『ヱメコフ・マキアリイ対ジグラ』
 (読んで字のごとく、ゴジラ映画のぱくりである)

 

 ヱメコフ・マキアリイが海上で失踪して16年後に当時の怪獣映画ブームに乗って作られた異色作。

 というよりも、人間がどれだけ頑張っても巨大怪獣なんか倒せないよ、というリアル意見に対して
バカみたいな設定で答えようとする最初から無茶な企画であった。

 当然色物として考えられ、そもそもがここまで子供だましに子供も引っかからないだろう、
映画公開前の評判も最悪で、「死者を愚弄するな」的批判が殺到したのだが、
公開初日に全映画館満席。
 見終わって出てくる観客は涙の、わけの分からない状況が出現した。
 興行収益も、かっての「マキアリイ映画」時代を思い起こさせるほどの大成功。

 この成功を監督チナモンヤ・テナンダは分析する。
「いや、まじで世界を救ってくれそうな人物がヱメコフ・マキアリイしか居ないと、皆知っていたんですね。」

 本作の成功に気を良くした映画会社は「ヱメコフ・マキアリイ対ジグラ2」「ヱメコフ・マキアリイ対ジグラ 最期の決戦」の2作を制作した。
 作品ごとに監督を換える、或る意味逃げの姿勢であったのだが、
2作共に期待を裏切らない興行収益を上げ、円満なシリーズ終了となった。

 ただし、後追いしようとした他社は制作途中で撮影を断念。
 これは怪獣映画ではなく、あくまでも「マキアリイ映画」だと改めて思い知らされた。

 既に「英雄探偵マキアリイ」シリーズは終了し、その後に作られたコメディ「英雄社長」シリーズも終わった空白時代。
 報道映画は伝視放送に押されて過去のものとなり、現実の事件に寄せて描くのは時代遅れとなっていたが、
空想を交えてドラマを盛り上げる手法で十分にイケると判断した。

 こうして改めての映画化に挑み、生まれるのが「恋するカニ巫女クワンパ」ブームであった。

 (6240年代になると、伝視管表示機(有線テレビ)の性能が上がり価格も下がって、
  伝視館だけではなく一般の飲食店などにも客寄せで導入されるようになっていた。
  この映画は、6215年頃の若いマキアリイが40年代の現在の街に住んでいるという形になる。
  だから巫女はクワンパ)

 

 ・『ヱメコフ・マキアリイ対ジグラ』
   「ジグラJIGRAD」と呼ばれる古代の怪獣がタンガラムに上陸。あらゆる近代兵器の攻撃を受け付けずに大地を進撃する。
   やがてタンガラム中央部「ギジジット」の原子核発電所に至り、核エネルギーの吸収を始める。
   放射能被害を起こさぬためにもはやジグラに攻撃できないタンガラム軍。
   だが古文書によれば、かってジグラの頭頂部には寺院があり、活動を鎮める祭壇があったとされる。
   ここに「秘石」を納めればジグラは長い眠りに就くだろう。だが「秘石」とはなにか。
   無敵の英雄ヱメコフ・マキアリイが立ち上がる。
   不死の神人より託された青晶蜥神救世主「ヤヤチャ」の青い光を放つ秘剣を納めに行く。
   唯一人、山のようなジグラへの登頂を開始した。

   (ジグラの進路:南海イローエント上陸→スプリタ街道北上→ベイスラをかすめて毒地平原→ギジジット核発電所)

 ・『ヱメコフ・マキアリイ対ジグラ2』
   英雄マキアリイの活躍によりジグラは活動を停止し、平和は蘇る。
   そこにジグラを神と崇める邪教集団「ジーガハイル」がジグラ再起動の暗躍を開始する。
   政府秘密機関「透明部隊」が「ジーガハイル」との死闘を繰り広げた。
   だが奸計を巡らせ、特殊飛行機によりジグラ頭頂部の祭壇に舞い降りて「ヤヤチャの秘剣」を奪い取る。
   再びタンガラム軍対ジグラの戦闘。今度は新兵器を投入するも、ジグラの強さばかりが証明される。
   立ち上がる英雄マキアリイ。「ヤヤチャの秘剣」の再奪取に成功するが、動くジグラに登るのは不可能だ。
   それでも砲爆撃が続く中、空挺団としてジグラに着陸する軍の決死隊が組織される。
   首尾よく降下に成功するも、ジグラを守る謎の生命体により無念の全滅。(ジグラ起動時に祭壇に取り込まれた「ジーガハイル」構成員が怪獣化)
   取り残され遠くからでも光って見える「ヤヤチャの秘剣」を誰が祭壇に戻せるか。
   この男しか居ないだろう。

   (ジグラの進路:ギジジット核発電所で冬眠→覚醒→北上ボウダン街道→停止)

 ・『ヱメコフ・マキアリイ対ジグラ 最期の決戦』
   再び海中から巨大怪獣「ロード・アポカリプス」がタンガラムに上陸。
   ジグラよりも遥かに凶暴で、人を標的として残虐な破壊を行う「アポカリプス」にタンガラム軍は無力をさらけ出す。
   これに立ち向かうには、怪獣をもって怪獣を制するしかない。
   国家総統の特別命令によって、英雄マキアリイがジグラの祭壇の「ヤヤチャの秘剣」を抜く。
   活動を再開したジグラは敵を感知して、「アポカリプス」との決戦に挑む。
   すさまじい怪獣戦闘。
   だがこの危機を世界的人類共通の脅威と見做すゥアム帝国が「究極爆弾」によって両方とも破壊しようと秘密作戦を決行する。
   危うしタンガラム。「究極爆弾」の威力はタンガラムの半分をも人の住めない土地に変える。
   阻止せんと立ち上がるのは、マキアリイと運命の盟友ヒィキタイタン国会議員だ!

   (ジグラの進路:ボウダン街道ゲルワンクラッタ近く→起動→ボウダン街道ギジェ関破壊→カンインカニイン(アポカリプスと遭遇戦闘開始))
   (アポカリプスの進路:東岸ギジシップ島で海上観測→(タンガラム海軍大敗北)→シンデロゲンに上陸→海岸沿い南下→アグ・アヴァで大破壊→ジュータンバに迫る
       →(アポカリプス、ジグラ覚醒を感知)→北上大爆走→ミレシャ通過→カンニンカニイン(ジグラと遭遇))

 

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