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【魔法甲冑リリカルポエマー・リブート設定第一回】21/04/19

まゆ子「魔法少女りりかるぽえまー、リブート始めるよお。」

釈「え? あれ生きてたんですか?」
じゅえる「とっくにお蔵入りと思っていたんだが、やるのか。」
まゆ子「私だってびっくりだ。だがいいアイデアを思いついてね。

 つまりは「りりかるぽえまー」の根幹を構築する「魔法甲冑「無骸」」だ。
 古代の超兵器で身長7〜10メートルの巨人の骨。肋骨はほとんど無い。
 石斧で頭を叩き割ると精髄というのが出てきて壊れてしぬ。
 これね! ビジュアル的にいいアイデアできたんだよ。」

釈「ふむふむ。」
まゆ子「つまりはこういうのだ!

釈「右手がスプーンになってるんですね。」
じゅえる「左は盾。それはいいとして、他に装甲は無し。肋骨に操縦者が乗っても防御無し。
 なんだこれ死ぬじゃん。」
まゆ子「そこだ。まずはりりかるぽえまーが潰れた後でもずっとこの魔法骸骨ロボは延々と考えられていて、
 その中で操縦者を剥き出し無防備にする、というのは絶対条件として確立していたんだな。
 で今回。右手をスプーンにして投石機に特化させるというアイデアを思いついて、これだと直感した。」

 つまりこのロボは投擲を主兵装とする移動カタパルトに過ぎないんだ。
 白兵戦闘格闘戦はやらない、本質的にそれは向いていない。
 だからやらないという選択肢だ。」

じゅえる「でもコクピットを装甲すればいいんじゃないですか?」
まゆ子「そこだ。これまでは操縦者「奏者」が魔法力を持つ者で、意思を感応させてロボを動かすと考えていた。
 だが今回、奏者はまず動かすロボの部位を見て、どのように動かすかを視線にて伝える事で、
 ロボは奏者の意思を理解して行動するというめんどくさいものとなった。

 つまり右手を見て、どのように動かすかを視線で教えてやると、スプーンに乗せた砲丸を投擲する。
 頭部を見て、目標となる場所を見て、そうすると何処に投擲するべきかをロボは理解する。
 右足を見て、右足を送るべき地面を見て、左足を見て、左足を送るべき地面に見ると、歩く。
 そういうめんどくさい代物だ。」

じゅえる「視線誘導式か。めんどくさすぎる。」
まゆ子「だが理解はしやすい。つまりはこれ重機レベルの操作が必要なんだな。自分で考えて動いてくれない。
 だから視界は良好に開けていなければならないんだ。
 手足が見えないと操縦できない。装甲で塞ぐと見えないんだな。

 というか、奏者が肋骨から降りて、外からロボの顔を見て、こっち来いと指示すると付いてくる、くらいは自律性はある。
 ただ戦闘となると、カタパルトとしての能力しか与えられていない。
 白兵戦闘近接戦はまったく考慮していないんだ。」
釈「なぜですか、というか重機で戦闘はさすがに無理ですかね。」

 

まゆ子「そういうこった。むしろカタパルトとして専任させると非常に便利なんだな。

 30キログラムの鉄丸を距離5キロに投射可能。完全に当時の大砲のレベルを越えている。
 これ以上の威力を出すのは、スプーンが後付の人間が作ったものであるから、耐えきれず壊れてしまうから無しね。
 重いだけなら100キログラムもある石弾を1キロメートルくらいに手加減して投げる事が可能。城壁破壊に便利この上無いのだ。
 さらに言うと、ロボに詳しく標的の場所を指定すれば、確実に同じ場所に何個でも弾をぶつけてくれる。
 めちゃ正確だ。無駄玉が無い。
 そして人間の手で輸送される必要もなく自力で歩いていけるから、野戦のどこにでも進出して投擲攻撃を自由に行える。」

じゅえる「大砲要らねえな。
 それに何処にでも持っていけるというのは大砲発明以来の悲願だから、そこがさくっとクリアされてるのは凄いアドヴァンテージだ。無敵だな。」
釈「でもしょせんは1基だけですよね。野戦で歩兵や騎兵との戦闘は、」
まゆ子「と思うじゃん。
 でもこのスプーン、小さな球を何十個も乗せていっぺんに投擲も出来る。
 それもロボが意図を理解するから、たとえ騎兵のような高速移動目標に対しても追随して攻撃できる。
 いっぺんに何十騎もぶっ殺せるんだな。
 横列になっても、歩兵が横に並んで集中攻撃をかわそうとしても、多数の小石をごっそりスプーンですくって、
 えいっと横に一直線にばらまいて掃射も可能というスグレモノなんだ。
 しかも敵の弓矢の射程距離のはるか外から正確精密に。
 奏者の熟練度により繊細な攻撃が可能となる。」

釈「無敵だ。」
じゅえる「それカタパルトなんてレベルの兵器じゃないな。戦場の神だ。」

まゆ子「これだけの能力破壊力を持つ兵器を、わざわざ白兵戦闘なんかで敵の手に渡してなるものか。
 現状不利なら、敵味方入り混じって投擲攻撃出来なくなれば、歩兵騎兵が食い止めている間に逃げてもらった方がいい。
 そういう兵器なんだ。
 ちなみにロボと奏者のペアリングは無いから、動かせる魔法使いなら誰でもどの機体でも動かせる。
 奪取されると困るよ。」

じゅえる「ふむ、ロボの戦場での位置づけは分かった。
 しかし近接戦に持ち込まれた場合の為に奏者の装甲は必要だろ。」
まゆ子「完全に無防備というわけじゃないよ。
 ただ視界が確保されて機体各部が見れないと操れないからそもそも盾や箱ではダメなんだ。
 せいぜいが投石や弓矢避けの金網くらいだね。それで十分だと思うよ。
 強力な弩や大砲の直撃を奏者に喰らえば普通に死ぬし、ロボは行動不能だけど。いいんじゃないかな。」
釈「まあ、弱点が見え見えというのはいいですよね。
 それにパイロットが直接に命のやりとりをするのは。」
じゅえる「パイロット無防備はたしかにかっこいい。まるで騎士だ。」

まゆ子「そうそう。奏者は甲冑を着るんだ。
 奏者は視線で誘導するんだけど、目だけ動けばいいというものではないからね。
 だから割と身体の自由度の大きな、それでもよくできた甲冑を装着して身を守ってます。
 そのくらいの防備は必要だし許されるよね。」
釈「なるほど、ここで魔法甲冑ですか。」
まゆ子「もちろんただの板金鎧だぞ。魔法力で防御はない。

 ……というか、
 ロボが全身から雷を出して防御力を発揮するのは物語後半の機能ね。
 防御するというよりも、長年土に埋もれて失われた「肉」が雷と共にじんわりと再生する途中の副作用として防御力が発生する。
 完全な復元に至る前に雷は止まるから、復元したところもすぐに蒸散してなくなってしまいますけどね。」

じゅえる「完全に復元して蘇ったらどうなるんだ?」
まゆ子「ロボは自由意思を備えて、人間の言うことを聞かずにどこか逃げてしまいますよ。天界にでも帰るんじゃないですかね。」
釈「つまり、この物語において想定していない状況になるんですね。」

 

     ***** 

まゆ子「で。自由に動く無敵カタパルトがどれだけ凄いか分かってもらえたところで。
 このロボには偉い人は乗れません!」

じゅえる「魔法使いでないとダメなのか。」
釈「そもそもロボの適性ってどうやって見極めるんですか。」
まゆ子「しごく単純なはなし、ロボと目を合わせればいい。
 ロボの頭蓋骨の真ん中に赤い眼があるから、そこを見る。
 適性があればロボの動かし方が分かる、というか自分の考えることをロボが読んでいると理解できる。
 念話能力者であれば、普通にわかる。
 だが適性が無いと、発狂して死ぬ。そりゃあもう酷い死に様だ。」

じゅえる「ああ! 偉い若様はやっちゃいけませんなそれは。」
釈「自分に適性があると確信出来ない者はやらないんですね。偉いだけでは。」
まゆ子「というか、男の魔法使いは乗せません。ロボが拒絶するのではなく政治的な問題です。

 つまりは男の魔法使いというものは、学問を極めて魔導の世界に没頭して真理を探求する生き物であり、
 その過程で力を追い求め、政治権力をも手中に収めようと考える。
 非常に厄介な政治的な存在です。なんとかに刃物状態ですね。」

釈「ははあ、政治問題化しないように、男の魔法使いは排除するんですね。」
まゆ子「そもそも男の魔法使いは皆裕福な貴族の生まれ、と考えて下さい。
 それだけのバックボーンが無いと資金的に勉強は無理なんです。

 一方女の魔法使いは、これが攻殻機動隊ぱくりの由縁なのですが、端女・婢女出身者なのです。
 念話能力者というのは任務上脳を焼かれて死ぬ事も多い、使い捨ての魔法使いです。
 その中からロボに適性のある者を見出して奏者の訓練を施す。
 つまりは身分上は最低レベルの存在で、それこそロボのパーツ的扱いをされます。
 そのくらいが王国の貴族階級の秩序にとって好都合で波風の立たない立ち位置なんですね。」

じゅえる「ふむふむ。だがロボは尊い聖遺物なんじゃないのか?」
まゆ子「そこに教会が出てきます。今回「神塔会」と呼ぶことにしますね。キリスト教のままじゃさすがにアレですから。
 で、「神塔会」の見解であれば、ロボは神の造物ではない。もちろん天使の亡骸などではない。
 魔物の骨、悪魔の軍勢眷属の滅びた姿、という扱いになっています。
 つまりは邪悪ですね。そんなものを使うのは異端者背教者、という扱いです。
 昔は大々的に魔法使いを迫害抹殺してました。火炙りです。」

釈「まあ、教会のやりそうな事ですよね。」
まゆ子「で、そんな時代に現れたのが「大賢者ヤヤチャ」です。
 彼女は頭に青いトカゲを載っけた聖女ですが、ロボに命を与え人間の命令で動くようにします。
 そのやり方は現代に伝わっていませんが、とにかくこれは人間にとって便利な道具として考えられるようになります。

 これに目を付けたのが、当時の世俗権力。
 「神塔会」からの呪縛を逃れるようにロボを入手し魔法使いを保護し、実力を持って宗教権威に対立します。
 なにせ悪魔の力を使えるんだから強気です。
 そして世俗諸侯の庇護の下、魔法使いはその技を極め、科学的に発展させていきます。」

釈「でも教会の権威からよく離脱しようと思いましたね。世俗諸侯。」
まゆ子「坊主の横暴が目に余った、というのが前提としてあるんだけど、
 魔法が確実に機能するところを見てしまうと、これは否定できないんだな。現実にあるんだ。
 だから「神塔会」の教えがなにかおかしい、と考える。
 結論としては、「神塔会」は魔法を私物化して独占しようとしているのではないか?というところに落ち着いた。
 実際そうだったんだけど、それを疑うことすら許さないのが宗教の魔力ってもんだ。

 つまりは大賢者ヤヤチャ様は「神塔会」の陰謀を暴いて世俗権力を解放した、というわけだ。」

じゅえる「しかし、その後も宗教の影響力は根強く残り、ロボは邪悪な魔物の骨という扱いで、
 それを操る者も卑しい身分の者、と定まってしまったんだな。」

 

まゆ子「そこに登場するのが、この物語の最重要キーパーソン「王妃さま」だ。

 彼女はその卑しい念話使いの魔法巫女上がりなんだが、ロボ使いに抜擢されて才能を開花させ、
 やがて美貌を国王に見初められて寵姫ともなり、ついには正式の王妃に上り詰めてしまうというリアルシンデレラだ。
 しかも国王はアホボンであり、愚鈍ではないのだが政治にやる気が無く、
 王妃が代わってなんでもさばいてくれるのを幸いに面白く人生を生きている。
 で、王妃は権臣どもと政治的に渡り合い、国家間の紛争も見事に片付けているのだが、それが面白くない連中は普通に居るわけでね。
 そして王妃がロボを使って大騒動を巻き起こす。てのがこの物語だ。

 もちろん権臣どもは「神塔会」と裏で結託し、国王の地位を奪い取ろうと暗躍する。
 王妃は曲者ではあるが、国王にとってみればこの上もない最上級の伴侶なんだな。」

 

釈「おおむね理解しました。
 ですが、前に書いた「りりかるぽえまー」と若干違いますね?」
まゆ子「違いますよ。前に作った設定をかなり忘れていますからね。印象しか残ってない。」
じゅえる「つまり、リブートか。」

まゆ子「今回考えたのは、この王妃さま大暴れの回のみを小説化してテストパターンにしようって話だ。
 つまりは悪の権臣をぶっ殺して、その息子が率いる軍勢をロボで血祭りにあげる。
 そこに国王の命令で王妃を止めよ、と主人公騎士が命じられて石斧担いで突入。て話。
 だがこの王妃さま、ロボに対する適正が極めて高く、本来は性能的に不向きなはずの近接戦闘で何百人もぶっ殺してるんだ。
 それこそスプーンや左手の盾を振り回して、騎馬ごと両断とか可能にする。
 だから、主人公騎士が石斧でロボの脳天叩き割る以外に止める方法を持たなかった。」

釈「いや、でもなんでそこまで大暴れしますかね、王妃さま。」

まゆ子「一に、自分を陥れようとした権臣を排除する。
 というかそもそも王妃が排除されそうになり、それも国王の勅命を偽造してまでも逮捕しようとするのを実力で粉砕。
 さっくりと権臣ぶっ殺してる。
 ロボの格納庫で、それもロボに乗っていないままにロボを動かし、ぶっ殺すという荒業を使う。

 さらにいうと、主人公騎士に止められ逮捕された後でも、実は国宝陛下におねだりして件の権臣の逮捕状を予め発行していたという用意周到さ。
 これにより勅命の偽造と相まって王妃さまの正統性は完全なものであると天下に証明し、
 権臣の息子の軍勢こそが謀反を企てたと確定して、王妃さまは無罪放免となるのだ。
 とまあそううまくはいかないで、権臣と結託していた「神塔会」が王妃ぶっ殺せとうるさく迫るんだがね。」

じゅえる「二は?」
まゆ子「二に、主人公騎士とその奥方つまり「少佐」のためだ。
 「少佐」はれっきとした諸侯のお姫様だったのだが、その領地から大量のロボが発掘される。
 前の設定だと3千体だったけど、さすがに多すぎるから130体にスケールダウンしました。
 だが展開は同じで、これほど多くのロボを王国が接収する為に、もちろん多数の権臣の思惑が一致して、
 そこの領主であるお父様をぶっ殺して領地ごと接収するという荒業を使ったんだ。
 そしてお姫様であった「少佐」は、念話能力の巫女としてのみ生かされる事になる。

 王妃さまは自身が念話の巫女であったから、「少佐」の境遇に同情して、主人公騎士との結婚を後押ししてくれた。
 悪の権臣をぶっ殺す際にも、ちょうどいいから新しく領地に封じてその身分を戻してやろうと、領主を一人消滅させるという手にでたわけだね。」
じゅえる「それはおまけだな。」

釈「三つめは。」
まゆ子「魔法を滅ぼして、暗躍する「神塔会」を排除したかった。
 つまりは念話の巫女が殺されていくのは魔法が乱用されているからで、その背後には魔法を貶める「神塔会」の存在がある。
 無論魔法が有る限り犠牲者は出続けるわけで、権力有る限りそれは終わらない。
 であれば、魔法自体を滅ぼしてしまおうというわけだ。

 今回の大立ち回りの結果、ロボが白兵戦闘でも凄まじい威力を持つ事が立証された。
 ロボの奏者の適正によっては、これだけの事が出来ると判明した。
 奏者であれば誰でもよいわけではなく、完璧に訓練された熟練の奏者こそがロボの乗り手にふさわしいと各国共に理解する。
 それは最上位の騎士にも相当する権威ある人でなければならない。
 つまりはロボが貶められるのを覆すことで、逆に卑しい身分とされる念話能力巫女がロボに乗らなくてよいようになるのだ。」

じゅえる「でもそれじゃあ魔法は無くならないぞ。」
まゆ子「この世界の魔法はね、「りりかるぽえまー」で設定したんだけど、
 起動していないロボを地面の下に埋めていて、これを魔法の動力として使うから実現できるんだ。魔法力の元だよ。
 で、その影響範囲は1体につき半径数百メートル。
 つまりはロボが埋まっていない土地では魔法は使えない。という不便なものだ。」
釈「ああ、そういう設定だったですね。下にロボが埋まっているかどうかは、魔法が使えるかどうかで分かるんです。」

まゆ子「で、「神塔会」はこのロボの埋設という事実を人間世界の記憶から消してしまおうと考える。
 つまりはなんで魔法が使えるのかを謎として、それを宗教権力の基盤に位置づけようとするものだ。」
じゅえる「つまりは、神秘は謎だからこそ尊いんだな。」

まゆ子「王妃さまはこれを排除しようとするわけだ。
 つまり、ロボの兵器としての有用性を如実に証明する事で、地面に埋めているだけの限定された魔法よりもはるかに実益があると、
 各国領主に印象づける。
 そして「大賢者ヤヤチャ」にのみ可能であった「ロボの起動」が、主人公騎士によって判明した。
 つまりはロボはあるだけ全部兵器になるんだ。
であれば、地面の下のロボを掘り起こして戦線に投入するのが最善の策となる。

 だが主人公騎士が証明したように、ロボはぶっ壊せるのだ石斧で。
 戦場に投入されたロボは、敵味方の激戦で破損し擱座し、ついには脳天割られて髄液が流れ出て死んでいく。失われる運命だ。
 戦争が続けばやがてはロボは全滅する。
 ロボが無ければ魔法も全滅する。そういう策ね。」

釈「つまりはすべて魔法はロボ由来なんですね。」
じゅえる「そこをロボごと排除しようという思惑が、王妃さま大暴れの真相なんだ。」
まゆ子「そして世界はロボ大戦の時代に突入し戦乱にあえぎ苦しみ、主人公騎士による救済を待ち望む。
 そういうお話の展開になるんだな。

 今回のテストぱたーんは、その王妃さま大暴れだけとなります。世界ロボ大戦はそのずっと後。」

 

     ***** 

まゆ子「ところで、ロボ運用上難点が一つある。
 ロボが便利すぎて人間の歩兵が付いていけない。」
じゅえる「足が早いってことか。」
まゆ子「それもあるが、不整地路面でも斜面でも、なんだったらジャンプだって奏者によっては可能だから移動可能領域がめちゃ広いんだな。
 馬や荷車では付いていけない。徒歩の人間だって荷物を抱えていれば追随できない。」
釈「はあ、単独行動になりますね。」

 ここで問題なのだ、弾だ。鉄丸や石弾をどうやって供給するか。また小型の弾や石ころ礫弾をどう確保するか。
 弾が無ければカタパルトの意味がない。

 というわけで、背中に担いでいく事になる。」
じゅえる「うん、まあそうだな。」
まゆ子「だが、背中に弾を担ぐのはいいとして、何十キロいや百キロにもなる弾を女の子の奏者がどうこう出来るはずもない。
 ロボだって、背中に手は回らない。」
釈「手伝いをする人夫が必要ってことですね。」
まゆ子「というわけで、背中に荷台を設置して弾や物資を搭載し、荷降ろしをする人夫の役の兵士を乗せている。」
じゅえる「なかなか楽しい絵柄だな。」

まゆ子「もちろん兵士達は、ロボと眼が合えばしにます。適性あるはずも無いですからね。
 で、頭のすぐ後ろに居なくちゃならないというかなり恐怖体験です。」
じゅえる「一人じゃ足りないだろ、2人くらいかな。」
釈「そうですね。奏者の従者、いや指揮官ですか?」
まゆ子「場合によるな。小隊長クラスの指揮官を乗せて単独行動するくらいは有るんだろう。

 でも基本は部隊と共に行動して、部隊指揮官の指示に従って攻撃するよ。」
釈「ジャンプできる、って言ってましたが、どうやって。」
まゆ子「このロボは顔を見ると「目的地」というものを理解するんだ。
 だから、まず顔を見て、ジャンプすべき場所を見て、左右の足を両方見て、ジャンプを促すとジャンプする。
 5メートルくらいは段差を飛び越えるよ。」
じゅえる「すごいな、なんでもできるんだ。」
まゆ子「まあ、自由意志で動いてくれればもっと色々出来るんだけどね。」

釈「でも5メートルも跳ぶとなると、荷台揺れますね。」
じゅえる「荷崩れするな。兵士も振り落とされるぞ。」
まゆ子「まあねえ。だからジャンプは普通やりませんよ。控えめです。
 崖を世に上りたいと思えば、左手を使いますね。
 ロボは左右の手の指がありません。本来であれば肉が付いていた頃ならば指もあったと思われますが、完全に脱落しています。骨すらありません。
 これが足指なら骨くらいは残ってるんですが、まあ手が無ければ何も出来ませんよ。
 そこで右手はスプーンを括り付け、左手には鋼鉄板の盾を付けてるんですが、盾の裏に鉄の鉤を装備しています。
 これを用いる事で崖をよじ登ったり、綱や鎖を引っ張って牽引が出来るのです。
 もちろん武器としても可能ですが、鋼鉄の盾をぶつければ立木だって斬れますからあまり意味はないね。

 ちなみに鋼鉄板の盾ってのは、厚さ5ミリ1辺1メートルの鉄板が2枚並んでます。
 これほど大きな板は人力では作れない。水車動力で鍛造して成形しています。
 割と最新技術の結晶なんですよ、外装部も。」

じゅえる「それで、荷台にはどのくらい積めるんだ。」
まゆ子「あー、構造上ね、あまり強くは作れないんだよね。鉄で枠組みとかも作れないし。
 だから5トンは無理、てくらいかな。もちろん嵩というのもある。
 30キログラムの鉄丸であれば100個くらいは乗るはずなんだが、残念ながら鉄丸そこまで多いとお値段が高すぎる。
 30キロ鉄丸10個、100キロ石弾5個、対騎兵用小型砲丸・石弾(1キロくらい)が百個、礫弾は樽詰めで同時搭載しない。
 くらいの積載能力かなあ。
 ちなみに火薬を使う焙烙玉や火炎瓶みたいな油壷なんかも投擲可能です。
 特に焼夷弾は都市攻撃でよく効きます。」

じゅえる「結局1トンくらいしか積めないか。」
釈「だって、兵士2名が荷降ろしするんですよ。無理じゃないですか。」
じゅえる「そうだなあ、ただ荷台から落とすというだけでもなあ。」
まゆ子「もちろん飲料水やら食料やらの人間用貨物だって持っていきます。単独行なら。
 ロボ自体は消費する物資は必要ないんだけどね。」
釈「弾が切れたら物資集積場に戻って補給とかは。」
じゅえる「それは可能だろうが、馬車だろ。ちゃんと来てるのか?」
まゆ子「そこはケースバイケースで難しいねえ。
 むしろロボを何往復もさせて現場に集積した方がいいくらいだ。」

釈「ロボ便利すぎ−。」
じゅえる「結局は部隊の指揮官の段取り次第ってことだな。」
まゆ子「兵器なんだからそれでいいんだよ。無敵の魔法ロボと考えるからおかしくなる。
 で、そのおかしいことを王妃さまがやってのけるんだ。」

 

じゅえる「ちなみに白兵戦闘においてはどのくらい強い?」
まゆ子「左手の鉄板で殴られれば立木でも甲冑の騎馬でも両断しますよ。
 右手のスプーンだって、すくい取るように人間を何人も同時に両断できます。パワーが違います。」
じゅえる「そうか、至近距離での狙撃をくらわない限りは無敵なんだ。」
釈「弱点は肋骨の間の奏者唯一。そいうことです。」
まゆ子「そのための左手の盾なんだけどね。だから歩兵に囲まれて弓矢で射られるとかが一番やばいんだが、
 王妃さまは動きが早くて囲まれる事が無い。だから負けようがない。

 この技能を持たない普通の奏者だと殺られるんだな。
 というか普通の女の子なら人間の兵士を踏んづけて逃げるとか出来ない。」
じゅえる「ああ。人の心を持ってたら出来ないってことか。そりゃあそうか。」
釈「つまり普通の女の子の奏者は兵士とか戦士の教育を受けてないんですね。」
まゆ子「だから王妃さまがいかにとんでもないか分かるってもんだ。

 この人も当然に戦士としての教育は一切受けてない。
 ただ奏者としては特別に上手かったので国王様の目に止まり、その美しさからトントン拍子に王妃になった。
 で、王妃さまとしては国王さまに代わって様々な些事をさくさく片付けていき、宮廷での政争を巧みに乗りこなしながら、
 ロボの練習を思う存分やりたい放題やって、ロボの外装もオリジナルで拡張して、
 最強の奏者になったわけだ。」

 

     ***** 

釈「王妃さまってどうしてそんな王妃さまな真似が出来るんですか。政治家としての訓練も教養も無いでしょ。
 というか出自は何なんですか?」
まゆ子「考えてない。だがもちろん魔法さ。これは主人公騎士の嫁である「少佐」には分かる。
 つまり王妃さまは念話の巫女の出身であるが、普通の巫女よりもはるかに熟達した能力を持っている。

 念話はつまりレベルがあって、
  Lv1.魔法の音叉に雷を宿す事が出来る(地中のロボからの出力を受信)
  Lv2.音叉の雷から音を聞き分ける事が出来る
   Lv2B.音叉の雷を増幅できる(別カテゴリー「電気魔法つまりパワー系」に進展)
  Lv3.その音から意味のあるものを聞き分けられる
   Lv3B.音の方向、位置等のデータを読み取れる(探査系魔法で必須技能)
  Lv4.その音が誰かの声であると判別し、言葉を理解できる
   Lv4B.人間の声でなく自然界の事象の予兆を聞き取れる(別のカテゴリーに進展)
   Lv4C.他の念話者に自分の合図(必ずしも言葉ではない)を送ることができる
  Lv5.他人が頭の中で考える言葉を聞き取る事が出来る
   Lv5B.他人の頭の中に自分の声を届ける事が出来る(これでようやく本物の念話術者となれる)
  Lv6.他人が考えているわけではない漠然とした、あるいは別の意図の意識を聞き取る事が出来る
   Lv6B。他人の思考の中に自分の思考を刷り込んでそれを自分の意思と勘違いさせる

 このLv6B.が「少佐」の能力です。
 で、王妃さまは、

   Lv6C.他人の記憶を自在に引き出して知る事が出来る

 これが可能になっているんだ。
 だから王妃さまと対峙する者は何を考えているかどころか、これまでに何を経験してきたか、
 何を学んできたか、読んできたかまで全部筒抜けとなる。

 当然のことながら、ここまでの能力を持っているなんて王妃さまは誰にも教えていない。
 というか、王妃さまはLv6B.の能力は持っていない。
 さらに言うと念話能力者を管理する修道院でも王妃さまがLv6.能力者だとは認識していないのだ。
 つまり王妃さまはLv5.能力者だと登録上はなっている。」

じゅえる「その隠蔽ってばれないのか。」
まゆ子「
 Lv5C.他の念話能力者に自分の脳を読み取らせない

 てのがあって、これが使えるのが腕利きの念話能力者なんだな。
 これが無い巫女は簡単に逆探知されてしまうし、逆侵入を許してしまう。」
釈「おお! 攻殻機動隊になってきました。」

まゆ子「で、ロボの奏者となるにはLv4.で十分とされる。
 だから念話の巫女はがんがん使い捨てされるんだな。」

釈「Lv7.能力はないんですか?」
まゆ子「Lv7.複数の人間の意思を自由自在に操れる というものになる。もう魔法ですね。
 というか、これまで念話と言ってきたけれど、もちろん埋設されたロボの影響範囲内に無い人間にはアクセス出来ない。
 またロボのパワーを受信できる、つまり「魔法使い」でなければ通信できない。」
じゅえる「とうぜんだな。」
まゆ子「Lv7.だとロボの影響範囲内に居る無反応の一般人にまで効力が発生するという。」
釈「おお、本当に魔法使いですね。」

まゆ子「「少佐」はその点ちょっと特殊で、ロボの影響範囲内でのみ能力を使えるというのは変わらないのだが、
 その影響範囲が普通の巫女の倍以上広い、というのがある。すごく感度が高いんだな。
 これだけで十分特異な能力で、
 なぜ彼女だけと言えばその生まれた土地にロボがたくさん埋まっていたからだろうと推定されている。

 うーんそうだなあ。
 王妃さまと「少佐」はおなじ修道院の先輩後輩で共に育ったんだけど、
 「少佐」が自分でも気がついていない能力によって王妃さまの才能が刺激されて、相手の知識を読み取る力が早くに開花したんだ。
 そして貴族の婦女としての教養や立ち居振る舞いを盗み取って自分のものとしていった。
 ついにはレディとしての振る舞いが可能となって、たまたまロボの格納庫に視察に来た国王さまを魅了した。
 こんなとこでどうだ。」

釈「国王さまを虜にしたのも、魅了の魔法の力としたらどうですかね。
 相手の意思を捻じ曲げるのではなく、相手の気分と同調することで相性がぴったりになるという魔法で。」
じゅえる「おお、念話能力に近い能力じゃないかなそれ。」
まゆ子「ふむふむ。魔法無しで王妃さまになるというのも不自然だしね。

 ちょっと考えた。
 王妃さまは昔はそれこそ売られたような酷い境遇で、
 てきとうにかき集められ巫女の試験で音叉に雷を発生させるのをやらされたんだけど、
 実はすごく雷大きく出てしまったんだな。
 でも前の巫女合格者がすごく小さな雷であったから、これは大きすぎるんじゃないかとわざと小さくしてしまった。
 実際大きすぎる雷をを出す者は他の四大精霊魔法の適性者で、つまり貴族の男子以外は不適格なのだな。
 だからこのとっさの機転は大正解。であるんだが、つまりはこの最初の最初から能力のコントロールが出来るという天才だったわけね。」

 

     *****

じゅえる「とりあえず国王・世俗権力と教会・宗教勢力が魔法を巡って対立している事は理解した。
 が、この念話能力は国王側でいいのか。」
釈「ああ、教会側勢力が専門に修める魔法、という考え方もありか、という話ですね。」
まゆ子「ああ、なるほど。

 たしかに修道院というのを持ち出した時点で魔法が教会「神塔会」側ではないかとは思うよね。
 うん、つまり四大精霊系物理魔法を世俗権力側に、
 念話系情報魔法を教会側に、という考え方か。
 アリだとは思うけれど、物語展開上どうなるかわからないから保留だ。」

じゅえる「なるほど、想定外でこう分けたことでストーリーが走らなくなる可能性があるのか。」
釈「ではありますが、そもそもが宗教側は魔法については否定的な考え方なんですよね?
 念話系魔法はその最たるものではないですかね。
 なにせ人の心を直接に覗くものですから。」

まゆ子「ああつまり、四大精霊魔法使いであれば念話で脳を覗かれない、という風にしておくべきか。
 でも念話を直接同スキルで排除する。てのはやはり無理だろう。
 魔法使いの脳はエネルギーがいっぱいで、下手にアクセスすると脳が焼ける。という感じではどうだろう。」
釈「一般人の脳は出来るんですか。」
まゆ子「いやそもそも、一般人はアクセスしてないから、念話が出来ない。
 脳を読み取って聞く事も、こちらから言葉を吹き込む事も出来ない。
 それはまた別スキルという事にしよう。」

じゅえる「つまり魔法使いだけの間で、同意がある対象同士が念話でコミュニケーション可能。ってものか。」
まゆ子「そういうものとしておけば、下賤の端女の巫女を使い捨てでやらせている理由にもなるだろう。
 有用性が低いんだな。
 第一、同一影響範囲内でなければ念話通じないし。」
釈「ネットワークで全国に、というのは無理なんですか。」
まゆ子「さーて、電線銅線が繋がっていれば遠隔交信出来るってのが当初からの設定だ。
 線が繋がっていない相手には、
 いやそもそもがロボのエネルギーを受信するのに音叉を使うんだった。
 魔法使いも、四大精霊魔法であっても音叉のように雷を宿す金属製マジックワンドを使うって事にしよう。
 要するに音叉のおばけを持っている。
 で、この音叉との干渉によって念話能力が接続されて情報を伝達出来るようになる。

 ああそうだ。
 つまりはそのマジックワンドに宿る雷の影響範囲に、念話者が端末に接続された金属線が無いと読み取れないんだ。
 で一般の四大精霊系魔法使いは、マジックワンドに発生する雷に対してしゃべる事で音声が電気信号に変換されて、
 電線経由で他の魔術師と会話出来る。」
釈「ただの電話ですね。」
まゆ子「そういうことだ。念話なんて特殊能力を使わなくても遠隔で話が出来る。
 だから不要の能力と思われている。これでいいんじゃないかな。」

じゅえる「で、その電線に干渉してハッキングする、直接に情報を引き出してしまうのが念話能力者ってことだな。」
釈「ということはですね、マジックワンドではなくて小さい音叉を携帯していればどこでも電話が出来る的な、」
まゆ子「近くに電線があれば、そうだな携帯電話だなそれ。」

じゅえる「でも電線を外に引っ張ってない魔法使いであれば、その念話能力意味がないぞ。」
まゆ子「ああ、電線を常に引き回しているわけじゃないってのは確かだ。
 じゃあ、ネコを使おう。」
釈「そういえばもともとの設定にネコがいましたね。無尾猫で、しゃべるやつ。」
まゆ子「こいつにタコ糸のリールみたいのを加えさせて、目的とする魔法使いの傍に持っていき、
 電線の糸をぴーっと張り巡らせてくるんだ。」
釈「まさにハッキングですね。」

 

まゆ子「うん、こうした事にしよう。

 パワーが強烈な四大精霊魔法を使える魔法使いは、音叉や金属ワンドに発生する雷を音声で震わせて、遠隔通話が可能なんだ。
 これは魔法使い同士であれば誰とでも交信できる。無線だからね。
 しかし周波数という概念が無いからオープンエアで誰でもその通信を聞く事が出来る。
 だから暗号や符丁で喋らないと盗聴されるし、細かい話はつまりやらないものだ。

 一方念話魔法は出力が弱いから発信力を持たない。魔法使いのオープンエア通信を一方的に聞くしか出来ない。
 だが電線を通してであれば巫女達も自在に会話出来る。それも特定の相手に対してだ。
 なんというか、電気のタコみたいな精霊を使役して回線交換をする事ができるんだな。
 そして巫女に語って伝えれば、魔法を使わない普通の人間にでもこの能力を利用できる。
 だから普通の貴族にとっては魔法使いに対抗する為の大事な道具なのだ。

 一方教会「神塔会」にとっては、オープンエアの通話を聞くことが出来る念話の巫女は、魔法使い炙り出しの道具として使える。
 また様々な探知能力も持つから、魔法使い弾圧の道具としても非常に便利なのだ。
 であるから念話の巫女は世俗・宗教・魔法使いいずれの勢力からも卑しめられる存在として、だが必要なものとして修道院で育成されているんだな。」

じゅえる「修道院」と言ってしまうとキリスト教に固定されるな。
 「修法館」とかにしよう。」
釈「そうですね。そういう位置づけであれば、名前は替えておきましょう。」

じゅえる「しかし今初出の「電気のタコみたいな精霊」ってなんだ。」
まゆ子「そりゃ『統則最前線』だし。」

釈「昔からありましたっけ、その設定。」
まゆ子「ないな! いまかんがえた。」
じゅえる「まあ、ビジュアルイメージ的にはありなんだろうが。」
まゆ子「そうそう。念話能力者ってのを表現する手法をビジュアル的に強化してみました。
 ただ小さな雷が電線の上を走ってもいいけれど、タコみたいに職種を伸ばして離れた電線まで移っていくとか楽しいじゃん。」
釈「なるほど。精霊を導入することで「回線交換」も可能になるわけですね。」
じゅえる「ビジュアルかあ。もうちょっと上手く使えそうだな。」

まゆ子「ちなみに元の『統則最前線』ではタコ型のロボットが出てきます。
 リリカルポエマーでは、魔法から絶縁されて中の人を保護してくれる魔法の籐かごの中にネコが居て動いていました。」
釈「タチコマの代わりなんですね。」
じゅえる「つまり無尾猫と電気タコがマスコットアイテムなんだ。」

 

     ***** 

じゅえる「もうちょっと『統則』をキーワードに魔法を関連付けていこう。」
釈「そうですね、もっとしっかり物語に刻み込まないと。」

まゆ子「そもそもが「統則理論」というものはわたしがでっち上げたもので、
 今風にいうと「ドローンがそれぞれのセンサーで他のドローンの動きや自身の位置を判断して、
 それぞれが全体として最大の効率を発揮するような機能を自ら選択して役割分担してシステムを構築する」というものだ。
 マイクロマシーンでも適用できるが、
 とにかく同種同格のユニットが複数大量に存在する場合に直接コントロールによらない、もとから組み込んである「規則」に従って統合された存在となる。
 だから「統則理論」だ。」

釈「厳然たるサイバーパンクですねえ。さすがに魔法で使うのは難しい。」
じゅえる「というか、それ今まさにやってるとこだろう。ドローン大量使用で。」
まゆ子「20年前には考えていたことですが、やっと条件が整いましたね。
 というかこれ、人工筋肉がうにょうにょと動いてかってになんかやってくれるというシステムが元なんだから、
 タコみたいなんです。頭足です。」

じゅえる「というか、電話線だけだと『攻殻機動隊』にならんだろ。コンピュータ出せ。」
まゆ子「うんまあ。じゃあ念話の巫女が銅線を編んで四角い箱を作って、そこに電気タコを住まわせるということで。」
釈「タコ壺ならぬタコ箱ですか。」
じゅえる「コトリバコみたいなものか。」
まゆ子「まあ、つまり使い魔である電気タコを飼う箱なんだけど、「少佐」くらいになるとこれ自体が少佐の代わりを務めるくらいには強力な能力を持つ、てものにするか。
 あんまり代理というのを出すのは魔法使いの価値を下げるけどさ。

 そうだ「身代わり機」もついでに出そう。
 化け物避けとして昔に考えたものだが、巻物みたいな筒に2つの眼が描いてあるやつ。
 これで魔法使いならぬ怪物の攻撃から身を守る事ができる。」
釈「でも脳は焼かれるんですよね。」
まゆ子「あー、どうしよ。」

じゅえる「なんか別のものに使え。身代わりでなく、そうだ銅線のリールにすればいい。」
まゆ子「あ? いやそんなタコ糸のリールでいいじゃん。」
釈「いえいえ、銅線は大事でしょ。リールも魔法の道具ですよそのくらいのハッタリは必要です。」
じゅえる「どうせネコが咥えていくんだ。なんかヤバそうな巻物でいいじゃないか。」

まゆ子「じゃあ身代わり器はただの銅線リールで、
 コトリバコはタコが棲んでる事にして、少佐のコトリバコは50匹くらい棲んでることにします。」
釈「うまりコトリバコはコンピューターじゃないてことですね。
 階差機関、出しますか?」
まゆ子「出さないよ。だいいちコンピューターに何を計算させるんだ。」
じゅえる「知識や情報は、それこそ魔法使いの頭の中にあるからな。

 図書館とかは出てくるとしても、魔法使いの脳をガラス瓶に浮かべて、なんてのはやらないだろ。」
まゆ子「そんなもん役に立つか。」
釈「なんかおぞましい魔法機関とか欲しいですね。」
まゆ子「たとえば、おびただしい虫が蠢く箱の中に餌と電線を通して、虫が集団で演算を行うとか。
 まあ、用途が有ればそのくらいはでっち上げますよ。」
じゅえる「用途がなあ〜。」
釈「南方熊楠が粘菌をコンピューターとして使うSFか時代劇か、なんかそんな本が本屋にありましたよ。読んではいませんが。」
じゅえる「粘菌はなにかに使えないか?」

まゆ子「あー、うん。最短ルートを見極める為に粘菌コンピューター使うのはありだな。
 なにせ街中に電線が張り巡らされているという設定だ。それも魔法使い同士無秩序に。
 だからどこをどう繋いでいけば目的地にたどり着けるか、そのルートを発見する為にコトリバコを使う事にしよう。
 ヒラでザコの巫女は目的地に到達する経路を発見するだけの単純な機能しか持たないが、
 少佐のコトリバコは複数の観測対象にバレないように接触する経路を導き出す事ができる。
 もちろん粘菌などではなく、電気タコだよ。」

 

じゅえる「だが「攻殻機動隊」にそっくりでもいかんのだ。」
まゆ子「心配しなくてもぜったいおなじにならないから。それは数多の漫画家が挑戦して無理でした。」
釈「いいんですかそれ。なんか腹立ちません?」
まゆ子「どうせなら越えなくちゃな。なにせもう21世紀も20年過ぎちゃったし。」
じゅえる「今や日常がサイバーパンクな時代だからな。現代を舞台に普通に描くだけでサイバーだ。」

釈「まあそうなんですけどね、でも。中世ファンタジーなんですよねコレ。」
まゆ子「そーだーなー、中世パンクだなー目指すとすれば。」
じゅえる「スチームパンクというのはあるんだが、なんて言うべきかな。暗黒時代のダークエイジパンクとか?」
釈「そういえばバンブーパンプってのは考えましたねえ。」
まゆ子「中華風サイバーパンクだな。筮竹や麻雀牌で演算する。」

じゅえる「そういうのでなんかないかな中世ファンタジー。」
まゆ子「剣と魔法のサイバーパンクだな。マジカルパンクはーなんか割とありふれているような気がする。」
釈「今どき魔法はそうですねえ。
 なにかファンタジーぽいパンクは無いですかね。」

まゆ子「ただこの物語に関して言えば、これのみを対象とした場合、「電気パンク」というのが正しいだろうと思う。
 なんというか「イナズマパンク」ですね。」

 

     ***** 

まゆ子「傀腕、ロボの名前決めました。「傀儡」で「腕」で「傀腕KWAIWAN」です。
 ちなみに「傀」は”大きい・立派な/あやしい・もののけ”という意味を保ちます。
 そして「傀儡」と呼ぶわけで、骨ロボにぴったりです。」

釈「腕に注目するというのは、やはりカタパルトとして凄い威力だってことですね。」
まゆ子「まあロボが兵器として用いられるようになってからの言葉ってことだね。
 それ以前は、つまり「大賢者ヤヤチャ」が起動に成功した頃は「ユンボ」と呼ばれていました。
 穴を掘る重機として使ってたからね。」

じゅえる「そもそもヤヤチャは、て弥生ちゃんなんだが、なんでロボを動かせるようにしたんだ?」
まゆ子「つまりその当時、協会による魔法使い狩りが行われて盛大に火炙りされていたわけです。
 まあその裁判もなしに不正の横行するとんでもない宗教ヒステリー状態で、
 そこで魔法というものが有用であると世俗の権力者に理解させる為にロボを起動させてみたのです。

 それまでは魔法というのはどこか特定の場所、聖域でなければ機能しない極めて限定的なものでした。
 なんでここならば魔法が発動するのか理解できず、当然研究も進まず理論的展開も無く、
 ほぼ迷信として、邪悪の行いとして教会により弾圧されるままになったわけです。

 そこでヤヤチャは穴掘って地下にロボが寝ているのを世間に教え、このロボを別の場所に埋め直せばそこで魔法が使えると証明しました。
 しかしバカでかくて人力では発掘埋め直しは難しい。
 そこで重機として使う為にロボの後頭部を張り倒して起動し、自ら乗り込んで穴掘ったわけです。

 世俗の権力は魔法が自ら制御できるものと知り、また教会が実は魔法を自分達で独占して支配体制の強化を図っていると理解し、
 魔法を世俗側のパワーとして抱える選択を行い、魔法使いの保護に乗り出します。
 そしてヤヤチャが起動したロボを使ってロボを掘り起こし、自らの領地内に広く埋め直す事で魔法可能域を広げます。
 一方教会の弾圧に対しては法の公正をもって対処して、理屈に合わない魔法使い狩りを激しく糾弾。
 ついには人命に関わる措置に関しては世俗権力が全権を掌握して教会の指図は受けない権利を勝ち取ります。

 ここまではいいんだ。」

釈「ここからおかしくなったんですね?」
まゆ子「魔法が広く使われるようになり、錬金術が可能となったのだ。
 まあ金は錬成できないんだけど、魔法の音叉やワンドに雷が宿ることで色々と可能になる事が多いんだな。
 そして魔法の知識が蓄えられ、宮廷における魔法使いの地位が向上する。

 一方で世俗の権力の、それも地方領主の間では魔法の国王中央による独占に反発してしばしば反乱や離反が起きるようになる。
 そこで国王側ではヤヤチャが土木工事用に起動したロボを使って戦争を行うようになった。
 元から穴を掘る為に右手がスプーンに作り変えられていたロボは、機動カタパルトとして存分な破壊力を行使。
 向かう所敵なしで王権の強化に成功。
 ロボを保有する国家同士の戦争においても、ロボ同士の投石合戦が中心となり、ロボは様々な状況で酷使されて、
 まあ壊れはしないんだけど擱座したり回収不能になったりでどんどん数を減らしていきます。
 まあ擱座してもそこに埋めれば魔法力の源となって機能するんだからあまり困らない。

 で、ヤヤチャが50体を起動した内、500年後の現在まで稼働しているのは13体、他は全部使用不能となっています。
 こうなるとさすがに戦争の形態も変わらざるを得ず、
 ロボは本丸防衛の切り札として考えられ、積極的な戦争への投入はされなくなります。

 で現在。ロボは動くカタパルトとして重宝ではありますが、戦争の中心は歩兵と騎兵になり、大砲単砲も登場して火力戦に向かいつつあります。
 この状況の中で人間に対する影響力の大きな教会がじわじわと影響力を拡大して、政治の情勢にも決定権を持つようになっています。」

じゅえる「つまり全部ヤヤチャが悪い。」
まゆ子「まあね。」
釈「そしてヤヤチャがロボの起動に成功した方法は歴史に埋もれて誰にも分からなかったものが、今解明されたってことですね。
 石斧で後頭部をぶっ叩くという。」
まゆ子「文献には「ヤヤチャがロボの後頭部を石でぶん殴った」てのは記述されているんだけど、誰が何度試しても検証出来なかったんだな。
 それを主人公騎士が可能とした。というかまずぶっ壊し方から解明したんだな。」

 

じゅえる「しかし「KWAIWAN」てどういう資格の持ち主が操縦できるんだ。
 ただ適性があるからというだけなのか?」
釈「なにか特別な血筋ですかね。」

まゆ子「あー、昔の設定では先祖がロボの骨髄をすすってその力が宿った、というのあるんだけど、これは没らせましょう。
 そうだねー、まずはロボの影響で魔法力が使える領域内で生まれた者、てはあるだろうね。
 「少佐」がだいたいそれなんだから。」
釈「ロボが大量に埋まっている土地で生まれたからですね。」
じゅえる「でもそれは、王都やら侯の本拠地とかのロボが埋められているとこの出身者なら全員だろ。」
まゆ子「ああ、そこは電気タコを介入させますかね。」
釈「妖精的な存在ですかね。でも金属の無いところには、

 ……雷!」
じゅえる「雷に打たれたお母ちゃんから生まれた子には魔法使いの才能がある。
 それでいいじゃん。」
まゆ子「いや、死ぬだろ。」
じゅえる「魔法ロボの影響範囲内では実は雷で死なないのだ。なぜか守られていて無事安産。
 というか安産の神様的な感じで雷が落ちるのをお祈りするような風習があるんだな。」
釈「ひゃあびっくりした、的な感じで無事なんですね。」
まゆ子「ああ。すべての魔法使いはそういう事にしよう。

 土俗のおまじないで雷に打たれた母親からは元気な子が生まれるという。
 そう、ロボがまだ正体を知られていなかった古代宗教において、雷がよく落ちるけれどそこでは死なないという不思議スポットがあって、
 魔法はそこでのみ発動を確認できたんだ。」
じゅえる「いいね。そもそも雷は今回の物語のモチーフだよ。」
釈「イナズマパンクですから。」

まゆ子「雷に打たれた時すでに妊娠中で胎児の段階で雷の影響を受けた、てのにするよ。
 おまじないをした人が全員魔法使いを産むってわけじゃあないんだ。」

釈「そうだ。その古代宗教の御神体が大きな音叉なんですよ。まあ金属製かどうかは別として。
で、ここに小さな雷がぴりぴりと発生して、これに触れてビリっと来たら安産間違いなしという。
 その音叉を今の魔法使いは身につけて利用している。」
じゅえる「石の音叉として、それでも金属を含有する黄鉄鉱とかなんかではどうだろう。」
まゆ子「銅鉱石の方がよくないかな。まあそこは考えるよ。古代の鉄でもいいし青銅器でもいい。
 いやむしろ青銅器にしておくか。古代ぽい。」

釈「銅鐸ですね! ヤマタイカですよ。」
じゅえる「ヤマタイカヤマタイカ!」
まゆ子「あー、うん。なるほどね。よしじゃあこうしましょう。

 基本魔法使いの才能を持つのは、魔法の音叉に発生する小さな雷に妊娠中の女性が触れた時の影響で備わることになる。
 古代においては土俗宗教の御神体である青銅の音叉またはそのようなものに刻まれた空隙に発生する小さな雷に接触することで安産の祈願とした。
 だから現在に至るまでも残る古代宗教の名残でびりっときたら安産だというおまじないがある。
 金属の取っ手に触った時とか、ウールの服で静電気ぱちぱちも安産祈願とされているのだが。

 この王妃さま。実は母親が落雷に打たれたという壮絶な過去を持つ。
 でも母親はぴんぴんしてなんでか分からないが死ななかった。
 そして生まれた王妃さまは利発な美人であり、その後運命が流転して修道会に属する念話の巫女となり、
 適性をみとめられて「傀腕」の奏者となって才能を開花。
 視察に来た国王さまを美貌で籠絡してみごと王妃さまとなり、以下物語が。

 というわけだ。」

釈「OKです。」
じゅえる「OKだ。」

まゆ子「そうだなー、青銅で作られた牡牛の像があって、その角が丸く先端がわずかに接触しないくらいの青銅器になっていて、それが魔法の音叉なんだ。
 古代宗教は牡牛を信仰するもので、牡牛は雷の化身としてその角の間に小さな稲妻が発して、
 これに触れると安産間違いなし。子孫繁栄のご利益がある。というものなのだ。
 で、これが「神塔会」によって邪教とされ、弾圧されるのだ。」

釈「質問があります。一般人が土俗の習慣で安産のご祈祷に行ってビリビリとしてくるのは分かります。
 でも貴族の師弟が魔法の才能があるというのは分かりません。いつビリビリしました?」
じゅえる「ふむふむ、もっともな質問だ。土俗の宗教に頼るのは「神塔会」が禁止してるんだろ。」
まゆ子「もちろん今も禁止で邪教扱いです。
 というかこの魔法の才能というのは妊娠初期、母親でさえ気付かない程度の胎児の時にビリビリした子であって、
 もっと大きな、外から見ても目立つほどに大きく成長してる時にビリビリしてはならないとされています。
 古代土俗宗教においても、そんな時期にビリビリした子は生まれて長じて魔人・魔女になるとされていました。
 「神塔会」が毛嫌いするのは、その魔人魔女の仕業の伝説に基づくもので根拠がないというわけでもない。」

じゅえる「ふむふむ。で貴族の出身で魔法使いになるというのは?」
まゆ子「このビリビリ安産祈願、実によく効くのです。
 祈願しなかった場合に比べて3倍も安産になるというご利益ぷり。だから一般人の間では信仰が廃れる事も無い。
 でもちろん貴族の間でも安産こそがなによりの価値になるわけで、
 いくら「神塔会」が禁止しようとも密かに邪宗の祠に行って祈祷を受けようという貴族は後を絶たないのです。」
釈「そんなに効くんですか安産祈願。それは行きますね。」
じゅえる「命が懸かってるからな。なるほど、ビリビリの結果貴族の子弟には魔法使いの才能持ちが生まれてしまうんだ。」

 

【魔法甲冑りりかるぽえまー・リブート第二回】21/04/19

まゆ子「というわけで、上の方にちょこっと書いたけど、この国の爵位制度についてできました。

 まず国王が居て、王妃が居て、王子王女、王兄王弟姉妹、王父あるいは先王、王母、王太父母、王孫まあこんな感じ。

 爵位は「侯」封領を支配する者、「師」教会の幹部、「卿」王の大臣官吏 
  「士・将」軍人の爵位 「公」経済規模・軍役を担う爵位
  「夫」民間人に対する爵位・金持ち用

 となっており、「公」をもって爵位とする。それも13段階で。
 上から7個目までが「公」付けで呼ばれ、8番目以下は「夫」呼ばわりだ。」

釈「13等爵ですか。中華風ですね。」
まゆ子「まあ要するに国家に対してなにがしかの高位の所属役割を持つ者は全員が「公」をもらってるんだな。
 ちなみに13等爵最下位13番目は、騎馬の戦士1名を動員出来る財力、と決まっている。
 貧乏騎士だな。」
じゅえる「だがまあ、馬を持ってるだけでずいぶんとカネが掛かるからな。」
釈「案外と高いハードルですよ。」

まゆ子「実際に戦争に行くとなれば、替えの馬は要るし当然馬丁と従僕に世話をさせないといけないし、
 もちろん武具甲冑馬具すべて自前で負担の上に、兵糧も最低でも1ヶ月は確保しないとな。」
じゅえる「軍隊で融通してくれないのか?」
まゆ子「それは王様の家臣になるということだから、貧乏騎士ならいいんだけど一地方領主としては無いなあ。」
釈「独立性と面子の問題ですね。貴族社会だから。」

まゆ子「主人公騎士はやがて「少佐」と結婚して、少佐が奪われた領地を治める領主「侯」の位を相続する事になります。
 だがだからと言って金銭的財産的に富裕になるわけではないので、13等爵の「侯」になるのです。」

じゅえる「ありなのか、それ。」
釈「名目上の侯爵なんですか。でもそんなので結婚できるんですか。」
まゆ子「まあ、主人公騎士は普通に王国の軍隊の特別な部署の所属で一隊を任される小隊指揮官ですから、俸給というものは別にあるんですよ。
 領地的には、名目上の地権を持っていて貧乏貴族の地権をひとまとめにして裕福な農園主に貸し出していて、そこで毎年の借地料を徴収するという仕組みになっている。微々たるものですが。」

じゅえる「借地料+俸給、か。どのくらいの俸給なんだ。」
まゆ子「両方合わせてかろうじて12等爵くらいですねえ。
 ちなみに12等爵は前述した、馬2頭を連れて戦力を動員できる財力、ですね。」
釈「従者馬丁付きですか。まあ小なりとはいえお殿様ですね。」

じゅえる「11等爵は?」
まゆ子「あー、兵士5名を帯同出来るだけの戦力負担、だな。当然武装した、甲冑も武具も一揃で。
 その上に騎馬を世話する馬丁と従僕も複数で、計10名は動員出来る。」
じゅえる「そりゃあ大出費だ……。」
釈「1千万円くらいかかりますかね、1ヶ月の遠征費だけで。」
まゆ子「うーん、もっとかかるかなあ。手下の俸給もあるだろうし。
 武器は備蓄があるとしても、戦士は確保しておかないといけないだろう。傭兵がそうかんたんに見つかるものではないし。」
釈「領地と館が無いとダメですね、そのレベルになると。」
じゅえる「普通に小領主ってことか。

 ちなみに10等爵は?」
まゆ子「ちなみにここまでは民間人の富豪でももらえる爵位だよ。「夫」だね

 8910等爵は「太夫」としてまた別のカテゴリーになる。」
じゅえる「貴族はここから、てことか。で、どんな経済レベルになるんだ。」
まゆ子「ああ、実は「太夫」は宮廷官吏の為の爵位と考えるべきで「卿」だね。
 要するに国王に直接仕える事は身分的に高いよという話で、俸給にて賄われる。
 だから実質は111213等爵と財産的には変わらない。
というか、俸給で小領主並をもらってたら凄いだろ。」

釈「つまり、10等爵は11等爵よりも貧乏?」
まゆ子「理論的にはそうですねえ。
 でも国王の官吏となるのは貴族の息子ですから、当然に実家の裏付けがありますよ貴族の領地が。」
じゅえる「ああなるほど。つまりは最低でも11等爵以上の経済力がある人間がさらに俸給をもらっているという。」
まゆ子「だから主人公騎士は、騎士身分で国王に仕えている自分は13等爵だけど、
 「少佐」と結婚して「侯」の身分を相続すると、10等爵にいきなり昇進です。」

釈「ああ、そうか。俸給で騎馬を1騎動員できるほどとなると結構な収入ですか。
 下級官吏にしても結構なご身分なんですね。」
まゆ子「そうだよ。つまり国王に仕えるのは、貴族出身の「卿・太夫」と騎士身分出身の「士」と、平民身分からきた普通の下働きという区分がある。」
じゅえる「はあはあ、そうか。騎馬がうんたらは「夫」の爵位がそもそも騎士身分を想定しているってことか。」
釈「なるほど、騎士身分の爵位を民間人にも解放してるってことですね。」

まゆ子「ただ国王の家臣であるから戦争への動員負担が無い分、楽だというのがある。
 これはかなり大きい。普段から戦力を確保する必要が無いから裕福に暮らして余りがあるんだ。」
釈「おお、なるほど大きな特典だ。」

 

まゆ子「というわけで、国王の家臣として働かなくてもいい身分が7等爵以上の「公」なのです。
 具体的に領地を持っている小領主からですね。」
釈「つまり、11等爵の経済力で他人に地所を貸しているのではなく自分で領地を治めている人が7等爵?」
まゆ子「理論上はね。
 実質は地代として納付される金額を出すためにはその倍の収入が無ければ困るわけで、
 7等爵小領主は地券に記されている領域の全収入を自分のものと出来る。

 ちなみに「公」の身分でも国王に仕えて大臣とかになったりもするわけで、それが「卿」なのだが、
 その際の俸給は最低でも11等爵分くらいにはなります。」
じゅえる「7等爵の「公」が国王に仕えたら2倍ってことか。」

まゆ子「で、この国の風習としては貴族領主に子供が複数居たとしても、領地を分割相続はさせません。
 嫡子のみが全領地を相続します。
 その他の子供は本家から俸給をもらうか、領地の一部を「借地」して治めます。借地料は色々0円から〜。」
釈「つまりは次男三男が居たとして、その子、孫は。」
まゆ子「等身が離れれば本家からの支援も期待できませんね。
 最終的には借地権のみを相続して他人に任せての俸給という事になりますね。」

じゅえる「なんか、つらいな。」
釈「そこは養子縁組とかいろいろですよ。貴族社会なんですから。」
じゅえる「なんというか、中世ヨーロッパ風ではなく江戸時代の大名みたいな?」
まゆ子「そうだねー。
 というかこの国、この地域では傭兵がさほどメジャーではなく国が領主から兵力をかき集めるのが主流ですね。
 封建諸侯ですよ。」

釈「浪人、というのはあるんですか。」
まゆ子「まあその末が国王に仕官して騎士身分になる、てのだから。」
じゅえる「ああなるほど。でも他の地方領主に仕官しては騎士になれないんだ?」
まゆ子「騎士になるのも色々手続きがありましてね。国王に士官するのは騎士としての資格を持つと認定された者です。
 で、騎士身分になるには、とりあえず地方領主「公」の子孫であるのは一番早道です。
 まあ基本として武芸に優れていなければならず、これは地方在住の騎士達が相互に認定して十分に能力があると見做すと、「仮免」をくれます。
釈「仮免!」
まゆ子「で、国王に軍人として仕官して本採用となれば「騎士」「士」分になるわけです。ここは簡単。」

じゅえる「騎士の息子は?」
まゆ子「騎士の息子は父親や親戚から武芸を叩き込まれて、能力を近隣の騎士達に認められれば資格を得ます。
 でも「騎士」登録をしなければならず、これは国王の権利で申請して資格を証明できれば確定します。
 ただ「夫」としての借地権の相続は、もちろん父親が引退した後になります。これも国王に申請ですね。」
釈「息子が何人も居た場合はどうなんです?」
まゆ子「つまり仮免が出れば申請出来るんです。申請したら自動的に「騎士」になれます。
 罪科が無いかは審査されますが、実技試験はありません。
 問題はそのあと。戦争に行った後の話です。騎士であれば国王に求められれば参陣しなければなりません。」

釈「参陣しないと?」
まゆ子「「夫」の爵位を剥奪されたりしますね。
 まあ13等爵は騎士に身一つで来いてなものですから、普通は来ます。
 爵位を持たない騎士は、まあ普通は生業がありませんから報奨がもらえる戦争には来ますよ。」
じゅえる「ちゃんと報奨は出るんだ。」
まゆ子「さすがに金払いが悪いと兵隊集まりませんから。」

釈「では行かないと損ですね。でも不都合でいけないとなると、」
まゆ子「国王から召喚命令が出ますね。これに応じないとそりゃ当然に「騎士」号剥奪です。」
じゅえる「病気とかで行けない場合は?」
まゆ子「それは、別の騎士にお願いして行ってもらう事になります。とにかく頭数が揃えばいいんだから。
 しかしそれが長く続くと国王というか軍から近隣の騎士達に質問状が行って、
 そいつがほんとに生きているか、騎士としての能力があるか査定を依頼されます。」

じゅえる「ほんとに病気ならどうするんだ。」
まゆ子「そりゃあ休業宣言をして国王の招集に応じないことになりますが、
 逃げ道としては他の領主のところに身を寄せて「こちらに参陣してます」という報告を出してもらうと、国王からは招集されないですね。」
釈「ああ、簡単ですね。最初からそうしとけば良かったのに。」
まゆ子「そうは言っても戦争に行くからこその「騎士」ですから。

 貴族の若様と言ってもだ、ただ名誉の為に「騎士」号を取得というわけにもいかない。
 というか騎士達による能力審査を受けてるんだから。けっこう長年の修練が必要だぞ。
で、それだけの技能を身につけたら、戦争に行ってみようとかも思うわけだ。」
じゅえる「思わない奴は居るんだろ?」
釈「卑怯者ですねえ。」
まゆ子「あーそういうのは、修道士になるかなあ。教会に逃げ込むかな。」

釈「出た! 宗教騎士団だ。」
じゅえる「でも戦わない奴なんだろ?」
まゆ子「さすがに臆病者が騎士になるなんてほぼ無理だし、地元騎士達が認めないし、
 そもそもが一度は国王の元に参じて軍隊で閲兵を受けなくちゃ騎士になれないし、そこでは買収で能力をごまかすとか効かないぞ。
 騎士になった者が戦わないとすれば、思想信仰上の問題と考える。」

釈「でも国王が戦おうとする敵に対しては戦えないという理由があれば、」
じゅえる「そこは普通に反逆罪で捕まえろよ。」
釈「あ。そうか、反逆罪に問われる事もあるんだ。」
まゆ子「反逆というか抗命罪だな。だから仮病を使うんだ。」

 

まゆ子「まあね、どうしても武芸が出来ない戦闘に向かない人間て居るからね。
 そういう人間の為の爵位が「夫」なわけだから、そこで我慢してもらいたい。
 国王からの動員命令が下った際には、お金でなんとかしてもらえますよ。」
じゅえる「あ。13等爵位ってのはそういうものなのか。」
釈「兵力と軍資金をかき集める為の爵位、なんですよ。」

まゆ子「だから、戦争にいかないけれど貴族階級の末端に位置する、でも領主ではないし官吏でもない。
 そういう人間はー、呼称として「夫子」と呼ぶことにしておこう。「紳子」でもいいぞ。
 「先生」てくらいの意味だよ。」
じゅえる「つまり騎士身分で爵位を持っていれば「夫士」てことか。」

釈「つまり富豪がカネで爵位を買ったら「夫子」と呼ばれるわけですね。」
じゅえる「あ、上からでなく下からもあるのか。そうか騎士でなくてはいかんてことじゃないか。」

まゆ子「いわんとするところはつまりは、「騎士」みたいななんか尊敬できるステータスが欲しい。てとこだろ。
 13等爵位でもいいんだけど、さすがに格好がつかないから。」
釈「騎士でもなく、国王の家臣でもなく、領地も持たず、宗教の司祭とかでもなく。
 学問ですか?」
じゅえる「そういや魔法を忘れていた。魔法使いには爵位はあるのか。」
まゆ子「まあそこは後で語るとして。
 学問と魔法は称号が「師」となります。宗教は「司」ですね祭司ですね。
 魔法使いは「使」とも呼ばれます。これは本来外交上のお使い大使とかの「使」ですが。

 でもそういうのを期待しているわけじゃない。
 つまりはただの貴族の若様の貧乏旗本の三男坊に与える称号が欲しいんです。」
じゅえる「おう。」

釈「国王じゃなくて、各地の貴族の当主が認める称号でよくないですか。それこそ「紳士」で。」
まゆ子「「紳」かあ。郷紳だなあ。そうか。「侯」の下に「紳」として地方領主の称号としよう。

 まてまて、「侯」「伯」「紳」という三段階で称号とします。大中小ですね。
 いやいや、大・中・小伯と地方領主に厳しい階層を定めて、その下に郷紳として「紳」を小領主として設定しよう。
 つまり7等爵「紳」だ。」
じゅえる「つまり小伯が6等、中伯が5等、大伯が4等、侯が3等。
 一等爵は、」
まゆ子「そりゃ国王だよ。
 2等爵がつまりは国家を牛耳る権臣ということになる。地方大領主だ。「太侯」でいいけどね。
 うーん、じつは「公」というのは「侯」以下の領主に対する呼称として定めちゃったからな。「公爵」は無しだ。

 あ、ちょっと待て。
 王妃さまの爵位も考えなければならんかった。」
釈「それは二等爵でしょう当然に。」
じゅえる「ああそうか、必ずしも領土が大きくなくても偉いというのはアリなんだ。
 特にこの十三等爵位制度は経済力が循環してる。」
まゆ子「そうだった。必ずしも偉いやつが金持ちじゃないんだ。
 ということは、つまり王族が123の上位を独占していいんだ。

 国王が一等爵、王妃・王太子・王母・先王が二等爵、王の兄妹姉妹やその他の王子・伯叔父母が三等爵。
 とうぜん有力貴族は王族と血縁関係があるから、三等爵をもらっても不思議じゃない。
 「侯」が三等でいいんだ。」

釈「伯は大中小でいいですか? もうちょっとひねってもいいと思いますが。」
じゅえる「なんか無いかな。「守」とか「主」とか使えばいい気もするけど。」
まゆ子「あーそうだねー、そうだねー、そだねー。

 つまり二等爵三等爵はカネが無くてもアリなんだ。
 だから「公」というのは「侯」以外の大中小伯にも適用されるが、三等爵王族にも適用されるとしよう。
 「紳」の呼び名は「子」でいいや。「紳子」だ。」
釈「「夫子」の「子」ですね。

 

 いやまてよ。官吏大臣の称号が「卿」でしたね。その下に「臣」とか付ければどうでしょう?」
じゅえる「そうか、「太夫」は大げさか。」
まゆ子「太夫は二文字でめんどうというはなしだな。「臣」なら許そう。
 ついでに更に下に「督」の字もありでどうだっ!」
釈「「卿」「臣」「督」ですね。ひっくるめた総称が「太夫」」

じゅえる「それ以下の官位はどうする。無いとさすがに困るだろ。」
まゆ子「官位外官位ということになるなあ。
 「輔」「佐」「長」「率」「助」「男」てなもんでどうだ。
 ちなみに俸給レベルだと「輔」で「臣」、「佐」で「督」と同等ということになる。6・7等爵だね」
釈「五等級は作り過ぎでは。でも貴族以外の官僚となるとこのくらいは必要ですかね。」

 

     ***** 

釈「ところで軍人はどうなってますかね爵位でなくて編成では。」
まゆ子「あー、普通でいいんじゃないかな。
 国王の軍隊と諸侯の軍隊と階級や雇用形態が違っても。
 どうせそれぞれの軍勢の指揮権は諸侯にあるんだから。」

じゅえる「そりゃそうなんだろうが、とりあえず国王軍を決めておかないとな。」
まゆ子「そうだねえ。というかまずは最高指揮官「元帥」が国王さまなのは当たり前。
 で将軍が居て、……何段階くらいに分けようか。
 つまりは諸侯の軍勢を合わせたものが国王軍の全軍であり、国王自身が率いるのは親衛隊というが禁軍なわけで必ずしも戦力の中核とは呼べない。」

釈「あ、そうなんですか。国王は自ら戦わない?」
じゅえる「というか、国王が戦ってしまったら誰が褒美をやるんだよ。
 国王じゃない者が戦うから褒美をくれる存在として国王の意味があるんだし、国王自ら戦ったら各種権益は国王に帰属することになっちゃうぞ。」
釈「あー、つまり権益の維持の為に諸侯は自ら戦って独立性を確保し続けないといけないわけですか。
 はあ、うかつに国王に前線に出てきてもらっては困りますね。」

 

まゆ子「とまあそういうわけで、「将軍」というのが任命されてこれが実質国王軍の指揮官である。
 「将軍」の地位はつまり諸侯の内の有力大貴族の当主指揮官と同格が定められている。つまりは「将軍」は「侯」の格。
 であるから、つまり三等爵であって、34567等まで軍の指揮権は分割されるわけだ。」

釈「なるほど。小隊長格が7等爵の「紳」てことですね。
 「騎士」は、」
まゆ子「つまり騎士は戦場においては「紳」と同格なのだ。

 「紳」は小隊長といえども自分が引き連れてきた兵士を中心とする歩兵小隊の指揮官という位置づけになる。
 本人は騎馬に乗っていたとして、それは歩兵小隊指揮の隊長という意味だね。
 一方「騎士」は自身が戦闘力であり、機動戦闘において自主的な判断能力と権限を持つ。
 騎兵と歩兵が合同で戦闘を行うからこそ、軍隊として機能するわけだ。」

じゅえる「まあ「騎士」の方が戦闘の専門家ってことだな。」
まゆ子「歩兵指揮においても、「紳」は必ずしも軍務に明るくはない。だから「騎士」に委ねるという事もある。
 これは別に恥ずかしいことではなく、ただ単に軍事の専門家に運用を委託するという意味でしかない。
 まあ戦場に来ているだけでも偉いというこった。」

じゅえる「ほんとうにそんなレベルなのか?」
まゆ子「だって、「紳」てのは地方小領主であって、その率いる歩兵は自らの村や領地の者だよ。
 下手な戦闘指揮によって全滅とかなったら目も当てられない。
 だから「騎士」に実務を委ねるが、
 それでもリスクが大きくなった場合の判断はその小隊の所有者とも呼べる「紳」が責任を持たねばならない。」

釈「ああ。地方領主ってのは人死のリスクとコストを計算しなければいけなかったですねえ。」
まゆ子「だから貧乏騎士に依存するのは大間違いなわけで、彼らはコスト計算なんかせずにただ戦争の勝敗しか見ていない。
 一将功成りて万骨枯る、なんてされては困るのだ。」
じゅえる「そりゃあとんでもないリスクだな。なるほど、「紳」はヤバい階級なんだ。」

 

まゆ子「で。大中小の伯だ。
 基本的にはオンナジなんだが、さすがに財力があれば自前の騎士が雇えるし、自分達の都合利益を最優先とするコスト計算をさせる事が出来るんだな。」
釈「なるほど、やっと軍師的な者の位置づけが分かってきました。コストとリスクですね。」

まゆ子「大が大隊長、中が中隊長、小が小隊よりは大きいか。小伯が率いる軍勢は百人くらいになる。
 そうだねー、1千人、3百人、1百人、だな。「紳」は50人以下10人以上だな。」
釈「そんなにばらつきがあるんですか。」
まゆ子「基幹となるのが自分の領地から連れてきた家臣で、それに傭兵や雑兵を加えた人数になる。
 あるいは複数の「紳」の家臣による合同軍だな。こっちの方が結束力という意味では強い。
 むしろ傭兵雑兵なんかあてがわれて堪るもんか。統率が取れんわ。」

じゅえる「傭兵はダメなのか。」
まゆ子「傭兵は基本どこの世界でもダメですよ。ダメでないのが有名になるくらいには。」
釈「ですよねえ。ダメな傭兵ばかりを率いて戦争なんか出来ませんよね。」
じゅえる「それでも傭兵を用いるとすれば、騎士に運用を任せるわけか。」
まゆ子「そうだねー、国王や諸侯がカネで雇った兵力は騎士によって運用される事になりますねえ。
 働かない、逃げ出すとかしたら容赦なく背中から斬りますよ。」
釈「それがプロフェッショナルですね。」

まゆ子「まあ実際の運用においては、小伯が率いる小部隊に「紳」が率いる家臣団が数組合流して、傭兵隊を騎士が率いて、さらに騎兵隊が付随する。
 そういう感じになります。
 指揮官は小伯ですね。」
釈「200名くらいですか総員。」
じゅえる「いや、小伯も基幹の家臣は50名くらいではないか?」
まゆ子「そうだね、30名だなそれに小者を輸送任務に用いるとして50から70。
 複数の隊が合流して一戦隊となって100名余って感じだかな。」

じゅえる「指揮官の名称はどうする?」
まゆ子「

(ここからすごく考えます……、まとめました!)

まゆ子「あー、とにかくちょこっと替えましょう。

 国軍>侯軍  >大軍>伯軍>隊軍>小軍  ・  兵隊

 将軍>> 大将/上将(副将)>伯将/中将 >代将>部将・隊将 >佐将>軍将>隊尉

  大隊として1千人規模の部隊を率いるのが「大将」。大伯がその任を務めます。つまり「大伯軍」略して「大軍」(「大きな多人数の軍隊」とは差別化するために「だいぐん」と呼びます)
   軍事専門家としての騎士の最上位が大隊大将の「副将」を務めます。
    国王直属の軍隊や、場合によっては大将不在の大隊が発生する事もあります。この時は正規の指揮官として「上将」に就任します。
 「代将」は大将の代わりに命令を遂行させる騎士・高級士官です。場合によっては所属の「中軍」部隊の指揮官も務めます)

 300〜500人規模の中隊は通常「中伯」が指揮官となります。「伯将」と呼びます。
 「中軍」もしくは「伯軍」と呼びます。
  通例では「小伯」によって率いられる「隊軍」を複数傘下に持ちます。「隊将」です。
  また砲兵工兵輜重輸送などの専門部隊がこの規模でまとめられます。「部隊」です。この指揮官を「部将」と呼びます。
  「伯将」がその任を果たせない場合、また純軍事的に専門家の意見を必要とする場合は、「大軍」より派遣される「代将」に任せます。(代将の由来がここからです)
  伯軍における騎士・中級士官を「佐将」と呼びます。

 100人程度の部隊を「隊軍」と呼び、「小伯」がその指揮官となります。「隊将」です。
  通常「隊軍」には小領主「紳」が自ら率いる小戦力が加わります。これを「紳将」と呼びます。
  隊軍において軍事的アドバイスを行う騎士・下級士官を「隊尉」と呼びます。
  隊将が任を果たせない場合は紳将がその役を努めますが、それでも無理となれば「佐将」を派遣してもらう事になります。

 50〜30人またそれ以下の部隊は「小軍」となります。「紳」が複数名連合して結成されます。
 「紳将」が名目上指揮官「軍将」となりますが、通例では「隊尉」が実質の戦闘指揮を執ります。
  「紳将」が自らが領地から連れてきた兵士のみで行動する場合は「紳軍」もしくは「紳隊」と呼びます。分隊規模です。
 なお「紳」の小領主は自らの代わりに騎士を雇って派遣してくる事が少なくなく、その場合は国軍に所属する騎士「隊尉」が指揮権を委ねられます

 

  専門家である兵士、また傭兵、さらにはかき集めてきただけの「雑兵」だけで構成される軍隊は「兵隊」と呼ばれます。
 貴族身分によって率いられる軍勢よりは格式において譲ります。
 国王が自前で抱える軍隊は「兵隊」ですが、国王率いる「国軍」には有力貴族の私兵である「侯軍」と大中小伯紳の領主によって率いられる「大伯隊小」軍を含みます。
 「侯軍」の指揮官となる有力大貴族は「侯将軍」と呼ばれます。
 国王が任命する最上位指揮官「将軍」はコレに対して「国将軍」とも言います。王族が務める場合は「王将軍」

 「兵隊」の指揮官は騎士身分により上将>中将>佐将>隊尉 になります。

 つまり騎士身分の階級は 上将>代将>佐将>隊尉 の4段階になります。かんたんです。

 

釈「将軍の大安売りだ!」
まゆ子「いや、だいたい中国の古代の軍隊って大安売りだよ。」

じゅえる「騎士はほんとにそんな簡単な区分?」
まゆ子「役職は色々あるけれど、身分的にはその4つだけだよ。
 課長部長とかといっしょだ。」
釈「下っ端の兵士の階級はどうなります。」
まゆ子「そりゃ簡単に

 雑兵→兵卒→兵士→兵長→兵頭(→隊士→隊長) <<隊尉 くらいだな。

 「紳」の従卒は隊士→隊長 として別格あつかいになる。
 というか、雑兵兵卒は補助的な要員として考えて、戦力として期待できるのは兵士から。
 直接の戦闘部隊には兵士から上しか居ない、てなかんじでもいい。
 雑兵なんかは荷物運び要員だなだいたい。」

釈「むりやり数を増やした的な?」
まゆ子「常雇いの兵となると「兵士」くらいだよ。
 「兵卒」は従軍経験があるとか戦闘訓練が済んでいると保証されている者。戦闘経験はたぶん無い。
 「雑兵」はとりあえずかき集めてみました系。」
じゅえる「訓練が無いと使い物にならないからなあ。」
釈「戦闘経験の無い兵、てのはー、まあありますか。
 戦争で実際に戦ってみたのが「兵士」としてワンランク上になってるんですね。」

まゆ子「まあとにかくね、小隊レベルの「小軍」は30〜50人しか居ない。
 その兵は40人てとこ、兵士30名兵長5名兵頭2名。隊士が5名に隊長1名、でもう突破したじゃん。
 小将1名隊尉1名、旗持ちと伝令と馬丁でもう全員だ。

 寄せ集め軍だと、紳将3名(内1名軍将)隊尉1名、隊士10名隊長2名、従卒馬丁旗持ちで5名
  プラス雑兵10名、とかになってしまう。」

じゅえる「格差ひどいな。」
釈「後ろの方は戦闘なんか出来やしないでしょう。」
まゆ子「いや、これでも領主が3人に騎士1名だから騎馬4もあるんだよ。
 隊士はそれぞれの領地から連れてきた家僕や領民として、
 領地でちゃんと弓矢の訓練をやっていると考えるとそう捨てたものでもない。
 まあ、このくらいが小領主「紳」が参陣した時の標準と見てもいいくらいだ。
 隊士が全員弓矢に優れていればそれなりだよ。」

じゅえる「雑兵は何するんだよ。」
まゆ子「まあ武器・弓矢・兵糧の運搬、馬の世話の手伝い、見張り、宿営時に薪を拾ったり飯を炊いたりとか。
 もちろん負傷者を担いで運んだり、戦利品なんかがあれば持ち帰るのに役立ったりする。」
釈「完全に補助的任務のみですね。戦闘には参加しないんですか?」
まゆ子「なにをやらせようと言うんだこんなもの。剣を使うより薪振り回した方が強いような連中だぞ。
 隊士が弓矢で攻撃する時は矢を補給したり、長い槍を持っていてくれたり、案外と便利なもんだ。」

釈「あ、ちょっとまってください。
 この寄せ集め軍、3人も「紳」が居るのに領地から連れてきた兵士は14名くらいですね。
 3で割ると5に満たないです。少なすぎませんか?」
まゆ子「いや、任地に連れてきた人数全員を投入しているわけでもないぞ。
 後方待機している家臣も居るし、というか後方に誰も待っていないとかやばいじゃないか。
 所属する国王軍が手厚い待遇で支援してくれるわけじゃない。」
じゅえる「くれないの?!」
まゆ子「封建制というのはそんなに甘い制度ではありません。」

釈「はー、やばいんですねえ。」

 

     ***** 

じゅえる「こんな兵隊しか集まらないで戦争をする国王とか、正気じゃないな!」
まゆ子「いやだいたいこんなものだよ。

 で「紳」には彼らを無事領地に連れ帰る義務がありそれが利益である。
 だから戦闘においても慎重だし無理無駄はしない。冒険に走らない。そして命令以外の事はしない。
 つまりはこの戦力で出来ることしかやらないよ。というわけだから大丈夫なんだ。」
釈「うーん、非効率ですねえ。」

まゆ子「でも略奪でもしない限りは戦争に出て儲かりはしないよ。ごほうびなんてアテにしてはいけない。
 だったら消極的態度でじゅうぶんだろう。」

じゅえる「儲かる戦争はやらない?」
まゆ子「国王としてはやらないねえ。隣国とは仲が良いわけではなくても衝突しているわけではないから。
 むしろ侯国の貴族が近隣と利権争いでよく揉めていて、そこが炎上したら火消しに行くってのが国王だ。
 だから国内での戦闘ばかりになるわけで、儲からないねえ。」
釈「つまりませんね。外征しましょうよ。」

まゆ子「まあねえ、今の国王がやらないというだけで先代はやってたしねえ。
 ちなみに今の国王はアホボンというのが定説ですが、平和的と表現する事もできます。」
じゅえる「戦争しないと偉大な王とは呼ばれない、か。」

釈「外征をするべきネタってのは無いんですか。」
まゆ子「ネタが無ければ作るのだが、一番喫緊の課題としては、「少佐」の元領地から130体ものロボが発掘された事だな。
 これが起動出来ずにただ埋設するというのであれば、そこまでは問題化しない。
 でも動いて戦力化可能と知れれば、」

じゅえる「動く前に叩く!」
釈「ですね。」
まゆ子「で動かせる起動可能となったというのが、この王妃さま事件で各国に知れ渡るんだ。
 もうてんやわんやですよ。魔法大戦の勃発だ。」

 

【りりかるぽえまーリブート第三回】21/04/21

まゆ子「魔法少女りりかるぽえまー、リブート始めるよお。
 というわけでだ。ここまで書いてよく分からんところがある。

 魔法って儲かるの?」
釈「はあ。錬金術は儲かりますよね。」
じゅえる「雷で凄いことが出来るのなら、錬金術で儲けてくれよ。」
まゆ子「まあそこはいいんだ。だが錬金術を発展させていくと、すごい機械が作れて中世ファンタジーの枠を越えちゃうんじゃないかなと。」

釈「はあ。飛空船とか出てこられると興ざめですよね。」
じゅえる「ああ、機関銃とか作っちゃいそうで困るな。」
釈「魔法があるのはいいとして、魔法が世界観を破壊しないようなレベルで地味に世界を変革している。というスタイルですね。」
まゆ子「まあたとえばだ、
 魔法の錬金術で鉄砲を作ってもいいんだ。合金を鋳溶かして成形して。
 発射機構もそれこそ火縄なんか使わなくて音叉に生じる雷で点火でいいだろ。」
釈「ああー、なんか嫌ですね。」
じゅえる「錬金術でどこまでやるか、か。でも錬金術だけか?」

まゆ子「いやー前に四大精霊魔法を考えてみたけれど、錬金術がすごく捗るね雷魔法。

 たとえば「地」の魔法だよ。雷をどうやって魔法に用いるかと言えば、
 高周波電流で金属や鉱石を溶かして精錬してしまうんだ。プラズマの力だよ。
 すごいよ何でも出来る。」
釈「はあ。それはすごいですね電気炉が実現するんですね。」
じゅえる「なるほど、鉄砲を作ってもまったくおかしくないんだな。それは困った。」

釈「まあそこは、魔法使いが作ったよく当たる鉄砲、てのがあってもおかしくないと思いますね。
 一般歩兵は単砲という擲弾筒でいいじゃないですか火縄で点火して。」
まゆ子「あ、ちなみにこの世界でいう「単砲」「小砲」は火縄銃ではなくタッチホール式つまり火種を砲の穴に直接接触させる事で引火させるシステムだ。最初期の鉄砲だね。」
じゅえる「ああ。火縄銃ですらないんだ。」
まゆ子「というか地面に跪いて撃つから、タッチホールの方が便利というのがある。
 兵士の一人が砲を押さえて照準し、もうひとりが点火する。」

釈「すごい魔法の鉄砲はアリ、ということですね。」
じゅえる「まあ魔法の鉄砲はいいんじゃないか。秘密兵器として投入しても。」
まゆ子「ふむ。だが世界観を破壊しないか心配だ。

 その他にもなんか凄い魔法で世界観が中世ファンタジーを突破しそうなものもあるんだよ。
 たとえば「火」の精霊魔法だ。この魔法は燃料が無ければ動きません。
 だがふんだんに燃料のある場所、例えば都市なんかで家を燃やしたら、その焔をまるで生き物のように操る事ができるんだ。
 焔の魔人として街を歩き回って燃やし尽くす。そんな魔法だよ。」
釈「ああ。ロボより強い魔法ですねえ、燃料のある場所限定で。」

じゅえる「ちなみに「水」と「風」は?」
まゆ子「たぶん昔のりりかるぽえまー設定で書いたと思うんだが、
 「水」の魔法は、水に電気流します。水に触れている兵士は全滅です。」
釈「圧倒的ですね。」
じゅえる「身も蓋もない最強兵器だな。」
まゆ子「「風」の魔法は雷です。その爆音によって敵を打ち据えます。家くらい吹っ飛ばします。
 まあこんなことが出来るのはマスタークラスの魔法卿だけなんですけどね。」
じゅえる「電気魔法やばすぎだな。」

 追記;「水魔法」水の上を反発力で濡れずに歩ける。また水を霧に変えて視界を奪う。水を電気分解して酸素を発生させて水中で息をする。
  「風魔法」それこそ雷が鳴る大音声を立てて戦場の流れを一変させる。イオノクラフトで空に浮き上がる。
  「土魔法」地面が破裂して穴が開く。障害物を高周波で内部から破砕する。地面の下に何が埋まっているか探査する。
  「火魔法」電球が光るのは火魔法の一種。すごい光で眼を眩ませる。焔の蛇が城の隙間に入り込む。

釈「すごい威力です。なんとか防げませんか。」

まゆ子「いや、当然のことながら魔法はロボが下に眠ってる土地でしか機能しない。
 だからロボがスプーンで投石攻撃を行えば一方的に破壊し勝利だよ。
 まあそれを補う術として、ロボの近くに居たら魔法使える事にするけどね。」
じゅえる「起動して地上を歩いてるロボの近くなら、魔法は使えるってことか。」
まゆ子「しかも都合の悪いことに、敵の魔法使いだって魔法使えます。
 おおむね300〜500メートル圏内で魔法が可能となりますね。

 地面に埋まってるロボだって、深度によって影響範囲が変わって浅いほど広い範囲で可能となります。
 まあ深く埋めたら地上では一点でしか魔法が使えないんだけど、ユーザーが一人しか使えない分エネルギーは強くなりますよ。」
釈「複数人が同時に魔法を使うと、エネルギーが分散するんですか。」
まゆ子「まあ、大魔法出ない限りはキャパの範囲に収まりますけどね。威力低下とかあまり起きないから分からない。」

 

じゅえる「とにかく四大精霊魔法が凄いことは分かった。
でもそれだけでは儲かるというわけにはいかないな。なんか無いか。」
釈「そこまで大げさでない普通の魔法使いがいかにも賢そうにしかめっ面で使う魔法が、なにかすごい価値がある。
 そういう感じが欲しいですね。貴族達が魔法使いを争って求めるくらいの。」

まゆ子「若返り魔法、とか?」
じゅえる「ありなのかそれ?」
まゆ子「電気浴とかでお肌ピチピチ美顔とか、ありだろう。」
釈「うーん、命に関わるものだと大枚を叩いてでも求めますねえ。医術魔法とか無いですかね。」
まゆ子「死んだ人間に心臓マッサージをかけるくらいはありますよ。
そうだな、ゾンビくらいは作るかな。」
じゅえる「さすがにそれはやめろ。」

釈「心臓が止まったはずの病人が、魔法の力で心臓が動き続けて生き続ける。そのくらいはアリにしましょう。
 ベッドに魔法の機械を設置して、そこから離れては動けないけれど生きている。」
じゅえる「生命維持装置か。」
まゆ子「それは大枚叩いてでも手に入れたいな。」

  追記:生命維持魔法にはコントローラーとしての念話の巫女が必要となりました。
   24時間ぶっ続けで接続し続けないと死んでしまうので、多数の巫女が必要です

 

釈「電気の光で幻燈として空中に映像を浮かび上がらせるとか?」
じゅえる「それ以前に電灯を作れよ。」
まゆ子「おお! 篝火よりもはるかに明るい魔法の光。それは大枚叩いてでも求めたい。」
じゅえる「だな。どんな照明よりも豪華だよ電灯は。」

釈「では貴族の館には魔法の光が宿っている、という事にしましょう。
 ついでに冷暖房完備で。」
じゅえる「マジックルームだな。夏でも涼しく冬でも温かい部屋が魔法で実現する。
でもエアコンて作れるのか?」
まゆ子「魔法使いのやることだから大丈夫だぞ。なんか魔法の壺が冷気を吹き出すんだ。
 魔法のストーブも作ろう。餅が焼ける。」
釈「扇風機は作りましょう! 冷蔵庫も!」
まゆ子「いやそれはすなおに、氷を自ら生み出す魔法の桶とかにしよう。
 好きな時に好きなだけ氷が手に入る。こんな凄いものは無い。」
じゅえる「すごいな魔法バンザイだ。」

 

釈「電波で無線が出来るんですよね。魔法でスマホとか。」
まゆ子「アリにしましょう!」
釈「アリですかっ!」
まゆ子「砂鉄を使って文字や絵を浮かび上がらせるボードがあるじゃない。アレだよ。
 たとえば「魔法の木」というのがあって、そこに魔法無電で文字を刻むと、
 「魔法の木」にアクセスした魔法使いはボードの上に文字を得る事ができるんだ。
 今書かれた文字しか読めないけれど、ボードに出た文字を弟子にでも書き留めさせていけば、一連の会話が成立する事になる。」
じゅえる「魔法のLINEか……。」

釈「しかし、どうやって「魔法の木」に文字を書き記すんですか?無理でしょ。」
まゆ子「いや素直に「魔法の木」の管理人に対して無電で「こう書いて」と依頼すると、
 その文字列が木に記されて、アクセスする人全員が共有する事ができる。」
じゅえる「つまり「魔法の木」は簡易電報システムに過ぎないのか。ただのアンテナ?」
まゆ子「それでいいんじゃないかな。

 いやむしろ、魔法使いが遠距離通話するには巨大なアンテナである「魔法の木」に対してのみ可能であり、
 魔法使い共通インフラとしてそれが管理されている。」

じゅえる「そこは砂鉄じゃなくて、文字を表示するローターとかの方がよくないか?
 文字列の文字数が16個とか決まっていて、ローターが自動でくるくる動いて文字列を際限なく生成する。」
釈「それはー、でも管理人に対してどうやってこちらの書き込みを伝えるか、もっと考えないと。」
まゆ子「そこは銅線でよいだろうさ。
 つまり魔法使い達は「魔法の木」に対しては誰でもが銅線を引いている。
 で念話の巫女を通じて管理人に書き込むべき文章を伝達する。
 管理人は「魔法の木」を通して全魔法使いに文字列を送信していく。」

じゅえる「もうちょっと楽に書き込みたい。」
釈「銅線が直結しているのなら、ローターをセットして送信ボタンを押すだけでいいんじゃないですか?」
まゆ子「あー、有線でなければダメという古いインターネットだな。」
じゅえる「スマホじゃないな。なんか別の手を考えよう。」
まゆ子「というか、それは本当に電線を直結して通信する電話交換所でいいと思うな。」
釈「はあ。そりゃそうです。

 とりあえず魔法掲示板としてはアリとしましょう。」

まゆ子「あーもうめんどくさい。
 魔法の小鳥が飛んでって手紙を届けるなり言葉をしゃべるなりで伝えるでいいよ。」
じゅえる「ドローンだな、無線誘導の。」
釈「ああ、動力は無線で供給されますからねえ。飛びますねえそれ。」
まゆ子「あ、いやそうだ。「魔法の木」を目指して飛ぶだけの機能をしか持たないドローンなんだ。電波発するからな木。
 だから一方通行で。」

 

まゆ子「とにかく魔法の図書館みたいなありきたりのカビの生えたようなアイテムは欲しくないんです。
 やるなら魔法使いの頭の中の精神の宮殿の中に知識を全部蓄えて下さい。」
じゅえる「魔法図書館は無しか。まあ、カビ生えてるしなあ。」
釈「お手軽に攻殻機動隊するアイテムなんですけどねえ。」

まゆ子「もうちょっと即物的なものが欲しいぞ。すなおにカネが儲かるような。」
釈「電信で株式相場でも伝えますか。」
まゆ子「そいうのが一番ヤダ!」
じゅえる「電気でなんかできるような、ぶどうが育って酒ができるとか?」
まゆ子「うーん、そこは雷あまり関係ない。」
釈「雷が落ちるときのこが生えてくるとかでは?」

まゆ子「電灯と冷蔵庫と、他に欲しいものはないか。電話はまあなんとかします。」
釈「そうですねえ、健康アイテムになんかありませんかねえ。」
じゅえる「すなおに武器でいいんじゃないか。雷で敵を撃つ。」
まゆ子「護身用の雷武器とかかなあ。あまりカネ儲かりそうに無いな。」
釈「電動馬車にでもしますか?」
じゅえる「モーターはありなのか?」
まゆ子「なし! でも、ソレノイドはアリかもしれない。」
釈「ソレノイドって、リレーですか。」
まゆ子「回転動力ではなくて、引っ張る動力ということだな。」
じゅえる「あまり面白くないな。」

  追記:モーターは禁止となりました。ソレノイドエンジンが用いられます。
    ソレノイドによる往復運動をシャフトに伝えて回転運動を作り出す妙なエンジンです。
    これにより扇風機が実現します。
    なぜモーターが禁止かというと連続的な電流というのが魔法では難しいのです。というか雷だから基本瞬間で出力します。

まゆ子「通信、冷熱、照明、動力、映像音声、記録、他にほかに。」
釈「探知は? 天気予報とか。」
じゅえる「予知系の魔法はどうなんだろう。あるいは精神を支配する方法。」
まゆ子「それは電気魔法とは相容れない。むしろ教会が宗教で行うものじゃないか。」
釈「あくまでも物理的な利益を発生させる魔法、というところがいいですよね。」
じゅえる「魔法の宗教化を拒絶するような、リアルな魔法。それこそ武器兵器と似た感触を持ったリアルな存在。
 魔法ってのがそういうものであるべきなんだ、この世界観だと。」

 

まゆ子「風呂入って考えた。拷問だ。
 どうせ念話の巫女を貴族は飼うのだから、これと魔法使いとが効果的な尋問を行う魔法箱というのを作るんだ。」
釈「魔法箱、ですか。」
まゆ子「元は「降霊箱」なんだけどね。死んだ人が現世に現れる。

 とはいえ、電気魔法は死者の霊の存在など認めない。ではどうやって幽霊を出現させるかと言うと、
 生者の脳に記憶される故人の思い出を箱の中に投影させる。
 箱は2枚の電極板があって、その間にアルコールランプとかで火を灯す。
 この焔を雷の力で操り変形させて幽霊の形を作り出すんだが、死んだ父母や亡き先王とか関係深い人の形が出現する。
 もちろん電極板が振動して音も声も出てくる。記憶するとおりの。
 念話の巫女が介在しているのだからすんなりと出現するし、そこを上手く持っていくのが魔法使いの技だ。

 で、人間は両親からなんやかんや言われて育つけれど、ほとんどを忘れてしまっている。
 よく記憶するという人でも実際は1割も覚えていない。
 だが降霊箱は忘れてはいるけれど脳内には記憶されている故人の姿を再現して、忘れたものを思い出させる機能を持つわけだ。
 体験者としては、自分がよく知っている人物が目の前に現れて生前の通りに喋っている。という感覚になる。
 まあこれだけでも記憶の継承という意味では貴族社会において非常に有益なものだが、
 この技術を尋問にも使おうってわけだ。

 念話の巫女が尋問対象の脳内に潜入して、魔法使いが誘導する様々な質問を浴びせ、時にはちょこっとだけ電気魔法でお仕置きして、
 それで脳内の反応を引き起こし、被尋問者が体験した情景を降霊箱に再現する。
 文字であれば、砂鉄板によってその形が描き出されるというスグレモノだ。
 そしてこの降霊箱を使う尋問は拷問と違ってほとんど暴力を必要としない。
 精神的には多少のダメージはあっても3日もあれば回復する程度。非常に良心的常識的だ。」

釈「おお、これは欲しい。」
じゅえる「なるほど貴族社会にとっては必需品みたいなものだな。」

まゆ子「だがこれは大貴族専用とするべきだろう。中小貴族の為のお安い商品をご用意しております。
 つまり拷問専用の降霊箱だ。
 被尋問者の頭に金輪を付けて念話の巫女が直接に脳内の言葉を聞き取る。
 魔法使いが巧みに尋問して、時にはちょこっとお仕置きして、脳内の言葉を導き出す。
 降霊箱ほどは効果的ではなく、深層の情報は引き出せないけど、たいていの場合は有益な情報を引き出す事ができる。
 もちろん身体的ダメージは最小の人道的なものだ。
 これに比べると魔法を使わない「神塔会」の異端審問とかもう地獄だよ。」

じゅえる「廉価版が必要なのか?」
まゆ子「大貴族専用の降霊箱尋問が普及すると、その対策も取られちゃうからね。
 大貴族だけに限定する事でその有用性が損なわれないってことだよ。」
じゅえる「ふむ、理にかなっている。」
釈「たしかにこれは大金を投じても入手したいアイテムです。

 ですが、これを裁判に使ったら簡単じゃありません?」
まゆ子「そこは魔法使いが反対するんだ。
 「貴族出身の法官がしょせんは下民卑俗の犯罪者ごときにたぶらかされて口も割らせられず、魔法ごときに頼るのか」と。」
じゅえる「プライドの問題ってことか。」
釈「支配の根幹を揺るがしかねませんね確かに。法の支配の絶対性が損なわれます。」
まゆ子「というわけで、少なくともこれは必要なアイテムだし、攻殻機動隊においては必ず出すべきアイテムです。」

 

じゅえる「まだ足りねえ。貴族様に魔法をもっとお買い上げになるアイテムを提供しないと。」
釈「まだ必要ですかねえ。もっと有用なアイテムが。」
じゅえる「というか、魔法芸術による美術品とかあってもいいんじゃないかな。」
まゆ子「まあ魔法によってなんかコレクターズアイテムが発生する、てのは大金も動いていいんだけど、
 でも実益が無いとさすがに読者様に説得力が無い。」

釈「魔法で動く銅線を絡めて作った人形、てのはどうでしょう。
 魔法で人形劇団が作れるのです。」
じゅえる「うあ、なるほどそれは不要不急のアイテムだな。」
まゆ子「だよー。なんか実益によってこそ値打ちがあるものに、付加価値としての芸術性が欲しいのだ。」

釈「電気ブラン……。」
じゅえる「電気ブランて、電気必要なのかアレ?」
まゆ子「だが、まあ電気の力でワインをなんか別のものに変化させて不老長寿の妙薬ってものに変えてもいいな。」
じゅえる「具体的にはなにになるんだ。」
まゆ子「そんなもの実在するわけが無いだろう。
 そうだな、「精髄液」とかいう魔法の飲み物ができるんだよなんかドロンとした。」
釈「ロボの脳髄から出てくるやつですね。」

じゅえる「飲んだらなんか電気が口の中を走るようなびりびりした感触があるんだ。炭酸入みたいなもんだな。」
まゆ子「うん、炭酸入りでもいいな。で滋養強壮に効くんだよ。疲れが一気に吹っ飛ぶ作用を持つ。

 あ、そうだ。これは医療用としても使われる事にしよう。
 戦場などで負傷した際にこの「精髄液」で傷口を洗うと化膿しないで死なないで済む。」
じゅえる「殺菌作用か。そのくらいは認めてやるべきか。」
釈「電気で作るんだからようは電解水ですねそれ。」
まゆ子「そうとも言えるか。」

じゅえる「つまり電気分解だよな。水を電気分解して酸素と水素を作り出すとかアリだよな。」
まゆ子「ふつうにね。というか、それは四大精霊魔法の第一段階入門編だな。「水と雷から炎を作り出す技」」
釈「はあ。水素で気球が作れますね。」
じゅえる「酸素を集めて錬金術で使えばよくないか。それと息が苦しい人に酸素吸わせて楽にさせるとか。」
まゆ子「ふむふむ、どちらにしても十分魔法っぽくていいぞ。」

釈「でも、それだけで魔法がたくさん入用、てことにはなりませんねえ。」

 

じゅえる「でもさ、よく考えたら電球一個を光らせるのに魔法使い1名が専属で必要なんじゃないか?」
まゆ子「いやそこは、   そうだな。屋敷の全館を光らせる為には数十個の電球が必要なわけだ。
 ガラスの球の中に魔法の音叉を閉じ込めて密封したのを数十個。」
釈「まさに電球ですね。」
まゆ子「当然それらは銅線で結ばれ、大元となる「魔法源室」に通じている。
 でそこに大型音叉があって、魔法使いが同じ部屋に居ればすべての電球が発光するという代物だ。」

釈「光らせている間は魔法使いはその部屋に居なければならないわけですね。」
まゆ子「だからそこは魔法の図書館になってるんだ。
 電球光らせながら自分は魔法の勉強をする。
 貴族の屋敷でぬくぬくと安定した身分で研究を進められるんだ。
 ついでに「精髄液」も作ることにしよう。らくちんらくちん。」

じゅえる「はあ。魔法使いとは気楽な稼業ときたもんだ。」
釈「ああそれはー賢人ということで、天気予報で農業に役立つ知識を与えたり、様々に役立つということにしましょう。」
まゆ子「つまり、魔法使いと貴族は不可分の関係となった。
 なにしろ電球の光は一度経験すればもう忘れられないからねえ。
 というわけで、王国では魔法使いは普通に尊敬される職業なのだ。」
じゅえる「経済的基盤が確立した、ということだ。

 そこで「魔法の木」だな。」
釈「そうですよ。大貴族さまは王都だけでなく自分の本拠地のお城にも魔法使いを住まわせているんですよ。
 で直接電線を通すことの出来ない長距離も、巨大な「魔法の木」によって通信ができる。
 王都に居ながらにして領地の詳細を知る事ができる通信システムを保有するんです。」
まゆ子「長距離通信も可能とするか。でも、

 ……念話の巫女はあまり役立たないな。」
釈「いいじゃないですか、有線通話の時には必要だし降霊箱を使う際には必需品なんですから。」
じゅえる「そうだな。念話の巫女は魔法使いでなく道具に過ぎないんだから、用途は限られるくらいでいいんだよ。」
釈「そもそも彼女達は貴族に買われていくんですよね、奴隷なんですか?」
まゆ子「ほぼ奴隷身分だが、修道院「修法館」に対する寄付寄進というかたちで巫女を連れて行く。
 まあ奴隷ですね。」

じゅえる「で、魔法の木は直接会話ができるものとするか。それともローターでのみ文字列を送信できることにするか。」
まゆ子「ローターで。魔法の助手がつきっきりでローターを監視するんです。
 まあ通信が入った際はベルが鳴ることにしておけば見逃しませんが、魔法使いの助手というのはポカミスをするのがお仕事です。」
釈「魔法使いもの定番ですね!」

じゅえる「魔法使いの弟子と念話の巫女がいちゃいちゃセックスしてたら見逃した、とかでお話が出来るぞ。」
まゆ子「ああどちらも魔法使いの下位に属する職種だからな。アリだな。
 そもそもが魔法の木を駆動するのにも常時魔法使いが張り付いてないといけないから、
 そこは念話の巫女でじゅうぶんという事にするか。魔力が低くて受信だけはできる状態。

 考えた!
 魔法使いというものは魔法で演算しなければならない。でもコンピュータというのはこの時代無い。
 そこで計算に優れた技能を持つ者を魔法助手として雇っているのだが、
 こいつにちょいとアクセラレータの魔法を掛けてやると、あっという間に複雑な計算を暗算してしまうのだ。
 なんか電気でびりびりとして、いきなり計算結果が出現するという。」

釈「アクセラレーターの魔法ってどんな理屈ですか?」
まゆ子「脳内電流が増加します。すごい速さで思考するわけです。」
じゅえる「頭の回転が早くなるのか。でもなんの計算だ。」
まゆ子「そりゃー、魔法のなんとかだよ。
 天気予報とかは魔法でぱぱーっと分かるものではなくて、地道な統計活動によって見えてくるものなんだ。
 毎日細かい計算が必要なんだよ。」
釈「地味ですね。でもだからこその魔法源室の魔法使いか。

 魔法源室って結構重要ですね。」
じゅえる「というか、全館電球用の銅線が張り巡らせてあるとすれば、そこを使ってハッキング出来るな?」
まゆ子「できるね。」
釈「情報が伝達されていない銅線でも、魔法源室に直結ですからね。」

じゅえる「しかし電球光らせたり精髄液を作ったり領地と通信したり拷問したり。
 貴族に飼われる魔法使いもたいへんだな。」
釈「そこはお屋敷付きの魔法使いではなく、拷問専門の魔法使いってのを呼んでくることにしましょう。
 貴族の館付きの魔法使いとはあきらかに性格が異なるでしょう。」
まゆ子「そりゃとうぜんに専門分化もするか。

 

 貴族の身を守る護衛専門魔法使い、てのも居るとよいな。」
じゅえる「魔法攻撃があって、それを防ぐために魔法使いが居る。それでいいんじゃないか。」
釈「魔法攻撃ですねえ。なにか、」
まゆ子「というか、探知魔法だな。周辺を魔法の力でセンシングして脅威を発見するんだよ。
 人の敵意を見出したり、爆弾を発見できたりする。」
じゅえる「魔法衛士だな。」
釈「いい名前です。」

まゆ子「そいつが魔法の銃を使うという事にしておこう。雷で発火する命中率の高い銃。」
釈「探知魔法を使えば隠れた暗殺者もイチコロですよ。」
じゅえる「うんうん、いかにも魔法っぽくていい。
 というか攻殻機動隊ぽくていい。」
まゆ子「この探知魔法も細い稲妻が触手を伸ばしてセンスする、というかたちにすればビジュアル的にOKだぞ。」
釈「統則最前線ですよ。」

まゆ子「考えた。魔法衛士はセンシングするだけだけど、さらに進んだのが四大精霊魔法使いなんだ。
 つまり飛んでくる矢弾を防ぐのは「風」の精霊魔法で、空気の爆発で軌道を逸らす。
 水場でであれば「水」の魔法で敵を一網打尽に電撃攻撃。
 炎で攻められれば「火」の魔法で延焼を防ぐ。
 行き止まりになっても「土」の魔法で障害物を粉砕爆破して逃げる事が出来る。」

釈「凄い魔法ですね。」
じゅえる「具体的な物理魔法だからな。最上位の魔法使いだな。」
まゆ子「まあそういう技能があるということで。でも実際は強力な魔法使いを伴って貴族が出かけるのは殆ど無い。」

 

じゅえる「魔法の忍者とか出るか?」
釈「中世ファンタジーなら黒覆面の刺客でしょう。」
まゆ子「魔法の暗殺者はさすがに要らないなあ。でも魔法使いの犯罪者は必要だ。
 そもそもが主人公騎士は魔法使い犯罪を取り締まる為に「少佐」と接触する事になるんだから。」

じゅえる「魔法衛士のセンシングに引っかからない技能を持つのが魔法忍者だな。
 こいつだけは一般人に催眠術を掛ける事ができるという事にしておいてもいい。
 一般人を操る魔法とかは、無いか。」
まゆ子「魔法が効かないのが一般人だからね。
 というか、魔法使いに対しては魔法攻撃は効くんだよ。対魔法使い魔法使いは居て当然。」
釈「魔法が効かなくなる妨害魔法ですね。」

釈「一般人用の電気魔法としては、
 指先から電流が発して、なんかすごく気持ちいいということで催眠術に掛かるとかでは。」
まゆ子「エロい魔法だな。」
釈「エロい魔法ですよ。女はメロメロです。」
じゅえる「女をメロメロにして手先に使う。操る女で男をたぶらかして手先にする。
 なるほど忍者だ。」
まゆ子「なるほど、それは魔法だ妖術だ。」

釈「というか、この技能こそが降霊箱を使う拷問の技能と直結しませんか?」
じゅえる「廉価版拷問器はこいつらが専門家、ということにしてもいいな。
 知りたい情報をむりやり聞き出せるんだ。」
まゆ子「念話の技能なしで?」
じゅえる「巫女と同様に、忍者も少年たちを買い集めて素質を判定して念話に優れた者を選んでいるんだよ。

 だから邪法であって、教会が男の念話使いは異端だと反対するんだ。」
まゆ子「なるほどなるほど。男の魔法使いはヤバいという話だな。」

 

     ***** 

まゆ子「というわけで、魔法と貴族の関係性はとりあえずはこんなところでいいか。」
じゅえる「錬金術のとこはもうちょっと考えたい。」
釈「でも貴族の生活に魔法使いが欠かせない、てのはこれで十分描写出来ると思います。」

じゅえる「ところで、魔法はそれで完成なのか? 魔法使い達は新しい魔法を作り出そうとかしないのか。」

まゆ子「今魔法使い達の間でトレンドなのは「音の研究」だよ。周波数なんだ。
 これを解明すれば電気魔法が新しい次元に発展すると思われている。」
釈「おお! 電気魔法から電波魔法に進化するんですね。」

 

釈「ところで、このお話のタイトルは『りりかるぽえまー』でいいんですか?
 もっと現代風のわかりやすいタイトルに替えたほうがよくないですか。」
じゅえる「なんとかがなんとかしてなんとかしました系な。」
まゆ子「そうだなー、

 『中世ファンタジーで攻殻やってたら、王妃さまがロボで驀進です』これでどうだ!」
釈「まんまじゃん!」

じゅえる「『中世ファンタジーで甲殻やってたら、王妃さまがロボで驀進です』こうだ!」
まゆ子「あえてりりかるぽえまーしたいのなら、『魔法革命リリカルポエマー』でどうだろう。
 この場合、本編一話ごとに必ずリリカルポエムを書く必要が生じるが。」
じゅえる「書け。」
釈「書け。」

まゆ子「あ。そうだ、『魔法革命イナヅマパンク』にすればポエム書かなくてもいいのでは、」
じゅえる「書け。」
釈「書け。」

釈「でもですよ。よくよく考えると攻撃魔法アリですよね。
 王妃さまがロボで驀進するのはいいんですが、魔法攻撃されませんかね?」
じゅえる「魔法が届かない場所でやるんじゃないのか?」

まゆ子「戦場にロボが有る限り魔法は有効だから、王妃さまが攻撃されるのはアリだぞ。
 だが魔法源が王妃さまのロボになるのだ。王妃さまには誰がどこでどんな魔法を使ってるかバレバレだぞ。」
釈「ああー。逆に殺しやすいんですね。なるほど大丈夫だ。」
まゆ子「だから、魔法使いの支援なしでただの歩兵騎兵を投入して、権臣の息子の軍勢壊滅です。」

     ***** 

まゆ子「ここで残念なお知らせです。
 この小説企画、本格的に『魔法革命リリカルポエマー』に決まってしまいました。
 というわけで、毎話ごとに吟遊詩人がバラカンというギターみたいな民族楽器を携えて登場し、脈絡も無く歌い上げます。」
じゅえる「吟遊詩人て、なんの物語的必然性が?」
まゆ子「ありませんまったくに。ただ「リリカルポエマー」と名が付いたからにはリリカルしないと許されないのです。」

釈「吟遊詩人て貴族が飼っているのですか。」
まゆ子「町中にごろごろしています。また王宮内部でも貴族の私邸でも、それこそ悪党どもが密談をしている現場にでも居ます。
 戦場のど真ん中で兵士が乱闘を繰り広げる中、シャウトし続けます。」
じゅえる「熱気バサラかそいつは!」
まゆ子「いえ、彼は平和の為には歌いません。というか、戦闘シーンとか残酷シーンになると出現して物語を盛り上げます。」
釈「メタ的なものですか。」
まゆ子「だが実体として出現し、それは登場人物達に認知されています。
 それどころか吟遊詩人が歌いだしたら物語が戦闘シーンに突入すると承知しており、それをさせじと吟遊詩人を殺したりもします。」

じゅえる「何者なんだそいつは。」
釈「というか、一人なんですか彼は。」
まゆ子「不特定多数、ですね。どこの現場にも吟遊詩人が現れるのです。」
じゅえる「それは、魔法か。」
まゆ子「現実です。」
釈「おそろしいですねえ。」

     ***** 

まゆ子「ところでだ、王妃さまはこの設定だとあまり身分の高い出身ではない。」
釈「ですよね。」
じゅえる「貴族社会としてはこれは受け入れられないだろ。」
まゆ子「まあそういうわけなんですが、そもそも「念話の巫女」というのは買われてきた女奴隷的なものですから、社会としては最低身分とさえ言えるわけだ。
 まあ実際は「修道院(修法院)」に属する聖職者ですからそこまで最低下層ではありませんが、貴族から見ればドブみたいなものです。」

じゅえる「で結局は王妃さまの身分はどうなるんだ?」
まゆ子「国王陛下が一等勲爵で、その下の二等勲爵が
 その家族つまりは正妃(王妃)・王太子(次期王位、王弟であったりもする)・嫡子(正妃の子)・王太后(王母)さらには王祖母も、そして引退した先王になります。
 先王は上勲爵とも呼ばれる特別身分ですが普通は死ぬまで王様します。
 で王の兄弟姉妹で嫡子であった人は、新王の即位により准二等と呼ぶべき身分になります。これが「王公」と呼ばれる存在で、公爵に相当するものです。
 先王が二等勲爵になるからそれに従ってちょっとだけ順位を下げるという考え方。

 三等勲爵は、王の妾妃また妾妃の生んだ子、王公の嫁ぎ先の大貴族、「侯」国の国主、となります。
 「侯」の国主に王公が嫁いでいくと、まあ特に制度上は変わらないけれど、侯爵は准准二等扱いになります。」
釈「呼び出される順番が上になるとかですね。」

まゆ子「さて。妾妃が生んだ子は王様が存命中は三等勲爵ですが、新王の代になると臣下として扱われる事になり、妾妃の身分によって勲爵が変わります。
 「侯」の出身であれば三等勲爵のまま。これは父親である侯爵の身分に従いますので妾妃の母親が誰かは問われません。
 以下「大伯」の出身なら四等、「中伯」なら五等、「小伯」なら六等、「紳」なら七等になります。
 それ以外の8〜13等勲爵の持ち主が父親であった場合も七等は確定です。
 ただし8910の王の家臣はだいたい貴族出身者が多いから、そちらの爵位から判断される事もあります。」

じゅえる「問題は、民間人からの出身だった場合、だな。」
まゆ子「うん、まあ王の家臣ではないんだから10等勲爵が相当かなあ。まがりなりにも王の子なんだから。」
釈「でも財産的にはどうなんでしょう?」
まゆ子「生きてる限りは捨扶持くらいは出ると思うけど、まあ地券が発行されるんだろう。
 あんまりみっともない事されても困るからね。
 そのうち民間の富豪の家に婿入り嫁入りくらいはするだろう。」
じゅえる「そう考えると、10等でも悪くはないか。」
釈「民間人としては箔がつくという考え方ですかね。」

まゆ子「さて王妃さまだ。
 王妃さまだから二等勲爵なはずなんだが、さすがに身分が低すぎるからちょっとね。
 一応は国家の財産である傀腕のパイロットとしてそれなりの身分を認められるから、13等勲爵は自身与えられていたと考えられる。」
釈「あれに乗るのは名誉なことなんですね?」
まゆ子「一応はね。そうでなければ軍隊において雑な扱いをされるから。
 無茶な指揮官に傀腕が失われるような運用を命じられれば、拒否権は持つんだ。王から授けられた権利だからそれだけで身分と言える。」
じゅえる「そうか、出自はもうどうでもいいわけだ。」

まゆ子「ということは、王妃さまは13等勲爵の身分から王妃になった、という解釈をされる。王室的にはそう扱っている。
 とはいえこれはさすがに貴族社会においては低い。低すぎる。」
釈「ですねえ。」
じゅえる「二等勲爵を認められていないのか?」
まゆ子「国王陛下はそのつもりなのだが、周囲の反対もあって准二等扱いになっている。というとこだね。」
釈「落とし所、ですね。妾妃よりは上なんですね。」
まゆ子「さすがにね。そして王妃には政治に関してのアドバイスをする権限が発生する。こっちの方が大事なんだ。
 そして大貴族が反対するのもこの権利による。
 メギツネが国王陛下をたぶらかしおってこの魔女め、だよ。」
じゅえる「分かるわかる。

 でも、なんで王妃さまは王妃になれたんだ? 正妃ってのは国王就任と同時に発生するものではないのか。」
まゆ子「ここがバカバカしい話でね、
 そりゃ確かに国王さまには大貴族出身の妃が何人か居たんだよ。
 ところがこの妃達は大貴族出身であるからこそ、自分の実家の都合を優先するわけなんだ。当然にね。
 そして大貴族同士が政争を繰り広げる中、誰が正妃となるかでいがみ合って決められないままに王位に就くハメになってしまう。

 ここに現れたのが、腕利きで美人と評判の傀腕のパイロットだ。
 すごく操縦が上手いと聞いて閲兵に来た王様は、その美貌にイチコロ。
 そして彼女は念話の魔法を使う巫女でもあり、王様の心を読んで適切な対応をしてくれる。
 大貴族出身の妃とは異なり、王様だけを優先する心配りができるんだ。
 しかも他の妃達に一歩も引けを取らない勇猛さ。なにせ戦闘が主任務であるからね。
 で王様はこの女なら信頼できると、空位だった王妃の座に就けてしまうんだ。」

釈「貴族社会大反対ですねえ。」
まゆ子「なんだけどさ、王妃になった後は彼女は特になにもしていないように見える。
 だが国王さまはこれまでと違って自信に満ちた決断で次々に政務を片付け難題をクリアしていく。
 大貴族達の覇権争いで滞っていた案件をみごとに解決に導くのだ。
 つまりは善政大爆発だ。
 これにより民間人の国民は王様への支持率UP 。
 大貴族の政争で迷惑をしている下層貴族も支持率上昇、軍隊も規律正しく王様に忠誠を誓うという。

 何が変わったかというと、王様自ら考えてもやはり王妃がこっそりと与えてくれる助言のおかげ。と言っても押し付けがましいものではない。
 国王陛下自らが心に思う漠とした思考に後押しをしてくれる程度でしかない。
 だがそれだけで、これだけの成果が上がるのだ。
 そりゃあ王妃さまを信頼するわけだ。」

じゅえる「なるほどね。つまりは結果がすべてなんだ。」
釈「であれば、国王陛下に権力が集中して、大貴族達の不満も募るって話なんですね。」
まゆ子「そこで王妃さま排除という話が動き出すわけだ。」

 

【バイジャンくん強化計画その3】19/03/10

明美「バイジャンくんが成長する為には、女の子といちゃいちゃしているだけでなく、男同士の付き合いをしなければならないと決まりました。」
釈「ですね。やっぱり男の子には自分の世界があるんですよ。」
じゅえる「まあ、それを描くのに一度失敗しているから、視点を変えてやってみようという感じだな。」

明美「というわけで地獄めぐりをするわけですが、鬼と一緒に飯を食うという展開が定まったわけですが、もっと何か要る?」

まゆ子「それ決まったんだ?」
明美「男同士といえば、やはり敵でしょ。敵と腹を割って話し合うのはヒーローの特権ですよ。」
じゅえる「まったくだ。」
明美「そこで、鬼達が今回の状況で悲惨な目に遭っている愚痴を聞かされて、ああどちらさんも大変だなあと大人の会談を登るのです。」
釈「まったくもって王道ですね。」

明美「さて! で、「婪婆」です。鬼を取って強引に嫁にする恐ろしい存在ですが、」
じゅえる「どうにかするのか。」
明美「コチラ側の事情というものも、バイジャンくんは知るべきではないでしょうか。」

まゆ子「なるほど、筋は通る。」
釈「かなりの長丁場となりますが、展開としてはアリですね。」
明美「鬼達が、実は普段は普通の姿で一般社会に溶け込んで生活しているのですから、「婪婆」も人間に化けて出るべきです。」
じゅえる「美少女!」
釈「う〜〜〜ーーーンンンんん、どうしましょう。」
まゆ子「第三の美少女、という筋か。それはアリだよなあ。ありだよなああでもお。」

明美「いや?」
まゆ子「少し考える。それによってどんなメリットがあるか、どうストーリーが転ぶか。」

明美「でもね、英雄ヱメコフ・マキアリイが前回鬼達も、ワムレフちゃんの母親かおばあちゃんか、を救った時には
 やはり婪婆も幸せにしてあげたんだと思いますよ。
 鬼達がバイジャンくんに期待するのも、その奇跡の再現を密かに願っているからではないですか。」
まゆ子「言ってることはよく分かる。たしかに八方丸く収まるのが英雄の偉業だ。
 でも、バイジャンくんにそれを期待するのはちょっと。」

釈「そもそも、マキアリイさんはどう決着をつけたのでしょうね。」
じゅえる「そりゃあ、     愛だな。」
まゆ子「愛だ。」
釈「とうぜんですか。」
明美「婪婆が真実の愛に包まれて、この時の嫁取り騒動は終わるのです。
 ならばやっぱりバイジャンくんは会わないとダメでしょう。」
まゆ子「しかし、美少女であるかどうかは」

じゅえる「では中年女にするか? 行き遅れ30手前でもいいぞ。」
釈「お婆さんというのはさすがに無理がありますが、」
明美「ああ! おばあさんでもいいな。」
まゆ子「ちょっと待て、攻め過ぎだそれは。」
明美「どうせ魔法使いなんだから、姿形はどうとでもなるんでしょ。老婆だろうが幼女だろうが、」
じゅえる「そうか、会う度に姿が違うという話だな。」
釈「その手がありますねえ。では、最初に遭った時は美少女で、その後様々な姿に化けて出るということで。」
まゆ子「なるほど、バイジャンくんの男が試されるな。」

 

明美「この段階に至って初めて、政府関係者とか工作員とかがステージに出て来るという事になるよね。」
まゆ子「構成的にはそうだ。」
明美「ひっくり返そう。」
じゅえる「構成をか。つまり最初から工作員を出しておく?」
釈「あまり嬉しくないですね。」

まゆ子「いやそいう話なら、ワムレフちゃんが実は最初から政府の紐付きだだったという展開で、ここで暴露されるという。」
じゅえる「おお!」
釈「そう来ますか。でもそれではワムレフちゃんは真の嫁ターゲットではない?」
明美「そこは真実のヒロインということで本物に。」
じゅえる「うん。ターゲットであることは政府も理解しており、そこで鬼のアイテムを奪取しようという計画が持ち上がるわけだ。」

明美「闇御前出そう!」
釈「とっくに死んでますよ。」
明美「新闇御前です。」
まゆ子「まあ、50年も経ってれば新しくそんな奴が出来てても仕方ないな。」
じゅえる「だがビジュアルは変えよう。なんだかハイカラなおじいちゃんだけど腹黒で。」

まゆ子「ふむ、つまりワムレフちゃんは新闇御前の庇護の下でこれまで飼われてきたわけだ。
そして、時節到来。猟犬達の前にエサとして放り込まれる。そいう話だな。」
釈「なるほど。」

じゅえる「待った。では「面堂くん」というのは、」
明美「そら孫でしょ。」
釈「いやーそれはー、でもそのくらいの背景が無いと、この異常事態の怪奇現象の中での関与は許されないな。どうしましょう。」
じゅえる「そこは「マキアリイの隠し子」という奴の出番だな。」
まゆ子「隠し子!」
明美「ああー、そういう筋がありますか。でもヒィキタイタン様のお孫さんという手も。」

まゆ子「いや、マキアリイは出してもヒィキタイタンは出すのはよしておこう。そこまで『罰市偵』とリンクさせるのは嬉しくない。」
釈「なるほど。ではヒィキタイタンさまは抜きで。
 でもマキアリイの隠し子はアリですか。」
まゆ子「なんらかの背景の無い奴が登場する方がおかしい。
でも、面堂くんとは違うヤツだな。金持ち面堂くんが失敗を重ねる中、御前様の肝いりで本命が登場! これさ。」

明美「ふむふむ。男の子が3人揃うのであれば、「マキアリイ三種の神器」を3人が同時に用いる事ができますね。」
じゅえる「共闘体制か、それは燃えるな。」
釈「一瞬のきらめきとして、あとは分裂衝突を繰り返すとしても、その時は男同士の友情が炸裂ということでいけますね。」

 

     *****

まゆ子「ところで、約1年前に書いた企画「無謀新企画「空白」」てのがあるのだが、」
釈「はあ、直下にありますね。」
じゅえる「それ以来約1年、ここには描かなかったてことだな。」

まゆ子「この婪婆の話ってさ、なんか「空白」ぽくない?」

釈「はあ。」
じゅえる「えーと、どれどれ?」
明美「得体のしれない空白を、オカルト存在だけが知っている。そいう感覚ですね。」
じゅえる「似ている、というか、似せることができそうな気がするな。」
釈「はあ、やれと言われれば出来るのかもしれませんが、とりあえずのハッピーエンドをこのバイジャンくんの企画には与えなくてはなりませんよ。性質上。」

明美「でもさ、解決はバイジャンくんには望まれていないのだから、テイストとして突っ込んで得体のしれない感覚を読者様に与えるという手は使えるんじゃないかな。」
じゅえる「うーん、そもそもが婪婆が何者かの設定がまるで無いから、使えなくも無いような気がしないでもないか。」
まゆ子「そうだなあ、婪婆自体が空白の権化みたいなものだけど、さらにその先に空白を設定するのか。」

明美「だからさ、かって50年前に英雄「ヱメコフ・マキアリイ」が与えたもの、というのが「空白」を埋めるものであった。
 そういう形で物語世界を構築できないかな。」

じゅえる「解決を与えた? いや、そこまで確固たるものではないか。」
釈「素直に「空白」が埋まる予言を与えた、そんなところではどうですかね。期待ですよ。」

まゆ子「無責任な期待というのは、非常に迷惑かつ残酷なものだぞ。」
じゅえる「だがそれを心底から渇望する者にとって、与えないという選択肢は幸福を保証するものだろうかね?」
まゆ子「じゅえる、残酷でもいいとな?」
じゅえる「残酷であることもまた慈愛であるんじゃないかな。」
釈「難しいところですねえ。無駄無意味の泥沼に浸り続けていることが幸福だなんて世界中の誰も思いはしませんからね。」

明美「無責任な期待を、だがやはりそれが期待であることを再確認させる。
  それがバイジャンくんの冒険の最終目的ではどうですか。
 真の解決なんかあるはずが無い。だが解決が無いと絶望して諦めて、その先になにか落ち着くべき安定した状態がある、というのを肯定するのも腹が立つ。
  だったら、無駄を承知でぶち上げる、という策もあるでしょ。」

釈「ああ、まるで死後の天国みたいなものですねえ。」
じゅえる「じっさいそれで、世界の宗教は確固とした基盤として社会を成り立たせているわけだからな。」
まゆ子「ああ、つまりはその無駄を承知の期待を世界中の人に再度与えるとすれば、新たなる契約、新たなる救世主の登場と言えるのかもしれないね。」

明美「解決は必ずしも必要じゃないんですよ。新しい虚構を世界中が求めているのです。」
じゅえる「ふむ、新しい信仰を、という理屈だな。」

まゆ子「理解はした。理解はしたが、まだ足りない。
 物語としてぶち上げるにしても、それが単なる新興宗教では、不足だ。」

明美「ふむ。宗教を超えるなにかが、ただ単なるラノベに必要とされている。という主張ですね!」
じゅえる「まゆちゃんよ、それはさすがに欲張りすぎるだろ。」
釈「そんなものが出来れば、街に出て新興宗教立ち上げますよ。「くっちゃり教」を。」

 

明美「「くっちゃり教」、いいですねそれ。」

じゅえる「何がだよ。」
明美「だって、世の中の先には何も無いんですよ。世界を統治する計画とか予言とか、一切何も見えない世界ですよこれからは。」
釈「はあ、なにも確とした枠組みが無いままに、宙ぶらりんの誰も先行きが見えないままで、世界中の人々がただ存在し続けていく。
 それが、「空白」の正体ですよね。
 ですが、そこになにかとは、」

まゆ子「落ち着くべき計画が見当たらない、という究極の不安感だよ。そんなものはどこにも用意していないのさ。
  というか、これまで用意された枠組みがすべて耐用年数を過ぎて賞味期限切れなんだよ。」
じゅえる「希望の再生産が無い世界、なんだな。やみくもに古い計画を突っ走るだけの。」
釈「そして、それが古臭いカビ臭い、どうにも現実世界にそぐわない事を誰もが認識してしまう世界なんですよ。
 誰も何も信じられない、だから信じさせてくれるヒトを必要として切実に要求する。」
まゆ子「でも、そんな都合のいい奴が居るはずないじゃないですかあ!」

じゅえる「というわけさ。」
釈「だからこの先どれほど議論をしても、最終結論は「無い」で終了します。それが見えちゃうんですね、この時代は。」
まゆ子「それをどうしようというのさ。」

明美「だからさ、「空白」を終わらせる新しい枠組みを作ろうとする「何者」かの「対話」が有る。
  そういう幻想ですよ。「解決策は今まさに現在作られつつある」」

まゆ子「ほーーーーーーーー、「くっっちゃり教」だ。」
じゅえる「解決が、枠組みが無い、空白が延々と続くという現実を受け止めた上での、無根拠な期待希望としての
 「解決策の策定者が今やってます」という、そういう幻想か。」
釈「その「策定者」というのには、世界中の人がそれぞれ独自に様々な存在を当てはめるでしょうね。
 神だったり造物主だったり救世主だの宇宙人だのなんとか機関だのふりーめいそんだの。」

明美「でもそれをぶち上げた本人は、というか私達なんですがね、は、そんなものまーーーーったく心当たりが無いのです。
 無くていいのです。世界中には哲学やら宗教やらの賢人大学者がごろごろ暇を持て余しているのです。
 彼等に活躍してもらいましょう。

 当方といたしましては、ラノベを書く元となってくれる程度で上等すぎます。」

まゆ子「しかしねえ、そういう枠組みを世界中の権力者やら官僚の人たちが集まって議論して、なんとかひねり出すんじゃないのかな?」
明美「そんなドサンピンが集まって出来るくらいなら、EUが頓挫するわけも無いのです。国連を見てご覧なさい。」
じゅえる「あー、うん。」
釈「だめだこりゃ、ですよ。確かに。」

明美「だからこその、謎の「策定者」ですよ。それも複数人の議論という。
 そんな現実世界で会議している奴よりもはるかに高等な、高次元な、スピリチュアルな存在が、対話を行ってくれているのです。」
まゆ子「無いんだけどね。」

明美「そうだなー、強いて言うならば「時代精神」とかにしておきましょう。」
じゅえる「うわ! 超怪しすぎる。」
釈「分かるようで、ほんとうに何も示唆する情報の無い空虚な単語ですね。「時代精神」」

 

じゅえる「とにかく、落ち着くべき設計図やら理想世界やら予言やらが、今まさに作られており、やがて世界はそこに向かって進み始める。
 そういう幻想を振りまいて商売しようというハラだな?」
明美「ダメですかね。」
まゆ子「あー、まてよ。いや、それはいいんだが、婪婆とどう絡めるかな?」
釈「そこはおいおい考えていきましょう。

 というか、「婪婆」自体は空白の象徴でいいんですよ。
 「婪婆」に対して英雄「マキアリイ」が与えた希望こそが、「くっちゃり教」なんです。」

 

     *****

釈「さて、ここまで固まった上での、バイジャンくんです。」

じゅえる「ここまで企画が固まった段階での情報を元に、バイジャンくんのキャラを再構築する、という作業だな。」
釈「既に、ヱメコフ・マキアリイの薫陶を受けた、という設定から逆算して、『罰市偵』においてはバイジャンくんは「ヤキュ」の練習試合に引っ張り出されている事になりました。
 おおいなる進歩です。」

まゆ子「男を磨いたなあ!」
釈「さらに、鬼と婪婆とくっちゃり教で、パワーアップです。たぶん『罰市偵』内でのキャラとしては、それで十分立つと思われます。」

まゆ子「次の章つまり「危うしニセ病院1」において、巫女寮に魚油発動機の修理に行きます。
 ノゲ・ベイスラ市は停電が少ない恵まれた土地柄ですが、冷蔵庫用の発電機は不可欠の装備です。
 でも何ヶ月も使わないと、燃料の魚油が酸化して固まってしまいます。
 固まらないようにするのがエンジン使う作法なのですが、巫女寮のど素人ばかりでは致し方ない。
 そこで、バイジャンくんの出番です。」

釈「バイジャンくんはヤキュの練習をするのですか?」
まゆ子「無理。なにせ超人野球ですから、素人どころかプロの野球選手が入っても使えない。
 まあ見学だけですが、それだけでバイジャンくん目の玉が飛び出る状態です。」
じゅえる「超人野球って、どの程度の。」
まゆ子「あー、ニンジャが電柱登って電線の上を走りながら球を投げるとか、そもそもボールが見えない時刻に真っ黒のボール投げてますから。それも鉛入りの。」
じゅえる「超人野球だ。」

まゆ子「バイジャンくんの言によると、「ヱメコフ・マキアリイが普通に見える」ほどの連中です。」
釈「しゃあああああ。」

じゅえる「ではつまり、そのような状況を目撃するバイジャンくんに次はどんな属性を盛り込むかだな。」
釈「鬼達との交流からなにか、ですね。」
じゅえる「ヤクザにも会わせてみるか。」
まゆ子「いやさすがにそれは、巡邏軍監のお父様の手前無理です。
  でも、まあ一流の企業経営者とか青年実業家くらいには会ってみますか。」

釈「そうですね、でもマキアリイさんはそういう人達とお付き合いあるんですか?」
まゆ子「答えは○です。そうだなー、誰か一人そういうクセモノの青年実業家くらい用意しておくか。」
釈「バイジャンくんを会わせる為だけに?」
じゅえる「ふむ。マキアリイ事務所とまったく関係ない筋から、マキアリイに関しての評を聞く。そういうのもアリかもね。」
釈「その人が実は、ヤキュのメンバーのひとりだったとか。」
まゆ子「あーーーーー、その手はあるが、保留。」

 

じゅえる「でも、結局は弓レアルに会わないとバイジャンくんのシーンは収まりを見せないぞ。」
釈「そうですよ、黒ぴったんが寂しがります。」
まゆ子「ふーむ、そこはニセ病院に怪しい奴が現れての話に取っておいたのだが、」

明美「そこでさ、黒ぴったんを抱えたまま、その青年実業家の家とかオフィスにご案内されてしまうとかではどうかな。」
じゅえる「ふむ、だがどうやって接触を持つ?」
明美「バイジャンくんが鞄に黒ぴったん入れて歩いてたら、すーっと高級乗用車が近づいてきて、青年実業家が話しかけてくる。
 誰だこいつ、と思っていたら、彼が真っ黒の野球のボールを見せて、あっ!と驚くわけさ。」
釈「ケレン味たっぷりですね。」
じゅえる「いいぞ、そういうレベルだ。」
まゆ子「よっしゃ採用だ! だが何の話をさせよう。」

明美「なにか陰謀でっち上げてよ。」
じゅえる「そうだ、今回つまり第五巻内で決着しなくていい。もう一枚陰謀を噛ませろ。」
まゆ子「なるほど。伏線張りですか。それは考えるな。」

釈「しかし、今からですか。今から何をどこにどう入れますか。」
じゅえる「釈ちゃんよお、明日を超えて明後日に向かうのさ。」
まゆ子「そうそう。」

明美「大陰謀であるのですから、そうですねー「ワムちゃん」でマキアリイが遭遇する鬼との戦いのイントロですよ。」
じゅえる「違いない。この謎は、『罰市偵』では姿を見せる事は無いが、関与はする。そういう仕組みだな。」
まゆ子「やり過ぎるとやばいやつだぞそれ。」
明美「でもヤキュについての説明はありますよね、そりゃ当然に。闇の世界のお話ですよね。」
まゆ子「うむ……。」

釈「テイストとしては、「マキアリイ故郷に帰る」に近いものですね。」
まゆ子「うむ、ファンタジーとしての側面を強化するわけだな。ふむ……。」

じゅえる「どう手を回すかな。そうか、マキアリイがバイジャンくんをヤキュの練習に連れ出したのには、間違いなく目的が有るんだ。
 それは闇の世界のお話であり、巡邏軍監カロアルも関与している謎なんだ。」
まゆ子「ゲルタか。」
じゅえる「それも入れよう。」
まゆ子「入れるのか!」
明美「いいですねえ、ゲルタが繋ぐ男達の世界。いいですねー。」
釈「いいですけどね。でも、うーん、どうやって?」

明美「バイジャンくんはゲルタが苦手だということで、ではとマキアリイが連れて行く。」

まゆ子「意味がわからない!」
明美「そのくらい自分で考えなよ。」
じゅえる「そうだまゆ子、楽をするな。」

 

釈「ああそうだ! その青年実業家の所でワムちゃん出しましょう。ほとんど関連なしでいいけれど、凄い美少女がどんと出てびっくり。」
まゆ子「さいよー。そこでドギマギした経験を下敷きとして、弓レアルに再会して「あーほっとするやっぱりこの人だ」という。」
じゅえる「そうだな、ドギマギはしてもらう。」

明美「ワムちゃんどうする? 妹、使用人メイド、それとも友達というか愛人?」
じゅえる「そこは、バイジャンくんをその家に連れて行く目的と同じ。てのでどうだ。」
釈「なるほど、候補者の顔合わせ的なものでいきますか。」
まゆ子「どうしよう、鬼の話を出すわけにはいかないが、お祭りの手伝いとかの名目かな。」
じゅえる「お祭り、ねえ。ふむふむ、そこで救世主関連のイベントを繰り込むか。」
釈「救世主ですか、「ヤヤチャ」関連ですね。それは当然に有ってもいいのですが、
 いっそのこと、次の蝉蛾神救世主を呼ぶイベントとかにしますかね。」

まゆ子「ふーむ。あーいやどちらかというと人食い教的な?」
じゅえる「人身御供みたいな感触は欲しいかなあ。」
明美「でもポップな感じも欲しい。」
釈「また無茶を。」

明美「そうですねー、イベント屋的な商売として、万博的なものをその青年実業家が考えているとして、」
釈「いやそれは全然方向性が違うと」
まゆ子「いや。むしろ古代の秘術的なものよりもアリだ。新しさが欲しいのは確かだし。」

じゅえる「そうだ。バシャラタンにおいて、タンガラムゥアムシンドラの文物を集めた博覧会的なものを行って、バシャラタン人を一気に文明の意識に導こう、的な」
釈「ああ。先進文明博覧会ですね。それは凄いイベントです。」
じゅえる「これにワムちゃんとバイジャンくんが出演するという線で、どうだ!」

まゆ子「うーむ、うーむ考えたな。うーむ。」
明美「その青年実業家って、いいヤツ?」
じゅえる「どうかな、悪くてもいいが。」
釈「ヤキュの選手なんだから、マキアリイさんと同様の熱い正義漢なんじゃないですかね。」

まゆ子「任せろ。つまりだね、

 バシャラタン法国においては、交通通信の技術、出版や報道業が発達していない為に、全国民が同時に情報を知るという事が出来ないんだ。
 だからバシャラタン発見50年が経った今でも、一般民衆の間では外国というのは遠い存在でほとんど意味を持たない。
 もちろん貴族階級は目ざとく情報を得ているし、交易の恩恵に与かっているのだが、彼等にしても外国を包括的に理解しているとは言い難い。
 バシャラタンの政治は僧侶が取り仕切っているのだが、彼等も旧態依然とした宗教国家として変革を厭う風潮が有る。
  つまりは、遅れた野蛮国という誹りを甘んじて受ける状態と言っていい。

 でも実は、これは諸外国にとっては極めて都合の良い状況だと言える。搾取するにはね。
 目ざといバシャラタン商人というのは居るが、彼らは自身の富と欲望を充足させるだけで満足して、国全体の発展やら権益の保護やらにはまったく思い至ってない。
 憂慮する賢者は少なからず居るのだが、しかし一般民衆がその脅威を全くに理解しないから政治僧が動く事は無く、彼ら賢者の言葉は虚しく宙に消えていく。

 要するに、バシャラタン国民が全員!目を覚まさない事には、どうしようもない状況なのだ。

 ここに、その青年実業家が出現する。
 まあおせっかいにというべきだろうが、義侠心からバシャラタン国民の目を強制的に開かせてやろうと、先進文明博覧会を開催しようと思いつく。
 統合的包括的な近代文明の在り方というものを、それも三カ国それぞれの異なる有り様をばーんとぶつけてやる事で、強制的に自らが劣った存在であることを自覚させるという。まあおせっかいですね。」

じゅえる「非常におせっかいではあるが、必要なことなんだな。」
釈「でも、彼一人ではダメなんじゃないですかね。三カ国どころかタンガラム一国でもうまく行きそうに無い。」
明美「味方が多数必要だよね。」
まゆ子「それが出来る男なんだよ。そして、ゥアムにもシンドラにも賛同してくれる人が居る。

 いや実は、「闇御前」だって協賛者だ。闇御前機関による強力なバックアップも有る。」
じゅえる「いいのか、それ?」
まゆ子「アリにしましょう。

 で、バイジャンくんだ。

 この先進文明博覧会は、要するにバシャラタン国民に強烈な劣等感を抱かせるものなわけだ。
 だがそこで留まっていてはネガティブな感情にとらわれるばかりだ。だから、バイジャンくんのような青少年が必要となる。

 バシャラタンは近代文明機械文明においては大きく劣るかもしれない
 だが精神文明としてはまた伝統文化としては優れた点も少なからず持つという事を、外国の青少年が自ら体験し興味を持つ姿を露わにして、自国の誇りをしっかりと持ってもらおうという話だ。

 というか、バシャラタン法国は孤立していた方台であるから、一つの国家という枠組みの自覚も薄いんだな。
 それを今回強烈に植え付ける必要がある。外国と対比する形で自国をも認識する。
 その助けとなるのが、バイジャンくんやワムちゃんら青少年の体験使節なのだな。」

釈「ふむ、重要ですね。でも一人二人ではダメでしょう。」
まゆ子「ゥアムシンドラからも、そうだなー一カ国10人として三カ国30人くらいの青少年が必要だな。」
じゅえる「大事だな、それは。」
まゆ子「それはも何も、博覧会会場には線路敷いて機関車走らせるし、電気でそこら中ぴかぴか光るし冷蔵庫でアイスクリーム作るし、飛行船やら飛行機は飛びまくるし、当然に兵器類も展示されてデモンストレーションもするさ。とんでもなく大掛かりさ。」

釈「兵器もですか。」
まゆ子「当然に。近代文明の最高の産物だからね。バシャラタンにも軍人や武人階級はあるさ。彼らの興味はまさにここに有る。」

明美「つまりは、兵器の売り込みの為でもあるんだ?」
まゆ子「その側面は否定しない。というか、それでカネを釣って、博覧会を成り立たせるという寸法だ。
 単なる平和的イベントではないが、裏には確固とした平和の意思が有る。
 だからこそ、ヱメコフ・マキアリイも協力して、バイジャンくんを推薦してくれた。」

 

釈「バイジャンくんはなにか特別な役割とか才能が有るんですかね? 普通ぽい役立たずに見えますが。」
まゆ子「バイジャンくんは大事だよ。他に適任者が居ないというくらいに大事だよ。
 何故ならば、前述したとおりにバシャラタン法国には武人階級やら貴族が居るんだな。
 彼らは血縁を元に結びつく氏族だったり部族だったりだ。つまりは血統がものを言う。

 ここに、タンガラムにおいて巡邏軍監という武力で治安を維持する集団の司令官職の息子、という存在が来るわけだ。
 信用度は極めて高く、インパクトは非常に大きい。

 また当然に近代文明の産物として娯楽コンテンツ、映画だねも上演されるのだ。
 バシャラタンにおいては未だ常設の映画館も無いくらいだからね、大人気になるだろう。
 当然に上映されるのは『英雄探偵マキアリイ』映画だ。大人気間違いなしコンテンツ。

 その実際に生存する英雄に直接接触して教えを乞うた、という少年が現れるのだ。しかも巡邏軍監という高位の軍人の子息である。
 どうだこの説得力!」

釈「な、なるほど。」
明美「納得だ。」
じゅえる「たしかにバイジャンくん、重要だな。でもワムちゃんは?」
まゆ子「ワムちゃんに関しては、まあ霊能に詳しいということで、そこにはまた別の思惑が有ることにしよう。」

 

じゅえる「でもさ、そんな大掛かりな仕掛けを、その青年実業家がただ一人で考えつく、というのは異常だな。」
釈「誰か仕掛け人が他に居る。それも超大物、ですかね?」
明美「闇御前はあくまでも協賛者の一人、てことでいいんだね?」

まゆ子「そうだなー、このレベルの仕掛けを考えつく奴となるとー、
 第六巻で出て来る「白の母」、くらいですかねえ。」

じゅえる「おお、本命が出た。」
釈「ああ。ゴバラバウトさんですね。あのヒトであれば、このくらいはやってのけますね。納得。」

 

 

【バイジャンくん強化計画その2】19/02/15

まゆ子「というわけで、あまり好ましくない結論に到達した。」
釈「いきなりなんですかい。」

まゆ子「前回、「まったく役立たずのバイジャン君を強化するためにシリーズを一本でっち上げねばならない」という結論に陥ったわけだ。」
じゅえる「うん、空からラムちゃんが降りてくるやつだな」
まゆ子「だがつらつら考えていく内に、これはかなり根の深い深刻な問題であると気がついたのだ。」
釈「はあ。」

まゆ子「こう言ってはなんだが、現在小説書きはずいぶんといい感じに来ている。ほぼ完成の域と呼んでもいいくらいだ。
 なんと言っても文章自体がばっちり決まるようになったから、これはイケる。」
じゅえる「めでたいことだな。」
まゆ子「だがまだ足りない。まだ最後の最後のピースが抜けている。ごくわずかだが、そこがネックになっている。
 それは何だろうと考えた結果、」
釈「バイジャンくん、ですか。」
じゅえる「若い男の子、少年の描写か。」

まゆ子「つまりは、17才高校生くらいの男子の造形描写というか人物というのを確立していないんだな。
 これはずいぶんと前々から自覚はしていたんだ。というか「げばると処女」の時点で既に問題になっていたから、カロアル軌バイジャンというキャラを作り上げて活躍もさせてみた。」
釈「たしかに、彼は本筋には関係ない割にはがんばりましたね。」
まゆ子「で、うまいこといかないからステージアウトする事となる。
 男性キャラ描写に関してはその後も追求が続いて、レメコフ誉マキアリイ、ソグヴィタル範ヒィキタイタン、といったヒーローを描くことには成功して、現在の「罰市偵」に至るわけだ。」

じゅえる「つまり、バイジャン君は捨てられたわけだな。」
まゆ子「だが諦めてはいない。「ゲキロボ☆彡」において、何度も少年の描写に挑戦はしている。
 その結果、幡龍八郎太というヒーローは出来たが喜味ちゃんに欲情する中学生男子というのも書いてみた。
 しかしまだ足りない。やはり主人公レベルの密度でもってリアル男子高校生を描いてみる必要があり、これに成功しなければならない。」

じゅえる「うーん、何年やっても克服できない問題か。」
釈「あー、そりゃあ難題ですねえ。シリーズ1本でっちあげる必要が有るほどの難題なんですねえ。」

 

まゆ子「実はねえ、描くだけなら書けるんだよ。私はだいたい物語進行がイベント駆動型だからね。
 イベントをぽんぽんと並べていけば、それをこなしていく主人公を描くだけでどんどんできます。
 しかし、欠落している部分というのはイベントが無い部分での彼の在り方なんだな。」
釈「わかりますわかります。日常一般の生活人としての男子高校生ですね。」
じゅえる「つまりはラブコメ主人公だ。」
まゆ子「ラブコメとは限らないけれど、まあ、うん。そこ。」
釈「はー、困りましたね。「らむちゃん」はどう考えてもイベント駆動型ですよ。」
まゆ子「そうなんだ。次から次にイベントを並べれは、小説としてはおもしろいものが書けるのは確定だ。でもそれを求めてはいないんだな。」

じゅえる「イベント駆動型でなくて普通の小説書けるのか?」
まゆ子「あ〜、たぶん他の年代の主人公でも無理。」
釈「書き手としての弱点ですねえ。」
じゅえる「最低限のイベントは用意するとして、心理的に追い込むしかないか。」
まゆ子「いやそれはそうなんだけど、つまりは男子が社会という日常からさらに外に一歩踏み出した時点での個人の目覚めというか自覚というか、つまりは男の子から人になっていくその瞬間というか、」
釈「分かりますわかります。世間でいうところの「成長物語」ですね、あれを書きたいんですね。」
じゅえる「ずいぶんとコアな部分だなあ。まあ意図と重要性は分かるけどさあ。」

まゆ子「つまり外的要因として急迫されるのではなく、自らの行動として飛び込んでいく状況において直面する葛藤やらストレスやら、乗り越えるべき壁とやら、その切々としたリアルが書きたいわけさね。」
釈「分かります、すごくわかりますが、でも。

 まゆちゃん先輩、あなたはそういう小説やらマンガやらを読みますか?」

まゆ子「読まねえ。」
釈「ですよねー。」
じゅえる「SF畑のやつはそうだよねー。」

 

まゆ子「しかし、書き方は分かるぞ。4コママンガと一緒だ。
 最低限のストーリー展開を用意して、その時々のシーンを無駄に膨らませて1本4コマ描く。これを小説にも応用する。」
じゅえる「それはたぶん、手法としてはそれらの作品と違うと思うぞ。」
釈「ええ明確に違いますね。というか、そういうマインド駆動型とでも呼びますか、そいう作品を書く人は心情とかの動きをがあーっと描くと思います。」
じゅえる「まゆ子がイベント駆動型でがあーっと描くみたいにな。」
釈「しかし、出来ないものは出来ないのですから、出来るやり方を選択するのは正しいアプローチです。やりましょ。」
じゅえる「ふむ。じゃあ「最低限のストーリー」を定めるか。

 えーと、まずバイジャンくんはどういう状況から始めるんだ?」
まゆ子「ちょっと書いてみたよ。」

 

「わむちゃん(仮題)」

 彼の名はカロアル・バイジャン、16才高校1年生。
 特筆すべき何事も無い一般的な男子である。しかたがない、ほんとうに無いのだから。

 強いて言うならば、彼の祖父祖母は結構な社会の上層階級で、母親はお嬢様育ち。
 しかしながら貧乏な教師と好き好んで結婚して喜んで一般庶民の生活を送っている点であろうか。
 しわ寄せはバイジャン君に集約される。ほんとうに彼は、典型的普通の子供として育ってしまった。

 頭は悪くない。だが有名進学校に入るほどでは無い。
 運動はそこそこに出来るが、体育系のクラブには所属しないし、これまで競技会等で表彰された事も無い。
 芸術的感性も持ち合わせては居らず、文学的才能にも見放され、
自分で書いててなんだが、こんな人間の将来に何を期待すべきだろうか。

 ハトコで同い歳でお嬢様学校に通うィプドゥス・ハーミアは、こう評価した。

「バイジャンくんねえ、あなたねえ、もっと出来るはずでしょ。本気でやりなさいよ」
「すまない、そういうルートは歩いていないんだ」
「歩けよ。それとも何? わたしが付きっ切りで「わーばいじゃんくんすごいーかっこいー」と褒めてやらないと何もしないわけ」
「そういう、かっては自分の力でなんとかしてあげた的妄想は捨てた方がいい。俺は昔から今に至るまで、ずっと普通以下で徹してきた。
 ポリシーというもんだ」
「はん?」

 ハーミア、鼻で笑う。
 ちなみに二人は共に並んで歩きながら話しているのではない。
 彼は歩きで通学するが、彼女は学校まで送られる高級車の後席から窓を開けて喋っている。
 同じ道を通学するバイジャンの学校の生徒達に奇異の眼で見られながら、だ。
 さすがにこれは恥ずかしい。

「おいもう、さっさと行けよ。うっとうしい」
「恥ずかしいんだったら、一緒に乗ればいいのよ。送っていくわ」
「ばかやろう、そんな真似できるか」

 くくく、と彼女笑う。これが見たくてわざわざ遠回りしてバイジャンを追跡した。

 二人は幼い頃から、なぜかペアにされて親戚同士の付き合いに引っ張り出される。
 家系的にどちらが上かと言えば、つまりはハーミアの祖父がバイジャンの祖母の弟に当たる。
 姉は家を出てカロアルに嫁ぎ、弟は後継ぎとして財閥ィプドゥスを率いていく。
 直系のハーミアの方が中核に居るのだが、カロアル家もまたそれなりに有名な一族だ。
 なにせ、

「だからさ、あなたのお祖父様はかの有名な英雄ヱメコフ・マキアリイから直接に教えを受けたんでしょ。
だったら出来るわよ」
「何がだよ、悪と戦って華々しく散れとでもいう」
「言うわよ。だって、」

 彼女が彼に期待する理由が、幼い記憶として有るわけだ。かっこいいと思ったのだ。
 バイジャン、全然憶えてない。

 

……。

じゅえる「なんにも進んでないな。」
釈「キャラ紹介だけですね。それも後ろの方が出来上がったら、推敲過程でがああっと削減されてしまいそうな部分です。」
まゆ子「仕方ないでしょ、そもそもがキャラの設定すらまだ固まってないんだから、今書きながら作ってる最中さ。」

じゅえる「とにかくこれではいけないことは分かる。分かるから、ストーリーを考えよう。」
釈「えーと、この回は、主人公の眼の前に天から女の子が降ってくる。そこまでですよね?」
まゆ子「あー、イベントとしては、女の子が降ってくると同時に鬼も降ってきて、最初の戦闘が行われて、バイジャンくんの身体から虹色に輝く野球バットが現れて、というところまでだな。」

釈「物語基本中の基本の展開ですが、これはダメですか。」
じゅえる「尺は?」
まゆ子「えーとー、そこまでで第一話だよ。1話30枚見当で、」
じゅえる「野球バットが出てくるところまでで30枚。普通ならこれでもいいんだが、」
釈「いえ、普通の展開であれば野球バットが出てくるまでで20枚、10枚で鬼やっつけて最初のイベントクリアですね。「罰市偵」なら。」

まゆ子「ふーん、えーと4コマとして一話がいつもどおりの1ページ小説として、5,6枚。バットが出てくるまで4章だな。」
釈「ですよね。6章でイベントクリアですよ。」
じゅえる「となると、らむちゃん、ワムちゃんか、が降りてきても鬼はしばらく現れない。という展開だな。」
釈「ぬるいですねー、それはぬるい展開ですねー。」

じゅえる「まずはワムちゃんがバイジャンくんと遭遇して、誘惑するという展開になるべきで、その後ちょっといい感じに騙されてきたところで異変が起きて、
 だんだんとホラー風味が増していく中でバイジャンくんが男を見せないとと柄にも無いことを考えているところに、人死に遭遇。
 何が起きているのかと探求、いやワムちゃんを同伴と考えるとその場を離脱しようとしていく内に、怪しい空間に迷い込んで、鬼と遭遇。

 こういうオーソドックスな展開だな。」
まゆ子「かったりー。」
釈「フラストレーション溜まりまくりですね。があーっと行きましょうがあーっと。」

じゅえる「明美センパイをお呼びしますか。こういうのは得意中の得意だから。」
まゆ子「仕方ないな、モチは餅屋だ。」

 

明美「はいはーい、来ました。バイジャンくんですかあ。」
まゆ子「らむちゃんだよ。」
明美「そうですねー、いきなり天から降ってくる。この衝撃的な展開こそが、この際じゃまですね。」
まゆ子「そこ邪魔かやっぱり。」
明美「典型的なイベントですからね。オーソドックスで行くのなら、らむちゃんはほんとうに普通に出現すべきです。
 いえ、どちらかというと、最初からバイジャンくんは彼女を知っていたくらいでもいいです。バイジャンくん憧れの彼女。」

じゅえる「なるほど、ね。学園のアイドル的な美少女が、いきなり冴えない男子の傍に寄ってきて、密着し始める。」
釈「まさに王道中の王道ラブコメですか。」

まゆ子「その際、この幼馴染のハトコはじゃまか?」
明美「そんなことはありませんよ。必需品ですね。でもバイジャンくん、妹居ないの?」
まゆ子「無い。一人っ子の設定。」

明美「ふーむ、じゃあハトコの方に妹が居ることにするか。」
じゅえる「ああ。ハトコの妹がまさにバイジャンの妹に成りたがる的な展開ね。なるほどなるほど。」
釈「良い設定ではありますが、らむちゃんで物語が展開する際にあたって、出番が無いのではないですかね。」
明美「そんなに忙しい物語なの?」
まゆ子「まあ、鬼と戦いますから。」
明美「じゃあ、ハトコの妹は軍師的な切れ者小学生として、姉ハトコの恋を強力にサポートする。」
じゅえる「ええええ、ソレ有り?」

まゆ子「明美、バイジャンくんが活躍しなくちゃいけないし、バイジャンくんは極力日常に留まる必要があるのですが、それは。」
明美「バイジャンくん、こいつ動かんと見た。」
じゅえる「いやそれは、当初からの懸念だからね。」
明美「ハトコが強力にアタックしないことには、バイジャンくんは完全にらむちゃんに取られてしまう。それでは日常リアルは絶対に描けない。」
まゆ子「たしかに。」
じゅえる「しかし女が出しゃばってくるのは今回の男子を浮き彫りにする企画とは合わないのだ。自重してもらいたい。」

明美「バイジャンくんを書きたいのね。」
まゆ子「今回はね。」
明美「じゃあ妹設定は死に設定にするか。妹は居るだけで。」
釈「そうですね。極力人間関係は簡単にしておいた方がいいと思います。」
まゆ子「イベント駆動型なら、その軍師妹は採用なんだけどなー。」

 

明美「つまりバイジャンくんは自ら動いて、物語を作り出すタイプのキャラなんだね?」
まゆ子「いやーそこもちょっと違って、ワムちゃんが基本的に物語を引っ張ってバイジャンくんを冒険と闘争に巻き込むんだな。」
明美「状況に流されるだけのキャラなの、バイジャンくんは?」
じゅえる「いやそこは、確かに要求と違うな。バイジャンくんは自ら動かなくては今回ダメだ。」
釈「ではヒーロータイプですか。鬼に追われるワムちゃんを救うヒーローに、普通の男子高校生が立ち上がると。」
まゆ子「いやそこもなにか、違うというか違和感というか。」

明美「バイジャンくん、何するの?」
まゆ子「いや、何もしないのがしている事になる的な。」
明美「ふーん、じゃあワムちゃんに劣情を催してセックスしたがる的な?」
じゅえる「あーーー、そのラインもラブコメかあ。」
釈「それはー王道といえば王道なんですかねー。ちょっと違う、いやちょっとどころではなく違うけれど、限りなく要求に近いというか。」
まゆ子「劣情、いいですね。それは有りですが、そこはアリにしてもらった方がいいと思いますが、いやそれが男子を動かす原動力として最強なのですが。」

明美「バイジャンくんエロキャラ!」
じゅえる「このラインはちょっと検討してみる余地が有る。ただ、当初のイメージとはなにかが違うのは確かだ。」
釈「ラッキースケベ路線では?」
まゆ子「いやー、そうだねえ、「ゲキロボ」程度のエロ描写はアリなのかもしれない。」
じゅえる「エロかあ。たしかにそこを抜きにしては男子高校生は描けないなあ。」
釈「回避するとすれば、スポ根路線を投入して性欲を別方向に向ける必要がありますか。
 バイジャンくんて何かやりたいとか成りたいとか、」
まゆ子「ハトコさんとしては、バイジャンくんにヱメコフ・マキアリイになってもらいたい。」
じゅえる「むちゃを言うな。」

明美「もちろん武道家路線は取らないよね?」
まゆ子「そこはぜったいに無しで。」

 

明美「であれば、エロ生殺し路線で行くしか無い。ワムちゃんとハトコさんにエロい事されて、しかも本気になったら酷い虐待を受けてお預けを食らって。
 彼を支える男子高校生の仲間、または大人のサポート要員を設定して、外部を固める事にします。」
じゅえる「男には男の友達と男の導き手、というわけだな。たしかに狭い世間の枠内で闘うのは物語上うまくない。」

釈「しかしおぼろげながらでもいいから、バイジャンくんに将来の希望とか設定しておくのは良いのではないですかね。」
じゅえる「何をやりたい子なのだ、彼は。」
まゆ子「ふつう。サラリーマンかなあ。父親が学校の教師だから教師はやめておこうと思ってはいるが、公務員とかかもしれないな。」
じゅえる「公務員ねえ。ほんとうに普通すぎるな。」

明美「普通ではありますがそれは初期設定で、ワムちゃんとの冒険の中で新たなる道を見つけるのが主人公としての王道ですよ。
 まあひどい目に遭わされて、田舎に引っ込んでスローライフしようとかでもいいけれど。」
釈「あ、それだ。鬼と遭遇する事によりタンガラムの裏に潜む不思議の世界に目覚めて考古学者とか冒険者になろうと考える道というのでは。」
じゅえる「インディ・ジョーンズ路線か。マキアリイも不思議関係に浅からぬ縁があるから、アリだな。」
まゆ子「もう一声、だな。」

明美「そこはワムちゃんの旦那になって、インディになろうという路線じゃないかな。」
まゆ子「ああ、そうか。ヒーローとヒロインが結びつかないでどうするかね。」
釈「そりゃそうです。最終的には結ばれることを前提としなければ、スケベ路線も意味を持ちませんよ。」

じゅえる「でもそうすると、ハトコはどうなる?」
明美「別にいいんでないですか。メインヒロインはワムちゃんなんだから、ただの当て馬で。」
じゅえる「それはそうだが可哀想だな。」
釈「ラブコメってそういうものですよ。」

 

 

【バイジャンくん強化計画】 19/01/27

まゆ子「というわけで、外伝「ユミネイト、船上の旅」初稿あがりましたー。
 第五章導入部合わせて20章120枚見当ですねー。」

釈「いきなり飛ばすなあ。」
じゅえる「それ、第五章中の何分の一くらい?」
まゆ子「あーなにせ外伝ですから10分の一かなー。」
釈「うあー。」

まゆ子「というわけでいろいろ企画を立ててきたけれど、結局流行り物を真似るのが一番だという結論に到達する。」
じゅえる「まあね。」
まゆ子「というわけで、次の企画を考え続けているのですが、なんか無い?」
釈「流行り物ですかあ。そうですねー、今流行っているのはなんですかねー。」

じゅえる「新企画なんだろ。「罰市偵」の次の。「オーラシフター」じゃないのかよ。」
まゆ子「なんか違う。なんか外してる。やはり続編はダメだ。」
釈「「ゲキロボ」の続編ですからねえ。

まゆ子「というかさあ、テコ入れさ。

 

 今現在「罰市偵」を調子よく描いているんだけどさあ、一つだけ大誤算が有るんだ。
 カロアル・バイジャンくんだ。あいつ使えねえ!」
釈「あ、ああ。」
じゅえる「やはりダメか。まあ、男の子使うのは難しわな。」
まゆ子「この物語中において、こいつだけうまくハマってない。なんとかして!」

じゅえる「というか、つまりバックグラウンドが弱すぎてキャラが立って見えないてわけだ。」
釈「まさにテコ入れが必要なわけですが、そのために必要なものはと言えば、」
じゅえる「新企画だ。彼を主人公とした物語シリーズを一本でっち上げるくらいの規模で設定増量の必要が有る。」

まゆ子「どうしよう。こいつ居なくてもまったく困らないが、困った。」
じゅえる「どうしてそんなもの出したんだよ。」
まゆ子「だって、「げばると処女」の主人公は弓レアルだから、その恋人を出さないわけにはいかんだろうさ。」

釈「わかりました。バイジャンくんを主人公としたなんかかっこいいシリーズをでっち上げて、そこから派生するイメージを本編内にフィードバックさせましょう。」
まゆ子「出来るか?」
釈「やれと言われれば、明美先輩が。」

じゅえる「というわけだー、出てきてくれーあけみー。」

 

明美「困った話ですねえ。そんな無茶はいくらネット小説界広しといえども、ウチだけですよ。」
まゆ子「いやまったくそのとおりだ。どうでもいいキャラのキャラ立てする為だけに一本でっち上げろとか、非効率にも程がある。」

明美「で、どうします? 「罰市偵」ヱメコフ・マキアリイの居る世界で冒険させますか。」
じゅえる「さもなくば、まったく別の世界で別の存在としてキャラの人格だけを活かすか。」
釈「迷うところですねえ。」
まゆ子「無関係世界に置くとキリが無い。やむを得ないか。「罰市偵」世界で。」

明美「彼はしごく現代的な少年なんですよねえ。現代人の、21世紀に生きているような高校生。」
まゆ子「まあね。」
明美「であれば、21世紀を舞台にしましょう。」
釈「え、地球ですか。」
明美「ヱメコフ・マキアリイが活躍していた時代から50年後の現代。
 主人公バイジャンくんは、おじいさんのバイジャンさんと瓜二つということで。」

釈「あ。」
じゅえる「そういう手でいくか。なるほど。」
まゆ子「おおおおおおおお。なるほど! 」
釈「当然おばあさんは、弓レアルなんだ。」
明美「つまり、キャラとしてのバイジャンくんは変えてしまうとフィードバック出来ないから、キャラの性格はそのままで、別のシチュエーションに放り込む。
 舞台は21世紀の現代相当のタンガラム。まあ、文明の発展度とかは考えるのやめて、「今」にしますけどね。」

 

明美「えーと、バイジャンくんは高校1年生。理系の少年。彼女無し、弓レアルさんが好き。
 ここに変更は無し?」
まゆ子「その設定中において、恋人となる弓レアルは排除して考えていい。
 むしろ、別の女を放り込んでもらいたい。」

釈「世界観の拡張ですね。」
じゅえる「なんらかの異常事態、非日常世界での活躍が望ましい。」
まゆ子「おじいさんバイジャンくんと同じ日常では、キャラの幅が広がらない。なんとかして。」

明美「わかりました。ラムちゃんを出しましょう。」

釈「ラムちゃん、て電撃鬼娘のラムちゃんですか。」
明美「偽名ということで「ワムちゃん」にします。」

じゅえる「鬼の宇宙人なのか?」
釈「いや、でも、さすがに宇宙人は。」
まゆ子「いやそのくらいの異常なヒロインでないと、展開しづらい。なんとかして。」
明美「というわけで、ワムちゃんは不思議少女です。空は飛びませんが脱ぎっぷりはいい。」
じゅえる「おう。」

釈「どのくらい不思議にしますか。」
明美「おもいっきり魔法少女クラスでいいと思う。そうですねえ、まったく50年前と絡みが無いのもおもしろくはありませんねえ。
 マキアリイの娘、というわけにもいかないけれど、武術くらいは使いますか。」
じゅえる「やっぱり空は飛ぼう。」
まゆ子「いやいや、それはさすがに。」
明美「飛びますか。」
釈「いいんですか?」
明美「弥生ちゃんの青い羽、なんかを持っていて、ビルの上から飛び降りるくらいはふんわりと出来るのです。」
じゅえる「弥生ちゃん魔法かあ! それはワムちゃんいける。」

 

     *****

まゆ子「よし分かった。天河十二神が絡んだ魔法少女ワムちゃんと普通少年バイジャンくんのラブコメディだ。」

明美「鬼も出すよお。敵として、悪の権化としての巨大な鬼。身の丈4メートルくらいのがワムちゃんを襲ってくる。」
釈「え〜、いいんですかあ。」
じゅえる「ワムちゃんが殺されたら世界が終わるとか、そういうのか。」

明美「鬼は、ワムちゃんをお嫁さんにしたいのです。それも鬼は複数。最低でも10匹はほしい。」
まゆ子「よし分かった! ワムちゃんは鬼達の求婚から逃げる為に街に来て、バイジャンくんと巡り合う。
 で、なんらかの勝利条件をクリアすることによりワムちゃんは解放され、鬼から狙われる事は永久に無くなる。
 バイジャンくんはその条件をクリアする協力者であり、そして最後には恋人となる。」

釈「いいですね。」
じゅえる「そのくらいの軽いシステムが欲しかった。」
明美「というわけでバイジャンくんの目的と立ち位置がわかりました。
 で、どうやって巡り合うことにしますかね。ワムちゃんと。」

釈「えーと、つまりバイジャンくんが特別な人間であるなんらかの証が欲しい、という設定上の要求ですね。」
まゆ子「超能力、は無しだ。あくまでもオリジナルバイジャンくんにフィードバックする為のシリーズであり、オリジナルイメージを毀損する追加設定は許可できない。」
じゅえる「アイテムだな。」
明美「50年前におじいさんのオリジナルバイジャンくんが、天下の英雄ヱメコフ・マキアリイからもらったアイテムがなんらかの鍵になると」
まゆ子「それだ! そうでなければ、いけない。50年前となんらかの接点を常に確保していなければいけないのだ。」

釈「何にしましょう。アイテムはやはり武器であるべきですかねえ。」
じゅえる「カフスボタンとか、指輪とか、身につけるタイプの御守りが欲しいのだが、マキアリイと言えばシュユパンのボールくらいかなあ。」
釈「使いづらいですねえ。」
明美「野球のバット・ボール・ミットの三点セットでは。」

まゆ子「まさか、アレか。」
じゅえる「まさか、「三種の魔神器」か。あのシリーズも頓挫したままだったな。」
釈「たしかあのシリーズの設定では、魔神器は鬼の持ち物で、」
明美「アレは、持ち歩くのは大変だからやめよう。」
じゅえる「う、うん。」

明美「ワムちゃんはバイジャンくんの体をまさぐると、かってオリジナルバイジャンくんがマキアリイさんに付き合ってヤキュの稽古をさせられた時に使った野球の道具三点セットを取り出せるんだ。」

まゆ子「それだ! それです。ファミリーの記憶の中から、ワムちゃんはマキアリイの神器を取り出せる魔法少女なんだ!」
釈「まさぐる。いいですねえ、そのくらいエロい設定でないと許されません。読者的に。」

 

明美「バイジャンくんがあらかじめ定められたヒーローだ、というのはこれでアリとしましょう。
 で、じゃあ終了条件。」
まゆ子「ふむ。鬼の求婚を退けて、最後はヒーローとヒロインが結ばれる。てのが望ましい結論だ。」
釈「結婚、とまではいかなくても恋人ですか。」

明美「恋人、つまり「うる星やつら」における「しのぶ」的な存在を投入しておくかな。それともオリジナルバイジャンに見習って妹を設定しておくかな。」
じゅえる「妹かあ。悪くはないが、どうするまゆ子。」
釈「オリジナルの妹の設定はこの際無視してもOKだと思いますが、同程度になれなれしい幼馴染的恋人候補は必要だと思います。」
まゆ子「いとこの女の子、ではどうかな。結婚は出来る対象として、」

明美「バイジャンくん、その子好きなの?」
じゅえる「どうするよ。女がバイジャンを好きなのか、バイジャンが好きなのか。」
明美「間を取って、中立的な協力者という立場もありますよ。ワムちゃんはそうは思わずに、彼女をバイジャンくんの恋人かその候補と見做している。」
釈「なるほど。ではいとこはやめて幼馴染にしましょう。」

明美「金持ちだ!」
まゆ子「それだっ。金持ちのはとこにしよう。いとこではなく。
 で、バイジャンくんとワムちゃんの戦いを金銭的物質的に支援してくれるのだ。時には彼女も危険な目に遭う。」
じゅえる「いいね、それで機動力もぐんと広くなる。」

釈「というか、バイジャンくんのおじいさんのオリジナルバイジャンくんの嫁は、お金持ちの弓レアルです。
 その本家の跡取り娘、というかんじでどうでしょう。」
じゅえる「今のバイジャンくんの家は、そこまで金持ちではない。という話だな。」

 

明美「ぐんと広くするのであれば、鬼と言われる存在をもっと社会的に意味の有る、少なくとも公権力が絡んでくる程度の存在に設定しておくべきですが。
 どうする? 警官とか軍隊とか政府工作員とか絡んで来る?」
まゆ子「ヱメコフ・マキアリイつながりであれば、政府工作員!」
じゅえる「だな。」

釈「かってヱメコフ・マキアリイが解決した事件において、「鬼」と呼ばれる存在が騒動を起こした例があるんですよ。
 今回は、その再現ということで、ワムちゃんが取り出すマキアリイの神器は、だから意味を持つ。」
じゅえる「マキアリイは神話伝説のヒーローになってしまったんだねえ。」

まゆ子「であれば、ワムちゃんはやはり50年前にその事件で鬼に襲われた被害者の子孫ということにするか。」
釈「妥当な判断ですね。」

 

     *****

まゆ子「今考えた。ワムちゃんの本名は「スタニス・ワム・レフ」ちゃんだ。父親の姓がスタニス、母親姓がレフ。
 通称ワム・レフちゃん。」
釈「20世紀でも最高のSF作家の一人としても有名な、スタニスワフ・レム、が元ですね。」
まゆ子「この人のロボットものは大好きなんだ。」

 

     *****

明美「えーと、そうだねえ。つまり、

 鬼達は、ワムちゃんをお嫁さんにしたいのではあるが、まずは五体ばらばらに引き裂いて、でも死ななくて、ワムちゃんの体を賭け金に鬼同士の殺し合いをするのが目的なのですよ。
 で、最終的な勝者が全セット揃ったワムちゃんを復元して、お嫁さんにする。子供を産ませる。
 そういう儀式を行っているのです。」

釈「それはどう考えてもファンタジーですよね。マキアリイさんの世界とはさすがにちょこっと違うかなと。」
じゅえる「いいんだぞそれで。マキアリイほどの英雄となれば、生きながらファンタジーの主人公になったり出来るのだ。」
まゆ子「なにせ英雄だからね。」

明美「であれば、最終的にはバイジャンくんは武運拙くワムちゃんを奪われて、五体引き裂かれて持ち去られるのを、鬼一匹ずつと対決して体の部品を取り戻していく。」
釈「となりますねえ。」
じゅえる「そこまでやると長編小説だ。収拾がつかなくなるぞ。」
まゆ子「いや、それでいい。全部を取られる必要は無いんだ。

 バイジャンくんは何度かの撃退に成功して、鬼を何匹かやっつけるんだ。そいつらが奪うべき分のパーツは守り切った。
 だが何匹かの鬼に、彼女の部品を奪い取られる。彼女は取られても死なないが、鬼達は鬼同士で殺し合い、最終勝者が残りのパーツを奪いに来る。そう宣告して去っていく。
 ここで役に立つのが、金持ちのはとこだ。半死人のワムちゃんを密かに匿い、鬼との戦いをバックアップする。」

じゅえる「最終決戦前の状況だな。で、ワムちゃんが全部鬼に奪い取られて子供を産まされると、世界が滅びる的な。」
釈「どうしましょうか。鬼の魔王が生まれる的な。」
明美「世界が滅びる。でいいんだけどなんかおもしろくないねえ。」
まゆ子「こう、納得できる大仕掛けが欲しいところなんだが。

 考えた。つまりバイジャンくんのおじいさんであるオリジナルバイジャンくんは、技師志望なわけです。
 彼が、マキアリイの仕事を手伝って鬼の封印をする機械を作ったとか管理していたとか、そいうのがあって、
 その封印の効力が失われて鬼がこの世に飛び出した。的な。」

じゅえる「いや、それだとワムちゃん関係ないじゃん。」
まゆ子「鬼は、封印から出たら死ぬんですよ。短期間で。
 で、ワムちゃんが生む鬼はその封印から出られる、此の世で生きていける能力を備えた鬼。新種の鬼なのだ。」

明美「なんか作り過ぎだなあ。でもオリジナルバイジャンくんが鬼の封印に関与している、てのはありかな。
 オリジナルのじいちゃんと現代バイジャンくんが会う展開は欲しいし。」
まゆ子「たしかにそのシーンは欲しい。50年ならばオリジナルくんも66歳くらいかな。」
釈「あれ、あんまり歳ではありませんね。」

 

     *****

明美「もっと単純にしよう。
 ワムちゃん、鬼に捕まるとそのまま一生嫁にされるんだ。」
じゅえる「世界滅びない?」
明美「ぜんぜんまったく。」
釈「おう……。」
まゆ子「破滅するのはワムちゃんだけか。いや、うん、生贄的な感じで、それはそれでよし。」
じゅえる「むしろワムちゃんが嫁にならなかったらどうなるのか、だな。」

明美「じゃあこうしましょう。10人の鬼が襲ってくる。彼らの目的はワムちゃんと結婚して嫁にする事だ。
 では失敗した鬼はどうなるか?
 鬼の嫁を取らされるのだ。しかも鬼よりもはるかに怖い存在の「嫁」」

釈「それって鬼がとても気の毒ですねえ。」
じゅえる「むしろワムちゃんに執着するのに圧倒的な説得力があるぞ。」
まゆ子「うーむ、なるほど。なるほど。」

釈「鬼が婿にならなかったら、世界が滅びる的な?」
まゆ子「そこは、鬼の旦那が生贄的なもので。鬼より怖い「嫁」が世界に災厄をもたらすのを防ぐ役目を一生負うのだ。」
じゅえる「うーむ、いい鬼なんだな。」

明美「そういう気の毒な事情があるのであれば、最終回に向けてのドラマ展開が非常に楽だ。」
釈「そうですねえ、これなら転がせますねえ。
 また「嫁」の災厄の能力を行使しようという邪悪な人間の秘密結社が存在する。そういう風な展開があってもいいと思います。」
じゅえる「そこにバイジャンのじいさんが絡んでくるんだ。マキアリイが潰した悪の企みを、彼は未だに防ぎ続けているんだ。」
まゆ子「なるほど。まさしくそれがドラマの王道だ。」

 

     *****

明美「えーと、鬼の能力どうしましょう。能力バトルしたい?」
釈「えー、どうします?」
じゅえる「なんというか、鬼はどうでもいい感じがするが。」
まゆ子「あー、個性は必要だよ鬼にも。でも、「嫁」が凄い能力持ってそうだしなあ。」

明美「そうだ。バイジャンくんは、というかマキアリイさんが50年前にやったのは、犠牲者となるはずの女の子を救うだけでなく、鬼達を「嫁」からも救ったんだ。」
まゆ子「うむうむ、英雄探偵であればそのくらいはやってのけるなあ。」
じゅえる「鬼はその奇跡を待ち望むという話だな。」

釈「やはり鬼にはなんらかの能力を付加しましょう。バイジャンくんが鬼をやっつける度になんらかのポイントを獲得していくんです。」
じゅえる「ふむふむ。カネか。」
まゆ子「いやいや違うでしょ。ただの平凡な高校生でしかなかったバイジャンくんが、立派なオトナになるための経験ですよ。」
釈「そんなプライスレスはあきません。」

明美「アイテムにしようか。でも、「マキアリイの神器」の方がよほど良いアイテムだからねえ。」
じゅえる「そうか、鬼のアイテム破壊に成功したら、ワムちゃん争奪嫁逃げレースから脱落なんですよ。奈落に真っ逆さまだ。」
釈「そのアイテムが超能力を持つ宝器なんですね。宝貝ですよ。」

まゆ子「それなら話は簡単だ。能力バトルも簡単に実現出来る。」
釈「ですねー。考えてみましょうかアイテム。

 剣、槍、鎖、打ち出の小槌、天狗の羽団扇、法螺貝、数珠、巻物もしくは本、鏡、弓矢。
 これで10個です。」

じゅえる「ありきたり過ぎるな。鬼にも携帯電話くらい持たせよう。」
まゆ子「いやそれは、普通に本物の携帯電話を鬼も使うということで。インタネットも使うんだよ、鬼が。」
明美「現代のお話だからねえ。鬼がハイテク使っても何もおかしくない。」
釈「えー、じゃあ情報系のお宝アイテムは無しにしますかあ。」
まゆ子「いやいや。

 剣、鎖、法螺貝、魔術書、鏡。これはアリにしよう。
 あと「マキアリイの三種の神器」バット、ボール、ミットに似た、「鬼の三宝」として金棒、宝珠、盃 をアリにしよう。
 あと2個!」
じゅえる「筆だな。描くとおばけが出て来る不思議アイテム。」
釈「なるほど、まさしく鬼のアイテムです。」
明美「ひょうたん は? お酒がどんどん出て来る。」
まゆ子「ふむ。宝貝としては古典的アイテムだがアリだな。鬼が酒飲むのは当たり前過ぎる。」

じゅえる「じゃあこれでいいじゃん。」
まゆ子「ちょっと手直しして

 剣:普通に魔法の剣でなんでも斬れる破邪の剣。ドラゴンが出て来る。
 鎖:鎖というか縄。なんでも絡め取り、目の前に引っ張っても持ってくる。武器ではないが極めて丈夫。
 鏡:魔法の鏡。中に入ったり、他の鏡の中から出てきたり出来る。モノを中に仕舞い込む事も出来る。

 法螺貝:もちろん魔法。突風を巻き起こしたり雷やら焔やら氷雪やら、気象関係の魔法。
 ひょうたん:魔法のひょうたんで、酒がどんどん湧いて出る。酒だけでなく金銀財宝、駒や牛車も出て来る。移動手段にもなる。
 筆:絵で描いたものが出てきてそのまま動き出す魔法の筆。文字を描いたらそのとおりの出来事が起きる。
 寿命書:ひとの寿命が書いてあり、これを書き直すことでその人の寿命を伸ばしたり短くしたり出来る。また未来の予言も書いてある。

 金棒:鬼の金棒。破壊力抜群。まさに破壊の王。
 宝珠:重力コントロールアイテム。因果律も改変できる。投げたら当たって痛い。
 盃:なんでも受け止める盾となる。金棒や宝珠の攻撃ですら何事も無く受け止める。

明美「しょうじき、バイジャンくん勝てませんね。」
じゅえる「そのくらいの無茶な方がいいさ。

 たぶん、噛ませ犬をやっつけてアイテムの性能を発揮アピールする場面というのが必要だ。」
釈「噛ませ犬勢力ですね。後で考えましょう。政府工作員とか闇の秘密結社ですね。」
まゆ子「なるほど、アイテム狙いでこの勝負を密かに見守っている、というのはアリだ。」

 

          $$ ***** $$ 

まゆ子「さて。」
釈「色々決まりましたが、どうしますか。」

まゆ子「まず尺を決めよう。13話!」
じゅえる「昔からやってる手法だな。」
尺「でも最近のテレビアニメは12話、酷い時は10話でおしまいです。あとはOVAであったり円盤のおまけだったり。」
まゆ子「まあ、そんな長くなる必要の無い企画だから。
 第一13話で終わると言っても、1話の尺が短ければ短いんだよ。」

じゅえる「つまり、大長編何巻もの大作になる事は無い。そういう予定だな。」
まゆ子「書いてみて感触を、という感じですが、やる気は無い。」
釈「罰市偵だって、そんな大長編になる予定は無かったんですけどね。」

じゅえる「というかさ、まゆ子的感覚によれば、罰市偵』予定8巻は、8話、だからな。」
まゆ子「そうだよ。『罰市偵』は短編なんだ。」
釈「まあ、なんですね。ばかですね。」
まゆ子「ぐへへ。」

 

明美「えーと、話を始めますか。
 面堂終太郎! 出します。」

釈「そりゃあ、ラムちゃん出すからにには面堂も出ますよね。でもどうやって。」
明美「いや、「しのぶ」役のお金持ちのはとこ、が出るのは設定しました。
 バイジャンくんはお金持ちではアリませんので、彼女と通う学校が違う。」
まゆ子「そうか、金持ち学校のクラスメートで、「しのぶ」が好きな男の子、という役どころだな。」
じゅえる「お嬢様学校ではないんだ?」

明美「どうする。お嬢様学校でもいいけれど、その場合は外部のお坊ちゃん学校が出てきますよ。」
まゆ子「うーん、あまりこんがらがるのも嬉しくない。男女共学金持ち私立学校だ。

 というか、キャラデザをした結果、「しのぶ」役は「ハム子」というあだ名が付くことに何故か決定しました。
 金持ちでイイものばかり食ってるから、お肌まっしろぷにぷに系の食ったら美味しそうな美少女、というキャラになります。」
じゅえる「ハムみたいな感触の、デブ?」
まゆ子「そこまではデブじゃない。なんというか、実によい抱き心地を感じさせる。そいうふくよか系美少女です。」
釈「はあ。かなり攻めたキャラですね。」

まゆ子「というわけで、「しのぶ」役は「ハム子」というあだ名が発生するような近縁の響きの名前になります。
 この設定話では「ハム子」で上等!」

 

明美「はあ。で、ハム子さんはお金持ちであるから、お金持ちの坊っちゃんに好かれるわけです。
 でもハム子さんははとこのバイジャンくんが子供の頃から好き。でも、自分から好きなんてぜったいに言わない。」
釈「可愛いですね。」

じゅえる「そのお金持ちの坊っちゃんというのが、面堂のような大財閥で私設軍隊までも持っているわけか。」
まゆ子「いやーさすがに軍隊は無理だろう。鬼の相手をするんだからそのくらいあってもいいけどさあ。」
釈「面堂を出すとしてでもですよ、元ネタがバレてば困るのです。
 となると金持ち系と言っても無茶はダメですね。武力の提供はあり得ない、という感じで。」

明美「政府工作員系の関係者の息子、というのは無理かな?」
まゆ子「それなら、「闇御前」の曾孫にするさ。」
じゅえる「それは無し。ダメ。」
まゆ子「ヤクザの息子とか、兵器メーカーの御曹司とか、武力使えそうなキャラはアリだぞ。」
釈「それはそうなのですが、なんか違うなあ。」

明美「いやまあ、なんだっていいんだよ。
 問題は彼が、ハム子さんが危険な目に遭っている時に我が身を捨てて飛び込んで行けるキャラかどうか、てとこだよ。」

じゅえる「ふーむ、なるほどそこがクリアされれば、カネの使い道を色々設定できるってわけか。」
釈「武力を持っていなくても、傭兵を雇うくらいアリですか。」
まゆ子「でも面堂終太郎って、しのぶの事そこまで好きだったかな?」
明美「ラムちゃんが好きなんでしょ。あたると同じくらいに。
  あ。

 ハム子目当てで近付いてきたその坊っちゃんが、ワムちゃんを見て一目惚れして「君のためなら死ねる!」と死地に飛び込んでくる的な。」
じゅえる「それだー。」
釈「ですねー。」
まゆ子「いい面の皮ですなー。」

 

明美「ついでにワムちゃん親衛隊も作ってしまいましょう。
 面堂がカネで集めた高校生傭兵の集団。と見せかけて、実は鬼のアイテム狙いの工作員達。全員高校生。」

まゆ子「面堂騙されてるの?」
明美「騙されてるけれど、目的はワムちゃんの安全であることには代わりが無いから、面堂気付かない。
 というか、早々にワムちゃんが鬼に捕まってしまうと、アイテムが登場しないままに終わってしまうことになるんですよ。
 彼らはワムちゃんを守る必然性を持つのです。」

釈「親衛隊、何人くらいにしましょうか。」
明美「オーラシフター、何人居たっけ?」
まゆ子「あ、ここで出すの?」
明美「出したらダメ?」
じゅえる「いや、出せるのか?」
明美「高校生だし。」

まゆ子「はーーーーー、そういう手がありますか。えーとオーラシフターで男子高校生は、」
釈「えーと、

 久慈 良京  20歳大学生(来年1月まで コードネーム「先生」
 大丞 白男  19歳大学生 「御坊」

 平芽カレイ  18歳高3 「彼女」
 喜須 悟   17歳高3 「彼氏」
 伊佐木 勇  18歳高3 「親分」

 蟠竜八郎太  17歳高2 「坊主」リーダー時「級長」
 唐墨理一郎  17歳高2 「旦那」
 魚養可子   17歳高2 「姐御」
 棟木 曼助  16歳高2 「大将」

 子代隻・朔  16歳高1 「姫」・朔「姫ちゃん」
 三雲 丹   16歳高1 「お嬢」女装時「嬢ちゃん」

 火尉 とます 14歳中3 「キッド」
 (八郎太従妹)14歳中3

 設定集、どこにやったか忘れてました。ちょっと探しました。」

じゅえる「高校生6人、中学生1人、大学生2人、女3人+1、だね。」
まゆ子「高校生組6人でいいや。面堂と合わせて7人のサムライだ。」

 

明美「で、敵だ。
 鬼の方にも気の毒な事情があると判明したから、鬼とも交流を持てるようになります。
 鬼側の代表者がバイジャンくんに接触してきたり、鬼同士が鍋を囲んで酒盛りするとか、そいう楽しいお話にも仕立てられます。」

まゆ子「鬼は鬼のままでいいのか。」
明美「私は普通のイケメンの人間の姿に成れるようにしておくべきだと考えます。
 彼らは普通は人間社会に溶け込んで暮らしているのです。それもかなりハイソに。」
じゅえる「鬼の本性をむき出しに人を食っていたりしないんだな?」
明美「人間食べても美味しくない、てことを知ってるくらいでいいんじゃないですかね。」

釈「鬼が人間に化けている、んですよね?」
明美「私はどっちでもいいけれど。本性てどっちかに決めなければいけないもの?」
まゆ子「あー。
 いやーでもね、鬼の姿になって凄い力が使える人間が居たとして、彼は普通の人間姿と鬼の姿と、どちらを本性と思うだろうかね?」
じゅえる「ひとに依るな。圧倒的暴力に支配される人であれば、鬼の姿を自分の本性だと考えるだろう。
 一方、穏やかな人間社会での成功を得ている人は、鬼の姿は別に欲しくない。」
釈「そこは、ワムちゃんを嫁取りする今だから鬼の仮面をかぶっているけれど、普段はそうではない。ということにしておきましょう。」

 

まゆ子「鬼の姿でも人間臭く出来る方が楽しいかな。」
明美「ドラマ的にも選択肢が多い方がいいです。
 で、角生えてるの?」
じゅえる「クリーチャーデザインはまだ?」
まゆ子「えーと、鬼とは言いますが、鬼じゃない。4メートルの巨人ですが、角は無い。

 むしろモアイの頭が付いた鬼、というくらいに考えてください。
 あと目が無い。細い糸目が顔のひだの中に隠れている、という感じで明確な眼球は外部から確認できない。
 材質は普通に肉です。装甲強度は無いけれど、銃弾を浴びても死なない。死なないけれどダメージは有る。爆弾も大きなやつなら木っ端微塵で死ぬ。」

釈「死ぬ?」
まゆ子「死なない方がいいか?」
じゅえる「死ぬほどの重傷を受けたら、鬼の体を脱ぎ捨てて人間の細い身体になって逃げていく。そんな感じでどうだ。」
まゆ子「ふむ。でも胴体や頭が千切れたらどうする?」
明美「ストレイツォみたいに肉片になってもくっつくくらいの能力は欲しいと思いますよ。」
まゆ子「了解。バラバラになっても自動でくっつく。」

じゅえる「鬼部分は魔法の力で動いてるのか。それとも超強力な生物?」
まゆ子「嫁に襲われるくらいですから、生物としての要素が強いと思いますよ。腹が減ったら動かないし。」
釈「動けませんか。」
まゆ子「だから鍋を囲んで和猪をまるごと1頭5人くらいで食ってしまう。そのくらい飯を食うということで。」

明美「つまり、鬼は人間くさい存在なんですね。」
まゆ子「物語前半では無敵無機的なゴーレム的存在と見せかけておいて、後半「嫁」の脅威が露見した後は、面白生物系の描写としますね。」

 

じゅえる「だが死ぬというか、バイジャンくんがどうやって鬼を退治するかという問題があるぞ。
 急所を設定しておくか。」
釈「進撃の巨人みたいに、うなじをえぐるとかですか。でも野球のバットですからねえ。」

明美「でも殺し合いよりも怖い「嫁」から逃げるのが目的なんですよ。
 こう御守りみたいなアイテムをぶっ壊されちゃうと、闇に呑み込まれてしまう感じで。」
まゆ子「巨大な口に呑まれてしまう。そうしよう。

 御守りはー、なんでもいいけれど勾玉とか数珠とか?」
じゅえる「そこはそれらしいアイテムをでっち上げるぞ。和風じゃない方がいいかもね。」
釈「身体に書いた呪文とかでもいいですね。」

まゆ子「ちなみにワムちゃんの御守りは、救世主「ヤヤチャ」の青い羽で、空をふんわり飛べるし、手のひらからカタナが出てきたりします。」
じゅえる「決まったのか。」
まゆ子「決めました。カタナが出てきて身を守る事が可能です。でも、鬼を斬るのには足りない。
 やはり伝説の英雄ヱメコフ・マキアリイのアイテムが必要なのです。」

釈「鬼のアイテムを持った10名が居るわけですが、そのアイテム破壊は無し?」
じゅえる「というか、素敵アイテムを持たない雑魚鬼を噛ませに出すべきだよ。」
まゆ子「ふむふむ。御守りしか持ってない雑魚鬼を殴り倒すと、アイテムが破壊されて、闇の中から「嫁」の口が現れて鬼を呑み込んでしまう。
 そういうシステムにしましょうか。」

じゅえる「雑魚鬼とアイテム鬼の間に主従関係というか、クラス分けをしておくべきだな。」
釈「そうですねえ。階級が違って、鬼の支配層というのがアイテムをそれぞれ受け継いでいるんですね。」
まゆ子「素敵アイテムの方は、持ち主が闇に呑まれてもこの世に留まる。
 オーラシフターことワムちゃん親衛隊はそれを狙っている。そういうことね。」

明美「というかさ、その超能力素敵アイテムは、元が「嫁」が鬼に与えたものという。そいう関係があるといいんじゃないかな。」
じゅえる「なるほど。」
まゆ子「鬼が鬼であるためには、「嫁」から超能力をもらわなければならない。
 だがその代償はあまりにも大きい。そういう関係だねOK。」

 

じゅえる「その「嫁」、そろそろ名前をつけよう。」
釈「そうですね。「嫁」だと鬼嫁としかイメージが、」
明美「ラムちゃん出すのだから、ランちゃんにしよう。」
まゆ子「ラン、ねえ。えーーーーとーーー、

 「婪」はどうだろ。貪婪のランだ。呑み込むというイメージからしてもいいんじゃないかな。
 「饕餮」も使ってもいいかな、とか思うけれど。」

じゅえる「ちょっと寂しいから「婪婆」ランバ、にしよう。実におんならしい名前でいい。」
釈「禍々しさも十分ですね。」

まゆ子「となると、鬼もなんか名前付けてやらないとな。」
じゅえる「高橋留美子関係で、なんかなかったっけ?」
釈「ちょっと思い当たりませんね、それこそ「鬼族」としか。」
明美「無理して当てはめなくていいよお。」

まゆ子「うん、じゃあ、そうだね。
 能面の鬼神の面で、「顰」しかみ というのがある。まさに鬼の顔で角は無い。
 これでいいんじゃないかな。」

釈「「べしみ」とかもありますが、まあ「しかみ」でいいですかねえ。」
じゅえる「なんか恨めしそうに見てるぞこの面。」
まゆ子「あー、眼は無いんだよねクリーチャーデザインでは。まあいいか。」
釈「これ、種族名ですか?」
じゅえる「ああ、鬼の身体の事をいうのか、鬼の種族をいうのか。どちらだ。」
まゆ子「あー、鬼の身体の方だな。そこらへん強調しておくか。
 じゃあ、「顰身の態」という。」
釈「しかみ、ですね。」

明美「アイテムにもなにかかっこいい総称を付けてやるとよろしいかと。」
釈「宝貝とかですね。」
じゅえる「ふーむ、しかし無理して名前つけると逆にかっこ悪いからな。普通に宝具でいいんじゃないかな。」
まゆ子「アイテム、ねえ。「珍宝」」
じゅえる「いやーそれは、おもしろいからアリにするか。」
明美「えーーーー。」
釈「どう考えても、別の意味で遊ばれてしまいますよ、それ。」
まゆ子「いやむしろ、それで押し通る!」
じゅえる「おう。」

釈「つまり、
 「婪婆」からもらった「珍宝」を使って、「顰身」の鬼が攻めてくる。
 そいうことで。」

 

           $$ ***** $$ 

釈「ついでに、昔考えた企画『血闘姫』も発掘しました。
 今後参考になるかもしれません。」
じゅえる「いやこれは、オーラシフター企画向けにしておこう。」

『血闘姫』
・血闘姫〜吸血鬼のアイドル歌手が狩られる。
・印地鬼姫〜鬼の神器を発見してしまった三人の少女が、野球をするはめになる。
・占斗姫〜こっくりさんで勝負する霊能少女対決。牛のような女の子「件」と対決
・首借姫〜飛頭蛮のおねえさん。凸凹したイヌとカラスに追い詰められる。
・悲運姫〜明美が殺されまくるのになぜか次の日生きて居る。
・酔蛸姫〜謎の悪結社にマイクロマシンを注入された能登子さんが悪を滅ぼす格闘をする。
・鼓拍姫〜ある日目が覚めると心臓が偽物に置き換えられていた女の子。最後に醜怪な謎の少女によって救われる。

・巫蛇姫〜物辺優子。孤島に住む絶世の美少女巫女の話。
・駄算姫〜鳩保芳子。モテまくるのにドジばかり踏む愚かな乳女の話。
・無障姫〜城ヶ崎花憐。悲劇から軽やかに逃げ回る小金持ちのお嬢様の話。
・乙盥姫〜童みのり。赤子の頃タライに乗せて海を漂っていた背の低い女の子の話。
・磐額姫〜児玉喜味子。めちゃくちゃ顔の怖い鶏を飼う女の話。

・鬼百合姫〜大きなおねえさまが女子校に転校して来る。妹となった下級生と合体して呑み込んでしまうとまた大きくなる
・大口姫〜頭の後ろに口が有る女の子。大食い。寝て居る間に彼氏を丸呑みしちゃう。寂しい。
・傀儡姫〜難病で死にかけた美少女が、BJ先生の手によって人形の身体として生き返り、生きている。恋をして、最後は妊娠出産して人形に戻る

釈「なんだか『ゲキロボ』の話がずいぶん混じってますよ。」(追記:「ゲキロボ☆彡」ヒロイン全員を追加210127)
じゅえる「ついでだから『戦列歩兵少女地味子』も混ぜておこう。」

・安直姫〜ただのコンビニ店員が、魔法の拳銃を手に入れて安直に使う
・斬切姫〜堅物の生徒会副会長が、許せぬ悪を日本刀で斬る
・白豚姫〜図書館のヌシである女生徒が、月夜にむさぼる
・赤猫姫〜貧乏子沢山家の長女が、抑圧された性的欲求を焔に変えて街を飛ぶ
・艶眼鏡姫〜眼鏡でおっぱいの妹系恥ずかしがり屋地味子が、エロスに目覚める
・幼懐姫〜その他大勢の幼馴染の女の子の、小学生時代のお話
・快気姫〜死病に取り憑かれたはずの少女が、なぜか治ってしまった。何故?
・英哭姫〜イギリスではいじめられっ子だった少女が、日本に留学したらモテモテに
・部外姫〜「戦列歩兵部」の女子マネージャーである彼女は、誰からも恋愛の対象に見てもらえない
・姫先生〜眼鏡の数学女教師の隠された悲惨な初体験

釈「ついでだから、オーラシフターの女の子達も混ぜておきますか。」

・平目姫〜平芽カレイさん幼少のみぎり。中米に赴任する父親と共に彼女と母親も付いていく。その空港でテロリストの乱射に巻き込まれ、父母死亡。カレイさんも殺されかけるが、偶然に無事。
     その後日本に戻った彼女は祖父母に育てられ、1年間くらい呆然としていたが、やがて普通に元気に学校で遊んでいる。「でもあの子は、眠っている時に夢を見ない方法を身につけたみたいです……」
・影見姫〜此代隻・朔さん双子姉妹。継母の策略により殺されていく二人。最後には朔さんも毒牙に。しかし、死んだはずの朔さんの助けで、隻さん命拾い。だが継母、いまだ死せず
・和仁姫〜魚養 可子さん。弁護士だった父がヤバイ事件に首を突っ込んで、何者かに家族総ぐるみで襲われ、車から父に押し出された中学生の可子のみが生き残る。
    だが警察は事故扱いで終了して、決して刑事事件として捜査しようとしない。そして生き残りの彼女を襲う魔の手が。そこに乱入する武者小路柳生の剣士が

 

【無謀新企画「空白」】180403

まゆ子「ああ花粉症で頭がうごかん。」
釈「しかたないですねえ、とりあえず話を進めましょう。」
じゅえる「まゆ子が使えないとすれば、明美呼ぶか。」

明美「はいどぉーもー、ばーちゃるゆつばの山中明美ですー。」
じゅえる「流行りものに騙されやがって。」
釈「動画なんか作ってないじゃないですか。」

明美「で、何の企画?」
まゆ子「無いよ。」
明美「何もなしで企画会議?」

じゅえる「言ってくれるな。色々考えたけどどうにもこれだという完璧な枠組みが作れないんだ。」
釈「こう言ってはなんですが、「げばると処女」「ゲキロボ☆彡」「罰市偵」に続く第四の長編連作を成り立たせる企画と世界観が欲しいのです。」
まゆ子「描きたい物語は色々と出てくるけれど、そして色々考えたけど結末に至るまでの経路が弱すぎて進められないのだ。」

明美「ばっちり結末を見極めたいという欲求ですね。」
まゆ子「それなんだ。いや連載を長々と続けるのであれば色々ネタは有るんだが、結末がばちっと決まらないことには。というか、結末を決めてみた時にシリーズ全体がばちっと決まる。」
釈「そう上手い構造が簡単に見つかるわけもないですが、つまりは無駄手間を掛けたくないという。」
じゅえる「効率だよね。描いても読んでも損をしないと思わせる、有意義な企画が欲しいのだ。」

明美「欲深ですねえ。」

 

明美「まずポリティカルアクションは今回無しということで。「罰市偵」でみっちりやりますから。」
じゅえる「おう。同じものはやらない。」
釈「「罰市偵」に全力投入ですね。」

明美「戦争モノは「げばると処女」でやった。」
まゆ子「近代・現代・未来戦争はまだやってないけれど、うん。戦場を描きたいという欲求はアレでなんとかしたか。」

明美「ご近所日常モノもやった。」
釈「はい。「ゲキロボ☆彡」で宇宙SFもやりました。」

明美「これらとは全く違う物語が欲しいわけだね。で、オカルトをしたいと。」
まゆ子「そうなんだ。「ゲキロボ☆彡」に出てきた「オーラシフター」を使ってオカルトモノにしようと思って、頓挫した。」
じゅえる「オカルトものをやりたいという読みは悪くないと思うのだが、なにか違う。なにかしっくりこない。中二病成分が足りないのかもしれない。」
釈「スタイリッシュにオカルトもの、という企画のラインが間違ってるような気がするんですよね。もっとどっぷりとオカルトに首まで浸からないと。」
まゆ子「でもそれはやりたくない、というか興味が持てない。軽くない。」

明美「オカルト禁止にしましょう。」
まゆ子「それはいいのだが、物語を組み立てる枠が無い。」
釈「闘争も駆け引きも出てこないんですよね。活躍をする為の枠組みが無い。ビジネスにしてみようと思ったけど、嬉しくない。」
じゅえる「びっとこいん的な虚構のボロ儲けが現実社会で大手を振ってまかり通っている現状で、ちまちまとお宝を集めるというのがどうにもね。現代性をまったく損ねるような気がしてね。」

明美「つまり現代性というか、この物語を描く事によって社会に何を訴えるべきか。そこを見失っているわけですか。」
まゆ子「つまり、物語を描くべき動機自体を見失っている。新しい企画を立てて描きたいという欲求のみが空回りしている状態。」
明美「まいりましたねえ。そういう時はひたすらに読者様の欲求に応えるべきではないですかね。」
じゅえる「その読者様層をどこに設定するか、そこからして見失っているんだな。」

 

明美「ふむふむ。読者が読めないわけですか。誰に向かって描くべきか。」

まゆ子「いやこれまでお付き合い下さった読者様を中心とするのは当然であるのだが、飛躍は常に求めねばならないさ。
 同じものを似たような手法で再生産するのはどう考えても健康的ではない。自己満足の箱庭世界作りに終始してしまう。」
釈「けっきょくはそこです。箱庭作りにならない企画を思いつかなかった。」

じゅえる「或る意味、「罰市偵」で盛大に箱庭を組み上げている最中だ。気分転換の意味でも同じことをしてちゃ意味がない。」
明美「どきゅめんたりー? 現実の事件を小説化する?」
まゆ子「ぜったいにヤダ。」
明美「うん、そう言うと思った。」

じゅえる「結局さあ、物語からはリアルは読めぬ。という話さ。小説を何十巻と書いたところでリアルにはならない。そいう当たり前から脱却しない事にはこの事態を解決できないわけだな。」
釈「創作者全員にとってのジレンマですね。それはリアルじゃないという。」
まゆ子「前に考えた「推理サスペンスの書き方」で一度結論したアレだ。推理モノであればとりあえず現実世界社会にケチをつけてみる事でリアリズムを獲得できるが、SFではもはや無理という。」
釈「かといってファンタジーでそれを成し遂げるのはさらに無理ですよね。というか、リアルが読めないというリアルな現状から逃避するものとしてファンタジー隆盛があるわけです。」

 

明美「リアルを嫁。」
まゆ子「むちゃをいうな。」
明美「でもさ、まゆちゃん未来読めるでしょ。」
じゅえる「そう言われてみれば、おまえさんは未来読めたはずだ。」
釈「人より十歩先を行って誰にも顧みられず損をする、というのがまゆちゃん先輩の特性でしたねそう言えば。」
明美「嫁。」

まゆ子「いやまあ、そりゃ嫁と言われれば読みますけどね。今数十年後を読んだらさ、弥生ちゃん出てくるんだよ。」
じゅえる「何故?」
まゆ子「弥生ちゃんの将来設定、というのを作ったのを発表してたっけ? 弥生ちゃんは世界大統領になって歴史に巨大な足跡を残すんだ。

 国連という無能組織を解体して、まったく新しい国連を組み上げて、世界中の国々と能動的に渡り合う組織として世界政府を作るのだな。真の意味での世界政府だ。
 しかし各国の枠組みを破壊したりはしない。国境の無い世界国家ではなく、国土の無い世界国家を作ると言った方がいいかな。
 つまりはミスシャクティが主導する「ニューワールドオーダー」に対抗する組織を弥生ちゃんが作るというお話さ。」

釈「そうでしたね。「弥生ちゃんキャプテンは歴史上SSSクラスの世界的偉人になる」というのが、「ゲキロボ☆彡」内部での設定でしたね。」
じゅえる「どうやってそんなシーザーやらチンギスハンクラスの偉人になるかと思ったら、そういう設定が有ったのか。」
まゆ子「この設定、作ったはいいがさすがにバカ過ぎて応用が利かないから、本編中にはほとんど出さなかった。
 そもそも世界がそういう具合に救済を必要とするような状況になるとは考えなかった。大変動が無ければ救世主も生まれないというシナリオさ。」

釈「それがアリになった?」
まゆ子「いや、正直な話「これからどうなるかまったく分からない空白が広がっている」、これが私の結論だ。

 これまでの発想であれば科学技術が発展して世界がもっと進化すれば、なにかもっと別の枠組みが組み上がって、人類全体をなんとか指導していけるだろう。そいう未来図を予想してたわけさ。
 でも私は、科学技術が進歩してAIやロボットや仮想通貨が導入されていき世界中に民族主義が復活する事により、枠組みが無くてもなんとなく世界は有り続ける宙ぶらりんが発生すると考える。
 幻想であった「世界の枠組み」が幻想である事がばれてしまって、代わりが無い。
 何も無いにも関わらず、とにかく世界は有り続けるという「空白」さ。誰のコントロールも受け付けない。とにかく大変動するが解決どころか落ち着くべき計画すら無い。
 「底が抜けた」と表現すべきかな?

 破滅はしない。人類絶滅とかには成りえない。科学技術は進歩するし経済も発展する。寿命も伸びるでしょう。
 でも落ち着かない、まるであぶく銭を掴まされているようで手応えが無い。明日転落してもまったく不思議と思えない。
 自然環境とか破壊され続けていくだろうからやばいとは思うが、誰も止めようとしない。いや頑張る人も居るけれど、頑張らない人も多くて意味を為さない。
 世界は滅びるかもしれないけれどどのくらいの時間を掛けて滅びていくのか、ひょっとすると延々と滅び続けるのか?

 逆サイバーパンクと言ってもいいかな。テクノロジーの進化で重苦しく圧迫していくような社会がサイバーパンクの未来像とすれば、
 これは逆になんだか茫漠として徒労感のみが発生して、
 「責任者出てこい」と叫んでも出てくる奴が小物過ぎて「おまえじゃねえ」というのがわんさかという有り様だ。

 誰かになにかをして助けてもらいたいと思うが、それをしてくれそうな人は弥生ちゃんくらいしか思い浮かばない。つまり、無い。
 というか、妄想に過ぎない弥生ちゃんの未来図がにわかにリアリズムを持ってきたよ、とびびっているのだ。」

じゅえる「それの解決策は無い、ということか。」
まゆ子「空白には解決はそもそも存在しない。何を持ってそれを埋めるべきか、たぶん得られないというのが私の予測だ。」
釈「これを解決する物語を書けば、SF完成ですね。」
まゆ子「私にはそこまでは思いつかないから、小説化出来ない。だからこれは企画構想中には持ち込まないというスタンスです。

 というかね、これを小説化するとすれば、世界が如何に空白であるかを描写して、これを解決してくれる救世主を待ち望む。という形になってしまう。
 つまりは弥生ちゃんだ。トカゲ神救世主伝説だ。」
じゅえる「預言書を書け、か。まあ無理だな。」
釈「無理ですよね。」
まゆ子「無理なんだ。だから他の企画を考えている、もっと実現可能性の高いやつ。」

 

明美「でもさ、それ無理なんだよね?」
まゆ子「だって、無理だもん。」
明美「であればさ、無理だという事を描くことが可能だという。」
じゅえる「うん?」
明美「いや、だってさ。第二次世界大戦前にだって、迫り来る世界戦争という得体のしれない何かを描くという作品群が生まれたでしょ。」
まゆ子「たしかに。創作者の感性にそれら避けがたい運命というものがおぼろげに理解されて、作品に反映される事となったね。」

明美「であればさ、その巨大な空白が迫りくるという作品を書けばよくね?」

釈「はー、テーマとしては分かりますが、どういう形の小説でというのがわかりません。」
明美「オカルト書きたいんでしょ。オカルトの更に先の奥に有るものが「空白」でいいんじゃないかな。」
まゆ子「人間よりも先に、オカルト存在が未来予測して騒いでいるという形式か!」
じゅえる「いやそれは、なにか、……これからそいう作品がゴロゴロ出て来る予感が有るぞ。」
釈「ええ。たぶん他にも感づく連中が居るでしょう。」

まゆ子「……、テーマが決まった?」
釈「これはテーマ、それも大テーマとすべき案件です。社会のどこに噛み付くべきか、その指標として十分でしょう。」
まゆ子「「オーラシフター」の連中を動かして、そのテーマを浮かび上がらせていく?」
じゅえる「救世主伝説を突っ込んでもいいぞ。」

明美「おばけだけが知っている、「あるかもしれない救世主の光」。そいう物語でよくない?」
まゆ子「よい。うん、      考えてみる……。」

 

 

【ようこそ!プリキュアファイナンス】170915

まゆ子「最近「プリキュア」全然見ていない。」

釈「はあ。」
じゅえる「そんなもの無理して見なくてもいいんだよ。いい年して。」
まゆ子「でもそれじゃあ、オリジナルプリキュアを作ろうという話が進められない。」
釈「見てもいないものを作ろうって話ですか。」
じゅえる「いや、まあ、好きにしろ。どうせろくでもない話だ。」

 

まゆ子「で、考えた。大体からして朝の8時半からやってる幼女向けアニメなんだから、第一に幼女に受けなければ意味が無い。
 では幼女が一番好きなものは何か?」

釈「さあ、お花ですかね。それとかお菓子とか。」
じゅえる「動物は好き嫌いがあるかな。」
釈「わたしは、おかあさんだと思う。」
じゅえる「そりゃそうだ。まったく独創性の無い答えだ。」
釈「それは鉄板ですけどね、鉄板過ぎて発展性がありませんよ。それともママゴトにしますか。」

まゆ子「幼女はおかあさんが好き。当然おかあさんとお出かけが大好き。
 その中で最も楽しいのが、お買い物だ。お母さんと一緒にお菓子とか色んなものがあるスーパーに行ったら、これはもう楽しくてしょうがない。」
じゅえる「ああ。居るね、スーパーに小さい子が。」
釈「確かにあれは楽しいでしょう。」
まゆ子「つまり! 幼女はお金が大好きだ。」

じゅえる「          。」
釈「あー          。はい。まあ、ええ。そうですね。」
まゆ子「であれば、お金をモチーフとしたプリキュアこそがこの世で最も受けるプリキュアという事になる。」
じゅえる「あー論理的だなー。」
釈「論理的で合理的ではありますが、まー。」

まゆ子「というわけで、仮題)「ようこそ!プリキュアファイナンス」をこしらえてみよう。」
釈「うわー、ふぁいなんすですよ。いきなりあぶないなこれ。」
じゅえる「幼女にローンを組ませる気だ。」

まゆ子「主人公は、というか今回は学校に通う5人組ね。プリキュアは5名。悪の手下は「びんぼー」と叫びながら襲ってくる。」
釈「はいはい。」

 

まゆ子「主人公はファンドマネージャーを目指す中学二年生。面倒見の良い優等生だが時々採算を度外視して突っ走る熱血娘。」
じゅえる「そんなファンドマネージャーダメだろ。」
まゆ子「主人公だから当然に、「キュアマネー」を名乗る。イメージカラーは赤だな。」
釈「赤字、ですか。」
まゆ子「名前は、「鐘塚あらし」ちゃん。」
じゅえる「うわー、なんか金遣いが荒らそうな子だな。」
まゆ子「もちろん主人公だから様々な美徳に溢れている。でも欠点は「浪費癖がある」」
釈「だめですよそんなの。プリキュアじゃありません。」
まゆ子「必殺技は後で考えるけれど、とにかく我が身が傷つくのも恐れずに持ち金をありったけ突っ込む度胸がある。」
釈「そんな度胸要らない!」

 

まゆ子「二人目は、父親が伝説の相場師で巨万の富を築いたお金持ちの令嬢。成金だけどさ。
 名前は「山吹 こばん」 キュアゴールドだ。
 必殺技は非常に重たい黄金の打撃。やはり現物は強い。
 敵の動きを先読みしてあらかじめ攻撃の手段を配置しておく事も出来る。「先物取引」だ。」
じゅえる「そいつ、時々読みを外してとんでもない大損を被るんだろ。分かるぞ。」
まゆ子「お嬢様で成績優秀で、しかも未来予測が出来るという最強キャラではあるが、足元がおろそかという欠点がある。」
釈「そりゃー、完璧超人ってタイプじゃないですよねその子は。運だけで切り抜けてきている。」
まゆ子「時々お屋敷に借金取りが来たり、予期せぬ引っ越しを余儀なくされるが、父親を信じ切っている。
 将来の目標は自分も父親のような伝説の勝負師になることだ。」
じゅえる「ああ、うん。そうだね。母親は浪費癖があるんだねきっと。」
まゆ子「ああ、母親は離婚してる。慰謝料がっぽり儲けて。」
釈「ああ、ええ。そうですね。手堅いですね。」

 

まゆ子「三人目は大阪から来た。その名もキュアゼニー。
 得意技は「倹約」、決して無駄遣いをせずにちまちまと血の滲む思いでお金を貯めている。
 かと言って貧乏というわけではない。こういうタイプはしこたま溜め込んでいるものだ。
 必殺技は、敵の弱点を決して見逃さない冷静な観察力。打撃は小さくてもダメージは最大。
 名前は「白花あはれ」ちゃん。銭の花は白い、でもその根は血のように赤い。
 大阪から来たんだけれど、元気少女ではなくむしろ薄幸の美少女で病弱にすら見える細さ。でも芯は強く、逆境にあっても決して折れる事の無いど根性を持っている。
 中村玉緒みたいなもんだ。
 あと、見た目に反してものすごく健康。腐れかけのご飯を食べたってけっしてお腹を壊さない。」
じゅえる「「あはれ」ってなんだよ。人の名前じゃないぞ。」
まゆ子「夢はお母さんに小料理屋さんをプレゼントすることだ。健気。」
じゅえる「それさ、お母さんの名前も「けなげ」さんにしようよ。」

 

まゆ子「4人目はキュアクレジット。何枚ものカードを巧みに操る天才マジシャンだ。
 必殺技は、多彩なカードさばきによる6連発リボルバー必殺技。通常のプリキュアが1回しか出来ない事が、6回連続で出来る素敵攻撃。」
じゅえる「いやそれ、後でひどい目に遭うだろ。返済できなくて。」
まゆ子「マジシャンだから、名前は「北禅寺 みやこ」。ゼンジー北京から頂きました。」
釈「いやいやいや、だめですよだめ。そんな無茶な。」
まゆ子「性格はおちゃめで明るく、ダジャレ好き。皆んなを楽しませてくれる。でも時折寂しい目をする。」
じゅえる「手品師だからな。」
釈「ローンが払えずに寂しくなっちゃうんですね。」

 

まゆ子「5人目はキュアボーナス。ここぞという時に繰り出される一発の必殺技が大威力で、勝負を決めてくる。
 名前は、まだ考えてない。今考えた。「八百 まどか」やおまどか、ね。」
じゅえる「800円!」
釈「時給ですね、それ時給なんですねアルバイトの。」
まゆ子「将来の夢は大学に行って高給取りの正社員オフィスレディだ。
 でも両親は非正規雇用でボーナス出ない。」
じゅえる「夢か、それは彼女の夢なのか。」
釈「ボーナスが出るのが夢なんですね。」
まゆ子「汗水流して働いてお金を稼ぐのを尊ぶ、大王道の女の子だ。頑張り屋の働き者だけどドジも多く、罰金とか払わされてしまう。」
釈「うう悲しい。」

 

まゆ子「最初敵で後になって味方になる6人目。キュアプライズ。
 悪の組織においては、3人の特権富裕層の下僕として中間管理職をさせられていた。
 改心してプリキュアの仲間になった後は、一攫千金を夢見る少女。地道に働いてもまったく報われなかった悪の時代の反動で、ぱーっと儲けたいと考える。
 趣味は宝探し。あと暗号解読。宝の地図を解読する。
 名前はー、日本人名じゃない方がいいかな? 「トゥームレイダー」から取って、「ララちゃん」にしよう。「ララ・ベンチャー」
 必殺技は誰も持っていない素敵アイテムを次から次に入手できる。ガチャで入手する。ただし一回使うと失われる。」
じゅえる「ガチャか宝探しかどっちかにしなさい。」
釈「とにかくまともに働く気が無いのは分かりました。」

 

まゆ子「で、敵の幹部だ。
 まず一番偉い大ボスね。「タランプさま」だ。「タランプタワー」に住んでいる。呼び名は「プレジデント」」
釈「うん。まあ、うん。ですね。」

まゆ子「悪の大幹部は3人居て、ララは彼等から直接指示を受けてプリキュアと戦っていた。
 1人目は、「アブラキャッシュ王子」 中東風の浅黒いイケメン。キャッシュとは名が付くが「生まれてこの方現金というものを見たことがない」」
釈「嫌味やなー。」
まゆ子「2人目は、「ヘイブン男爵」 イギリス貴族風の中年男性でダンディ。「税金なんて頭の悪い奴が払うものです」
じゅえる「ああ、タックスヘイブンね。何故男爵になったか分からないけど。」
まゆ子「3人目は女性、美女のセレブ。「デヴィアス」 宝石で全身を飾っていて自分では何もしたくない。「パンが食べられないならお寿司を食べればいいのよ銀座でね」」
釈「だいたい悪は分かりました。そいつらはぶち殺していいです。」

まゆ子「プリキュアが戦うわけは、魔法の妖精の国が放漫財政で借金ばかり重ねて、遂に「タランプ」に全部買収されてしまった。
 これを取り戻す為に人間の世界に妖精を送って、」
じゅえる「あーもういい! 妖精国は自分では何もしない放漫財政のままで、なんとか助けてもらおうってハラだなそいつは。」
釈「どっちが悪か分かりませんねそれ。」

 

まゆ子「で、変身アイテムだ。幼女が大好きなお金が入る、可愛いガマ口を妖精からもらう。

 ガマ口をパカっと開くと、中にゼニガメが入ってるからこれを引っ張ると、内蔵電卓が起動して喋って変身プロセスが始まる。
 同時に電卓が残金を表示して、今回のプリキュアのパワーが決定される。
 なお敵の怪人をやっつけると報奨金が入ってガマ口の数値が上がるが、一定数に達すると妖精国が上納金を掠め取っていく。
 百万妖精円を集めると、王国がタランプの魔手から解放される。」

釈「キュアプライズは特別な変身アイテムですよね。」
まゆ子「うむ、ガチャ機能が付いていて、ポイントを消費してガチャが出来る。上手くいくとアイテムが発生する事になる。
 ゼニガメではなくお金が儲かる白蛇様をモチーフとした素敵電卓だ。」

じゅえる「戦闘中に使うステッキ的なものは?」
まゆ子「あー、まだ考えてない。

 だがプリキュアによって電卓の機能が違って、キュアマネーは残金がゼロに近づくほどパワーが充実して強くなる。
 キュアボーナスは戦闘開始と共にタイマーが起動して、一定時間経過後に必殺技ボーナスが使える。
 キュアゴールドは先物取引を表すタイミングの音ゲーみたいな機能がある。そんな感じ。」

じゅえる「ちょっとまった。このプリキュアは敵を攻撃する時カネが掛かるのか?」
まゆ子「そりゃそうだよ。鉄砲玉だって一発撃つごとにカネは掛かってるよ。」
釈「あーそれはまあそうなんですが、そういうシステムなんですか。」
まゆ子「幼女に何をするのでもお金は掛かるのだからちゃんとよく考えなさいよ、と教育するのがこのプリキュアの目的です。」

釈「だいたいわかりました。で、物語は。」
まゆ子「いやまだ、変身時の名乗りも考えなくちゃ。

 キュアマネー:皆んながお得だとわたしも嬉しい。大事なお金は正しく使う。
 キュアゴールド:確かなものはこの手で掴む。希望の未来は私が作る。
 キュアゼニー:銭の花は白い、でもその根は血を吸って赤い。見えますか、わたしの周りのお花畑が。
 キュアクレジット:皆んなが私を信じてくれる。私の明日を信じてくれる。
 キュアボーナス:お父さんお母さんありがとう。今夜はすき焼き(いろいろ変わる)だ!
 キュアプライズ:カネは天下の回りモノ。回るは因果の糸車。一天地六のさいの目次第。

じゅえる「キュアプライズ、ひでえな。」
釈「絶対幸せになれないプリキュアですよね。」

まゆ子「幸せでないと言えば、あはれちゃんもお父さんがとんでもない極道で飲む打つ買うの三拍子、お母さんが稼いだお金をふんだくって競輪競馬パチンコにつぎ込む悪党だ。
 裁判所が接近禁止命令を出して、ようやく大阪から逃れてプリキュアの住む町に引っ越してきたのだ。」
じゅえる「それは幼女には見せられない絵だな。」

釈「あらしちゃんは普通のご両親なんですよね。」
まゆ子「そうだな。普通に勤め人でお母さんは専業主婦でもいい。ごく普通の幸せな家族です。ただあらしちゃんが浪費癖のある問題児というだけで。」
じゅえる「それは十分不幸だぞ。」

釈「こばんちゃんはお父さんを信じ切っているから幸せだけど、客観的に見るとかなりやばい綱渡りをしているんですね。」
じゅえる「でもお父さんはいい人なんだろう。お母さんはさっさと別れて個人財産を確保しており、こばんちゃんの養育自体には問題ないんだな。
 割とまともな母親なんだ。」

釈「まどかちゃんは、まあご両親が非正規で、」
じゅえる「大家族にするか? 子沢山はキュアマーチぽいから避けるか。」
まゆ子「うーん、未定。そうだな、

 あらしちゃんが弟アリの長女。こばんちゃんは一人っ子お嬢様、あはれちゃんは一人っ子だが自分も知らない兄弟が居るかもしれない。」
釈「そこまでやらなくていいのでは。」

まゆ子「みやこちゃんは、そうだな割と旧家のお嬢様で親戚は結構居る事にするか。兄弟は無くても従兄弟が結構いる。
 北禅寺流手妻術の宗家という事にしてもいい。

 まどかちゃんはー、姉妹が居る事にするか。女の子3姉妹。」
じゅえる「それはカネが掛かる!」
まゆ子「うん、年子にしよう。中学123年にびっちり3姉妹が揃っているのだ。まどかちゃんは次女。」
釈「そりゃー大変ですね親御さん。というか、大丈夫なんですか?」
まゆ子「そこはアニメ的救済措置でなんとかなるのだ。なんだったらお姉ちゃんが凄い天才で発明で儲けてるでもいい。」
じゅえる「うーむ、そこは考えるな。姉が普通でない方法で稼いでいるとしたら、そっちに突っ走るか、反発して手堅く行くか。」
釈「まどかちゃんは手堅く行くタイプ、という事にしますか。」

じゅえる「ララちゃんは悪の幹部だったんだから、兄弟は無しでいいな。」
まゆ子「いや、そうだな。人間型の兄弟姉妹は居ないとしても、妖精の家族はあってもいいかな。10人くらい居るけどタランプタワーでこき使われている。」
釈「あー、そのくらいがリアルですかね。」

 

まゆ子「あ、そうだ。あらしちゃんは学校では活発に活動する積極的な女の子なのだ。
 だから生徒会にも所属して会計を務めている。」
じゅえる「ちょっとまて、浪費癖のある会計か?」
釈「いやーさすがに公金横領はしないでしょう。」
じゅえる「だが財布の紐がゆるくてぱーっと使い込んでしまうとか。」

まゆ子「とにかく、生徒会メンバーとか生徒会長とかがプリキュアチームとは別に居るのだ。友達だ。」
釈「はあ。そうですね学校生活が楽しくないとダメですよね。」

じゅえる「このプリキュアにおいては、マネーとゴールドがライバル的な関係になるのではないか?」
釈「そうですね。ゴールドこばんちゃんはお嬢様ですから、主人公とは対立するとは言わないまで仲良く張り合うくらいが欲しいですね。」
まゆ子「ふむ。では。

 あらしちゃんの将来の夢はファンドマネージャー。これに対してこばんちゃんは学内において「投資サークル」を部活動として行っているのだ。」
釈「なるほど。既に一歩先行くこばんちゃんですね。」
じゅえる「ふむふむ、いい感じだ。」
まゆ子「「光クラブ」という名称にするか。」
釈「すいません、それはダメですなんか色々。」

釈「みやこちゃんは既に芸能界デビューしていてもおかしくないですね。少女マジシャンとして。」
まゆ子「それもいいかもね。いつもスケジュールに追われていてあまり学校にも出てこない。時々憂い顔を見せる美少女だ。」
じゅえる「それは、クレジットカードの返済問題に悩んでるんだろ。」

釈「あはれちゃんは部活をやっていそうではないですね。そんな無駄なこと。」
まゆ子「うーんでもそれでは面白くないなあ。お料理クラブか裁縫部に居てもいいんじゃないだろうか。
 あと、実はあはれちゃんはスーパーのおそうざいの半額とかは買わない。自分で材料買って作った方が安くていっぱい出来るから。
 これに引っかかるのはあらしちゃんとまどかちゃんだ。」
じゅえる「やっぱりお料理クラブでいいじゃないか。」

まゆ子「まどかちゃんは、将来一流大学に行って一流企業のオフィスレディが目標だから、毎日勉強頑張っています。
 「勉強部」というのに所属している、と本人は主張するのですが、どう見てもそれは補習居残りです。」
じゅえる「頭悪いのか?」
まゆ子「頑張ってます。」
釈「努力が成績に結びつかない、悲しい!」
まゆ子「あと、お姉ちゃんが発明で大儲けして家計を助けている、という事にしたから、妹も一攫千金を夢見てラノベ作家になろうとしています。
 変な小説を書いています。」
釈「それはー、中学1年生ですよね。可愛いじゃないですか。」
じゅえる「あ、姉妹の名前考えついた。姉が「よろず」で妹が「いちか」だ。」
釈「なんですかそれ。」
じゅえる「八百万と八百一だ。」
まゆ子「八百一はそりゃ変なラノベ書くけどね、それはね。」

じゅえる「一攫千金かー。ララちゃんが羨望するなあ。」
まゆ子「実際ララちゃんがプリキュアになった後は、まどか姉を慕って仲良くなります。」

 

釈「それで、物語ストーリーはどうなります?」
まゆ子「いや、だってプリキュアじゃん。一年間を通してスケジュール決まってるよ。

 えーとまず、第一話あらしちゃんが妖精と遭遇してキュアマネーに変身、プリキュア業始めました。でしょ。
 それから2ヶ月くらい使って初期メンバー5人を集めていく。」

じゅえる「こばんちゃんとあはれちゃんは転校してきた事にしてもいいんじゃないか。」
釈「そうですね。みやこちゃんも旧家というから古くからこの町に住んでいたとしても、芸能界で活躍してちょっと地元に戻って来たということにしても。」
まゆ子「ふむふむ。芸能界で活躍していたとしても高校には行かなければならないから、ちゃんと勉強する為に実家に戻って来た。それで転校、てわけだ。」
釈「3人が転校組とすれば、まどかちゃんは元から居た組ですね。」
まゆ子「転向組でぽんぽんぽんとメンバーが揃ったところで、妖精がプリキュアはもうひとり居るはずだ。て探したら、補習を受けているまどかちゃんを発見する。そういうシナリオだね。」
じゅえる「これで2ヶ月か。うん、ふつうだね。」

釈「メンバーが揃った段階でプリキュアが強くなりすぎて、悪役ララちゃんの手には負えなくなって、セレブ3悪人が直々に攻撃開始。」
じゅえる「3ヶ月目くらいに新アイテム投入でパワーバランス復活。
 これでララちゃんの居場所がだんだん悪くなって、成績を上げないとタランプ様に「ユーアーファイアー」されてしまうんだな。
 そこで無理して体に悪いパワーアップアイテムを使って攻めてくる。」
釈「You are fired! ですよ。トランプさんの決め台詞は。」
まゆ子「いいね。ララちゃんの前にもドジを踏んだ中間管理職がタランプ様の怒りを買って「ふぁいあー」されてしまうんだ。
 それでララちゃん脅されてしまう。」
じゅえる「うんうん。いいねいいね。ほんとうに火だるまになって死んでしまうんだな。」
釈「で、バッドマネーというか、なんか怪しいカネを使って悪の最終変身をして死んでしまいそうなところをプリキュアチームに助けられて、第六のプリキュア「キュアプライズ」の誕生だ。」

じゅえる「これで7月。キュアプライズ商品販売でこの月は乗り切って。
 敵に有能な新メンバー加入で、セレブ3悪人にも尻に火がついて、攻撃強化してくる。」
まゆ子「秋に入る頃に6人プリキュアの必殺技アイテムが発売で、パワーアップした悪を撃破。

 もうひとり、妖精が居て妖精王国のなにかがあってもいいんじゃないかな。」
釈「希望の王子様とかなんとかですね。」

まゆ子「だがここで抑えておかねばならないのが、妖精王国は放漫財政で借金まみれになってタランプに買収されてしまったということだ。
 最終的な敵はタランプではなく、妖精王国自体であり、王国が自ら立ち直ろうという気概が無いと悲劇は続くのだ。」
釈「なるほど。」
じゅえる「そこで、希望の王子様か。ダメな妖精王を追放して、新しい王様を立てるんだ。」
釈「クーデターですね。」
まゆ子「というわけで、タランプ打倒は普通のスケジュールよりも早くなる。12月クリスマスにはタランプタワーが炎上して悪が滅びてもらいたい。」
釈「タランプの最終攻撃によって日本経済も危機に陥り、あらしちゃんのお父さんの会社も業績不振になって苦しむのです。」
じゅえる「それはまじで最悪だな。」

まゆ子「プリキュア、頑張って日本経済、いや世界経済を救います!」

釈「なるほど。で、王国復活なったというか、タランプが滅びたら借金もちゃらになるんですねソレ?」
じゅえる「踏み倒すのか。うん、それもアリだな。で浮かれまくった妖精王国ではお祭り騒ぎが連日続いて、これはダメだとプリキュア達も感じ始める所に真の敵の出現。」
釈「タランプJrですよ。またしても妖精王国にカネを貸し始めるんです。」

まゆ子「うんうん。ここでプリキュアと共に正義の為に戦ってきた希望の王子が今の妖精王を追放すると決意して実行。
 これによりプリキュアは最強アイテムが消滅するけれど、もう用が無いから大丈夫だよね、と思ったら最強アイテムを手にしたタランプJrが妖精王の力と共に超巨大悪に変身。」
じゅにあ「プリキュアピンチだな。」
釈「でもこの段階ではもうパワーアップアイテムは売ってません。これは死んじゃう。」

まゆ子「どうするかい? ここで調子よく奇跡の力でやっつけてめでたしめでたしだと幼女の教育のために良くないぞ。」
釈「そうですねー、無駄遣いばかりする妖精王が最終勝利しても困りますが、運に頼って出たとこ勝負で解決しても教育上良くないですね。」
じゅえる「そこは希望の王子様の出番だろう。

 タランプJrをやっつける為に、妖精国の国民皆に持っている魔法のおカネを供出させて、プリキュアの力にして巨悪を倒すんだ。
 そして妖精国の住民はみんな貧しくなってしまう。みんながっかりだ。
 でもこれがホントの妖精国の姿であって、みんなが遊び浮かれていたのは借金による偽の幸福だったんだ。ということで、奇跡の王子様の指導によってこれから国は良くなっていくんだよ。
 というENDだ。」

まゆ子「いいですね。」
釈「決定です。」
まゆ子「でも、最強アイテムが悪のアイテムになってしまったら買った子どもが可愛そうだから、タランプJrの手から奪い取り、妖精国の皆んなのおカネを結集して最後は正義の為に発動する事にしよう。」

じゅえる「誰が最強アイテムを取り返すんだ?」
まゆ子「あー、そうだなー、秋に登場した有能な敵幹部だな。タランプJrの手下として今回の妖精王国再奪取を実現させたけど、土壇場で裏切ってプリキュア側に乗り換えた。」
釈「え、なんでそんないきなり改心したんです?」
まゆ子「こいつは根っから悪いヤツだから、裏切りはちっとも気が咎めない。むしろカネの有る方が善で貧乏人は悪と思ってるのは、まったく変わってない。
 でも、こいつは有能な奴なんだよ。
 タランプJrの器量が取るに足らないと見てとって、むしろ有望な「希望の王子」を儲けさせてやろうと考えたんだな。」

じゅえる「そうか、将来性が無い主人を見限ったわけだ。」
釈「なるほどお。カネ儲けでもただ多ければ最善てわけじゃないんですか。」
まゆ子「やはり成長率だよ。カネ儲けの才能がある者は、大きく膨らむ仕事が一番面白いのさ。」
じゅえる「教育的だなあ。」

 ***

 

【怪奇!伝説の竜星郷に鬼首姫の亡霊を見た】14/11/27

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【ウイッチクラフトファイターズ】13/10/16

まゆ子「いよいよガンダムみたいなお話を書こうと思う。」

釈「おおおおおおおおおー、ついにやる気になりましたか。」
じゅえる「いややりたそうな顔をしていたからやるかな、と思ってたけど、なにかいいアイデア思いついたのか。」
まゆ子「思いつきました!」
じゅえる「早速それを披露してもらおう。」

まゆ子「あー時は現在所は地球、日本。
 その頃地球は宇宙のどこやらか知らないけれどやってきた悪のエイリアンによって侵略され、絶滅寸前に陥ります。」

釈「ガンダムとまるっきりちがいますね……。」
じゅえる「面白いからしばらく聞いてみよう。」

まゆ子「そこに現れた救世主が女子高生八段まゆ子ちゃん。」

釈「なんと! 自分を主人公にしてしまいましたよ。」
じゅえる「これは予想外の展開だ。」

まゆ子「まゆちゃん先生は敵エイリアンの戦闘機械が同士討ちをして破壊された残骸を発見して機能を分析、まったく新しいエネルギー発生装置を使っている事を直感により看破し、そのコピーを作ってしまう。
 そのエネルギー発生装置とは生体を部品として使い異次元からエネルギーだけを引っ張りだすという、いわば人間トランジスタなのだ。
 超天才まゆちゃんはこの原理を応用して親友蒲生弥生ちゃんをパイロット兼トランジスタとするテストベッドを製作、エネルギー発生に成功。
 その弐号機にて飛行も可能として、ついに地球製兵器として初の敵機撃墜に成功する。」

釈「なんとなく超ご都合主義です。」
じゅえる「なにせ弥生ちゃんが乗ってるからな。」

まゆ子「というわけで、地球連邦軍はまゆちゃん先生と弥生ちゃんをスカウトして新兵器開発に乗り出し、地球産兵器を実戦に投入。しかし弥生ちゃんが乗らないと上手く動かない。
 というわけで引き続き弥生ちゃん搭乗の新マシンは世界中で悪を駆逐して廻り、さらに大気圏外離脱可能に生命維持装置を強化したマシンで宇宙での戦闘も可能に。
 敵が地球に戦闘マシンを送り込む超輸送機「β−XXIX」を撃退する事に成功。これで地球侵攻軍に増援が届かずにマシンで確実に駆逐されていく。
 弥生ちゃんが出撃すること128回撃墜1023機にして、遂に敵軍を撤退の憂き目に遭わせて、地球大勝利が見えたその瞬間!」

釈「ほお。」
じゅえる「ほお。」

まゆ子「弥生ちゃんは地球で酔っぱらい運転の車に轢かれて、意識不明の重体。
 一方まゆちゃん先生はその数日前に、地球に不時着した敵新型戦闘マシンの調査に赴いたところを、地球連邦軍の誤射により死亡。
 つまり地球は英雄を二人失って、以後の戦闘継続が不可能となってしまう。

 物語はここから始まります。」

釈「さすがに酷い設定です。自分殺しちゃいましたよ。」
じゅえる「まあ自分自身を登場させるには、このくらい非情じゃないとな。」

まゆ子「ちなみに戦争の英雄まゆちゃん先生と弥生ちゃんの存在は世間では極秘となっています。戦闘マシンの発明者もちゃんとした大人の科学者がマスコミに発表されていて、人類の救世主呼ばわりされています。
 まあ考えてみれば当然で、女子高生が作った戦闘メカロボに頼るしか人類の生き残る道は無い、とか絶望的な状況ですから。
 弥生ちゃんが極秘になってるのはもっと深刻。なにせ真の意味で勝利しているのは弥生ちゃん唯一人だという現実を世間に公表したら、それはもう大騒ぎさ。」
釈「そりゃあ、一人死んだら人類絶滅ですから。」
じゅえる「そりゃ極秘だろうさ。敵に暗殺されるかもしれないし。」

まゆ子「というわけで、地球人類は地球連邦軍は人類の救世主の代わりとなる敵を撃退できるパイロットを急遽養成しなければならなくなる。
 とはいえ、戦闘マシン自体は製造が可能であり、これに大人の戦闘機パイロットが乗れば十分以上の活躍戦果が期待できるのです。地球に降りてきた雑魚メカに対しては。
 問題は超輸送機「β−XXIX」。これに対しては地球側が用意した如何なる兵器も通用しない。バリアが標準装備なのだな。

 そしてまゆちゃんが作った戦闘マシンにも、このバリアは標準装備。敵地上メカの攻撃くらいはなんなく防ぎます。
 弥生ちゃんはバリアにはバリアで対抗だ、と頭から突っ込んで体当りして見事撃墜して回ったわけですが、この真似が他のパイロットには出来ない。
 というか、普通バリア同士がぶつかれば出力強い方が勝つところ、弥生ちゃんは根性で敵を貫通して自分は無傷で1000機以上を撃墜しているわけです。これは変。

 で、機体は有れど神風特攻ができないというわけで、じゃあなんでどうしたらそれが可能となるか。地球連邦軍は考えるわけです。
 そして集められたのが高校生くらいの少年少女が百名ほど。
 弥生ちゃんが何故それが可能かについては天才まゆちゃん先生が或る程度の目星を付けて人選をしてくれていた、その遺産を運用して真の救世主を見出そうとする。

 この少年少女達が、この物語の主人公です。
 全員死にます。」

釈「全員て、百人全員ですか。」
まゆ子「正確には男女1名ずつが最終的に残ります。そして地球は救われて、平和が世界に戻るのです。」
じゅえる「そいつらは特攻が可能になったのか?」
まゆ子「正体が分かれば簡単でした。まったく危なげなく地球は救われます。それまでの犠牲者の物語。」

釈「つまり、人が死ぬ物語なのですね?」
まゆ子「悲劇です。」

 

じゅえる「まあストーリーはいい。そこのところはこれまでなんとか頑張ってきた。
 問題はロボだ。ガンダムというからにはMSに相当する戦闘メカを用意しているのだろう。」
まゆ子「実はガンダムではなくグロイザーXです!」

じゅえる「なにそれ?」
釈「何ですかそれ?」

まゆ子「グロイザーXは普通のアニメのロボとは違って、飛行機なんだ。基本的に飛行機。だから着陸する時は両腕を広げて平たく降りてくる。
 弥生ちゃんが乗る戦闘メカも同様に平たく着陸する、というより飛行機のように頭を前にして空飛んで、人型ロボとしてはまったく戦闘しない。」
じゅえる「ただの戦闘機じゃないか。」
まゆ子「平たく言うとそうなのだ。」

釈「いや、それは戦闘メカとして極めて正しい選択ではありますが、何故ロボなんて無茶を言うのですか?」
まゆ子「ロボじゃないと売れない。」
じゅえる「いやいや、ラノベはロボじゃなくても売れないから。巨大メカに乗って戦うお話は売れないから。」
まゆ子「だいじょうぶ、今回ロボ戦闘メカは単なる舞台背景であって、真に描かれるものは選ばれた少年少女達が隠された大人達の目的を見破り運命に抗い生き残っていく、地上での人間同士の戦いを描く物語なのです。」
釈「でも98人死ぬんでしょ。」
まゆ子「うん。」

じゅえる「とにかく、つまりそれはロボじゃないんだ?」
まゆ子「基本的な設定を説明すると、弥生ちゃんが乗っている・乗っていた戦闘メカは手足が付いてません。なにせ頭から特攻するだけの機能で全勝してますから。
 そうだねー言うなれば戦闘機ですらない人間ミサイルです。人間砲弾と呼んだ方がいいかな。」
じゅえる「ロボほんとうに関係ないんだ。」

まゆ子「というわけで、こんな無茶は他のパイロットには出来ないから、レーザー砲とか超電磁砲搭載で敵地上戦闘メカをなぎ払います。
 しかしながら、手足は無いから格闘は出来ない。」
釈「それでいいんです。リアルな戦闘メカに手足は要らないのです。」
まゆ子「だが付けちゃう! ただ両手はその超兵器をマウントして前後左右上下に振り回して射撃できるから、手の役目は出来ません。殴り合い禁止です。」
釈「それでいいんです。リアルな戦闘メカは殴り合いなんかしないんです。ビームサーベルも禁止です。」
じゅえる「実に穏当な設計だと思うぞ。」

まゆ子「というわけで、平たく降りてくる飛行機タイプの戦闘メカには足で歩行なんて機能も必要ありませんから、足も要りません。降着脚くらいです。」
釈「いいんですよそれで。二足歩行なんて戦闘メカにはまったく必要が有りませんそれが正しいんです。」

まゆ子「にも関わらず、足は付けちゃう。」
じゅえる「なぜだー。」
まゆ子「蹴るためです。敵を蹴って蹴って蹴りまくる。その為に足がわざわざ付いています。」
釈「だから何故ですか。」

まゆ子「そこがこの物語の核となる部分で、この戦闘メカは弥生ちゃんしか真の意味では使えないのだ。つまり敵超大型輸送機「β−XXIX」のバリアを突破する特攻が出来ない。
 集められた少年少女達は特攻が出来るパイロットになる事が期待されているが、どうやって訓練すれば良いかわからない。
 1つだけ分かっているのは、弥生ちゃんはレーザー砲やら電磁砲装備の最新タイプを使って能力を開花させたわけではない。何の武装も付いていない機体でいきなり実戦に飛び込み、勝利した。
 これはさすがに無茶だ。真似させられない。」

じゅえる「もっともだ。」
釈「もっともだ。」

まゆ子「というわけで兵器搭載タイプではありながらも敵戦闘メカ地上タイプと格闘戦をする為の装備として、足が装備されたのだ。
 ちなみに当然の事ながら地上メカには搭載兵器は十分に有効である。撃ち殺せばまったく問題ない。格闘する必要も全くない。
 敢えてその可能性を挙げるとすれば、友軍の兵士が敵戦闘メカに捕獲されて拉致される時くらいだ。これは人間が居る場所に進攻して来た場合よく起きる事例だ。
 人間を救出する際にはさすがに火器類は使えない。格闘でなんとかするしかない。」

じゅえる「いや、他の戦車とかを使えよ。」
まゆ子「そんなものは戦車戦闘機戦闘ヘリから歩兵装備までまったく効果はありません。地上メカには基本バリア機能はありませんが、全周地球MBT正面装甲と同レベルの強装甲です。」
釈「そもそもそれはどんな兵器なんですか。」
まゆ子「鉄で作ったカニという感じ。高さは5メートル幅8メートル長さ5メートル、カニですね。」
じゅえる「武装は?」
まゆ子「金属粒子ビーム砲、これで十分地球兵器をすべて破壊できます。あとレーザー砲でミサイル等を撃墜。あと衝撃波砲というので家屋をなぎ払います。」
釈「つまり地球兵器では対抗できないわけですね?」
まゆ子「火薬兵器ではまったく無力と考えてください。キネティックミサイルならばある程度の効果は有ると考えられていますが、レーザーに撃墜されるから届きません。
 核兵器も同様に、効果域にミサイルが到着する前に撃墜されるから意味なし。地雷にして焼き尽くせばさすがに破壊可能ですが、それでも爆心地以外では1キロも離れたら無傷です。」
じゅえる「つまり、地球連邦軍は無力?」
まゆ子「まゆちゃん先生がロボ作って弥生ちゃんが特攻で撃破するまでは、ほとんど有効な反撃は出来ていません。」

釈「じゃあまゆちゃん先生のロボが量産出来た現在は、」
まゆ子「地上戦闘メカに対してはロボの兵器は十分に有効です。というか、ロボから発生するエネルギーを発電に回して大量の電力を供給する事でレーザーや電磁砲が駆動できるのです。」
じゅえる「戦車にその不思議エネルギー発生機関を搭載すれば、超戦車の出来上がりってわけだな。」
まゆ子「まあそうなんだけど、弱いとはいえロボにはバリアが通常標準装備ですから、戦車よりよほど強力な防御力を持つ。それこそ足で殴り合いをしてもだいじょうぶなほどの。」

釈「それで、ロボの足は強いんですか?」
まゆ子「ぜんぜん。一回殴り合いすれば交換を余儀なくされるほどに脆弱です。チタン合金製ですが、敵戦闘メカの装甲の硬さには負けます。でも敵メカの足を払って人間を奪還する程度には間に合うと考えられている。」
じゅえる「あくまでも緊急避難的に使う装備なんだな。」
まゆ子「というか、もっと重要な役目が足にはあって、僚機が被弾破損した場合足を使って僚機を確保して戦場を離脱する、救助用のアームと考えてください。その為の強度は十分に確保されています。」
釈「ああ、つまり殴り合いは例外的な使用法なんですね。救助するのもロボでないと出来ないわけですよ。」
じゅえる「他のヘリコプターで救助とか無理なんだな。」

まゆ子「この足は宇宙ではより重要です。なにせ単段で宇宙空間に出撃できる兵器は地球にはロボしかない。宇宙で被弾破損しても救出はできない。ロボはロボで救出するしか無い。」
じゅえる「うん。宇宙に行けるんだ。」
釈「宇宙人が攻めてくるわけですからね。」
まゆ子「もちろん宇宙用の機体は特別です。なにせ生命維持装置が地球上のものとは桁違いに複雑になる。これはさすがにNASAとかロシアとかの支援を受けて装置を組み込んでいます。
 さらに宇宙用兵装として小型核ミサイルが搭載されています。6発ほど。但しこれを直撃させても「β−XXIX」 は屁でもありません。
 このミサイルは基本的にフレアとして使います。目眩ましです。」
釈「核ミサイルが単なる目眩ましですか。」
じゅえる「もっと効率的に使えないのか?」
まゆ子「核反応を利用してレーザー砲を駆動して攻撃するというオプションも考えられていますが、なにせシステム全体の大きさ重量がとんでもないものになるので、搭載は断念しています。
 ちなみにロボの推力であれば核れーざーシステムを宇宙空間に持ち出すのも容易いのですが、ぶらさげたまま空間戦闘となるとさすがに邪魔で使えません。」
釈「現実的な対応として核ミサイルを目眩ましに使ってるわけですね。」
じゅえる「まあ、爆発力が必要な状況も発生するんだろう、いつか。」

まゆ子「ちなみに弥生ちゃんが宇宙空間で撃墜して回った時の機体には、宇宙空間用生命維持装置は付いてません。宇宙服着ただけで飛んでいきました。当然僚機無し事故れば即死状況で。」
釈「ひい。」
じゅえる「さすがだな……。」

まゆ子「ちなみに、こんな形。」

じゅえる「魔女だ。」
釈「魔女ロボだ。」
まゆ子「魔女ロボなんですよ。ちなみにこれで水平に降りてくると、おっぱい部分から降着脚が出て着陸する。」
じゅえる「いや、まあ、うん。おっぱいだな。」
釈「これはどう見てもガンダムじゃないです。」

まゆ子「とりあえず ”ウイッチクラフト”と呼んでいる。魔法みたいな原理で飛んでるから。」

 

釈「それで、パイロット候補者はどんどん死んでいくわけですが、百人とは言わず千人でも1万人でもパイロットにすればいいんじゃないですか?」
じゅえる「もっともだ。別に少年少女でなくてもいいだろ。」

まゆ子「うん、まあそうなんだけど。実は134号機まで作ったところで弥生ちゃんもまゆちゃんも居なくなって、エネルギー発生装置の起動が出来なくなったんだ。
 他にも開発者の中に起動が出来る人が居たんだけど、幼女の尻を触って逮捕されてしまって、家でピストル自殺をしてしまって地球上に起動プロセスの管理が出来る人が居なくなった。
 だからエンジン点火出来ない機体が135号機以後1000機も用意されているが、全部ガラクタなのです。

 稼働する134号機まで、実働するのは(注;以下の機体についての説明は一度全部書いてから、何度も修正し直してます)

 

  Mark.0(まゆちゃん先生が作った実験機、木製のたらいにコイルが組み込んでいるだけのエネルギー発生実証器で移動能力なし)。
  初号機(段ボールで風防を作った初飛行モデル 敵地上メカ1機撃破後自壊大破 資料用に復元した)

 (2号機 軍事技術を投入された飛行実験機 初の発電機能搭載 世間一般的にはこれがロボ発明第一号、複数人が搭乗したが弥生ちゃんによって初めて点火確認。初実戦で40平方キロメートル内の敵地上メカ250機撃破・基地帰還後崩壊 研究機関送り)
 (3号機 2号機の強度を大幅に向上させた戦闘機モデル 初の火器20_機関砲搭載→無駄だからすぐ下ろした 弥生ちゃんが乗ってる時は無敵だったが、別パイロットで撃墜大破)
 (4号機 3号機の発電能力を大幅に増強、実用レーザー砲1門搭載。体当たり以外で敵地上メカ撃破可能に。生命維持機能を強化して高高度飛行能力を付加、大気圏外のβ−XXIXに攻撃するも効果なし 弥生ちゃん以外のパイロット搭乗時に空戦で撃墜)
 (5号機 4号の発電能力を倍増、左右レーザー砲および単発電磁砲搭載 βーXXIXへの効果なし 頭部トンガリ装甲初装備 このモデルによってまゆちゃん先生か弥生ちゃん以外の人間でないとエネルギー発生器が初期化起動出来ないと判明 
   量産モデルのプロトタイプとして戦闘機メーカーに動態保存されていたが敵の攻撃により焼失)
 (6号機 5号機をベースに高度な大気圏外用生命維持装置を搭載 宇宙用プロトタイプにして史上初のβ−XXIX撃破に成功 火器は搭載されていないが帰還用大気圏突入カプセルとパラシュート搭載→不要と判断して以後のモデルでは廃止
   弥生ちゃん支援機の母体として実験機に改修・戦闘任務から外される 改修後初の脚部搭載→弥生ちゃん機を回収するために装備 
   現在は地上設置の訓練機でエネルギー発生器は駆動するものの飛行不可)
 (7号機 6号機の実戦モデル左右腕部に稼働兵器プラットフォーム装備で360度全周攻撃が可能に→弥生ちゃんには不要であった 宇宙空間で支援機とドッキングする機能搭載パイロット移乗で救出する、つまり弥生ちゃんを救出する
   β−XXIX152機撃墜後友軍至近弾爆発の影響で飛行不能に、弥生ちゃん脱出後爆破処理)

 8号機(7号機と同型 軽量化の為レーザー砲1門のみ搭載 宇宙空間に77回出撃β−XXIX870機撃墜地球人類の救世主 健在なるも機体疲労の為に退役寸前)
 9号機(8号機の戦訓から強度を高めた宇宙戦闘用モデル レーザー砲1門搭載 弥生ちゃん専用予備機で未使用、初期起動のみ)

   0番台の機体はテスト機及び弥生ちゃん専用機 以後新機軸の機体開発がされる場合テスト機は00X番を与えられる予定

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   以下は弥生ちゃん以外の一般パイロットが搭乗する事を前提として開発された機体

 10〜28号機(5号機地上戦用モデルの発展型外鈑強度向上 左右腕にレーザー砲連射電磁砲搭載 支援脚装備 正規の戦闘機操縦訓練を受けたパイロットによる教導隊機
   20番代になると電磁投射砲が連射可能モデルとなり、順次10番代にも搭載された。
   7機損耗 バリアによる特攻攻撃が弥生ちゃんにしか出来ないと判明している)

 (29号機 10号機と同型であるがエネルギー発生器の仕様を変更。暴走消失してエネルギー発生器の危険性が判明する 噂によれば初期化の際にサルを用いたとされる
    →この頃から開発陣からまゆちゃん先生を排除しようとする策動が顕著になる)

   *10号機型は地球大気圏内戦闘用で環境中の空気の存在が推進の重要な足場となる。その分エネルギー発生器の出力を抑えられており、また空力による無茶な機動も可能である
     だが当然にそのままでは大気圏外への脱出は出来ない。大気圏脱出速度を出すには推力増強が必要だが、発電機の仕様変更が必要であるから宇宙専用機の開発が行われた
     以後10号機ベースの地上戦闘機タイプと6号機派生の宇宙戦闘機タイプとは開発陣を分けて異なる進化をしていった

     当然のことながら宇宙用機体の製造は地上用機体の倍の工程を必要とする為に製造は難しく時間も掛かる

 (30〜34号機 7号機をベースにコクピット部を延長 支援脚とドッキングポートを装備した宇宙用弥生ちゃん支援機 救援時には複数人搭乗可能医師を乗せる事も 左右腕にレーザー砲連射電磁砲核ミサイル6発搭載 
   弥生ちゃん交通事故によりリタイア後β−XXIXと交戦 すべて損耗32号機は特攻を試みるも効果なし)
 35号機(30号機ベースの宇宙用弥生ちゃん支援機 武装を搭載せず作業腕を装備して救出作業の迅速化を図る 31・33・34号機のパイロットを救出)

 (36号機 30号機型の火力支援を強化したモデル 大出力レーザーブラスター砲の搭載実験を行うも試射に失敗して爆発)

 37〜39号機(9号機に両腕フル武装 教導隊宇宙戦闘機 宇宙空間生命維持機能強化で数日の宇宙滞在が可能に 但しバリア展開による特攻は考えられておらずβ−XXIXには無力で、現在宇宙空間での戦闘は停止措置が取られている)
 40〜44号機(30号機型の再生産 9号機型を主力宇宙戦闘機、30号機型を支援宇宙戦闘機と位置づける 現在宇宙空間における戦闘は停止措置が取られている)

   *30番代からは宇宙用戦闘機・支援戦闘機として開発されている。しかし9号機ベースの純戦闘機タイプの必要性は弥生ちゃんが存在する限りは高くなかったので、支援機タイプの実用化が先行した
     37〜39号機は弥生ちゃん一人での空戦は負担が大きいと思われて用意されていたが、出番が来たのは弥生ちゃんリタイア後。ただしβ−XXIXへのバリア特攻が出来ない事は明白だったために宇宙ミッション自体が停止された
     40〜44号機は30番代支援戦闘機の予備機として製造された。宇宙ミッションを遂行すると当然に機体に負担が掛かり長時間の整備を必要とする。要らないのはバリア特攻で全部済ませた弥生ちゃん機くらいなもの
      機体をローテーションで整備時間を確保するつもりが、30番台支援機全滅で新機体による部隊再編

 45〜49号機(10号機型と同型 教導隊予備機 火力強化モデルとするべく搭載兵器鋭意開発中)

    以上の稼働機以外にも製作失敗や起動失敗した機体が多数存在する

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   以下の機体は弥生ちゃん快進撃が始まった後に製造された為に、設計変更等は行われていない
   またこれらの機体はすべてエネルギー発生装置が初期化稼働状態に置かれているが、機器不良によって故障あるいは地上で爆発消滅した機体も存在する。
   そもそもエネルギー発生器自体を先に作って起動し、機体を後で製造する工法を用いている為に、エンジンだけ先行して存在する

 50〜74号機(10号機と同じ地上戦用モデル 訓練生が最初に使用する)
 75〜100号機(9号機と同型宇宙戦用バリア特攻に主眼を置く レーザー砲左右2門電磁砲無し 訓練生が使用する予定)
 101〜125号機(10号機と同型だが武装を外している 訓練機 搭載兵器現在製作中レーザー砲電磁砲共に超ハイテク兵器であるから量産は難しい)
 126〜134号機(37号機と同型であるが搭載兵器現在製作中 エネルギー発生器は使用可能であるから飛行は可)

   比較的製造の楽なレーザー砲であるが、出力の大きなモデルは当然難航する。仕方なく旧式の中小出力のレーザー砲のみを搭載する機体も存在する
   何しろこれほど膨大な電力を発生させる機関が戦闘機サイズの航空機に搭載できるなんてこれまで想定外であるから、レーザー砲の進歩が留まらない。製造している端から陳腐化している状況
   対して電磁投射砲の進歩はあまり進まない。タングステン弾頭は重いから最大でも百発しか搭載を想定しておらず、またターゲットとなる敵戦闘メカも限定されるので優先されていない。

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   以下の機体は物語進行中に続々と完成していくもののすべて稼働しない。エネルギー発生器の初期点火の方法を発見解明するのも訓練生の責務である。
   また49号機までの機体が日本アメリカのみでの製造であったのが、以下の機体はヨーロッパ・ロシア・中国の戦闘機工場で作られている
   これまでの機体製造分担は、日本で初期開発(まゆちゃん先生)を行った関係上大気圏内戦闘機タイプは日本国内で、宇宙戦闘機タイプはアメリカの宇宙技術を投入して全機製造
   ヨーロッパロシアは光学兵器システム開発協力と一部分担生産を行ってきた
   50番機以上は順次それらの国も製造に参加している。というよりも、それらの国で製造体制が整ったために急速に機体数が増えた

 135〜199まで37号機仕様宇宙戦闘機型
 200〜224まで30号機仕様支援宇宙戦闘機型
 225〜249は9号機仕様を元にした偵察機タイプで複座、数日間もの宇宙航行が可能とされる

 250〜499まで10号機仕様で大火力モデルが完成すれば順次改装されていく予定 ただし地上戦用機体が何故これほど必要なのかは誰にも説明されていない 
 500〜報復戦仕様と呼ばれる爆撃機型とされるが詳細は不明、機体容積が大きいと考えられている。あるいは兵員輸送も視野に入れていると ただし設計中であり形もまだ無い

   全機稼働せず エネルギー発生器イニシャライズ不可 搭載兵器現在製作中暫定措置として核ミサイル4発搭載が検討されている
   後に稼働機からエネルギー供給を受けて瞬間的に起動する事が判明、自爆兵器としては使用可能となる。もちろんバリア特攻は無理)

まゆ子「とまあ今てきとうにかんがえてみた。責任は持たない。」

釈「考えるのは自由ですから。」
じゅえる「無駄設定というふうに見えるかもしれないが、時々こういうのをゲキロボで流用するからな。無駄にしないようにしよう。」

釈「で、結局エネルギー発生器ってのは何なんですか?」
まゆ子「よく分からんが、異次元から人体を通って不思議パワーが三次元宇宙に出現する通路、と考えてくれ。制御装置が人間であるから、人間が考えた通りのエネルギーとして具現化する。」
じゅえる「それってエントロピーとかとか関係ないのか?」
まゆ子「関係有るはずなのだが、深くは考えない。なにせ悪の宇宙人が開発した技術を直感でコピーしたものであるから、害が有るのかさえも不明なのだ。」
釈「いいかげんですねえ。」

ゆ子「いやあ、試作第一号立証器は木製の大型のたらいにコイルとか巻いて弥生ちゃんを括りつけただけの代物で、それでエネルギー発生して推力出たものだから、喜んで戦闘機作りましたよ、わたし。」
じゅえる「ああ、お前さんが作ったんだったね……。」
釈「そうなんですよねー、ふかくかんがえちゃいけない。」

じゅえる「発電てのはつまりどういうことなのだ。電力がエネルギーじゃないのか。」
まゆ子「ぜんぜん違うものではあるが、つまりパイロットは機体を推進させるつもりで発生させる不思議パワーの一部で発電機を回して膨大な電力として取り出す事が出来る。
 なにせ宇宙まで単独ですっ飛んでいくだけのパワーが有るのだから、少々別口で流用しても推力にまったく影響は無い。
 同時に、エネルギーはバリアとしても機能する形で発現している。だから段ボールで作ったロボであっても敵戦闘メカ破壊が可能となるよ。」
じゅえる「もうちょっとカガクテキになんとかだよ。」

まゆ子「あーそうだねー。戦闘機が宇宙でも地球でも大速力でぶっ飛んでいくんだから、凄い推力がのべつ幕なしに出力されているってことだよねえ。」
釈「そうですねえ、であれば光で飛んでるわけではありませんね。空間を歪めて?」
まゆ子「そういうのはエネルギーを出力しているとは言わない。あーつまりー凄い推力が発生するということは、なにか物質が出力されているのではないだろうか。」
じゅえる「プラズマとか?」
まゆ子「うむ、プラズマと言うならばまさに物質が電離して出力されているわけだ。宇宙ロケットに使うプラズマの決定版といえば、水素原子核である陽子が直接出てくるとか。」
釈「陽子が真空中から飛び出してくる、てことですか?」
まゆ子「うむ、電子陽電子の対生成でも構わないが、電子を噴射して飛ぶのはちょっと大変だ。高エネルギーの陽子が直接真空中から発生して、機体を飛ばすのだ。
 そして反陽子のバリアが機体を守っているのだ。」

じゅえる「反陽子って、なに?」
釈「陽子の反対側です。陽子とぶつかるとだいばくはつです。」
じゅえる「爆発するのにバリアーになるのか?」
まゆ子「まあ要するに物質とぶつかったら対消滅を起こしてしまうのが反物質だ。どんな物質がぶつかろうとなんでも破壊する。破壊した後に発生する光子とかその他もろもろを吸収してしまえばなんでも消滅できるわけだ。」
じゅえる「よく分からんが、かなりやばいものだろうなソレ。」
釈「そもそもがそんなものが作れるとは思えないのですが、宇宙人のやる事だから仕方ないですね。

 じゃあ、このエネルギー発生器を使ったらロケット推進として高速の陽子流が発生してその電荷の流れをコイルに通す事でとんでもない電流を発生させられるわけです。
 そして発生した反陽子の雲を電磁場で機体周辺にまとわりつかせて物質による攻撃を排除。発生する光子他の粒子をエネルギー発生器自体が吸収してしまう。」
釈「なんだか分からない無の空間から陽子反陽子を引っ張りだしてますからね、なんだか分からない空間に仕舞いこんでもまったく変じゃないのです。」

じゅえる「いやちょっとまて。宇宙の真空中ならそれでもいいが、大気中ではどうなるんだそれ。」
まゆ子「発生する陽子流ははるかに少なく、それでも空気を加熱して押すには十分過ぎるほどで推力簡単に発生。反陽子雲も大気と衝突して衝撃波がバリアとして機能する。
 しかしながら宇宙空間真空中に出ると1千倍以上の出力になるという素敵設計。」

釈「放射線とかはー、考えなくていいですよね。良く分からない機能で生命体は大丈夫なのです。」
まゆ子「なにせ生命体自体が部品として使われる機械ですから、生命体の生存にふさわしい環境が整えられているのです。」

 

まゆ子「風呂に入って考えた。

 要するにこれはちゃんと反動推進で動くロケットだ。噴射剤がどこにも積んでいないのに高速の陽子流が噴出する。副作用として反陽子雲が付きまといバリアとしての機能を果たす。
 反陽子雲に物質が衝突すると対消滅によって破壊されると同時に、対消滅で発生するエネルギー自体が突入物を破壊するように集中して結果としてバリアとして機能する。
 X線レーザーやらガンマ線やらは反陽子雲のゆらぎによって吸収される。いわゆる電磁ステルスという状態になっており電波も反射しないが可視光だと見える。可視光レーザーは効果が有るが、ゆらぎのパターンを変更する事で反射モードにすることも出来る。
 つまりステルスであるから電波には映らない。とはいうものの高速陽子流を噴出しているから噴射炎は観測できる。

 さてこの不思議エネルギー発生器はどうして実現したのだろう。真の発明者まゆちゃん先生は「異次元からエネルギーを引き出している」と言ったが、後に出てくるロリ幼女天才科学者によって否定される。
 この幼女科学者はロボ研究の現場に配置されていたのだが、エネルギー発生器と呼ばれるものが高次元空間中に構築される多次元回路の一部であり、三次元的な断面に過ぎない事を看破する。
 つまりエネルギー発生器は単なるレクテナだ。どこからか意図的に送って来るエネルギーを受信しているに過ぎない。
 当然その主は敵宇宙人の兵器に違いなくて、敵戦闘メカはすべてエネルギーを受信して動いていると推定される。

 では何故まゆちゃん先生はレクテナの構造を理解できたのか?
 まゆちゃんとやよいちゃんは同士討ちで墜落した敵戦闘メカの内部構造を見たことが有る。まゆちゃん先生はその時にエネルギー発生装置の原理を理解した、と主張するのだがそれは少し違う。
 まゆちゃんとやよいちゃんはこの時敵戦闘メカ内部の擬似生命体に接触しているのだ。接触しただけではどうとうもしないが、この時南無阿弥陀仏と念仏を唱えて供養している。
 この時、未だ活動中であった擬似生命体が二人を敵ではなく味方だと認識して、情報をテレパシー的に伝達したと推定される。
 故にレクテナの構造を瞬時に理解し再現できるし、初期点火つまり受信開始が出来るのだ。つまり擬似生命体と同様に敵宇宙人のエネルギー送信設備にアクセス認証出来るようになっている。

じゅえる「その設定を入れると、擬似生命体と接触していない人間は敵施設にアクセス認証出来なくて、永久にロボに乗れない事になるぞ。」
釈「一度点火すればそのまま使用可能としても、他の人はどうやっても初期化できませんね。」
まゆ子「そこで、まゆちゃんが作ったリストに従って呼び集められた少年少女の出番なわけだ。
 彼等を選抜した条件にアクセス認証資格と近い条件が存在する。もう少し何かを行えば、自然と可能になるのだ。」

じゅえる「その迷惑なリストはどんな内容なんだ。」
まゆ子「まあ、一種の意識調査であり日本の高校中学生を対象に広く行っています。実際このリストで選抜された彼等は地上試験機の起動実験にことごとく成功しています。
 軍の戦闘機パイロットや兵員では2割にも満たない、実用レベルの出力発生には千人に一人ほどの割合なのに、99%以上が可能でした。」
釈「大当たりなんですね、どういうわけか。まあ不思議な擬似生命体の情報を伝達してもらっているまゆちゃん先生であれば、それも可能ですかね。」

まゆ子「これから少年少女を集めて弥生ちゃん二号を作ろうという計画が発足した直後のまゆちゃん先生死亡です。計画は続行しますが難航必死、で百人中2名しか生き残らない惨事となるわけです。」

釈「弥生ちゃんキャプテンが特攻して大勝利するのもアクセス認証のおかげですか?」
まゆ子「違います。もちろんその要素は有りますが、弥生ちゃんはどうもロボの使い方を根本的に間違っている可能性が高いのだな。
 常識はずれの規定外の使用法をしている為に、敵戦闘メカのバリアシステムが無効化されて破壊される。しかも弥生ちゃんは特別な事をしている意識がまるでない。
 だから他のパイロットは真似できない。まあ出力自体が弥生ちゃんに追いつかないんですけどね。」
じゅえる「まゆちゃん先生なら出来るのか?」
まゆ子「たぶん。でも軍が乗せてくれません。弥生ちゃんはパイロット、まゆちゃんは開発者と役割分担されています。またそれは正しい措置です。」

釈「設定29号機を見ると、まゆちゃん先生は疎まれているみたいですが、」
まゆ子「そこは地球連邦軍、あもちろんもっとかっこいい名前の組織にします、で怪しげな策動が始まっていて、敵宇宙人の脅威が撃退できると確信できるようになってきたら、その技術他あらゆるモノを地球人が手に入れようて判断するようになったのです。
 まゆちゃん先生はこの技術は人類を守るためだけに使うべきと考えますから、当然に内部で孤立していきます。
 その結果、それまでは何度申請しても許可されなかった戦場現地での敵戦闘メカ実地検証作業への参加が許されて、まゆちゃん先生は出張しますが、そこで友軍の誤射で死にます。」
じゅえる「わざと撃たれた?」
まゆ子「いいえ。」
釈「ほんとの誤射ですか。」
まゆ子「というか、敵戦闘メカをやっつけた事に現地住民が大喜びしてミサイルとか大砲とかを残骸に対してぶっ放す事例が多発して、それの巻き添えを調査隊が食らったのです。
 これはもちろんイレギュラーであり、まゆちゃん先生を失った地球連邦軍は窮地に陥ります。疎んではいたが欠くべからざる人材だったのです。」

じゅえる「そこで、弥生ちゃん二号計画は少年少女が皆殺しになってでも遂行する過酷な作戦になったわけだ。

 ところで擬似生命体って何?」
釈「そりゃ人間みたいなロボットみたいな、……具体的に言うとロボですよね?」
まゆ子「ロボではないよ人造人間でもない。強いて言うならば、電気で動く生物だ。飯の代わりに電線がコンセントに繋がってる、そんな生物だ。」
じゅえる「それはロボだろう。」
まゆ子「まあ生物としての要素を持った電気機械、電気で動かなくてもいいが電気が一番便利いいだろ。とにかく生物としての弱点である生存に必要な諸々の条件を排除して、電気で賄えるようにしたものだ。
 その意味ではロボと呼んでもいいのだが、ロボであれば人間の命令に従う、決められた仕事に盲目的に従うとかの条件が科せられるだろうが、擬似生命体は本能に従って動く。
 本能をプログラムと呼ぶのは勝手だが、本能とはまず個体の生命維持次に種族としての繁殖を司るプログラムであって必ずしも人間・製造者の意志に従うものではない。
 要するに擬似生命体であっても個人や種族に最大の価値を置いて活動をし続ける。恩知らずロボットというわけだな。」

じゅえる「恩知らずか。」
釈「分かり易い例えですね。」
じゅえる「でもそれだと、宇宙人の手先として戦争をするのはどうなんだろ?」
まゆ子「自由意志で戦っているんだよ、擬似生命体は。」
釈「プログラムでも洗脳でも無く?」
まゆ子「教育しなくちゃ始まらない。擬似生命体も学校に行って勉強して、「俺達は自分の意志で御国の為に戦うんだ!」と強い決意を持って戦闘メカに組み込まれている。」

じゅえる「ううーむ。擬似生命体はランドセル背負って小学校に行くのかよ。」
釈「そこはですね、先輩。マトリックスみたいに電線をつないでバーチャルの学校に行くんですよ。」
じゅえる「あ、そうか。ネットワーク機能標準搭載か。ロボだしな、人工物だしな。
 それで教育という話になるわけか。でも画一的な知能と情報をインストールすればいいんじゃないか。」
まゆ子「手っ取り早くね、軍用ならそれでいい。それでも繋げば自発的に社会生活を開始する存在であれば、生命体の範疇に置いてもいいんじゃないか。」
釈「生存環境がそれを許さないだけであって、ポテンシャル的には十分に生命体である人工物。それが擬似生命体ってことですね。」

 

じゅえる「それで、ビジュアル的にはどんな感じでいくのかな。ガンダムっぽく?」
釈「エロスーツは採用でしょう。当然ですよね。」

まゆ子「あー少年少女が集められて、となるとエロスーツしか無いでしょう。当然です。」
じゅえる「やはりか。なるほどやはりそうでないと許されないな。」
まゆ子「しかしロボに乗る時はちゃんとパイロットスーツを着ますよ。地上に居る時だけエロスーツです。」
釈「意味が無い!」
まゆ子「だってリアルじゃないじゃないか。宇宙服着ないで宇宙戦争できんだろ。」
じゅえる「まあ、そりゃ、まあ。」

釈「設定を見ると、教導隊ってのが居ますが、これは正規の軍人パイロットですよね。」
まゆ子「12人しか居ません。これまで28人がロボの操縦に成功しましたが、戦闘任務に耐えられる出力を発揮できる人間が28名であってただエネルギー発生器が動く程度ならもっと多い。
 そして28人が弥生ちゃんのサポートチームとなって、現在までに8名が戦死、2名が行方不明戦死扱い、6名が負傷によりリタイアただしそれでも予備要員です。
 現在戦闘任務に付いているのが12名で、しかも地上戦闘しかやっていません。
 宇宙戦争は敵ボスキャラでもある「β−XXIX」にまったく歯が立たない為に停止されています。宇宙戦闘雑魚メカにはいい勝負するけど。」

じゅえる「敵の宇宙メカもカニなのか。」
まゆ子「カブトガニぽくするか。」
釈「飛行原理はロボと一緒ですか。」
まゆ子「ほぼ同等の性能を持つ。ただし弥生ちゃんのような強力なバリア機能は無い。あと凄く頑丈です、レーザーでも電磁砲でもなかなか死なない。」

釈「ロボはその敵宇宙メカに対して対等の戦闘力持つわけですか。」
じゅえる「というか、ロボに弱点は無いのか?」
まゆ子「バリアが前にしか無い。」
じゅえる「おお。」
釈「そりゃあ、きついですね。でもどうして。」

まゆ子「いや、反動推進ロケット推進使ってるからだよ。後ろに陽子流流すから後ろには反陽子雲発生させられない。つまり前半分にしかバリアが無い。
 ついでに言うと、バリアの強度は調整できるのだが、あまり強くすると装備する兵器レーザーとか電磁砲の軌道がずれてまるっきり当たらなくなる。バリアの影響域が広がるからね。
 もちろんバリアに腕の火器を突っ込んでしまうと、反物質だから爆発喪失する。機体自体はびくともしないが戦闘力は無くなるな。弥生ちゃんはまったく苦にしないが。」
釈「めんどくさいバリアですね。」
じゅえる「もっと使い易く出来ないのか。」
まゆ子「無理。ということで、運用上ではロボ編隊の前衛のバリアを強力に展開して、その陰から僚機がビームを撃つとかの方法を使います。」
釈「はあ、そうか複数の機体が同時に戦闘を行えばいいわけですか。」
じゅえる「弥生ちゃん基準で考えちゃいかんのか。」

まゆ子「まあ何と言いますかね、ここのところはエネルギー発生装置の固有の機能であって人間の手が全く出せない領域なんだな。特殊な地場が発生して反陽子同士の反発力を封じ込めておとなしく閉じ込めている。
 電磁気的な反発は当然に発生するのだけど、なぜか極めて穏やかに隣接して密集する不思議な制御を行っています。どういう原理でそうなっているのか、さっぱりです。」
じゅえる「まあ、宇宙人のすることという事で。」
釈「で、そのエネルギーってのはどこから来ているのですか。宇宙の果てですか。」
まゆ子「太陽です。実は地球人科学の太陽観測衛星で太陽表面になんか人工物が浮いてる事が発見されています。太陽ですから、さすがに敵宇宙戦闘メカ全部を一度に駆動しても屁でもないエネルギーを供給できますね。」
釈「はあ、割りと身近な所からエネルギー拾ってるんですね。」

じゅえる「でもさ、それは敵宇宙人いやほんとは宇宙人かどうか知らないけど、それが持ってる機械なんだろ。管制してるんだろ。
 地球人が同じ機械のエネルギーを使ってるのなら、地球人向けエネルギーを切って動かないようには出来ないのか?」
まゆ子「できますよ。ただそこは、物語のオチに使うということで。」
じゅえる「ふむ。なるほど、考えようによってはこれはオチとして最もふさわしいネタだろうかね。」
釈「太陽表面の機械を撃破して、敵味方共に動かなくする。これは使えますねネタ的に。」

 

まゆ子「いやさ、あのねこのロボの素敵パワーを使って地球のお偉いさんが悪いことを考えるのさ。宇宙征服とかでなくても地球征服とか。」
じゅえる「ばかだねー。」
釈「ばかですねー。」
まゆ子「まあ、大人は馬鹿でなくちゃ物語のこども読者さまが納得してくれないからさあ。」
じゅえる「なるほど、そこの企てを阻止する為にも、オチとして使えるわけだ。」
釈「簡単なオチではあります。もうちょっとひねりが欲しい。」
まゆ子「まあ、なんというかそこの展開は未定。地球が救われてめでたしめでたしにするか、地球は救われたけど人間は救われないよ的オチにするか。考え中。」
釈「なるほど、難しい判断が必要ですね。どうすれば一番カッコ悪いか、それが重要です。」
じゅえる「しかし人間が相も変わらず愚行に走る、ってのもマンネリだしなあ。もっと賢い陰謀ってのは無いものだろうか。」
まゆ子「その線も考えてみますよ。このエネルギー発生機を使って宇宙旅行するとか。」
釈「そうですねえ、希望溢れる最終回という選択肢もありますが、ガンダム的救われなさも捨てがたいですねえ。」

じゅえる「その中間くらいの悲劇がいい。地球は救われた人類は愚かだ、しかし未来は有る。こんな感じ。」
釈「ガンダム的であれば、以後延々とMSを使った戦争が続いていく的な、そうだロボのバリエーションをもっと豊かに。」
まゆ子「いやーさすがにねえ、このお話はさほど長くない1巻の長編として考えてるから使い捨てなんだよ。ガンダム的にずるずると拡張していくのはどうかな。ロボ的に難しくないか。」
釈「無理が通れば道理が引っ込みます。戦闘機だけでなく敵地上戦闘メカを人間がコピーするとかでいいんですよ。」
じゅえる「そうだ、地上メカも超兵器なんだろ。」
まゆ子「まあね、戦車砲なんかまるで受け付けないし、対艦ミサイルをぶつけてやっても2,3発ならぴんぴんしてるし、そもそもがレーザー光線でミサイル叩き落すし、修復専門メカも待機していて壊しても直しちゃうし。まあ超兵器ですね。」
じゅえる「それでいい。人類は空飛ぶロボと地上カニロボを手に入れて、愚かな戦争を継続するのだ。それが宇宙人さんの真の目的だ。」
釈「地球人が超兵器で自滅するのがですか? あーそういうネタはどうも星新一的にありそうですね。」
まゆ子「斬新では有るが見たことが有るな。おそらくはその辺りだろうな。」

釈「擬似生命体もありますし、これを使えばもっとワイドに物語世界が広がるんじゃないですかね。」
まゆ子「いやあ、それは出来るけど止めた方がいいと思うぞ。便利すぎるから。」

じゅえる「そもそもこの物語は仮題として「ウイッチクラフトファイターズ」て付いてるんだから、魔女的なところを強化すべきだろう。」
釈「ですよ。魔女ロボ大量に考案しなくちゃいけないのです。水中用魔女ロボですよ。」
まゆ子「いやそれはその、あー。」

 

 

 

 

【スーパー地味子大戦】12/11/04

 

まゆ子「というわけで私に力を貸して!」

釈「いつもいつも貸してますが、今更なんですか。」
じゅえる「今度は何を思いついた。」
まゆ子「『ゲキロボ☆』、夏休みです。物辺村の連中も遊びに行きます。」
釈「はい。」

まゆ子「その中でただ一人喜味子だけは、まあカネが無いからなんだけど近所でお茶を濁します。それ自体は良い。
 だが嫁子と一緒に同人誌の即売会に行く事になってしまった。」
じゅえる「あいつはそういう趣味だったのか。」
釈「まあ現代ラノベとしては定番のイベントですよね。」

まゆ子「ところがだ、こいつが行くのは腐ではなく百合同人誌即売会だ。」
じゅえる「はあ。」
まゆ子「しかも健全。」
じゅえる「まあ、そういう趣味が有るということは噂には聞いている。あっしには関わりあいの無い世界だ。」
釈「ようするにマリみてみたいな感じのですね。……。あー、それはー。」

まゆ子「百合健全同人誌即売会に来る女の子というのは、どういう人種だろうか?」

じゅえる「あー。それはー、」
釈「あー、それはーなんといいますかー。」
じゅえる「とりあえず、……いやここは一つおもしろい感じに無茶な連中を揃えてみるのがいいのではないだろうか。」
釈「腐女子、とは敵対的な勢力でしょうか。なんかさほど遠くないような気がしないでもないですが。」

まゆ子「というのはまあ置いてといて、実はあんまり困ってはないのだ。なにせ喜味子だからね。
 喜味子が百合同人誌即売会に素顔で行くと、死者が出るぞ。」
じゅえる「ま、どのような集団であろうとも一気に空気が粉砕されるのは間違いないな。」
釈「致し方の無いところです。」

まゆ子「というわけで、科学部に行って石仮面を借りてきます。会場にはこれを嵌めて行けばだいじょうぶ。
 ちなみに石仮面の製作者は科学部男子の一年生。なかなか良くできているから、喜味子はこれに「血が触れると骨針が飛び出て脳に突き刺さる機能」を付加します。」
じゅえる「するな。」

まゆ子「というわけで同人誌即売会に行ったら同人ゲームソフトというのも売っていて、思わず喜味子は買ってしまうのです。

 その名も『スーパー地味子大戦』。」

じゅえる「すーぱーじみこたいせん?」
釈「なんのゲームですかそりゃ。」
まゆ子「そこを考えてもらいたいのだ。」

じゅえる「普通に考えればスーパーロボット大戦のもじりだろうから、シミュレーションか格闘が、ただのアクションゲームでもいいか。」
釈「あるいはエロゲと同じフォーマットで地味子と親睦を深める擬似恋愛ゲームであるんじゃないですかね。百合同人で売ってるんですから。」
まゆ子「もっと、もっとすごいのを頼む。」

じゅえる「そんなものあてきとーでいいんだよ。どうせちょろっと一行触れるだけなんだから。」
釈「ですよね。まさか作中でプレイするはずも無い、……ヤル気ですか?」
まゆ子「まあ、……そうだ! ゲキロボ管制に使ってるゲーム機に突っ込んでみたらリアルにゲームが始まるというのはどうだ。」
じゅえる「またいい加減な事を口からでまかせで。」
釈「それ採用ですね。

 でもリアルに何が始まるんですか。」
まゆ子「あー、つまりゲームに出てくる地味子が実体化、とかかな。で物辺神社裏でゲームを始めるのだ。」
じゅえる「実体化というのは、つまり登場人物がリアルな人間として三次元に出現するわけだな。」
釈「ホロデッキみたいなものですね。」

まゆ子「ホロデッキか。あーでも仙洞を先に書くから、あまり嬉しくないな。」
じゅえる「いやそれはそれでいいんじゃないか。ホロデッキみたいに地味子が多数出現してゲームをしているところに優子が来て、決定的な間違いをしてしまう。とか。」
釈「なるほど手違いでなにかとんでもない、ですね。でも何を。」
じゅえる「そりゃほんとうに肉体ができてしまうとか。」
まゆ子「サーヴァントの受肉ですな。FATE的に。」
釈「肉体を持った地味子が出来る、というのはつまりー、生身の人間が出現するという事ですか。はあ。」

まゆ子「ちょっとまて、そいつらは生身の人間という事なら、どうすればオチが着くのだ?」
じゅえる「どうせ本物の人間じゃないんだ、ぶっ殺せばいい。」
釈「まあ、そういう事になりますかね。最終的に。」
まゆ子「いやしかし、可哀想じゃん。」
じゅえる「優子はそうは思わないな。邪魔で無意味ならぶっ殺すのが筋だろう。」
まゆ子「うーむ、そりゃそうなんだが、もう一捻りしたい。」

釈「超巨大地味子がウルトラマンみたいに対戦、というのは。」
まゆ子「却下。」
じゅえる「魔法を使わせて、最後自滅。」
まゆ子「却下。」
じゅえる「ああもういいよ、地味子が集団で実体化して飯食って帰るんだ。」
釈「飯を食うんですか、そいつら。」 
まゆ子「まあ肉体があれば腹も減るし飯も食うだろう。
 そうだな。じゃあゲキの力の説明を祝子さんにしている時にホロデッキの再現という事でスーパー地味子大戦を実体化してみせて、その時うっかり祝子が電源コード引っこ抜いてしまって、地味子達が集団で実体化したまま固定されるのだ。」

じゅえる「迷惑だな。」
まゆ子「だが悪いのは祝子さんだ。で、腹が減った地味子達を放置するわけにもいかず、物辺家でそうめんを皆で根こそぎ食ってしまうのだ。地味子は10人は出現させよう。」
釈「で、オチは?」
まゆ子「普通に喜味子がゲーム機の再立ち上げに成功して、ぶっ殺すという最終手段を用いずとも終了処理に成功。地味子消失。」
じゅえる「オチが無いぞそれ。」
まゆ子「いいんだよ、後で物辺神社が無料でバイト巫女使い放題、という新機能搭載で。」
釈「おお! そりゃ便利。」
じゅえる「だが地味巫女だしなー。」

まゆ子「それじゃあ、こうしよう。
 『スーパー地味子大戦』をホロデッキで実現してみるんだが、その時嫁子も一緒に居るんだ。
 そこに祝子が来て電線足に引っ掛けて不正終了で実体化。地味子達受肉して腹が減って、物辺家のそうめんを根こそぎ食って終了。
 喜味子ゲーム機再立ち上げに成功するも、一人だけ嫁子が残る。祝子、喜味子に地味子が一人消えてないぞ、とか文句を言う。」
釈「はあ。」
じゅえる「小ネタだねえ。ま、面白いからいいか。」

 

****************************

 

まゆ子「というわけで、地味子を設定してみよう、というのが今日の」
じゅえる「ぁあ?」
釈「そりゃまた、なんと言いますか。は? ですね。」

まゆ子「あー、ではまず極普通に地味子と言えば、」
じゅえる「わかったわかった。

 あーまず幼馴染の地味子、学級委員長の地味子、図書委員の地味子、眼鏡の地味子、貧乏人の地味子、病気の地味子、運動部のマネージャーの地味子、地味子先生、OL地味子、地味婆あ。」
釈「10人も地味子が居れば問題ないでしょ。」
まゆ子「あーさすがに地味婆あは遠慮します。OL地味子も禁止、代わりにコンビニバイト地味子。」
釈「地味子プリンセス、というのはどうでしょう。海外から留学してきた金髪碧眼地味子です。」
まゆ子「OK。」

じゅえる「幼馴染、学級委員長、図書委員、眼鏡、貧乏人、病気、女子マネージャー、コンビニバイト、外人、先生。これだけ居ればたいていのニーズに応えられるんじゃないか。」
釈「ですね。病気地味子は留年していることにしましょう。姉さん地味子です。」

 

まゆ子「あー一人ずつ検証しよう。」

 

 というわけで、キャラ設定を頑張ってみます。

 

*******************

まゆ子「格闘ゲームならこれで十分だ。しかし汎用ゲームプラットフォームとして、これでいいのだろうか?」
じゅえる「あー、どういうゲームが今一番人気なんだろうなあ。」
釈「FPSは地味子じゃあ無理でしょう。RPGですか?」
まゆ子「10人しか出ないからなあ。ちょっとRPGは違うだろう。FATEみたいに戦うビジュアルノベルゲームかなあ。同人販売だし。」

釈「しかしスーパー大戦ですから、敵味方に分かれて戦うべきではないでしょうか。」
まゆ子「東西両軍に分かれて、ね。むしろチェスとかボードゲーム的な感じだろうか。」
じゅえる「麻雀?」
釈「なるほど。カードゲームバトル、という手も。」
まゆ子「カードゲームか。あれって同人でも作れるのだろうか。」
じゅえる「まあ定型は決まってるみたいだから、システムをパクれば作れるんじゃないか。」

釈「こういうのはどうでしょう。地味子大戦はシリーズ化されていて、何度も作られて色んなジャンルのゲームが有る。その中の一つでカードゲームだった。」
じゅえる「なるほどね。つまりカードゲームを買ったんだな喜味子は。」
釈「トレーディングカードゲームなのですか?」
まゆ子「地味子は地味すぎてトレーディングが成り立たない。故に、トランプとか花札みたいな一山に全部揃ってるカードゲームだな。」

じゅえる「ふむふむ、カード枚数は?」
まゆ子「あー、地味子10人居るから、5枚ずつ50枚に+2枚でトランプに合わせるか。ジョーカーも要るかな。」
釈「そうですねえ、春夏秋冬雪月花ですねえ。地味子に春夏秋冬で40枚、これがトランプの1から10までで、絵札的に春夏秋冬×雪月花=12枚、ジョーカー1枚。という感じでどうですか。」
じゅえる「トランプになるわけだな。しかし雪月花ではちょっと季節感がおかしいぞ。」
釈「あ、これはてきとーにぶちあげたもので、もっと地味子ぽいもので。」
じゅえる「じゃあ「地」・「味」・「子」で。」
まゆ子「うう、まさに地味子大戦だな。でもやはり却下だ。「星」「月」「日」で。」

 

   というわけで、ここからカードゲーム『スーパー地味子大戦』のルールを考えていきます。

   というわけで、やってみたら失敗したのでルールを修正変更します。(12/11/20)

   というわけで、「戦列歩兵少女地味子」ゲームのルールも考えました。(12/11/22)

 

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まゆ子「というわけで決定した、地味子キャラクター設定です。

 

 1:幼馴染「小山内あずさ」”いけない夏の日の思い出”〜触手植物  2年生

 2:委員長「大炊 咲」”破瓜”〜妖刀  3年生

 3:図書ぽっちゃり「九曜 月子」”MUSABOL”〜白豚変身  2年生

 4:眼鏡「水野 晶」”色欲眼鏡”〜サキュバス  1年生

 5:病気「武宮 ナギ」”蠕動ラテックス”〜フランケン  2年生(19歳)

 6:女子マネ「閏 朱鷺江」”敗北者(サレンダー)”〜格闘  3年生

 7:貧乏「春日 灯」”ル・シャ・エカルラート”〜火焔魔  1年生

 8:コンビニ「安田 直美」”安直なるペネトレイション”〜拳銃  2年生

 9:金髪外人「プリシラ・ハーツホーン」”埋葬される半陰陽(アンドロギュノス)”〜ゾンビ  1年生

 10:数学女教師「伏 幾子」”断裂Xの封印定理”〜ピタゴラス魔法  27歳

 

ラッキーナンバーのペアは

 幼馴染1−10女教師

 委員長2−9金髪外人

 図書ぽっちゃり3−8コンビニ

 眼鏡4−7貧乏

 病気5−6女子マネ

以上

 

 あ、それからね。地味子カードは4枚あるわけですよ春夏秋冬。」
釈「はい。」
まゆ子「それぞれのカードに地味子の台詞がありますから、覚えてください。
 敵に攻撃する際、またやられた時、勝った時負けた時、と台詞が用意しており、地味子大戦をする時はプレイヤーは台詞を叫ばねばなりません。」

じゅえる「なんの嫌がらせだそれは。」

まゆ子「他にも、春夏秋冬4枚の札にはそれぞれ地味子の絵が描いているわけですよ。
 春は私服、夏は水着、秋は体操服、冬は制服冬、と。」
釈「まあ、嬉しいように作ってるわけですね。」

まゆ子「それからね、この「地味子」シリーズは基本とある共学の高校を舞台として設定されているわけですが、
 ここの制服は「決まっていません」。つまり、高校の制服であればどこの学校の制服であっても許されるという、アバウトな服装規定を持っているのです。
 だから地味子はそれぞれ異なるデザインの制服を着ています。」
釈「アバウト過ぎだ!」

じゅえる「それなら「星月日」も女の子にしろよ。」
釈「そうですね、地味子じゃなければいいと思いますよ。」
まゆ子「あーそれじゃあ、そうだなあ。じゃあ「星」は地味ロリ、「月」は地味合法ロリ、「日」は地味ロリ婆あ、ということで。」
釈「あー、それはーファンの間では「妹」「母」「婆あ」という風に呼び分けられているのですね……。」
じゅえる「無茶なトランプだ。」

まゆ子「53枚めのジョーカーのカードは、主人公である「男子生徒」です。このカードの図案はダーツの的としてファンの間では人気を博しています。」
じゅえる「   はあ。」
釈「       はあ。」

 

*****************************

まゆ子「さてところで今世の中ではミリタリー少女アニメが流行っているわけです。」

釈「女の子が戦車に乗ったり、ライフル銃が女の子に化けたり、パンツが無いのに空中戦したりするアレですね。」
じゅえる「まあ、あまりにもあからさまに媚びていて開いた口が塞がらない状態なんだが、それでも面白いものは面白いな。つまらないものはとことんつまらんが。」

まゆ子「私もミリタリーアニメしたい。」
じゅえる「はいはい。」
釈「しかたないですねえーまゆ子先輩は。」

まゆ子「というわけで考えた。『戦列歩兵少女』というのはどうだろう?」

じゅえる「戦列歩兵、って、あの戦列歩兵のことか?」
釈「あの前装式の古い鉄砲持って、ずらずらと横に並んで行進して、敵の白目の見える距離でろくに当たりもしないのにぶっ放し合う、あの戦列歩兵ですか?」
まゆ子「うん。」

じゅえる「死ぬじゃん!」
釈「死んでしまいますよお!」
まゆ子「でも新しいじゃないか。」
じゅえる「新しくない! 可哀想だ!」
釈「いったい何を考えてるんですかまったく。」

まゆ子「でさ、というわけで『戦列歩兵少女』の構想を練っているわけなんだ。
 でもこの仕組だとどうしても兵隊の人数が要るわけなんだ。

 というわけで今回、キャラクターを大量に考えてみましたとさ ○。」

釈「殺す気で地味子作ったんですかーあ!」
まゆ子「いや死なないよ、バーチャルな空間でウソ銃で撃ち合って、でも手足がバーチャルで千切れたり腹腔内で鉛玉が炸裂したり、」

じゅえる「痛いじゃん嫌じゃん、死ぬ。」
まゆ子「まあ、痛くないと人間臆病になれないから。そこはそれ、作品のテーマというやつだよ。恐怖の克服勇気の人間賛歌なのだ。」

えっへん。

 

釈「しかしー、ということは女子マネージャ地味子は男子戦列歩兵部の女子マネをしていて、男子が痛いの嫌だから次々に脱落して、
 そこで部の存続を図るために、女子戦列歩兵チームを立ち上げる。という設定で、」

じゅえる「男子も逃げるような痛いのに女子使うな、というか釈ちゃんバカの相手するな!」
まゆ子「てへ。」

 

 

【推理小説を書きたい 書くぞ 書いちゃうぞ】12/10/28

 

まゆ子「というわけで推理小説を書いてみようと思う。」

じゅえる「またかい。」
釈「口で言うばっかりですね。うどん屋のゆうですよ。」
じゅえる「なんだそりゃ。」
釈「湯ばっかりです。」
じゅえる「なるほど。その言い回し記憶しておこう。」

まゆ子「あーまあそういうわけで、推理小説を書きたいと思う気持ちは長年持ってきたわけですよ。」
じゅえる「それはいいんだが、しかしこれまで「サルボモーター」「げばると処女」「ゲキロボ☆」と書いてきた中で一遍も推理小説ぽいものは無いぞ。」
釈「そうですね。謎とかサスペンスはあるのですが、推理していると明確に判別出来る描写は現在まで存在しないと思います。」

まゆ子「当たり前じゃん。書けないものをこれまで書いたはずないじゃん。だから書きたいんだよ。」
釈「ごもっともで。」
じゅえる「つまり、自分には推理小説が書けないと自覚しているんだ。」
まゆ子「自覚も何も、読んだこと無い。あー昔小学校の頃ホームズを読んだ、とかは別だぞ。要するに現代的な推理小説にはまるっきり縁の無い人だ私は。」

じゅえる「釈ちゃんよ、」
釈「はい。」
じゅえる「どうしたもんだろうね、この女。」
釈「無謀を通り越して腹が立ってきますね。世の中には推理小説で儲けようと日夜頑張っている人も多いというのに。」
じゅえる「しかし、じゃあなんでこんな事言い出すんだろうこいつ。」
釈「あーそれはですねー、やっぱりなにか推理小説に対して抱いている想いというのが有るんでしょう。」
じゅえる「だよな。動機は有るんだ。それに、推理小説以外の作品は意外と書いているわけだし、なんというかな? 勘?」
釈「ああ、自分でも推理小説書ける、という根拠の無い自信が有るのかも知れませんね。」

じゅえる「まゆ子、そこんとこどうなんだ?」
まゆ子「自信? 無いよ。」
釈「あう。」

まゆ子「つまりこういう事だ。私はこれまで推理小説を何度か書こうと試みた。しかしながらまったく書けなかった。ま、読まないのだから書けないのは当然だ。」
じゅえる「至極もっともな台詞だ。」
まゆ子「そこで私は考えた。何故?」

釈「何故もなにも、推理小説読んだこと無いから書けないんでしょ。」
まゆ子「おう。そのとおりだ。しかし私が推理小説キライだと勘違いしてもらっては困る。私は推理小説は読まないが、テレビの推理ドラマや映画は大好きなのだ。」
釈「あ! じゅえる先輩。これは一本取られましたよ。」
じゅえる「うん、なるほど。それは確かに書いてみようと思う気にもなるな。そうか、そういうラインは確かに有るんだ。」
まゆ子「というわけさ。私は推理小説は読まないけれど、推理小説嫌いじゃないし、面白いのは分かるのだ。ただ読みたくない。」
釈「困った病人だな、これ。」

 

まゆ子「そこで私は考えた。というか、4コママンガで書き方の王道というものを発見したならいに従い、推理小説が書けるツボというのが有るのではないか、と考えた。」

じゅえる「そんな都合のいい物があれば誰も苦労しないぞ……。」
釈「とはいうものの、4コママンガの書き方は確かに発見しちゃいましたからね。」
まゆ子「さらに言えばだ、推理小説吐くほど読んでる人が居るわけだが、その人が推理小説書けるかと言えばそうでもない。
 文才が無いから? 発想が貧困だから? いやいやそんな推理小説ごろごろしてる。

 では何が間違っているのか。つまり、ツボだ。」

じゅえる「極一般的な常識から言うと、まあそういう事は有るな。」
釈「どんなに頑張っても研究しても、センスの悪い人は絶対できない、というものは有ります。ツボを外しているのです。
 まあ、なるほど確かにツボを発見したら推理小説書けるかな、と考えるのは間違ってはいないと思いますが。」
まゆ子「というわけだ、ツボを考えますよ。

 

 でもさ、実は推理小説の書き方自体は私知ってるのだ。だいたいあれは後ろから書くもんだ。」
釈「はあ。まあ、トリックをまず考えて、そこから全体の構想を練って導入部を工夫して、書き始めるわけですから、それは正しいですね。」
まゆ子「そうなのだが、しかし何度やっても失敗だ。どうしてだろう。」

じゅえる「肝心のトリックがダメだからじゃないのか?」
釈「いや、先輩、それは現在の推理小説界ではタブーとも言える発言なのです。トリックの斬新さが物を言ったのはもう遥か大昔の話、バブル前でももう死んでます。」
じゅえる「そなの?」
まゆ子「そりゃ、ホームズで大ブレイクして、クリスティで黄金期を迎えて、それから何年だよ何人の作家が生まれたよ。トリックなんて掃いて捨てるほど有って使い古したボロ雑巾だ。」
じゅえる「ああ、今はそういうもんなんだな。というか、そう言えばわたしもそんなもの読まないやハハハ。」

釈「まあ今はそういう時代なんですね。推理小説なんか読まなくても別に世の中に遅れを取ったりはしないんです。」
じゅえる「なんかヤル気を削がれる発言だな、そりゃ。」
釈「とはいうものの、じゃあ推理小説は衰退したかというと、そういう事も無いわけですよ。」
じゅえる「うん。」

まゆ子「そこだ! 私は推理小説は読まないが推理ドラマは見る。で、割と最近はなんか元気がいいのだな、位は分かる。
 まあドラマは最近全般的に元気が無いのだが、だからと言って推理モノ無くなるという事も無い。」
じゅえる「なんか不思議だな。」
釈「言われてみれば。」
まゆ子「だろ。」

釈「整理して考えてみましょう。つまり推理モノの需要は現在も衰えずに旺盛だ。しかし推理小説を読まなければ仲間はずれにされるような主体的な立場にはもちろん無い。」
じゅえる「ブームというのとも違うかな。なんか数年前に割と盛り上がったような気がしないでもない。」
まゆ子「誰が読んでいるのだ?」
釈「そりゃファンの方が、」
じゅえる「そりゃ違うぞ、一般人だ。ファンだけというのならSFみたいになってしまう。」
釈「ああ、たしかにマスが大きくないと商売成り立ちませんか。つまり一般人は相変わらず推理小説が好き、という事ですね。」

まゆ子「しかし、それはトリックが斬新だから、ではないのだ。」
じゅえる「うん、そういう事だな。」
まゆ子「こいつら、何が楽しくて推理小説読んでるんだ?」
釈「あー、最近の傾向だとキャラクターではないかと。」
まゆ子「ならキャラクターだけのユーモア小説を読めばいい。」
釈「ですよねー。」
じゅえる「スリルとかサスペンスとか、あるいはアクションとか?」
まゆ子「そういう面はあるが、そういうのがドラマになるかと言えば、そうではない。まスリル系は今は映画になるのが主流かな。アクションは映画にはなるがドラマにはカネ掛かり過ぎて出来ない。

 だが相変わらずそんなにスリリングではなくアクションも無い推理ドラマがテレビで量産されている。」

釈「謎ですか? ミステリーですからね。」
まゆ子「謎解きだけならパズル小説だろう。そういうのが受けるのは限られた物好きだけだ。」
じゅえる「瞬間風速的に人気は出ても、即しぼむな。そういうジャンルは。」

 

まゆ子「何故?」
じゅえる「あー、なんか読んで得するところがあるんだろう。」
釈「昔であれば、一般人は知らない世間の暗黒面を解説するとかの側面がありますが、今更という気がしないでもないですね。」
まゆ子「うん。啓蒙的に書かれていた時代もある。その頃であればステイタスも高かった。ま、極一部だけどね。」

じゅえる「いやまて、それは今も生きているんじゃないか?

 つまりだな、世間とか人間の暗黒面を描く為には、ミステリー推理小説の形を取るのが一番容易い。
 特にキャラクターを描写する際に必要とされる苦悩とかを表現する際に、一種の極限状態である犯罪に置くのはセオリーと言って良いだろう。」

まゆ子「それはつまりキャラに十分スポットライトが当たるから、テレビドラマにし易い、てことでもあるな。」
釈「つまり、人間を描くのに適当であるから、推理小説は今も読まれているという事ですか。」

まゆ子「でもね、私が推理小説を読まないのはその人間だ。特に会話だ。あの会話クドイ。」
じゅえる「まあ、くどいな。」
釈「会話が無いと成り立ちませんよね。アレ。」

まゆ子「だいたい私、そんなべらべらと長く喋っても内容頭に入りませんよ。それに人間の言葉ってのは別に整理されて分かりやすいってものでもないし、そんなのに付き合うのはまっぴらごめん。」
じゅえる「ああだから読まないんだなおまえ。」

釈「まあ、推理小説の人間が往々にして人間味が無い、てのは古来よりよく言われてきました。」
じゅえる「今でもそうだ。というか、最終的には解決に到るという拘束された物語空間においてのみ生息が許される存在であるから、人間味は大きく制限されるね。」
まゆ子「そういうの大嫌い。もっと野放図にどこまでも無定見に拡がっていくキャラがいいわあ。」
釈「「ゲキロボ☆」なんかまさにそれですからねー。性が合わないんですね、まゆ子先輩とは。」

まゆ子「ではあるが、その無人間さがドラマを作るのにちょうどいいんだ。生身の俳優を使って撮るんだから、役者さんの個性というのをそこに載せればいい。」
釈「フォーマットとしてドラマ化し易い形態であるわけですよ。」
じゅえる「まあね。むしろ一般小説のドラマ化の方がキャラが違うとか言われてしまうからな。」
まゆ子「しかしだ、どんな作品であっても船越英一郎で撮れてしまうというのはどうだろう?」

釈「あー。」
じゅえる「あー。」

まゆ子「それに、じゃあ船越英一郎の魅力で視聴者メロメロになって番組を見ているのか、と言えばそれも違う。」
じゅえる「キムタク主演でもそれはない。」
釈「まあ、最近はSMAPでも視聴率稼げませんけどね。」
まゆ子「さっさと結婚しないからだ。何時まで若い気で居るんだSMAPは。だから草薙くんが全裸で大暴れとかしてしまうんだ。」
じゅえる「その点キムタクは偉いな。」
釈「日本の少子化を防ぐためにもぜひともSMAPにはさっさと結婚子作りしてもらいたいものです。」

 

まゆ子「というわけだ。ドラマが作られる構図は整っているが、だからと言って視聴者に見るのを義務付けるわけにはいかない。
 やはり面白いから見ている、という結論に達する以外無い。というよりは、見たいから見ている。」
じゅえる「ふむ。」

釈「時代劇だって面白いですからねえ。しかし人は見ない。」
じゅえる「最近民放時代劇は絶滅したんだって?」
釈「はい。ですが現在12年10月現在では1本だけ、逆転版「大奥」が放送中です。」
まゆ子「時代劇はいいねえ。日本の生み出した文化の極みだよ。」
釈「あ、11月には「EVAQ」も上映予定です。」
じゅえる「エヴァQと言えばオバQみたいだな。」

まゆ子「時代劇であればスター見たさにチャンネルを合わせる人が居るのはうなずける。だが船越英一郎目当てに推理ドラマを見るとはちょっと思えない。片平なぎさでもだ。」
釈「その時代劇スター頼みだったのが、時代劇衰退絶滅危惧の原因だと思いますよ。」

まゆ子「では、何故人は推理ドラマを見るのか。推理小説を読むのか。これを問わずにはいられない。」

じゅえる「単純に面白いから、だけではないという事は考察した。人間ドラマ、だけでも無い。トリックやサスペンスがというのも重要な要素ではあるが絶対ではない。」
釈「アクションは論外。」
じゅえる「船越英一郎アクションしないもん。」

 

まゆ子「別の視点から考えてみる。何故人は時代劇ドラマを見るのか、見なくなったのか。時代劇は人気が無いからか?」

釈「それがですね、時代劇小説てのはずいぶんと繁栄しているのです。本屋に行けばラノベと同じくらい数が出ているのですよ。」
じゅえる「おかしなもんでね、テレビ放送からは追放されたと言うのに、本屋には腐るほど有るんだ。」

まゆ子「私、時代劇も書く!」
釈「あーそれはがんばってください……。」
じゅえる「まあ「げばおと」はファンタジー時代劇なんだけどさ。」

釈「やはり時代劇を読むというのは、そこに人の求めるものが有る、て事ですよね。古き良き時代の日本人というか心というか。」
じゅえる「だが現代の時代劇は、やっぱり出てくる人間は現代人だぞ。」
釈「ああそれは出来の悪い時代劇であって、よくできたものは江戸時代当時のものの考え方とかもちゃんとトレスしていますから、そこは作品ごとのテイストということで。」
まゆ子「考えてみれば、時代劇スター花盛り時代の時代劇ドラマ隆盛は、そこに人の求めるものが有ったという事なんだな。」
じゅえる「昔の人が求めていたものをそのまんま提供し続けた結果、現代のテレビ視聴者の嗜好から外れてしまった。そういう事だな。」

釈「そうですねえ。昔は吉右衛門「鬼平犯科帳」はこれぞ時代劇の頂点だ!と思ってたんですけど、今のスペシャル版はどうにも違いますねえ。」
じゅえる「それは役者が年経ったせいだろ。」
釈「そう思ったんですけど、BSで再放送しているの見たら、やはりなんか違う。現在2012年基準から言うと、なんか違う。」
まゆ子「ふむ、皮肉なもんだな。時代劇の本格的なものを作るつもりで精一杯頑張ったら、実は1990年代の風潮と密接にリンクしてしまった。そういうことなんだな。」
じゅえる「バブルの馬鹿騒ぎが終わって本物本格を求める筋の人に提供していた、わけだからね。」

釈「でも「鬼平」「斬九郎」「剣客商売」、おもしろかったですねえー。」
じゅえる「それは文句言わない。」
釈「まこちゃん死んじゃいましたよおー。」
じゅえる「藤田まことさんか。うむ南無阿弥陀仏。」
まゆ子「安浦刑事か。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」
釈「南無阿弥陀仏」

 

まゆ子「さて、というわけで、推理ドラマは現在に到るまでも人の求めるものだから提供されている。と見做す外無い。」
じゅえる「異議なし。」
まゆ子「じゃあなんだ? という事になる。それを提供すればこそ、推理ドラマ小説は推理モノとして成り立つわけだ。」
釈「ツボの話に戻るわけですね。」

 

まゆ子「で、何を求めている? あんたらも視聴者読者の一人であるのだから、分かるっしょ。」
釈「と言われてもですね、世間の評判のいいのをちょこっとつまみ食いするくらいなものでして、まあそいうのは大体確かに面白いわけですが、」
じゅえる「現実の日常生活の固定しきった観念の裏を掻く、そんな感じで流行るのかなあ今のは。」
まゆ子「うむ、それはどうも核心に近い発言だな。」

釈「世間の裏、ですか。そうですかなるほど、つまり現在の飽和しきった状況においてなお、推理小説は現実世界とリンクしているから命脈を保つ。そういう事ですかね。」
じゅえる「日常とのつながりが絶たれていないからこそ、人が読む動機が保たれる。とはいうもののだ、ずいぶんと突飛な話も受けるんだよな。」
釈「カリカチュアですよ。日常のちょっとした異常を極端に大袈裟に書くことで、逆に日常を浮かび上がらせる。常套手段です。」

じゅえる「つまりだ、まゆちゃん。推理小説は現実日常と密接にリンクするからこそ人は読む。という事になるぞ。それでいいのか?」
まゆ子「いいんでないかな。そもそもが推理小説は純文学からは一等貶められて見られてきた存在だ。どんなに頑張っても正統とは認められない、だからこそそちらの方に擦り寄って生きてきた表現手法だよ。
 それはつまり現実だ日常だ。人生の真理というものを描く能力が欠落してきたからこそ、それにしがみつく。
 いいんでないかい?」
釈「推理小説の出自はそうなんですけどね、ポーの怪奇小説が出発点ですから。というかポーの映画も上映してますね。」

じゅえる「しかし純文学の方が死んでるぞ。」
まゆ子「現代社会は虚構性の上に成り立っているからね。訳の分からないお芝居に引っ張りだされているようなものですよ。
 推理小説もまずは虚構性の確立から始まって執筆される。それがちょうど現実社会の虚構性と相似形になるんじゃないかな。」
釈「昔の世間は虚構性が無かった、とは言いませんけどね。」
じゅえる「だがなにかしら肉体を使ってでないと何も出来なかった時代の世間と、コンピュータでぽんと出来る時代の世間の虚構性では、さすがに一枚違うだろ。」
釈「確かに。無人性も付加されていますか。」

じゅえる「つまり推理小説を書こうと思えば、現実を書けばいいという事か?」
まゆ子「私はそこはこう思う。技術的な観点からだが、手っ取り早く推理小説を書く為には現実社会世間において問題となる事象、犯罪でも差別でも軋轢でもなんでもいいが、それに注目して指弾する。
 昔のように啓蒙的姿勢でテーマを設定するのが早道ではないだろうか。」
釈「大時代的ですねえ。」

まゆ子「これはあくまで私が書く時の話だが、しかしそもそも推理小説のトリックとは何の為にあるか、を考えてみればいい。
 いやそもそも、小説文学においてキャラとは物語自体テーマ自体を過不足なく十分に表現できる存在でなければならない。ぽっとでを突っ込んでも作品としては決して成り立たない。
 同様に、トリックもそれが物語自体テーマ自体を過不足なく十分に表現できるものでなければ意味が無い。」
じゅえる「理想的にはね。」

まゆ子「だがだいたいトリックというものはどーでもいいんだよ、現実問題。
 名探偵が脳味噌絞って名案をひねり出すよりも、容疑者とっ捕まえてきて叩きに掛ければゲロるんだ。」
釈「そんな身も蓋もない……。」
じゅえる「だが警察はそれで十分成果をあげてるわけだし。」
釈「それはー、遠隔操作ウイルスで冤罪事件を引き起こしてる現実に対する皮肉ですねアイロニーですね!」

まゆ子「ま、そういうわけでトリックなんかどーでもいいんだ。というかむしろトリックに到るまでの迷彩こそが推理小説の真髄。わざとこんがらがらせるのだが、迷彩の手法そのものがテーマを浮き彫りにさせるってもんだ。」

 

じゅえる「つまり、逆算?」

まゆ子「最初に言ったでしょ、推理小説の書き方は知っているって。後ろから書く。だが、トリックから考えちゃダメなんだ。更に先、現実社会の何に対していちゃもんを付けるか、そこから入らないとダメなんだ。」
釈「いちゃもんですか、それはなんと言いますか、実に的確な表現ですね。」

じゅえる「そのやり方だと、キャラクターの造形が便利いいな。特にひねくれた犯罪者を構成するのには最適だ。」
まゆ子「そうなんだよ。一般常識的なキャラ造形の手法を用いると、推理小説の犯罪者は作れないんだ。というか一般手法で作ったキャラを推理小説に投入するとマンガになってしまう。
 だがこのやり方だと間違い無い犯罪者異常者犠牲者が組み上がる。なにせ現実社会の矛盾の集大成みたいなのが結晶化するわけだからさ。」
釈「鉄板過ぎてむしろ怖くなりますよ。」

まゆ子「そして探偵役。トリック自体を見破らなくて済む。まずは人間関係、そして犯罪の動機から探っていくのは登場人物のキャラが確実でないと成り立たない。
 テーマ自体を表現するというバックボーンが通ったキャラを相手にするのであれば、捜査手法も自ずと定まって楽ちん。
 なんだったら、推理小説中において容疑者を叩きに掛けることさえ可能なのだ。」

じゅえる「あたまつかわなくてべんりいーな。」
釈「確かに推理小説を書く上で一番のネックは、著者自身の頭の良さ、てのがありますからね。高度に組み上げたパズルを自分で解くというイカサマを魅せる作品にでっち上げるのは至難の技です。」

まゆ子「だいたいだね、推理小説を書いてしまうと、親切な読者様が「こうやった方が簡単ですよ」とか「それはちょっと論理的におかしくて成り立たない」とかおっしゃってくださるわけですよ。お節介にも。
 そいう指摘は、それがまた正しいから困っちゃうのだ。」
釈「わかりますわかります。」
じゅえる「一般読者に見破れないほどの高等なパズルを用意しなくちゃいけない、てのは確かに大きな負担だな。」

まゆ子「ま、そこがめんどくさいから現在の推理小説はキャラ描写に逃げるわけですが、それでは本格推理小説にはならないのです。」
釈「書くのだったらやっぱり本格派。ですよね。」
じゅえる「本格派というのは描写やトリックもさることながら、テーマ。社会におけるその作品の存在意義というものが問われるわけだ。
 なるほど、逆算が正しい王道なんだな。」

 

まゆ子「というわけで推理小説のツボは、現実社会に訴えるメッセージ性、という事になるわけです。」
釈「いちゃもんですね。」

 

 

【魔法甲冑リリカルポエマー 番外「メイドぶち殺し事件」】2012/03/05

(……というわけで、くっちゃりぼろけっとから移転してきました)

 

じゅえる「SFでもホラーでもサスペンスでもなんでもいいぞ。なんかネタを振れ。どんなのでもモノにしてやる。」
釈「強気です。とっても頼れそうです。これはいけますよ。」
まゆ子「とは言ってもねえ、そういう決め方が一番ダメなんだよね。まったく展開しなくて。そもそもーなんかネタが無いと。」
じゅえる「だからネタを振れ。」

まゆ子「そうだなー、こんどは男が主人公であるべきだろうから、軍人かなー。」
釈「軍人、いいですね。舞台は過去現在未来異世界どうします。」
まゆ子「戦争中がいいんじゃないかな。それも或程度近代的な兵器で国民国家レベルの大規模な戦争状況の中での恋物語。」
釈「王道ですね。兵器もいっぱい出ます。」
まゆ子「え、兵器出るの?」
釈「そりゃ出ますよ。ねえ、じゅえる先輩。」
じゅえる「ご要望にお応えはしますけどね。しかし鉄砲でどんぱちもスマートではないな。魔法でも使うか。」
まゆ子「魔法、ねえ。魔法近代戦争ですかね。」

釈「魔法で魔女で魔法使いの軍人ですよ。恋愛相手は敵の魔女です。」
まゆ子「おお!」
じゅえる「とはいうものの、でも普通の魔法で戦争というのはバカバカしい。なんとかしろ。」
釈「そうですねえ、うーん、呪いとか?」
じゅえる「呪いで人が死ぬのか?」
釈「この世界においては、呪いの藁人形を使って敵兵を直接にぶっ殺すことが可能なのです。」
まゆ子「そりゃ凄い。」

じゅえる「しかしそれはどういう戦争になるのだ? 敵兵の髪の毛とかが無くても無作為に人が殺せるのか?」
釈「えー、どうしましょう。地図上にばってんつけると爆発するとか?」
まゆ子「そりゃさすがにダメだ。」
じゅえる「戦争なんだから、こちらにもリスクが無いと駄目だぞ。といって、大量生産の藁人形をナイフでさしまくると人が大量死する、というのも禁止だ。」
釈「あはは、それはさすがに没ですね。だめですか、魔法藁人形は、」

まゆ子「いや、策は有る。」

釈「ほお。」
まゆ子「じゅえるが言ったとおりに戦争にリスクは絶対に必要だ。しかし戦争では確実に安全に人を殺せる手段も必要だ。矛盾するようだが、その両方が成り立っているのが戦争という行為なんだ。」
じゅえる「まあね。鉄砲で無差別にぶっ殺すというのは楽チンを追求したが故の道具であるし。」
まゆ子「今回武力による戦争は勃発しない、としよう。敵国との間に物理的兵力による差は無く、どちらも攻撃でなんとか出来る状態には無い。
 にも関わらず戦争は進んでいる。魔法による呪殺がちゃんと機能するのだ。これは古くからの儀礼的魔法であり、限定的な被害しか出ない為に戦争の手段としてははなはだ非効率的ではあるが、しかし確実に人は死ぬのだ。」

釈「なるほど。冷戦状態というか膠着状況にあるが故に、魔法に頼ると。でも経済封鎖とかはしないんですか?」
まゆ子「もうしてるけどまったくラチが開かないのだ。そこで嫌がらせ的に呪法を使って無差別に敵国領内の人間をぶっ殺している。」
じゅえる「無差別に効く呪法てのが有るんだ。しかしそれのどこがリスクが、」
釈「いえ、相手も対抗して同じ呪法を用いれば双方に呪殺される人間が多数出て、非常に嬉しくない関係になるのでは。」
まゆ子「うん、この魔法は相手が使ったことがバレるから、即報復で呪殺され返す。ただし、誰と定めて殺す事は出来ず不特定であるので効果は非常に限定的なのだ。
 ただし、上手く言ったら国家的重要人物をぶっ殺すことも可能であったりする。だから恐れられている禁断の呪法なのだ。」

釈「王様とか死にますか?」
まゆ子「運が悪いと。」
じゅえる「防ぐ方法は?」
まゆ子「身代わり。うん、魔女か巫女かに対象を入れ替える魔法というのが有ることにしよう。」
釈「いいですね。ぐっと恋愛物に近づきますよ。」
じゅえる「つまり、呪いが掛かった人は即死ではなく効力が完成するまでに時間が掛かる、ってことか。疫病?」
まゆ子「症状としてはそれでもいいぞ。熱に浮かされて意識不明となり七日七晩高熱で苦しんだ末に死亡。こんなかんじで。」
釈「おお、それは恐ろしい。」

じゅえる「しかし呪いの人形でそういうのを描くと、ばかみたいじゃないか。」
まゆ子「うむ、バカだな。」
釈「やっぱり没ですか。残念。」

まゆ子「こういうのではどうだろう。

 まず敵国の誰か不特定者に対して呪いの儀式を行います。ここに呪い人形を使います。
 術が完成して敵国の誰かが呪われると、彼彼女の意識が飛んで呪い人形に乗り移ります。
 意識が宿った呪い人形は自ら立ち上がり、徘徊します。そして喉が乾いて水を飲みます。これで呪い完成! 人形は呪われた人本人と完全にリンクします。
 これを剣なり棒なり鉄砲なりでぶっ殺すと、呪いは成就されて敵国人は7日の内に死にます。しかし、人形も抵抗します。
 抵抗する人形の力は常人を超えます。だから通常人形の身体はどこか壊しておいて満足に動けないようになっています。だがやり過ぎると水を飲むまでに至らない。
 自ら徘徊して水を飲む行為が必要であり、それは呪われた本人が夢の中で自由に動けるという錯覚を持っている事に由来します。あまり不自由だと、それが夢だと気づいて起きてしまいます。呪い失敗。
 呪いが失敗すると今度は逆に呪い人形が呪った人間の意識を取り込みます。すると、もう出られない。人形が破壊されるまで肉体は炎のように熱くなり、七日七晩苦しみぬいて死にます。
 だが呪った人間は意識を自分の肉体に戻そうとはしません。それは肉体の苦痛があまりにも酷い為に戻れないのです。
 死ぬと分かってはいても戻れない。いや、戻るとそれこそ本当の苦痛に苛まれ死ぬよりも過酷な体験をします。人形に留まれば死あるのみ。だが無理をして戻っても苦痛と恐怖のあまりに半数が死ぬというありさま。
 だから、上手いこと呪われた人間をだまくらかして水を飲ませねばならないのです。

釈「おそろしい、それは恐ろしすぎる設定です。」
じゅえる「でも水を飲んだ人間はもう呪いから脱出できないのか? 身代わりになった者は確実に死ぬだろそれじゃ。」
まゆ子「いえいえ、ふつうの人間は死ぬのですが、ちゃんと知識を持った人間ならば脱出できるのです。なぜならば呪いから解放される唯一の手段が残っている。
 つまり、

 呪われて人形の中に意識を閉じ込められた人間が戻るには、呪い人形を動かして呪った側の人間をぶっ殺して血を啜ればよい

という最終手段が。」
釈「おお、おそろしい!」
じゅえる「つまり呪い人形は人を殺せるだけのパワーが有るんだ。」
まゆ子「まあ、本能的にそれを感知するから、この呪い人形はデフォルトで暴れます。恐ろしい力です。しかし近代兵器で武装する兵隊にかかればあっという間に破壊完了。」
釈「まあ、それはそうでしょう。鉄砲には敵わない。」
じゅえる「鉄砲に耐える、というのは無理なのか?」
まゆ子「そりゃ素材によります。木製の呪い人形であれば何を使っても破壊できます。が、あんまり弱いもので作ると暴れている過程で分解してしまいます。それはそれで逃げられます。」

じゅえる「暴れて人形自体を自ら破壊してしまうと、呪いから解放されるってこと?」
まゆ子「単純に言うとね。ただし自らを分解する時には意識は人形に有りますから、痛いです。普通やろうにもやれない。」
釈「なるほど。」
まゆ子「逃げられてしまうと、術者の方が人形に意識を封じ込められますから、適正な方法以外では壊れないように人形を頑丈に作っておく必要があります。

 えーと、心臓と脳と腸との3箇所に致命点というのが存在し、これを破壊することで人形を殺したと言える。トネリコの白木の杭をぶっ込めばOK、ということにするか。」

じゅえる「その人形って、どのくらいの大きさなんだ? 小さい?」
まゆ子「あー今イメージするところでは、2メートル無いくらいだな。一般の人間よりは大きい。そうだな、棺桶と同じ長さがある。」
釈「それはかなりな大きさですね。材質も丈夫なやつを使わないと立てませんよ。」
まゆ子「うん、だから人形を作るのも棺桶屋にやらせようとか考える。」

じゅえる「なんか大げさな魔法だな。カネも掛かりそうで、そんなものを不特定多数の誰かにしか効かない、てのはもったいないぞ。」
まゆ子「違いない。なんか対象を特定する方法を考えよう。王族貴族だけが信仰する宗教があって、それの信者にだけ有効にするとか。」
釈「人形というくらいですから、手足頭があるんですよね。中国の玉の人型棺桶みたいなものですか?」
まゆ子「うーんそうだねー、

 前にさ、エジプトミイラ展を見に行ったことがあるんだけど、その時もうローマに併合されたエジプト最晩期のミイラの棺桶というのがあって、これはまたすごいんだ。」
じゅえる「ふむふむ。」
まゆ子「つまりこれはミイラを納める為のものなんだけど、顔の部分に死んだ人の絵が描いているんだ。かなりリアルに。」
釈「死人の顔の絵ですか。こわいですね。」
まゆ子「基本生きていた時分の顔だから気持ち悪くも不吉でもないようになってはいるんだが、そんなもん夜中に一人で見たらおしっこちびっちゃう。
 で、こんな感じで呪い人形も顔の部分に絵を描いているというのはどうだろう。」

じゅえる「それあれだ、その顔の絵に似た人に呪いが掛かるということにしよう。相手国国家元首の顔を描けば、かなりの確率で国家元首が引っかかる。」
まゆ子「ふむ。」
釈「なるほど。
 ならこういうのはどうでしょう。相手国のお姫様の顔を描いて、それに主人公である軍人が絵姿だけで惚れてしまうという。」
まゆ子「一考の価値はあるな。」

じゅえる「しかし2メートル近いのか。それは強力な人形だな。上手く破壊できるのか、それ?」
まゆ子「あー、そうだなー。うん、じゃあこうしよう。不特定多数の誰かに呪術は引っかかるのだが、その対象者の霊力とか人間力によって人形の力も変わる。
 特にそれが軍人だった場合、戦闘技能がそのまま利用可能。なにせ夢を見ているようなものだから、生身の時の経験や知識が使えるぞ。」
釈「ほお。呪いとは言ってもなにかかなりやばい橋を渡ることになりそうですね。」

まゆ子「基本的にこの呪いは人を殺すものではなく、魔神を呼び出すものだったんだよ歴史的には。人形に魔物を取り憑けて使役するという。
 しかし上手く動かないので改良を続けると、実在の生きた人間の魂を取り憑けて強大な力を得る人形を作るのに成功。ただし、取り憑いた人間は七日七晩高熱に苦しんで死ぬ諸刃の剣。
 で、どうせ人が死ぬのならと敵に対して使うようになったのが、近代の昨今。」

じゅえる「ふむ。ゾンビというかゴーレムの呪法なんだね。」
釈「近代文明においては、それを利用しようという考え方は無いんですか。」
まゆ子「蒸気ガソリン電気モーターが有るから、そんな化物を使う場所は無いな。」
じゅえる「そうか。」

釈「鉄砲は効くんですよね。」
まゆ子「人形をぶっ壊せばふつうに動かなくなります。その場合、対象は呪いから解放されるけれど術者が死ぬ。人を呪わば穴二つだ。これを避けるにも身代わりが使える。」
じゅえる「つまり高位の魔法使いであれば、人形の呪いを自分で受けずに弟子を身代わりに出来るわけだね。」
釈「ちょっと、リスクがきつすぎますね。物語創造上の障害になりませんか?」
まゆ子「うーん。」

じゅえる「やはり術者は肩代わりできないことにしよう。その代わり、人形をぶっ壊しても術者は即死はしない。健康に悪いだけだ。」
釈「健康ですか。」
じゅえる「うん、魂を削って術を掛けるものとしてだ。心筋梗塞とかになったりするんだよ。」
まゆ子「ああ、たしかにやばい呪法だな。」
釈「であれば、不特定多数の人間を無差別に殺すだけ、というのは割りに合いませんね。」
まゆ子「違いない。つまりこの場合は、敵軍の重要人物に対してピンポイントで呪法攻撃を行なっているんだ。だが敵も呪い返しの結界を張り巡らせていて、掴んだと思ったら別人だったという。」
じゅえる「なるほど。」
釈「OKです。」

 

まゆ子「であれば、だ。呪いが避けて別人に取り憑いたとして、それに対して身代わりするのはあまりコスト的によろしくないな。」
釈「王族やら貴族やらでないと、人的損失が大きくなりすぎますね。」
じゅえる「それは呪いの逆流をするスペシャリストが居るという話にしよう。取り憑かれた人を媒介にして、敵が操る呪い人形を直接コントロールして敵の術者をぶっ殺そうという。」
まゆ子「ふむ、それはスリリングにしてストーリー展開が激しくなる。うむ。」
釈「一般人が取り憑かれただけだと、呪い発動後即殺されるだけですからね。呪いが上手く効いた! と思った瞬間、実は反撃に転じられていたという。」
まゆ子「おお。それはよい。」

釈「つまり呪いに掛けられた人は一目で分かるわけですよ。そこで教会なり警察に連絡すると専門家がやってきて、高熱に浮かされる人のそばに付いてブレインダイブするんです。
 そして術式の現場の人形に憑依して術が発動した瞬間からコントロールを奪取。とはいえ呪いを解くには術者をぶっ殺して血を啜らねばならない。
 それはさすがに無理があるから、人形を操って当たるを幸い近くの人間をぶち殺しまくり二度と呪いなんかできないように教訓を与える。
 というのが通常の対処です。」

じゅえる「ふむ。やはり逆襲される危険があるんだ。これに対して銃火器による破壊は効果がない?」
まゆ子「人形が破壊されたら呪いは解ける。敵の対抗術者は人形を自ら破壊するという策も選択できるが、それは非常な苦痛を伴う。死の危険さえもある。故に暴れて破壊してもらうのが正しかろう。」
釈「そうですね、暴れるのが本能の選択なんですよ。これに対して致命点を確実に破壊しなくては術は完成しないのでなんらかの方策を講じている。」
まゆ子「まあ一番簡単なのは頭心臓腸の三箇所に狙撃銃で狙いを定めていて、水飲んだ瞬間に狙撃。」
じゅえる「簡単だな。」
まゆ子「だがこれをやっちゃうと、呪いがちゃんと目的の対象者に届いたか確認が出来ない。呪いが成立した後でないと確認が効かないのだ。」

釈「水を飲むまでの時間てどのくらいですか?」
まゆ子「あー、30分以下だろうな。」
じゅえる「短いな。」
まゆ子「まだ術が掛かってないからね。逆にいうと、対抗術者はその30分までに呪われた人の現場に到着しないといけない。」
釈「つまり、術が掛かっちゃう人は近所に居る事になるんですよ。」
じゅえる「VIPを警戒してたら、その近くの人ってことになるのかな。」
まゆ子「比較的近所に、あるいは親戚に。顔が似ている使用人とかが居れば確実。」
じゅえる「なるほど。この世界においては偉い人は身代わりとなる似た人間を抱えているんだ。」
まゆ子「そういうことになるね。」

 

釈「呪い人形の魔法は理解しました。非常に面白い、物語的に映えるものですが、魔法はこれだけですか?」
まゆ子「考えてない。というか、この世界魔法は結構有るんだが、有るが故に冷静客観的に判断できて、炎を起こすならライターを使えとか言われてしまうのだ。」
じゅえる「そりゃ道理だな。」
釈「機械文明は魔法よりずっと便利ですからね。」

まゆ子「ところがだ、呪い人形がメインモチーフであるように人形魔法が非常にポピュラーなんだ。」
釈「人形の国ですね。」
じゅえる「そうだな。物語の主題はばんと真正面から押し出さないといけないな。うん、球体関節人形魔法というのがあればいいのだ。」
まゆ子「うーん、そうだな。うんじゃあ、死んだ人間を人形に魂を封じ込める魔法。」
じゅえる「できるんですかそんなこと?」
まゆ子「嘘。性格には呼びかけたらそのひとぽく反応するだけの人形。しかし、要望によりただ頷くだけから歩いて飯食べておしゃべりも出来るくらいまでグレードの違いがある。」
じゅえる「ほお。」
まゆ子「もちろんそんな化物みたいな精密な人形は、維持費だけで目の玉が飛び出るほどだ。王族でもないと所有できない。」
釈「うん。」

まゆ子「他にも録音人形とか。」
釈「録音技術は無いんですか?」
まゆ子「テープレコーダーはでかい。」
じゅえる「テープレコーダーが実現している機械文明なのか。電気は有るんだ。」
まゆ子「電気くらいあるさ。しかしー、コンピュータは無理かな?」
じゅえる「テープレコーダーの発明って何時だ?」
釈「ぐぐりました。1898年にテープでなくピアノ線に磁気記録するワイヤレコーダーが実用化されてます。が、実際に意味がある製品は画期的技術が開発された1939年くらいからですね。」
じゅえる「ワイヤレコーダーでOK!」
まゆ子「OK。 じゃあ録音人形はというか会話人形はこの世界で結構意味がある存在ということで。」

釈「何分くらい録音できるんですか?」
まゆ子「一息。」
じゅえる「一息、それはー使い方難しいな。」
まゆ子「まあ録音する人間が慣れてたら結構使えるよ。」
釈「使いようですね。でも忘れちゃったりしないんですか?」
まゆ子「というか、普通の人間には再生できないぞ。目標とする人間をちゃんと識別してその人にだけ喋るようになっている。他人には決して喋らない。まあ魔法使いに掛かれば無力だけどね。」
じゅえる「いや、それだけ堅牢な秘匿性があるのなら十分だ。」

まゆ子「まあ実はもっと有用なんだけどさ、人を確実に見分ける機能も有るし。」
釈「確実な個人認証が出来るんですか、随分と高性能ですね。」
まゆ子「魔法というものは人間に対しては有能だからね。物理現象を引き起こすより遙かに。」

じゅえる「あとはお守りだな。」
釈「そうですね。軍事国家らしいですから、敵の弾が当たらないお守りとかも人形であれば、」
まゆ子「いやそこは手作りの人形で。」
じゅえる「そうだな。本物の魔法ではないお守り人形を持っているんだ。
 ただ、お守りじゃない身代わり人形はたしかに有る。変わり身の術だよ。」
釈「さすがに銃弾の身代わりは無理でしょう。」
まゆ子「そうだなー、銃弾は無理でも災厄は免れるくらいの、運勢制御装置くらいかな。」

じゅえる「おもしろくないな、もっとぶっ飛んだお守りがいい。」
釈「そうですねー、兵士として必要な能力を実現するお守りですよね。弾が当たらない爆発にも遭わない、そんなのでない能力であれば、」
まゆ子「腹が減らない、疲れない、眠らないとか?」
じゅえる「それだ! 眠らないお人形だ。」
釈「いやしかしそれはやばいですよ。覚醒剤じゃないですか。」
じゅえる「眠くならない疲れも覚えない集中力が途切れないで戦闘や作業をし続ける能力を与えるお人形だ。」
まゆ子「いやそれは凄い能力だとは思うが、人形で無ければならないものか?」
じゅえる「うんそうだな。じゃあ着る人形ということで。」
釈「戦闘服ですか。人形っぽい。なるほど、軍事用であれば人形即兵器であってもいいわけですよね。ね?」
まゆ子「なるほど。パワードスーツは無理だとしても、覚醒剤スーツか。……いやーそれはヤバイなHAHAHA。」
じゅえる「採用だ。」

 

釈「ビジュアル的に面白いものが出ました。兵士は人形甲冑を纏って戦うんです。」

じゅえる「呪い人形が暴れまわるのを、人形甲冑兵士が止める為に戦うわけだ。なるほどビジュアルとしては面白い。でも兵士全員が甲冑を着なくてもいいよね。」
まゆ子「まあね。一般兵いや銃兵はそんなもの要らないだろうね。甲冑と言っても銃弾を防ぐ能力は無いんだから。」
じゅえる「やっぱり魔法を使っても鉛玉を防ぐのは無理という物理法則の勝ちか。」
釈「覚醒剤スーツの能力は過分なものではありますよ。」

まゆ子「まあ完全に不可能でもないんだよ、なんせ疲れない兵隊だから可搬重量の最大を長時間維持できます。鋼鉄板の防弾楯を装備しましょう。小銃弾くらいならなんとかなります。」
釈「はあ、そんないいものが。でもなんで現実世界の兵隊さんは使わないんですか?」
じゅえる「いや、旅順攻略では機関銃避けに楯を使うところが「坂の上の雲」に出てたぞ。ちゃんと鋼鉄製だなアレ。ねえ?」
まゆ子「さいですな。旅順要塞では機関銃の位置が固定されていますから、楯はそれなりに機能しますが、さすがに野戦で鉄板持ち運ぶのは無茶です。」
釈「重たいから?」
まゆ子「重たいし邪魔だし、回り込まれるし榴弾も有るし。」
じゅえる「あんまり嬉しくない装備なわけだ。」
まゆ子「だが適切に使えば有効であるのは間違いない。機関銃やら砲にも防盾はちゃんと付いてきますからね。」

じゅえる「ふむ、つまり楯は使えるなら使った方がいいのか。」
まゆ子「この世界では楯は使います。楯運び兵がちゃんと専門で居るのです。それも覚醒剤スーツを着用して。」

釈「覚醒剤スーツで大きな銃を用いるというのは無しですか?」
まゆ子「いやそれは据付型の銃を使えば二三人の要員で運用出来るから。あまり無茶はしない。」
じゅえる「覚醒剤スーツが一番有効なのは、やっぱ銃剣突撃かな。」
まゆ子「うん。やるよお銃剣突撃。サーベルも許可しよう。」

釈「肝心なことを聞き忘れていましたが、機関銃は有りですか?」
まゆ子「あー、大型は有りということで。といっても自動銃であって高速度の射撃は無理。タンタンタンと耳で聞こえる時間での装填と発射しか出来ない。」
じゅえる「なぜ機関銃にならないんだ?」
まゆ子「まあ機械的精度の問題と加熱冷却の問題、口径がそもそも大きいから強度にも懸念が有る。しかし連続発射で百発も撃てば、普通なんとかなりますよこんなレベルの戦争であれば。」
釈「毎分百発は撃てそうですからね。」

じゅえる「銃はボルトアクションライフルなのかい。」
まゆ子「まあ、それでいいでしょう。ちゃんとライフル弾で。なにかリクエスト有る?」
釈「第一次大戦よりも古いタイプの兵器ということですね、結局。えーと砲はどうでしょう。榴弾や榴散弾はありますか。」
まゆ子「榴散弾は無い。榴弾も無いというのではどうでしょうか。」
じゅえる「何故? 大砲はあるんでしょうに。」
まゆ子「榴弾は大砲からは撃たないで、迫撃砲みたいのが別にあるという話で。つまり臼砲が廃れずにちゃんと進化して爆弾砲というのになりました。」
釈「榴弾ではなく爆弾?」
まゆ子「先込めで口径より大きな爆弾を突っ込んで発射します。だから塹壕戦なんてのにはなりません。トーチカをカノン砲で撃砕して爆弾放り込む、という戦争です。」

じゅえる「まあ、そんなのはどうでもいい話だ。つまり第一次大戦日露戦争よりも古い戦争ね。」
まゆ子「そんなもんで。」
釈「飛行機は?」
まゆ子「あー、自動車はありますし気球もありますし蒸気戦艦もありますが、飛行機か…。」
じゅえる「飛行機は有り。」
まゆ子「その心は?」
じゅえる「かっこいい。」
まゆ子「じゃあ複葉機で偵察用の飛行機が有る、という設定で。」
じゅえる「無線は?」
まゆ子「あー、それも有りでいいや。電話は確実に有るし。」
釈「戦車は禁止ですね、日露戦争前なんですから。」
まゆ子「それもありでいいや。ただし線路上を走る戦車だ。」
じゅえる「そんなもん役に立つのか?」
まゆ子「蒸気機関車でないと動かないような大砲を積んでるのさ。だから砲を展開するために線路を敷いている。」

じゅえる「なんか科学的発展段階がいびつだなあ。」
まゆ子「いや、魔法世界だから仕方ないじゃん。というか、こういうのは世間一般人の常識に従ったそれっぽい科学水準というものがあるんですよ。だいたいこの時代にテープレコーダーは無くてレコードに記録だよ。」
釈「ああ、そういうのはちょっとなにかずれますね。感覚が悪いというかおかしいというか。」
じゅえる「世間一般人が漠然と抱いている昔の近代、というイメージに合わせるのか。それは面倒だな。」
まゆ子「なんだったら第二次大戦くらいの科学水準でもいいし、ベトナム戦争でもいいぞ。」

じゅえる「いや、それは近代の明治維新よりは後くらいの水準がいい。えーと、普仏戦争くらいか。」
釈「そうですねえ、第一次世界大戦日露戦争の前となると、、バルカン戦争から日清戦争、普仏戦争くらいまでですかねえ。」
じゅえる「なるほど、なんか古臭すぎるな。」
まゆ子「でしょ。実際ここらへんの戦争はあまりにも馴染みが無さ過ぎて、正直描写に困るんだ。」
釈「戦争を描くのが目的ではないのですから、そんな設定てきとーでいいですよねえ。」
じゅえる「ふーむ。まあおいおい考えよう。」

 

まゆ子「しかし明確なイメージとしては、れっきとした連発のライフル銃を使い、銃剣で格闘する。これだ。」
釈「明治維新よりは後の戦争ですね。後装式連発のライフル銃が敵味方共に行き渡っているのであれば。」
じゅえる「しかもガソリン自動車も結構な数が存在するとなれば、相当後。もう20世紀だ。」
まゆ子「電気もずいぶんと利用されてるイメージだし。」
釈「風俗や恋愛観を考える上でも、そこはデリケートな時期ですねえ。ぜんぜん違いますよ。」

まゆ子「そうなんだ。ここは恋愛物を描く際に非常にデリケートな時間帯なんだよ。さてどうしたものか。」

じゅえる「魔法というなら電気の方がよほど魔法だな。」
まゆ子「そうだよ。」
じゅえる「電気有りにすると、とたんにモダンになるな。」
釈「そうですね。20世紀的文明のイメージが支配的になります。」
じゅえる「いいんでないかい電気。電灯電話にモーター動力で、そのまま100年くらい進歩していないイメージで。」
まゆ子「ふむ、20世紀的進歩の無い停滞したイメージか。それも手だな。

 いっそガソリンエンジンも無しにするか。電気と蒸気機関だけが存在する世界。」
釈「石油が無い世界というのはあってもいいんじゃないですかね。」
じゅえる「発電は石炭か。」
まゆ子「石炭火力と水力発電だ。そうだな、ガソリンエンジンが無いとなかなか発展できないな。」
釈「自動車は電気ですか。飛行機は無理ですねえ。」
じゅえる「気球でいいじゃないか。」
まゆ子「まあメタノールという手はあるのだが、基本的に内燃機関の無い世界でいこう。石油がこの世界には無いんだ。」
釈「了解しました。」

 

じゅえる「しかし待てよ? 録音人形の動力は何だ? 魔力か?」
釈「あー、そこらへんは深く考えない方が。」
まゆ子「いやそれに関しては別に驚くようなものは要らんよ。革袋だ。」
釈「え? なんです。」
まゆ子「だからさ、この人形は歯と舌と顎が有って、肺の代わりの革袋が有るんだ。人形をギュッと握ると革袋の空気が押し出されて、舌と顎が動く。声が出る。」
釈「はー、おもちゃなんですね。」
じゅえる「だから一息分の声しか録音できないのか。」
まゆ子「まあ舌と顎の制御は厳密には魔力なんだけどね、それを聞こうとする人間から供給されるということで。」
釈「まあ魔法と言ってもその程度のものなんですね。この世界は。」

じゅえる「ちょっとまて、じゃあ呪い人形の動力はなんだ?」
まゆ子「知らん。いや、そこは明らかにしないのがおそらくは正しいだろう。」
釈「普通に魔力でいいじゃないですか。」
じゅえる「うんいいんだけどさ、なんか考えておいた方がいいのかもしれないと思って。」
まゆ子「しかし棺桶屋が作った木の人形だからなあ。動力どころか関節の駆動系すら存在しないぞ。」
釈「なにかこしらえましょうか、魔法物理学を。」
じゅえる「ごめんこうむる。そこは普通に魔力魔法で上等だ。」

まゆ子「ふむ。ちょっと考えてもいいな。電気は有るのだから、フランケンぽく臓物が入っているとか。」
釈「うわあ、それは怖いですねえ。豚の臓物入り棺桶人形ですよ。しかも死人の顔をリアルに描いた。」
まゆ子「うわあ。」

じゅえる「ふむ。臓物も木で作ったらどうだろう。棺桶人形には最初から呪いに適した木というのがあって、それを使って臓物を作ればちゃんと動く呪い人形が出来上がると。」
まゆ子「それはさすがにウソっぽい。むしろ木に取り憑いた動物かなにかの臓物をつかって、……ふむ。」
釈「なんですか?」
まゆ子「食虫植物という感じで動物を取り込んで食べてしまう木が生えている事にしよう。木のウロかと思って動物が入り込むと、内部に取り込まれ吸収される食獣植物だ。」
釈「おお、気持ち悪い。」
まゆ子「で、大型動物がそのウロに入って吸収される過程で、木に臓物が有るような状態になる。これを使うと呪い人形が出来るんだ。」

じゅえる「それは稀な存在なんだな。魔法使いが野山で見つけてくる。」
まゆ子「だったんだけど、この科学文明の時代食獣植物の栽培に成功して、臓物木の量産が可能になっている。もちろんこんなもの呪い人形にしか使えないから要らないんだけど、」
釈「そ、それは人間を取り込めば最凶の呪い人形に!」
まゆ子「ほお。」
じゅえる「ほほお。」
釈「だ、だめですか?」
まゆ子「ほほお、それはそれは。採用だ!」
じゅえる「普通であれば家畜を投入するところ、最終兵器として人間を取り込む技法というのが確立されているんだな。それを使えば国家元首クラスの重要人物で有っても確実に呪殺可能!」
まゆ子「ほほお、おそろしいおそろしい。」

釈「じゃあ、死人の代わりをする球体関節人形というのも、」
まゆ子「死人を放り込んで作った臓物木を使っているんだな。もちろん臓器が長持ちするわけがない。しかし木と一体化していることで長期間形状を保ち、生前の頃のままの活動を再現できる。」
じゅえる「生きた亡者の出来上がり、なんだ。」
釈「それは、それは! 臓器の機能を長期間保存するために木に吸収されてしまわないように生き餌を与え続ける必要があるんです! だから維持費に随分な費用が掛かるわけですよ。」
まゆ子「ほほお。」
じゅえる「おかるとほらーですねえ。おそろしいですねえ。」

釈「しかし、死人を取り込んでもそれは死体を木に入れただけでしょう? 臓器が生きて機能するというのも変ですよ。」
まゆ子「抜かり無し。

 まず今にも死にそうな病人が対象です。この人がもうすぐ死ぬのが分かっていて、親や家臣が球体関節人形化を望みます。
 そこで魔法使いは木に適切な家畜を放り込んで臓物木を作ります。ここで重要なのは心臓です。木の中に人工心臓を確保した形になります。
 で、対象者が死にます。死体を臓物木の中に納めて心臓を抉ります。そして臓物木の動物の心臓の血管を繋ぎます。もちろん免疫抗体反応なんか起きません。木ですから。
 死体は臓物木の臓器によって強制的に生かされて、やがて木と同化します。死体そのものの臓物木となります。
 臓物木を切り倒して、人形製作に入ります。もちろんこの間も臓物木を活かす為にナマの生き血や小動物を餌として供給し続けます。
 もちろん球体関節人形ですから、動けません。しかし形を作っているとなんとなく筋肉状の粘膜が表面を覆い、いや粘菌と言った方がよいか、で動けるようになります。
 作り方にもよりますが、最終的には球体関節人形の表面全部をそれが覆って、生き人形の完成です。
 魔法使いによる適切な管理を行うことで、10年以上の機能が可能です。
 もちろん手入れを怠ると死にます。が、動く必要が無いのであれば庭園に根を着かせて、生きた樹木へと変化させる事もできます。
 保存措置を終えて完全に同化されてしまうと、それはただの食獣植物でしかありません。ただ人形の形が幹の一部に残ります。


じゅえる「愚行だな。死人をむりやり蘇らせる。」
まゆ子「愚行ですよ。しかし、それをやらずには居られない人が居る。」
釈「人間なんですねえ。

 そ、それではですね、こういうのはどうでしょう。

 とある王女が不治の病に冒されて余命幾ばくも無い。王は嘆き悲しみ、王女を生き人形とする決断をした。
 魔法使いは臓物木の準備に取り掛かるが、王からの命令により無垢な心臓を用意する。
 すなわちうら若き処女のメイドを食獣植物の中に放り込み吸収させて、王女の心臓とするのだ。」

まゆ子「なんというほらー。」
じゅえる「ひどいですわひどいですわ。」

 

まゆ子「あー、となるとその他魔法も吸血植物の芽とかを使うという線で。」
じゅえる「まあ魔法というものはどーとでも理屈は付くが、この世界の魔法は植物に依存するというラインで行くか。」
釈「そうですねえ。魔法魔力というのが得体の知れない普遍的なエネルギーに依存する、というのもいいかげん飽きますね。植物の未だ知られざる能力を活用する、とかでいきますか。」
まゆ子「つまりこれは科学なんだ。」
じゅえる「錬金術ならぬドルイド魔法の一派だな。」
釈「いいですね。大地の力ですよ。」
じゅえる「ドルイドならぬドールド魔法という名前で行こう。DOLLだよ。」
まゆ子「分かりやすくてイメージし易くて、いいんじゃないかな。」

釈「樹木魔法と対比する形で錬金術というのもあり、その発展形が現代の科学技術文明、という形で社会を組んだらいいんじゃないですかね。」
じゅえる「ドルイドと対比するなら、コボルトかな。」
まゆ子「ドワーフでもいいな。つまり大地の石や金属を取り扱う魔法だな。火も使うから樹木魔法の敵なんだ。」
釈「そこら辺は色んなファンタジーでおなじみですから、流用も簡単ですね。」
じゅえる「石金属火と、樹木水がセットなんだよ。えーそうすると、農耕は樹木魔法の内かな?」
まゆ子「そうだね。農耕技術自体を魔法として考えるのは悪くない。というか、それはプリミティブな魔法の概念ではないだろうか。」
釈「治水は古来より魔法の範疇ですからね。」

じゅえる「人間は?」
まゆ子「動物はどっちに入るのかな。樹木が無いと生きられないからな。」
釈「ドルイドの手下ですね。」
まゆ子「分離するか?」
じゅえる「その前に、大気天候風は魔法学的に分離するべきだろう。」
釈「地水火風ですね。四大精霊ですよ。」
まゆ子「シルフィードの世界だな。うーん、この世界は三大精霊ということにするか。天界と冥界と現世界の3つの精霊界があるんだよ。でそれぞれに魔法がある。」
じゅえる「空にあるすべてのものをひっくるめて一括りにするのは大雑把すぎないか?」
釈「おおざっぱで悪いとは思いませんが、いいんですかね?」

まゆ子「海はどうしよう?」
じゅえる「ああ、この世界のこの国は海有るの?」
まゆ子「わからん。いや、有ってもいいが物語上ではあまり活用する場面が有る気がしない。」
釈「さすがに海の概念を抜きにして世界を考えるわけにはいかないでしょう。海魔法水魔法は有りです。」

じゅえる「なら、天地水森の四大精霊界というのがあるとしよう。海の精霊ならネレイドだな。」
釈「”ト”つながりですね。」
まゆ子「ただ物語の舞台となる国は海洋国家ではなく、海魔法は知らないということにしよう。そういうものがあるとは知っていても、使える魔法使いは無い。」
じゅえる「うん。海までは手が回らないということだな。」

まゆ子「で、地魔法である錬金術が進化したものが現代科学文明であり、現代はコボルト時代とさえ呼ばれている。」
釈「いいんじゃないですか。それを名乗るだけの資格が科学技術にはありますよ。」
じゅえる「しかし人間様がドルイドの手下というのはちと気に食わんな。人間とか動物をなんとか地位向上させる手を考えてよ。」
まゆ子「まあ四大精霊理論でも人間は無いんだけどね。」
釈「五大精霊理論でも人間は無いんだから、仕方ないんじゃないですかね。」
じゅえる「それはー、変だ。」
まゆ子「いやそれは考え方の問題だから、人間というものが霊的なもので構成されると考えた時、人間自体が人間を構成すると考えたらダメだろう。」
釈「人間絶対史観ですか。」

じゅえる「でもここのドルイド魔法は違うだろ。」
まゆ子「なるほど、では人間魔法というものをでっちあげるぞ。」
釈「具体的にはなんの要素を用いますか。」
まゆ子「魔法!」
釈「え?」
まゆ子「知識、伝承、言語文字、技術、詩歌、音楽、舞踏、こういった人間の精神活動と文化そのものが人間の魔法だ。」
じゅえる「それはー、」
まゆ子「天界に天体の秩序があり、大地には結晶の厳密さがあるように、人間によって精製されるものが文化である。つまり魔法なのだ。」
釈「はあ、つまり人間の働きに注目したわけですね。」
じゅえる「つまり大自然と対比させるべきものとして高く文化文明精神活動を認識しているわけだ。」
まゆ子「だって他に無いじゃないか。」
釈「たしかに人間が人間である所以ですからね。」

じゅえる「他の動物は?」
まゆ子「いや人間魔法に入れておこう。そういう文化や行動様式は他の動物にも有るから。つまり動きだな。動物は動くからこそ動物なんだ。」
釈「深いです。」
じゅえる「アニメーションなんだな。」
まゆ子「アニマの魔法だな。アニマトと呼ぼう。」
釈「アニマとはラテン語で魂です。実に人間の魔法にふさわしい名前ではないでしょうか。」

 

釈「整理すると、世界には魔法が5つ有る。魔法界が5つに分けられる。
 天界「シルフィード」  天体、気象、大気、雷、音 などなど
 地界「コボルト)    大地、地形、岩石、鉱物金属、地震、などなど
 海界「ネレイド」    海、湖河、水、地下水、雨、などなど
 樹界「ドルイド」    樹木、農耕などなど
 動物界「アニマト」   動物、人間
(すべて暫定的仮名)。

 人間は世界を観測し仕組み成り立ちを知ろうと試みて、知識と魔法を導き出した。つまり魔法自体は世界にあるものではなく、人間が創りだしたものだ。
 当然人間しか使わない。が、それぞれの世界に独自の法則や秩序があり、人間とは無関係に進んでいる。
 それぞれの魔法とはすなわち、人間が自然を利用する分野を表しているに過ぎない。が、それぞれ異なる法則に従うのであるから、人間以外の存在が魔法を使う事も考証されている。
 超自然存在であるところの「神」がそれである。が、今回神自体は物語中では考慮しない。

 あくまでも自然利用の為に人間が用いる技術が魔法であり、魔法がさらに合理的に進化したものが科学であり技術である。
 魔法は科学の母体ではありいずれ廃されるべきものではあるが、しかし未だ人間の智恵が及ばず利用は出来ても理解は出来ない現象もある。
 これを特に「魔法」という。


まゆ子「なお、この世界の人間は順調に科学技術を伸ばしているから、大気の向こうに宇宙が有り、天体が太陽の周りを回るという地動説をちゃんと理解する。
 五大界の分類は昔からの慣習であり、科学的な見地からいうと厳密には正しくないと知っている。」

じゅえる「まあそれはいいけれど、元素の問題はどうしよう。四大あるいは五大元素というのは使うかな?」
釈「この世界はそんな微分的な考え方をするでしょうか?」
まゆ子「いやーしないなあ。うーん、じゃあ陰陽二種の元素があるということで。」
じゅえる「それもなんだなあ、ありふれて面白くないなあ。」
まゆ子「ではこの世の中は単一の元素と単一の力とがあり、その作用で全てが成り立っている。物と力論ではどうだ。」
釈「陰陽と力で、どうです?」
じゅえる「それじゃあ、陰陽の物質と、正反の力とで成り立つという二種二元論で。」
まゆ子「うん、それでいいや。」

 

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釈「じゃあそろそろ本題の、恋愛関係について考証しましょう。」

まゆ子「やなこった!」
釈「え?!」

じゅえる「釈ちゃん、今回それは秘密なんだよ。」
釈「あ。」

 

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まゆ子「というわけで魔法哲学を進化させてみました。

 この世界の魔法、いや世界観には二種二元論という根本原理があります。万物は陰陽の二つの物質と、正反の二つの力によって成り立っています。

 天界はこの内「反」の力が支配する世界で、すべてのものがばらばらで凝集しようとせず広大な宇宙に広がっています。
 対して地界は「正」の力の支配する領域で、すべてのものが凝集して圧縮し、固まっています。まあ見てのとおり。
 海界は「正反」二つの力が中和した世界です。故に固まらないが広がらない。冷やせば固まるが、熱すれば蒸発する。均衡した世界です。
 植物と動物は共に水無しには生きられないから、基本的には海界の従属存在ですが、均衡の形が違います。
 回転です。正反双方の力が中和して無活動になるのではなく、互いを求め合って回転しています。植物は左回り、動物は右回りに。
 植物、樹界は左回りする事で世界から物質を集めて成長し生成する。森が広がっていく力となります。「正」の力が働くのです。
 対して動物界は右回りする事で破壊し、消費し、分解します。「反」の力が働く存在です。
 モノを破壊し変化させる存在として、火もまた動物界に含める事がありますが、これは「反」の力そのものとも思われています。

 陰陽の物体とは物質を構成する元素であり、基本的に天界には存在しませんが、天界にもそういうものが浮いています。太陽は陽の純粋な集合体と考えられています。
 陰の集合体は地中で生成される結晶、特に水晶がそれであると考えられています。月は巨大な陰の塊であると想像されています。
 水も陰の集合体ではあるけれど、正反両力が均衡しているために純粋な結晶に成れないと考えています。故に陽の要素である熱を加えると反の力が増して蒸発します。
 火は太陽と同じく熱を発しますが、燃料無しには燃えないので物質ではないと考えます。物質中の陽の要素が反の力で離脱する時の姿と考えています。

 つまり太陽は陽の物質が極限を超えて集中したが為に燃え上がり、反の力を生み出す。
 一方陰の物質が極限に達すると結晶化してそれ以上集まれなくなる。正の力を止めるものになる。と考えます。
 しかしながらその量が極端に多くなると中心部に極めて高い圧力が発生し発熱、陰物質の陽化という現象で結晶が溶解して液体になる。
 つまり、月のように丸くなるのです。
 通常の物質は陰陽二つの物質の不純な集合体で構成されており、
 物体は「正」の力によって集められて生成し、「反」の力によって崩壊します。

じゅえる「ま、いいでしょう。近代科学的な世界観だね。」
釈「万有引力論ですよ。」
まゆ子「いやこの世界観つい最近百年くらい前に出来たものだし。」
釈「え?」
まゆ子「魔法使いだってサボってるわけじゃなくて最新科学知識を体系に織り込みますよ。」
釈「はあ。」
じゅえる「いや、まあ、それが正しいんだけどね。」

 

釈「で、キャラクターと恋愛沙汰は禁止なんですね公開は。」
まゆ子「あらすじが分かってると読むの嫌、て読者様が居るらしいからね。」
じゅえる「ああ、一本道シナリオのあらすじなんてばればれなのに、不思議だな。」
まゆ子「まあ今回は先が読めないというお話を書かなくちゃいけないのです。」

釈「具体的に、結局はどうしましょう。描かないと設定できませんよね。」
まゆ子「まあそこは一般論的に。」
じゅえる「公開シナリオ講座っぽく、特定の設定にこだわらないということでやってみますか。

 で、ヒロインは?」
釈「魔法使い、魔女と決まりましたが、いいんですか?」
まゆ子「その前にどういうお話にしよう。恋愛沙汰が成立するか、既に成立した後か、成立するまでのお話か、成立しないことが約束されているのか、それとも何度でも恋愛するか。」
じゅえる「ふーむ、どういう読者が読むか、読みたいかだなあ。ここは私たちではちと荷がきつい。」
釈「ゲストをお呼びしましょう。明美一号せんぱいです。」

明美「ども。」

まゆ子「というわけだ。あんたどういうお話が読みたい?」
明美「ホラーなんだね、今回は。」
じゅえる「必ずしもそうではないが、ホラーっぽい描写が多用されるはず。」
明美「なら女の子は脅かされてきゃあきゃあ言わないと。」

まゆ子「ほお。」
釈「つまり、強い女ではないヒロインですか。」
明美「女の子はか弱いから、男の人が守ってくれるんだよ。」
じゅえる「なるほど。重点的にそこは実現しよう。」

釈「ということは、これまでに描いてきた女性キャラのほとんどが使えない事になります。類型が使えません。」
まゆ子「うーむ、それはかなり痛いな。新キャラ創造しなくては。」
釈「その女子というのは、きゃあきゃあ泣いているばっかりですか? 最後には活躍して物語の解決に力を尽くすべきではありませんか?」
明美「無理。」
じゅえる「無理かあ。うーむ。」

釈「その人なんの為にそんな現場に居るんです?」
明美「そんなこと知らないわよ。巻き込まれてんだから、なんの準備も心構えも無く。」
まゆ子「たしかにホラーのヒロインというものはそういうものだ。」
明美「まったくの無力で絶望するところを助けてもらうから、恋に落ちるんじゃない。」
じゅえる「あくまでも恋は成就するシナリオだな、それは。」

明美「長編なのよね、」
釈「300枚です。」
明美「じゃあ死にますか、ヒロイン。」
まゆ子「え! 死ぬの、ヒロイン。」
明美「恋に落ちる直前に死ぬのが、正しいヒロインというものじゃないかな?」
じゅえる「つまり、いい感じに男女が接近して行って、ホラー状況を切り抜ける内に恋に落ちる寸前に、それまでの努力がまるで実らずに女は死んでしまう。そういうシナリオか。」
明美「うんうん、第一ヒロインはそう。」

まゆ子「第一! つまりヒロインを複数用意しろと、」
明美「いやだって、これラノベでしょ? 少女小説でなく。」
じゅえる「あー、そうだったかな?」
釈「一応は男性が読者である確率が高いはずです。」

まゆ子「女の子いっぱい出さなくちゃ。」
じゅえる「違いない。なら第一ヒロインぶっ殺す。第二ヒロインは戦う役に立つ女ということか。」
明美「いやそれもきゃあきゃあと無力な。」
じゅえる「いやそれじゃあ物語成り立たないだろ。」
明美「ぶっ殺します。」

釈「その心は?」
明美「ヒーローである男性を不幸のずんどこに突き落とします。」
まゆ子「つまり不幸を演出する為のコマに過ぎない、というわけだな。」
明美「そこで第三ヒロイン投入です。」
釈「第二ヒロインも死にますか!」
明美「いや、ずんどこだから。」
じゅえる「つまり、自分の無力を噛み締めるシナリオだな?」
明美「うんそんな感じ。ヒーローがどういうタイプの男性かは知らないけれど、二度目の時は何も間違っていない、ミスはしていないにも関わらず女の子は死ぬ。という感じで。」
まゆ子「非情さの演出、ということか。なるほど、ではそこは恋愛状況に落ちるのではなく、意図的に第二ヒロインの心を支えるために恋愛ごっこをして見せる。そういう感じだな。」
明美「やっぱり恋愛が上手な男性でないと、いやじゃない。」
じゅえる「うんなるほど、それは正しい。」

釈「じゃあ第一第二ヒロイン共に死ぬと。第三ヒロインはさすがに生き残りますね。」
じゅえる「尺が無いからね。」
まゆ子「男もそうそう何人も本気で付き合えないから、そうなるか。」
明美「セックスしましょう、第三ヒロインとは。」
じゅえる「ふむ。恋愛関係に陥るんだから、それは自然。」
明美「でも女の本命はヒーローじゃない。」
釈「え?」
じゅえる「寝取るのか?」
明美「彼女にはちゃんと身分が有って婚約者なり恋人が居て、普通の生活に戻ればそちらに行かざるを得ない身分です。だから、ここだけセックスで愛を確かめます。」
まゆ子「うう、なんだかビッチではないか。」

明美「とんでもない! それだけの事をヒーローはしてくれたんだよ。だからヒロインも心に応えるんだ。純愛だよ。」
釈「いやそれは、どうなんだろう? 読者様はそれで納得してくださるでしょうか。」
じゅえる「たしかに読者層を考えないと、その設定は危険だぞ。」

明美「そして第四ヒロイン投入!」
まゆ子「ちょっと待てえ!」
じゅえる「300枚だぞ、そこまで手が回らない。」
明美「いや、脇役で出しとけばいいでしょ。これはヒーローの為のヒロインではなく、読者様の為のヒロインですよ。」
まゆ子「ああ、脇役ヒロインというやつか。ファンが勝手に付いて盛り上げてくれるという。」
明美「萌えるキャラは出しとかないと。で、その子は間違いなくヒーローが好きなんです。アタックもしてきます。」
釈「ふむ。それは最近の物語では不可欠な存在ではありますね。」

明美「殺しましょう!」
じゅえる「やっぱりかあ。」
明美「それも惨たらしく、ヒーローの手によって残酷に。拳銃で眉間を撃ち抜かれます。」
まゆ子「なにをやらかしたんだ、その子は。」
明美「なんにも。まったく無実で誰からも好かれて皆が幸せを願うような典型的な少女漫画的ヒロインですが、死んじゃいます。可哀想要員です。」
じゅえる「可哀想要員て、それはあざとい。」
明美「いや、最近は普通でしょというか昔から普通でしょそういうキャラ。」
まゆ子「物語の王道ではある。悲劇性を高める為の常套手段だ。」

明美「そうですねえ、では第一ヒロインの友達であり彼女の恋の理解者で、ヒーローも恋に落ちたことを知る立場になるのです。」
じゅえる「ふむ、じゃあ第一のヒロイン事件でも一緒に居るキャラなんだ。」
まゆ子「オーダーは理解した。なるほど、第一のヒロインからの流れを作るラインなのだな。」
釈「まあ事件がどういう風に展開するか未設定なんですけどね。」

明美「そうですねえー欲を言えば可哀想要員だから、敵や不思議に殺されるんじゃなくて、現実の権力にぶち殺されるとかがより可哀想ですねえ。」
じゅえる「口封じとか?」
明美「そうそう。」
釈「かわいそうですねえ。」
まゆ子「じゃあ、……そうだな、第三ヒロインがヒーローとセックスしたのを秘密にする為に権力に殺されるというのでは。」
明美「むしろ第三ヒロイン自身によって殺されるくらいの可哀想さが必要じゃないかな。」
釈「うう、かわいそ過ぎる。」

 

明美「ヒーローは一人?」
まゆ子「あ? ああ、現状はまだ決まってないけれど、その予定。」
明美「いやヒーローの友人をぶっ殺してその婚約者とかを第二ヒロインとかにしてもいいかな、と。」
じゅえる「それは採用に値するな。第一の事件で友人が死んで、その流れで第二ヒロイン事件になだれ込みだな。」

まゆ子「えーと、そうするとつまり第三ヒロインが王女様クラスの高位の人であって本命なんだな。」
じゅえる「王女様を安易に投入するのが正しいだろうか?」
釈「しかし王女であれば犠牲者として至極当然であると思われますし、秘密にする為に第四をぶっ殺す立派な動機にもなるでしょう。」

明美「そもそもここって王国なの?」
まゆ子「あー、どうしよう。」
じゅえる「共和国にした方が、リベラルっぽくて胡散臭いかな?」
釈「なるほど。王女ではなくて大統領の娘の方が胡散臭いかもしれません。」
明美「王子と結婚する事になっている大統領の娘が純潔でないとなれば、それはスキャンダルだね。」
まゆ子「なるほど。」
釈「それはぶっ殺すに十分な理由となれます。」
じゅえる「宗教的理由から純潔でないと無意味なんだ。うんぶっ殺そう。」

まゆ子「ということは、戦争中の敵国が王国なのか。」
じゅえる「それはどうだろう、ここは教国という手ではどうだ。教皇というのが居て、宗教的に支配しているのだよ。」
釈「なるほど。ではその宗教的支配の下で王権を認められていた国が革命で共和国になって、今は大統領制であると。」
まゆ子「ふむふむ。宗教的に独立を遂げたいという願望があるわけだな。で、大統領の娘というのはどこの王子様と結婚するんだ。」
釈「ここはつまりカトリックから脱してプロテスタントか英国教会に入るような感じでですね。」
じゅえる「宗教的に別派に国丸ごと改宗という話か。それは揉めるな。戦争くらい普通にする。」
まゆ子「なるほど、考えておこう。」

明美「あんまり宗教なんか持ちだすと、嫌われちゃうぞ。」
じゅえる「一理有る。そこは触りだけを利かすということで描写は抑えよう。」
まゆ子「ふむ、もう一捻りするべきだな。経済を絡めるとか。」
釈「戦争の理由をもう少し深く考えた方がいいですね。」

 

明美「ねえ、ヒーローは戦争はしないの? なんか騎兵隊とかかっこいいところ見せて欲しいんだけど。」
じゅえる「当然の要求だ。まゆちゃん。」
まゆ子「ふむ。戦車はまだ無いとしても、かっこいい軍人というところを描写しないと良くないな。戦場の華であるよ。」
釈「ここは奇を衒わずに、真正面から騎兵です。そうであるべきです。」
じゅえる「日露前の戦争なら騎兵は十分に意味が有るだろ。」
まゆ子「じゃあ騎兵でかっこいいところを。そうだな、ヒロインを乗せて荒野を突っ走るくらいの絵は作って見せないとダメだな。」
釈「当然です。」

じゅえる「しかし、騎兵が敵と戦うのであれば、やはり騎兵同士の戦闘を描くかな。」
釈「そうですねえ、ファンタジーぽい不思議兵器や兵科があっても許されますが、魔法戦士とか使いますか?」
まゆ子「魔法使い団くらいはあって不思議ではないが、しかし戦場の最前線でファイヤボール投げ合うようなのはさすがに禁止だぞ。」
釈「狼兵とか野獣を使う兵とかはどうです。」
じゅえる「却下! 安直過ぎる。」
まゆ子「騎兵だからな。しかも銃を使うぞ。……暗視騎兵とかではどうだろう。夜目が効く魔法薬を飲んで主に夜間戦闘ををする兵種だ。」
釈「夜でも馬をかっ飛ばすんですか。暗視スコープみたいなものですか。」
じゅえる「それは植物エキス配合の元気ドリンクなのさ。人形甲冑と似たようなレベルの魔法だ。出来るでしょ。」
まゆ子「ああ、瞳孔を強制的に開かせるとかすれば、夜暗でもかっ飛ばせる。なんとか考えよう。」
釈「昼間は眩しいから、サングラスを掛けてるんですよ、そいつらは。」

明美「決闘はしないの?」
じゅえる「さすがに戦争は決闘でケリがつくような昔じゃないぞ。」
まゆ子「いやこの時代であれば、紳士のたしなみとして決闘のひとつくらいは普通にやってもらいたい。主人公も開巻早々に決闘でひとり血祭りに上げるくらいの派手さが欲しい。」
釈「いいですね。決闘でキャラ作りですよ。サーベルですよ。」
明美「ここは主人公のヒーローは特権階級出身の同輩から理不尽な難癖を付けられて、やむなく決闘で血祭りに上げた後で呼び出しされて本題に入るんです。」
じゅえる「定石だね。」
釈「安直過ぎるかもしれません。」
まゆ子「いや主人公が相手をぶっ殺すくらいの覚悟を見せなくては、キャラが立たないぞ。」
明美「主人公はそんな頭おかしいのダメだよ。大事なお守りをぶった切って恥をかかせるくらいで収めて。」
じゅえる「人形のおまもりをぶった切るとか、で人形王国であることを印象づけるべきではないだろうかね。」
釈「でもさすがにそれは絵にならないような。階級章をぶった切るくらいで、」

明美「3対1で華麗に勝つ!」
まゆ子「OK!」
じゅえる「OK!」

 

釈「しかし、騎兵であり剣を華麗に使う軍人というのは、近代軍制においてはあんまり得でも無いような気がしますが。」
じゅえる「特殊部隊というのはこの時代くらいには有ったのかな?」
まゆ子「無いとは言わないが、普通に歩兵の中から精鋭を選抜して臨時に作るくらいじゃないかな。」
釈「海兵隊というのは何時頃からあるのでしょう?」
じゅえる「いや、陸戦隊というのはどこの海軍でも昔からあるでしょ。」

明美「筋肉バカはダメ!」
まゆ子「うん、ダメ。」
釈「では華麗な紳士的なインテリのー、金持ちか貴族かにしますか。」
じゅえる「共和国とはいえ中産階級や元貴族階級は有りだよ。」
まゆ子「明美ー、貧乏でいいかい?」
明美「ほどほどだよ。身だしなみがきりっとぱりっとしてるカッコイイ人でないと許せない。」
じゅえる「ああ、とうぜんだな……。」
釈「それなりの富豪でないと困りますか。たしかに王族やら大統領やらと絡むのではあれば庶民出身なんてのはもっての外でしょう。」
じゅえる「教育がしっかりしているという事だからな。カネは有る、もしくは有った身分だ。」
まゆ子「しかしナポレオンというのはそんな裕福な家系でも無いんだよ。才能と努力でのし上がったのであって。」

じゅえる「明美、ナポレオンはどうだ?」
明美「それ敵。」
まゆ子「ほお。ほおお、なるほど。ナポレオン的な軍事指導者が敵軍に居るんだ。それをどうしようかと呪い人形で。」
釈「なるほど。」

明美「そもそもが主人公は否応なしに魔法に関係してくるんだよね? なら魔法関係者であるべきではないかな、本人はただの軍人だとしても。」
じゅえる「そこは判断に迷うところだな。主人公に魔法に関しての知識があらかじめ有るべきだろうか?」
まゆ子「そうだなあ、    
   いや、特殊な体験によって樹木魔法にすでに接触しているという背景は欲しいが、魔法使い家系は違うだろう。」
釈「すなおに貧乏にしますか。」
じゅえる「この国は革命で共和国になってるんだよ。だから、革命の時に没落した貴族出身とかでいいんじゃないかい。」
まゆ子「或る意味国家の大義にも馴染めず、敵にも共感する立場であり、軍首脳部からは胡散臭く思われている。そんなところだな。」
釈「では、昔の領主かなにかの関係で田舎が出身地であり、その近辺の森で不思議にかって遭遇した、というラインで。」
まゆ子「OK。」
じゅえる「森で妖精の女王にでも遭った、とかだな。」

明美「共和国とか言ってるけど、貴族ぽい有力者が居るんだよね。変じゃないこれ?」
まゆ子「変だが、変じゃない。党やら派閥やらで、かっての貴族社会の枠組みがそのまま維持されていると考えるべきだろう。」
じゅえる「国民国家の理念が揺らぎかねないな。近代の軍隊としてそれは致命的なものとなるんじゃないか。」
釈「王党派とか出しますか?」
まゆ子「王政の復活ねえ。…ふーん、革命の結果国王一族は国外に逃亡して、その王子と大統領の娘がという線でいくか?」
じゅえる「いや、それは問題が。革命の理念がひっくり返る。むしろまったく違う王家から婿を取ることで、脱出王家を無価値化するという手に出るという。」
釈「かってのこの国の支配者ではあるけれど、前の王家によって追放された旧い王家とかで正統な統治権がどちらにあるか曖昧にする、という策ですよ。」
じゅえる「政略結婚だな。」
まゆ子「王党派なんか霞んじゃうんだ。」
じゅえる「それはあれだ、追放された王家は教皇派なんだけど、前の王家は別の宗教なんだ。」
釈「ああ、それは綺麗に収まりますね。」

 

明美「まあいいんだけど、私の趣味はそうなんだけど、それだとさすがにお行儀良すぎないかな? もっとワイルドぽい主人公も欲しいかな。」

じゅえる「うーん、いや最初からそれは言って欲しいところだが、これからワイルドな主人公にいじり直すのか。」
まゆ子「たしかに整然とした騎士物語の変形が読者様の受け入れるところであるか、考えるとこだな。」
釈「耽美、という手もありますが。ホラーだし、割りと相性は良いですよ。」

じゅえる「ワイルドで耽美。どうだ。」
明美「いいよおそれいいよお。」
まゆ子「ごめんなさい、それワタシ書けない。」
釈「実装上の困難があまりにも大き過ぎるのです。」
じゅえる「しかし、ワイルドでインテリというのは実は結構書いてるぞ。でぽの典型と言ってもいいくらいだ。」
明美「ワイルドで耽美、どうしてもダメ?」
まゆ子「いや耽美というのがそもそも何がいいのか分からなくて、どうしてもだめだな。」
釈「といって無骨者や荒くれ者ではホラーぽくなりませんからね。ヘタレ耽美という手もありますが、面白くなっちゃあ今回ダメでしょう。」
じゅえる「しかたないなあ、自己中というのは?」
まゆ子「それ、恋愛するのか?」
じゅえる「あー、そんなモテるというわけでもないか。うーん、しかし3対1で決闘するくらいの実は荒くれワイルドだしな。」

明美「ああ、それで行きましょ。本人は普通のつもりなんだけど、外から見たらなんだこの野郎ってワイルドさ溢れる。」
釈「自己イメージはあくまでもインテリ耽美なんですよ。でも他人から見たらなんだこの武闘派は、というレベルの。」
まゆ子「ふむふむ、それならなんとかなるかな。」
じゅえる「まゆちゃん、お耽美キャラ特訓しなさいよ。」
まゆ子「やだよそんなの鬱陶しい。」

釈「じゃあ、自分ではちゃんとやってるつもりでもなんか周囲からずれてるタイプなのですね。」
じゅえる「しかしめちゃくちゃ強い。本人は部隊を率いて前線で戦うつもりなんだけど、個人的な武勇があんまり強いから特殊任務に抜擢されてしまって、希望と違うんだ。」
まゆ子「まあ部下を率いて作戦に出る方が軍人としてまっとうだし手柄にもなるしね。」
釈「それで、自分は司令部から疎まれているとかひがんでいるんですよ。」
まゆ子「まぬけな奴だな。」
じゅえる「まぬけ可愛いじゃん。」

釈「じゃあ第四ヒロインというのは、幼馴染系ですか。田舎に住んでいた頃に知り合ったとかの。」
じゅえる「この流れだと主人公の極身近に居るキャラだろ。メイドではないか。」
まゆ子「元領地で幼少時代を過ごした際に、現地で世話になった家族の娘で、今はのこのこと付いてきてメイドをやっている少女。くらいだろう。」
明美「可愛いタイプだねそれは。でも若い娘がのこのこと男の元にやってくるというのは、いいのかな?」
じゅえる「いいんでないかい。」
釈「ほめられたものではありませんが、物語的に変な方がいいのです。」
まゆ子「少女本人はその気なんだけど、主人公本人は彼女は大事な預かり物とか思ってて恋愛沙汰にはまるで進展しないのだ。それでいて家の事は任せっぱなしにしている。」

明美「軍人さんというのは宿舎とかで集団生活をしているものじゃないのかな?」
じゅえる「そりゃ最前線はそうだろうけど、まゆちゃん?」
まゆ子「いやだって、物語の都合上呪殺されるのは国家のVIP周辺の人物だから、当然対処する人員も首都に配置されてる。宿舎はどうとでもなる。
 そうだね。本来であれば独身で若い士官であれば宿舎で暮らしてもいいところ、個人でわざわざ部屋を借りている。で、メイドも田舎から連れてきているという。」
じゅえる「それって例外?」
まゆ子「平時であれば特に問題なく、別に隊の外に下宿やら家やらを借りて通うのは普通。でも今は戦時だから。」
釈「で外の同僚は戦時体制にあるのに、自分だけ普通のままに暮らしてるのが忸怩たるものがあるんですね。」

明美「メイドってのは普通に雇っているんだよね、この世界。」
じゅえる「近代のヨーロッパならそうだろうね。ちょっと余裕の有る人なら。」
まゆ子「でも独身の若い軍人が、うら若いメイドを雇うってのはどうだろう?」
釈「それはーやらしいですね。」
じゅえる「夜のお伴だな。」
明美「そういう風に見えてしまうよねえ、やっぱり。」
まゆ子「あー現実のヨーロッパの近代であれば、食事付きの下宿にホームズみたいに暮らしているて感じだろ。メイドは基本的に必要無いよ。」
じゅえる「最初から家にメイドが付いてるからな。」
釈「じゃあこのメイドは何をしているんでしょう?」
まゆ子「ほお。そりゃ謎だな。」
釈「軍人にメイドに世話を焼かせる手間が有るとも思えませんね。なにか設定しないとだめでしょう。」

明美「押しかけメイドです!」
じゅえる「押しかけ女房か。まあ、物語基本中の基本だな。無駄に積極的なのは。」
釈「擬似夫婦なんですね。」

明美「最後にぶっころしますよお。」
まゆ子「ああ、ここまで行くともう、どんなに可愛らしくて人から好かれるキャラにするかで、やる気バリバリ出まくってるよ。」

(とまあこういうわけでメイドは殺されるのだが、殺人や誘拐などでは主人公の恨みを買ってしまうので、事故。銃の手入れ中に暴発!で死ぬ事にします。
 ここのシーンは本文中では、たった一行の伝聞で死ぬ。まったくあっさりと。
 ただし、もし続編を書くのであればさっくりと蘇ります。心臓に銃弾を食らっていながらも、天才的魔法医の力でなんとかなる事にします。)

 

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じゅえる「しかし300枚しか無いからな。自宅モードが成り立つか少し疑問だな。」
釈「つまり第一、二、三ヒロインでエピソードが3つ用意されるわけですよ。一つ100枚しか無い。」
まゆ子「ここはゲキロボ換算で考えよう。1章6枚として50章だ。3で割って1エピソード16章。」
釈「前回までの更新で1巻消費したのは60章です。最近は1章5枚換算ではないでしょうか。初期は長かったですから平均で。」
まゆ子「じゃあ1章5枚換算で60章。1エピソード20章で。」
釈「ゲキロボはだいたいひとまとまりのエピソードがそのくらいです。」
じゅえる「なんだ、こんなもんか。」

まゆ子「しかし今回「長編」を書くのが目的だ。一応3つに分けるとしても、それは根底で繋がっている。」
じゅえる「というか呪い人形だ。ヒロインがきゃあきゃあ喚き散らすのと、呪い人形が暴れるのと、主人公が活躍するのとどう絡み合わせるか。」
釈「やはり開巻冒頭でアクションに入るのが正しい物語の作法でしょう。導入部なんか必要ではありません。」
じゅえる「とはいうものの、さすがに時代背景とか風俗とか主人公の立場とかを描写しないとイメージ出来ないぞ。読者様に不親切過ぎる。」

まゆ子「あー、そうだなー、しかしー、決闘をのっけからやる事に決まってるからそこから描写すれば人物紹介やら時代背景やらは楽に表現出来るんじゃないかな?」
釈「はあ。」
じゅえる「まあ決闘はアクションだしな。」

まゆ子「……、うーんんん。」
釈「どうしました?」
まゆ子「開巻のっけから決闘するというシーンを思い描いてみたが、そこにバイクとかサイドカーとかが欲しいなあ。これにメイド乗せてお買い物とかしたいなあ。」
じゅえる「バイク、無いんだろ?」
まゆ子「石油無いし。」
釈「馬車ではダメですか?」
じゅえる「というか、乗馬だろ。その時代は。」

まゆ子「馬車? うーん、馬車? うーんうーん。」
釈「馬車はダメですか?」
まゆ子「そんなガチヨーロッパは許されないぞ。あまりにもガチ過ぎて。」
じゅえる「魔法を使う異世界という感じがしないわけか。でも他にちょうどよい乗り物とかあるかな。その時代に。」
釈「人力車は?」
まゆ子「!」
じゅえる「人力車ってヨーロッパ無いでしょ?」
まゆ子「いや、箱みたいのが中世くらいにあったような気がするけど、」
釈「ぐぐりました。ありますね、近代にも。でもすぐに自転車で押す三輪車タイプになってますね。今東南アジアで使ってるような感じの奴です。」

まゆ子「ああ、自転車か。」
じゅえる「ああ、自転車だ。」
釈「メイド乗せるのに自転車で上等ですね。」
まゆ子「自転車アリ!」

まゆ子「しかし人力車も捨てがたい。この国では人力車はちゃんと実用化されている事にしよう。もちろん馬車の方が早いのだが、手軽で小回りが利く庶民の足だ。」
釈「庶民というのであれば、列車や電車はどうなんですか公共輸送機関として。」
じゅえる「内燃機関が無いんだから自動車無しだろ。蒸気かそれとも電気?」
まゆ子「あー、路面電車が首都には走っている事にしよう。輸送車は馬車。人間は路面電車か人力車で移動する。郊外へは大型の乗合馬車となる。
 むろん蒸気機関車が引く列車は乗客・貨物輸送の主力だ。」
釈「内燃機関を持つ自動車は実用化されてないのですか。」
まゆ子「メタノール車は最新鋭の装備で軍用自動車というのが既に存在する。オートバイも有るが、軍用自転車にエンジンくっつけただけの代物で未だ自転車の方が有力だ。非力だし。」
じゅえる「メタノール車は非力なのか。」
まゆ子「ああ、内燃機関がまだ十分に発達していなくて非力ということにしておこう。飛行機も有るにはあるが、非力さ故に実用性が乏しいということで。」

じゅえる「蒸気動力車というのは無しか?」
釈「現実の世界でもあまり有用だったわけではありませんからねえ。」
まゆ子「うーん、そうだねえー。馬車で大砲を索くという代わりに蒸気動力車を使ってもいいかなあ。でも限定的な存在だなやっぱり。」
釈「むしろ大砲を索くなら牛です。」
まゆ子「いややっぱ、馬でないと遅いから。」
釈「遅いのは許されませんか?」
まゆ子「そりゃ軍隊だから。大砲の移動の迅速さは最重要だろ。」
じゅえる「なら蒸気動力車も使えないなあ。遅いんだろ。」
まゆ子「ああたしかに。やはり馬だな、この世界の輸送任務は。」

じゅえる「じゃあこうしよう。本来馬が輸送の中心なのだが現在戦争中であるから、馬よりも人力車の方が有利なんだ。馬は徴用されている。」
釈「人間の男性は徴兵されないんですか?」
まゆ子「そこまで戦闘は激化していない事にしておくか。」

まゆ子「とはいうものの、じゃあ戦争はどうなってるんだ? 敵はナポレオンみたいな戦争巧者だろ、負けてるんじゃないか?」
じゅえる「負けてるんだろうね、呪い人形なんか使うくらいだから。」
釈「それはあれですよ、一回負けて引きこもりになってるんです。」
まゆ子「防御を固めて出て行ってない状態か。ふむ、国境守備線を固めて相手の挑発に乗らないようにしてるんだな。」
じゅえる「ナポレオンなら侵入できるんじゃないか?」
まゆ子「しかし信頼出来る連発銃や機関銃の代わりに自動砲なんかがちゃんと用意されてると、塹壕戦ぽくなってるんじゃないだろうか?」
釈「旅順攻略まで塹壕戦は無いのでは?」
まゆ子「いや、塹壕自体のアイデアは古くから有るさ。というか防壁だな。国境線付近に要塞を多数設置しておいて敵の侵入を阻んでいるんだ。」
じゅえる「地形効果なんかも?」
まゆ子「そりゃ定石だな。山上要塞から進入路に対して砲撃すれば、いかにナポレオンであろうとも進撃できないのだ。
 というわけで敵も退いている。自国領に戻ってこちらの出方を待つ、誘うという形になる。

 そうだな。両国の中間あたりになにか利権があることにしよう。両国がそれを争って出兵し、こちら側は敗退して撤退。本国を固めて出ていかない。と。」
釈「何年くらい前の出来事ですか、それは。」
まゆ子「あー戦時というからには1年以上は続いているべきだろうが、あまり短いと主人公が戦場に居た事になるな。どうしよう、戦場で一応の英雄にしておくか。」
じゅえる「いやーそこは無い方がいいんじゃないか?」
釈「まず戦争は何時から始まっているという所を設定してもらえないと、困ります。」
まゆ子「とはいえ、何年も掛かる戦争というのはさすがに国力が両方共保たなくてね。」

釈「そもそも主人公の軍人は何歳で階級はなんなんです? 今どういう部署に居るんです?」
じゅえる「そうだそれだ、まずそれを設定しないと。」
まゆ子「明美ちゃん、どう?」

明美「若いのは当然だけど、今回大人の恋愛でしょ? 20歳やそこらではダメだよね。」
じゅえる「そりゃ士官学校出たての少尉殿とかだと、ワイルドは難しいな。」
釈「国家的重大事に対処するんですから、少尉だと苦しいですね機密を扱う立場としては。呪い人形てのは国家機密なんですよね?」
まゆ子「まあ、戦略兵器だからね。」

明美「25、としたいところだけれど、23!」
じゅえる「少尉だろ23歳なら。」
明美「いや中尉でも大尉でも、」
まゆ子「大尉は無理だよ。でも位が一つでも上の方がいいというのは認める。イレギュラーだが中尉ということにするか。」
釈「理由が必要でしょう。なにか昇進するだけの手柄を立てているんです。」
まゆ子「それなら簡単だ。戦争に前負けてるから。負け戦内でなにか英雄的な行為をしたんだよ。」
じゅえる「ならしんがりだ。」
釈「ですね。敗走する友軍の最後尾を指揮して無事生還したんです、……て、少尉が?」

まゆ子「最後尾殿の部隊の中に居たんだけれど、早々に中隊長殿が負傷なされて部隊はやられ放題の中、砲一門を用いて敵軍の足止めに成功して無事撤退を完了。自身も平気で生き残っている。
 このくらいでどうだ明美。」

明美「それって凄いの?」
じゅえる「あー、それは凄いとかそういう問題ではないな。」
釈「簡単にいうと、圧倒的大部隊が殺到するのを単身で食い止めるという、……できるんですか、これ?」
まゆ子「ああ。出来るわけ無いなHAHAHA。」
釈「だいたいそんな状況で砲の連射なんかできないでしょう、この時代であれば。」
まゆ子「そもそも砲兵少尉ではないからねえ。騎兵だろ。」
じゅえる「騎兵1で敵の大軍をわずかでも足止めする手段なんて、無いな。」

まゆ子「つまり騎兵ではないんだ、彼は。乗馬が得意なだけで別の兵科だ。何?」
釈「歩兵ではないですよね、小隊長として兵士を率いているというわけでは。」
じゅえる「そりゃ呪い人形科だろう。」
釈「……ああ、覚醒剤人形甲冑科ですか。」

まゆ子「秘密兵器として投入された覚醒剤人形兵士の一人として、最終防衛線の捨て駒に投入された彼と部隊は死をも恐れぬ活躍で敵の進攻を阻止。全軍の撤退を成功させるも、部隊自体は壊滅。
 わずかに生き残ったのが彼と友人だけなのだが、人形甲冑の効果でなんかよく覚えていない。覚えていないがとりあえず生き残った。」
釈「100名くらいですかね、その部隊は。」
じゅえる「さすがに1個小隊では少なすぎるから、そんなもんかな。」
まゆ子「でもたった100人か。さすがに無理はあるが、どうせ魔法であるからね。部隊全滅と引き換えに敵進攻の意志を砕くという目的を達成した。
 最悪の使い方であったのは確かだが、しかし成果はたしかに有ったんだ。」
釈「そんなところですね。」

明美「つまり、主人公は凄くない?」
まゆ子「計画通りに投入されて、魔法の力で獅子奮迅の働きをしたが所詮は覚醒剤スーツであるから本人の力と技術と運がもちろん発揮された。このスーツは不可能を可能にするのではなく、可能を完成させるものでしかない。」
じゅえる「凄いけれど、凄いことが本人にはわからないんだ。そういう変な魔法だ。」

釈「しかし、特殊装備である人形甲冑をいきなり100体も失うというのは大変な損失ですね。」
まゆ子「責任者降格間違いなしレベルの失態ではあるが、まあ負け戦で死ぬはずの大勢を救ったのだからチャラになりました。というところで。」
じゅえる「ちゃらになったおまけで、主人公は首都に転属させられて無役みたいになってるんだな。」
釈「つまり彼は最初から魔法兵科に属しており、そのまま魔法と向き合い続けているわけですよ。」

明美「ということは、その大活躍の副作用とかで決闘無敵になっている、という設定でいいのかな?」
まゆ子「あー、どうだろうそれ?」
じゅえる「大活躍ということは、その自殺的突撃で百人以上は確実にぶっ殺してきているんだよ白兵戦闘で。」
釈「3対1の決闘くらい朝飯前になってるんですね。」
まゆ子「とはいうものの、大量虐殺の記憶というのは彼には無いんだよ。いや記憶は有るのだが、上手く認識できない状態というか。」
明美「それって、主人公の弱点になる?」
じゅえる「どうしようか。無敵のヒーローというのは過去のトラウマというのがあるのも定石だ。」

まゆ子「今回のこの話においては、それは採用しないでおこう。あるとしたら続編だ。

 ちなみに彼は英雄扱いはされていない。魔法の人形甲冑は未だに軍の極秘秘密兵器であるから、存在自体が伏せられている。もちろん全滅した人形部隊も無かった、というか普通の歩兵の精鋭であったとしか記録されていない。」
釈「つまり、戦争がさらなる展開を見せる時にまた人形甲冑と彼は最前線で捨て駒のように投入される可能性があるのですね。」
じゅえる「可哀想だな。」
まゆ子「だからこそ、メイドとの絡みが輝くのだよ。」

じゅえる「友人というのが同じ部隊で生き残った事になるんだな? たしか。」
まゆ子「ふむ。」
釈「さすがに彼は無傷というのはウソっぽいですね。その突撃で重傷を負って、片目になってるとか義手になってるとか、そういうのを魔法の力で補っている。そういう風に仕込むべきでしょう。」
じゅえる「片目、片腕義手、義足。どれがいい?」
まゆ子「片足の軍人というのはさすがに問題が有る。片手というのも、彼らが魔法の人形甲冑部隊として未だ活動を続けているのであれば、戦闘力の落ちる負傷はダメだろう。片目だな。」
釈「分かりました。眼帯です。またちょっとくらい手足も怪我しておきましょう。それはもう治ってるんですよ、物語の時点では。」
じゅえる「そうだな、少なくとも1年は前の出来事にしよう。」

明美「そんなに強くなってるのは、その人形甲冑てののおかげなの?」
まゆ子「そうだよ。というか、うーん、現在決闘で無敵になっているというのは、覚醒剤スーツを使用して絶望的特攻を行った副作用であって、別にこれを着たからと言って技量が上達したわけではないな。」
釈「本来スーツに期待される能力以上の、イレギュラーな戦闘力を身に付けたんですね。」
じゅえる「ヒーローだからね。」

明美「そんなに強いのなら、軍はその人を直接に研究するんじゃないかな? ものすごく強くなる方法として。」

釈「どうでしょう。なんかもっともらしい設定ですよ。」
まゆ子「うむ、たしかに極端に顕著な技量の向上があるとすれば、軍は確実に彼を研究するだろう。」
じゅえる「しかし一人しか五体満足で生き残ってないからな。友人の方はどうなんだ?」
まゆ子「あー、それは身体が治ってからだから、…だめだな。比較研究はできないんだ。ただ彼もちょっとは向上しているということにしておくか。」
釈「第三の生き残りを設定するべきではないでしょうか。今後のためにも伏線として。」
まゆ子「ふむふむ。伏線ね。」
じゅえる「主人公と同じく生き残り、主人公とは違って軍の秘密研究に深く関与して自身もその実験台となり、絶望的な特攻の中を生き残り、特別な力を手に入れた……。

 武術ではなく魔力を手に入れたということにするべきだ!」
まゆ子「まあ武術的にも強くなったとして、さらに魔法の力も増強された。ここが主人公とは違うところだ。」
釈「それは最初から彼は魔法使いであり、その能力が強化されたということでいいですね。」

明美「そういう魔法的に強く成れるんだったら、片目を失った友人も魔法の視力くらい手に入れていいんじゃないかな。」

釈「なんでしょう、これはまたもっともな設定です。」
じゅえる「見えない目が見えないモノを見ている。これは間違いなく魔法とオカルトの範疇だぞまゆちゃん。」
まゆ子「うん、じゃあ彼は戦闘力の向上自体はよく分からないが、確実に魔眼を手に入れたということで。でもなんの魔眼?」
じゅえる「そりゃ、魔法を見破る力だろう。見えないモノが見えるってのは。」
釈「呪い人形を使っている奴を見抜く、とかを考えましょう。詳しくは後ほどに。」
まゆ子「うん。」

 

釈「しまった!」
じゅえる「何?」

釈「下手な設定をして、友人をちょっとした魔法使いにしてしまいました。これは死ねません。」
じゅえる「うん? ああ、なるほど。第一エピソードで死なすにはこれは惜しい人材だな。まゆちゃん。」
まゆ子「あー、そうか。エピソードの最初で殺すと人形甲冑の魔法の成果というのを十分に検証できない内にステージアウトしてしまうな。困ったな。」

明美「殺しましょう!」
釈「えー。でも。」
明美「こういうのは思い切ってぶっ殺すのが一番いいんです。魔眼でなにか見てた、てのは後で検証すればいいんですよ。既に測定済みなんです。」
まゆ子「そんなあー。」
じゅえる「ドラマツルギー完全無視だよ。せっかくの美味しいネタを、どうしよう。」
明美「ぶっ殺します!」
じゅえる「保留だ。描いてみて人物描写してみてから、ぶっ殺すかを決める。だろ?」
まゆ子「友人の妻か婚約者が第二ヒロインだからな。それとの絡みも考えて決定するぞ。」

釈「でも重視すべきは第三の生き残りなんですよ。元々魔法使いで、しかも特殊能力も獲得した。彼が今後の事件で暗躍するんです。」

じゅえる「敵か?」
まゆ子「いや軍の上層部に食い込んでいるんだ。人形甲冑計画の再度の実現の為に。」
釈「でもやっぱりただの覚醒剤スーツなんですよね、それ。」
まゆ子「これはもうただの戦闘力向上の機械じゃなくなったんだよ。もう一度百名を敵中に突入させて生き残りに魔法の力を獲得させる、という実験が計画されているんだ。
 もちろん突入なんかすると、9割方兵士は死ぬ。ふるいに掛けて、使える人材を発掘しようというプロジェクトだ。

 彼からすれば、せっかく生き残ったのにただ単に腕っ節が強くなっただけの主人公より、魔眼を手に入れた友人の方が価値は高いんだ。
 そうだな。じゃあ友人の方を中尉にして、主人公はまだ少尉にしようか。」
じゅえる「英雄的戦闘をしたのに、昇進なし?」
まゆ子「第一、本人覚えてないし。」
釈「そりゃ腐りますね。」
まゆ子「そうだねー、じゃあ友人は中尉。もう一人の生き残りはすでに大尉なのだ。まあ年上ではあるんだけどさ。で、主人公は23歳で少尉のままに首都の司令部に繋がれているという塩梅。」
じゅえる「それはあれだ、この第一エピソードが終わって友人が死んだ後に昇進すると。」
釈「なんだかおめでたくない昇進なんですよ。」

じゅえる「昇進といえば、友人が中尉で死ねば二階級特進で少佐だな。」
まゆ子「そこで恨み言を言うのは、友人の婚約者だ。」
釈「定石です。」

 

まゆ子「しかし、魔法を使う特別な兵器を使用するとしても、格闘戦をやる兵種に士官を直接当てるというのは変だな。自分で言うのもなんだが。」
釈「そもそも士官が格闘戦白兵戦で強いというのも変ですよ。」
じゅえる「それはあれだ、これは実験兵器だからかなり有望な人材を投入してみたんだよ。もちろん最初はそんな捨て駒に使おうなんて考えてなかったのだが、やむなく使えるものは使ってみて全滅だ。」

まゆ子「なるほど。では士官候補生の中から特別に戦技に優れた者を選抜して実験部隊に編入してみたというところで。じゃあ当時の階級は少尉じゃないな。」
釈「士官候補生であれば准尉ですか?」
じゅえる「もっと下じゃないかな?」
まゆ子「あー、それは国によって違うんだけど、これは昔の軍隊であり身分制社会がまだ残ってるからな。そして貴族階級出身者でないと士官には成れない縛りも有る。」
釈「まあ、現代の民主国家ではありませんからね。」

まゆ子「とはいうものの、士官学校の入学は学力と体力と資質で門戸は広く開かれているのが建前になっていなければいかんよ。一応は革命したんだから。」
じゅえる「結局どうなんだよ?」
まゆ子「あー、つまり要するに高校出てる人間であれば士官学校は受けられるんだ。まずは学力だよ。」
釈「もっと簡単にいえば、教育がそこまで行き届いてないんですね、この社会。」
まゆ子「義務教育が小学校までだな。」
じゅえる「ああ、そうか。そんな時代なんだ。」

まゆ子「そして高校に行くにはカネが要る。貴族でなければかなり裕福な家庭の子息だ。もしくは随分と優秀で奨学金を得られる生徒だ。」
じゅえる「よし分かった! それだ、その奨学金制度の悪用だ。軍に入れば奨学金を返さなくていいという制度があって、普通は士官学校に入るのだが今回に限り妙な募集があったんだよ。」
釈「なるほど、仕組みは分かりますがその妙な募集を受けて士官になれるんですか?」
まゆ子「軍をさらにもう一個増やす為、という理屈を作ればいい。陸軍ではなく政府直轄軍とかいう妙なものを作るという名目で、士官だけの軍隊を作ろうという話だ。」
じゅえる「なんだそれは。」

まゆ子「ほら、革命をしたでしょ。でも王様逃げちゃって貴族制度とかはそのままにこの国は共和国になっちゃったんだよ。
 で、軍隊もそのままに身分制度を保持したままの機構が残っている。士官学校には貴族しか入れないとかだ。
 これを是正するために一般人子弟を士官学校に入れるのを促進すると共に、政府直轄の首都防衛隊を作るという名目で人員の募集と士官学校の創設が行われたんだ。その一期生が、主人公達なんだ。
 だが実のところは魔法を利用した新装備の実験部隊の創設であった。」

じゅえる「その新軍の養成時に、白兵戦闘格闘戦技術の上位者というのが有るんだ。」
まゆ子「応募した学生も変だなーとは思っていたんだ。だが士官に成れるというのだから別に構わない。むしろ、格闘戦に特化した危険な場所にまず第一に投入される尖兵であるのかと理解する。」
釈「あんまり嬉しくない軍隊ですね。」
まゆ子「要するに特殊部隊軍を別に作ろうというのだ。徴兵制の兵隊を指揮するのではなく、志願兵だけの部隊を別にするという感じで理解してる。」
じゅえる「最初から白兵特化型の軍隊ということだね。なら別にびっくりはしないか。」

まゆ子「王様が居なくなった代わりに共和国政府・大統領の近衛兵を作るという感じだな。」
釈「ああ、それは実に分り易い話です。」

じゅえる「しかし、壊滅しちゃったぞ。」
まゆ子「あー、まーそうなんだ。」
釈「後輩は居ないんですか?」
まゆ子「その時の募集分で百名だ。第一期をまず戦力化してから、育成体制の確立までは二期募集は先送りされていたという名目だ。
 そもそもが実際は魔法人形甲冑実験部隊なんだからさ。」
釈「じゃあ部隊消滅で、おしまい?」
まゆ子「だからさ、第二期募集を開始したんだよ。」

じゅえる「ちょっと待て。じゃあ一期生が全滅したのは秘密なのか?」
まゆ子「公然の秘密ではある。だが彼らの活躍で軍主力が壊滅を免れたのも公然の秘密だ。
 政府大統領としては軍部に対して貸しを作った事になるし、軍部としても彼らの指揮権の及ばない政府直轄軍が消滅してくれてありがたいというもの。
 国民に対しては政府直轄軍構想を一時中断して軍主力に一期生を合流させて、国難に対処したとマスコミ発表をしている。またそれは事実である。

 秘密なのは、一期生ほぼ全滅という事実だけ。これは陸軍の特別精鋭部隊を投入して玉砕した事になっている。」

釈「その政府直轄軍構想はもちろん魔法使いも一枚噛んでいるわけですよね。」
まゆ子「当然。また呪い人形も政府直轄軍が行使しているわけなのさ。」

じゅえる「しかし軍部はよく自分とは別の軍隊の創設を許したね。」
まゆ子「砲兵が無いもん。」
釈「近代軍なのに、砲兵が無いんですか?」
まゆ子「近衛兵だもん。政府官庁や議会を守るための軍隊であるから、歩兵や騎兵は有っても砲兵は無いし工兵も輜重兵も無い。近代的な兵科に別れてない、単なる白兵戦部隊と考えているんだ。
 その認識に間違いはなく、またそういうものを政府も求めている。

 別に軍部と対立してどんぱちやろうとは考えてないんだ。というか、政府批判のデモ運動とかもちょくちょく起こって、鎮圧に警察力を投入しているんだけど、この応援部隊という感じでもある。」
じゅえる「機動隊か。」
釈「なるほど、白兵戦闘の能力しか要らないんですね。」
まゆ子「徴兵制の軍隊であれば、あんま民衆暴動には信用出来ないからね。」

 

釈「では主人公の階級は、政府直轄軍少尉、ですか。」
じゅえる「近衛軍少尉でいいんじゃないか。」
まゆ子「いやー、政府直轄軍少尉の方がいいな。特攻時は准尉ということで。
 それで、既存の軍部の連中からは、共和国であるのに近衛が必要とはなにごとか、とか言われている。」

じゅえる「ちょっとまて。じゃあ、政府直轄軍は百名居たのが3名しか生き残らずに、その3名が大尉・中尉・少尉になって、主人公が一番下っ端という話か。」
まゆ子「行きがかり上そうなるな。しかしまあ、特攻の時に一番活躍したのは主人公だぞ。それは他の二人もちゃんと認めている。
 うん、あんま不満をもたないように、主人公が最年少であることにしよう。友人の方が1歳上だし、大尉に成った奴は4歳も上だ。しかも魔法使いであり、この部隊を創設した黒幕のひとりでもある。

 そういうからくりは生き残った二人にもバレバレで、まあそれなら仕方ないなと理解した。今更辞めるのもなんだし。」
釈「ひとりだけ年上で、ひとりだけ昇進するということは、当時から彼は一人だけ階級が上だったんですかね。」
まゆ子「あー、それは無しにしておこう。階級は一期生全て等しく准尉であるが、彼が主席であり特攻時にも隊長格であった。そんなもんかな。
 で一期生達もそれは不審に思わなかった。明らかに違う、政府から派遣されたであろう人物なのは明白だったから。」

じゅえる「彼は特攻時ちゃんと戦ったのか?」
まゆ子「それがびっくりすることにちゃんと戦ったんだよ。まあ主人公ほどではないが、それに積極的に前に出たわけではないが、なんせ百人ぽっきりしか居ないんだ。
 死地に留まり前進し生き続ける、それだけで信じられないほど敵をぶっ殺してる。まあ主人公はその上で先頭を突っ走ったんだがね。」
釈「卑怯者ではないんですね。」
まゆ子「そう罵る奴が居れば主人公がぶん殴るくらいに正当にそこに居る。だから大尉であっても怒らないさ。」

 

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釈「大体話が固まって来ました。しかし肝心の事件についてがまだです。第一エピソードというのは、やはり呪い人形ですよね?」
まゆ子「うん。そのつもり。」
じゅえる「しかし呪い人形はこちらが呪殺を掛ける時に使うもので、してみるとこちらからの攻撃が失敗して主人公投入という話になる。」

まゆ子「うーん、そうなるなあ。」
じゅえる「一話目に本命をぶつけるのはあまりにも拙劣。噛ませ犬の投入が必要だ。」
釈「噛ませ犬ですが、結構強くないと主人公のキャラが引き立ちません。」
まゆ子「敵への魔法攻撃手段が呪い人形のみというのが、薄すぎるか……。」
釈「絵的に面白いのを追求しましたから、呪い人形は派手です。ですが噛ませ犬はもう少し小さめな奴がいいのでは。」

まゆ子「此方側と敵側の呪い人形の形態が違う、ということにするか。」
じゅえる「別系統の魔法という意味か。」
釈「しかし、樹木魔法ですよね?」

明美「噛ませ犬なら、犬のバケモノが襲ってくるというのはダメ?」

まゆ子「犬か。うーん、なるほど。」
釈「直接に犬が攻撃してくる魔法ですかあ、それはさすがに問題が。」」
じゅえる「いや、そもそもが樹木魔法の呪い人形であっても、食獣植物に動物やら人間やらを呑み込ませて使うんだ。犬を呑ませる魔法ということでどうだ。」

まゆ子「うーん、そうだねー、それはー。

 友人の潰れた目では、病人の上に巨大な黒い犬がのしかかっているのが見える。もちろん幻視だ。」
釈「それです。友人の能力を十分に発揮できます。」
じゅえる「つまり犬憑きの呪いで攻撃してきているんだな? じゃあ呪い人形とは別の魔法か。」
まゆ子「いや系統は同じ樹木魔法だが、手法が違うだけでこれは犬を用いるもの。効果は薄いということにするか?」
釈「ですが、効かない魔法では話になりません。これは効く魔法です。」

じゅえる「ちゃんと人を呪い殺せる魔法だが、犬を使うから精度が低く誰かれ構わず噛み付くというのではどうだろう。目標とする人間に取り憑かせるには、……うーん」
釈「近くないといけない。」
まゆ子「うん。その魔法は呪い犬が此方側の都市に入っているんだ。敵のスパイが送り込んでいる。」
じゅえる「それだな。主人公は第一エピソードでは敵のスパイと戦闘する。もちろん魔法犬も拳銃で射殺する。」
まゆ子「友人はホームズの役で、主人公がワトソンみたいに荒事担当だ。で、首尾よく事件を解決するが、しかしそれが故に敵に目を付けられて友人は爆殺!」

明美「爆殺!」
じゅえる「主人公の方が活躍するんじゃないか? なら主人公を殺すのが筋ではないか。」
釈「主人公が使うはずだった馬車に爆弾が取り付けられていて、友人に好意で貸したら爆発。とかはどうでしょう。」

まゆ子「いや、ここは友人の方を直接に狙ったんだ。敵のスパイ組織にも魔法使いが居て、友人の方が標的としての価値が有ると見抜いている。

 そこらへんの解説を第三の生き残り大尉が主人公に解き明かすという事にしよう。」
釈「第二エピソードへのつなぎというわけですか。」
明美「ホームズとワトソンであれば、ベーカー街の下宿的な感じで部屋に来てメイドがちゃんと絡めるね。」
じゅえる「うん。いい感じだ。主人公の人となりを描写するのに最適だな。」

釈「しかし、そうなると国内の敵勢力は随分と強力ですね。」
まゆ子「反革命政府勢力を取り込んでいるという事にするか。宗教的にも対立するらしいから、それとも絡んで。」
じゅえる「それだと主人公も怪しい立場になってしまうな。」
まゆ子「仕方がない。そういう立場に生まれてしまったからね。

 で、その後政府直轄軍の士官は二人だけになってしまうわけで、主人公は少尉から中尉に昇進しますがあんま嬉しくない。」
じゅえる「そりゃ仲間、いや死線をくぐり抜けた戦友を失ったわけだからね。」
まゆ子「友人は魔眼を手に入れた事により魔法を軍事的に利用しようとする政府直轄軍すなわち共和国政府与党勢力にとって価値があったわけですが、主人公はそうじゃない。」
釈「魔法能力は皆無なんですね。」
まゆ子「そうでもないのだが、本人の自覚する所ではそんなもなあ無い。」
じゅえる「どういうこと?」

まゆ子「つまり呪い人形なり噛ませ犬なりの魔法的存在いや魔物だな、は普通の視覚情報で動いているわけでなく、魔法をセンシングして動いている。魔力を持つものしか見えないのだね。
 で、友人は魔眼を使うことで不可視のはずの噛ませ犬を見る。同時に噛ませ犬も友人を見る。
 が、主人公も見られてしまう。もちろん主人公は噛ませ犬は魔法の存在だから見えないが、犬の方からは見えるのだ。魔力が有るからね。」
釈「つまりこちらは見えないのに、一方的に攻撃されるということですか。」
じゅえる「著しく不利じゃん。」
まゆ子「だがそういうものなんだ。魔力は有るが魔法は使えず、魔物にはしっかり目を付けられて攻撃される。それが主人公の特性だ。」

じゅえる「どうするんだそれ。」
まゆ子「そこで友人の魔眼と協力することで敵をやっつけられるんだけど、友人は爆死してしまう。以後彼はなんのサポートも無く魔物と戦わざるを得なくなる。」
釈「つまり第一エピソードにおいて友人の魔眼の威力を強調して描写しておいて、以後はそれが無いピンチな状態を連続させるのですね。」
じゅえる「でも魔力が無い人は魔物には見えないんだろ? 普通の人や兵士はどうなんだ?」
まゆ子「呪い人形は実体が有るから見えますが、そこらへんの樹木や石ころや家具とおなじようなものとしてしか認識出来ません。見るべき価値が無いものです。
 噛ませ犬に至っては、魔力の無いものはまったく見えません。魔力の有る存在だけがぼやあっと光って見える世界を動いてる、そういう視覚です。
 つまり一般兵はかなり安全。逆に魔力を持つ者はとことんまで追い詰められます。」

釈「主人公はそれに対抗する能力が無いのですか?」
まゆ子「まったくに。ただし、魔物にだって物理的な弱点があって、それをピンポイントで攻撃すればちゃんとダメージを被ります。見えませんけどねそれ。」
じゅえる「勘で?」
まゆ子「もちろん主人公には超感覚なんてありませんが、勘は鋭いです。とはいえ普通人よりはマシという程度。武術の達人であれば当然という程度ですね。」
じゅえる「それで魔法に勝てるのか?」
まゆ子「勝つからこそ主人公です。」

釈「でも魔法を重視する政府直轄軍上層部としては、まったく使えない奴に見えてしまいますね。」
まゆ子「そうなんだけどね、もう一人の生き残りの方が使い道を考えてくれました。

 つまり第二期生の募集です。覚醒剤スーツ人形甲冑の部隊は全滅したけれど、好成績は残している。実際に彼らに陸軍は窮地を救われた。
 また生き残った者3名の内2名までもが魔法の能力を身に付けた。これは予想外の結果なのだが、魔力を確実に手に入れる手段としてまた同じ事をしてみようと考えるのに、大きな助けとなる。
 で、二期生だ。もう一回同じ事をして魔法を使える手駒を揃えたいと思う。
 が、その為には部隊を死地に追いやらねばならない。十分な戦闘訓練をしなくてはならず、また彼らと共に行く指揮官が必要だ。それも最高に強い奴が。」

釈「あ。」
じゅえる「それは文句の付けようも無いほどに完璧な人材が居るんだな。」

まゆ子「というわけで、友人が死んだ直後に彼は中尉に昇進します。そして二期生の白兵戦技教官となり、人形甲冑部隊が戦闘に投入される時は指揮官として彼らを率います。そういうのが約束されます。
 まあもちろん主人公としてはそんなの承服できないのだが、じゃあ降りるかと言われると降りられない。
 自分達が味わった地獄を二期生に行わせてはならず、そんなことにならないようにする為には、ちゃんと人形甲冑部隊の実情を理解して実戦経験を積んだ指揮官が適切な判断を行わねばならない。
 それが出来る人間は世界中に彼一人しか居ない、ともう一人に説得されてしまいます。まあ彼が企画したんだけどね。」

釈「説得されてしまうしか道は無いんですね。」
じゅえる「命有るかぎり、ね。」
まゆ子「とはいうものの今は戦時で余裕も無く、二期生募集も今から始めるのだ。このお話においては絡んでこない。」

 

 

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