06/07/09
まゆ子「えー505枚です。最終章だけなら56枚。」
じゅえる「えー、げばると処女EP3『救世主弥生ちゃん、錯綜する正義に歪む』 「最終章 青晶蜥神救世主は明日を越えて、明後日に向かう」が出来たわけです。」
弥生「505枚かあ、つまりは1章38枚勘定だね。トータルで見ると適正規模か。」
まゆ子「どうもねえ、弥生ちゃんが出ると枚数が伸びる傾向にあるね。今回だって、本編だけで50枚だ。しかも、書こうと思った事を三つほど削ってこの有り様。」
じゅえる「ゴバラバウト頭数姉とのバトルは、計算には無かったでしょ。どうして。」
まゆ子「いや、なんとなく。穴について弥生ちゃんが探索する、てのは元々計算からすっぽり抜け落ちてましたから、それに気付いた途端に彼女が来た。」
弥生「そんなものかねえ。どうみても計算通りのタイミングで出てるような気がするよ。」
まゆ子「げばると処女は、泥縄の行き当りばったりです! この基本姿勢には最初から現在まで一切変更はありません!!」
じゅえる「威張って言うようなものでもないけどね。」
弥生「さて、でEP4ですが。」
まゆ子「計算では6月になる前にEP3は終るはずでしたー、が結局4ヶ月掛かりましたね。4月頭と5月頭はまったくやってませんでしたから、計算通りと呼んでも過言ではない。」
じゅえる「じゃあ、かなり無茶なスケジュールをぶち上げていたら、アクシデントも含めて大体均等ペースで進むってことか。」
まゆ子「8月頭のモモ展にも、今度こそなにか出そうとか考えてるしね。というか、CARRARA5が来た。かなりいい感じ。」
弥生「ふむ。じゃあ、10月1日にEP4の締め切り、というとこで。」
じゅえる「7、8、9か。まあ11月まで掛かるだろうね。均等ペースなら。」
まゆ子「そのくらいでいいよ。うん。」
06/07/08
まゆ子「えー、あらかた出来た。」
じゅえる「あらかたとは、EP3の最終章の事かい。」
まゆ子「あらかた出来た。ひょっとすると構成を前後入れ変えるかもしれないけれど、まあほぼ間違い無い。」
弥生「可能なら6月中に完成してもらいたかったんだけど、まあいいか。」
まゆ子「同時に二つの事はできないねえ。こころが決まらないんだよ。なめくじみたいにのったら書いていました。」
じゅえる「普通に集中している時は、一晩でできるからねえ。ほんとに集中できなかったんだね。」
まゆ子「そのーなんですな、やはりあまり入れ込み過ぎるのは良くないね。半分頭馬鹿の方が、ずっと簡単に書ける。とは言うものの、出来上がりはどちらも変わらない。ただ進行速度が速いか遅いかの違いで、質的な差はほとんど見られない。構想を考える部分はまた精神構造が別ってことだね。」
弥生「で、あらかたで、最後まで出来てないの?」
まゆ子「最終章自体は出来てるんだよ。手直しの段階で、描写というか情景の描写を増やすとかディテールを上げるとかして、出来上がり。その過程でバランスの調整をするかな、てとこ。
問題はエピローグ。マキアリィのとこ、何にも設定が無いんだよ。」
じゅえる「計画では、最終章は弥生ちゃんがデュータム点を出て、エピローグでマキアリィが人喰い信者に襲われる、てのだね。」
弥生「人喰い教団とかその周りが、無いのだね。そりゃ書けない。」
まゆ子「というわけで、つつがなく完成する為に泥縄をしておくれ。」
じゅえる「あー、つまりはタコリティ周辺とイローエント周辺の状況と、そこに人喰い教団がどのように暗躍して、マキアリィがどのルートで食い込んだか、を考えればいいんだ。」
まゆ子「ルートは難民から。カニ巫女クワンパが難民出身だから、その筋から。」
弥生「ふむ。では難民が褐甲角王国に対してどういう態度を取っているか、からだね。」
じゅえる「たしか、反発してるのよね。どこの街でも村でも受入れてくれないから。」
まゆ子「かならずしも敵意だけ、ではない。いい人もちゃんと居る。うーん、そうねえ。難民には政治的裏付けが無い、てのが一番つらいところかな。黒甲枝の、人々を守るという大義においては、難民も国民も差は無い。だが、守られる方にも道徳というか大義が必要なんだ。褐甲角王国国民は、黒甲枝の指導の下で自ら生きて統べていくという大義がある。難民はその大義にとっては、敵でもあり余計な重荷である。受入れる為の糸口が無いんだね。それに対して黒甲枝は、同じ金雷蜒王国の奴隷の出身だから仲良くしろ、と言うのだが、それでは説得力が無い。」
弥生「つまりは、難民はなにをもって誇りとするか、という所に難民の反抗運動の核心があるんだ。で、ここに幻の救世主を出す?」
まゆ子「あまり好ましくは無いな。もっと泥臭いもの。盗賊というかタコリティの無法というか、に根拠を求めるべきではないかな。そして、それが弥生ちゃんの方に向かう。」
じゅえる「タコ女王と青晶蜥神救世主か。・・・甘いな。」
まゆ子「確かにあまい。もっと現実的な切実な動機というか、方針がね、欲しいんだよ。」
弥生「難民は、奴隷に戻ろうとは考えないのかい。スルグリが西金雷蜒王国の分国を作るとかで、たぶらかすてのはどうだろう。」
まゆ子「いやー、奴隷というよりもね、難民のほとんどは非神族支配からの脱出者なんだよ。唯の人の方が神族よりもはるかに残酷であると知り過ぎている。だから、その提案は乗れない。スルグリの支配を受けるくらいなら、タコ女王の下に行く。」
弥生「聖なる支配者への欲求か。私ではダメなんだ。」
まゆ子「ダメではないが、ちと遠くて行けないんだよ。デュータム点は遠過ぎる。」
じゅえる「それだ!
スルグリは、西金雷蜒王国の船で西回りでデュータム点近くへの難民の移送を考えている。無論、嘘だ。スプリタ街道の北上が無理ならば、船で移動してミアカプティ港へ行って、エイタンボオ街道を東に行くのが近道だ。これを吹き込まれた難民達は弥生ちゃんの下に行こうと画策して、イローエントで騒動を引き起こす。」
弥生「デマだね。なるほど、それは検討の余地が在る。では、青晶蜥王国への帰順を呼び掛けるスルグリの工作員が居るんだ。」
じゅえる「となれば、イローエントの海軍は海戦どころの騒ぎではない。難民をどうやって制止するかで大童のところに、更に北から移送されてくる。タコリティがこれまで引き取っていた労働力もこのところの破壊でめっきり雇用が無くなって、南部は凄まじい失業の嵐なんだ。」
弥生「そこで、食糧を供給するのが、タコリティでフィギマス・ィレオとは敵対する関係にある重役連中なのだね。難民をスルグリと共に操って、状況を混乱に落とし入れようとする。」
まゆ子「ふむ。大状況は分かって来た。して、そこにどうやって人喰い教団が食い込むか、だ。」
じゅえる「人喰い教団は、この大戦争でなにを求めるんだろう。地上の富貴は必要無いんでしょ。」
まゆ子「秘儀、が目的で、不老不死の神人になろうってんだから。そうね、ゴバラバウト頭数姉と、教団幹部との意見は違う。難民になんかしようというのは、教団幹部の考えだ。旧体制の老師達に彼女は歯向かうのだよ。」
弥生「つまり、クーデターなんだ。で、難民はそこに何の役に立つのかな。」
まゆ子「えーとー、ゴバラバウト頭数姉の考え方では、人喰い教団はもっと大きな力を発揮してもよい、というのだね。ただ人を喰えばいいというものじゃない。秘儀中の秘儀、「穴」への干渉を行い、何事かを引き起こして状況を変化させようというもの。「穴」みたいなものは方台には何個かあるんだよ。で、人喰い教団は大体それを知っている。これまではその秘密の力で教団を纏めて来たんだけれど、千年に一度の弥生ちゃんという存在を利用してその秘密をこじ開けようという。無論反対する者は無数に居る。」
じゅえる「難民、関係無いじゃん。」
弥生「スルグリが、秘密に関するなにかに接近しようとしている、とか。難民は直接には関係無いてのかな。」
まゆ子「難民に、飯の種があるのかなあ、やっぱり。人喰い教団を支える何か、があって、スルグリがそれに手を突っ込んでしまった、とか。」
弥生「いや、古い司祭達がスルグリと手を結んで教団の安定化を画策するのを、頭数姉が粉砕しようとする、てのだ。まちがいない。」
じゅえる「それは非常に納得しやすい考え方だ。つまりは、難民達の間には人喰い教団に対するなんらかの期待があり、そこに目を着けたスルグリが人喰い教団に話を持ちかけて、教団を表に出すなんらかの手伝いをする。それに反発する原理主義的信者が頭数姉の下に集まって、反抗を計画する。」
まゆ子「じゃあ、人喰い教団のポピュラー化か。人を食べる代りに、なんらかの儀式を行ってイニシエーションとするんだ。」
じゅえる「で、その儀式によって支援者を募り、これまで細々と生き続けて来たのを大公開して、司祭達は表に出て行こうとするのだね。しかしながらゴバラバウト頭数姉はこれを潰す為にマキアリィと褐甲角王国を利用する。」
弥生「単なる厄介払いを褐甲角王国にさせる、ってわけだ。そんなもので取り引きが成立するのかな?」
じゅえる「えーと、。彼女は既に神人に成ってしまっている。人食い教徒達の願望の究極の姿を実現している。その彼女が言うには、神人に会わなければ神人になれない、とまことに尤もな話をするわけだ。
伝統を重んじる司祭達は秘密を護り続ける事で教団自体を存続させようとする。そこで、地上に新生紅曙蛸王国を作り、その裏面に食い込んで二重支配体制を作り上げよう、とまあ虫のいい事を考えてるのだね。
一方、原理主義派は、そんなまぬけな事をしなくても神人を呼び出せばいいと、実に簡単に思考する。実例が目の前にあるからね。で、神人を呼び出す為に伝えられて来た神秘に積極的にアクセスしようとする。丁度弥生ちゃんの降臨もある事だし、千載一遇のチャンスと考えるのだよ。」
まゆ子「うーむ。丸一日考えるとさすがにいい智慧が浮かぶなあ。つまりは弥生ちゃんに起因するのだね。」
弥生「でも、自然でいいんじゃないかな。」
じゅえる「自然だね。」
まゆ子「じゃ、こいう感じで。」
06/06/27
まゆ子「てな訳でリーチ、ですね。「第十二章 敗れし者の名は、栄光の翼に乗ってはばたく」が出来たわけです。」
弥生「なにやら意味深なサブタイトルですね。」
じゅえる「というか、弥生ちゃんも結局は敗北する事が決まってるからね。なにせ、この世界でどんなに成功しても、弥生ちゃんは異邦人に過ぎない。」
弥生「そうなんだ。「七人の侍」と同じで、最終的な勝利者はこの世界の人間なんだよね。」
まゆ子「今回、分量的には30枚ジャスト+余分、です。ま、アクションが無ければこんなもの。」
じゅえる「アクション、欲しかったかもね。タコ王女の大活躍というのがあってもいいかもしれない。」
弥生「まあ、タコ王女の冒険は外伝みたいにすると面白いかな。そろそろ「刺客大全 死屍累々」も手をつけなくちゃね。」
まゆ子「さて、オーラスです。「最終章 そして世界は輪舞を踊る」に繋がるのです。」
じゅえる「それ、まるで最終回みたいだ。」
弥生「ちょっと考え過ぎだな。「最終章 そして世界は朝を越える」てくらいじゃないかな。」
まゆ子「どういう意味だよそれ。」
じゅえる「「最終章 青晶蜥神救世主は歩みを止めず、そして世界は朝を越える」てな感じでしょ。」
まゆ子「「最終章 青晶蜥神救世主は明日を越えて、明後日に向かう」だ!」
弥生「うむ。ちょうどいい間抜け具合だ。」
じゅえる「まあ、弥生ちゃんっぽくていいか。つまり状況を説明すると、大審判戦争自体には弥生ちゃんは関らず明日は他人に任せ、その先の未来を画定するのだね。」
弥生「つまりは青晶蜥神救世主ガモウヤヨイチャンは、この回でなにか、ケリを着けるんだ。何?」
まゆ子「人界で為すべき事はここで全部終らせて、ウラタンギジトにおける神の世界の話に飛び込みます。ありとあらゆるモノがここで何らかの命令を受けて八方に飛び出して、で、弥生ちゃんはいよいよ聖山に向かいます。」
じゅえる「ふむ。まずは謎の薬売りでしょう。それから、」
まゆ子「薬売りに、青晶蜥神救世主名代、ゲジゲジ巫女をギジジットに送ります。デュータム点に青晶蜥王国建国委員会の連中を残して、えーともっとなにか。」
弥生「斧ロアランがスパイでしょ、劫アランサが敵地に乗り込むでしょ。姫アィイーガは官位をもらうし、・・・こんなくらいかな。」
じゅえる「もう少し、必要だな。もっと大きく花開く、なにかを。政治的なのもそうだけど、布教というか、ね。」
まゆ子「弥生ちゃんは青晶蜥神救世主の宣伝隊に、超秘密兵器として「紙芝居」を装備させている。ついでに葉片に描いたへたくそなマンガね。このマンガが凄い反響を呼ぶのだよ、何しろ十二神方台系最初のマンガだから。」
弥生「紙芝居だけでもいいような気がするけれど、いいのかな。」
じゅえる「なにを宣伝するのだよ。救世主さまの教えかな。」
まゆ子「えーとー、とりあえずは衛生教育だな。ばい菌の話、とか。」
弥生「でもそれって、凄いトップシークレットじゃないの?影響力が強過ぎるよ。」
まゆ子「うむ。なるほど、そうかもしれない。ま、もうちょっとなにを宣伝するか考えてみよう。ともかく、ここで弥生ちゃんを離れて青晶蜥王国が自分の力で立ち上がって行くのだよ。その第一歩が、これだ。」
じゅえる「ネコはなにをするかな。ネコも最終章くらいは活躍させよう。」
まゆ子「・・・弥生ちゃんは、なにかを探しています、って事にするか。救世の事業の為の決定的な何か、が方台に転がっているのだよ。でもそれがなにか。」
じゅえる「いま前の方読み返してみたけど、弥生ちゃん奮戦記を紙芝居にすれば、普通におもしろいぞ。民衆も普通に紙芝居を見たいんじゃないの。」
弥生「ああ! そりゃあそうか。じゃあ飴売って子供たちを集めて、てするかね。」
まゆ子「ただ、あんまり役に立たないな、それ。役に立つ必要も無いのかもしれないけれど。というか、役に立たなきゃいかんという縛りも無いか。」
じゅえる「正確な情報を伝えるに越したことは無いでしょ。特にギジジットで何が起きたのかは誰も知らないわけで。」
まゆ子「で、なにかを探索するんだけど、なにがいい?」
弥生「モビルスーツとか。」
じゅえる「うむ。モビルスーツだな。」
まゆ子「えーー、それはーーーー、あのーーー、ダメ。」
弥生「けち。」
じゅえる「ま、普通に考えるとそうだわな。伝説の聖剣とか? でも弥生ちゃんは自分で作るからね。」
まゆ子「普通に古記録ではないかな。弥生ちゃんが地球に帰る為の手段を探して、神代の時代の遺物を探している。・・・ちょっと突拍子が無いか。」
弥生「オーパーツ、てのはどうだろう。ウラタンギジトに伝わるオーパーツを見せられて、他にも無いか探してみる・・・。そんなに簡単に見付かりはしないか。」
じゅえる「タコリティの噂が入って来て、テュラクラフ女王が居なくなったのを探すとかかな。」
まゆ子「もっと、もっと突拍子の無いものが欲しい。何か無い?」
弥生「ネコの噂を聞いていた弥生ちゃんは、彼らが何かを断片的に知っているのに気付いて、それを再構成してみると、なにかとんでもないものを示唆していた事に気付く、というのはどうだろう。」
じゅえる「あのほら、イルドラ姫さまが落っこちた穴はさ、人喰い教団なら知ってる訳じゃない。ぴるまるれれこ、について断片的にもたらされるというのはどうだろう。」
まゆ子「・・・ゴバラバウト頭数姉は、当然知っているのか、それ。」
じゅえる「彼女が弥生ちゃんに会いに来る、てのはどう? そのとんでもないものについて知っている、という触れ込みで。」
弥生「ここで、彼女も青い光を放つ刀を持っている事が判明する。それはつまり、」
じゅえる「ミィガンの刀だ。ネコ達に命じてミィガンの安否を探らせる、そうね。」
まゆ子「決まり!」
じゅえる「で、順当にデュータム点を出発するのね。」
まゆ子「出ます。新しい旅立ちは、ここでケリをつけとかないと行けない。トカゲ神救世主は止らないのだ。ちなみにEP4は「青晶蜥神救世主、戦塵の嵐に散る」が次のサブタイトルです。」
弥生「死ぬじゃん。」
まゆ子「嘘っぽくていいじゃん。」
じゅえる「まあ、どうでもいいんだけどね。「戦塵の嵐に道を示す」程度でいいんじゃないかな。」
弥生「EP4「青晶蜥神救世主、戦塵の嵐に血路を拓く」これだ!」
まゆ子「うむ。」
06/06/17
じゅえる「絵コンテです! と言ってもマンガ描く気はありません。とりあえず、マンガになったらこんな感じかなあ、というところ。アニメの絵コンテみたいなのは、つまりこの形式が得意であるから、というか、これ以外の方法ではマンガみたいなものはかなり下手だ。」
弥生「マンガには出来ないの?」
じゅえる「見てのとおりで、これは一枚一枚が絵なんだ。」
弥生「マンガだからね。」
じゅえる「そうじゃないんだよ。マンガというものは一枚一枚が絵ではなく、一ページが一枚の絵なんだ。それに対してアニメというのは、画面一こまが絵である。まあ動きがあるけど、ともかくフレームで切り取ったらそれは完全な絵なんだ。すくなくとも止め絵はね。」
弥生「ここからマンガを描くのは無理なの?」
じゅえる「いや、ぜんぜん。描けますよ。でも疲れるんだ。」
弥生「疲れるのか、それはダメだなあ。」
じゅえる「一ページ一時間半、ペン入れにやはり一時間半、仕上げにやはりそのくらい掛かる。都合四時間半だね。」
弥生「遅いね。」
じゅえる「遅いんだよ。だから描かないし、描いても一枚だけだ。マリ見てエロマンガがギャラリーの所に置いているけれど、一枚ずつなのはそれが原因。」
弥生「でも不可能じゃないんだね。」
じゅえる「事実上は不可能だ。今描いたこの絵コンテは大体3ページ分。このペースで一話を描くとすれば、絵コンテ12〜5枚必要。つまりは40ページくらいだね。で、描けるのが一章だけだよ。しんどいじゃん。」
弥生「いや、40ページでいいんじゃないかな。」
じゅえる「小説一章書くのに大体三日掛かるけれど、これは一日中貼り付いて、というわけじゃない。5時間くらいで書き上げて、10時間くらいあちこちを弄り回して、さらに10時間ほどデバグというか校正してる。周囲がどたばたしてると出来ないから、一日3、4時間しかやってない。だから週に1話が限度なんだね。早い話が、一日3、4時間しか取れない中でマンガを描くと、一章を書くのには一月半くらいは掛かる。・・・・うっとうしいじゃないか。」
弥生「つまり、やる気が無いんだ。まあ、そんな暇があれば小説書いた方が話は進むもんね。」
じゅえる「それよ。げばおとの目的はストーリーの進行であり、作品の完成度ではない。ともかくストーリーが最終段階にまで行きたいからこそ、一生懸命書いている。マンガの場合は完成するのに、えーと計算すると、EP1で3年掛かる計算になるね。」
弥生「馬鹿みたいだ。EP6の弥生ちゃんハジパイ王をやっつけてトカゲ王国建国、まで20年かかるぞ。」
じゅえる「賢いにんげんならばそんなアホな事はしない。だからやらない。」
弥生「ふむ。」
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まゆ子「さて、次は第十二章タコリティにて、です。どうするかね。」
じゅえる「基本的にはどういうお話?」
まゆ子「ヒィキタイタンが、タコリティの今後の方針を語ります。フィギマス・ィレオという人が出ます。タコ王女大暴れです。」
じゅえる「それじゃ分からないよ。」
弥生「マキアリィが出る伏線を引くのだよね。では、西金雷蜒王国の情勢を少し描かないと。」
まゆ子「そうだねえ、ちょっとくらいは説明をしておかないといけないね。西かあ。」
じゅえる「歴史年表だと、30年前の武徳王親征で、西金雷蜒王国は勝利している。当然これは今次の大戦にも参考となる事例を残してるんじゃないかな。」
弥生「ふむ。するとあながち戦争から逃避しているわけでもないんだ。
ヒィキタイタンをちょっと戦わせよう。」
じゅえる「そうね。もう何度か戦っている、という事にするべきではないかな。」
まゆ子「えーと、敵は海賊か。それともイローエントの褐甲角軍かな。」
弥生「新生紅曙蛸王国の為に闘うのだから、海賊といってもなにか裏付けが無いと困るだろ。」
じゅえる「そうね。海賊は敵でもあり、タコリティの力でもある。東西金雷蜒王国はタコリティ独立を支援はするけれど、干渉しようともする。敵ってなに?」
まゆ子「うーん、一応はすべての親分衆は統一して王国に参加しているのだから、反乱というのもおかしいよなあ。」
じゅえる「タコリティの勢力は、交易警備隊、密貿易者、タコ石採掘業者、海賊、だ。海賊をどうかするので困っている、というのは正しいと思うよ。」
弥生「指揮権に従わない、てところかなあ。水軍はないのだから、海賊衆を味方につけないとタコリティは立ち行かないのに、彼らが主導権を握ろうとする。」
まゆ子「しかしそれでは海の上の戦でヒィキタイタンは勝てない。海賊の親分になにか、なんかがあるとしよう。」
弥生「なにかってなに?」
まゆ子「ふむ、大体構造が見えて来た。海賊衆が分け前の配分でごねている。またすべての海賊が味方になったわけではない。ヒィキタイタンとしては、味方になった海賊に商船襲撃の許可を与えるか否か、で揉めているんだ。もちろん彼はそういうのは許すわけにはいかない、が慣習だから仕方ないところがある。どうしよう。」
じゅえる「海賊といってものべつ幕なしに襲って来るわけではないでしょう。海賊にもグループがあるんだよ。つまりは、密貿易船を襲う縄張り争いだね。ちゃんと通行料金を払った船はちゃんと護衛してくれる。」
弥生「つまりは海の交易警備隊か。で、その通行税を払っていない船には遠慮無く襲って来るし、グループ外の海賊船には普通に襲っている。これをひとまとめにする方法を探っているのだね。そしてヒィキタイタンは成功して、海賊衆を全て配下に収めるが、それが故にハジパイ王の攻撃を誘うのだよ。」
じゅえる「そういう成り行きね。では海賊衆がどういう風に分裂しているか、どうやってまとめるか、を考えないといけない。」
弥生「水路の関所だねえ。つまりはそこで大金を稼ぐのがタコリティの財源なんだ。しかしながら、いつもいつもカネを取られていては仕方ないから、外洋を通って関所をクリアしようとする連中が居る。海賊船はこれを襲うんだよ。」
まゆ子「ふむ。外洋を敢えて通る事で通行料をクリアする勢力ね。」
じゅえる「外洋航行で標的を確実に発見出来る方法、というのがあればいいんだけれど。なにか無いかなあ。」
弥生「灯台だな。」
まゆ子「うむ。それもめちゃくちゃ高い建築物の上で火を燃やすんだ。それによって外洋を航行する船舶が方向を確実に把握して移動出来る。つまりは外洋船舶の為に道を作って、海賊衆が確実に集金できるようにして、襲撃の必要性を削減するんだよ。」
じゅえる「それだね。タコリティが確固とした王国となったからこそ、その事業も可能になるんだ。
ところでこの世界には羅針盤というものは無いの。」
まゆ子「磁石が北を向かないんだよ。下を向きやがる。」
弥生「磁鉄鉱の鉱脈の上に住んでるようなものか。」
じゅえる「なんとかしてよ。」
まゆ子「うーん、GPSがあるわけじゃないから、・・・・・・・GPSか。」
弥生「なに?」
まゆ子「弥生ちゃんに鉱石ラジオ作らせよう。天の北極からなぜか飛んで来る電波をキャッチして、その方向で真北を知るんだよ。」
弥生「しかし、そんなもの出来るのかな、中世レベルでの技術で。」
まゆ子「アンテナ、コイル、コンデンサ、スピーカー、ダイオードだね。この中で絶対分からないのはダイオードだけだ。何故出来ないかといえば、存在自体が分からないから。半導体の石ころの上を針でちくちくすると出来る。」
じゅえる「そんなもので出来るのか、あ、でも電源は?」
まゆ子「電源要らないのが鉱石ラジオの特性だよ。つまりは、電波を電流に換えるって事だね。その微弱な電流で動くスピーカーをなんとかしなきゃいけない。ちなみに電波がある事はギィール神族は誰でも知ってる。聖蟲が方向を間違えないのはそのせいだ。」
じゅえる「じゃあ、弥生ちゃんが鉱石ラジオを作ってそれが羅針盤になる、と。なんでそんなもの作ったんだ。」
まゆ子「電波がある、と聞かされた弥生ちゃんはそれがなにかのメッセージを持っているんじゃないかと調べてみる決心をするんだ。そこで鉱石ラジオを作って音声化を試みる。音は鳴るけど意味があるようには思えないので、その試みを放棄したんだけど、それを諦めなかった連中が一生懸命に頑張って、思いがけずに羅針盤になってしまう。まあ随分と後の話だよ。弥生ちゃんが居なくなった後の話。
えーーーーーと、よしぐぐった! 弥生ちゃんが十二神方台系で絶対作れる鉱石ラジオだ!「塹壕ラジオ」って奴、第二次世界大戦中にアメリカ兵がこさえたもので、ヘッドホンがあれば出来る。」
弥生「電子部品は必要無いの?」
まゆ子「レシピを見てみると、必要なものは、ほどよく錆びたかみそりの刃、鉛筆の芯、棒きれ、ゼミクリップ、銅線、アンテナ線、ヘッドホンだね。」
じゅえる「じょうだんでしょ。」
まゆ子「電波があると分かれば、こんなものでも聞こえるんだよ。ただヘッドホンはちと問題だな。イヤホンでもいいんだけれど、ともかく圧電素子で動くのが必要だ。これはコンデンサの代わりにもなるらしいから、まあ、ともかくね。」
弥生「コンデンサって近代文明無くても作れるのかな。」
まゆ子「コンデンサはそりゃまあ銅板に紙でも挟みゃ。」
弥生「そうか。」
じゅえる「紙が無いんだよ。」
まゆ子「あー、スピーカーも出来ないのか。うむ、ガラスビンでも叩かせるか。ちなみに平賀源内のこさえたエレキテルは、ガラスビンを使ったコンデンサです。」
弥生「じゃ、できそうだね。」
06/06/14
まゆ子「てな感じで、げばると処女EP3「第十一章 聖戦に沸く武王の都は、今日もいいお天気」ができました。」
じゅえる「せんとうしーんがかけらもない、んだね。」
弥生「まさかここまで気の抜けた話になろうとは、出ている本人もびっくりだ。」
まゆ子「いや、げばると処女って本来こういう肩すかしが身上だから。もうちっと難しい単語を散りばめてそれっぽくも出来るけど、ま、いいでしょ。」
じゅえる「次を期待しましょう。で、第十二章 タコリティですね。」
弥生「今度は戦闘シーンがあるかな?」
まゆ子「無い予定ですが、昔話だね。褐甲角王国の初代武徳王の話と、先代の親征の話、とかまあ歴史関係をやってみようと思うんだ。そこに紅曙蛸王国のあたらしい女王様の御乱行と。」
じゅえる「やっぱりあのじょおうさまは淫乱なのか。」
まゆ子「ちょっと違う。あの人にも刺青あるから、すっぱだかになると姿を消して自由に歩き回れるんだよ。時々居なくなるから大騒ぎだ。」
弥生「迷惑な人だなあ。」
まゆ子「ついでに架空の救世主さま話も混ぜて、ここはちっとも動かないということで。で遂に、
げばると処女EP3が終るわけだ。」
弥生「第十二章だからね。まとめの第十三章はマキアリィとカニ巫女だったっけ。」
まゆ子「いや、ここは13章全体で弥生ちゃんの話を書きたい。弥生ちゃんが次のステージに移るという事を印象づける為に、デュータム点を出発するその情景を描くのだよ。で、エピローグではいきなり戦闘シーンに叩き込まれたマキアリィとカニ巫女クワンパ、というとこで引く。」
じゅえる「ふむふむ。すていちゅーんん、てのだ。」
まゆ子「であれば、当然次を決めなくちゃね。EP4を。」
弥生「ちがいない。で、なにか決まってるのかな?」
まゆ子「とりあえず、大審判戦争はここで絶対に終らせる。そうでないとからだが保たん。」
じゅえる「まあね。締め切り二ヶ月も延びちゃったもんね。」
まゆ子「締め切りは悪くないが、こればっかりをやっているわけにはいかない、てのを考慮に入れてなかった。それに去年の夏はコンピュータの故障でともかくスケジュールぶっ壊れたでしょう。夏場は脳味噌働かないから、やっぱまた長いんだわさ。」
弥生「では大審判戦争をEP4で確実に終らせる、そういう事を前提にスケジュールを考えてみましょう。
えーと、で、すてひちゅーんのマキアリィは第一章に出るのかな。」
じゅえる「すてひちゅーんして出ないわけにはいかないでしょ。」
まゆ子「いや、第一章はそうではなくて、難民の強制移動を描こうと思うんだ。カロアルの旦那さんが兵師監に昇進して、その移送作戦を取り仕切る。で、混乱する状況の中で暗躍する悪党どもを、マキアリィが追いかけて、で絶体絶命になるのが第一章。その解決編が第二章。」
じゅえる「ま、いきなり説明もなしに戦闘状態に陥ってるんですから、そういうものか。」
弥生「つまりはまたぞろずれ込んだわけだ。で、その活躍はその後の戦争の推移に影響を及ぼすのかな。」
まゆ子「タコリティの情勢にかなり大きな変化をもたらして、後の褐甲角王国の侵攻を招きます。ま、そりゃいいとして。
赤甲梢の国境線突破
赤甲梢の電撃戦
赤甲梢、王都ギジシップ島に突入
の三本を立て続けに書こうと思うのね。」
じゅえる「異議は無いですが、これで5章は潰れたわけだ。大審判戦争そのものは7章でまとめが1章てとこか。」
弥生「ウラタンギジトで2章は欲しいし、神聖神殿都市にも1章を費やすべきだ。戦争を描くのは正味4章ということになる。少ないな。」
まゆ子「まずいね、それは。むしろ赤甲梢をとっぱらっちまうのが、いいくらいだ。」
じゅえる「すてひちゅーんだよ。ギジシップ島突入編でEP4が終る、てのでいいよ。神聖王に遭遇するのはEP5。弥生ちゃんがウラタンギジトでまぬけな事をして、で刺客に遭い、神人にすっ飛ばされるのもEP5。EP5の第7章あたりまではそんな感じで潰れて、8〜12章までで北国巡りをする。というのはどうかな。」
弥生「それしかないだろうな。そうすると、大審判戦争で5章を取れる。ウラタンギジト編の一章は裏でハジパイ王の策略、つまりは弥生ちゃんの和平交渉に対するリアクションを描く為にあるとして、もう一章は劫アランサがついに発動する赤甲梢の電撃戦に想いを馳せる、という感じかな。」
まゆ子「やよいちゃんのおもろいはなしが書けないよ。」
じゅえる「まとめます。
1、難民移送に伴う混乱と、マキアリィの探索、絶体絶命
2、マキアリィ解決編。人喰い教徒出現とタコリティの変化
3、神聖神殿都市の黒幕出現、弥生ちゃんのウラタンギジト入りを注視する。
4、軌バイジャンの話
5、ベイスラ穿攻隊の大活躍シーン
6、イルドラ姫の本格的戦闘シーン、一時敗北して浸透戦術に変更する
7、(インターミッション)
8、ヌケミンドル防衛戦での血みどろの闘い。
9、浸透戦術の開始。謎の薬売りの暗躍。
10、ウラタンギジトにて、劫アランサが赤甲梢を想う。
11、赤甲梢国境突破、電撃戦開始。
12、赤甲梢の電撃戦、港に到着。
13、赤甲梢、王都ギジシップ島に突入。激戦の末に遂に神聖王宮に突入
」
弥生「インターミッションてなんだ?」
じゅえる「戦闘シーンばかりでは気が重いから、なにか別のものを入れようと思って。」
まゆ子「早い話が、そこは弓レアルだ。カプタニアで相次ぐ戦勝の報せに沸き立っている。王都全体が楽勝ムードになって、弓レアルもほっとする、が!」
弥生「まさしくそういうのが必要だね。そこから地獄が始まる。金雷蜒軍が黒甲枝でなく、一般人をターゲットにした戦術に転換するんだ。」
じゅえる「・・・・赤甲梢、ジャマだな。」
まゆ子「そうだね。13章電撃戦開始、てとこで。
1、難民移送に伴う混乱と、マキアリィの探索、絶体絶命
2、マキアリィ解決編。人喰い教徒出現とタコリティの変化
3、神聖神殿都市の黒幕出現、弥生ちゃんのウラタンギジト入りを注視する。
4、軌バイジャンの話
5、ベイスラ穿攻隊の大活躍シーン
6、イルドラ姫の本格的戦闘シーン、一時敗北して浸透戦術に変更する
7、弓レアル楽勝宣言!
8、ヌケミンドル防衛戦での血みどろの闘い。
9、浸透戦術の開始。謎の薬売りの暗躍。
10、焔アウンサの最後の作戦とヒィキタイタンの決断
11、難民の大反乱、軌バイジャン絶体絶命
12、ウラタンギジトにて、劫アランサが赤甲梢を想う。
13、赤甲梢国境突破、電撃戦開始。
1、弥生ちゃん、ウラタンギジトでおもろいはなし
2、ハジパイ王の話、ヒィキタイタン標的に。
3、赤甲梢の電撃戦、港に到着。
4、赤甲梢、王都ギジシップ島に突入。激戦の末に遂に神聖王宮に突入
5、ヌケミンドル死守戦。武徳王の闘い
6、激闘。そして悲劇への序章
7、カロアル羅ウシィ、難民と金雷蜒軍とのゲリラ戦の渦中で戦死
8、イルドラ姫、ベイスラ穿攻隊との激戦。神人に遭遇。
9、弥生ちゃんの所に赤甲梢成功の報せが届く。ダゲレオたいぷ
10、赤甲梢、神聖王宮での和平の情景。
11、イルドラ姫撤退。神聖王の褐甲角王国入り
12、武徳王の帰還。カプタニア山中で謎の大火災。記憶喪失の軌バイジャン
13、弓レアル訃報を聞く。弥生ちゃん消滅!
」
じゅえる「結局、EP4じゃ戦争終らないじゃん。」
弥生「まるまる2章掛かるって事だ。というか、EP3も結局は半分がそうだからね。」
まゆ子「で、どうする? またひねる?」
じゅえる「いや、スケジュールは捻らなくてもいいから。というか、捻ると伸びるでしょ。」
弥生「これで収めるのも勿体ないんだけれど、これ以上伸ばすわけにもいかないから、我慢する。」
じゅえる「うん。本格的な戦争物だったら、もうちょっと伸びても構わない。」
まゆ子「うん。浸透戦術に褐甲角王国が対応する所が無いからね。
でも、なにかとんでもない異物を入れたいよ。」
じゅえる「あー、そうね。明美を入れたいところだね。弥生ちゃんが北方を行く際の伏線を張っとかなくちゃ。」
弥生「そうか、そういうのが必要なんだ。」
まゆ子「ま、おいおい考えて行きましょう。どうせ、EP4が終る頃には、またスケジュール大激変を起してるんだから。」
じゅえる「それを言うと今回の意味が無いよ。」
06/06/03
まゆ子「てなわけで、あらかた「第10章 イルドラ姫さま初めての体験」ができたのです。」
じゅえる「さすがにここでちこちこやると、書くのが早いな。」
弥生「冗談みたいな早さだね。で、ぴるまるれれこが出たのだけれど、今後これはなにか意味の有る展開が、」
まゆ子「ございません! おそらくはぴるまるれれこ本体はもう二度と出ません。それでいいのです。」
じゅえる「ふむ。まあ、なんといいますか、たまにはスタンドみたいな感じで姿を現すと楽しいかな。」
弥生「で、次はどうしますか。第11章は、カプタニアだったっけ。」
じゅえる「スケジュールでは、弓レアルです。弓レアルとお友達のアルエルシィが、カロアル家に遊びに行って御母上と歓談します。今はカプタニアも大忙しで、黒甲枝の奥方さまやら娘さんやらも大動員されているのですね。」
まゆ子「そうなんだ。こんな大動員は30年ぶりだ。前の時は遠征大失敗敗北だったんだけど、ダメージ的にはそれほどは無い。」
弥生「遠征ってのは、なにをしたの、どこを攻めたの?」
まゆ子「ああ、西金雷蜒王国を攻めたんだよ。舟戦だ。ただ、上陸した島に毒撒かれて、クワアット兵に多数の犠牲者が出た。1000人規模で死者が出たのは100年ぶりくらいの大失態だったんだよ。で、西金雷蜒王国を助ける為に、東金雷蜒王国から多数寇掠軍がやってきて、各地で戦闘を繰り広げた。ここでもかなりの被害が出て、黒甲枝も死んでるね。」
じゅえる「それが、ハギット女史がおうちを放り出された事件ですね。でも、30年というのはちょっと古くないかな。あの人は30歳でしょ。」
まゆ子「29歳だったはずだが、まあ、30になったかな。えー、黒甲枝の奥方が動員されたのが30年前。これが西金雷蜒王国への遠征時ね、で、ハギット女史は11歳くらいだよ、家が潰れたのは。ちょっとずれるか。」
じゅえる「じゃあ、違う事件だ。どうしようか。」
弥生「こういうのはどうだろう。遠征に失敗した先代の武徳王がなくなったのが20年前。で、東金雷蜒王国は武徳王の代替わりを狙って寇掠軍を大挙再侵攻させたんだ。これは代替わりの度のきまりごとみたいなもので、さらっと攻めてはすぐ帰る。だけど、局地的には大激戦もあって、そこでての。」
まゆ子「じゃあ、焔アウンサが赤甲梢総裁になったのも、その後だね。人事が一新されたんだ。」
じゅえる「ふむふむ。じゃあ先代の武徳王は失意の内に亡くなったんだ。で、15年後にヒィキタイタンが再侵攻を持ち出した。タイミング的にはいいのかな。」
弥生「15年、首尾よく準備が整ったとしても20年後の大侵攻作戦、いいんじゃないかな、国力の回復と兵員の再生とを勘定に入れても。」
まゆ子「じゃあ、30年前の西金雷蜒王国侵攻作戦と、その報復としての寇掠軍大襲来は歴史的事実としてフィクス、と。で、その頃カロアル家の奥方さまは黒甲枝の娘として王宮にお手伝いに上がっていたんだ。年齢は、旦那さんであるカロアル羅ウシィが45歳だから、奥様は44歳くらいで、14歳かそこら。侍女に上がるにはすこし若いか。」
弥生「斧ロアランは上がってるけどね。」
じゅえる「結婚前だな。であれば、もう婚約くらいはしているのか。」
まゆ子「どうしよう。話はあったけど、複数の候補の内の一つ、てくらいか。で、弓レアル達にその当時のお話を聞かせてくれるんだ。」
弥生「ふむ。戦争とは無縁のほのぼのした話になっちゃうな。」
じゅえる「いやー、せんそうだからこそ結婚話が急がれた、ってんじゃないかな。でも聖戴もまだなのに、それはちょっと急ぎ過ぎか。」
弥生「? あ、そうか。子供であるカロアル軌バイジャンは18歳だから、それから随分と間があるぞ。27歳とかの子供だ。ちょっと遅いな。」
まゆ子「ふむ。18歳で結婚したとして、ずっとできなかった事になる。あー、そうね。じゃあこうしましょう。たしかに結婚の話はあって、婚儀が行われるちょうどその頃武徳王が亡くなって慶事は2年間ほど延期されてしまったんだ。で、二人の結婚は20くらいになってから。その後も色々忙しく赴任先を点々として、カプタニアに帰って来た途端に生まれた、という事にしよう。」
じゅえる「そういやあ、そもそもカプタニアには黒甲枝は何人くらい住んでいるんだ?1200家があるという話だけれど、全部が全部居るわけじゃないでしょ。」
まゆ子「500くらいかなあ。内庭とよばれる黒甲枝専用居住区は、そんなもんだよ。ただここはちと狭い。アパートが立て並んでいるという感じで、アルエルシイとかは初めてやってきてびっくりする。普通黒甲枝はここには決められた人数がくじを引いていざという時の予備兵力として存在して、その他の人は西街にある普通の家に住むもんだ。カロアル家はちと物好き。というか、カプタニアの兵学校にバイジャンが居たからずっと居る、て感じかな。」
弥生「教育の為か。でも他の黒甲枝はカプタニアに居ようとしないの?」
まゆ子「ルルントカプタニアに住むのが夢なんだ。あそこは大都会で裕福な街だ。王族も住んでいるし元老院の家も大体こっちにある。カプタニアは軍都だから、あまり派手じゃないというか、実際地味だ。カロアル家は親類縁者が事業をやっていたりしないからかなーり貧乏で、内庭に喜んで住んでいる。だもんで、お金持ちの弓レアルのヒッポドス家との縁組みがまとまった、という話だな。」
じゅえる「ああ。じゃあ、黒甲枝はやはり支配階層として、それなりに私服は肥やしているんだ。」
まゆ子「それが悪いという倫理観はこの世界には存在しない。というか、黒甲枝は或る程度はお金持ちである事を世間から期待されるんだよ。でも、黒甲枝のカネの使い方は、武具の購入とか武術の教授、それに学問だからね。内庭にカロアル家があるのは、そこに本があるから。支配階層としてちゃんと御勉強する為には書籍類の充実が不可欠、で内庭には長年黒甲枝が貯めた蔵書を互いに交換する図書館があるんだ。そして家庭教師というシステムも完備している。ハギット女史はつまり、黒甲枝の家に個人教授に行くための教育を受けた人間で、それをヒッポドス家が娘の為に引っ張って来たんだ。というか、その為に賢い彼女をヒッポドスの先代が特別に援助したんだけれどね。」
じゅえる「黒甲枝は人にカネを掛ける、ってか。兵学校も教育費ただじゃあないってわけだ。そりゃそうか。」
弥生「私はタダだとばかり思っていた。違うの?」
まゆ子「違わないが、俸給や恩典の内だから、自前と言っても大して変わらない。黒甲枝の家の経済といえば、基本年金があり、軍務の俸給があり、役職の恩典があり、出向の支援費があり、出征の特別手当がある。」
じゅえる「なんぼ?」
まゆ子「カロアル家で100金くらいだな。10金で家が建つから、結構もらっているような気もするが、従僕の家族も養っていると思えば、それほど余裕があるわけでもない。カロアル羅ウシィは大剣令というだけでなく、年功序列昇給分とノゲ・ベイスラの都市防衛隊隊長をやっているから、ちょっと上の方だ。彼の所の若手サト英ジョンレは半分の50金に満たない。」
弥生「貨幣価値が分からない・・・。」
まゆ子「100金で1000万円よりちと上、てくらいかな。100万円で家が立つ? て感じだけれど、泥と藁屋根の家だからね。ちなみに一般庶民は年収10金くらいだ。年収一年分で家が立つというのは、かなりいいかげんな家だろうという事は理解して下さい。ま、土地代は別だけど、というか土地は私有できないから。」
じゅえる「土地所有はできない制度なんだ。」
まゆ子「農民議会とか町議会とかが一括して土地を借り受けて、市民に割り当てるという形だから、ただ家が建っている分には地代は掛からない。だから、10金で家が建つというのはちょうどいいくらいのものなんだ。こういう家は何時議会の風向きが変わって追い出されるかも分からないしね。」
弥生「いやな議会だな。」
まゆ子「ちなみにカロアル軌バイジャンは小剣令で年収15金くらい。結婚すると20金にはなる。聖戴すると倍額40金だ。」
じゅえる「うーむ、黒甲枝って案外儲からないのね。だからこそ、王国の使命というのにこだわるんだ。」
弥生「で、王国には黒甲枝と赤甲梢が1800人居る。それが最低年収50金としても、赤甲梢って収入は同じ?」
まゆ子「50金止り、て感じで。むしろ、聖蟲を返還して軍官僚とかになった方が儲かります。」
弥生「1800人だとして、最低でも年間9万金掛かるんだ。90億円か。役職関係の増分を合わせて、人件費は200億円てくらい?」
まゆ子「150万人の自治体で、200億て感じです。ま、黒甲枝の神兵はそれだけで戦車なんだけどね。」
じゅえる「うーん、多いのか少ないのか分からない。日本を基準に置くとわかんないよ。」
弥生「褐甲角王国の歳費て、歳入歳出はどのくらいなの?」
まゆ子「1000億円、てくらいかなあ。100万金か。ちなみに1金てのは、日本で言うと江戸時代の1朱金くらいです。十二神方台系は金価格が結構高い。というか、日本は江戸時代前期あたりは黄金の国じばんぐだからね。
えーと黒甲枝に加えて、一般クワアット兵、官僚、警邏、従僕侍女等々を加えて、人件費が歳出の約半分! ハジパイ王が一生懸命圧縮してますけど、500億くらいにはなってます。かなり厳しい。」
じゅえる「元老院の経費に宮廷費、祭礼の費用、軍備とか土木工事とか民生事業とか、カネの掛かるのがまだまだあるわけだ。そりゃあ、くるしいな。」
弥生「黒甲枝が腐敗している、てのは無いんでしょ。」
まゆ子「腐敗していたらとっくの昔に崩壊しています。清貧に甘んじていて、この有り様。基本的に歳入が少な過ぎるんだよ。人口が少ないのね。その点、金雷蜒王国はギィール神族が付加価値の高い製品を作って輸出しているから、財政的には楽なものだ。褐甲角王国の貧窮は、金雷蜒王国に富を吸い上げられているから、という感じがある。」
じゅえる「さらに加えて、難民を押し付けて、寇掠軍で掠め取って行くのか。なるほど、そりゃあヒィキタイタンも攻めたくなるよね。」
弥生「大審判戦争をするカネがよくあったね。そんな状態で。」
まゆ子「借金と思って結構ですが、どうせ後でインフレになります。やろうと思えばどんな状態からでも国というものは戦争を出来るんだよ。民衆につけが回るけどね。」
じゅえる「でも、そうすると、褐甲角王国は勝った後でどうなるの? インフレですごいことになるんじゃない?」
まゆ子「既に決定してますね。大審判戦争が起った事で財政の破綻は確定です。金雷蜒王国はあれは全部神族の持ち出しだから、王国自体はさほど負担分は無いんだけど、褐甲角王国は全額王国持ちですから、ははは。」
弥生「じゃあ、負けているんだ、もう。そこに弥生ちゃんが青晶蜥王国の樹立を宣言する・・・。」
じゅえる「なるほど。新王国はできてしまうんだね、ひつぜんとして。」
まゆ子「てなわけで、財政問題はこのくらいとして、第11章はどうするかだよ。えー、とりあえず前半はカロアル家の奥様に色々と伺います。黒甲枝の家の財政とか王宮のお手伝いとか、30年前の話とか。で、後半はアルエルシイです。ここで例の学匠がまたぞろ登場しますよ。」
じゅえる「そいつ、アルエルシイからカネを借りよう。」
弥生「うむ。カネを借りるのだ。なんらかの活動資金として、アルエルシイもお小遣いをちょろまかして、本を買うとかいう名目でお金を出している。」
まゆ子「であれば、この回のサブタイトルはカネ、だね。」
じゅえる「うむ。」
弥生「ただカネをもらうのでは筋が通らないでしょう。代りになにをアルエルシイはもらうのかな。」
まゆ子「そりゃ、秘密でしょう。大審判戦争の裏事情というものを、こっそりと教えてもらうのです。それに、督促派行徒とか人食い教徒とか、金雷蜒王国のスパイの暗躍。に、加えて謎の薬売りだ。」
じゅえる「出た!」
弥生「ここで、出るんだ。では薬売り本人が出る訳じゃないんだね。」
まゆ子「あくまで噂です。ただこれが只者で無い事は、彼らのグループは感づいている。青晶蜥神救世主が絡んでいるのは薬を売っている事から分かるんだけれど、確実なことは何も無い。」
弥生「でも会って話を聞くだけではおもしろくないよ。ロマンスとかは無いのかな。」
まゆ子「考えてないなあ。」
じゅえる「じゃあやはりなにか突発的な事故とかが起って、アルエルシイはおもわず男にしがみつくと言うか、肩を抱かれてどきどきする、とかにしますか。」
まゆ子「定番だね。」
弥生「じゃあ、地震かな? 火事とか。」
じゅえる「やっぱりテロじゃないのかな。」
まゆ子「そのどれでもないのがいい。」
弥生「うん。じゃあ、交通事故とか。」
じゅえる「大八車の暴走か。なるほど、でも逢い引きの場所は蜘蛛神殿では無いのかな。」
まゆ子「暴走族が走り回っている、というのはどうだろう。色々殺気立った連中が街をうろついて居て、そいつらの使う・・・・・イヌコマ? 大八車?が暴走??」
弥生「食用に送られる大山羊の群れが突如暴走、街中の草を食べまくる。というのはどうかな。突然蜘蛛神殿のお庭に飛び込んで来る。」
じゅえる「そういやあ、大山羊ってのはどのくらい大きいんだ。あれは乗用には使えないんだよね。」
まゆ子「飛び跳ねるんだよ、山羊だから。イヌコマよりもちと大きい動物だ。背中にコブがあって乗れないし荷物も運べない。おとなしいけど気まぐれな生き物で、動かない時はテコでも動かないし、気が向いたら柵をとんとん飛び越えて行く。かぷっと噛みつくし。」
弥生「アルエルシイはかぷっとやられそうになるんだ。」
じゅえる「うん、それがいい。突如飛び込んできた大山羊に抱えていたお花をぱくっとやられそうになるんだ。」
弥生「そこんところはサスペンス仕立てにしよう。蜘蛛神殿に行ったアルエルシイを後ろから付けて来る気配がある。振り返ると、巨大な大山羊で、どこまで逃げても彼女を追いかけて来る。とことんと屋根まで飛び上がって前に出て、襲うんだよ。アルエルシイがなんかの薬草をもってるとしよう。」
じゅえる「その薬草のお花が食べたかったんだね。で、ぱくっとやられるところを、男に助けてもらう。」
まゆ子「なんだかよくわからないが、採用しましょう。」
弥生「大山羊は兵器としては使えないのかな。頭の角に松明をくくりつけて、火牛の計とか。」
まゆ子「それやると、自陣に突っ込んで行くよ。そいうのはダメ。」
弥生「こんなもんかな?」
じゅえる「いや、更になにか、男を監視する目もあるという。」
弥生「今回ネコは無し?」
まゆ子「どうするか、出してもいいよ。・・・そうね。蜘蛛神殿にはネコが居る。ごろんと昼寝しているようで、アルエルシイ達の話も聞いているんだ。で、男と分かれてアルエルシイが帰ろうとする所に、その場に居たネコが、男が謎の薬売りと話をしていたよ、と教えてくれる。」
じゅえる「なるほど、では男は薬売りの話についてはかなりあやふやな事しか言わないんだ。」
弥生「ネコが見かねて教えてくれるんだね。その代わり鯉を買ってくれと。」
************************ ************************ ***********************
じゅえる「てなわけで、新しいなにかが欲しい!」
弥生「なにかとはなにか?」
じゅえる「げばると処女における新機軸だよ。このまま進んで行くには懐が狭過ぎるから、別の切り口で行く為のなにかが欲しいのね。」
まゆ子「そうは言われても、SFだから、なんですか、宇宙人は出ているし、地底人とか海底人とか背中に翅の生えた人とかかな。」
じゅえる「いや、そういうのではなくて、社会的切り口というか、ヒィキタイタン事件しか社会状況を説明する切り口が無いでしょう、ここをね。」
弥生「はああ、そうか。物事を動かす源流がヒィキタイタン事件しかないのが許せないってわけか。そりゃそうだ。」
まゆ子「そうだったっけ? (チェック中) あはは、ほんとだ。」
じゅえる「今まで気付かないのがすかぽんたんだけど、そういうこと。何か思想的潮流といいますか、本来あったはずの別の歴史の流れというのかですね、が必要ではないかと。」
弥生「そりゃひつようだ。というか、何故無いんだ?」
まゆ子「必要無かったからでしょう。弥生ちゃんはこの世界の事を何一つ知らないし、弥生ちゃんの前に直接有るのはゲジゲジカブトムシの両王国だけだ。そいつを滅ぼそうと言うのならば、ヒィキタイタン事件一つに直面していれば事足りる。」
弥生「必要最小限でしかない、んだ。それはそれで潔いな。」
じゅえる「どうする。このままで最後まで行きますか。」
まゆ子「気付いてしまったからには、というかもう一つの在るべき歴史か。
この世界だからあー、真の救世主登場ってやつだな。弥生ちゃん以外に十二神方台系出身の本来在るべき救世主が弥生ちゃんの出現に先立って居た、という。」
弥生「そうか、そういうのであれば、そうだな。」
じゅえる「トキみたいなひとだね。」
まゆ子「うーむ、そうか、それは救世主だ。そうだねえ、その人は絶対非暴力主義の人で、誰からも慕われて言葉で人の心を揺り動かし、自分では決して自分を救世主とは呼ばず、争うことなく人々を平等な理想国家に導こうとした偉人なんだ。」
弥生「そんな人がどうして省みられないんだ?」
まゆ子「うーん、とりまきが悪かったとか。」
じゅえる「なぜかオウムになってしまったんだ。それで徹底的弾圧を受けて今では沈黙している。督促派行徒の源流みたいなものかな。」
弥生「しかし、そういう人が居たのならもうちょっと歴史に痕跡を残しているべきではないだろうかね。現在のストーリー進行にはまるで関与していないから、出すのはよした方がいいんじゃないかな。」
まゆ子「それはたしかにそうだ。ちょっと待ってね。・・・・・、その人は、・・・・小説の主人公というのはどうだろう。」
じゅえる「! 架空の人物なの?!」
まゆ子「こういう人が居た、という偽伝が書物として著わされて、それを実在の人物と信じた人たちが教団みたいなものを作って両王国に敢然と叛旗を翻して、滅ぼされたのだけれど、その人が居たというのは今も普通に信じられていて、当局の必死の宣伝工作にも関らずに実在を否定出来ていない。」
弥生「・・・・うわーあ。」
じゅえる「そりゃすごいな。」
まゆ子「面白いからこれで行こう。えーと年代としては今から、70年くらい前か。或る日突然その人の名が人々の口に上るようになったんだ。で、どこかの土地で神人から教えを受けたとかの噂がぱーっと広がって、でも誰も見たことが無い。ネコも見たことがない。それなのに、その人に付いて行けば新時代の新国家が出来る、新しい王国を打ち立てるとまことしやかに囁かれ、非暴力の大集会が自然発生的に全方台に広がって行った。」
じゅえる「実体は無いのだから当然当局の弾圧というか、沈静化の憂き目にあって、その中でも過激な一派が独自に偽王国を作り、私こそその人だと騙り始めるてわけだね。」
弥生「その話面白い。なんとかしてみましょう。」
まゆ子「そうだね、なんとかしてみよう。でも更にまた別の思想的潮流をひとつ用意しておくか。」
じゅえる「えーと、100年位前かな。時代としては、もうちょっと旧い方がいいか。救世主運動とはまるっきり縁の無いなにか、」
弥生「思想的潮流というくらいだから、やはり政治が関連するなにかじゃないかなあ。天明の大飢饉みたいなのが起こるとか。」
じゅえる「天災か。それはーどうなんだろう。火山の噴火?」
まゆ子「冬にしよう。冬が、ものすごい冬が来て春になっても凍りついたままで、その年は一年中天候不順で大飢饉が起ったんだ。その影響は10年も続き方台の人口が2割方減って今も回復していない。で、その時の教訓で王国は穀物備蓄を削減出来ない。」
じゅえる「そういやあ、毒地が回復したせいでバッタが増えたんだった。天災の予感は至極高まっているんだよ。」
まゆ子「ふむふむ。100年、70年、30年、20年、10年、4(5)年は良しとして、50年くらい前になにか欲しいな。」
じゅえる「10年前ってなに? あ、人頭率ね。」
弥生「50年か。ここで一発大勝利が欲しいとこだね。褐甲角王国が大勝利、っての。」
まゆ子「陸地ではだめだよ。100年以上も領地の区分は変わっていない。じゃあ、海戦というのはどうかな。タコリティ沖でイローエントの海軍と、東金雷蜒王国の海賊船群との大海戦があって大勝利!」
じゅえる「海戦だと、海で闘う理由が必要だよ。タコリティにおいてなにか異変が起ったとかの。タコリティ独立運動がまたぞろ起ったとか。」
まゆ子「えーとー、つまり極最近まで出来なかったタコ樹脂の高度な加工技術が東金雷蜒王国から褐甲角王国に流出して、タコ化石の利用が褐甲角王国でも産業として成り立つようになり、タコ化石の確保の為にタコリティ接収とかを考えるようになり、それを阻止せんとした東金雷蜒王国との間で戦が起こる。海戦では大勝利だけれど、ゲリラ戦が多発して結局接収は断念してタコリティは元の中立な無法都市となる。この時の大海戦の大勝利が、30年前の大敗北の伏線になっている。つまりは、先王の大勝利を再現しようとして失敗したのだね。」
じゅえる「30年前も海戦だからね。ふむふむ、そんなところか。で、その戦の勝利で一時褐甲角王国は繁栄するわけだ。それの反動として景気の循環から不況に突入したのをなんとかしようと更に外征に出て30年後の大敗北につながる。」
弥生「40年前のイベントは、褐甲角王国大繁栄だね。ふむふむ、めでたい話だ。」
まゆ子「えーと、ここでもっとも重大なイベントはやはり100年前の冬だ。これはチューラウの救世主到来を告げるものとして、以後方台の歴史は青晶蜥神救世主を待ち望む大勢に移行する。そこで、70年前に架空の救世主さまのお話が完成して督促派行徒が出現する。両王国の衝突も増えて激化していく。重甲冑に翅が生えた頃でもある。」
弥生「重甲冑てのは、どのくらいの時代の発明なの?」
まゆ子「そうだねえ。当初の300年くらいはごくまっとうな金属鎧を用いていた。それが黒甲枝の怪力を利用した重装甲へと変化するのが300年以後で毒地の封鎖が進展して遂には完全に遮断してしまうのが500年前。西側から封鎖を始めているからベイスラ近くの遺跡は最初期に潰されたものの跡だよ。この時期は戦場が平原になり、大型の弩で黒甲枝が射られるようになったから、重装甲が必要になった。つまり褐甲角王国が反攻を開始したのに合せるように重甲冑か開発されていったのだね。で、タコ樹脂を用いた高度な複合装甲が登場したのがその最晩期、重装甲と軽量化を同時に実現する為に金雷蜒王国の技術を導入したのだよ。この当りで決定的に東西の金雷蜒王国は分裂して、今の方台の形が完成します。で、それから重甲冑の構造が進化して現在の形にほぼ落ち着いたのが400年前。翅を持つ赤甲梢実験部隊が創設されたのが200年前。甲冑が翅を持つようになったのが120年くらい前でその後順次新型に転換して今に続く。」
じゅえる「地球の基準からすると随分のったりしてるねえ。もうちょっとぱぱっといかないのかな。」
まゆ子「この世界の進歩は遅いんだから。そもそも武器の進化はこれよりも鈍い。甲冑の進化が鈍いのも無理からぬ事だよ。」
弥生「本当に武器の進化は無かったの?」
まゆ子「無い事も無いが、あそうそう、初期型の重甲冑は車輪が付いてたのだよ。重量を肩代わりする為に二輪で支えていた。」
弥生「戦車じゃん。」
まゆ子「黒甲枝の怪力を支える大剣や鉄弓も長い時間を掛けて完成している。進歩していないわけじゃあないんだよ。」
じゅえる「そうだ、40年前の大繁栄時にめいわくなお祭りが流行ったとかはどうだろう。火の付いた松明を投げ合うとかの火焔祭とか。」
弥生「すっぽんぽんで松明を投げ合うとかだね。天下の奇祭だ。」
じゅえる「丸いボールに火をつけて投げ合う野蛮なお祭りだということで、野球を教えるんだよ。」
まゆ子「そういやあ、野球を導入するのは弥生ちゃんのリクエストだったね。」
弥生「そうだねえ、野球はどこでやろうかなあ。」
06/05/27
まゆ子「てなわけで、どんどん行きますよ。今週は未踏設定製作週間だ。」
じゅえる「というか、何が無い?」
弥生「神聖神殿都市が無い。西金雷蜒王国が無い。トロシャントロシャンも無い。人食い教徒もスガッタ教も無い。」
まゆ子「東金雷蜒王国神聖王も無ければ、褐甲角王国武徳王近辺と元老院、官僚システムもまるで無い。タコリティも無ければイローエント近辺の海軍と海賊も無い。無論、ウラタンギジトにエイタンカプト、それどころかデュータム点ですらほとんど何も無い。」
弥生「・・・・・・・よくここまでこれたもんだ。」
じゅえる「えー、そのなんだ。設定というものはこれほどまでに不要なものなのだね。」
まゆ子「やってみて初めて分かる真実だね。創作行為というものは、めちゃくちゃいい加減なのだ。」
弥生「どうして小説家が時代劇を書きたがるのか、納得いった。設定が無い部分を調査で補えるからだ。自分で設定するのは大嫌いなんだ。」
まゆ子「まあ、そういうことだ。とある藩のお家騒動を書こうと思ったら、そりゃあ人物設定だけでどれほど掛かるか。さらに風俗や歴史も考えろと言われたら、死ぬよ。」
じゅえる「本気のファンタジーってのは暇人にしかできないのね。」
まゆ子「てなわけで、とりあえずタコリティと神聖王から行こう。どっちが先がいい?」
じゅえる「そうね、それよりも弥生ちゃんの周辺の救世主神殿から行った方がいいんじゃないかな。」
弥生「そうだね。へんな観軍使というのが出て来たし、今どうなっているか確認しておこう。」
まゆ子「なるほど、足元が不安なんだ。よござんす。
えーデュータム点青晶蜥神殿は現在弥生ちゃんが接収して青晶蜥神救世主神殿と名前を換えています。さらには近所のタコ・カタツムリ・蜘蛛・カニ神殿もスペースの一部を救世主さまの為に明け渡し、さらにはデュータム点郊外には市内に入れない人までもがわんさかいます。
分類すると、弥生ちゃん近辺の中心的な人たちがトカゲ神殿、神聖神殿都市から来た十二神信仰系の人たちがカニ神殿、それ以外の神官巫女系の人たちがその他の神殿に居ます。
郊外に居る人は東金雷蜒王国から付いて来た弥生ちゃんの宮廷への採用希望者で、ここには青晶蜥王国準備委員会建軍準備委員会もあります。市内に入れるのは物騒だからと褐甲角王国の役人に止められたんですね。つまり
・救世主近侍と友人一同
・赤甲梢劫アランサ近辺と赤甲梢クワアット兵
・十二神神殿高位神官系列
・トカゲ神殿神官巫女の救世の事業奉仕隊
・その他神殿の神官巫女の、救世の事業奉仕隊
・青晶蜥王国建国準備委員会
・やじうま
です。」
じゅえる「やじうまてのは勘定にいれなくちゃいけないの?」
まゆ子「もちろん。このやじうまというのが一番大切で、弥生ちゃんの財源になっているのですから、やじうまに奉仕する為に神官巫女系列の奉仕隊が存在するのです。」
弥生「つまりは、やじうまはデュータム点行政から見た場合は、弥生ちゃん関係者に入るんだ。というか、普通には居ない人たちだからそりゃそうだ。」
まゆ子「というわけで、こんなものを弥生ちゃん一人が制御出来るわけがない。そこで、十二神神殿高位神官が神官巫女の統率をしましょうとやってきているわけだ。彼らの思惑はこの騒ぎが一段落してまた元のように十二神神殿が平穏無事に信仰と聖務を滞り無く行えるようになること。失敗は、弥生ちゃんのこの運動に神官巫女組織が取り込まれて支配権を失うこと、にあります。だもんで、彼らは一応は忠実だけれども弥生ちゃんに対して言うことは言います。
これに対抗するのが建国準備委員会と呼ばれる人たちで、弥生ちゃんによって選ばれた者が中核となって青晶蜥王国王宮を作ろうとしています。さしあたってここの中心となる人はティンブットが連れて来た人たちです。
行きがかり上、神官戦士が今は主体で主にやじうまの警備をやっているのですが、彼らには軍隊は作れないから武人系列の人間はかなり優遇されています。さらに神族縁者は頭のいい人が多いので王国の初期デザインを行う為に面接で結構採用されています。隠者はシンクタンクとしてまた別の、ティンブット系列と呼ばれるちょっと抜けた感じの集団に統合されています。さらに言うと、フィミルティはガモウヤヨイチャン宣伝隊を任されて、タコ巫女やら蝉蛾巫女カタツムリ巫女等を集めての宣伝隊のプランニングに忙しい。えーと、人関係で言った方が早いのか。
・ティンブット系列:隠者を中心とした相談役、デュータム点有力商人達とも相談して、新王宮の建設準備も検討している。
・フィミルティ系列:巫女を中心として、方台全土に救世主の威光を宣伝する広報と布教隊
・チュバクのキリメ系列:裏社会の人脈を利用した情報収集体系、建軍準備委員会ともつながる
・カンバタ系列:新規採用のカンバタという刀剣職人バンドの人間を中心とする、新王国の経済基盤を考える会。武器製造とかにも関係する
・ジャガジァーハン・ジャバラハン系列:ゲジゲジ神官の彼は神官戦士団を率いて基本的にはアィイーガの命令で動いている。ウラタンギジトとの折衝を行う
・神官戦士系列:やじうまの誘導と滞在の世話をする神官戦士達の集団。デュータム点の商人とも提携しており、ちゃんと商売としても成り立っている
・武人系列:建軍準備委員会だが、その役目は血の気の多い者を制御して周辺に迷惑を及ぼさない為に有る。よって、ちゃんと隊長が定められて、弥生ちゃんが与えた「建軍準備委員会局中法度」というものがある。
・官僚・商人系列:新青晶蜥王国の財務を担うための人材収集を行っているが、現在はリストアップの段階。ティンブットの指示でおみやげ商売もやっている
・農民難民系列:もうただ居るだけの熱狂的弥生ちゃん信者。まあ弥生ちゃんもこの人たちは最初に青晶蜥王国民にしてやろうとは思っている
・神族縁者系列:他とは一線を画して、自分達こそが青晶蜥王国において聖蟲を戴き高位の地位に就くだろうと自称する、神族関係者。頭はいいし腕も立つのだが、どうにもうるさい。
」
じゅえる「やっかいだな。妙な者が混じっている。」
弥生「まあ、厄介でない者が居るだけましと言った方がいいんだけどね。でもそう簡単には王国なんてできないでしょ。」
まゆ子「当然です。そこで弥生ちゃんは一時的に彼らをまとめる枠組みを作ろうと考えて、ぴるまる共同体というのを作ります。つまりは、神殿から離れた普通人の組織ですね。NPOみたいなものです。で、(救世主神殿+ぴるまる共同体)=青晶蜥王国、という枠組みを考えているのです。最終的には(救世主神殿+ぴるまる共同体+チューラウ軍)です。」
弥生「救世主神殿は統合されないの?」
じゅえる「金雷蜒王国も褐甲角王国も統合してるのに、しないの?」
まゆ子「つまりは、弥生ちゃんの考え方だと、褐甲角王国も金雷蜒王国も、再生なった紅曙蛸王国も潰して併合するつもりは無いから、それらにも対等な奉仕と救世を行う為に救世主神殿は別に作ろうと思っている。で、青晶蜥王国領は最初期には毒地の真ん中に開拓地として存在する事を見込んでいるが、王都はそこではなくデュータム点あたりに置こうと思っているから、神殿とはやはり別なんだよ。チューラウ軍は開拓地と神殿とを同時に守る必要があり、機動性を重視される軍となる。」
じゅえる「でもそんなにうまく領土獲得ができるのかなあ。」
まゆ子「というかするんです。」
弥生「開拓に必要な資金やら人間やらはどうするの?」
まゆ子「自前です。つまり、弥生ちゃんの考え方だと、誰か大商人に地券を売ってその土地を開発する許可を出す、そして大商人が人を連れて入植させる、費用は自前だが入植の100年間は無税という事になっている。そして開拓村では全員が弓の稽古もして屯田兵となり村を防衛する、それでも不足する時には重装備のチューラウ軍がやってくる、村同士の争いや開拓民に対する大商人の犯罪的行為に関しては救世主神殿から裁判官がやってくる、最高裁は救世主本人だ。罰則として大商人は地券を召し上げられる事もあるが、買い足す事も出来る。また、場合によっては横暴が過ぎると地元から切り離し別の土地に改易する事もある。地券制度だからどこ、という拘束は無いのを利用する転封制度だね。」
弥生「ふむ。システムは分かったけれど、初期投資がかなり問題だね。なにか、売り文句が無いと人は寄って来ない。」
まゆ子「そこで、弥生ちゃんは「郷主制度」を考える。つまりは、或る程度の処罰権も持つ世襲の地主制度だね。ヒラの一般民やただカネを持っているだけの商人も、郷主として認められれば社会的階級が上になるのだよ。」
じゅえる「階級制度を新たに作るの?」
まゆ子「うんそうだよ。というか、弥生ちゃんの考え方は極めて革新的だ。聖蟲を持つ者とは関係の無いところで発生する身分制度、これを打ち出すのだ。褐甲角王国では一応は一般民は平等というタテマエで農民議会とかで実はがんじがらめに縛っていたんだけれど、これを解放して直接身分制度を創出する。」
弥生「時代に逆行するような気もするけれど、いいのかな。」
まゆ子「その代りに、彼らには農民を餓えさせない義務が生じる。防衛の義務もある。飢饉に備えての食糧の備蓄や寇掠による損失はぜんぶ郷主が被る事になり救済の義務を持つ。その代わりの身分制度だよ。失敗すると転封や地券の剥奪を受けるのだ。地券は要するに地債と同じで分割が可能だから、ちょっとずつ罰則として取り上げられたりもする。」
弥生「ふむふむ。では郷主による議会、という考え方も出来るのだね。」
まゆ子「ゆくゆくはね。ま、その前に領土をなんとかして分捕らねばならない。」
じゅえる「でもそうすると、聖蟲を持った者、というのは郷主になれない?」
まゆ子「基本的には、トカゲの聖蟲は無いのだから、聖蟲を持った者といえば褐甲角か金雷蜒かの出身者となる。これは両王国との協議で客人として救世主神殿で管轄して、国民にはならない事を取決める。ま、住むの勝手だけれどね。更に救世主神殿では神剣を管理してチューラウ軍に与え、神威の格上げを狙う。つまりは日常生活ではあんまり十二神の聖蟲は関係無いようにするのだよ。」
弥生「つまりは、褐甲角王国も金雷蜒王国も存続し続けるのだね。」
まゆ子「そのつもりです。えーと、つまりはですねえ、それに反発して毒地を取り上げるのに抵抗する勢力と最後の戦争をする事になります。青剣戦争と呼びましょう。これをやって支配権を確立した弥生ちゃんは、そこで劫アランサにカベチョロを与えて海の向うに去って行くのです。」
じゅえる「チューラウ軍というのは、郷主に兵員を出させるのかな。」
まゆ子「いえ、これは傭兵です。」
弥生「傭兵、って、兵隊を雇い入れるの?」
まゆ子「逆です。救世主神殿が傭兵をやってるのです。」
じゅえる「そんなもん作って大丈夫なのかな。」
まゆ子「大丈夫なんですよ。その為に神剣を与えた者を将にする。兵員は方台全土から志願者を募り、青晶蜥神救世主の下に誓って正義の戦士となる。で、悪をやっつける戦争をする。交易警備隊は紅曙蛸王国の発明だけれど、傭兵団は弥生ちゃんの発明になるのです。」
弥生「傭兵は、戦争が無くちゃあ生きて行けない。」
まゆ子「そのとおりで、今後の1000年は戦争がしょっちゅう起こります。」
じゅえる「そんな救世主があるの?」
まゆ子「歴史を眺めれば分かりますが、戦争が何年も起こらなかった平和な時代というのは、そうは無い。」
弥生「まね。」
まゆ子「さらには弥生ちゃんは既存の王国を分割してしまいます。だから、戦争はいやでも起こるのです。その時どちらに対しても中立であるのが青晶蜥神救世主神殿、だから軍勢も中立な傭兵だ。」
じゅえる「なにか、絵図が見えないんですけど。」
まゆ子「いや、めちゃくちゃ簡単な話、これはギィール神族やら黒甲枝やらを青晶蜥王国で利用するための方便だ。聖蟲を用いない青晶蜥王国では飛び抜けた戦闘力というものが存在し得ない。であれば、聖蟲を持っている軍隊を持つ既存の王国の方が強い。しかし、正義は彼らに無いとして青晶蜥王国に味方したいと聖蟲を持つ者が思った場合には、どのようにして味方すればよいか。」
弥生「はあ。つまりは、聖蟲を持つ軍隊を独占させない為の方法なんだ。」
まゆ子「とりあえず、赤甲梢を最初に買います。」
じゅえる「納得行った。そういう話か。」
まゆ子「というわけで、聖蟲を聖戴させる権限を既存の王国から取り上げる必要があります。というか、取り上げるんじゃなくて更に至高の存在として祭り上げ、中立化を図るのですね。その為に救世主神殿というシステムでどの王国からも救世主を独立させているのです。青晶蜥神救世主と同格なのは、聖戴を行う能力を持った武徳王、神聖王それに紅曙蛸女王だけ。だから、それ以外の聖蟲を持つ者はそれぞれの王国において、それら至高の存在から離れて世俗の存在にならねばいけない。政治的軍事的自由度を高くするためにもそれが必要。つまりは聖蟲を持つ人間を俗化させるわけで、それに納得出来ない者をチューラウ軍で引きとろうというわけだ。」
じゅえる「でもそう簡単に俗化するのかな。」
まゆ子「いや、ギィール神族は最初から俗な存在だ。神族だけに何者にも縛られない、というわけで聖別されてはいたけれどやってることはとても日常的なんだよ。自分でも働くし。問題は褐甲角王国だ。初代武徳王の聖なる誓いから解放された彼らをどう扱うか、これからの物語で大変なテーマになる。そこで弥生ちゃんが提唱するのが、聖戴を与える権限の至高化と聖蟲を受けた人間の自由意志の尊重。何者にも縛られない神の使い、という枠組みの設定だ。張り合いを無くした黒甲枝をどう救済するか、それが今後の物語の核心となる。ギィール神族はほっとっておいても大丈夫だけどね。」
弥生「じゃあ、勝った褐甲角王国は瓦解するんだ。そりゃあ、大変だな。」
まゆ子「大変なんだよ。瓦解を最初に予見し防ごうとしたハジパイ王は、それが故に大弾圧を引き起こし、瓦解に拍車を掛けるんだ。」
じゅえる「なるほど。今後のドラマの展開が読めました。そういう話であれば、王国分割という解決策も納得出来ます。つまりは、黒甲枝の中にも意見対立が発生するんだ。」
まゆ子「ま、そういう事です。武徳王が中心としてあるのは正しいとして、今後王国はどう進めば良いのか、誰にも分からなくなり、頑に初代武徳王の誓約にしがみ付こうとする者、時代に則して在るべき姿を探そうとする者、青晶蜥神救世主の新時代に対応しようという者、民間ともっと融合しようという者、色々居ますよ。」
弥生「・・考えてもみなかった。そうか、大審判戦争って、そうなるからこそ大審判なんだ。」
じゅえる「でも、金雷蜒王国はなにもダメージを受けないの?」
まゆ子「見た目ほど平気でも無いんだけれど、まあ神聖王を取っ捕まえられたしね。民衆の為に何を為すべきか、というのは問題にはならないけれど、奴隷という立場から脱却して生き生きと普通民として生きる人間が出て来ると、また話は変わるのだが、それはまた100年くらい先の話。
えー分割後の十二神方台系は
・東金雷蜒王国:ッツトーイ山脈西部まで
・ギジジット神聖王国:ギジジット周辺直径100里
・十二神殿領:神聖街道から聖山全域
・青晶蜥王国:毒地中部から南部、トロシャンテ封禁地
・メグリアル王国:ボウダン街道から毒地北部
・カプタニア武徳王国:褐甲角王国西部からカプタニア山地、スプリタ街道北中部まで
・南部褐甲角王国:アユ・サユル湖とベイスラから南、トロシャンテ除く
・新生紅曙蛸巫女王国:タコリティから円湾まで
・西金雷蜒王国:西部島嶼部と方台北西部まで
になります。ちなみに十二神殿領は救世主神殿によって管理される、事実上の青晶蜥王国領です。ちなみに弥生ちゃんは後に、方台共通通貨というのはガラスで作ります。単位はカベチョロン!」
弥生「ガラス? 偽造が簡単じゃないのかな、それ。」
まゆ子「いや、かなり厳密な型を使っているから、偽造は相当難しいんだよ、元の貨幣から型を取ると確実に失敗するという方法を用いている。なぜガラスかと言えば、壊れるから。作り過ぎたら廃棄すればいい。インフレにもなるけれど、モデルチェンジも簡単だから偽札防止も出来る。厳密な型を作る手間と費用が掛かるのが偽造防止に繋がるんだね。勿論ただのガラスではなくて、屈折率が厳密に定められていて、分光器に掛けるとすぐ贋物が分かる仕組み。」
じゅえる「おもったよりも製造にコストがかかりそうだよ。所詮は紙幣みたいなものなのに。」
06/05/24
まゆ子「てなわけで、とりあえず今手直しの最中ですが、げばると処女EP3「第8章 赤甲梢の話」「第9章 ヌケミンドル防衛線の話」ができたのです。」
じゅえる「ちと長い?」
まゆ子「第8章はかなり長かったのをここまで切りました。第9章は普通だな。」
弥生「で、へんな女男が出て来たわけだ。あれでよかったの?」
まゆ子「今後どんな活躍をするのかしないのか、それはまた考えましょう。
しかし、今回思ったのは、赤甲梢の軍隊としての組織について、ほとんど設定が無いのは困りました。」
じゅえる「そうだっけ?もう何回も出ているのに。」
弥生「なぜだろう。詳細は無かったっけ?」
まゆ子「無いのです。ホントに。てなわけで今からやります。
えー、赤甲梢は結構歴史のある部隊でして設立されてから200年弱になります。設立のきっかけは赤い羽を持ったカブトムシの聖蟲の出現です。従来のものよりも飛翔能力が強いと見込まれた聖蟲が品種として確立して、それを使って飛翔実験をする隊が出来たのです。これが最初の赤甲梢。無論失敗しますが、この時に作られたタコ樹脂で作られた背中の4枚の翅を持った飛行甲冑というアイデアは、その後進化して今の翼甲冑になります。
で、最初にこのカブトムシの聖蟲を聖戴したのは、黒甲枝の次男三男で家督相続が出来ない者、というのは同じなんだけど、武勇に優れたというのは少し違う。最初は武徳王の側にあって飛行能力の復元を目的とした宗教的な意味合いの強い実験隊だったのです。しかしそれが無理だと判明すると、折角出来たこの部隊をどうにかして活躍させようとして、今度は甲冑改善の実験部隊になりました。つまり、タコ樹脂の翅という新アイテムを甲冑に装備しての運用実験、それも激烈な格闘戦時においての実用性の検証という、極めて実用的で激しい性格になるのですね。現在の重甲冑や翼甲冑、丸甲冑に装備されている翅はここから生まれました。
で、新装備の実験隊という性格はそのままに、兎竜部隊の実用実験が開始されたのが50年前。そして、本格的に兎竜隊の構想がなったのが20年くらい前です。兎竜の前は牙獣の使役実験をしていて、これは一応の成果を上げて現在は牙獣運用隊というのができていますが、数は少なくて10頭程度しか飼っていない。兎竜は背中に乗るのに必要な装備の開発に10年以上掛かり、やっと飼い方が確立して隊列を組んで乗る事が出来るようになって、最初の兎竜部隊が出来たのが焔アウンサが総裁に就任する10年くらい前。しかしその時はただ単に高速で移動して背中の神兵が飛び降りて戦場に展開する、という方法のみが考えられていました。この戦法は今も踏襲されてはいます。
が、焔アウンサは総裁になると同時に嘘みたいな指導力を発揮して、兎竜運用研究を乗っ取ってしまいます。というか、早くてかっこいいから自分でも乗ってみたくなったんですね。そして総裁自らが兎竜に乗る事で部隊の自由度が大きく高まり、寇掠軍に対して直接攻撃をする戦術研究が始まったのです。
一方装甲神兵隊の結成は後年でかなり新しい。翼甲冑が採用されてからです。
ソグヴィタル王 範ヒィキタイタンが黒甲枝の若手改革派からの意見をまとめて、これから青晶蜥神救世主を迎えるにあたって、褐甲角王国も存在意義を示さねば存続が危ういということで、東金雷蜒王国への直接侵略計画が発動したのです。これにはもう一つ、長大な国境線の警備に軍事費が掛かり過ぎてなんとかして合理化をしなければならない、という切実な動機もありました。要するに、守ってばかりでは敵にいいように動き回られて守るべき箇所がうなぎ登りになって費用が嵩むのに対して、こちらからも攻めれば相手にも防衛費増額という負担を押し付けられて、攻撃側への資金投入が少なくなり、こちらの防衛費を削減出来る、という見込みがあったのです。というわけで、新規に投入が可能になった兎竜部隊で長大な国境線を広域にカバーして省力化を図るのと同時に、それで浮いた黒甲枝を東金雷蜒領への侵攻部隊に用いる、という案が出来上がったのですね。
そこで、赤甲梢の場を借りて、拠点攻略特殊攻撃隊、なぐり込み部隊として、装甲神兵隊が出来たのです。
さらにもう一つ。装甲神兵隊には別の組織がありまして、紋章旗団という神兵隊がありました。これは、黒甲枝の正規の継承者のみで構成される部隊です。黒甲枝の家は代々聖蟲を受継ぎ軍務に励みますが、その当主がなんらかの事情で軍務を続けられずしかもその子が幼い場合に、親類やら兄弟やらが代わって聖蟲を受継ぐ事になり、その者が引退しない限りは正規の継承者である子供がいつまでも聖戴を受けられないという事態に陥ります。家の都合だけで聖蟲の継承をやっていいものではなく、軍から必要とされる人材はみだりに聖蟲を手放していいものではありませんから、あぶれた子供たちをなんとして救済する必要があります。それが紋章旗団で、一時的に仮の聖蟲を与えて軍務に就かせ、正当な継承が行われるまでの期間を無駄に過ごさせない、というのですね。彼らは要するに筋目のいい赤甲梢でありまして、故に近衛兵団へも多数輩出しているわけですが、黒甲枝の秩序上この部隊はひとかたまりでなければならなかったのです。そして、或る程度は軍務の、それも最前線で手柄を上げさせなければならない。
そんな時に、ヒィキタイタンの侵攻作戦が発案されて、殴り込み部隊の必要性が高まるわけです。紋章旗団はこれ幸いにと赤甲梢に押しかけて、共に訓練を開始する。ついでに兎竜による寇掠軍狩りに随行して、手柄も立てさせてもらう、というわけです。で、結局焔アウンサの気質に当てられて今ではすっかり赤甲梢に馴染んでしまったのですね。」
弥生「でも、ちょっと兵力の集中が多過ぎやしない?」
じゅえる「平時にそんなに兵力を集めて、負担にならなかったの?」
まゆ子「いや、そりゃ当然そうなりますよ。だから兎竜は100頭しか持ってない。これ以上の増強は認められませんでした。また、当面侵攻作戦は延期という事になっちゃいましたから、赤甲梢も分割されて広域防衛隊に改変され、また元のこじんまりとした実験部隊に戻るところでした。カプタニアが劫アランサに求めるのは、それです。ハジパイ王の考えでは、赤甲梢が少し増え過ぎたからリストラしようという話になってまして、代りに黒甲枝への縁戚関係を進めて吸収しよう、という手段に出るつもりでした。要するに、侵攻作戦を潰して、赤甲梢を官僚にしてしまおうというのですね。それはまた、青晶蜥神救世主の出現を待ちわび踊らされている民衆を鎮める為に、治安機能を拡充しようというものです。ヒィキタイタンは逆に、侵攻作戦を始める事で王国の権威を高めて沈静化させようと考えて居たんだけどね。
しかしながら、まあ。ヒィキタイタンがその案をまとめて発案していた時期、というのは実は軍の遠征が相当縮小されていた時期なんだ。ハジパイ王の力も強かったし、なかなか成果が上がらないので当時の兵師統監が首になるし、で黒甲枝の間でも働き場所が無い不満が燻っていた。だから、でかい戦をおこしてやろうというヒィキタイタンについてくる者も多かった。それに、赤甲梢も出番が無いままに任命され聖戴を受ける者が段々在庫として増えて行っちゃったんだね。だから最初から増やそうと思ってはいたけれど、予想外に増えちゃったてところもある。」
弥生「つまり惰性で増員してしまったわけだ。何年かに一度は消費するはずの人材が、全然用いられなかった。」
じゅえる「というか、小手先のつじつま合せに赤甲梢を使ってみましたてとこでしょう。」
まゆ子「クワアット兵に対する褒美としての赤甲梢、という意味はあります。社会の安定化の為に、上にのし上がれる回路を作っておくのは常道です。しかし、それには適正規模がありました。250、いや紋章旗団を抜いた200の赤甲梢は少し多過ぎましたが、それも侵攻作戦の存在によって許されて来たのです。というか、侵攻作戦が生きている限りは赤甲梢は便利に使えたのです。」
じゅえる「あー、組織図に行きましょう。」
まゆ子「総裁の焔アウンサが兵師監待遇で一軍の将ですが、基本的にはお飾りです。カプタニアではそう理解しています。
故に赤甲梢を運用するのは、その下の人材で大剣令がそれになりますが、これが結構多い。赤甲梢は大剣令の墓場みたいにもなってます。要するに、大剣令になった後に昇進の位が無いから赤甲梢にする、というような感じね。
兎竜部隊、装甲神兵団、紋章旗団、クワアット兵団の四つに分かれます。クワアット兵団は補助の為の部隊ですが、装甲神兵団に随伴する事を考えられていますからかなりの精鋭揃いです。というか、クワアット兵が寇掠軍と集団で遭遇する場面というのは、事実上寇掠軍狩りをする赤甲梢しかなかったので、最近は実戦経験のスキルを上げる為に各部隊のエリートをここに何ヶ月か派遣する、という習慣が出来ていました。
兵数は
兎竜部隊 8旗団12騎ずつで96名+予備の兎竜16頭
装甲神兵団 2幟隊 50名ずつ100名→4幟隊25名ずつ100名
紋章旗団 1隊50名
クワアット兵団 10隊100名ずつ1000名、兎竜部隊・装甲神兵団・紋章旗団に分かれて付属
役職は
兎竜部隊 頭領1 副頭1 旗団長8(前二人を含む) (旗団長は青旗団と青緑旗団のみ中剣令だが階級よりも兎竜への適正が優先されている。
装甲神兵団 頭領1 紫・赤紫幟隊長2(紫幟隊長が頭領) 副長4ここまで大剣令(兎竜部隊よりも年功序列が優先される
→現在 頭領1(空席) 紫・赤紫・菫・黒(濃色)幟隊長4 副長4
紋章旗団 団長1 副長2 (現在は赤甲梢から外れて団長の上に司令官がある。
クワアット兵団 団長1(大剣令・凌士大監 副長1(大剣令・凌士監 各隊長10(中剣令 副隊長20(小剣令
ちなみに褐甲角軍では、同じ階級の場合神兵が優先、赤甲梢と黒甲枝は黒甲枝が優先、他は昇進年次によって命令系統が成り立つ。そこで役職によって命令系統を分けるという事になる。」
弥生「めんどくさいね。」
まゆ子「普通の中世の命令系統よりは楽だよ。爵位が関係無いもん。」
じゅえる「爵位は無いの?」
まゆ子「黒甲枝はひとかたまりの爵位だからね。黒甲枝>赤甲梢 という順序はある。しかし黒甲枝内では、主要家系以外は皆同じという事になっている。有力家系は通常元老院入りするから、別なんだ。」
じゅえる「あ、棚上げされちゃうのね。」
まゆ子「うん。軍務に元老院は関れないから、爵位は命令系統に意味を持たない。領地をもらうわけでもないから、分ける道理も無い。
あ、それから、団と隊の区分ね。
簡単に言うと、旗団というのは、特別に命令されて独自の行動を許される集団を言う。兎竜部隊は移動距離が長くて直接指揮官の命令が出来ないから、独自の判断で行動するように旗団を名乗っている。つまり、紋章旗団もそうなんだ。近衛兵団の一分隊なんだけど、独自に行動する事が出来る。
で兎竜部隊は、つまり隊だ。赤甲梢実験団に属するひとつの隊。装甲神兵団は既に独立した兵団なのだが、赤甲梢に管轄される。早い話がXナンバーが取れて、ちゃんとした部所に引き渡される直前の姿なんだ。このまま、『侵攻軍』に所属して装甲神兵団を名乗る。兎竜部隊ももうすぐ兎竜騎兵団となり、『ボウダン/スプリタ街道 広域防衛軍』の所属になる。
ただし身分としては赤甲梢には違いない。頭に赤いカブトムシが乗ってるからね。」
弥生「なんかくるしいな。」
まゆ子「苦しいです。語呂がいいように名前つけてきたツケが回りました。」
じゅえる「赤甲梢は、普通の部所に配置されないの?」
まゆ子「そいう考え方は取りません。彼らは最前線に居る事を求められ、また求めます。そういう意味合いで聖戴を許されているのです。王国の安定と民の生活の安寧を守る黒甲枝とは全然違います。戦闘屋であることに誇りを持っています。だから引退も早いし、引退すると聖蟲も返上する。聖蟲が無くなってしまえば、黒甲枝も赤甲梢も関係無いただの聖戴経験者で区別はほとんどありません。」
弥生「じゃあ、赤甲梢は前線にあることを義務づけられているから、強い繋がりを持つのだね。」
まゆ子「ま、そうです。聖蟲の色により団結力をもっているのではありません。皆で闘う事が決まっているからです。」
じゅえる「じゃあ、紋章旗団は赤甲梢であるからには、やはり他の赤甲梢と同じ団結力がある?」
まゆ子「あります。ですから、ギジシップ島攻略に参加すると聖蟲継承権を失うかもしれなくても、やはり部隊丸ごと参加してしまいます。焔アウンサも、「司令官ぶった切ってでもついてこい」と言ってくれました。」
弥生「なるほど、そこんとこはドラマがあるね。」
補足:
赤甲梢は「ギジェカプタギ点・ガムリ点同時攻略作戦」の準備研究に入る前までは、こんな具合に分かれていました。
戦術研究隊 武器・装備研究隊 神兵による集団戦闘研究隊
戦術研究隊は主にクワアット兵を用いて新たなる戦術を研究すると同時に、彼らが剣匠としての訓練を行い特殊部隊員としての能力を身につける場所でもあります。
だから戦術研究隊に入って首尾良く訓練が終ると「剣匠令」という位がもらえます。
赤甲梢の総裁がなぜ王族かと言えば、その理由はココにある。つまり、王族から直々に「剣匠令」をもらう事でステータスを上げて誇りとする。だから、剣匠令をもらえるのは赤甲梢と王都の近衛兵団だけです。武器・装備研究隊はもちろん翼甲冑や兎竜を研究する所で、兎竜部隊は元はここの所属から、実用研究として戦術研究隊に所属を換え、更には独自研究隊へとステータスを上げて来ました。
神兵による集団戦闘研究隊は、聖蟲を持つ神兵を対象にした剣匠としての訓練施設です。黒甲枝は聖蟲が憑いているから戦闘力は抜群なのだけれど、武術の訓練はそれまでの軍務と訓練によって規定される。つまりは、兵士としての訓練だけで武術家としての訓練は受けていない。更には聖蟲によって与えられる怪力を利用し重甲冑を着用しての武術は特別な訓練が必要で、これまでの身体の動きから相当修正される。よって再訓練が必要で、これは通常聖戴式が行われる王都カプタニアの近衛兵団で行われるが、その中でも更に武術を極めようと思う者が志願して、近衛兵団に居残るか、赤甲梢の研究隊に配置替えされて訓練されるわけです。
剣匠令の位の重みはクワアット兵と神兵では少し違い、神兵は神兵を含む剣匠隊(特殊部隊)の指揮が許されるが、クワアット兵は一般人だけで構成される剣匠隊だけに限定される。ま、これは当たり前です。
赤甲梢と紋章旗団の関係は少し複雑で、本来近衛兵団に属する紋章旗団ですが、近衛兵団はその名の通りに武徳王の傍を守るものでおいそれとは出陣しない部隊です。一方赤甲梢は古来より寇掠軍の多いボウダン街道にあり、戦術研究と称して寇掠軍に掛け試しを行って来た武闘派。或る時には部隊単独でギジェカプタギ点に乗り込んで壊滅状態にされた事もあるという、まあ荒っぽい所。だから同じ剣匠令を持っていても、近衛でとったのと赤甲梢でとったのでは、周囲の見る目がちょっと違う。そこで近衛兵団の側の対応策が、筋目のいい赤甲梢である紋章旗団を共にボウダン街道に置いて、やはり同じように寇掠軍と戦って来い、という黒甲枝の名誉を掛けた部隊なのです。ま、同じ赤いカブトムシを載っけている同士だし、二つの部隊は結構仲良しでした。
06/05/25
まゆ子「てなわけで、どんどん行きますよ。第10章イルドラ姫さま初陣です。」
じゅえる「えーと、イルドラ姫様はベイスラ地方に行く事でOK?」
まゆ子「はい。直接ベイスラのキャラと激突します。まず穿攻隊の人と、防衛陣の人と、内部に潜入してと、主要キャラ全部とぶつかります。」
弥生「なんというか、第9章になにかひとつもっていけばよかったのに。」
まゆ子「ま、それはよしとして。えーどうしましょう。」
じゅえる「穿攻隊が直接襲いかかって来るのかな。」
まゆ子「いや、とりあえず普通に国境線まで行くつもりです。というか、穿攻隊の位置は、ヌケミンドルの左右、という所で、ベイスラを直接守るものではありません。こういった方がいいかな、ヌケミンドル国境線100キロの南北20キロずつは、穿攻隊によって守られている。」
じゅえる「サンドイッチになってるんだ。」
弥生「ではヌケミンドルは実質国境線60キロの攻防だ。でも、ベイスラもそれでは80キロの南20キロを守られているてことでしょ。」
まゆ子「理論上はそうですが、運用上ではヌケミンドル防衛が優先されますから、まあ、県境の辺りは直接攻撃されない、というメリットで我慢して下さい。」
じゅえる「まあ、寇掠軍も迂回するしね。」
まゆ子「つまり、そこが相談するところですね。迂回して国境線を望む位置にあるイルドラ姫さまはいかに攻撃を行うか。ちなみにベイスラ地方にはもちろん先着の寇掠軍が居ます。」
弥生「えー、初陣であるからには派手な手柄が必要だ。手柄といえば黒甲枝と決まっているだろうが、この段階でそれはまあうまくない。初陣で成功する必要も無いかな。」
まゆ子「まね。危険な目にあってびっくりした、程度で十分です。」
じゅえる「渋滞に巻き込まれるとか。ゲイルの。」
弥生「むしろ行った先で観光案内をされてしまうとか。」
まゆ子「なにか、ものすごーく間抜けなことを忘れていたりしてね。」
じゅえる「えー、ここでも虫に刺されてしまうとか。ベイスラには夏草がぼうぼうに生えて居たりして。で、蚊とか蠅とかがぶんぶん飛んでる。」
弥生「荒猪に襲われるとか。」
まゆ子「それはいいかもしれん。荒猪ね、草の中から飛び出して来て、いきなり囲まれてしまうという。なぜだー、という内に撤退してたりする。」
じゅえる「ご飯を食べられてしまって居たりするとかも。ネズ公の仕業で。」
弥生「いきなり落とし穴に落っこちるとか。」
まゆ子「ふむ、神聖金雷蜒王国時代の遺構が陥没してたりするのね。ふむ。」
じゅえる「では、なぜか黄金を発見してしまう事にしよう。人食い教徒かなにかがひそかに隠していたのを発見してしまう。」
弥生「いや、この段階でそれはちょっと。むしろ火が。火事を起してしまって、大ピンチ。」
まゆ子「遺構を発掘してしまうのは悪くないね。スガッタ僧が活躍出来る。ここを秘密の前進基地にしようと考えたのが大間違い、というのかな。」
弥生「でも何かが出て来る方が面白い。なにか、巨大な化け物とか。ゲイルを越えるデカブツが。」
じゅえる「なめくじとか。」
まゆ子「なめくじね。放射性同位元素をたらふく食べてるなめくじというのはどうだろう。闇の中にぼーっと光っている。」
じゅえる「考慮しておきましょう。でも放射性物質ってあるの?」
まゆ子「無いと考える必然性も無い。」
弥生「なんだか分からないけれど、聖蟲が強く反応する、というのがいいな。とにかく毒であることだけは分かる。」
じゅえる「お宝は無しにするかな。」
まゆ子「放射性物質は光るお宝だけど、まあ止めとこう。・・・ロケットを発見するか。」
弥生「また。」
じゅえる「またあ。」
まゆ子「いや、宇宙船といいますか、それからロケット燃料が漏れているという事で。UFOの方がいいかな。」
じゅえる「でもこの段階でそんなものが出るのはちと不用意だ。伏線を敷いて置くのは理解出来るけれど、それは安直過ぎ。」
弥生「なにか用途の分からない機械物を発見する、でいいじゃない。ロケットとはとても分からないなにか不思議な機械。ギィール神族にも正体が分からない。」
じゅえる「そうこうする内に、連れて行った蝉蛾巫女がなにか物の怪に取憑かれて。勝手に喋り出す。なにものかに支配されて、「我が名はぴるまるれれこ、おまえたちに警告する。ここから早急に立ち去るのだ」とか言って、次いで知らないはずの地球の歌を「夜来香」とか歌い出して、皆撤退する。」
まゆ子「ふむふむ。つまりここは、青晶蜥神に縁の地なんだ。まあベイスラは弥生ちゃん降臨の地に近いからね。」
弥生「で地底から出て来た所で、黒甲枝の哨戒部隊とばったり出くわして、ほうほうの態で逃げ帰る。てとこかな。」
まゆ子「理解しました。」
じゅえる「でもそれは、要するに弥生ちゃんが北に飛ばされる伏線であるわけでしょ。もっとなにかバックボーンが必要だ。この遺跡は何時の物?」
まゆ子「えー、そうね。最浅部が神聖金雷蜒王国時代のもので、当時の人食い教徒どもの隠れ教会みたいな感じ。でも更に奥に行くと、それがあるわけよ。時代はー、まあッタ・コップよりも旧い。」
弥生「やっぱりロケットなんだ。というかUFOね。」
じゅえる「タイムマシンだったり。」
まゆ子「色んな機械がガラスに封印されている事にしよう。放射性物質もそうだ。」
じゅえる「カベチョロンだったりして。」
まゆ子「おー、なるほど。そう来たか。地球製の宇宙機なんだ。つまり、地球の文字も散見されるんだ、ここでは。」
じゅえる「では、メイドロボの一体くらいは潰れている事にしよう。アニタが転がっている。」
弥生「そんなんでいいのかな?」
まゆ子「よしわかった。アニタがタコハチと格闘した姿のままガラスの中に封印されているんだ。つまり、まるで作り物の人形と、テュークの小さいのが絡み合ったまま永遠に静止している。」
弥生「それをもっと分かりにくくね。」
まゆ子「うむ、凄い事になったが、戦争とはまるっきり関係無いんだ。以後、その場所には二度と行けないし。」
じゅえる「という事で、もう一回捻れ。」
弥生「うん、これをもう一度分からないように捻るんだ。」
まゆ子「あー、はいはいわかりましたよ。えーと、地球製のカベチョロンが落ちて来ている、というのは良いとしましょう。しかしまじで落ちたのではなくて、降ろされている。うーんと、ね。怪談話というか、霊の導きというかがあるんだよ。そう、そこには実は何も無い。無いけれど、一瞬の稲妻の様にビジョンが脳に叩き込まれて、そこにアニタの姿がある。」
じゅえる「古代の祭壇だね。うん、それなら大丈夫。世界観壊れない。」
まゆ子「焼けこげて、ガラス状になってるのだよ。超高温で溶けている。その中に、なにかが埋もれている。機械のようでもあり、生物のようでもある。」
弥生「十二神の祭壇だね。それは、そういう風に理解されるべきだよ。」
じゅえる「ここで弥生ちゃんが遭遇する世界を司る十二神に対するフラグが嫌と言うほどたちまくる、というのがよろしいな。」
弥生「というか、十二神てなに?」
まゆ子「基本的には、昔この星にやってきた超知的生命体。情報生命体ではなくて、ちゃんと身体がある。アメーバみたいなもの、と考えるといいかな。複数の惑星上に身体が分裂していても、精神というか情報統合体は一つに機能して、一部が破壊されても復元されてしまう。無論形状は自由自在で複数でも単数でも存在出来る。素材も自在。ようするにどんな条件下でも棲息出来る超生命体なんだ。そして、他の生命体の内部に浸透してその形状をコピーしてしまい、永遠に記憶する。知識と形状の区別が無く、或る形状が実現する機能もまた形状の一部と考える生物だよ。」
弥生「対立、という概念はあるわけ?」
まゆ子「勿論有る。そしてそれもトレース出来る。崩壊や死、異常も再現出来る。しかし、彼らにも寿命があり、つまり情報のエントロピーの限界に達して、自らの形状を維持する意義を失ってしまったんだよ。たとえて言うならば、情報というものに対する重要性を認識せず、消失にも価値を認めるようになった。」
じゅえる「そりゃ迷惑だよ。」
まゆ子「というわけで、この生物は自己崩壊の過程にあるのだが、それも1億年は掛かる過程であって、その間にこれまで取り込んだ異種の生命体の情報を、また元の形で再現というか出力しようという事になる。この生命体の宇宙史的意義とは、異種の生命体を異なる惑星、異なる恒星系に伝搬する機能を持つ、ということだね。それも現地惑星の環境に適合した新生命体として。だから、これは神ではないがそれに近いものではある。」
弥生「要するに、喰っちゃあ吐きしてる生命体か。ではこの十二神方台系のある惑星は、元の世界とは違う惑星なんだ。で、・・・元の惑星の生命体をそっくり移植するわけにはいかないの?」
まゆ子「それをして失敗したんだ。つまり、この生命体が崩壊する過程において、再現される生命体世界における統合原理、神の意志というものに近い、をまでも再現するんだ。この再現世界の神とは、十二神のようなものであるから十二神をやっている。そのー、なんだ。このアメーバ状生命体は一種類ではなく、何種類もが存在してそれぞれの型に応じた吸収と再現を行っていると考えて下さい。当然、或るアメーバ状生命体に吸収再現された生命系を他のアメーバ状生命体が呑み込み再再現する事もある。その時に、神の意志に近いものが発生するのね。それをも再現する能力を持つのが今回弥生ちゃんが出くわした奴。つまりは再現の痕跡までもを復元する機能をもったアメーバ生命体なんだ。」
じゅえる「ところがそれがうまく機能しない、ってことね。」
まゆ子「彼らは別に、超光速通信機能を持っていないからね。光速通信機能ONLYだよ。とある惑星上において、一時極端な収縮が起ってしまうと、本体に通信して機能復元するのに支障を来すことがある。彼らの言葉ではそれは「遊ぶ」になるんだが、要するに崩壊過程は楽しいんだよ、で遊び過ぎて、うまくいかなかったからやり直しをしている。彼らが吸収した時点での文明レベルまでも再現しようとして、でうまくいかないので段階的再現をしている。そこにカベチョロンという外挿された概念が影響を与えて、弥生ちゃんというモノの存在を発見したんだ。」
じゅえる「そこんとこ飛躍があるな。超高速通信機能をいつのまにか獲得してる。というか、時間移動までもしてるだろ。」
まゆ子「えへえへ。彼らに言わせるとそれは「穴に落っこちる」という感覚だ。彼らのスペックでは運用出来ない技術情報があって、再現された生命体のみそれを実現できたりする。彼らはたまに自分よりも優位な存在を呑み込む事もあり、それが先に再現されてしまうと彼ら自身が操作されてしまう時もある。超光速移動技術を持つ生命体を文明度最高潮レベルで再現してしまい、大失敗生命系崩壊という現象も少なくない。だからこその再再現機能だ。超科学技術を運用するに必要なメンタリティを持った限定的存在に自らを落とし込んで、慎重に再再現を行う。これが十二神の正体だ。その時、モデルとして同じ発達段階にある地球を観測して弥生ちゃんを発見したのだね。そして弥生ちゃんを吸収して再現する。元の弥生ちゃんはそんなこととは露知らずに地球でちゃんと暮らして居ます。」
じゅえる「じゃあ、地球は彼らに吸収されてしまったの?」
まゆ子「崩壊過程にある彼らは、一時的暫定的にのみ吸収してすぐ吐き出してしまいました。その痕跡が「ぴるまるれれこ」です。本来地球には無かったぴるまるれれこの概念が、吸収から解放された地球には残されています。過去何度もそういう痕跡が地球にはあります。それが地球の神です奇跡です。つまり、地球における神とは、彼らアメーバ生命体が他の惑星上の生命系を再現するためにちょくちょく覗き見した姿を、地球人が観測して理解したもの、という事になります。ですから地球には神は無い!」
弥生「なるほど。合理的だ。」
じゅえる「カベチョロン、とは何?」
まゆ子「彼らが未来の世界において発見した地球の遺物です。現在から1億年くらい未来に、宇宙空間に漂って居たカベチョロンの漂流船を発見、そこから遡って地球に行ってみると、既に何も無い。だから時間をも遡ってみました。ちなみにこの時の姿がぴるまるれれこの宇宙人です。つまりこうだ。彼らは分割してもひとつの存在である。限定的な存在に身を落したものもまた同じ自分だ。彼らは異なるレベルの自分を自在に操って、宇宙におけるありとあらゆるモノを探索し、吸収し、再現する。ぴるまるれれこ形態の彼らが発見したカベチョロンを、時間移動可能な十二神形態の彼らが情報を共有して、似た生命体だなあこれをモデルに再現してみるか、と時間を遡って覗き見したんだ。またぴるまるれれこ形態の彼らはそれを必要とすると知って居たからこそ、十二神形態の彼らの所にカベチョロンを持って来た。」
じゅえる「なにか、アメーバというよりも、宇宙連邦みたいなものだな。」
弥生「うん。なんか、異なる種族が共同して働いているみたい。」
まゆ子「考え方としてはそれもまた正しいが、宇宙連邦といえばなんやら高度なレベルの精神機能による価値観の共有で共同体を作るのに対して、これは原初の欲求に従って共棲している、てところだ。彼らは自らを元のアメーバ状形態に戻す為に、一度自らを滅ぼしてしまう。それを惜しいとは思わないんだな。そして、吸収したものを再現して、「他者」にしたところで再現は終了して、「存在の価値」が再生される。」
弥生「ちなみに「ぴるまるれれこ形態」とはどんなものなの。」
まゆ子「対消滅反応を生体レベルで行う、高エネルギー利用生命体だ。しりこにい、珪素系コンピュータ生命体で地球よりもよほど熱くてエネルギーのレベルの高い環境で進化した生命体。自らが出力するエネルギーを利用して、亜光速で宇宙を旅するのだが、呑気な連中だよ。めちゃくちゃ強力な演算機能をもっており多種生命体の演算機能をハッキングして自らと同じフォーマットの演算器を他者に外挿する事で増殖する。ま、地球のカーボナイトには縁の無い存在だけどね。彼らの「目」から見ると、地球人はものすごくエネルギーレベルの低い、触ると燃えちゃう陽炎のようなものだ。一万年の寿命を持ち亜光速でも苦にならない時間概念を持ってるのだよ。人間なんか目の前でぽっと開いては消えて行く朝顔みたいなもんだ。」
じゅえる「アメーバ生命体は、そんなものまで呑み込んだんだ。」
まゆ子「まあ、共棲しているというのが正しいのかな。アメーバ生命体は恒星間を移動する時はこの形態をよく用いる。強力だから。個体としての頑強さは宇宙でも有数なんだね。さらに言うと、しりこにいにとってアメーバ生命体は単なる巨大な記憶装置にしか見えない。処理される事のないデータがごろんと転がっているようにしか見えないから普通にハッキングして乗っ取ってしまうと、というかこれが彼らのお食事だが、いつのまにか取り込まれているのだ。演算器とデータベースは相性がいいからね。一度自らの身体を解体しても再現できる機能はしりこにいにとっても有益なものだ。だから吸収されてもどっちがどっちを吸収したのか分からない。」
じゅえる「で、弥生ちゃんは北の彼方に飛ばされて、十二神と対面するのです。するよね。」
まゆ子「再生された明美と対面します。しかし、もっとなにか神秘的な霊的な要素を叩き込んだ方が、ファンタジー的には有益だ。このままではSFになってしまう。」
弥生「SFでしょ?」
まゆ子「SFだけどね。」
じゅえる「まゆちゃんが言っているのは、ファンタジーを徹底的なロジックで合理化してSF化させる事。それも後世の手本となるような立派な合理化がやりたいのだよ。」
弥生「霊的なものねえ。」
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まゆ子「てなわけで、どんどん行きますよ。今度はヒィキタイタン事件です。」
じゅえる「ヒィキタイタン事件て概要書いてなかったっけ?」
弥生「後始末は書いたけど、実際どうしてこうなったかはまだ書いていないと思うよ。」
まゆ子「書いているわけがありません! まだ考えてません!!」
じゅえる「・・・・・・・・・かんがえて、ないの?」
まゆ子「今この瞬間、この説明を書いている段階でまったくありません!」
弥生「・・・・・・・・何年前からヒィキタイタン事件て扱って居たっけ?」
まゆ子「おそらくは3年ほどかと。」
じゅえる「・・・・ばか。」
弥生「ばか。」
まゆ子「はははは、バカだ、馬鹿の顔だ。と言いつつも、まあ話は簡単。要するにヒィキタイタンがこさえた東金雷蜒王国攻略作戦を、ハジパイ王がぶっ潰しただけのはなしです。」
じゅえる「それはみんな知ってる。」
まゆ子「ヒィキタイタン事件は4年、いやもうすぐ5年前になります。つまり、ヒィキタイタンが身代わりのカタツムリ巫女ファンファネラを殺させてしまい、永久追放になった時点を以って「ヒィキタイタン事件」が確定したのです。つまり、そこに到る一連の政治的運動が全体像になります。
さて、要するに東金雷蜒王国攻略作戦がそもそもの発端であるわけだ。ヒィキタイタンは21歳の時にソグヴィタル王位を継承しましたが、それまで近衛兵団とか赤甲梢とかに赴いて軍事について勉強していた先戦主義の若きリーダーなのです。ですから、王位を継ぐとたちまち独自の論陣を張ります。というか、それに到る前にすでに論はおおっぴらにしていたのですね。で、これが15年前。
15年前といえば、赤甲梢総裁焔アウンサが世間の注目を浴びるようになった頃です。この人が兎竜部隊の運用に口を出して、兎竜による寇掠軍の直接攻撃という手法を考え出します。これによって行軍中のゲイル騎兵を直接撃破する目算が付きまして、にわかに反攻の気運が高まって来ました。というか、その時点において褐甲角軍は武徳王の先代時代の侵攻作戦の失敗に懲りて、大幅に侵攻作戦の計画が縮小されていたのです。つまり、黒甲枝達も手柄を立てる機会が無い、しかも寇掠軍にいいように振り回されて防備を固めて長い無駄な時間を過ごし、それでいて防衛費が拡大するといういいとこ無し時代だったのです。で、武徳王が代替わりして先王の時代の軍政局を刷新して先政主義派にとってはいいような感じの時代になりますが、黒甲枝の反感は強まっていたのですね。で、そこにさっそうと現われたのが先戦主義派の若きヒーローヒィキタイタンだったわけです。
てなわけで、彼の下には若手黒甲枝の改革派がどっと詰め掛けました。彼らは侵攻作戦の立案と共に軍組織の改革も旗印としていました。現在の体制を変革しようというのですが、そこには青晶蜥神救世主の降臨が間近であるという焦りもありました。救世主が現われた時は、それまでの王国の達成した業績が審判を受け、善悪いずれかに裁きが下されると信じていたのですね、というか弥生ちゃんはそうしちゃいますが。で、褐甲角王国最大の悲願である、金雷蜒王国の打倒はまるっきり目処がついていない。これでは救世主さまに申し開きも出来はしないと、彼らは焦り侵攻作戦の立案に走ったのです。
で、彼らの努力は、妙な方向で報われました。
先政主義派が彼らの侵攻作戦を認める方向に動き出したのです。これには訳がありまして、先政主義派が政治の実権を握っているとはいえ、まるで防衛費の削減が進まない。旧態依然とした軍政局は確かに改革の必要があり、それもコスト削減が焦眉の急だったわけです。そこで、先政主義派は、侵攻作戦を認める代りに軍政局と軍全体の改革を黒甲枝に呑まそうと道具に使ったのですね。ここで、黒甲枝の旧勢力と若手改革派との抗争が起きて、なかなかに緊迫したものがありました。ま、旧勢力というのは先王時代に失敗した教訓を引きずっている人たちで、若手はそれを知らない世代なんですが、ともかくそういう事で抗争の場所が軍だけに反抗も出来ずに不満が鬱屈していくという最悪の状態になります。
この状況を打破する為にハジパイ王は、赤甲梢に侵攻作戦の予備的研究を命じます。若手の目を侵攻作戦に振り向けて、黒甲枝旧勢力は政治的に懐柔しようとするわけです。そこで、兎竜部隊の増強と装甲神兵団の正式な運用研究、翼甲冑の採用、紋章旗団の赤甲梢編入と立て続けに若手懐柔策が繰り出されます。
その間、ハジパイ王は黒甲枝旧体制派に、彼ら独自の改革案の提出を促します。期限付きで、それも何度もやり直しさせました。自殺者が出ようかという程に苛烈な圧力を掛け、それも元老院が直接改革に乗り出す事をちらつかせながらですから、凄いデスマーチになります、で出来たのが現在改変中の軍改革案です。これにより若手改革派の鬱憤は一応は鎮まりましたが、いまだコスト削減案に決定的な手段がありません。
ハジパイ王らの先政主義派は、本来金雷蜒王国との外交的手段を通じて武力衝突を回避し、寇掠軍の侵攻を減少させて、その隙に国力を増強して敵を打倒する力を貯えよう、という考え方です。しかし、彼らの思惑とは逆に、国内経済を立て直し国民の生活を維持するのに精一杯になってしまっています。そこで、東金雷蜒王国との和平を推進して寇掠軍の到来を減少させる圧力として、ヒィキタイタンらの侵攻作戦がそのネタとして用いられました。と同時に、この侵攻作戦の存在により互いの王国で軍備拡張が起こり経済規模の拡大が起こるのですね。褐甲角王国から金雷蜒王国へ輸出する木材やら砂鉄やらの量が倍増し、逆に金雷蜒王国から兵器が到来して旧世代の兵器を更新して戦力は変わらないままで合理化を行い、結局褐甲角王国は兵数の減員に成功するのです。
これは一種の詐術ですから、当然デメリットもあります。東金雷蜒王国でインフレが起きて神聖王宮の財政がピンチになります。そこで神聖王宮財務大臣ジッジルビト請ヴィドドによる人頭率の適用です。金雷蜒王国では王宮が神族に金属材料を貸出して、財物で返還させるという経済体制をとっていますが、その返還率を奴隷の所有する数で決定するという悪魔的制度です。基本的に古代的な産業制度では人間の数が生産力です。産業や環境によって生産額は違いますが、必要とする金属材料は生産額に比例するというわけで、たくさん借りた者も少なく借りた者もひとしく人頭率を適用すれば正当な変換率が決定される、というわけです。元々増税を目的とした策ですから、過酷なのは当たり前。で、当然のようにこれは奴隷のリストラを招きます。基本的にギィール神族というのは慈悲に篤く、奴隷の中に身障者や老人が居た場合でも、彼らに可能な労働を割り当てて平穏に暮らして行けるようにしています。が、人頭率の適用はこのシステムを破壊しました。老人や身障者は神族から追い出され路頭に迷い、それをしなかった有徳の神族は破産するという羽目に陥り、70万人強と言われる東金雷蜒王国の10万人がなんらかの影響を受けたといいます。褐甲角王国への難民がこの時一気に増えました。
最終的に金雷蜒神聖王はジッジルビト請ヴィドドを更迭し人頭率の適用を解除しましたが、民衆の恨みは彼に集中し、エリクソーの無断服用という罪で彼は王国を脱出します。その後タコリティ方面を経て褐甲角王国に亡命します。
さて、先政主義派の思惑は、思いがけない難民の増大という結果を招いて、国内政治を不穏な方向に向かわせました。王国に対する信頼が低下してなんとかして威信を取り戻さねばならない。そこで改めてヒィキタイタンは武徳王に「ギジェカプタギ点・ガムリ点同時攻略計画」を上奏します。この計画は極めて野心的かつここ100年においても最大規模の動員計画でありました。しかし先政主義派はこの計画を実行に移せば、必ず金雷蜒王国側からのリアクションがある。ヒィキタイタンの計画では留まらずに何年も戦争が続くと見込んで、計画発効の阻止に踏み切ります。
最初は良いように持ち上げて居て、都合が悪くなると掌を反したように反対する、という事で元老院でも意見が真っ二つに割れて対立します。この対立は武徳王の仲裁で一応の沈静化を見ますが、再度火に油を注いだのがジッジルビト請ヴィドドの亡命騒ぎです。王国内に居る難民達は、彼が褐甲角王国に迎え入れられたと知ると大激怒、全土で大騒乱を引き起こします。これによって、王国は難民問題というものに真剣に取り組まねばならないとようやく理解すると同時に、一般社会と難民との間に有る格差問題にも気付かされました。
先政主義派は難民問題を治安能力の拡充によって抑え込もうとするが、先戦主義派は金雷蜒王国へ侵攻して抜本的改善を主張する。しかしヒィキタイタンは侵攻計画の実現の為に敢えて膝を屈して、国内治安能力の拡充の議論に乗り出します。というのも、この時期は世情の混乱に乗じて督促派行徒の乱行が目に余るようになってきたからです。で、彼は新たに民生局の創設を唱え、黒甲枝を軍部と民生部門とに最初からすっぱり分けて、侵攻軍の捻出にも手続き上楽になるというシステムを考案します。
先政主義派の賛同が得られるはず、いや元老院の事前の予想ではそうだったこの計画が、なぜか元老院で否決されるという事件が起きます。
ヒィキタイタン事件はここから始まります。
元老院の裏切りにあったヒィキタイタンはその訳を知ろうとしますが、誰も容易に口を割りません。それもそのはず、実は官僚システムの改変に繋がるヒィキタイタンの案は既得権益者特に官僚達の強い抵抗があって、元老員達に大いに働き掛けていたのです。ハジパイ王はこの改革案の実現にはかなり時間が掛かると見て、長期的視点からの議会工作と官僚集団の切り崩しを掛ける為に、今回は元老院達に退かせたのです。ヒィキタイタンが蚊帳の外に置かれたのは、これが侵攻作戦とのバーターの取り引きになっているからで、要するに改革案が潰れると自動的に侵攻作戦も否決される構図になっていたのです。
それは納得がいかないから、元老院で大演説をぶちますが、大勢は動かずにヒィキタイタンは一時撤退を余儀なくされます。そして官僚システム自体が改革案を葬った事を知り大いに憤慨して、武徳王に官僚達の処罰と罷免を直訴します。元老院の秩序から言えば、法案成立に官僚の意志が交ざる事は許されないのだから当たり前ですが、さりとて官僚はひとかたまりで力を持っているので、武徳王といえどもいかんともし難く、またハジパイ王から長期的視野に基づく官僚制度の改革を示唆されていたからヒィキタイタンをなだめるしか無かったのです。
が、ヒィキタイタンはもはや敵は獅子身中の虫という事で、官僚に狙いを絞った電撃的な改革を企図します。黒甲枝若手改革派と呼ばれる者達も、日頃より官僚組織の腐敗やら怠惰やらは目に余ると思っていたのでこれに同調しますが、元老院の支持が無い事には官僚の一掃もできませんし、官僚を排除した後どうするかについて有効な対策をヒィキタイタンは持っていなかったので時期尚早という事でひそかに会議を持つものの、実行に移る事は当分無いと思われていました。
ただ、その動きはハジパイ王により察知されていて、これ以上若手改革派とヒィキタイタンの接触が続くのは動乱の元だと、軍改革のスケジュールを前倒しして人事により彼らの分散を図ります。この措置で若手改革派はイローエントやらカプタンギジェ関やらに左遷される事になります。孤立無援となったヒィキタイタンに対しては彼の動きを抑える為に、ちょうど1000年期にあたる年を記念して聖山神聖神殿都市に褐甲角神の神像を寄進するという大事な役を武徳王に働き掛けて、一時カプタニアから追放に近い形を取りました。
しかしヒィキタイタンは動きを止めず、遂には左遷された若手改革派を集めての失地回復作戦を話し合う事になりました。つまり、こちらから攻められないのだから、金雷蜒王国側に攻めさせて侵攻作戦を復活させようという、極めて危ない方法です。これにウラタンギジェの神族が絡んでいる、という根も葉も無い噂が命取りとなります。
ヒィキタイタンらは未だどのようにして東金雷蜒王国を大規模な出征促すか具体的な方法を持っていませんでしたが、かなり大規模な侵攻がその年に起きたのです。これは彼らの思惑とはまったく関係無く、先年来の人頭率による困窮から奴隷達を救う為にこの時期ギィール神族の寇掠軍出征がブームと言えるほどに大きく盛り上がったのです。彼らが思って居た通りの事が、まさに実現したのをヒィキタイタンは大いに喜び、元老院にとって返して再度侵攻作戦の必要性を訴えたのです。
ハジパイ王はこれを面白くなく聞き、なんとかしてその気運を潰そうと画策します。が、侵攻軍の度重なる襲来に王国内部の難民も呼応するとかの民衆の不安が広がり、なんとか手を打たねばならなくなりました。そこで、ハジパイ王はこれまで無制限に受入れて来た東金雷蜒王国からの難民の受入れ拒否・送還という王国の国是をも否定するような思い切った策を提唱します。元老院と黒甲枝ははなはだ驚きますが、民衆はこの策に対して極めて好意的です。別に民主主義でも無いのですが、褐甲角王国は常に民衆の側に立つべき存在として、民衆の意見には常から耳を傾けていますから、この動きの食い違いに当惑します。ハジパイ王は更に、軍事力を使っての強制的な難民排除までも提唱します。これはヒィキタイタンに対して、この状況下での侵攻作戦の発動は難民への対策を伴わねばならないものだ、というアピールですが、ヒィキタイタンの受け止め方は違いました。
原理主義的に初代救世主武徳王の誓約を守らんとする一般黒甲枝の声に動かされて、ヒィキタイタンはハジパイ王の難民対策を激しく批難、官僚に対しても先年潰された改革案があれば難民対策にここまで苦しめられなかったと逆襲に出ます。それに対しての官僚の抵抗は元老院の予想をはるかに越えたもので、ハジパイ王の制御すら効かないほどでした。ハジパイ王も、まずは官僚を切り崩す為にと、一芝居を打つ事を決意、彼らが王国の為にならない存在である事を天下国民武徳王に示す為に、ヒィキタイタンを生贄とする方法を考えます。
つまりは、ヒィキタイタンには政治的に一度失脚してもらい、その代償として官僚側にヒィキタイタンを陥れたという罪を背負わせ、官僚制度に巣食う既得権益にばっさりと斬り込む事を王国全体に納得させる。ついで、軍制度を改革して民生局を新設して軍部と行政とを隔絶するヒィキタイタンの提唱した制度へと作り替える。その間10年ほど、まだ若いヒィキタイタンはその後復権が叶うだろうし、ハジパイ王自身歳だから、自分に出来る内に官僚制度の腐敗はなんとかケリを付けておこうと急いでいた。
というわけで、先年の寇掠軍の大量襲来がヒィキタイタンによる外患誘致ではないか、という噂が元老院を飛び交い、その噂の出所が各部局の官僚であると王宮内外で口の端に上るようになったのです。官僚が聖蟲を持つ王族や黒甲枝に対抗して独自の力を持つ権益集団である、という認識が急速に民衆の間に広まる中で、ヒィキタイタンは元老院での弁明を余儀なくされる。しかし、この弁明はあらかじめ筋書きが決まっているわけで、どうあってもヒィキタイタンは勝てる道理が無い。さらには神聖王宮で武徳王の前での喚問も受け、ついには謹慎処分が下される。だが、官僚達に決定的なダメージを与えるにはこれでは弱い、という事で、再度の元老院への召喚が行われる。
この一連の喚問によって民衆のヒィキタイタンへの同情は高まるばかりだが、黒甲枝達もハジパイ王の思惑を知らされているわけではないので、ハジパイ王への反感がこちらも高まり、半ばクーデターのような形でヒィキタイタンの形勢を逆転させる方法を密かに討議するようになる。これには二通りの方法が考えられ、元老院に対する強力なアピールか、官僚自体への直接攻撃か、に分けられるが後者はハジパイ王の思惑から外れる為に王の息の掛かった黒甲枝が元老院へのアピールの側に持って行った。
一方ハジパイ王は、官僚の二分化を密かに進めており、既得権益に首まで浸かっている者と、改革に賛同する者との選別をほぼ整えて、官僚側からのヒィキタイタン擁護発言やら運動やらを引き起こし、既得権益側の者に彼らを処分させるという方法で敵の的を絞らせる事に成功する。しかしながら、ここで最後の一抉としてのヒィキタイタン追放が必要であり、彼には必ず落ちてもらわねばならない。ということで、黒甲枝有志の元老院殴り込みアピールという強烈な手段をそそのかして実行に移させると共に、それを神聖王宮に通報、未然に防がせる事でヒィキタイタンを決定的な敗北に追い込んだ。ハジパイ王はここで武徳王に進言して聖山へヒィキタイタンを一時左遷しておく、という方法で穏便に済ませる策を献じて彼の身柄を確保するつもりだった。
だがハジパイ王にも誤算はあり、元老院が自らに対する黒甲枝の反抗という一大スキャンダルに対して徹底的な調査を要求、ヒィキタイタンの再度の喚問と処分を要求する。主に先政主義派の運動であるからにはハジパイ王も止めようが無く、やむなく身代わりの人質として頭侍女カタツムリ巫女ファンファネラを置いて、あっという間にヒィキタイタンを聖山に追いやった。
その後情報操作により、市中には「黒甲枝の有志が悪い官僚をやっつける為に決起しようとしたのがヒィキタイタンにより未然に防がれたが彼はその責めを負って追放された」という事になり、ヒィキタイタンの喚問は手続き上のトリックで絶対間に合わないタイミングで召喚状が送られて、期限切れでファンファネラが刑死する事になる。
その後ハジパイ王はこの事件を道具として官僚制度と軍組織の改革に次々と成功、しかしヒィキタイタンを悪者にするという作戦はそのまま継続して王国に第二極がある事を常に演出し続けてきた。不在の先戦主義派の頭目は、実際に居る者よりも扱いやすい、という事だ。ハジパイ王の次のターゲットは青晶蜥神救世主となり、先戦主義派を対ガモウヤヨイチャンに振り向けるつもりだったが、先手を打たれて大審判戦争に突入して、もはやハジパイ王のコントロールから王国は外れて漂流し出している。
最終的なつじつま合せは、高齢のハジパイ王の死によって清算されヒィキタイタンの復権が叶うはずだったが、ヒィキタイタンはタコ王国を復活させてしまい、なにがなんだか分からなくなっている。
」
まゆ子「てのが、まあ大体の粗筋。」
じゅえる「かなりいいかげんな所もあるけれど、まあそんな感じか。」
弥生「なんと言いますか、・・・・ここまでの文章はほぼ修正も無く口から出まかせに綴られたものだから矛盾も多々あるのですが、・・・よくもまあべらべらと言えるもんだ。」
まゆ子「えっへん!」
06/5/16
まゆ子「あーというわけで、色々と苦労しておりますよ、第8章は。」
じゅえる「第8章は赤甲梢ですが、なにを苦労しているのかな。」
まゆ子「苦労する為に苦労してる。ま、なんとか出来たんだけどね。今、枚数削っている。」
弥生「苦労する為とは一体ぜんたいどういうこと」
まゆ子「早い話がだ、これから大審判戦争に本格的に突入するわけですが、わたし、アクション苦手。」
じゅえる「まあね。苦手というほどではないけれど、あまり書きたくはないね。」
まゆ子「やった事があまり無いんだ。だから、練習がてらに今回やってみたのです。」
弥生「戦闘シーンの描写か。それはご苦労さんです。」
まゆ子「なになに、今回は一本調子の戦闘シーンであったから、苦労と言ってもたかが知れているのです。問題は第9章。」
じゅえる「えーと、計画では黒甲枝のヌケミンドルでの戦闘、ですね。主人公は誰?」
まゆ子「未定なのだ。」
弥生「そりゃあたいへんだ。ヌケミンドル方面に誰も配置してないの?」
じゅえる「無いね。どうしよう、というかどうするよ。」
まゆ子「しかしながら、どうせここまで来るのだから、まったくもっての新キャラ新状況で行くしかないと思うのね。」
弥生「それはそうだ。でもどうするのよ。というか、黒甲枝?」
じゅえる「なるほど、それはどうしょう。黒甲枝で行くのはいかにも正統だが、クワアット兵にするという手もある。」
まゆ子「逆方面から書くという手もあるんだけれど、第10章はイルドラ姫さまだから、黒甲枝かクワアット兵というのが正しい。ただしいが、」
弥生「戦場に巫女とか居ないの?」
まゆ子「ざんねんながら、褐甲角王国には居ないんだ。女武者も無い。」
じゅえる「雑兵というか作業員とか、」
まゆ子「それを面白く書けるほど、わたしは自分の能力にうぬぼれてはいないよ。」
弥生「じゃあ、どうしようか。戦場のどまんなかに居て不自然でないものといえば軍人以外にありえないでしょう。」
じゅえる「弥生ちゃん本人が居るわけにもいかない。」
まゆ子「さてねえ。謎の薬売り計画は第11章になるはずだが、前倒しにするかな。それともスパイとか。」
じゅえる「やはりそんなところかなあ。弥生ちゃんの命令で最前線に潜り込んでいるスパイ、てとこかな。」
弥生「ま、なんらかのつながりがあるべきだとは思うよ。でも最前線にそんな怪しい身分の者が居るだろうか。」
まゆ子「トカゲ神官は、一応居るんだよ。医者だから。だけどそれも使えないかな。」
じゅえる「いやー、でもそれは。」
弥生「よし分かった。新キャラを立てよう。最前線に居て、しかもめちゃくちゃ怪しい奴。」
まゆ子「なにそれ?」
弥生「偉いさんの物見遊山だ。元老員とか。」
じゅえる「また大きく出たな。・・武徳王から派遣された督戦官てとこか。」
まゆ子「それはまた、大仰な。しかし、それでいくか。この回の性格上、自分で闘う人間は主人公に適してはいないんだ。では彼の背景はどうするか。」
じゅえる「男?」
弥生「おとこだろう。女にする必然性が無い。」
まゆ子「男だが、ひとりというのも芸が無い。侍女くらいは連れて、・・いやあ戦場に女は合わないなあ。やはり男の侍従だよ。」
じゅえる「彼は金色の甲冑とかを着ているべきでしょ。」
まゆ子「ただの鎧だよ。着てるのは。礼装甲冑だ。しかし只者というのはおもしろくない。」
弥生「ハジパイ王サイドかな。それともヒィキタイタンサイド?」
まゆ子「武徳王サイドはヒィキタイタンにむしろ近いのだが、彼は変人であるとして弥生ちゃんサイド、てのはどうだろう。弥生ちゃんのところから繋ぎも来ている。」
じゅえる「どういうにんげんなんだよ、それ。」
まゆ子「えーと、それはつまり、早い話が元老員でありながらも督促派行徒に近い考え方の持ち主なんだ。武徳王の命令で観戦しているのだが、この戦いの中で新しい時代を見つけようという。」
弥生「変人だ。」
じゅえる「では、焔アウンサからの紹介状を持って、弥生ちゃんのスパイが来ているて事にしよう。どんな奴?」
弥生「むしろ堂々と高言するべきでしょう。トカゲ王宮廷臣だと。」
まゆ子「OK、ではギィール神族のなりそこないの馬鹿でかいあんちゃんにしよう。女とみまごうばかりの美しい男性で、めちゃくちゃ怪しい。」
じゅえる「そんなむちゃな。」
まゆ子「ついでに、男でありながら乳房があるのだ。エリクソーの服用の失敗で女性ホルモンが増加して女性的外見になってしまったのだ。」
弥生「そんな怪しい奴を私は雇い入れたのか!」
まゆ子「これはーそのーなんだ。弥生ちゃんの趣味ではなくて、いいかげんなタコ巫女ティンブットが妙な約束をしてきたということで、弥生ちゃんが性転換手術をしてくれる、とか。」
弥生「ティンブットのする事ならば仕方ないなあ。」
じゅえる「では、この人はつまり、失敗作であるから神族になれなかったのだね。」
まゆ子「まあそうです。このくらいならば許容範囲だけれど、ゲジゲジの聖蟲が選んでくれませんでした、変過ぎて。」
弥生「そりゃ聖蟲も嫌がるか。」
まゆ子「金色の鎧は着ていませんが、銀色の鎧は持ってます。自前です。しかも胸には青く輝くぴるまるれれこの紋章付きだ。」
弥生「しかし、どういう口上で観戦を許可されるのだい、その人は。」
まゆ子「焔アウンサの推薦状で、こいつは変な奴だから、というのを、その督戦官がそれはそうだなと真に受ける。こいつも焔アウンサの知り合いなんだ。」
じゅえる「いいでしょう。よし。」
弥生「まあ、じゅえるはそれでいいか。でこいつは闘うの?」
まゆ子「ぜんぜん。帰るまでまったく闘う予定がありません。物見遊山です。ちなみに弥生ちゃんからもらった身分は、『青晶蜥神救世主神殿・建軍準備委員会観戦評論員』です。」
弥生「なんだそりゃ。」
じゅえる「つまり、物見遊山というわけだ。」
弥生「でもその督戦官てのは、その彼女みたいな彼から、弥生ちゃんがトカゲ王国において軍隊をどうするか、を聞くんでしょ。どうする。」
まゆ子「ちょっとだけ話しますよ。弥生ちゃんは毒地全体を領土として宣言し、褐甲角金雷蜒両軍の緩衝地帯とする、と。まさにそこで戦っている人間にとっては腸が煮えくり返るようなはなしだけれど、その人はなるほどと感心する。最初からそうならばよかったのに、と。」
じゅえる「で、第9章はなんとかなるか。他には?」
まゆ子「やっと考えついた。トカゲ王国において、ゲイル騎兵や兎竜騎兵に相当する機動部隊。」
弥生「ふむ。」
まゆ子「トロッコです。自転車には無理がありましたから、線路引いてトロッコ走らせます。これによって生産力倍増、しかも装甲トロッコで高速移動可能です。」
じゅえる「ちょっと待った。線路引かないといけないでしょ。鉄は?」
弥生「そうだよ、トロッコ自体も鉄でしょ。」
まゆ子「線路は、木です。鉄木というめちゃくちゃ硬い木がありまして、これに防虫用のタコ樹脂を染み込ませて平原に線路を敷きます。トロッコ自体は鉄ですが、弥生ちゃんはその前に自転車を作ろうと試みて、アセチレンバーナーによる溶接とローラーベアリングを作ってみます。自転車自体は重過ぎて弥生ちゃんには乗れなかったけれど、トロッコはちゃんと出来ました。」
じゅえる「装甲トロッコかあ。でも自由には動けないよね。」
まゆ子「でも可搬重量がめちゃくちゃ上がるから、スゴイよ。弩車なんかすいすいだ。」
弥生「ふむ。なんというか、堅実だね。」
じゅえる「そうだねえ、自転車とか気球に比べるとはるかにね。」
まゆ子「鉄砲大砲は、使わずに済むよ、これならば。うん。」
まゆ子「えーでは確認。
第8章 赤甲梢
第9章 ヌケミンドル最前線最初の闘い
第10章 イルドラ姫さま初陣
第11章 カプタニアと謎の薬売り
第12章 タコリティと海賊
第13章 最終章 弥生ちゃんウラタンギジトに行く 」
じゅえる「では、最終章は二話連続というのはやめたんだ。」
まゆ子「実はまだ迷っている。というか追捕師のレメコフ誉マキアリィの活躍をここらへんで書いておきたい。だから、タコリティ編を二話連続というのはどうだろうかね。12章でヒィキタイタンと海賊達の話、13章でマキアリィが恐ろしげな人喰い教徒達と出会う、ての。」
弥生「ふむ。では、エピソード4の冒頭は、弥生ちゃんウラタンギジトに行く、だね。」
じゅえる「問題ないと思う。ただ、人喰い教徒は敵では無かったはずだけど。」
まゆ子「敵ではないとしても、恐ろしくないといけないでしょう。幸いにカニ巫女クワンパは多少のことではびびらない。」
じゅえる「むしろ、怖い方が絵になるか。」
弥生「いいです。それで行きましょう。」
06/5/2
まゆ子「てなわけで、げばると処女EP3「第七章 いぬのはなし」ができました。」
弥生「今回は可愛い題なんだね。」
じゅえる「ま、内容を考えるとベストの題だね。斧ロアランをもう少し活躍させたかったけれど、こんなもんか。」
まゆ子「最初書いた時は49枚もあったんだけど、削りに削りまくったらこんなになってしまったよ。やり過ぎた。」
弥生「30枚以下、てのが目標なんだから、いいんじゃない?」
まゆ子「まー、そういう見方もあるけど。一人出したいキャラも削ったし、大狗自体が出て来ないし、後でなんか埋め合わせをしなきゃいけない。」
じゅえる「それをネタと呼ぶのだよ。」
まゆ子「でも、本気で書いたらもう一章弥生ちゃんの宮廷の説明をする必要があるんだよな。」
弥生「そういや、どういう構成になっているのか書いてないねえ。いまトカゲ神殿ってどうなっているの?」
まゆ子「基本的には現在トカゲ神殿は弥生ちゃん御一行に制圧されています。名前も、「救世主神殿」に代わってます。元々デュータム点のトカゲ神殿は余所よりもかなり大きいんだけれど、近所の蜘蛛神殿とかカニ神殿とかにも間借りして、押し寄せる人を収容してます。」
じゅえる「救世主とは宗教上のものなの?」
まゆ子「そうとも言い切れないけれど、今回はその側面が非常に強い。現在の状況では武力でなんとかするてのは考えにくいから、民衆の希望の星なんだよ。カリスマだ。」
弥生「王国を作るのにはそれはちょっと不適当なんじゃないかな。」
まゆ子「弥生ちゃんもそれは気付いて居ます。だからこその赤甲梢電撃作戦で、金雷蜒神聖王を呼んで来るわけです。」
じゅえる「結局、トカゲ軍は作らないのかな。そろそろ作った方がよくないかな。」
弥生「でも、神官戦士を当てるのはよくないでしょう。」
まゆ子「実はもう、弥生ちゃんの親衛隊は出来ている。小剣令かちょっと下くらいのレベルの軍人を集めて100人くらいでトカゲ軍の建軍の基礎を固めている。ただ弥生ちゃんの構想では、統一された軍隊ではなく、小集団を領地のあちこちに警備隊として置く程度だけどね。」
じゅえる「それじゃあ勝てない。」
まゆ子「基本的には、環境が復元した毒地を開墾する屯田兵なんだよ。だから小集団と機動戦隊の二本立て。兎竜部隊かゲイル騎兵をいくらか確保する必要がある。屯田兵は全員弓兵として、村民全部が戦えるように鍛えるつもりだよ。」
弥生「そりゃあ、反乱が起きた際には大事になるねえ、というか、それは救世主は考えないんだ。」
まゆ子「間接統治を考えているから、救世主青晶蜥王に反発の矛先は向かない。むしろ小領主の調停役を考えている。つまり、弓兵を率いる小領主が治める屯田兵と、兎竜やゲイル騎兵を率いる王国正規軍、とに分けられる。ただゲイルはギィール神族でないと制御出来ないし、兎竜は黒甲枝の怪力が無いと言うことを聞かない。だから、聖蟲を持つ者を引き入れる必要がある。」
じゅえる「まあ、まともにやっても勝てないわよねえ。他にスピードの出る乗り物は無いの?」
まゆ子「考えてはいるんだけど、イヌコマにエリクソーでも与えてみるか。」
弥生「そういえば、前々から気になっていたんだけど、ゲイルってほんとうに小さい虫からの品種改良で大きくなったの? 巨大化にも限度ってものがあるでしょ。」
まゆ子「いや、本当に小さい虫なんだよ。ただ、食べてるものが違う。ギジジットでしか繁殖出来ないってのは、つまり、巨大金雷蜒神の脱皮した皮を食べてるんだ。だから本当はなんの虫かわからない。」
じゅえる「はー、じゃああれは本当は巨大金雷蜒神のなれの果てなんだ。遺伝子改変くらい起ってるのかな。」
まゆ子「たぶんそうだろうね。巨大化して耐えられる構造を、小さい虫は持ってないから。」
弥生「やっと納得いった。じゃあ、青晶蜥神も脱皮した皮をトカゲに食わせたら大きくなるかな?」
まゆ子「ちょんぎった尻尾をなにかに、あ、いやそうだ。神剣は風を呼ぶんだから、これで帆走する車とか。」
じゅえる「そりゃファンタジーすぎるよ。」
まゆ子「そうだよねえ、いや前々から自転車くらいは作ろうと考えていたんだよ。たださすがにギヤとチェーンが問題でね。」
弥生「イヌコマにでも引っ張らせたらいいんじゃないかな。」
じゅえる「さんせー。それ良くない?」
まゆ子「ゴムタイヤも無いんだよ。どうしようかなあ。イヌコマ軽走兵で上等だとも思うんだけど。」
06/4/23
まゆ子「てなわけで、げばると処女EP3「第六章 針の穴から覗く天は、どこまでも青く」が出来ました。これも皆様のおかげです。」
じゅえる「さすがにこれだけネタがあると、ちと容量オーバーしてもうたね。」
弥生「しかし、流石と言うか、この話はまったく陰鬱なところが無い。部屋を一歩も出ないのに、これまでで一番躍動感に富んでいるんじゃない?」
まゆ子「えへえへ、照れるなあ。まあ、ウエンディズはそういう話が大得意なんだから、当たり前といえばそうなんだよ。」
06/4/20
まゆ子「というわけで、げばると処女EP3「第五章 金雷蜒少女、鬼谷の妖気に美身を震わせる」ができたわけです。」
じゅえる「さすがに早いね。翌日には出来てるもん。」
まゆ子「ちなみに没原稿分は、後ろ三分の一に圧縮しました。ちょうど設定も出来ていい感じになります。」
弥生「結果おーらいですね。」
まゆ子「ではどんどんいきますよー。第六章です。ハジパイ王が主役です。」
じゅえる「えーと、計画によるとハジパイ王の執務室から一歩も出ないはなしですね。ハジパイ王の所に面会を求めて来たり決済を求めて来たり、とそんな話です。」
まゆ子「世界中のありとあらゆる情報が彼の部屋に集まり、この部屋がまごうことなき世界を動かす舞台だ、ということを印象づける必要があるのです。」
弥生「事件は会議室で起こっているのだ、て奴だね。」
まゆ子「えー、今のところ予定されているのは、戦況の報告。前線において前哨戦が始まっている事の詳細な報告。
武徳王自らの出陣についての打ち合わせ。白根っこの会の若い元老が尋ねて来る話。赤甲梢の話。ガモウヤヨイチャンと劫アランサとその侍女となった斧ロアランの話。」
じゅえる「それだけあれば30枚くらい軽いでしょ。」
まゆ子「おもしろくなくてもよいのならば、そう。」
弥生「なるほどねえ、おもしろいてのは難しいねえ。それだけが命だから。」
まゆ子「一応回想シーンとかも入れるつもりではあるが、爺いが主人公だからには、ねえ。」
じゅえる「ネタを出せというのだね。」
弥生「しかもびた一メートルも部屋を出ないで、ね。」
まゆ子「どうしよう。」
じゅえる「まあ、出る者は決まっているのだ、新キャラは白根っこの会くらいなもので、あとは秘書のカタツムリ巫女だけか。」
まゆ子「うん。極力ハジパイ王が一人である事を印象づけたいのだよ。それが後に大弾劾の独善に繋がる。」
弥生「構造と狙いはよく解る。たしかにそれは必要な話なんだね。問題はどこに面白さを見出すかだが、」
じゅえる「しかも固い話ばかりでだよ。参るなあ。デマでも飛ばすか。」
まゆ子「デマか。なるほど、それは有り得る話だ。特に焔アウンサが飛ばしたデマがこちら方面にやって来る時間帯だ。タコリティや西金雷蜒王国の動静もちゃんと虚実入り交じって入って来る。巨大なテュークの存在ももちろん出るよな。」
じゅえる「必然的に怪獣話が大真面目で展開されるわけだ。テュークを戦争に使うとか。」
弥生「いや、でも、それって国家の中枢部での話でしょ。そんな馬鹿話が大真面目にって、・・・あるのかな?」
まゆ子「それがあるから世の中は不思議。ホワイトハウスでUFOの侵略が討議された事が無い、と保証出来る?」
弥生「・・・ぜったいあるね。」
じゅえる「では、怪獣話が一つ、と。次には、そうね、金雷蜒軍の新兵器の話だ。ちょうど折り良くデュータム点で弥生ちゃんが獣人少女に襲われている。この話が出るのは当然だ。獣人への対策をどうするか、てのは勿論有る。」
弥生「なんだか真面目になればなるほど、変なものになるんだね、国家って。」
まゆ子「兵站に関しても話しなきゃいけないだろ。というか、その為に歪みを生じる国家の体制についてはハジパイ王の専権事項だ。生産と備蓄についての計画も話される。増税も当然そうだ。出入りの御用業者からも戦費調達を考えている。というか、彼は考えざるを得ない。」
弥生「なんか、だんだん気の毒に思えて来た。でもハジパイ王は戦争に反対なんでしょ。」
じゅえる「事ここに至ってはそんなのはなんともならんよ。・・そうか、彼はまだ戦争を早期集結させる手立てを探っているんだ。謀略か交渉か、ともかく戦争を止めて国力の低下を防ぐ努力を続けている。」
まゆ子「当然そうだが、その手段はもはや極めて少ないわけだよ。これは劇中で考えさせよう。なにか妙案があるはずだ。それと、ここで弥生ちゃんへの襲撃も決定される。」
弥生「ふむ。場合によっては暗黒面に協力を求めたりもするわけだ。」
まゆ子「これでー、まあ、なんとかなるかな。で、更にネタをくれ。」
じゅえる「まだ足りない?」
まゆ子「今回はまったく会話だけで成り立つ。更に倍ネタがあった方が都合がいい。情報の洪水だ。」
弥生「そりゃ当然私的な用もあるだろう。彼の息子がやってくるとか。」
まゆ子「あ、ちなみにハジパイ王にはれっきとした嫡子が有ります。もう40歳近いです。元老の有力議員ですよ。彼についての描写は絶対に必要です。で、彼はやはり若いのだから、ハジパイ王と意見が食い違うんだ。むしろヒィキタイタンに近い。で、彼が、そのまた子供つまり孫の話でやってくる。」
じゅえる「なんとも当たり前だけれど、このクソ忙しい最中に大変だな。」
まゆ子「えーと、つまりハジパイ王の子はハジパイ王子で、孫はハジパイ王孫だよ。これが男の子であれば14歳くらいであるのかな。第一子でなければ11歳くらいでいいか、が男の子であって、つまり王族の子であるにも関らず現今の情勢を自らも考えて黒甲枝の兵学校に編入したいと言い出すのだ。当然普通の状態であれば禁止だが、ハジパイ王子はそれを留める気が無い。やはり今だからこそそれが必要だと思うのだね。で、ハジパイ王を説得に来る。」
弥生「実にアットホームなお話になりますね。じゃあ第一子は女の子とかかな。御姫様だ。」
じゅえる「御孫さんも一人くらいは死んでるべきだろう、この時代は。」
まゆ子「そうね。では、第一子は男の子で生きていれば20歳にはなっていたのだけれど、幼い時に武術の訓練かなにかで死んでいる、ということにしよう。話の内容が膨らむ。」
じゅえる「ついでだ、ヒィキタイタンの息子の話もしよう。えーと彼は36歳だったかな、で男の子であるとして、今は10歳てとこにするか。年齢の関係では、いいでしょう。」
弥生「なるほど。ではハジパイ王孫と、ソグヴィタル王子がほぼ同じ歳、ということだ。それは面白い。」
じゅえる「いいね。」
まゆ子「うむ。では更に、もう一つなにかネタを。」
じゅえる「まだ要るのか。」
弥生「多過ぎても困るよ。でも、まゆちゃんならなんとかするか。えーとー、御自身の健康については?」
まゆ子「採用。当然年寄りにはそれは大問題だ。」
じゅえる「わるいこともするべきではないだろうかねえ。密かに私服を肥やしているとか。もちろん悪事に使うのではなく、秘密工作の費用を捻出する、とか。」
まゆ子「採用です。なるほど、それはもちろんある。」
弥生「カンヴィタル神聖王宮の方が手薄だね。なにか問題を起こしますか。」
まゆ子「採用です。当然のように、巨大褐甲角神の託宣とかを伝えにやって来ます。宗教行事です。えーと、そうだ。後にカプタニア山で山火事が起きるのだから、前振りしておかないと。」
じゅえる「では誰か、そうだね王宮を勝手に抜け出せるのは、褐甲角巫女ですね。がわざわざ尋ねて来ます。ハジパイ王が神様を拝むのに熱心でないと叱責するのです。えーとー、ハジパイ王の妹とか?」
まゆ子「娘の方がいい。ハジパイ王女だ。王子のお姉さんだね、42歳くらい。」
弥生「あと、彼が昔に金雷蜒王国からの亡命した御姫様と恋仲になったというのを、なにかアイテムで印象づけるべきでしょ。EP2最終章であった話を補完する。」
まゆ子「うむ。寝る暇が無いな。」
じゅえる「採用です。年寄りだから、カタツムリ巫女に強制的に御昼寝させられるのです。」
弥生「確かに忙し過ぎるから、体調を考えると御昼寝くらいするね。」
まゆ子「えーとー、なにかもう無いかな?」
じゅえる「そうだ。これまでほとんど描写されなかったものがある。褐甲角神の聖蟲だ。当然ハジパイ王の頭にもこれは憑いて居るのだから、この際描写を厚くしてみよう。どうせ部屋を一歩も出ないんだ。聖蟲の存在も大きくならざるを得ない。」
弥生「であれば、ハジパイ王もまだ衰えているわけではない事を示す為に、木刀の素振りくらいはやらせよう。」
まゆ子「武術の稽古かあ、それは日課としてやってるんだろうねえ。うーむ、よし、彼が御昼寝をしようとすると、ふと足元になにか居るのに気付くんだ。「足の無いトカゲ」が王宮の中にまで這い上がっている。彼はこれに時代の移り変わりを見出すが、片手で剣を振って軽く首を刎ねてしまう。カタツムリ巫女はそれを見て騒ぐけれど、王宮にはチューラウは昔から壁を這っているのだから、騒ぐほどの事ではないと窘められてしまう。」
じゅえる「うん。いい感じだ。ハジパイ王も武人らしいところが有るんだね。」
弥生「当然にあるね。そうだ、部屋の隅には当然のように彼の大剣があるんだ。もう何年も抜かれていないが、ヘビを斬った後にこれを思い出して抜いて見る。そんな描写があると良いな。」
まゆ子「うん、採用です。」
06/4/16
まゆ子「というわけで、順調にげばると処女は、・・・ちんぼつしてます。」
じゅえる「ネタが無いんだよ。」
弥生「というか、無理して書こうとするとダメだね。なにが問題?」
まゆ子「3DCGやってたら、・・・もも展の締め切り二日間違えて出し損なった。」
弥生「あー、タイミング狂っちゃったんだね。」
じゅえる「狂ったタイミングを修正しないままに、じゃあげばおとやろうという事になったんだが、いかんね。」
まゆ子「というわけで、とりあえず30枚書いてみたけれど、これは没らせます。」
弥生「どこらへんが問題なの。」
まゆ子「おもろくない。」
じゅえる「そりゃあ、大問題だな。」
まゆ子「その前回がああいう感じの内容の薄い回だったから、今回濃いものでないといけない。しかし設定話ばかりだとダメだね。」
弥生「では視点を集中するべきだ。」
まゆ子「一応、イルドラ姫様視点を重視したんだけどね。」
じゅえる「なるほど。・・・それが問題だ。イルドラ姫様視点はいかにも正統だが、だからこそ問題がある。むしろ狗番とか巫女とかの視点が正しいんじゃないか。」
まゆ子「・・・そういう考え方もあるな。新キャラ登場、てのは既にあるんだけれど、・・・巫女でも狗番でもない立場の新キャラというのは。」
弥生「道化とかが良くないかな。」
じゅえる「うむ。だが戦争には役立たないな。」
まゆ子「イルドラ姫様は書きたい。だが、そうだね、猫視点というのも飽きるし。」
じゅえる「いっそのこと、ゲジゲジの聖蟲の視点では。」
弥生「あれって、人格あるの?」
まゆ子「それはぶっ飛び過ぎていて困る。イルドラ姫一人称でいくか。」
弥生「バランスはそれでいいの?」
まゆ子「良くない。しかし、とりあえず方向性は掴める。
次はネタ行こう。ネタは色々用意したけれど、空振りしたのだ。」
じゅえる「私達に相談しないからだよ。」
まゆ子「実はそう。これやらなかったから、空振りしちゃった。」
弥生「そんなにこの形式は効果あるんだ。」
まゆ子「不自然だけれど、そうなんだ。で、ネタ募集。」
じゅえる「プロレスとか。」
弥生「ヘアヌード写真集とか。」
まゆ子「テレビの音声に直接反応するのはやめてくれ。えーと、なに安達祐実が出産で母ヌード写真集だって?」
じゅえる「ワイドショー見ながら書くのはやめよう。で、桜が散っちゃったのだ。」
弥生「今年は桜には厳しい春だったね。ここら辺は余所よりも桜の開花遅いから、荒天にも耐え切れたけれど、花の色が褪せちゃった。」
まゆ子「・・・・ばばあを出そう。」
じゅえる「ばばあ? なんの役?」
まゆ子「いや、でも出したくなった。戦場に婆あが付いて行くのも不自然だが、なんとなくぴんと来た。」
弥生「であれば、これまでにはまったく登場していない職業がいい。・・・・ミミズ巫女とか。」
まゆ子「毒地はミミズ神官巫女のホームグラウンドだが、どうするか。」
じゅえる「これまでに書いた第一稿を読み直して見たけれど、傭兵市の風景というのを書くのはやめた方がいいかもしれない。直接的すぎてルーチンワークになってる。」
弥生「そうだね。描きたいのは分かるけれど、読者に予想が付くというのは避けるべきだ。むしろ、傭兵市から外れた所にイルドラ姫がやってくる。」
まゆ子「うむ、毒地の外れに住んでいるミミズ老婆か。ではなにか、スゴイ情報を抱えているべきだな。」
弥生「神人はやめとこう。もっと俗な情報をね。人喰い教徒もやめようか。」
じゅえる「であれば、ここでスガッタ教の僧侶が出るべきではないだろうか。」
まゆ子「なるほど。ここでか。そういう考え方もある。だが、この回はゲジゲジ神族の軍隊についての設定を確認するのが目的だ。それを外すと後になにをやっているのか理解出来なくなる。」
弥生「スパイという手もある。その僧侶が実はクワアット兵の変装だったり。」
まゆ子「悪くはないが。なにかネタを。」
じゅえる「何が出るかは設定で、何が起こるかはネタなんだね。でも基本的になにも起こらない話だ。神族同士で喧嘩でもするか。」
まゆ子「悪くない。ゲイルをぶつけあって演習をしているとか。でもゲイルの競争は書いたよ。」
弥生「兵隊の調練の現場に出くわすとか、新兵器実験とか。あるいは再び毒を撒く用意をしているとかかな。」
じゅえる「イルドラ姫様ヌードだよ。これが一番いい。」
まゆ子「・・・温泉だ。」
弥生「なるほど、温泉か。毒地の真ん中に温泉があって、その蒸気で毒が浄化される土地があるんだ。そこに長年住んできた一族があり、神族の隠れ宿だったりする。」
まゆ子「ここでうすのろ兵の飼育と調教を行っているんだよ。それでいいかな。」
じゅえる「そうだな、ここでうすのろ兵を見分して、傭兵市に行く。その際に温泉宿で戦略会議をするんだ。ひなびた旅館に黄金の鎧を纏った神族が訪れる。」
弥生「かなり不思議な絵だな。でもそれは出征後でもいいかも。」
まゆ子「帰ってきた時の為に今からその存在を用意しておこう。兄上さまが傷を負ってここに湯治に来るんだよ。」
じゅえる「なるほど。ではもう一つ凄いものを。・・・人かな。」
まゆ子「ここでスゴイ奴をイルドラ姫が拾うというのがいいな。剣客だ。弥生ちゃんが斬れる奴だ。」
弥生「スゴイ因縁を持った奴がいいな。タコ? カブトムシ? ゲジゲジ関係だと面白くない。獣人はいやだよね。」
まゆ子「呪われた運命に取憑かれた者、神秘的なものにするかな。」
じゅえる「おばけが見える奴にしよう。死に神が見えるんだ。イルドラ姫様はそんなもの居ないと言うけれど、こいつはそれで超感覚を身に着けている、鬼気迫る迫力を持っている。」
まゆ子「そうか、スガッタ教の武装僧侶だね。おばけが見えて、おばけを斬る剣を求めている。」
弥生「そのおばけは、今後なにかストーリーに意味を持って来るのかな?」
じゅえる「どうしよう。弥生ちゃんが後におばけ見えるようになる、とかかな。」
まゆ子「この世界ではおばけの存在は必ずしもポピュラーではない。というか、普通の人は信じていない。人は死んだらなにも無い、というのが常識。しかし、厳しい修行を積み重ねるとおばけが見える、というのがスガッタ教が辿りついた奥義というか真理というのはどうだろう。」
じゅえる「世界を司る、隠された要素、というわけだね。その方面から世界を見れば、世界の成り立ちが浮き上がって来る、と。」
弥生「でも戦争にはあまり関係無いな。それでいいのかな。」
まゆ子「もう少し突き詰める必要があるが、あって悪くもないだろう。戦争の裏ではなにか不思議も蠢いているのだよ。」
じゅえる「霊的にも革命が起こりつつある、て話かな。考えてみれば、巨大ゲジゲジ神の後には、世界の成り立ちに関係するような超自然の力は描いていないね。」
弥生「オカルト風味を添加するわけだね。
で、こんなものでいいかな。」
まゆ子「まあ、前よりは良くなったかな。とりあえず、イルドラ姫様がヌードで大活躍だ。」
06/4/1
まゆ子「でさあ、弥生ちゃんは十二神方台系で救世主をやるだけやって、西の海に舟に乗って去っていくわけなのさ。」
じゅえる「うん、十六神星方臺に行くんだよね。シャクティの居る。」
弥生「でもそれは書かないんでしょ。」
まゆ子「書かない予定ですが、まったく関係無いわけでもないでしょ。後になにかやらかすというわけで、まあEP67あたりにちょこっと話が出るとかネタが出るとかは普通にある。」
弥生「なるほど。それは道理だ。まったく先を切ってしまうこともないか。」
じゅえる「シャクティはもう出ているわけだよ。ではそこでなにか、弥生ちゃんの事績を喋っているというのは有り得る話だ。で、十六神星方臺でそれが出る為には十二神方台系でなにかネタを仕込んでいるに違いない。作劇上の都合で言うと、先でこんなことをしているのは前にこれをやっているからだ、と脈絡の無い、わけの分からない事をやっている。その時は失敗したけれど、のちに成功したとかだね。この無駄が作品に厚みを与える。」
まゆ子「てなわけで、書きもしない十六神星方臺の話を今から作っておくことは実は非常に重要なのだ。というか、EP67あたりのネタが本当に決まっていない。だから逆算しようという事になる。」
じゅえる「了解しました。」
まゆ子「で、十六神星方臺ですがインドです。色黒いです。熱帯地方です。食べ物美味しいです。」
弥生「美味しい?」
まゆ子「辛いもの一杯です。」
弥生「おおお! ぱらいそか。」
まゆ子「ほっといてもご飯が食べられるので皆怠け者です。で暇を持て余して変な建物作ってます。」
じゅえる「なんか不健全なとこだな。食欲だけ?」
まゆ子「エロもラブもてんこもりです。」
じゅえる「ヤオイも入れなさい。」まゆ子「あい。」
弥生「で、そこでも私は救世主なのかい。」
まゆ子「そうだねえ、とりあえず救世主ということで、でも既に5人も救世主が居た、というのはどうだろう。」
じゅえる「救世主てんこもりかあ。そりゃ凄いな。聖蟲は有り?」
まゆ子「弥生ちゃんがトカゲだから、ヘビ・カメ・翼竜の小さいの・ドラゴン・なんかごつごつしたトカゲ、と全部爬虫類っぽいのです。」
弥生「なるほど。救世主が互いに対決するわけだ。で、私のポジションはどんなの。」
まゆ子「弥生ちゃんは特別です。すでに十二神方台系で救世主やっちゃってます。他の連中はビギナーですがここの生まれ。」
じゅえる「武器はやはり青い光が出るわけ?」
まゆ子「色はともかく、弥生ちゃんのカタナに相当するものを皆持って居ます。超能力付き。つまり、弥生ちゃんのがヒーリングと風を起こすのに対して、雷だったり焔が出たり、空中を飛んだりと色々です。」
じゅえる「よりばかっぽくなるわけだ。でもそうすると、ちょっと面白みが減退するんじゃないかな。」
まゆ子「む。なるほど、もっと能力を限定するか。ちなみに弥生ちゃんのハリセンは上陸後しばらくは破損中で使えません。」
弥生「では、印象的だけど実用からはかけ離れた、むしろカリスマ性を演出する虚仮威しの超能力というのはどうだろう。」
まゆ子「虚仮威しか、なるほどそれが出来るから救世主なんだ。では爆発だな。」
じゅえる「うむ。槍が歌を唄うとか、ハンマーが地鳴りを起こすとかだな。花が散る剣というのも悪くない。」
弥生「じゃあ私のは、ちょっと無粋だな」
まゆ子「弥生ちゃんのカタナもここに来るとレベルアップする事にしよう。そうねー、寒さに弱いんだここの人は、インドだから。だから凍りつくのが良くないかな。誰も見たことの無い雪が降る。」
弥生「悪くはないが、みな風邪を引くんじゃないかな。」
じゅえる「ダイヤモンドダストだよ、それがいい。」
まゆ子「では虚仮威し能力を持った超武器を皆携えている、と。能力はヒーリングでいいかな。」
じゅえる「というか、救世主たるもの、人くらい生き返らせないでどうするよ、と思ってる。」
弥生「えらくインフレしてるなあ。神様はそれでいいんかい。でも、それじゃあ誰も差別化できないよ。人々を救済する必要があるんだよ。どうやって、というか、悪は誰なんだ。」
まゆ子「十二神方台系には悪は居ない。全ての人が善人であり、それぞれが正しいがゆえに衝突し、悪を生み出す。そういう物語です。」
じゅえる「では今回、大悪が必要だね。悪をぶち殺した者こそが真の救世主。」
弥生「人を食らう鬼とかが居るのか。」
まゆ子「それ採用! インドのラーマヤーナとかそんな話あります。そうだね、人間を食べるジョジョの石仮面みたいな悪が居るんだよ。で、救世主はそれを退治しなければいけない。というか、住民は生贄を出す事で安易な解決をしているのを、救世主はやめさせようして悪党退治をしなければいけないんだ。」
弥生「悪の帝王というか神だね。それが人間界にやってくると、皆悪の心に支配されてしまうんだ。でもどんな悪?」
じゅえる「飯を通常の倍食べるとか。」
まゆ子「それは恐ろしいが、もっと間抜けな悪がいい。必然と社会風刺と時代の風を盛り込んだ、究極の悪。」
じゅえる「・・・・・頭に聖蟲が乗ってるんだ。イソギンチャクが。これを与えられた者、つまりはイソギンチャク神族は、善悪の境を乗り越えて自らの欲望の赴くままにあらゆる世俗の枷から解き放たれた究極の自由、「悪」を手に入れる。と同時にそれを可能とする大いなる戦闘力を手に入れるのだ。しかしながら、このイソギンチャクを取られちゃうと、「あひゃー、おれは悪くない。イソギンチャクが俺の身体を操って勝手に悪事を働いていたんだー」とめちゃくちゃ情けなくなってしまう。
だがもっと驚くべきは、その言訳を十六神星方臺の人間は皆おひとよしで信じちゃうんだ。」
弥生「採用です。」
まゆ子「採用です。」
じゅえる「風呂に入って一生懸命考えた甲斐があったよ。
で、悪の救世主とはジョジョのディオみたいなガタイのごつい筋肉の塊のようなかっちょいい男性であるわけだ。」
弥生「らしいね。」
まゆ子「それでいいよ。」
じゅえる「だが、実際は彼は悪の権化の一人でしかない。表に出る顔だね。究極の悪はその裏に居る。彼らは三人組なんだ。
一人はその筋肉美の救世主だけど、もう一人は頭にイソギンチャクの付いた天才科学者。究極の叡智を手に入れた悪の探求者だね。目付きが悪くて鷲っ鼻で痩身、でも不眠不休で新兵器の開発に没頭する。泥をこねて人工生命体「ドローテ」というのを作り出して弥生ちゃんに襲い掛かるんだ。ゾロメカもあるよ。」
弥生「なんかいやな予感がしてきた。」
まゆ子「採用です。もう一人は女だね。妖艶な美女で女王様タイプ。」
じゅえる「そです。彼ら二人を顎で使う究極の支配者どみなすです。彼女には外見上はイソギンチャクは付いていないけれど、彼女曰「口ではとても言えない所についている」のです。」
弥生「うはー、それはなんというか、エロマンガじゃないか。」
まゆ子「採用です。ぐっじょぶです。」
じゅえる「で、こいつらをやっつけるのが弥生ちゃんの当面の課題なのですね。」
まゆ子「うむ、なんというか、その、創作意欲が沸いてきた。それは素晴らしい。
ちなみに、シャクティはその物語の中で単なる村娘Aで出てきますが、いつのまにか弥生ちゃんにカベチョロをもらって十二神方台系に行くことになります。特に深刻な事情は無い。かるーい気持ちで海を渡ります。
もう一人、どういう訳だか知らないが、十二神方台系から流されてきた男が居ます。弥生ちゃんに助けられて故郷に帰る為に様々な事をしますが、最期には残念ながら死んじゃいます。」
弥生「定番だね。彼の骨をシャクティに持って帰らせよう。」
まゆ子「ま、そんなとこで。」
じゅえる「悪の三人組バンザーイ!」
06/3/30
まゆ子「てなもんで、げばおとEP3「第4章 奮い立つ若武者に、薫風は微笑む」が出来たわけです。」
弥生「今回はかっきり30枚てところだね。すこしボリュームが足りないんじゃない?」
まゆ子「たしかに、前の二つに比べるとイメージの量が足りないから、読みたりない軽い感じになってます。でも今回はこれでいいと思う。」
じゅえる「黒甲枝の話は固いからねえ。深刻にやると読めないんだよ。弥生ちゃんが主役の話はどんなに固くても重くても大丈夫なんだけど、黒甲枝はこれくらいが適正なのかもしれない。」
弥生「言わんとすることは分かるけれど、いいのかなそれで。」
まゆ子「でも、今回かなりいい話になったと思うよ。これからに繋がる話だ。ようやくにして、カロアル軌バイジャンて人がまともに動けるキャラクターになった。」
じゅえる「このいいかげんな輸送小隊はいいね。なんかコンバットみたいだ。」
弥生「コンバットといえば、BSテレビでやってるね。でもなんだ、銃が無いとどうも兵隊の考え方がかなり、違って来るね。」
まゆ子「私の考えでは、鉄砲の出現以降武士道騎士道は廃れるのだよ。相手を目の前で血しぶき上げながら倒す、という体験が無いとそういうモラルの確立ができないんじゃないかな。」
じゅえる「いや、19世紀まではそういう戦争はちゃんとあったんだけれど。」
まゆ子「それでも鉄砲の出現以降は確率の問題になっちゃった。鉄砲はよくない、うん。」
弥生「まあ、十二神方台系にはまだ当分鉄砲は出て来ない事になっているから。」
まゆ子「で、これから黒甲枝の戦争は、このカロアル輸送小隊を中心として行います。彼は特別な存在です。つまり黒甲枝、聖蟲の後継者であるから、最前線の黒甲枝になんでも私用を頼まれてしまうんだね。で、マテ村にも頻繁に出入りする事になる。指令本部においても、カロアル小隊はそいう役割で使うようになる。最前線と後方をいったりきたりするのだよ。
更に言うと、今はクワアット兵3人ですが、これが二人になります。クワアット兵2、邑兵20、イヌコマ25というのが最終的な構成。それ以前はまだ軌バイジャンの指揮能力を疑問視されていたのだけれど、大丈夫だと見極めて副官を外されます。つまり軌バイジャン小剣令、クワアット兵の最下層である凌士(二等兵)、邑兵二等兵ばっかり、という極めていいかげんな構成です。」
じゅえる「クワアット兵というのはエリート戦士なのに、二等兵なの?」
まゆ子「いや、クワアット兵は二等兵である「凌士」であっても、邑兵隊長と同格。軍曹程度の指揮権を持ちます。でも普通は「凌士」では指揮官にはならない。小隊指揮官1、クワアット兵2、邑兵隊長1、邑兵20というのが小隊の最少構成。軌バイジャンが任された輸送小隊は、通常クワアット兵の最高位である凌士長が指揮するものです。
邑兵隊長というのはクワアット兵経験者であるから、先任軍曹てとこだね。邑兵を使う時は彼を通して命ずる。他のクワアット兵は専ら戦闘の正面に立つ事になる。ケースバイケースだけれど。カロアル小隊はその大事な邑兵隊長が居ないのです。たいへんだ。
バイジャンはもう少し歳が上ならば警戒小隊、クワアット兵5訓練済み邑兵10というのを任されるはずでした。これは常人の小剣令が指揮するものです。
で、神兵小剣令になるとクワアット兵20という戦闘小隊を扱います。
最前線の村に駐留する黒甲枝が率いるのは防衛戦隊といって、小隊よりちょっと大きい。クワアット兵10名に邑兵隊長1名邑兵20名、応援に戦闘小隊1個以上が加わるのが通常です。
中剣令は小隊4から6を預り中隊とし、大剣令は中剣令4を預り連隊とします。でもそんなにクワアット兵は居ないから、ベイスラ地方なんかでは位は権限の大きさを表すだけですね。十二神方台系は人口が少ないから、こういう事が起こる。」
弥生「すくないんだねえ、兵力。」
まゆ子「そうなんだ。最少規模の将軍である兵師監ですら、大剣令4、衛視監1を従えて3000人以上、という兵力でしかない。ベイスラは2500だから、更に少ない。」
じゅえる「ひょっとして、軍の階位がインフレしてるの?」
まゆ子「若干そのきらいがあります。150万人の国に、将校である黒甲枝と赤甲梢が2000人も居る。700人に一人が隊長だ。ちと多過ぎる。もっとも聖蟲を持つ神兵は戦車みたいなものなんだから、十分戦力として意味があるんだけどね。神兵の戦闘力の高さで、一般兵数を少なくして軍事費を押さえている、と考えて下さい。」
弥生「ふむ。つまりは、褐甲角王国は500万人規模の国なんだ、本来。」
まゆ子「兵制から見るとそんな感じ。クワアット兵5万、邑兵30万、てくらいが黒甲枝の数に見合いますね。今は無理してクワアット兵3万、邑兵10万てとこ。軍事費の負担であっぷあっぷしてます。」
じゅえる「でも13万でも多過ぎるんじゃないの?150万人でしょ。」
まゆ子「いや、邑兵10万は褐甲角王国全土で、だよ。本来治安関係の役人として存在するはずのクワアット兵が全て最前線に取られてしまって、地方では邑兵が代わりをしなくちゃいけなくなってるの。今回のような緊急事態で最前線に投入出来るのは邑兵全兵力の半数。農繁期を考えるとそれでも過重すぎて、破綻する。」
弥生「で、破綻しちゃうのね。」
じゅえる「破綻しますね。」
まゆ子「その破綻していく様を描くのに、カロアル輸送小隊は十分な表現力を持つのです。季節労働者の難民も強制隔離しちゃうから、しゃあない。」
弥生「で、今回出たマドンナは、・・て、部下の兵隊の名前は出ないのね。」
まゆ子「名前を付けるのは簡単。でも今回、マドンナの名前を印象付ける為に、敢えてこいつらには付けませんでした。だから、目立つでしょ。」
じゅえる「マドメーてのね。でも、先輩の奥さん、てのはアレだね。」
まゆ子「エロマンガっぽいでしょ。」
弥生「でもなにも起こりません。げばると処女だから。」
まゆ子「それを言っちゃうと、楽しみが無いなあ。」
注) ベイスラ地方は兵力が少ない為に位階の区分がわかりづらくなってます。
本来であれば緊急展開部隊は最前線を統括する防衛本部なんだけれど、5戦闘小隊しか居ない。中剣令クラスの部所です。でも大剣令が居る。
ベイスラ中核軍と都市防衛隊も大剣令が居る。だから、実動隊は中剣令が、部隊の配置と敵兵力の動向の予測が大剣令の仕事になります。
でも黒甲枝の手が足りないから大剣令が自ら出陣したりもする。軍政局は、聖蟲が憑いている限りは遊ばせようとはしない。
それを是正して命令系統と実動隊とを分けようという構想が、ヒィキタイタンが提唱し赤甲梢で実験されている、神兵の集中運用なのです。
小剣令レベルの神兵はひとまとめの高速戦隊として、中剣令が常人の小剣令が指揮するクワアット兵小隊を中隊レベルで管轄する。
大剣令は軍団の管理者として統合的合理的に存在し、民政からは完全に脱却する。
代りに新設される民政局が法律を司る衛視局と共同で、各地の行政を司り、原始的な軍人統治の形態を一掃する。
と同時に、軍勢の移動の自由を得て、金雷蜒王国への攻撃軍の組織を容易にする。
そういうものですが、なかなか反対者が多くてうまくいってないのです。
というとヒィキタイタンがなんでもかんでも了解していた超人的軍事指導者のように聞こえるけれど、
彼は色んな部所の人間からあげられてくる建白書の類いを精査して取り纏めたコーディネーターの役なのです。
自分が纏めたものを自分で実現しようとした、だから根強い支持者も居るわけだ。
ちなみに、何故これほどまでに過大な軍事国家になったか? と言えば、皮肉な事に聖蟲を持つ神兵が居るから。
これが無いと、あっという間にギィール神族に征服されて、軍事費の負担は少なくて済むものを
黒甲枝が無理やり独立分離を可能にしているから、逆説的に軍事費に苦しめられているのです。
06/3/31
じゅえる「そりゃそうと、15ヶ村で黒甲枝5人クワアット兵50人て最前線の防備は、いくらなんでも薄過ぎるんじゃない?」
弥生「そうだ、たしかスプリタ街道は700キロあったはずだ。ベイスラの国境線はその内の何割か。」
まゆ子「80キロです。15ヶ村だから、一村あたり5キロってとこね。たしかに長いし、人手不足だ。」
じゅえる「開き直ったね。これでいいわけ?」
まゆ子「ぜんぜん大丈夫ですよ。ゲイル騎兵ほど奴隷兵は早くはないもん。」
弥生「あー、ゲイル騎兵の行軍は奴隷兵の速度に合せてるんだ。それは、・・遅いね。」
まゆ子「時速4キロだよ。しかも防衛側はちゃんと高い物見台を作っている。霧が無ければ10キロ以上見えます。草原内に突出した高台にある物見台ですから、発見から村に到着するまで二日くらいは普通に掛かります。」
じゅえる「そうでした。トラックも無ければ馬も無いんでした。じゃあ確実に寇掠軍は見つかる?」
まゆ子「見つかります。だがここが知恵の使いようで、どうやっても見つかるものであれば、囮を使ってそこに防御側を集中させて、裏を狙います。」
弥生「そうか、そういう戦争なのか。」
まゆ子「だから奴隷兵は頭数が必要なのです。囮というのは目立たねばならない。人数が多いように見せ掛ける為には、或る程度人数が必要です。それに大体、ギィール神族は奴隷兵の為に戦争に来ている。」
じゅえる「奴隷の福祉の為に、やってるんだったね。」
まゆ子「寇掠ですからお宝を分捕って帰らねば儲けになりません。持って帰るには人手が要ります。奴隷兵は荷物運びの為だけに来ているのですから、奴隷兵が入り込めない戦争には意味がありません。」
弥生「ゲイル騎兵が単独で侵攻、というのは無い?」
まゆ子「今回に限りありますが、通常はありません。またそれはギィール神族の求めるものではありません。つまり、勝てばいいというわけではなく、ギィール神族の嗜好を満たさねばならないのです。褐甲角王国の文物は金雷蜒王国のものに劣るから、掠奪はまったく興味の対象外。人殺しも興味は無い、というか一般民衆にはギィール神族は優しいんだよ。
ゲイル騎兵が敵と看做すのはただ黒甲枝だけ。黒甲枝の神兵が居ない空間に押し入って、可哀想な村人を皆殺しにするなんてのは、まったく無粋の極み外道もここに極まれり、というこった。」
じゅえる「そうでした。黒甲枝を狩りに来ているだけなんだ。では今回の大審判戦争では?」
まゆ子「今回は別です。黒甲枝が集団戦闘を仕掛けて来るから、軍自体を崩壊させて黒甲枝を単独戦闘に引きずり込む為に、裏から柔らかいところを狙うのです。要するに寇掠軍は優雅な遊びだったけれど、今度のは真面目なお仕事なのです。」
弥生「うーむ。では大ピンチじゃないか。防備がまるで足りない。黒甲枝100名を1キロ置きに貼り付くとか必要だ。」
まゆ子「ゲイル騎兵はそれは楽しいだろう。二隊あれば一隊が引きつけて居る内に内部に浸透して、裏から焼くよ。それに今回は射程距離が長い新兵器も多数用意しています。うすのろ兵も居て黒甲枝の鉄弓と対等に撃ち合えます。」
じゅえる「じゃあ、黒甲枝を点在させて、・・・・そうか、或る程度内部に入れてから攻撃した方が逃げにくいんだ。」
まゆ子「奴隷兵が居るからね。狗番や剣令剣匠も移動速度は同じ徒歩時速4キロだ。火を焚いて飯も食うし、夜には寝なければいけない。ベイスラは国境線は80キロだけど、そこから人が居る場所までは20キロの深部だ。ノゲ・ベイスラは更に30キロ奥にある。実際浸透攻撃はあり得ないからこそ、びっくりしたんだよ。」
弥生「50キロを往復、だね。片道二日、いや戦闘を考えると三日、帰りもお宝担いで三日は掛かる。その間防御側は通信で、狼煙?」
まゆ子「はい。狼煙で数時間のウチにベイスラ全体で知ってしまいます。浸透した寇掠軍は囲まれてしまいます。
ただし、ノゲ・ベイスラの浸透攻撃の時は褐甲角側は直接攻撃は国境線の近くに来るまでは控えており、もう外が見えた段階で初めて追撃しています。寇掠軍はお宝を担いでいるからここで攻撃すれば荷物はみんな置いていく、と思ったんだけれど、荷物を皆難民に与えてしまったので全く空振りでした。後で換金するシステムが裏にあるんだね。」
弥生「難民がいかにやっかいな存在かがやっと分かった。そりゃあ取っ捕まえて収容所送りにするなあ。」
じゅえる「でも、そんなにガラガラならば、難民に土地を与えて開墾すればいいのに。」
まゆ子「いやー、毒地周辺はつい最近まで毒の風が吹いていたんだよ。殺虫剤と除草剤の風だ。穀物なんか稔る道理が無い。また用水も無いから水が無い、ほっとけば生えて来る麦も無い。」
弥生「十二神方台系の作物は手間が掛かるの?」
まゆ子「主食に栽培する二種類の草は、そうだね。水をかなり使う。チューラウの滑平原ではそれは大問題。」
じゅえる「水だけ? 障害は。」
まゆ子「虫も獣も鳥も病気も天候不順も、まあ色々と取りそろえていますよ。
草原を焼き畑にするのも、忌避されているからね。ゲイル騎兵がどこからでもやって来れるようになる、て。ゲイルはともかく奴隷兵は草原の中でも歩き易い道を通って来る。焼き畑で草原を焼いてどこからでも行けるようになるというのは、かなりヤバいのだよ。だから国境線付近ではなかなか開拓はやらない。でも、毒が無くなったら、開墾するのに適当な土地もあるんだよ。」
じゅえる「というか、やる気が無いんでしょ。」
まゆ子「難民が近くに居着いちゃあ、困るという心理も当然ある。」
弥生「ふむ。なるほど。
で穿攻隊というのは、奥にひっぱり込む優位を敢えて捨てて毒地に踏み込んでいるんだ。」
まゆ子「だから、穿攻隊には神兵集団戦闘の熟練者をと、赤甲梢から神兵を呼び出しています。」
弥生「え? じゃあ焔アウンサはどうなるの?」
まゆ子「赤甲梢兎竜隊100騎100名に、徒歩神兵150名。そのウチ徒歩神兵をそっくり寄越せと軍政局が言ってきた。でもなんやかやといちゃもんつけて、50名だけにやっとの事で抑え込んだんだよ。兎竜隊100に徒歩100。兎竜隊の方がサポートよりも多くなる良くない状態です。で、この編成では電撃戦が出来ない、とアウンサは一計を案じます。
つまり、兎竜30騎を放出しちゃうんだな。赤甲梢の神兵だけを移動せよと言ってきたのに、兎竜騎兵にして送り出しちゃった。当然兎竜隊を編成しなければならない。ガンガランガ周辺に30騎の兎竜隊が出来ることになる。本体は兎竜70騎に徒歩神兵130となります。バランスが取れた。と同時に、ガンガランガの兎竜部隊にせいぜい派手にやって、赤甲梢の不在を覆い隠せとの密命を受けています。彼らは電撃戦に参加できなくなった事を激しく残念がっていますから、せめてとアウンサの為に働きます。
で、ベイスラの穿攻隊にも赤甲梢が来てるわけだ。」
じゅえる「そりゃお気の毒。」
まゆ子「というわけで、ベイスラ地方の戦争はまず物見台を巡る戦いから始まります。寇掠軍の接近を観測する物見台は当然まっさきに攻撃されますが、それをどう凌いで観測体制を維持し続けるか、乞う御期待!」
06/3/27
まゆ子「というわけで、げばると処女EP3 「第三章 北の都に咲く双輪の花は、可憐な毒に彩られ」が出来たわけです。52頁!」
じゅえる「52まいいー?!」
弥生「どうしてまた、そんなバカでっかいものになっちゃったの。」
まゆ子「どうしてと言われても、一つの章に三つの場面を入れると、ちょうど30枚になる。今回はだいたい5個入ってるから、素直に52枚。手直ししてるから、もう少し減るだろうけど。」
じゅえる「いくらなんでも、35枚が上限でしょ。削った方がよかったんじゃないの?」
まゆ子「素直に考えると、もう一章増やした方が良かったんだけれど、まあしゃあない。これで完璧なのだよ。弥生ちゃんがデュータム点に入城するという事は、それだけ大きなイベントなのだ。」
弥生「それだけ大きな事をやってしまった、という事は、これからの展開もそれなりのボリュームになる?」
まゆ子「まあ、大審判戦争の描写のボリュームはまだ検討していないから、脹れ上がっても仕方がないね。」
弥生「どういう具合に?」
まゆ子「本格戦記物がどれだけのボリュームを必要とするかは知っているでしょ。それに加えて、ラブロマンスがてんこ盛りだ。正直、どこまでガチンコで戦争を描くべきか迷っている。論理的でないスタイルだけの戦争は、げばおとには存在し得ないから、我慢して。」
弥生「スタイルだけの戦争って、なに?」
じゅえる「そりゃ、英雄が大活躍して、ビキニ鎧の美女剣士が諸葛孔明をも凌ぐ大戦略で友軍に完全勝利を導くのだね。」
弥生「焔アウンサはそうなんじゃないの?」
まゆ子「兵站を描くつもりだから、まあ、地味だよ。あまりにも地味過ぎて却って大注目になりかねない。まあ、なんだ、本気で戦争をやろうと思えばここまで必要なのかい! って呆れるようなものが、理想だね。」
弥生「それって、読んで面白いの?」
じゅえる「面白く書くんでしょ。」
まゆ子「簡単に言うと、兵站で勝敗は決まるんだから、面白くないはずは無い。ただ、それを面白いと思う人が今まで兵站を小説に書いた事が無いのだね。」
弥生「戦記物はやはり直接戦闘を描いてこそ華だからね。」
まゆ子「直接戦闘はこれまた超熱烈に書きますよ。でも、兵站で今回の戦闘は決まるからね。なにせ荒地の夏場の戦争だ。補給物資をいかに届けるかが大問題。それを破壊すれば必ず勝てるんだよ。」
じゅえる「そこに、屋台村が出現するわけだね。」
弥生「決め手はなに? イヌコマでは物資輸送は十分じゃないんでしょ。」
まゆ子「ゲジゲジ側は、小舟だ。毒地に有る運河は元々が物資輸送に使われてきたものが、毒で通行不能になっていたけれど、それが今回フル回転する。舟の輸送力は桁違いだから、物質的にゲジゲジ軍は米軍並の潤沢さになる。それに対してカブトムシ側は、もっぱら人間だね。動員可能な兵数の極限までを駆り出して、ひたすら物資を運びまくる。だから、ほとんど非武装の輸送隊が多数出現して、ゲジゲジ寇掠軍に襲われて夥しい犠牲者が出る。」
じゅえる「その輸送隊に、弓レアルの旦那になる人が居るわけだ。」
まゆ子「次の第4章はカロアル軌バイジャンが主人公。彼は張り切ってますよー。ま、これほどのお膳立てをされて奮い立たない武人というものはあり得ないんだけれどね。」
弥生「その非武装の輸送隊というのは、どの程度使えないんだ?」
まゆ子「簡単に言うと、クワアット兵二人で20人くらいの人夫を先導する、てくらい。話にならない。」
じゅえる「そりゃ普通の強盗にも負けるんじゃないの。」
まゆ子「負けるね。まあ、どこもかしこも兵隊だらけなんだけど。
で、今考え中なのは、軌バイジャンに浮気をさせようか? ってとこ。地元のお金持ちの美人の気立てのいいのと、くっつきそうになる、というのはどう?」
じゅえる「弓レアルどん底、というのは悪くはない。悪くはないけれど、むしろもっと硬派だといいかも。」
弥生「それはあれだ、その村が寇掠軍に襲われて、火の中からその娘を救い出す。で、愛してると打ち明けられるんだけれど、迷っている内に、やられて行方不明。その後、戦争が落ち着いた所で弓レアルがベイスラ地方に探しに来て、彼女と遭遇する。」
まゆ子「それはー、当たり前過ぎて面白くないよ。私ならもっとすごいこと、たとえば・・・。」
じゅえる「隠し子が居たとか、お腹に彼の赤ちゃんが、とか嘘を吐く、とかかね。」
まゆ子「いや、そこは薔薇の展開の方が。」
弥生「それは退くどくしゃさまが多くて。・・・偽バイジャンが居て包帯ぐるぐる巻きで、その娘と結婚してる、とか。」
まゆ子「おお! スケキヨくんだね。斧琴菊だ。」
じゅえる「それはスゴイが、多分流れで没るね。
もっと近視眼的に、バイジャンと娘の恋愛がほんとうにあり得るのか、考えてみよう。その暇は無いんじゃないかな。」
まゆ子「手が早い人間ならば、まあ。でもそういう感じしないしねえ。むしろマドンナ的な存在であった方が、それらしい。」
弥生「ああ、つまり、バイジャンの方が好きになるけれど、てのね。それは芸が細かい。つまりは、本文中の描写を読んでいる読者様には、バイジャンは弓レアルの事なんか考えてないのがよくわかるけれど、弓レアルにもそのマドンナにも、バイジャンの気持ちは分からないんだ。」
じゅえる「うー残酷だな、それ。さりげなく最悪なはなしだ。でもサイヨー。」
まゆ子「うん、悪くない。」
じゅえる「で、「第一章 古の女王の吐息は、南海をさざめかせる」もできたわけですが、て、これは10日も前にできてるじゃない。何故告知が無かったの?」
まゆ子「や、フィニッシングの処理がめんどくさくて放っておいたから。それにちょっと、目的外のものができちゃったから。」
弥生「失敗?」
まゆ子「本来ならば、もう少しサイコっぽい、内面に抉り込んで来る会話だけの迷宮が出来るはずだったんだけど、・・・重くて読めないから軽くしてみたら、テュラクラフ女王が逃げた。」
じゅえる「逃げたって、・・予想外の出来事なの?」
まゆ子「全然予想していませんでした。というか、あの蕃兵ての出る予定無かったんだもん。タコ女王の兵隊は交易警備隊であって、あんなジャングルに住んでるような人じゃない。」
弥生「あれって光学迷彩でしょ。聖蟲が無くてもああいうの有り得るの?」
まゆ子「いや、ほら、聖蟲がタコ女王国時代は無いわけよ。だからそれらしい超能力がなんか無いかなあ、とぼーっとしながら書いていたら、ああなった。正直どうしよう。」
じゅえる「書いてしまったものは仕方ないけれど、今後タコリティはどうなるわけ?」
まゆ子「今後の予定からいうと、この影武者女王はひょっとして第六番目の女王になるのかも、と普通に尊ばれます。大審判戦争を赤甲梢のギジシップ到着で決着するわけですが、ハジパイ王は、弥生ちゃんが提唱した「キングオブキングス」、王の中の王という概念を、凋落した褐甲角王国の権威回復の手段に使います。既に金雷蜒神聖王はウラタンギジトに確保して、次にタコリティからテュラクラフ女王を拉致してくれば、褐甲角武徳王がそれになり、全土を征服した事になります。」
弥生「ああ、追い詰められたからこそ、タコリティを攻めるのね。」
まゆ子「東金雷蜒王国からのタコリティへの援軍はありませんから、攻めるのは容易と考えました。事実簡単です。市民の命を救う為に、ヒィキタイタンは自ら出頭してカプタニアに連れていかれます。」
じゅえる「で、カプタニアにおいて大裁判が始まる、てわけだ。ふむ。」
まゆ子「間の悪い事に、タコリティでは大戦艦を作っちゃった。陸地に神殿を作るのは難しいから、海に浮かぶ紅曙蛸神殿兼旗艦として、通常の倍の大型軍船を作ったのね。それが新生紅曙蛸王国のシンボルとして王国の威信を磐石のものにするはずだったのだけれど、それが侵攻の口実にされてしまう。」
弥生「ふむふむ。で、マキアリィは?」
まゆ子「とりあえず大活躍をして、西金雷蜒王国の干渉を退けますが、ハジパイ王の野望を挫く事は叶わずに、再度ヒィキタイタンと対決します。それに蕃兵がなにか干渉してくる予定ですが、未定。」
弥生「ふむ。」
06/2/27
まゆ子「というわけで、完成です。げばると処女EP2「最終章 カプタニアより愛と共に。」です。」
じゅえる「400字詰め原稿用紙に換算すると、443枚。大作です。」
弥生「・・・大作じゃないか。こんなに大作なのに、なにも進んでいない! どうして?」
まゆ子「そうだねえ、おかしいねえ。こんなに一生懸命書いて何故こうなるかな。」
じゅえる「ちなみに、げばると処女EP1は423枚。計866枚です。大長編だ。にも関らず。ねえまゆちゃん、ちょっと進行を早くした方が良くないかな。」
弥生「というか、計画通りなら既に大審判戦争は終ってる。つまり計画の半分の速度、その分間延びしていると言ってもいい。」
まゆ子「でも、問題は無いでしょ。」
弥生「そう。各話に問題は無い。なにか変だけど、なにも起きないのだけれど、どんどん積み重なっていく。ブレーキを掛けてるわけでもなく、寄り道しているわけでもない。空回りどころかびゅんびゅん行ってる。これでいいのかな?」
じゅえる「本来この大きさが必要だった、という話に過ぎない気もするけれど。というか、始めた時の計画が甘過ぎたってことじゃないのかな。」
まゆ子「EP1の前に書いていた、弥生ちゃん降臨編をそのまま書き進めて居たら、たぶんあれは計画通りの尺で計画通りの物事を盛り込めたと思うよ。」
弥生「あれは、ぜんぜん進まないもん。ちょうど今の「統則最前線」とおなじだ。」
まゆ子「・・・・そうか。統則最前線が進まないのは、げばおとと違う手法でやってるからなのか。」
じゅえる「30枚の縛りが無いもんね。・・・どうする?統則も書き直した方がいいかも、今の内ならば出来るよ。」
弥生「まだ第一章が終ったところだしね。」
まゆ子「統則には或る重大な問題があるんだけれど、そうねえ。30枚の制限について、もっと深く考慮した方がいいかもしれない。なにかこのシステムには裏の効力がある。」
弥生「スケジュール管理か、ネタの絞り込みか、話題の誘導か、シーンのクローズアップか。そんなとこだね。」
じゅえる「統則は野放しだもんねえ。」
まゆ子「というわけで、げばおとEP3は放っておいても進むように出来ている。なぜだか知らないけれど、自ら進んでいく原動力を持っている。」
じゅえる「あ。・・・それだ。統則には原動力が無いんだ。あれの真の主人公はまだ出てきていないし、仮の主人公能登子さんは現状に流されていくタイプだから。」
弥生「ストーリーが自分で進んでいく力を持っている、そういうこと?」
じゅえる「そういうこと。」
まゆ子「描きたいもの、を書いていてはいけないのかもしれない。描かなければならないものを丹念に追っていくと、自然と書けるのかも。
そりゃあともかく。今の目で見直すとEP1は随分とアラがあるぞ。書き直しには相当の手間が必要だ。特に第二章の構成は抜本改革したいほどだよ。」
じゅえる「第二章は元からそうだもん。カプタニアの動向を排除して書き直してみる、という手が使えるかもしれない。」
弥生「そりゃあ、弓レアルがかわいそうだな。だけど、そこに手を付けるとたぶん、最強になる。」
まゆ子「そうだね。元老院とかの議論の様子は排除するべきだ。で、どこかで落とし前をつける。ともかく最初の7章までは、構成も含めて手を入れよう。めんどくさいけど。」
じゅえる「もっとも簡単な方法は、もう一章増やす事、だけどね。」
弥生「で、今後の予定は?」
まゆ子「第三章が簡単だけれど、第一章を先に書く。書かねばならないようだ。勘だけど、第一章にはおそらく重大な伏線がある。発生する。」
じゅえる「伏線があることを、予定してないけれど、直感である事を予想している?? それで物語作家としていいの?」
まゆ子「仕方ないじゃない。げばると処女はなにか自力で走ってるとこがあるんだから。勘こそが原動力だよ。」
弥生「うーむ。でもそうすると、またなにか増えるんじゃないかな。で、勘の正体は何?」
まゆ子「テュラクラフ女王だよ。あの人は予言をする。それも、神様のレベルの予言をする。神様サイドはこれまでまったくなにも触れていないから、ここで初めて顔を出す。当然、ストーリーの根幹に関るなんらかのファクターが提供されるでしょう。まったく考えてないけれど。」
じゅえる「テュラクラフ女王に私達もまだ会って居ない、ってことか。」
弥生「具体的には、なにかネタが必要?」
じゅえる「そうだ、ネタの準備は。」
まゆ子「描いてみなければ、ネタが必要かどうかすら分からない! テュラクラフの造型に失敗すると、げばおと自体の崩壊もあり得るのだよ。こまったね。」
じゅえる「困った顔してなあーい。」
まゆ子「ともかく、テュラクラフ女王は現在十二神方台系において、弥生ちゃんに匹敵する存在なんだよ。裏弥生ちゃんと言ってもいいし、要求される能力もかなり近いが、やはり違う。むずかしいね。」
弥生「そうか。つまり、テュラクラフを書いてしまうと、スケジュールが変わるんだ。」
じゅえる「そうだね。EP3の骨格は前回書いたので鉄板だけど、それがひっくり返る怖れがあるんだ。」
まゆ子「それほどの力がある章にならなければいけない。それもおもしろく、ね。」
弥生「・・・なるほど。場合によっては、章が一個増えるくらいは覚悟しなければいけないね。第二章が第三章になっちゃうことも。」
じゅえる「あまり風呂敷拡げ過ぎると、大事だよ。」
まゆ子「ま、やってみれば解るでしょ。いけいけどんどんだー!」
06/02/20
じゅえる「えーーーーー、なんだ。」
まゆ子「えーーーーー、その、なんだ。げばると処女エピソード3「第二章 沸き起こる歓呼の声に、救世主は眠れない」が出来たわけです。」
弥生「なんでやねん。」
まゆ子「なんでだろうね。」
じゅえる「順番としてはわかりやすい。この話は、EP2十二章の直接の続きなんだ。流れでそのまま持ち込んだ、というわけだ。」
弥生「そりゃわかるけど、納得いかない。」
まゆ子「まあまあ。EP2最終章は手紙書かなきゃいけないから、ちょっとめんどうなんだよ。それに、よく考えると、締め切り四月末日というと、二ヶ月とちょっとしかない。」
じゅえる「そうなんだ。週一で書いてもおっつかない。」
弥生「あ? そっか、二月は短かったんだ。」
じゅえる「というか、二月の半ばでそんな事言い出した時点でそもそもが間違いだ。でも四月〆でいくよ、となれば急がにゃあならん。出来る所から書いていくのは当然だ。」
弥生「あー、そうか、三ヶ月無いんだ。そうかあー。」
まゆ子「花粉症で生産性落ちるしね。」
じゅえる「てなもんで、見切り発車してます。この後、EP3の冒頭に十二神方台系の基本データが付きます。一日は地球時間で27時間、一公転周期が333自転、つまり一年333日です。地球時間では374日で、ほぼ地球と一緒だね。重力は0.92でちと軽い。弥生ちゃんは超人的運動が可能です。」
まゆ子「そういうのは今まで書いてなかったからね。月28日というのだけはあったけど。」
じゅえる「ちなみに333日は9×37日ですから、12月で分けるのではなくて、9季で分けます。春夏秋の三つの季節があるのですね。一週間は9日です。」
弥生「かなり変則的だね。」
まゆ子「地球人から見たら、だね。この世界の人間は、暦ってなんて便利に出来てるんだ、と思ってる。」
弥生「そういや、11章に出てきた夏初月ってのは、具体的にいうと何月になるんだ。」
まゆ子「春初月、春中月、春旬月(雨月)、夏初月、夏中月、夏旬月(暑月)、秋初月、秋中月、秋旬月(冷月)、となります。冷月が冬ですね。この世界は冬は短く、無い年もある。
白い月が太陰月28日、青い月が泰劫月33日周期、という数え方です。白い月が暦としてはわかりやすいけれど、青い月は年10回+3日で公転するので、11年周期で惑星と衛星の位置が合うことになるから、暦の基準は青の月。極周回衛星は空中の見え方はとても変だから、白の月が日常の基準になるわけです。」
弥生「つまり、春中月と春旬月の間、私は毒地に居たのだけれど、雨月というのにまったく雨とは遭遇していないよ?」
まゆ子「毒地は雨降らないもん。その代わり、ボウダン街道に出たら、雨月の影響で蟲の大発生に遭遇するのですよ。」
じゅえる「ゲルワンカプタが出てきたのは、雨の影響だったのか。」
まゆ子「毎年の風物詩、でも今年は量が桁違いだったて話ね。」
弥生「ではこれからの予定ですが、さっさと最終章書きなさい。」
まゆ子「あい。」
じゅえる「EP3の予定ですが、第三章は第二章の解決編で、毒双子姉妹です。これが早いのはEP2に放り込まれる予定だったからで、早くなければならないのですね。」
まゆ子「第1章はタコリティとマキアリィです。これはあまり派手にはならない。第4章はノゲベイスラで、弓レアルの手紙が話題になりますから、最終章はこの前には必ず上がっていなければならない。」
弥生「だからさっさと順番に書けばなんの問題も無いんだよ。」
まゆ子「第5章はイルドラ姫様が毒地にやってきます。準備段階ですね。ゲジゲジ軍の風物を描くのが忙しい。第6章は、詰め将棋だね。開戦直前にどちらも煮詰まっていく有り様を描きましょう。ハジパイ王も出なければ話にならない。マキアリィの活躍もここにちょこっと。」
じゅえる「ここで半分。にも関らず未だ本格的戦闘には至らない。問題あるかな?」
弥生「普通に考えれば、第七章は私の話だね。」
まゆ子「うん。ではこうしよう。デュータム点に居るかウラタンギジトに居るか知らないけれど、そこで本格的開戦の報せを聞く、と。で、劫アランサとどちらが勝つかの問答をして、謎の薬売りプロジェクトを発動させる。」
じゅえる「なるほど。ではその回に「根っこの会」の暗躍も。ついでに今まで出ていない可哀想な、斧ロアランの話とかも。」
まゆ子「なるほど。斧ロアランの所に「根っこの会」のつなぎが入るのだね。」
弥生「盛り沢山で、いい感じだね、第7章は。では第8章は本格的戦闘の描写だね。」
まゆ子「いや、第8章は本格的戦闘開始の報を受けて、赤甲梢アウンサが遂に動き出す、と言う話。戦闘描写は第9章。」
じゅえる「なかなか忙しいね。第10章は弓レアルがカプタニアの近況を、そして謎の薬売りの暗躍を書きます。第11章は寇掠軍の側からの攻撃、遂にイルドラ姫様が戦場で初陣です。」
まゆ子「第12章は弥生ちゃんがウラタンギジト入り、ですね。神祭王と会い、また神聖神殿都市の怪しい神官と対面します。」
じゅえる「最終13章は、すると、EP4に繋がる伏線入りまくり、再びタコリティ周辺の話だね。」
まゆ子「いや、全然関係無い話、というのが一個欲しい。ネコの話というのはどうだろう。神聖神殿都市を巡る暗闘をネコが駆抜ける。実体としては、12と13章は裏表で二章続けて、ということになるのが、まあ現状から推測されるね。」
弥生「よくわからないけれど、弓レアルの婚約者はEP3では死なないんだ?」
まゆ子「この流れでは死ねないな。」
じゅえる「行方不明で死なないんだけど、まあEP4だね。」
弥生「じゃ、そんな感じで。」
06/2/12
まゆ子「というわけで、げばると処女EP2「第十二章 そして舞台は一幕を終え、新たな悲劇を用意する」(さよならミィガン、そして)が出来たわけです。」
じゅえる「遂に最終章に突入ですね。」
弥生「最終章と言っても、EP2の最終でしかないんだけどね。」
まゆ子「ともかく終りがあるのはいい事だ。」
じゅえる「そうなんだ。終りがないのは無間地獄だからね。」
まゆ子「で、新設定。当初予定されていた、弓レアルの婚約者は死なない事になりました。戦場で寇掠軍に襲われて、死んだと思われて居ますが、実は記憶喪失になって人喰い教徒達に救われます。」
弥生「人喰い教徒が人を救うの?」
まゆ子「そりゃ、のべつ幕なしに食べてるわけじゃない。」
じゅえる「なにか、そこんところに設定が必要だね。」
まゆ子「というわけで、婚約者が死んだと聞かされた弓レアルは、一度は諦めますが、夢かなんかで思いついて探しに行きます。」
弥生「なるほど。それは定番だ。」
じゅえる「定番だ。で、冒険をして、巡り合って、そして、・・・弥生ちゃんに記憶を取り戻してもらうんだね。」
まゆ子「それが弥生ちゃんが十二神方台系で行った最後の治療になります。」
弥生「定番だ。つまり、そんなものが必要なほどに、話が伸びたてことだね。」
まゆ子「そういう事です。要するに諦めました。大審判戦争はEP3、4で二巻使ってじっくりと書きます。3巻の最終章でつまり彼が襲われて行方不明になります。」
弥生「だいたいわかった。では赤甲梢の突入は、4巻になるのね。」
まゆ子「3巻でどの程度入れ込むか、が問題になります。なぜ3巻でないかと言えば、弥生ちゃんの活躍とタコリティの状況を叩き込む事にしたからです。」
じゅえる「弥生ちゃんの話が、相当に大きくなるわけだ。」
まゆ子「主人公ですから。」
弥生「でもそれじゃあ、ちと足りない?」
じゅえる「構成上ちと足りないかな。タコリティに仕掛けが無い。」
まゆ子「それそれ。マキアリィを野放しにするわけにもいかず、彼が活躍するには陰謀が必要だ。なにか仕掛けを仕込むにはやっぱスペースが必要なのだよ。」
弥生「具体的に、なにが必要?」
じゅえる「人喰い教団だね。タコリティに侵蝕してくるんだよ。それ以外には、もう未知の勢力を作るのはやめよう。」
まゆ子「あ、今から新勢力を言おうかと思ったのに・・・。ぐすん。」
じゅえる「なんじゃいそれは。」
まゆ子「ハジパイ王の秘密の勢力で、元老院の若手からなる集団。「白寧根の会」というのです。金翅幹、黒甲枝、赤甲梢に続く第四の、というか秘密の騎士団ですね。」
弥生「白寧根というのは、つまり、根っこの会ということですか。」
まゆ子「ほんとうは「王根」という概念があるのですよ。王族を根元として、幹から枝が生えて梢になって、葉が繁る。根っこの会は、その王根を支える地中の白い根っこの会、という意味で、身分の高い者が高いモラルに基づいて、地下活動を行うというわけですね。こいつらが弥生ちゃん暗殺の為に大狗を派遣します。」
弥生「ああ、既定路線なんだ。それは仕方ないな。」
じゅえる「では根っこの会と人喰い教団が連携している、と。えーとそれと、スガッタ教はどうなるのかな。」
まゆ子「人食い教とスガッタ教は、関係ありません。人喰い教の根幹は神人です。スガッタ教の根幹は十二神信仰の密教派です。つまり神人が舞台に出て来るから、その影響力を描写するスペースがやはり必要なのです。そして、それはタコリティと関連する。ちなみに神人とは、文字どおり神の人ですが、救世主ではありません。不老不死で特殊能力を持ちますが、聖蟲は無い。その代表選手がガンガランガ・ギャザルで、さらにトカゲ神人という人が野山の薬草を教えたことになってます。コウモリ人も神人ですし、コウモリ人によってゴバラバウト頭数姉は神人化されました。頭数姉は、だからこそ人喰い教団の長になったのです。」
弥生「なにをしてもらったの。」
まゆ子「弥生ちゃんの説明では、十二神方台系の人間は基本的に老化機構を備えていない。不老不死が普通に出来るようになっている。でも、体内に訣臓という老化を司る器官が備わっていて、これにより老化します。だから、これの機能を阻害すると不老不死になります。偽弥生ちゃんッイルベスが神剣の使い過ぎでこれに成り掛かります。」
じゅえる「この臓器は取り除けないの?」
まゆ子「たちどころに死にます。人体の急所です。」
弥生「それは老化だけを目的として作られた臓器なの。」
まゆ子「要するに、人体デザインの問題で、これが無いと古い個体がいつまででも生き残って資源を独占して集団の更新が行われないのですね。だから絶対必要な臓器なのだよ。で、個体レベルではどうかというと、これは成長ホルモンを放出する、つまりこれが無いと大きくなれない。毒双子少女は、小さい頃から毒を与えられているから、訣臓の働きが悪くて成長が遅れて少女に見えるんだよ。14歳くらいだけど10歳に見える。」
弥生「そうか。ちびになっちゃうんだ。」
じゅえる「で、神人は訣臓が動いてないから、不老不死でずっと生き続けるわけだ。なにか超能力は無いの。」
まゆ子「特には。だからこそ、頭数姉は人喰い教団を率いて霊的エネルギーを蓄積しようとします。長年生きてきたから知識はあるけどね。」
弥生「そうか、人喰い教団は神人になるのが目的なんだ。なんとかして訣臓の働きを弱めて不老不死になる、というのが目的なんだね。」
まゆ子「まね。それだけじゃあ、聖蟲を持った人間に勝てないけどね。」
じゅえる「ではスガッタ教は、超能力を求めるのが目的だね。」
まゆ子「人喰い教とスガッタ教は表裏の関係にあります。人喰い教は不老不死になると勝手に超能力が身に着くと考えてるけど、スガッタ教は超能力を身に着けて救世主になろうと考えて、寿命はどうでもいいと思ってます。即身成仏すら教義にはあります。生きながら天河に行こうという術ですね。」
弥生「スガッタ教、神秘教スガッタというのが正式な名前だけど、はあまりストーリーには関連が無いのかな。」
まゆ子「困ったね。折角用意したのに。刺客オーディションの話も無くなっちゃったし。」
じゅえる「ともかく、タコリティに仕掛けをするのは人喰い教団。スガッタ教は別口ね。」
弥生「じゃあ、タコリティに仕組まれた陰謀を、ヒィキタイタンの親友であるマキアリィが解き明かす。でも二人は対決する宿命にある。」
まゆ子「いいでしょ。」
じゅえる「その仕掛けをどうするか、だね。人喰い教団の独立国、ではないね。」
まゆ子「必要無い。人喰い教は本質的に暗黒の存在だ。だからこそ力となる。紅曙蛸王国以前からアンダーグラウンドを支えるイデオロギーなんだよ。」
弥生「元々タコリティは無法都市なんだから、人喰い教の街でもあるんだよね。では何が問題?」
まゆ子「むしろ、タコリティに抑え込まれてきた人喰い教団が、褐甲角王国に討って出る、という話じゃないかな。マキアリィにとっては重大事だ。」
弥生「難民とタコリティと人喰い教団、なにかパーツが抜けてるね。」
じゅえる「・・・西ゲジゲジ王国は?」
まゆ子「ああ。方台の反対側だから連携が難しかったけれど、西ゲジゲジ王国がタコリティを通じて、大審判戦争に介入しようとする。まったくノーマークだったわさ。」
弥生「そりゃ当たり前過ぎる以上に当たり前の話だな。海岸線は固く守られて、直接は手を出せないんだから、絡め手のタコリティからてのは当たり前過ぎる。」
まゆ子「分かりました。そういう点で考慮していきましょう。マキアリィが反応するのは当たり前だ。」
じゅえる「この場合、むしろ人喰い教団がマキアリィに協力するというのが面白いな。」
まゆ子「マキアリィには若いカニ巫女がついていて、そいつはカニ巫女シンジケートでアングラ情報に強い、というかカニ巫女は元々アングラ対策班だから当たり前に強いんだけど、その筋から西ゲジゲジ王国の情勢をキャッチした、という話でいこう。カニ巫女の出番を考えて居たんだけど、でけた。」
弥生「てなことで、締め切りは四月にしない?」
じゅえる「四月末日でEP3終了。いいね。」
まゆ子「じゃそういうことで。」
05/2/5
弥生「しかしまた、「スーパー猥談」とは、とんでもないことをしたねえ。」
じゅえる「というわけで、ウエンディズ「恋する天竺人形〜シャクティ北海道修学旅行に行く〜」第三話ができたわけです。」
弥生「責任者は誰?」
まゆ子「じゅえるの指導で。」
じゅえる「色気無い、って言ってたじゃない。」
弥生「確かに言ったが、ここまでしろとは言ってない。」
じゅえる「ここまでって、どこまで?」
弥生「えー、・・・・・・なんだこの話は。」
まゆ子「そうなんだ。エロいけれど、ちっとも色気が無いんだ。」
じゅえる「ウエンディズですから。」
弥生「下品なんじゃない?」
じゅえる「物辺村のれんちゅうは元々がエロキャラだから、エロイのは当たり前。むしろ男に媚びないエロ話を作り上げた事に埃を持ちなさい。」
まゆ子「じゅえる、字が違う。」
弥生「うーむー、だが、こいつらが今後ウエンディズで活躍するとかは、無しだよ。」
じゅえる「それはもう。なんせこいつらは「統則最前線」のオペレーターとしてもう出てるもん。」
まゆ子「じつはそう。」
弥生「うーむ。」
じゅえる「それに天竺第四話はお上品一組の話になる予定です。美矩と城ヶ崎花憐とフリルの武士が出ますよ。」
まゆ子「そうなんだ、次はお上品の回なんだ。このコントラストがなんともまあ。」
弥生「うーむ。で、どんな話?」
じゅえる「もてまくり、という話。」
まゆ子「ネタが無いけど大丈夫。ウエンディズ伝統の三題話でやります。」
弥生「では私がその御題を出してやろう。」
じゅえる「どうぞ。」
弥生「トリノオリンピックが近いね。ではイタリアで。」
じゅえる「はい。」
弥生「二月は如月。キューティーハニーは如月ハニーだ。では女子プロレス。」
まゆ子「キューティー鈴木ってまでやってたかなあ。」
弥生「名詞はもう要らないな。ではストレッチではどうだろう。引き伸ばすわけだ。」
じゅえる「イタリア、女子プロレス、ストレッチね。まゆちゃん。」
まゆ子「あー、北海道といえば酪農。イタリアはピザ、ストレッチされるのはチーズとくる。」
じゅえる「さすが。」
弥生「うーむ、さすがだな。」
まゆ子「女子プロレスは。・・・ちゃんこだな。」
じゅえる「なんでだよ。」
まゆ子「いや、昔はプロレス界も食事はちゃんこって言ってたんだよ。相撲上がりの人が多かったから。ちゃんこと言えば鍋。鍋にチーズは。」
弥生「フォンデュか。なるほど、お上品なお話には悪くない。でも。」
まゆ子「北海道に行ってるんだから、観光牧場の一つくらいには行くでしょう。馬にのってフォンデュ食べて、えーイタリアね。」
じゅえる「ブランド話とか?」
まゆ子「いや、季節は秋口だから、城ヶ崎花憐は夏休みイタリア旅行に行ってたんだ、お嬢だから。」
弥生「しかし、北海道の描写すらしないのに、イタリアの話を出すというのも。」
まゆ子「心配ない。イタリアの男に軟派されたという話になる。なんかねちっこくて往生したという。」
じゅえる「フリルの武士こと根矢ミチルは金持ちなのかい?」
まゆ子「いや、それほどでは。いいとこじゅえるん家くらいかな。」
じゅえる「なんだ、サラリーマンか。」
まゆ子「で、男どもに付きまとわれるのに、なんかプロレス技みたいなものを教えてくれ、と美矩がせがまれる訳だね。」
弥生「うーむ。さすが、なんとなく形が出来てきたな。」
じゅえる「しかし実力行使というのはエレガントではないな。ストレッチのキーワードを効率良く使おう。」
弥生「でもシャクティたちがまったく絡まないというのも問題だな。なにか関連づけて下さい。」
まゆ子「あい。そこで美矩は手元にあった輪ゴムをにゅっと引き伸ばしてゴム鉄砲とかしてると、ぴょんと飛んで誰かに当たる。」
じゅえる「だれにしよう。金持ちか池面か、それとも先生とか。」
まゆ子「いやいや、男子に当たって謝りに行った美矩が愛想振り撒いて、あーあの班はすごいなあーとか憧れの眼で見られちゃうのだよ。」
じゅえる「そりゃ嫌味だよ。」
弥生「しかしなんだ、それではちとキーワードが足りないな。」
まゆ子「違いない。イタリアが弱いんだ。気持ちよくオチてくれない。」
じゅえる「美矩は電気に弱いんだ。なにか使えないかな。」
まゆ子「一重のラムちゃんだもんね。そういえば、美矩って子は、どういう子なんだ。」
じゅえる「書いてない、かな?」
弥生「入団の時には書いたけれど、そういえば深い設定とかは無いな。ついでに放り込んでおこう。あそこの家は、何?」
まゆ子「そうだねえ、城ヶ崎が網元でしょう、根矢が高級ビジネスマンでしょう、美矩は公務員かな?」
じゅえる「なるほど、悪くはないが。」
弥生「門代地区に住んでいるんだ、なにかそれらしいものがいいんじゃないかな。」
まゆ子「・・・公務員っぽいなあ。ちと上級の。」
弥生「あまり、発展性が無い。」
じゅえる「違いない。ただ美矩の性格には符合する。まあ今流行の一級建築士という手もあるが。」
まゆ子「公務員でいこう。ただ、本編には絡まない、というか絡み様がない。」
弥生「城ヶ崎がイタリア土産のなにかをもってきているとかで、オチないかな。」
まゆ子「城ヶ崎の家にはフェラーリがある。」
じゅえる「嘘!」
まゆ子「ほんと。これは最初から決まっている設定だ。真っ赤で下品な色をしたフェラーリがある。お嬢だもん。」
弥生「だが北海道旅行では使えないだろ。」
まゆ子「そうね。だが、話としてはこれで後は可愛らしげなオチをつけるだけで十分だ。」
じゅえる「書くだけならね。最初から考え直してみるか。」
弥生「イタリアというのが悪かった。発展性に乏しい。」
まゆ子「しかしそういうのこそ、弄り甲斐があるというもの。腕の見せ所だね。」
じゅえる「飛躍が無いんだよ。イタリアン女子プロレスとかのぶっ飛んだ話は無いのかね。」
まゆ子「女子プロレスといえば、最近はお笑いさんで魔邪とかいう人が人気みたいだね。」
じゅえる「摩邪だよ。なるほど、根矢の性格をそんな風に口が悪いのにするか。」
弥生「やはり、ケンカを売らせるべきではないかな。」
まゆ子「なるほど。王道中の王道、美人で高飛車のお嬢がケンカを売って来るのを、根矢が買っちまったてのだね。ストーリーの王道だ。」
じゅえる「この場合、ケンカを売られるのは城ヶ崎で、根矢はそれにかちんと来て自分で買ってしまう。ちなみにこの班には他にも生徒会書記の別当美子も居るんだけど、美矩と二人がかりで鎮めようとして、」
弥生「・・・草壁美矩はついうっかり、ウエンディズの技を使ってしまうわけだ。」
じゅえる「じつにウエンディズらしいね。敵は誰にしよう。」
まゆ子「すくなくとも、城ヶ崎は自分には関係の無い事で責められる。つまりは、・・・鳩保と物辺優子についてだね。温泉の電気を破壊した事がケイタイで伝わってきており、しかも右回りクラスはこれからその旅館に泊まる手配になっている。」
弥生「かんぺきだ。」
まゆ子「もう一人、明美二号もこの伝で使える。ウエンディズの悪評ふんぷんたるものが、ここ修学旅行で暴露されてしまうのだ。」
じゅえる「敵は、どうしよう。金持ちだな。城ヶ崎とこと同じくらいに金持ちで、田舎者の彼女をいびりまくる。ビジュアルはなんとなく分かるけれど。」
まゆ子「縦ロールのドリル女だ。」
弥生「生徒会関係と数理系、体育会系はウエンディズは完璧に抑えている。図書部書道部軽音楽部もそうだ。外部の、・・・・バレエ教室とか?」
じゅえる「OK。金持ちの城ヶ崎は小学生の時からバレエ教室に通って、縦ロール女と遭遇したのだ。で、小学校卒業時の発表会でプリマの座を城ヶ崎に取られた縦ロールが、取りまき引き連れてねちねちと。」
まゆ子「ちなみに根矢ミチルは元がフリルの武士だから、リボンを使うぞ。新体操部だ。」
弥生「イタリアに行った、というのもこの女の方がいいかな。めちゃ自慢する。」
じゅえる「で、ストレッチでしめくくろう。」
まゆ子「縦ロールを、・・・・のばしてしまう。」
弥生「かんぺきだ。」
2006/01/31
じゅえる「このまゆ子め、また東と西と間違えやがって!」
まゆ子「ひーん、ごめんゆるしてええ。」
弥生「というわけで、げばると処女第二巻「第十一章 青晶蜥神救世主、東に向かう」改め「第十一章 青晶蜥神救世主、西に向かう」が出来たのです。」
じゅえる「どうしてあんたは、東と西を間違えるんだ。東から来た弥生ちゃんが東に行くわけが無いだろう。」
まゆ子「ゆるしてえええ。」
じゅえる「それにしても、また計算違いだ。ティンブットと合流、さよならミィガンが書けなかったよ。」
まゆ子「すいません、思いもかけずに東金雷蜒王国攻略の話が長引いて、というか当然必要な長さなんだけど、おかげでかなりいい感じの章になりました。」
弥生「私自身の戦闘も盛り込めたしね、二分で勝っちゃったけど。」
じゅえる「そんなに黒甲枝って弱いの?」
まゆ子「弱いんじゃなくて、弥生ちゃんとの相性最悪なんだ。飛んでる燕を斬るようなもので、佐々木小次郎でもないと無理。」
弥生「そうか、佐々木小次郎なら私に勝てるんだ。」
まゆ子「あー、そうね。カタナで刀切られないのなら、勝てる可能性はある。」
弥生「そうか、覚えておこう。」
じゅえる「でも、束になって掛かってきたら勝てないでしょ。」
まゆ子「鉄弓で集団で射掛けてきたらさすがにやばいけれど、そういう状況に陥ったら、ハリセンフリーズドライで弓矢を使えなくするよ。」
じゅえる「フリーズドライで弓矢がだめになるの?」
まゆ子「常人の使う弓ならば、弦が乾燥で切れる。黒甲枝の場合は、目が乾燥して前が見えなくなる。」
弥生「フリーズドライだから角膜には最悪だね。」
じゅえる「なるほど。どうあっても黒甲枝では勝てないんだ。」
まゆ子「まあ、正面からの戦争は一応考えてないけどね。もっと陰惨な奴を用意している。」
弥生「期待しましょ。」
弥生「しかし、では第十二章は。」
まゆ子「第十二章 さよならミィガン、です。仕方ない。ミィガンとティンブットは第二巻の内にケリをつけるしかない。12章でティンブット合流とミィガン離脱を書いて、そこに伏線を匂わせて、第十三章は最終章として、本来の第十二章 カプタニアにて、が入ります。
カプタニアにて、は前半が弓レアルが婚約者カロアル軌バイジャンに送った手紙でカプタニアの状況を記します。後半は、大狗のサグラバンタに憑依したハジパイ王が湖畔にて謎の大女に会います。神人となったゴヴァラバウト頭数姉ですね。彼女に弥生ちゃん暗殺とか色々と依頼するわけです。彼女に、犬を使うとはなんと臆病なんだ、と嘲笑われます。」
じゅえる「では、タコリティの話は無いの?」
まゆ子「致し方なく、第三巻の冒頭になりますね。げばると処女第三巻 トカゲ神救世主、忙中閑あり「第一章 タコリティにて」となります。
ちなみにその前文として、わたしたちが出ますよ。弥生ちゃんを最近学校で見ない、とウエンディズのみんなが噂話をするのです。」
じゅえる「ふむ。まあいいか。で、タコリティはどういう構成になるの。」
まゆ子「とりあえず、テュラクラフ女王がただものでは無い事を十分に表現する必要があります。彼女は予言が大得意。これからどうなるかを解き明かしてくれます。特に神様関係では重大な予言をします。」
弥生「ヒィキタイタンさんは、これからどういう風に絡んで来るのかな?」
まゆ子「そうね、第一章と最終十三章は決まっているから、最初にタコリティでこれまでのおさらいをして、最期にカプタニアで大審判戦争の総括の悲劇を、つまり弓レアルが婚約者を失った話を書きます。そこに猫からの噂で、ガモウヤヨイチャンが失踪したというのを聞かされて、第四巻に突入。弥生ちゃん失踪の詳細は第四巻冒頭になります。」
弥生「つまりは、十一章の間にタコリティの話がもう一本入るか、というわけだね。でも赤甲梢のギジシップ突入には最低でも2章掛かる。」
まゆ子「そうだね。準備編、突入編、神聖王との対話編、で三本だな。大審判戦争が5章で敵味方編、カロアル父子の最期で1章必要だ。となると、弥生ちゃんに割り振られるのはわずかに3章。タコリティは無理だな。」
じゅえる「これまでの経過から察するに、最終章は無理だな。弥生ちゃん4章で、褐甲角側の描写の中にタコリティの状況を混ぜ込もう。」
まゆ子「弥生ちゃんは、まず第二章でデュータムポイントでの刺客に遭います。また、ウラタンギジトで大狗による襲撃も受けます。」
弥生「はあ。だめだ、赤甲梢の襲撃を第四巻に持ち込まないようにするだけで精一杯だな。」
まゆ子「イルドラ姫さまも描かなきゃいけないし、カプタニアに大火も起こるし、どうしましょう。」
じゅえる「こうしてみると、かなり無謀な観がありますねえ。なにしろまだ、大審判戦争の経緯はまったく考えてないんだから。」
まゆ子「そうなんだ。戦術的に妥当と思われる戦争の経過の構想は、完璧に無い。おのおのに見応えのあるシーンも用意しなければならないとすれば、なおさら狭くなる。一応は赤甲梢の戦術は考えているけれど。」
弥生「どういうの?」
まゆ子「ギジシップ島に渡るには舟が要るんだ。舟を調達しなければならない。しかし、それは当然防衛側も分かるから、港に直行しても舟を焼いてしまうのだよ。」
弥生「当然だね。」
まゆ子「そこで隊を二つに分けて、装甲神兵の一団50名をそのまま東岸に突っ走らせて、そこで舟を調達して、本隊が向かう首都に直行する港に南下させて、それに乗る。防衛側は舟は軍船も含めて全部焼いてしまうから、それを阻止する事ができなくなるのだね。そこで、首都侵攻する。この港で兎竜は置いて行くから、30名ほどを兎竜保護の為に残して現場を離脱する。」
弥生「なるほど。兎竜から舟に乗り換えるんだ。でも舟の扱いはできるの?」
まゆ子「幸いな事に、赤甲梢には装甲海兵団から選抜された者が多数居るんだ。これは必然で、海戦は手柄を立てる機会が多いから、勇猛さをアピールする場として赤甲梢にピックアップされる率も高いんだ。だから、一般庶民のクワアット兵から赤甲梢になった者には、これが多い。で、それを選抜して舟を奪取させにいくのが、アウンサの策だよ。」
じゅえる「でも、そう簡単に国境線を突破できるの?」
まゆ子「出来ない。だから小細工をする。
つまり、ギジェカプタギ点を迂回するルートはギィール神族の寇掠軍が本国から出征する要路に当たるのね。ここを通ると必ず敵に遭遇する。だから、ここの敵をまず追っ払う策に出る。
本国から毒地に出征してきた寇掠軍を、毒地に侵入した兎竜部隊が背後から攻撃して殲滅する。これを三度ほども繰り返すと、このルートはヤバいという事が周知されて、しかも寇掠軍の進軍スピードはここをさっさと通り過ぎようと早くなるのね。で、ここはがらすきになる。それを狙って、突入する。しかも、目くらましにギジェ関で大攻勢が行われる。」
弥生「まあまあね。しかし補給が無いのは問題でしょ。」
まゆ子「ここはアウンサは非情の策を取った。寇掠軍の真似をして現地調達だ。食糧はともかく水と兎竜とイヌコマの飼い葉は絶対必要だ。また矢の補給もしなくてはいけない。そこで、軍の基地に殴り込みを掛けて必要なものを分捕る。これが本隊の装甲神兵の主な役割になります。ついでに金品を強奪して迷惑料として現地の一般民にばら撒いて行きます。まあ、人気取りの一環だね。住民の好感度を上げて撤退路を確保している。」
じゅえる「芸が細かいね。」
まゆ子「アウンサは気が利く人だよ。まあ、このくらいではまだ撤退路の確保は完全ではない。結局は神聖王をその気にさせる、というのが一番の方策なんだ。」
弥生「赤甲梢はだいたいわかった。後は黒甲枝だけれど。」
まゆ子「黒甲枝の毒地突入部隊が編制されて、ベイスラ地方からも人を出します。弓レアルの婚約者は未だ聖戴していないから、クワアット兵邑兵を率いての輸送任務に回されますが、たいそう危険です。包囲を破って寇掠軍が突入してきます。」
じゅえる「ああ、死んじゃう。」
まゆ子「とまあこんな感じ。やる事は決まっているけれど、大事だ。
ちなみに、ごめんなさい。第十章は換算で400字詰め原稿用紙45枚になります。大幅増量してしまいました。」
じゅえる「なぜ? 最初に変なの付けたから?」
まゆ子「万全を期すと、これが最小量でした。切るのは不可能ではないけれど、出来は非常によいのだから、単なる容量削減だと劣化以外あり得ないので、諦めました。」
弥生「ふむ。しゃあないね。」
2006/1/12
まゆ子「てわなけでお正月に映画を見て来ました。6日です。」
じゅえる「ふむふむ。なに?」
まゆ子「はりーぽったー炎のごぶれっとです。」
じゅえる「面白かった?」
まゆ子「割と。というか、はりーぽったーはなにも考えないなにも期待しなければ、割と面白いのです。」
弥生「まあファンタジーだからね。おもしろくないと意味がない。」
じゅえる「ナルニア国物語はどうだろう、面白いかな。ファンタジーの定番なんだけど。」
まゆ子「どうも、おもしろくなさそうだよ、予告編を見た感じでは。」
弥生「で、どうだったのはりーぽったーは。」
まゆ子「もう公開一ヶ月になってるからだろうけれど、お客がかなり少なかった。遅い回だったし字幕版だからかもしれないけれど、意外な程人気が無い。」
じゅえる「おかしいね。客層は。」
まゆ子「周りは20歳の前後て感じかな。6日だったからまだ冬休みなんだけどね。でもやはり、字幕はだめなのかもしれない。」
弥生「げばると処女に取り込めそうななんかあった?」
まゆ子「無い。というか、げばると処女には魔法は無いから。」
じゅえる「魔法は無いんだよね、わざと。」
弥生「そんなものでいいのかな。そりゃまあ、魔法じゃない超科学だから、ファンタジーとはちと異なるのかもしれないけどねえ。」
まゆ子「で、はりーぽったーはまだ14歳の設定なんだけど、もうちょっと歳が行ってるみたいで、16、7かなあて思ったよ。なんかシリーズものの映画は難しいねえ。」
じゅえる「顔が変わるからね。」
まゆ子「そうなんだ。はっきりいって、はりーぽったーの方がはーまいおにーよりも綺麗なのはいただけないなあ。」
弥生「はーまいおにーてのはヒロインだね。」
まゆ子「第一作ではロリでその筋には大評判となりましたが、いまでは見る影も無くなりました。今ちょうど、よくない感じ。ロリと美人の境目のブス期にあたるね。」
じゅえる「その年齢の頃は美人になるか、ブスになるか、二択だからね。美少女で売ってた芸能人にはキツい年代だよ。」
まゆ子「しかし、収穫が無かったわけでもない。はりぽったーの学校に魔法女子校から遠征部隊がやってくるのだが、魔法使いっぽいごわごわした厚手の服着ているのになかなかエロかったよ。これは使えるかもしれない。」
じゅえる「冬服でエロイ? なるほど、一考してみよう。」
弥生「で、他に見所は無かったの。」
まゆ子「ミッションクリア、だけだからねえ。ドラゴンとの勝負は屋根の上で格闘するのが少し面白かったけど、これは映像が面白かったわけだし。でもさあ、はりーぽったーってなんか、日本のマンガみたいだね。次から次にお使いイベントが発生するみたいな。」
じゅえる「そう、・・かな。まゆちゃんがそう思うのなら、そうかもしれない。」
弥生「私達日本人は誤解しているのだけれど、世界の人の大半は日本人とおなじようにバカですよ。」
まゆ子「そうなんだ。実はね。」
じゅえる「日本とおなじような気の抜けたマンネリの、敵がどんどん強くなってなんだかわかんなくなるイベントでも、客は呼べるって事か。」
まゆ子「とまあ、こんな話。お正月映画は気の抜けた、なにも考えなくてもいいのが一番です。6日に映画を見に行ってやっとお正月が終ったって気になりましたよ。で。」
じゅえる「で、風邪をひいちゃったのね。」
まゆ子「そうです。気が抜けたら風邪をひいちゃうのです。」
弥生「気合いが抜けたわけだ。でも癒った。」
まゆ子「癒ったみたい。だからこれ書いてる。しかし悪い事ばかりではなくて、多少脳の働きが鈍っている方が余計な事を考えなくて作業が進む事もある。てなわけで、3DCGのカベチョロンを作ってみましたよ。」
じゅえる「CARRARAいじるのも久しぶりかな。冬のモモ展ださなかったもんね。」
まゆ子「去年の12月頭はげばると処女書くので大忙し。集中力を余所に振り向ける事ができなくて、やめました。今は小説書く集中力が無いから、単純作業の積み重ねである3DCGが向いている。足はまだだけど、あらかたできました。」
弥生「で、げばると処女は。」
まゆ子「去年の12月25日くらいまで、「第十章 弥生ちゃん、運命の出会いをする」 を書いていたんだけれど、そしてあらかた書けたんだけど最後のシーンに詰まって、考え中。」
じゅえる「停滞の原因は何?」
まゆ子「しるくが出ます。メグリアル劫アランサです。弥生ちゃんがカベチョロの力を使ったら、それに感応して飛び出して来るんだけど、読者様にはしるくとは何者かが分からない。で、それが弥生ちゃんの地球の友達だ、ということを印象づけようとして細部に手を入れていたけれど、バランスが崩れてやりなおしになったんだ。彼女がしるくに似ている、という印象を除外すればまったく問題なくすんなりと書けたんだけれどね。」
弥生「描かなきゃいいじゃない。」
まゆ子「そういう選択肢もある。しかし、焔アウンサは大東桐子に嗜好が似ているのには気付く弥生ちゃんが、しるくに気付かないわけがない。でもそうすると、地球の話について触れないわけにはいかないんだ。そのバランスがね。」
じゅえる「最終的にはどう解決するの。」
まゆ子「弥生ちゃんの言う通りよ。ほとんど描かない。ものすごくうすーく触れるだけにしました。これが一番です。」
弥生「さいしょからそうすればいいのに。」
まゆ子「後から見たら当り前じゃんと思える事でも、一通りぐるっと頑張ってみなければそれが最善であると分からない事もあるんだよ。」
じゅえる「で、できたの?」
まゆ子「近日中に。あ、そうそう、統則最前線、進みました。円条寺蓮との面談が終った所。また企画会議の必要があります。これも近日掲載予定、短いけどね。」
じゅえる「もはや差分といったレベルの進行だけどね。」
まゆ子「あ、そうそう。はりーぽったーで気に入ったのは、インド人姉妹です。これはいいかんじですよ。」
弥生「うむ。シャクティが喜ぶよ。」
まゆ子「それから、書いてなかったけれど、前回映画に行ったのは11月1日の映画の日です。「ヒトラー最後の12日間」「皇帝ペンギン」の二本立てです。長かった!」
じゅえる「今時二本立てとは珍しいね。」
まゆ子「だって今時の映画館じゃないもん。絶滅危惧種の古典的映画館なのさ。ここはふるくてぼろくてだからイイ感じ。いいかげんな格好で見ても大丈夫なんだよ。中で映画の合間にお弁当食べました。」
弥生「実に古典的な映画館だね。でもよく残っているねえそういうの。」
まゆ子「そういうわけです。たまには儲けさせてやらなきゃ潰れる、と思って見に行きました。映画の日だけれど。」
じゅえる「で、映画の中身は。」
まゆ子「皇帝ペンギンはペンギンが可愛いという以外になにもありません。ひとらーは、この映画、割とロリの出現率が高い。」
弥生「??」
2006/1/2
じゅえる「という事で、2006年明けましておめでとうございます。」
弥生「おめでとうございます。げばると処女EP2は完成しませんでしたが、まあいい線ですか。」
まゆ子「おめでとうございます。げばおとはまあいいです。順調と言った方がいいでしょう。むしろ、他の方がね。」
じゅえる「なにか、心当たりがあるわけ。」
まゆ子「いや、ほら!・・・・他のって企画会議全然やらない!」
弥生「あ。ああー、そいつは盲点だった。」
じゅえる「できるわけないさ、そりゃあ。」
まゆ子「というわけでこれからは意識的に企画会議やります。げばると処女でさえ不足気味だからね。会議にそぐわないような個人個人の心の襞とかも、やってみます。」
じゅえる「でもそんなものまでやる必要有るかな?
しかし、正月初めからいきますか。まずは『統則最前線』です。えー、個人面談が終ったところですね。」
まゆ子「はい。ここで能登子は真の敵と言うべき円条寺蓮と出くわします。個人的な事を聞かれるだけで、小型のまねき猫をもらって職場にもどります。それだけです。」
弥生「具体的に何を聞くんだよ。」
まゆ子「いや、お子様の事ですよ。それと戦時中に戦傷を負った事と、その時に人工子宮を使って子供を産んだこと。なぜか蓮は子作りに興味があります。」
じゅえる「別にひっかかる所は無いんじゃないかな。」
まゆ子「だからこそ気合いが必要です。うえんでぃずだって今は露天風呂に入ってるとこを書いてますが、それだけです。」
弥生「なんか描き易そうだけどね。」
まゆ子「実際書きやすいです。でも気合いが乗らないと書けない。そして、気合いてのは単に集中すればよいというものではなく、風が訪れるような不思議なタイミングです。これに頼っている限り、小説の量産は出来ません。」
じゅえる「だからこその企画会議だ。で、統則に戻ると、なぜ子作りの話を聞く?」
まゆ子「それは本当に興味があるからです。円条寺蓮も子供が欲しい年齢になってきています。この時代は少子化を越えて全国民が意識的に子供をもうけようと考えています。それが国民の義務であると思っているのですね。」
弥生「よい風潮だね。」
まゆ子「まあ、そうです。御国のために子供を産んでますから、良いのですが、だからと言って男女がセックスしまくっているというわけでもない。女同士で遺伝子改造で子作り、とかはありません。」
じゅえる「では、やはり男が必要なんだね。」
まゆ子「そこが蓮の興味の対象です。能登子には夫が居ない、父が居ない。蓮も子供を一人で産んで一人で育てよう、て考えているのです。人工子宮の使用も考慮して居ます。この時代日本の人口の5%は遺伝子ブタ使用の人工子宮の出産ですから、珍しいけど非常識ではない。能登子の10年前はそれでもかなり珍しかったけどね。」
弥生「つまり、興味津々なんだ。」
じゅえる「じゃあ、仕事とは関係無く子供のことを聞いている? いや、それが伏線になるのですね。」
まゆ子「まだ考えてないけれど、そうです。伏線にしなければなりません。るぴかの存在をクローズアップさせる為には、子供に興味があるという属性は外すわけにはいかない。」
弥生「でもまだ考えてない。具体的にはどういう風になるのかな。」
まゆ子「子供の安全をまず考えます。電猫曼荼羅でも子供は影響を受けて危ない目にも遭います。蓮の思考の外にあったことで、るぴかに興味を持った事で、こども対策をします。」
じゅえる「つまり、犯罪に子供が巻き込まれる、と。そこに志穂美先生の出番はあるね。」
まゆ子「どうしますかね。蓮自身の活躍の場にしてもいい。ただ、電猫曼荼羅の影響を子供が強く受けるのは確かです。」
弥生「子供だけ? タコロボットについては聞かないの?」
まゆ子「いや、それはむしろ能登子の方から質問します。志穂美先生の警告を受けているからね。それに対する答えは、お仕事頑張って下さいです。こきつかおうと考えている人間が、その対象に言える言葉は他には無いでしょう。ただ、組織編成についての意見はします。それから、能登子は事前に下調べをしておいて、というかそれをリアルタイムで出来るコンピュータを携帯している、ので、蓮が尋常の警察の所属ではない事を理解しています。」
弥生「そこまで手の内は見せない。」
まゆ子「双方共にそうです。」
じゅえる「つまり、このシーンでは何も起きない?」
まゆ子「そうね、ここは顔見せの印象が強い。この後で事件が起きてタコハチ出動ですから、印象に薄いのは仕方ないけれど、火花が散るというよりも空間が歪曲して行くという感触があればいい。」
弥生「ディテールを整える、てことかな。」
まゆ子「設定をね、一応ここで提示することになる。円条寺蓮という人の存在を印象づけるためのシーンだ。」
じゅえる「であれば、なにか起きないといけないでしょ。」
まゆ子「しかし会議室内で起きる事には限りがある。秘密の開示とか、計画の示唆とか、オーパーツ的な情報とか。」
弥生「このシーンで一番不適切なものは、何?」
じゅえる「無関係なこと。二人のどちらからも等距離で、しかも現状の状況とはまったく関係が無い。国際政治とか金融かな。」
弥生「国際政治は治安状況と関係有るでしょ。」
じゅえる「そうだ、今テレビで大人気の、蒲生弥生ちゃん議員について、というのはどうだろう。」
まゆ子「うーむ。それは確かに場違いだ。警察官だから、そういうのに深入りするのはよろしくない。でも、弥生ちゃんは何をやっているのですかね、その状況で。」
じゅえる「戦争については、他の議員がちゃんとやっている。治安も難民対策も。弥生ちゃんがやろうとしているのは、世界ですね。救世主伝説ですよ。」
弥生「しかし統則の世界状況では、国連でさえも救世主には成り得ないでしょ。」
まゆ子「いや、救世主だ。なぜか日本中の人が、救世主となるのならばこの人しかあり得ない、とか言ってるのだよ。本人は否定するけどね。」
弥生「具体的に言うと、なにをすれば救世主になれるのだよ。」
じゅえる「それはやっぱり、人を救うしか。農業問題で世界中の人を餓えから救わねば救世主と呼ばれる資格は無い。」
まゆ子「あ、いや。そうだ、「統則」の日本社会は、政治状況は比較的安定して、積極的に海外に派兵もするちゃんとした政権なんだよ。弥生ちゃんは政治家になったから救世主呼ばわりされるのではなく、救世主っぽいから政治家になれたんだ。日本自体はちゃんとしているけれど、世界全体は依然として真っ暗闇で、日本社会にもこれ以上の負担はできないという事で、方針変更を巡って政治に昏迷が深まっている。」
弥生「では弥生ちゃんは、ヒトラーユーゲントみたいなものを作っているとかかな。」
じゅえる「第二次太平洋諸島戦争が、迫っているとかかな。」
まゆ子「日本国内に限定すれば、救世主っぽいのは沖縄に収容されている100万人の海賊を中国に引きとらせることだけど。
って、ほら、こういう考察こそが企画会議の利点てものだよ。こういうとこでディテールを深くするから、心地好く小説を描き進められる。」
弥生「まったくだ。こういう効能があるんだね、分かり切ったシーンなのに。」
じゅえる「とりあえず、弥生ちゃんは武断的政治はしない。しかもミラクルだ。そうね、呪術的に人間の行動を支配しようという蓮のやり口とは正反対なんだ。意識改革、そう天使道というのを勧めている。」
まゆ子「きた! それだ、エンジェル道だ。すごく危ないんだけれど、でもぜんぜん大丈夫なんだ。絶対正義ではなく絶対善で動いている。世界中に日本人が考える善を押し付けようという、実にアナクロかつ説得力のある事を言ってるんだ。お節介なんだ。」
弥生「善き事を善きように推し進める。それだね。それで、中国人難民や海賊を中国本土にたたき帰そうとしている。それも世界中で、難民を故地に返す運動をしている。その障害となる現地政府をたたき壊して出来のよい政府に取り替えよう、というのを本気でしているのだ。方法は分からないけれど。」
じゅえる「まあ、そんな感じかな。
それはともかくだ。折角企画会議をしているのだから、提案がある。」
まゆ子「承りましょ。」
じゅえる「最近とみにエロ絵ページの更新速度が低下している。」
弥生「あ、それは私も感じて居た。なんか、エロ絵ページ要らないんじゃないかな。」
まゆ子「いや、だってあれはでぽの存在理由なんだから。・・あーでも、確かに更新が遅いのは問題だけど、問題がある遅さではないと思うぞ。」
じゅえる「いや、要らないとは言ってないけれど、3年も前の作品を載っけている意味は無いんじゃないかな。特に、今の更新速度を考えると、1年以下の作品だけでもかまやしないと思うぞ。」
弥生「しかし、それでは寂しくないかな。」
じゅえる「その分、オリジナルの絵が載る。てことは、資料的価値が上がるということだよ。それに、やるにしてもオリジナルエロ絵の方が価値が高いのではないだろうか。たとえば、土器能登子さんのヌードグラビアとか。」
まゆ子「ふむ。一理ある。オリジナルエロ絵の方が、版権を気にしないで済む分どこにでももってけるからね。」
じゅえる「つまり、エロかそうでないかの問題ではなく、オリジナルか版権ものか、という問題なんだよ。」
弥生「しかし、それでお客様は納得されるだろうか。オリジナルという事は、他人にはとっかかりが無いということだろう。」
じゅえる「そこは質的向上を以ってする。これまでのオリジナル設定画は設定としての機能をこそ果たしては居たものの、観賞用として価値があるかと言えば、ちと問題が有る、また、観賞用として描かれているものであっても、可愛げが無い。」
まゆ子「つまり、可愛いオリジナル絵で、エロもある。そういうのを主体としてはどうだろうという提案だね。過去絵を削減して。」
じゅえる「どうかな?」
まゆ子「それは要するに、オリジナルエロ絵に集客能力があるか、という問題になる。」
弥生「でも今の版権絵に集客力があるとはとても言えないぞ。」
まゆ子「そうなんだよ。」
じゅえる「だからこその質的向上だ。版権絵は自由度が低過ぎるんだよ。」
まゆ子「エロ絵はだいたい自由度低いものだよ。しかし、実験する価値はあるな。というか、そういうのは3DCGでやる気だったんだよ。手間が掛かり過ぎてどうしようも無いけど。
とりあえず、イルドラ姫さまとかからかな。」
じゅえる「今度、女の狗番というのが出て来る。「喙番」てのだ。これは顔に鳥の仮面を被ってるんだけど、乳放り出させてみるか。」
まゆ子「いやあ、狗番なんだから鎧着ているんだよなあ。」
弥生「イメージでいいんじゃないかなあ。こんな感じで、って。」
じゅえる「エロ可愛いのだよ。あくまで。」