喜味子「前回までのあらすじ。
 ゲキロボの威力は絶大にして、対宇宙人戦闘では無敵の連勝を繰り広げる。
 しかしながら、人の手に委ねられない機能が更に幾つも隠されていた。」

というわけで、サポートセンターに連絡している喜味子を、箱パックジュースを飲みながら4人は見つめ続ける。
 超能力の目を切って見ると、右に手をやって傾げながら独り言を呟く児玉喜味子はしごくバカみたいだ。

喜味子「はいはい分かりました。
 あー、やっぱゲキロボにはタイムマシン機能があるって。」
鳩保「やっぱ!」
優子「だから最初から有るって言ったじゃない。」

喜味子「単に過去未来に行くだけでなく、事象の改変や複数次元のジャンプ、時間の編集や希望する事象の発生までもコントロールできるんだよ。」
花憐「でたらめね。」
童「神様だ。」

 最初から分かっていたが、ゲキロボは神様級のパフォーマンスを持っている。宇宙人が地球に大挙して押し寄せるのも、これを求めての事なのだ。

喜味子「だが残念ながら時間へのアクセス機能はすべて凍結されている。理由は簡単、わたしたちが時間を制御するだけの脳味噌持って無いからだね。」
鳩保「そりゃあそうか。好き勝手放題時間を書き換えたら、収拾つかないもんね。」
花憐「人間に与えられた知性では、ゲキロボは本来動かせないのよ。」

 喜味子はここで口篭る。自分達にとって非常に嫌な話をしなければならないからだ。

喜味子「えー、というわけで、ゲキロボは時間関連の機能を封印されている。ということは、起きた事象を覆せないってことなんだな。
 私達が宇宙人に負けても時間をひっくり返して勝つ!てわけにはいかない。」
優子「あったりまえのはなし。」
鳩保「ちょっと待て。負けるということはつまり、ゲキロボが破壊されるってことだよね。」
花憐「というか、乗っているわたしたちが死んじゃうってこと?」

喜味子「うん。」
童「うわあ。」
鳩保「死んだら生き返れない、ってことだよね。」
優子「死後の世界になら、私の電話繋がってるけどさ。」

 物辺優子の超能力電話は、どこか得体の知れない異次元の存在との会話だ。同じゲキロボパイロットでありながらも他の4人にはまるで理解出来ない怪しい会話を楽しげに行っている。
 よく話している相手は、34世紀から来たというミス・シャクティなる怪人物。当然この世の人ではあるまい。

花憐「ひょっとしたらゲキロボはこのまま穴掘って埋めちゃった方がいいんじゃない?」
鳩保「そりゃそれでいいけどさ、それじゃあ花憐、あんたひっきりなしに掛って来る宇宙人情報ほったらかしでいいわけ?」
花憐「あーーーー、そうだった!」
優子「死なないように手を考えなくちゃね。」

 しかしながら、それなりに強力な宇宙人相手に戦闘をするのだから、万が一とか不意の事態はやはり有り得るのだ。

花憐「そうだ、ゲキロボだけ無人で遠隔操縦するってのはどう?」
喜味子「不可能じゃないけどさあ。」
鳩保「正義のヒロインがそれで許されるわけないでしょ。」
優子「無駄に思えても、逃げちゃダメだよ。」
花憐「うう、逃げたい。」

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