ゲバルト乙女 第二夜

 

まゆ子「というわけで、『ゲバルト乙女』を書いていくわけなんだが、その前に決めなきゃいけない事がある。」
明美二号「もうずいぶん出来上がってるみたいですが、まだなんかありますか?」

まゆ子「デザインを決めなきゃいけない。イメージのスタイルをだよ。」
明美「はあ、でもファンタジーなんですから大体そのとおりでいいんじゃ、」

まゆ子「そもそも、このカブトムシ惑星は、

ヨーロッパ風なのかい、中華? 和風? インド風、ペルシャ風、北欧風? 古代中世近世近代現代未来? 暑いのか寒いのか、海辺なのか山間なのか、荒野なのか森林なのか、そもそも空は青いのか、人の人種は何人か? 金持ちか貧乏か、家は茅葺き、瓦、レンガ造り、木造、板張り? 馬は居るのか、ラクダなのか、牛車でも曳いてるのか、服は木綿麻絹毛織り、毛皮? なに食べてるのか、米、麦、芋、豆、とうもろこし?パン? かまどの燃料は薪、藁、牛糞、石炭? 灯はロウソク、ランプ、かがり火?」

明美「うわーーーーーーあ、なにも決まっちゃ無いじゃないですかー。」

まゆ子「実は、あなたの言うとおりにいいかげんにやれば、こういうのは至極楽。しかしそれは、まったく没個性な、それもかなり荒唐無稽な世界になってしまう。まるで、現代の日本の生活に剣と魔法が有るみたいな。」

明美「ど、どこから手を付けましょうか。」
まゆ子「それはー、まずー、・・あ、一つ気になった事があるんだけど、

 カブトムシ兵ね。カブトムシ兵って、甲冑を着けてるの?」

明美「はあ。たぶん着けてるのではないかと。兵隊なんですから。」
まゆ子「しかし、不死身で怪力で固くて刃を徹さないのだよ。それならば赤裸で戦っても無傷だ。」
明美「あ。」
まゆ子「赤カブトムシ兵は高速で動けるから、馬も要らない。」
明美「あ、・・・・・変。どうしましょう。」

まゆ子「だから、甲冑は必要?」
明美「はあ。カブトムシ兵ですから、カブトムシみたいな甲冑であるべきなんじゃないかな、と。」
まゆ子「つまりプレートメールアーマーだね。あれは熱帯では使えないんだ。だから、それを採用すると必然的に温帯か亜寒帯に舞台が設定される。」
明美「あ、だめなんですか、暑いところでは。というか、あれは確かに暑そうですが。」
まゆ子「いや、ほら、自動車のボンネットが夏場直射日光浴びると、すさまじく熱くなるじゃない。ああいう感じになるのよ。」
明美「・・・・・ボンネットで、目玉焼きが、出来るってやつですか。」
まゆ子「そうそう。」
明美「で、でもやっぱりカブトムシみたいな甲冑が欲しいです。なんたってファンタジーですから。」
まゆ子「ふむ。でもカブトムシみたいな甲冑てのは、現実には無いなあ。無駄なボリュームがあるから。」
明美「ですねえ。」
まゆ子「第一、カブトムシの魔法との整合性をどうするか、というのは依然として残るわけなのだな。頭に取りついたカブトムシは、常時効力を発揮するわけだろ。」
明美「そ、の、はずです。」
まゆ子「で、あれば、ダースベイダーであるしかないね。四六時中甲冑を着けている、と。

 女兵士、どうする?」

明美「は?」
まゆ子「ファンタジーの華、女兵士は、当然出るだろ。」
明美「まあ、出した方が、かっこいいかな。」
まゆ子「女兵士も、カブトムシみたいにまん丸?」
明美「うーーーーーーん?」
まゆ子「女兵士は出さない、すくなくとも兵隊ではなく、衛士として王族を守る、というのでもいい。なんだったら青カブトムシ、って女の子用のを出して、ビキニ鎧という手もある。」
明美「あんまり、そういうのは、ウソっぽいですから。
 ・・・・・・そうですねえ。黒カブトムシは、甲冑を着けている。赤カブトムシはそれよりは軽装。イメージから言うとそんな感じです。女兵士はー。軽装ですね。」

まゆ子「常識的なイメージだね。まあ、それはそれでいいのかもしれない。読者の意表を突き過ぎるのもなんだしね。

 じゃあこうしよう。甲冑は、軽い不思議な素材で、カブトムシの魔力を封じ込めるもので、黒カブトムシの甲冑は魔力が充満しているから極めて強固、火の中も平気で歩いていける。赤カブトムシはそれとは異なり、魔力を高速移動に使う為に開放型の甲冑を採用している。防御力は弱いが、元々不死身なのだから、大丈夫。女兵士は基本的に衛士であるから、甲冑は着けないで戦衣を着けてるのみ。ただし魔法の呪文が刺繍しているから、魔力を封じ込めて甲冑の役割もある。こんなのでどうだろう。」
明美「なるほど。カブトムシの魔法は、くっついた人の内部から効力を出す訳ですね。」
まゆ子「不死身と怪力、てのだから、必然的にそうなるね。普通の矢くらいは刺さっても血も出ないのだよ。」

明美「弓矢は出るんですか?」
まゆ子「無しでもいいよ。でも、飛び道具は必要だろ。カブトムシ兵の怪力なら、極めて強力な鉄弓も引ける。」
明美「それはスゴイ威力ですか?」
まゆ子「鉄弓は、まあ昔の戦車の装甲板くらいは射貫くね。10ミリ鋼板くらいは。」
明美「じゃあ、射程距離もスゴイものになりますね。」
まゆ子「500メートルは出るよ。矢自体も鉄製にすれば、飛距離は落ちるけど風でぶれなくなるから命中率も格段に上だ。」
明美「現代の兵隊より強いですかね?」
まゆ子「だろうね。迫撃砲か、RPGが無ければ勝てんだろう。」
明美「ひー。

 じゃあそういう事で、甲冑は有りという事で。
 でも、暑さをどうにかする魔法ってのは無しですかね。」

まゆ子「欲しければ付けてもいいが、その為には汎用魔法というのを設定しなければならない。魔法使いの導入が不可欠だ。ということは、カブトムシゲジゲジ壁チョロ魔法以外の系統の魔法が存在する、という事になる。」
明美「それはまずいです。じゃあ、ふつうの魔法は無しということで、

 あれ? 甲冑の特殊な素材というのは、どこから出たんですか?」
まゆ子「うん。それも問題だ。どうする? 魔法金属か、特殊金属か、普通の鉄を打ち出すか、それとも金属ではないか。鉄ならば大量の燃料が製造に必要だ。近くに森林か石炭が必要になる。あるいは、古代の怪獣の甲羅とか、巨大な昆虫の殻を切り出して使うという手もある。」
明美「ナウシカですね。うーーーーーーん、・・・・練り物というのはどうでしょう。」
まゆ子「ベークライト? ふむ。だが、それなら乾漆がいいかな。漆と布を何層にも重ねて塗り込めていくのだよ、昔の仏像なんかで使われている。それじゃあ、金属箔を練り物で何度も貼っては塗りつぶしていくというのにしよう。で、カブトムシのような光沢を得る。重くてもいいね。」
明美「怪力ですからOKです。」

まゆ子「軍団全部がその鎧を使っているとすれば、かなりの工業力が必要だ。当然燃料も要る。武器は金属製だろうからね。海辺にする?海があれば貿易で資源を得る事が出来るけど、その分余所者、つまりカブトムシ王国に従わない者を仮定しなければならない。」
明美「石油はダメでしょうか。石油が湧く泉があるのです。」
まゆ子「うーーん、臭いからなあ。蒸留しなければちゃんとした油は取れないんだよ。泥炭はダメ?」
明美「なんですかそれ。」
まゆ子「石炭のでき損ない。昔の沼に植物の腐ったのが溜まって圧縮されて脱水して、泥のようになっているの。乾かすと燃える。」
明美「はあ。なんかイマイチですね。」
まゆ子「クジラの脂というのは? 昔は灯油として使ってたし、クジラのヒゲというのは便利だぞ。」
明美「はあ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 あいだをとって、・・・・・・古代の生物の死骸、というか化石が燃える、とか。地面を掘ったら、なんか巨大生物の死骸の化石みたいのがごろごろ出て来て、それは燃えるし、骨を取って処理すれば、不思議な練り物が出来る、というのでは。」
まゆ子「いいね、すごくいいね。斬新だ。なんの死骸?」
明美「たとえばあ、クラゲ。」
まゆ子「骨無いじゃん。」
明美「あああああ、タコ!」
まゆ子「骨無いよ。まあ、いいか。イカにはフネが有るから。じゃあ、全長100メートルにもなる巨大なタコの化石がごろごろ出てくる大地が舞台なわけだ。」
明美「です。」

まゆ子「バイキングだな。陸に居るのに何故かバイキングっぽいイメージのカブトムシ兵なのだ。」
明美「なるほど。タコからバイキングってのは、非常に短絡的でなかなかおもしろいですね。でも、バイキングってのは、海洋民族でしょ。どんな王国なんですかね。」
まゆ子「すまん、見当もつかん。勉強しておこう。だが、赤カブトムシ兵の主兵装は決まった。斧だ。」

明美「バイキングなら船が要りますよね。でも陸地が舞台でしょ。どうしましょう。」
まゆ子「むりやり地上船を出そう。牛に曳かせる二階建の牛車だ。バイキングの船みたいな武装をしている。牛が、16頭立てで。」
明美「牛が多過ぎますよ。もっと力のある、ゾウとかに曳かせるわけにはいきませんか。」
まゆ子「ゾウは熱帯の生物だからね。平原と言えば、サイだな。」
明美「サイですかあー。かっこいいですねえ。」
まゆ子「むう。かっこ良過ぎるな。カバにしよう。」
明美「かばあー! カバってあのカバですよ。」
まゆ子「うむ、あのカバだ。カバってのはとんでもない猛獣だよ。人間に基本的に慣れないから、ゾウ以上の猛獣だと言ってもよいな。昔のヨーロッパの絵を見ると、いかにも凶悪な姿のカバのイラストがある。」
明美「あのカバが、そんな姿に。」
まゆ子「そうだね。いっそのこととんでもなく醜悪で狂暴な姿にデザインしなおすか。乱杭歯で体中にイボがあって、目付きがおそろしくて、で怪力で狂暴。それを黒カブトムシ兵は一撃で殴り倒して言う事を聞かせる。」
明美「すごいです。いかにも黒カブトムシ兵は悪そうです。そのカバは、車を曳くだけでなくて騎乗出来るようにしましょう。」
まゆ子「いいね、黒カブトムシ兵の隊長はカバに乗っている。

 じゃあ赤カブトムシ兵の方はもっと早そうな生物でなきゃいかんね。馬?」
明美「意表を突いて、カンガルー。」
まゆ子「昔オーストラリアには、身長2メートルの肉食狂暴なカンガルーが、わずか数千年前まで住んでいたんだそうな。」
明美「げ、あの可愛らしいカンガルーが、肉食?!」
まゆ子「ウソのようなホントの話。」
明美「がーーーーん。地球ってほんとにファンタジー以上にぶっとんでるとこなんですね・・・。」
まゆ子「カンガルーは乗用に向かないから、騎乗用カンガルーってのをデザインしよう。首の長いカンガルーって感じで、これも狂暴に角を付けよう。」
明美「お任せします。」

まゆ子「ついでにゲジゲジ側だが、赤カブトムシ兵がカンガルーに乗ってるのだから、こちらもなんかに乗せよう。というか、巨大ゲジゲジに乗せよう。」
明美「気味悪いですね。でも早いんでしょ、それは。」
まゆ子「ゲジゲジそのものは早かあないと思うけど、これはカイジューだから早い。電撃の様に早い。だから赤カブトムシがある。ただし、早くても力はそんなには無いから、正面からぶつかると黒カブトムシ兵には勝てない。武器も鎧を通らないしね。だから、スピードを利用して人さらいをしている。で、赤カブトムシ隊が追っかけてくる。」
明美「ゲジゲジ単体で居るわけでなく、ゲジゲジ兵ってのは居るわけなんですね。」
まゆ子「ゲジゲジ王族だな。昔ゲジゲジ神の言うままに、巨大ゲジゲジに人間を食べさせていた一族だ。これも頭にゲジゲジが付いている。で、魔法が使えるわけだ。電撃を出そう。」
明美「はあ。」
まゆ子「黄色いゲジゲジから、黄色い電撃が出る。これに当たるとカバもカンガルーも焦げて死んでしまう。が、カブトムシ兵は死なない。・・・それじゃあ、問題があるなあ。電撃だけでなく、口から溶解液も出そう。これに当たるとさすがにカブトムシ兵も死ぬ。」

明美「ゲジゲジカラーは黄色なんですね。」
まゆ子「金色じゃなくて、黄土色に近い黄色ね。荒野に住んでるから、そこの色。」
明美「ゲジゲジ兵もバイキングなんですか?」
まゆ子「そりゃあ違うだろう。むしろ、もっと洗練された、ローマとかギリシャとかっぽいノーブルな感じの、いかにも古代は文明で栄えていたけれど、今は没落してしまったプライドだけは高い、という感じを出すべきではないかな。」
明美「ゲジゲジは、高級なイメージ、と。じゃあ、弥生きゃぷてんのイメージカラーは何になるんですか? 壁チョロだから、緑とか青とか?」
まゆ子「壁チョロだから、そんなところの金属的な光沢を持った寒色だな。でも、火も吐くことになってる。」
明美「火は、要らないんじゃないでしょうかね。きゃぷてんだから。」
まゆ子「そうかも。じゃあ、そこは保留ということで。

で、空は飛ぶ?」

明美「は?」

まゆ子「空を飛ぶ獣とかに乗って、飛んだりする?」
明美「ああ、ファンタジーですからねえ。どうしましょう。」
まゆ子「ここまでの経緯を見ると、飛ぶのは聖なるカブトムシだけだ。弥生ちゃんの壁チョロドラゴンは、飛んでも構わないが、弥生ちゃん本人が直接飛ぶのはどうも違うんじゃないかな。例えば軽装の女戦士が巨大コウモリの背に乗って戦場をを駆ける、というのがあってもいいような気もする。」
明美「トンボ男が居たじゃないですか。飛ぶのは彼だけにしませんか。きゃぷてんも、彼に抱きついて飛ぶ、とか。」
まゆ子「うーん、節度があっていいね。君は。確かに、ラストの聖なるカブトムシ神の大飛翔を印象づける為には、飛ぶ行為は極力抑えるべきだ。でもそうすると、女戦士とか兵士とかはそんなに活躍しないよ。」

明美「なるほど。なにか女戦士が合理的に活躍できる裏づけが欲しいという事ですね。」
まゆ子「うむ。このままだと、女は弥生ちゃん一人で、あとはムサい男がひしめき合うというしぶーい展開になってしまう。」
明美「かといって超能力を安易に出すわけにもいかない。金色カブトムシ王族の描写が安っぽくなる、というわけです。」

まゆ子「ここは一番、リアリズムで、女兵士は現実と同様にあまり役に立たない、という事にしておくか。現実の兵隊でも、やっぱり屈強な男のが主役なんだもん。いくら銃器が主役で殴り合い斬り合いするわけじゃないと言っても、絶対的な体力の不足はある、まあ、カブトムシが付いてたら大丈夫なような気もするけどね。」
明美「・・・・・・、この世界では、女の人は差別されてるんでしょうか?」
まゆ子「逆に、位が高いという事もある。ただし、こういった戦闘民族の場合は、やっぱり闘う男の方が上なんじゃないかな。士気の問題があるから。」
明美「女の人がカブトムシ兵になるとしたら、能力ではなく家柄でもらう、という感じですよね。」
まゆ子「だろうね。そういう意味では名誉職みたいなもので、活躍する必要は無い、という事になる。」

明美「警察官にしときましょうか。兵隊でなく。」
まゆ子「なるほど、そういう手はある。元々軍事国家であっても、兵と警察が同じ、というのは通常避けられるからね。警察と軍隊とでは行動原理が違うから、軍隊に治安を任せるのは結果が良くないという事は有る。なるほど、警察官にしておこう。それも上級職だ。となると、軍隊と行政府とで分けられているという政治機構があるべきだろうね。」
明美「王宮があって、カブトムシ兵の軍隊があって、高速部隊の赤カブトムシ隊があって、都市の治安を女兵士が担当している。」
まゆ子「警察業務の大半は、普通の人間を雇用して行っている。カブトムシが付いてるのはよっぽど上の、現在の警察で言えば警視くらいだ。江戸時代なら与力クラスだね。あとの下っ端は、下層階級出身者、ということにしておくといい。民衆を弾圧するには、そういう同じ階級の出身者の方がずっと便利なのだ。」

明美「この世界は、民衆が虐げられているのですか?」
まゆ子「だから弥生ちゃんが来たんじゃない。とはいえ、女兵士、というか女衛士と呼称しよう、女衛士にも心ある人は居て、救世主弥生ちゃんの便宜を陰ながら図ってくれる、というのはいいんじゃない?」

明美「裁判官てのは、この世界居るんでしょうかね?」
まゆ子「どうだろう。少なくとも、民衆レベルの問題は警察でやっちゃってもいいような気もするが、・・・・うーん、そうだね。カブトムシが付いてるのは特権階級だ。この人たちを裁くのは王族出身の金色カブトムシの人で、裁判官だ。民衆レベルの訴訟はカブトムシの付いた女衛士にやらせよう。刑事と民事と両方を処理するのだ。だから、チャンバラで活躍する必要は必ずしも無い。で、民生部門の処理もするわけなのだが、その障りに黒カブトムシ兵がなってしまうのだな。プライドばっかり高くて。で、結果的に民衆が割を食ってしまう。かといって、それを止める立場にある女衛士も、だって黒カブトムシ兵は自分達の兄弟だったりするのだから、困ったもんだ。」

明美「ようするにカブトムシを中心とする政治体制に無理が生じているというわけですね。社会変革しなければならない時期に来ているのに、特権階級化しているから、変われない。」
まゆ子「そうそう。」

明美「それはーーーーーー、あ、この世界は十二国記みたいに子供が木になったりしませんよね?」
まゆ子「ああ、まだ考えてなかったね。そうする?」
明美「いえ、・・止めときましょう。大混乱しそうですから。ちゃんと子供はお母さんのお腹の中に、結婚して出来るのです。」

まゆ子「そうだ、人種はどうしよう。白人黒人アジア人、赤青黄色緑、肌の色は色々あるよ。髪の毛目の色、背の高さ、どうする?」
明美「それは、なんだか、一番おもしろいとこですね。イケメンが出なければいけないんですから、基本的に白人っぽい感じで、そうですね、体格は白人というとこで、色はかすかに茶色っぽく色黒で、王族は抜けるように白い肌で金髪で、でもちょっと背が低くアジアっぽく、目は緑で。下層階級の人は、カブトムシ兵と基本的におんなじで、でゲジゲジ兵は色が青白い肌をしていてオレンジ色の髪を持ち、目は灰色で妖しい光を放つ、と。」
まゆ子「赤カブトムシ兵は黒カブトムシと一緒でいい?」
明美「はい。両者は同じものですが、赤カブトムシ兵はエリートなのです。」
まゆ子「うん。まるっきりファンタジーっぽくなってきた。

 食べ物の主食は何?」
明美「バイキングですから、・・・・・・・・あれ?バイキングって主食は、さかな?」
まゆ子「まさか。ちゃんと小麦か大麦か、そんなもんだよ。と言っても、そんなには取れなかったと思うけど。ちなみに今ドイツとかはジャガイモが主食っポクなってるけど、それはコロンブスがアメリカ大陸を発見して新しい作物を持って来てからの話だからね。」
明美「小麦、か。あんまり農業が盛んなような気がしないですねえ。もっとなにか、いい感じの。」

まゆ子「そうか。小麦が主食となると、相当に広い領土が必要だからねえ。それの支配体制をどうやって確立するか、まるで考えてなかった。」
明美「そうそれです。都市ばっかり考えていて、農地の事やムラの事はまったく穴になってたんです。」
まゆ子「ちち、通常のいいかげんファンタジーの無茶設定に引きずられてしまったぜい。どんな作物を食べるにしても、田舎ってのはひつようなのだった。えーと、では、つまり、荒野があってゲジゲジ兵が居る。で、農地があって作物を作っていて防衛ラインがあり荒野との境に赤カブトムシ兵が居る。農地の内側には村が有り領主がいて、・・・・・領主有り?」
明美「つまり封建制か、ということですか? 地方領主はちょっと違うような気がしますね。」
まゆ子「中央集権体制だ。代官だな。黒カブトムシ兵の代官が居る。で、警備隊に普通の人間の兵隊も居る。こいつらは税も取り立てて労役にも農民を駆り立てる。

 ・・・・都市の下層階級とどっちが上になる? 農民が上? それとも都市住民が上?」

明美「そういうのまで考えなきゃいけないんですか、参りましたね。どう違いますか?」
まゆ子「農民が上なら、都市下層階級は飢えに苦しんでいる。都市住民が上なら農民は皆都市に移りたがる。」
明美「なるほど。でも舞台はあくまで都市内部で弥生きゃぷてんが活躍する、のがイメージですよね。」
まゆ子「農村については今まで考えて無かったからね。」
明美「という事は、都市下層階級は貧困に苦しんでいるわけですね。」
まゆ子「そういう事になると、農地を持たない民という設定になる。つまり、カブトムシ王国に外部から流入してきた避難民だ。彼らに食糧を供給する代わりに強制労働に駆り立てる。で、軍備を拡大している、という事になる。では、農民の方が上で、農民は都市下層階級を蔑んでいる、としよう。」
明美「それらの人は、どこから来たんでしょうね? 外国は、無いんですよね。」

まゆ子「ゲジゲジ王国からだろう。赤カブトムシ兵がゲジゲジ王国を攻略する度に、難民が増えていくのだよ。ゲジゲジ兵は、撤退する時に農地に毒液を撒き散らしていく。で、何年も作物が取れない荒野になる。だから、人々は解放されると同時に難民となり、食糧のあるカブトムシ城へと移動するわけだ。」
明美「じゃあ、慢性的に食糧不足状態にある、と。」
まゆ子「当然、農民からの税の取り立ても厳しくなり、農民の不満と怒りは都市下層階級民に向かう。しかし、ゲジゲジ兵殲滅はもうすぐという目処が立つところまで来てるのだよ。赤カブトムシ兵は侵攻を止める気は無い。一方農地を防衛する黒カブトムシ兵は、農民の不満を抑えるのに非常な苦労をしているのだ。だから両者は仲が悪い。で、農地にまで入り込んでくるのが、ゲジゲジ信者のテロリストなのだ。農作物を奪ったり水に毒液を流したり、人を特に女をかどわかしたりする。で、実はゲジゲジ信者は都市の内部の難民下層階級民にまぎれ込んでいたりする。」

 

明美「かなり重層的な構造になりましたねえ。では弥生きゃぷてんは一度田舎から都市にまぎれこんで、都市で名を上げて、となるわけですね。」
まゆ子「ゲジゲジの荒野にもいかなきゃいけないだろ。地獄巡りだ。で、究極的にはゲジゲジ神を、巨大ゲジゲジ神を壁チョロドラゴン神の力で倒すのだ。と同時にカブトムシ神の役目も終わる。」

明美「了解しました。」

2003/07/12




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