くっちゃりぼろけっと出張

 

 

18/03/09

まゆ子「さて問題です。

 第5の巫女ポラパァーラはどんな巫女?」
釈「キンキラのお嬢様ですよね。昔はギィール神族に仕えていた軍事技術者の家系の。」
じゅえる「マキアリイの嫁になる為に事務員になったんだな。で、」

まゆ子「ポラパァーラはカニ巫女である。しかもカニ巫女にあるまじきキンキラお金持ちで、裕福なのを隠そうともしない。
 これって嫌な女だろ。」
じゅえる「まあね。」
釈「確かに反感を買いますね。そこで、なにか策を思いついたわけですね。」
まゆ子「うん、モデルだ。いかにも金持ちそうでありながら好感度の高い、しかも旧い家系を思わせる美女。
 となれば、

四条貴音さんみたいな素敵なお姫様ではないだろうか。」
釈「うぅうううん。」
じゅえる「いきなり素敵なお姫様が登場したぞ。それはアリなのか?」
釈「うううん、確かにそれは全ての条件をクリアしていますから、アリと言えば有りなのですが、ううん。」
まゆ子「ダメ?」
釈「他に候補は居ませんか? できれば比較してみたいのですが。」
じゅえる「いや無いだろ。」

釈「ポラパァーラさんにはエキセントリックなところは無いのですか?」
まゆ子「強いて言うならば、マキアリイの嫁に成りたがるってところかな。その為に来ているんだから。」
じゅえる「戦闘力は高いんだよね、軍事関係の家系なんだから。」
まゆ子「あー、技術的には高いですね。ただカニ巫女の棒術とは異なりますから、シャヤユートに比べるとかなり落ちます。
 というかね、カニ巫女の強さってのは狂犬の強さなんだよね。
 大の男が武器を持っていても荒れ狂う狂犬には対処できないでしょ、アレなんだ。
 だからクワンパもめちゃ強いよ。」

釈「理性が有るってことですか。」
まゆ子「戦闘において狂戦士というのは強いよね。
 ポラパァーラさんは武術的には高い見識と技術を持っているのですが、実際に戦うとそこらへんで遅れを取るんだな。」
じゅえる「難しい属性だな。」
まゆ子「だからこそ、武術家としても高く評価される無敵の戦士マキアリイの嫁になろうと思うわけさ。
 彼女の判断はまったくに正しいから、迷いもブレも無い。ひたすらにマキアリイを愛するよ。」

 

釈「で、彼女は結局どうなるんですか。結婚はしないんですよね、マキアリイとは。」
まゆ子「さーそこはどーだろう。ひょっとしたら彼女はマキアリイの子を密かに産んでいたのではないか、という噂も根強いのだな。後の視点からしても。」
じゅえる「そういう展開があったのか?」
まゆ子「あったようにしてもいい、どうしよう?」
釈「うーん。」
じゅえる「少なくとも、カニ巫女事務員時代には無い。これは間違いなしとしよう。だがその後の第六第七事務員の時代にこっそりと会って、というのは有りかもしれない。」
釈「そうですね。「英雄社長」時代に、って話に成ってもいいですよね。その時代でもまだポラパァーラ若いし。」

まゆ子「えーと、クワンパが17才半で事務員になったわけですが、シャヤユートは18才だ。シャヤユートはそもそもカニ神殿に入るのが遅かったからね。
 こいつ、実は女子学校つまり高校を半分通っているのだ。で、勉強している場合じゃないとカニ神殿に入ってるから、ちと遅い。
 クワンパは中学をやっとで卒業して神殿入りだから、17才で初等教育を終えて巫女になる前の世間修行を行なう。」

じゅえる「ポラパァーラも遅いな?」
まゆ子「うん。たぶん18才だな。17才にしてもいいけれど、どうだろう。」
釈「16才ではダメですかね。」
じゅえる「マキアリイが相手にしないだろ。もう30才越えてるよ彼は。」
釈「ああ、クワンパが1年半務めると、そうなるんですね。」

まゆ子「結婚を真剣に考えるとすれば18才以上。これがタンガラムにおけるまっとうな結婚観だ。
 ポラパァーラがマキアリイと結婚するために来た、というのが真剣味を持って受け捉えられるのも、18才以上であるからだな。」
釈「では18才にしましょう。
 ところで、ザイリナは何才だったんです?」
まゆ子「ありゃ15才だ。中学校とカニ神殿同時に修行していて、義務教育終わった途端にマキアリイ事務所に就職だ。」
じゅえる「そりゃ子どもだな。」

まゆ子「ポラパァーラが1年半務めて、第六の「運命の子」ヤャラアタがやはり1年半として、3年。
 ポラパァーラは21才、マキアリイは33才。もうちょっと遅いとしても、悪くない釣り合いかな。」
釈「隠し子はアリですねアリ。」
じゅえる「うーむ、マキアリイの息子とか娘とか、そもそもが生まれたら犯罪組織に狙われそうだからな。
 出生自体が秘密とすれば、むしろ当然の措置なのかもしれない。」
釈「クワンパがカニ神殿から離れた後に安全を確保できないから身分を変えて暮らしたみたいにですね、難しいんですよ。

 ところで、ポラパァーラは事務員終わった後でカニ巫女になるんですか?」
まゆ子「予定としては、故郷の東岸部に戻って実家近辺でカニ巫女やるよ。だからずっとキンキラだ。」
じゅえる「実家の近くなら、密かに子どもを産んでも大丈夫だな。」
まゆ子「うん、アリだ。ただ本当に有ったのかどうかは謎ね。謎。」

 

じゅえる「ところでヒィキタイタンはクワンパが在籍中に結婚するんだろ、「潜水艦事件」のヒロインと。」
釈「ユミネイト・トゥガ=レイ=セト ですね。ゥアム神族のハーフの。」
じゅえる「この夫婦は子どもは出来ないのか?」
まゆ子「あーそうねー。少なくともポラパァーラがマキアリイに付いてゥアム帝国に行って大冒険する時には、まだ生まれてないね。
 だからヒィキタイタンがヴィヴァワン総統閣下のお供でゥアムを親善訪問するのにも、夫婦で行くよ。」
釈「生まれるのはその後としますか。ゥアム帝国に居る間に妊娠したとかで。」

まゆ子「あ、そうだ。つまりだ、
 ヴィヴァワン総統が現地で謎の大集団に襲われて窮地に陥り、マキアリイヒィキタイタンポラパァーラが残って食い止めて総統閣下を離脱させるんだが、
 この時ヒィキタイタンも短期間行方不明になるんだな。マキアリイはかなりの長期間不明だが。

 で、この時夫の身を案じるユミネイトは、自分の中に新しい命が宿っている事に気がつくのだ。」
釈「定番ですね。」
じゅえる「そのくらいドラマチックでないと困るね。」

まゆ子「で、ポラパァーラはこの戦闘で負傷して、ヒィキタイタンに付き添われて現場を離脱する事になるわけだ。マキアリイ一人が殿を務めて。
 脱出艇か飛行機で離脱して、一人残るマキアリイの背中を見ながらヒィキタイタンに対して「あの方の妻になりたいのです」と涙を零すのだ。」
釈「ドラマだなあ。」
まゆ子「この脱出行で手間取って、ヒィキタイタンは短期間行方不明となる。だがもちろん愛する妻ユミネイトの所に帰ってくるさ。」

じゅえる「マキアリイはどうなるのだそれ。」
まゆ子「あー、アイツのことだから、なんだか不思議な冒険をして無傷で帰ってくるさ。当然のように。」
釈「ですね。ヒーローとはそういうものですよ。」

じゅえる「そう考えると、ポラパァーラは多少嫌味な女でもシリーズの最中にどんどんいい奴になっていくタイプじゃないか、コレ。」
まゆ子「うーむ。そうかもねえ、とにかく最後は1年半の任期を務めて円満終了してマキアリイ事務所を去っていくのだ。
 だったらどんどん良くなるタイプの方がいいかなあ。」
釈「迷うところですね。でも最初はちょっと嫌な感じで、でもその分世界観を広げる方に属性を向けた方がいいのかもしれない。」
まゆ子「世界観を広げる、ねえ。うん。」

 

       ******

じゅえる「その前にさ、ユミネイトの性格設定をしなければいけないんじゃないか?」
釈「この間設定作った時は、……性格は設定してませんね。」

まゆ子「この女、かなりきついよ。」
じゅえる「そうなんだ、意外だな。」
まゆ子「意外じゃない。この子はタンガラムからゥアム帝国に渡って、そこでとんでもない競争社会に放り込まれるのだ。

 ゥアム神族はもちろん極端に優秀なのだが、その家族は神族の位を持たないとしても世間的には只者である事を許されないのだ。
 凄まじい学歴競争があり、上流階級に所属する為の資格を得る為に必死の勉強が必要になる。もちろん他人を蹴落としてだ。
 さらに悪いことに、普通の神族とは関係ない家系の人間ものし上がる為に凄まじい努力をして、彼らと競合する。
 もちろん門地の無い人間が出世するのは難しく、神族の家族が経営する企業や財閥に所属して使われる身となるわけだ。
 だが彼らは神族家族の能力資質を厳しい目で審査している。口には出さなくても態度は出る。

 ちなみにですね、ゥアム社会においては神族は形而上の存在みたいなもので、実業の世界はこの神族家族が実質取り仕切っているのだ。
 つまり、ゥアム帝国の実質支配者はこの階層となる。そして極端に優秀な人間ばかりである。
 当然に、彼らに仕える下層階級出身者も極端に優秀である事を要求される。
 とてもではないが、のんびりゆったりとかはありえない世界なのだ。

 そして労働者階級というものがある。彼らはそれこそ神童でなければ勉学をする事すら叶わない。
 そして神童であったとしてもとんでもない競争に放り込まれるって寸法だ。

 とにかく神族の娘に生まれてしまった事は、ユミネイトにとってはむしろ災厄に近い出来事だと、改めて思い知らされたのだ。」

釈「イヤな世界ですねえ。そんなの息が詰まりますよ。」
まゆ子「実際詰まりますよ。で、ユミネイトは今回タンガラムに帰ってきて、ほっと息を抜いてそのままタンガラムのノゲ・ベイスラ市の巫女寮に居候し続ける事となる。
 ついでにソグヴィタル大学でゥアム語教師として働く事となる。

 ちなみに音楽留学をしたタルちゃんもソグヴィタル大学でピアノと語学演習を教えている。
 会話の流暢さに関しては、音韻の天才であるタルちゃんの方が幼少より学習してきたユミネイトよりも遥かに上手い。ユミネイト思わぬ敗北する。」
釈「そしてタンガラムに居着いて、ヒィキタイタンと結婚する事になるわけだ。まあ、自然ですね。」
まゆ子「ちなみにヒィキタイタンはゥアムに渡った彼女と長年文通してきました。だから今回帰国の際にも通知が来て、ヒィキタイタンは忙しいからマキアリイが飛行機で迎えに行く事となる。」

じゅえる「それ重大な設定じゃないかい? 巫女寮に住み着くんだから、第六巻以降も彼女出演するってことだろ。」
まゆ子「重大な設定ですね。巫女寮設定はかなりいい加減にでっち上げましたが、結構便利に使えますね。」

 

釈「それでですね、ゥアム社会はそんなに競争社会で、当然にタンガラムよりも発展してるんですよね。そこまでガンガン優秀な人間を育成すれば。」
まゆ子「と思うだろ。
 もちろんそうなのだ。だが、だからといってこの時代の水準を大きく超える発展をするってことも無いのだ。

 やはり地球の現代文明ってのは大衆消費社会であればこそ、って側面が大きい。
 この社会は上流階級の質を極端に高めるが、大衆社会にとっては、そりゃあ物質的には発展してますが非常に面白くない不満が渦巻くものなのだ。」

じゅえる「ははあ、革命だな。」
釈「革命だな。」
まゆ子「革命思想には到達しないのだ。実質支配層の上に、更にゥアム神族という神の如き存在が君臨するからには、革命が愚かなものとしか思えない。
 むしろ上流階級にとって極めて恐ろしいのが、神族の裁定だ。
 極めて優秀な彼らのレベルであっても、神族の思惑はまったく理解できない。理解させようとも神族は思わない。
 まさに神の如き理不尽さで現実世界の革命的変更を指示してきて、これに逆らう事はできない。

 いや逆らってもいいのだが、その報いは恐ろしい。
 なにせ下層階級出身者は、たとえ所属する利益団体が滅びるとしても、神族の意思を最優先に従って行動する。
 何故か。その方が面白いからだ。

 神族家族階級が牛耳る現実世界において、表立っては彼らには反逆する機会はまったく無い。神族家族は謀略や暗闘も大得意だ。
 だが神族の上からの指示を実行することですべてがひっくり返るわけだ。今まで偉そうな面をしていた奴らが真っ青になって荒れ狂う運命に投げ出されるのだ。
 こんな面白い話は他に無い。だから神族の意思には絶対的に従うのだ。
 もちろん怒涛の改変の先には新しい秩序が構築されて、彼ら下層階級出身者が落ち着くべき場所は十分に用意されている。仕える者であるからこそ柔軟に配置転換出来るわけさ。

 そんなレベルに上がれない労働者階級であっても、そりゃあやっぱり面白い。そしてしばしば社会の変革は新たなる利権構造を生み出して、彼らにとっても儲かる話も発生する。
 まあ、損することも多いけどね。そのくらい普通だよ、社会の流れ変革なんてどこの国だって起こっている。だから流されるままだよ。それでいい。

 つまりはしばしば官製革命が起こっているわけだから、下層階級労働者階級による革命を望まない。
 まあ現在はタンガラム民衆協和国との交流によって「民衆主義」「協和主義」が流入して、新たなる社会秩序のアイデアが供給されて運動家も増えているけどね。」

 

じゅえる「タンガラム社会の情報って、特に制限されてないんだ。ゥアムにおいては。」
まゆ子「ああ、うん。つまりだね、ゥアムの上層階級においてはタンガラムのあまりにも大衆的な文化や社会制度はあまりにも低レベルに感じられるんだ。
 そもそも神族が居ない、というか居ても役立ってないという呆れてしまう状況で、これは劣った社会だな。なんて思ってる。
 思っているのだが、しかしタンガラム社会はちゃんと立派にやっていけてるし、神族による学問の追求が無いにも関わらず現代科学文明が成り立っているし、ゥアム技術水準に追いつかんとしている。

 これは理解を越えた状況であり、ひょっとしたらここまでの競争社会なんて本来必要ではないのでは? と考え出している。
 もっと穏やかな評価によると、過剰な競争は逆に社会の発展を阻害する要因と成っているのではないか? と自省する材料ともなる。
 そしてタンガラム大衆文化、特にエンタメコンテンツの流入だ。
 下層階級労働者階級にとって、自らとほぼ同水準の国民がこれほどに気楽に豊かな娯楽を繰り広げているのは衝撃であったのだな。
 そこで下層階級文化というものを見直す風潮となり、ひょっとしたらこの下層階級だけで存在する文明の上に神族社会というものが乗っかっているに過ぎないのか?と考え出している。」

釈「難しいですねえ。どう転ぶんですかそれ。」
まゆ子「そりゃあ、そこにタンガラム風民衆協和主義を宣伝布教して回るのが、ヴィヴァ=ワン総統のゥアム親善旅行ってわけさ。これからだよ。」
じゅえる「ふむ、つまりはヴィヴァワンさんは攻めに出たわけだな。」
まゆ子「そうだよ。別に自分が引退する前にどかんと一発大きな花火を上げに行ったわけじゃないのだ。

 というわけさ。
 ユミネイトはゥアムの大学をそれなりの成績で卒業したが、重要な公職に就けるほどの天才ではない。
 だから父親の神族学者の研究室を手伝いながら、今最もHOTなタンガラム文化コンテンツを翻訳する作業の監督監修を行ってるのさ。」

 

釈「ユミネイトの性格って、それでーどうなりました。」

まゆ子「あー。明美センセイ!」
じゅえる「やはりそう来るか。」

明美「ジャジャジャジャん、来ましたよお。ヒロインですねユミネイトさんは。」
まゆ子「どうしよう。とりあえず第五巻においてはきつい性格だ。そこは決まっている。」
明美「「潜水艦事件」の頃はどうなんです、彼女は。」
まゆ子「それはもう可愛い、可哀想な典型的お嬢様ヒロインです。悲劇の主人公ですよ。」

釈「そう言われると、逆に性格が分かりませんね。強いのか弱いのか。」
じゅえる「タンガラム時代は可愛くて普通で、ゥアムに行ってきつくなって、帰ってきたらまた元に戻るんじゃないか?」

明美「つまりませんねそれ。」
まゆ子「ごもっともで。」
明美「ぱぱーっと弾けましょう。」
じゅえる「いや、それは分かる。わかるが、どうする気だ。ビッチにでもするか。」
釈「そりゃあダメでしょう。ヒロインがそれは許されません。」
まゆ子「弾けるってのは、どういう性格だ? 私まったく分からない。」
じゅえる「パンク?」

 

明美「なんですかそれ。
 つまり、ヒロインなんですよね。ヒロインというのはファンに好かれなければならないのです。美点に溢れているのです。」
釈「それはそうですが、それは理想の女の子…、あいや、そうだからこそヒロインなわけですが。」

明美「典型的なヒロインというものは、定型的なヒロインではない。これはいいよね。」
まゆ子「あー逆説的ではあるが、わからないではない属性だ。」
じゅえる「つまりは物語において、大ヒットした物語のヒロインというものは基本的に定型ではないという典型を持っている、て奴だな。」
釈「あー分かります。印象的であるいうのは、定型を外しているからこそ目立つんですよね。」
明美「つまりユミネイトは典型的ヒロインではあるが定型的ヒロインではない。」
まゆ子「なるほど、なるほど。」

明美「そして属性としてはパーッと弾けるというのを要求するわけです私が。」
じゅえる「ふむ、定型の何処を外すか、て問題だな。」
まゆ子「つまりは欠点なのか。」
釈「欠点もいいですが、あまり作りすぎると嫌味ですよ。」
明美「伸ばすか欠くか、どちらにするか。今回は欠きましょう。」
じゅえる「人格的に欠損部分の有るキャラ、か。なるほど、それは確かに物語の登場人物として普通に無ければならない属性だ。」

明美「さて、ではこのユミネイトという人はどういう役割を持って物語に登場するか。これを存分に表現できなければ困るわけです。
 物語世界において、このキャラは何を象徴し主人公に何をもたらすか。
 それを十分に表現できる為の属性とは何か。これです。」

じゅえる「一つだけ分かっている属性が有る。
 カニ巫女が棒を振り回すから、ユミネイトは戦うキャラではない。」
釈「確かに。」
まゆ子「そこは当然だな。戦闘にはまったく役に立たないのはデフォルトでよい。通常ヒロインは役に立たないものだし。」

明美「これは物語の設計の問題にもなるんだけど、母親が死んだ、父親は外国人で常時居たわけではない、という幼少時の体験から肉親に対して情緒不安定である。
 これは採用したくない。」
まゆ子「ああそれは、むしろ有ってもいいんじゃないかな?」
じゅえる「その定型はたしかにアリだが、逆にそれが嫌なんだな?」
明美「ヒィキタイタンに、あるいはマキアリイに対して家族的な接し方を求めるというのは、このキャラにはそぐわないと思うんだ。世界観を表現するにしても。」

釈「英雄二人に対して特別な親密感を抱いてはいけない、ということですか。」
明美「マキアリイに対しては特にね。なにせこの物語の真の主人公はクワンパさんであり、クワンパさん夢小説であるのですから。」
まゆ子「なるほど。」
じゅえる「あくまでもクワンパ主人公を引き立てるための、ヒロインてわけか。なるほど抑えておかねばならんね。」

釈「という事は、ユミネイトはヒィキタイタンに対してはあくまでも恋愛の対象として向き合う事になるわけですね。いきなり家族というものを求めるのではなく。」
じゅえる「恋愛をちゃんとするタイプって事か。ちゃんとした恋愛というのはなかなか難しいな。」
まゆ子「いやだいたい物語のヒロインてのは真正面からの恋愛ってあんまりしないものではないか? というか、それは恋愛大王道系のカテゴリのシナリオだろ。」
じゅえる「ああ、これは恋愛こそが物語の中心テーマってお話のヒロインだな。」
釈「そういう考え方をするのであれば、このヒロインはまさにヒロインです。ヒロインオブヒロインズです。」

明美「であれば、弾けるというのはまさに恋愛に真正面から立ち向かうという典型で行きます。」
じゅえる「うむ。探偵物語のヒロインというのは悲劇の主人公という属性が強くて、恋愛指向てのは定型ではないからな。」
釈「それは推理小説なんかだと物語ぶっ壊し系のキャラですからね。」
まゆ子「え、壊れるの?」
明美「だから弾けるったら。」

 

       ******

明美「さてここで、このユミネイトには不思議な属性が有ることが判明します。
 この子、「潜水艦事件」のヒロインです。」

まゆ子「ああうん、そうだよ。」
じゅえる「今更言われても困るんだが。」
明美「つまりこの子は、自分が拐われた事件の映画が何本も作られて、遠い異国のゥアムの地において自分をモデルとした物語を見せられるという不思議体験をしているのです。」

釈「ああ! そりゃ人格が歪みます。」
まゆ子「歪むか、歪むなそれは。」
じゅえる「自分とは何かについて、常に自問自答しているようなものだな。それは。」
明美「その中で特に酷いのは、3作目『ふたりの英雄 潜水艦事件秘録恋歌』です。これまるっきりの恋愛映画です。ユミネイト主人公で、二人の若き英雄に恋をするという。」

じゅえる「恋愛観、歪んでるのかこいつ。」

まゆ子「あああそうなんだよな。「潜水艦事件」の映画は4作も作られて、それはゥアムにも輸出されて下層階級に大人気なんだな。
 それに第3作は女性視点から恋愛ものとして構築されているから女性に大人気で、やっぱりゥアムでも女性から圧倒的に支持されるんだ。
 それを本人が見てるとなると、うん。なんだ、人間どうなる?」
釈「いやそれはー、自分が思ってもいなかったことを「おまえこうだろ?」と言われちゃうわけですから、自分でもそんな気になるんじゃないですかね。」

じゅえる「でもさ、「潜水艦事件」の映画ってそんなに早くから輸出されていたのか?」
釈「そうですねえ。第3作は6年前ですか。既に成人していますよねユミネイト。」
まゆ子「実はマキアリイ映画が輸出されるようになったのは、ここ3年だ。
 その第一弾がまさに「英雄探偵マキアリイ 実話:唸る鉄拳 侠(おとこ)百人殴り」で、一挙に超英雄として大ブレイクして、関連映画が怒涛の勢いで押し寄せた。

 ユミネイトはそれ以前から細々と輸入されたタンガラム映画の翻訳とかに参加していたのだが、「潜水艦事件」のヒロインである事がゥアムでも知られて別格扱いにされている。」

じゅえる「つまり、大ブレイク以前はカルト映画的なものだったのか。」
まゆ子「まあ好きな人は好きという、それでも下層階級向け娯楽の薄いゥアム社会においては結構な人気でしたが、「侠(おとこ)百人殴り」で一気に市民権ですよ。」
釈「ほお。」

まゆ子「ちなみに、それ以前においてタンガラム映画として知られていたのがボンガヌ・キレアルス監督作品で、高度な芸術性と高い大衆娯楽性を兼ね備えたゥアム社会からは決して生まれない作品として高く評価されていました。
 この人結構な作品数を撮っていますから、タンガラム映画と言えばキレアルスという代名詞的な存在です。
 ゥアム帝国の映画人もキレアルス監督を高く尊敬し、彼の作風を真似た作品を撮っています。」

 

明美「話を戻しますが、ユミネイトはそういうわけで自分を若干客観的に見ている。特に恋愛に関してはほぼ絶望的な観念を持っている女性です。
 というか、神族家族ってのは要するに政略結婚も激しくて、ただでさえ互いに競争し合っているのにそいつらと恋愛しろなんて無茶もいいところで、結婚なんてしようとも考えなかった。」

まゆ子「やっぱり競争社会って良くないのかな。」
釈「ああ確かに、恋愛にうつつを抜かすと競争脱落って感じじゃないですかね。その社会構造だと。」
じゅえる「逆に金銭的に女性を買うとか妾を囲うとかの風習が発展しているんじゃないかな。あくまでも合理的に生殖行為を行なうという事で。」
まゆ子「嬉しくないなあ。というか、そういうところは割と前近代的なんだな。」
釈「なにせ帝国ですから。」

じゅえる「つまり、ユミネイトはゥアムに居る間は恋なんかしなかった。しようも無かったわけだな。」
明美「そういう人間が、自分が主人公の恋愛映画を見せられるわけですよ。なんじゃこれはと思うでしょ。」
釈「思いますね。」
明美「そんでもって、ヒィキタイタンと長年文通をしているわけです。恋愛はともかく、タンガラムと繋がっているという感触は常に彼女を支えてきたわけです。
 ところで、マキアリイとは文通しないの?」
じゅえる「どうなんだ?」
まゆ子「マキアリイは、転居を繰り返して職業もコロコロ変わりましたから、何時しか手紙も届かないと。
 ヒィキタイタンと連絡出来ていれば事情は分かるから困らないです。」

じゅえる「そんなもんか。まあそういうわけで、ヒィキタイタンとは長く心を通じ合っていたのが、今回タンガラムに戻ってきて本人同士対面したらどーんと恋愛感情が爆発した。
 そういう話だろうか。」
明美「ダメかな?」
釈「いえいえ。大歓迎です。」

 

まゆ子「ところで、神族家族、という言葉は流石にぬるいな。もうちょっときりっとした固有名詞で描きたい。」
じゅえる「カッコイイ名前な。いかにも特権階級的な。」
まゆ子「で、まずは神族階級というのがある。「神族」でいいんだが、ゥアム帝国においては太陽に生きた人間から抜き出した心臓を捧げたりする風習がかっては有ったわけですよ。
 であるから、ゥアムにおける尊称として『黄金の太陽神族』などと偉そうな名前を使ってもいいと思います。」
釈「アステックですね。」

まゆ子「で、その家族になるわけですから、太陽の下となると月ですね。」
明美「この世界って、月2つ無かった?」
釈「白の大きな月と、蒼い小さな月です。「げばると処女」設定ですね。」
じゅえる「白い月が神族家族として、蒼い月は神官とか宗教的な存在として、その下に実務に携わる下層階級出身の高度教育を受けて成り上がった者が居る。こんな感じで。」

まゆ子「では神族家族は「銀月の尊属」という感じに、宗教勢力は「蒼月の神僕」という名前にします。」

明美「宗教勢力というのはゥアム社会においてはそれほど尊重されているものなの?」
釈「神族が圧倒的な尊敬を集めている中で、別の宗教権威を認めるかってお話ですね。それとも神族を補完する存在ですか。」
まゆ子「たしかに補完するものではあるが、そうだなゥアム神族が発生する前から存在する十二神信仰に似たようなもので、太陽信仰があったわけさ。」

じゅえる「皇帝というのもあるんだよな。共同幻想としての。」
まゆ子「あーうん、そうだな。つまり太陽の化身としての「皇帝」が在り、それに従う存在としての宗教勢力であり、ゥアム神族のラインからではなく神官宗教組織が直接に下層階級に対して皇帝の恩寵を授ける。
 そんな感じの存在である。
 ゥアム神族は自らを最高の存在とは必ずしも主張しない。むしろ天上の秩序とは別に、人間界において最高の存在として君臨する。
 その為の舞台装置としての宗教組織と考えましょう。」

じゅえる「めんどくさいな。」
まゆ子「いやそうでないと、人間の力では如何ともし難い天変地異を説明できないし、その被害を神族の責任にされてしまいますから。」
釈「そうですよね。どれだけ優れた人間でも自然には勝てませんからね。」

まゆ子「ちなみに弥生ちゃんがゥアムに行った時、一番暗殺で襲ってきたのがこの神官組織。
 弥生ちゃんを「暗黒幡星」と呼んで悪神扱いでしたが、まあ「ぴるまるれれこ」ですから当然ですね。むしろ正確に応対してくれたわけです。」

 

******  

 

2017/12/18 

 

(中略)

 

******

まゆ子「というわけで、新しい話を考えます。」

釈「「罰市偵」ですか?」
じゅえる「まあ、次の話を考えるべき時期かね。第三巻最終話の「ハリウッド殺人事件」」
まゆ子「ハリウッドはホーリーウッドではなく、ヒイラギの林って意味です。そこを踏まえて『聖柊林』殺人事件とします。

 じゃない、そうじゃないんだ。実は第五巻のお話だ。
 このお話のヒロインは「潜水艦事件」のヒロインで、父親がゥアム神族の外交官にして物理学博士のタンガラムとのハーフの少女です。
 当時16才だから、26才になりますね。」
じゅえる「行き遅れ、だな。」
まゆ子「それを言うな。」

釈「タンガラムにおいて結婚適齢期って何歳くらいでしょう?」
まゆ子「22才。」
じゅえる「早いな。」
釈「早すぎはしませんから、よしとしましょう。」
まゆ子「ちなみにヒィキタイタンの妹は24才で、まあやっぱりヤバイ年齢だ。」

釈「それで、そのヒロインがどうしました。」
まゆ子「名前が決まった。ユミネイト・トゥガ=レイ=セト というめんどくさい名前だ。
 ちなみにユミネイトが名前で、後はゥアム名での姓となる。母親の姓はゥアムでは引き継がない風習。というか、後ろのはギィ聖符で3文字だ。」
じゅえる「ふむ、漢字3文字名ということか。」

釈「名前が決まるのはいいですね、話がやりやすくなります。」
じゅえる「で、問題が有るわけだ。」
まゆ子「だってさー、ただのポッと出のキャラじゃないんだから、過去の事件のヒロインだし、ゥアムに行ってる間でも色々有ったんだし。」
じゅえる「皆まで言うな。設定が足りない、まるで無いんだな。」
釈「あー、ヒィキタイタンと一緒ですかー、そりゃーまた外伝書かないと駄目ですねえ。」
まゆ子「というわけさ。しかも今度はゥアムでの彼女の生活という話になる。

 で、ゥアムってどんなとこ?」

釈「     ですよねー、   hahaha、どうしましょ。」
じゅえる「そりゃあ、うんまあ、その、なんだ。イメージ的にはアメリカなんだ? アレ。」
まゆ子「インディアンが作った現代アメリカ、的なものです。外国からの侵略を受けた事無いですから。」
釈「まためんどうなものを。」
まゆ子「ちなみにこの間考えた「ネガラニカ」の件において、ゥアムに弥生ちゃんが上陸した時の状況を考証しました。
 聖蟲を乗っけたゥアム神族を相手に、恐竜に乗った弥生ちゃんが槍で戦って何人もから聖蟲を強奪するという荒業で、世界を変革しました。」

釈「恐竜って、デカいティラノとかですか。」
まゆ子「小さなイグアノドンくらいだなあ。ベロキラプトルくらいの大きさで。もちろん草食獣。」
じゅえる「恐竜騎兵か。」
まゆ子「ゥアム帝国の特色としては、二足歩行獣に乗る騎兵が居るってとこですね。ダチョウに乗ったりカンガルーに乗ったり、いろいろです。」
釈「それは良いことなんですか?」
まゆ子「少なくとも、古来より騎獣を利用する技術を持っていたから、他の方台よりも技術が早く進歩したってところは有る。やはり速度は大切だな。
 うん、恐竜というのではなく、二足歩行するカモノハシという手もアリか。」

じゅえる「頭いたくなってきた。でも現代アメリカなんだろ、摩天楼が立ち並ぶ。」
まゆ子「あー。そこまで高層ビルが要るかなあ。」
釈「なにか工夫をしましょう。摩天楼を建てる理由付けが必要です。たとえば、商業ビルでなくて教会ということでもいいんですよ。」
じゅえる「そうだなー、ニューヨークが例外であって、ヨーロッパの第一次大戦くらいの街はあそこまで林立しないしな。」
まゆ子「ほどほどだよ。でも高いビルは建てよう。電波塔として。」

 

じゅえる「でも実際、そりゃあオオゴトだよな。そもそもそのねえちゃんがどうしてタンガラムに戻ってきたのかの理由を考えるだけで、これ設定が膨大に発生するんだな。」
釈「ええ、もちろん面白いお話になる理由でないと困るわけですよ。理由から考えて設定を膨らませましょう。」

まゆ子「基本設定においては、第五巻で原子力開発が題材ですから、ねえちゃんも原子力関連技術に関係する部署に携わっていたと考えるべきで、父親が物理学者であるからそこは普通に納得していただきましょう。」
じゅえる「そうかなあ。ゥアム神族が博士としたら、普通の人間に過ぎない彼女がその域まで到達は出来ないだろうやっぱ。」
まゆ子「そうなんだよねえ、神族と一般人の差は聖蟲が無くてもとんでもなく隔絶してるんだよねえ。」

じゅえる「すくなくとも、ゥアムの公的機関の所属ではない?」
まゆ子「うん。個人的理由でタンガラムに戻っていると考えるべきで、父親の意向を汲んで来たとしても役人ではない。」
釈「それまでにも公的機関に所属した経験は無い?」
まゆ子「大学は行ったと思うんだが、大学職員くらいは有ったのかもしれない。司書くらいは可能なレベルの知的能力は有ると考える。
 とはいえ、ゥアムは超競争社会だからね、少なくとも知的な分野においては。」
じゅえる「頭は悪くないが、トップレベルとは程遠い、そんなもんか。」
釈「そんなもんですね。」
まゆ子「ゥアム神族としての英才教育を受けていない、タンガラム育ちであるからのびのびと育っており、そんな競争社会にいきなり放り込まれて随分な苦労と努力をしたわけです。」
釈「うん、頑張ったんですね。」

じゅえる「じゃあ、父親の神族博士の研究室の司書だった、というくらいにしておくか。」
釈「そうですね。コネで就職するくらいが適当ですね。」
まゆ子「むしろ、タンガラム関係の国際友好団体に加入してボランティア的に働いていた。そういう線で行くべきではないだろうか。」
じゅえる「なるほど。」
釈「タンガラムは母の国ですから、それはアリですね。ましてやマキアリイ映画も輸入されて自分もその上映の仕事に関与していたとか。」
まゆ子「うん。だがゥアム帝国におけるエンタメ業界がどんな形態をとっているか、まったく知らないんだよねー。」
釈「だよねー。」

 

まゆ子「うんなるほど。だいたいわかった。
 つまり彼女はタンガラム生まれという特性を十分に活かす職業をしているんだ。単に通訳というものではなく、タンガラムの風習文化についてもネイティブで知っているというアドバンテージがある。
 そこで、タンガラム文化紹介ということで、マキアリイ映画の字幕作成やら吹き替えやらに立ち会ったり、タンガラム社会のニュースの分析なんかを行う仕事をやっている。

 それと同時に、父親の研究室の司書として、タンガラムの新進気鋭の原子力物理学者との交流の窓口役を務めている。
 まあつまり、この父親は神族外交官であると同時に原子力物理学者であり、タンガラム物理学者にゥアム学会の最新研究を教える師匠であるわけだ。
 ただし、「闇御前」が進めているタンガラムに発電用原子炉を作ろう的な秘密計画に関しては、自分はタッチしない。事情は分かっているが何を言う立場でもない。
 ただ、タンガラム原子力物理学者の動きから、タンガラムでそういう事業が行われているとは察知する。

 ところが、「闇御前」が逮捕された後に彼らの動きに変動が見られ、どうもゥアム政府の側が工作活動を行いタンガラムの原子力発電計画を阻止しようとしているのではと読み解く。
 そして、旧知のタンガラムの学者が危機的状況にあると見抜いて、娘ユミネイトを母国に送って救ってやろうと考えたわけだ。」

釈「なるほど。」
じゅえる「父親の神族が陰謀を見抜いた、ってことだね。なるほど、それは娘自身が察知するよりもはるかに納得し易い。」
まゆ子「この流れを固定でいいかな。」
釈「はい。」
じゅえる「うん、許可する。」

釈「つまり、娘ユミネイトは父親の研究室に手紙を送って交流していた原子力物理学者を訪ねて回るわけですね。リストに従って。」
じゅえる「うん、なんか黒革の手帳的な展開だ。」
まゆ子「なるほど。つまりリストを辿っていく内に、どんどんと事件がエスカレートしていく、という展開にするか。」
じゅえる「だな。最終的には一番重要な学者に辿り着き、決着に至るわけだ。うんうん。」

 

まゆ子「……トウリさんを出すか。

 ヒロインはユミネイトなんだけど、もう一人ヤバイ感じのゥアム美女を。」
釈「ああ。そういうことであれば、ゥアム帝国から来た刺客、って感じではどうでしょう。」

じゅえる「刺客と言っても、アレの犯人は「幻人」と決まってるからな。脳内怪人だ。」
まゆ子「脳内怪人専門ハンター、というのでは?」
釈「アリです。」
じゅえる「うむ、第三者的な立場はいいね。」

まゆ子「つまり、この事件においてはゥアム帝国は3方面からの介入を行うわけだ。

 一つは、「闇御前」バハンモン・ジゥタロウと結託して国際陰謀を行い、タンガラムに原子力技術を移転させる計画を行ってきたが、「闇御前」逮捕を契機として計画の破壊を目論み、刺客として「幻人」を放った勢力
 二つ目が、その陰謀から前途有為の若手物理学者を守ろうとする「潜水艦事件」のヒロイン勢力。
 三つ目が、ゥアム皇帝政府によって派遣された「幻人」ハンター。放置すると「幻人」の被害が大拡大パンデミックしちゃうのを阻止する

じゅえる「幻人、てのは、どうやって滅ぼすんだ。脳内に住んでいるんだから、憑いてる人間を殺すのか。」
まゆ子「殺します。」
釈「殺しましょう。」
まゆ子「殺すと言っても、幻人自身は知的能力も高く行動に世間の法の枷も無く、どのような非道な振る舞いも出来るから、かなりのオオゴトになるわけですよ。」
じゅえる「そこで専門ハンターが必要ってことか。なるほど、ではハンターも強キャラでないといかんね。」

釈「そうですね、「幻人」が取り憑いたマキアリイを、そのままに放置しておくという選択肢は、物語の展開上ダメですからね。スリリングでないと。
 「幻人」が取り憑いたことでマキアリイが破滅すると、明確に表現しなくちゃいけません。早急な治療が必要だと。
 具体的な刺客の存在は良い展開です。」

じゅえる「殺そう! その女、トウリさんは後の回でも使うとして、男の脳内怪人ハンターがこれまた凄腕なんだけど、幻人の悪辣な罠に嵌って惨殺されるという猟奇事件!」
釈「おう! エクセレント・かませ!!」
まゆ子「うむうむ、そのくらいは必要だね猟奇事件。」

じゅえる「で、トウリさんは2メートルなんだ。身長。」
釈「さすがにそれは、185くらいにしましょう。マキアリイが183センチですよ十分デカ女です。」
まゆ子「そうだな、ヒール履いたらマキアリイよりもデカイ、というのが良い感じで。」
じゅえる「エロいのか?」
まゆ子「そりゃあ、」
釈「おっぱいぼいんぼいんでしょう。さすがはゥアム人てくらいに。」
じゅえる「アメリカンなわけだな。

 ユミネイトのおっぱいは?」
釈「そりゃータンガラム的にささやかな。」
まゆ子「貧乳とそしられない程度には有りますよ、さすがに。全体的にスリムな知的キャラですが、後にヒィキタイタンの嫁になるのですから、それなりに良い身体です。」
じゅえる「まあ、世間一般のヒィキタイタン信者が嫉妬する程度にはモデル体型の美人だな。うん。」

 

まゆ子「まあそれはそれとして、ユミネイトのキャラに厚みを出すために、やっぱりまた外伝書かないといけないのさ。」
釈「いけませんねえ。仕事ばっかり増えますよ。」

じゅえる「ところでさ、彼女はゥアム帝国から来るんだから東岸部の都市に汽船で来るんだよね?」
まゆ子「そりゃ当然に。」
じゅえる「東岸部には原子力物理学者、居ないわけ? 居るならまずそちらに挨拶に行くだろ、この流れなら。」
釈「当然ですねえ。」
じゅえる「マキアリイもヒィキタイタンも東岸には居ないぞ。」
まゆ子「あ。」
釈「行きがかり上そうなりますか、そりゃまずい。彼女が一人で猟奇事件に遭遇する。」

まゆ子「マキアリイを出迎えに出すか。しかし東岸部は遠いからなあ。幹線鉄道を乗り継いでも1日はかかる。」
じゅえる「飛行機で行けばいいじゃん。」
釈「おう、そうでした。マキアリイは飛行機操縦出来るんです。おんぼろ水上機の後席に乗せてヒィキタイタンの居る首都ルルント・タンガラムまで飛びましょう。」
まゆ子「分かった。そこは手配する。というか、いい具合にその展開だとクワンパがノゲ・ベイスラに置き去りになるな。うん予定通り。

 そうか、東岸部の途中には先進科学都市であるギジジットがあって、そこには当然に最新科学としての原子力発電所建設プロジェクトも有るんだ。
 ユミネイトはそこには必ず行く。であれば、足が必要。
 マキアリイの水上機で飛んでいくさ。」
釈「機体のレンタル代がとんでもない事になりますね。」
まゆ子「うん。首都に行ってヒィキタイタンに言われちゃうのさ、「自分の飛行機貸してやったのに」って。」
じゅえる「ああ。そりゃーまずかったね。クワンパに殴られる。」

 

******

まゆ子「さてそれではユミネイトのキャラについて考えよう。

 現在26才タンガラムの母とゥアム神族の外交官にして物理学者である父との間に生まれたハーフで、
 母親はどうなった?」
釈「潜水艦事件の時は母親はどうだったんですか。」
じゅえる「というか、彼女16才の時にはもう許嫁が居ただろ。たしか、アホな事をやって殺されてしまう。」

まゆ子「あー、そういえばそうでした。でも許嫁かあ、もちろん神族の父親が居るわけだから上流階級出身なわけだが、タンガラムにおいてもそうなのか。」
釈「そうですね。神族ですからタンガラム側でも上流階級が接遇している内に、名家の娘が恋仲に落ちて、というシナリオですね。
 許嫁はその名家の線で。」
じゅえる「そこに問題は無い。しかし16才からもう結婚となると、どうなんだろう。政治的か家系的な都合というか背景というか、複雑な事情が有るはずだな。」

まゆ子「となるね。母親の事情がよほど変なのか、それとも神族の嫁になってしまったのがダメなのか。」
釈「経済的な事情からかな。」
じゅえる「どっちがいいか。なにか家系的な問題か、経済的な問題か。」
まゆ子「うーん、どっちが面白いかなあ。」
釈「つまりネタが有るか無いかですね。このゥアム神族がタンガラムにおいてどの程度の影響力を持つ人物であるか、……原子核物理学者だから学問関係か。」

じゅえる「うーん、それは無しで。母親は生きていた、少なくとも潜水艦事件直前までは生きていた。ああ、こういうのはどうだろう。
 タンガラムの名家の娘がゥアム神族と恋に落ちて、結婚というのではなく愛人となってユミネイトを産んだ。
 しかしながら、彼女はゥアムに行くことは拒絶してタンガラムに住み続ける。神族の彼は行ったり来たり。
 母親はユミネイトを養育するに当って特に経済的な困難など無く裕福ではある。しかし、彼女の懸念はユミネイトがゥアム帝国に連れて行かれる事だ。」

まゆ子「わかった。ユミネイトがゥアム帝国に連れて行かれない為に実家に頼んで鎖を付けておこうという話になって、許嫁という方法を用いていたんだな。」
釈「それでは、許嫁とは名ばかりで本人には何も思うところは無いのですか。」
まゆ子「そうかもしれない。少なくとも母親が生きていた時分においてはそれでよく、成人した後に本当に結婚するかどうかは自分でなんとかするつもりであった。
 しかし潜水艦事件の1年くらい前に母親が病死して、ゥアムに帰っていた父親がタンガラムを訪れ、ユミネイトを連れて行こうと考える。」

じゅえる「うん。母親が死んでいるという不幸は、ヒロインとして適当な属性だな。」
釈「もう少し属性が欲しいところです。父親が長く不在が多かったことが何か彼女のパーソナリティに影響を与えるとか。」
まゆ子「まあそれはともかく、許嫁の男の方は十分に彼女に対して惹かれており、さらに神族の親戚となることで権益的利益が発生することを十分に認識している、と。」
じゅえる「やっぱりゥアム帝国と結びつきが有ると有利な点が発生するのか。」
釈「これは潜水艦事件の陰謀とはまったくに関係の無い、実業的な利益ですかね。官界で公務員として、外交官になるとかではなく。」
まゆ子「ふむ。やはり実業だな。金儲けだよ。」

釈「この許嫁の家系の設定をまず考えないといけませんね。」
まゆ子「つまりは、母親の家系の設定だな。その許嫁は多分親戚筋だから。」
じゅえる「またぞろ黒甲枝家にするか?」
まゆ子「いやいや、南海岸のイローエントかタコリティの名家で、……網元か。」
じゅえる「そうだな、許嫁の家系の方は網元くらいがいいな。地元の実力者だ。それで母親の方の家系は親族ではあるがもうちょっと公的に身分の高い、伝統のある。神族?」
釈「ギィール神族ですか。元々は海賊の家系であったとかでもいいんですよ。」
じゅえる「海賊王かー。逆につまらないな。銀行系にでもしておくか。」
釈「銀行金融系だと、あまりにも無難すぎますが、どうです?」

まゆ子「金融系でいこう。地元商工会の主催するパーティで神族外交官と遭遇してフォーリンラブなんてのは、堅い家であればこそ引き立つ。」
釈「そういう観点もアリですか。では銀行系の家系で。」
まゆ子「跡取り娘、というのではないな。他に兄妹が居てそちらの方が家業を継ぐ事になっていて、彼女は元から外に嫁に行く要員だ。で、神族と結びついて父母も諦め顔。」
釈「金持ちの家ならばその程度のイレギュラーはむしろ普通ですか。」

じゅえる「であれば、母と娘が二人で住んでいる小奇麗なお屋敷とかを普通に用意できるだろうな。誘拐事件の舞台設定としては十分だ。」
釈「その家は、神族の父親がタンガラムに帰ってきた時は家になるわけですよ。
 そして母が亡くなったという報せを受けて、父親はゥアムより戻ってきて、ユミネイトを本国に連れ帰ろうという相談を実家の筋と行っている最中、と。」

じゅえる「はは〜ん、なる。それはつまりだ、許嫁は網元の家の方では銀行家と繋がる為の重要なリンクであって、ゥアムに連れて行かれては困るという理屈なんだな。」
まゆ子「十分実利的合理的な判断として理解できるね。執着するはずだ。ゥアム神族の方は特に関係ないと。」

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