釈「近況報告でーす。」

まゆ子「あー、夏は暑いからコンピュータはあまり触らないようにしていた為に、イラスト・小説書きはしばらくお休みしておりました。
 というのが8月の話。
 アナログでパラレルペンとふでDEまんねんのどっちが便利かをマンガ描いて実験していました。
 で涼しくなった9月にはカラーイラストを何枚か描いて、これは8月に練習した成果を提出したことになりますが、
 でおもむろに小説を描き始めたのが10月になります。
 HP用の小説をずいぶんサボっていたな、と『罰市偵 英雄探偵とカニ巫女』第六巻「英雄と皇帝」の続きをがっと書いておりました。」

じゅえる「Pixivに投稿しない言い訳はいいから。」
まゆ子「はい、サボってなんか無いよ、と言いたいだけです。」
釈「7月に連続で『彷徨える百合SEAーず』投稿した反動ですね。HP小説が開いたのは。」
まゆ子「今年はまるっきり進展していませんでした。

 というわけでがっと書いてます。25話その5「これが「民衆協和主義」だ」、その6「華麗なるテロリスト」、その7「空中戦闘」
 ここまでで30章書いてますから、1章400字7枚相当ですから、210枚分ですね。
 その8「the英雄ショー」も書き始めてますから、これ書いちゃうと中盤まで終わります。」

じゅえる「初稿はだらっと長いんだよな。」
釈「ここから搾って1章5枚くらいに縮めます。」

じゅえる「でもな、よく考えたらPixivで『罰市偵』の説明してないんじゃないか?」
釈「『シャヤユート 白い花の蕾』の時に書いてなかったですかね?」
まゆ子「『くっちゃり出張版』始める前だから、前書き誰も読んでないだろ。
 ちょうどいいからやっちゃうか。」



     ***** 

釈「HP連載小説『罰市偵~英雄探偵とカニ巫女』は、全8巻予定で現在までに5巻分が完成している長編小説シリーズです。
 探偵小説ですが推理小説ではありません。

 元々の企画は「異世界に行って浅見光彦をしよう!」というものであり、
 前作『げばると処女』で構築した中世風異世界から1千年後を舞台として、名探偵ヱメコフ・マキアリイが大活躍します。

 時代背景としては1950年代くらいの発展度、ただし世界戦争とか起きていませんから科学技術の発展はのんびりしたものです。
 浅見光彦シリーズもあれは80年代くらいですね。もう時代としては古い作品ですよ。」

じゅえる「ちなみに主役のヱメコフ・マキアリイとカニ巫女クワンパは、
 前作『げばると処女』でもレメコフ誉マキアリイとカニ巫女クワンパ、として出演しています。」
まゆ子「この二人気に入ったから主役に抜擢しましたよ、というスピンオフ作品ですね。」

釈「えー身も蓋も無く内容を説明すると、

 無敵の英雄マキアリイが悪党どもを千切っては投げの大活躍で大人気の不殺ヒーロー。
 毎回登場する美女にモテモテで、世間でも天晴大英雄ともてはやされて、
 国家総統という一番偉い人にも表彰されてウハウハ、という物語です。」

じゅえる「すごく、間違ってない!!」
まゆ子「文章にすると凄い話だな。」
釈「とりあえず、この間違った説明文をちまちまと突っ込んでいきましょう。

 ”毎回登場する美女にモテモテ”、これ大嘘ですね。」
じゅえる「カニ巫女クワンパさんは暴力ヒロインだからな。」
まゆ子「理由も無くヒーローマキアリイは棒で殴られます。」

釈「ちなみに「マキアリイ刑事探偵事務所」に所属したカニ巫女はこれまで4人、すべて暴力ヒロインです。」
じゅえる「つらい。」
釈「その中でも最も狂暴であったのが3代目シャヤユート。
 あまりにも狂暴過ぎて警察に捕まり依願退職せざるを得なくなり、後継者として配属されたのがクワンパさんになります。」
まゆ子「凄い美人だったんだけどね。ちなみにクワンパさんはかなり落ちます。」



釈「そしてヒーロー探偵ヱメコフ・マキアリイは、貧乏です。」

じゅえる「社会的には大人気で大繁盛して映画にも描かれてウハウハなのは間違いないのだが、
 ウハウハなのは映画会社であり「マキアリイ」を演じる俳優さんなのだな。」
まゆ子「そもそもが私立探偵だからな。大儲けするはずがない。」

釈「ちなみに此処は異世界タンガラムでありますから、日本の私立探偵とはまったく違う業務をしております。
 日本の「探偵」と同じく浮気とか素行調査をするのは「民事探偵」と呼ばれる職業で、
 ヱメコフ・マキアリイは「刑事探偵」という国家資格が必要な割に構造的に儲からない貧乏職です。」

じゅえる「簡単に言うと弁護士に雇われる調査員で、テレビの弁護士ドラマでやってる調査業務を請け負ってる。」
まゆ子「警察の事件調書を閲覧する資格が必要で、本職の捜査官経験者でないと出来ないのだな。

 また刑事事件の被告・容疑者被疑者の拘留中の権利を守る。
 この世界では警察といえども信用できず証拠の捏造や自白の強要、拷問、さらには証拠物件の隠匿横領なんかも横行している、いたのだ。
 だから拘留中の容疑者の人権を守る特別な職業が必要になった。
 経験者でないと無理なのだ。」

釈「ヱメコフ・マキアリイは元々が首都の警察で捜査官をしていたエリートなのですが、英雄が過ぎて組織に受け入れられず追放されてしまいます。
 要するに最近流行の「パーティ追放モノ」でもあるわけです。」
じゅえる「そ、そうかなあ……。」

釈「そしてヱメコフ・マキアリイは名探偵ではありません。腕力でなぎ倒していくハードボイルドです。」
まゆ子「そ、そうかなあ……。」



じゅえる「説明の基本が間違っているだろう。
 ヱメコフ・マキアリイて奴はどっちかというと、フーテンの寅さんが無敵の暴力探偵をやっているような話だろ。」
まゆ子「人情派だよなあ。」

釈「人情派ですから、広大な自宅を解放して貧しい人が無料で医療を受けられる大病院を開業しております。
 私財持ち出しでありますから、なんという偽善者!
 あまりに偽善が過ぎて市当局から査察が入り、閉鎖させられてしまいました。
 こっちでいう「貧困ビジネス」ですね。」

まゆ子「字に起こすとまったくもってその通りだからびっくりだ。」
じゅえる「マキアリイは被害者の方なんだけどな。自宅に貧乏な病人がたくさん押しかけて。」
まゆ子「自宅ではなく、管財人を任されている故人の邸宅なんだが。
 本人は庭番小屋に、犬小屋みたいなとこ住んでる。」

釈「でもオンナを囲っているんですよ。とんでもない美女を。」
まゆ子「ああ、まったくもってその通りだい!」
じゅえる「字に起こすとその通りだから、始末が悪いな。」



釈「そしてマキアリイには財閥御曹司で国会議員でめちゃくちゃハンサムな「ソグヴィタル・ヒィキタイタン」という親友が居ます。
 二人揃って大英雄で、世間の人が仰ぎ見るアイドル的大人気となっております。
 ビジュアルイメージでいうと、アランドロンとジャンポールベルモンドですかね。

 もちろんヒィキタイタンがアランドロンで、ちょっと三枚目が入るベルモンドがマキアリイです。
 ちなみにジャン=ポール・ベルモンドはフランス映画で大人気俳優で、その男臭いイメージは日本でも大人気。
 ルパン三世やコブラのモデル、ウルフガイシリーズ犬神明もそうですね。
 つまりはマキアリイは50年ほど遅れてきたルパン三世の親戚みたいなものです。」

じゅえる「うう。間違ってない。」
まゆ子「明確なまちがいだぞお。
 たしかにアランドロンとベルモンドはヒィキタイタンとマキアリイのモデルなんだが、それは映画に出てくる二人であって、
 実物は「若大将」シリーズの加山雄三と田中邦衛「青大将」なのだ。」

じゅえる「二人の英雄の活躍が映画になって大人気、であって、映画のマキアリイこそが世間一般に認知され、
 本物マキアリイは有名人ではあるがそこまで顔を知られていないのだ。」
まゆ子「その認知率の差を利用して替玉を使うトリックも、作中で使用してるんだな。」

釈「ヒィキタイタンとマキアリイが10代の頃、選抜徴兵で海軍で訓練を受けていた際に、
 「潜水艦事件」と呼ばれる国家を揺るがす大事件が勃発します。
 正体不明の巨大潜水艦がタンガラム海軍主力戦艦を撃沈し、外国要人とタンガラム女性の間に生まれたお姫様を拉致しようとするのを、
 若き二人の英雄が取り戻す大活躍。

 これが世間に高く評価されまして、二人は「国家英雄」として表彰され、
 事件を描いた映画が4本も作られていずれも大ヒット、興収ガッパガッパで映画会社笑いが止まりません。」

じゅえる「そしてヒィキタイタンは大学卒業後国会議員にトップ当選。
 一方マキアリイは警察のエリート捜査官になったけれど、追放されて路頭に迷う羽目になるんだな。」
釈「哀れにも落ちぶれたマキアリイは都落ちして、
 自らの活躍を描いた映画のグッズを売って糊口をしのぐ極貧生活を送っていたところを、
 初代カニ巫女に殴られて正義に目覚めて刑事探偵として再起する。という物語です。」



まゆ子「そもそもカニ巫女の説明が無いぞ。」

釈「カニ巫女は、タンガラム国における伝統宗教「十二神信仰」の一つ「カニ神殿」に勤める者です。
 カニ神殿の責務は「道徳」
 長い棒を携えて町を歩き、不道徳な行いを罰し、ヤクザ乱暴者を叩き伏せ、怠け者の尻を叩いて世間に復帰させてます。
 だから怠惰な英雄マキアリイは殴られる事になりました。」
じゅえる「カニ巫女の死亡原因第一位は「ヤクザに刺される」、なんだな。」

釈「カニ巫女は物語に出てきますが、カニ神官は出てきませんね? 何故です。」
まゆ子「カニ神官はカニ巫女よりもはるかにハードな現場で戦っているからね。
 奴隷や強制労働の現場に踏み込んでヤクザを殴り倒して解放するのを専らに行っている。

 つまりこのタンガラムという国は、そういうヤクザがまかり通る歪んだ世界なんだ。
 だから物語のタイトルが『罰市偵』になっている。
 住んでるだけで罰のような都市に舞い降りた正義の探偵、という意味なんだな。

 しかしこのタイトル、一見して分かる通りに欠陥がある。
 『罰市偵~英雄探偵とカニ巫女』、「偵」の字が2個付いて美しくない。
 だから機会があれば『×City ~英雄探偵とカニ巫女』にしたい。
 ちなみに「罰市偵」はもちろん「BadCity」をもじったものね。」

じゅえる「とまあそういうわけだ。
 社会全体が悪に冒されてどいつもこいつも悪党だらけの世界で、唯一人正義の為に戦う英雄マキアリイの物語なんだな。
 その背景として前作『げばると処女』で発生したイベントや事績を流用して深味を出しつつ荒唐無稽な冒険を彩っていく。
 もちろん美女満載だ。」



     ***** 

釈「それで現在書いている第六巻『英雄と皇帝』はどんなお話なんですか。」

まゆ子「まず基本的な前提条件として理解していただきたいのは、
 英雄探偵ヱメコフ・マキアリイはこれまでに国家的大事件を数々解決し、悪の黒幕を暴き出し牢屋に放り込むことに成功した。
 大勝利なのだ。」
じゅえる「普通の英雄譚ならめでたしめでたしだ。」

釈「ですがね、」
まゆ子「そうなんだよ。

 つまり国家的大悪事、汚職や政治腐敗、背信背任、国家的謀略とか軍部への武器納入疑惑とか、とにかく沢山解決しちゃったんだな。
 当然それは政府・指導部が責任を問われる案件だ。」
じゅえる「当然にな。」

まゆ子「というわけで、8月総選挙が行われるのだが、
 政権与党「ウェゲ会」が大ピンチ。国家総統ヴィヴァ=ワン・ラムダ失職寸前の有様だ。
 この状況を打開する為には、件の犯罪を解決しまくった正義の権化ヱメコフ・マキアリイに選挙応援してもらおうとなった。

 マキアリイとしては、実にこの10年
 彼を国家英雄として祭り上げ行事式典に引っ張り出して人気取りをしてきた国家総統ヴィヴァ=ワンに対して、どうにも拒否できないものがある。

 またマキアリイが解決した事件は法的に処罰するのがとても難しいものが幾つもあって、
 総統直接命令によって強引に解決してもらっていた恩義もある。
 選挙応援の頼みを拒絶できない。

 ましてや頼みに来たのが、共に国家英雄として活躍している国会議員ソグヴィタル・ヒィキタイタンとなれば、なおさらだ。
 親友に土下座されてしまう。
 致し方なく首都ルルント・タンガラムにクワンパを連れて応援に行く。
 そんなお話。」

釈「ポリティカル・サスペンスです!」

じゅえる「正義の味方としては時の政権の味方をするのはうまくないんじゃないか?」
まゆ子「そういう風に批判するマスコミもあります。
 野党陣営は、マキアリイを引っ張り出すのは卑怯だとごうごうと批難します。それだけ有権者への訴求力があるのです。

 で、8月夏のクソ暑い中12日間のデスレースが開始されるわけですが、
 選挙運動初日街頭第一声の出陣式を大勢の群衆の前で行って、その壇上にて国家総統ヴィヴァ=ワン・ラムダ氏が暗殺未遂、昏睡の重態に陥ります。」



釈「あちゃー。」
じゅえる「間が悪いったらありゃしない。リアルそのものじゃないかあ。」
まゆ子「しかたがないだろお、今年の3月にはそのシーンもう掲載してたんだから。」



釈「という展開で、マキアリイとヒィキタイタンが組んで選挙の裏で蠢くテロリスト集団「ミラーゲン」と対決するのです。

 だが既に政界は大混乱に陥り統治能力が疑われて、
 ここは救国政府を作るべきではないかと怪しい策謀が蠢くのです。
 ヴィヴァ=ワン総統の前の総統、つまり「潜水艦事件」で失職したアテルゲ総統の一派が混乱に乗じて復権を果たそうと試みる。
 もしかしたら、テロリストの連続攻撃はその為の舞台づくりではないか。
 つまりは自作自演で社会を混乱に陥れているのでは?」

じゅえる「というのが中盤までの展開です。」

まゆ子「で、「皇帝」という存在が輝くのです。
 今回の総選挙、国会議員だけでなく、国会議長が公選されるんですね。

 タンガラムにおいては「国会議長」は国民の投票によって決まる。
 「国家総統」は国会の最大会派から選出される間接選挙です。
 つまり国民の信を受けた国会議長は高い指導力を持つ。

 で、今回政権与党「ウェゲ会」が推すのは、元陸軍首都近衛兵団の司令官。
 この人は「潜水艦事件」当時、陸海軍全体がアテルゲ総統に反発して動乱を起こそうとした時に鎮めて、総統辞任に持って行った功績のある大英雄です。
 議長選挙でも当選確実と見做されている。

 この人を中心に、陸軍が蜂起して邪な政治の策謀を打ち砕き、正しい民主主義の世の中に立ち戻ろうではないか。
 そう考える勢力が軍部に居るのです。
 国家総統に代わって国会議長、それも直近の選挙で国民の信を受けた人物であれば、国家を率いるのに問題はない。」

じゅえる「だが! そのクーデターまでもが裏の勢力によって誘導され仕組まれたものであった。」
釈「というシナリオを読み解いたマキアリイとヒィキタイタンが、真の悪を暴き出し、クーデターを未然に防いで、正しい政治の在り方を取り戻す。

 これが第25話『英雄と皇帝』の後半になります。」
まゆ子「ま、最後はパンチ一発で解決さ。」
釈「ポリティカル・サスペンスなんですよお。」

じゅえる「ところで第六巻のヒロインは誰だ。美女満載って言っちゃったんだけど。」
まゆ子「そこはー、第五巻「その女、ヒロイン」においては文字通りのヒロイン、
 「潜水艦事件」で拉致されたお姫様が10年ぶりに故国に帰ってきてマキアリイを引っ張りまわし、ヒィキタイタンも巻き込んで、
 外国由来の大謀略連続殺人事件を解決するお話です。

 これがまた大美人で、ヒィキタイタンと10年越しの恋に落ちるわけなんですが、
 クワンパさんこの回お休みな感じになってしまいました。
 だから第六巻はクワンパさんがヒロインとしてクローズアップされます。」

じゅえる「美女じゃないじゃん。」
釈「ひどい!」

     ***** 

じゅえる「で、説明したのはいいがPixivに掲載するのか?」
まゆ子「その予定です。
 『シャヤユート 白い花の蕾』はテストケースだったんだが、あまりにも閲覧数が少ないからどうしようかと困ってる。」
釈「あー、とにかくオリジナル小説は伸びないという話ですからねえ。」

まゆ子「まあ構造上の欠陥もあるんだよ。
 『罰市偵』は8巻構想これまで5巻完成してるのだが、本気出すのは3巻からなんだな。
 1・2巻はマキアリイ手を抜いたような感じで、タンガラム社会と世界観を描写するのに無駄話ばかりで費やしてる。

 なにせこの物語の主人公はクワンパさんだからね。
 17才社会に飛び出したばかりの若い女性が直面する「英雄探偵」という現場の戸惑い。
 これが主題なんだな。」

じゅえる「ぬるいと困るよ。」
まゆ子「そうなんだ。」

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