****捜査官の身分関係****

  (軍) (巡邏軍) (警察局)
士官 小剣令(小隊長) 小剣令(捜査小隊長 管理)  法衛視(新任)・捜査課長
准士官 剣令輔 (無い 兵曹長退任時昇進)  捜査係長
       
下士官 兵曹長 捜査班長(通常は1小隊1班のみ) 上級捜査官(捜査指揮 班長 警察大学校で研修)
  兵曹 特任捜査員(分隊長) 捜査官
  兵士長 特任捜査員 捜査官(新任 国家公務員↑)(特任捜査員からの転職後捜査官養成学校へ)
上兵 専任捜査員(伍長) 捜査員(機関公務員↓ 巡邏軍捜査員からの転職 優秀者をスカウトする)
正兵 専任捜査員 捜査員(新任ほぼ無い)
少兵 (まだなれない)

 

  (海軍海上警察) (官僚) (政府工作員)
士官 小剣令(小隊長 海上取締なら艇長)  参議(上級公務員↑ これ以上なら国会に出席資格あり) 細房長(階層は無く独立していると思われる)
准士官 実行長(海上取締等での戦闘班長 捜査員以外も指揮) 官員(係長級) 企画主任(作戦企画立案)
    (役職によって呼称は変わる (職分)+官、と呼ばれる)  
下士官 捜査班長(通常は1小隊1班のみ) 工作班長(ユニット長)
  特任捜査員(捜査員からの昇進) 官員(国家公務員↑)(上級地方公務員もある↑) 先任工作員
  専任捜査員(捜査官学校卒・専門分野に分けられる) 吏長(地方公務員↓ )(国家機関の場合は機関公務員) 工作員(捜査官養成学校からスカウト)
取締班員(取締部門であって捜査員ではない) 吏事  
(まだなれない 通常任務中に作戦行動に従事) 吏員
(訓練兵) 補員(臨時雇い) 民間人外部委託(職業犯罪者も使う)

巡邏軍は地方警察、警察局は全国レベルのいわばFBIの役割を果たす。
警察局の捜査官は養成学校で訓練されて、巡邏軍よりも広範囲の知識を持つ。選抜徴兵修了生が多いので、結構エリート主義
警察局捜査官は全国に派遣されるが、その地方ごとの支局に勤める地元密着の捜査員を指揮して捜査活動を行っている。

事件が警察局に移管された後は、捜査活動に巡邏兵が協力し指揮下に入る事となるが、これは一般巡邏兵であり専任/特任捜査員ではない。
強制執行や逮捕等の強権的な活動を担当するが、対象が武装している場合は巡邏軍強攻制圧隊が投入される。
普通に考えると、他の部局の指揮下に入るのは反発するようなものだが、実際は一般巡邏兵の活動と巡邏軍捜査員はかなり遠い関係にある。
そもそもが鑑識班は警察局の所属であるから、さっさと警察局に捜査移管しろと末端の兵士は思う。
組織犯罪やヤクザ、職業犯罪者を対象とする特任捜査員は専門性が高く、やはり一般巡邏兵とは遠い存在なのだ。

というよりは、巡邏軍の専任捜査員は巡邏軍詰所(交番に相当)に市民が犯罪を通報した際に処理を投げる為の要員であり、あまり繊細な捜査活動を期待されていない。
初動捜査に人数を突っ込んで、がさっと関係者や事象を掬い上げる手法を用いている。なにせ76時間しか管轄ではない。
むしろ、警察局に移管される時に情報の収集漏れをチェックされるから、ここで指弾されないように細かい情報の迅速な文書化を心掛けている。

何故このような形態になっているのかと言えば、警察局制度が生まれる前は、治安維持警察組織において捜査の不正が横行した為である。
特に地元権力者や犯罪組織との癒着によって犯罪を見逃す事例が多発して、地元土着の要員を捜査活動に参加させるのはリスクが大きいと見做された。
とはいうものの、地元密着でないと細かい犯罪情報は把握出来ないので、特任捜査員、警察局においては機関職員としての捜査員を用いている。

なお巡邏軍には「巡察小隊」というのがあって、街の一区画を定期的に一斉捜索して不審者の拘束や犯罪関係の事物を押収する。
区画一体捜索令状というのが発行されて、まるごと総浚い。たまった案件の在庫一掃セールであり、軽犯罪に至るまでごっそり摘発される。
この時盗品の発見や指名手配犯の逮捕をすると、新たに76時間の巡邏軍担当になる。

 

巡邏軍では捜査員に女性兵を使わないので、女性が捜査の専門家になろうと思えば警察局の養成学校に入るしか無い。
そもそも巡邏軍は軍隊であって治安維持の為の戦闘任務も重視されており、女性兵は補助的な存在とくに一般市民女性を扱う際に用いると位置付けられている。

そもそもがまだ機械化自動化も十分に進んでいない社会であるから、男女の肉体的能力の差は歴然とある。
軍隊においても装備の重量がとんでもなく、人力に頼る場面も多いので、現代国家のように男女平等の起用は無理である。
女性兵は女性兵だけの小隊にまとめられており、男女混合での現場というのが無い。

 

巡邏軍は治安維持を主目的として、捜査員の数はさほど多くない。特任捜査員は主に組織犯罪・職業犯罪・ヤクザ対応。
巡邏軍の専任捜査員は数ばかりは多い単純な犯罪を主に担当する。一定時間後に警察局に捜査が移管されるので、速度優先でかなり荒っぽい。
もっとじっくりと捜査に時間を掛けたいと思うのであれば、警察局の捜査員に転職する事となる。

階級的に見ると巡邏軍捜査小隊長の方が警察局捜査係長より上のようだが、職責が違うのでどちらが偉いとかは考えない。
複数の捜査班を管理する捜査係長の方が重責とも言えるが、地域密着で組織犯罪と戦う巡邏軍捜査班は結構なボリュームが有る。

海軍海上警察は、純戦闘部隊以外は全部そうだとも言える。捜査員もかなり多い。しかし犯罪者が重武装している事もままあるので、より高度な能力が要求される。
捜査官養成学校とほぼ同レベルの教育組織を持つ。正兵以上の資格を持つ者が入校資格を持つが、実務忙しいから選抜徴兵修了生以外は推薦である。
海軍捜査官養成学校はイローエント南海軍だけが持ち、東西海軍および海外派遣軍にも配属される。理由は、一番外国人が雑多に溢れる街だから実習材料に事欠かない。

通常小隊長は小剣令であるが、鑑識課は掌令が小隊長となる。(巡邏軍が事件捜査する場合、警察局から鑑識が来る)

 

 

政府工作員は官僚型の組織構造を持たず、「細房」と呼ばれる1チームが幾つもあり、それぞれに別の仕事をしている。
それらを管制するチームも有るはずだが上部組織という形ではなく、並列する存在であると推察される。
つまりはそれぞれの「細房」が国家総統直属という形を取っている。
「細房」は1チーム15名ほど。実働する末端の工作員は10名程度であろう。
ただ訓練機関は統一されている可能性があり、同期は顔見知りで現場での衝突は無いという。

なお治安秘密警察は別途存在する。これは官僚型組織であり、警察局に準じる機構を持っている。というよりも警察局の裏のような存在。
名称が威圧的で良くないと、第八政体においては「平和安全部局」というわけのわからない名称になっている。
国家総統ではなく内閣大臣領(総理大臣)の指導を受けるが政治家の干渉を嫌い、基本的には組織の論理に従って恒常性を保っている。
治安秘密警察には法衛視が関与しないので、組織のトップである「部局長」は官僚が務めている。
参議の上の「参事・参事官」と呼ばれるクラスで、階級としては低いがその権限は絶大と言えよう。

政府工作員と治安秘密警察とは、基本的にはあまり仲が良くない。

特に第七政体から横滑りで組織が維持されてきた治安秘密警察は、15年ほど前までは『闇将監』と呼ばれる実力者が支配して、『闇御前』と共に第八政体を影から支えてきた。
時には政府の意向に反して方針を曲げない事も有り、特に「海外派遣軍」費用捻出の為の裏組織の運営に関しては『闇将監』による恫喝すらあったという。
それでも『闇将監』は政府側の人間であり、その行動はいかに強圧的であっても国家の存続の益となるもの、との信頼があった。

彼の死後、権限は『闇御前』に継承され『闇御前組織』として一大政府外機構となる。
業務はこれまでどおりであり、むしろ『闇御前』は変えないように努めているが、利権の構図から外され一民間人の指示に従わざるを得ない治安秘密警察は反発を覚える。
『闇御前』の権力を政府に奪還しようと画策する国家総統ヴィヴァ=ワン・ラムダは、治安秘密警察にとっては全面的に協力すべき対象となった。
故に現在、政府工作員と治安秘密警察は良好な関係にある。

 

『闇将監』は、『闇御前』に裏組織の権限を引き継ぎこの世を去る際、「君は組織の終わらせ方を考えなくて良い」と言い残した。
「果実も熟さねば落ちては来ない」、組織の膨張が極限に到達し在り方を改変縮小しなければならない時期が来たら勝手にそういう方向に進み出す。
組織の立ち上げを行った『闇将監』『闇御前』はそれに関与すべきではない、との忠告だ。

『闇御前』は彼の言葉通りに、それまでの活動方針の延長線上に組織を運営し続けている。
その結果が、英雄探偵ヱメコフ・マキアリイによる『闇御前』逮捕という形になり、なるほど果実は落ちるべくして落ちるものだと納得した。

 

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