ゲヴァルト処女、人名事典

2004/05/08-2007/10/11

 

人名事典

【歴史的人物】【金雷蜒王国】【褐甲角王国】【神官巫女】【狗番 武人 官吏 神官戦士 官吏】【庶人】【その他】

【本編主人公】

蒲生弥生 本編主人公。異世界「地球」よりやってきたトカゲ神の救世主であり県立門代高校生徒会副会長、ゲリラ的美少女野球団「ウエンディズ the BASEBALL BANNDITS」の創始者にして隊長。厭兵術と呼ばれる兵法護身術の達人。美少女。背が低く公称150cmだが、実際はもっと低い。非常に良く通る声と地球よりも大きな胆力気力を持ち、卓抜した指揮能力実務能力で高校生の枠を大きくはみ出ていたのだが、はみ出し過ぎて異世界の救世主に抜擢されてしまった。トレードマークはトカゲの尻尾のように先細りに伸びる黒髪。胸にピルマルレレコのワッペンを着けている。暑いのは苦手。田舎の子だから蛇もゲジゲジも大丈夫。辛いもの大好き、スルメが大好物、コーヒーは砂糖抜きで飲む。

【神様】

ウォールストーカー 青晶蜥神の地上における化身。弥生ちゃんの頭の上に取りついている。青く光を放つ。背中にちょこっと翼の痕跡がある。実体は立ち上がると10メートルを越える大きなトカゲだが、尻尾は短く横に太い、つるつるしたマツカサトカゲみたいなの。一応天上の神様チューラウ(青晶蜥)神なのだが、本来神様は躰を持つわけではないので、弥生ちゃんの降臨に合わせて実体を作ったと思われる。

ピルマルレレコ 弥生ちゃんの通う県立門代高校で長く伝えられて来た架空の神。地元神社「比留丸神社」の古伝を元にした空想科学小説の主人公で、戦前に生徒によって書かれた。しかしこの絵姿を書いていると校舎が空襲から免れたとか、卒業生が千人針に刺繍していたら無傷で帰って来たとかの逸話が色々とあり、門代高校に置いては最強生徒がその紋章を受継ぐべきものとして大切に扱われている。
青くて透明な躰の中で電気回路がぴこぴこしてる。手足はチューブ状になっていて、手指がちょこんと袖口から覗く。頭はヘルメットのような半球体で、先が丸くなった金属光沢のある二本の角が生えている。顔は人間と同じ目鼻立ちだが、口で喋る事はない。目は可視光線専用受動センサーで、本来はより波長の小さな電波で物体をスキャンするのだが、出力が大き過ぎて人間相手には使えない。胸の真ん中に赤くぼんやりと光る円形があるが、臓器ではなくただの飾り、あえて言うならば発音機。足の下に丸い球体を出現させて地上をころころと走行するが、半浮上状態でもある。飛行は可能だが時間観念が異常に長い為に、普通歩く。エネルギーを体内の細胞内での対消滅反応で賄うので本来無補給で済むのだが、発生するエネルギーで破損する細胞を再生する為に純粋な珪素を必要とする。地球上ではただのガラスを指先から発するエネルギー場で処理して、ちゃんと口で食べる。武装は付いていないが、彼女の発するセンサー波は炭素化合物系生命体には致命的な打撃を与える。また指先や角から発するエネルギーによって種々の工作が可能。ガラスを処理して擬似生命体つまり自分と同じ構造を持ったロボットを作る事も可能。水分や酸素を含む地球大気は本来彼女の棲息する環境下では存在しない組成なので、これに数十百年も曝されると細胞の劣化が進行して自爆する。

巨大ゲジゲジ神 毒地中の神聖首都ギジジットの中核となる存在で、全長が10キロにもなる巨大なムカデ。本来はゲジゲジであったのだが、体節を増加していく事で強大な身体を手に入れた。頭だけでも100人漕ぎの船と同じ大きさがある。無論、こんな形態は事前に設計されていないので色々と弱点があり、弥生ちゃんの厭兵術突兵抜刀法により頭を瓜のように割られて敗北する。が、その後巨大な身体を捨て去って、本来の5メートルくらいの可愛らしい姿を取り戻して、弥生ちゃんと仲良くなる。
本来善良な存在であり、人間の世界を静かに見守って来たのだが、彼に仕える王姉妹何人も何世代も彼に対してその思いを何度も何度も投げ掛ける内に、自分でも役割を見失って天に帰る機会を失い、地上に在り続けた。故に、弥生ちゃんにより新しい姿を取り戻した今は、いつでも天に帰る事が出来る。
彼にアクセスする為には、聖蟲から発する赤いレーザー光線による光通信で行う。これは脳に大きな負担を与えるので、幼少より聖蟲を戴いて交信専用に育てられた王姉妹以外は長時間の交信が出来ない。王姉妹が絶望で公務不能に陥った際にはキルストル姫アィイーガが代って行ったが、頭痛と疲労に悩まされた。
彼が巨大化する際に、脱皮の度に殻を生成して、これを小さな虫ギィールに与える事で、巨大なゲイルが誕生する。故にゲイルはギジジットでしか育成出来ない。巨大な身体を失った現在でも殻の在庫はたっぷりとある。また、頭がもげただけで身体自体は未だ存在生存を続けており、ギジジットをぐるりと取り囲む円壁として見受けられる。新生ゲジゲジ神はこれと接続する事で巨大なエネルギーを発生させて、弥生ちゃんの毒地浄化の手伝いをした。また、次元を遡り、宇宙を飛び越えて情報を伝える特殊な技が使えるはずなのだが、現在はそれは不可能。

巨大カブトムシ神 カプタニア山脈に棲むと言われる巨大なカブトムシ。全長5メートルと言われるが、詳細は不明。カプタニア山脈の神域はカンヴィタル王家とカプタニア神衛士と呼ばれる神兵によって密かに厳重に守られており、一般人は元より黒甲枝金翅幹元老員ですら立ち入り禁止。これとの交信はカプタニア王城の頂点にある褐甲角神殿において、カンヴィタル王家の姫から選ばれた王神女が聖蟲の羽ばたきで交信する。だがなにせ相手は蟲であるから意味はほとんど理解出来ず、得られたとしてもあまりにも幽玄にして利用が不可能だと思われている。
大審判戦争終盤において、カプタニア山脈で突如起きた山火事の混乱の最中、カブトムシ神は北の彼方に飛んでいく姿が確認され、不在となったカプタニアでは疑心暗鬼の混乱が巻き起こり大弾圧へと繋がる。カブトムシ神は、北方大樹林帯から帰って来た弥生ちゃんを迎えてその背に載せて、カプタニアの大裁判の最中に降臨する。以降、弥生ちゃんはカブトムシ神の権威においても最高位として崇められ、褐甲角王国分割の根拠となった。

コウモリ神人 激戦の渦中にのみ現われると数多の戦記に記される伝説の神人。コウモリ神人とは呼ばれるが、実際はよく分からない。黒髪で肌は青味を帯びた真っ白、革で作られた全身継ぎ目の無い、裾がつづらになった服を着ている。戦闘力は高いと思われるが不明、少なくともギィール神族の武器では傷付かない事が判明してる。また巨大な黒い獣に化けて暴れると噂されるが、動きがあまりにも速過ぎてよく分からない。本来は戦場に在る者に対して危険を避けるようにアドバイスする、と知られている。
その実態は、人間が十二神方台系に下りて来た際に、護り手として付いて来たコウモリ人の最後の一人であり、コウモリ神の地上の化身である。彼は地上に長く在って人間の社会を見守り続けたが、天河の神々が今回、弥生ちゃんという異星人を導き手に用いた事に反発し、またその行状を見てこれは害になると判断して、排除の為の戦いを行う。一度目はデュータム点近郊で、金雷蜒神聖王と褐甲角武徳王との会見がなった直後に襲撃し、弥生ちゃんを北方にふっ飛ばした。2度目は弥生ちゃんが方台を去る直前に襲撃をして、丸40時間にも及ぶ大激戦の末に遂に敗れ去り、天に帰るが、その時に方台に生まれた人間である劫アランサに救世主の座を譲ると知らされて、満足して消える。

ゲキ 聖山神聖神殿都市のある大洞窟深部に救う、得体の知れない化け物。神聴伎と呼ばれる超能力を持つ者のみが大洞窟深部に入り、その声を聞く事が出来る。実態は、この洞窟が人間の養育施設出会った際の管理コンピュータで、実態は無くプラズマの塊と思われる。声と呼ばれるものも定かではなく、おそらくはテレパシーに相当するものではあるが、人間に対して呼び掛けるのではないから意味不明となるのも道理。ただ、神聴伎はその声の中から、十二神の今後の予定と思われる告知を聞くらしく、長年の研究の末に完成した「棋盤」の上に、すごろくみたいな形で駒を並べていく事で、天河の計画の或る程度の予測が可能となる。これは稀代の天才神聴伎アルカンカラの貢献が非常に大きい。アルカンカラは最近死亡した。

【王家】

金雷蜒神聖王家 金雷蜒王国の中枢たる神聖王の一族。現在は東西に分かれているが、元は一つで本家は東金雷蜒王国。男子が継承し、女子はゲジゲジの聖蟲の繁殖に一生携わるために結婚しない。彼女等は王姉妹と呼ばれて名は無く、父王の名と生まれの順番のみで呼ばれる。金雷蜒神聖王は基本的に長子相続だが、彼が聖戴に成功しなかった場合、もしくは王位継承後死亡した場合には、次の男子がまったく同じ名前で王位を継承する。つまり、子の代の男子が死に絶えるまでは孫の世代に王位は譲られない。死去によって横すべりして王位を継承した場合、前王の妃や娼も継承する。つまり、孫の代には父は違っても母が同じ、という子が居たりするわけだ。ただし、王位継承(立太子)前に産んだ子は、王族から離脱する事になる。

クァンヴィタル(カンヴィタル)家 褐甲角王国第一王家の名。この家の当主が正式なカブトムシ神聖王である武徳王を名乗る。初代カブトムシ神救世主の次男の家系で武徳王の他の者は聖なるカブトムシの繁殖に携わる。元老院ではクァンヴィタル家の出身者は特別な存在として発言権が無く、ただ武徳王にのみ議案の拒否権がある。つまり、クァンヴィタル家は武徳王にすべてが集中する家であり、他の者は個を殺してカブトムシ神の救世の事業を陰ながら支える役目を負う。ここの家人は公式には宮殿から出ないので、市民もカブトムシ兵ですら誰も顔を知らず、それを利用してお忍びで出てくることもある。

ソグヴィタル・ハジバイ家 褐甲角王国第二王家の名。元老院において政務を執り行うのを専門にする家で、元はただのソグヴィタル家だったが、政治理念の対立で分裂し、ハジバイ家を産んだ。公的には二つを引っくるめて第二王家とする。政務専門だけあって政治的気質に優れた者を多く輩出するが、霊能関係はほとんど遺伝的素質が無い。故に逆に霊能を求め神秘教系の僧侶の影響が大きいのがハジバイ家。現在の元老院議長はハジバイ家。

メグリアル家 褐甲角王国第三王家の名。メグリアル家はカブトムシ神救世主の三女の家系で傍流であり元老院ではあまり影響力が無いが、権威づけの為に王宮外で名誉職によく就かされる露出の多い王族。当主はカブトムシ神官巫女の総元締である斎院を務めエイタンカプトに常駐する。霊能の才を持つ者を多く輩出するがむしろ、政治的に不遇の身をかこちながらも非常に我慢強いことで有名。

【歴史的人物】

ガンガランガ・ギャザル 古語で「牧神の饗宴」を意味する。ッタ・コップの到来直前に滑平原に現われた人物で、常に多くの野獣と共に平和に過ごしており、人の干渉を嫌った。当時の人は彼を、人々を餓えから救い混乱を沈める救世主かと期待した。歴史上彼のような人物を「神人」もしくは「真人」と呼ぶ。

ッタ・コップ 紅曙蛸神巫女王国初代女王でありタコ神救世主。「tha-cop」と発音するので弥生ちゃんには「タコ」に聞こえる。ちなみに、ギイ聖符による嘉字を付ける習慣は金雷蜒王国以降のものであり、この時代には無い。

テュラクラフ・ッタ・アクシ  紅曙蛸神巫女王五代。最後のタコ女王であり悲劇の人として今も慕われる。当時タコ巫女王国は発展の頂点にあったものの貧富の差が増大し、一部特権階級が貧民を奴隷的待遇に落しめ食糧生産よりも商品作物の栽培に駆り立てて、富みの異常な集積と飢餓が拡がっていた。特権階級化した地方の首長達は独自の権力を揮いあたかも小王のような有り様で、人々は全土を統一する強大な権力を求め、それをタコ女王に要求するまでになった。しかしテュラクラフは初代ッタ・コップの教えに違うと頑に拒否。また、女王国の官僚機構である番頭階級がそれをいい事に勝手に巫女王の詔を発して地方の首長達に勝手に関税権等を売却するまでになった。これを憂いた王国直属の交易護衛隊長が宮廷クーデターを敢行して番頭階級を一掃、テュラクラフに統一王権の確立を進言するも、彼女は最終的な拒否として、創始歴2561年に自ら超能力で地面を蛸足で割りその身を隠した。以降タコ女王を継ぐ者は居ない。

ギダルマー 紅曙蛸巫女王国の交易警備隊総頭役。宮廷クーデターの立役者で五代テュラクラフに統一王権の樹立を進言するも果たせず、後に彼が自ら王となるが、毒殺され11年で王国は崩壊する。

ヴィヨンガ翁 金雷蜒神救世主。呼び名の通りに救世主として立つのが非常に遅かった人で、王国建国は実質彼の3人の息子と4人の娘の婿および孫によって為された。聖蟲を一人だけ戴いていた時期は長く、また息子達の誰にも聖蟲を与えなかった。最初に聖蟲を分けてもらったのは二番目の娘の婿で、彼が最初のギィール神族となる。ヴィヨンガ翁の聖蟲は死後になって初めて子の代に譲られるも既に歳老いて居た3人は聖戴の危険を知り、そのまま孫のメゲィに譲られて、彼が最初の神聖王を名乗る事となる。

 ヴィヨンガ翁は元々は硝子職人である。紅曙蛸女王によってもたらされた数々の技術の中でも、硝子細工は特に不可思議なものとして人々から崇められた。炎を用いてさまざまな形と色を自在に作り出す職人は、魔法使いの一種とも看做される。つまりは当時最高の科学技術を行使する技術者であり、発色を良くする為の材料の調合等で確かに豊富な知識と厳密な分析能力を必要とした。硝子職人が炎を用いて金属を製錬し道具を作ったとしても、本来の仕事の延長上にあるのだから驚くには値しない。
 彼は当初は救世主としてではなく、神域に到達した匠として奇蹟の硝子製品(ほんとうは金属製品)を作り出している、と世に知られる。彼の額にゲジゲジの聖蟲が乗り秘された天界の知識を授かっても混乱することなく目的意識をはっきりと持って着実に王国の建国を進めたが、これも当時の民衆には叡智溢れる人のごく自然な姿に思われた。

メゲィ神聖王 三代目金雷蜒神救世主にて初代神聖王。数える時は彼を三代目神聖王とするのが慣行。初めて神聖秩序を打ち出し、十二神の権威を独占して小王時代の混乱を終息に導いた。また聖山に神聖神殿都市を設け、十二神信仰の拠点を山奥に追放するも、大洞窟の発見後も神官達に探索を命じて神族が触る事を禁じた。

キルギルギス将軍 神聖金雷蜒王国時代の航海王。東西南北の海に航海し、この大陸が孤立している事を確認した。二本マストの大型帆船の発明者、「キルギルギス将軍航海記」の著者であり、この世界のすべての地理的発見を独占した偉人である。

ゲルヒッテン衡ヌバイム王子 ゲジゲジ神聖王国時代のギィール神族科学者。著書”天空に記された幾何学の文様と無形の力を統べる律令の書”で天体の運行と万有引力について書いているのだが、この世界の人にはなんの事だかさっぱりわからない。ただ、天体という神の居る世界についての記述から注目度は高く、この書の引用率は高い。

ゲチョメル神聖王 東金雷蜒王国第8代神聖王。ヌトヴィア王ハルマイ、キルストル姫アィイーガの先祖に当たる人物だが、何番目のゲチョメルであったのかは不明。

カンヴィタル・イムレイル 褐甲角神救世主、初代武徳王。若くして救世主の使命に目覚め、ギィール神族同士の内戦で殺される奴隷達を解放し、彼等自らが治める国を作り、神聖金雷蜒王国を打倒する事を誓約する。当初は奴隷反乱の頭目の一人に過ぎなかったが、敗北してタコリティに逃げ込んで、そこで神人に会い救世の秘訣を伝授される。彼は単に不死身無敵怪力であっただけでなく、聖蟲の羽ばたきの力を利用して空を飛ぶ事が出来たという。彼の図像は剣を提げカブトムシの羽根で空を飛ぶ若者の姿に描かれる。嘉字は無く、狗番か戦闘奴隷の出身であったとされる。「武徳」は謚だが、その後継者はこれを号として使う。伝記「武徳聖伝」ではクワァンヴィタル・イムレイルと書かれているが、これは歴史的音韻で現在はカンヴィタルと読むのが正しいとされる。

ギィルギィイル クワァンヴィタル・イムレイルの伝記「武徳聖伝」に出て来る人物。なんどもイムレイルを翻弄し、その度救世の事業を頓挫させたが、なぜか憎めない性格。彼が裏切る度に褐甲角の兵団は拡大していった。

テュダルム クワァンヴィタル・イムレイルの伝記「武徳聖伝」に出て来る人物。槍組頭を務めた。チュダルム家の始祖。

ゴヴァラバウト頭数姉 先々代の金雷蜒神聖王の王姉妹。長女である。神聖王宮にある時に、ギィール神族の男性と恋に落ちて駆け落ち、毒地に逃げた所を逮捕され幽閉されるが、聖蟲を返上するという最終手段によって放免。王国中を恋人を捜し回るが行方がつかめず、その後褐甲角王国に亡命したと伝えられる。悲恋ものの定番物語として方台中で謳われる。もう70年以上前の出来事。

現在は、人喰い教徒達の指導者、暗黒の王となっている。いつの頃か神人に遭遇して、自らも不老不死を得た。外見は年齢不詳だが十分に若い肉体を持ち、子供のような漆黒の髪がくるぶしまでも届く。またどういう仕掛けかは知らないが、髪が自在に蠢いて攻撃する。人喰い教徒達からは「白の母」と呼ばれ、崇められる。極めて狂暴かつ獰猛だが、邪気なく子供と戯れる姿を何度も目撃され、また捨て子を拾って人喰い教団で育てている。すでに50年前からそうやっているので、彼女の子供達と呼ばれる一派は相当大きな勢力となり、私兵までも形成する。
「白の母」「闇の織り手」「黒髪の貴婦人」「虐殺者の恋人」「不吉」「サビィリオム(背神罪)」「スガッタアレス(スガッタ教の尼僧、あり得ないものの意味)」「アルカンカラ(コウモリ巫女の名の一つで葬儀に使う燭台の意)」「メイ・メント・アレ(「名無しの権兵衛」の女性形)」、と数多の名を持つ。

ハジパイ王嘉イョバイアンとの出会いは40年前。アユ・サユル湖中のマナカシップ島のギィール神族の隠れ城に住んでいた神族の姫とハジパイ王が秘密の内に恋仲となり、息子が生まれるがその処遇に困り果てた彼の前に現われて、赤子引きとっていった。それ以来何度か極めて困難な依頼をハジパイ王から受け、また秘密の援助を受けている。

【金雷蜒王国】

【金雷蜒王族】

ゲヴァチューラウ神聖王 赤甲梢が首都ギジシップ島に侵攻した際に代替わりした神聖王。37歳。ギジメトイスの息子の孫の代に当たる。

ガトファンバル神聖王 弥生ちゃんが十二神方台系に降臨した際の東金雷蜒王国神聖王。ギジメトイスの息子。だが前代の寿命が長過ぎた為にギジメトイスの王子は次々と死に、最後の王子が生誕直後に初めてガトファンバル王に即位する。しかし聖戴に届かない5歳で死去した為に、王位は次の代ゲヴァチューラウ王の治世に移る。

ガトファンバル神祭王 46歳。ギジメトイス弐数兄であるが、早くに神祭王を務める事となった為に神聖王には即位しなかった。長年外交の最前線に居るが、弥生ちゃんの降臨とウラタンギジトでの滞在を得て、現在非常に注目を浴びている。ガトファンバル神聖王の直接の兄に相当するが、40歳も離れている事からも分かる通りに、彼らの父は晩年まで子を作り続けたが、男子を5人既に亡くしており、神祭王は例外的に長寿で、選択を誤ったと言われる。

ゴブァラバウト四数姉 四代前の金雷蜒神聖王ゴブァラバウトの四番目の娘にして、先々代神聖王ギジメトイスの姉である王姉妹。享年78歳。弥生ちゃんを殺すには地上の手段では不可能と見極め、巨大な金雷蜒神の超能力を使った秘術で星の世界(地球)に居る弥生ちゃんの本体を害そうとして相原志穂美を遠隔操縦するも、逆撃にあってあえなく死亡。亡骸は時を越えて3ヶ月前の、弥生ちゃんが降臨した乳白色の濃霧が立ち篭める荒地に投げ棄てられた。弥生ちゃんが十二神方台系において初めて会った人物(死んでいたけれど)。ギジメトイスの娘達は、「上四姉」と呼ぶ。 

ギジメトイスの娘達 先々代の金雷蜒神聖王ギジメトイスの娘にして、先代の神聖王の姉妹。ゴブァラバウト四数姉を長としてギジジットを支配する王姉妹。2姉、3妹、6妹、7妹。のちに弥生ちゃんに頭の金雷蜒を鮮やかなサファイア色に変えられて服従させられるが、7妹は悲観して縊死。ちなみに東金雷蜒王国王宮内にもギジメトイスの娘は未だ残って、1姉、4妹は聖蟲の養殖に携わっている。5妹は死亡。弥生ちゃんのギジジット制圧時において、1姉は60歳(先々代神聖王16歳時の娘)、2姉は59歳、(先代神聖王55歳換算)、7妹(末)は42歳。他の妹達はすでに王宮を出て嫁いでいる。

ガトファンバル崇王姉:ガトファンバル王と同じ代の王姉妹。60歳。ギジメトイスの娘の筆頭、ギジメトイス頭数姉。しかしながらギジメトイスの息子も娘達も長く続いた先代の寿命の前に次々と倒れまた王宮を出て生活し、ガトファンバル王の御代には彼女しか残らなかったというよりも、彼女だけが責任上残り続けて居た。
現在ガトファンバル王の王姉妹としてギジシップに残るのは彼女と、最後のギジメトイス王を務めた者の娘があるだけ。11歳と9歳の双子。2姉3妹6妹7妹の年長組はギジジットにあり、弥生ちゃんに酷い目に遭わされた。
王宮の外から迎えられたゲバチューラウ神聖王は王姉妹のすべてを娶る事となるのだが、もちろんこんな歳の人では子供は産めない。子供も当分は話にならない。よって結婚適齢期にあり「妃縁」の位を持つキルストル姫アィイーガが当分唯一の配偶者となる。

【ギィール神族】

ガルポゥエン家 ギィール神族4大派閥の内、三荊閣の一角である有力な家系群。宗家と分家とが分かれているが、名前では区別が付かない。東金雷蜒王国南部ガムリ点を拠点に、海運と貿易を独占する。

ラタランダル家 ギィール神族4大派閥の内、三荊閣の一角である有力な家系群。東金雷蜒王国の中央部を支配し、主に農作物を扱っている。また寇掠軍の組織に熱心で、最大の傭兵市であるアゴーォ・ファンネムをも支配する。

ミルト家 ギィール神族4大派閥の内、三荊閣の一角である有力な家系群。東金雷蜒王国の北部を拠点として、褐甲角王国との陸路での交易をほぼ独占する。また十二神信仰の擁護者も自称し、ウラタンギジトや神聖神殿都市への巡礼の世話も行っている。輸出用武器製造も行っていて、敵に武器を送ると批難される事も多い。

ゲェ派系 ギィール神族4大派閥の内、三荊閣には属さない家系群。神聖王の血筋を引くので家格が上と看做されるが、実権は三荊閣に劣る。ゲェ派にも階層があり、いずれの代の神聖王の時代に分かれたかで差がある。

諸派 ギィール神族4大派閥に属さない家系。ギィール神族はひとつの家で何匹も聖蟲を受ける事が有り得るので、家を相続しなかった者が独自に家を興す事がある。これが諸派のほとんどで、いずれは消滅していく。ただどこの系統かという区別はあり、完全に血統に自由というわけではない。

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ヌトヴィア王ハルマイ 東金雷蜒王国独立寇掠部隊「シンクリュアラ・ディジマンディ」のリーダーである上将。寇掠の帰途、弥生ちゃんのハリセンの風にふっ飛ばされてしまう。その後弥生ちゃん一行を密かに追跡してその行跡を監視、王都ギジシップ島の神聖王宮に報告して、そのままギジジット守護将軍に任命される。

キルストル姫アィイーガ ギィール神族、女性。東金雷蜒王国独立寇掠部隊「シンクリュアラ・ディジマンディ」に属する。寇掠の帰途、毒地中で運悪く蒲生弥生ちゃんと遭遇して捕虜となり、以後ギジジットのゲジゲジ神退治を目撃し、ウラタンギジトにまで案内させられる。その後も弥生ちゃんの相談相手としてこきつかわれ、家来にされてしまった。

サガジ伯メドルイ ギィール神族。東金雷蜒王国の南端ガムリ点のすぐそばにある漁港ガムリハンの領主。主に魚皮細工を生産している。弥生ちゃんがギジジットに行く際に出発点として便宜を図った。彼はあまり軍事には興味が無く王国の中央政界からも距離を置いている為に比較的弥生ちゃんに親切だったがそれは酔狂。

イルドラ泰ヒスガパン 東金雷蜒王国にて、プレビュー版青晶蜥神救世主の一行が百人もの人喰い教徒に襲撃されたのを、妹のイルドラ丹ベアムと共にゲイルを駆って皆殺しにして、助ける。若い。

イルドラ丹ベアム イルドラ泰ヒスガパンの妹。たぶん17歳くらい。これ以上若い者は聖戴を受けられないので、このくらいと推定される。髪を編んでおらずストレートで伸ばしている。

イルドラ碑サンマン 70代後半の年老いた神族。イルドラ家の二代前の縁者で泰ヒスガパンと丹ベアムの物作りの師匠。長年鍛冶場で働いて来た為に、火傷や片目が潰れるというヘパイストスの姿になってしまっている。若い頃は寇掠軍にも出征して、対黒甲枝用のドリル槍を作り、イルドラ兄妹に与える。

スーベナハ胤ゲナァハン 東金雷蜒王国の大都市アプリハ点の郊外に居住する神族の学者。弥生ちゃんがギジジットから送ってきた黄金の剣の銘文を読み、ティンブットに助言する。神剣の献上に同席し、そのまま神聖王の補佐をしていた王姉妹の勧めから神剣の管理責任者、研究者となる。赤甲梢を率いて強行で和平を勧めにきた褐甲角王国キスァブル・メグリアル焔アウンサの神聖王への対面に同席する。

ガブダン雁ジジ 東金雷蜒王国ジュータンバ付近に住む神族。51歳。寇掠軍マニアでもあり、2、3年に一度は寇掠に出掛けてもう20回は出征した。その経験を買われて、寇掠軍『永遠の護手との邂逅(ウェク・ウルーピン・バンバレバ)』の上将となる。

キシャチャベラ麗チェイエィ 寇掠軍『永遠の護手との邂逅(ウェク・ウルーピン・バンバレバ)』に参加した、東金雷蜒王国ジュータンバ付近に住む女性の神族。25歳。二児の母だがその美しさ妖しさは少しも損なわれず、人を惹き付けてやまない。通常は”貪欲”の仮面を被っているので、その通りの役割として若い男性神族に様々な誘惑を仕掛ける。乳房がすこし大き過ぎる、とイルドラ丹ベアムは思う。先年出征した寇掠軍で、黒甲枝にゲイルの肢を一本斬られた為に戦闘力が低く、補助的な任務を引き受ける。 彼女が作る料理は本人の見た目の妖艶さに反して非常に繊細かつ優しい。

カマートラ椎エンジュ 寇掠軍『永遠の護手との邂逅(ウェク・ウルーピン・バンバレバ)』に参加した神族。チゲル湯に滞在中に『ウェク・』に誘われる。三荊閣ミルト家に連なる家系の出身。同性愛者で、友人で恋人のチュガ輩インゲロィームアに付き合って大審判戦争に出征した。年齢は27歳程度、見た目はまったくに普通に逞しい神族の男性であり、装飾の趣味も良い。強いて言うならば平凡。ベイスラにおける最後の総攻撃で輩インゲロィームアを失い、失意のまま帰国する。

チュガ輩インゲロィームア 寇掠軍『永遠の護手との邂逅(ウェク・ウルーピン・バンバレバ)』に参加した神族。24歳。一種の奇形であり標準的な神族の体型とかなり異なり、身長は低く身体も細く色が抜けるように白く女性的な印象を与えるが、実は非常に荒っぽい性格。容貌はカエルを思わせるのだが、十二神方台系においてカエルは醜いという評価は受けておらず、遊女がカエル巫女を名乗る通りに美しいもの、天の使いの一つとして数えられる。
神族カマートラ椎エンジュの同性の恋人であるが、惚れているのは椎エンジュの方。ギィール神族は両性愛を普通とするので、性別どうでもよい話。容貌が変である事から喋る言葉が少しくぐもり話しづらい為に、あまり口をきかない。喋っても意味が通じにくい為にいらだち、始終怒っている短気な印象を与えるが、性格破綻者ではない。ゲイルの操縦に天与の才があり、イルドラ丹ベアムに対してその極意の一端を伝える。
大審判戦争ベイスラ県での最後の総攻撃において殿軍をつとめ、歴史に残るほどの壮烈な戦闘を神兵穿攻隊と繰り広げ多大な犠牲を与えるものの、最終的に討ち取られる。あまりの壮絶さに古より聖蟲を持つ武人の最期を看取るとされるコウモリ神人の顕現を受けるほど。彼の活躍の姿はイルドラ家が出版した大審判戦争の記録絵物語により、後世まで広く知られる事となる。

イスコハラ鋳アンガ 三荊閣ガルポゥエン宗家の家令格を務める重要な神族イスコハラ家の若き当主。22歳くらい。東金雷蜒王国南部に拠点を置くガルポゥエン家から、傭兵市バガラ・ファンネムを預かっている。性格も容姿も良く将来性も抜群だが、少し心配性でイルドラ丹ベアムの寇掠軍出征を留めて、嫌われた。

(お姫さま) アユ・サユル湖の中心マナカシップ島にある、亡命神族の隠れ町に住んでいたギィール神族を父に持つ女性。彼女自身は聖蟲を持たず、身長も普通の高さで普通の女性である。若い頃のハジパイ王 嘉イョバイアンと知り合い、結ばれて男児を出産。しかしその事がバレてはハジパイ王が処罰を受けるので対応に苦慮したが、「白い母」と呼ばれる人喰い教徒の長の女性に赤子を託した。その後鏡ばかりを見て過ごし、10数年後に死去。

(イローエントの謎の輿の神族) イローエントにて西金雷蜒王国の特殊工作部隊スルグリを直接指揮していた神族。難民の大人ガマックの屋敷に出入りしていた所をレメコフ誉マキアリィに目撃される。また、円湾にて紅曙蛸王女テュクラッポ・ッタ・コアキに目撃されたのもこの人物。

ゲマラン昧マテマラン ウラタンギジトの神祭王に使える神族廷臣で、外交司。主に青晶蜥神救世主担当。なかなかに奇異な人物で、サドの気があり、弥生ちゃんの側に居る劫アランサを標的にさまざまな外交上の意地悪を突き付ける。神祭王の信任が篤い。

ジャンゲル粛ザイン ギィール神族、30歳くらい。ギィール神族にも関らず物作りにほとんど関心を示さず、もっぱら使う事に特化した珍しい性格。武器の操法に特に熟達し、寇掠軍に出征して黒甲枝を斬ったとも言われる。モノや身分に執着しない変り者で、服装も奴隷とほぼ同じ、奴隷や兵と親しく交わって同じ所に寝起きする。戦艦「寒梭魚」に食客として乗り込み、赤甲梢の渡海阻止に活躍した。

(ヤクザ者神族) 赤甲梢がギジシップ島神聖宮に突入した際、最終防衛線である『饗宴の間』において白兵戦闘で迎撃にあたった神族の数名。非常な伊達男ばかりで、いずれも武術の達人。「成り損ない」である神裔戦士を伴い派手な斬り合いを演じて見せる。常日頃は神聖宮においては鼻摘み者のゴロツキ神族であったろうと推測されるがさだかではない。

(カエルのお姫さま) 三荊閣ミルト宗家の末の姫。推定17才。イルドラ丹ベアムと同じ聖戴式で、同じく最年少で聖戴を受ける。寇掠軍に消極的なミルト家の生まれでありながら大審判戦争では寇掠軍を率いて出征したが、激戦は無いだろうと思われる南部ベイスラに居たのは親の思いやりであろう。
カエルが大好きで、愛玩用大型カエル「嬰媽」を寇掠軍に伴い、ボラ砦失陥の際にうっかり置き去りにしてしまう。そこで、カエルが井戸から発見されるとその晩に毒地を強行偵察していたサト英ジョンレ、ジュアン呪ユーリエに接触し、カエルの保護を頼む。

シトロメ純ミローム 女性21歳。東金雷蜒王国南の海上を領域とする海賊のギィール神族。三荊閣ガルポゥエン家に属す。
 キルストル姫アィイーガより7ヶ月年下で、同じ年の聖戴の儀を受けた。海賊は無法都市タコリティを根拠地とし縁が深い為に紅曙蛸神を信仰の対象とするが、トカゲ神救世主弥生ちゃんが失われた古代の女王五代テュラクラフ・ッタ・アクシを復活させたことに感銘を受けて、感謝の協力を捧げに和平交渉の行われるボウダンの地にまでやってきた。女子ばかり6名を率いてアィイーガの元に推参したが、褐甲角王国内部の民衆の実情を査察するべきだとの意見を受入れ、「ゲジゲジ乙女団」を結成しその上将となる。
 紅曙蛸神の信仰篤く、兜もタコを摸したものとなっている。

【褐甲角王国】

【褐甲角王族】

カンヴィタル洋カムパシアラン・ソヴァク 第23代武徳王。蒲生弥生ちゃん降臨時の武徳王。54歳。痩身だが武術にも学識にも優れ、賢君とされているが、真に名君たるかは、大審判戦争ににて定まる。

クメシュ 女性50歳。武徳王カンヴィタル洋カムパシアラン・ソヴァクの妹で独身。褐甲角神の聖蟲の繁殖を司る最高責任者「神母」の役職にある。
 温厚で責任感の強い人であり、他人に恨みを抱くことなど無いが、弥生ちゃんが引き起こした大審判戦争により聖蟲を戴く神兵が多数死亡した事を聖蟲の帰還により知り、深く衝撃を受けた。

カンヴィタル宇ナルミン 現武徳王カンヴィタル洋カムパシアラン・ソヴァクの娘。15歳。一応ジョグジョ薔薇ことジョグジョ絢ロゥーアオン=ゲェタマの許嫁という事になっているが、実際結婚するかどうかは情勢次第。ジョグジョ薔薇の姉であった綾ファーナオが王宮に上がっていた際に非常に懐いた。姉を失ったジョグジョ薔薇が大層苦しんでいる事を察して、彼女が特にと望んで婚約を強行した経緯があるが、若干10歳での婚約宣言に閉口した武徳王が、ジョグジョ薔薇に無理を言って頼んだというところ。非常にジョグジョ薔薇の身を案じており、後には彼のために弥生ちゃんに刃を向ける事となる。聖蟲は慣例に従い8歳の時に与えられている。
メグリアル王家の姫であるメグリアル劫アランサと非常に仲がよく、姉とも慕う。

カンヴィタル鮮パァヴァトン 男性31歳。カンヴィタル王家を陰ながら守るカプタニア神衛士の士団長。現在の武徳王カンヴィタル洋カムパシアラン・ソヴァクの兄の子に当たる。洋カムパシアランの二人の王子が未だ幼い時分には、次の武徳王と期待されて居た。
 博学英明で武術にも優れ指導力も有り、誰からも信頼され信仰にも篤い人物である。
 しかし6年前、彼が密かに招いて講義を受けて居たスガッタ僧侶ラゴロク師の従者の一人がカプタニア神聖神殿より聖遺物(カブトムシの聖蟲の幼生の亡骸)を盗み出し、人喰い教団に繋がるシュメ・サンパクレ・アに売り渡す事件が発生する。ラゴロク師の古い弟子の一人であり「スガッタアレス」と呼ばれた「白の母」の協力により無事奪還に成功するも、彼女の誘惑に応じ、これをギジシップ島の聖蟲の研究者に渡してしまう。
 この時の縁でシュメ・サンパクレ・アは彼が下界に降りた際の案内を受け持つ事となり、やがて二人は結ばれて男子カマンティバゥールを儲けることとなる。

メグリアル劫アランサ 第二代トカゲ神救世主、教皇あるいは神皇と呼ばれる最初の人物。元は黄金カブトムシを戴く褐甲角王族で、赤甲梢の六代総裁。蒲生弥生ちゃん降臨時17歳で弥生ちゃんと同じ歳、ただし弥生ちゃんはこの世界に居る間まったく成長を見せなかった為いつの間にか年上になってしまった。不思議な縁で蒲生弥生ちゃんの引き起こす救世主動乱の中心に引きずり込まれる。勢いに乗って東金雷蜒王国の滅亡に成功するが王宮元老院の命令を無視した罪で弾劾され、ついには幹部ともども処刑されることになる。処刑の最中に巨大な祖カブトムシに乗った蒲生弥生ちゃんが天空より飛来して救出し、褐甲角王国の使命の終わったこと、トカゲ神による神聖国家の樹立を宣言。二代救世主として彼女を指名し聖蟲スペキュラーペインと神威七剣を授ける。この時21歳。褐甲角王国、旧東金雷蜒王国であるゲジゲジ神統連合、西金雷蜒王国と協議してトカゲ神聖王国の枠組みを決める会議を弥生ちゃんの代りに行い、めんどうな一切を押しつけられたが見事これを乗り切り新体制への移行に成功した。弥生ちゃんが小舟に乗って西方に去った後は指導力不足でたびたび反乱も起こり何度も危機に陥るが、二年後ウオールストーカーとハリセンを奉じて禾コミンテイタムが到来すると、トカゲ神聖王国の基盤も定まり、晴れて教皇を名乗る。25歳から20年教皇を勤めた後に引退して上皇を名乗る、というよりも、第四代春ミスカモゥネを行幸中に見出し教皇位を移譲する上での心配が無くなった為に安心して禾コミンテイタムに継承を任せたのだった。ここに上皇、教皇、皇主の制度が成立した。上皇となって後はトカゲ神殿神官巫女団を率いて病に苦しむ人を救うことに全力を上げて努め、スペキュラーペインが額を離れていたわずかの隙に事故に遭い、56歳で波乱に満ちた生涯を閉じた。
彼女は、弥生ちゃんの友達である衣川”しるく”うゐにそっくりの容姿を持つ。目が銀色。

キスァブル・メグリアル焔アウンサ 黄金褐甲角王族で赤甲梢第五代総裁。36歳。キスァブルは当時の夫の家の名で、これまでに三回結婚している。華やかで聡明、状況の主導権を自分で握りたがる性格。迫力のある美人でカブトムシの家には珍しいゲジゲジ神族風の肌の露出の多い服を好んだ。
 赤甲梢総裁としては最長の20年の在任を誇る。この職は本来名誉職、あるいは赤甲梢を元老院の直接支配下に置くことを象徴的に表すためのお飾りのようなものであり、ゆえに王族の巫女をもって充て在任期間は10年未満が通常だったのだが、アウンサ自身の特異なキャラクターによって意味合いが変わり、赤甲梢の独自性が強化された。本人は武術は教養程度しか知らないが戦略戦術戦史に明るく軍の行動のチェックが厳しく、軍事の素人と舐めてかかった指揮官達を何人も左遷に追い込み、騎竜による高速戦隊としての即応体制を強化完備させた。現在ではすでに指揮系統の再構築が終わっているため軍事に口を出すことはあまり無いが、逆に王宮元老院との交渉に努め東金雷蜒王国討伐の出兵をさかんに上奏しているが、なかなか取り上げられないのに業を煮やしている。
 蒲生弥生ちゃんの毒地浄化により大審判戦争が勃発すると、両軍が遭遇するスプリタ街道沿いの最前線に敢えて向かわず、従来からの進路と定められていた東森縁街道を抜けて東金雷蜒王国の深奥に単独で侵攻して、遂に首都ゲジシップ島への上陸を果たす。そこで既にゲジゲジ神聖王を保護していた蒲生弥生ちゃんと対面する。その後命令違反を問われて王宮に召喚され赤甲梢解体に抗するが総裁を劫アランサに譲らされ、神聖首都ギジジット調査の衛視統監に任じられるが赴任途中に行方不明となり、遺体で発見される。

ソグヴィタル範ヒィキタイタン 褐甲角王国ソグヴィタル家の当主で、現在36歳。政務を司るソグヴィタル家の若き当主であり先戦主義を主導し、先政主義のハジパイ家当主ハジパイ嘉イョバイアンと覇を争うも、老練の政治手腕に翻弄され元老院内において孤立する事になる。三年前、その状況をくつがえす為に宮廷クーデターを計画するも、途中で情報が漏れて同士が次々と逮捕され、ヒィキタイタン自身も訴追されるが、聖山にて開帳される大洞窟内のカブトムシ神像の除幕式に参列するという名目で首都カプトニアから脱出、人質として残ったカタツムリ神巫女ファンファネラ侍女頭を見殺しにする、通称「ヒィキタイタン事件」を引き起こし、褐甲角王国を追放され、東金雷蜒王国からタコシティの近辺を逃亡中。聖蟲カブトムシは黄金カブトムシにより全てその所在を知られる為に本来逃げ切れるものではないが、ヒィキタイタンは王族であり最高レベルの黄金カブトムシを額に戴く為に所在情報を撹乱することが出来る。
 容姿は端麗で金髪巻き毛、身長も高く体格も立派でどこから見ても王族貴族とすぐ分かる。従軍経験は無いが武芸にも秀でている。

ソグヴィタル貞アダン ソグヴィタル王 範ヒィキタイタンの息子、9歳。最近はいつもハジパイ錦シュクバイァンと共に武術の稽古をして、彼と共に黒甲枝の兵学校に入ろうと思う。

ハジパイ嘉イョバイアン 褐甲角王国ハジパイ家の当主で、現在68歳。内政と宮廷政治を長年司って来た、褐甲角王国最大の実力者。元老院をほぼ手中に納め、意のままに扱うがその政治姿勢は通常は現状維持を旨とし、国家財政の健全化に努力する。霊能の才は無い為に聖蟲を戴いていながらそれに頼った政局運営にこだわらず、上級官僚や大商人に支持が厚い。しかし進取の気風には欠け産業を起したりして新たな財源を開発するのには消極的。これは、彼が1000年めという王国にとって重要な時期に勤めることになった故に、自覚的に保守的であろうとしているからだ。密かに金雷蜒王国の上層部とも連絡を取り合って、現状維持のまま両王国の勢力均衡に務め、大規模な侵攻作戦が俎上に上り、戦費で国庫が破綻しないよう細心の注意を払っているが、本来軍人国家であるためにカブトムシ兵からは不満の声が高まっている。

ハジパイ照ルドマイマン 褐甲角王国ハジパイ王家王太子、40歳。次のハジパイ王であるが、嘉イョバイアンが長命で有る為になかなか王位には就けない。政治的な立場で言えば先政主義派ではあるが、現実を鑑みて激動する情勢には柔軟に対応しようという元老院の現在の主流派に属する。すでに元老院の中堅となっている為に、父とは別の思惑で動く事も多くなり、嘉イョバイアンも引退を考えざるを得ない。息子が二人、娘が二人居るが、長男クルタィアンは武術の稽古の最中の事故で既に亡い(今年で20歳になるはずだった)。

ハジパイ錦シュクバイァン 褐甲角王国ハジパイ王家王太孫 11歳。嘉イョバイアンの孫で次の次のハジパイ王。王族は家庭教師を雇って武術の稽古をするものだが、彼は時代の波に敏感に反応して王族も軍務に関して親しんでおくべきだと、黒甲枝の兵学校への編入を父照ルドマイマンに願い出ている。

ハジパイ芽デェラ 褐甲角巫女クワァンクァン。ハジパイ王 嘉イョバイアンの長女で42歳。結婚はせずにカプタニア神聖宮殿の上に有る神殿で権之巫女を務めて、カンヴィタル家の巫女である王神女に仕えている。父王があまり熱心に神殿にお参りに来ないので怒っている。かなり忙しい性格。

【元老院 金翅幹家】

「破軍の卒」 褐甲角王国元老院において最古参で王国の根幹を為す働きをした最初期の神兵の家系。初代救世主カンヴィタル・イムレイルの最初の挙兵が失敗し大敗を喫し無法都市タコリティに逃げ込んだ時に従っていた12人の兵士の事である。
 後代に10家が残るもチュダルム家レメコフ家は黒甲枝に留まり軍務を指導し、金翅幹家としてカプラル家、メドメディエフ家、シュンパ家、ヅズ家、ソトバン=ワグド家(2家が併合して一つになる)、ロー家、ゥドバラモンゲェド家が王国政治を司る。ただし、ゥドバラモンゲェド家は女性当主が続いた為に聖戴権を返上し、神官巫女の家系として神聖神殿に勤めている。  現在「破軍の卒」は政治的実権に薄く、特別な枠で括られて元老院では敬遠されている。しかしながらカンヴィタル・イムレイルの誓いを果たさんが為に常に金雷蜒王国打倒と殲滅を唱え、ソグヴィタル王 範ヒィキタイタンの提唱した「先戦主義」のバックボーンとなった。
 またそれが故に金雷蜒王国内部の軍事情勢等に詳しく、両王国の和平交渉の席には特別に彼らの代表が呼ばれた。

キスァブル家 褐甲角王国元老院の家系。カブトムシ元老院は王族との姻戚関係の強い家が歴史上次々に議席に加えられてきたのだが、その中では新参に近い家。メグリアル焔アウンサの現在の配偶者の家系。

ジョグジョ家 褐甲角王国元老院の家系。元は東金雷蜒王国神聖王ゲェタマ王の直系の子孫。300年ほど昔に故あって亡命して来たが、常の神族とは異なり中央政界での活躍を望み、ゲジゲジの聖蟲を持つ初代が死去した後は、黄金のカブトムシの聖蟲を戴き、特異な立場から参政している。非常に派手好き目立ちがり屋の家系で、本来黒甲枝が司る軍務においても度々口を出して敬遠される。この家系を象徴するのは、金雷蜒王国時代に彼らの先祖が品種改良したと言われる「ジョグジョ薔薇」で、家紋にも使われる。

キマ家、アケルヒナ家、シヂチヘリママ家 褐甲角王国元老院の家系。これらの家の若い元老員が「白寧根」と呼ばれる秘密結社を作り、ハジパイ王の指示で秘密に工作を行っている。キマ家はヌケミンドル大本営にて金翅幹王師団にて武徳王を守った。

ハスカイ家 褐甲角王国元老院の家系。大審判戦争にてはヌケミンドル防衛線の大本営に従う。彼の天幕にて、青晶蜥新王国建軍準備委員会観戦武官ューマツォ弦レッツオが農婦に化けた間諜を斬り殺した。

ダディオ家 褐甲角王国元老院の家系。カロアル家はかってダディオ家が黒甲枝だった頃従者をしており、その後手柄を立てて聖蟲を頂いた。その縁でカロアル家は今も旧主の一派に属する。現当主ダディオ直スゥスィヒは、カロアル羅ウシィ戦死の公報を届けに来る。

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ジョグジョ絢ロゥーアオン=ゲェタマ 元老院ジョグジョ家の二人目の元老員。26歳にもう少し。非常に派手好みで売名行為を行い、蜘蛛神殿に自らのそっくりの胸像まで贈与して、顔を一般庶民に知られる、褐甲角王国一の有名人。「ジョグジョ薔薇」のあだ名で知られ、女性に圧倒的な人気を博する。
 若くして主戦論を唱え、ヒィキタイタンの唱えるギジェカプタギ・ガムリ点同時攻略作戦の向こう張る、西金雷蜒王国殲滅戦を唱えて注目される。その後、ハジパイ王門下の「銀椿」、黒甲枝シメジー銀ラトゥースとの舌戦で世上を沸かせた。ヒィキタイタンが讒訴の難に遭った際には、主戦論側からの弁護人として元老院で弁舌を振るったが、その後の追放劇で梯子を外された形となり、ヒィキタイタンの一派とは看做されなかったものの、西百島湾海軍の監察督戦使として左遷された。が、大審判戦争の勃発で先政主義が崩壊した事でにわかにクローズアップされ、王都に戻って来た。

ジョグジョ綾ファーナオ=ゲェタマ 元老院ジョグジョ家の姫。ジョグジョ薔薇ことジョグジョ絢ロゥーアオン=ゲェタマの姉。エリクソーは使わなかったが大柄でグラマー、肌が抜けるように白く脚線美が特に美しい女性であった。性格は明るく温厚、というよりも元老院金翅幹家の人間としてはかなり迂闊で不用心な方。その為人には好かれたが陰謀に巻き込まれてしまう。家は財政的に結構苦しかった為に王宮上層のカンヴィタル宮に高級女官として勤めていたが、人柄故にカンヴィタル王家の姫に懐かれ、また武徳王の目にも止まり側室に迎えられるという話もあったが、当時方台に突如として現われた未知の怪物「足の無いトカゲ」に噛まれて命を落とす。6年前の話。
ジョグジョ薔薇はこの姉を非常に敬愛しており、その死を元老院全体の陰謀と捉え復讐を誓う。また姉の姿を模して女装をする癖を身に着けた。

ガーハル敏ガリファスハル 元老員。38歳。身体も大きく、一見すると武人タイプなのだが、かなり奇矯な癖を持つ。大審判戦争に際しては武徳王よりヌケミンドル防衛線の督戦使として派遣され、司令官であるクルワンパル明キトキス主席大監の善き助言者となる。軍学ガーハル派の主宰をしているが、現在ガーハル派最高の学者は黒甲枝クルワンパル明キトキス。

シュトラマス詠バメッタ 褐甲角王国元老員。ガーハル敏ガリファスハルに近い立場の派閥に属する友人。大審判戦争では武徳王に従い大本営にて金翅幹王師団に加わりゲイルの大突撃を防いだ。

ダディオ直スゥスィヒ 褐甲角王国元老員。黒甲枝カロアル家の上位に存在し、カロアル家で聖戴の儀を受ける際には武徳王に奏上する。500年ほど昔にはダディオ家は黒甲枝であり、カロアル家はその従僕であった。ダディオ家が金翅幹家に昇格すると共にカロアル家も聖戴を許され黒甲枝となる。

【カブトムシ黒甲枝】

チュダルム家 黒甲枝家系。名門中の名門で、再三元老院入りを勧められるも頑として軍事部門のトップに留まり続ける生っ粋の軍人家系。一つの家で三つもの黒カブトムシを持っているのはこの家だけ。現在は父(兵師統監)、伯父(兵師大監・対西金雷蜒王国守備隊)、娘彩ルダム(衛視正)が持つ。ちなみに、金翅幹家は三代(当主、継嗣、隠居)に聖蟲が与えられるが、チュダルム家は頑として金翅幹家への昇格を受入れないので、その特権のみが許されている。

ゾゥオム家 黒甲枝の家の一つ。後継者がおらず、メグリアル王女焔アウンサの仲介で赤甲梢よりメル・レト・ゾゥオムを婿養子に迎える。ちなみに娘も居らず、従兄弟の子を養子としての婚姻となる。

ガラ家 黒甲枝の家の一つ。兵師監カロアル羅ウシィの妻カロアル・ガラ讃フィリアムの実家。フィリアムの父はがっしりした人だったらしい。

ジュバンチ家 黒甲枝の家の一つ。カプタニア城内庭でカロアル家の隣に住む。がさつな娘がある。

デェンガハ家 黒甲枝の家の一つ。ボウダン・グルン県に住居する。大審判戦争に置いて当主は戦死、継嗣となる男子2名も重症を負う。

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チュダルム冠カボーナルハン 褐甲角軍最高司令官である兵師統監。名門チュダルム家の当主で、58歳。すでに引退していてもおかしくない歳ではあるが、娘彩ルダムが一向に結婚しないので後継者が居ない為に、今だに聖蟲を戴いている。

ガダン筮ワバロン:褐甲角王国衛視統監、外事担当。50代で娘があるがまだ結婚しておらず、故に聖蟲をを後嗣に譲っていない。
弥生ちゃんがウラタンギジトに滞在中、褐甲角王国の正式な使節として協定の締結に当たった。基本的に彼が正使で、メグリアル劫アランサ王女はあくまでもオブサーバーであったが、弥生ちゃんがアランサを気に入っており、またウラタンギジトの神祭王も王女のみを優遇したので、彼はなかなか仕事が出来なかった。
そうは言っても、彼はアランサ王女に反感等を持ったりせず、むしろ王国の為の最善を求めて王女の獲得した信頼をそのままに生かして弥生ちゃんと良好な関係を保った。
また弥生ちゃんは彼と図り、古都テュクルタンバに紅曙蛸巫女王時代を記念する施設を作り、タコリティの新生紅曙蛸王国の正統性に疑義を与える事を画策する。同時にデュータム点近辺に集結する、青晶蜥王国建軍準備委員会の有志達を移動させ、そのまま施設警備の為に駐屯する許しを取りつけた。

レメコフ東部大監→前列大監 褐甲角軍東部方面司令長官である兵師大監。名門レメコフ家の人間。スプリタ街道が面する毒地の防備を預かっていたが、事態の急変を受けて大本営がヌケミンドルに移って来るので、かなり権限が狭められた。

チュダルム海軍大監→前列大監 褐甲角軍西部海軍大監。西金雷蜒王国との戦争を現在指揮する。チュダルム冠ボーナルハンの弟。なかなか苦戦している。

スバスト兵師監→後列大監 褐甲角軍ベイスラ地方管轄司令官。

クルワンパル明キトキス 褐甲角軍ヌケミンドル正面防衛軍総司令、主席大監。41歳。若くして見いだされた天才的な軍略家で、早くから中央軍政局で参謀を務め、名門の家柄で無いにも関らず20代で兵師監に昇進した。後にはハジパイ王の推薦で、武徳王に軍略を講義する栄誉に浴している。彼は当時の軍政局で主流となっていた、ヒィキタイタンの先戦主義を奉じる若手改革派とは一線を画していたために、ハジパイ王や元老院からの覚えもめでたく、元老院から軍政局に意見を伝えるパイプとしても役立ったが、彼自身はあくまでも戦略上の合理性にのみ着目して自らの行動を定めている。  大審判戦争においては、兵師統監の支持を受けて武徳王より直々にヌケミンドル防衛線の総指揮を執る事を委ねられた。彼はその才能の全てを用いて、知を以って鳴るギィール神族と知恵比べをして彼らをこの地に留め、他の領域に寇掠軍が向かうのを防止する任務を持つ。

アスマサール幣ガンゾヮール 大審判戦争時の紋章旗団の団長。40代。長く近衛兵団にあって主に儀礼と儀典を司って来た。大戦時に昇進して兵師監となり紋章旗団を預かったが、その任務はデュータム点からウラタンギジトに在る弥生ちゃんの動向に対処する為であり、正面での戦闘では無かった。紋章旗団の赤甲梢電撃戦への参加を最初は止めようとしたが、道中重甲冑の故障で同行を断念、紋章旗団に独自の判断で最善を尽すように諭し単独で進ませる。

シジマー藍サケール 黒甲枝の神兵。兵師監。毒地侵攻軍ベイスラ穿攻隊を率いて金雷蜒軍に直接攻撃を図る。元は近衛兵団神兵戦技研究団団長で、極めて白兵戦闘を重視するがバランスの取れた指揮官でもある。副団長時代に後に赤甲梢頭領となるシガハン・ルペに黒甲枝武術の奥義の数々を味合わせ、漣捻駕の秘術も会得させた。

チュダルム彩ルダム カブトムシ兵の名門チュダルム家の一人娘、現在で28歳。人格識見器量胆力武術共に優れていたが結婚せず、女ながらも衛視として仕えていた。チュダルム家には三つの聖蟲のカブトムシを与えられているのだが、その一つを戴いている。これは女性としては黄金褐甲角王族以外では異例中の異例で、本来軍務に就くことを許されない女性にはあり得ないことなのだが、チュダルム家の後継ぎが彼女以外にいないことから特に許されていた。衛視監としても優秀でひょっとすると女性で初めての衛視統監もあり得るか、とさえ言われたが元老院の内示により赤甲梢第六代総裁メグリアル劫アランサの護り役に就任する。赤甲梢第五代総裁キスァブル・メグリアル焔アウンサとは幼なじみで、王族の彼女にかなり遊ばれたりいじめられたりもした。焔アウンサが非業の死を遂げた後、妨害を排して第六代として劫アランサを総裁に就任させるもその後の弾劾騒動に抗し得ず王宮に召喚され自宅軟禁される。劫アランサが蒲生弥生ちゃんから第二代救世主に指名された後は聖蟲を返上して救世主の僕として神聖国の成立に奔走するも、刺客に遭い命は取り留めるも以後身体を壊したままで36歳で引退を余儀なくされる。

スタマカッ兆ガエンド 黒甲枝。王都カプタニアの近衛兵団長、43歳。黒甲枝の三大主要家系に継ぐ上位の家系の出身で、武徳王の信頼も篤い。そろそろ聖蟲を次代に継ぐべき年齢であるが、折りよく大審判戦争が始まったのでこれを最後のご奉公と心に決めている。無論武術ではカプタニアにおいても一二を争う達人、すこし歳は喰ってるけれど。大審判戦争ヌケミンドル防衛線において大本営をよく護り、自らゲイル2体を倒した。

マガン 黒甲枝。サユール県全軍を預かる兵師監で難民が嫌い。歳から言うと既に聖蟲を譲っているはず。兵師大監(後列)に昇進。

アビン 黒甲枝。イローエント衛視局の衛視監、難民担当。マキアリィに協力して難民居住区の一斉捜索を行う。

カロアル羅ウシィ 黒甲枝の神兵。45歳。国境南のノゲ・ベイスラを中心にベイスラ地方を守る大剣令。弓レアルの婚約者カロアル軌バイジャンの父。輝くような才気は見せぬが、慎重に深く物事を考えて決して間違えぬ事を知られている。大審判戦争に伴い昇進して兵師監になり、ノゲ・ベイスラ中核都市防衛指令官と同時に、スプリタ街道難民移送司令官に就任。

レメコフ誉マキアリィ 黒甲枝の重鎮たるレメコフ家の後継者、33歳。大剣令を勤め、将である兵師監になる直前であったが、ヒィキタイタン事件の追捕師に任命され前線を離れる。ヒィキタイタンとは幼少よりの中で共に市中に忍んで遊びに出かけ、カタツムリ巫女ファンファネラに迷惑を掛け通した。成長してはファンファネラを六歳の年の差をも物とせず結婚しようと画策するが、果たせず。現在は追捕師としてカプタニアに居て、ヒィキタイタンの行方を追って居たが、褐甲角王国の権が通じない場所は多々ある為に開店休業状態。

タコリティにおいてヒィキタイタンの罪を証す為に城門で問責に及んだが、ヒィキタイタンが自ら外に出て、黒甲枝の大剣同士による決闘になる。剣技において互角であり、用いる大剣の耐久力の差で圧倒したが、乾坤一擲の大技を炸裂させて雌雄を決したその瞬間、ヒィキタイタンが弥生ちゃんから教わった「真剣白刃返し」によりまさかの敗北を喫す。全治3ヶ月。

ビジョアン榎ヌーレ 黒甲枝の神兵。37歳で中剣令。参謀タイプで軍事よりも民政を得意とする。黒甲枝は地方において民衆評議会や農村集会を指導監督する知事兼裁判官の役もする為に、どうしても軍事よりも政治や法律に詳しくなる者が出る。

サト英ジョンレ 黒甲枝の神兵。24歳。近衛隊出身。小剣令であるが特殊部隊長の資格である剣匠令の位を持っている。この位は黒甲枝の小隊を指揮して独自の作戦行動を取る事を許される。英ジョンレは歳が近いのでカロアル軌バイジャンの兄貴分となって黒甲枝の先輩として指導する。後に、毒地に侵攻する黒甲枝突撃隊に編入されて、軌バイジャンを羨ましがらせる。

ジンハ守キンガイア 黒甲枝。37歳。中剣令でベギィルゲイル村(ゲルワンクラッタ村の前の名前)の守護をしていたが、村を弥生ちゃんに乗っ取られ名前まで変えられたと一騎討ちを挑戦してきた。カプタニアのハジパイ王の筋からの指令によるものではあるが、彼も本気になって挑み、幸いにして弥生ちゃん本人との対決にこぎつける。しかしものの二分程度で重甲冑の急所であるバネを斬られて行動不能となり敗北する。彼の挑戦は無駄ではなく、のちに弥生ちゃんに対する聖蟲を持った大狗の攻撃へと繋がる。
東金雷蜒王国神聖王ゲバチューラウの西遊に際してゲルワンクラッタ村が宿となり、彼が接待役を努めた。これは褐甲角王国の命によるものではなく、弥生ちゃんからもらった書状に心を打たれ、処罰されるのを覚悟で行った。後にカプタニアに聖蟲の返還を申し出たが認められず、ゲルワンクラッタ村の守護に留め置かれた。

キマル信マスタラム 黒甲枝。ベイスラ地方で衛視として働くが、大動員に当たってノゲ・ベイスラ市防衛隊に移籍。

ハグワンド礼シム 黒甲枝。ベイスラ地方で衛視として働くが、大動員に当たってノゲ・ベイスラ市防衛隊に移籍。

タキ験ワゲェブル 黒甲枝。イローエント南海舟戦神兵団中剣令。35歳くらいだが、白いあごひげを生やしていて、変。

シメジー銀ラトゥース 黒甲枝、27歳。ハジパイ王の唱える先政主義における若手の論客で、「ジョグジョ薔薇」と対比して「銀椿」と呼ばれ、王国の女性の人気を二分した。ジョグジョ薔薇の左遷後はハジパイ王の意を受けて、軍政局や衛視局に先政主義に基づく意見を伝える役を果たした。大審判戦争の渦中にあって、ハジパイ王の命を受けてデュータム点に赴任し、ガモウヤヨイチャンの政治的策動に対処するよう待機している。現在は若いにも関らず髪が白くなったので、「銀の髪」と呼ばれるらしい。

キンカラン 黒甲枝神兵小剣令。近衛兵団に属し、若手で一番の無茶と知られる。大審判戦争時、武徳王本陣へのゲイル騎兵大集団突入の際に、ゲイルに一番槍を着ける。また和平交渉開始の直前には、メグリアル王女 劫アランサにより空中飛翔の実験を行われるが、彼は失敗して飛べなかった。

サノ 黒甲枝神兵大剣令。カプタニア中央軍制局彰礼課の副課長に相当する職にある。黒甲枝出身のクワアット兵で剣令以下の身分の者の表彰や追悼、戦死の公報を司どる。カプタニア城内庭は黒甲枝の家が多数有り、聖蟲は持たないもののクワアット兵や軍属として働く家族が多数居る。大審判戦争中では黒甲枝の家族、妻の代表としてのカロアル・ガラ讃フィリアムと共に、戦死や戦傷の公報を担当しており、カロアル羅ウシィの戦死の報ももたらした。

コドンプ 黒甲枝神兵中剣令。ボウダン街道ゲルワンクラッタ村周辺の、毒地古街道出口付近防衛隊隊長。神兵5クワアット兵300を預かる。配下のジンハ守キンガイアが弥生ちゃんからの書状を受けて、東金雷蜒王国神聖王受入れを決断した時に同心した。

【赤甲梢】

シガハン・ルペ 赤甲梢。29歳。大剣令赤旗団長で兎竜部隊頭領。赤甲梢においては総裁キサァブル・メグリアル焔アウンサの下の副長的ポジションを務めていた。一般庶民の出であり、地元の邑兵から聖蟲の聖戴にまで至った伝説的出世を成し遂げるも、傲り高ぶる事の無い尊敬すべき人物。亜麻色の髪を長く伸ばしていて、めちゃくちゃカッコイイ。髪が長いのは焔アウンサの指示によるものらしい。

カンカラ縁クシアフォン 赤甲梢。32歳。黄旗団長で兎竜部隊運用にあたり参謀的役割を受け持つ。出身は黒甲枝で三男であり、自分の家からでは聖蟲はもらえないので赤甲梢に任じられた、赤甲梢神兵としては典型的な人物。背が高く髪は赤く、ちょっとドイツ人っぽいゴツさがあるが、まずは美形に入る。オリバー・カーンみたい。

スーベラアハン基エトス 赤甲梢。27歳。紫幟隊長。赤甲梢では兎竜隊は旗を、徒歩の装甲神兵隊は幟を掲げる。彼は元老院金翅幹家の出身で、なにもしなくても黄金の聖蟲がもらえたものを、その権利を放棄して通常の黒甲枝と同じく兵学校に入り、聖蟲の無いクワアット兵として軍務に従事したという変人。彼自身は元老院という陰謀渦巻く世界からの逃避のつもりであったのだが、ただの人ではないから当時の部隊長が大変困り、焔アウンサに泣きついて引きとってもらい聖戴に到る。知性は並ではないがイヤなものまで見えるから使いたくないという性格で、本人の嗜好に関らずアウンサにより汚れ仕事に担ぎ出されてしまう。

ディズバンド迎ウェダ・オダ 赤甲梢。総裁護衛職。30歳。弓レアルから見て又従兄に当たる人物で、斧ロァランが劫アランサの侍女になった時、弓レアルの頼みで貯コグトスが元老院に働きかけ、血縁の者を斧ロァランの身近においておこうと配慮したので、劫アランサの護衛に回された。一見すると風采の上がらない親父っぽい人物なのだが、双鞭という二刀流の剣の達人。血族関係はかなり複雑で黒カブトムシ兵の家の生まれではあるが正当な嫡子ではなく、相続を円滑にするためにも自ら降りた形になって、赤甲梢に所属する事となる。もう一つ、前線研修の時期に勝手に身分の低い女性と結婚してしまった為、エリートコースも降りてしまったという理由もある。7歳と5歳の娘が居て、前線に近いデュータムポイントに住む。なんとなく、チャーリー・シーンに似ている。

ケルベルト咆カンベ 赤甲梢。40歳。黒甲枝出身者。焔アウンサが総裁に就任する前からの赤甲梢の最後の一人。装甲神兵団紫幟隊を二つに分けた一つ黒幟隊を指揮する。焔アウンサの引退と同時に赤甲梢を退くつもりで凌士監という軍官僚の資格を取ったのだが、どうして彼女がなかなか引っ込まないのでずるずると居残り、ついには大審判戦争という晴れの舞台で大きな役割を果たす事になる。

エロァ均ガシュト 赤甲梢の神兵、大剣令。装甲神兵赤紫幟隊隊長。

メル・レト・ゾゥオム 赤甲梢。24歳、青旗団長。赤甲梢において最も若い聖戴者の一人。平民の出身であるが早くから注目されて赤甲梢のクワアット兵団で修行を積んで取り立てられた。焔アウンサの仲介で黒甲枝ゾゥオム家への養子縁組が整ったので、それにふさわしい手柄を上げようと焦っている。

カムリアム・サイ 赤甲梢の神兵、中剣令。兎竜隊黄旗団副団長。団長のカンカラ縁クシアフォンが電撃戦中は焔アウンサの副官を務めた為に、実質彼が黄旗団を預かったが、代りにスーベラアハン基エトス大剣令が指揮する事が多かった。兎竜隊黄旗団は10名だけだったので、予備兵力的に使われ主に焔アウンサの居る本隊の警護に回った。

ィヨンワイ 赤甲梢の若手神兵。装甲神兵黒紫幟隊に属し、咆カンベの下で艦船奪取を行い、軍船に乗船して戦った。王師海軍戦艦「寒梭魚」に海賊戦法で乗り移り艦の制御を奪おうとしたが、乗船していたギィール神族ジャンゲル粛ザインの長槍と一騎討ちした結果船縁から海に斬り落とされた。戦死。

ウラボォン 赤甲梢の若手神兵。電撃戦においてギジシップ島への渡海の途中、王師海軍戦艦「寒梭魚」に乗り移ろうとして肩に銛をくらい、海中に転落、行方不明。

ジンジョー班バオ 赤甲梢の神兵、小剣令。兎竜隊黄旗団に属する。ギジシップ島を行軍中にヌタ蛙を踏み潰して身動きがとれなくなった所を、獣身兵に襲われた。戦死。

ュクーリ活ヤーバル
ュクーリ覚ヤーバル 赤甲梢の神兵で双子、小剣令。基エトスの指揮下にあった装甲神兵紫幟隊に属していた。あらゆる武術に優れ鍛錬に励み、赤甲梢内での武術大会でこの2年兄弟で優勝を争っていた。背はさほど高くはなく筋肉もりもりで焔アウンサの趣味ではない。ギジシップ島の神聖宮に入る直前の謎の重甲冑の武者と決闘を行い、最初兄の活ヤーバルが戦っていたが危機に陥り、弟の覚ヤーバルが乱入して二対一の戦いになるが、敗北する。二人とも戦死。

【紋章旗団】

ィエラースム槙キドマタ 紋章旗団に属する赤甲梢、中剣令で29歳。紋章旗団団長から一時兵師監の下で団長代理を務めたが、電撃戦への参加に際しては団長に復帰。ギジシップ島での戦闘において毒蟲の攻撃で瀕死の重傷を負うもののトカゲの尻尾の力で命を取り留める。

アルラァ 紋章旗団副団長の神兵。中剣令。槙キドマタ負傷後は彼が紋章旗団の指揮を執った。

エイケン壬カポォ 紋章旗団の神兵。ギジシップ島侵入後は先陣を承った団長たるィエラースム槙キドマタと同じ班で戦った。槙キドマタが怪蟲によって負傷後、彼を抱えて後方に下がり焔アウンサ王女の手当てを受けさせた。

【黒甲枝の家族・家人】

カロアル軌バイジャン 黒甲枝出身のクワァット軍正規兵、小剣令。18歳で最初の赴任地であり父が司令官のベイスラ地方で国境警備任務に就いている。未だ修業中で見習いの士官に過ぎないが、カブトムシ兵以外では最高位に位置する為に黒甲枝が全て出張する際の留守部隊を預かる。後に聖蟲を継承してカロアル家の当主としてカブトムシ兵になる身なので、下級の兵達は大事に扱っているが、それが少し不満。弓レアルの婚約者だが今だに顔を見たことがない。

カロアル斧ロァラン 黒カブトムシ兵カロアル家の末娘。弓レアルは義姉となるはずであった。現在で15歳。褐甲角王宮に奉公に上がり仕える。最初は元老院に属す聖蟲を戴く大犬サグラバンタの世話係となり、市中にもたびたび使いして衛視監チュダムル彩ルダムに知己を得る。その後彩ルダムが衛視庁を転出して赤甲梢第六代総裁となるメグリアル劫アランサの護り役となった際にスカウトされて侍女となる。激動する赤甲梢の中でよく劫アランサを助け、時に敵中を単独で突破して使いをするなどの活躍を見せる。トカゲ神救世主蒲生弥生ちゃんと取っ組み合いの喧嘩をしたこともある。

カロアル・ガラ讃フィリアム 黒甲枝カロアル家カロアル羅ウシィの妻。44歳。黒甲枝ガラ家の出身。カロアル羅ウシィとはグテ地に父が赴任していた際に知り合い、そのまま結婚する。ガラ家は経済的に困窮し王国から資金を借りた代償にグテ地という人気の無い僻地への出向を了承して居た。
 黒甲枝出身の妻としては普通と呼べる頑固で温厚な性格。文学や簿術に優れ家庭教師の役も出来る。武術も一通り習い覚え、グテ地に居た時分に密貿易の水夫達と遭遇して撃退した事もある。
 大審判戦争後羅ウシィが兵師監に昇進した為に住居するカプタニア城内庭で黒甲枝の妻達を指導する立場になるも、夫が戦死して寡婦となる。

サト・ルンダ・マドメー 黒甲枝サト英ジョンレの妻。22歳。イローエント出身で英ジョンレとは幼なじみ。女性としては背が高く包容力のあるタイプ、肥ってはいないが豊乳。子供はまだ居らず、少し気に病んでいる。マテ村に他の黒甲枝、クワアット兵の家族と共に住んでいる。(女性の場合、夫の姓が名前の前に付くので、本名はルンダ・マドメー)

オダ・パパァルマ 赤甲梢ディズバンド迎ウェダ・オダの妻、28歳。一般庶民でありかなり貧しい層の出身だが、兵学校を出たばかりの迎ウェダに見初められて結婚、迎ウェダは黒甲枝の継承権を失った。本来ならばディズバンド・オダ・パバァルマを名乗るべきだが、ディズバンド家に受入れられていないという事で本名を名乗っている。代りに迎ウェダが妻の姓を背負っている。娘が二人、8歳と5歳。

ジュバンチ清ヨドネ 女性19歳。カプタニア城内庭カロアル家の隣に住む黒甲枝ジュバンチ家の娘。19歳といえばとっくに嫁に行って良い歳であるが、器量がちと悪い為か行き後れている。武術には優れているが勉強はダメでちょっとがさつなところが有るが、正義感は強い。カロアル斧ロアランにとっては姉のような存在。

ジンハ守キンガイアの家族 ゲルワンクラッタ村の一村守護ジンハ守キンガイアの妻と子3人。長男10歳長女8歳次男5歳。東金雷蜒王国神聖王ゲバチューラウの滞在時には、慣例に従いこの子らが儀礼的に奉仕した。

【神官巫女】

蜻蛉の隠者 蒲生弥生ちゃんがこの世界に来て初めて会った人物。額にガラスで出来たトンボを乗せている。正体不明だが十二神について詳しく元神官ではないかと思われる。蒲生弥生ちゃんがウオールストーカーに会う前は言葉が通じなかったのだが、この人物は絵が得意でコミュニケーションが出来た。タコシティの北西の荒野に多くのネコと暮らしておりネコネットワークの中心のひとつと思われる。ウオールストーカーに弥生ちゃんが会う必要があることを示唆したので、トカゲ神の啓示を受けて弥生ちゃんを待っていたのではないかと推測されているが、後に二代劫アランサがトカゲ神救世主の恩人の一人としてその所在を探させたが、遂に見つからなかった。

ティンブット・リアゥル タコ巫女。26歳。蒲生弥生ちゃんがウオールストーカーと接触し、蜻蛉の隠者のところから街に出る案内をした。蜻蛉の隠者の妻を自称。剣技に優れる。この世の悩みというものが無さそうな能天気な性格だが、タコ巫女は皆そういうものらしい。

白髪の紅曙蛸神官 褐甲角王国の首都カプタニアに在住する70歳という高齢の紅曙蛸神官。聖山神聖神殿都市に居る、紅曙蛸神法神官、法神女に継ぐ高位の神官。弥生ちゃんが紅曙蛸巫女王五代テュラクラフの石像を掘り出した噂を聞いて青晶蜥神殿に御礼に行く際に、ハジパイ王の下問を受ける。

ファンファネラ カタツムリ巫女で褐甲角王宮侍女頭。ソグヴィタル範ヒィキタイタンが宮廷クーデターに失敗し査問される時、彼女を人質にエイタンクァプトへの参拝として脱出に成功して戻らず、彼女は犬掛かりの刑で惨殺された。享年36歳(101014変更)。ヒィキタイタン、誉マキアリィにとっては姉とも呼べる存在で、二人の為に大変尽してくれた。またヒィキタイタンが王宮の外に脱出して遊ぶ際にも、ドワアッダと共謀して手引きしてくれた。誉マキアリィは彼女を奥方に迎えようとかも考えたが、年齢が10歳も上なので当然に断り、生涯独身で過ごす。

ファンファメラ カタツムリ巫女。次代のカタツムリ巫女の指導者のひとりとなるべく神聖神殿都市で修行をしていた才女であるが、実際は王宮務めから外されてやむなく聖山に留まって居たというのが正しい。故に、弥生ちゃんがデュータム点に到来すると、本人と指導部双方の思惑が合致して、青晶蜥神救世主付きの筆頭侍女兼事績記録員となる。事績記録員とは、救世主の業績や行動を記憶して蜘蛛神殿がその伝記を作るのにデータを提供する役目で、当然に大層優秀な記憶力を必要とする。カタツムリ神官巫女は長大な叙事詩を諳じる事を修行とするので、この役は普通彼等に託される。
ファンファメラは身長が160センチの美しい栗毛の髪を持つ清楚な乙女であるが、女優として舞台に立つには決定的な弱点と言えるほどに、胸が小さい。その為カタツムリ巫女のもう一つの栄達の道であるところの、黒甲枝に見初められて奥方に迎えられる、という道がほぼ無い、という哀しい身の上。カタツムリ神が象徴する意味も、”隆起・隆盛”で有る為に、この道ではほとんど絶望的であったのだが、弥生ちゃんという胸の大きさにはまったく関係の無い主を迎えて、大活躍する事になる。”ファンファメラ”という名は、”薄衣のカーテン”を意味し、カタツムリ巫女としてはありふれた名前。20歳。
弥生ちゃんの地球での友達、「石橋じゅえる」とかなり似ている。性格はもっとよく似ている。

エィムール 蝉蛾巫女。東金雷蜒王国独立寇掠部隊「シンクリュアラ・ディジマンディ」に風を読むナビゲーターとして参加。上将であるヌトヴィア王ハルマイの愛人となる。髪は短く少年のような容姿だが24歳。

フィミルティ 蝉蛾巫女。ガムリハンにて、ティンブットが急遽毒地行きから脱落したので代わりに探して来た腕っこきの巫女で歌も上手い。栗色のさらさらした短髪で、強度の近視で視力がほとんど無いのだが、弥生ちゃんがメドルイに頼んで眼鏡を作ってみると、まるで聖ちゃんそっくりになった。毒舌。21歳。毒地からずっと弥生ちゃんに従い、ついには弥生ちゃんの宮廷でも重要視される役回りとなる。

ッイルベス トカゲ巫女。偽弥生ちゃん。ガムリ点近辺のトカゲ神殿で修業中の若い巫女。ティンブットがプレビュー版青晶蜥神救世主を伴って東金雷蜒王国内を巡った際に、偽弥生ちゃんとしてイヌコマに乗って、弥生ちゃんの名代を務めた。青晶蜥神の神威が宿る剣で人々を癒して回り、自身も崇められるハメに陥るが、デュータム点において刺客に遭い死亡。墓には「初代ガモウヤヨイチャン名代」と刻まれ、生前に用いた神剣がそのままにかざされて後々までも人々の参拝は絶えなかった。

ギジジットゲジゲジ神官長次席代理 ゲジゲジ神官。ギジジットにて第三位と認められた者で、主に神官戦士を率いて神聖首都の風紀と施設維持を担当していた。弥生ちゃんが王姉妹を金雷蜒神と置き去りにする試練を与えた際には、弥生ちゃんの指示に従って王姉妹を見守り続けた。その後、弥生ちゃんのウラタンギジト行きにも同行する。高位神官だから学識にも優れ、道中なにかと重宝する。ゲルワンクラッタ村における「女達の密議」において、書記を務め、彼の記録文書は後々までも宝物とされた。
「ジャガジァーハン・ジャバラハン」という名前が付いた。大神官。40歳前半で、ゲルワンクラッタ村における「女達の密議」の書記を務め、その記録を保管し40年後に死ぬまで公開しなかった。いやおうなく伝説上の人物のひとりになってしまった。
彼は弥生ちゃんの指示に基づき方台で初めて「シャンプー&リンス」の製造に成功する。この功を弥生ちゃんは認め、褐甲角王国内では禁じられていたゲジゲジ神殿の独立を回復すると約束してくれる。
続いて彼は、東金雷蜒王国神聖王の行幸を迎える大役を任せられた。

トバァリャ神官長 タコ神官。タコリティにおける最高神官で大神官位。タコリティは元々紅曙蛸巫女王ッタ・コップの庭という名を持つ都市であるから、タコ神官も上位の者が当てられる。五代テュラクラフが発掘された後は警備の行き届いたフィギマス・ィレオの館を借りて神像を守って来た。円湾に都が移った後も神官長を務め、新生紅曙蛸王国6代テュクラッポ・ッタ・コアキの戴冠式で冠を捧げた。

クワンパ カニ巫女。カニ神殿より追捕師レメコフ誉マキアリィと共に、カタツムリ巫女ファンファネラの復讐を果たす為にヒィキタイタンを負う。東金雷蜒王国からの難民出身者で、前は不良少女。褐甲角王国の難民政策にはまったく失望しており、マキアリィによくそれを教えた。

メウマサク神官長 トカゲ神官。デュータム点における最高神官で大神官位。名医の誉れ高く、エイタンカプトでメグリアル劫アランサ王女を救ったとして知られる。若い頃から才気走り、自らがトカゲ神救世主となると高言し、督促派行徒と間違えられて警邏に拘束された事がある。妻は既に死に、双子の娘に獣人の処方を与えて毒を全身に帯びた人間凶器として蒲生弥生ちゃんの暗殺を画策、失敗して刑死する。彼は自ら「救世主教」と呼べる教団を作り、それに基づく神権国家を作ろうと画策していた。

ヨエテ トカゲ神官。デュータム点のメウマサク神官長の秘書の役をしていたが、陰謀には関っていない。

聖山法神官たち 神官の最高位にある12人の神官。神通翁92歳、タコ・ネズミ法神官80代、トカゲ法神官70代だが弥生ちゃんの元に身分を棄てて飛んでいき現在は50代、他の法神官50代。厳しい聖山の環境に住む神官巫女は大体50歳くらいが寿命。

アルカンカラ コウモリ巫女。神聴伎の能を持ち、聖山大洞窟内部に巣食うゲキの声を聞き、神官達にその意を伝えて来た。彼女の居たここ60年ほどの間にゲキとそれが伝える天河の計画についての理解は非常に進み、聖山最大の功労者とさえ呼ばれ称えられる。しかしながら彼女自身は名利を求めず、一介の巫女として方台をさ迷って過ごし、ほとんど乞食のような姿で生涯を通した。96歳くらいで聖山で死亡。その直前に、彼女を継ぐべき神聴伎の少年アーリィカを連れて来て、ゲキ研究を継がせた、神官組織にとってはあまりにも有り難い存在。だが、その真の姿は本当のアルカンカラの影武者。真のアルカンカラはかってゴヴァラバウト頭数姉と呼ばれ、今は人喰い教にあっては「白の母」と呼ばれる神人の能力を身に着けた女性である。アルカンカラはかってギジシップ島の王城にあって彼女の侍女を務めた者で、90年近くも仕え続けた事になる。彼女の許しを得て、務めを終えた。

アーリィカ 神聴伎。6歳。元は普通の家に生まれた男の子であるが、実は「反面妖」と呼ばれる両性具有者である。方台の習慣ではこういう子は隠して育てる事になっているので、人を余り知らない。母親が無くなった後に寂しく暮して居たところを「白の母」に見いだされ、聖山に迎えられる事になる。外に余り出た事が無かった為に人見知りもしない、警戒心も無い性格。以後聖山において修行を積み重ねて一人前の神聴伎となっていく。アルカンカラが連れて来たことになっている。白の母の事を「カラミチュ」と呼ぶ。

ワクウワァク 神宰官。聖山神聖神殿都市において、運営業務を司る最高責任者。40歳。アルカンカラによって連れて来られた孤児であり、刻苦勉励を重ねて学識を積み重ね、遂には神殿都市の長と呼べるまでの出世を遂げた。ただし、この職は実務に偏り、宗教的権威においては劣位とされ、最高位の神官である法神官、権之神官になる事はできない、行き止まりの職でもある。だが実権は各国の宰相に匹敵するので、一般人にとっての最高の出世とも言える。
実は彼は実の名をハジパイ結トゥーマイダンと言い、ハジパイ王とギィール神族の姫との間に密かに生まれた子。「白の母」の手に引き取られ、聖山で神官として育てられた。白の母を実の母として慕い、彼女の為ならば何でもするように育っている。その一方で、彼女は彼に対して王族の一員としての自覚と野望を植えつけて、方台の歴史を揺るがす人物になるようにと期待している。

メテメテ 神官。ワクウワァクの右手として働く能吏で、おおっぴらに出来ない秘密工作や信者との間の秘密の献金の授受や便宜供与の連絡も彼が行っている。アーリィカ獲得の際には、アルカンカラが本来所属するコウモリ神殿がもたもたするので角を立てないように裏から捜索を行い、聖山に連れて来た。

ジムシ スガッタ教武装僧侶。30歳半ばに見えるが実は29歳。痩身で、手足の筋肉が修行により筋張って枯れ枝のように見えるが、かなり力は強い。無論武術の達人で特に岩山をよじ登ったり岩を砕いたりするのが得意。頭髪は無く、頭にネズミ文字の刺青が彫ってある。全身に自ら修行の為に着けた無数の傷痕がある。師ラゴロクの教えにより、幽霊が見える能力を身に着けたと言う。

ラゴロク師 スガッタ教高位僧侶。ジムシの師匠。スガッタ僧侶の中では開明的で、密教的な他の高位僧侶と異なり民間や神族、金翅幹家元老員ともよく対話して哲学的思想の追求と講義を行う。ただしスガッタ教の教義については触れない事を自ら定めており、それが故に信頼も高い。彼の古い弟子に、「スガッタアレス(女性のスガッタ僧侶の意味で、存在し得ないものの代名詞)」と呼ばれたゴヴァラバウト頭数姉こと現在の「白の母」が有る。
 創始歴5000年頃、密かにカプタニア山の神衛士団長カンヴィタル鮮パァヴァトンの招きを受けて講義をしていたが、その従者が何者かに金で誘惑され、神聖神殿で厳重に保管されて居たはずの聖遺物(聖蟲の幼生の屍骸)を盗み出す事件を起こす。この際、子弟の縁から協力した「白の母」により聖遺物の回収には成功する。

パグポーエン師 スガッタ教高位僧侶、歴史学者。ハジパイ王の後援を受けて、主に紅曙蛸巫女王国後期テュラクラフ失踪後の小王達の時代を専門に調査し、その成果を歴史小説としてハジパイ王の元に届けている。ただしこの時代は人気が無い為に、ハジパイ王からの資金で各地の蜘蛛神殿に写本が広められているにも関らず読まれる事は稀だ。

エローア 蝉蛾巫女。22歳。バガラ・ファンネムの市場でイルドラ姫らに購われた。寇掠軍に従うのは今回で4度目。ちょっとふくよかだが歌も風を読む能力も確か。気が利き普通の奉仕も出来る。ボーッとした夢見がちなのが多い蝉蛾巫女の基準から少し外れている。軽い霊媒体質でもあるが、蝉蛾巫女はその能力は求めておらず、むしろ精霊に冒されない心理的防御の手段を教育する。

ガニメランバン 人食い教『貪婪』において斧頭手という役職をもらった隊長。50歳、ギィール神族に迫る巨体の持ち主で禿頭、魁偉な容貌、日に焼け、首から真っ赤に塗った髑髏を下げて居る。「白の母」と呼ばれる人喰い教団の中心人物に深く傾倒し、彼女の為に組織の全てを奉げようと、彼女が集めた捨て子による私兵団を率いている。彼女が最初期に拾った子供でもある。

フェリアクア:カタツムリ巫女、ギジシップ神聖宮にて頭之侍女を務める。30代初めの清々しい感じの美女でカタツムリ巫女としては典型と呼べる最高の人材。もちろん胸も大きい。赤甲梢神聖宮突入の際には赤甲梢頭領シガハン・ルペ他の案内をした。

シンチュルメ平神官 男性77歳。トカゲ最高神官にして法神官であり、トカゲ神殿の最高権威。しかしながら弥生ちゃんの方台降臨の報を聞き、すべてを投げ打って下界に降り、その足元に平伏して只の一神官として仕える事を望み、受理された。現在は弥生ちゃんの隊列に従うヒラのトカゲ神官として、方台各地より集まる病に苦しむ人々を弥生ちゃんの指示に従って救う事を無上の喜びとする。とはいえ、人望厚い彼のところにはすべてのトカゲ神官巫女から様々な相談が持ち込まれて否応なく指導力を発揮せざるを得ない。ボウダンでの三神救世主会合に従っていたが、直後コウモリ神人との戦闘で弥生ちゃんが失踪したことに大きく衝撃を受けて、寝込む。

【狗番 武人 神官戦士】

ヤヨア クワァット軍凌士長。ノゲ・ベイスラで黒甲枝の指揮の下、一般兵を預かる下士官。30歳で実戦経験も豊富。

ミィガン サガジ伯メドルイの狗番。弥生ちゃんを襲って来た人喰い教徒との戦いで瀕死の重傷を負うが、弥生ちゃんの奇跡のハリセンで、サイボーグ手術にも匹敵する大施術で復活する。その際一緒に殺された異母姉の臓器も移植された。弥生ちゃんのギジジット行きに参加した後、大審判戦争前にメドルイの下に戻る。

ファイガル キルストル姫アィイーガの狗番。長巻に似た長刀の使い手。19才。

ガシュム キルストル姫アィイーガの狗番。双刀・二刀流の使い手。ガシュムの方がアィイーガより年上で23才。

チュバクのキリメ ギジジットの暗殺部隊「ジー・ッカ」に所属していた暗殺者。弥生ちゃんの要望により随員となる事を要請されたが、とんでもない頑固者であらゆる説得を受け付けず、遂には弥生ちゃんの前で自殺せねばならぬまでに追い込まれた。結局一度死んでハリセンの威力でむりやり蘇らされ、戸籍上は死人となって弥生ちゃんの供をする事になる。年齢40歳、極めて普通のおじさんの容貌でとても暗殺者には見えないが、技術知識実績共に優秀。ネズミ族出身。

ハキルのガァメリ:ギジジット王姉妹に仕える暗殺組織「ジー・ッカ」の一員で烽火台の管理責任者。弥生ちゃんの指示により、光伝信で効率的な信号伝達を行う大役を見事に果たした。
弥生ちゃんの方台離脱後もこの役を着実に果し、青晶蜥神救世主と金雷蜒神聖王の為に方台全土の情報を供給し続けた。

シュシュバランタ 奴隷。軍旗を掲げる専門バンドの出身で、ギジジットにて弥生ちゃんの王旗である「ぴるまるれれこ旗」の旗手に、てきとーに選ばれた。以後、むりやり弥生ちゃんに随行する事になる。身長190センチで肥満質の巨漢。24歳。

デェヨルニダ 武人、交易警備隊長。独立タコリティでは百人隊という傭兵隊を預かっていた。テュラクラフ女王の目覚めと共に蜂起して、女王を東金雷蜒王国に拉致しようと画策する。タコリティの実力者ゲバーシュラの配下。

メルギス 武人、傭兵隊長。ジューエイム・ユゲルの斡旋により独立タコリティで傭兵隊を指揮する。元はクワアット兵で小剣令であったらしい。ヒィキタイタンとマキアリィの決闘の立会人を務める。

シバーウラフ 武人、傭兵隊長。ジューエイム・ユゲルの斡旋により独立タコリティで傭兵隊を指揮する。元はクワアット兵で小剣令であったらしい。

インバルエ 武人、タコリティ独立軍参謀。元はクワアット軍中剣令・凌士監を務めた。黒甲枝の出身でなくこの位に到達するのは、よほどの逸材。タコリティ独立当初から軍の編成に力を尽し、手駒の少ないヒィキタイタンを助けて来た影の功労者。しかしテュラクラフ女王の覚醒時に正体を現して、女王を拉致しようと反乱を起こす。彼の正体は2500年前に交易警備隊頭取役ギダルマーに滅ぼされた番頭階級の末裔であり、旧紅曙蛸王国を復活させようと女王の独占を企んだ。ドワアッダにより誅される。

マウペケム 武人、禁衛隊隊長。元はクワアット兵小剣令で剣匠令。テュラクラフ女王の座乗する大船を守っていた。

ウエロ 狗番、ギィール神族キシャチャベラ麗チェイエィに仕える。チゲル湯で魚風呂に入れられた。

バロバン 狗番、ギィール神族イルドラ家に仕える4人の狗番の内の最年長。

キアラ 狗番、ギィール神族イルドラ家に仕え、主に丹ベアムを護る。

カラ 狗番、ギィール神族イルドラ家に仕え、主に泰ヒスガバンを護る。

カプリャン 神官戦士。ウラタンギジトにて、弥生ちゃんにゲリラ的美少女野球と厭兵術撥法を倣った10人ずつの神官戦士とクワアット兵の中の一人。弥生ちゃんに最初に投げられた。

サンク・アオン 東金雷蜒王国王師海軍戦艦「寒梭魚」艦長、大剣令。赤ら顔の肥った男であるが、判断力と度胸度量は職責にふさわしいものがある。赤甲梢のギジシップ島への海峡越えで唯一海上での戦闘で阻止しようとした。

カラハチ 従僕。黒甲枝カロアル家に長く勤める。既に老人であり、カロアル家の本宅があるカプタニア城内庭で奥方のカロアル・ガラ讃フィリアムを守って居る。息子はカロアル羅ウシィ兵師監に従いベイスラ県に出向。

デェンガハ家の従僕 男性40歳前半。黒甲枝デェンガハ家に長く仕える従僕。黒甲枝の従僕の典型として頑固さと誠実さ、木訥さを持つ。大審判戦争においては主人の神兵が戦死、後を継ぐべき男子2名も従軍し戦傷を負った為に弥生ちゃんのところに平癒のお札をもらいに行き、ここで見込まれてゲルワンクラッタ村のジンハ守キンガイア小剣令への書状を託された。

ゥアンバード・ルジュ 男性29歳。弥生ちゃんの禁衛隊「神撰組」の初代隊長。元は褐甲角王国シオ県付近に住む武術師範で、門人数名と共に青晶蜥王国建軍準備委員会に参加する。弥生ちゃんが三神救世主会合に向かう道すがらに行った大演習「嵐の四日間」で生き残った8名で、堅実にして忠誠が篤いと見込まれ初代隊長に任じられる。経歴も顔付きもなんとなく「近藤勇」に似ているので、後に弥生ちゃんから「コンドーサン」と呼ばれる事となり、遂には歴代「神撰組」隊長の称号となる。

【官吏・官人】

ジッジルビト請ヴィドド 東金雷蜒王国王宮財務宰領。人頭率を考案施行して、東金雷蜒王国で5万から10万人に上る犠牲者を出した張本人。その間私腹を肥やしていたのだが、それ自体は罪には問われず、禁忌とされるエリクソーに手を出し不老不死を図ったのが露見して、王宮を追われる事となる。金雷蜒王宮の庇護を失った彼は民衆から暗殺される恐怖にさらされ、褐甲角王国に亡命するも、それを知った東金雷蜒王国からの亡命者難民達からも狙われて暴動を引き起こすことになる。

シバ・ネベ 技術者 25歳。褐甲角王国の博士寮という研究機関に属し、城塞建築を専門とする。学匠という最下級の学者ではあるが、王都カプタニアの博士寮に入るのはよほど俊才である。アルエルシィと街で出会い、督促派行徒についての知識を教える。

ワァゲド・エプ 税吏、ノゲ・ベイスラの税務局からカロアル羅ウシィに引き抜かれ、難民移送計画主任主計官となる。若手だが辣腕を知られる。イローエントの税務局に友人が居る。

アウンサの狗飼 デュータム点の焔アウンサの別邸に勤める大狗の飼育番。元は王宮で何代にも渡って犬飼をしていた侍人で、ハジパイ王の名で焔アウンサに対する密偵の役も務めている。劫アランサの女官である斧ロアランの繋ぎ役をするがその時には様々な変装をして近付いている。

ューマツォ弦レッツオ 青晶蜥王国建軍準備委員会に所属し、褐甲角王国ヌケミンドル防衛線に派遣された観戦評論員(観戦武官)。いわゆる「なりそこない」で、神族の家に生まれたが、エリクソーの調合を間違えたとかで身長は2メートルに発育したが、すっかり女性の身体になってしまった男性。28歳くらいの豊麗な女性だが、男性。弥生ちゃんの所から常時連絡が繋がっていて、ギジジットの工作部隊ジーッカが集めた諸情報をヌケミンドルの司令官クルワンパル主席大監に提供する。神族が使う鎧に倣った、銀色の甲冑を用いる。(聖戴していないと黄金を装飾に用いる事が許されない為。)ヌケミンドルの武徳王の大本営にて、元老員ハスカイ家の天幕近くで農婦に化けた金雷蜒軍の間諜を斬り殺す。

【庶人】

ヒッポドス弓レアル 褐甲角王国に住む少女。豪商ヒッポドス貯コグトスの娘。金雷蜒王国の宮廷官僚であった曽祖父が褐甲角王国に脱出して重用され、現在は官を降りているが豪商として大変裕福である。両親はビジネスに関しては凄腕ではあるが穏やかで対立を避ける性格で、その娘である弓レアルは平凡な性格と資質、さほど目を惹くこともない平均的な美人、というぱっとしない令嬢になってしまった。現在で17歳、カブトムシ兵の家系に嫁入りすることが決まっており、ほとんど結婚直前であったが、トカゲ神救世主蒲生弥生ちゃんの登場で時代が激動し、結局婚約者を失うことになる。

ハギット女史 弓レアルの家庭教師、現在で30歳。本名メア・ハギット。語学文学書学経理等を教える。元はヒッポドス商会の会長秘書であったが、博識ではあるが性格がきつくビジネスにはあまり向いていなかった為に、住み込みの家庭教師に回された。幼少の頃からのほほんとしていた弓レアルをしっかりした女性にするのが役目であったが、八年の教育の結果、学識はともかく性格面での矯正は成功しなかった。女性的魅力には乏しいが気力に溢れた、わりと面白い人物。特技はゲジ聖符による巫女占い御札の偽造。
 出身は、黒甲枝の家に代々仕えた従僕の家系であったが、20年ほど前の武徳王崩御に伴う寇掠軍の大挙襲来時において、主家が討ち死にで後継ぎが無く断絶。従軍した父も戦死して家族そっくり市中に放り出される。彼女自身は利発さを認められて蜘蛛神殿において巫女見習いを勤めたが、神殿を後援していたヒッポドス商会の前会長・当主が彼女を見出して引き取り、賢人ギョラン・ギョンギョの下で下働きをしながら学問を修行させて、長じて後には会長秘書を勤めた。が、会長死去、代替わりに伴って彼女の位置付けが変化して、元々女性が経営のトップに影響を与える事に反感を持っていた本店重役達の突き上げにあい、本家において家庭教師を勤めるように配置替えされてしまった。しかし、先代からの言いつけどおりにカプタニア中央政界を観察し続けて、ヒッポドス商会の経営方針に資するように随時予測を上げている。彼女の専門は黒甲枝における閨閥の力関係の分析。だが彼女の資質から、それ以上に政局自体に視点を向けている。

ヒッポドス貯コグトス 弓レアルの父。ヒッポドス商会の会長。祖父は金雷蜒王国の宮廷官僚で、褐甲角王国に脱出したのちは宝飾品絵画鑑定で重用された。父は宰官として20年を勤め、退いて後は糸や布の交易業を始める。貯コグトスはその事業を拡張して中堅どころの富豪として認められるが、褐甲角王国支配層との結びつきを強めようと、娘をカブトムシ兵の軍人家系に嫁入りさせようとする。温厚な人物だが、独創性はあまり無く、また権威権力に弱いところがある。

ヒッポドス悌ティハル 弓レアルの弟。弓レアルと共にハギット女史の教えを受ける。ヒッポドス商会の跡取り。現在で10歳。

トゥマル・アルエルシィ 弓レアルの友人。弓レアルよりはきりっとしたお嬢様。髪は黒い。トゥマル商会は出汁用大ゲルタの発明により巨万の富を得た新興の商人。出汁ゲルタはカツオ節みたいなもので、王宮でも利用されている高級品。トゥマル商会ではより強く褐甲角王宮と結びつきをする為に、一人娘アルエルシィを黒甲枝のどれかに嫁入りさせようと画策している。その為、本店は西岸にあるミアカプティ港なのに本家はわざわざカプタニアに作っており、社交界ともいえる王宮外庭の人達にツテを求めて接近している。が、アルエルシィ本人は覚めた目で激変する世界を見ている。

ジゴット アルエルシィの家の下男。

メショトレ アルエルシィの家の下女。30台前半。

ジンケンシュラ イルドラ朱ベアムの乳母、奴隷。

チゲル湯の婆あ チゲル湯で湯殿の管理をしている婆。元ミミズ巫女で、神族にもへつらわぬ意固地さを見せる。

”薮隠れ”のバゲマゲ 男性40歳程度。ボウダン街道を長年荒らし回った凶賊。殺人も厭わない。10数名の手下を用いて街道を行き来する隊列を襲い、巡邏に追われると聖山の森に隠れて逃れてきた。大審判戦争後の両王国和平会談に向けて弥生ちゃんがゲルワンクラッタ村に神聖王受入れ準備を進めた際、移送中の財宝を強奪しようと試みるも、警備の者の言により深く会心する。しかし準備を手伝おうとしても自らの手が汚れて罪を購い得ないと考え、ゲルワンクラッタ村の守護に自首してきた。後に滞在中の神聖王ゲバチューラウのゲイルの贄となる。

【民間の実力者】

フィギマス・ィレオ タコリティ最大の実力者であり、紅曙蛸神殿の仮宮として本宅を提供する紅曙蛸信者。テュラクラフの神像を自宅で保護することで、タコリティにおける発言力が不動のものとして第一人者の地位を占め、弥生ちゃんが借金のカタに作った青晶蜥神の神威を宿した刀を我が物とした。

マグレリアント タコリティの実力者の一人。タコリティに向かう弥生ちゃんに、タコ石採掘の坑夫を移送中だった警備兵をいじめられる。その補償として、青晶蜥神の神威が宿った世にも珍しい宝である刀をもらったが、それは特別な意味があるものとしてタコリティの実力者達の間で議論の的となり、無用の対立を避ける為に”自発的に”最大の実力者であるフィギマス・ィレオに譲ることで決着を見た。が、その見返りとして、タコリティ新生紅曙蛸王国における廷臣第一号と呼ばれることになり、損はしていない。

ドワアッダ タコリティの武器商人。褐甲角王国に追われるソグヴィタル範ヒィキタイタンを匿っていた。救世主蒲生弥生降臨の時、弥生ちゃんがこの店に訪れて剣を買い、ヒィキタイタンと知り合う。彼は、ヒィキタイタンがカプタニア王宮に居た頃、東金雷蜒王国産の名剣を購うのに協力し、また市中にお忍びで出かけるのにも手引きをした。その繋がりで逃亡するヒィキタイタンをタコリティに迎え入れ匿った。 

ジューエイム・ユゲル 金融業者。十二神方台系における最初の銀行家と考える。彼は複利式に利息が増えていく計算方法を発明し悪魔と呼ばれている。単に金を貸すだけではなく、他から資金を集めて自ら事業家に貸しつけ、その事業の成功に人材や取引先の斡旋も行う。しかし利益を上げる為に間者を使って事業主の人間関係を破壊すると、裏社会の顔役達が集う無法都市タコリティでも忌み嫌われている。

ゲバシューラ タコリティの実力者でフィギマス・ィレオに取って代わろうとする。東金雷蜒王国との繋がりが深く、彼等の後押しで独立タコリティの支配権を握ろうとする。

ハゲダ某 褐甲角王国メダマンマル市の市民議会の参政。ハジパイ王への面会をカブトムシ巫女クワァンクァンに抜かされた。

ガマック イローエント近辺の難民を支配する大人。本来は神聖王宮に務める伝奏バンドの出身だが、宮女に手を出して逐電、難民を管理する役職としてイローエントに在る。頭も良く礼儀も完全で、ちょっとした大臣クラスの格式がある。イローエントの三人の大人の長としても見られて居て、イローエント衛視局から難民に対する法執行までも任されている。

モリアエール イローエント近辺の難民を支配する大人。ただの難民の出身ではあるが難民をタコ化石鉱山に斡旋する業で実力を着けて、イローエント第二位にまでのし上がった。侠客と考えるとよく、困窮の淵にある難民を私財を投じて救う事もあり、人望が篤い。交易警備隊も彼の元に集まり、武力的な面に関しては彼が一人者。

ゲロン イローエント近辺の難民を支配する大人。書記バンド出身者で番頭階級の末裔を自称する。金銭と物資輸送に関しては彼が牛耳っているが、金貸しもするので評判は悪い。

ギョラン・ギョンギョ 賢人。48歳。カプタニアにおける民間の教育者としてはトップクラスの実力を知られる政治学・国際学の権威で、ヒッポドス商会の後援を受けて、官吏税吏となる者の為の受験教育を行っている。また黒甲枝が衛視や官僚の資格を取る際の学問の教授も行っており、王族や元老員から国家運営における助言を求められる事もある。
 頭脳に関しては上記のように<申し分の無い人材であるが、酒に汚くまた酒代にヒッポドス商会から提供された書物を質にいれてしまう癖がある。少女時代のハギット女史が彼の学堂で下女を務め、物理的強制力を用いてまっとうな生活を送らせて居た。

デュータム点の重役達:デュータム点は弥生ちゃんの活動の拠点となり、また救世主として正式にお披露目をした街である。よってデュータム点の経済界ではこのまま青晶蜥王国の王都として街を選んでもらおうと様々に画策する。弥生ちゃんには莫大な献金を行い、救いを求めてやって来る信者の便宜を図り、建軍準備委員会の滞在にも資金を供給した。
その後紆余曲折はあったものの、弥生ちゃんにより色好い返事を聞かされてどんどん資金を突っ込んでいき、遂にはデュータム点近郊にピルマリウム宮殿の建設にこぎつけ、事実上の王都となり万々歳。その後方台の中心の一つとして長く繁栄を続けた。

シュメ・サンパクレ・ア 女性25歳。ガンガランガに本拠地を持つ大富豪。嘉字を持たないが「紅」を号す。「御女(男性は御殿)」の称号を有する。 結婚はしていないが男子5歳名はカマンティバゥールがある。父親は褐甲角王国カンヴィタル王家 鮮パァヴァトン。とある事件で彼と知り合い、「白の母」に仲介されて結ばれる事となる。
 褐甲角社交界においては有名人であり、王族や金翅幹家と深く交友する。メグリアル劫アランサが親征中の武徳王の前に参上する際には財力で支援した。
 しかしながら余りに旧い家系は古の火焔教と抜きがたい関係を持ち、その後継である人食い教「貪婪」の表の顔の一つにもなっている。その為、「貪婪」の現在の覇者である「白の母」に服従せざるを得ない。また豊富な資金を投じて督促派行徒の活動を支援していたりもする。デュータム点で起きた「弥生ちゃん暗殺未遂事件」のメウマサク神官長に獣人育成の処方を提供し、必要な薬剤の入手を手助けしていた。彼女の配下が育成した獣人がキスァブル・メグリアル焔アウンサ暗殺事件で用いられる。
 「サンパクレ」が姓で、元は紅曙蛸巫女王国後期に栄えた「小王」の一人であった。神聖金雷蜒王国成立時いち早く服属した為に身分と財力の保持を許され、そのまま今日まで勢力を保ち続けた希有な家系。金雷蜒王国にあっては神聖王に属する特殊な高位奴隷として廷臣にもなる。「ア」はその印であり他の神族がこれを所有する事を禁ずるもの。古代においては生物から抽出する特殊な染料や薬品を製造して財を為しており、現在も或る種の植物の花から取る香料を一手に抑えている。

【その他】

サグラバンタ 褐甲角王宮元老院に属する大犬で、額に緑金色の聖なるカブトムシを戴く。この聖蟲を通して元老院議長はサグラバンタの居る場所の情報を得ることができるテレイグジスタンスの能力を持ち、市中に視察させて市井の現実を知ることができる。とはいえ、大犬は非常によく目立ち、また侍女や侍従を引き連れての視察であるから、市民はいやがおうでも権力の横暴というものを感じざるをえない。黒カブトムシ兵はともかく、単なる犬にまで聖蟲が付いているということで、反発を一手に引き受けていたと言ってもよい。元老院の市民を無視したやり方に批判的なカブトムシ兵も多く、特にサグラバンタの視察の警備を行う衛視が反発していた。他にも数匹の大犬が居るが、市中の視察以外にも、高貴な人物の処刑を司るという重要な役目を持つ。一時期斧ロァランが世話係をしていた。

アントラバンタ、シュケーイルバンタ ウラタンギジトで弥生ちゃんへの刺客に遣わされた3頭の聖蟲を持つ大狗の内の2頭。ハジパイ王の飼犬で、白寧根の元老員によって操作されていたが、弥生ちゃんの厭兵術突兵抜刀法により3頭は連続で斬り殺される。斧ロアランは王宮の女官をしていた時に見知っていた為に、思わず彼らの名を口走り身元を明らかにしてしまった。大狗は金輪や飾り紐を身体に巻きつけており識別が容易になっている。

ネコ 無尾猫には個性というものが無く、どれをとっても皆同じに見える。これはネコ同士でも同じで、声と喋り方を聞かなければ、なかなか個体識別が出来ない。故に、ネコはどれをとってもネコなのである。

ネコの神 聖山神聖神殿都市に居る、無尾猫の最長老と呼ぶべき老ネコ、100歳に近い。並のネコの倍の大きさがある。このネコの下には方台中のネコからありとあらゆる情報が集中し、聖山の高位神官の問いに答える事で神官達は世界の状況を知る。このネコの言葉は専門の書記が一語も漏らさず書き記し、これを以って方台における歴史編纂の第一資料として用いている。ネコは天河の神の内には無いが、神に近い存在としてこの名を与えられている。

「飛び毛」 カプタニアの弓レアルの下に度々訪れるネコの一匹。背中の毛が一部逆立っているので、他のネコと容易に見分けが付く。主に王国の西側の情報について詳しい。

イル・イケンダ 『真実の救世主の書』主人公。生まれは創始歴4901年、没が30年。彼が救世主として目覚めたのがわずかに7ヶ月で、この書はイル・イケンダの言行録であるが、彼には実在の証拠が見付からないので、架空の人物であるとされる。絶対平和主義者の走り。

クラタンパル 『真実の救世主の書』の登場人物。イル・イケンダを三度裏切ったという。

スバルフ 『真実の救世主の書』の登場人物。イル・イケンダの弟子の中で最も熱血で短気。

【未来の人】

来ハヤハヤ・禾コミンテイタム 第三代トカゲ神救世主教皇。西の果ての暴風の壁を越えたところにある十二神方台系と同様の方形の世界から、蒲生弥生ちゃんの導きでこの地に小舟でやってきた。到来時13歳、浅黒い肌と緑の瞳がエキゾチックな不思議な少女であった。彼女の語る異世界の話は、この世界の秘密を解き明かす上で非常に大きな助けとなった。額に戴くトカゲ神聖蟲はムービンテイル。33歳で第三代に就任後、第四代となるべき皇主として春ミスカモゥネにムービンテイルを譲る。以降25年教皇を務める。彼女は在任中まったく歳を取らず、まるで20歳前のような容姿を保ち、第四代に譲位した時は春ミスカモゥネの方が年上に見えた。上皇位も20年後には譲り、なお88歳まで生きたが、髪こそ白くなったがやはり20代後半のように見えたという。初代蒲生弥生ちゃんからハリセンを譲り受けただけあって、弥生ちゃんに次ぐハリセンの使い手として知られ、「サイボーグ手術」と弥生ちゃんが呼んだ奇跡的手術を何度も起こしたという。容姿が若かった為か華やかに愛人を何人も作ったが、どうも周囲の人間が騒ぐのが面白いという程度の、ほとんど清い関係だったと伝わる。

ピルマルレレコ・セイヤ春ミスカモゥネ 第四代トカゲ神救世主。元ゲジゲジ神族の父を持つカベチョロバレイ生まれの少女で、その生誕が禾コミンテイタムの予言によって示唆された通りの場所で確認された。「ピルマルレレコ」は初代蒲生弥生ちゃんの左胸に刺繍されていた文様で、青い髪と黄色い二本の角を持ち銀色の円盤に乗って宇宙から”地球”に降り立った神の姿、だと説明されたありがたい図形。予言によって生まれながらの教皇として定められた彼女には、聖なる命の証しとしてこの名が捧げられた。

カマランティ・清ドーシャ 第13代トカゲ神救世主、教皇。十二神創始歴5555年、世情の不安を憂慮して自らの身を聖なるハリセンの魔法炎で焼く捨身祈祷を行い、初代蒲生弥生ちゃんの再降臨を実現する。捨身祈祷は神聖神殿都市に長く伝わってきた祈祷であり、燃え盛る炎の中で自らの身を焼くという死を前提とした儀式であるが、もちろんカマランティ清ドーシャは死ななかった。再降臨した蒲生弥生ちゃんはすこぶる御機嫌斜めであったが、その祈祷の必死さを認めて再びこの世界の為に尽力してくれる事を約束して、全土を視察、神聖神殿都市の大洞窟で十二神と直接交渉を行い、異世界のトンネルを使って他の領域との行き来を限定的に認めさせた。この功績によりカマランティ清ドーシャは初代蒲生弥生ちゃんに次ぐとまで称えられたが、その後、外界の情報が蓄積され他の世界の侵略の可能性が取りざたされるようになると、彼女の名は忘れられた。

モッテケイ:軍学者、6100年頃の人物。それまでの戦史を当時の社会的風潮に惑わされない冷静客観的に見つめた研究書を著し、青晶蜥神時代の軍事的発展の歴史を肯定的に評価した。特に聖蟲衰退以前の戦史を否定しようとする勢力に強く抵抗し、学会に一派を構える。ただしガモウヤヨイチャンの実在には疑念を持っている。

ガッパーイネガ:5304〜5352年。東金雷蜒神聖王。東金雷蜒王位継承戦争において電撃戦を敢行し即位せんと試みるも、作戦が事前に漏れており迎撃されて捕虜となり、5328年から5338年までを牢獄で過ごす。後に推戴されて王位に就くものの、期待された聖蟲の繁殖の立て直しには失敗し、ギジジットにその機能を移譲する事となる。

カンヴィタル渠ムネアリゥ:6247〜6311年。歴史上最後の聖戴者。黒甲枝サイノヴェ侯であり、カンヴィタル宗家に最後の聖戴者として武徳王の位を譲られた。サイノヴェ家の聖蟲は繁殖に成功した最後の聖蟲であり最も若いものであった為に、彼がその最後の任を果たす事となる。しかしながら当時の世相は神秘的なものを排除する精神健全化運動の影響が強く残っており、彼の存在は民衆から厳重に隔離されて居た。しかしながらその噂は世間に漏れ出し、強権的な方台統一政府への対抗勢力のシンボルとしても機能する。彼自身は政治運動に携わる事を禁じられていた為にほとんど事績と呼べるものが残っていないが、聖蟲について書き残した自伝を著し、後の世に聖蟲の実在を伝えている。

サイノヴェ家:黒甲枝。但し褐甲角王国時代には存在せず、黒甲枝諸侯国時代に複数の家系が統合していき成立する。歴史上最後の聖戴者としてカンヴィタル渠ムネアリゥを出している。

【異世界の人】

祐木聖 門代高校における弥生ちゃんの友人、ゲリラ的美少女野球団「WENDYS」の隊士。背が弥生ちゃんよりも低く145cm、くりくりの髪にぐるぐる眼鏡の無口な女の子。運動神経が鈍いが、WENDYSにおける特訓によりクリア。暑いとオーバーヒートで気絶する。人には聞こえないほどの小声で毒舌を吐くために、仲間内では「悪党」で通る。独唱の達人で、悪魔の声と呼ばれる美声を発する。CDも出した!フィミルティにそっくり。

相原志穂美 門代高校における弥生ちゃんの友人、ゲリラ的美少女野球団「WENDYS」の隊士。身長169cmのスリムな身体で中学校時代は陸上部と身体的能力に優れる。現在は書道部に所属するが、すさまじい悪筆。傍若無人で常人は近づくのも恐ろしがる、全身から鬼気迫る生きた祟り神のような人で、特技は呪いと呪い返し、憑き物を落すこと。ただし特定の宗教宗派にはまったく関係無く超然としている。時々宗教関係者がふらふらと吸い寄せられて来るが、あまりの恐ろしさに飛んで逃げて行く。かなりいいかげんな性格で、身奇麗ではあるものの手元になにも置かないから奇麗という、ものぐさな人。WENDYSにおいては前衛という正面から敵を引き受けるパートを担当、凄まじい戦闘力を持つ。得意は長物で、友人のしるくから借りた木製の演武用薙刀を使う。ゲジゲジ神によって操られ、弥生ちゃんを校内で襲撃、そのショックで弥生ちゃんは十二神方台系に飛ばされる。その後、自分を操ろうとした金雷蜒王族王姉妹を霊力の逆襲でぶち殺した。

衣川うゐ 門代高校における弥生ちゃんの友人、ゲリラ的美少女野球団「WENDYS」の隊士。通称「しるく」。身長163cmで衣服の上から見てはわかりづらいが筋肉質の締まった体つき。ふわふわした髪質で天然にウエーブの掛かるロング。ロシア人貴族の血が8分の1混じっている為に、色がとても白い。門代地区近辺を治めていた衣川家のお姫様でとてもお金持ちだが、本人はふんわかと人を包みこむ優しい性格で誰からも好かれる。家伝の剣術を極めるべく日夜稽古に励んでいるが、学校では剣道部に所属するものの太刀筋が違い過ぎるのであまり竹刀稽古は得意ではない。弥生ちゃんが十二神方台系で使う剣術は、彼女の太刀筋を見学したものを詳細忠実に覚えていて、それをそのままに再現している。
メグリアル劫アランサにそっくり。なぜか彼女の夢の中に現われて病気を癒してくれた。

八段まゆ子 門代高校における弥生ちゃんの友人、ゲリラ的美少女野球団「WENDYS」の隊士。身長168cmバスト88のかなりイイ身体の持ち主。髪が真っ黒で重たい。マッド・サイエンティストの気があり、WENDYSにおいて種々の装備を発明する。弥生ちゃんの知恵袋。性格はわりとまともで戦闘的ではないが、知に働いて墓穴を掘る。理数系科目が得意。弥生ちゃんは彼女の影響から、十二神方台系における数々の神秘を科学的に理解することを努め、核心に迫る。

山中明美 門代高校における弥生ちゃんの友人、ゲリラ的美少女野球団「WENDYS」の隊士。身長155cm。可愛いといっても差支えないが美人ではない。ちょっとやつれた貧乏くさい感じがする。とても運が悪く、学校でも私生活でも酷い目にあってばかりいる。しかし、ウエンディズの隊士として訓練を積んだ結果、自力で危機を回避できるようになった。弟が二人居る。二年生に、姓名姿形ともまったく同じの赤の他人の「二号」が居て、彼女はオリジナル一号よりも1.3倍ほど出来がいい。よって次期ウエンディズきゃぷてんとして弥生ちゃんに仕込まれている。この間、三号が一年生の中から発見された。弥生ちゃんが北方針葉樹林帯に飛ばされた際に、神様が明美の姿で現われる。この姿は、神様の現状を表現する姿であり、神様達は十二神方台系の人間をどうするべきか、途方に暮れているのだ。

石橋じゅえる 門代高校における弥生ちゃんの友人。門代高校三年生の中で最強の美人と呼ばれるが、非常に口が悪い。ちなみに門代高校の美少女コンテストは極めていい加減な選出過程を持ち、支持を集めるというよりも只者でない人間が選ばれる傾向が強い。最有力馬であった弥生ちゃんをも退けてこの座を獲得した彼女の性格の悪さが際立つ。趣味はやおい小説を書く事でしかもSM、これにより女子票を根こそぎ掠っていったと言われる。単独では小市民を絵に描いたようなドケチだが、まゆ子とコンビを組むと凄まじい悪となる。ウエンディズ会計。十二神方台系においては弥生ちゃんの秘書役を務めるファンファメラにかなり似ている。

シャクティ・ラジャーニ 門代高校における弥生ちゃんの後輩で二年生。ウエンディズ隊士。インド人美少女。生まれは公海上の船の中らしい。父親が経営する創作インド料理店が次々とフランチャイズ店を作っていくのに合わせて主に近畿地方を点々と引っ越しし続け、突然門代地区にやってきた。どうもフランチャイズというのは嘘らしいが気にしない。在留資格がほんとうにあるのか不明。国籍は一応インドだが、たぶん成人後には日本に帰化すると思われる。性格は温厚で冗談が上手く、誰からも愛される。反面いい子過ぎて無理をするところがあり、そこを弥生ちゃんに見抜かれて矯正の為にウエンディズに半ば強引に勧誘されて加入した。成績は上位、特に日本語の国語と漢文古典、日本史が得意。逆に英語は苦手で数学は普通。「お前はほんとうにインド人か」、とよく言われてしまう。弟二人に妹一人。制服の胸にタイガースのワッペンが貼ってある。十二神方台系では第三代青晶蜥神救世主来ハヤハヤ・禾コミンテイタムにそっくり。十二神方台系での救世主業を済ませた弥生ちゃんが十六神星方臺というところで再び救世主になった際に人材発掘して舟に乗ってやってきた。

大東桐子 門代高校における弥生ちゃんの友人だが、絶えず弥生ちゃんに迷惑を掛けまくる。身長161cm。胸はちょっと薄い。乱暴者で手裏剣の稽古をそこら中でやっていて、つねに先生に怒られている。とある成金の娘で、かっては母親と二人でマンションに住んでいたが、今はそこで一人暮らし。弥生ちゃん達が強襲して掃除洗濯をさせている。成績は悪いが停学以外ではちゃんと学校に来る。美形というよりも、インテリの優男が好物で年上とよく付き合っているが、なぜか長続きしない。キスァブル・メグリアル焔アウンサと男の嗜好がよく似ていて弥生ちゃんはげんなりする。

 

 

 

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