というか熊撃ちの銃でも。」
じゅえる「そこまで握力凄いのか。」
まゆ子「たださすがに手自体が女の子で小さいから、大型銃は片手では撃てません。特務保安隊が使う9ミリのグロックくらいなら片手OKだけど。
 つまり今回狼男が相手だから、さすがに.25口径では威力がまったく不足するので、特務保安隊から拳銃を借ります。
 9ミリで追い詰めていきますが、最後にフカ子さんの即死能力で死にかけている狼男には.25で心臓を撃って死んだ気にさせて救うわけです。

 ちなみに彼女が50メートルなんて曲芸撃ちを見せるのは、さすがにこの距離だと.25口径の弾丸は殺傷力が激減して当たっても死なないからです。これが彼女流の優しさ。」
釈「さすがにサドの王女様ですねえ。」
まゆ子「ちなみに特務保安隊の使うグロックはグロック19と呼ばれる9ミリ15+1発の小さいやつで、日本だとSATが使ってるとされている。つまり特務保安隊独自装備てわけじゃない。」
じゅえる「日本でもグロック使ってるんだ。」
釈「ベレッタかと思ってましたよ。」

まゆ子「あと、彼女は他のメンバーと違って体術を駆使した高い運動性能ってのはありません。もちろん同じ術を覚えているから普通の人間よりははるかに動けるんだけど、ぎこちなく遅い。
 まあ優美なゴーレムという感じで、動きは優雅だけど無理な高さからでも平気で落ちて無傷。高い壁でも握力を利用して難無く登っていく。て感じです。

 これが昼間は眠っている子代 朔になると皆と同様の運動術が使えて直線状に動くようになります。早い。」
じゅえる「素手の格闘では朔はどうなんだ。」
まゆ子「あまり強くはない。ただやはり拳銃は使うししかも至近距離で体術を駆使して撃ってくるから、むしろ危ないと言えるでしょう。隻と違って朔はぶっ殺しに来る、と思います。」
釈「つまり隻さんの方が非常識なんですね。」

 

****************

まゆ子「あーところで、オーラシフターの皆さんは戦闘に際して定まった戦闘服をちゃんと着ています。戦闘トラックスーツです。」
釈「トラックスーツとジャージはどう違うんですか?」
じゅえる「トラックスーツは金持ち階級が自分達もジャージ着てみよう、って思った時に、ジャージって名前は恥ずかしいなあとてきとーに付けた名前だよ。」
まゆ子「実質ジャージです。実際フカ子さんとかは戦闘ジャージと呼びます。正式名称は「バトルトラックスーツ」だけど。」

釈「どんな特典がありますかその戦闘ジャージ。」
まゆ子「まず丈夫。特に擦過に対しては非常に強い。つまりアスファルトの道路で転んでもかすり傷負わない。
 さらに要部に薄いながらも強力な衝撃吸収機能を持った素材を配しており、脊椎延髄とかを効果的に守ってくれます。」
じゅえる「まあ、怪我をしないのはいいことだ。」
まゆ子「反面、防弾機能はありません。対刃防御は或る程度、つまり突かれるのではなく斬りつけるのに対してはかなり効きますが、貫通には無力です。」
釈「はあ、ダメですか。」
じゅえる「というか、防弾チョッキをジャージの上に着ればいいんだ。」
釈「はあ、それは簡単な解決策です。」
まゆ子「まあね。」

釈「その他には特別な保護機能は無いのですか。」
まゆ子「まあ水に落ちてもちゃんと泳げるとか、冬山でも防寒服になるとか、でも通気性抜群で涼しいとか色々と。
 でもまずは色ですね。ネズミ色ですよ。これが一番隠れやすい。」
釈「まあニンジャもネズミ色は良く使いますからね。グレーは山や森林、都市部でも効果の高い隠密性を持ってます。」
じゅえる「女の子には嬉しくないけどね。」

まゆ子「というわけで、子代さんは戦闘ジャージの上にゴスロリを着ています。ちょっと暑いけど我慢する。
 フカ子さんも赤いセーラー服を着ていますが、フカ子さんの能力は目立つ必要があるから必然です。」
じゅえる「ふむ。まあそこらへんは物語ということで。」
釈「女の子はおしゃれしてなんぼです。」

 

まゆ子「防刃に関しては手袋にその能力があります。オーラシフターほどの体術格闘術の使い手であれば、手袋と靴にその機能があれば十分です。
 もちろん靴も特別製。安全靴になってます。しかしスパイクはありませんね。地面に足あとが付かないように。」
じゅえる「武器は内蔵していないのか。」
まゆ子「いやポケットは有るけれど、何を入れるかは人それぞれだし。

 収納という意味では背中に防弾リュックサックを背負っています。これは脊髄保護の為でもありますが、小物入れですね。いくら仙術使いとはいえ多少の装備は持っていきます。」
釈「具体的には何が入ってますか。」
まゆ子「まあ水とカロリーメイトみたいな簡単な食料、懐中電灯やら万能ナイフ、ライター、雨具としても毛布としても使える銀色シートとか救急セットくらいかな。武器はリュックの外にぶら下げるなりすればいい。」
じゅえる「方位磁針とか地図とかは。」
まゆ子「最近はケイタイで出来るからね。GPSの使える携帯電話を入れていたりするが、そもそも電波届く所に行くとは限らない。
 というかこの装備は今回のミッションが山林だから、一応ね。遭難した場合を考えて持っていく。」

 

じゅえる「武器は決まったものがあるのか。拳銃は子代が持っているのは知ってるけど。」
まゆ子「まあ基本的にこれまではオーラシフターは銃器の使用はありませんでしたが、これからは適宜使うこととなるでしょう。
 拳銃、ナイフ、折りたたみ警棒、ロープ、その他色々です。スタンガンやらスタンスティックもありますよ。
 今のところ決っているのが、八郎太の日本刀。子代の.25自動式拳銃。棟木曼助の長い棒、フカ子の木刀、大丞白男の尺八です。」

釈「標準装備の武器ってのがあるといいかもしれませんね。仙人ならではの武器とか。」
じゅえる「ニンジャで言えば手裏剣やクナイみたいのだな。」
まゆ子「ふむクナイねえ。仙道の道士なら御札とか銭刀とかだろうが、さすがにねえ。」
釈「直接的には仙術は関係ないんでしたねえ。」

じゅえる「タコは関係あるんだろ? タコの触手的なものがあれば一番いいぞ。」
まゆ子「いやさすがに触手を持ち歩くわけには。そうだなールパン的ではあるがワイヤーとか?」
釈「そうですねーワイヤーはどの作品においても便利極まりないものですが、実際に使えるかと言われるとさすがに困りますね。」
じゅえる「ムチとか? 1メートルくらいの針金みたいなムチでもいいかも。」
まゆ子「うん、棒は何かと便利だし、武器としても不足はない。しかし。」
釈「伸びると棒のように固まるヒモ、というのが有るでしょ。手品のネタに。あんな感じのが袖から出てくるとかでは。」
まゆ子「ふむ。だがそれは個人の特技ということにしておこう。喜須 悟とかが得意そうだ。」

じゅえる「でも狼男が相手だからなあ。さすがに素手というわけにもいかん。」
釈「まあ標準装備武器ってのはだいたい役立たずと相場は決っているのですが。なにかいいモノ有りませんかねえ。」
まゆ子「まあなんといいますか、一番の武器は戦闘ジャージそのものだろうね。手袋も有るし、格闘をするにもサバイバルをするにも便利なんだよ丈夫な手は。」
釈「タコの吸盤みたいにくっつくようにしますか。」
まゆ子「いや機能としてはそれは無い。が描写としては手が良くくっつく、てのはアリだな。」
じゅえる「スパイダーマン的に壁登りをするのもアリか。タコならアリだな。」

釈「じゃあワイヤーは無しで。」
まゆ子「それも演出上はかなり嬉しくない。手や袖には無いとしても、ベルトがワイヤー仕込んでるのはアリだぞ。」
じゅえる「それこそベルトを引き抜くとワイヤーみたいに長くなるとか、ちょっと握ると棒になるて感じだな。」
釈「ベルトですか、でもジャージにベルトは。」
まゆ子「まあ無いんだけどさ。ベルトは無くてもバックルは有っていいだろ。色んなものぶら下げるとこも必要だし。」
じゅえる「戦闘ジャージにはベルトは無くてもバックルは有り、バックルを引き抜くとムチのように使える。これでOKだ。」
釈「それが標準装備ですか。まあ、無くても良さそうな気もしますが。」
まゆ子「うーん、まあなんだ。1メートルくらいの長さのムチなら不自然でもないだろ。」

じゅえる「腹の前にバックルが来てるから変なんだよ。ジャージの腰の左右にそのような装備をぶら下げるフックがあって、そこにベルトバックルが有るということで。」
釈「そんなものですかね。」
じゅえる「腰の左右にベルトとナイフとあれば何かと便利だろ。ナイフは小さいやつでいいよ。刃渡り5センチくらいで。」
まゆ子「まあね、ナタが必要なら別に持っていくし、ちょっとした枝とかロープとか切るだけならそのくらいだね。」

釈「じゃあ右のバックルには小さいナイフで、左のバックルには1メートルほどのムチとして武器にも使えるベルトが出てくると。
 そうですねえ、ナイフは小さくてもいいですが鉄だって切れるような凄いのにしましょう。」
じゅえる「鉄か。鉄条網やら金網フェンスくらいは切れた方がいいからなあ。」

 

まゆ子「それと正式には頭部を保護するための頭巾みたいなスキーの帽子みたいなのを被る。これは延髄と後頭部を守るための大事な保護具でありもちろん絶対必要なんだが、まあ顔がよく見えないから演出上は無しでもイイ。
 覆面ではないから一応顔は出ています。で、完全な防護を考えるとこの上にヘルメットを被ります。防弾じゃない自転車のヘルメットみたいな。」
じゅえる「防弾はまったく諦めているんだ。」
まゆ子「鉄兜くらい被ってもいいですが、というかオーラシフターの普通の敵は銃火器を使うのに躊躇しない連中なんですが、とりあえず考えない。」

釈「完全防弾スタイルになる時もありますか。」
まゆ子「いやーそういうのは本職に任せた方がいいからねえ。だいたい火力勝負になるし。」
じゅえる「銃に関しては素人ってことか。」
まゆ子「でも飛び道具でえぐいものを使ったりしますよ。超強力レーザーポインタとか。これで敵の目を灼けば銃も使えない。」
釈「それはなんとか条約違反です!」
じゅえる「オーラシフターが相手にするのは条約とか人権とか無い敵だからな。なるほど、火器は無くとも非情の策は取り得るか。」

まゆ子「あと頭部パーツには通信機能が付いてきます。と言ってもまあPHSですね。近くに居る仲間同士が会話できるトランシーバー機能搭載です。」
じゅえる「2008年にはPHSはもう死んでるんじゃないか?」
まゆ子「いやまあ、普通の携帯電話でもいいんだけどさ、オーラシフター専用回線だからさ。そんなに離れた相手と交信しても仕方ないし、車両とかで基地局を持ち運んでサポートするし

 なにより2008年現在で枯れた技術を使ってるんだよ。オーラシフターに携帯電話が採用されたのは90年代後半で、電波が届かない場所なんかに派遣されて色々苦労したんだ。」
釈「ああ、自前の基地局まで持って行って通信してたんですね。そりゃあ今でもケイタイ繋がらないとかありますからねえ。」
じゅえる「特に山の中とか離島とか、如何にも不思議部隊が行きそうな場所だからな。なるほど、そりゃたいへんだ。」

まゆ子「もっと電波がよく飛ぶトランシーバー持たせてもいいんだが電池重たいし、普通の携帯電話だって持ってたりするんだから、戦闘ジャージに装備されてるのはこれでいいんだよ。」
じゅえる「電池はどうするんだ?」
釈「いや、電池が切れるほど長く単独先行しますかね?」
まゆ子「そこらへんはミッションの内容によるけれど、電池の保ちはたしかに重要なポイントでちゃんと考えてますよ。どうしても必要とあれば替えの電池をリュックサックに入れて行くし、手回し発電機とか持って行ってもいい。」

 

釈「ノクトビジョンは?」
じゅえる「いや、そこは仙術で夜目が利くってのでいいだろ。」
釈「しかし赤外線くらいはなんとかしないと。」
まゆ子「赤外線といえばだ、最近は赤外線で監視するカメラも普及してきてるから、戦闘ジャージも赤外線欺瞞対応だ。体温の熱を濃密を付けて放出することで、人間の形の熱源にならないように工夫している。
 これは現代の戦闘服には必須の機能だね。自衛隊の戦闘服もそうなってるらしい。洗濯機に入れると効果が無くなるとか聞いたよ。」
じゅえる「敵がハイテク機器を使うのは普通にアリなんだな?」
まゆ子「そりゃあ現代のお話ですから。」

釈「デジカメとかは。」
じゅえる「戦闘記録を残す為にもデジカメとかビデオカメラは有るべきだろう、さすがにさ。」
まゆ子「それは普通携帯を持っていくということで。でも戦闘中に普通携帯は使えないか。」
釈「2014年の今なら、戦闘中でもばっちり映る小型軽量フルHDビデオカメラあるんですけどねえ。2008年で電池の保ちまで考えると無理ですかね。」
まゆ子「ちょっとね。そこらへんは偵察任務ではデジカメを持っていくし、通常任務の時は携帯のカメラを使うということで。」
じゅえる「スマホが有れば全部OKなんだがな。さすがにすこしばかり早い。」

まゆ子「それからさ、防御力に関しては戦闘ジャージの上に着る戦闘学ランというものも有る。でも夏は暑いから今回用いない。」
釈「つまり戦闘ジャージはさらに防御力を高める装備を着る事を前提とした、最低ラインの保護力を持っているって事ですね。」

 

 

2014/04/18

まゆ子「風邪ひいた。」
釈「あらたいへん。」

まゆ子「このところはビタミンCを常用して風邪とは1年以上ご無沙汰だっただけに、不覚を取った。」
じゅえる「季節の変わり目は難しいからねえ。」
まゆ子「3日寝こむと爪が勝手に伸びて、キーボード叩くのにも邪魔になる、って今気づいた。これは新しい発見。」
釈「へー、3日切らないなんて普通ですけどねえ。」
じゅえる「使ってる時はなんやかやでじゃまにならないようになってるんだろ。面白いな。」
釈「ネコが爪を研ぐようなものですかね。」

まゆ子「それにしても改めて、やっぱ病人は何も出来んと思い知った。病気でありながら何事かやってのける人ってのは凄まじいエネルギーと寿命を削ってやってるんだね。」
じゅえる「そりゃあ、  ……寿命を削るんかね?」
釈「さすがにやった事ありませんから分かりませんが、静かにしとけば生きられるのにころっと逝きそうですね。」
まゆ子「まあモノと症状によるんだが、生きるのに必死であればソレ以外を捨てて養生に務めるのが人として正しい姿だろうね。」

じゅえる「うーん、なるほど。」
まゆ子「という事を、病人書く時は気をつけようと思う。よく小説とかでは病人や瀕死の重傷でも安易にヒントとか手掛かりとか出してくれるじゃないか。」
釈「あ、あー、推理モノとかでよくあるシチュですね。」
じゅえる「分かっちゃいるが本人としてはそれどころじゃないからな。安直ご都合主義で他人様の役に立ってくれるのはお話の中だけか。」
まゆ子「リアリズムを志向する時は考えなくちゃね。異常だからこそ感動的で、感動的であるからこそ多用常用されちゃうのだ。」
釈「戒めですね。」

************

 

まゆ子「さて。140411をもって『ゲキロボ』「八月十五日」を書いたわけですが、

 双子のエロさ、75パーセントカットです! エロ過ぎてダメだ!」
じゅえる「具体的にどの程度ダメなんだ?」
まゆ子「”でぽでぽ”で禁じられているエロ小説レベルだ。正直ちゃんとしたキャラクターが行うエロは、エロ小説やエロ漫画の使い捨てキャラのエロさとは格段に破壊力が違います。」
じゅえる「うむうむ。だからこその二次創作なのだな。」

釈「まあ要するに、逃げたわけですよ。」
まゆ子「元々ここのところのさじ加減は難しい。かなり慎重に、没原稿を出しながら調整しました。」

じゅえる「しかしなんだ。この和ポンという少年は喜味子の事を好きなのか?」
まゆ子「自分ではそれは異常な変態性欲でないかと思い、恐怖しています。正常な日常生活に戻れなくなってしまうのではないかと。」
釈「でも喜味ちゃんいい人ですよ?」
まゆ子「あーでもねー、」
じゅえる「喜味子のセックスシーンとか考えると、それはさすがにちょっといかんなそりゃ。」
釈「あー、それはーなんと言うかー。」
まゆ子「少なくともそれに14歳で目覚めてしまう人間はダメだろう。」
じゅえる「魔王開眼だね……。」

 

まゆ子「さて。実は風邪をひいたのも理由が有る。

 実は「八月十五日」は『ゲキロボ☆彡』において大きな節目なのだ。つまり、ここで夏編終了だ。
 正確に言うと、この後「寒蝉鳴」という後始末編が数章続きますが、節目となるのはこの回だ。
 これを書いたことでついうっかりと、ほっと息を抜いたのだな。」
釈「油断したわけです。」

まゆ子「ここでゲキロボ夏編終了。晩夏最終章に突入します。」
じゅえる「ふむふむ。」
まゆ子「というわけで最終章の構想を練ることとしましょう。」

釈「今日の議題ですね。」
まゆ子「あー基本的な計画だけどね。

  ・オーラシフター狼男を追う→サルボロイドロボ復活→大爆破消滅 

  ・八月二十一日登校日。縁毒戸美々世登校せず。皆で家に遊びに行く→しゅぎゃらへりどくと星人の悪辣な罠に嵌る→見事撃破
  ・オーラシフター蟠龍八郎太の許嫁であり従妹である中学生の女の子、鎌倉から門代に転校してくる。物辺島で人質となる。和ポンどぎまぎ

  ・プレゼント星人襲来、他所様に勝手に大量多額のプレゼントをくれるという迷惑な宇宙人が物辺村ゲキの少女達に謁見を乞う→撃破
   →プレゼント星人の通報により「宇宙の狩人」イボイノシシ星人襲来、目的は喜味子との謁見→あまりの美しさに涙を流して感動のまま宇宙に戻る
   →イボイノシシ星人のプレゼントである巨大宇宙怪獣、オーストラリア近辺の南極海近くに置き去りにされる→怪獣退治をするはずが、人類がミスシャクティの指導の下で作った未来ロボによって撃破される
   →未来ロボを作った天才科学者トチ狂い、NWOに対して反乱を起こす→どうしましょう?とゲキの少女たちに泣きついてくる

  ・九月。サルボロイドロボをぶっ壊した際に使ったビッグバン爆弾の炎を見た高度な科学力を持つ「中流宇宙人」が15000隻の大艦隊で攻めてくる
   →ゲキロボを用いて撃退→完全撃破→しかし流れ弾が逸れて月に着弾、地球にも多大なダメージが発生、人的被害2億人
   →ゲキの少女激怒。報復に出る→「中流宇宙人」文明絶滅!
   →地球の後始末
   →ゲキ最終回。

という計画だ。」
釈「本当に最終章に突入ですね。」
じゅえる「これは決定稿? もうこれ以上エピソード投入の予定は無し?」

まゆ子「投入エピソードはこれでOK。だいたい決まっているのだが、しゅぎゃらへりどくと星人の悪辣な罠、というのがまだ良く分かっていないのだ。
 今日はこれをちょっと考えてもらいたい。」

 

釈「美々世さんですかあー、あーどういう悪辣さですかねえ。宇宙的ですよねえ。」
じゅえる「具体的にはどういう悪辣さを望むのだ?」
まゆ子「いや、実は麻雀を考えている。5人で麻雀をするのだ。」

釈「???」
じゅえる「???」

まゆ子「つまりだねしゅぎゃらへりどくと星人は極めて気の短い連中なのだ。このままゲキの少女を観察し続けてゲキロボの秘密を解き明かすより、こちらから積極的に干渉して性急に結論を出すべきではないか? そう考えるんだ。」
じゅえる「ふむ。まあ確かに迂遠であるな。」
釈「それで直接干渉に出た?」
まゆ子「いや、迂遠な観察派と性急な干渉派が二手に分かれて抗争を繰り広げて喧嘩別れ状態になっており、その境目でゲキの少女担当者である縁毒戸美々世が板挟みになって肉体再生が許されない情況に有るのだ。」
釈「おお?」

まゆ子「そこで第三の勢力しばらくほったらかしにして経過を観察しよう派の提案で、ゲキの少女達5人は不思議空間に引きずり込まれ、麻雀をすることとなる。」
じゅえる「そこが分からない! 何故に麻雀だ?」
釈「それより、しばらくほったらかし派は迂遠な観察派じゃないんですか?」
まゆ子「いやそこがだ。ほったらかし派はしゅぎゃらへりどくとがゲキに干渉するのをまったくに止めて、美々世的接近も中止して成り行き任せにしようって派閥なんだ。
 どうせ今の地球人がゲキの力を手に入れても大した事は出来ず、当然大して面白い反応を示すわけもなく、対処能力が無いにも関わらず試すような下手な干渉をしても有益な反応を得られない。
 だからもうちょっと地球人がゲキの力の行使に十分熟達して、科学的に巨大な間違いを犯す事が可能な時期までほったらかそう、って考えだ。」

釈「割と頭いいな。」
じゅえる「そうか、原始人みたいな地球人をつついてみても面白くないから、もうちょっと賢くなってから試そうってのか。なるほど。
 で、罠は彼等が行うのか。」
まゆ子「縁毒戸美々奈さんが出現します。で彼女が言うには、しばらくほったらかしにするにも、ゲキの少女達が本当に地球人を正しく導いて行けるか、どのように導くかの基本的な方針を確かめておこうって腹です。
 そこで不思議空間内において加速シミュレーションを行う。架空の人類社会を与えて、どのような変革を5人それぞれが行うかを擬似的に試すわけです。

 地球人類シミュレーターだ。
 で、どういうインターフェイスが必要かを5人がちまちまと相談した結果、5人麻雀という非常に間抜けなカタチになってしまったのだ。」

じゅえる「牌を並べて役を作って、誰が一番に上がるか、それをもってシミュレーションの結果としよう。ってわけだな?」
釈「うー、なんというか、ひじょーになっとくいかない……。」
じゅえる「だが地球全人類を導くなんてアホな話、このくらいてきとーでないとやってられないぞ。」
まゆ子「形式はどうでもいいんですよ。とにかく彼等は結果が欲しい。しかし偶然性が極めて高い、しかも5人それぞれが干渉し合う形式のシミュレーションとして、麻雀形式は特に不適当であるとは認めなかった。
 そこでゲーム開始です。」

 

じゅえる「趣旨は分かったが、4人だろ普通麻雀は?」
まゆ子「みのりちゃんを除け者にする気?」
釈「あー、こういう場合一番幼いみのりが弾かれてしまうのか。それじゃあ確かに5人麻雀であるべきですね。東南西北とーえーとー、」
じゅえる「央だな。東西南北中央不敗と決まっているのだ昔から。」
まゆ子「うんうん。」

じゅえる「で?」
まゆ子「で? とは?」
じゅえる「ルール、どうやるの?」
まゆ子「知らないよそんなの。」
釈「そりゃー知らないでしょう。第一、牌の種類は麻雀とまるっきり異なりますからね。

じゅえる「つまり地球人類シミュレーターであるところの5人麻雀のルールを考えろ。ってのが今日の話題か!」
釈「相変わらずの凄まじい無茶ぶりです。」
まゆ子「なにせ病人の言うことですから、ごほごほ。」

 

じゅえる「わかった、まずは怒りを抑えよう。えーとそれで麻雀牌だ。」
釈「東南西北白発中が4個ずつ、萬子筒子索子の9枚4個ずつ、ですね。」
じゅえる「もうちょっと色々あるような気がするが、」
釈「ローカルルールで使うやつに花牌とかありますが、無視しちゃって構わないでしょ。」

まゆ子「というかさ、地球人類シミュレータだ。それに5人麻雀だから、四風牌じゃなくて五風牌だ。」
釈「さいでした。東南西北に中央牌というのが必要ですね。」

じゅえる「なるほど、めんどくさい変更が必要なんだ。でさ、数牌は1〜9なわけだが、」
釈「はい。」
じゅえる「ゼロは?」
釈「う!」
まゆ子「そりゃあゼロは必要だろう。釈ちゃんインド人でしょ。」
釈「分かりました、ゼロ牌も付けます。」

じゅえる「白発中ってどういう意味?」
釈「意味は特には無いと思いますが、」
まゆ子「量子もつれとか無いの?」
釈「え!?」
じゅえる「そりゃあ宇宙人のこしらえたシミュレーターだから、そのくらい有るだろ。白発中は量子もつれする、ね。」
釈「え、えー、どうやってプレイすればいいんですかそんなもの。」

まゆ子「そもそも萬子筒子索子をどのように現実世界の因子に置き換えるか。やはりカネとか軍事力とか才能とか、そういう現実社会に関係のある要素を。」
じゅえる「無くていいんじゃない? もっと人間味を徹底的に削ぎ落とした、エグいシミュレーターで行こうよ。」
釈「そもそも点棒ってどうしますか。カネですか。」
まゆ子「人命?」
釈「おお!」
じゅえる「でもゲキの5人に世界人類の人口調整させてもちっとも面白く無いぞ。単純にNWO内の支配率を示すだけで、人類の人口はもうちょっと別の仕組みで考えよう。」

まゆ子「捨て牌だな。捨て牌の様子が地球人類の様子を表しているのだ。

  つまり最初から場には極めて大量の牌が存在し、既に大量に捨てられた状態から無限に牌が供給されるカタチでゲームが進行する。」
じゅえる「盤の上が地球であり人類である、ってことだね。」

釈「確かにそれがシミュレーターとしては正しいあり方ですが、では世界は役にならないものだけが残され、重要な牌は手元に有るという、」
じゅえる「重要かどうかはそれぞれの手牌や役で決まるでしょ。」
釈「場に存在する捨て牌はそのままずっと蓄積していくのですか?」
まゆ子「とある規則に従って、また局が進むにつれてどんどん順番に捨て牌は減っていく。
 またプレイヤーが上がりを出せば、その役に従って盤面の状況を変化させる事ができる、と。」

釈「しかしそんなに大量に牌が有るのであれば、牌の数で様子を伺うのは無理なんじゃないですかね?」
まゆ子「というか全ての牌が規則通りに定数で有るとは限らないし。」
じゅえる「まあ、闇牌とかいうのもあってもいいのかもしれないね。どうせ本物の麻雀じゃないし。」
釈「スカ牌とか有ってもいいかもしれませんね。ツモった牌がまるで無意味とか手の中から消えてしまうとか捨て場所すら無い、とか。」
まゆ子「虚数牌だな。」
じゅえる「虚数牌、いいね中二病っぽくて。」

 

釈「しかしそのゲーム、どうやって勝敗を付けるんですか? 役を作って上がると点棒もらえて、牌かき回すんですか?」
まゆ子「そうだねえ、つまり捨て牌の姿が地球人類の姿を表しているわけだ。
 つまり5人麻雀だから5面の捨て牌の河が有る。で、局が進めば4面、3、2、1と減っていき、最後に呑み込まれて闇に帰る。
 それぞれで地球人類の色んな相を表しているわけだが、つまり捨て牌が良ければ後の影響も良いという大雑把なルールになっている。」
じゅえる「じゃあ自分が役を作らずに捨て牌に流していけば、……いやそううまく順番に流すのも難しいか。」

まゆ子「そこで勝つのですよアガるのです。上がれば自分の捨て牌の代わりに上がった手牌をそっくり入れ替えて流す事が出来る。
 そうしたら、その手牌が闇に消え去るまでは自分がアガった通りの影響力を地球人類に及ぼす事が出来る。」

釈「おお! なんとなくシミュレーターぽくなりました。」
じゅえる「なるほど、やっとゲームぽいシナリオが作れるな。
 ということは、アガれなかったプレイヤーの手牌は完全に捨てられるわけだ。」
まゆ子「そういう事になるかな?」

釈「ちょっと待ってください。えーとつまり最初から盤上には捨て牌の河が有るわけですよ。誰がプレイしてたんですか?」
じゅえる「あー、シミュレーターだからな。自動でやってたんじゃないか?」
まゆ子「自動だね。というか、ゲキの5人が入った後でも遠慮容赦なく自動でプレイし続ける。プレイヤーはその自動操作に干渉して自分の意志を押し通す事となり、嫌なら寝てても構わない。」
じゅえる「ふむふむ、とにかくシミュレーターは流れていくわけだ。」
まゆ子「そしてプレイヤーの行った操作は、闇牌の膨大な量の牌の中で相互作用を起こして、ややこしい演算の結果、新しい牌の山として盤上に供給される。
 そしてゲームは続いていく。」
じゅえる「盤が勝手に積み込んでいくわけか。コンピュータだからな、そりゃフィードバックはするか。」
釈「それがシミュレーターということですね。」

じゅえる「じゃあ、虚数牌てのは、」
まゆ子「捨て牌の河が地球人類の様子を表す5面の河に移行される時に、虚数牌は自動的に消去される。つまりそこだけ牌の数が少ないというアンバランスな事になる。」
釈「量子もつれってのは?」
まゆ子「捨て牌が人類の様子を表す河に移行され、5面4面3面と整理されていく処理の時、あぶくのように取り残されたり浮いて上がったりする、特殊な動きを示す牌ってことだな。
 つまり捨て牌が整理処理される法則についても理解しなければならない。」
じゅえる「国士無双やら字一色なんかを河にセッティングしてしまったら、凄まじい事が起きるわけだ。」
釈「うん。」

じゅえる「虚数牌ばかりをツモってしまってどうしようも無い場合、誰かが上がってくれるのを期待して虚数牌ばかりを手牌に留めて被害を防ぐ、とかは?」
まゆ子「捨て牌が少なければどうなるか、は考えてないけれど、首尾よく誰かが上がってくれればそれに越したことはない。
 だが虚数牌だけでアガってしまった場合、どうなるか見当もつかん。」
じゅえる「いや、それ、アガらなければいいんじゃないか?」
まゆ子「だがシミュレーターは自動でも動くから、ちんたらしてたら勝手に切ってしまうぞ。それとか、勝手に人の捨て牌を鳴いちゃうかも。」
釈「そういう危険があるわけですか。シミュレーターだから待ったなしですよね。恐いなあ。」
まゆ子「ちなみに虚数牌でアガってしまった場合、それが捨て牌河にセッティングされれば整理処理に混乱が起きる。というか本来無いはずの虚数が人類社会に存在するのだから、そりゃびっくりだ。」
釈「そういう事になりますね。」
じゅえる「何が起きるんだよ?」
まゆ子「さあ。ただ、優子なんかは面白がって虚数役でアガるぞ。」
じゅえる「アイツはそういう奴だ。」
釈「そうか、優子をアガらせない為に、捨て牌をよく監視してアガリそうなら早めに潰さないといけないわけだ。」

まゆ子「うむそうだ。虚数牌とか量子もつれ牌とかを表示河に突っ込んでしまうと、ゲームでは使わないような怪しげな花牌が表示河の中で暗躍してしまうということで。」
じゅえる「訳の分からない読めない状況になるんだな。」

 

釈「だいたい或る程度ゲームが分かりました。でもやはり、萬子索子筒子は人間の何を表すかとか考えておきましょうよ。」
じゅえる「数牌はー、ゼロ牌は虚数は無いよな?」
まゆ子「虚数だからね。」
じゅえる「人間社会における最重要な3つの数、ってのはなんだろうな?」
釈「はあ、それは難しい。そもそも答えが有るでしょうか?」
まゆ子「いやそもそも、麻雀というゲームにおいて数牌の数値の大小は特に意味が無いからな。」
じゅえる「必要とされるのはむしろ色だろう。萬子が赤、索子が緑、筒子が青。」
釈「いや、だいたいどの数牌も赤青緑は入ってるんですが、まあ萬子は赤でしょうね。」
まゆ子「索子は一索が孔雀で緑、これはイメージ的に強いな。竹でもあるし。」
じゅえる「意味は色から推察しよう。当然虚数牌は黒だな。」
まゆ子「いやむしろ白だろ。空白だ。」

釈「あー、赤は血の色太陽の色、青は水色空の色、緑は大地の自然の色。」
じゅえる「俗っぽすぎるな。」
釈「その方がイメージしやすくて、ゲキの5人にもわかりやすいでしょ。」
まゆ子「単純がいいなこういうのは。それにダブルミーニングでいいし。

 赤は血の色人間の色、流血破壊の殺戮の色、また生まれ出る生命の色。太陽でも有るしエネルギーをも意味する。」
じゅえる「ダブルミーニングどころじゃないが、なるほど分かりやすい。」
まゆ子「
 青は水色空の色、空気で平和で冷たくて寂しい、深い海底から沸き上がる古代の神秘叡智、気象天体、を意味する。」
釈「PM2.5の中国では足りませんね。アオ。」
じゅえる「人間のあまり関知しない領域、無機的な世界を意味する、と考えればいいか。」
まゆ子「
 緑は大地の自然の色植物環境食料の色、山、アニマル、人間以外の生命体、あるいは食いつくす覆い尽くす自然の驚異。」
じゅえる「いいんじゃないかい。逆に人間性を拒絶して。」
釈「エコの観点からも人間との共存と発展という意味からも、これは外せませんね。いいと思いますよ。」

まゆ子「やはり虚数牌は白ではなくてガラスの透明色にしよう。
 意味する所は虚しさ煌き全てを映す華麗さ、人為を超える力、科学論理、無人性、無方向性。」
じゅえる「でも科学が無いと人間社会がおかしくなるんじゃないか?」
まゆ子「科学の結果として人間社会が有るんだから、結果表示に科学を投影させる必要も無い。道具を一々クローズアップしなくても、結果が有ればいいじゃないか。」
釈「まあひとつの見解ですね。」
まゆ子「だが虚数役を作ってアガってしまうと、否応なしに世界にそれが投入されるのだ。」
じゅえる「ふむふむ、なるほど科学を勘定に入れて世界を見なければならないややこしい世界の到来だな。」

釈「いいでしょう。それは認めましょう。
 では次に東南西北央、白発中の意味を。」
まゆ子「そのまんま地理的なものかな?」
じゅえる「直接的にそれでも悪いとは思わないな。ただ央が難しくなるが。」
まゆ子「南北はまあいい。東西はどこを起点として考えるか。東洋と西洋で分けるか?」
釈「なんか違いますね。第一字牌は固めて持たなくちゃ意味が無いです。そんな極端に集中するのはなんか変でしょう。」

まゆ子「ふうむ、ゲキの5人に合わせて5個の方位を設定してるんだから、これはそれぞれに対して当てると解釈すべきでは?」
釈「つまり、アガった役がその指定された人間に対して効力を発揮するってことですか。」
まゆ子「そもそもがしゅぎゃらへりどくとの興味はゲキの5人が互いに殺し合いをしてでも人類社会において何をするか、であるから、相手に対して直接攻撃をするような方法もちゃんと設定しておくべきではないだろうかね。」
じゅえる「ふうむ。雀頭に風牌を用いると、アガった場合その影響がそちら側に行くと指定できるわけだな?」
まゆ子「まあそれは直接的で分かり易いが、分かり易すぎるかな?」
釈「いえむしろ、彼女達はそのルール喜んで使うでしょう。」
じゅえる「採用だ。」
まゆ子「なら白発中も効果指定フラグという事にした方がよくないか。」
じゅえる「たとえば?」
まゆ子「いや、白が雀頭だと手牌の意味が逆というカタチで機能する、とか発だと過去に遡って機能するとか、中だとシミュレーターシステム自体に効果を与えるとか。」
じゅえる「それでシミュレーター成り立つのか?」
釈「いやむしろ逆に分り易いですけど、そうか制御信号として使うという手ですね。うーむ。しかし字牌だけの役とかだと凄い大混乱になりませんかね?」
まゆ子「なるだろうね。」

じゅえる「こりゃあ、制御信号用の牌の種類が足りなさ過ぎるな。大量に新しいのを考えるとするか。」
釈「でもそれだと字牌は3つか4つ揃えてでないと意味が無いのは不便ですね。なにか単騎で効力を発する役を考えましょう。」
まゆ子「ふむ。     五行相克だな?」
じゅえる「なるほど、五行に相当するものはすでに風牌で揃っているから、その間の関係性を示す記号があればいいか。」
釈「おお、つまり論理記号ですね。」
まゆ子「しかし順子と違って並びというものがない字牌はやはり最低でも2つ揃った時に効力を発揮する、という風に決めておいた方が良いのではないか。」
釈「しかしシミュレーターへの制御命令投入という観点では、それは制限がきつくて」
じゅえる「七対子だ。」
まゆ子「なるほど。」
釈「あ、つまり特定の役で制御信号だいばくはつという仕組みですか。なるほど七対子まさにその為にあるような役ですね。」
じゅえる「後は普通の役の時は雀頭を字牌にして機能制限をするだけでいいんじゃないかな。」
まゆ子「あんまり複雑すぎると喜味子やみのりが脳爆発するしな。それでいい。」

 

釈「それより、物辺村の5人は麻雀出来るんですか?」
まゆ子「YES!」
じゅえる「だそうだ。まあ田舎で暇だしな。」
釈「はあ。つまり麻雀で何とかしようという話にほいほい乗ってくるわけでか。そいつは都合がいいや。」

************

 

まゆ子「さて、ルールはだいたい分かりました。では次に、
 プレイヤー5人がそれぞれに持つ麻雀超能力の設定です。」

釈「やはりそうか……。この地球シミュレーターの発想は『咲−SAKI−』から来ているんですね!」
じゅえる「あー。そうだな、麻雀詳しいわけでないまゆ子が言い出すんだからな。ネタ元が有るさ。」
まゆ子「いや実はさ、前からずっと麻雀を使った機械を出そう出そうと考えていたんだ。
 バンブーパンクという言葉すら考えたさ。」
じゅえる「なんだそりゃ。」
まゆ子「麻雀牌と筮竹と算木が飛び交う、中華的スチームパンクだ。むろんどうやって展開していいか分からないから頓挫した。
 ちょうどいい機会だから、使わせてもらうよ。」

釈「とほほ。」

まゆ子「鳩保は簡単なんだよ。鳴いて鳴いて鳴きまくって、「おまえの運を儂にクレやー」というタイプ。」
釈「ぜんぜん咲じゃない。」
じゅえる「だが鳩保だからな。五月蝿いよな。」

まゆ子「花憐も簡単なんだ。積んでる山の牌の並びが全部見える系。」
じゅえる「そりゃ情報能力者だからな。」
釈「ものすごく卑怯ですが、いいんですか?」
まゆ子「この地球シミュレーターは抜け駆け自由に裏切りや陰謀トリックなんでもOKという仕組みです。
 5人のゲキの少女達がこれから実際に行うことを再現するのですから、現実世界であり得る事はすべてアリです!」
じゅえる「イカサマし放題なのか。」

釈「となると、やはり喜味ちゃんは積み込みとかすり替え系のいかさま師ですね。」
じゅえる「でもあり得ない牌を捨てたら花憐が感づくんじゃないか?」
まゆ子「感づいていいんじゃない? それもインチキ超能力で見てるんだから証拠能力ゼロだよ。」
じゅえる「ふむ。好きな牌にすり替える事が可能なわけだ。」

じゅえる「みのりは?」
まゆ子「実は麻雀能力とは関係ない超能力を持つ。牌の気持ちが分かるんだ。
 当然のことながらそれぞれの牌は地球と人類の状況を表すものであり、描かれる数字自体には意味が無いけれど、それぞれが司るセクションというのは有るわけだ。
 そのセクションの状況が読めれば、不足を補い過剰を和らげ、と状況を好転させる手を打たねばならない。どの役を作るべきかが分かる。
 牌の気持ちが分かるのだ。」
釈「つまり地球シミュレーターをうまく操作して結果を良くする事自体がみのりちゃんの能力なわけですね。」
まゆ子「そして地球シミュレーターは山を積む時にランダムではなく、過去の結果に基づいて積み込んでいる。
 シミュレーターの様子をよく観察して何が地球に起こっているかを知れば、どんな牌が積まれているかも容易に推察できる。
 牌が来るのです。」
じゅえる「うむ、納得だ。」

釈「物辺優子さんは?」
まゆ子「あいつはなー。」
じゅえる「暗黒巫女だからなー。」
まゆ子「基本的に優子は国士無双とか四槓子とかのばかみたいな役を作るのを得意とするのだが、さすがにそれは皆許さない。
 皆警戒して潰しに掛かるから、なかなかアガれるものじゃないんだ。」
釈「そんな役でアガられたらさすがにハコテンになってしまいますし。」

まゆ子「実は優子は出前を取る。」
釈「はあ。」
まゆ子「麻雀をすると出前を取ると思い込んでいる。だがここはしゅぎゃらへりどくとが作り上げた不思議空間だ。外部から呼ぶこととなる。」
じゅえる「できるのかそんなこと。」
まゆ子「不可能ではないが、もっと重大な問題がある。出前の代金を払わないといかん。」
釈「そりゃ。」
まゆ子「地球人類百年分のシミュレーターを動かすのだから、かなりの長時間麻雀する事になる。だが加速時間で行われているから、外部実時間では大した時間経過ではない。
 だが内部では何日も時間が過ぎており、出前も膨大な量となる。そんなカネ払えるか。
 というわけで、縁毒戸美々奈に交渉してプレイ中に取った出前の代金はすべてしゅぎゃらへりどくと持ち、という事になる。
 まあ自分から言い出したことだし、必要経費ということで最終的には美々世が現世で暮らす際の生活費を流用するという仕組みで手打ちとする。」
釈「はあ、はあ。以後美々世さんパンの耳を食って生きねばならないわけですよ。」

まゆ子「実は優子は出前に缶ビールなんかも取っているのだが、これはさすがに皆に怒られた。
 特に鳩保に怒られる。「タダ飯は食ってもタダ酒は飲まない、これがタカリの鉄則だ!」と頑として許さないのだ。」
じゅえる「まあタダ酒は人に陥れられる事多いからな。主導権を相手に取られるのはやはりダメだからな。」
釈「妙なところに倫理観があるんですね鳩保さん。」

 

************

釈「まとめです。

 ・地球シミュレーター麻雀は数牌4種、五風牌、三元牌、花牌で行われる。計196枚(14の2乗)
    数牌は赤青緑3種が0〜9の10枚、虚数牌が1〜9の9枚である。0・1・9が老頭牌である。
    五風牌は東南西北に中央「央」を加える。いずれも4枚。
    三元牌は白発中の3種いずれも4枚。
    花牌は8枚あるが、どう使うかは未定。

 ・プレイヤーは5人。1人13枚ずつの手牌でアガリ1枚を足して計14枚で役を作って点数を定める。極めて普通の麻雀
 ・最初に牌が積まれる山は5面19列2段 計190枚 あまり6枚が自動的に王牌となりドラを決める以外ではゲームに使用しない。(ここらへんは卓が自動で設置するので通常は不正は起こらない)
    嶺上牌は単純に開門位置の右隣り、一番最後の牌である。

 ・1局終了ごとに牌を1セット交換し、前局で使用した牌を用いて勝負の結果を表示およびシステム操作を行う。
   ゲームは常に新しい完全な1セットの牌で行われる。

じゅえる「麻雀詳しくないからなあ。」
まゆ子「スーパーリアル麻雀は詳しいぞ。ちなみに私の麻雀知識のほとんどがそこから来ている。」
じゅえる「あれ二人打ちだろ。」

 

釈「花牌ってどう使いましょうか?」

まゆ子「いやね、この麻雀は基本的に殺し合いなんだよ。しゅぎゃらへりどくとの意図からすると派手に殺ってもらいたい。
 だから花牌を使ってゲーム中に他のプレイヤーの手牌か、チーポンカンで晒しているのを分捕る事が出来るとかのルールが、」
じゅえる「麻雀屋で使ったら人が死ぬぞ、それ。」
釈「でも物辺村5人なら問題無いですね。自分が積み重ねているものが他者に破壊されるのは、世界支配においてむしろ当然の仕業と思いますよ。」
じゅえる「たしかに競合者の意図をくじくという意味において最強の手段には違いない。

 じゃあ花牌2枚有ったら3枚の明順子明刻子、3枚有ったら明槓子を分捕れるという事で。」
釈「取られたプレイヤーはどうなるんですか?」
まゆ子「別に。」
釈「牌の数足りないままプレイ続行ですか!?」
じゅえる「なんか変か?」
釈「いえ、でもツモっても打牌出来ないじゃないですか。数足りなくて。」
まゆ子「足りないなら捨てなきゃいい。」
じゅえる「うん。」
釈「そ、そうですよね。足りないんだから、そりゃそうだHAHAHA」

じゅえる「しかし、無条件で盗られるというのは腹が立つぞ。何か条件を付けておこう。」
まゆ子「なるほどそりゃ腹立つしな。

 じゃあこうしましょう。花牌8枚はすべて違う牌で組み合わせは出来ない。当然捨ててもチーもポンもカンも出来ない。誰も拾えない。
 しかし、花牌を捨てた時に限ってそのプレイヤーに対して花牌による攻撃分捕りが可能と。」
釈「いいですね。それなら自分が迂闊すぎたとあきらめが付きます。」
まゆ子「ちなみに花牌が手牌にあれば、当然にノーテンです。」
じゅえる「そりゃルール上当然だな。」

 

釈「ところで麻雀では最初にサイコロを振るんですよ。」
じゅえる「あー、ちょっと興ざめかな?」
まゆ子「サイコロ自体はあっても構わないとは思うが、もうちょっと大げさなランダム装置が欲しいぞ。人生ゲームのルーレットみたいなの。」
じゅえる「羅盤とかどうだろう。」
釈「あれは方位磁針ですから、別にランダムには動きませんが。」
まゆ子「いやぐるぐるっと回す機構で、シミュレーターの示す地球上の何処に対して操作すべきかをランダムに示すという事にしてはどうだろう。」
じゅえる「確かに地理的操作範囲の指定は地球シミュレーターとしては不可欠なものだからな。」
釈「そうですね。無いのは確かに嬉しくありませんか。じゃあ64範囲指定ということで、これは単に地理的でいいですか?」

まゆ子「そうだな。羅盤を回すとその地域の現状が捨て牌1〜4列で改めて表示されるんだよ。最初の5列の河を流した時は勝負の結果そのものだけど、処理された後は地域によってそれぞれ配牌は変わっているということで。」
じゅえる「確かに一つの表示で世界全体を示すのは無茶だからな。じゃあ羅盤を回すのは局ごとではなく、なにか回せという指示が発生する事にしよう。」
釈「そうですね。サイコロ振ってゾロ目が出たら、てことでいいんじゃないですかね。」
まゆ子「ふむふむ。」

じゅえる「ゾロ目が出たら羅盤が回って、現在地球上の一番緊急にケアが必要な場所の状態が表示される。てのではどうだ。」
釈「一番ダメな所ですか。」
じゅえる「地球シミュレーターというものは、トラブルが起きたら迅速に対処せねばならないものだろ。ならばプレイヤーに行動を指示しなくちゃ。」
まゆ子「一理ある。」
釈「ですねえ。何の為のゲキの力か、ってなものです。」
まゆ子「なるほど。じゃあサイコロにゾロ目が出たら羅盤が回って地球で今一番対処せねばならない場所が現れて、プレイヤーは迅速なる行動と対処を要求される。と。

 というわけで地域区分が出来たから、地域設定を出来るようにします。 
 雀頭に虚数牌のペアを使う場合1〜8によって8箇所を指定できることになります。本当は8×8=64箇所だけどちょっと大雑把に。
 さらに99のペアの場合は羅盤が示す可及的速やかに処置が必要な緊急地域を指定します。」

じゅえる「ふむふむ。これでなんとなく地球シミュレーターぽくなってきた。」
釈「でも、捨て牌の河を見て、「あ、今この地域危ない!」とか分かるんですか?」
まゆ子「まあなんというか、普通の麻雀の配牌を考えてもらえば良い悪いは直感的に分かります。」
じゅえる「役が無い、手が作れない状態だと、その地域は悪いってことか。」
まゆ子「大雑把には。あと虚数牌とか花牌とか混じってると最悪です。」

釈「状態表示牌の中に花牌が混じってると、どういう状態を意味してますか。」
まゆ子「宇宙人の関与です。」
じゅえる「おう。そりゃダメだ。」
釈「早急な救済措置が必要ですね、なるほど。」

 

まゆ子「というわけで、0牌の使い方について。
 当然の事ながら順子を作ると1〜9で3つずつの順子が作れて同じ種類で一気通貫ができるわけですが、この時に0牌は使えません。」
じゅえる「まあね。」
釈「0入れると10個になりますからね。」
まゆ子「当然0入り順子を並べると9牌が余りますから、一気通貫にはなりません。また0牌入りの一色は別に特別な役は付きません。普通です。」
じゅえる「まあ、1個増えてるだけだしね。」
まゆ子「ただ019という順子が作れます。意味としては普通の順子ですが、ヤオチュウ牌ばかりを集める時には使えます。」
釈「虚数牌にはそれは無いわけですよ。」
じゅえる「019を足した一気通貫はどうなるんだ?」
まゆ子「うーん、なんか特別な役を考えます。さすがにちょっと高い。」

じゅえる「九蓮宝燈はどうなるんだ?」
釈「ああ、そりゃー、どうなるんです?」
まゆ子「いや、あれは変わらないんじゃないないかな? 0が使えたらえーと、めんどくさい考えるのやめた。普通の九蓮宝燈でいいや。」
釈「普通だとしても、0〜8、1〜9で二種類出来るわけですよ。確率倍ですね。」
じゅえる「なんか面倒な展開をしそうでいかんな。」
まゆ子「そういう時は深く考えるのはやめるんだ。」
じゅえる「019の順子アリで10面待ち、そういうのって出来るか?」
釈「えーとー、」

まゆ子「チャンタ、純チャンの場合も当然0牌は使えます。」
じゅえる「そりゃそうだ。019が老頭牌なんだから。」
釈「しかしですよ。019の順子が使えるとしたら、純チャンすごくないですか?」
まゆ子「123、789、あるいは012の順子を使わなくても出来る超純チャンが成立するね。」
じゅえる「清老頭よりは下だと思うけど。まあ変なもんだ。」

 

釈「とにかく結構変わりますね。0牌加えると。」
じゅえる「それに虚数牌とか付いてくる。ただこれは1〜9だから普通といえば普通。」
まゆ子「なにせ5人打ち麻雀だからね、牌を増やさないと。」

釈「虚数牌が数牌に増えたから三色同順三色同刻が四色になるわけですよ。」
じゅえる「これは高いだろ。というか三色はそのまま役になるのか?」
まゆ子「通常麻雀で使える役は全部アリです。その上で追加された牌を使う役が増えます。
 三色同順でも萬子筒子虚数といった普通麻雀ではあり得ないのが普通に作れます。」
釈「親切ですね。」

じゅえる「しかし0牌が有るから、0牌を使った三色同刻はひとつしか作れないな。」
まゆ子「それは普通の三色同刻でしかありません。0だから特別てことはない。」

まゆ子「さらに虚数牌を使う特別な役が有ります。裏国士無双です。」
じゅえる「なんだ。」
釈「裏、ですか。」
まゆ子「国士無双といえば筒子萬子索子の19と東南西北白発中の13枚と+1ヤオチュウ牌で出来るのですが、地球シミュレーターだと”東南西北央”に代わって14枚です。」
じゅえる「きびしいな。」
釈「まあ普通国士無双もアリですから。」
まゆ子「裏国士無双はつまり地球シミュレーターでのみ使われる牌を揃えた形、虚数牌1〜9、萬子筒子索子0牌、央牌と、さらにこの中から1枚プラスで出来上がります。」

じゅえる「花牌は使わないのか?」
まゆ子「花牌が混じっているとノーテンというルールがありますから。」
釈「花牌が入る役というのはあり得ないわけですか。」
まゆ子「一個だけ有る。天和と地和だね。配牌時に花牌8種全部が揃っていたら、文句なしに勝ちだ。」
釈「うあ〜。」
じゅえる「ちょっとまて、そのアガリで地球シミュレーターに結果をセットしたら、どうなるんだ?」
まゆ子「まあ、普通しぬでしょう。地球全滅レベルの災厄になるはずです。」
釈「うあ〜。」
じゅえる「でも、プレイヤーが申告しなければ流れていくんじゃ?」
まゆ子「地球シミュレーター自体が監視してるから、自動で申告します。無理。ダメ。」
じゅえる「人類滅亡か……。」
釈「まあシミュレーターですから、それにゲキのチカラを弄んでいればそのくらい普通に起きますから。」
まゆ子「そうそう。自業自得というものだ。」

 

じゅえる「ところで点数計算は?」
まゆ子「点数? なにそれ。」
釈「いやまあ、地球シミュレーターは要するに麻雀コンピューターですからそりゃ自動計算してくれるでしょう。」
じゅえる「そうか。」
まゆ子「いや、しないよ。」
釈「え?」
じゅえる「なんで?」

まゆ子「なんでもへちまも、なんで点棒やりとりしなくちゃいかんのだ?」
じゅえる「いやだって勝負だから、……いや待てよ。そう言われてみると、地球シミュレーターで勝負ってのはなんだ?」
釈「あー、基本的に地球と人類社会が平和に幸せに発展して生態系も自然に保たれていればいいだけで、……あれ?」
まゆ子「だろ。」

じゅえる「つまり地球シミュレーターにとって点数計算はまるで意味が無いわけだ。」
まゆ子「というかさ、点数はNWO内でのそれぞれの支持率と決めたわけさ。で、ハコになったとして、じゃあそいつはリタイアしていいのか?」
釈「あー、そう言われればたとえ支持率ゼロだろうがマイナスだろうが、NWOはゲキの少女達の意向わがままに嫌でも従わなくちゃいけないわけですよ。」
じゅえる「点数のやりとりって意味が無い?」
まゆ子「完全に意味が無いわけではない。NWOが誰によって実質的に支配されているかをシミュレーションする意味は確実に発生する。
 しかしそれがゲームの進行に関与してはいけない。」

釈「そうか、じゃあそもそもがこの麻雀勝負には意味が無い。」
じゅえる「それは最初から分かっている。しゅぎゃらへりどくとのワガママに付き合っているだけで、所詮はただのシミュレーションだ。」
まゆ子「とはいうものの、だ。では点数を賭けなくて真面目に勝負をするかといえば、それはまた無いわけだよ。」
釈「そうですね。なんらかの特典もしくはペナルティが無ければ、真剣に麻雀しませんよね。」
まゆ子「点数計算は厳密に符なんか数える必要は無い。が、完全に無しだとまたつまらない。
 だが高い役を作って勝っても、地球シミュレーターに自分の思い通りのコマンドを入力したという特典を既に得ているからには、点棒で応える必要もあまり無い。
 が、では勝てば1000点もらえますよ、では麻雀というゲームの面白さがまるで無いわけだ。」

じゅえる「ふむふむ、モチベーションの問題だな。」
まゆ子「というわけで、点数計算は符を使わない翻のみで数える簡易ルールを使います。どうせ厳密に計算しても誰も褒めてくれない。
 さらに誰かがハコテンになったら、点棒集めなおして配り直し、それまでの結果はノートに書いて加算していく事にする。」
釈「無限連荘ですね。」

まゆ子「さらにペナルティとして、シミュレーション中皆で飲み食いした出前分の10分の1を最低点の者が払うと決めた。これは全員が協議した結果で、しゅぎゃらへりどくとのタダ飯を食うのはさすがにアレだな、という判断だ。」
釈「地球人の誇りの問題ですね。」
まゆ子「ちなみにこのシミュレーションの、つまり地球人類21世紀百年分の歴史シミュレーション麻雀の代金というかしゅぎゃらへりどくとが支払う報酬は、縁毒戸美々世の復活です。
 美々世をまた元のように門代高校に人間として通わせる為に、彼女達は苦労しているのです。」
釈「涙が出る友情の美しさですね。」

じゅえる「なるほど。ではなにか最終勝利者に対してもご褒美をあげないといけませんね。」
釈「やはりお金でしょうか?」
まゆ子「誰が出すんだよ。皆で出し合うか?」
釈「賭けマージャンですね。それはさすがに女子高生としてどうかと。」
じゅえる「かと言って、しゅぎゃらへりどくとが負担するのも面白くない。金銭的なものでない、もっと他愛の無い女子高生的なものじゃないかな。」
釈「全員が共通して欲しがるもの、ですか。物辺村に伝わる伝説のお宝、とかですかね。」

まゆ子「それだ!」
じゅえる「うーむ、子供の頃になんかそれで5人が揉めた、とかのいわく因縁の有る代物を用意しよう。」
釈「もしくは、昔の恥ずかしい思い出の品とかで、特に花憐さんとかが証拠隠滅の為に是非とも欲しいってのがいいですね。」

 

2014/03/04

まゆ子「まあ今更説明するまでもなく、『ゲキロボ☆彡』は第二『ウエンディズ』なんですよ、ってのはここまでお付き合いくださる読者様ならご承知でしょう。」

釈「ほんとうに手加減なしで出ましたね。」
じゅえる「ほんとうに手加減なしならもっと濃厚に描いたさ。表面だけさらっと流したな。」
まゆ子「ほんとうに触りだけでも、結構な枚数を使ったな。これでメンバー全員の紹介まで入れたら、何ページになるか。」

釈「それで、『ゲキロボ』におけるウエンディズネタは、これで終了ですか。」
まゆ子「いやまだもう少し、この後すぐに志保美が出現します。あと最終回あたりに遂に弥生ちゃん登場だ。」
じゅえる「満を持してだな。

 それはそうと、わたしが今回結構出たぞ。」
まゆ子「というか、じゅえるはウエンディズ本編でもあんまり容姿が描写される事が無かったんだな。最初から美女設定なのに。」
釈「ミス門代高校は伊達じゃない。という描写がほんとうに無かったですからねえ。どうしてです?」
まゆ子「いや、性格悪いし。」
じゅえる「或る意味新鮮であったよ。自分はこういう顔をしていたんだなー、という気がして。」

 

釈「それで、『ゲキロボ』終了と同時に『ウエンディズ』も終了ですか。」
まゆ子「その予定になっている。というか、さすがにこれ以上設定を引っ張るのもアレだし。」
じゅえる「キャラの使い回しもいい加減にしておかないと許されないって話だな。」
まゆ子「それはそうなんだが、そもそもがウエンディズはキャラの使い回しによって発生したチームだからなあ。

 そもそもが、一番最初に居たのはウエンディズの元である厭兵術の師範「橘 家弓」というキャラだ。これがウチでは一番古い。
   赤毛のファラ・フォーセット・メジャーズみたいな女で、性格は山中明美。不死身属性無しで、もうちょっと事務的に有能な巻き込まれ系のキャラクター。
   ただし、このキャラは現在あらゆる意味で動いていない。キャラの利用は放棄していないけれど不活性化しているし、これの系列のキャラも居ない。

   黒髪ロングの相方も居たのだがこれは消滅した。というよりも個性が薄いからいろんな所で流用されて、個別のキャラとしては認識されなくなった。
   今現在その相方キャラ系統のは、草壁美矩だ。赤毛と黒髪のペアとくれば、こりゃもうダーティペアだよ。

 二番目に古いキャラは、『ゲバルト処女』で出演した大女の魔法使い、「白の母」とか「ゴヴァラバウト頭数姉」とか言われる女。元の名前は「東雲 透梨」という魔法の大学教授。女版インディー・ジョーンズだな。
   『ゲバルト処女』は事実上彼女が裏主人公である。というよりも、彼女を出す為に話を膨大に膨らませた。だから消費済みのキャラだな。

   で橘家弓と合わせて二人で「魔法使いとその弟子」という典型に従ったお話を用意していたのだが、これはどこにも掲載発表してないぞ。今度描いてみよう。

 三番目に古いキャラが私達、つまり八段まゆ子、石橋じゅえる、不破直子、衣川うゐ、になる。

   私らはそもそもが「ロードス島戦記」のゲームをオリジナルキャラで遊ぼう、という事ででっち上げられたキャラで、それぞれ「フローレン」「ジュエル」「ファ」「シルク」という名前だった。
   「フローレン」はまんま魔法使い、「ジュエル」はヒーラー、「シルク」は騎士、「ファ」は戦士のクラスだな。もう一人盗賊のキャラ「エボニー」というのが居たんだが、これは消滅した。
   なにせゲームの途中で「ディードリット」がパーティに加入するのがデフォルトだからね。

   それにこの「エボニー」というキャラは属性がブスというか黒人系キャラであって、その後のお絵描きで流用しようとしても使い勝手が悪すぎて廃棄処分するしか無かったのだ。
   しかし『ゲキロボ』において「児玉喜味子」という完璧なブスキャラが確立した為に、むしろ復活させた方が良かったんじゃないか的な感想を抱いている。
   というか、彼女のケモノ的要素が多分に童みのりに引き継がれている。無口なところなんかね。」

釈「喜味ちゃんは偉大ですね。」

まゆ子「四番目は仙女の能力を持ち荒野の鉱山で大活躍をする救世主、という女を作った。これは『ゲバルト処女』「創始歴6666年」で描かれたガモウヤヨイチャン23世そのものであり、イラストに描いてるとおりのキャラデザ。
     名前はミレニア・カプリコーナス、性格はとにかく強情。
     このキャラをマイナーチェンジして高校生にしたものが、のちに弥生ちゃん本人になった。

   このシリーズは未来のとある惑星上で『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をしよう、という話であった。巨大な戦車みたいなロボットに複数人が搭乗して、龍と戦い捕獲して工業材料として骨を売って儲ける。
   ちなみに「ファイブリオン」と呼ばれる空中に現れる光の精霊、はこのシリーズで考案したものを『ゲバルト処女』に流用し、今度『ゲキロボ』にも登場する。
   同じ頃、この惑星の世界観を流用して別の土地での歴史物語、ということで『宇宙人ぴるまるれれこ』が発生する。
     で、この『ぴるまるれれこ』から『ゲバルト処女』世界が発生している。つまりこのシリーズが直接の『ゲバルト処女』の祖だね。

     まあこのシリーズを考える前に、似たような世界観で三人組のエルフの少女が活躍する物語、というのがあってそれが雛形になったわけだが、これはすでに消滅。

 五番目は、二番目の魔法教授を大幅に改良して若くして、というか元が年齢60歳という化け物キャラだったからね、これを20歳にして性格を良くした大女キャラを作った。外観はじゅえるを大女にしたようなキャラ。
   で、これの相方として祐木 聖を作った。大小二人のバディロードムービー的なお話だ。
   ちなみにこの時の聖はエロキャラだ。聖の黒成分はこの時に設定したものがまだ残っている。
 六番目に作ったのが大東桐子だ。サムライ・ローニン・ガール、という触れ込みで真っ白なプラグスーツみたいな戦闘服を来てサムライ同士が格闘するSF時代劇。
   例外的にむさい男がいっぱい出る。
   というか、女ばかりの物語ばかりを考えていたのを修正して、男を強制的に出演させる為にヒロイン大東桐子のみが女として出演する、というコンセプトだ。結局女の子てんこもりになったけど。
 七番目が相原志保美と鳴海姉妹。これもSFであるが、そもそもは鳴海ちゃんの方がヒロインで、その役立たずの姉というのが志保美の役どころだった。駄犬もセットでついてくる。

   この三つは人類社会が一度滅亡してリセットされて再度人工的に生態系が復元された地球での物語、となる。

 で、番外としてエキストラの悲鳴女優、いつでもどのシリーズでも意味も無く殺される汎用被害者として山中明美が作られた。不死身設定はこの頃に発生する。

 で、ここらへんでキャラを集めて野球チームを作ろうと考えついて、8人を集めたところでキャプテンであり主人公であるキャラクターを必要として、蒲生弥生が発生する。
   というか見ても分かるとおりにSFモノが多すぎて、もっと現代日本の日常系物語を作ろうと反省した結果、ウエンディズという学園モノ企画が誕生したわけだ。」

釈「鳩保さん達は何時頃です。」
まゆ子「『サクラ大戦3』が出た頃だ。巴里華撃団のメンバーを手本として5人組をでっち上げた。」
じゅえる「だいたいそういう風に、パクリから入るんだよね。」
まゆ子「まあね。

 で、主人公であるエリカに相当するキャラが鳩保だ。でもコクリコから転じて手品師になった。鳩使いだから鳩保だ。
   元の性格はしごくおとなしくドジばかりする子なんだけど、いつの間にか現在の鳩保の傲慢乳女に変身してしまった。原型をまったく留めていない。
 グリシーヌ役がお嬢様花憐だが、性格を真逆に作ってある。どちらかというと花火っぽいのだが、即逃げ出す臆病なキャラは『サクラ大戦』には居ないだろ。
 ロベルタに倣って大女キャラとして作られたのが、みのりなんだけど、後に大女は使いにくいから小さくお猿さんぽくなった。
 喜味子はおそらくは帝国華撃団の李紅蘭がモデルなんだけど、ブス設定を投入したからまったくに違うキャラになってしまった。更に現在は男っぽい性格である。ただ手先が器用なのはそのまんまだな。
 で、物辺優子はどこから来たか知らない。まあ典型的な悪役キャラであるから、『サクラ大戦』関係無いんだろう。

 まあそもそもがエロ絵に五人組を描きたかったから作ったキャラだから、性格とかはどうでもいいんだ。

釈「なんか、全然キャラ違いますよ。ほんとにパクリなんですか?」
まゆ子「そもそもがだ、ゲームとか漫画アニメのキャラは読者やプレイヤーに好かれるように設定されるものなんだが、『ゲキロボ』の連中は逆張りで人に嫌われる要素てんこもりなんだ。

 だから、傲慢乳女ビッチ、というどう考えても人気の出ない設定に鳩保はなっているし、花憐はきれいなだけで逃げ回る根性無しだし、優子は変態蛇女だし、喜味子はブスだし。」
じゅえる「みのりは?」
まゆ子「恋愛対象として見られないような子供っぽいキャラにしています。ロリではなくガキです。」
釈「逆張りしすぎたと思いますね……。」

まゆ子「ああ、思い出した。物辺優子は二番目の大女教授を女子高生にしたものだ。ずいぶんとこじんまりとした劣化版だが、その分可愛らしくなっている。」
じゅえる「あれで、かよ。」
まゆ子「そうそう、たしか「東雲 透李」は幼女時代から少女、大人、熟女と出世していくキャラだったんだ。その幼女時代のキャラが「物辺優子」と同じなんだ。

  で、さらに派生したのが物辺祝子だ。だいたいあんな感じの性格で魔法使いで大学教授で大女、が「東雲 透李」なんだ。」

釈「意外とキャラクターのバリエーション少ないんですねえ。」
まゆ子「人はそんなにキャラクタの引き出しを持っていないものなんだよ。

 でも、「ウエンディズ」執筆中に発生したキャラで最大に有益なものが、「シャクティ・ラジャーニ」だよ。インド美少女、これで行こう!って。」
釈「え、えへへ?」

 

まゆ子「あと、物辺るぴか&みみか、も結構古い。『CCさくら』とか『プリティサミー』の頃だからね。」
じゅえる「ああ、あいつらは漫画に描いてるから、それは納得するよ。」
まゆ子「ほんとはこの二人は友達どうしで血縁は無いんだけど、『ゲキロボ』に投入する際にアイドルマスターのあみまみのイメージを投影しているから、双子なんだ。でも元は違う。」

釈「るぴか&みみか、はこの後『ゲキロボ』「西瓜盗り」でだいかつやくします。乞うご期待!」

 

 

2014/02/11

まゆ子「ぐああああああああ。」

じゅえる「どうした?」
釈「『ゲキロボ』「八月十五日」を書いているわけなんですが、折角書いた5章分がぜんぶ没になりました。7章書いた内の5章です。」
じゅえる「そりゃ叫びたくもなるか。」
まゆ子「ぐああああああああああ!

 というわけで、「八月十五日」は変則的に進行していきます。」
じゅえる「いったいどうしてそんな羽目になったんだよ。」
まゆ子「簡単に言うと、”作者が書かねばならない文章と、読者様にお見せすべき文章は違う”という話さ。」
釈「前にくっちゃりで考察しましたね。」

じゅえる「でもさあ、最初からちゃんと構成を計算してたらそういう事にはならないんじゃないか。というか準備不足だろ。」
まゆ子「違うんだ、準備過剰だったんだ。
 つまりだね、鳩保が変な精神状態に陥って日常を見失うというストーリーに従って色々な異変を用意していたのだ。そしてそのまんま書いていけば問題はない。
 しかしこの巻にはもうひとつ仕組みがあって、NWOの総括者ミスシャクティと門代の高校生シャクティさんをクローズアップして異常性を際立たせる、という目的も有るのだ。」

釈「でへへ。」
まゆ子「で、書いていく内に考えた。この巻の裏主人公であるシャクティさんをもっと目立たせた方がいい。
 鳩保が主人公なのは良いが、鳩保が異常な状態に陥るのを描写するよりも、シャクティさんの異常性を際立たせた方が鳩保のピンチを演出できる、ってね。」
じゅえる「あくまでも鳩保なんだな。」
まゆ子「うん、この巻の主人公は鳩保だが、それでもシャクティさんを描くべきだと決断した。
 だがね、没らせた章にはまんまシャクティさんが書いてるんだよお。
釈「あー、書いてる内にもっと書こうと考えたわけですね。ご苦労さまです。」

まゆ子「いやーだからさ、1ヶ月ごとに更新するのはこういう事が起きるからなんだ。構成上の変更を大胆にやる為にまとまった枚数分ずつで公開するんだな。」

 

2014/02/02

まゆ子「というわけで、遂に来たぞウエンディズ!」

釈「長かった!」
じゅえる「あれは何年の話だったかなあ、夏合宿二年目。」
釈「2005年3月30日付です、ウエンディズ夏合宿二年目終了は。」
まゆ子「はあ、もう9年も前になってしまうのか長かったなあ。」
じゅえる「長すぎだなあ。」
釈「でも3年くらい前みたいな感じですねえ、ついこないだな感じです。」

まゆ子「2005年といえば「げばると処女」が始まった頃だぞ。」
じゅえる「ああたしか、「ウエンディズ」が行き詰まりを感じたから新企画を立ち上げたんだったな。」
まゆ子「2004年に一度プロトタイプを書いて、こらあかんということで方針転換して、げばると処女本編を2005年から開始したんだな。」

じゅえる「面白いこと書いてるぞ。「最終回赤カブトムシ兵団虐殺に弥生ちゃんが降臨して決着」つまり本編だとヒィキタイタンとマキアリイの決闘に到着するまで2万ページ100巻が必要だって。」
まゆ子「当たらずといえども遠からずだな。」
釈「10巻3千枚必要だったですからねえ。」
じゅえる「1年で1シリーズを終わらせろ、と書いてある。うむ、首肯せざるを得ないな。」
まゆ子「ふぅむ、なるほどねえ。だいたい小説書くよりキャラ立てる方が難しいんだけど、1冊でまとまるお話に固有の使いまわしされないキャラクタ造形をするべきだろうかねえ。」
釈「これまではキャラクターを大事に育てる方針でしたが、少々大事に行き過ぎたきらいが有ります。もっとキャラクタ量産を考えるべきかもしれませんね。」

じゅえる「それはともかく夏合宿だ。これからの予定はどうなるのだ?」
まゆ子「特には無いんだけどね。普通に夏合宿をするんだけど、それを見て童みのりがリーダーシップのあり方を勉強します。」
釈「ほお、リーダーシップの。」
まゆ子「つまり彼女はこれまで「ちいさなみのりちゃん」という役をどこに行っても押し付けられてきたわけなんだけど、そして自分自身でもその役に甘んじてきたわけだ。
 しかしドバイに行って否応なく自分が主役とならざるを得ない状況に直面した結果、これでは全然ダメだと痛感する。
 ではどうすればいいか、という答えが「弥生ちゃん」だ。リーダーシップだよ。」

釈「ほお。」
じゅえる「そういやみのりと同じく弥生ちゃん背が低いからな。どっちが高い?」
まゆ子「弥生ちゃん>みのり>聖、の順番です。弥生ちゃんは公称150センチ、おそらくは149センチ。更に正確に測定すると148.5センチだと思われます。
 みのりは148センチ、聖は146センチです。」
じゅえる「弥生ちゃん見栄を張ってるからな。」

釈「というわけで激烈な夏合宿特訓が始まるわけですか。どの程度まで突っ込んで描きますか。」
まゆ子「何も考えてない、というかこの章はまず主人公は鳩保だから。みのりちゃんは裏主人公、喜味子花憐はほぼ出ない。」
じゅえる「せっかくだから夏合宿書けよ。」
まゆ子「ふむ、まあ最低でも3章は書きますから。それに12日の朝物辺村ラジオ体操に大挙襲撃します。」
釈「12日でみのりちゃん離脱ですか。」
まゆ子「まあ12日に試合でも組んでもいいんだけどね。」

じゅえる「で、これでウエンディズのメンバーは全員出たのかな。」
まゆ子「あー、(弥生)・まゆ子・志保美・じゅえる・ふぁ・(しるく)・聖・(明美)・[鳴海] シャクティ・明美二号・美矩 [朱美るんれんろん]・(南洋子)・美鳥
 ( )は話だけ出ている子、[ ]はまったく出てこない子。」
釈「だいたい今回の話で全員集合しますね。」
まゆ子「悩んでるところと言えば、一年生にマネージャーとして一人追加するべきかどうか、だ。あの娘が入るのはたしか合宿後なんだが、ゲキロボでは時間軸も世界線も違うから、変更してもよい。」
釈「あーあのぽわぽわとした一年生ですね、園芸部部長の。さあどうしましょうか。」
じゅえる「別に出さなくてもいいんじゃないか。というか、ゲキロボではウエンディズに謎キャラが入っていてもいいんだぞ。うちゅうじんとか。」
釈「それはさすがにやめましょう。今でさえ大所帯なんですから。」

 

まゆ子「あ、それからだ。ゲキロボで新設定。
 鳩保芳子はノーベル文学賞を取ります。」

釈「へ?」
じゅえる「どういう展開でそうなるのだ。というか、2008年現在でか?」
まゆ子「いやいやもう何年も後の話になりますが、なぜかそうなるのです。文学賞。」

釈「説明をしてもらえませんか。さすがにはいそうですかとは言い難いですよそれ。」
まゆ子「たんじゅんに鳩保に箔を付けるためのいいネタが無いかな、と考えていて、ノーベル賞もらったらそりゃ偉いだろうなと。」
釈「そりゃ偉いですが、どーやったらノーベル文学賞って取れるんですか。そもそも芥川賞とか直木賞ではダメなんですか。」
まゆ子「あーそれだ。芥川賞直木賞同時受賞で受賞拒否とかさせようと思ってるのだ。なにせ鳩保が書くのはラノベだからな。」

じゅえる「ちょっとまて、ラノベ書いたら直木賞芥川賞でさらにノーベル賞までもらえるのか?」
まゆ子「全部一冊で取ります。超エコです。」

じゅえる「そこまでいくとさすがに冗談の域を越えるな。釈ちゃん、それは現実に可能なのだろうか?」
釈「逆なら可能でしょう。いきなりノーベル文学賞を取ったらそりゃ日本国内受賞だらけです。」
じゅえる「だがそもそもがノーベル文学賞ってどーやったらもらえるのだ? 村上春樹は逃しっぱなしだし。」
釈「あーでも大江健三郎はかなり若い頃芥川賞もらってますからねえ。ノーベル賞はやっぱり結構長い期間執筆活動をした人じゃないともらえないと思いますよ。」

まゆ子「それは十分承知しているのだが、たとえば鳩保が書いた本のせいで世界中が激変し出すとかの重大な影響が起きれば、」
じゅえる「そんなたいそうなものを書くのか、あいつ。」
釈「あー、それならばむしろノーベル平和賞でしょう。一冊の本によって世界が平和になりました、とかならば確実に平和賞は取れます。」
じゅえる「あれは時事ネタに弱い賞だからな。」
まゆ子「故に軽い賞でもある。金大中がもらってるくらいだからな。朝韓平和交渉という名目で。」
釈「じゃあまず平和賞をもらって、その後文学的にも評価されて文学賞をもらいました、という線で。」
じゅえる「それなら芥川直木賞同時受賞でもおかしくない。まあノーベル文学賞はそのさらにずっと後だろうけどね。」

釈「それより鳩保さんは文学者になるんですか?」
まゆ子「いや、医学部の勉強の合間に書いたラノベを投稿して入賞して本になる、というのを予定している。
 ラノベだから一種のSFだな。舞台は現代で、特に魔法は出てこないが特殊な術法を使って世界が平和になるという。」
じゅえる「その術法がゲキの力を利用したものなのか。」
まゆ子「そうだなー、ゲキの力によって見出した、なにか人体に特別な影響を与えるスイッチみたいなもので、これを本に書いてあるとおりにやってみたらちゃんと機能して、本のとおりの効果が出た、という感じで。」

釈「馬鹿が治るマッサージ法、とかですか。」
じゅえる「ああ、それは世界平和の為になる。まちがいなく!」

まゆ子「そうか、馬鹿が治るクスリをラノベという形で実現してしまったわけだな。それはノーベル平和賞を十個くらいまとめてもらえるな。」
じゅえる「なるほど、ほんとうに馬鹿が治る方法を見つけてしまった鳩保が、それが現実世界で実際に適用された場合の社会の変化やら個人の心境やらをラノベSFの形でシミュレートした作品、なわけだな。」
釈「ほおなるほどなるほど。ノーベル文学賞は無理でも星雲賞くらいは固い作品ですねそれは。」
じゅえる「いや、それはアニメ化しないともらえそうにない賞だから。ヒューゴ賞とかだろくれるのは。」

 

じゅえる「それはそうとして、古いくっちゃりを漁っていたら面白いのが出てきたぞ。企画だ。
 女の子を主人公とした短篇集で不思議話。特に目新しいものではないが、気楽にやれるという点においてはいいんじゃないか。

『血闘姫』
・血闘姫〜吸血鬼のアイドル歌手が狩られる。
・鬼百合姫〜鬼のおねえさまが女子校に転校して来る。
・占斗姫〜こっくりさんで勝負する霊能少女対決。牛のような女の子「件」と対決
・首借姫〜飛頭蛮のおねえさん。
・悲運姫〜明美が殺されまくるのになぜか次の日生きて居る。
・酔蛸姫〜能登子さん格闘する。
・大口姫〜頭の後ろに口が有る女の子。大食い。寝て居る間に彼氏を丸呑みしちゃう。寂しい。
・巫蛇姫〜物部優子。

・傀儡姫〜
・鉄砲姫〜


まゆ子「首借姫、ってのはまんまクビ子さんだね。」
釈「物辺優子さんがちゃんと入ってますよ。化け物扱いですね。」
じゅえる「明美まで入ってやがるぞ。不死身人間てのはやはり化け物扱いなのだな。」
まゆ子「当然のことながらこれは「ウエンディズ」でも「ゲキロボ」でも無いのだから、双方に共通する設定は使わない。キャラ設定だけだ。
 だから物辺優子もごく普通に、黒髪の長い絶世の美少女巫女という事になる。どこか離島の神社に住んでいる神様少女だな。」

釈「変態ではないのですか?」
まゆ子「そこの設定に変更はない。」
じゅえる「そこ抜いたら意味無いしな。」
釈「まあ次のシリーズは男の人を主役にしてもっとかっちりとした物語にしようという話なんですが、書きやすいのはやっぱり女の子ですよね。」
まゆ子「だからこの企画は凍結されていたんだが、めんどくさくなってきたぞ。もう。」
じゅえる「そうそう、『でぽ』でもそうなんだが一にも二にもお客様だ。客寄せの為に面白いお話を書くべきなのだ。」

まゆ子「それは一つに真実である。自分が書きたいものと書いて面白いものとお客様に訴求力のあるものと、三者が合一した場合は無敵だ。」
釈「それができれば苦労はしませんけどね。」

じゅえる「ところで下の2つ空いているな、設定。」
まゆ子「ああ、10個ネタを考えようというわけで名前だけとりあえず出してみただけだな。まるでネタ無いぞ。」
釈「傀儡姫、まあ有りそうなネタですね。ラノベでは普通に。」
じゅえる「そりゃロボ子だろ。」
まゆ子「ロボ子ね、なるほどそれは悪くない。だが土器能登子さんがマイクロマシン話だから、サイボーグやらアンドロイドはどうだろうな。」
釈「魔法の反魂人形というのではどうですかね。」
まゆ子「魚肉反魂人形ではどうだろうか。死んではいるのだが合成人間として強制的に社会復帰させられた女の子の話。」
じゅえる「悪くはないが、このシリーズは不思議話が身上だ。もうちょっとポイントを絞り込んで、ピンポイントで怪奇性を表現すべきだろう。」

釈「じゃあこんなのはどうですか。つまり若狭レイヤです。とある超不思議事故に有って死んだ美少女若狭レイヤは、謎の喜味ちゃんに永久人工心臓を移植されて生き返る。
 しかしそれはあまりにも不思議な心臓で、まるで自分が心臓のためだけに生きているような感触がする。まるで操り人形みたいな感じの不安感に襲われる。というものです。」
まゆ子「そういえば、あいつは心臓をゲキロボ洗濯機で入れ替えた際に、木綿糸で胸に括りつけられたんだったな。」
じゅえる「それでいいんじゃないか。朝起きて身体の違和感を探ってみると、胸に丸いタコ糸の縫い目が有る。糸を解こうとすると心臓が転げ落ちてくる。」
釈「十分サスペンスですね。いいんじゃないですか。」
まゆ子「でも傀儡姫ではないな。なにか新しい名前を考えないとな。」
じゅえる「心臓がモチーフなんだから、鼓動姫とかでどうだ。」
まゆ子「ふむふむ。鼓拍姫とかどうだろうか。鼓動と拍動をミックスしてみました。」
釈「なるほど、傀儡姫よりはまだ俗っぽさがありませんかね。採用です。」

じゅえる「鉄砲姫は、要るか?」
まゆ子「ふむ、一応十個集めるつもりで書いたんだが、ネタがあるんだよ。有るんだけど浪費するのがもったいないネタなんだ。だからこれは却下。」
釈「凄いネタなんですか。」
まゆ子「間違ってもこれだけは外に出せない凄くいいネタだ。だから他人にはやらない。」
じゅえる「よっぽどのいいネタなんだろうな。じゃあこれは廃棄しよう。」

まゆ子「だが冷静に考えてみると、鬼百合姫と大口姫は無理に書かなくてもいいな。俗っぽ過ぎるし。」
じゅえる「まあ特異性の無いネタに見えるな、ここに書いてる分だけだと。」
釈「どうします、整理して無くしますか。」
まゆ子「ふーむ。だがこれ短いシリーズなんだよな。だいたいが30枚で収まる程度の。
 その短さに発展性のある物語を、と考えるとちょっとあのー、」
釈「ちょっと惜しいってことですか。」
まゆ子「まだなんとか弄れそうな気がするな。」

じゅえる「別のネタのに置き換えてみるのはどうだ。捨てるのではなく置き換えで。」
まゆ子「ふーむそうだなあ。印地鬼の話でも突っ込んでみるかな。」
釈「ああ前に考えた、三種の神器で野球をするという話ですか。」
じゅえる「ああちょうどいいや。それ突っ込んじゃえ。どうせそれはやらない事に決めたんだろ。」
まゆ子「ゲキロボと構造が似てるからやめました。只の女子高生が不思議な力をゲットしてあたふたするというお話ですから。」
釈「いいですね。ここで消化してしまいましょう。」
じゅえる「じゃあタイトルは「印地鬼姫」だ。インチキだな。」

『血闘姫』
・血闘姫〜吸血鬼のアイドル歌手が狩られる。
・印地鬼姫〜鬼の神器を発見してしまった三人の少女が、野球をするはめになる。
・占斗姫〜こっくりさんで勝負する霊能少女対決。牛のような女の子「件」と対決
・首借姫〜飛頭蛮のおねえさん。凸凹したイヌとカラスに追い詰められる。
・悲運姫〜明美が殺されまくるのになぜか次の日生きて居る。
・酔蛸姫〜謎の悪結社にマイクロマシンを注入された能登子さんが悪を滅ぼす格闘をする。
・鼓拍姫〜ある日目が覚めると心臓が偽物に置き換えられていた女の子。最後に醜怪な謎の少女によって救われる。
・巫蛇姫〜物部優子。 孤島に住む絶世の美少女巫女の話。

 

 

2014/01/13

まゆ子「というわけで、お正月第一発目の更新は「ゲキロボ☆彡」第十巻「八月十五日」の「物辺優子失踪する」でした。」

釈「今回は短いんですね。」
まゆ子「昨年十二月は「でぽ」強化月間でしたので、ほぼお休みです。でも既に10章分くらいは書いてるから、1月一杯を掛けて更新していきます。」
じゅえる「要するにお休みしたんだ。」

 

まゆ子「というわけで年次計画をつくろうと思う。今年の課題「ゲキロボ☆彡の終了」!」

釈「おお!」
じゅえる「ほお、思い切ったな。」
まゆ子「というかね、もうだいたいお終いなんだよ。後残ってるのは今書いている「八月十五日」と第十巻「八月十五日」の後半に収録されるはずの「狼男VSオーラシフター」。
 で計画に上がっているのは「美々世復活」「ウルトラ級宇宙怪獣襲来事件」「最終宇宙戦争」、これだけです。
 さらに追加要素として上がっているのが、中米チュクシュルブクレーターに関連したアメリカのなんとか財団。これを処理すれば本当にお終いだ。」

じゅえる「今年中に終わるという算段なわけだ。」
釈「でもちょっと苦しいですかね。今年で最終戦争にまで持ち込んで、来年初めで終了ってところじゃないですかね。」
まゆ子「まあそこはなんとか。」

じゅえる「これでようやくプロジェクト終了できるわけか。で、首尾はどうなのだ?」
釈「首尾とは?」
じゅえる「「ゲキロボ☆彡」の目的だよ。何の為に描くか、という大テーマだ。」

まゆ子「あー君達はだいたい「ゲキロボ☆彡」が「ウエンディズ」のやり直しだという事には気付いているだろうか。」
じゅえる「そりゃもうばっちり。」
釈「だってこれからウエンディズ夏合宿が描かれるじゃないですか。童さんが特別参加して。」

まゆ子「「ウエンディズ」はキャラクターのインフレ化が進みすぎて話が続けられなくなった。主人公弥生ちゃんに至っては異世界に渡ってかいじゅーと戦うしか敵が居なくなったほどだ。
 これでは目的である現代日本社会における普通生活の描写が出来ない、ということで設定を立て直して、更にはもともと「ウエンディズ」が泥縄的に発展して小説化したのを反省して、計画的に小説を構築したものだ。」
釈「「げばると処女」の反省でもあるわけですね。」
まゆ子「「げばると処女」全巻を書いてみた結果、恋愛要素がまったく欠落していたから重点的に補填しようと考えたのが、「ゲキロボ☆彡」だ。」
じゅえる「そこは失敗だな。」

まゆ子「失敗です。が、では何故失敗したか? そこが問題です。」
じゅえる「男が足りないからだろ。」
釈「そうですねー、割と出しているんですけどねー。」

まゆ子「いやそこはだ、そもそも本編主人公たる鳩保芳子が最初からモテ女として造形していたにも関わらずへたれで恋愛下手だった、というところに帰結する。」
じゅえる「ふむ。」
釈「鳩保さんですかー。」

まゆ子「そこで何故鳩保がダメかを考えた。折角アメリカ人の恋人候補を最初からあてがっているというのにだ。
 で、結論が出た。この男、アル・カネイがダメなのだ。」
じゅえる「ふむそれは私もそう思う。ちょっと消極的すぎた。」
釈「そうですねー、でもガンガン行くと鳩保さんは怒りますからねえ。」

まゆ子「そこだ! なぜアルは消極的なのだ。鳩保がセクシーじゃないからか? 可愛くないのか?
 そこんとこをつらつらと考えていったところ、或るとんでもない要素を考証していなかった事に気が付いた。」
じゅえる「ふむ。」
まゆ子「アル・カネイは20歳だ。高校に留学しているのはもちろんフェイクだが、しかし20歳の男に恋人の一人も居ないわけが無いだろ。」

釈「あ。」
じゅえる「アメリカ本国に本命の彼女が居るのか! ……そうか、そりゃそうだ。」
まゆ子「アメリカに可愛い彼女が居るにも関わらず、フリーメイソンと父親の言いつけで日本まで来て乳女の籠絡をしなければならない。これは難しい任務だぞ。
 だから鳩保もなかなか本気になれなかった。というのに、今更ながらに気が付いたわけさ。」

じゅえる「なるほどね、そりゃそうだ。じゃあつまりアル・カネイは最初から恋人役に向いていなかったわけだ。」
まゆ子「と思うだろ、違うんだ。鳩保という女は全世界全女の敵なのだ。
 もし六月頭アル初登場の頃に奴に彼女が居ると知っていたら、鳩保はガンガンアタックしたはずなのだ。そういう奴だ。」
釈「悪い女ですねえー!」
じゅえる「ああ。そういう奴なんだよな、鳩保は。」

まゆ子「という話を織り込むにはちと尺に余裕が無い。「八月十五日」にはアル・カネイは出てこない。「美々世復活」でアルの彼女の存在が暴露される。
 で、アルと鳩保の関係が変化するのはその後だが、もう学園パートは存在しないのだ。」
釈「あーーー、なんてこった。」
じゅえる「困ったなそりゃ。じゃあ鳩保コースは終了だ。」
釈「とはいえ、物辺優子さんや城ヶ崎花憐さんは恋愛の卦がありませんよ。童みのりさんは子供がくっついているし、児玉喜味子さんは嫁が居るし。」
まゆ子「優子はだいたい片思いでいいんだ。そういう風に出来ている。花憐ちゃんがねー、どんどん賢くなっていくからぽっと出の男に引っかからないんでやがる。」
じゅえる「やはり鳩保でしくったのが失敗か。」

まゆ子「まあもともとベロ甘な恋愛コースは想定していないけれど、もうちょっとくらいペタベタしたかったよ。」
じゅえる「最初から恋人関係を作っておくべきであったな。無論、それは良くない設定ではあるのだが。」
釈「早い段階で男の主役級キャラを投入しておくべきでしたね。というか、同年代の少年が主要キャラに存在しません。物辺さん絡みの演劇部先輩くらいです。」
まゆ子「うん、不明を恥じるばかりである。というわけで、オーラシフター設定を投入したのだが既に時遅し。
 ちなみにオーラシフターは喜味子預かりではあるが、物辺優子がリーダー蟠龍八郎太を愛でる事になっています。恋人関係じゃないけどね。」

釈「しかし、ではどういうキャラを最初から投入しておくべきだったか、を考えると悩みますね。」
まゆ子「まあやはり同学年の男子、同級生か。」
じゅえる「それも鳩保にだ。しかし男にモテまくりの割には特定人と深く関係しない奴だからな、難しいな。下手に恋人設定するとセックスやりまくりだし。」
まゆ子「あーそこも問題だ。鳩保は扱い難いキャラなんだよ。でも考えるとすれば同じ数理研究科の理系男子だろうね。」
釈「また理屈っぽいぎすぎすしたカップルですね、そりゃ。」

 

じゅえる「今更ではあるが、では各人どういう男とペアにしたら釣り合いが良いか。ちょっと考え直してみよう。

 まず物辺優子だ。並みの男では困る。かと言って年上の演劇部先輩に対してはむしろ本気過ぎて困る。」
釈「優子さんはほんとうにその人好きだから、決して手を出さないんですよね。「物辺の女は好きな男を殺してしまう」というジンクスが有るのです。」

まゆ子「物辺の巫女は好いた男を不幸に叩き落として絶対に幸せに成れない、という悲劇の運命が決定なのですよ。
 だから優子の母親贄子も「香能 玄」とはすぐ別れた。叔母さんの饗子さんは夫の精を吸い尽くしてインポにして自分の会社を奪われて今現在は無職というありさまだ。
 祝子さんは好きでもない男と無理やり結婚させられた。まあ出会えた男が良かったから、割と気に入っているけどね。
 物辺の巫女の結婚相手としては、お見合いで決まる特別な恋愛関係に無かった男が一番いいんだよ。
 三姉妹の父親がまさにそうだ。まあ咎津美さまの場合は自分が先に死んでしまう事で、夫は長生き出来るけどね。」

 

じゅえる「それで、蟠龍八郎太が優子とつるむのか。」
まゆ子「まあ最初から彼に釣り合うキャラは優子しか居ない、と見込んで造形してあるのだが、恋愛関係というのはちょいと違う。
 いや最終的にそうなってもいいのだが、そして優子自身は貞操観念はまるっきり薄いのだが、八郎太が単純に面白い奴だからこれで遊ぼうと考えた。」
釈「つまり話が合う相手を見つけたという事ですか。」
じゅえる「なるほど、単純に好いた腫れたより話が合って遊びに付いていける奴の方がより深く結びつくか。」
まゆ子「その意味では、八郎太は優子が初めて見つけた男性の友達です。いずれ親友になる、と考えてもいいです。」

じゅえる「親友か、難しいとこだな。」
釈「親友同士はエッチしてもいいのでしょうか?」
まゆ子「どちらかと言うと、エロ抜きで付き合える方が難しいんだが、そうだな。優子に限って言えば子供が欲しいから子種寄越せ、くらいは言える仲になるかな。」
じゅえる「ますます評価が難しいぞその関係。」

 

釈「じゃあ次に行きましょう。城ヶ崎花憐ちゃんですが、やはり外人の王子様ですかね。」
まゆ子「そうでなければ困る人が多数居る。」
じゅえる「ヨーロッパのアンシエントが、だけど。花憐本人はそれでいいのか?」
まゆ子「個人的な趣味としては王子様大歓迎です。まあもう少し大人になったら浮ついたところは無くなりますが、アダルトで考えたとしてもお金持ちの王侯貴族を拒否すべき理由は見当たりません。」
じゅえる「玉の輿だからな。」

釈「じゃあ今現在においては、無しでOKですかね。」
まゆ子「うーん、それでは面白味に欠けるのだが、こいつ爺殺しだしな。年上の男性と今くらいの距離で浅くお付き合いしておいた方が映える。」
じゅえる「そうか、30〜40歳の大人の男で魅力的なヤツをぶつけてやれば、自然とエロくなる算段だな。」
まゆ子「むしろ20代の若造を振り回してやってもいいぞ。花憐はそれが出来るキャラだ。」
じゅえる「ふむふむ、爺殺しはさすがだな。ちょっとハンサムくらいの若い奴は手球に取れるんだ。」
釈「ちくしょう、ちょっといいです。」

 

じゅえる「鳩保は一応もう話をしたのだが、どんな相手が次に来るか考えておくべきかな。」
まゆ子「つまりアル・カネイ以外の人間だ。アメリカ人である事が義務付けられているのだが、実は国内で普通に恋愛しても構わないぞ。なにせまだ子供だからな。」
釈「若い頃の恋愛は買ってでもしろ、ってわけですよ。」
じゅえる「いや、買われる方なんだけどな。でもじゃあ日本人でどんな相手となら恋愛関係に陥るかな。」
まゆ子「いやこいつはどんな男でも釣り合いが取れるからなあ。ヤンキーとだって上手いことやってしまうぞ、その気になれば。」
釈「はあ。そういう風に考えるとしたら、ヤクザ者が相手でもなんとでもなりそうな女ですねえ。」
じゅえる「選択肢が多すぎて分からんという事か。さすがにモテ女キャラだ。」

釈「不幸展開も有りですかね?」
まゆ子「尺があれば挑戦したいところだが、悲恋ではなくて相手がダメ男でも面白いように展開できる。暴力男でもだ。」
じゅえる「恋愛モノに関係する諸要素をまんべんなくクリア出来るキャラ設定なわけだ。さすがダメ人間キャラ。」
釈「うーむ、ただ残念なことに「ゲキロボ☆彡」だけは向いてなかったわけですよ。恋愛が無いから。」
まゆ子「面目ない。」

じゅえる「それでも敢えて誰か挙げるとしたら、どんな男がいいかな。」
釈「そうですねえ、現状の香背男さんでいいんですけどねえ。」
まゆ子「外国に住んでいる背の高い年上の男性、は問題なく使える設定だが、これ以外でとなるとやはり同年代の少年だな。」
じゅえる「いっその事野球部のエースくらいでいいかもしれない。」
釈「運動部で学校のアイドル的存在ですか。うーむ、それも悪くないなあ。」
まゆ子「まったく逆の、幼なじみでどうしようもなく手の掛かる奴に対しても世話女房的存在に成り得るからなあ。」

じゅえる「どういうドラマを欲するか、という話になる。ゲキロボという日常系SFを舞台とする場合、日常サイドを印象づける為のキャラなんだろうが、」
釈「それは優子さんが演劇部でやってますからねえ。」
まゆ子「日常演出は2つも要らん。となれば、むしろ怪人か。」
じゅえる「それこそ狼男かネコ男で良かったんじゃないか。」
まゆ子「鳩保なら可能だ。あ〜も〜、どうしてアル・カネイなんてもの振っちゃったかなあ。一番ダメじゃないか。」
釈「引っ掛かりが無さ過ぎたわけですよ。あー、もっと早く本国の彼女に気付いていればこんな展開にはならずに済んだのに。」
じゅえる「ネトリ展開はそりゃ面白いように描けたんだがなあ。」
まゆ子「残念。」

 

釈「童みのりさんですが。」
じゅえる「子供とか老人とか港の漁師さんとか、そういう普通の関係でいいじゃん。」
まゆ子「恋愛関係なしが一番正しいのだが、強いてあげるなら例の天才子供をお姉さん的立場で育てている内に段々と愛情が芽生えて、という展開がふさわしい。
 どっちにしろ時間展開が2008年でしかない「ゲキロボ」では無理だ。」
釈「それでも一夏のアバンチュールとかを、」
じゅえる「こどもでか?」
まゆ子「強いて言うなら、学校の部活の友人が実はみのりの事を好きだったよ、とか?」
じゅえる「それだ! 陸上部を辞めてしまい接点が無くなったみのりに対して、いつも傍に居た男子が改めて告ってくる。これだな。」
釈「おおそれだ。でも自身には恋愛感情の無いみのりは大揺れする、という展開ですね。」

まゆ子「ふむ、それは今から投入しても間に合う。」
じゅえる「出来るのか?」
まゆ子「可能だ。いや是非やろう。実は「八月十五日」以後学校パートはほとんど何も無い。予定設定何も無い、だからネタが欲しかった。」
釈「なるほど。新学期が始まる前に告ろう、という展開ですね。行けますよ。」

じゅえる「じゃあどうするか、やはり陸上部の人間にするか。」
まゆ子「ふむ、それでもいいが同じグラウンドの外を使う人間で野球部とかサッカー部とかだろうな。テニス部でもいいが、私テニス関係はまったく詳しくないから描けない。
 逆に野球サッカーはなんとかなる。知り合い居るから。」
じゅえる「いやここは意表を衝いて、相撲部とかはどうだろう。」
釈「えーーーーーーー。」
まゆ子「いや意表衝き過ぎだから。しかし面白くはある。たしかにサッカー部ではないな。」
釈「ふむ、砲丸投げをやっていた童さんですから、パワー系の男子が寄って来ても不思議は無いですかね。」

じゅえる「冗談で言ったんだが、そうまじめに捉えてもらうとなんだかな。」

 

まゆ子「そしてモテモテ喜味ちゃんだ。」
じゅえる「男はー、男なんか無くても嫁が居るし。」
釈「でもモテるんですよね、いや恋愛ではなくて。」
まゆ子「男子に何故か好印象の喜味ちゃんだ。鳩保よりもよほど人気が有る。男女ともに人望もあるわけだが、あえて恋愛となると嫁子くらいしか勇気有る者は居ないな。」
じゅえる「それでも敢えて踏み込むぞ。オーラシフターから出してもいいよな。」
まゆ子「まあ、オーラシフター自体が喜味子預かりだからね。それでもさすがに恋愛となると、無理だなあ。」
釈「女なら、嫁子の他にフカ子さんを見つけていますけどねえ。」

じゅえる「そもそもだ、喜味子は「あなたが好きです」と言われてもまじめに受け取らないだろ。」
まゆ子「喜味ちゃんは夢を見ないからなあ。だから自分が恋愛をするという夢も見ません。男子を好きになる事はあるけれど、そしてそれなりに親しくなったとしても、絶対に色に出しません。」
じゅえる「なかなか可哀想だな。」
まゆ子「自分でもそういう恋愛に縁の無い、そんな事は思わない性格だ、と思い込んでいます。叶わない夢ならば最初から見ない方がマシというわけだね。」

釈「それでも敢えてとなると、」
まゆ子「可能性としてはやはり八郎太なんだよな。実は優子にしようか喜味子にしようか、迷ったんだが優子の方が絵的に綺麗だというわけでそう設定する。」
じゅえる「優子と喜味子が男を取り合う、という絵はダメなのか?」
まゆ子「さすがに喜味ちゃんはそこまで馬鹿ではない。いや恋愛が絡めば馬鹿で結構なのだが、優子と天秤に掛けて勝てると思う女は地上には居ないのだ。」
釈「夢どころの話ではありませんしねえ。」

じゅえる「軍人関係とかの機械いじりに関係する筋では、男供給ダメだろうか。」
まゆ子「そういうのはいやらしいからやめよう。やはり喜味ちゃんの容姿は人間離れしているのだ。強いて言うならば、天狗が掻っ攫っていくくらいで。」
じゅえる「それだ。」
釈「それだ。怪人であれば問題無いでしょう。」
まゆ子「でも喜味ちゃんはアレで普通にミーハーだから、普通にアイドルっぽい男好きだよ。逆にいうと、自分が変な顔をしているからと言って、変な男が好きということではない。またそういう奴は拒否します。」
じゅえる「ブス好みの変態男というのはどうだろう。自身は凄く美しい顔をしているけど、あまりにも自己愛が強すぎて並みの女では満足できないという。」
まゆ子「喜味ちゃんは常識人です。却下。」

釈「すなおに嫁子と百合ゆりしている方がいいですかねえ。IPS細胞というもので女の子同士でも子供が出来るそうですし。」
まゆ子「ふうん、ひょんなことから普通の男性と結婚してしまう、そんな感じでもいいのだが我々が求めるのはドラマとしての展開が可能なキャラクターだ。」
じゅえる「普通に恋愛ねえ。うーむ、それは面白くもなんともないからなあ。第一時間的に掛かり過ぎて夏の間に処理できない。」
釈「やはりここは保留で。でもそうですねえ、普通に恋愛も無く結婚してしまうとかは、らしいと言えばらしいんですが。」

じゅえる「隣に住んでる中学生はどうなのだ。この際姉さん女房でもいいだろ。」
まゆ子「いやさすがにそれは安直過ぎて、喜味子的にはお姉さんとして普通に綺麗な女の子を彼女にしてもらいたいと考えてるぞ。自分がその対象になるなんてまったく想像すらしていない。」
釈「でも中学生は喜味子さんのこと好きなんでしょ?」
まゆ子「好きなんじゃないんだよ、性的な部分が超敏感に喜味子に反応してしまうのだ。中学生は自分でも何がどうなってるか分からない。」
じゅえる「好きじゃなくても感じるんだ。なるほど、そういう対象なのか。」
釈「触覚に関しては超弩級の影響力を持っていますからねえ、喜味子さんは。」

まゆ子「という話を今「八月十五日」に書いているわけだ。よくよく考えてみれば両思いになる必要は全く無い。中学生が一方的に喜味子に対して身体だけ好きになる、という展開でも困りはしない。
 それもまた愛のカタチ。」
釈「まあ、それはそうです。片思いでも自分では納得しがたい肉体の反応であっても、ドラマが作れないわけではありません。」

じゅえる「むしろ変態的要素が加速して良い話にはなるのだ。だがー、喜味子自身としてはそれでいいのか?」
まゆ子「まあ物語の設定的には5人全員が子供を産んで次代に家系を残していく事が決まっていますから、喜味子も子供を産むのです。それもIPS細胞禁止です。
 ゲキロボは遺伝子改良とか人工子宮とかで作られたゲキの血統を受け継ぐニンゲン、というのにはまったく反応しません。
 あくまでも5人の家系の自然受精した子供に対して使役される事を許します。そうでなければクローン人間の山が出来る。」
じゅえる「クローン人間は試してみたのか?」
まゆ子「今後その話が出るかもしれないけれど、未来においてそれも数十年以内に行ってまったく意味が無い事が確認されます。そもそもがミスシャクティの忠告でクローン人間は不可になってます。」

じゅえる「つまり、喜味子は嫌でもセックスして妊娠しなければならないわけだな?」
まゆ子「そういう設定になっています。」
釈「となれば、十代の今その相手を見つける必要もないわけですが、ドラマ的には考えたい。どんな男がいいでしょうか。」
まゆ子「流れ者、あるいは死にゆく者。」
じゅえる「如何にもドラマ的でさすがにそれは許可できない。もうちょっと地に足の付いた相手を考えるべきだ。」

まゆ子「そうだなー、そういうのが違うとなれば極めて普通に、文通とか?」
釈「はあ、今ならばメール交換だけで結婚しても不思議ではありませんか。」
じゅえる「顔は見えないからな。なるほど、文通メールで交際をしている内に喜味子も相手もこれがいいと感じていくというのは普通の展開だ。
 だがそれでは会った時のダメージがより一層強いだろう。」
まゆ子「まあ、でも喜味子自身はそういうのに夢を見ないから、自分と対面したら結婚とか恋愛とかの感情は相手の中から吹っ飛んでしまうだろう、と考えています。

 ただこれは少し考えが歪んでいるし、甘いです。嫁子というちゃんと顔を見ながらも親しく接近して恋愛感情まで抱く人間が居るのに、男だからダメというのは見込み違いです。」
釈「そうか、嫁子と同じ種類の人間が男にも居るのですね。」
じゅえる「じゃあ、喜味子はごく普通に結婚してしまうわけだ。」
まゆ子「まあ、そういう結論に落ち着いたな。とにかくそういう風に物語は決まっているのです。基本設定です。」

 

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