「前回までのあらすじ。 絶対の守護者GEKIを得た地球人類は、そのパイロット達を各国で分担して確保し血統を伝える事で地上に留め置こうとする。 だが彼らの前に立ち塞がるのは、旧来の支配者勢力だった。」 「中国代表は今回出席しないのか?」 「歴史ではそういう事になっているのか。」 ポイントXP-02、硫黄島南200キロの海上に浮かぶ人工島が彼らNWOの拠点である。この島自体がミス・シャクティにより提供されたもので不可視のバリアに覆われ、現在の人類科学では所在を発見する事さえ出来ない。 「我らが60年待った機会がようやくに訪れたのだ、一刻の遅滞も許されない。脱落する者は置いていくべきだ。」 円卓に並ぶ彼らの中心の空中に、立体映像で5人のGEKIパイロットの姿が浮かぶ。この部屋に用意された情報機器は現在のそれよりも50年は進んでいるが、50年前から提供されており彼らは新しさを感じない。 「5人全てが女性というのは予想外だった。」 「では計画通りに、彼女達を保護する分担国を定めよう。これは1000年に及ぶ人類の支配者を決定するに等しい選択だ。」 ミス・シャクティが示唆するところでは、ゲキロボの操縦因子を持つ者が世界の指導者となり、NWOの枠組を通じて人類社会を支配する。いや、人類社会を指導する支配者層が、GEKIパイロットの因子を取り込むのだ。 当然の権利として、まず日本国総理大臣が発言する。GEKIパイロットは全て日本人であるから、彼が特権的に振る舞う事を各国も許さざるを得ない。 「物辺優子、彼女はゲキロボット再生の要であり古くからゲキに関り続けてきた特殊な家系の出身者だ。彼女の子孫が日本に有り続けるのはプロジェクト推進の根幹を為すと考えますが、如何に。」 黒髪が長くゆらめく物辺優子の立体写真が、一枚だけ横にずらされる。残りは4名。 「我が国がGEKIパイロットを1名保護するのは、国力から言って当然であろう。他国との共有は望まない。」 「YOSHIKO・HATOYASU、彼女は我が国に留学した経験がある。そうなるように定められていたのだろう。」 |