ゲヴァルト処女 設定 第十三夜

前回

 

2004/06/26

まゆ子「というわけで、くっちゃりぼろけっとのコーナーは、そのままゲバルト処女の設定発表のコーナーに流用されることになったわけなのよね。」
じゅえる「まあ、どっちでもいいようなものだから、出来たものの管理をちゃんとしておけばいいもんね。」

まゆ子「で。今日は雑魚兵士の一日ということになる。

 雑魚兵士と言っても簡単に言うと三つの勢力が有るわけよ。カブトムシ王国とゲジゲジ王国と交易護衛隊。交易護衛隊は傭兵と看做しても流賊とみなしてもかまわないけれど、どちらの王国の兵制にも従わない独自の制度を持っている点から、ちゃんと一勢力として数えるわけよ。で、ゲジゲジ王国は西と東に分かれ、西ゲジゲジ王国はほとんど海賊同様であるから、また別の兵制になっている。カブトムシ王国も、軍団としてちゃんと組織されているものと屯田兵的に居るものとでは兵制が少し違う。また赤カブトムシ兵団の一般兵はカブトムシが無くてもエリート兵であって単純には数えられない。」
じゅえる「結構めんどくさいね。」

まゆ子「更に、北の山には神官兵士団というのもあるけれど、これはどうでもいい。弱っちいから。逆に、街の中にはヤクザモノというのが居て、これはこれでなめて掛かるわけにもいかないだけの実力も持っている。言うなれば町に住む傭兵団みたいなものだよ。カブトムシ、ゲジゲジ王国ともに一般の市民の治安は直接に手を出さないからね。民間の警察組織のようなものがある。ヤクザモノはその一端を担っている。」
じゅえる「岡引だね。でも、そんなに権限は大きくないんでしょ、それ。」
まゆ子「簡単に言うと、逮捕権は無い。しかし拘留権がある。尋問するという名目で牢屋にぶち込んでしまうんだ。暴力の行使は不許可だけれど、やる。緊急避難的にやる、という暗黙の了解がある。ただし殺したら殺人罪で逆に検挙される。拷問も禁止だけれど、バレない拷問というのもある。」
じゅえる「あー、なる。やっぱヤクザモンだ。」
まゆ子「ゲジゲジ王国の場合はこりゃ簡単。専門のバンドがある。市内警備のカーストね。だからカブトムシ王国よりも法的には厳しい。何故ならば、この国には奴隷でない人間は居ないから。つまり誰かの持ちものである奴隷を損なうのは、その主人であるゲジゲジ神族の財産を損なうことになる。だから殺すわけにはいかないんだな。」

じゅえる「なんか、ゲジゲジ王国の方が良い国のようなかんじしてきた。」
まゆ子「まあ、ゲイルに人を食べさせなけりゃ、それなりにいい国なんだよ。」

じゅえる「でさあ、その巨大ゲジゲジのゲイルでしょ。今度の絵に出て来たのは。大きいよね、15mじゃきかないんじゃない?」
まゆ子「ちと大き過ぎた。でもまあ最大級のゲイルということで。普通はもっと小さい。二人乗ればいっぱいだ。つまりゲジゲジ神族と狗番が一人、これで終わりだよ。上に櫓は組むんだけど。」
じゅえる「つまり装甲ね。でさあ、それって人食べるじゃない。一日何人くらい食べるの。」
まゆ子「二週間で一人くらいかな。年に20人くらいよ。」
じゅえる「ほー。それでよく人を乗せるくらいに動けるね。」
まゆ子「いや、人だけじゃないし、実は草も食べる。」
じゅえる「嘘!」
まゆ子「基本的に、肉を食べるのは活性を高める為で、それ以外の時はおとなしいものなんだよ。草を食べる時は普通の虫みたいなもの。ただ、肉を食べないとどんどん小さくなってしまう。それを防ぐ為の最低の間隔が二週間、ただし人でなくても犬駒でも良かったりする。」
じゅえる「じゃあ、犬駒だけでもいいんじゃない? 大きいし食べ手もあるでしょ。」
まゆ子「いや、そういう話もあるんだけど、ゲイルってバカだから、人間を与えないと、人間を攻撃しないんだ。人間は餌だという記憶が無いと、戦場に出しても人間を避けて通るんだよ。刺々で武装してるし、硬いし、食べ手も無いし、餌としてはあんまり魅力のあるものじゃない。」
じゅえる「めんどくさい生き物だね。基本的に兵器に向いてないんじゃない?」
まゆ子「いや、無理矢理科学技術で作り出した品種改良品だから。

 それでね、人を食べるんだけど、これは買ってくるわけね、バンドから。」
じゅえる「うん。そりゃあそうだろう。餌用の人間てのが売ってるんだ。」
まゆ子「当然、生きのいい餌の方がいい。年寄りや子どもはおよびじゃない。」
じゅえる「当然だね。」
まゆ子「一番良いのは罪人だ。死刑囚だよ。」
じゅえる「なるほど、合理的だ。古代の国なら死刑なんか日常茶飯事だからね。」
まゆ子「だから、悪いことをするとゲイルに食べられてしまう。とは限らない。死刑の前に量刑に応じて拷問をする。拷問をすると餌の生きが悪くなる。それにゲイルは立派な生き物だから、罪人なんか食べさせるのもよろしくはない。これは倫理の問題ね。」

じゅえる「えー、じゃあ、ゲイルに食べられるのは名誉なことなの?」
まゆ子「戦場ではそうだね。戦死と同等に名誉な死に方だ。だから一般社会でもそうなのだよ。」
じゅえる「やばいな、その国は。」
まゆ子「だから、ゲイルに食べさせる人間は普通の人間じゃない。罪を悔い改めて自らの命を投げ出そうという勇気と誠意の有る立派な人間なのだよ。だからゲジゲジ神族も、奴隷にとってはの大金を出して、人間を買う。そのお金は被害者の遺族への補償やら賠償やらに使われる。中間搾取をすることは許されていない。」

じゅえる「なるほど。じゃあ、食べられずに死ぬ、というのは単なる死に損なわけだ。罪人の家族とかは肩身の狭い思いをするんだ。」
まゆ子「そういうわけ。自らゲイルに食べられる事を選ばない臆病者卑怯者は、柱に縛りつけられて民衆から石をぶつけられたり張り付けにされたりして無駄死にする。最低の刑罰ということになる。死体の埋葬も出来ない。ばらばらに裂いて鳥の餌にされてしまう。」
じゅえる「きついな、それ。でもそういう恰好の罪人が出なかった場合はどうするの?」
まゆ子「他の地域から交易で買ってくることになるのだけど、その心配は無用だよ。罪人が絶えた例しがない。供給過剰と言ってもいいくらいだ。だから、たまにゲジゲジ神族とか武人とかが試し切りとか試し撃ち用に罪人を買って来たりもする。」

じゅえる「うーーーむ。カブトムシ王国はどうなの。」
まゆ子「カブトムシ王国はちゃんと裁判をするよ。で、人殺しは普通に死刑。それ以外の犯罪は重労働と懲役と禁固、手鎖首枷、刺青、鞭打ちとなる。カブトムシ兵の家や家人に対して犯罪を働くとやっぱり死刑。ちなみに重労働というのは半数の人間が十年以内に死んでしまうような激しい労働ね。」
じゅえる「死刑の方法は? 試し切りとかある?」
まゆ子「逆で、カブトムシ兵は普通刑罰には関与しない。そりゃ下っ端の役目だ。身分の高い人間に対する刑罰にも犬を使うくらいだもん。カブトムシ兵の武力は光輝有るものなのだよ、不浄には使わない。」

じゅえる「じゃあ、普通に張り付けとか首をくくったり、斧で首を落としたりするの。」
まゆ子「鋏を使うよ。1メートル以上あるデカい奴。これでちょきんと切っちゃう。ただ、やっぱ石礫を投げて民衆が殺すというのが多い。基本的にカブトムシ王国は、カブトムシ兵と、農民町民の自治組織という重層的な支配が成り立っているから、刑罰は自治組織がやるんだよ。裁判はカブトムシ兵が超然とした立場で行い、罪を認められた者を下げ渡す、という形式を取る。だから、民衆によるリンチに近いものがあるのだね。」
じゅえる「刑罰の民主主義、か。却って残虐っぽいね。」
まゆ子「だから、刑罰の最後はとどめに弓矢で射殺すというのになる。自治組織による刑罰は残虐でなかなか死なないんだよ。あんまりに惨いということで、カブトムシ兵の指示で一般兵が、もういいかなというところで罪人を射殺す。一種の慈悲だね。で、自治組織は完全に死んだ事を表す為に首を鋏でちょんぎるわけだ。」
じゅえる「なかなかに両国ともに趣深いものがあるね。」
まゆ子「ちなみに火焙りは国事犯と宗教犯に限られて、カブトムシ兵が直接に指揮を取る。自治組織では火焙りは禁止だ。やったら逆に犯罪になる。火事になることもあるしね。ちなみに火付け盗賊は火焙りではなくて、埋めます。埋めて首だけ出して石投げます。」

じゅえる「で、話は戻るんだけど、一般兵士の生態ね。ゲジゲジ王国から行く?」
まゆ子「いや、カブトムシ王国から。

 カブトムシ王国は屯田兵と正規兵と二種類の兵隊が居る。
 屯田兵は村を外敵から護るのが仕事であるから、兵隊は村人の中から選ばれて人数は限られる。指導するのはカブトムシ兵だけど地方ごとの中核都市や有力な村に集中しているから、そこから応援が来るまでは、正規兵の経験者が現場の指揮を執る。その際、上は自治体の長である村長とか議長とかが司令官を便宜上務める。自然災害の時もこの屯田兵を主体として復興活動をするね。

 で、武装は基本構成では20人が一組で、槍1、戈2、弓1、カタナ5、残りが棍棒を持っている。
 この内、槍と弓は素人には扱えない。専門教育を受けた者だけが使用可能で特別扱い。槍は長さが3メートルで比較的短いが難易度は高い。カタナや戈で相手を包囲して動きが止まったところでとどめを刺す為に使われるから、戦場の経験がものを言う武器なのだよ。だから正規軍で正式に訓練し、ゲジゲジ王国と戦った者でないと扱えない。
 弓は長弓で1.7メートルほど。両方とも威力はまずまずだけど、ゲジゲジ神族とかゲイルには完全に役に立たない。あくまで一般兵を対象とした武器だ。ただ、従者が付いて矢や換えの弓を運ぶのだけど、これは弟子ね。マンツーマンで弓術を教えている。
 戈は長さ170cmくらいの柄に刃渡り30cmくらいの穂先をつけて真横にスパイクが付いた対甲冑用の武器であり、短いから素人でも力さえあればすぐに覚えて上達が早いし、威力も抜群というスゴイ武器なのだ。斬るにも突くにも叩くにも適した近接戦闘の花形とも言える。
 40cmくらいの片刃のカタナが一般兵の普通の武器。切れ味はお世辞にもいいとは言えないが、硬い鎧にぶつかっても折れないだけの強靭さはある。カタナを持った奴は楯も持っていて壁をつくるのが主な仕事。
 棍棒を持っているのは軽装で鎧も付けてない場合が多いのだが普通投石器を持っている。棍棒は長さが2mある固い木の棒で、威力はあるけれど基本的には火を消すのに使うと思った方がいい。ゲジゲジ王国の攻略軍はよく火を掛けるからね。というわけで、この一隊は消防団でもある。」


じゅえる「なんかちと弱くない?」
まゆ子「こんなもんだよ、田舎ってのは。鎧を着けてる人間は珍しいんだから、棍棒と投石でけっこうイケル。ゲジゲジ王国軍がやってきた場合はどうしようもないんだから、火を消すくらいでいいんだよ。どうせ素人兵だし。

 つまり屯田兵というのは、自治団体の自主的な防衛努力をカブトムシ兵が指導する、という形式を取っている。あくまで戦う主体は民衆なんだけど、カブトムシ兵が良導するということにイデオロギー上なっている。実体とは異なるんだけど、仕方ない。
 正規の訓練を受けた兵士が主要な武器である弓と槍を受け持ち、地元採用組が戈とカタナ、棍棒を使う。故に訓練も完全に軍隊式というわけではなく、農作業の合間に有志でやってるから、そう強くなる道理が無い。しかし中には頑張る奴も居るわけで、これはと思う者は都に送って正規採用の兵士にして、何年かしたらまた地元に帰ってきて指導的役割を果たす、というサイクルを作ってるのね。地元採用は戈が最高の役になる。戈兵は地元では女の子にモテモテの憧れのポジションなんだよ。」
じゅえる「モテモテ、ね。デカい奴が向いてるんだろうね、それ。」
まゆ子「デカい奴で見栄えもするし、楯が持てない武器だから甲冑もちゃんとしたのを供与される。かっこいいな。」

じゅえる「なるほど。で、そいつらで戦闘に向いてる奴を、都に送って槍持ちにするんだな。」
まゆ子「そうそう。戈兵になるのは槍兵になる王道なんだよ。弓兵は必ずしも正規兵にならなくても出来るんだけど、槍兵はちゃんとした専門の訓練を受けるべきだし、地元の下級指揮官として出世するから、兵隊になって下士官教育を受けてくるべきだね。だから有望な者には地元自治体が遠征費を出して、都までバンザイして送ってくれる。弓は地元でも教える先生は居るけどね。」
じゅえる「そうか、軍隊に行くということが出世コースなんだね。ということは、槍持ちになったら、下級指揮官で隊長さんになって、ゆくゆくは地元の村長さんとかになったりする?」
まゆ子「珍しくはないね。人望が無いと隊長にはなれないから。また、訓練だけではなくてゲジゲジ王国との実戦を積んで帰ってくる。国境線付近の村でなければ屯田兵と言っても暇だから、実戦経験で箔が付いてる奴は地元の英雄になれるのよ。」

じゅえる「ふーん、なんだかんだ言っても、兵隊に行くのは功利的な行為なんだね。」
まゆ子「そりゃそうだよ。中世レベルの硬直した社会制度の中で、唯一の立身出世の道だもの。

 で、正規軍の場合は弓兵がどんと増える。部隊も100人が単位になる。兵種を分けて集団で陣形を組んでまともな戦をするから、屯田兵とは大違いだ。
 弓兵槍兵戈兵とに加えて、正規軍では弩兵と大楯兵と長槍隊が付く。

 長槍は普通の槍よりもさらに長く5mの、対ゲイル用の武器だ。もちろんこのくらいでは全然効かないんだけど無いよりはマシという程度の威力はある。それに槍は長い方が普通有利だし。
 大楯兵は対弓矢用の大きな体がすっぽり隠れるような楯で、壁を作り弓兵弩兵を護ることになる。弩はこの世界最強の武器だから貴重なんだけど、威力重視だから二人一組で使っている。なにせゲイルとかゲジゲジ神族が相手だから、威力が無いと役に立たない。だから弩隊という小隊が作られる。弩一機に人員が2、大楯2、矢運び1。弓兵の場合は弓5、大楯5。これが四組で一隊を構成し、指揮者が一人少々付く。更に二隊で弓兵一軍計弓40盾40矢運10となる。これを槍隊、長槍隊、戈隊が護るという寸法ね。
 機動部隊というのもあって、これはカタナ隊になる。60cmの長いカタナを使うんだけど、ここに犬駒兵が付く。イヌコマは臆病だし非力だから乗れないんだけど、荷物運びには便利なんだ。そこで目隠しのヘルメットを被せて楯を背負って弓兵に付いていく。カタナ10、弓2、イヌコマ2という構成で、騎兵の無いこの世界では一般兵としては最速の軍隊だ。こっちで使われる弓は短くて速射用で長距離の狙撃には向かない。至近で相手の指揮官等を牽制する役目を持っている。
 屯田兵と違って、正規兵は投石器は使わない。鎧をちゃんと着けてる上に楯を持ってるし、弓矢の方が射程が長いから使わなくてもいい。爆弾も使ってないからね。

 で、正規軍は屯田兵と比べて、武器以上に鎧が違うんだな。なんたって鉄製の兜を被っている。それも大きな傘みたいな張出があって弓矢を防ぐ構造になっている。そして首から胸の辺りも鉄板の前掛けを下げていて、これで胸甲となる。後は全身レザーアーマー。鉄の鋲が打ってあるけど。
 基本的に、プレートメールを作る技術はカブトムシ王国には無い。黒赤カブトムシ兵のは例外だ。チェインメイルもスケールメイルも無い。あれはめんどくさい。だからレザーアーマーに鋲を打ってるだけで満足しちゃう。つまり、矢は楯と兜でなんとか防げ、というのがカブトムシ王国の甲冑のデザインなんだ。

 屯田兵のスタイルはすごいよ。鎧が竹で出来てる。竹に似た固い木があって、その幹を剥がしてレザーアーマーに張り付けてある。楯もこの木で出来ていて普通の弓矢くらいはちゃんと防ぐ事が出来る、廉価版の楯の材料なのよ。要するに鉄の胸甲の代わりに竹の楯を胸に当ててるのね。兜も廉価版でほとんど鍋だ。おまけに足元は普通の靴をはいているだけで、脚甲も竹を布で巻いてある。でもこれが軽くて人気があるんだな。」

じゅえる「絵で描いてみないと分からないよ。しかし竹ねえ。剣道の防具みたいなものかしら。」

まゆ子「あー、剣道のとはまったく違う。胴は無い。まずね、レザーのチョッキを着けるわけね。その上から腹をカバーするようにレザーの腹巻きをする。これが腰までスカートみたいにカバーする。レザーアーマーは防御力弱いから二重にしてるんだよ。そして胸甲をつけて完成。
 全般的に言えることだけど、この世界の甲冑は前面防御は厚いけれど背中は薄い。これは背中に色んなものを背負う習慣があって矢を入れる箙やら予備の武装、食糧や水筒の革袋とかなんとか、ともかく背中に色んなものを担いで戦場に行く習慣があって、それが矢くらいは防いでくれるんだよ。だから背中には何も付けないのが普通。
 それから、レザーアーマーは、実はただの革じゃない。イヌコマと羊、大鹿の革なんだけど、結構な値段がするんだよ、革でも。だから木の皮を細く剥いで編んで膠を塗って、そこに金唐皮加工を施した革を貼るんだ。いわば合成皮革ね。また表面にでこぼこを作って防御力をアップさせるんだけど、これも木の皮の紐と膠で処理している。

 で、安物になるとそのまんま木の皮の編み物鎧というのもある。これが割と人気で軽くて通気性が高くて丈夫、そりゃ矢は防げないんだけど棒で叩かれるとかだと案外と保つ。投石なんかには十分以上の防御力がある。これに竹の前掛けをぶら下げると屯田兵の一丁上がり。」

じゅえる「安上がりだなあ。そんななんじゃよわっちい兵隊にしかならないじゃない。」
まゆ子「いいんだよ、田舎なんだから。」

じゅえる「ゲジゲジ王国側はどうなの。」

まゆ子「ゲジゲジ王国はバンドの関係で色んな兵種があるし装備もまちまちだし、所属するゲジゲジ神族の趣味によっても変わるけど、上級将校とか狗番とかはほとんどゲジゲジ神族と同じレベルの技術を使ったプレートメールっぽいのを着用してる。色は王宮所属の上級兵や将校の類いは銀色、狗番は黒だね。金色はゲジゲジ神族以外は使えない。もちろん技術は同等でも金の掛かり具合が違うから、防御力は格段に低いんだけど、それでも一般兵の甲冑に比べると雲泥の差がある。将軍レベルになるとゲジゲジ神族の鎧の色ちがいバージョンが許されるけどね。

 狗番は特に主人の楯にもなるから、上半身はかなりよく出来たプレートアーマーになっている。狗のお面被ってるから基本的にエジプトのアヌビス神がデザインの元だと思ってね。
 で、前掛けスタイルなんだよ、やっぱ。前後で前掛けを挟んで縛る、で両脇の装甲で締める。鋲が打っているからより強力な防御力を持つ。これがカブトムシゲジゲジ両王国で最強の一般兵向け甲冑だ。上級兵もやはりこれに倣う。この前後前掛けというかはまぐり式の鎧が一般的だけど、
 それより落ちるのが剣匠や剣令の甲冑で、これはレザーアーマーに四角い鉄板を貼っている。鋲も打っていてそれなりに強度はある。ただしはまぐり式よりは弓矢に弱い。だからこれも前掛けを着ける。剣匠は運動性が落ちるので前掛け無し、傘兜に1メートルを越える長剣で武装する。楯は持たないけど従者が付くことが多くて、それが持っている。
 さらに下のレベルの兵士になると、まあ鎧も無いようなものなんだけど、一応重装備の兵士なら貫頭衣型というか裾の長いはまぐり式というレザーアーマーになる。これに鉄の前掛けあるいは竹の前掛けを掛ければ相当の強度があって槍兵や弓兵はこういうのを使う。それ以下になると、もう普通の衣服あるいは素肌に竹の前掛けだね。

 ちなみにこの世界にはタコ塗料というものがあるから、上等なものになるとタコ樹脂やらタコ塗料補強をした材料というのが出てくる。ま、一般兵には関係の無い話だけど。」

じゅえる「で、武器の方はカブトムシ王国とおんなじなの。」

まゆ子「いや、一般兵が使うのにもかなり色々なものがある。この世界は感心なことに、毒矢は使わない。毒矢使うと死んじゃうから奴隷に使えない、というわけだね。カブトムシ王国でも、今は敵として戦っているわけだけど、基本的にはゲジゲジ王国の兵隊は解放すべき奴隷だもん。」
じゅえる「ほお。それは感心だね。」

まゆ子「ゲジゲジ神族は感心なことに火薬を使わない。知らないわけじゃないけど、めんどくさいから作らない。硝石の鉱山てのが都合良くは無いからね。硫黄も無い。火山が無いから当たり前で、だから黒色火薬は作れない。でも完全に作れないわけじゃないから、時々作る。巨大なロケットパンチを作って攻城兵器にすることがある。数百キロの鉄塊が空を飛んで城壁を叩き壊すけど、これも感心なことに爆発しない。爆弾は使わないんだ。」
じゅえる「ほお、それはなんらかの規制が頭のゲジゲジによって加えられてるのかい。」
まゆ子「らしいね。だから火薬を使うのは一種の魔法と見てしまうように、うまく誤魔化している。というか、特殊な火薬を作るので、一般人がこれを盗みだして火に投げ込んでもくすぶって燃えるだけなのだよ。そういう訳で、カブトムシ王国ではこれのコピーが出来ない。着火はゲジゲジ神族が雷を発すると爆発するように仕掛けている。どっかの城塞で鹵獲したこれを弥生ちゃんが調べると、どうも電子着火方式らしいと思うのね。でもまゆ子じゃないからいじれなかった。」
じゅえる「ふむ。念が入ってるね。」

まゆ子「その一方でよく火は使う。ギリシャ火薬に似たものやら、火を噴く筒なんかはひんぱんに利用されている。毒煙とかもお得意だ。」
じゅえる「要するに、爆弾と鉄砲は使わないんだ。決して気が付かないように発想を管理してる。」
まゆ子「そんな感じ。
 でね、ゲジゲジ王国には上記の武器に加えて、一応戦車がある。人間が数人で引っ張る弩車というものでこれが結構強力。なにしろ車で運ぶくらいだから威力も凄いデカい弩を乗せている。これは一応対カブトムシ兵用でカブトムシ兵に合わせた威力なんだけど、通常当たらない。でも大楯を貫くほどの強力さで普通兵に使えば絶大な威力がある、このレベルの弩はカブトムシ王国ではあんまり作れないので最強兵器の名をほしいままにしてるよ。バリエーションとして槍を打ち出す大弓を積んでいたりする車も有る。他にも輪弩という、車輪で再装填する連射用の弩もあって、マシンガンみたいに撃って来たり出来る。はなはだしいのになると、連輪弩車という、複数の矢を同時に発射する上に連続して装填できる、完璧な兵器まであるな。
 しかしゲジゲジ王国にはイヌコマ兵は居ない。イヌコマ兵と同じ役は人間がやっている。人間の方が安いんだ。担架やもっこで物資を運んで戦場に随伴する。ゲジゲジ軍はカブトムシ軍よりも分業がかなり進んでいてシステマティックな運用をする。分業化が進んでるわけで、その点に関して劣っているカブトムシ王国は田舎臭い軍隊なんだよ。」

じゅえる「やっぱ絵を描いてよ、分かんないよ。」
まゆ子「うん、そうか。

じゅえる「お、絵が来た。ふーん、確かになんか田舎っぽいね。
まゆ子「いや、実際屯田兵は田舎に住んでるんだけど。というかさあ、今アニメとか映画とかで出る甲冑は相当いじってるんだよ、見栄えがするように。本来実用品の甲冑はやぼったいものだよ。経済性も考慮しなきゃいけないし。」
じゅえる「もうちょっとかっこよくしてよ、リテイクだ。」
まゆ子「いや、これをリファインすればかっこよくなるんだよ。描きようでどうとでもなる。設定はこのくらいのやぼったさでも、絵的に見栄えがするように考えればかっこいいんだよ。というか、これがかっこいい!」
じゅえる「ち。」

 

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