ゲヴァルト処女 設定 第十二夜

前回

 

まゆ子「というわけで始まりました”ゲバルト処女”、だが世の中は弥生ちゃんだけを中心に動いているわけではない!」
じゅえる「そらそうだ。そんな簡単な構造の物語をだれが読むか。」
まゆ子「というわけで、世界情勢をでっちあげなきゃいけないわけだ。

 しかしながら、ともかく二つは用意しているわけよ。」

じゅえる「えーと、弓レアルの友達が引っ掛かる、ゲジゲジ王国のスパイと、カタツムリ巫女惨殺事件ね。」
まゆ子「カタツムリ巫女惨殺事件は弥生ちゃんが来る半年くらい前の話。カブトムシ王国において、王宮クーデターというか逆クーデターが失敗する、という事件があったのだ。つまり、元老院を牛耳る二つの王家の確執から、バジパイ家の支配を脱却しようとして、反旗を翻そうとして先手を打たれたというわけね。これでカブトムシ王国はちょっと動揺する。まあ、真相は世間では不明なのだが、ともかくなにか起ったことだけは伝わってくる。」
じゅえる「その事件はひっぱるの?」
まゆ子「まだ、うまく組み上がってない。というか組み上げなきゃ一本道シナリオになってしまうんだ。それは避けねば。」

じゅえる「もう一つの方はゲジゲジ王国のスパイというんだけれど、難民関連で騒ぎが起るんだよね。」
まゆ子「そこも悩みのタネだね。難民が暴れるというのはなんか違うような気がするんだ。難民といっても、なんかね、既得権益ありそうなんだよね、だからよくわからない。というか、ゲジゲジ王国のスパイというよりも、世直し運動の一種でトカゲ神救世主伝説が独り歩きして、次のトレンドにいちはやく乗ろうという連中が居るんだよ。それが奔流になって流れてる、社会不安を増大させている、という話ね。この世界は1000年周期で時代が変わるんだから、1000年経っても弥生ちゃんが来なかった、遅れちゃったわけだから、困ってるんだよ。というかこの運動はもう100年も続いてるんだけどね。一種のカーゴカルト的な、つまり弥生ちゃんが来てくれれば何もかもが解決、貧乏人が金持ちになって、難民問題もなにもかもがすべて解消するというおまぬけな運動なのだよ。死んだ人間まで蘇るとかで、大騒ぎさ。」
じゅえる「うーーーーーーん、悪い宗教なんだね。じゃあ、偽神様とかも居るんだ。」
まゆ子「居るけど居ない。皆とっ捕まってしまった。だから、もっとうまくやっている。神秘教スガッタてのがそれだ。この宗教は救世主を必要としない、自ら超人になるという宗教なんだ。超能力だから自分が救世主になるという寸法ね。だから十二神の救世主というのは商売仇になる。」
じゅえる「ほお、じゃあ裏で暗躍してるわけだ。」
まゆ子「とくにカブトムシ王国でね。なにしろ、カブトムシ兵というのは無敵で最強だけど、頭が悪い。悪くも無いけど常人レベルだ、カブトムシが教えてくれないからね。だからこういうのに引っ掛かっちゃう。それに対してゲジゲジ神族というのは、情報系のゲジゲジが頭に付いてるから博識だし理解力も全然違う。というか、聖なるゲジゲジの言うことが分からんようなおバカな子にはゲジゲジを付けないのだよ。だから皆頭が良くて、普通人にちょっと毛が生えたような神秘教の僧侶なんかはなっからバカにしてる。”クソムシを金糸宝玉で飾ってもクソムシだ”てね。」
じゅえる「そりゃあ、最近の諺なら”ロバが旅に出ても馬になって帰ってくるわけじゃない”てのだね。」
まゆ子「だもんで、ゲジゲジ王国では一般民衆や奴隷も僧侶をバカにしてる。そりゃあそうだな。ゲジゲジ神族というのはご主人様だけど、反面彼らの誇りでもあるわけだ。で、カブトムシ王国だけど、カブトムシ兵というのは貴族だけれど、一般人だ。カブトムシが付いてると無敵だけれど、一家に一匹で、それ以外の人は普通人だ。だから頭も普通人が教養を身につけた程度でしかない。それはそれでスゴイんだけど、というかだからこそカブトムシ王国では人文系の科学が発展したんだけれど、でもその副作用として神秘教スガッタの浸透を許したのね。

 で、カブトムシ王国には二つの潮流が存在するわけよ。つまり、聖なるカブトムシに従ってひたすら武門の道を突き進んでゲジゲジ王国を打倒する、という王道的な考えと、もっと社会全体の事を考えてよりよい政治よりよい国家運営をしていこう、という或る意味聖なるカブトムシに頼らずとも生きて行こうという考え方。神秘教スガッタは後者の方に擦り寄ったわけだ。この後者の考え方というのは、つまりカブトムシ王国の支配階級でありながら、聖なるカブトムシを戴いてない人間が必然的にたどり着く道なんだね。だから、努力と修行によって超人的能力を身につける、という考え方に傾倒する。しかしね、そういうやり方は環境が変わらないこと、新たなる政治勢力が発生して来ないことが前提で無ければ永続的な発展は望めないのよ。なんせ普通人よりも優越する、わけだから、ね。普通人も進歩する、というのは想定外。」
じゅえる「そこに、トカゲ神救世主が現われて、世の中をがらっと変えてしまう、というわけだ。恐怖だね、その人達にとっては、弥生ちゃんの存在って。」
まゆ子「だもんで、トカゲ神救世主を名乗るものを片っ端から捕まえているのと同時に、密かに本物を暗殺しようとしている。
 最初に言った王宮クーデターてのは、この路線で行われたのよ。つまり、現状では軍事的には閉塞状態、安定状態にあり、大規模な出兵もままならないから、前者の立場”先戦主義”がマイナーな状態に追いやられ、目前の難民問題とかの政治的課題を片づけて行く後者の方の立場”先政主義”が主導権を握っていた。しかし、その事で聖なるカブトムシを預るという神聖なる誓いがおろそかになる、というので先戦主義派の大物が主導権を回復しようとした、けど失敗した。というのが真相ね。」
じゅえる「なるほどなるほど、理にかなってるね。で、追いやられて訴追されそうな時に、カタツムリ巫女を身代わりに脱出した、というわけだ。」
まゆ子「ところがだ、下っ端の人間は全部先戦主義なんだよ。というか、カブトムシ兵の強さに絶対の信仰を持ってるんだね。なにしろ、ゲジゲジ神族が乗る巨大ゲジゲジは一般兵が立ち向かえば10人が10人とも死ぬという強力さなわけで、それに立ち向かって勝つカブトムシ兵が居なければ戦線を構築出来ない。またそれ以外でも、およそ兵隊が居るところはカブトムシ兵が指揮してるわけだし、一般人が見るのはカブトムシ兵であって元老院ではない。それに頭は常人とはいえ、インテリだもんね。一般人とはまるで違うんだよ。だから、カブトムシ兵に対して絶対の信仰に近いものを持っていて、逆に戦いもしない官僚とか元老院とかが勝手なことやってる、というので嫌ってる。」
じゅえる「ほほう、なるほど。ややこしいもんだねえ。もちろんテレビとかラジオとか無い世界のはなしだから、情報も上位者が独占するんだ。ネコがいるけど。」
まゆ子「さらに言ってしまえば、難民と普通民との間の反目もある。そりゃ難民はなにもしないのに、飯を食うから、農民とか怒るよ。それに対しての反発が暴力に発展しないのは、カブトムシ兵が居て止めるから。この一点のみが抑止力なんだよ。つまり、カブトムシ兵の存在イコール世の中の摂理なわけで、元老院とかの上部構造での議論とは別に、カブトムシ兵の存在を根拠とする十二神の意志というものを、民衆は民衆で直接感じ取ってるんだよ。それは、先政主義よりも先戦主義に近い。」

じゅえる「で、スパイはどうなったの。」
まゆ子「スパイは二種類あって、ゲジゲジ神族に直接つながり服従するものと、十二神の摂理というのに基づく行動主義者というのとがある。前者はまあそのまんまなんだが、後者はカブトムシ王国元老院の先政主義を鏡に映したように、ちょうど逆さになってるんだ。つまり、これも自分達が無力であることに基づき、それを補う為に十二神の意図を直接に読み取っていちはやく実現し、もって来るべきトカゲ神時代の先駆者となり次代の支配者になろう、というものだ。その為の道具がまた超能力、神秘教スガッタとそれに対抗する旧ネズミ神信仰である人喰い教なのだよ。二種類の系統のある行動主義者なのね。それと、ゲジゲジ神族のはぐれ者という系譜もある。

 で、神秘教スガッタはもう言ったけど、これも上流階級であるカブトムシ元老院のものと、下級の一般人階層のものと二種類ある。下級のものはもっとプリミティブで僧侶という形で十二神信仰に対抗する。つまり、説法という形で体制批判をして、人を引き付ける。神官巫女制度は一般民衆の生活をカバーしてるから、仏教僧みたいに知識で人々の民生を救って教化するという手法は取れない。だから体制批判というきわめてヤバい手法を使うのだな。
 これに対して、人喰い教の方はもともとアウトローの間に密かに伝えられて来た習俗で、これはもうオーラというか魂というかを食べることで直接体内に取り込むという、実にプリミティブな宗教なんだよ。しかし、儀式が人を食うという、実に衝撃的なものだから説得力はきわめて大きい。人界の秩序であるゲジゲジ・カブトムシ両王国の支配から逃れている、というアウトロー達のストレスの掛かる状態を正当化してクリアするために、魂を直接取り扱おう、自ら神になろう、というやり方だ。
 でゲジゲジ神族のはぐれ者は、隠者になる。この人達は知識だけは目一杯もってるから、いきなり世の中に諦観をもってしまうんだね。で、どうしようもない事を理解すると、もう聖なるゲジゲジを返上して世捨て人になる。しかしやっぱりゲジゲジ神族は目立つし物を知り過ぎている。だから人が寄ってくる。超能力を持ってるとかに看做されてしまう。で、歌を歌ったり文章を書いたりしたのがそのまま人の口に上り、或る種の指導力となってしまうんだね。弥生ちゃんが遭遇したトンボの隠者はこれ。」

じゅえる「で、出てくるのはどれ?」
まゆ子「新興勢力、自らトカゲ神救世主になろうという連中。つまりこの三種の混合なんだ。やることは神秘教の僧侶みたく体制批判をする。論理はプリミティブな人喰い教からとって、人を食う代わりにテロを行って血を流すのを是とする。それに、ゲジゲジ隠者のレトリックが加わったというややこしいものだね。トカゲ神救世主は、救世事業をやってる人間の中から選ばれるといういいかげんな俗説がさももっともらしく流れてるんだよ。ともかく世の中を変革すれば、その中で最強の者に十二神はトカゲ神の加護を与え、1000年の王国を与える。めちゃくちゃな話だけれど、この世代に生まれた人間は誰もが救世主に選ばれる資格を持つ、というわけで、それは寝転がって待っている人間ではないだろう、という読みなのね。」
じゅえる「実に功利的だね。1000年の王国を目の当たりにする者ならば、そりゃあ自分も、て気になるさ。なるほど、理屈は要らん、行動あるのみという実に分かりやすい運動家なのね。」
まゆ子「えー、名前をなんてしよう。行動派? いや、」
じゅえる「そうね、督促派てとこかしら。督促派行徒、て呼ぼう。で、その督促派というのは弥生ちゃんの敵なわけ?」
まゆ子「味方とは言えないね。なんせ自分が救世主になろうというれんちゅうだから。」
じゅえる「なるほど。」
まゆ子「他にも、人喰い教の連中は、より強力な精霊を取り込む為に弥生ちゃん、トカゲ神の救世主を食べようとか思ってる。もちろん、食べられてはかなわんけど、というか、こいつらカブトムシ兵やらゲジゲジ神族やらも食べようとするから、見つけしだいぶち殺すことが両方の国で普通に決まってるのよね。」

じゅえる「たまんないなあ。でも、そいつらが暗躍するとしても、ちゃんとした事件を組み立てなきゃいけないね。そんな断片的なんじゃこまるよね、やっぱ。」
まゆ子「うーんん、なんにしようかなあ。やっぱ難民暴動かなあ。でも、なんかすごい事件が無いと暴動にはならないし、」
じゅえる「米騒動だ。米を買い占めた邪悪な近江商人が難民達に焼き討ちされるんだ。」
まゆ子「何故に近江商人?! うーん、しかしそれはまあいいかも知れない。焼き討ちねえ、悪徳商人か、いいねえ。」
じゅえる「悪徳商人はいいでしょ。やっぱりねえ、山吹色のお菓子の出番だと思うのよね。で、それってカブトムシ王国の話?」
まゆ子「どうしよう。つまり、その境目というのはどうかな。つまりゲジゲジ王国とカブトムシ王国の間の仲介貿易をする商人が居るわけね、でその荷物の中には人間・脱走者もあるわけなのさ。それとか政治亡命するVIPとかもね。そうだねえ、その中に、長年ひとびとを苦しめていた奴がカブトムシ王国に亡命して来て、それが難民の間に伝えられて日ごろの不満も相乗して焼き討ちというのはどう?」
じゅえる「ゲジゲジ王国の、神族?」
まゆ子「違うなあ、宮廷官僚の偉いさんだな。私腹を肥やしてたという、不正の神様みたいな奴だ。で、そいつのせいで何人も死んだということにしよう。そうだねえ、例えば税金を掛けたとか。」
じゅえる「人頭税だな。ゲジゲジ神族からじゃなくて、奴隷から直接税金を取って国家財政を補填したてのにしようよ。で、親切なゲジゲジ神族がハサンしたりして路頭に迷った奴隷も多々居ると。」
まゆ子「ゲジゲジ神族てのは破産するのかな。」
じゅえる「するんじゃない?」
まゆ子「ああ、そうだ、そういや設定は、ゲジゲジ王宮が通貨で金を貸して、財貨で返させるってのがあった。王宮がさ、金貨銀貨を貸すわけよ。で、農作物とか布とか鉄器とかで、返却するわけね。物品によって金銭との相当率が決められている。で、その利子分が税金というわけで、その利率を上げたんだな。」
じゅえる「ふむふむ。じゃあ、通貨による支配を王宮がしているということだね。」
まゆ子「で。特定目的の税金として利子を上げたんだ。て、人頭税かな、やっぱ。奴隷の人数に応じて利率を上げるという。それで、高齢者やら病人を抱えていた親切なゲジゲジ神族が破産した。しないまでも、高齢者とか病人不具者はお払い箱で街中をさまよってのたれ死にする、と。」
じゅえる「いい人だな、ゲジゲジ神族ってのは。でもたしか奴隷にもカースト制度があったよね。そこで面倒をみるんじゃないの。」
まゆ子「そうねえ。バンドは確かにその役目を持つけれど、収入は奴隷の割り戻し金だから。良く働く奴隷を作ったら、ご褒美に割り戻し金をくれるというシステムで、当然雇用者であるゲジゲジ神族の景気が悪いとお金入って来ない。市中に人が溢れてる状況で景気がよくなる訳もなし。バンドでも持て余すのよね。」
じゅえる「うわー。」
まゆ子「で、その人頭率が5年続いた間に、西ゲジゲジ王国では5万とも10万ともいう人が死んだのだよ。」
じゅえる「そういう奴が、カブトムシ王国に亡命してくるわけだな。そりゃ許せんな。」
まゆ子「許せないだろうねえ。」

じゅえる「まあ、それはそれでいいけど、まだ足りない。天災のたぐいも取りそろえておこう。」
まゆ子「分かった。つまりありとあらゆる災厄をぶち込んで強制的に世紀末的情景を作り上げようというわけだね。それならば、むしろ、英雄も作ろう。災厄だけでなく英雄が、光があるからこそ闇も濃くなるものだよ。」
じゅえる「わかってるねえ。でもまず、天災ね。なんか適当なものでもう何年も悩まされているというのはどう?」
まゆ子「何年も続く災厄? うーん、想定してないなあ。どんなのとか。」
じゅえる「地震雷火事竜巻台風雹にイナゴに、いもち病とか、風疹とか天然痘とか、はどう。」
まゆ子「生物学的なものが、なんかいいかな。」
じゅえる「いっそのこと怪獣でも出すか。ゴジラとか。」
まゆ子「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、蛇は?」
じゅえる「蛇?」
まゆ子「人々は、トカゲ神救世主が現われる事を期待している。同時にトカゲの神様が現われる事を待望してるわけだ。黄金のゲジゲジとか黄金のカブトムシとかの、神々しい聖蟲をね。しかし、案に相違して世界中のあちこちに”脚の無いトカゲ”が現われたとしたら?」
じゅえる「コワー。それ怖いよ。恐怖だよ。みんな夢見るよ。」
まゆ子「しかも毒がある。噛まれると人事不省に陥って夢うつつのままに、息絶えるという。」
じゅえる「もう一度聞くけど、この世界にはそれまでヘビって居なかったわけね。それなのに、いきなり”脚の無いトカゲ”が現われる。コワー。」
まゆ子「それ行こう!」

2004/5/26








 

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