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09/12/07

まゆ子「えー4章は結局正味111枚でしたまる」

じゅえる「そりゃいいが、なんか「でぽ」の方でエロ絵が大量増殖してるぞ。どしたの?」
まゆ子「描き方変えた。」
釈「生産性が向上する魔法でも手に入れたんですか。」
まゆ子「あー、簡単に言ってしまうと、小さくした。」
釈「はあ。」

じゅえる「小さくするといい事あるの?」
まゆ子「メモリアクセス量が減りレスポンスが上がる。」
じゅえる「なるほど。」
釈「それは生産量に直結しますね。でもデメリットが。」

まゆ子「そりゃそうだ。これまではだいたいB5300dpiで色塗りしてたんだけど、今は長辺2500ドットでやってる。元が3000オーバーだから随分と小さいぞ。印刷カラー原稿は360dpi必要というから、ダメだな。」
じゅえる「印刷諦めちゃったんだ。」
まゆ子「というか、最近プリンタあんま使わないし。」
釈「はあ、それは説得力ある理由ですね。」

じゅえる「で、これからエロ絵でなんかやるの。」
まゆ子「うーん、でぽも10周年突破したし、エロ絵のダウンロード販売でもやろうかと。在庫だけはたっぷり有るし。」

釈「でもDLはほとんど売れないとか聞きますよ。」
じゅえる「まあ、ほとんどがスカだし、売れると考える方がおかしい。同人誌がぼこぼこ売れないのと一緒だ。」
釈「やはり有名なとこのDLでないとダメでしょう。」
まゆ子「うーんやっぱそうだよなー、それはそうだしなー。」

じゅえる「とはいえ、印刷前提でなくてもよい、というのはメリットかな。」
釈「これまで採算考えずにお絵かきしてきたんですから、別に損もしませんか。」
まゆ子「まあ、そういうこった。新規絵が10枚もあれば1パックとして上等だよ。」

釈「でも並の絵では骨折り損ですから、商品としての訴求力のあるものを描かないといけません。」
じゅえる「超鬼畜絵とかかね。」
まゆ子「いやー、そういうのはアレだ。なんかねー。」
じゅえる「でも昔は良く描いていたぞ。」
釈「適切な発表の場所が無いから、鬼畜絵はやめちゃったのです。」
まゆ子「DLなら、ってふつうに考えるとむしろ逆に良くないんだけどさ。」

じゅえる「ポリシーの問題か。うーん、ライトエロがどれだけ売れるものであろうかのお釈ちゃん。」
釈「ただエロい鬼畜だというのでは、それもやっぱり売れないでしょうねえ。上手い人はいくらでも居ますし。」

まゆ子「ま、売れるとはそもそも思わないから、どうでもいいよ。なんか酷いところはへたくそ絵1枚600\で売ってたりするらしいし。」
じゅえる「世の中をなめとるな。」
釈「まあ、同人誌の世界はそんなのめずらしくもないんですけどね。」

         *************

じゅえる「で第五章です。算段はいかに。」
まゆ子「憂鬱。」

釈「ほお。」

まゆ子「今回人が死にます。焔アウンサ暗殺の責任を取って腹を斬ります。」
じゅえる「ほお。」
釈「それは確実に死にますね。首も落ちますか。」
まゆ子「落ちます。恨むなら弥生ちゃんを恨め。」

じゅえる「うーむ、とはいえ避けて通るわけにもいかん。ここは辛抱して正面突破だ。」
まゆ子「まあ、そうなんだけどね、

 ちなみに今回題は『黒甲枝三景』です。ハラキリと、カロアル斧ロァランと銀椿です。三つを必要とするけれど、実はもう銀椿の段は書いてしまいました。」
釈「ほお手回しの良い。」

まゆ子「楽をするなら先に斧ロァランで行くかな。ちなみにこの娘はこういう話。

 父も兄も死に、カロアル家の家督を継ぐ者は彼女しかもう居ない。もちろん神兵の役は男にしか務まらないから、尋常に考えると婿を取ってそいつに聖蟲を継がせることとなる。極めて当たり前で、彼女も反対をし難い話だ。
 しかも、カロアル家の上位系列の金翅幹元老員はより良い婿をと紋章旗団から探そうという。 

 いま巷では紋章旗団大人気、赤甲梢が国境付近に留まっている関係上、一緒に敵国に突っ込んだ紋章旗団がカプタニアで人気を独り占めです。」
じゅえる「そりゃあアイドルだ。」
釈「ほおほお、それから婿を取るというのは、それは名誉なお話ですね。」
まゆ子「兵師監までも務めたお家でありますから、そのくらいの格が無いと務まらないという筋もある。

 だが斧ロァランは考える。兄軌バイジャンは戦死ではなく行方不明、ひょっとしたら生きているかもしれない。というか、弓レアルが固く生存を信じているので、彼女も引きずられている。ここんところは第六章で弓レアルがハジパイ王と対面するところで描きます。
 てなわけで、兄が死んでいなかった場合、婿を取ってその人が聖蟲を継承していればかなり面倒くさい話になるわけです。

 また斧ロァランは劫アランサ王女や弥生ちゃんの傍に居て、時代が今まさに目の前で動く有り様を見せつけられたのです。ここに自身も関与したい、いや貢献したいと考えるのは至極自然な人情。その為には自分が只の人、只の女官ではとてもついていけない。
 そこで、自分がしばらくの間聖蟲を戴いてはどうだろうか、と訴えるのです。」

じゅえる「ふうむ。」
釈「女子の聖戴に制限は無いんですか?」
まゆ子「褐甲角王国では王族以外は基本無い。なぜならば神兵だからだよ。戦場で戦うのは男の役目というのが、方台の常識。というよりも戦場の常識だ。
 神兵として存分に働く為には男が聖戴するのが当然、とくにカブトムシの聖蟲であれば、だよ。」

じゅえる「極めて常識的な発想だな。それに異をはさむのは難しい。」
釈「それを承知で申し入れてるわけですね。」
まゆ子「まあ、彼女は彩ルダムという実例を見て来た経緯もあるからね。

 それに戦略的に考えれば、女人で聖戴者というのの実用性は現在極めて高い。弥生ちゃんが女だし、ゲバチューラウの近辺に配置するにもなにかと好都合だったりする。
 カロアル家の上位の金翅幹元老員もその価値を認めて、この返事を保留にする。検討の余地があるてね。

 だが、やはりうまくはいかなかった。そこで、第六章で弓レアルにハジパイ王から呼び出しが掛かった際に、斧ロァランも一緒に宮廷に行く行為に繋がるのだよ。
 元は斧ロァランはハジパイ王の御犬番であったし、今回呼び出しにきたのが犬の世話係のゲワォだし、ハジパイ王の口添えがあれば聖戴も叶うだろうし、またその価値を誰より認めてくれそうな人であるからね。で、弓レアルに付き添って行こうと考える。」

じゅえる「ハジパイ王もたいへんだ。」
釈「まあ、そのくらいは普通にたいへんですね。色んな人が来るわけですよ王様のところには。」

まゆ子「ま、身勝手なんですが、そこはそれ小娘の考えることだし、それに身勝手なキャラが悪いと決まったわけじゃなし。」
じゅえる「まあ分かりやすいものわかりの良いきゃらばかりだと疲れるか。」
釈「げばると処女にはものの分かった御人が多いんですが、それじゃあちょっと物足りないかも知れませんね。一人くらい本気のバカが居るのも、まあ物語の厚味というものですよ。」

まゆ子「はあ。…なるほど。ここに来てようやく斧ロァランのキャラが見えた。こいつバカだったのか…。」

釈「あー、あんま役に立たない、ダメなキャラではありましたが、ものわかりの悪い身勝手なバカ娘、というのは良いのかも知れませんか。」
じゅえる「動機は別に個人的ではないんだけど、それでも身勝手で状況を見極めない、極めて個人的な狭い了見でしか世界を見ることができない…、あー女の子そのものだ。」

まゆ子「斧ロァランは最初から女の子として造形はされてるけどね。」
釈「女の子は女の子らしく、自分らしい形を手に入れた、それだけの話ですね。」
まゆ子「そうかー、そりゃそうか。他のキャラは自分で勝手にキャラが立っていくのに、あいつだけが書き割りキャラで済む道理が無かったなあ。もっと突っ込んでキャラを掘り下げれば良かったかとも思ってたんだけど、なんだそういう奴か。」

じゅえる「とはいえもう物語もおしまいだ。これから大活躍させるわけにも、と思ったがアレはこれから最後の活躍をするんだった。」
釈「万事けいかくどおり、なのです。」

じゅえる「では本編主人公弓レアルはどうなのか、なんだけど、ぼーーーーーーーーーっとしてるだけなんだよ。」
まゆ子「あの娘はアレで上等、アレがキャラであって、今回というか第六章ではそのぼーーーーーーーっとしてるのが彼女そのものだという所を読者様にしっかりと見せつける段取りになっていますよ。それに彼女は、彼女こそがこの物語を締めくくる最強のアイテムなのだよ。」

じゅえる「そこんところはばっちりだ。」
釈「ええ、確かにアレはばっちりです。」

まゆ子「さて、でここでもうひとり、別に呼んでもいないのに勝手にキャラが立った人がいます。シュメ・サンパクレ・アです。

 彼女は別に主要登場人物ではなかった、ただの脇役のそのまた脇ですが、実は今ホットスポットに居ます。何故かクローズアップされます。」
じゅえる「なして?」
まゆ子「なしても何も、彼女は偉い人の妻であり子を持ってるわけだよ。カプタニア神衛士隊長カンヴィタル鮮パァヴァトンさんです。まだ一回しか出てませんが。」
釈「なにかやらかしますか。」

まゆ子「いや、銀椿書いたと言ったでしょ。ここで自分ではまったく考えなかった話が進展したんだ。

 つまりチューラウ神衛士団、赤甲梢を潰して新しく実戦部隊でない神兵集団を作り祭り上げようという消極的な算段であるわけだよ。本来の構想では。」
じゅえる「それ以上の情報は聞いてないぞ。」
まゆ子「うん、元々はこれ以上の何物も無いんだよ。だけど、ちょっと見方を換えると、コレは政治的に極めて強力な武器に成り得ると気付いてしまったのさ。」

釈「政治的にと言いますか、そもそもが弥生ちゃんキャプテンを褐甲角王国が護るという形で拘束するのが目的ですから、たしかに政治的な存在であるわけです。
 はーたしかにやろうと思えば政治的になりますね。」
まゆ子「そういう観点で考えると、これはえらい大問題であって、ハジパイ王やメグリアル王家と対抗する軸に成り得る強力な存在に仕立て上げることが出来るんだ。束ねる人を選べばね。カンヴィタル宗家から人を出せば、権力二倍二倍。」

じゅえる「おー。」
釈「おー。」

まゆ子「というわけで、これは武徳王以外のカンヴィタル家の人間の意向で王家増量という形で進展するのだ。その為に最もふさわしい人間、新たな王と成り得る人材がカンヴィタル鮮パァヴァトン、てわけさ。ちなみにソグヴィタル・ハジパイ・メグリアル王家はカンヴィタル宗家に対しては「属王家」という存在です。今決めた続柄ですが。」

じゅえる「整理すると、チューラウ神衛士団を有する弥生ちゃん牽制機能を持った属王家が新たに立てられて、それにカンヴィタル鮮パァヴァトンさんが当てられる。」
釈「とうぜんのことながら、彼の妻であるシュメさんは、…プリンセスですか。」

まゆ子「あーそこなんだがーパァヴァトンさんにはれっきとした正妻がいらっしゃいます。シュメさんは外の世界に居る内縁の妻。ただし子供は彼女にしか居ない。」
釈「なるなる、それはびみょうな立場です。」
まゆ子「さらに都合のいいことに、その正妻ってのがまた神懸った女であって、まあ神聖宮殿に住む人はあらかたそうなんだけど、というわけで神聖宮殿を出ようとはしないのだ。つまり外の世界に出る彼には妻は事実上ひとりしか居ない。」

じゅえる「うーむー、なんというか恐ろしいほどに幸運だな。」
まゆ子「ちなみに、パァヴァトンさんは外部からスガッタ僧の偉い坊さんを招いて講義を受けて居たという、外部に目が向いて居た人物です。神衛士団長で終る器ではない。この度の措置は望外の幸運とも言え張り切っています。」

釈「つまりは、世に出るべき人が時と場を得てはばたこうという感じですか。」
じゅえる「危ういな、それは危ういな。」
まゆ子「危ういのだ。舞上がってますよ、表面上は落ち着いてますが。なにせ新しく建てられる王家の名を「サンパクレ」家にしようかと言い出すくらいですから。」
じゅえる「うわー。」
釈「うわー。それはーまた無茶ですねー。」

まゆ子「とは言うものの、確かに別の名は必要で、最初の王となる人が名付ける権利を持つ。武徳王から賜るものなんだけどもちろん本人の希望を聞いてそれに許可を与えるという形になる。「サンパクレ」がいいと言うのなら、なる。」

じゅえる「しかしそれはやばいだろ本妻は。」
釈「包丁で腹ぶっ刺されますよ。修羅場です。」

じゅえる「で、実際はどうなるんだ。」
まゆ子「あー、この筋で進めて行くと王家が出来ますね。なにせもう、銀椿が話に絡んできてますから。

 つまりこうだ。新しく立つ「チューラウ神衛士団」有する新王家は、弥生ちゃんと青晶蜥神救世主にがっつり食らいつく存在です。これからの世はトカゲ神の時代であり、方台新秩序が組み上がります。
 となれば、新王家の役割は極めて重大。メグリアル王家は金雷蜒王国との外交折衝の役目を果たして来たわけですが、それの青晶蜥王国版なんだな。だが役割はさらに大きい。
 すると、困る人がたくさん出るわけです。メグリアル王家ももちろん勢力を削がれるんですが、方台新秩序ってのはもちろん統治の実際に重要な影響を与えるから、金翅幹元老院にもハジパイ王家の権力をも削ぎます。」

じゅえる「お。」
まゆ子「そこで両王家が検討した結果、こちらの手の者を新王家の腹心、家宰格で入れておこうというわけです。それはもちろん有能優秀でなければならないが、それ以上に激変する状況を乗り切り既存の王家とのバランスを巧みに保ちつつも新王家をうまく切り盛りし、それでいて限度を弁えて必要以上に大きくなることが無い裏切り者にならない微妙な舵取りを任せられるのです。」
釈「これはまた、えらく微妙な御役目ですねえ。」

まゆ子「それを果し得る人材は褐甲角王国広しといえども、銀椿しか居ない。パァヴァトンさんは31歳であるから年長のお目付役を付けることも考えられますけれど、彼の能力と器量は傑物と呼ぶのに十分ですから、今後は縦横に活躍するはずです。それを御するには年長というだけでは足りない。もちろん家老格として付けますが、実際に制御する役を果たすのは年下の銀椿です。」

じゅえる「だいもんだいだな。」
釈「ううむ、「げばると処女U」が無いのがざんねんです。」

まゆ子「とまあそういうわけだ。事実上の王妃様となるシュメさんは、天から降ったような幸運の嵐に見舞われて心臓ドキドキだ。こんな物事が自分の思い通りにどんどんジェットコースターみたいに進展するなんてあっていいのだろうか、と恐ろしくなりますよ。」
じゅえる「だろうねえ。」
釈「一度くらいそんな台詞言ってみたいものですよ。」

まゆ子「もちろんドンデン返しは用意してるんだ。

 或る日坊ちゃんが高熱を出して医者の手に負えなくなる。これを救えるのは弥生ちゃんのハリセンが有るのみ。シュメさんは弥生ちゃんの護符を持っているのだが、そしてぴるまるれれこの顔が青く光り輝いて坊ちゃんを護るのだがやはり限度がある。光が消える前に弥生ちゃんの居るデュータム点に辿りつけないと坊ちゃん死んでしまう。

 というのでガンガランガからデュータム点まで人を雇って昼夜走り抜く大強行軍で弥生ちゃんの所に転げ込む。

 しかしながらハリセンの力を以ってしても、坊ちゃんの病はそうは簡単に癒らない。何度もハリセンでぶっ叩かれる苛酷な試練が必要だ。苦痛も伴うしカネも掛る。弥生ちゃんとトカゲ神殿は、貧乏人の病人からはカネは取らないが金持ちからは遠慮容赦なくふんだくる方針を取って居るもんでね。

 だがそれ以上に、シュメさんが隠している秘密を弥生ちゃんが暴き出す。つまりは「白の母」関連の陰謀、パァヴァトンさんにまつわる謀略だね。これを白状させるのだ。

 でついでに弥生ちゃんは彼女に罪ほろぼしの為に、方台初の女学校を作らせる。百合ですよ聖リリアン学園ですよ宝塚みたいなものを私財を投じて作らせるのだ。」

釈「はあ、そんなことまで予定されて居たんですか。」
まゆ子「シュメさんが最初に登場した時に既に用意しているシナリオです。
 が、ざんねんそれは「U」だ。描かれないな。」
釈「ざんねん。」

まゆ子「だがね、この新王家の話はもちろんのことながら「白の母」「カラミチュ」さんも絡んでるわけだ。そこんところが第六章で描かれる。弓レアル大活躍の回なのさ。」
釈「乞御期待!」

じゅえる「その前に五章だよ。」
まゆ子「うう憂鬱。」

           ***********

まゆ子「ちなみにヒィキタイタンさんと劫アランサ王女がカプタニアでとっ捕まった際、これを奪還しようと画策するのは、紋章旗団です。
 赤甲梢はゲバチューラウ近辺に固定されてほとんど動けませんから、代りに彼らが頑張りますというか頑張るのはよろしくないのだが軽挙妄動してしまいます。」

じゅえる「まあカプタニアが舞台であればそうなるのが筋かなあ。」
釈「赤甲梢がカプタニアにまで遠征して反乱するのはさすがに大事過ぎますからね。」
まゆ子「連中もね、赤甲梢が未だ国境付近にあってゲバチューラウ護衛という大役を担っている事に内心忸怩たる思いがあるわけですよ。

 赤甲梢は未だに歴史の激動するど真ん中で働き続けている、それに比べて我ら紋章旗団は王都にて人に持てはやされる人気者とされるが何の御役も頂いて無い。
 ましてや彼らを率いて歴史的快挙を成さしめた焔アウンサ前総裁が暗殺に倒れ、ガンガランガの大本営ではなにやら異変がある。
 このまま手をこまねいていて良いものか? 良いわけがない。
 ではせめて赤甲梢総裁劫アランサ王女とソグヴィタル王の正当なる処遇を求めて、抗議運動を開始する。」

釈「人として実にまっとうな態度であると思われますが、」
じゅえる「泥沼化ですなあ、まあそうでないと物語上困るんだけど。」
まゆ子「まあ、一揉めしてくれないと物語上困るんだよね。一触即発て状況でないと、弥生ちゃん降臨しても締まらないのだ。」

じゅえる「で、結局暴動に及ぶのですかね。」
まゆ子「いやそこでアランサが閉じ込められてる高塔に斧ロアランがよじ登って、紋章旗団の動きに乗らないように弥生ちゃんの到来を待つべしと伝言を伝えるのです。」

釈「ちょっと待って下さい。その伝言は誰からのものですか?」
じゅえる「そうだ。一国の王女に言うことを聞かせるのだから、ただの人の言葉ではダメだぞ。説得力が無い。」
まゆ子「ウェダ・オダさんでは?」
釈「ああ! それなら問題有りません。」

じゅえる「いやまてちょっとまて、ウェダ・オダと斧ロアランが知り合いなのはいいとして、でもどうして二人が動くんだ? ここに蛙男ゲワォはどう関わって来るのだ?」

まゆ子「いや、あんたらすっかり忘れてるだろうが、ウェダ・オダさんは弓レアルの又従兄だよ。」
釈「!!!」
じゅえる「!?!、うそお。」

まゆ子「いや嘘もへったくれも、斧ロアランが慣れない赤甲梢で戸惑わないように、ヒッポドス家が弓レアルの義妹になる彼女の為に赤甲梢に居たウェダ・オダさんによしなに頼んだ、って2章で書いたはずだよ。」

釈「…あー、ありますね。」
じゅえる「そうか、すっかり忘れてたよ。つまり弓レアルの庭にたむろしてたら、自然と皆集まって来るんだ。」
まゆ子「ちなみにゲワォさんはこれまたヒッポドス関係者。つまりだね、ヒッポドス家が資金援助していた賢人ギョラン・ギョンギョ、私塾『ギョンギョ学堂』の塾生だったんだゲワォさんは。
 ハギット女史若かりし頃、御師匠さまのギョンギョが飲み屋で酔い潰れているのを内弟子であるゲワォさんが担いで回収し、下女であるハギットさんが飲み屋の支払いや質入れされてしまった書物の回収に走り回る、という関係でした。」

じゅえる「つまり、弓レアルのお庭にはネコから無制限の情報が殺到し、賢者ゲワォやハギット女史が読み解き、赤甲梢ウェダ・オダさんが居て御バカな女官の斧ロアランが居て、青髪のアルエルシイさんがお茶を飲んでいる、そいうところなんだ。」
釈「なにか凄いですね。」
まゆ子「そりゃ、本編主人公弓レアルさんの宮廷ですよ。」

 

09/11/09

まゆ子「あー、というわけで『げばると処女 EP7』「第四章 娘芝居聖蟲戯」が出来てますよ、前半だけ。」

釈「何故前半だけですか。」
じゅえる「というか、尺を言うてみろ何枚書いた。」
まゆ子「いやその、はっはあは。」
じゅえる「何枚書いたと聞いてるんだよ。」

まゆ子「ひ、139まい。」
釈「百!」
じゅえる「にょおおおおおお! だから言わんこっちゃない。」

まゆ子「あ、でもね。これはWORDPADで書いた分で空白行とか多数混じってるから、正味で換算するとおそらくは100枚! うんそんなもんだ。おまけ付きだし。」
釈「でも100とか言ってますぜい、おやぶん。」
じゅえる「うーまーなんだー、100かあ。予想はしていたが、やっぱ予想通りか。」

まゆ子「てなわけで、今推敲に必死なのです。とりあえず最初に書いた前半だけは、ちゃんとできました。」

じゅえる「後半、つまり演劇の本番部分だな。これは出来たの?」
まゆ子「そりゃ当然。会心の出来です。」
釈「おもしろいですか?」
まゆ子「さあ?」

じゅえる「面白いかどうかは作者筆者には良くわからんからいいとして、計画どおりには出来たの。」
まゆ子「あーそれがー、かなり変ではあるが、要求は満たしたと思う。」

じゅえる「具体的にはどこが変なんだ。」
まゆ子「うん、…これはわたしの文体そのものの特徴というか欠点に近いものなんだけど、口語というか朗読を前提に語調がいいように書いている。」
釈「ですね。」

まゆ子「その究極の姿は、七五調だ。もちろん普通の回ではやらないよ、でも演劇的な演出が必要な回では結構使ってる。」
じゅえる「今回もろに演劇だ。使いまくったんだ。」
まゆ子「それが『バゲマゲ』。前後二作では極力抑えております。」

釈「でもすごく変でしょう、それって。」
まゆ子「でもこのバゲマゲの話は基本歌舞伎だから、おもいっきり歌舞伎にしましたよ。」

じゅえる「ふむ、歌舞伎であれば七五でも型どおりでも不自然じゃないか。でも方台に歌舞伎ってあるの?」
まゆ子「ワイドショーがあるんだから、歌舞伎くらい有るよ。」
釈「でもなにか違うのではありませんか。」

まゆ子「あーこれは日本人にはあまり理解できないんだけど、歌舞伎って変なお芝居なんだ。というか背景美術の有るお芝居って世界でも歌舞伎とオペラしか無い。他の所は小道具大道具は有っても、背景美術って無いんだ。しかも建築までしてしまう大がかりなものは。」

じゅえる「方台のお芝居も背景美術は無いてことか。」
釈「舞台が正方で全周囲から見られますからね。変なもの持ち込んだら見えませんよ。」
じゅえる「つまり、なんにも無いところでお芝居するのが、方台の流儀なんだ。ふうむ、むしろそっちの方が演技力要求されるかな。」

まゆ子「あー、演劇には型通りに演じなきゃいけないものと、即興で感情とかを大袈裟に表現するべきものとがあるわけで、基本的にカタツムリ神官巫女の演技は前者になります。しかしながらワイドショー演劇だと感情を全面に押し出したものが一般庶民には歓迎される。
 『バゲマゲ』が画期的なのは、前者で表現されるべき物語を後者の手法で演じるところ。客観的に見れば立派な宗教説話であるんだけど、胸にぐっと来るのです。」

じゅえる「バゲマゲて、儲け役だな。」
釈「げばおと上ではちょこっとしか出ていないのに、ラッキーですねえ。」
まゆ子「ま、史実ってのはそういうもんだよ。後にメディアで大人気になる人物やら物語も、実際はしょぼいもんだ。」

じゅえる「その前後のお芝居はどうなんだい。」
釈「『弥生ちゃんの埋葬』と『ゲバチューラウの結婚』ですね。」

まゆ子「前者は『大怪獣空中戦』だ。」
じゅえる「…、まあ志穂美と弥生ちゃんのバトルだから、そうか。」
釈「あーそんなこと書きましたねえ。それをリアルに表現すると、大怪獣空中戦ですよハハハ。」

まゆ子「こちらは舞台の演出上のあれこれを描きました。イルドラ姫も出て来ます。感情移入は出来ない構図にしてあり、というか演劇舞台と観客を俯瞰して見る態度で執筆しています。
 逆に言うと『バゲマゲ』が引き立つように、こちらでは七五調を使わずにあえて普通の地の文です。」
じゅえる「つまりお芝居のことを書いた小説、でしかないんだ。」
まゆ子「ここはそれが正しいと判断しました。計画どおりです。」
じゅえる「うん、そう書いてるな。」

まゆ子「『バゲマゲ』は計画どおりなら、カタツムリ神官の名優の心情なんかも織り交ぜて舞台に賭ける役者魂なんかを表現するはずでしたが、止めた。」
釈「やめちゃったんですか。それは惜しい。」
まゆ子「やめた代りに、『バゲマゲ』自体をみっちり描きました。基本あらすじ紹介なんだけど、ぐっと迫るように、それこそこのまま読み上げるだけでお芝居になるくらいに表現して、逆に俳優の演技を際立たせます。」

じゅえる「うーむ、技巧的だな。」
まゆ子「正攻法ですが、誰もやらないタイプの書き方ですね。小説ですから。」

釈「で、『ゲバチューラウの結婚』です。」
まゆ子「これは前後半で違うんだ。本来書くべきであるゲバチューラウとアィイーガの恋愛模様をすぱっと省略。このお話の社会的歴史的意義とかをちまちまと描いている。『バゲマゲ』が粘着と呼ばれるくらいにべたに書いてるから、頭を冷やす意味でも突き放したのさ。

 で、それを受けて後半は「劫アランサ王女の物語」になる。前半と同じつもりで読んで行くと、だんだんとアランサの心情に引き込まれてリンクするように書いてある。これを読む人は、自然とアランサの物語に引き込まれ、劇を見る神兵と同じ心情感想を共有する。そういう風に作ってある。
 まあ本来なら神兵の台詞として感想なんか表現すべきものもあるんでしょうが、読んで行く集中力が削がれては困るから、そいうのは『埋葬』の方に集約してるのさ。」

じゅえる「つまり、全体的に計画どおり?」
まゆ子「コレ読んで読者様が面白いと思うかどうか、までは計算出来ん。」
釈「そいうの計算出来るといいですよねえ。」
まゆ子「まったくだ。」

じゅえる「その割には、あんたなんか機嫌良さそうだね。」
まゆ子「わかる?」
釈「なんかいいことあったんですか。」

まゆ子「いやまだ未確定情報なんだけどさ、ソニーのPSPの次のモデル、あの携帯ゲーム機のね、アレにPOWER VRが使われるみたいなんだ。」

じゅえる「それって、ドリームキャストの?」
まゆ子「それ。」
釈「ソニーのゲーム機にですか。はあ。」
まゆ子「別に変ではないぞ。アップルのiPHONEにこれ使われて、世界中で大人気。この強化版のチップを同じ携帯機であるPSPに使おうってんだ。」

じゅえる「でもPSPって現行のでも結構ポリゴンとか出てたよね、たしか。」
釈「その新しい機械って凄いんですか。」
まゆ子「ポリゴン表現数が秒間1億3千万というから、150万枚だったドリームキャストの100倍だね。それも消費電力を極限まで抑えにゃならん携帯機で。」
(注;公称は300万ポリゴンだが実行性能はたしかそんくらい。ただ△出すだけなら500万行くとか聞いたことあるな)

じゅえる「しぇー、10年の開きがあるとはいえ100倍とは。」
釈「それって凄くないですか。テレビの前に置くタイプより凄いんじゃ。」
まゆ子「あー、まあ巷に出回る無責任な噂スペックであれば、PS3よりも上という話もある。有り得ないけどさ、でも狭い携帯機の画面で見る分にはそのくらいのクオリティがあるかもしれない。」

じゅえる「実際はどのくらい?」
まゆ子「いや実物見なくちゃ分からないけど、ニンテンドウのWiiくらいはあるかもしれないねえ。アレは性能抑え気味だから。」
じゅえる「つまり、ほんとに据え置きゲーム機要らないんだ。」
まゆ子「いや、今のPSPだってテレビに繋げるし。」

釈「ともかく、要するにドリームキャストの凱旋なわけです。」
まゆ子「と言っても過言ではない!」

じゅえる「知らないひとに説明。『でぽ』はそもそもドリームキャスト応援HPでもあるのです。掲載小説1発目から描いてるし、関連イラストも色々ある。」
まゆ子「というか、げばおと7「第三章 既知との遭遇」に出て来た金属葉っぱの巨大美少女人形って「バーチャロン おらたん」のエンジェランだよ。」
釈「近々には、『ゲキロボ☆』にも登場予定です。大活躍です。」

じゅえる「とまあそういうわけで、なるほど機嫌がいいはずだ。」

**********

まゆ子「ついでだから補足説明しておこう。

 EP7「第二章」で劫アランサが一刀流の稽古をする場面。なんか技の名前をつらつらと並べて書いていますが、これは当然本物の一刀流の名前ではない。
 そもそもがアランサが弥生ちゃんから習ったのは「衣川家伝一刀流」と呼ばれる一刀流の亜流の剣術であって、正統のものとはちょっと違う。

 まあなんですか、本物の名前を使っても別にいいんですけれど、こういうところは知ってる人は五月蝿いし、知らない人にはなんのこっちゃと分からない。
 だから、ちょっと変えるてのがいいのです。

 といいますか、ほんものの一刀流では「一の勝」「二の勝」とかいうかなり厨っぽい名前が付いていて、これをまともに書いてしまうと「なんだこりゃ、いくらラノベでもこんな厨名付けてこいつマジバカだろうハハハ」とか言われそうです。」

じゅえる「あー、こう言ってはなんだが江戸時代の人ってその、なんですか、厨っぽいところありますよね。」
釈「昔の人だから仕方ないんだけど、まあそういう時代を経て今現在の日本人の常識というのがあるわけです。」

まゆ子「とまあそういうわけで、アランサがやってるのは一刀流であって一刀流でない、不思議剣法なのです。
 ではどこが違うか。それは作った人が違う。

 『衣川家伝一刀流』の流祖は、それは一刀流を修めたちゃんとした武芸者です。剣客です。
 で、江戸時代の初めに衣川藩に逗留していた折、ゲキロボが目覚める事件が起きます。」

じゅえる「ほお。物辺優子の家の話だね。」
まゆ子「『ゲキロボ☆』の物辺優子の御先祖さまは、この時の事件で鬼と化した人物により犯された絶世の美女の子孫です。

 徳川幕藩体制で領地替えして来た新領主衣川家に反抗して、地元の有力者碓井某がかねて懸想の物辺神社の巫女をかどわかし、神社に伝わる「鬼のへのこ」を奪い取り、自らを「ゲキ」なる鬼へと変化させて騒動を巻き起こす。
 そういう事件です。」

釈「ふむ、ここらへんで繋がって来るわけですね。」

まゆ子「敵が鬼ですから、火縄銃で鉛玉を射掛けても全然効果が無い。まあ、ロボ化してる状態では勝てる道理が無いわけです。
 そこで、鬼から人の形になっている状態を見定めて、いきなり強襲して退治する戦法が取られます。
 この時の主役が、例の一刀流の剣客です。」
じゅえる「ふむ。」

まゆ子「なんだかんだあって、結局は碓井某は剣客に討ち取られ、ゲキの乱は鎮められるわけですが、何時また鬼が現れるか分からない。
 そこで衣川のお殿様にこの地に留まり降魔の秘剣を伝えて欲しいと懇請される。そこで彼はこの地を終生の棲み家と定めて仕官する。
 こうして一刀流が衣川家中で稽古されるようになる。

 しかしながら、普通の剣ではいずれまた甦る鬼に対抗するのは難しい。そこで新しく鬼退治専用の剣術を編み出したのが、『衣川家伝一刀流』。
 なにせ鬼を切り伏せるのだから、対人では必要のない剛剣が混ざっている。

 甲冑を着た人間をそのまま両断する奥義「灯籠斬り」なる技まで伝わっているのさ。」

じゅえる「この「灯籠斬り」はシルクもお話の中で使ってたね。竹刀での稽古で、相手の男子剣道部員を空中で斬り伏せてしまう。」
まゆ子「一種の発勁技法とも思われていますが、ともかく甲冑を着た人間に効く技だてところがポイント。

 えーとEP7「第七章」あたりでアランサは伯母焔アウンサが亡くなった村に出向きますが、そこで軍中央に拘束されます。
 この時、この技を思わず使ってしまう!」

釈「おお、やりますか。」
じゅえる「叛逆の王女さまだね。うんうんなるほど。ここで衣川家伝一刀流の説明する必然がある、て訳だ。」

まゆ子「ということで、乞御期待!」

 

09/10/07

まゆ子「なんとなく久しぶりだなくっちゃりも。」
じゅえる「用が無ければ要らないからね。」
釈「でもガンダム書いてますから、それほど離れているわけでもありません。げばおとに用が無いだけで。」

まゆ子「あーということで、げばると処女EP7第四章書いてるわけですが、これ大難航します。」
じゅえる「確定?」

まゆ子「というか、私今、不可能物体を書いている。」

釈「なんですかその不可能物体とは。」
まゆ子「文字どうりに、現実には有り得ない存在だよ。小説において不可能物体とは、そんなものそこに描いてどうするんだと絶句するお話だな。」
じゅえる「物語の進行にまったく関係無いわけ?」
まゆ子「無い事も無いが、無い。」

釈「なにを書くんです。」
まゆ子「あーこの章はそもそもは、とっ捕まっちゃったヒィキタイタンさんの御様子を書くものです。カプタニアに護送されて裁判に掛けられますから、その前振りですね。
 ついでに難民の管理を押し付けられちゃったイルドラ姫の近況を描きます。」
釈「なんというか、普通ですね。」
じゅえる「物語の進行に必要じゃない。」

まゆ子「そうだったんだけど、説明話を書いてもしょうがない。おもしろくなくちゃ。読者様の予想を裏切る圧倒的な斜め上具合を見せないとダメでしょう。」
じゅえる「まあね。」

まゆ子「というわけで、お芝居を書く。」
釈「お芝居、ですか。」

まゆ子「そもそもがゲジゲジ乙女団は、弥生ちゃんのお芝居をする劇団を守護しつつ褐甲角王国の査察をするのが目的だ。当然イローエントでも芝居をする。」
じゅえる「まあ、そうだね。」
釈「普通ですね。」
まゆ子「普通だから、皆でお芝居を見る。」

じゅえる「ちょっと待て。小説の登場人物が、お芝居を見るのか。」
まゆ子「不可能物体だ。」

釈「しゃー、それはーたしかに、よくない展開ですね、虚構の人物が虚構を見るというのはメタですね。」
じゅえる「というか、異次元空間に突入だな。むろん上手く描けたらだけど。」
まゆ子「わたくし、手を抜くつもりは毛頭ございません!」
じゅえる「そうだろう。まゆちゃんはそういう奴だ。」

釈「バカですね。」
まゆ子「いまバカ言うたのはその口か。」
釈「ひぃ〜」

じゅえる「だが待てよ、そもそもがゲジゲジ乙女団が連れてる劇団のお芝居は、もちろんげばおとオリジナルだよね。現実世界の既存の脚本戯曲でない。」
まゆ子「そりゃ当然。異世界ファンタジーだもん。」
釈「つまりは、誰も見た事のない、誰の共感も得たことの無い、誰にとっても未知の作品を作中で鑑賞するわけです。」
じゅえる「…不可能物体だ。」

まゆ子「というわけで、これからどうなるか書いてる本人でさえも見当もつかん。いや、見当がつくようではいけないんだ。どっか天空の彼方次元の果てを彷徨うクラクラ感を醸し出さないと。」

釈「はあ、しかし、どういう構成になるのでしょうそれは。」
まゆ子「まあ、イルドラ姫とカエル姫、あるいはヒィキタイタンさんの御様子をちこっと描いて、お芝居に突入だ。
 今回主役はお芝居だから、分量はもちろんお芝居に配分される。キャラには割かぬ。」

じゅえる「それでは読んでる人の立ち位置が不明になるのでは。」
まゆ子「そこはそれ、いい感じに。」
釈「いやそれ、いい感じの感じが分からないです。」
まゆ子「まあ書いていく内になんとかなるでしょう。とりあえずだ、観劇は観衆すべてが聖戴者、神兵だらけ神族だらけなんだ。こいつらがお芝居を見るとどうなるか、ハハ考えるだけ途方に暮れるね。」

じゅえる「つまりなんだ、まゆちゃんは自らを不可能物体に昇華させるつもりだな。」

釈「しかし、ではお芝居を描いたとして、でどうなるのです。物語の進行に役立つのですか。」
まゆ子「そのはずだよ。いや、そうでなければならない。ここは南海イローエント。後には黒甲枝諸侯連盟が国を立てる、その中心となるのが、この観劇に参加してた連中だ。ここで徹底的になんか埋めこんでおかないといけないはず。」
じゅえる「描かないけどね、そこんとこ。げばおと2になるから。」
釈「無駄な伏線です。」

まゆ子「いやいや。伏線というものは、伏線を敷いた時点で最大の効果が得られているもんなんだよ。結末に直結するのは、ただ単に物語を終らせる為の工夫に過ぎない。伏線は物語に厚味を与えるディテールそのものなんだ。」
じゅえる「まあ、げばおと自体が「おまけ」という形で本筋に絡まない伏線をぞくぞく突っ込みまくりだから、本編でやったからと言って不思議は無い。」
釈「そうは言っても、でもこんなことしなくてもいいような気が。」

まゆ子「気がついたらこういう構成になってたんだから仕方ないだろう。私が悪いんじゃないぞ、世間が社会が悪いんだ。でんぱだよでんぱ。」
釈「はあ、まあ創作活動というものはたいがい電波の産物ですから。」

まゆ子「ともかく芝居を書くいや書きたい。何の為に書くかと言えばそりゃもちろん、芝居を書く為に書くんだ。だから一歩も退かない。」
じゅえる「うーむ、勝算は?」
まゆ子「根拠の無い自信!」

じゅえる「うーむ釈ちゃん。ここはやっぱり、私たちでなんとかしてやらないといけないのではないだろうか。」

釈「ぶん殴って止めますか。」
じゅえる「それも手ではある。だがー、成功に導いてやるのが天使のお仕事だろう。」
釈「人間が出来てますねえじゅえる先輩。」

まゆ子「あー、ではどんとこい。」

じゅえる「そもそもがどんな芝居を書くんだ?」
まゆ子「三本立て。まずは「弥生ちゃんの葬式」これが午前中、で昼頃に「大盗バゲマゲの改心」、で夕方までが「ゲバチューラウの婚約」これはリアルタイム進行時事ネタ劇。」
じゅえる「……。」

釈「じゅえるせんぱい、ふぁいとです…。」

じゅえる「まゆちゃん、三本立てだとどう見積もっても100枚は要る。なんとか80枚でおさまるように改造だ改造。」
まゆ子「あー、私の計算だと120枚だな。」

じゅえる「まず、…3本立ては絶対条件なのだな?」
まゆ子「そりゃそうだよ。大衆演劇というものは、昔のお芝居は一日がかりの大仕事だよ。朝日の出から押し掛けて、日が暮れるまで見続ける。これが正しい観劇の作法。」
釈「それは江戸時代の歌舞伎見物です。なるほど、それを再現するのですね。なんという無茶な。」

じゅえる「だが敢えて、80枚だ!絶対だ!これ以上増やすことは許さない! これ以上は読者様もお付き合いしてくださらない!」
まゆ子「うーむ、それは確かにそうかもしれん。なんだかんだでイルドラ姫とか書くとして、60枚。芝居に投入出来る枚数はこんだけに限られる。うむ。なるほど。」
じゅえる「物語の〆も要るでしょう。これ10枚は必要なはず。イルドラ姫20枚として、正味お芝居に投入できる枚数は50!」
まゆ子「うーむ、なるほど。キツいな。」

釈「いい感じです!じゅえる先輩。」

じゅえる「自然三本立ては無理だ。どれか一本に焦点を絞れ。」
まゆ子「拒否する。今回それは拒否する。何故ならば、三本立てでないと意味が無いからだ。なんというか、今回描かなければならないものは、時間。朝から晩までのんべんだらりと流れる演劇時間。これを描くのだよ。」

釈「どうしますか先輩。」
じゅえる「だが50枚! これは譲らん。」
まゆ子「うーむ、50かうーむ。劇のボリュームとしては20+10+20くらいなのだよ。」

じゅえる「よしそれで行こう。とりあえず朝のお芝居は観客の様子を描く。観劇の描写だ。逆に演劇の筋には手を出さない。「弥生ちゃんの葬式」だな。これは要するにコウモリ神人の話だから既に本文中で書いてるんだ。書くな。」
まゆ子「なるほど。それは正しい判断だ。だがちょっとばかり書かねば困るぞ。」
じゅえる「禁止だ。ここはそれこそ触りのみ。限定だ。」

まゆ子「うーむ。了承した。うむ、観客席と舞台裏と、騒々しい両方を描こう。だが内容は描かない。うむ。」

じゅえる「では逆に「バゲマゲ」は演劇作品そのものの描写だ。10枚しかない。根性入れて描け。」
まゆ子「ふむ。ここは完璧に本文本筋から離れていいんだね。了承。」

釈「いいですよ、せんぱいグッジョブです。」

じゅえる「残り20枚。ここはそうすると、舞台と芝居と客席とがどんどん高め合って異空間に突入する。そういう感触を出すべきだ。つまり観劇という場面を持って来た理由を読者様に印象付けるテンションの高まり、そういうのを書かねばならない。」

まゆ子「うむ納得だ。それは確かにそうしないと綺麗に終れない。というか、この三番めのお芝居の結末は、「劫アランサ王女の叛逆」でとりあえずエンドマークが出る。観客の神兵大混乱大激怒大爆発になる。」
じゅえる「うむ。つまり劫アランサ王女の感情の昂ぶりに、黒甲枝が同調して行く。そういう心理描写が必要なんだ。うむ。つまりは序破急で激流に呑み込まれ滝壷に落ちる結末をどんと味合せるのだよ。」

まゆ子「三番めの話は現在進行形だから、オチが無い。王女がなにをするか以後誰も知らない。だから、黒甲枝も中途半端で落ち着かない気分になってしまう。今にも暴走しそうな状態で開放される。そういう構成だ。」
じゅえる「いいでしょう。それおやりなさい。」
釈「あのー、ですがオチは無いと困ります。それとも投げっぱなしエンドですか?」
じゅえる「それもまたヨシ。だが10枚オチ分を確保してるな。」

まゆ子「投げっぱなしかー。そこまでは考えてなかった。どうだろう、これは投げっぱなしエンドがふさわしいのではないだろうか。」
じゅえる「確かに。読者様もなにがなんだか分からない。それで行こう。」

釈「しかし、しかし。」
まゆ子「なあにそいう時のためのオマケシステムだ。オチは別口で着けるよ。」

じゅえる「つまり、興奮した黒甲枝の神兵が舞台の上に駆け登って行く! てところで中継のカメラが破壊されるかのエンドなんだな。うむ、それでいいそれで行こう。」
まゆ子「そいう終わりであれば、それまで何度も物語を破壊しようとする興奮を、自制して我慢を重ね、恥も外聞も慮ってなおもねじ伏せて、それでも抑えきれずに、最後爆発! こうだな。」
じゅえる「そうだ。」

まゆ子「うむ。なんとなく構成が目の前に見えて来た。なるほど、これはこういう話だったんだな。」
釈「…知らなかった、わからなかったんです、か。」
まゆ子「うん。」

じゅえる「さすがはまゆちゃんだ。ハハハハ。」

 

09/06/26

まゆ子「げばると処女EP7 「第二章 廻脳遊戯」、第一稿終了、二巡目に入っております。」

釈「今回の出来はどうですか。」
まゆ子「やはり! しょうめんとっぱなんかするもんじゃない!!!」

じゅえる「やはりなんか出た?」
まゆ子「そりゃ当然枚数が出たよ。」
釈「今回は何枚ですか。」

まゆ子「あー、それを聞いても今回意味は無いぞ。何故ならば、まず零号原稿書いていて、つらつら書いていって、これはこのままではとても読者さまにお見せするわけにはいかない! と判断が付いたのが、100枚めだ。しかもこの段階でやっと半分。」
じゅえる「ぶ!」

釈「じゅえるせんぱい、お茶拭いて下さい。」

まゆ子「これではあかん、と決意して執筆を中止。これまで書いた分を必死になって半減させて、ようやくまともな分量になったところで後半戦しゅっぱーつ。
 で、できあがったものを確認すると、やっぱり100枚ある。」
釈「ぶ!」

じゅえる「しゃくちゃん、それはドリフだ。」

まゆ子「というわけで、えーとなんだ、書いたの半分にする過程で抜本的改善を行うから、都合200枚書いたようなもんだ。」
釈「ごくろうさまでございます。」
じゅえる「なんとかもうちょっとやりようが無かったのかい。」

まゆ子「今回3つの側面から事件を描かねばならなかった。

 つまり、ゲルワンクラッタ村に居るアランサ王女と赤甲梢。第5章あたりでカプタニアに向かって出発するし、焔アウンサ王女は死んじゃうしで、どうしても彼らを描かねば次に進めない。
 とはいえ今回それはうまく行ったとは言えないな。
 アランサ王女のキャラを立てるのは成功した。彼女と赤甲梢が一生懸命頑張っている姿を、サスペンス仕立てでちゃんと描いてみました。
 ただ、赤甲梢のキャラが都合3人しか描けなかった。これは反省点。もっと多くの人間が欲しかったが、致し方ない。出演キャラ斬ったからこそ枚数半減可能になったのさ。

 次にゲバチューラウだ。計画ではこの回は赤甲梢が主人公となるはずだったけど、それとは別にゲバチューラウとギィール神族が、褐甲角王国の外交官やら元老員を手玉に取る、というお話を描くはずだった。
 この構想は、章数制限にひっかかり放棄せざるを得ない。であれば、この回を利用してギィール神族と神聖王の威厳を見せつけねばならない。それも非常に印象的に、意味深くミステリアスに。
 これも成功した。だが、台詞の有る神族はゲバチューラウと神剣匠だけになってしまったぞ。枚数削減の影響ここに極まれり。

 そしてキルストル姫アィイーガだ。これとカタツムリ巫女ファンファメラの悪事の数々を描き出し、ゲバチューラウとの結婚を演出せねばならない。こいつが超大事だった。
 しかしながら、ほんとうに少ない枚数を使ってこれを成し遂げたぞ。わたし偉い!
 偉いんだけどさ、主人公はアランサでコップの嵐状態だから、外の状況に居るこいつらは描写が出来ないんだなまったく。これは困ったが、まあやってのけた。

 で、これら全部を面白いように読みやすいように、読者さまの興味をそそるように書いていくのは至上の難関。というか、できるわきゃない。
 が、やったぞ。凄まじい犠牲と共に。」

じゅえる「ううーむ、それほどの大作なんだ。」
釈「100枚ですからねー。」
まゆ子「でもわずか数日の、それもほとんど何も起きない、人も死なないお話なのだ。陰謀渦巻く状況というのは、基本被害者側は真空状態にある。静的な物語を面白く描くのは、これは不可能に近いのだよ。」

じゅえる「で、面白いの?」
まゆ子「いま手直しをしてる。」
釈「まだ分からないてことですか。」
まゆ子「ミステリーとサスペンスとコメディをいっしょくたにして、なにも考えなくても簡単に読めますおもしろいですよー、てのに仕上げるのは、こりゃどうするかね。」

釈「まあ、がんばるしかありません。」
じゅえる「正面突破あるのみ。」
まゆ子「とほほ。」

じゅえる「それにしてもさ、鏡通信って何故鏡三つも要るんだよ。モールス信号の方が分かりやすくていいんじゃない?」
釈「そうですね。鏡が三つもあると大がかりで準備も大変でしょう。なぜモールスではダメなんです?」

まゆ子「あーモールス信号はをもちろん考えたさ。ただモールス信号はアレは、専門に教育された人間が多く居るから有効なんで、まったく心得の無い者にやらせるにはちと不安があったのさ。」
じゅえる「そりゃそうか。」
まゆ子「それにモールス信号は所詮はアルファベットを基盤に置く。テュクラ符は70個も文字があるから、これはちと問題だなと考えた。」

釈「それでも鏡三個は多くないですか。二個で十分な気がしますが。」
まゆ子「うむそれも考えたよ。鏡2個の組み合わせで1/2枚提示で1ビットのデジタル信号、という至極分かりやすい方法だ。
 だがこれも却下する。」

じゅえる「ふむ。理由は?」
まゆ子「簡単過ぎたからだ。信号を実際にやり取りする『ジー・ッカ』はギィール神族に鍛えられて、ややこしい暗号を伝達する能力が有る。こいつらに簡単過ぎる暗号を使わせるのは、逆に退屈で信頼性を損なうと考えたんだ。」
じゅえる「難しいもんだね。」
まゆ子「それに、信号をぱかぱかやりとりするのはこれまた間違いの元で、或る程度のんびり送ろうと考えた。つまり、一文字を数秒提示して、間違いなく相手が確認したところで、次を提示する。そういう信号なんだ。」

釈「ふうむ、なかなか考えることは多いんですねえ。」
まゆ子「実を言うと、鏡1個で通信する方法も併用するんだよ。夜間用に。点滅を用いるとほとんどモールスみたいになってしまうぞ。」

釈「えーとテュクラ符が70文字くらいですか、で数字が10個、あとは何が入ってるんですか。」
まゆ子「あーつまりだね、方台の数字は12進法で235記法と呼ばれる記述を使う。これは1、2、3、5しか数字が無い。さすがに支障があるから弥生ちゃんは12個数字を作って導入しましたよ。それに百、千、万の字も入れてるし加減乗除等号不等号、角度とか金銭単位も入れて計28文字が数字関係。

 ちなみに方台に小数点は無い。割り算で表わす。1.61は、1+61÷100、て感じになる。面倒くさいから、”1+百61”、て表記だ。」

じゅえる「充実してるね。」
まゆ子「数字に強いのが、弥生ちゃん暗号の特徴だよ。なにせ地名人名は数字で表現しちゃうから。」
釈「はあ、それは確かに便利イイですね。一々綴り送らなくても、テーブル参照すればいいわけですから。」
まゆ子「だから、数字の計算式が送られているように見えて、実はちゃんとした文章だったりする。盗聴した奴もなんの話か分からないって寸法だ。」

じゅえる「普通の文章は?」
まゆ子「テュクラ符70数文字と文章記号、計100文字ってとこだ。これはあんまり特筆するとこが無い。というか、元々の文章が上のように固有名詞を数字で表わすし、綴りを省略してよい単語はさくさく圧縮するしで、やっぱり盗聴してみてもなんのことだか分からない。」

釈「文字総数は8*8*4、なんですね。256文字。」
じゅえる「1ビットを誤り訂正に用いるんだから、そうだよ。」

まゆ子「えーと文章伝達に用いる信号が119文字。数字関係が28文字。既定宛て先信号が28文字。通信台制御信号が21文字。

 既定宛て先信号ってのは、つまり弥生ちゃんだとか武徳王神聖王その他、社会情勢を鑑みて極めて重要な存在を表わす信号。信号の宛て先に使われる。
 通信台制御信号は通信台の要員に対する直接の命令文で、これは受け取った者がその場で解読すると定められている。

 で、3つの数字の組み合わせで1文字を表わすわけだけど、その最初の1文字が曲者で、信号の系統を分けて伝達してる。

 ”1”の時は数字関係。 ”2”、”3”、”4”、”5”、”6”の時は文字信号。
 ”7”が宛て先信号、”8”が通信台制御信号。」

釈「随分少ないですが、文字は全部使われていないんですか。リザーブ領域とか?」
まゆ子「”1”-"1"-”?”、とか”?”-”1”-”1”のゾロ目は別扱いにしてる。空白信号だ。

 これを導入して奇数1ビット足すパリティくっつけた結果、上の桁1247で28文字、3568で21文字が使える。計196文字ね。至極腹が立つ。でも信号読み取り防止の為には、同じ記号が続くところは無視する方が便利イイ。」

釈「ほお、なるほど。」
じゅえる「そういうのが入ると、解読めんどくさくない?」
まゆ子「いや符号テーブル使って解読するから、問題ないよ。むしろ伝達時の誤りをどう防ぐかの方が重要だ。」

まゆ子「あと、バースト転送モードってのがある。これは単純に数字だけを何も考えずに羅列する方法で誤り訂正符号が無い。当然伝送間違いも許容するかなりいい加減な通信法だ。
 この時は4*3の12個の信号しか使わない。方台は12進法だからこれでいい。
 で12個の数字をだらーと垂れ流して1サイクル終了。誤り訂正をしたければ、12個の数字を全部足して1の桁を転送するチェックサムを使う。都合13数字1セット。
 ただし、通信台の要員が算術に得意であるかという問題が付き纏うので伝送途中ではあまり使わず、最終受信者が行う。

 数字の列を8進の通信文と考えると1ー8までのみを取り3個1文字の4文字だ。9ー12は文法信号・制御信号に使う。
 ちなみに4文字あれば結構な文章が送れるぞ。弥生ちゃん信号は。」

じゅえる「最初からそれではダメなのかい。」
まゆ子「いやバーストモードは最小限の記号を連続して多数提示するから、表現力に落ちる。退屈だ。8進なら3回提示で済むものが、バーストだと6回提示する必要がある。」
釈「退屈。方台の人間はそんなに退屈するんですか。」
まゆ子「実はそうなんだ。というか、よく考える。考えてこれ面倒だなと思うと、退屈する。そういう人間だ。」

じゅえる「それがウェゲの癖てものか。」
まゆ子「早い話が、地球人より賢いんだ。」
釈「それじゃあ仕方ないですねえ。」

じゅえる「やって見せてよ。」
まゆ子「ふむそうだね。
 遠距離5キロくらいを対象とするから、3つの鏡を近くに並べるわけにはいかないんだ。かなり離れて配置する。で、分かり易く間違えにくいように、点滅信号を併用する。

● ●  ○ ;1
○ ○  ●;2
○ ○  ○ ;3
● ● ○/● ;4
○ ●  ○/● ;5
○ ○  ○/● ;6
○ ○/●  ○ ;7
○/● ●  ○/● ;8

●;NON SIGNAL  ○/●;点滅

 1枚法。1人しか要員が居ない場合の方法。およびバースト転送モード。

○  ;1 ○/○ ;2 ○/●○ ;3 ○/○/○ ;4
1-1  ;1 1-2  ;2 1-3  ;3
2-1  ;4 2-2  ;5 2-3  ;6
3-1  ;7 3-2  ;8 3-3  ;9
4-1  ;10 4-2  ;11 4-3  ;12

じゅえる「3ビットなのに、0は表現しないんだね?」
釈「というか、信号無しを0とは判別できませんね。0はダメでしょう。」
まゆ子「そうなんだ。後で考えてまずったなーというとこだよ。しかしながら、0の概念を方台の人間が知っているか、という問題もあって1〜8の信号にしてるんだ。」

じゅえる「0の概念持ってないのか。そりゃ困ったな。」
まゆ子「ギィール神族はちゃんと知ってるんだけどさ、『ジー・ッカ』の連中が数学に詳しいわけもないからね。」

釈「かなり離れて鏡を配置する、と言いましたが、どのくらい離れますか。」
まゆ子「最低10メートル間隔。最大は30メートル間隔。「○ー10ー○ーー30ーー○」って感じ。」
じゅえる「その距離も関係して来るんだ。」
まゆ子「なにせ相当の遠方から観測するんだ。これでもまだ近いくらいだけど、これ以上になると声が通らないから、信号送信が困難になる。致し方ない。」

釈「しかし、それでもやはり人間の眼では問題があるでしょ。これでも信号の分離が判別できないとか。」
まゆ子「うん。いかんせん人力だ。いかにネズミ族生まれの『ジー・ッカ』でも視力には限度がある。だが新兵器はちゃんと用意した。望遠鏡だ。」

釈「おお! そういえば地味に発明してましたね。」
じゅえる「そういや眼鏡作ったついでに、望遠鏡も作ったんだった。」
まゆ子「レンズ式の望遠鏡はたしかに弥生ちゃんは作った。だが倍率があまりでないガリレオ式だし、色収差を考えないし色消しレンズの製作法も教えなかったし、というかレンズ用ガラスの製作はギィール神族とはいえ始めたばっかりで十分な性能が出ないから、別のを考えた。

 つまり反射式望遠鏡だ。これと山沿いの中継地とを使って、10キロ区間の伝送に成功する。」
釈「超ハイテク兵器ですね。」

まゆ子「ギィール神族の物好きを利用して、凹面鏡を磨かせたんだよ。金属精錬やら合金鋳造はギィール神族得意中の得意で、ちゃんと放物面を持つ凹面鏡を作ってくれる。 

 ちなみに江戸時代の国友一貫斎こと国友 藤兵衛は、江戸で反射望遠鏡の実物を見て自作してる。像が転倒しない地上用のもので60倍てすごい性能だ。
 弥生ちゃんもこれを作らせる。凹面鏡に穴を開ける難しい加工が必要な形式なんだけど、より簡単なニュートン式を提示してギィール神族に、「これ難しいから易しい方にしましょう」て言うと、とうぜんの如くに難しい方にチャレンジするのだ。

 もちろん制作費はギィール神族持ち。しかも彼らは1個作ると次々に改良版を作り始めるから、最初に作った奴はそのまま弥生ちゃんにくれる。
 で、これを別の神族に見せると、こいつがまた興味を示して自作を開始する。このループでたちまち10個もの高性能望遠鏡を確保してしまった。」
じゅえる「相変わらず弥生ちゃんは悪党だな。」

まゆ子「ついでに夜用の反射板付の投光器も作った。煤が着かない神工夫の投光器だ。これは苦心する。」
じゅえる「どして?」
まゆ子「つまり煤の出ない燃料を使えばいいんだけど、安価に大量に手に入るものでなければならない。だがそんなものは方台には無い。植物油は高いし、蝋燭はもっと高いし、ゲルタ油の製造は弥生ちゃんがこれから開始する。無理。」
釈「ふむ。」

まゆ子「そこで、カミソリを使う。弥生ちゃんの神威が込められた刃物は青く光る性質を利用して、『ジー・ッカ』の連中に宝物として授けたんだ。
 しかもこいつは青く光る。方台どこを見渡しても、青い焔を上げる燃料使ってるとこ無いから、絶対に見間違えない。」

じゅえる「クソ、そこはファンタジーに逃げやがった。」
釈「まあまあ。ですがそんなものを託されたのであれば、なるほど命懸けで通信台を護りますね。」

まゆ子「まあ、せこい手だな。ちなみにカミソリは小さいから、さすがに夜でしか光は届かない。また一本ずつしか与えてないから、1枚法しか使えない。」
釈「昼日中の通信の方が便利いいわけですよ。」
まゆ子「そんなもんかねえ。
 しかしながら、このカミソリはなかなかに便利がいい。小なりとはいえ人を癒す力が有るから、暇な時は周辺住民をこっそり治療すると、通信台維持費がロハになる。」
じゅえる「さすがに弥生ちゃんセコいぞ。」

釈「通常の焔では通信できないんですか?」
まゆ子「石鹸製造でも困ったけど、油の供給が潤沢ではないんだよ。灯油ランプを使いたいところだが、ダメなんだ。
 焚き木やら草やらを使ってもいいけれど、焔に切れ目が無いから困る。」
じゅえる「なるほど。完全に光を遮断できる容器には、それ専用の燃料が要るわけだ。で、油なり蝋燭なりだと、膨大な費用が掛る。ふむ。」

まゆ子「ちなみにカミソリ入り遮光ランプというのもちゃんと作っている。スイッチ一つでぱかぱか蓋が開くと、中から有り難い青い光が迸る。そりゃあもう有り難いもんだ。」
釈「その光を浴びると、元気になるわけですね。なるほどそれは素晴らしい。昼間の間は神力善用ですよ。」

じゅえる「それは、結構なお宝だね。」
まゆ子「うむ。これ一つで物語が作れるほどだな。」
釈「弥生ちゃん財宝ですよ。」

 

09/06/07

まゆ子「さあて『げばると処女 EP7』第二章だ。絶賛炎上中であります!!!」

釈「大炎上ですか。そりゃまたどうして。」
じゅえる「まあややこしい回だとは思うんだけど、原因は?」

まゆ子「赤甲梢の連中の名前ぜーんぶすっかり忘れちゃったぜいハハハ。」

釈「キャラ、忘れちゃったんですね。ハハハ。」
じゅえる「そりゃ書けないや、笑っちゃうねハハハ。」
まゆ子「あっはあはははははははは。」

じゅえる「して、どうするの。」
まゆ子「いやもう仕方ない、正面突破だ。これまでに書いた赤甲梢の回読み返してるよ。」
釈「地道な努力が大切だー、というお話です。」

まゆ子「だいたいね、今回の話はアレなんだ、特殊過ぎる。わたし、こんなお話余所で読んだことない。」
じゅえる「どんどんどんどん緊張感が上がっていくのに、結局は何も起こらないわけだからね。」
釈「なんと申しますか、超絶技巧ですよ。」
まゆ子「わたし、お世辞にも器用とは言えない性格です。だいいち、わたし文章の善し悪し分からない。」

じゅえる「なんじゃいそれは。」
まゆ子「世に名文悪文とあるけれど、見分けつかん。」
釈「それでよく小説なんか書きますねえ。」
まゆ子「わたしの文章のスタンスはこうだ、「なんかひっかかるトゲは全部抜いていこう」。」

じゅえる「まあ、そりゃ読者様には優しいな。」
釈「読むにはいいですけれど、それじゃあインパクトの有る文章にはならないんじゃないですか。」
まゆ子「文章でインパクト与えるのは、やめだ。書いてる本人が読みづらい。だいたいね、筆者というものは自分が書いた文章を何度も何度も読み返さなきゃいけないのだよ推敲する為に。という事は、読んでる最中に寝てしまうような文章書いちゃいけないのだ。」

じゅえる「寝てるんだ。」
釈「自分が書いた文章なのに、寝てるんだ」

まゆ子「というわけで、なんか読むスピードを落す引っ掛かりは極力排除する。平易な文体、難しくない言い回し、漢字は控えめに、歌うようにさえずるように耳に優しい言葉が並ぶ。そういうスィーツな文章を心掛けております。」

釈「でも書いてる内容はヘビーですが。」
まゆ子「歴史大河浪漫小説の中身がヘビーでなくてどうしますか、わたしにかねつぐの真似をしろとおっしゃいますか。」
じゅえる「かねつぐは真でいいよ。あんなもなあ歴女だって見放してる。」
釈「(後世の歴史家の為に解説しよう! ”歴女”とは、歴史関係とくに戦国武将萌えのおたくの女の子のことです。おそらくは3年後には死語になっているものと思われます)」

じゅえる「そりゃそうと、何故に最近ガンダム関係の話が上がってるんだ?」
まゆ子「ああ、あれはげばおとがなかなか出来ないから、現実逃避で。」
釈「そんな情けない。」

 

09/05/30

じゅえる「さて、第二章だ。げばると処女は飛ばして行きましょう。」

釈「というか、いい加減うんざりしているのでしょう。」
じゅえる「いや、先の展開を考えたけど、書く前に忘れちゃあいかんからさ。」

まゆ子「あ〜、そりゃあそ〜だね〜。」
釈「やる気ありませんね、珍しく。」
まゆ子「第二章で困っているのです。」
釈「そりゃまたどうして。」

じゅえる「今回書くこといっぱいあるでしょ。ゲルワンクラッタ村に閉じ込められた神聖王と劫アランサ王女と赤甲梢が、周辺がいきない緊迫化して行く中、情報の欠乏でぎりぎりと追い詰められ遂には命令違反軍紀違反を冒してしまう、という展開だ。30枚じゃ到底追いつかない50以上は確定だ。」

釈「何を困ってます?」
まゆ子「面白くする方法。」
釈「あ、…面白くありませんか?」
まゆ子「私には面白いものが、読者様に面白いとは限らない。」
じゅえる「そりゃそうだ。あんた固いもの書くの大好きだもんね。」

まゆ子「と思って柔らかいところ入れようと、アィイーガとゲバチューラウの恋愛物語を絡めるー、と考えたところ、うまくいかないと来たもんだ。」
じゅえる「かんぺきに相反する要素だねえそりゃ。どうしたもんか。」
釈「ではどうするべきか、考えちゃいますねえ。視点をどこにしましょうか。」

まゆ子「劫アランサ王女に注目せざるを得ない。今後彼女はカプタニアの裁判に引き出されるのだから、ここで姿を見せて決意を示す必要がある。」
じゅえる「アィイーガと絡まないなあ。」
まゆ子「そうなんだ。なにかうまく使える小道具を探してるんだ。」

釈「困った時は食い物頼みですよ! これまでもそれで乗り切って来ました。」
じゅえる「ふむ。」
まゆ子「あー今回はそれ無しで行こう。」
釈「駄目ですか。」
まゆ子「駄目というよりもー安直でマンネリだ。」

じゅえる「しゃくちゃんがいうくらいだからねー。では食い物とは別の定番として、尻か!」
まゆ子「さすがに今回、それは無理。偉いさん大集合だ。」

釈「では致し方ありません。こういう時の定番マンネリ戦略、強行突破、です。」
じゅえる「そうだね。」

まゆ子「それしかないかあ。さあて、劫アランサでどうやって面白くするか。というか、アランサの面白い話は後に取っておかなければならないのだよ。本格的にとっ捕まる時のエピソードは考えた。必要なのは、そこに持って行くまでの間だ。」
じゅえる「ぐじぐじ悩むかい?」
まゆ子「うーんそれもちょっと違うなあー。彼女はもう迷わないんだ。だが考えるのは、最適手はなにか、なんだ。」

釈「すでに弥生ちゃんキャプテンに帰依することに決まりですね。」
まゆ子「まあ言い方はアレだけど、そういうことだね。歴史を動かすテコを自分でも握る気になっている。赤甲梢やら彩ルダム、神聖王はそれを見守る。そういう枠組みになっている。」

じゅえる「して、正面突破するのはいいとして、仕掛けは作らないといけない。」
まゆ子「そうなんだけど、そこはこうしようと思う。

 アィイーガとファンファメラの二人は、褐甲角軍のにわかの緊張をチャンスとして捉える。この状況を利用して神聖王ゲバチューラウを徹底的に追い詰めピンチ状態にして、そこに単身アィイーガが乗り込んで愛の絆を確かめるという設定だ。」
釈「悪党でございますねえ。」
まゆ子「てなわけで、アィイーガの手の者が故意に緊張状態を煽り民衆にデマを吹き込み、ついでにテュクルタンバには紅曙蛸女王の財宝を狙う盗賊団を向かわせるように唆し、毒地に遊弋するギィール神族連合にも情勢に対して静観するよう説得する。」

じゅえる「ちょっとまて。それではゲバチューラウは困るじゃないか。」
まゆ子「いやゲバチューラウはいざとなったら逃げる算段だが、逃げちゃうとそれはそれで歴史が後退する。だから状況を自ら作り出す為に村に留まり続けるのだ。だから、赤甲梢は大困惑する。」

じゅえる「アィイーガとゲバチューラウは結託して状況を煽ってるの?」
まゆ子「いや全然。」
釈「ゲバチューラウも蚊屋の外ですか。」
まゆ子「この場合、蚊屋のウチと言うべきであろうかのお。ともかく赤甲梢もゲバチューラウも状況が掴めないのは同じなのだ。だがそれをどう読み解くかは、神族と神兵は異なるのだな。」
じゅえる「ふむ。その違いを際立たせるのか。」

釈「なんというか、ギィール神族には破滅指向というか末世的な考え方がありますよね。」
まゆ子「連中がヒトではない、というところをもう一度明らかに描写しておくべきではないかな。」
じゅえる「ふむ。人と、人でないものとの間に立って、劫アランサ王女は苦悩するんだ。」
まゆ子「なるほど。それは面白いかもしれない。劫アランサ、自らの歴史的役目については道を迷わないにしても、自らの在り方については人であるべきか神の使いとして立つべきか、迷うんだ。」

釈「なるほど。そこはかなり今後の展開に関わって来ますかね。」
じゅえる「トカゲ神救世主としての有り様を考えると、そこはかなり核心に近いね。」

まゆ子「なるほどなるほど。この回のやくわりがやっと見えて来たぞ。やはり正面突破がふさわしいってわけだ。だがゲバチューラウの態度の読み難さには、少し仕掛けを必要とするね。」
釈「神剣匠さんも、ここでは人間味がいきなり無くなるわけですよ。さてどうするか。神族にだけ伝わる儀式でもしますか。」
まゆ子「ふむ、儀式ね。」
じゅえる「ゲイルに人を食わすのは、もう盗賊バゲマゲでやっちゃったしねえ。」

まゆ子「儀式と言うよりも、アレを使うか。聖山の大洞窟でのゲキの言葉で動く双六、人喰い教団本部地下にあった巨大な時計機の運動。これと同じものを彼らが遊戯として行っている。」
じゅえる「状況の緊迫にも関わらず、ゲバチューラウは遊戯に耽るってことか。ふうむ。」
釈「この双六は未来予知をする能力がありますから、ゲバチューラウは弥生ちゃん先輩が遂に天河十二神と対面した事を知るわけですよ。」
じゅえる「ふむ、それをこの章の〆に持って来ると、第三章にぐぎっと繋がるね。」

まゆ子「うむ、なるほど。なるほどそうくるか。とはいえ、第二章の次は「テュクルタンバお宝大決戦」だ。」
じゅえる「それ確定?」
まゆ子「確定。ちなみに、紅曙蛸女王が歴代用いた石舞台の真下に秘密の宮殿が有り、そこに突入した連中は乳のデカい女にぶん殴られて皆出て来る。」

釈「誰です? 新キャラですか。」
まゆ子「歴代紅曙蛸女王がここに眠っているのだ。ちなみに歴代紅曙蛸女王は長年100年ほども生きると、或る日ふいと次の少女と入れ替わる、という不思議な代替わりをする。どういう仕組みになってるかと言えば、そりゃ地下に部屋があるんだから簡単だな。」

じゅえる「どんな女?」
まゆ子「乳のデカい、背の結構高い、グラマーでスタイルの良い、髪の毛は短く前髪はタコ八郎のような横山ノックのような。」
釈「…土器能登子さんですかあ。」
じゅえる「あの人もタコ女でしたなあ。なるほど。」

まゆ子「ちなみにその後弥生ちゃんは五代テュラクラフと問答対決をする。テュラクラフはタコ女王の特権として、ウェゲ皆殺しスイッチを持っている。方台の人間があまりにも地球人にそっくりになりそうな場合、育成実験を中断する役目を帯びていたのだ。」
釈「おお! それは一大事。」
じゅえる「で、結論は?」
まゆ子「ともかく弥生ちゃんが口で負けることは有り得ない。で、テュラクラフと共にテュクルタンバの石舞台の下の宮殿に行くと、いきなり能登子さんにテュラクラフは首根っこを掴まれて初代ッタ・コップ姉様の前に突き出される。で、弥生ちゃんは説明されるのだ。『この者は我らの中でも一番の小物。』と。」

じゅえる「なんだよそれ。」
まゆ子「ともかく、テュラクラフはタコ女王五代の中で一番若い末っ子なのだ。ちなみに能登子さんは、ッタ・パチローにする。」
釈「タコ八郎なんですねえ。」

じゅえる「話を戻すけど。ゲバチューラウの遊戯ってのは、どういうものにしよう。」
まゆ子「そりゃ人間自体を駒にして、巫女やら兵士やらを所定の場所に配置して、なにか勝負なりをさせる…、何させよう?」
釈「カードゲームでは?」
じゅえる「麻雀でもいいぞ。」

まゆ子「ふむ。もっと難しいややこしい、数学的なことでもいいか。ふうむー、そこは考えよう。遊戯規則か。」
じゅえる「失敗した者は死ぬのかい、その遊戯。」
まゆ子「いや、それはどうだろう。ふうむ、ともかくそれはギジシップ島では定期的に行われる宗教儀式ということで、いいかな。」
じゅえる「なんか、ややこしい手順が欲しいところだねえ。」

まゆ子「ちなみに”☆”はヒトデなのだ。」
釈「なんじゃらほい?」

 

09/05/06

まゆ子「てなわけで、げばると処女最終巻EP7「第一章 快談百物語」の第一稿ができました。96枚!」

じゅえる「死ね。」
釈「また間抜けなことを。EP7は枚数少なめでさくっと行くんじゃなかったんですか!」

まゆ子「知らないよお、なんだか知らないけど後でバーチカルエディタに放り込んで400字詰め計算したら、こうなんだもん。わたしわるくない。」
じゅえる「とりあえず、まあ出来たものは仕方ない。後の章でなんとかしよう。」

釈「というか、なんなんですか、このプラズマ話は。」
まゆ子「あー、げばると辞書の長文設定のコーナーに、弥生ちゃんが方台の人に解き明かす「やさしいプラズマ神学」がありますから、それもご参照にしてください。」
じゅえる「いやしかし、プラズマかい。なんの因果でプラズマを持ち出したんだ。」
まゆ子「そうだねえ、弥生ちゃんはあたまどうかしちゃったんじゃないかな。神様で脳味噌蕩けちゃったんだよ。」

釈「あ、ここんところに妙な文章が書いてますよ。”お茶目な友人八段まゆ子が提唱するプラズマ幽霊仮説をそのまま導入した”、って。」
じゅえる「ほおお。なるほど、じゃあくは貴様か。」
まゆ子「え、えへえへ?」

釈「まあ次に参りましょう。えーと第二章です。」

まゆ子「ここで一つ懺悔があります。EP6最終章に出て来た新キャラ ゲワォさん。」
じゅえる「うん、なんとなくいい感じのキャラだ。男で不細工ででもダンディズムがあるな。」
釈「これから大活躍しそうな気がしますね。ハジパイ王に替わって。」

まゆ子「すいません。それ、てきとーにぽっと放り込んだだけです。なにも考えていません。」
じゅえる「ちょっと待て。ただ出ただけかい。」
まゆ子「いや、ただハジパイ王と白の母と、二人並べただけだと間が持たないなあ、と。アクセントのつもりで出してみました。」
釈「使い捨てキャラ、ですか!」
まゆ子「ありてひに言うと、そうです。」

じゅえる「死ね。」
釈「いやしかし、どうしましょう。この人どう見てもなんかしそうですよ。」
まゆ子「あ、計算はあったのね。というか、アクセントが無いというのはEP6最終章だけの構造ではなく、ハジパイ王がクローズアップされるEP7全般に渡ってアクセントが無い。そこで、直感に基づいて、ぽっと。」
じゅえる「放り込んだのかい。またーどうしてまゆちゃんはそういうことやっちゃうかなあ。」
釈「今回の議題は、ゲワォさんの処分について、ですね。」

まゆ子「さてどうしよう。一応なんかしそうなキャラだが、さりとてバックボーンがあるわけじゃない。」
じゅえる「難民てのは、別にたいそうな組織を持っているわけじゃあないんだったね。金雷蜒王国から来たまんまで。」
釈「でも活躍するとなると、街場やら難民やらの下層階級をベースとした行動となりますよね、このキャラ。」

まゆ子「さて。ではどんな活躍をしてほしいかな。ちなみにゲワォさんは、荒事は出来んでもないが苦手だ。」
じゅえる「強い奴は幾らでもいるから、知的キャラとして活躍する。状況を考えると、ヒィキタイタン裁判でのなんかをするわけだ。」
釈「そうですね。裁判の裏工作をするべきなのです。ですがー、ハジパイ王の真意を私達はEP6最終章で知ったわけです。であればゲワォさんは、ハジパイ王の裏の狙いに従って動くのが正しい。」
まゆ子「つまり、ハジパイ王は裁判の最中まったくの不寛容と貫くわけだ。ヒィキタイタンの徹底的な断罪を求める。その裏は逆に、ヒィキタイタンを助ける方向に動く。」

じゅえる「それもなんだな。ハジパイ王はヒィキタイタンを助ける必要は無い。あくまでも褐甲角王国が方台新秩序にあって生き延びる方向に考える。ヒィキタイタン裁判は保守派伝統派の合意と大義を成就させる為であり、ゲワォが動くのは、王国が時代に則して変化を遂げるのを促す為にある。」

釈「であれば、ヒィキタイタンさんを助ける…わけでもないのかな。」
まゆ子「ヒィキタイタンに連座して、劫アランサ王女も裁判に引っ張り出される。ここに絡んで来るわけだ。
 そして私達の計画では、牢屋に閉じ込められた劫アランサ王女と連絡を取る為に斧ロアランが大活躍する、というシナリオが最初っから用意されている。」
じゅえる「なんだ簡単じゃないか。ゲワォはその繋ぎをすればいい。」

まゆ子「問題が一つ。ハジパイ王はその繋ぎを助ける必要が無い。」
釈「あー、そうですねえー。劫アランサ王女が第二代の青晶蜥神救世主になる、というのも確定したわけじゃあないんですし。」
じゅえる「王女を助ける必要がある。なににしよう。」

まゆ子「あー、そこで私は考えた。ゲワォは世情に通じるものだ。ネコの噂にも通じている。そこで、ネコの長者というのの存在をハジパイ王に教えるのだ。」
釈「ネコの長者、ネコの神ですか?」
まゆ子「具体的には、弓レアルのこった。ネコネットワークの中心に存在する人間だ。ネコの噂話が集中するから、ネコの長者と呼ばれる。」
じゅえる「ハジパイ王はネコの長者と会って、なにか得があるのかい?」

まゆ子「ゲワォが巷に流れる噂話をハジパイ王に届ける。その中で、焔アウンサ王女暗殺に関して無視できない情報があった。
 曰、焔アウンサ王女がカプタニアの手前で暗殺されたのは、どうしてもカプタニアに彼女が還るのを許さぬ、都合が悪い勢力が有ったためだ。というの。」
じゅえる「何?」
まゆ子「さすがにゲワォもそれは分からない。ただ、ネコの長者と呼ばれる人ならば読み解くことができるでしょう。と教えてくれる。
 そこでカプタニアに住み身元もはっきりしたネコの長者として見出されたのが、ぼーっとした状態の弓レアルなのだな。」

釈「ちょっと待ってください。ハジパイ王もゲワォさんも、白の母が犯人だって知ってるでしょう。その動機も。」
じゅえる「いやさ、白の母は嘘は吐かないけれど、全部を話すわけじゃないって、二人とも知っている。彼らに話さない理由が有るはずと、普通に見抜くよ。」
まゆ子「そこで弓レアルがハジパイ王宮に呼び出される。
 彼女は日がな一日ぼーっと机の上に頭を横たえてネコの話を聞きまくっているから、膨大な情報の海の中から関連する僅かな線を見つけ出し、ネコに教えて新情報を編み出している。つまりは解読者としての能力を持つんだ。
 で、公開されていないはずの焔アウンサ王女暗殺事件や武徳王暗殺未遂事件についても詳細を、ハジパイ王がおどろくほど知っている。
 そこで焔アウンサ王女暗殺事件の真相について尋ねると、驚くべき見解を示すのだよ。

 曰、ネコの噂には二種類ある。人に話す噂と、ネコは知っているけれど人に話すべきでない噂。だが今回は第三の噂、ネコが知りたいけれど人が教えてくれない話、だという。
 では何故人はそれを教えてくれないのか。誰もそれについて注意せず、また知ろうとも思わず、考えることすら避けて見過ごしにするのだな。

 それはなにかと尋ねたら、赤甲梢がギジシップ島で遭遇した重甲冑の戦士、額に怪しげな蟲を戴く戦士のことだ。
 ネコはどんなに努力して調べても、その正体が分からない。そこでネコの長者たる弓レアルに尋ねてみると、カブトムシの神兵より強いのはカブトムシの神兵以外に無いだろう、てことになる。つまり、それはカブトムシの聖蟲の持ち主なんだ。

 ではその聖蟲はどこからもたらされた。カブトムシの聖蟲を養殖しているのは、方台に唯一つカプタニア山の神聖神殿のみ。であれば、神聖神殿より盗み出されたものだろう。」

じゅえる「そんな分析ハジパイ王に伝えたら、弓レアル殺されちゃうんじゃない?」
まゆ子「ハジパイ王本人がそうも言ったけど、弓レアルは軌バイジャンさまの消息が見付からない、と半分死んだ状態だから、却って王が気の毒に思う。カロアル兵師監の戦死はハジパイ王も気に掛けるところであったから、同情してくれたのだね。」

釈「それで、聖蟲を盗み出した犯人については、どうなんです。さすがにネコにも分からないでしょう。」
まゆ子「だが弓レアルは、カプタニア山を護るのはカプタニア神衛士だ、としか言わない。
 ハジパイ王もゲワォも、その言葉だけで十分理解できる。カプタニア神衛士の中に聖蟲を外に持ち出した者が居る、とね。そしてその人物の為に、白の母は動いていると理解する。

 ついでに、ヒィキタイタンを取り除いた後、その人物を後がまに据えて方台新秩序構築に参加させる、新たなる王にする計画かと看破する。
 ヒィキタイタンが担っていた王国の大義、金雷蜒王国の打倒の任と彼の声望を受継ぎ、弥生ちゃんに対抗する、第二ヒィキタイタンの創造だ。」

釈「つまり、それだけ人望も血筋も正しい、黒甲枝にも支持される人物が犯人ってわけですよ。」
まゆ子「そいう人物をカプタニア神衛士から探すとなれば、目立つ人はひとりしか居ない、ってことだね。」

じゅえる「ふむ。で、そこから斧ロアランはどうなるのだ?」
まゆ子「うーん、つまりこの弓レアルの見解を知らされたハジパイ王は、ヒィキタイタン裁判をそのまま即決してしまうことを得策に思えなくなるのだな。カプタニア神衛士の中にそのような問題があるのであれば、褐甲角王国の結束を高める為になにをするべきか。裁判の結果、ヒィキタイタンが失われるのも考え物になってしまう。

 だがすでにハジパイ王の近辺は強硬派の元老員に固められ、裏工作が出来なくなってしまっている。ちょっとでも妥協宥和する姿勢を見せることすら叶わない。そこでゲワォを使い劫アランサ王女と連絡を取るものの、王女は高い塔の上に幽閉され容易に接触できない。
 という流れの中、斧ロアランが大活躍するのだよ。」

釈「ちと、飛躍がありますね。」
じゅえる「まあもうちっと詰めないと駄目だね。何故劫アランサ王女と連絡しないといけないのか、ハジパイ王はなにをさせようと考えるか。」

まゆ子「あ、ちなみに劫アランサ王女は現在無双状態にあります。弥生ちゃんから習った「衣川家伝一刀流」の奥義『灯籠切り』を身に着けた結果、重甲冑を纏う神兵を空手チョップで腰抜かす妙技を会得しました。誰も彼女を止められません。」

じゅえる「あーそれでいいじゃないか。劫アランサ王女は塔に閉じ込められているけれど、赤甲梢が救出作戦をしようと考えているし、本人も好きな時に出て行ける。
 だがそうならないように、ハジパイ王は裁判の過程でなんらかの仕掛けを組み入れる、それを斧ロアランに伝えさせるのだが、それは他の元老員にばれては困るのだ。」
釈「あーそれならば、ヒィキタイタンさん奪還計画というのが赤甲梢にある、とか。」
まゆ子「うむなるほど。それはまさに有り得る話だ。しかもカプタニアにおいては神兵黒甲枝の間でも同情が強くて、赤甲梢がそうするという噂がまことしやかに流れているんだ。これをやられると、もう王国は後戻り出来ない。苛烈容赦の無い粛正に入らないといけない。」

じゅえる「ふむ。だが問題がひとつ。斧ロアランが担うには、その情報やら計画は荷が重過ぎる & 使者の目方が軽過ぎる。」
釈「そうですか。斧ロアランはそれほどの重要人物じゃない、ってことですかねえ。」
じゅえる「斧ロアランが担うべきな大活躍は、劫アランサ王女暗殺計画の防止、ってとこだ。アランサちゃんピンチを必死になって救う、だからこそ斧ロアランも命を賭けられる。」

まゆ子「つまり、キャラに似合わない陰謀を担ってはいけないってことだね。なるほど。
 では。それらの流れがあり、赤甲梢暴発を防ぐ為には劫アランサ王女を暗殺すべきだとの元老員急進派の陰謀があり、斧ロアランは何故かこれを知る、というか、ゲワォさんにこっそりと教えられる。
 だがこれを赤甲梢に伝えるともちろん暴発に繋がるし、教えないとアランサちゃん死んじゃう。さてどうするべきか。」

釈「ここは弓レアルさん大活躍、ですよ。」
じゅえる「うむ。暗殺計画を伝えると共に、弓レアルのネコ情報から、弥生ちゃんがもう方台に舞い戻っているという最新情報を伝えて、もうちょっと頑張って時間稼ぎをしろ、という話になるんだ。」
まゆ子「おおなるほど、弓レアル大活躍だ。でも本人、机の上に頭横たえてべたーっとしてるだけだけどね。」

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まゆ子「ところでさ、つらつら流れ考えて行くと、弥生ちゃんは十二神方台系に帰って来た時、まずデュータム点に降りて紅曙蛸女王テュラクラフと対決し、ついでガンガランガの褐甲角武徳王のところで目を癒して全権委任状をもらって、それからカプタニアに飛んで行くこととなった。」

じゅえる「ふむ。」
釈「それが一番自然な流れ、ってことでしたね。」
まゆ子「ところがだ、EP7はそういう風には出来ていない。この寄り道を省いて弥生ちゃんが突然出現した方がどう考えてもカッコイイ。」
じゅえる「そりゃそうだ。」
釈「思い切って描かないのも勇気です。」

まゆ子「そりゃそうなんだが、それはいくらなんでも不親切。というわけで、EP7 第14章を書かねばならないと思うんだ。エクステンションだよ。」

じゅえる「ふうむ。最終回を後ろにずらすわけね。」
まゆ子「いや違う。最終回を書いた後に、外伝っぽく、それに到るまでになにをしていたか、を描くんだ。増補だよ。」
釈「まあ、大きなおまけですか。」

まゆ子「でも、最終回の後にそれ以前の話を書く、というのはいかにも変だろ。」
じゅえる「いいじゃん。」
まゆ子「いいかな。でも最終回は感動的に万事めでたしめでたしで終るつもりなんだよ。完璧最終回だ。」
釈「ああー、それから増補分を書くのは、さすがにイヤですね。」
まゆ子「ちとかっこ悪いし、ながれも変でしょう。」

じゅえる「だいじょうぶだよ。」
まゆ子「どうして。」
じゅえる「ドラゴンボールだって、亀仙人が「もうちょっとつづくんじゃ」でやっちゃったんだもん。」

まゆ子「お。」
釈「おお。」

じゅえる「めでたしめでたし、の後に、ハジパイ王が後ろを振り返って「もうちょっとつづくんじゃ」と言えばOK!」
まゆ子「それさいよー。」

****************

まゆ子「そりゃそうと、私はたいへんな発見をした。」
じゅえる「ふむ。」

まゆ子「現状げばると処女はえらく長大化してしまった。基本1章30枚のはずが、軒並み60枚オーバーだ。今回96枚などという馬鹿げた枚数になっている。タコリティ関連は特にね。」
釈「タコリティはめったに出て来ませんから、説明が必要なんですよ。」

まゆ子「ではどうすればいいか。基本に返って考えた。」
じゅえる「ふむ。」
まゆ子「げばると処女は基本、『十二国記』のパロディだ。もっとも、その欠け片すら今はどこにも残ってないが、ともかく元はそうだった。しかもアニメ版だ。」
釈「アニメで『十二国記』が流行ったから、自分でも異世界救世主ものをやってみよう、と思ったんでしたね。」

まゆ子「要するにこれはアニメなんだ。だがEP1ではまだ慣れていなかったので、1章をアニメのAパート分として考えていた。1+2章で30分アニメ、という構成だ。」
じゅえる「あ〜、そうだったねえ。アニメみたいにかるーく流しちゃう予定だったんだ。1巻で終了する。」
釈「1巻13章、ってのも、アニメ1クール13話から来てるんですよね。」
まゆ子「この考え方は今も生きていて、1章は1話であるように調整されている。1章がだらだらと長いのは、30分1話に丁度って感じのエピソードを突っ込んでいるからだ。」
じゅえる「そうだっけ?」
釈「ちと長いような気もしますが、そこはアニメの監督さんにおまかせでもしないと、分かりませんねえ。」
じゅえる「やっぱ長過ぎるんじゃないかなあ。」

まゆ子「であればだ、『げばると処女U』においては元の考え方に戻って、1章半分でやってみようと思う。1+2章で1話だ。両方30枚ずつで、60枚。丁度だ。」

じゅえる「なるほど、丁度だ。」
釈「それは納得のいく分量ですねえ。なるほどなるほど。」

まゆ子「ついでに言えば、『U』はテンポ良くガリガリ行くつもり。であれば、1話で落ちまで用意しなければならないのに対して、2章1話でぱこぱこ展開が変わった方が、おそらくテンポいい。」
じゅえる「ふむ。」
釈「それで満足のいく分量が稼げれば、いいと思いますよ。」

まゆ子「たぶんこれでいいんだよ。今は1章に4つの見せ場を用意するように考えている。起承転結ではないが、1話に2つの見せ場で30枚消費してしまうから仕方ない。
 たとえば、EP6最終章。これは39枚と短い。3つしか見せ場が無いからだ。ハジパイ王と白の母が会う、ゲワォと街を行き元老員と出くわす、酒場で元老員と話す、〆の犬の話。4つあるけれど、ボリュームを見ると、街と犬はかなりみじかく導入と〆でしかない。つまり主要部は2つ+補足、なんだ。」
じゅえる「でおまけのエピローグを付けて、69枚。4つね。」

まゆ子「これがEP1第3章となれば、ティンブットが酒場でクダを巻く+ドワアッダの武器屋でヒィキタイタンと会う、しか無い。すっきりだ。」
釈「1章2つの見せ場、でいこうってわけですか。うーむ、大丈夫かな。」

 

09/04/22

まゆ子「69枚! 最終章は39枚でした。」

じゅえる「短いね。」
まゆ子「いいんだけどね、短い方が。まあなにも展開しなかったし、こんなもんよ。」

釈「というわけで、EP6は終了です。お疲れ様でした。引き続きEP7に突入です。」
まゆ子「あ〜、でも実はもうEP7第一章描き始めてるんだよね。冒頭めちゃ面白い。というか、面白い書き出し考えつくまでに時間かかった。

 というか、花粉症はだめだ。」
じゅえる「花粉症はありとあらゆるくりえーちぶな活動に対しての害毒ですね。これが無ければ日本経済浮上間違い無しです。」
まゆ子「まじでそう思う。」

釈「というわけでえー、 

 EP7
1、イローエント大動乱。ゲジゲジ乙女団介入。円湾の戦い。
2、神聖王襲撃計画発覚。赤甲梢軍令に反して神聖王警護。罠に落ちる。
3、弥生ちゃん、遂に十二神の中枢に到達。神との対話
4、武徳王カプタニアに帰還。神聖宮の暗雲。
5、タコリティ陥落。ヒィキタイタン、カプタニアに連行。
6、赤甲梢凍結命令。神聖王の所に勝ち組が交渉に来る。熾烈な外交戦。ハジパイ王と勝ち組派との対話。敗北するハジパイ王。
8、デュータム点、カプタニア、他民衆の不安が広がり、弥生ちゃんを求める声が高まる。
9、テュラクラフ女王と白の母の対面。テュクルタンバにてヤヨイチャン財宝を巡る戦い。神聖神殿都市の陰謀。
10、ヒィキタイタンの帰還。
11、弥生ちゃん、遂に十二神方台系に帰還、ネズミ族の村。巨大カブトムシ神のお迎え。
12、ヒィキタイタンの断罪。劫アランサの断罪。赤甲梢解散。ジョグジョ薔薇の大演説。
13、斧ロアラン大活躍。ネコとの対話。弥生ちゃんの帰還!
EPLG、弥生ちゃんの大審判。トカゲ王国樹立。

まゆ子「ということになっている。もちろん修正が入る。
 まず4章。ここにデズマヅさんのエピソードが入る。具体的に言うと、切腹だ。」

釈「セップクですか。十二神方台系で?」
まゆ子「方台初の切腹だ。やり方は簡単、弥生ちゃんが切腹マニュアルの詳細をマンガ付きで書いている。」
じゅえる「なんという迷惑な!」

まゆ子「正確には、ウラタンギジト滞在中に弥生ちゃんは劫アランサ王女のお兄さん、メグリアル王太子と面談した。その時に、星の世界の武人の有り様を尋ねられ日本の武士の話を当然にして、当然切腹にも話が及ぶ。その時同席したメグリアル神衛士の神兵は、神衛士を務めるだけあってスピリチュアルな人だから、その話にいたく感じ入り弥生ちゃんと王太子の許しをもらって当日の問答集をまとめあげ、弥生ちゃんが間違いを校正しついでに説明マンガを描いて、黒甲枝の間に回し読みするようになったんだ。」

釈「それで切腹マニュアルができたんですね。で、デズマヅさんはそれに従ってやってみる。」
じゅえる「切腹でなくても、もっと楽な死に方があるでしょうに。」
まゆ子「それが問題だったんだ。責任を取る、謝罪する為に自裁、ってのは別に方台でも難しい話じゃなく、わりと普通に存在する。大体が毒を飲むか喉を短刀で突くか、その程度だ。あまり推奨される死に方でもないし、死ぬのならどんなやり方でもいいじゃないか、ってのが常識だった。

 だがデズマヅさんは自らの責任を重く受け止め、通常の方法では責任を取れないと見定める。そんな時手元に舞い込んだのが、ウラタンギジトから書写されて回って来た切腹マニュアルだ。これを読んだ者は黒甲枝とはいえ皆驚くんだな。なにせ弥生ちゃんが開巻冒頭「切腹は自殺にあらず、謝罪にあらず。自らの胸襟を開き赤心曇り泣きことを天下に表わす、自己実現究極の方法である」と書いている。他者の裁きを受けるを恥とし、男子一人が死ぬるに己ひとりの意志のみに従い、天にも法にも主にも屈せぬ自由な姿、とばんとぶち上げる。」

じゅえる「そりゃ革命だな。」
釈「ほんとにそれでいいんですか?」
まゆ子「せっぷくってものは、」
じゅえる「それでいいんだよ。ばさらだよ。」
釈「そりゃおおごとだ。」

まゆ子「実際大事です。黒甲枝は武人であるから、皆これを読むとううーんと唸る。天にも主にも屈せぬ、という下りに考え込む。彼らがまるで予期せぬ言葉であり、同時に聖戴者が常に感じている事だからね。頭に聖蟲を乗っけてる者はみな等しく尊いんだよ。ギィール神族が神聖王と自分を同格と看做すように、黒甲枝神兵も自らを褐甲角神救世主と看做すべき、とする思想が確かにある。
 そこで皆も切腹なる方法をためしてみようかなー、と考えるがさすがにそれは叶わない。それだけの罪を背負う例もなかなかに無いし、なによりどの程度の罪があればそうするものか、分からない。

 だがデズマヅさんにはこれが福音となる。最初から自らの罪の重さは万死に値すると見定めるからには、切腹いいじゃjないか、って思うわけだ。
 しかしながら彼の額には聖蟲が付いている。カブトムシが居たらこれは腹切ったくらいではなかなか死ねない。そこで、切腹の儀を執り行うにあたり、みずからカブトムシを手で捕まえ、弟さんに手渡し、聖蟲の無い状態で同僚でアウンサ姫護衛に失敗したシミトヰに介錯を頼む。もちろん切腹マニュアルには介錯の方法も図解入りで書いているから、やるのは簡単。ただデズマヅさんもごつい大剣の切味とやらを黒甲枝神兵自らも味わってみるべきだと考え、大袈裟な介錯を頼む事となる。

 まあそんなこんなで凄まじい愁嘆場が演じられ、見届け人となる将軍の老人もあまりの悲惨さに目を覆い、「ガモウヤヨイチャンさまはとんでもないものを方台に持ち込みなされた」と嘆くのだ。」

じゅえる「ふむ4章はそれをメインとして、武徳王の動向ね。」
釈「問題ありませんね。」

まゆ子「さて、それはいいんだが、どうもそこから先が迂遠でいかん。後はもう最終章弥生ちゃんの大審判に向けて怒濤の展開であるべきなのだよ。しかしこの計画書では、」
じゅえる「折角第一章で紅曙蛸王国攻略戦をさくっとちょん切ったのが、まだ生かされてないね。」
釈「要変更なのです。つまり紅曙蛸王国に関する記述をどうするか、です。」

まゆ子「えーつまり、第二章で赤甲梢が罠に落ち、第六章でヒィキタイタンとタコヤキ王女がとっ捕まり、あとゲバチューラウとテュラクラフ女王の動向が穴、です。」
じゅえる「少なくとも、ゲバチューラウはもっと積極的な関与をしなければならんだろ。赤甲梢が離反したと看做されるのであれば、なおのこと。」
釈「更に言えば、アィイーガとゲバチューラウの恋愛事情をここでばんと打ち出さねば他に出番がありません。」

まゆ子「そこは考えている。赤甲梢が離反したと看做される緊張状態の中、唯一騎ゲイルでゲルワンクラッタ村にやってくるのが、アィイーガだ。彼女の口からここでようやく極秘扱いの褐甲角武徳王暗殺未遂事件によって、この度の緊張状態が出現したと知らされる。」

じゅえる「ファンファメラの演出だな。」
釈「あざといですね。」

まゆ子「だがここで、赤甲梢が王国の軍制から切り離されて動いてしまう悪例を作るのは間違い無い。しかも武徳王が現在負傷中で、お芝居の為に闇雲に原理主義を焚き付けるハジパイ王の下、赤甲梢幹部にも厳正なる処罰を下すべきとの意見が高まるのだね。」

じゅえる「…ゲバチューラウと、赤甲梢の間にもうひとつ強い結びつきが欲しいとこだね。」
釈「そうですねえー、いや結びつきというか、同じサイドに立つという根拠ですね。」

まゆ子「うーんそうだなあ。ここは死人にクチナシで、亡きアウンサ王女がゲバチューラウと結託していたという新たなる疑獄が発生、ということで。」
じゅえる「それならば問題はない。」
釈「十分な疑惑ですが、まだ物理的な影響力には結びつかないですかねえ。」
じゅえる「ゲバチューラウが自ら動く動機としては、まだ弱いか。」

釈「いえここはむしろ、ゲバチューラウが本当に動くのはどうでしょう。テュラクラフ女王に会いに行く、とか。」
じゅえる「テュラクラフさんは何の為に居るんだ?」
まゆ子「考えてない。」
じゅえる「「ううーむ。」
まゆ子「だが南海ではタコヤキ女王が入るわけだから、どうでもいいんだ。テュラクラフさんは特に意味があるわけじゃない。」

じゅえる「なんかさせろ。」
釈「そうですね、なんかしてください。」
まゆ子「ふうむ。じゃあ単純に、テュクルタンバにお出かけになるか。巨大なテュークに乗って。」
じゅえる「その行為の目的は?」

まゆ子「単純に、褐甲角軍はテュークに目を奪われて、動けない。そこでアィイーガの進言により、劫アランサ王女は兎竜隊を引き連れて伯母上アランサ王女の疑獄事件の真相究明にカプタニアに向かう。」
じゅえる「大分良くなりました。うん、そのくらい動かないと赤甲梢裁判出来ない。」

釈「その後はどうなります?」
まゆ子「毒地を抜けて直接スプリタ街道に入った兎竜隊は、ヌケミンドル防衛線にて当然阻止される。いや、そうだな。テュクルタンバの騒動を鑑みて、大本営に武徳王が居ないのかもしれない、という状況が見て取れるんだ。実際は失明の危機で極度の情報管制を強いているんだけど、これが誤解の元で、兎竜隊は武徳王本陣ではなくカプタニアに武徳王が居ると推察する。」

じゅえる「まずはアウンサの亡くなったミンドレアに兎竜隊で急行。その後大本営に掛け合おうとするがその場に停止命令。武徳王からはまったくの音沙汰なしで、逆にカプタニアからヒィキタイタン事件とギジシップ突入における焔アウンサ王女とヒィキタイタンの共謀についての証人として、劫アランサ召喚される。」

釈「そんなものでしょう。」
じゅえる「というわけで単身カプタニアに到着したアランサの連絡係となるのが、既に王都に戻っていた斧ロアランですよ。」
まゆ子「あ! そいつ書くの忘れてた。」

釈「いま見直すと、計画書に何故か第七章がそんざいしません。」
じゅえる「よしきた。じゃあカプタニアの弓レアルとかアルエルシイとか斧ロアランとかは、全部7章だ。」

まゆ子「

1、怪談百物語。円湾の戦い。
2、神聖王襲撃計画発覚。赤甲梢軍令に反して神聖王警護。罠に落ちる。
3、弥生ちゃん、遂に十二神の中枢に到達。神との対話
4、武徳王本陣にてデズマヅ切腹強行。本陣大混乱。
5、円湾紅曙蛸王国陥落。ヒィキタイタン、カプタニアに連行前のお話。
6、焔アウンサ大議獄事件。赤甲梢兎竜部隊単独でゲルワンクラッタ村脱出。
7、デュータム点、テュクルタンバ大混乱。
8、カプタニアの情景。
9、ヒィキタイタンの帰還。
10、弥生ちゃん方台に到着。ネズミ神官との対話。
11、裁判の始まりと各所で大陰謀の嵐。劫アランサ王女の帰還入城。
12、斧ロアラン、アランサと連絡を取ろうと大活躍。弓レアル大活躍。アルエルシイ大活躍。
13、大裁判超対決の嵐。
EP、蒲生弥生の大審判。

じゅえる「8章抜こう。」
釈「要りませんね。」
まゆ子「とほほ。やはりEPで済まそうとしたのは間違いか。では

7、デュータム点、テュクルタンバ大混乱。
8、ヒィキタイタンの帰還。
9、弥生ちゃん方台に到着。ネズミ神官との対話。
10、裁判の始まりと各所で大陰謀の嵐。劫アランサ王女の帰還入城。
11、斧ロアラン、アランサと連絡を取ろうと大活躍。弓レアル大活躍。アルエルシイ大活躍。
12、大裁判超対決の嵐。
13、蒲生弥生の大審判。
EP、グランドえぴろーぐ、青晶蜥王国建国!

まゆ子「これでどうだ。」

じゅえる「とはいえ、おまけで斧ロアランがカプタニアに帰っていた事は描いておこう。そうでないと話が繋がらない。」
釈「弓レアルもです。」

まゆ子「いま考えた。別に、弥生ちゃんはカプタニアに下りなくてもいいんだ。まず最初にテュラクラフ女王のところに行って、武徳王の目を癒して、それからカプタニアに降り立てば十分。そこを律義に時間軸に沿って書かなきゃいかん法は無い。」
じゅえる「そりゃそうだ。」

釈「律義に弥生ちゃんきゃぷてんは、どちらさんも文句を付けられないように手続きをすっかり済ませていた、ってことですか。」
まゆ子「むしろ、そのそつの無さが弥生ちゃんだな。」
じゅえる「なるほど。ネズミ神官との対話で、どうするべきか教えられるんだ。」

釈「それならば、ネコねっとわーくにより弓レアルがいちはやくきゃぷてん帰還を知らされて、それを元に斧ロアランが大活躍する、というシステムが取れますね。」
まゆ子「なるほど。それは使える。」

じゅえる「それはそれとして、テュラクラフ女王は何をするんだ?」
まゆ子「あのひとは、単純に時代が盛り上がってるからタコ踊りをさせようというだけだよ。」
じゅえる「そんなもんでいいのかい?」
まゆ子「そんなことしかしないから、巫女王と呼ばれるのだ。」

釈「釈然としません。」
まゆ子「高度に哲学的な問題だ、よしそこんとこはなんとかしよう。超哲学で正面突破だ。デュータム点を混沌の坩堝へと変化させる瘴気の舞踏会なのだ。」

 

09/03/23

まゆ子「春休み特別企画! 恥をさらしてしまいましょう!!のコーナーです。推敲無しのげばおとEP6最終章を期間限定で掲載中です。」

釈「第一稿ということは、まったく直しをしていないってわけですね。」
じゅえる「第一稿でできあがりなら、どれだけ楽にさくさく書けるだろうねえ。」
まゆ子「第一稿と第二稿の差は、バグです。つまりは事実誤認やら錯誤やらがこの段階で修正されます。つまりは、第一てのはひどいものなのです。」

釈「具体的にはどの程度の間違いがありますか?」
まゆ子「掲載後に確認してちこっと直しましたが、まずは「アイアンクローはカール・ゴッチの技じゃなかったよてへ」」
じゅえる「あ、そんな酷い間違いがあったんだ。」
まゆ子「ま、これはいいんだ。これは極めて普通の間違いで書いてる最中からはてホントにこれで良かったのかな?て気づくもんだ。要するに書き飛ばすには、多少の不明な事実は確認の手間を後日に任せてすっ飛ばす。そういう手法が手を早くするのには有効なんだね。

 もう一個、コレとは別の間違いがある。「大狗サクラバンタは、はたして牡だったか牝だったか?」」
釈「あ、それはげばおと全編を見直さないといけませんね。それは面倒だ。」
じゅえる「結論は?」

まゆ子「EP2にほんの少しサクラバンタについて触れている記述が有る。一ヶ所だけ「彼」と書いてある。それ以外に性別の描写は無いみたい。」
釈「ふうむ、それはー、そっちの方を書き直した方が楽ですね。」
まゆ子「それも考えたのだが、しかし牝、女性に対して彼と言ったって特に悪いわけでもない。」
じゅえる「まあふつう使わないけどね。しかしそれはー、どうしようか?迷うな。」
まゆ子「昔の記述はなるべく書き直したくはない。が、それで済むのならそうするべきだな。「彼」を「コレ」に直せば上等だ。」
釈「あえて性別の記述を外すわけですね。それも有りかなあ。」

まゆ子「とまあそういうわけで、10日ほどは寝かせておいて推敲するはずだったんだよ。ところがよく考えると、春休みだ。お休みで暇でネット小説を探す人も増えるんじゃないかな、と考えた。」
じゅえる「まあ、通常よりは多いでしょうやっぱ。それで春休み特別企画か。」
釈「もう少し建設的なサービスは無かったもんですかねえ。」
まゆ子「実は、『サルボモーター』の次章はとっくの昔に出来ている。これも推敲するんだけどめんどくさいから放置中。やるならこっちの方が先だ。ついでに言うと、『ゲキロボ☆』の第一稿で言うと、掲載中の倍がすでに出来ている。これも推敲めんどくさいから放置だ。」

じゅえる「3次元都合、だね。」
まゆ子「3次でもなかなか忙しかったんですよお。インタネットもしばらく繋がらなかったし。」

 

09/03/04

まゆ子「てなわけで、げばると処女EP6 「第十二章 普通の人々」ができました。72枚。」

釈「また大幅枚数おーばーですね。」
じゅえる「50枚見当じゃなかったの。」
まゆ子「いやわたし、今回ボリューム少なくて40枚くらいかなあ、と思って書いてました。というか読み直し楽だったもん。」
釈「その結果がこれです。」
まゆ子「なにを隠そう、督促派行徒の台詞前後ろ全部削っても、この話読めちゃうんだよね。この措置をすると、50枚くらい。適正です。」
じゅえる「でもそうすると、女ばっかりのお話になる。男と女の対比、がこの章の面白いところ。削っちゃうと味気ない。」
釈「とはいえ、削れと言われたら絶対削りますね。」

じゅえる「わたし思ってたんだけどさあ、EP6ってひょっとしてバカでっかいでしょう。」
まゆ子「はい勘定してみました。898枚です。12章終了段階で。」
釈「それはー、13章+エピローグで確実に1000枚突破です。」

まゆ子「というわけで、ファイルサイズ調べてみてびっくりだよ。急いで分割しました。なんせバカでっかくてアクセス困難になったEP5より大きいんだもん。」
じゅえる「サーバーがFC2に換ったから転送速度が早くなったんだよ。なにをかんちがいしてるかな。」
まゆ子「というわけで、ふと気づいたら「げばおと」はオリジナルの「でぽ」に入りきらないほどの巨大化を果たしておりました。ここはもう潔く、切ります。」
釈「では「サルボモーター」とかと同じく、「でぽでぽ」オンリー化ですね。」
まゆ子「この措置のおかげで「でぽ」は3Mバイトも余裕が出来ましたよ。」

じゅえる「あー、なんとかしないといけないな。」
まゆ子「反省します。EP7ではさっくりと高速展開できるように1話あたりの枚数減らします。というか、ちょうど良い機会ですから仕切り直します。
 『げばると処女U』では構造をざっくり変えます。」

釈「具体的には、どうしますか。」
まゆ子「げばると処女は、基本的に1話ごとに主人公が違う。この原則を修正して、Epごとにメイン主人公を置きます。」
じゅえる「EPごとに、ってのは基本的に誰をどうするんだ。」

まゆ子「まあ、EPは5巻予定で、弥生ちゃんは出ずっぱりだから除く。正面に出て来るべきキャラは5人。弓レアル、劫アランサ、ナルミン王女、タコヤキ女王、斧ロアラン、だな。」

釈「斧ロアランは弱いですかね。キャラ。」
じゅえる「ほとんど活躍しなかったからね。アィイーガかイルドラ姫にした方がいいかな。アルエルシイはいやでも出るとして、シュメ・サンパクレ・アも外せない。」
まゆ子「あと主要プレイヤーとしては白の母は裏弥生ちゃんとして大活躍するのは、これまでどおり。」

じゅえる「修正するぞお。タコヤキ女王はまず外す。こんなのは外伝で上等だ。」
釈「外伝ですか。うーむそれは絶対不渡り確実の空手形ですね。」
まゆ子「ナルミン王女は外せないぞ。ジョグジョ薔薇の造型を浮き彫りにする為の道具だもん。」

じゅえる「弓レアル、劫アランサ、ナルミン王女、イルドラ姫。これでどうだ!」

釈「褐甲角の王女が2人も居るのは不公平です。巫女組のシンチュルメとかクワンパとかどうします?」
まゆ子「巫女はこの際、すっ飛ばしましょう。クワンパは好きなんだが、ヒィキタイタン事件は解決してるからねー、仕事無い。」
じゅえる「いっそのこと、劫アランサも外すか。弥生ちゃんにくっついて居るだろうから。」
まゆ子「ふむ。その手はあるな。弥生ちゃん、劫アランサ、アィイーガはひとまとめにするか。」

じゅえる「弓レアル・アルエルシイ・ハギット女史・(難民の女=杣女)は、ひとまとまりだね。
 アィイーガ・イルドラ姫・カエル姫・その他神族関係の物語をでっち上げるとして、
 ナルミン王女に必然的に斧ロアランはくっつけるべきでしょう。」

まゆ子「ナルミン王女は褐甲角王国分割の際に、数奇な運命に導かれて城外に彷徨い出るのだよ。その御供として斧ロアランを使おう。」
釈「一生ヒラ侍女ですか。それもまた人生ですね。」

じゅえる「神殿関係、巫女関係のイベントは、なにか用意しないといけないでしょう。ハジパイ王の息子の神官とか大活躍しないとダメじゃん。」
釈「イルドラ姫は不思議体験をするべきではないでしょうか。カエル姫と一緒に。」

まゆ子「ナルミン姫はコウモリ神人と最終的に関係する。不思議の流れは作っておかねばならないね。
 つまり、弥生ちゃんがトカゲ王国を運営していく物語の裏で動くべきなのは、弓レアルの軌バイジャン探し。ナルミン姫のジョグジョ薔薇話。イルドラ姫の神様話。神官の陰謀。」

釈「あ、この間開発した新型ゲキ幼女の物語も入れなければなりませんでした。」
じゅえる「それ、イルドラ姫にやらせよう。ギィール神族大活躍も見たいじゃない。」
まゆ子「ふむ。では独立愚連隊として行動していたゲジゲジ乙女団が、ゲキ幼女に遭遇して潰滅する。だがイルドラ姫は執拗な追跡の末に、敵の本拠地を暴き、潰滅させ、遂にはジョグジョ薔薇の乱に雪崩れ込む。」
じゅえる「なるほど。」

釈「神撰組、も活躍しなければなりません。これは神官の陰謀と絡むことにしましょう。」
じゅえる「ふーむ、しかしこちらには女が居ないな。銀椿も出さないといけないから、というか神官陰謀となればデュータム点が舞台だろう。テュラクラフ女王がこの時まだ居続ける事にする?」
まゆ子「いや。かなり早い時期に消滅するはずなんだけど。そうでないとタコヤキ女王に力が無くなる。」
釈「神官の陰謀はまだ穴ですよ。駒が足りません。」
じゅえる「用件は一つ。つまり神撰組が活躍しなければならない。ハジパイ王の息子が主役。」
まゆ子「神撰組は小なりとはいえ軍隊だ。それが出張って来るとなれば、敵は武力組織。神殿が動員できる武力兵力とは? しかも弥生ちゃんに公然と逆らう度胸のある罰当たり組ね。」

釈「ぴるまるれれこ教、では?」
じゅえる「この段階ではダメだ。弥生ちゃんが存在している状況下においては、そうむしろピルマルレレコ教は神撰組によって護られるべきなのだ。」
まゆ子「なるほどね。つまり、この時期のピルマルレレコ教は弱小にして武力兵力はまったく持たず、それどころか闘争をする意志すら無い。にも関わらず、デュータム点近辺では関係者の暗殺事件が頻発する。」
じゅえる「なるほど。つまりは神撰組 VS スガッタ教団なんだ。ちょうどいいくらいの釣り合いだね。」
釈「ではハジパイ王の息子は、柔弱なピルマルレレコ教の弱さをむしろ武器として使って、トカゲ王国に食い込もうとしているわけです。」
まゆ子「うむ。そりゃあ極悪な手であるね。弥生ちゃんはその危険性に気づかない。てのがいいかもしれない。」
じゅえる「とはいえ、何も気づかないのはさすがに間抜け過ぎる。5555年にピルマルレレコ教は滅ぼすとしても、なんらかの対策を講じていて、しかしクリアされてるってのがよろしい。」
まゆ子「なかなか芸が細かいな。」

じゅえる「問題が一つ。ゲキ幼女はスガッタ教の管轄だ。彼女はこちらに来なくていいのかい。」
まゆ子「イルドラ姫の活躍で、そちら方面には行かれない。という事にするか。いや、そうじゃない。ゲキ幼女はエネルギーを確保する為に、ギジジットを襲わんとするのだよ。」
じゅえる「なるほど。それならアィイーガともゲジゲジ乙女団とも関係する。」
釈「自然に繋がりますね。でも巨大ゲジゲジ神のエネルギーを必要とするのは、なんの目的です。」
まゆ子「あー、宇宙的時限的エネルギーを確保するんだから、ピルマルレレコ教潰滅くらいが目的じゃないよね。」
じゅえる「そりゃあ、…弥生ちゃんを直撃、かな。」
釈「弥生ちゃんきゃぷてん=ピルマルレレコということで、討ち滅ぼす、と。」
じゅえる「あーそれはー、つまりこうだ。弥生ちゃんにゲジゲジエネルギーを注ぐと、ハイパー弥生ちゃんとなる。誰が見ても人間ではない存在にね。それを「ピルマルレレコ」と称して、人間の前で叩き殺す。故にピルマルレレコ教は潰滅する。」

まゆ子「いや。コウモリ神人によってゲキ幼女は動かされている。であれば、弥生ちゃんに大人しく帰ってもらう為に、地球へのゲートを開く、ってのはどう?」
じゅえる「時空を飛び越えるくらいだから、そんなものかなあ。」
釈「むしろ物神化でしょう。無体神であるピルマルレレコを実体化して、無制限の存在では無くする。」
じゅえる「では、間をとって、」
まゆ子「取るのかい!」
じゅえる「星の世界に弥生ちゃんを打ち上げて亡き者にしようとする。宇宙追放刑だ。」
まゆ子「う、ん。」
釈「妥当なところですね。方台から追放するのに、その方法しか無いです。やっぱり。」

まゆ子「となると、コウモリ神人との戦いの前に、ゲキ幼女と弥生ちゃんは一度対戦しておかねばならない。で、宇宙追放されそうになる。」
釈「どうしましょう。なにか凄い罠を使わねばならないでしょうね。」
じゅえる「弥生ちゃんホイホイを使う、というのはどうだろう。星の世界に行く舟、というのが突如毒地の真ん中で見付かる。これに乗れば星の世界に飛んでいけるということで、ピルマルレレコ信者がどんどん押し掛ける。で不思議に思った弥生ちゃんも出向いてみると、ゲキ幼女の攻撃!」
まゆ子「安直だな。」
釈「いえ、ここは本当に乗っちゃって、しかもほんとうに打ち上げられてしまうのがよいのではありませんか。」

じゅえる「弥生ちゃん死んじゃうよ。」
まゆ子「うん。」
釈「身代わりに、明美先輩をお願いするというのは、どうでしょう。」
じゅえる「う…。ぐっどあいであ!」
まゆ子「こういう時明美はべんりだなあ。」
釈「しかし、どうやって入れ替えましょう。」
じゅえる「何簡単な話だ。川口浩探検隊はカメラさんと照明さんの後に入るのだ。」
まゆ子「明美は実況さんだからねえ。」

じゅえる「まとめます。

・『げばると処女U』は巻ごとにクローズアップされる主人公がいます。それぞれの物語りで構成されます。

・弓レアルの婿探索。+アルエルシイ→タコヤキ王女のところで願いが叶う珠をもらう。
・ナルミン王女のジョグジョ薔薇への思いと弥生ちゃん暗殺計画、不思議神兵の誕生(+斧ロアラン)
・イルドラ姫 VS ゲキ幼女の弥生ちゃんぶち殺し打ち上げ計画。+明美。
・神撰組+ピルマルレレコ教 VS スガッタ教団 トカゲ巫女シンチュルメ、賢しい女アクノメナもここに入る。
・劫アランサ王女と、褐甲角3王国の軋轢。黒甲枝諸侯国の結成。
・弥生ちゃんの方台統一。それに食い入ろうとするジョグジョ薔薇の破滅。

まゆ子「レメコフさんをどうするか、ヒィキタイタンさんをどうするか。色々頭は使うんだがねえ。」

 

09/03/03

まゆ子「あー「げばると処女」EP6 「第十一章 普通の人々」は現在3巡目を終了しました。近日公開の予定です。」
じゅえる「今回はちと早いね。」
まゆ子「クールダウンの為に寝かす時間を省きました。この章独自の構成が、それ要らないと結論を出したのです。」

釈「具体的に、なにが違うのですか。」
まゆ子「くどい。」
じゅえる「くどいのはダメだろう。」
まゆ子「いや今回普通の人々ということで、督促派行徒ってのが主人公だ。こいつらは口先ばっかのテロリストで、ともかくくどいんだ。だから連中の会話を描くとくどくならざるを得ない。またそのくどさを強調して書いている。」
釈「つまり、くどいのは演出なんですね。」

まゆ子「とはいえ、くどい台詞に中身が伴うわけでもない。ま愚痴みたいなもんだ。愚痴に論理的合理的一貫性のある道理も無し。つまりは、すっと書き飛ばしてかまわないのさ。」
じゅえる「はあ。だから早いんだ。」

まゆ子「ちなみに読者様も彼らの台詞をするっと読み飛ばしても、ぜんぜん構いません。ま、読みやすいから読んじゃうでしょうけど。」
釈「で、2巡目終了ということは、もう出来上がりですね。」
まゆ子「そのくどいところをくどさを残しながらもギリギリ削ってます。」
じゅえる「ま、おもしろいかどうかが問題なんだけどさ。」

まゆ子「おもしろいというか、武徳王はいい人だな。」
釈「そういうお話ですか。」
まゆ子「いい人の懸命の努力が報われない、てのは哀しいもんだ。」
じゅえる「ふむ、内容は有るわけだ。」

 

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まゆ子「さて、えーとなにか相談があるって話だね。」
じゅえる「いや、金翅幹家と黒甲枝との関係性が、イマイチ分かりづらいのだよ。ちょっと集中的に説明して。」
釈「黒甲枝の成立過程が書いていませんから、元老員との区別が分からないのです。」
まゆ子「あーそういう。ま、どうでもイイ話だなそれも

 えー、元老員金翅幹家とは、最初期神兵が政治専門職として軍事の現場から退いたものです。まずはそこんところから始めるか。

 まずはつまり、褐甲角神救世主カンヴィタル・イムレイルです。もちろん最初の神兵であり、長く1人のみでした。
 彼には妻が3人居ます。1人は結婚する前に死んじゃった。2人目は大規模蜂起で破れてタコリティに逃げ込んだ時に、現地で出くわした旧小王の末裔です。これがソグヴィタル家の祖。
 で3人目が聖山から遣わされた巫女で神女です。霊能を持ち聖蟲を育成する能力を持ち、メグリアル家の祖となります。具体的には、こちら系列の末娘に婿を取ったのがそれ。

 では他の子供はどうなったか、これが問題です。

 もちろんカンヴィタル・イムレイルの直系男子がカンヴィタル武徳王家を相続します。カンヴィタル王家は独特で、一つじゃない。複数の系統の家系の合同なんだ。徳川御三卿みたいなものです。そして金翅幹家からしか嫁を取らないかつソグヴィタル・ハジパイ、メグリアル王家とは婚姻の縁組みをしない取決めになっています。
 理由は簡単。武徳王のみにしか聖蟲の聖戴認証剥奪権を渡さないという最大の条件があるから。どういう理由だかは知らないけれど規則性があり、婚姻秩序が必要とされる。

 ソグヴィタル王家は、つまりその小王の家系がそのままの尊厳を維持し歴史的正統性を主張して、王としての格を要求する自体になる。むろん十二神秩序とは別の論理であるから、聖蟲を与える権限は譲れない。さらに軍事に関してもこの家系に指導力を与えるのは不適当と判断されました。ゆえに、軍事指導力を武徳王に一任し、政治や外交にのみ特化した王家、というのが出来ます。これがソグヴィタル家。後にカンヴィタル・イムレイルの孫がその当主として迎えられて王号を授けられソグヴィタル王家が誕生する。
 それから数百年の後に、ソグヴィタル王家内部で内紛が起こり、政治的主張の対立により分裂したのが、ハジパイ王家。これは王国の秩序としてはむしろ好ましいことでした。つまりは王国が膨脹して政治の権限をソグヴィタル王家に一任させるのが困難になったのですね。そこで対立する二つの立場が論争によって政策を決定する元老院が形成され、両王家は党派の要役としてバランスを取りながら運営していきます。この時点ですでにカンヴィタル王家は神秘主義的な深化を遂げており、政治には直接関与しない事が確定しています。

 で、メグリアル王家は天河十二神信仰の要、褐甲角神の司祭として聖山神聖神殿都市より要求され、ウラタンギジトとの対抗を考えて新設された神殿都市エイタンカプトの主として派遣されます。メグリアル系列の末娘の婿が神祭王として赴任します。この人物は一説ではギィール神族とも神裔だったとも伝わり、神学の大家であったとされますが、よく分からない。褐甲角王国成立時の混乱で記録がさだかではないのだけれど、ともかく神聖秩序の論争において物凄い弁舌家であったことは文献上確かで、ギィール神族相手にそんな事ができるのは同じ神族出身者であろう、という推測ができます。
 霊能の巫女の娘と神学に通暁するその配偶者、となればこれはもちろん宗教関係を統括してしかるべき。ただし褐甲角神救世主は信仰上の頂点でもあるために、これは祭祀の為の神祭王と位置付けられます。というか、金雷蜒王国の宗教秩序がそのまま適用されて統治権を持たない王家、というのが確定します。

 さてこのような成立の経緯を持つからには、ソグヴィタル・ハジパイ、メグリアル王家に、カンヴィタル王家より養子を取るのは、なかなかややこしい問題を発生させる元となる。そこでこれら王家の配偶者には聖蟲を持たない有力者から迎える事が定められます。これは民間各勢力への協力関係を深めるという、王国運営上なかなか意義のある政策でした。
 カンヴィタル王家への配偶者は金翅幹家縛り、これは最初期は”破軍の卒”の家という意味です。聖蟲を許されたのは最初期はこの12人の家系しかない。が、その後どんどんと増えていきます。そこで”破軍の卒”を特別な家系と見做し、その他聖戴者の家系を黒甲枝と称し区分します。カンヴィタル王家への配偶者擁立は”破軍の卒”家のみと決まり、その他黒甲枝との婚姻がソグヴィタル、メグリアル王家に許されます。

 とまあそういうわけで、”破軍の卒”にはカンヴィタル王家から降嫁やら養子やらは降りて来ない。血縁を遠くする為にそういう仕掛けをおこなった。その他黒甲枝は逆に王子達の受け皿として作られた側面も有る。で初期黒甲枝は緩やかな血縁の近さが有る。その後黒甲枝との間で”破軍の卒”家の縁組みも認められ、最終的にはカンヴィタル王家への配偶者擁立は全黒甲枝へと拡大される。この時の黒甲枝は100家。
 しかしながら、この時期までの神兵はちっとも貴族階級ではありません。皆平等に貧乏でこじんまりとしてました。
 ここまでは「初期神兵」「親征期」時代と呼びます。

 この時期の終わりはまさに反攻の時期。領土の拡大に次ぐ拡大で神兵の需要は募るばかりで、ついには毒地当時は滑平原内の神聖首都ギジジットへの侵攻が可能となるまでに軍の陣容が整います。
 そこで、100家の黒甲枝に加えて200の新規神兵を整備する計画が立てられます。彼らは純軍事的な存在として考えられ、血縁関係による縛りを無視して志操堅固で肉体も頑強武術に優れ知性も確かな、即戦力として使える者が選ばれます。もちろん家系的に病弱だったりしないのも、ちゃんと条件に入っている。
 というわけで、血縁関係の深い初期黒甲枝と”破軍の卒”家は上位の存在となることを余儀なくされ、金翅幹家を名乗ります。軍事に関しても新しい黒甲枝に任せる方が効率的であると考えられ、特に志願して黒甲枝に残留した”破軍の卒”チュダルム家レメコフ家を除いては、金翅幹家は軍事に直接関わらず大臣や官僚、政治家としての働きを要求される事となります。聖蟲も原種の黒茶に金縁から、黒茶と金色の二種が新たに確立して、それぞれ聖蟲の色が分けられて授けられます。
 これが「初期黒甲枝の時代」です。

 この体制で300年くらいまで行きます。300年頃遂に現在の褐甲角王国領が完成。神聖金雷蜒王国は東西に分断されます。ここに到って金雷蜒王国は、神聖首都の防衛を諦めて滑平原の毒による封鎖を敢行。完全に褐甲角王国を外敵と認め、対決姿勢を明らかにします。それまでは金雷蜒王国側の主張では、単なる反乱軍でした。というか反乱軍呼ばわりは現在まで続く。
 で、この時期金雷蜒軍はついに軍事力による屈伏を諦めます。組織立った軍を用いての褐甲角王国潰滅作戦は終了し純軍事的な行動は無くなります。代わって出て来たのが、ゲイル騎兵を主体とし神族それぞれがボランティアで独立して行う寇掠軍。軍事的な作戦ではなく、半ば嫌がらせ的な攻撃で出血を強いていく戦法となります。
 この嫌がらせが非常に効いた。神兵が到着するまでに民衆がゲイル騎兵に思う存分蹂躙される。明らかに神兵の戦力不足です。ゆえに黒甲枝増産が決定される。これが中期の中堅黒甲枝神兵です。カロアル家はこれね。300の神兵が増加する事となり、計500名が軍務を引き受けます。ということで、金翅幹家は完全に軍務から手を退き政治家官僚になる。

 一方軍務のみに神兵を用いれば強権を以って人民を抑圧する貴族化の可能性が出て来るので、黒甲枝を監視する機構が必要とされます。それが衛視です。初期200家の黒甲枝が衛視となり法の執行者として、中期神兵を監督します。ただ、それでは黒甲枝が二分される危険が有る。そこで、それぞれの神兵の家は金翅幹家に直結して監督と庇護を受ける事になる。
 衛視の役を負う初期黒甲枝は、自然と聖蟲を持たない家族を官僚へと教育していく事になります。武ではなく官僚として、文で王国を支えようという気運が盛り上がる。

 これに乗ったのが、後のハジパイ王家。黒甲枝を官僚化することで、王国に未だ残る前近代性(前中世性と呼んだ方が歴史的には正しい)を払拭し、合理的な官吏登用制度が打ち立てられます。行政をも統括して来た金翅幹家はここでも一歩退いて、完全な政治家へと転進すると方向が定まります。というか、この時の論争と内紛がソグヴィタル・ハジパイ王家分裂の真相。旧来の金翅幹家が行政・官僚機構の支配を続けようとするのに対し、初期黒甲枝から能力による人材登用を図り、国家の成熟を進めて金雷蜒王国に対応しようとハジパイ王家は画策するのです。
 歴史の流れはハジパイ王家。だが親征期の記憶を引きずり武徳王直接の指揮による金雷蜒王国打倒をこそ、王国の悲願誓約と考える多くの金翅幹家は、ソグヴィタル王家にもやはり理解を示し、どちらも無いと困ると武徳王に奏上。ソグヴィタル王家は分割されてハジパイ王家の成立となる。
 で、元老員金翅幹家の監督の下で、褐甲角王国の官僚機構は急速に黒甲枝子弟によって占められ、従来協力してきた各種勢力を駆逐吸収して、褐甲角王国は完成します。

 そして600〜700年頃。この時期は褐甲角金雷蜒両王国の勢力が均衡に達し、平衡状態のまま和平の気運が高まります。すでに褐甲角王国は完成し、彼らの説く民衆解放の理念が全方台で共有され、金雷蜒王国内部においても奴隷に対する再評価が進み、それほど人権上酷いという事が無くなる。
 戦う理由が薄れていく中で、思想的に徐々に褐甲角王国は追い詰められていく。このままの状況では、次の千年期、トカゲ神救世主の降臨までに方台全土解放、金雷蜒王国打倒が完遂できないのではないか。
 勝たねばならない。勝つ為にはやはり神兵増員しかない。金翅幹100家、黒甲枝500家に加えて、さらに1000の神兵を400年掛りで増員しようという事になる。トカゲ神救世主が降臨する1000年の手前で最大戦力を確保して金雷蜒王国を打倒。来るべきトカゲ神時代においても褐甲角王国は引き続き方台全土を掌中に収めたままで支配し続ける。こういう構想。
 というわけで、後期黒甲枝が誕生する。
 ついで、兵力増強の為に邑兵制度が設立される。クワアット兵の下で雑務や警察任務を請け負う、民間主体の地方防衛組織。その上に精兵であるクワアット兵が防衛実務を受け持ち中期黒甲枝が指揮する。後期黒甲枝神兵は攻撃軍となり、金雷蜒王国を打倒する。
 後期神兵は中期神兵の従僕として長年軍務に従った者が多く、当然中期神兵に繋がりを持ちます。また赤甲梢のように武功を認められ昇格する例も増えます。

 とはいえちょっと黒甲枝が増え過ぎた。経済的に困窮する家も出て来る為に、後期神兵は地方に根付いて駐屯を続ける姿が主流になる。神兵としての教育を拠点都市にて集中的に行う軍学校も出来ます。増え過ぎた黒甲枝をどうするか、は現在までもあまり解決していない問題。官僚のみならず民間経済部門にまでも黒甲枝出身者が染み渡り、王国全体が統制され硬直化しているのが現状です。

釈「その後期黒甲枝の構想をさらに推し進めたのが、赤甲梢なんですね。」
まゆ子「まあ、そういうこと。というか、その構想が400年も経つと元々なんだったのか分からなくなり、改めて金雷蜒王国打倒の大義を蘇らせたのが、先戦主義であり赤甲梢なのだな。」
じゅえる「黒甲枝を家系で存続させない一代限りのものにする、って手は考えなかったのかい。」
釈「赤甲梢ではいけなかった理由は、なんですか。」
まゆ子「聖蟲の神聖だよ。家系で存続するしないは関係無く、聖蟲を戴く者は人に崇められる。黒甲枝が戴く蟲はどちらも同じ種だから、同じ待遇でないとね。」
釈「なるほど。それは当然です。」
じゅえる「赤甲梢が成り立つのは、赤い翅の蟲が生まれたからなんだね。」

じゅえる「で、金翅幹家と黒甲枝家の具体的な組織関係は、有るの。」
まゆ子「あー、そりゃちょっと後に説明する。

 金翅幹家は105なり108なりと家があります。108の時は”破軍の卒”チュダルム家レメコフ家ゥドバラモンゲェド家を含みます。
 ”破軍の卒”は上3家を除く7家が、通常の金翅幹家。カプラル家、メドメディエフ家、シュンパ家、ヅズ家、ソトバン=ワグド家、ロー家、とある。

 カプラル家が”破軍の卒”の長とされるけれど、これは創業当時カンヴィタル・イムレイルよりも年長だった為。格にふさわしい役割として、カプタニア城の城代家老だよ。
 黒甲枝の中央軍制局は形式上は彼の下の組織だ。中央軍制局は武徳王に直結するんだけど、施設管理はカプラル家が責任を持つ事となる。施設が使えなくてはなんの仕事も出来ないから大変だ。これは昔の軍制の名残で、本来的には金翅幹家が武器を取ってカプタニア城を護るという原則がある。盲腸みたいなもんだけどね。役目柄カプタニアに常駐しなければいけないんだけど、現在は当主のカプラル春ガモラウグが大本営に従ってる。

 メドメディエフ家は、カプタニアの目の前の湖アユ・サユル湖の中心にあるマナカシップ島に匿われるギィール神族を管轄する。亡命神族の身柄に関する最高統括者ね。かっては秘密諜報機関も支配していたんだけど、一時期変質して秘密治安機関化したので廃止された。現在は中央軍制局の諜報機関と赤甲梢諜報部の二つが独立してある。

 シュンパ家は礼典やら昇殿席次とかの身分秩序と黒甲枝の昇進やら処罰を管轄する。かなり形式的な仕事なんだけど、大審判戦争でむちゃくちゃ忙しくなってる。赤甲梢神兵昇格は、この人を焔アウンサ王女が抱き込んだから、うまく成り立って来た。
 かっては監査も取り扱って来たから、今も監査部はここに報告に来る。「位責め」という、監査すべき人間を一時的に昇進させ無任所にしてあらゆる権力を取り上げて、その隙に監査するという手法が使われるのだけど、その辞令を出す権利を持っている。

 ヅズ家は元は金庫番だったんだけど、今はそれは官僚に任せて銅貨発行を監督する。金属資源管理という軍事国家にとっては死活的問題も統括する。ついでに造兵廠も管轄で学匠の管理もやっている。つまりは金物奉行様。褐甲角王国は武を以って成る国だから、特に鉄鋼生産と武器の製造は至上命題であり、多大な努力を費やして生産能力を獲得して来た。既に歴史的役目は終えたようなものだけど、ヅズ家の貢献は多大なものがある。

 ソトバン=ワグド家は金翅幹黒甲枝の婚姻に関する法令を取り扱う。褐甲角神は結婚の神でもあるから、これは極めて重要な任務である。なんとなれば、彼の家の采配によって黒甲枝家が増えたり減ったりする。婚姻と養子縁組みによって神兵兵力は調整されているとさえ言える。カンヴィタル王家への嫁選びもこの家の重要な任務。
 というわけでこの家の文書館には黒甲枝の家族すべての詳細な情報が納められている。人事の最高権威で、武徳王に「アレ誰?」と聞かれたら答える仕事を持っている。

 ロー家は本来は元老院の事務統括なんだけど、今は専用の官僚がある。というわけで現在は、金翅幹家取締まりを行っているお目付役だ。役目柄立法の過程に形式上の許可権を持つ。法令関係の文書館の責任者でもあり、法学の要になっている。

 ゥドバラモン家は褐甲角神信仰の神学・哲学的バックボーンを整備し普及する役目を負う。金翅幹家だけど聖蟲を持たないから、軍事関係には影響力を持たない。持たないけれどカプタニア神衛士には関係する。神衛士選抜の試験官だよ。

 で、チュダルム家・レメコフ家は黒甲枝として軍事の最前線に留まり続ける。兵師統監をかわりばんこにやってる。

 とまあこういう感じで”破軍の卒”は政治的には表舞台に立たないように、注意深く位置付けられている。チュダルム家レメコフ家は軍事を統括するとはいえ、作戦を立案遂行するのみで何時何処で戦争するとかの高次の決定には敢えて関与しない。というか、政治的運動の結果無謀な作戦を与えられると抗弁する権利を彼らだけが持つ。
 ソグヴィタル・ハジパイ、メグリアル王家も広義には金翅幹家だが、もちろん軍事関係には直結しない。当然の事ながら、金雷蜒神聖王の血を受継ぐとされるジョグジョ家も関係無い。

じゅえる「これが、軍事に関係しない金翅幹家だ。でこれを除く家が黒甲枝を通じて軍事に関与する。派閥とか指令系統とかがあるんだ。」
釈「しかし、それは良くないでしょう。武徳王が軍権を独占するのですから。」
まゆ子「まあ、基本的には単に後ろ楯というだけだね。聖戴やら家督の相続、黒甲枝同士の婚姻、あるいは御用商人との繋がりとか、そういう系列がある。」
じゅえる「御用商人てのは、国策で国が産業を管理するわけで、別に悪ではないんだったっけ。この世界では。」
釈「まあ中世でしたら封建領主が事業主体ですけどね。」

まゆ子「あー、その他諸々約100家が軍事・黒甲枝に関係する。
 金翅幹家の党派は早い話が血統だ。100家に増殖する過程で分家やら養子やら、あるいはカンヴィタル王家からの養子を受入れたりしてどんどん増えていった名残が系統になる。
 単純に分けると、ソグヴィタル血統、メグリアル血統、”破軍の卒”血統、その他外部勢力血統、少数ながら金雷蜒関係血統がある。これにゥドバラ神学系統、黒甲枝昇格系統となる。

 ”破軍の卒”血統てのは、最初期の神兵に従卒として従っていた兵がそのまま昇格したもので、歴史的に出自としては低いのだが、そもそもが”破軍の卒”あるいはカンヴィタル・イムレイル自身大した身分の出身じゃないから、全然気にならない。
 これに対してソグヴィタル血統、メグリアル血統は武徳王の血を引く王子やら王女やらが関係するので、格式としては十分なものがある。
 とはいえその他外部勢力系統の血統の方が歴史も伝統も富さえも有る場合が多く、王族と”破軍”の血統もどちらも大したことないと考える。
 金雷蜒血統というのは、カンヴィタル・イムレイルに協力したギィール神族や神裔戦士やらの家系で、これはさらに特殊な血統になる。
 ゥドバラ神学系統は、これは弟子の家。当初は別系列だったのが、神学の研究を重ねる内にスペシャリスト化していった。
 黒甲枝昇格系統は字の通りに、最初期の神兵とは関係無く、その後の歴史で手柄を立てて昇格した家のことね。

釈「ややこしいですねえ。もっとシンプルにならないんですか。」
じゅえる「まあ古代中世の社会だから、そういう血統こそが命なんでしょう。」
まゆ子「褐甲角王国以前の社会の血統文化を受継ぐと思って下さい。褐甲角王国だってそれ以前の社会制度やら身分を引きずっているのです。
 そいうわけで金翅幹家にも格の差、序列が有る。そのまた下にも黒甲枝の序列が有る。役目で考えると分かりやすい。

 ソグヴィタル系列は政治と財政に重点を置く。
 メグリアル系列は十二神神聖秩序に重点を置く。
 ”破軍”系列は軍事力に重点を置く。
 金雷蜒系列は技術と学問、外交に重点を置く。
 ゥドバラ系列は褐甲角神信仰哲学を信奉する。
 その他外部勢力系列は伝統秩序と民間経済に重点を置く。
 黒甲枝昇格系列は黒甲枝自体に重点を置く。

 メグリアル系列とゥドバラ系列は同じに見えるけれど、まったく違う。外部に信仰の対象を持つか持たないか、もの凄い違いだ。
 メグリアル系列は十二神神殿組織とその奉仕する役目をまるっと抱えている。人民へのサービスは全部管轄だってくらいに広範囲をカバーする。
 対してゥドバラ系列は褐甲角神信仰を強化して金雷蜒王国とイデオロギー対決をする為に存在する。」

 だがどの派閥も頂点となる金翅幹家はすべて、カンヴィタル武徳王派と呼ぶべきなのだ。当然だな。下とは一線を画しているよ。下の家もそれは理解して、自分達の意見と上とが食い違うのは当然と考える。

 

じゅえる「黒甲枝に話を戻すとして、初期200家の下に中期300家があり、後期1000家がある。当然下の家は上の家の派閥に属する。」
まゆ子「派閥ではなく、それは聖戴権獲得のの系譜を示して居るに過ぎない。誰々様のおかげで聖蟲を頂きましたってだけで、管理監督されたりは無い。
 というか、この3期に区別される黒甲枝は横で管理されていると考えるべきで、成立年代によって役割が違い出世の速度も違う。
 才能に秀でた子が入れば、上の家に養子に入ったりして機能と家の格を標準化しているから、別に不公平とも思わない。まあ飛び抜けて優れて者は上の家が認めて引き抜いて来るけどさ。家の格が上がったりはしないんだ。」

釈「成立年代によって待遇が変わったりするんですか?」
まゆ子「物質的には変わらないのだが、なにせ旧い家は親戚が多く利権も深く絡んで来る。また民間の富豪富商富農は上の方の家と結びつきたがるし、それらも歴史的経緯から結びつけられる家が決定する。
 たとえて言うならば、弓レアルのヒッポドス家だ。あそこは十分お金持ちだがせいぜい100年しか褐甲角王国内での活動歴が無い。故に初期黒甲枝とは縁組み出来ない。だから中堅のカロアル家と結びついたわけだ。」

釈「はあ、そんな経緯があったんですか。」
じゅえる「ちょっと待て。弓レアルは金翅幹家の嫁になってもおかしくない、とかなかったか。」
まゆ子「それとこれとは別だ。金翅幹家には自由恋愛の権利が有る。」
じゅえる「あ。貴族の特権だな。」
釈「自由恋愛は貴族階級の発明、でしたね。確か。」
まゆ子「つまりカロアル家とヒッポドスの縁組みは、互いの利益が一致したもので、個人はあんまり関係無い。これが普通。カロアル家は当主と後継者を共に失い、妹の斧ロアランに自動的に配偶者が決定されそうになる、てのがこれからのお話ね。」

じゅえる「で、上の家が下の家を管理監督したりはしないんだ。」
まゆ子「まあ、必要なのは神兵であって家系そのものは大して意味を持たないからね。後期1000家は特にその傾向が強く、神兵であるというだけでしかアドバンテージは無い。ま引退後を考えると、軍官僚としての資格やら衛視の資格を取るべきではあるが、戦闘部隊にがっちりしがみ付くヒトも少なくない。クワアット兵ってのはそういう人に指揮訓練されるから、強いんだよ。」

釈「衛視やら官僚やらには、中堅以上の家にしかなれない、ってことですか。」
じゅえる「そりゃ経済的な問題が大きいんじゃないかな。金が無ければ勉強出来ない。」
まゆ子「その側面は大きいね。まあカロアル家だって金が無くて南海グテ地に飛ばされたことあるんだから、それほど差があるてものでもない。昇進に昇殿席次は関係無く、個人の才能と器量による。だが差はむしろ、黒甲枝以外の外部にあるんだよ。つまり、旧ければ旧いほど良いとする一般社会の価値判断が序列を要求するんだな。」

じゅえる「それほどの格差が生まれるんだ。」
釈「や、それは確かに300年と500年1000年は違うと思いますよ。うーん、なんというか、初期黒甲枝は神話の時代の存在で、中期黒甲枝は物語の時代の存在で、後期神兵は歴史の時代の存在なんです。」
まゆ子「うんそんな感じ。特に”破軍の卒”なんか神話がそのまま生きてるみたいなもんだ。」

じゅえる「それはつまり、一般民間社会では、それらの格差を利用した何事かの利益が発生するんだ。」
まゆ子「まず理解してもらいたいんだが、地球と十二神方台系とでは常識が違う。この世界では血統は実はそれほど重視されない。遺伝子により優劣が継承されるってのは、あまり考えない。なぜならば、聖蟲があるからだよ。聖蟲を戴く人こそが、この世で最も優れている。いかに旧い血を誇ったとしても、聖蟲が無ければ俗な存在なんだ。」
じゅえる「ふむ。なるほど。では聖蟲の序列に近付くことで、民間社会でも序列が発生するんだ。」

釈「というか、後期1000家と結びついても得は発生しない、んですね。」
まゆ子「まあもちろん、神兵は尊いものだよ。でも個人的に優れていて血統的に優れているとは看做さない。中期黒甲枝だとその信頼は高い。というか、後期1000家は実は結構潰れて新陳代謝があるんだ。平均継続年数は100年無い。それに対して、中期黒甲枝は歴代黒甲枝同士が婚姻を積み重ねて来た経緯がある。初期黒甲枝は金翅幹家との血縁関係も深い。」
釈「具体的に、カロアル家は下に黒甲枝を抱えて居るんですか。」
まゆ子「YES。分家というか系列というかが下に2家ある。カロアル本家がつまりカロアル家で、分家は断絶する度に本家から誰かを迎え入れる。本家が断絶した場合は横つまり中期黒甲枝から養子を迎え入れる。分家から上に上がる事は無い。娘は基本横に嫁ぐからね、親戚ではあるんだ。あるいは初期黒甲枝から養子を取る。斧ロアランはこれにされそうになる。」
釈「でもそれが普通なんですよね。」
じゅえる「別に男がいるわけじゃなし、いいんじゃないの。」
まゆ子「まあ、本人結婚する事自体は別にいやではない。もっとやれる事があるかも、って思いついただけだもん。」

じゅえる「まとめると、金翅幹元老員は8系列に分類され、黒甲枝は初期・中期・後期の3区分が有る。黒甲枝は初期200家にすべての家が繋がって系列が有る。」
まゆ子「初期黒甲枝200家はすべて”破軍”系だ。直接軍の指揮を受けて居たんだから、当然。
 それもあるから、以降昇格した黒甲枝は努めて”破軍”系以外の金翅幹家が受け持つよう定められた。だから儀礼的なもんだ。
 ただしカロアル家は金翅幹家の従僕から昇格したという記述があるから、おそらくは黒甲枝系に属すると思われる。つまり初期200家の中から金翅幹家に昇格したのに連なるんだね。金翅幹家も初期黒甲枝200家も、1000年も経てばくっついたり離れたり潰れたりする。定数を維持する為の昇格があるんだな。」

釈「黒甲枝系、てなにをするんですか。」
まゆ子「いや単純に黒甲枝の待遇について上申するってのが職務だな。黒甲枝の管理だけでなく黒甲枝全体の意志を武徳王に伝えたりする。」
じゅえる「労働組合みたいなものか。」
まゆ子「まあ、そうね。特に軍務に専念し衛視や官僚・御用商人とかと関係の無いあんまり裕福でない黒甲枝の立場を代弁するね。」
じゅえる「それ以外の金翅幹家は、黒甲枝の要求を実現しようとか思わないの?」
まゆ子「それは本義ではないからね。」
釈「武徳王の上からの命令を着実に盲目的にこなす、ってのが求められる姿ですか。」
じゅえる「むしろ、手を出さない節度の方が大切なんじゃないかな。」

 

まゆ子「うむ、実はもちっと重要な役目が金翅幹家にはある。つまり金だ。
 褐甲角王国はもちろん国家予算というのがあるんだけど、基本的に税金取らない立前になっている。ではどうやって金を取るかと言えば、収穫量全部取り上げちゃう。で食糧備蓄を作って、食糧市場を形成し金雷蜒王国に売って金属やら器械、各種産品を代金に受け取って、それらを買う為の銭を各農村に対価として渡す。」
じゅえる「つまり貿易利権を独占ですか。」
まゆ子「食糧と木材だ。木材を使って船なんかも売るな。農村は自給自足できるんだけど、防衛力なんてのは富の集中が無いと賄えない。でこんな形になっている。逆に言うと、農民に農産物の流通まで任せるととんでもないバカをやらかして餓死者続出だ。自由市場なんてものは害毒でしかないと、この世界の偉い人は思ってる。」

釈「それはまた、どんな理屈があるんですか。」
まゆ子「紅曙蛸王国後期の小王の時代の教訓で、この時代はものの流通がむちゃくちゃになったんだ。ありとあらゆるところに関所が置かれ物資の流通は各小王によって恣意的に歪められ、無茶苦茶な値段で売られるようになる。つまり自由市場とは、売り主がてきとーに値段を定めて良い制度と理解するんだな。関所が多数間に入るから、ほんとうの値段は誰にも分からないし競争原理も働かない。現代では私設の関所なんか無いんだけど、市場はそれぞれの縄張りを持つ親分さんが居る。競争原理が働かないのは変わらない。」

じゅえる「それじゃ経済動かないじゃない。」
釈「褐甲角王国は市場の利用料の規制をしないんですか。」
まゆ子「この世界には、実は一物一価の原則が有る。金雷蜒神聖王が定めて方台全土でおなじものをおなじ値段で売る、という原則が出来た。とはいえそれはやはり難しいが、理想としては残っている。褐甲角王国においては、食料品とくにトナクやらジョクリといった主食は、かなりこれに沿った価格設定がなされている。その為の方法が、つまり農産物流通の一元的支配だ。また食糧備蓄を公的に確保する目的も有る。これをなんでもかんでも産品でやれば統制経済なんだけど、品目を主食に絞ってやっている。食糧配給制度に近い。」

じゅえる「それ以外の商品は市場で流通する、んだ。」
釈「そもそも生産の段階はどうなっているんでしょう。」
まゆ子「そこだ。計画生産市場販売、ってな形になる。これが御用商人の役割。あらかじめ需要量の予測を王国がして、それに基づいて商会が商品生産を指導する。必要な資金も王国から融資される。」
じゅえる「それで成り立つのかい。」
まゆ子「時々失敗すると、経済に大混乱が起きる。が、まあかなり上手くやっているよ。金翅幹家元老員は賢いもん。で、これに特化した元老員がその他外部勢力派だ。業界団体の意見を吸い上げて需要予測をする専門家。というか、軍事国家であるから人的資源やら資材資金の計画的運用は直接軍事力に直結する。余裕が無いから、こいう手法を用いている。」
釈「つまり褐甲角王国はどこまで行っても戦争と軍事力に縛られるんですね。まあ、仕方ないか。」

じゅえる「でも時々計画に無い産物とかが出て来るんだね。出汁用大ゲルタとかイカとか。」
まゆ子「それは独立系商人だからね。なんでもかんでも抑えられないから、軍需物資に焦点を絞って需要予測をする。それから外れた商品は、かなり自由だよ。」

 

09/01/26

まゆ子「げばおとEP6「第11章 王女殺害事件」、初稿できたよお。ついでにサルボモーター「第六歩 月面のサルボモーター」ももうすぐリリースだよ。(50枚)」

じゅえる「ふむふむ。出来は?」
まゆ子「ばっちり。」
釈「そこまで自信たっぷりだと、逆に怪しいですね。」
じゅえる「どういう風にばっちりなんだ。」

まゆ子「王女殺害事件、まだサブタイトルは決まってないんだけどさ、でもこれでいいような気がする。今回は極めて直截的にタイトル付けるよ。
 で、ちゃんと死ぬ。極めてヒロイックに死ぬ。これ以上はあたしにゃあ書けないってくらい見事に死ぬよ。」

じゅえる「ほお、それほどに綿密に描写したんだ。」
まゆ子「いや、ぜんぜん。具体的にどうこうはすっぱりと省略しました。」
釈「描けてないじゃないですか。」
まゆ子「だが書けている。これが小説というメデイアの特性でね、省略が非常によく効くのだ。また上手く手を抜くと、微に入り細にわたってつらつらと書くよりもよほど雄弁に描けるのさ。」

じゅえる「つまり、めちゃくちゃ自信があるんだ。」
まゆ子「アウンサというスターをぶっ殺したんだ。自信の二つ三つ無いでどうするね。」
釈「なるほど。ではここは素直に本編を観賞させていただきましょう。」

じゅえる「サルボモーターは?」
まゆ子「これも出来はいいよ。キング大活躍で技術的に彼が卓越している事を十二分に描いている。だがやり過ぎた。」
釈「やり過ぎ、ですか。」

まゆ子「試験段階の月面用サルボモーター、シチュエーション的にはどうしてもパトレイバーになってしまう。むしろ、パトレイバーのファンならばおおこんなところにそっくりさんが、ってくらいになってしまった。」
じゅえる「あー、あーそれは仕方ない。巨大人型ロボット出した時点で、そこを通過しなきゃならないのは規定の路線だ。」
釈「こればっかりはー、リアルに開発段階を描写すると、仕方ないですねえ。許容せざるを得ませんか。」
まゆ子「むしろ、そういうのが好きな人にはぐっと来るのだが、まあしゃあないな。」

じゅえる「問題はそれ以降の展開だ。「第七歩」では違った展開になるんでしょ。」
まゆ子「次はサルボロイドの開発だ。」
釈「うう、そりゃまずいですね。また同じシチュエーションが重なり、」

まゆ子「こんな事もあろうかと、「第七歩 追憶のサルボモーター」としている。新型機を開発する描写よりも、最初に動いたサルボモーターの光景を描くと、ちゃあんと仕組んである。」
じゅえる「ぬかり無し!」

まゆ子「だが、「第六歩」で恐ろしい技術が開発されてしまった。」
じゅえる「ふむふむ。」

まゆ子「サルボモーターは直立静止状態でも、ふらあ〜りふらりと揺れている機械だ。そんなものに作業は出来ない。手先を上等なものに換えたとしても、土台がそれじゃあ使えない。」
釈「サルボモーターが万無能である根拠ですね。」

まゆ子「この揺れを止めなければ、サルボロイドは完成しない。そして、完成しなかった。そこで制振装置を附加する。」
釈「極めて妥当な設計だと思いますが、それが。」

まゆ子「上体にそれは着かない。機体下部に着けるのが重心上妥当であるよ。だがそれは、振子なのだ。アクチュエーター付きの振子。ビルの制震装置と同じく、カウンターマスを前後左右に動かすわけね。」
じゅえる「まっとうな機械だと思うけど。」

まゆ子「たんたんたぬきのきんたまに、酷似。」

釈「う!」
じゅえる「うう! サルボロイドってそんなものが付いてるの!」
まゆ子「後期型の月面サルボモーターにも装着可能となります。これにより機体の振動が打ち消され、作業が或る程度可能となります。凄い進歩です。」

釈「わかりました。誰がどう考えても、この話は絶対にパトレイバーにはなりません。」
じゅえる「うん、絶対有り得ないな。うん。」

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