ゲバルト乙女 第五夜

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まゆ子「突然ではあるが、この世界の人間はせんべいを食う。」

明美二号「わ、びっくりした。」
じゅえる「突然なんだよ。」


まゆ子「昔わたしはキリスト教の宣教師の話とかいうので、アジアの方では人はパンくずを常食とする、と書いてあったのをみて「どんな食べ物なんだろう」とわくわくした思い出がある。後になってもうちょっと調べてみると、そのパンくずというのは、つまりただの米であったわけで、ちょっとがっかりしたのだ。」

明美「はあ。」
まゆ子「つまり、当時の宣教師は米というものを知らず、米を炊くという行為も知らなかったわけで、ほら要するに麦は粉にしないでそのまま調理するわけにはいかないから米がそのまま食べられるとは思わなかったわけなんだね。それで、出てくる食べ物を、小さいパンみたいなもの、つまりパンくずと表現したわけだ。もっとも、現地の宣教師自身はそれがそういうものだとすぐ覚えただろうけど、ヨーロッパで報告書を読む人間にはそれは分からないから、”パンくず”と表現したんじゃないかな。」


じゅえる「なるほどね。つまりこの世界の食い物は、地球には無いんだ。だから表現するにはせんべいというもの、にしか見えないわけだ。まあトルティーヤを日本語に直すと、一番正しいのは”せんべい”だろうしね。」
明美「はあ、そういえば、トルティーヤって日本語でなんと言うんでしょ?」
じゅえる「えーと、お好み焼きみたいではあるけど、せんべいが一番正しいんじゃないかなあ。湯葉は全然違うし、ふすまみたいでもあるけど食感まるで異なるし、せんべいで問題ないんじゃないかな。」
まゆ子「インドのナンも、表現に困る食べ物だね。あれもせんべいが正しいんじゃない?」
じゅえる「そう言えば、肝心のパンも日本語で適当な言葉は無いぞ。せいぜい饅頭だな。」
まゆ子「饅頭も、日本語じゃないね。中国語だ。」
じゅえる「あ、」
明美「ああ、そうなんだ。じゃあ異世界の食べ物は、壁チョロが付いた弥生キャプテンには変な表現でしか語れないものになってしまうんですね。」


まゆ子「実はせんべいでは無くてえびせんを食べさせよう、と考えたんだけど、さすがに変過ぎるから。」
じゅえる「えびせん、ってかっぱえびせん?」
まゆ子「そう。まあ、つまり、トルティーヤなりナンなりを焼いて、線状に切って細かくすると、えびせんになるのだよ。」
明美「それはひょっとして麺なんじゃないですか?」
まゆ子「でも食感は麺よりはえびせんに近い。トルティーヤを細く切って食べたら何に近い感じがするか、というようなものだね。」
じゅえる「トルティーヤは細くしたら麺だろ。とはいえ、つまり乾いた食感があるわけだ、えびせんに近い。」
まゆ子「むしろ、シリアルに近いんだな。えびせんをスープに浸して食べる。」

明美「あ、なんだかおいしそう。」
じゅえる「ほお、なんだか食べたくなるね、それ。つまり、乾いた状態ではえびせん状の物体であるところの食べ物なんだ。これが主食?」
まゆ子「たぶん。最下層の人は違うかもしれないけど。」
じゅえる「つまり、粉を練ったものを線状にして焼くか揚げるかして、えびせんにするんだろ。じゃあ、切らずに焼けばせんべいになるんだ。」
まゆ子「その時は、手でたたき割ってスープに浸して食べる。この、スープに入れる、というのがこの世界の料理の基本なんだ。」
明美「最初からスープで炊くというのはないんですか?」
まゆ子「いや、それはお粥になっちゃうから。あるけどちょっと違う食べ物だ。つまり、ちょっとした食感の違いが楽しいのだな。」
明美「分かります、分かります。つまりどろどろした感じになるのがキライなんですね。スープは澄んだまま、えびせんが浮いてるっていうのが正しく美しいお料理なんです。」
じゅえる「割と上品な世界だな。

 じゃあ、そのえびせんの素材は、パンにはならないんだ。ふっくらした柔らかい感じには。発酵もしない。」
まゆ子「それは麦だろう。米はふくらし粉では膨らまないもん。」
明美「おせんべいはお餅と同じで内部の水蒸気が膨らむんですよ。」
じゅえる「そのくらい知ってるわい。そうか、柔らかくならないんだ。」

まゆ子「でも、ちゃんと麦もあるよ。発酵させなくても蒸せば柔らかくなる。・・・・麦はイヤだな。山芋にしようか?軽羹のように膨らむのだ。」
じゅえる「麦は確かに異世界っぽくないな。豆にしよう。空豆みたいな大きな豆を潰して練って蒸したら軽羹になるんだ。」
明美「では、では、その空豆を使って本物の羊羹にしましょう。練るんです、練って練って練りまくって、で、型に入れてゆで上げれば羊羹みたいになるんです。」
まゆ子「この世界では、甘いといえばその空豆、という事にしよう。ほんのりと上品な甘さがある、甘葛みたいなものなんだよ。」
じゅえる「高級品だな。」
まゆ子「ネコが郵便配達の料金として欲しがるのは、そのお菓子にしよう。軽羹みたいにふんわりした甘みあっさり系のお菓子だ。」
明美「ネコが欲しがるはずです。」

じゅえる「では、甘葛そのものはどうしよう。ゼリー状の食べ物は無いのかな、いや、あるべきだろ。」
まゆ子「・・・・・・ツバメの巣?」
明美「ツバメの巣は、元は海草です。ところてんですね。」
まゆ子「この世界に海は無いけど、川の側の苔をすり潰して漉して使えばゼリー状になる、というのでいいかな?」

じゅえる「ふむふむ、じゃあ、もっとスゴイ食べ物を考えようというのはどうかな。ファンタジー的な食物をばーんと打ち出せば、凡百のファンタジーに勝るぞ。」

明美「尻尾を食べる、というのはどうでしょう。リスみたいな生物が居て、尻尾だけが極端に大きくなって、それをちょんと切って皮を剥げばおいしく頂ける、でも尻尾はまた生えてくる。」
じゅえる「それは、中身はクジラのおばいけみたいなものにしよう。ぷるんぷるんする珍味だ。」
明美「いいですね。それ。」


まゆ子「あうあー、キリがないから食べ物はこのくらいにしよう。

 

 

で、今日の話題は、HAPPY カブトムシ LIFE なのだ。」
明美「なんですか、それ。」

まゆ子「黒カブトムシ兵は、生まれた時からカブトムシ兵というわけではなく、或る一定の年齢に達した時に、黄金カブトムシ王族からカブトムシを戴くのだけど、それまでに色々とめんどうな過程があるんだよ。世襲には違いないけれど、その家で勝手に親から子にやりとりしてよいという代物ではない。」

じゅえる「当然だね。養成過程があるわけだ。面白い?」

まゆ子「かなり。

 

 つまり、黒カブトムシ兵というのは軍の将校であり行政官となるわけだから、エリート中のエリートなわけだから、幼少の頃から厳しい訓練を受けるのだな。で、中世であるからその訓練の最中に命を落としたり病気で無くなったりする者も居る。それを引っくるめての世襲であるから、赤カブトムシ兵が特別なエリートと言っても、黒カブトムシ兵がそうではない、という事にはならないんだよ。

 まず、訓練だけど、黒カブトムシ兵というのは大抵は地方の任地に赴任して、家族は王都に留まるということが多い。またその任地というのは、基本的に数年で1単位、長くても10年程度で配置が変わる。これは腐敗防止の為であるんだけど、だから、子供が居る黒カブトムシ兵は基本的に家族は王都に置いている。で、子供、男の子は10歳になったら幼年学校に入って集団訓練をするわけだけど、それまでに一通りの事を身に付ける為に家庭教師を雇うんだね。」

じゅえる「その家庭教師ってのは武術と学問、てとこだろうね。でも大体長子相続なわけだろ。」

まゆ子「だから、長子が順当に成長するとは限らないんだよ、医療が発達していないから。だから、第二子、三子も一緒に家庭教師が訓練する。時には女子もその訓練に駆り出されることもある。本来の長子が病弱とかだったりした時ね。基本的には相続人が居なければ養子を取る事が許されるけれど、血統の問題で婚姻による養子が一般的で、それにふさわしい婿が見つからない場合は暫定的に女子が相続人となる事も許される。ただし、その場合条件があり、女子のカブトムシ兵は戦場に出ないこと、婿となる人間がカブトムシ兵として認められなかった場合は子供が相続にふさわしい年齢になった時にカブトムシを返上する事、とかまあ普通のものだね。で、めんどくさいから女子の相続は普通避けられる。黒カブトムシ兵の家はそれぞれ血縁が近いから、ちゃんと養子となる子供がどこかしら余っている。しかし、よほど位の高い家系の場合、適当な家に子が無くてやむなく女子が、という事になるわけだ。」

 

明美「この世界は男尊女卑なのですね。」
じゅえる「あ、違う違う。軍事国家だから、当然のように男子が優先されるってだけだろ。」
まゆ子「そういうことなんだね。軍隊がこの国の基本にある。それを忘れちゃダメだよ。黄金カブトムシ王族も、基本は兵なのだ。


 で、10歳になった時に幼年学校に入隊が許可される。この入隊資格は、黒カブトムシ兵の家の男の子である事。実子でも養子でも構わないが、その家で確として認められている正当な後継者候補であること、なのだ。長子とか二子三子とかは問題じゃない。次に読み書きと計算が出来ること、性格的に軍隊生活に向いていること、カブトムシ神に忠誠を誓うこと。で、最後に健康問題、となる。武芸の腕はここでは不問にされる。要は、武芸の練習を通じて基礎体力が養成されているか、が問題なのだよ。武芸は、入学後、徹底的に訓練し直されるから、家庭での訓練は問題じゃない。むしろ、変な癖がついてない方が望ましいとされる。」

明美「やっぱり女子はダメなんですか。じゃあ、やっぱりカブトムシもらっても軍隊には入れないんですね。」
まゆ子「女子の場合は、王宮に務める。黄金カブトムシ王族の召し使いとして修行するんだよ。これは各家から出来がよくて顔姿が美しい女の子をより選って決める。と言っても家格が優先されるから、上位の、つまりカブトムシを相続するような家の子はやっぱりここに入ってくる。」

じゅえる「カブトムシの家系でない所からは絶対に無いわけ?」
まゆ子「昔は能力と気質で抜擢されることもあったけど、今は絶無。とはいえ、カブトムシの家に姻戚関係になって、というのはある。もっとも随分と家格が下がるけれど、でもゲジゲジ王国でしかるべき地位に居た人物の家系というのは、その対象になることもある。」

明美「ふーむ、かなり厳しい階級社会なんですね。」
まゆ子「でも、経済関係はこのシステムには入ってない。徴税とか書記会計は別口で募集する。こっちの方はもっと間口が広いし、その行政府は黄金カブトムシ王族の直轄だから、軍とは関係がない。」

 

じゅえる「で、その幼年学校だけど、10歳から、」

まゆ子「16歳までの6年間、1月入学12月卒業だよ。ここを出ると、軍に入る。王都近くにある教育軍だ。幼年学校出はここで小隊長の任に就き6名の一般兵の部下をもらう。と、その前に卒業試験があるんだよ。で、これに受からなかった場合は即失格の一発勝負。まあオチるような奴は滅多に出ないけどね。この試験は任官試験でもあるから、つまりこれに受からなかった場合は小隊長になれない。よって、一般入隊の二等兵から始めるしかないのだ。で、軍に入らない奴は黒カブトムシ兵にはなれないから、相続する為には是が非でも試験に受かるか、意地でも入隊して二等兵から始めるか、ともかくそれしかない。」

じゅえる「かなり厳しいね。」
明美「シビアですね。」

まゆ子「試験に受からないというよりも、幼年学校で脱落する人間の方が多い。主に健康面と、あと訓練でケガをして再起不能というのがある。この時代は医療が進んでないから、当然骨折脱臼でも機能が十分に回復しない場合が多い。で、満足に訓練が出来なくなって脱落するんだよ。頭が悪くて脱落、というのは滅多にない。入学時にこれが最初に検査されるからね。」
明美「そうかあ、中世ってのはかなり、医療面で制限がキツいんですね。なんというか、今の常識ではまるっきり分からないところが多いです。」

じゅえる「伝染病とかもあるんだよ。そういうのは考証しないのかい。」
まゆ子「たぶん要らない。この物語では使わない。なにせ、救世主弥生ちゃんはかなり短期間で物事を成し遂げてしまうからね。

 で、幼年学校では座学と演習、武芸とを徹底的に叩き込まれるわけだが、もちろん最重要なのは、カブトムシ神への忠誠心の育成だ。ここの生徒達の第一目標はカブトムシをもらうことだから、それはもう真剣なものだ。で、ようするに宗教が絡んでいるわけだから、この幼年学校はミッションスクールのような趣になる。つまり規則に厳格なのだよ。だから素行面で追放される子もいる。これを食らった日には、カブトムシ相続は完全に無くなったと思っていい。なにせ、カブトムシを戴く時に黄金カブトムシ王族から厳格な審査を受けるからね、放校なんてされてたら絶対に受からない。」

 

明美「なんか、まったく楽しくないスクールライフですね。」
じゅえる「まあまあ、なんたってここは男子校よ。ホモのパラダイスなのよ。そうでしょ。」
明美「そうなんですか。」

まゆ子「そんなこと聞くなよー。まあ、年に一度の長期休暇と、何度か有る宮廷行事に家として出席する時以外は外出も厳しく制限されてるから、そういうのが無いとは言わないよ。ああ、言わないともさ。ミッションスクールはホモ禁止だ、なんてことも言わないよ。禁止されてるから燃え上がるんだなんてのもね。」

じゅえる「わかった、わかったったら。無いんでしょ、ホモは。無い無い。」
まゆ子「よろしい。

 で、入学年次で厳しい階級があるわけで、上級生の言うことには絶対服従が基本なわけだ。これは特に説明する必要は無いよね。」

明美「はい! 絶対服従を楯にホモ行為を強要するのは認められますか?」
まゆ子「ダメです。即放校です。」
じゅえる「ち。」

まゆ子「あー、もう、二人とも上流階級ってのが分かってない! ここの生徒たちてのは、基本的にもう生まれた時位から許嫁が居るんだよ。だからホモ行為なんてのはされちゃあ困るわけだ。」

明美「えー、じゃあ自由恋愛は禁止なんですかあ。」
じゅえる「あ、そうか、自由恋愛ってのは中世位までは、王族にだけ許される特権行為というかほとんど変態的行為だったんだ。すっかり忘れてたよ。」
まゆ子「そういうわけで、ホモは禁止なのだ。それどころかオナニーも禁止なのだ。寝る時に手は布団の外と決まってるんだよ。」
じゅえる「そこまで目をつり上げて主張しなくても。

 わかった、つまりは、性的なものは幼年学校では絶対禁止なんだね。」

まゆ子「実はそうでもない。というか、卒業前に強制的に筆下ろしされちゃうんだ。ほら、十二支の巫女が居たでしょ。」

明美「あ。・・・・・・・たしかあれは娼婦だったわけですから、そういうこともするんですか。」
じゅえる「はあー、なんて至れり尽くせりの学校なんだ。」

まゆ子「だからね、この学校は宗教的な学校なんだよ。だから、宗教が認める女性でないとセックスしちゃあいけないんだ。で。卒業間近になると、一人ずつ呼ばれて特別な部屋に案内されて、そこには十二分に成熟したエロエロの、でも清純な感じの巫女さんが居て、で、性の悩みについてのお話しにのってくれるんだ。で、自分の身体を使って女性の説明をして、で、セックスのやり方を実演で教えてくれるわけだね。もちろん中だしもOKなのだよ。」

明美「避妊はしなくていいんですか?というか、避妊法ってあるんですか、この世界。」
まゆ子「だから巫女なんだよ。神術による避妊法ってのがあるんだ。で、この幼年学校でそういう事をするってのは巫女の中でも特に敬虔で真剣な女の人であるわけだから、ほとんど失敗しない。失敗しても、誰の子か分からないけど、そういう子は王宮に召し上げてくれるのだよ。」

じゅえる「なかなか楽しくなってきましたね。まゆ子さん。で、それって一回きり?」
まゆ子「まあ、卒業手前だからね。というか、一回きりの方がロマンチックじゃない。ただ失敗しても巫女さんがリードして成功するまでトライさせてくれるんだよ。普通の売春と違って。こうしてセックスというものを崇高なものとして理解させる、特別な教育法なのだよ。だからホモは無し!」
じゅえる「わかりましたあ。」

 

まゆ子「あーーーーー、・・・・・・・・えーーーーーとーーー、なんだっけ。わすれちゃった。

 あ、そうだ。で、その儀式を済ませて、試験発表を受けてほぼ順当に教育軍に上がるんだね。で、そこで小隊長になり、厳しい演習を繰り広げる。で、ある程度の訓練を終えて、で、辺境の守備軍に編入されて一般兵を指揮する隊長となり、黒カブトムシ兵の指揮官の下、辺境警備に当たるんだ。この実動までに二年ほど掛かるわけで、その前に長子の人は大体が結婚する。許嫁とね。で、戦地に赴きここで3年ばかり軍務に就く。年一回帰ってくるけど、花嫁はその間待ちぼうけだ。

 で、軍務を終えて王都に帰還するのがだいたい21歳くらい。ここで多分、この親が40から5、50歳も居るかな。黒カブトムシ兵としての引退をするわけだ。で、引退届けと継承者の申し送りを黄金カブトムシ王族に奏上するんだね。」

じゅえる「ふうん、非常に堅実で面白みが無いね。巫女さんとセックスってのはもう無いの?」
まゆ子「無い! 幼年学校に来る巫女さんは、外では絶対に客はとらない。客を取ってるのはだいたいかなりレベルの落ちる巫女さんだ。巫女通いなんかしてると、素行不良ということで結婚の約束が破棄されちゃったりする。だからさっさと結婚しちゃった方がいいんだよ。」

じゅえる「長子でない第二子とかは、巫女通いしても大丈夫なんだ。」
まゆ子「だめです! 養子の口が掛からなくなります。養子ってのはだいたいが結婚による婿入りです。家に娘が居なければ、親戚から養女を取ってでも家の為に婿入りさせます。だから巫女通いなんかしちゃダメです。」
明美「巫女さんは清らかなのに、えらい嫌われようですねー。」
まゆ子「それは当然。家のお母さんたちは巫女さん大嫌いだからです。」
明美「納得。」

 

まゆ子「で、こうして大抵の人が落ち着くべきところに落ち着きます。が、その中で特に武芸に秀で優秀な人が、赤カブトムシ兵団からスカウトされます。長子の人にはその勧誘はありません。第二、三子といった養子組、もしくはその先が見つからない人達です。あるいは、すでにカブトムシの家でない階級の娘と結婚してしまった人というのもあります。で、赤カブトムシ兵団に勧誘される事は兵士として最高の資質を認められるという高い名誉になるわけです。んでもって、赤カブトムシ兵団のトップは黄金カブトムシ王族の姫なのです。」

じゅえる「おー、やっと出て来ました。それが最後に火焙りにされる姫なわけだね。」
明美「出ましたねえ。やっと役者が揃いましたよ。」

まゆ子「あ、わるい。それはこれじゃない。むしろこの姫は途中で宮廷クーデターで暗殺される役だ。火焙りにされる姫はその後釜に据えられる予定の姫なんだ。でね、この赤カブトムシ兵団の姫は女性では珍しくも黄金カブトムシを頂いている。黄金カブトムシは50匹しかいないから、特別な存在であるわけだね。で、黄金カブトムシ王族としては珍しく王都から出て、地方の拠点となる城に住んでいる。そこが赤カブトムシの本営なわけだ。で、黄金カブトムシのテレパシーの能力で王都と常に連絡が出来るというわけだね。その為にわざわざ王族をトップに据えてるわけだ。

 で、この姫はやはり巫女であるわけだよ。それも最高神カブトムシ神の巫女だ。王都には、カブトムシ神とゲジゲジ神の巫女は居ない。カブトムシ神の巫女はすべて王族で、当然のことながら売春なんかしない。ゲジゲジ神の巫女は、入国は禁じられてるからゲジゲジ王国にしか居ない。で、この赤カブトムシ兵団の姫巫女は、つまりやらせてくれない巫女なんだよ。とはいえ、赤カブトムシ兵に対してかなりひんぱんなスキンシップをしてくれる。ご褒美にね。で、現在30半ばの大美人なのだ。」

じゅえる「中世で30といえば、もうばばあなんじゃないかな。というか、20越えたら江戸時代でも行き遅れなんだよ。」
まゆ子「最高神カブトムシの巫女なんだよ。若い若い。肌なんかつやつやしてる。叶姉妹なんか目じゃあない。しかもかなり露出が激しい衣装を着けている。ほんとうのカリスマなんだ。ちなみに巫女だけど旦那は居るんだよ。黄金カブトムシ王族の一員なんだけど、もう三人めだ。前の二人は原因不明で亡くなっている。たぶん腎虚だという噂だったりする。」

じゅえる「ばけものねーちゃんだね、」
明美「確かにファンタジーにふさわしい人物みたいですね。で、それが暗殺される・・・・。赤カブトムシ兵は黙っちゃいませんぜこりゃ。」
まゆ子「まあ、そういうことだね。

 

    ということで今回はこれまで。」

 

じゅえる「今回はなかなか見応えのある回でしたね。」
明美「はいー。」

 

03・8・4



 

 

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